JP6775857B1 - 地盤注入工法及び地盤構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】孔内にシールグラウトを大量に用いることなく施工することができる地盤注入工法及び地盤構造を提供する。【解決手段】地盤注入工法は、地盤に削孔を行う工程と、注入外管4を孔2に建て込む工程と、軸方向に間隔をおいて配置された膨張可能な一対のパッカー部、及び一対のパッカー部の間に形成された吐出口62を含むパッカー機構6を有し、注入外管4内に配置されたシール用注入内管を用いて、要薬液注入箇所X1に対する軸方向の両側の部分に瞬結性のシール剤9を吐出し、当該部分と注入外管4との間の隙間をシールする工程と、パッカー機構6を有する薬液用注入内管7を用いて、固まったシール剤9の間から要薬液注入箇所X1に向けて薬液8を注入する工程と、を備える。【選択図】図4

Description

本発明は、地盤注入工法及び地盤構造に関し、より詳しくは、地盤改良工事に用いられる地盤注入工法及び地盤構造に関する。
特許文献1には、従来の地盤注入工法が記載されている。この特許文献1に記載の地盤注入工法は、地盤を削孔して縦坑を形成する掘削工程と、縦坑にシールグラウトを充填するシール工程と、シールグラウトを充填した縦坑にスリーブパイプを挿入し、スリーブパイプにダブルパッカーを挿入してシールグラウトを割裂するクラッキング工程と、割裂した部分から薬液注入を行う薬液注入工程と、を備える。
特開2004−52254号公報
ところで、上記特許文献1記載の地盤注入工法では、シール工程として、縦坑にシールグラウトを充填し、この縦坑にスリーブパイプを挿入することで、スリーブパイプと縦坑の孔壁との間の止水を行っている。
これについて、一般的にシールグラウトは、セメント系グラウトが用いられることが多い。セメント系グラウトが大量に使用されると、施工後に、地盤がアルカリ雰囲気になる。地盤がアルカリ雰囲気になると、施工から長期間経過後に、固結した地盤改良用の薬液が溶解してしまう可能性がある
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、孔内にシールグラウトを大量に用いることなく施工することができる地盤注入工法及び地盤構造を提供することを目的とする。
本発明に係る一態様の地盤注入工法は、地盤に削孔を行って孔を形成する工程と、注入外管を前記孔に建て込む工程と、軸方向に間隔をおいて配置された膨張可能な一対のパッカー部、及び前記一対のパッカー部の間に形成された吐出口を含むパッカー機構を有し、前記注入外管内に配置されたシール用注入内管を用いて、要薬液注入箇所に対する前記軸方向の両側の部分に瞬結性のシール剤を吐出し、前記要薬液注入箇所に対する前記軸方向の両側の部分と前記注入外管との間の隙間をシールする工程と、前記パッカー機構を有する薬液用注入内管を用いて、固まった前記シール剤の間から前記要薬液注入箇所に向けて薬液を注入する工程と、を備える。
本発明に係る一態様の地盤構造は、軸方向に間隔をおいて形成された複数の注入口を有し、地盤内に配置された注入外管と、前記注入外管の周囲に形成されたグラウト材と、前記グラウト材に対し前記軸方向の両側に形成されたホモゲル状又は/及びサンドゲル状のシール剤と、を備える。
本発明に係る上記態様の地盤注入工法及び地盤構造は、孔内にシールグラウトを大量に用いることなく施工することができる、という利点がある。
図1は、本発明の一実施形態に係る地盤注入工法における削孔工程を示す断面図である。 図2(A)(B)は、同上の注入外管建込み工程を示す断面図である。 図3は(A)(B)は、同上のシール工程を示す断面図である。 図4(A)(B)は、同上の薬液注入工程を示す断面図である。 図5は、同上の地盤注入工法のブロック図である。 図6は(A)(B)は、パッカー機構を有する薬液用注入内管及び注入外管の断面図である。 図7は、同上の地盤構造の断面図である。
(1)実施形態
以下、本実施形態に係る地盤注入工法について、詳細に説明する。
(1.1)全体
本実施形態に係る地盤注入工法は、地盤を改良しようとする土地に対して実施する施工方法である。地盤注入工法は、例えば、地盤強度の向上、透水性の低減、液状化の抑制等のために行われる。地盤注入工法は、地盤改良を行おうとする土地に対し、削孔して少なくとも一つの孔2を形成し(図1)、当該孔2に注入外管4を建て込み(図2)、要薬液注入箇所X1に対し孔2の軸方向の両側の部分(より詳しくは、孔2の内壁(孔壁)の当該部分の周方向の全長部分)に向かって、注入外管4から瞬結性のシール剤9を吐出し、要薬液注入箇所X1の軸方向の両側の部分と注入外管4との間をシールする(図3)。そして、固結したシール剤9の間で、注入外管4から要薬液注入箇所X1に向かって、薬液8を注入する(図4)。
これによって、例えば、従来のスリーブ注入工法等で用いられるシールグラウトを大量に用いることなく、施工することができる。ここで、シールグラウトとしては、セメント系グラウトが用いられているが、セメント系グラウトを使用すると、地盤がアルカリ雰囲気になる。地盤がアルカリ雰囲気になると、施工から長期間経過後に、固結した地盤改良用の薬液8が溶解してしまう可能性がある。本実施形態に係る地盤注入工法によれば、シールグラウトを大量に用いることなく施工することができるため、これを回避することができる。
地盤改良用の薬液8としては、例えば、水ガラス系溶液型、懸濁液型、土壌浄化材、重金属不溶化材、アクリル酸多価金属塩水溶液型、バイオグラウト等の薬液が挙げられる。
地盤注入工法は、図5に示すように、土質調査工程(ST1)と、削孔工程(ST2)と、注入外管建込み工程(ST3)と、シール工程(ST4)と、薬液注入工程(ST5)と、を備える。以下、本実施形態に係る地盤注入工法の各工程について、詳細に説明する。
(1.2.1)土質調査工程
土質調査工程は、地盤に対して土質調査を行い、改良しようとする土地の地層がどのような土質なのかを調査する工程である。土質調査工程では、例えば、ロータリー式ボーリングマシン、オーガボーリング(スクリューオーガ又はポストホールオーガ)等を使用し、ロッドの圧力、ポンプの圧力、逸水の有無、排水量の変化、排水の色、スライムの状態等を観察したり、試料を採取したり、N値を測定したりして、土質を調査する。「N値」とは、地盤の硬さを表す指標であり、JIS A 1219に準拠する標準貫入試験によって求められる数値である。土質調査工程では、土質の調査の結果、ボーリング柱状図(柱状図)が作成される。
土質調査によって、当該土地の地層を、難透水層11(不透水層)と、透水層12と、に分類する。難透水層11は、透水係数が小さく、水を通しにくい層であり、例えば、粘性土である。粘性土としては、例えば、粘土層、シルト層等が挙げられる。透水層12は、透水係数が難透水層11よりも大きく、水を通しやすい層であり、例えば、砂質土である。砂質土としては、例えば、礫層、砂層等が挙げられる。
土質調査の結果、後の削孔工程で形成する孔2の孔壁の内周面のうち、薬液8の注入を行うべき箇所(以下、「要薬液注入箇所X1」という)が設定される。要薬液注入箇所X1は、例えば、注入外管4に形成された注入口42から薬液8が吐出された部分に想定される改良効果が得られる範囲(改良範囲)と、地層の透水係数と、を考慮して設定される。例えば、二つの透水層12の間に難透水層11が位置する場合、二つの透水層12のうちの一の透水層12に対応する注入口42から吐出された薬液8の改良範囲は、難透水層11を超えて、他の透水層12にまで及ばない。このため、一の透水層12に対し、少なくとも一つの注入口42が位置するように設定される。本実施形態に係る要薬液注入箇所X1は、孔壁の内周面のうち透水層12に対応する部分に設定されている。言い換えると、要薬液注入箇所X1は、透水層12でかつ孔壁の内周面の周方向の全長にわたる部分に設定されている。
(1.2.2)削孔工程
削孔工程は、図1に示すように、地盤に削孔を行って、地盤に少なくとも一つの孔2(ボーリング孔)を形成する工程である。削孔工程では、削孔機3を用いて、地盤に対して孔2を形成する。孔2の軸方向は、地盤に対して直交し、鉛直方向に略平行である。孔2の深さは、例えば、土質調査の結果に応じて決定される。ただし、本発明では、孔2の軸方向は、鉛直方向に限らず、鉛直方向に対して傾いていてもよいし、地盤に対して直交していなくてもよい。
削孔機3は、ケーシングパイプ31を用いて、地盤に削孔する。削孔機3としては、ロータリー式削孔機、バックホウ式削孔機、吊り式削孔機、ロータリーパーカッション式削孔機等が挙げられる。本実施形態に係る削孔機3は、ロータリーパーカッション式削孔機である。
本実施形態に係る地盤注入工法では、削孔工程は、土質調査工程の後に実行される。ただし、本発明では、削孔工程と土質調査工程とは同時に実行されてもよい。
(1.2.3)注入外管建込み工程
注入外管建込み工程は、削孔工程の後、削孔工程で形成された孔2に対し、注入外管4を建て込む工程である。注入外管建込み工程は、図2(A)に示すように、注入外管4を、削孔工程で埋め込まれたケーシングパイプ31内に上から挿し入れる。注入外管4をケーシングパイプ31に挿し入れた後、ケーシングパイプ31を孔2から引き抜き、ケーシングパイプ31を孔2から取り出す。これによって、注入外管4を孔2に対して建て込む。なお、一の注入外管4が、孔2の深さよりも短い場合には、一の注入外管4に対して他の注入外管4を継ぎ足しながら、孔2に挿し入れてゆき、孔2の全長に対し、注入外管4が略同じ長さになるようにして建て込む。
注入外管4は、図2(A)に示すように、外管本体41と、逆止弁43と、を備える。外管本体41は、注入外管4の主体を構成する部分であり、ケーシングパイプ31の内径よりも外径が小さいパイプによって構成される。外管本体41は、例えば、金属、合成樹脂、ガラス繊維、繊維強化プラスチック、カーボン等により構成される。外管本体41には、上下方向に沿って一定の間隔をおいて複数の注入口42が形成される。注入口42のピッチは、0.1以上1.0m以下に設定されることが好ましい。各注入口42は、外管本体41を径方向に貫通する。また、外管本体41には、軸方向において同じ位置に、円周方向に一定の間隔をおいて複数の注入口42が形成される。各注入口42は、丸穴であってもよいし、スリット状の穴であってもよい。
逆止弁43は、注入口42に対し、外側から内側に向かう液体の流れを妨げ、かつ内側から外側に向かう流体の通過を許容する。逆止弁43は、図6(A)に示すように、注入口42を覆う筒状のゴムベルト431で構成されている。ゴムベルト431は、外管本体41に巻かれることで、外管本体41の外周面に取り付けられている。ゴムベルト431には、注入口42に対応する位置(すなわち注入口42に通じる位置)にスリット432が形成されている。スリット432は、厚み方向の内側(注入口42側)から圧力が加わると開口する一方、外側から圧力が加わっても開口せずに閉じた状態を保つ。したがって、注入外管4を孔2に建て込んだ後、地下水が注入外管4の内部に流入したり、上下方向に隣り合う注入口42のうち上側の注入口42から薬液8が出ているときに、注入外管4を伝って下側の注入口42から薬液8が入ったりすることを防ぐことができる。
本実施形態では、ケーシングパイプ31で削孔した後、ケーシングパイプ31内に注入外管4を挿し入れ、その後、ケーシングパイプ31を引き抜いたが、ケーシングパイプ31を孔2から引き抜いた後、孔2に注入外管4を挿し入れてもよい。また、注入外管4を地盤に挿し込みながら削孔してもよく、すなわち、注入外管建込み工程で削孔工程を兼ねてもよい。
(1.2.4)シール工程
シール工程は、注入外管4内に配置されたシール用注入内管5を用いて、要薬液注入箇所X1に対する軸方向の両側の部分に瞬結性のシール剤9を吐出し、当該シール剤9によって、要薬液注入箇所X1に対する軸方向の両側の部分と注入外管4との間をシールする工程である。シール剤9は、図3(A)に示すように、シール用注入内管5の吐出口62から吐出され、注入口42を通して、孔壁の当該部分の周方向の全長部分に向かって送り込まれる。したがって、シール剤9は、溶液型の瞬結剤であることが好ましい。シール剤9は、流動性を有するが、内壁に送り込まれたシール剤9は、別々の流路で送り込まれた複数種類の薬液(例えば、A液、B液)が反応して、直ちに流動性を失って固まり、ホモゲル及び/又はサンドゲルとなる。
シール剤9のゲルタイムは、30秒以下であることが好ましく、より好ましくは、10秒以下であり、更に好ましくは5秒以内である。ここでいう「ゲルタイム」とは、シール剤9が有する物性値としてのゲルタイムである。したがって、シール剤9が注入外管4から吐出されてから流動性を失うまでの実時間は、30秒を超えてもよい。
シール剤9としては、例えば、無機硬化剤(陰イオングループ、水素酸、アルカリ金属、アルカリ土類等)、有機硬化剤(酸前躯体、酸、酸誘導体等)等が挙げられる。本実施形態に係るシール剤9は、非セメント系の溶液型の瞬結剤であることが好ましいが、セメント系の瞬結剤であってもよい。上述したように、シール剤9に非セメント系の溶液型の瞬結剤を用いると、地山がアルカリ雰囲気になることを確実に避けることができるが、本実施形態に係る地盤注入工法によれば、従来の地盤注入工法のように孔2全体にわたってセメント系グラウトを充填せず、要薬液注入箇所X1に対応してピンポイントで最小限に注入するだけであるため、アルカリ雰囲気になりにくいからである。
シール剤9は、シール用注入内管5から吐出される。シール用注入内管5は、注入外管4の内側に配置されて、シール剤9を吐出する管である。シール用注入内管5は、図2(B)に示すように、注入外管建込み工程で注入外管4を建て込んだ後、注入外管4に挿し入れられる。ただし、シール用注入内管5は、注入外管4を建て込む前に、予め、注入外管4の内部に配置されてもよい。
シール用注入内管5は、図3(A)に示すように、注入外管4に対して、注入外管4の軸方向に沿って移動し得る。シール用注入内管5は、土質調査工程で設定された要薬液注入箇所X1に基づいて移動し、適切な位置で停止し、シール剤9を吐出する。シール用注入内管5は、図6に示すように、パッカー機構6と、供給管51と、を備える。
パッカー機構6は、注入外管4の軸方向に並ぶ複数の注入口42のうちの任意の注入口42からシール剤9を吐出させる機構である。パッカー機構6は、インジェクションパイプ61と、一対のパッカー部63と、を備える。
インジェクションパイプ61は、シール用注入内管5の主体を構成する。インジェクションパイプ61は、円柱状に形成されており、その外径は、注入外管4の内径よりも小さい。インジェクションパイプ61の内部には、パッカー部63の内側部分に通じる膨張流路611(図6(A))と、吐出口62に通じるシール剤流路612(図6(B))と、が形成されている。膨張流路611及びシール剤流路612は、供給管51を通して、図示しない注入ポンプに接続されている。吐出口62は、シール剤9(ここではA液又はB液)を吐出する開口であり、上述の通りシール剤流路612の下流側の端に形成されている。本実施形態では、吐出口62は複数あり、複数の吐出口62のうちの一部の吐出口62がA液を吐出し、他の吐出口62がB液を吐出する。吐出口62は、インジェクションパイプ61の軸方向に交差する方向に開口しており、一対のパッカー部63の間に配置されている。
一対のパッカー部63は、注入外管4の軸方向に間隔をおいて形成されている。各パッカー部63には、膨張流路611を通して流体が供給されることで膨張する。パッカー部63は,例えば、伸縮可能なゴムにより構成されている。パッカー部63は、インジェクションパイプ61の軸を中心とした周方向の全長にわたって形成されている。パッカー部63の軸方向の両端部は、インジェクションパイプ61に対して固定されており、それ以外の部分はインジェクションパイプ61に非固定である。したがって、インジェクションパイプ61の外周面とパッカー部63との間に流体が供給されると、パッカー部63は膨張する。流体としては、例えば、気体(例えば、空気)、液体(例えば、水、油、薬液)のいずれであってもよい。
パッカー部63が非膨張状態であると、図6(A)に示すように、パッカー部63と注入外管4の内周面とが離れ、シール用注入内管5は、注入外管4の内部において、軸方向に移動し得る。一方、パッカー部63が膨張状態であると、図6(B)に示すように、膨張したパッカー部63は注入外管4の内周面に密着し、注入外管4に対してシール用注入内管5を固定する。また、膨張したパッカー部63は、注入外管4の内周面に密着することで、シール剤9が充填される空間R1を形成する。吐出口62から吐出されたシール剤9(ここでは反応前のA液及びB液)は、注入外管4、インジェクションパイプ61及び一対のパッカー部63に囲まれた空間R1内に充填され、注入外管4の注入口42とスリット432とを通って、孔壁に送られる。
孔壁に送られたシール剤9(反応前又は反応中のA液及びB液)は、図3(A)に示すように、孔壁に付着しながら、複数種類の薬液の反応が進んで、流動性を失う。その後、再び、注入外管4からシール剤9が吐出されると、固まったシール剤9に対して付着して固まり、これを繰り返すことで、孔壁のうちの要薬液注入箇所X1の軸方向の両側の部分と注入外管4との間の隙間を埋めてシールする。
本実施形態に係るシール工程では、要薬液注入箇所X1の軸方向の両側の部分に対し、上から下に向かって順に、シールを形成するステップダウン方式を採用している。しかし、本発明では、要薬液注入箇所X1の軸方向の両側の部分に対し、下から上に向かって順に、シールを形成するステップアップ方式を採用してもよい。
ここでいう「シール」とは、薬液8の注入圧力で固まったシール剤9が決壊しない程度のシール性があればよく、薬液8がシール剤9を僅かに超える程度の多少の漏出は構わない。すなわち、本明細書でいう「シール」は、例えば、パッキンやOリング等のような高性能のシール性までは必要ではない。また、本実施形態では、シール剤9は、図3(B)に示すように、難透水層11に対応する位置に形成されているが、これに限らず、透水層12の途中を複数に分けて注入してもよく、すなわち、一の透水層12に対して複数の要薬液注入箇所X1を設定してもよい。
(1.2.5)薬液注入工程
薬液注入工程は、図4に示すように、薬液用注入内管7を用いて、固まったシール剤9の間から要薬液注入箇所X1に向けて薬液8を注入する工程である。薬液用注入内管7は、パッカー機構6と、供給管71と、を備える。パッカー機構6及び供給管71は、シール用注入内管5と比較して、吐出口62から「シール剤9」に代えて「薬液8」を吐出する点が異なるだけで、構造自体は同じである。このため、共通する部分については説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
薬液用注入内管7は、注入外管4の内部において、軸方向に沿って移動しうる。そして、薬液用注入内管7は、要薬液注入箇所X1に対応する部分で止まり、パッカー部63を膨張させることで注入外管4の内周面に対して固定される。そして、吐出口62から薬液8を吐出することで、薬液8は、注入外管4、インジェクションパイプ61及び一対のパッカー部63に囲まれた空間R1内に充填され、一又は複数(ここでは二つ)の注入口42とスリット432とを通って、注入外管4から出る。注入外管4から出た薬液8は、注入外管4、孔壁及び一対のシール剤9で囲まれた注入空間R2に充填され、時間をかけて要薬液注入箇所X1に浸透する。したがって、本実施形態に係る地盤注入工法によれば、いわゆる浸透注入を行うことができる。
薬液注入工程での薬液8の注入は、複数の注入空間R2のうちの最も上の注入空間R2から下に向かって順に実行するステップダウン方式を採用している。しかし、本発明では、複数の注入空間R2のうちの最も下の注入空間R2から上に向かって順に実行するステップアップ方式を採用してもよい。
薬液8が固結した後の地盤構造1は、図7に示すように、孔2(実際には孔2の跡)の内部に配置された注入外管4と、注入外管4の周囲において固結したグラウト材81と、グラウト材81に対して軸方向の両側に形成された固結したシール剤9と、を備えている。グラウト材81は、地盤改良用の薬液8が固結したものである。固結したシール剤9は、ホモゲル状又は/及びサンドゲル状に形成されている。また、注入外管4内には、充填材(例えば、セメント系充填材、溶液型充填材等)が充填されている。
このように、本実施形態に係る地盤注入工法によれば、孔2の全長に充填されるシールグラウトを大量に用いることがない地盤構造1とすることができるため、シールグラウトに起因して地質がアルカリ雰囲気になることが抑制され、長期間にわたって、固結した薬液8が溶解することを防ぐことができる。また、本実施形態に係る地盤注入工法によれば、地盤の地層に応じて設定された要薬液注入箇所X1に合わせて、シールの形成及び薬液8の供給を行うことができるため、薬液8の逸脱を抑制することができ、効果的な施工を行うことができる。
(2)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
上記実施形態では、土質調査工程で柱状図を作成したが、必ずしも柱状図はなくてもよい。また、予め地層が分かっている場合には、土質調査工程については省略することもできる。
上記実施形態では、逆止弁43にはスリット432が形成されていたが、スリット432はなく、ゴムベルト431のみで形成されてもよい。この場合、ゴムベルト431に対して内圧が加わると、ゴムベルト431の幅方向の端部と、注入外管4の外周面との間に隙間ができ、当該隙間からシール剤9又は薬液8が吐出される。
上記実施形態では、薬液用注入内管7とシール用注入内管5とは、別々の部材であったが、本発明では、薬液用注入内管7とシール用注入内管5とを共用してもよく、この場合、供給管51,71のみを交換してもよい。
上記実施形態では、要薬液注入箇所X1に対し、孔2の軸方向の両側の部分にシール剤9を形成したが、孔壁におけるシール剤9の間の部分には、少なくとも一部に要薬液注入箇所X1が含まれていればよく、孔壁におけるシール剤9の間の部分に難透水層11が含まれてもよい。
また、上記実施形態では、透水層12として砂質土を挙げ、透水層12にのみ薬液8を注入したが、本発明では、軟弱な粘性土に対して、薬液8を注入してもよく、すなわち、「透水層12」には軟弱な粘性土を含んでもよい。
上記実施形態では、薬液注入工程によって浸透注入を行ったが、本発明では、薬液注入工程は、浸透注入に限らず、例えば、シール剤9の間に溶液型シールグラウトを注入した上で薬液8を注入する割裂浸透注入あるいは割裂注入、境界注入、圧密注入等を行うことで、要薬液注入箇所X1に薬液8を注入してもよい。
本明細書にて、「略平行」、又は「略直交」のように「略」を伴った表現が、用いられる場合がある。例えば、「略平行」とは、実質的に「平行」であることを意味し、厳密に「平行」な状態だけでなく、数度程度の誤差を含む意味である。他の「略」を伴った表現についても同様である。
また、本明細書において「端部」及び「端」などのように、「…部」の有無で区別した表現が用いられている。例えば、「端部」とは、「端」を含む一定の範囲を持つ部分を意味する。他の「…部」を伴った表現についても同様である。
(3)まとめ
以上説明したように、第1の態様に係る地盤注入工法は、削孔工程と、注入外管建込み工程と、シール工程と、薬液注入工程と、を備える。削孔工程は、地盤に削孔を行って孔2を形成する工程である。注入外管建込み工程は、注入外管4を孔2に建て込む工程である。シール工程は、シール用注入内管5を用いて、要薬液注入箇所X1に対する軸方向の両側の部分に瞬結性のシール剤9を吐出し、要薬液注入箇所X1に対する軸方向の両側の部分と注入外管4との間の隙間をシールする工程である。シール用注入内管5は、軸方向に間隔をおいて配置された膨張可能な一対のパッカー部63、及び一対のパッカー部63の間に形成された吐出口62を含むパッカー機構6を有し、注入外管4内に配置されている。薬液注入工程は、パッカー機構6を有する薬液用注入内管7を用いて、固まったシール剤9の間から要薬液注入箇所X1に向けて薬液8を注入する工程である。
この態様によれば、孔2の全長に充填されるシールグラウトを大量に用いることなく、地盤改良用の薬液8が注入されているため、シールグラウトに起因してアルカリ雰囲気になることが抑制される。このため、この態様による地盤構造では、長期間にわたって、固結した薬液8が溶解することを防ぐことができる。しかも、地盤の地層に応じて設定された要薬液注入箇所X1に合わせて、シールの形成及び薬液8の供給を行うことができるため、薬液8の逸脱を防止することができ、効果的な施工を行うことができる。
第2の態様に係る地盤注入工法では、第1の態様において、地盤に対し土質調査を行う工程を更に備え、要薬液注入箇所X1は、地盤の地層に応じて設定される。
この態様によれば、より確実に、要薬液注入箇所X1を把握することができ、より一層適切な地盤注入工法を適用することができる。
第3の態様に係る地盤注入工法では、第1又は第2の態様において、シール剤9のゲルタイムは、30秒以下である。
この態様によれば、シール剤9を適切に固結させることができ、工期を短縮することができる。
第4の態様に係る地盤注入工法では、第1〜3のいずれか1つの態様において、シール剤9は、非セメント系の溶液型の瞬結剤である。
この態様によれば、シールグラウトに起因してアルカリ雰囲気になることを、より効果的に防ぐことができる。
第5の態様に係る地盤構造1は、軸方向に間隔をおいて形成された複数の注入口42を有し、地盤内に配置された注入外管4と、注入外管4の周囲に形成されたグラウト材81と、グラウト材81に対し軸方向の両側に形成されたホモゲル状又は/及びサンドゲル状のシール剤9と、を備える。
この態様によれば、地盤構造1が、シールグラウトに起因してアルカリ雰囲気になることがないため、グラウト材81が溶解することを防ぐことができる。
1 地盤構造
2 孔
21 孔壁
4 注入外管
42 注入口
5 シール用注入内管
6 パッカー機構
62 吐出口
63 パッカー部
7 薬液用注入内管
8 薬液
81 グラウト材
9 シール剤
X1 要薬液注入箇所

Claims (4)

  1. 地盤に削孔を行って孔を形成する工程と、
    注入外管を前記孔に建て込む工程と、
    軸方向に間隔をおいて配置された膨張可能な一対のパッカー部、及び前記一対のパッカー部の間に形成された吐出口を含むパッカー機構を有し、前記注入外管内に配置されたシール用注入内管を用いて、要薬液注入箇所に対する前記軸方向の両側の部分に瞬結性のシール剤を吐出し、前記要薬液注入箇所に対する前記軸方向の両側の部分と前記注入外管との間の隙間をシールする工程と、
    前記パッカー機構を有する薬液用注入内管を用いて、固まった前記シール剤の間から前記要薬液注入箇所に向けて薬液を注入する工程と、
    を備える、
    地盤注入工法。
  2. 前記地盤に対し土質調査を行う工程を更に備え、
    前記要薬液注入箇所は、前記地盤の地層に応じて設定される、
    請求項1記載の地盤注入工法。
  3. 前記シール剤のゲルタイムは、30秒以下である、
    請求項1又は請求項2記載の地盤注入工法。
  4. 前記シール剤は、非セメント系の溶液型の瞬結剤である、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の地盤注入工法
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