JP6460432B2 - 耐久シリカグラウト並びに耐久シリカグラウトを用いた地盤改良工法 - Google Patents

耐久シリカグラウト並びに耐久シリカグラウトを用いた地盤改良工法 Download PDF

Info

Publication number
JP6460432B2
JP6460432B2 JP2018093021A JP2018093021A JP6460432B2 JP 6460432 B2 JP6460432 B2 JP 6460432B2 JP 2018093021 A JP2018093021 A JP 2018093021A JP 2018093021 A JP2018093021 A JP 2018093021A JP 6460432 B2 JP6460432 B2 JP 6460432B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
injection
silica
strength
grout
ground
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018093021A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018193550A (ja
Inventor
島田 俊介
俊介 島田
隆光 佐々木
隆光 佐々木
百合花 角田
百合花 角田
Original Assignee
強化土エンジニヤリング株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=64571638&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP6460432(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by 強化土エンジニヤリング株式会社 filed Critical 強化土エンジニヤリング株式会社
Publication of JP2018193550A publication Critical patent/JP2018193550A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6460432B2 publication Critical patent/JP6460432B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Consolidation Of Soil By Introduction Of Solidifying Substances Into Soil (AREA)
  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)
  • Soil Conditioners And Soil-Stabilizing Materials (AREA)

Description

本発明は、耐久シリカグラウトおよび耐久シリカグラウトを用いた耐久シリカ地盤改良工法にかかわるものであり、より詳しくはシリカゾルやシリカコロイドや水ガラスを有効成分とする非アルカリ性シリカグラウトを用いた耐久性地盤注入用グラウト及び耐久性地盤注入工法に関するものであり、更に詳しくは軟弱地盤の液状化防止、長期掘削工事、基礎地盤の補強工事等に使用される地盤改良工法並びにインターネットシステムを用いた管理方法に関する。特に本発明は従来部分的に研究されていた技術の関連性を解明し、それを統合して一体化することにより、はじめて所定の注入目的を満たす耐久性を持続する地盤改良を可能にしたものである。
近年、地震や液状化対策工等の耐震補強や基礎の恒久補強に対する薬液注入工法における社会的要請が高まっている。
従来、薬液注入は掘削工事等、仮設注入工事に用いられてきたため、掘削時に止水、固結していて、トラブルなく工事が完了すれば良かった。
しかし近年頻発している地震等、いつ来るかわからない地震に対する耐震工事等での本設注入工事では長期に亘って所定の改良効果が薬液注入に要求されるようになってきた。また、耐震補強でなくても工事が大型化し、注入後掘削までに長期間にわたる工事や、大深度地下開発等において大きな荷重、或いは水圧がかかる工事が増えて来るに従い、仮設注入であっても地盤改良効果が所定の効果を長期にわたって持続させることが要求される。
また、仮設工事でも掘削周辺部の固化や止水性が永続的であるならば建設後の土中構造部の補強や漏水が少なくてすみ、維持管理費が大幅に低減する。さらに近年は地中埋設による廃棄物処理や液化ガスの地中貯留や恒久止水壁の構築などの社会的要求が増えるにつれ、薬液注入で必要な供用期間中、或いは永続的に所定の強度や止水性を得られる技術が可能になれば、その有用性は計り知れない。
従来シリカグラウトの耐久性並びにその施工法は色々解明されているが、いずれも部分的開発にとどまっており、これらを統合した耐久地盤を形成するための全体的な技術の開発までには至っていなかった。
特許文献1は耐久期間を考慮した現場採取土を用いた配合設計法に関わり、特許文献2は注入液のゲル化時間が地盤中に浸透していくうちにpHが上昇してゲル化が短縮されることに関わり、特許文献3は注入地盤前後のシリカ量を分析することによる注入地盤の強度
の推定に関わり、特許文献4は土中ゲル化時間と注入時間の関係から注入液の配合を設定
することに関わる地盤改良工法である。
これらは、いずれもシリカグラウトを地盤に注入して耐久地盤を形成するための本出願人によって開発された技術であるが、実際の施工において適用対象となる地盤条件、施工条件、環境条件に対応してどのように注入方式と注入設計と注入材と注入材の処方を選定するかは確立していなかった。
本発明は多様な地盤条件下で注入中もゲル化後も地盤との間の化学的反応が継続して耐久性に影響するシリカグラウトを用いて、対象とする地盤条件、施工条件、環境条件において注入目的と要求される耐久期間における所定の改良土効果等に対応して、所定の注入領域から注入材を逸脱することなく耐久期間の間、所定の注入効果を持続するための注入方式並びに注入設計の選定、耐久シリカグラウト注入材と処方の選定、効果の確認、施工管理も含めた一体化した統合技術が必要であることに着目して本発明を完成したものであ
る。
薬液注入は他の物理的地盤改良と異なり、現存する土粒子をそのままにしてその間隙に薬液を浸透させるという極めて合理的な特徴を有している。一方その簡便さ故に安易な施工になりやすい。また薬液注入はシリカの化学反応を応用した技術であり、化学反応は反応条件によって、その結果が異なり、またゲル化物の特性も経時的変化が生じうる。
ましてや多様な地盤条件下における経済的に広範囲に浸透固結を要求される薬液注入の場合、その耐久性に及ぼす要因は後述のように多く存在する。このように耐久性を得るための要因が多数あり、かつそれらの要因は互いに関連しており、ある要因をプラスの方に変化すると他の要因がマイナスに変化するため、統合的耐久グラウトによる地盤改良を困難にしている。
このために対象となる注入目的に対応した所定の耐久性の効果を供用期間中持続するための、或いは恒久的に所定の効果を得るための注入材の選定、並びに配合設定において、信頼性のある注入材の組成の選定、それを所定の注入領域から逸脱することなく確実に浸透固結する配合処方とゲル化時間の設定法と注入管理、注入設計と注入方式の設定、施工後の所定の効果が得られるための品質管理等、これらを統合した注入技術の確立がきわめて重要になってきた。
液状化対策工や基礎の補強工事など、永続的に所定の固結効果を要求され、かつ経済的な広範囲な地盤改良における最大の課題は、
A. 耐久性の溶液型注入材としては劣化要因である水ガラスのアルカリを除去した非アルカリ性シリカグラウトでなくてはならない。
B. 注入材そのものの耐久性が優れていても経済性の理由から注入孔間隔を広くして広範囲を固結しなくてはならない。そうすると地盤中で希釈、拡散したり、或いは注入領域外や地表面に逸脱しやすい。この場合、所定注入領域で未改良部分が生じたりして所定の注入領域で所定強度が得られない現象が起こりうる。
C. 広範囲の浸透性を得るにはゲル化時間の長い酸性シリカグラウトでなくてはならない。シリカグラウトは酸性領域ではわずかのpHの変化でゲル化時間が大幅に変化するので多様な地盤条件下で固結体の大きさをゲルタイムでコントロールするのは実質的に不可能である。なぜなら注入地盤は酸性シリカ注入液のpHよりも中性に近く、土中の組成分との反応により注入液の土中pHが中性側に移行し、ゲル化時間が短縮されるからである。
D. ゲル化後のゲルの体積収縮(シネリシス)は経時的に固結土の強度増加をもたらすが過大な体積収縮は強度低下を生ずる。従って所定の注入目的に適合したシリカグラウトの選定と耐久性の評価が課題となる。
E. 一般の薬液注入が適用される仮設注入における、1ステージ当りの注入範囲は通常直
径1m程度掘削時まで所定の固結が保たれていれば良いが、耐久グラウトを用いた耐久性地盤改良は直径1.5〜4.0m程度の広範囲浸透固結性と所定の強度の耐久期間中の持続性が要
求される。
これが特に大きな課題となる。
本発明は以上の課題を解決するものである。
水ガラス、シリカコロイド、酸を有効成分とするシリカグラウトによる耐久性地盤改良工法の設計法にかかわる発明としてすでに本発明者による特許文献1〜4等の記載の発明がある。
しかし具体的なシリカグラウトに関しての耐久目的並びに耐久期間に対応して要求される改良効果を満たす注入材の組成や濃度の選定や多様な地盤条件下において、広範囲の所定領域で確実に固結して所定の地盤改良効果が得られる信頼性のある地盤改良は不明確で
あった。
本発明は上記発明を更に発展したものであって、
(1)耐久性を要するシリカグラウトの耐久特性や浸透固結特性を明らかにして耐久シリカグラウトの耐久目的、地盤条件、施工条件、環境条件、品質管理、耐久期間に対応したシリカグラウトの配合処方を統合して耐久性地盤改良工法を可能にした耐久シリカグラウト。(請求項1〜16)
(2)所定領域に固化させるための土中ゲル化時間を基本とする配合処方の設定、(請求項8〜9)
(3)耐久期間において注入目的に応じた耐久性が得られる耐久シリカグラウト。(請求項10)
(4)シリカグラウトによるホモゲルとサンドゲルの経時的耐久性と固結地盤の経時的耐久性が得られる耐久グラウト(請求項11〜13)
(5)以上の関係を明らかにして耐久性と耐久期間と耐久レベルの定量的評価を導入して注入目的に対応した耐久期間において所定の改良効果を期待できる耐久シリカグラウト。(請求項14〜16)
(6)多様な地盤条件、注入目的に対して所定の注入領域に注入液が逸脱することなく確実に浸透固結して耐久期間、地盤改良効果を持続するように注入管理システムも加えて統合することにより、従来あいまいであった耐久性グラウトを用いた耐久性地盤改良工法を可能にした。(請求項17〜25)
(7)さらに、耐久性地盤改良の品質管理を確実にするために、施工時における注入管理と固結地盤の品質管理(請求項22〜25)に加えて、インターネットによる情報管理システムの適用を可能にした。(請求項26、27)
(8)最後に、これらを統合した耐久地盤改良工法を完成にしたものである。(請求項28〜33)
特許第5156928号公報 特許第4097664号公報 特許第4486564号公報 特許第4437481号公報
従来、耐久性地盤改良といった場合、水ガラスグラウトの劣化要因となるアルカリを除去して耐久性のあるシリカグラウトを注入することは知られているが、耐久シリカグラウトを地盤に注入して耐久性地盤を形成する耐久性地盤改良技術は未だ、確立するまでに到っていなかった。その理由は一口に耐久性と言っても、何をもって耐久性というのか、又その耐久性の期間をどう捉えているかが、従来、不明確であることから、信頼性のある耐久性地盤改良の具体的方法が不明確であった。
耐久性地盤改良は薬液そのものの耐久性のみならず、注入された地盤が供用期間中、所定の改良効果を持続することが要求されること、また施工にあたって注入孔間隔を長くとり、広範囲な浸透固結を得ることが要求されるが、不均質で多様な地盤条件下で広範囲の注入を行った場合、所定の注入領域で固結していなかったり所定の強度が得られなかったりすることも起こり得る。それは、このような条件下で長い注入孔間隔で所定の注入領域に確実に浸透固結して注入目的を満たすシリカグラウトのゲル化の特性とその処方や施工法が不明確であったからである。
また耐久性に影響する要因が極めて多く、注入目的に対する耐久性の期間とその維持されるべき改良効果の確認法も不明であった。注入地盤の耐久性が地盤に注入された注入材並びに固結物の化学反応に依存するものであり、かつその化学反応は地盤条件、施工条件によってその結果が異なり、かつその化学的固結物の物性は長期にわたって変化する可能性がある。耐久性が固結体の経時的物性にかかわる以上、耐久性における物性は耐久性を要求される耐久期間に対応されるべきであるのに、そのような考えが従来不明確であった。また耐久性は改良地盤の供用期間中、注入目的を満たす改良効果を持続することを意味するはずであるが、供用期間の明確な考えがなかった。
このように注入目的と注入材の処方と注入液の流動・ゲル化特性とゲル化物の耐久性特性と注入地盤の耐久特性等の注入液の流動・ゲル化特性と固結物に関する耐久特性と耐久期間と改良効果との関係が不明確だったため供用期間中の耐久性改良効果の定量的評価が不可能だった。このため多様な地盤条件下で注入目的に対応した所定の改良効果を要求される期間中持続することが可能な耐久グラウトの配合設計とそれを用いた地盤改良技術の確立が困難であった。
さらにこのようなシリカ溶液を地盤中に注入した結果、所定の注入目的に達しているかどうかの実証が困難であった。その理由は、注入地盤の耐久性は、以下に述べる多くの条件によって影響され、しかもそれらは互いに影響し合っているため、一部だけ耐久要件を満たそうとすると他の要件が満たされなくなり、全体的な注入目的を満たす改良効果を得る注入設計が困難であった。さらに地震等の自然災害に対する耐久性というと50年以上から100年という長期間を対象とするためその耐久性効果の持続性の推定が困難であった。
このような理由により、従来耐久性地盤改良は定性的評価に陥りやすく定量的評価が困難であった。
本発明者は、30年以上の促進試験を含む室内長期耐久性テストと野外実証研究と注入地盤の大地震後の追跡調査を通じて耐久性のメカニズムを解明してこれらの互いに関連する要素技術を開発し、耐久地盤改良は耐久性を要求される期間における所定の改良効果の持続性であることに着目して、注入液の組成と濃度と地盤中における浸透固結特性を考慮したゲル化時間の設定等の注入材に関する耐久特性と注入材の浸透固結特性と適用する注入工法における注入孔間隔や大きな注入孔間隔で所定領域に確実に固結するための施工法等、冒頭に述べた注入材、施工法、管理方法等を統合して耐久性に関する定量的評価が可能なようにして注入設計時において注入目的に対応した信頼性のある非アルカリ性シリカ溶液を用いた耐久性地盤改良工法を可能にしたものである。
シリカグラウト並びに注入地盤の耐久性に及ぼす要因
(1)注入材の種類と組成。
(2) 地盤条件:土の粒径と粒径分布、密度、化学的組成、透水係数。
(3) 地下水条件:動水勾配、地下水の移動、地下水による希釈。
(4) 環境条件:
(a)地下水の用水(魚類、藻類)への影響。
(b)コンクリート等の地下構造物への影響。
(5) 注入施工条件:耐久性地盤改良に要求される広範囲浸透固結性に対応した注入孔
間隔、浸透距離、注入速度(毎分注入量)、注入材の種類と組成とゲル化時間(GT0:気
中ゲル化時間または配合液ゲル化時間、pH(pH0:配合液pH)、注入地盤における土中ゲ
ル化時間(GTS)と土中pH(pHS))、配合液を土と混合したときの土中ゲル化時間(GTS0)と土中pH(pHS0)または土中浸透時間中のpH(pHS)や土中ゲル化時間(GTS)の変化、所定量注入した時点(又は所定距離浸透した時点)の注入液のpH(pHSf)やゲル化時間(GTSf)や注入液のシリカ濃度と土中注入液のシリカ濃度の変化。
(6) 耐久条件:注入目的を満たす強度等の耐久性。所定の強度を持続することを要求
される耐久期間。
本願発明は以下の内容に関するものである。
(1)耐久性に優れたシリカグラウト(組成と耐久性)(請求項1〜16)
(2)所定の注入領域に浸透固結するシリカグラウト(特に土中ゲル化時間と注入時間と所定領域における浸透固結性を得る組成やゲルタイムの設定)(請求項8、9、17、22、23、25)
(3)耐久期間を考慮した所定の耐久効果を持続するシリカグラウト(強度の長期変化と耐久期間)(請求項10〜15)
(4)注入目的、地盤条件、環境条件、耐久期間に対応した所定の注入効果を持続する耐久シリカグラウトを用いた地盤改良工法(耐久性に及ぼす要因と耐久性の持続)(請求項10〜25)
(5)ホモゲルとサンドゲルの長期耐久性特性から強度予測した所定の改良効果を得る耐久シリカグラウトを用いた地盤改良工法(請求項10〜13)
(6)現場採取土を用いた配合設計法による耐久性地盤改良工法(請求項22)
(7)注入材並びに注入前後の地盤のシリカ含有量から所定注入領域における浸透固結性並びに注入地盤の改良効果を確認する耐久シリカグラウトを用いた地盤改良工法(請求項22)
(8)多様な地盤条件で化学反応に依存する地盤珪化を互いに関連する耐久要因とそれを構成する要素技術を統合して、耐久期間に対応して所定の効果を持続する耐久性地盤改良工法(請求項26〜33)
(9)注入管理法(請求項17、22〜32)
また、本願発明に関する説明事項には以下の内容が含まれる。
1.注入目的を満たす耐久効果の持続性と所定領域に浸透固結する耐久シリカグラウトの開発(請求項1〜16)
2.注入目的を満たす耐久性と耐久期間(請求項10〜16)
(1)耐久性とは何か(請求項10〜25)
(2)耐久強度とは(請求項10〜16、20)
(3)耐久強度の種類(請求項10、14)
(4)耐久シリカグラウトの強度の設定(請求項4〜7、10〜16,18〜22)
(5)シリカゲルの耐久性:シリカの溶脱と体積変化と強度(請求項10〜16)
(6)固結土の強度変化と耐久性(請求項10〜16、18〜22)
3.耐久性の向上
(1)各注入材の耐久性の経時変化の特徴と耐久性強度の低減の向上(請求項3〜18、22〜25)
(2)微粒子シリカの付加(請求項6、18)
(3)耐久グラウトの注入に先立つ一次注入による不均質地盤の均質化(請求項18)
4.耐久性評価法(請求項10〜16、19、20)
(1)耐久性の評価項目
(2)耐久性の評価要素
(3)耐久性の評価判断
(4)耐久性評価としての耐久レベル
5.耐久シリカグラウトを用いた耐久性地盤改良工法(請求項17〜33)
(1)シリカ溶液の組成とシリカ濃度を注入目的と耐久期間に対応して適用する耐久シリカ地盤改良工法(請求項1〜20)
(2)所定の注入領域に浸透したシリカグラウトが留まって固結する耐久シリカ地盤改良工法(請求項1〜9、17、18、23〜25)
(3)耐久条件並びに地盤条件に対応した耐久性が得られる耐久シリカ地盤改良工法(請求項7〜25)
(4)耐久性の向上を可能にする耐久シリカ地盤改良工法(請求項5〜9、18、22〜25)
(5)環境保全性耐久シリカ地盤改良工法(請求項2、4、7、14,、25、27、28、30、31)
6.耐久性の評価法による耐久シリカ地盤改良工法(請求項10〜16、19〜21)
7.現場採取土による地盤珪化評価法を用いた耐久シリカ地盤改良工法(請求項22、25)8.配合設計法による耐久シリカグラウトを用いた耐久シリカ地盤改良工法(請求項19〜22、25)
9.耐久シリカ地盤改良効果推定法を用いた耐久シリカグラウトによる耐久シリカ地盤改良工法(請求項12〜22)
10.要素技術を統合してなる耐久シリカ地盤改良工法(請求項17〜33)
11.インターネットによる情報管理システムと耐久性地盤改良工法の品質管理(請求項17、26〜32)
本発明者は30年以上にわたる薬液注入による長期耐久性の研究を行ない、耐久性に優れたシリカグラウトやそれを用いた耐久性注入技術の研究開発を進めてきた。又ホモゲル、サンドゲルのゲル化のメカニズムと耐久原理と経時的耐久性の特性を明らかにした。
その薬液注入の長期耐久性試験の結果、非アルカリ性シリカ溶液は以下の点で耐久シリカグラウトになりうることが判った。
(1)非晶質のシリカ溶液は酸性〜弱アルカリ領域(非アルカリ領域 pH:1〜10)では
含有シリカ分を析出する。(図3、図4)
(2)非アルカリ性領域において、シリカのゲル化物からのシリカの溶脱は無視できるほど小さい。(図32、図33)
(3)非アルカリ性シリカゲルは長期的に脱水してゲルの体積が減少して強度が増大するが(シネリシス)シリカゲルの強度の低下は殆どなく、最終的にほぼ一定値になるとみなして良い。(図44、図45、図46、図57(a))
(4)シリカゲルで固結した土の強度はゲルの強度と地盤の状態に依存するが、ゲルの収縮が過大になると強度低下の傾向が生ずる。しかしシリカ濃度が濃くなるほど、強度低下は低減する。(図34、図35、図36、図49、図53、図54)
(5)シリカ溶液の組成中にコロイダルシリカの含有量が多いほどゲルの収縮は低減し固結砂の耐久性は向上する。(図34(b)、図35(b)、図36、図37、図38、図42、図53、図54)
このため本発明者は注入目的に対応した耐久期間と何をもって耐久性というかを明らかにし、その施工にあたっての耐久期間中の耐久性と所定の注入領域に確実に浸透固結が得られる特性をもつ耐久性グラウトを開発し、さらに耐久性グラウトを用いて、施工後の耐久性地盤が所定の目的を達していることを確認できる地盤改良工法の開発に努めた。
特に耐久性地盤改良は注入材そのものの耐久性が優れていても、それを注入した地盤の注入領域に注入液が逸脱することなく浸透固結していなくては地盤の耐久性は得られない。このため耐久シリカ溶液のゲル化の特性を地盤中における浸透固結性に効果的に活かすことができるメカニズムを解明し地盤条件と注入目的と施工法に対応したシリカグラウトの組成と配合処方と施工管理からなる以下の(1)〜(3)を一体化した所定注入領域から逸脱することなく浸透固結する技術を開発した。
(1)耐久性と浸透固結性にすぐれた、かつ適用する注入方式や地盤条件に対応した所定の領域に浸透固結する土中ゲル化時間を基本とするゲル化の特性をもつシリカグラウトの組成と配合処方。(請求項1〜7)
(2)所定領域に浸透固結するシリカグラウトを所定領域に注入したことを可視化するこ
とによりリアルタイムで把握するための施工管理法。(請求項22、25)
(3)所定領域に浸透固結して所定の改良効果が得られている事を確認するためのシリカ量分析による地盤珪化確認法。(請求項22、25)
さらに供用期間に対応したシリカグラウトのゲルの耐久性の持続性と地盤条件に対応した耐久性の向上、注入地盤の改良効果の持続と改良効果の把握、環境保全性を一体とした技術開発を行い上記課題の解決を可能にしたものである。(請求項8〜19、26〜33)
本発明は上記耐久地盤改良工法において、互いに関連する要件を明らかにし、それを構成する要素技術を開発して、これらを統合した耐久地盤改良工法を提供するものである。(図79、図81)(請求項26〜33)
1)シリカ溶液を用いたグラウトが上記課題を解決する長期の耐久性を得るためには、シ
リカゲルの劣化要因であるアルカリを除去したシリカ溶液を用い、さらに所定の注入領域から逸脱することなく広範囲浸透固結性がある浸透ゲル化特性を有し、かつ固結地盤が所定の期間必要な耐久性を持続する組成を必要とする。
[注入目的に応じた耐久性が得られる耐久シリカグラウトの組成]
そのため本発明シリカ溶液は、シリカ注入液を地盤中に注入することにより地盤改良を行う耐久性地盤改良工法に使用するpHが1〜10のシリカグラウトであって、該シリカ注入
液はシリカコロイド又は水ガラス又のいずれか1種又は複数種と、酸或いは塩のいずれか1種或いは複数種を有効成分とし、該シリカ注入液がコロイドと水ガラスと酸からなる場合は該シリカコロイドに起因するシリカ濃度と水ガラスに起因するシリカ濃度の比率は100
:0〜0:100、かつシリカ濃度は0.4〜40wt%、シリカのモル比は2.0〜100から選定したシ
リカグラウトであって、注入目的に応じた耐久性が得られる処方を上記範囲内で選定してなることを特徴とする耐久シリカグラウト(図3、図4、図37)を用いる(請求項1)。
この領域のシリカグラウトは長いゲル化時間で浸透性が優れていることと、そのシリカゲル並びに固結土はシリカの溶脱がきわめて少なく、固結砂の長期固結性はすぐれている為、耐久シリカグラウトとしてみなすことができる。しかしゲルの収縮は固結砂の強度変化と関係があるため、サンドゲルの強度変化の特性が耐久期間に所定の強度を持続するシリカグラウトでなくてはならない(図37)。
更に詳述すると、該耐久シリカグラウトは主剤として以下の組成とシリカ濃度から選定してなることを特徴とする耐久シリカグラウトである(請求項1〜4)。
(1)「シリカコロイド」又は「水ガラス」または「酸性シリカゾル」のいずれか1種ま
たは複数種液を有効成分とするシリカ注入液であって、このシリカ溶液に反応剤として酸、塩、或いは酸と塩のいずれかを添加剤として加えてシリカ注入液のモル比が2.0〜100、pHは1.0〜10の注入材として用いる。
(2)該シリカ注入液のシリカの組成とシリカ濃度以下の範囲とする。
0.4%≦SiO2・T ≦40%
0 ≦SiO2・S ≦40%
0 ≦ SiO2・C ≦40%
ただし、
上記シリカコロイドに起因するシリカ濃度をSiO2・C(%)
上記水ガラスまたはシリカゾルに起因するシリカ濃度をSiO2・S(%)、
上記シリカ注入液中の全シリカ濃度をSiO2・T(%)(=SiO2・C(%)+ SiO2・S(%
))
とする。
(3)上記シリカ注入液のシリカ濃度と組成は水ガラス中のシリカが酸性溶液中で析出されて、シリカ溶液全体をゲル化する限界濃度の0.4%以上であって、ゲル化時間はpHとゲ
ル化時間の曲線において瞬結から、10000分以内のゲル化時間の範囲内に選定する(図3、図4、表1)。
ゲル化時間はpHとシリカの組成とシリカ濃度と組成の比率、pHと酸、塩の種類と濃度によって調整される。
(4)所定領域に浸透固結するゲル化時間と各ステージで所定量の浸透注入を管理して所定の注入領域外への逸脱を低減しながら注入される。
図3、図4、図5、図6、図8は本発明における耐久シリカグラウトのpHとゲル化時間の関
係を示す。
図3において、Sラインは水ガラスと酸(又は+塩)のpHとゲル化時間の曲線の例であ
る。Cラインはシリカコロイドと塩又は塩+酸の例である。Dラインはシリカコロイドと水ガラスと酸(+塩)からなる複合シリカのゲル化ラインの例を示し、その範囲はSラインよりも上側に、かつCラインを超えてゲル化時間が10000分を上限とする。斜線は注入
目的と施工条件に応じた耐久期間で所定の耐久性を満たす組成とシリカ濃度でかつ所定の注入領域に浸透固結するゲルタイムを選定することができる耐久シリカグラウトの範囲を示す。
図4は非アルカリ性シリカ溶液のゲルタイムとpHとシリカ濃度の例を示す。
更に本発明のシリカ注入液は地盤中に注入することにより地盤改良を行う耐久性地盤改良工法に使用する(pHが1〜10)のシリカグラウトであるから上述したようにサンドゲル
の長期変化の特性が耐久期間に所定の強度を持続するシリカグラウトでなくてはならない。このため該シリカ注入液は図3の耐久期間の時間軸に相当する経時的強度変化の例をグ
ラフ図37に示すことができる。
即ち図37において、上記シリカグラウトは「シリカコロイドグラウト(Cライン)」と
「水ガラスと酸を有効成分とする酸性シリカグラウト(Sライン)」と「コロイドと水ガ
ラスと酸を有効成分とする複合シリカグラウト(Dライン)」の経時強度の最大ラインと
最小ラインで囲まれた範囲を適用範囲Eとし、適用範囲Eの範囲内で注入目的に応じた耐
久期間内で耐久性を満たす強度が得られる組成とシリカ濃度を選定してなることを特徴とする耐久シリカグラウトである。具体的には上記耐久シリカグラウトは最小シリカ濃度が0.4%の経時的MIN強度ラインとし、最大シリカ濃度が40%の経時的MAX強度ラインとする
(請求項3、10)。
水ガラス+コロイド+酸を有効成分とする複合シリカグラウトにおいてシリカ溶液が非アルカリ領域を呈する配合であって、コロイド量を調整することによってゲル化時間の調整とゲルの収縮量の低減を行って強度の低下のない耐久シリカグラウトを得る事ができるし、また水ガラス量を増やすことによって強度発現が早くかつサンドゲルの強度の高い耐久シリカグラウトを得ることができる(請求項6、図36、図37、図49、図52、図53)。(請
求項2、4、5)
酸性シリカ溶液においてシリカコロイドによる固結土のシリカ濃度が高い割には強度が低く強度発現が遅い性質を、シリカコロイド溶液と水ガラスまたは酸性シリカゾルを混合して酸性複合シリカにすることにより、シリカ濃度が低い割には強度を高くし強度発現を早くすることができる。また図35〜37、図49、図53、図54より、強度のピークを生ずるシリカゾルグラウトをコロイドと組み合わせることにより初期強度の向上と強度の一定化又は向上又は所定の範囲内の強度低下におさえて、即ち耐久期間内の所定の改良効果が持続する地盤改良工法を可能にしたシリカグラウトである活性複合シリカグラウト(図39)を
用いることができる。(請求項3、4、14、16)
コロイダルシリカと水ガラスと酸を混合して酸性シリカ溶液(酸性複合シリカ溶液)とすることにより、ゲルの収縮と強度低下を抑え、両方の中間的物性を発現する。コロイダルシリカに起因するシリカ分と水ガラスに起因するシリカ分を有するシリカ溶液中の全シリカ量に対するシリカコロイド比が大きいほど初期強度は小さいが、収縮率は小さく、強度低下が少ない。シリカコロイドが全シリカ量の10%以上あると収縮が少なくなり強度はほぼ一定値で収束する。一方、シリカゾルではシリカ濃度が10%以上あると収縮が少なくなり、強度低下が低減し、強度はほぼ一定値に収束する。全シリカ中のコロイドが10%以下の場合はシリカ溶液中の水ガラス比が大きいほど長期的に強度は増大し、全シリカ溶液中のシリカ濃度が高くなると収縮はあっても強度低下は低減し、強度は長期的に一定の値に収束する(図49(a)、図53、図54)。(請求項4、14、16)
また、非アルカリ性シリカグラウトは注入した地盤では、ほぼ全量が析出して地盤の固結にあずかるから固結土が経時的に低下しても、その低下を加味することにより収束強度を設定することができる。
現場において、耐久シリカグラウトを地盤中に注入した場合、固結後の地盤の強度は前記ゲルの体積変化と強度増加の他に地盤の砂の密度、粒径が影響する。注入目的、耐久目的、耐久期間、地盤条件に応じてシリカ濃度と組成を調整して耐久性地盤を形成することができる。(請求項8、10、11、14、16、18、22)
地盤の土の粒径が大きく砂の密度が低い場合、或いは空隙の大きい地盤ではゲルの体積変化による砂の間隙での収縮が長期強度に影響を生ずる。シリカコロイドと水ガラスを併用した酸性複合シリカは、コロイドと水ガラスの比率によって両者の中間的値をとるが注入目的、耐久目的、地盤条件に応じて適切な比率を用いることができる(図36、図37、図39〜54)。(請求項2、3、4、5、16)
表5、図3、図5、図6、図30よりシリカゾル(酸性領域の水ガラスグラウト)はゲル化時間が早くpHの少しの変化でゲル化時間が変動しやすく、活性シリカコロイドや活性複合シリカはゲル化時間が緩やかでゲル化時間が長く、ゲル化時間が調整しやすいことが判る。
即ち、活性シリカコロイドも活性複合シリカもシリカゾルに比べて弱酸性から弱アルカリ性のほぼ中性領域でゲル化時間が調整しやすく中性に近い領域で広範囲浸透固結性に優れていることが判る。(図3、図23、図24、図26、図27)
図3で非アルカリ性シリカであればシリカ濃度0.4%含有のシリカ溶液はシリカの全量が析出して全配合液を含有したままゲル化する。しかし容器から取り出して自立する程度を保持するシリカ濃度は1%であった。低濃度シリカによるホモゲル、サンドゲルの固結性
を表1に示す。
従って、本発明のシリカ注入液のシリカ濃度と組成とゲル化時間は、図3、図4、表1よ
り、シリカ濃度が40%を上限とし0.4%を下限とする範囲とし、pHは1〜10とし、ゲルタイ
ムは瞬結領域(通常30秒〜数秒をいう)を下限とし、1ステージ当りの注入時間の最大値
である10000分を上限とする(請求項1、2、3)。
本発明における、非アルカリ性シリカ注入液において、シリカコロイドはイオン交換法、イオン交換膜法、金属シリカ法で得られたシリカコロイド又は析出シリカ又はシリカの微粒子の1種又は複数種、水ガラスはモル比3.0〜5.0の珪酸塩、又は水ガラスと酸を有
効成分とする酸性シリカ溶液の1種又は複数種から選定される。上記耐久シリカグラウト
において、該シリカ注入液のシリカ濃度は0.4〜40wt%とし反応剤として、硫酸の他、各種
酸や塩やアルカリを用いることができる。特にリン酸化合物又は/並びに金属イオン封鎖材(有機酸も含む)を有効成分とする組成から選定した場合、コンクリート表面にハイドロキシアパタイトの結晶構造を形成し、硫酸からコンクリートを保護するためコンクリート構造物周辺部における地盤改良において環境上の安全性に優れている。(図59)(請求項1〜4)
また酸として硫酸とリン酸を用いた場合、酸におけるリン酸の比率は75%硫酸、75%リン酸に換算してリン酸は全酸量の15容量%〜50容量%とするとシリカ濃度が高くてもゲル化時間の調整が容易で(図31)、かつコンクリートの安全性に優れた効果を得る。(図59)勿論、リン酸のみでも良いが同一pHに対してリン酸量が多くなるため反応生成物が多くなる。
従って、環境に応じて硫酸のみの使用、リン酸のみの使用、リン酸と硫酸の併用とその比率の調整を行うのが望ましい(請求項2、4、14)。
以上のように、ゲル化時間の調整は酸としては硫酸、またはリン酸或いはその混酸を用い、塩は1価または多価金属塩、或いは金属イオン封鎖剤を用いたものから選定する(請
求項6、7、60、68)。
金属イオン封鎖剤としては以下の化合物を上げることができる。テトラポリリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩(特にナトリウム塩が良い)、トリポリリン酸塩、ピロリン酸塩、酸性ヘキサメタリン酸塩、酸性ピロリン酸塩等の縮合リン酸塩類、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロトリ酢酸、グルコン酸、酒石酸、クエン酸またはこれらの塩類等が挙げられ、実用的には縮合リン酸塩類が好ましい。
また、リン酸系化合物としては、リン酸、各種の酸性リン酸塩、中性リン酸塩、塩基性リン酸塩等が挙げられる。このようにして、環境条件に応じた組成を選定してコンクリート構造物の近傍における耐久性地盤を形成することができる。これらの材料を含む耐久シリカは図59の効果を発現して、土中コンクリートを保護する(請求項2、8、10、14)。
また添加剤としては金属イオン封鎖剤の他に各種塩、例えば炭酸塩、重炭酸塩、アルミニウム塩、塩化物、アルミン酸塩等任意の塩を添加することができる。(請求項1、2、4
ゲルタイムの調整のために各種塩(1価のアルカリ金属塩、硫酸アルミニウムやポリ塩
化アルミニウム等のアルミニウム塩やCa、Mg等のアルカリ土金属塩や金属イオン封鎖剤やヘキサメタリン酸ソーダやリン酸ナトリウム等のリン酸塩等)やアルカリを用いることができる、特にゲル化時間の調整と作業性、並びに長い浸透距離を要求される場合は、リン酸と硫酸を併用して用い、ゲル化反応速度を調整することができる。(リン酸の方が硫酸よりも反応が緩やかである)従って長いゲル化時間で浸透距離を長くとることができ、かつ中性領域に近いpH領域で長いゲル化時間をとることができる(図30、31)。これらは特に土中ゲル化時間(GTS)や土中pH(pHS)や浸透距離やシリカ濃度を考慮した配合液の気中ゲル化時間(GT0)や気中pH(pH0)の調整や組成の設定に有用である(請求項2〜7)(表11、表12、図82〜84)。本発明における酸性反応剤は硫酸、塩酸、硝酸、リン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、コハク酸、等の有機酸;塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、リン酸1カルシウム、リン酸1ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等の酸性塩;エステル、アミド類、グリオキザール等のアルデヒド、等のようにアルカリの存在のもとに加水分解して酸基を生ずる物質等であるが、これらに限定するものではない。
なお、本発明では、さらに塩化物、炭酸塩等の強度増強剤あるいはゲル化時間調整剤を併用することもできる。
たとえば、塩化物、塩素酸塩、硫酸塩、アルミン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重亜硫酸塩、珪弗酸塩、珪酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、ピロリン酸塩、重クロム酸塩、過マンガン酸塩等の無機塩、任意の有機塩、アルコール類、その他金属酸化物、カルシウムシリケート、等であるが、これらの例に制限されないのは勿論である。(請求項1、2、4)
以下に上記組成について追加説明する。
・活性シリカコロイド:シリカコロイドは水ガラスのアルカリをイオン交換処理して増粒した弱アルカリ性或いは金属シリカ或いは析出シリカから製造されたシリカコロイドで(表5)コロイド自体の反応性はほとんどないが、それに塩や酸を加えて反応性を与えた
酸性〜弱アルカリ性を呈するシリカ溶液を活性シリカコロイドと称している。
・シリカゾル:水ガラスと酸(+塩)を有効成分とする非アルカリ性酸性シリカ溶液(
図3、図5、図6、図35、図36)。
・活性複合シリカ:シリカコロイドと水ガラスと酸を有効成分とする非アルカリ性複合シリカ溶液又は酸性シリカ溶液とコロイドからなる非アルカリ性複合シリカ溶液(図3、
図7〜10、図30、図36、図37、図39)。
ここで活性複合シリカとはコロイドに起因する大きなシリカ粒子と水ガラス又はシリカゾルに起因する小さなシリカ粒子の非アルカリ性複合シリカをいう。通常、水ガラスに起因するシリカ粒子の径は0.1nm、水ガラスのアルカリを酸で中和してなる酸性シリカゾル
の粒径は1nm、コロイドの粒径は5〜100nmで、通常は5〜20nmである。活性複合シリカはそれ自体反応性が付与されているので活性複合シリカと称している(表5(a))。
活性複合シリカでは、シリカ溶液中のコロイドに起因するシリカ量は全シリカ量中の10重量%〜50重量%が好ましい。コロイドはアルカリをほとんど含んでいないから水ガラスに起因するシリカ量が増えるほど、シリカ溶液を非アルカリ領域のpHにするためには水ガラス中のアルカリを除去するための酸量を増やさなくてはならない(図3、図4、図30、図31)。酸として硫酸を用いると急激にpHが変化するためゲル化時間の調整が困難なため、ゲル化時間が安定したゲル化時間の長い強酸性に配合するのが普通である(図3〜6、図30)。このため硫酸量を多く必要とする。(請求項2、4)
一方コロイドを含むシリカ溶液は水ガラスが少なく、従ってアルカリが少ないため酸量が少なくても非アルカリ性シリカグラウトが形成でき、かつコロイドはpHが弱アルカリ(pHが9〜10)であるため、弱酸性〜中性付近で硫酸量を少なくしてゲル化時間の調整しや
すい配合を得ることができる。(請求項2、4)
また酸性活性複合シリカはコロイド量の比率が上がるほど、酸の量が少ないため、地盤に注入した場合、土中pHはほぼ中性値を保ちやすい(図8、図9、図23、図30、図31)。従って地盤条件、施工条件、環境条件に応じて最適のゲル化時間を調整して所定領域で注入対象外へ逸脱しにくいシリカグラウトを得る事ができる。このように全シリカ量とコロイドと水ガラスの比率と硫酸とリン酸の比率を調整して所定の領域で固結する所定の耐久性を得るシリカ溶液を配合することができる(請求項2、4)。
上述したように、シリカグラウトのコロイドと水ガラスと酸の比率と配合組成は注入液のpHとゲル化時間に関係する水ガラスとコロイドの比率においてシリカの全濃度において、コロイドの比率が大きいほど中性領域に近くなり、水ガラスが大きいときは強酸性になる。また酸として硫酸とリン酸を併用すると水ガラスとリン酸の中和反応が硫酸に比べて緩やかなので、中性近くでゲルタイムの調整がしやすくなる。また中性付近で長いゲル化時間を適用しやすくなる。このためコロイドと水ガラスの比率、硫酸とリン酸の比率を調
整して、弱酸性〜中性付近でゲル化時間を調整しやすくでき、注入孔間隔を大きくして、広範囲を限定固結することができる。(請求項2、4、8)またリン酸の比率がおおきくな
るにつれコンクリートに対する保護効果が生ずる。上記において、複合シリカの場合、コロイドの全シリカ中の比率が10〜100%、リン酸の全酸(硫酸+リン酸)に対する比率は15〜100%を用いることができる。(請求項3、4、6、8)
シリカグラウトのシリカは水ガラスを主剤とし、反応剤に硫酸を用いた場合に比べてシリカとしてコロイド分を増やして或いは酸としてリン酸又はリン酸の比率を増やして注入液のpHを中性方向に移行させる事ができ(図30、図31)(pH2.5〜5付近)、ほとんど中性に近いpH付近でゲル化する(図9(b))。また地盤にCa分が多く含まれていたり、セメントが混入されているとGTsは大幅に短縮する(図9(a)、図10)。GTsは土中ゲルタイムであるが、地盤に注入している間に土中注入液のpH(pHs)が上昇するとゲルタイム(GTs)が短縮する(図7、図9(a)、図10)。しかし酸性シリカ溶液で注入して固結した固結土のpHを
測定するとほとんど中性値を呈する(図6、図9(b))(請求項4〜5)。
本発明における、最小シリカ濃度は0.4%である。シリカ濃度1%ではゲルそのものが自立する。0.4%ではゲルは自立しないが、シリカグラウト中のシリカの全量が析出する。
(表1)
従って、0.4〜3%の希薄なシリカ溶液を用いてその溶液中にマイクロバブルを混入すれば、マイクロバブルを含んだまま、土粒子間にシリカでマイクロバブルを吸着して固定するのでマイクロバブルが長期に亘って地表面に逸脱することがない。シリカ濃度が2%よ
りも低いシリカ溶液は固結目的のためには強度が低い。しかしマイクロバブルとの併用では有効である。マイクロバブル液は不飽和化工法として有効であることはすでに知られている。しかし長期的に気泡が空気中に逸出する可能性があった。これを防ぐため上記低濃度シリカ、2%より低濃度のシリカを含むマイクロバブル液はマイクロバブルをシリカで
地盤中に固定するだけでマイクロバブルの液状化防止機能を保持できる。この場合、シリカゲルだけでは強度が低く自立するのが難しい程の低強度の方がマイクロバブルの機能を発現できるので効果的である。(表1)(請求項1、2、7)。
またシリカゲルが弱いため地震動に対してマイクロバブルが縮む機能を失うことなく過剰間隙水圧の上昇を低減して液状化を防ぐことができる。またこのような薄いシリカ溶液中に粉状シリカやベントナイト等の粉体(表6)を混入して粗い空隙を充填し、地下水の
影響を防ぎ、かつゲルの収縮を低減することができるので、経済的地盤改良が可能になる。また薄いシリカ溶液中にベントナイトとマイクロバブルを混入して注入すればマイクロバブルが逸出することなくベントナイトは強度が弱いので地震動に対してマイクロバブルが縮む機能が失われることなく液状化を防ぐことができる。またこのように薄いシリカ溶液は中性領域で長いゲル化時間をとる事ができるので環境上からもすぐれており、かつ粉体を混入して経済的に地盤を高密度化して液状化を防ぐことができる(請求項63)。
またシリカ濃度15〜30wt%のシリカコロイドはシリカの溶脱が無視できるほど小さくて耐久性並びに耐水圧性に優れているので岩盤注入の止水注入や廃棄物や有害物の封じ込めや液化ガスの貯溜等、耐水圧性止水ゾーンの構築に用いる事ができる。(図32〜34、図35(b)、図36〜38、図44(c)、図49(c)、図54(f)、図55、図56)(請求項3、6、7、16)
図38(a)、(b)によりシリカコロイド系グラウトとシリカゾル系グラウトの長期止水性の違いが判る。シリカコロイド系が経時的収縮がほとんどないのに比べ、シリカゾル系は収縮が大きいことから、固結性は持続するものの長期的にはゲルの収縮が大きくなるにつれて1000〜3000日の間に止水性が低減することが判る。このようにゲルの収縮が(コロイドを含有する活性シリカコロイド又は活性複合シリカグラウト)と(シリカゾルグラウト)の強度の低減と止水性の低減に影響し、表4の耐久レベル1、2と3の違いとなる。
[注入領域外への逸脱を低減して所定の注入組成で注入目的に応じた地盤改良を可能にし
たシリカグラウト]
耐久シリカグラウトの耐久性が優れていても、耐久性地盤改良は多様な地盤条件において注入した地盤が耐久期間中耐久目的を満たす効果を持続することが要求される。本出願人は、以下に上記耐久シリカグラウトの特性を利用して所定の注入領域からの逸脱を低減しながら浸透固結性を得る地盤改良法を開発した。(請求項4〜8、17、18、22)
配合組成による逸脱防止を以下に説明する。
耐久性に優れた注入材を所定量地盤中に注入しても注入液が注入領域外へ脈状に割裂して逸脱したり(図16(a))、下方に流下してしまっては耐久性地盤は形成されない(図16(b))。所定の領域に注入が可能なためにはまず注入地盤が薬液注入の浸透可能な地盤でなくてはならない。図1(a)(b)は液状化の可能性のある地盤であり、液状化対策工で薬液注
入する場合の対象となる。図2は液状化対策で地盤改良を行った地盤である。土粒子間浸
透するには表2の地盤で図2の土粒子間浸透注入領域、少なくとも浸透・割裂注入領域で土粒子間限界速度内の毎分注入量(注入速度)で、かつ上限圧力は注入地点の上載土量や建造物等の上裁荷重を考慮した注入圧を上限圧力として注入されなくてはならない。
注入液が粗い土層を通して注入範囲外へ逸脱したり、注入速度が大きくて割裂して注入範囲外へ逸脱し続けた場合、図16(a)のような現象が起こる。また所定注入量注入後にも
ゲル化に到っていなくて、かつ透水性の大きい地盤では下方に流下してしまい所定領域に固結していない現象が起こる(図16(b))。このような場合、以下に本発明者による所定
領域への逸脱を低減して浸透固結するための注入液の流動特性と注入方式に対応したゲル化の挙動を示す配合液を注入することが必要である。
このような目的を満たすための耐久シリカグラウトの流動ゲル化特性についての研究結果を以下に示す(表11、表12、図3〜図31、請求項1〜23)。
本出願人による室内実験並びに種々の注入方式を用いた現場試験による研究により、地盤に注入された非アルカリ性シリカ注入液のゲルタイムとその流動性の挙動は以下の事が判った。酸性シリカ溶液はpHの変化で急激に配合液のゲルタイムが変動する。しかも地中に入ると地盤のpHと反応成分と反応して注入中にpHが変動して、地中ゲルタイムが変動する(図4、図6、図7、図9、図10、図17〜図28)。このために酸性シリカ溶液をゲルタイムで固結範囲を調整できることは実質的に不可能であることが判った。まして1.5〜4mとい
った広範囲な領域で所定の浸透固結は更に不可能である。このため本発明者は注入時間(H)、土中ゲル化時間(GTs0)を基本にして配合液を設定する(GT0)というコンセプトにより以下の手法によって注入した注入液が注入量に相当する固結体を形成することを可能にした。(請求項5〜9、17、18、22)
(1)比較的均質な地盤:このような酸性領域のシリカグラウトのゲル化特性の研究の結果、均質な地盤では所定量注入すれば所定の注入液を注入した時点でゲル化していなくても注入液が地盤中で中性方向に移行し、遅かれ早かれその場所でゲル化する。これは酸性シリカ溶液がそれよりもpHが高い地盤中でゲル化が促進され、かつ酸性シリカ溶液中のシリカ分は例え地下水で希釈されても全量が確実に析出されるという特性を利用したものである(図4、図5、表1、図17(a)、(e))(請求項5〜9、17)。
(2)不均質な地盤の場合:地中におけるゲル化を進行させながら半ゲル状態で乗り越えながら浸透させることによって逸脱を防ぎながらシリカ濃度の希釈を押さえながら注入範囲を拡大できる(図17(b)、(c)、(d))。これは酸性シリカ溶液が低濃度で長いゲル化時
間で確実にゲル化し、ゲルはアルカリ領域のゲルに比べてゲルそのものが弱いという特徴による。(請求項5〜8、17)
以上より酸性シリカ溶液はゲル化を充分長く取りさえすれば、厳密なゲルタイムを設定しなくても中性側の地盤においても確実にゲル化するため地盤条件、施工条件に対応して
配合液のゲルタイムを設定すればよいことが判る。この目安は、確実に設定、或いは測定できる土中ゲル化時間(GTs0)、注入時間(H)を基準に決めれば良い事が判った。実験
によって地盤条件、注入条件によって、H≧GTs0、H≦GTs0か適用され、地盤状況並びに施工法に応じてこれを併用すれば良いことが判った。以下、具体的に説明する。(請求項5
〜8、17)(表4、表11、表12、図82〜84)
(1)注入距離は通常仮設注入では1.0mであるが本設注入では大量注入による経済性の必要から通常1.5m以上に大きくとるため、1ステージ当りの注入量が大きくなり(表4、表11、表12、図84)、土粒子間浸透の注入可能限界内の速度で注入すると(図15)、注入速度は注入方式によって異なるが(図82〜84)注入時間は長くなる(表11、12)。注入液と土との反応が進行して土中ゲル化時間が短縮する(図6、図7、図9(a)、図10)。一方、浸透距離が長くなるにつれ、注入液が地下水によって希釈されるとゲル化時間が延長して、強度が低下する傾向を生ずる(図4、図23〜図27)という相反する現象が生ずる。
(2)一般に地盤のpHは4.5〜8.5を呈し(図9(a)、図10)、非アルカリ性シリカグラウトの配合液のpH(図3、図4、図6、図7、図9(a))よりもpHが高いため、注入液の土中ゲルタイムは促進される(図6、図7、図9(a)、図10)。
(3)豊浦砂の場合、土のpHはほとんど中性付近にあるため、土中ゲルタイム(GTS)は
薬液の気中ゲルタイム(GT0)とほとんど変わらない(図7の豊浦砂を参照)。また均質地盤では注入時間(H)と土中ゲル化時間(GTS0)の差が少ない程、形状が所定の固結体に
なりやすい。
(4)貝殻混じりの土ではCaが含まれるため、土中ゲルタイムは大幅に短縮する。
即ち土中ゲルタイムは土性によっても影響される(図7、図9(a)、図10)。
以上より確実に注入領域に浸透固結するには主として以下の手法を用いれば良い事が判った。
(a)一般に注入対象地盤はk=100〜105cm/secのオーダーにあり、特にk=a.10-2〜b.10-4cmで、pHが6〜8.5付近が主であり(表2、図1、図2)、まず土粒子間浸透可能な低注入
速度と限界圧力内(図15)で注入しなくてはならない。配合液のpH(pH0)が土のpHより
も酸性側の配合であると注入液の土中pH0は上昇し、土中ゲル化時間(GTS)は気中ゲル化時間(pH0)よりも短縮する。また地盤にCa分や反応組成分が含まれていればゲル化時間
が短縮する。(請求項4〜8、17)
(b)実際の地盤は均質ではないため、透水性の大きな粗い層や透水性の低い層が介在している場合がある。
透水性が大きかったり、不均質な地盤条件や地下水条件が影響する場合、注入液が対象領域から逸脱したり流下したり、注入液が地下水に薄まってゲルタイムが延びたりする場合がある(図16(b))。本発明者の長年の研究の結果、酸性シリカグラウトは注入中にpH
が中性方向に移行してゲル化が進行する。酸性シリカ液を用いて不均質でかつ多様な地盤に対して、注入時間(H)よりも土中ゲル化時間(GTS0)を短くしておくことにより、瞬
結≦GT0≦10000分)(GT0≧H≧GTS0)とすると地下水による希釈や地盤の不均質性に関わらず半ゲル状になりながら脈状になることなく土粒子間浸透しながら固結領域が拡大していくことが判った。(請求項5、7、8)、(図17(a)(b)(c)(d))
これは酸性領域のシリカグラウトを土中ゲル化時間(GTS0)よりも長い注入時間(H)
で注入するとpHが増大してゲル化時間が短縮して注入液がゲル化しかかった状態で注入領域内に保持されたままで注入範囲が拡大して所定領域を確実に固結できることが判った(図17)。注入孔間隔を広く取るには、1ステージ当りの注入量が多量になる(表11、表12
)。多量の注入を注入対象外へ逸脱することなく所定領域に浸透固結させるためには1ス
テージ当りの注入時間を短くして、しかも浸透注入しなくてはならない。このため1ステ
ージ長を長くして短時間で土粒子間浸透せしめる方式が柱状浸透注入方式である。(図82、図83、表12)
一方、多点同時注入方式は1ステージ長を短くして1ステージ当たりの注入量を小さくして注入時間を短くする事ができる。(図83(a)、図84(b)、表12)
(c)地盤条件が比較的均質な地盤では注入液のpHより中性側にあれば酸性シリカ注入材は所定量の注入が完了した時間でゲル化に至らなくても所定領域に保持されたままゲル化することが判った(GT0>GTs0>H)(表11、表12、図17(e)、図84(a))この場合、球状浸透でも柱状浸透でも図11〜14の浸透理論にほぼ基いて浸透固結する。このような浸透固結性は非アルカリ性のシリカグラウトを用い、かつ土との相互反応によって生ずる、非アルカリ性シリカグラウトの流動特性とゲル化特性と施工法、注入孔ピッチ、点注入、柱状注入、多点注入に対応したステージ長、ステージ数、注入速度、注入時間と土中ゲル化時間と配合処方を効果的に組み合わせることにより、地盤中で先行している半ゲル状態のシリカグラウトを後続してくるシリカグラウトが外周部に押しやりながら或いはそれを乗り越えながら固結する現象を用いて所定領域で浸透、ゲル化させることができることが判った。(表12(b)、※2、※3)
※2、※3でGTs0はHより小さいが、図17(b)のように乗り越えながら固化する。
図83(a),(b),(c)は図84(d)の粒径分布の地盤で図84(e)のように多様な土層からなる地
盤条件下で注入されたにもかかわらず、表12(b)の気中ゲルタイムGT0と土中ゲルタイムGTS0と注入時間Hによる注入によって所定の注入領域外へ逸脱することなく浸透固結するこ
とが判った。これはあたかも地上に噴出したマグマの温度が冷えるに従って流動性を失いながら次から次へ続くマグマがそれを乗り越えて広範囲に広がって固化する現象に似ている(図17(b)、(c)、(d))
のでマグマアクション法と名付けている。以下表12を説明する。
実施例を解析した結果例を表12に示す。これらから所定領域に浸透固結せしめるためには、気中ゲル化時間GT0、土中ゲル化時間GTS0、1ステージの注入時間又は1バッチの注入
時間をHとすると、地盤条件又は注入孔間隔または固結径、または注入方式に応じてまた
はさらに施工実績に基いて補正しながら配合液の組成と配合液のゲル化時間(GT0)また
はpH0を以下のように設定して所定注入領域に浸透固結せしめることができる(請求項18
)、
気中ゲルタイムGT0=瞬結〜10000分、ただし、通常GT0は10分〜10000分が望ましいが、一次注入として瞬結を用いる時は、二重管瞬結・緩結複合注入工法等により、先端部の注入管のまわりに合流注入で瞬結にしてパッカを形成してから二次注入する。
土中ゲルタイムGTS0=10〜3000分(図7ではGTs0=10〜6000分程度であるが、ここでは10〜3000分とした)、GTs0は通常、地盤条件にもよるが10〜3000分の範囲が好ましいが、
地盤のCa分が多い場合、あるいは不均質地盤で一次注入としてCB等を注入して地盤の均質化を図った場合、土中ゲルタイムGTS0は10秒付近まで短縮することがある。
注入速度(毎分吐出量)=1〜30L/min
1ステージ長:1〜4m
1ステージ当りの注入量=132〜25600L
1ステージ当りの注入時間(H)=10000〜4.4分
土中ゲルタイム(GTso)=10〜3000分
従って
土中ゲルタイム(GTS0)と注入速度と1ステージ当りの注入量と1ステージ当りの注入時間(H)の関係を注入実績に基いて表12に示す。
表12において、1本あたりの受持面積を計算し易いように正方形とした。実際は図81の
ように円形となるが実質的には殆ど変わらないものとする。
表12(a)は注入孔間隔と注入方式(表11、図82、図83)とステージ長と1ステージの注
入量と注入速度を定めることにより、点注入と柱状注入の場合の注入時間(H)を算出したものである。(注入率40%)
表12は実際の現場試験(図84)において現場土を用いた室内試験(図2、図84(d)と現場注入試験における土粒子間浸透の限界内の注入速度(図15)と注入方式(図82、83)並びに施工後の耐久性や液状化強度も含めた長期注入効果の確認(図85)を行い、所定の注入目的を達した施工データを示したものである。
1.注入液の組成(図3、図4気中pH:pHo、気中ゲルタイム:GTo)と注入液と現場採取土を混合したときの土中ゲルタイム(GTs0)と土中pH(pHso)
2.現場注入試験による浸透注入限界内の注入速度の設定(図64)
3.注入方式とステージ長、毎分注入速度(毎分吐出量):表12(a)
4.1ステージ当たりの注入時間:H
5.表12(b)よりGTs0とHの関係を試験結果と実績データから、H/GTs0(又は GTs0/H)の範囲を算出する。
表12(b)より以下のことがわかる。
※1 H/GTs0=0.45(GT s0=2.2H)(図84(a))
土中ゲルタイム(GTs0)が注入時間より長くても(GTs0>H)注入中にpHが中性側に移行して土中ゲルタイム(GTs0)が短縮して注入が完了した後注入範囲外に逸脱することなく所定の領域に固化したと考えられる。
※2 H/(GTs0)=1.44(GTs0=0.69H)(図84(c))
土中ゲルタイム(GTs0)が注入時間より短くても(GTs0<H)先行したゲル化しかかった注入液を乗り越えながら浸透することを繰り返して(マグマアクション)所定の注入量の注入が完了した時点で流動性を失うことにより、所定の注入範囲から逸脱することなく固結したものと思われる。
※3 H/GTs0=1.13(GTs0=0.88H)(図84(b))
説明は※2と同様
※4 H/GTso=0.34(GTso=2.9H)(図17(e))
土中ゲルタイム(GTs0)が注入時間の約3倍(GTs0<H)の長さでも、土粒子間浸透範囲の注入速度で浸透させることによって、pHが中性方向に移行してゲル化が進行するため、注入後も注入液が所定領域に留まったままゲルタイムに到った時点で流動性が停止して固結したものと思われる。
表12(b)におけるHの範囲は、
0.34 GTs0 ≦H≦1.46GTs0
即ち、
GTs0の範囲は0.69H≦GTs0 ≦2.9Hにある。
また、図28(b)には、
A=H/GTs0=2.16、4.68、2.2の例が記載されており、従って
となる。これらを含めれば、
0.21H≦GTs0≦2.9H …式(1)
即ち
0.2H<GTs0<3H …式(2)
の範囲で所定の注入領域に逸脱することなく所定の注入効果が得られ、かつ長期耐久性が得られる耐久シリカ地盤の構築が可能なことがわかる。
本発明ではこれらの注入目的を達した室内試験結果、現場採取土を用いた注入試験実績を合わせて、
土中ゲルタイムGTso=10〜3,000分(図7)
注入速度(毎分吐出量)=1〜30L/min
1ステージ当りの注入量=132〜25,600L(表12(a))
ただし注入速度は限界注入速度内とする(図15)
1ステージ当りの注入時間H=10,000分〜4.4分(表12(a))
(気中ゲル化時間は図3、図4より最大10000分。即ちGT0≦10000で、かつH≦GT0 である
から、H≦10000となる。)
従って、

即ち
0.001H<GTs0<1000H
より好ましくは、
0.2H<GTs0<3H
の範囲になるように地盤条件、注入方式、注入孔間隔とGTs0とHの関係が満たされるように、注入方式、注入孔間隔、ステージ長、配合処方を設定すればよいことが判った。
このように、この表12(a)より表12(b)のように注入目的を達したGTsoとHに関するデー
タに基づきGTsoとHの範囲を選定してそれに対応した注入方式とステージ長と注入時間を地盤条件、施工条件に応じて設定することにより逸脱を低減しながら注入目的を達する注入管理を行うことができる。
以上のようにして、土中ゲルタイム(GTso)と注入時間(H)に対応した注入液の配合
(pHo、GTo)を管理して注入目的に達することができる。
注入目的を達することができた土中ゲル化時間の実績を表12(b)並びに図7に示す。この範囲からHとGTS0の注入実績から目的を達することができ、適切な比率の範囲を知ること
ができる。
従って、適用する注入方式における注入孔間隔を1〜4m、1ステージ当たりの毎分吐出
量を1〜30L/min、1ステージ当たりのステージ長を1〜4mの範囲として注入時間Hと土中ゲル化時間の関係が〔数2〕或いは式(1)、式(2)の範囲にあるように注入方式と注入孔間隔と毎分吐出量とステージ長を設定すれば所定の注入領域から逸脱を低減しながら所定の改良効果が得られることが判る。
例えば表中、表12(b)の実験結果ではGTs0=150分、200分であった場合、Hを0.5H<GTs0<2Hの範囲で選定した場合の注入孔間隔、1ステージ長、注入方式、注入時間、毎分吐出量
を表12(a)から選定できる。即ち、GTs0が150分の場合H:75〜300分、GTs0が200分の場合H:100〜400分の範囲になる注入方式と注入設計を選定すればよい。
このように、この表12(a)より表12(b)のように注入目的を達したGTs0とHに関するデー
タに基づきGTs0とHの範囲を選定してそれに対応した注入方式とステージ長と注入時間を
地盤条件、施工条件に応じて設定することにより逸脱を低減しながら注入目的を達する注入管理を行うことができる。
以上のようにして、土中ゲルタイム(GTso)と注入時間(H)と注入設計に対応した注
入液の配合(pHo、GTo)を管理して注入目的に達することができる。
なお、上記において毎分吐出量は土粒子間浸透の限界速度(図15)範囲内とする。
特に注入材が対象範囲に逸脱したり、希釈されやすい地盤条件下では上記手法に加えて注入中に配合組成、即ちシリカ濃度、ゲル化時間を変化させる等、特に初期にシリカ濃度を高くして、pH(pH0)を低くして、後期にシリカ濃度を薄くしpHを高くする等の手法(
図28、図29(a))や一次注入を併用して地盤の均質化を測る手法が有用である(図16(c),(d))。
また地盤状況に応じて上記(a)〜(c)を併用することもできる。(請求項8〜20)
本出願人による研究からさらに以下の手法で対応すれば良いことが判った。
(イ)不均質な地盤条件下で或いは地下水の流動性の影響下において、懸濁液や粉状体(表6)や、石灰、石膏、カルシウムシリケート、粘土等の1次注入により、予め地盤を均等化してから上記のようにシリカ溶液のゲル化時間を設定することによって所定量注入した時点で注入したシリカグラウトが未だゲル化時間に到ってなくても、そのままほとんど位置を保って時間の経過と共にゲル化する(図16(c)、(d)、表6)
(ロ)逸脱しやすい地盤や空隙の大きい地盤では予めセメントベントナイトグラウトのようなアルカリ性懸濁液やベントナイトや水酸化マグネシウムのように弱アルカリ材、或いはホワイトカーボン等の中性のシリカ粉体を注入した上で上述したシリカ溶液のゲル化時間を設定して注入することができる。この場合も上記(イ)のような効果を生ずる(図16(c),(d))。
(ハ)注入孔間隔を広げることは固結体が地表面に逸脱しやすい事になり、又地表面へ達することにもなる。それを防ぐため地表面の注入孔間隔を密にすることによって逸脱を防ぐ事ができる(図29(c))。また注入ステージを地表面近くのステージの注入を先行して
地表面への逸出を防ぐことができる。
このように注入対象地盤に注入液が逸脱したり或いは注入後所定の注入領域に注入されても注入液のゲル化時間が長すぎて流下して所定領域に固結していなかったりする現象を防ぐためには以下のようにすればよいことが判った。(請求項7、8、17、18)
(1)注入速度が過大にならないよう土粒子間浸透の限界速度内並びに上裁荷重を上限とする圧力内で注入する(図15の直線を呈する土粒子間浸透の注入限界内の注入速度の範囲)。
ここで、限界速度内とは、図15の浸透注入領域と浸透・割裂注入領域内の少なくとも圧力低下を生じない領域内の浸透速度をいうが、直線領域の限界注入速度内が好ましい。
(2)注入液の気中ゲル化時間(または地盤に注入前の注入液のゲル化時間)の配合設定(GTo)は適用する注入方式と地盤条件に対応した土中ゲル化時間(GTs)、特に初期土中ゲル化時間(GTS0)と1ステージ又は1バッチ当りの注入量を注入する注入速度(q)、注
入時間(H)(或いは注入距離(L))を考慮して、ステージ長の設定、1ステージ当りの
注入量と毎分注入速度、1ステージ当りの注入時間を考慮した配合処方を用いて、注入中
或いは所定の注入量を注入した後、注入範囲外へ逸脱したり、或いは注入深度よりも下方に流下したりしないゲルタイム(GT0)を設定する(表11、表12、図82〜84)。
(3)粗い土層、空隙の大きい土層や不均質な地盤、地下水流がある地盤等の地盤条件によっては注入液の1バッチ当りのゲルタイム又は合流液のゲルタイムは逸脱を防ぐゲルタ
イムを設定する。注入液の配合時の気中pH(pH 0)と気中ゲルタイム(GT0)と土中pH(pHS)、特に初期土中pH(pHS0)、土中ゲルタイム(GTS)、特に初期土中ゲルタイム(GTS0)並びにその変化等と注入量と注入時間を考慮して定める。ここで初期土中pHS0、初期
土中ゲルタイムGTS0は現場の土と注入液を混合したとき又は土に浸透させた時の注入液のpHとゲルタイムをいう。
(4)上記(イ)、(ロ)、(ハ)(1)〜(3)を併用する。
以上のように配合設定に当たって、土中ゲル化時間、特に土中ゲルタイム(GTS0)を測定し、地盤状況に応じて注入時間H≧土中ゲルタイムGTS0、又はH≦GT S0又はH≧GTo、H≦GToのいずれか並びに又は併用して注入すれば良い。
非アルカリ性シリカグラウトが所定の注入対象領域に留まって固結するためには注入ステージの設定、ステージ長の設定、地盤状況並びに注入方式に対応して注入配合液の気中ゲル化時間(GT0)と土中ゲルタイム(GTS、特に初期の土中ゲルタイムGTS0)と地盤での注入中における土中ゲルタイム(GTS)の変化と1ステージの注入量と毎分注入量(注入速度)と注入時間(H)と所定の注入が完了した時点に注入領域先端部の注入液が注入範囲
外への逸脱を低減する配合処方(GT0)からなるシリカグラウトであることが耐久性地盤
改良に要求される注入材ということができる事が判った。(請求項6、8)
また土中ゲルタイム(GTS)、土中pH(pHS)といっても、地盤中における変化は測定しにくいがで、注入液を現場土と混合した土中ゲルタイム(GTS0)や土中pH(pH S0)は測
定できるので配合液のpH(pH0)やゲルタイム(GT0)と共に基準として考えるのが好ましい。また図18、図19の装置を用いれば、GTSf、pHSfを計測でき、この値もGT0やpH0を設定するための基準に加える事ができる。
しかし、地盤状況の不均質性、シリカ溶液の土との反応性、多様な土性を注入中における注入液の流動性の変化、注入液の希釈、注入方式、注入量と注入時間等を考えれば所定の注入範囲に確実に浸透固結するゲル化時間を一次的に設定するのは難しいのは当然である。
このため本出願人は互いに関連する以下の要因を明らかにして所定領域に確実に浸透固結することを可能にした。
配合液のシリカ濃度とpHとゲル化時間については図4、図5、図8、図30、図31より、地
盤中におけるサンドゲルのpHとゲル化時間並びにそれらの変化に関しては、図6、図7、図9、図10、図23、図24、図26、図27に固結地盤の強度並びに浸透長に対する強度変化に関
しては図25、図26、図39、図49〜56、図57(c)、(d)、図58、図85に注入方式と注入方式と浸透固結方式による注入孔間隔、注入ステージ、ステージ長、注入速度、注入時間は図11〜17、表11、表12、図28に記載されている。
なお、図4、図6、図7に示す例より、土中ゲル化時間(GTS0)と気中ゲル化時間(GT0)の関係は地盤条件並びに注入材の濃度によって異なるがほぼ以下の範囲にあることが判った。(請求項5)
図4、図7よりpH0=1〜10で 気中GT0=10000分(pH0=2)に対して、土中GTS0=40分(pH0=2から土中pHsoはほぼ4.7付近に移行する)、また、GT0=10分(pH0=5.5)に対してGTS0=10分(pHso=5.5)となる。しかし、Caの多い地盤ではGT0が10000分に対し、GTS0がほぼ10分となった(図10)。
従ってGT0とGTS0の比は

図7より、GTS0は通常6000分(数1は3000(0080)〜10分の範囲にあるが、Ca分が多かっ
たりセメント等が一次注入されていると短縮され、Gso=6000分〜10秒の範囲になる。(0080)
又図7において、気中pHはpH0=2〜5.5、気中ゲルタイムはGT0=10000分〜10分の範囲にあり、土中pHはpHso=2〜5.5(図26,27)、土中ゲルタイムはGTso =6000分〜10分の範囲
にある。又図6においては、pH0=2、GT0=4000分の注入液が土に混合されてpHはpHso=4.5に移行してGTso =10分〜20分に短縮されている。又、瞬結注入で合流注入すれば気中ゲルタイムは
GT0=10000分〜0.1分
の範囲となる。
以上より、通常 GT0/Gsoは最大値が10000/10=1000、最小値が10/10=1の範囲にあるとみなせる。〔数3〕
の範囲にある。
ただし、GTs0 6000分〜10秒、GT0=10000分〜0.1分である。(20℃として)
以下に上記の詳細を説明する。1ステージ当りの所定量の注入を土粒子間浸透させた場
合の球状浸透と柱状浸透の推定計算結果例を図11〜図14に示す。注入が終わった時間(注入時間H)に、注入液のゲル化が生じていなくても注入液がその場所にそのまま保持され
ている条件下では注入液は更にpHが上昇するため時間と共にゲル化に到る。注入後の固結土のpHは最終的にほぼ中性領域を呈する(図9(b))。
しかし、注入後ゲル化に到らないで、かつ土が粗いならば注入液は流下して下層の透水性の悪い層に移行してゲル化するために所定の注入領域の固結は不十分になる(図16(b)
)。
従って、非アルカリ性シリカグラウトの配合液のゲル化時間(GTo)の設定では注入液
のpH(pHo)、注入地盤のpHと含有Ca等の土性や透水性や地下水状況等の地盤条件、土中
ゲル化時間(GTS0)と所定注入領域に注入する1ステージ当りの注入量と土粒子間浸透可
能な限界注入速度内の注入速度と注入時間(H)を考慮して注入完了後に注入液が流動し
にくい気中ゲル化時間(GTo)の設定が重要である。
また、所定範囲外へ逸脱を低減する注入配合液のpH(pH0)とゲル化時間(GTo)の設定に当たっては、配合液のpHは土のpHよりも酸性側とし、又、土にCa分や反応剤が含まれている土中ゲル化時間は配合液のゲル化時間を土中ゲル化時間よりも長くする。注入時間(H)よりも土中ゲル化時間(GTS0)が短くなる配合を用いる。
図4〜図31、表12より、このような場合、ステージ長の短縮化、並びに1バッチの量の少量化、或いは複数注入ステージの同時注入によって注入時間の短縮化することによって、気中ゲル化時間(GT0)、或いは土中ゲル化時間(GTS0)を短縮して短時間のうちに半ゲ
ル状態の押出、或いは乗り越えというマグマアクションを繰返して注入することができる。また図28のように注入中にゲル化時間を変化させて広範囲に地盤中のpH並びに強度を均等化して注入することができる。(請求項5)
以上より土中ゲル化時間の概念が重要となる事が判る。本発明者の研究によれば土中pHは注入中に注入距離が長くなるにつれて中性方向に変動する(図23)。また地盤中の土との反応による中性方向への移行と地下水との希釈はシリカ濃度の低下とゲル化時間の延長を生ずることが判った。そこでここでは注入液を現場砂と混ぜた場合のゲルタイムによるゲル化時間を初期土中ゲルタイム(GTS0)と称するものとした。ゲルタイムの測定方法は容器中でシリカグラウトと土を混合して上澄み液のpHとゲル化時間を注入液の土中pHと土中ゲルタイム(GTS0)としても良いし、容器中の土にシリカグラウトを充填して針を突き刺して孔が空いたままの時点をゲル化時間としてもよい。配合液のpH(pH0とする)を測
定して、容器中に現場砂をとりシリカ液に浸してゲルタイムを測定したゲル化時間を初期土中ゲルタイム(GTso)とすると通常GTo≧GTsoとなる。
地盤中に注入されたシリカグラウトの注入孔地点から浸透した距離の間で酸性シリカグラウトは土との中和作用でpHが中性方向に移行し(pHs)(図23)、注入液の先端部の注
入液のゲルタイムは短縮されてゲル化しかかるが引き続いて浸透してくる注入液は先の注入液と土との中和反応後を浸透するため注入液のpHは長いままで先行したゲル化しかかった膜(図17)を押し破って外側に浸透してはじめて新たに中和作用が生じpHが上昇してゲル化時間が短縮してゲル化しかかった膜を生ずるが同じような経過を繰り返してゲル化しながら所定領域を固結する(図17)。このため所定の注入領域で逸脱することなく所定領域に保持されてそのまま固結する。このようにゲル化しかかった状態で浸透していくと注入長が長くても地下水で希釈されにくいことが判った。
またH=αGTS0、H=βGT0とし、1ステージの注入時間または1バッチの注入時間をHとし、α、βは地盤条件または注入孔間隔又は注入方式に応じて、またはさらに施工実績に基づいて補正しながら、配合液の組成とゲル化時間(GT0)又はpH0を設定して、所定の注入領域に浸透固結せしめることができる(請求項18)。このようにGT0≧H≧GTS0を満たすゲル化時間の設定は空隙が大きかったり透水性の大きな層が介在したり、地下水が流動していたり注入管まわりのパッカが不十分だったりした場合にも効果的であることが判った。
更に本発明者は所定量注入した時点で所定の浸透固結体が形成される配合液pH(pH0
と所定の注入長を浸透して固結する土中pHの関係を知るための実験を行った。所定の注入量を注入した時点でも注入液の浸透の先端部のゲル化時間の短縮が少なく、所定量注入した後、ゲル化に到るまでの時間が充分長かったりすると、注入液は逸脱したり、下方に流下したり注入管まわりから地表面に逸脱するする恐れが生ずる(図16(b))。従って、注
入液の気中ゲル化時間GToが所定量注入した時点、或いは所定距離(R)浸透した時点(pHsf、GTsf)でゲル化するか或いはその後短時間のうちにゲル化すれば注入範囲外へ逸脱することがない。
図18〜図22に試験方法の例を示す。図18、図19、図21を用いて固結半径(又は注入孔間隔×1/2)Rに対応した長さL又はγLの注入パイプに現場砂を充填して間隙水を充填して後、シリカグラウトを注入して注入長Rの浸透注入をして注入パイプの上端から間隙水を排
出した後、間隙水と注入液が混ざった排出し、その後も注入し続けると注入液そのものが排出される(図24)。間隙水が排出した時点で注入を止めて放置しておけばそのままゲル化が生じて固結体が形成される。図25は固結柱を10cmごとに切断して強度分布を調べたものである。浸透距離と共に強度が低下するのは水による希釈と考えられる。
浸透長Lのパイプを用いた注入試験によって、現場採取土を用いて、配合液の組成とゲ
ル化時間(GT0)又はpH(pH0)と土中ゲル化時間(GTS0)又は土中pH(pHS0)と浸透長L
を通過後の土中ゲル化時間(GTSf)又は土中pH(pHSf)の関係を知ることができる。この関係を、土中ゲル化時間GTS0をベースにして、以下のようにして現場ごとにデータを集積することができる。
A=GTSf/GTS0、B=pHSf/pHS0、C=pH0/pHS0
α=GT0/GTS0、β=H/GTS0
ここではHは室内浸透試験ではL(図18)の浸透時間であり、現場では1ステージの注入時
間であって、固結径=Lの1/2又は注入孔間隔の1/2の注入時間に相当する。室内試験では
注入長Lのパイプに現場土を現場密度で充填して間隙水で充填した土とシリカ注入液を注
入して、注入液が溢出してきた時点の注入液のゲルタイムをGTSf、pHをpHSfとし、その浸透時間をHとする。或いは実施工における注入時間をHとする。実際の施工においては上記A、B、C、α、βは地盤条件、注入孔間隔または固結径、注入時間、施工法によって室内
注入試験とは異なるが、実施工における施工データ(表12)と注入後の効果の確認(図29
、図81)を加味して、上記A、B、C、α、βのデータを集積して適切な値を選定すること
ができる。本発明者の研究では地盤条件、施工条件に応じて、
β=H/GTS0=1000〜0.001 (ここで、Hは実施工における注入時間である)
の範囲になりうることが判った。(表12、図17)、(0080)
溢出した注入液のpH(pHsf)を測定し(図24)、そのゲル化時間を測定し(GTsf)、その後ゲル化がすぐ起きるか或いは現場砂中のゲル化時間を測定して短時間のうちにゲル化するような配合液のゲル化時間(GTo)を設定するができる。この場合、図18のあふれ出
た注入液のゲル化時間(GTsf)がbGTS0≦GTsf≦aGTsoの範囲内で地盤状況に合わせて配合液のゲルタイムを設定すれば確実に所定領域に注入液を留めてゲル化させることができる。この範囲のGTSfを呈する注入材が更に新しく地盤に浸透すればpHが上昇し、確実にゲル化するためのa並びにbを地盤状況や注入方式や注入状況によって定めれば良いし、また施工実績によるデータに基いて修正しながら定めれば良い。
例えば0≦GTSf≦cGTS0と設定すると、c=1ならば、GTSf=GTS0となり、注入長Lの注入
が終わった時点でもGTS0に相当する流動性はあることになるが注入固結体は互いにオーバーラップして一体になることを考えれば(図80(b)、表12(b)※1、図82)、GTS0の限度な
らば問題ないと考えて良い。cは地盤条件、注入条件に応じて、また注入後の浸透固結状
況の調整から経験値を加味して修正していけば良い。また上記注入試験は一次元注入試験であり、実際には三次元で行われるわけであるので、実際の注入時間Hは三次元注入のた
め(図11〜14、図17、図22、図28、図29)、一次元注入の注入時間Hよりもずっと長く、
従って長い時間ゆっくりと土と反応して拡大していく(γLに対応するとみなす)のであ
るから一概にcの幅を定める事ができない。しかし目安としてγLに対する試験値を得る
ことができるのであるから、GT0、pH0、GTS0、pHS0、GTSf、pHSfとγLに対するHを測定しておき、γは一次元注入のLに対する三次元注入における係数として実際の現場の注入に
おける浸透固結効果のデータと対応させることにより、地盤条件、施工条件、注入材の条件に対応した数値を把握して注入領域に確実に浸透固結するcやB、Aを得ることができる。これらの点を目安にして、計算値のみならず経験値も加えて、b、a、c、α、β、γを設定していけばよい。
また現場における試験注入と、その後のサンプリングによるシリカ濃度の測定によって所定の改良効果によってシリカグラウトの注入方式を加味した配合設定の正しさを確認することができる(図29(b)、図58)。地盤条件と注入方式に対応して適切に配合設定する
ことにより、また所定注入ステージに所定の注入量が所定の注入速度で注入されていれば、注入量完了時にゲル化していなくても、そのまま放置しておけば時間の経過と共にゲル化して固化する(表12、※1、※4、図84(a))。このような現象は地盤が比較的均質で透
水性も10-2〜10-4cm /secのオーダー付近で注入後注入液が所定領域に保持されていれば
注入液のpHが増大してゲル化する場合に起こる。
また空隙の大きい地盤や不均質な地盤状況や或いは地下水によって注入液の希釈が大きいと予想される場合によっては数秒〜5分の短いゲル化時間で注入することが好ましい場
合もある。
所定量の注入における注入時間と土中ゲル化時間がほぼ同じ場合、或いは注入後もゲル化時間にいたらないが注入液の所定量を地盤中に注入後、注入液が移動しない地盤条件でゲル化時間に到った時にゲル化する場合、Maagの浸透理論に準ずる状況で球状浸透する(図11、12、13)。その場合、注入範囲外に逸脱する可能性が少なくなる。注入孔間隔を広くとり1ステージで広範囲に注入するには1ステージ当たりの注入量を多くしなくてはならないため、図15の限界注入速度内で注入するには、1ステージ当りの注入量を1バッチ(通常100L〜400L)で送りきれないことが生ずる。
一般に非アルカリ性領域の注入材、特に酸性領域の注入材を大量に注入する限り、1ス
テージ当り数バッチも必要なため1ステージの注入時間(H)は1バッチの注入時間(H)よりも長くなるのが普通である。従って、この場合は1ステージ当たりの注入量を複数のバ
ッチ数で行えば1バッチの注入量の注入時間を土中ゲル化時間の注入時間よりも短時間に
行うことができるし、或いは土中ゲル化時間より長く取ることもできる。地盤状況や注入孔間隔によって、いずれの選択も可能である。
また先行する注入液が土中ゲル化時間経過後ゲル化しかかっても、後続するゲル化時間の長いグラウトがゲル化しかかった膜を破って外側に広がって土中ゲル化時間の経過と共に固結することになる(図17)。このように1ステージ当りの注入量、1バッチ当りの注入量と注入時間とバッチ数、注入速度、土中ゲル化時間(GTS0とGTS)、気中ゲル化時間(GT0)、所定量注入した時点の注入時間(H)と注入液のpH(pH0とpHS)等によって、配合
時の組成とゲル化時間(GT0)を決めることにより所定の注入領域に浸透固結させること
ができる。
この場合、1ステージ当たり或いは1バッチ当りのの注入時間はH≦GTso、或いはH≧GTsoとすることができる(表12)。
このようなゲル化時間(GT0)の設定は通常の地盤は勿論、注入液が逸脱しやすい地盤
や地下水の流動している地盤への注入に対応して設定することができる。特に地盤条件が悪くて注入液のpHと土中ゲル化時間の調整のみで所定注入領域に所定の強度の浸透固結が困難な場合は1ステージの注入過程中でこれらを注入状況に応じてゲルタイムやシリカ濃
度を変えて、またH≧GTS0、H≦GTS0、GT0<Hとして併用する事ができる。(請求項5、6、7、15)
上記において、注入時間(H)は1ステージ当りの注入量Q(又は1バッチの注入量)を土粒子間浸透の範囲の注入速度(毎分注入量q)で割った時間Q/q=Hを算出することを基本
とする。
図18の一次元注入の場合、ゲル化時間GToが浸透時間(H)より短ければ円筒パイプで注入すればL長の浸透が終わらないうちに注入液は途中でゲル化して浸透は停止するが実際
、注入液は浸透範囲を拡大しながら浸透して(図22)、三次元的に球状浸透して注入先端部の範囲が球の表面積のように拡大していくので(図11、図12、図13、図14)、図17のように土中ゲル化時間(GTs0)よりも注入時間が長くてもゲル化しかかった先端表面部を乗り越えて、或いはゲル化しかかった注入液を外周方向に押しやりながら浸透固結していく。(請求項8)
この現象は、地上に噴出したマグマが冷えると共に流動性を失い後続するマグマがそれを乗り越えて固化しながら広範囲に固結するのと同様である。このようにゲル化時間(GTo)或いは並びにシリカ濃度を状況に合わせて設定することにより大きな注入孔間隔で逸
脱しにくく、かつ地下水に薄まりにくく、確実に広範囲を固化せしめる事ができる(図17(d)、図85(b))。このため浸透距離に対応した強度低下は少なく、地下水による希釈が少ないことが判った。そのため、その指標として、注入速度、注入時間、気中ゲル化時間、土中ゲル化時間(GTS0)を地盤条件に応じて適切に設定することになる。また図17(e)は
均質地盤における固結の形状を示す。この場合、表12(a)※4に示すようにH/ GTS0=0.34
となっており、所定量の注入が終わった時点では土中ゲルタイム(GTS0)に達しない例である。しかし実際には注入液の先端部では注入液はpHS0よりも中性方向に移行し(図23)、GTS0よりもGTSfはGTS0よりも短縮していると考えられ、注入の完了と共に、或いは注入完了後、急速にゲル化して図のように球状に固結したと考えられる。
シリカ濃度の希釈の影響に関しては、図4、図18、図19、図23〜図27からその傾向を知
ることができる。図18の装置(L=1.5m)を用いて、シリカ濃度5%の注入液のpHとゲルタイムがGT0=1000分、pH0=3.5の注入液をL=1.5m注入して間隙水が溢出したあとに、溢出した注入液のpHfとGTfを測定した(図24)。溢出液のpHが6.6、ゲルタイムか1分30秒となった場合は、図4(a)点から図4(b)点に移ったことになり、シリカ濃度はほぼ5%で殆
ど希釈がないことが判る。
また同じく溢出液がpHが6でゲルタイム7分だと、図4(a)点から図4(c)点に移ったことになり、地下水で希釈されて、シリカ濃度が4%になったことがわかる。また地下水が多
くて希釈されやすい地盤条件下でシリカ濃度5%の強度を保持したい場合は、図4の(d)
点配合(シリカ濃度10%)を注入して、間隙水が溢出してのち図4の(b)点の配合が溢出してきたら5%のシリカ濃度が確保されたことが判る。また図4の(a)点の配合を注入し
ていたところ、地表面に漏出した注入液のpHとゲルタイムを測定して(e)点だったなら
ばシリカ濃度が地下水で0.5%濃度に薄まっていることが判る。上記において、pH測定の
かわりに、伝導率を測定することもできる(図74)。
以上述べたように、所定の注入領域に確実に注入液が保持されて浸透固結するには、
(1)注入速度と注入圧が適切に行われること
(2)気中ゲル化時間(GTo)
(3)地盤状況(地盤のpH、Ca含有量、粒度、透水係数、地下水状況等)
(4)土中ゲル化時間(GTS0
(5)各注入方式に対応したステージ長と注入速度とステージ当りの注入量と注入時間
を考慮して配合したグラウトを注入しなくてはならない。(請求項23)
以上より所定の注入領域に確実に浸透固結させるには配合液のpH0とゲルタイム(GT0)と土中ゲル化時間(GTS0)と注入時間(H)を地盤状況並びに注入方式によって設定する
。特にGT S0≧H又はGT S0≦Hのいずれか或いはその組み合わせが必要である。
また地盤条件、注入条件によっては、注入初期には前者の方法(H≧GTS0でシリカ濃度
を高く、pH0を低く)で後期に後者の方法(H≦GTS0でシリカ濃度を低く、pH0を高く)に
よる場合もある(請求項14)。又二重管を用いてA液にはシリカ溶液(或いはシリカ溶液+酸)をB液には反応剤溶液(或いはシリカ溶液)を、或いはA液に1液式のシリカと反応剤
の混合液をB液に促進剤を用いて合流注入しても良いし、また合流注入後、1液式のA液の
注入に切り替えてもよい(二重管瞬結・緩結複合注入工法)。この場合、土中ゲル化時間(GTso)より短いゲル化時間の配合液(GTo)の注入も容易である。
多数の施工実績から以下の注入条件で所定の領域に浸透固結することが確認出来た。表11、表12、図82〜83の注入方式を用いて、シリカ濃度を0.4〜40%とし、1ステージ当たりの毎分吐出量を1〜30L/minとし、1ステージ当たりのステージ長を33cm〜4mとし、注入ポ
イントは1点注入から多点注入並びに柱状注入とし、ゲルタイムが瞬結(10秒以内)から10000分(或いは0.1分〜10000分)とし、注入孔間隔1〜4mとして本発明を実施することができる。(請求項8)
図84(a)の写真は図82(c)の柱状浸透方式による固結形状を示し、図84(c)は図83(b)の固結の形状を示し、図84(b)の写真は図83(a)の注入方式による固結の形状を示す。また図85は13年前に施工した固結地盤の図84(a)並びに図84(b)における固結土のコアサンプリングによる経日強度を示す。以上の野外実験により所定の注入領域に注入材が逸脱することなく浸透固結し、かつ所定の強度(100MN/m2)以上の強度が13年以上持続して所定の値以
上に収束していることが判った。また平成11(1999)年に野外注入試験を行った地盤(図84(a))から採取した改良土の不攪乱試料による液状化強度試験と東日本大震災(2011年3月)後の平成23(2011)年9月に採取した改良土の不攪乱試料の液状化強度試験を行い比
較した。東日本大震災以降に採取した12年目のコアの液状化強度は、いずれの濃度においても注入後3年目(2002年)に実施した結果より強くなる傾向を示していた。これは、3年目以降も若干ではあるが増加する傾向を示し、大地震後も液状化強度が劣化していないことが判った(図85(b))
(1)気中ゲルタイム(GT0)と土中ゲルタイム(GTS0
本発明者の実験より図4の気中ゲルタイム(GT0)と土中ゲルタイム(GTS0)は、図6、
図7、図9(a)、図10の例も含めて、pH0=1〜10の範囲でGT0:10000分〜0.1分の範囲でGTS0は通常6000分〜10分の範囲にあるが、Ca分が多かったり、セメント等が1次注入されてい
ると6000〜10秒の範囲にあることが判った。α=GT0/GTS0は図6〜図10より以下の範囲にある。
又、GT0=10分の場合GTsoはほぼ10分或いはGT0が短い程GTsoはほぼ同様になる。或いはGTsoはGT0よりも長くはならないからGT0/GTS0の最小値は1となる。
図7、図9、図10より、Ca分が多い土では、土中ゲルタイムは大幅に短縮する。しかし、pH0を低くして図17の作用によって注入領域を拡大し、所定量注入するとその時点で固結
する。
以下に本発明の所定領域に浸透固結するための注入条件の具体例を表12(a)(b)、図4、
図7、図9、図10、図28の例を含めて以下に示す。
(例1)
注入孔間隔又は固結径L=1.0〜4.0m(表12(a))
毎分注入速度q=1〜30L/minただし、限界注入速度内とする。
1ステージ長:0.33m〜4.0m(表12(a))
1ステージ当たりの注入時間H 4.4〜10000分(表12(a))
ただし、注入時間(H)は現場の作業性や工期も考慮して選定すれば良い。
気中ゲル化時間 GT0 瞬結〜10000分、好ましくは3分〜10000分
pH(pH0) 1.5〜10
シリカ濃度 0.4〜40%(重量%)
土中ゲルタイム GTS0 10秒〜3000分、または10分〜6000分(図6、図7)
土中pH(pHS0)=3〜10(図9、図10)
地盤 a×100〜b×10-4cm/sec(表2)
地盤のpH 4〜10(図9、図10)
地盤のpHの上限10までの中性以上のpHはCa分の多い地盤やCBを一次注入した地盤である。

(表12(b)、図6、図7、図9(a))

好ましくは、
β=4.68〜0.34 (0143)より
即ち
0.2H<GTso<3H(0144)より
(2)ステージ数、ステージ長と1ステージ内の吐出口数並びに注入配合液のpHとゲルタイムとシリカ濃度は、適用する注入方法に対応した毎分注入速度、全注入量(又は1ステ
ージ注入量)全注入時間(又は1ステージ注入時間)、土中ゲルタイム、初期土中ゲルタ
イム(GTs0)と所定土中浸透距離浸透後の土中ゲルタイム(GTsf)並びに地盤の均質化並びに地下水影響低減処理を考慮して上記(1)の範囲から設定する。(表12(a))
(3)注入方式の例を図60、図61、図82〜84に示す。
(4)注入固結径と注入量と注入速度と注入時間の例を表11、表12、図28、図80に示す。
ここで、注入孔間隔を最大4m、間隔率40%、間隙充填率100%とし、注入率40%とすると、1注入吐出口からの1ステージ当りの注入固結土量=4/3×π×r3=33.5m3(r=2.0m)(図80)
1注入吐出口からの1ステージ当りの注入量=33.5m3×0.4=13,400L、ただし1ステー
ジの注入注入長を4mとしているが1ステージ当りの注入長を2mとし、簡便に注入長4mを2分割して注入するとすると1ステージ当りの注入量は約13,400÷2=6700Lとなる(実際には
円柱状に固結する)。
所定領域に浸透固結する土粒子間限界注入速度(図15)の毎分吐出量を1L/min(点注入、図11、図12)〜25L/min(柱状注入、図14)とすると1ステージ当りの注入時間は6700÷(1〜25)=6700〜268分=111.7時間〜4.5時間=4.7日〜4.5時間 。なお、1ステージの注入長を4mとし、柱状注入で25L/minとすると注入時間は13400L÷25=536分=22時間となる。
これより、配合液のゲル化時間を1ステージ当りの注入量の注入時間とすると最大6700
〜536分とすればよい。但し、実際の1ステージ長は注入方式によって異なり(表11、表12、図82〜83)、例えば点注入による32箇所同時注入方式の例(図60、図83)は1注入ポイ
ントからの注入速度は1〜8L/minが多く用いられる、柱状浸透方式で1ステージ当たり10〜30L/minが多く用いられる(図82(c),(d)、図83(b)。またダブルパッカ工法では5〜20L/minが多く用いられる(図82(a))。
さらに適用注入方式によって、ステージ長注入速度を地盤条件に対応し、注入速度、注入時間を設定が異なる(表11)これらの設定に対応して所定領域に確実に浸透固結する注入液の設定がなされる。このように、耐久シリカグラウトは地盤条件と注入方法に対応して所定の耐久強度を得られるシリカ濃度と配合処方と所定の注入領域に土粒子間浸透の限界速度範囲で浸透固結させるためのゲル化特性を有する注入材でなくてはならない。
(5)表12に注入方式による注入孔間隔、1ステージ長、1本当りの受持面積(ここでは計算しやすいように正方形とした)、1ステージ受持土量、1ステージ当りの注入量、注入時間について点注入と柱状注入の注入速度別の例を示す。
(6)地下水による影響を受けやすい地盤について、注入過程中でゲルタイム、シリカ濃度を考慮して固結強度と固結地盤のpHの均等化をはかる例を図28に示す。
(例1)以下に表12を例にして説明する。
点注入:同時注入施工の例(図60、図83(a)参照)
表12(a)で注入孔間隔1.5m、1ステージ長0.5m、毎分注入速度1L/min、1本当りの受持土
量1.13m3を固結する場合、1ステージ当りの注入量は452L、注入時間Hは452分かかる。1.5mの注入長を0.5mずつ3点同時注入すれば合計1350Lを452分で注入できる。
すなわち、注入ステージ1.5mとし、1点注入1L/分で1350Lを1350分で注入すると同じ注入を452分で注入できることになる。
1ステージ当りの注入時間を短くすればゲル化時間を短くpHを中性付近になりやすくな
り強度は大きくなるという利点が生ずる。
注入液としては、図4でシリカ濃度5%、pH0=3.0、GT0=3000分で、注入速度1L/min、
土中ゲル化時間GTS0=200分、土中pHS0=4.5、H=452分とすると、


(〔数1〕〔数4〕、式(2)の範囲に入る)
となる。
この注入液は1.5m/3の注入長(0.5m)を452分かけて浸透している間にpHが上昇して
ゲル化時間が短縮しながら図17の現象を生じながら所定領域に確実に浸透固結する(固結例 図84(b)、表12)。
柱状注入方式の例(図82(c)、図83(b)並びに図84(c))
表12で注入孔間隔4.0、1ステージ長2.0m、毎分注入速度25L、注入時間512分、注入液としては図4でシリカ濃度6%、pH0=3.0、GT0=1000分とすると、
土中ゲル化時間 GTS0=150分
土中pHS0=3.7であった。


(〔数1〕、〔数4〕、式(2)の範囲に入る)
この注入液は4.0m/2の注入長(2m)を512分かけて浸透している間にpHが上昇して図17の現象を生じながらゲル化を生じながら注入範囲を拡大して所定領域に浸透固結する固
結例である。
図28より、

また表12(b)より

以上を合わせると、

即ち、
β=4.68〜0.34
従って、
2.94H > GTs0 > 0.21H
即ち、
3H > GT s0 > 0.2H
の範囲にあることが判った。
(例2)
以下は地盤が不均質で或いは地下水条件で注入液が逸脱しやすい場合、地下水で希釈されやすい可能性があるときの例である。(請求項5)
そこで、注入地盤を薬液吐出口から図28のように3つの領域に分け、それぞれの領域ご
とに薬液の配合及び注入を行った。図28(a)に示す注入地盤の1ステージ当りの断面を図28(b)に示す。注入孔を4m間隔で埋設した場合、注入管から吐出される薬液の浸透距離は2mとなる(図29(a)実際には図29(b)或いは図81のようにダブるように配置される)。
この注入領域で、注入範囲外に逸出することなく、各領域とも注入後1日程度で固結し
、固結体の一軸圧縮強度をほぼ均一化して約0.1MN/mになるように薬液を配合する。
注入管の吐出口から遠く、外周部0.6mの地盤を領域(3)とする。従来この領域にお
いては、初期に注入した薬液が地盤中の水、及び現地盤との反応によって薬液が中性化し、また、一方で地盤中の水によりシリカ分が希釈され固結した地盤の強度が低下や未固結等の問題点がある。そこで、現場砂を使用した浸透試験の2.0mの実験結果を考慮した注
入を行う。
図28(b)において、注入領域(3)の注入に当ってはシリカ濃度を高くして6%、pH0
低くして注入する。
吐出口から離れた0.6mの領域(2)においては初期に注入した薬液により地盤のアル
カリ分が中和され希釈が少ない。後続するシリカのpHは上昇が低減されゲル化時間の短縮が低減する。このためシリカ濃度は5%とする。吐出口付近の領域(1)においては先に
注入した薬液により地盤中は中性からほぼホモゲルのpHに近づき、又、希釈も殆どない。従ってpH0は中性近くにしてGT0は短くする。
以下、具体的な注入方法及び、薬液の配合方法を記す。(図28(b))
実際の注入においては各改良領域における薬液の注入時間を管理することで、各領域毎に薬液の配合を変えて注入することができる。
薬液注入時間の算出は次のように行った。
〔各段階における注入時間の算出〕
1. 注入管の埋設間隔 4m
2. 注入体積 固結体P=2m×2m×2m×4/3π=33.49(m3)の球体とする
1ステージ当りの注入長並びに毎分吐出量は例1に示すように注入方式によって定めるものとするが、ここでは直径4mの球状固結体を得るものとし、1ステージ長2mとし、毎分注入速度8L/minとする。
注入方式としては、表11のダブルパッカ工法の点注入とする。図82(c),(d)、図83(b)の注入方式でも良い。他の注入方式を用いる場合、表12のように、配合ゲルタイムとシリカ濃度、注入方式によって最適のステージ長を定め、注入速度、注入時間、土中ゲル化時間を設定すればよい。
注入方式によっては1ステージ長を以下のようにすることができ、それぞれの1ステージ当りの注入速度は例1に準じて定めることができる。
点注入、多点注入 0.33m、0.5m、1.0m、1.5m、2.0m
エキスパッカ工法 0.5m、 1.0m、1.5m、2.0m、3.0m、4.0m
3. 領域(1)の改良土量(m3) V(1)=0.8m×0.8m×0.8m×4/3π=2.14
4. 領域(2)の改良土量(m3) V(2)=1.4m×1.4m×1.4m×4/3π)V(1)=9.35
5. 領域(3)の改良土量(m3) V(3)=(2m×2m×2m×4/3π)−(1.4m×1.4
m×1.4.m×4/3π)=22.00
6. 注入率 0.35〜0.40
7. 領域(1)の薬液の注入量(kl) Q(1)=V(1)×0.35〜0.40=0.75〜0.86
8. 領域(2)の薬液の注入量(kl) Q(2)=V(2)×0.35〜0.40=3.27〜3.74
9. 領域(3)の薬液の注入量(kl) Q(3)=V(3)×0.35〜0.40=7.70〜8.80
10.注入速度 8(l/min)
11.領域(1)の注入時間(min) T(1)=Q(1)/注入速度=93.75〜107.5
12.領域(2)の注入時間(min) T(2) = Q(2)/注入速度=408.75〜467.5
13.領域(3)の注入時間(min) T(3)=Q(3)/注入速度=962.5〜1100
算出した注入時間より、3段階に注入する薬液の配合例を表12に示す。また、注入1日後に各領域の固結体をサンプリングし、一軸圧縮強度およびpHを測定した。
上記で、領域(1)に注入する配合は、地盤中に先行した注入液によるシリカ分子が多量に存在することからシリカ濃度4%と比較的濃度を低く設定し、pHも4〜4.5と高めに設定する。この配合は通常ホモゲルの状態では表4の示すとおり200〜300分程度のゲルタイムであるが、地盤中では、前段階の薬液によりpHが下がっていることより500分程度
のゲルタイムを要するものと考えられる。
[耐久地盤改良工法と注入管理]
上述したように、所定領域に逸脱することなく浸透固結させるためには上述したようなpHとシリカ濃度の関係、注入目的と注入方式に対応した配合液の組成と濃度と注入液のゲルタイムと土中ゲルタイムと注入速度と注入時間を設定することになるが、地盤と土性の多様性と注入液の流動特性と注入液の土との化学反応を考慮すれば一次的にゲルタイムを設定することは困難なので一次注入による地盤の均質化と注入地盤を酸性シリカグラウトが注入された後、所定領域に流下しにくい透水係数の地盤にするための一次注入による粗詰注入による地盤の均質化と過大な透水性の低下を行う手法を併用する等(図16)、上述した注入前の試験と注入液の設計と注入中の注入液の流動に関する管理(図60〜78)とともに注入後のサンプリングによるシリカ濃度を分析して(図58)、GT0、GTS0、pH0、pHS0、H並びに注入量等との関係をチェックして浸透固結と強度の確認、図29(a),(b)を行い、上記注入前の試験と比較して、その現場に対するゲルタイムpH0とGTS0を注入ステージに
おける注入量と注入速度と注入時間Hの設定をしてその現場に適用するのが望ましいこと
が判る。(請求項15〜23)
本発明は液状化防止工事や、大規模工事における急速施工のための地盤改良等、大容量土の地盤改良に使用され、特に注入孔間隔が1.5〜4mの広範囲の浸透固結で注入液が所定範囲内に逸脱することなく、また隣接する各注入ステージで最適の量と注入速度で注入範囲外へ逸脱することなく浸透固結されることが要求される。このため前述した耐久シリカグラウトを用いて配合液のゲル化時間GTとpH0を土中ゲル化時間(GTS0)と注入時間(H)を考慮したシリカ溶液を注入するにあたって、改良すべき地盤に複数の注入管路を設置し、これら複数の注入管路から上記注入液を同時に、あるいは選択的に注入する際に、複数の注入管路からの注入を同時に管理して各注入ステージの注入がそれぞれの注入領域に浸透固結していることをリアルタイムで把握する注入管理方法を適用しなくてはならない。(図60〜図84)
また土中ゲル化時間によりゲル化しかかった注入液を各注入ステージに適切に注入されていることが確認できるよう三次元的施工管理で可視化する必要がある。これによって注入液が逸脱することなく図29(b)のように複数のステージが平面的にも断面的にも連続し
て改良されることが可能になる(図60〜73)。
図60、61はシリカ注入液を地盤中に注入することにより地盤改良を行う集中管理装置26およびこの装置に連結された注入監視盤(図62)を備え、地盤注入液を注入各ポンプから、流量圧力検出器f、Pをそれぞれ複数の注入液送液管を通して地盤中の複数の注入ステージに注入するに際し、流量圧力検出器f、Pにより検出された注入液の流量、圧力および/または積算注入量のデータ信号を集中管理装置26に入力してなり、さらに注入監視盤に集中管理装置に入力された前記データ信号を画面表示してなり(図62)(図63〜図73)、これらデータの情報に基づき、注入液送液管からの各注入ステージにおける注入状況を画面上で一括監視し、注入を管理するしことから構成される。
さらに、本発明の注入管理方法によれば、複数の注入液送液系統を通し地盤中の複数の注入ステージに注入するに際し、地盤の所定注入領域に代表的注入領域を設定し、この代表的注入領域の位置する各注入ステージにおける適切な圧力および/または流量を測定し、得られた値の適切な範囲を注入監視盤を備えた集中管理装置に設定し、この設定範囲に基づいて所定の注入領域における各注入ステージでの注入を行うことができる。
さらに、本発明によれば、地盤注入液を複数の注入液送液管を通して地盤中の複数の注入ステージに注入するにあたって、複数の注入液送液管に設けた流量圧力検出器から検出された注入液の注入圧力および/または流量のデータを注入監視盤を備えた集中管理装置に送信し、これらデータを注入監視盤に画面表示することにより注入状況の一括監視を行
なって、送液系統におけるそれぞれの注入圧力および/または流量を所定の範囲に維持しながら注入するとともに、上記データの情報に基づき、注入の完了、中止、継続あるいは再注入を行なうことができる。(請求項25)
このようにして本発明によって以下の耐久性地盤改良が可能になる。
(1) 注入目的に応じた耐久性を定量的に評価することにより、経済的配合を決定するこ
とが可能となる。
(2) 活性複合シリカあるいはシリカゾル、活性シリカコロイドにおいて、注入目的に応
じた耐久性を定量的に評価することにより経済的な配合を決定することが可能となる。(請求項11〜14、16〜19)
(3) 耐久レベルを固結土の強度低下率、ホモゲルの体積変化、固結体(ホモゲルまたは
サンドゲル)からのシリカの溶脱について定量化して注入目的と耐久期間(供用期間、時限耐久)に応じて地盤注入の評価基準とすることができる。
(4) 実績と研究に基づいて定量化数値を補正していくことができる。
(5) 耐久性に関する期間に応じて耐久性を定量的に評価することができる。
(6) 活性複合シリカにおいて、シリカコロイドの含有量により体積収縮量を調整し、強
度の低下率を改善することができる。
(7) 水ガラスの濃度(シリカゾル)により改良強度を調整することができる。
(8) 活性複合シリカグラウトにおいて、耐久性のレベルに合わせ、コロイドの使用量を
決定し、さらに目標強度に応じて注入材における水ガラス使用量を調整することができる。
砂の粒径等に関し液状化の可能性がある範囲を示したグラフである。 現場砂の粒径加積曲線を示したグラフである。 耐久性シリカグラウトのシリカ溶液のpHとゲル化時間の関係を示すグラフである。 非アルカリ性シリカ溶液のゲルタイムとpHとシリカ濃度の例を示すグラフである。 非アルカリ性シリカゾルのゲル化時間を示すグラフである。 シリカゾルグラウトのホモゲルとサンドゲルのゲルタイムを示すグラフである。 非アルカリ性活性複合シリカグラウトのpHと気中ゲルタイムと土中ゲルタイムの関係を示すグラフである。 活性複合シリカのシリカ濃度と気中ゲルタイムの関係を示すグラフである。 (a)は土のpHと活性複合シリカの土中ゲルタイムの関係を示すグラフ、(b)は活性複合シリカのpHと固結土のpHの関係を示すグラフである。 Ca含有量が土中ゲルタイムに及ぼす影響を示すグラフである。 Maagの浸透理論の説明図である。 球状浸透半径の推定計算(Maagの平衡式)のグラフである。 Maagの式における注入時間と浸透半径の関係を示すグラフである。 柱状浸透半径の推定計算(Theimの平衡式)を示すグラフである。 土粒子間限界注入速度の説明図である。 配合組成による逸脱防止の説明図である。 シリカグラウトの浸透固結法に関する説明図である。 浸透固結に関する試験装置の説明図である。 浸透固結に関する試験装置の説明図である。 気中pHと気中ゲルタイム、土中pHと土中ゲルタイム、浸透距離、注入時間等の関係の説明図である。 注入液のpHおよびゲルタイムの変化の説明図である。 注入液のpHおよびゲルタイムの変化の説明図である。 浸透固結体の浸透距離とpHの関係を示すグラフである。 注入液の流出量とpHの関係を示すグラフである。 浸透固結体の一軸圧縮強度と浸透距離と関係を示すグラフである。 ホモゲルのゲルタイムとpHとサンドゲル(現場砂)の土中ゲルタイムと土中pHの関係を示すグラフである。 ホモゲルのゲルタイムとpHとシリカ濃度との関係と、地下水で希釈された場合のゲルタイムとpHの変化の例を示すグラフである。 注入材が対象範囲に逸脱したり、希釈されやすい地盤条件下での手法に関する説明図である。 (a)は図28(a)の(断面図)に対する平面図、(b)は注入後のサンプリングする位置を示す例の平面図、(c)は注入断面図の例を示す。 反応材添加量とpHとゲルタイムの関係を示すグラフである。 非アルカリ性シリカグラウトにおける酸の種類とゲル化時間の関係の例を示すグラフである。 シリカの溶解量に関するグラフである。 長期養生におけるホモゲルからのシリカの溶脱率の経時変化(9,000日測定結果)のグラフである。 (a)はシリカゾル注入材のホモゲルの体積変化(9,000日養生)のグラフ、(b)は活性シリカコロイド(CSN注入材)のホモゲルの体積変化(9,000日養生)のグラフである。 サンドゲルの長期強度に関するグラフである。 各種シリカグラウトの室内試験結果と強度発現と強度低下のメカニズムに関するグラフである。 耐久期間に応じて耐久評価の異なるシリカグラウトによる固結土の強度の経時変化の例と時限改良に関する説明図である。 (a)は固結豊浦砂に動水勾配50で長期間透水し続けた場合止水性を保った日数長期透水試験結果の棒グラフ、(b)は動水勾配50の浸透水圧下における各種シリカグラウトの固結標準砂の透水試験結果である。 活性複合シリカによる固結豊浦砂(サンドゲル)の一軸圧縮強度に関するグラフである。 濃度別のpHとゲルタイムの関係(AS)を示すグラフである。 ホモゲル体積変化率の経時変化に関するグラフである。 主剤の種類がホモゲルの体積変化に及ぼす影響(SiO2=12%)に関するグラフである。 SiO2濃度とホモゲルの最終体積変化量の関係を示すグラフである。 ホモゲルの一軸圧縮強度の経時変化を示すグラフである。 ホモゲルの一軸圧縮強度とホモゲルの変形係数との関係を示すグラフである。 SiO2濃度とホモゲルの一軸圧縮強度の関係を示すグラフである。 ホモゲル強度とホモゲルの破壊ひずみの関係を示すグラフである。 粒径加積曲線のグラフである。 サンドゲルの一軸圧縮強さの経時変化を示すグラフである。 サンドゲルの一軸圧縮強さと変形係数の関係を示すグラフである。 ホモゲルとサンドゲルの一軸圧縮強さに関するグラフである。 シリカ濃度とサンドゲルの一軸圧縮強さに関するグラフである。 (a)シリカ濃度とホモゲルの最終体積変化率に関するグラフ、(b)シリカ濃度とサンドゲルの強度比に関するグラフである。 ホモゲルの変形係数と体積変化率とサンドゲルの強度低下の関係に関する説明図である。 加温養生による促進試験による固結豊浦砂の強度の経時変化の推定のグラフである。 加温促進試験による固結豊浦砂の強度の経時変化の推定のグラフである。 促進試験(シリカゾル)のグラフである。 シリカ量分析による改良効果の確認に関する説明図である。 コンクリート表面に生成したマスキングシリカの分析結果、X線回折に関する説明図およびグラフである。 注入現場における注入管理に関する説明図である。 注入現場における注入管理に関する説明図である。 地盤改良管理システムの例を示す説明図である。 集中管理装置の操作フローチャートである。 流量と注入圧力、土粒子間浸透限界注入速度と限界圧力等の関係を示すグラフである。 注入領域の注入ブロック区分の説明図である。 各ステージ毎に、時間tに対する注入圧力P、流量Q、および積算流量を表示した図である。 注入孔毎に、各ステージの注入圧力を示す説明図である。 注入孔毎に、各ステージの設計積算流量に対する実際積算流量の比率を算出して注入を行う場合の説明図である。(断面図) 注入孔毎に、各ステージの設計積算流量に対する実際積算流量の比率を算出して注入を行う場合の説明図である。(平面図) 注入孔毎に、各ステージ注入圧力と実際積算流量の説明図である。(断面図) 注入孔毎に、各ステージの実際積算流量の比率を算出して注入を行う場合の説明図である。(平面図) 最上部改良地盤の注入ステージの注入順序を示す説明図である。(断面図) 3段の注入ステージの注入順序を示す説明図である。(断面図) シリカ溶液を用いた注入液の導電率のシリカ濃度との関係変化に関するグラフである。 地盤センサーを注入領域付近の構造物に設けて構造物の変位が許容範囲内におさまるように注入管理する場合の説明図である。 地盤変位管理システムのフローチャートである。 注入液の電気伝導度メーター又はpH管理システムの説明図である。 地盤注入液の濃度測定装置の例を示す説明図である。 統合技術としての耐久地盤改良工法における要件と要素技術とその互いの関連をまとめた概念図である。 固結径と注入量と注入時間に関する概念図である。 注入管理と事後の品質管理に関する概念図である。 各種急速浸透注入工法の説明図である。 (a)は多点同時注入方式の浸透固結モデルを示す図、(b)は柱状浸透注入方式のシステム概要図である。 施工実績における固結状況の説明図である。 (a)は活性複合シリカによる固結地盤の経年固結性の実証のグラフ、(b)は東日本大震災による液状化強度への影響に関するグラフである。
以下、本発明の添付図面を用いて具体的に詳述する。(請求項25)
地盤注入液を注入ポンプから複数の注入液送液系統を通し地盤中の複数の注入ポイントに注入するに際し、地盤の所定注入領域に代表的注入ポイントを一ポイントまたは複数ポイント設定し、この代表的注入ポイントの位置する各注入ステージにおける適切な圧力および/または流量を測定し、得られた値の適切な範囲を注入監視盤を備えた集中管理装置に設定し、この設定範囲に基づいて所定の注入領域における各注入ステージでの注入を行うことができる。
さらにまた、本発明の注入管理装置によれば、集中管理装置およびこの装置に連結された注入監視盤を備え、地盤注入液を注入ポンプから、流量圧力検出器を有する複数の注入液送液系統を通して地盤中の複数の注入ポイントに注入するに際し、前記流量圧力検出器により検出された注入液の注入圧力および/または流量のデータ信号を前記集中管理装置に入力してなり、さらに前記注入監視盤に集中管理装置に入力された前記データ信号を画面表示して複数の注入液送液系統からの注入状況を一括監視し、注入を管理することができる。
さらに、地盤注入液を複数の注入液送液系統を通して地盤中の複数の注入ステージに注入する地盤注入工法において、複数の注入液送液系統にそれぞれ流量圧力検出器を設け、これら検出器から検出された注入液の注入圧力および/または流量のデータを注入監視盤を備えた集中管理装置に送信し、これらデータを注入監視盤に画面表示することにより注入状況の一括監視を行なって、送液系統におけるそれぞれの注入圧力および/または流量を所定の範囲に維持しながら注入するとともに、上記データの情報に基づき、注入の完了、中止、継続あるいは再注入を行なうことができる。図60には図62(b)のICTによる本発明における地盤改良システムの一部を記載している。
図60,61において、地盤注入液を複数の注入ポンプから地盤4中の複数の異なる注入ポイント5a、5a・・・5aにそれぞれ同時に或いは選択的に注入するに際し、複数の送液管路の各流量圧力検出器f、Pから検出された注入液の流量および/または圧力のデータは集中管理装置26に送信されて注入監視盤で画面表示されて施工状況が表示される。このようなデータの画面表示により、注入状況の一括監視を行って注入液の注入が管理され、例えば図60に示されるように、第一改良ブロックおよび第二改良ブロックが形成される。
集中管理装置26には日報作成装置および日報作成装置にはプリンタが接続され、日報が作成され、プリンタでプリントアウトされる。
図62と図63に集中管理装置26の操作フローチヤートを示す。まず、送液管路のNo.1〜No.10 についての注入仕様フアイルの圧力規定値(適正圧力範囲)、規定注入量(適正積算注入量範囲)、すなわち、所望の注入圧力、流量(単位時間当たり流量および/または積算流量)を集中管理装置26に予め設定しておき(システム仕様設定登録)、次いで集中管理装置26のNo.1〜No.10 の開始スイッチ14をONにしてデータ記録を開始する。
このとき、施工表示盤X5にもランプ15でON表示がなされる。注入監視盤では、注入液送液管からの注入データを画面に表示し、これらデータが設定値に達したときに、集中管理装置26は完了信号を出力してこれを注入監視盤に表示するとともに、施工表示盤X5にランプ15で完了状態を表示し、送液管路のストップバルブ28を閉める信号を出力する。
全ての送液管路の注入が完了の後、集中管理装置の開始スイッチをオフにすることにより集中管理装置によるデータの記録が終了する。これら記録データに基づいて日報作成装
置で日報等の帳票を作成し、プリンタでプリントアウトする。
このようにして複数の送液管路の各注入ステージにおける圧力、流量との関係をリアルタイムで把握でき、注入を所定の設定範囲内に納まるように管理できる。さらに、集中管理装置は注入仕様フアイル、注入結果一覧表、注入チヤート、日計表、週計表、月計表等の帳票作成ならびに解析データの作成をも行なうことができる。
このようにして各注入孔における注入ステージ毎に、ブロックNo. 、注入孔No. およびステージNo.とともに、圧力、流量、チヤートを表示することもできる(図60、61)(図60、65)。
さらに、これらのデータから注入孔毎に、各ステージ毎に、時間tに対する注入圧力P、流量Q、および積算流量(l)を表示することもできる(図66)。
また、各注入孔毎に、各ステージの設計積算流量に対する実際積算流量の比率を算出して、図65〜図69に示すように、注入領域の区分毎に、ステージ毎の水平面(図69)と垂直面(図68)を面的に図示し、これにより、注入が不充分なゾーンが判別され、再注入すべき領域を知ることができる。図68は図69のA−A線断面図である。
図70は地盤中の垂直方向における複数の注入ポイント(各注入ステージ)の注入圧力分布および積算流量を注入監視盤上に面的に表した画面の一例である。図70では各注入ステージにおける積算流量も表示される。したがって、この画面表示により、各注入ステージにおける注入圧力および積算流量が一画面上に表示され、一括監視により注入が管理される。
図71は地盤中の特定の注入ステージにおける水平断面の積算注入量を平面的に一画面上に表した例である。この画面表示により、特定の注入ステージにおける各注入ポイントの積算流量が一画面上に表示され、一括監視により注入が管理される。
図67は地盤中の複数の注入ステージにおける注入圧力分布を注入監視盤X2上に三次元的に表した画面の一例である。この画面表示により、各注入ステージにおける注入圧力が三次元的に表示され、立体的な一括監視により注入が管理される。同様にして、積算流量も三次元的に表示して注入状況を管理することができる。
このようにすれば、注入圧力が過大に上昇して注入量が不充分であった領域を立体的に把握でき、この場合、注入圧力を少なくして所定量注入されるまで再注入する。さらには、所定量の注入が行なわれたにもかかわらず、注入圧力が過少であることも把握でき、この場合、注入が逸脱したり、あるいは設定値が過少であることも発見でき、設定値を変更して最適積算流量を注入する等の措直を講じて注入効果を確実にすることができる。また注入後の効果の判定のためにゲル化時間の長い注入液を用いて各注入領域の注入地盤の抵抗圧力を図64の曲線2の限界圧内、限界流量内で計測して、所定流量に対する抵抗圧力の
分布図を図67、図68、図69のように図示して注入領域全体の注入効果を把握し、不十分な部分に再注入して所定の注入効果を得ることができる。
図60における、第1注入ブロック、第2注入ブロックの注入ポイントに注入を施した例を示す。一般に、沖積層は水平に滞積しているため、水平方向の透水係数は垂直方向のそれよりも大きい。したがって、図60において、第1ステージの土層はいずれの吐出口付近でもほぼ同じ透水係数で、例えば中砂であり、また、第nステージの土層もいずれの吐出口付近でもほぼ同じ透水係数で、例えば細砂である(図72、73)。
上述各注入ステージにおける適切な圧力、流量および積算流量は集中管理装置で圧力および流量を測定することにより測定される。この場合、適切な圧力、流量および積算流量は注入試験による測定値に実際の注入による測定値を加味し、補正することにより定めることもできる。
試験注入孔において、各ステージ毎、あるいは代表的なステージにおいて、注入に先立ち、注水試験、またはゲル化時間の長い注入液による注入試験を行って、図64に示されるP−q曲線(曲線1および2)、すなわち、P(注入圧力P)−q(流量l/分)曲線を出す。
図64において、曲線1、O1 点までは注入速度と注入圧力は比例関係にあり、地盤破壊
は生ぜず、完全な浸透注入となる。この点までを限界圧力または限界流量とする。しかし、O1 〜O2 点までは注入速度(流量)と注入圧力は比例関係になく、部分的に割裂は生じるが、地盤が破壊して注入液が逸脱する注入圧力の低下はみられない。このO2 点の注入圧力を限界注入圧Pro、限界注水速度(あるいは限界注入速度)(流量)qr0という場合もあるが、好ましくは前者である。このようにして、地盤が破壊する限界注入圧力Pr0および限界注入流量qr0(注入速度)を知ることができる。しかし好ましくはO1までの直線領域内における流量と注入圧力内で注入することが望ましい。注入効果が充分か不完全かどうかを知るため、或いは不完全と判って再注入する場合は通常は抵抗圧がかかるので曲線2の関係となる。
上述のとおり、各ステージにおける地盤を破壊しないで注入し得る限界注入圧と限界注入速度(流量)を知ることができ、これにより、各ステージの適正注入圧力範囲あるいは適正注入速度範囲を知ることができる。この数値を集中管理装置26に記憶させ、この適正範囲を保つようにそのステージにおける注入を行って注入管理する。
図63の集中管理装置の操作フローチヤートに示すように積算流量がこの適正範囲に達すればその時点でその注入ステージの注入を完了する。また、設定積算流量に達しないうちに適正注入圧力を越える場合にもそのステージの注入を終了とする。なお、上記適正注入圧力または注入速度の設定値は注入工程の進行中、補正することができる。この理由は注入過程で、同一ステージの注入中に、あるいは別の注入ステージからの影響により、さらには他の注入孔からの注入液の部分的浸透により干渉効果を受けるからである。
また、注入ポイントの注入順序を選定することにより、あるいは注入ブロックの注入順序を選択することにより、先行した注入によって地盤が強化され、このため後からの注入が拘束効果によって注入圧力を高くしても破壊することなく注入できる。注入量が不充分のとき、再注入する場合も同様である。
上述の場合、図64において、O1 点までは直線関係にあるが、O1 〜O2 点までの間は直
線ではないが一部割裂が生じている浸透割裂注入領域である。しかし、O1 点におけるPrfを限界圧力、qrfを限界注入流量とする。このようにして、最終的な限界注入圧力およ
び限界注入流量(注入速度)をそれぞれPrfおよびqrfとして設定して、設計注入量(積算流量)の注入をこの限界内で行うようにする。これらの値を集中管理装置X1に記憶させておき、この設計流量が注入されたら注入終了とし、もし、設計流量に達しないうちにこの限界注入圧力に達した場合にはその時点で注入を終了する。このようにして、注入工程に最適範囲を設定して確実な注入効果を得ることができる。
なお、注入中に注入圧力が全く上昇しなかったり、あるいは注入中に注入圧力があまりにも早く上昇して注入を中止したために注入が不充分であると予想されたり等の場合、注入領域を断面的あるいは平面的に切り(図67〜図71)、その領域に再注入することもでき
る。図68、図69はまた、所定量注入して注入が完了しても、注入圧力の状況から注入が不充分と判断した場合、設定値を変更して注入を続けることもでき、さらに手動に切り換えて注入を続けることもできる。さらに、注入中に注入圧力が設定値を越えて注入中断の信号がでても、注入量から注入が不充分と判断された場合、注入圧力の設定値を変更し、あるいは手動に切り換えて注入を継続することもでき、また、瞬時に注入量の設定値を低くして注入を続けることもできる。図68と図69は各ステージの設計積算流量に対する実際の積算流量の比率を算出して、注入領域の区分毎にステージ毎の水平面(図69)と垂直面(図68)を面的に表示したもので、再注入すべき領域を知ることができる。上記において、すでに注入した領域で注入が不完全と思われるため再注入する場合は一部固結しているため抵抗圧が生じる。この場合は図64曲線2と同様の原理で注入前に注入液を注入して注入
ステージにおける所定の注入速度に対する圧力分布を作成し(図64、曲線1)、注入後の
固結地盤の調整において注入液で所定の注入速度で注入して抵抗分布を作成して(図64、曲線2)、注入領域における注入効果の確認を行うことができる。上記において注入液の
代わりに注水試験を行うこともできるが注入液の注入試験に注水試験による地盤の破壊を防ぐことができる。
このようにして、吐出口からの同時注入或いは選択注入による浸透固結によってステージ毎に平面的に達成されたスラブが形成される。この固結層は第1ステージから第nステージまで連続的に形成される。さらにまた、吐出口からの同時注入による浸透固結は垂直方向にも形成することができ、さらには、水平方向および垂直方向の両方に同時進行させることもでき、また、透水性の大きな層の吐出口から、あるいは透水性の大きな部分に開口した吐出口から選択的に注入することもできる(図72、73)。
注入工法の原理は土粒子間隙の水を注入液に置き換えることにある。このため、同時注入工法において、大容量土に多数の吐出口から同時注入しても、土中水が注入液により逃げ場を失えば、地盤中に水のポケットが生じ、あるいは注入液が水で希釈されて目的とする注入が達成できなくなる。これを防止するために、図72、73に示されるように、固結対象の地盤にほぼ同一土質条件を有する想定改良ブロック(1)、(2)、(3)、(4)、(5)を定め、図示しない複数の吐出口から、まず、間隔をあけて定められた想定改良ブロック(1)および(2)に同時注入して地下水をブロック外に排除し、次いで、想定改良ブロック(3)、(4)、(5)に上述と同様に同時注入して地下水をブロック外に排除し、順次に全体を固結してほぼ同一土層を地下水を逃がしながら固結することができる。
また、図73に示されるように、注入領域をいくつかのブロックに分け、地下水を逃がしやすいように注入順序を設定して所定の注入圧力、あるいは所定の積算注入量に達した時点で、次のブロックの注入に移向するように注入することにより全自動注入が可能になる。なお、注入目的や、地盤条件によっては、先行する注入区分があとから注入する注入区分を拘束するように注入順序を選択することによって効果的に地盤を加圧強化することができる。
本発明に用いられるシリカ注入液はいずれもゲル化時間を数秒から数十時間に設定できるので、大量の注入液をつくって置いてもゲル化の心配がないのみならず、大量の注入液を長時間かけて送液でき、かつ地盤中に注入した後、確実にゲル化し、さらに粘性が小さく、ねばりが少ないという利点がある。
図60〜78に現場採取土配合設計法と所定領域内での浸透固結の確認管理に関する具体例を示す。本発明は地盤隆起の状況を確認しながら注入をつづけることもできる。例えば、図75の装置において、地盤隆起センサーを地表面に設置する(図60、61)。この場合、あらかじめ仕様設定に地盤隆起の範囲を5〜20mmと設定したときに、地盤隆起センサーか
らの電気信号が集中管理装置に伝えられ、隆起が20mmを越した場合、注入液送液管路からの注入が中止となる。しかし、隆起が5〜20mmの範囲内ならば、これは許容範囲であり、その範囲内での隆起は地盤強化のための反応が確実に行なわれていることを示している。また、この地盤センサーを注入領域付近の構造物に設けることにより、構造物の変位が許容範囲内におさまるように注入を管理することができる(図75)。
図60、図61、図75、図76にシリカ注入液を、制御装置を備えた注入材供給部から各注入ステップに注入する耐久性地盤改良方法を示す。注入個所あるいは注入個所を含むその周辺の任意の場所にレベルセンサーを配置して該レベルセンサーの変位量を計測し、この変位量の計測値を注入液供給部の制御装置に伝達し、この注入材供給部における制御装置が、前記計測値に基づいて予め設定されているプログラムにより、注入液の組成、ゲルタイム、注入量、注入材供給ポンプの吐出量の各データを自動的に選択して注入材供給部から注入材を供給し、前記地表面や周辺構造物の変状や注入液の注入対象領域への逸出を最小限にとどめるように、注入材の組成、ゲルタイムおよび注入量を調節することができる。図76は地盤変位を管理するフローチャートを示す。
さらに、本発明において、複数の注入液送液系統S、S・・・Sのいずれかの注入が完了して次の注入管路5に接続しており、あるいは注入圧が限界値よりも高くなって注入を中断した後、再注入する場合、注入液が送液系統S中でゲル化することを防止するために送液系統Sを水洗する。この場合、注入液の送液量か、水洗の送水量かを判断する特性を設定する必要がある。
水と注入液との違いを示す特性は例えば、pH、電気伝導度、密度等である。したがって、これらに関するセンサー、すなわち、pHメーター、電気伝導度メーター、密度計等を注入液送液管路に設ければ良い。図74は電気伝導率による水と注入液の区別を可能にする例である。
また地表面に逸出した地中液の電気伝導度を測定することにより、単に地下水が地表面に溢出したか、注入液が溢出したか、又注入液の場合でも導電率によってシリカ溶液の濃度が判り、地盤中に存在しているシリカ分を算出することが判る。図77(a),(b)は該薬液
を地盤内に注入するための管路Xと、該管路Xの任意の個所に配置された、該薬液のpH値又は並びに電気伝導度を検出するためのpH検出器又は並びに電気伝導度検出器を示す。これによって該薬液のpH値(或いはゲル化時間、注入液と水洗の送液量)を判断して注入量を計測することができる。pH検出器電気伝導度検出器また図75よりシリカ溶液の濃度も管理することができ、充分な管理のもとに地盤内に注入し得る。
図74は水ガラス中のアルカリを酸で中和して得られる前述のシリカ溶液を水で薄め、このときの導電率の変化の状態を示したグラフである。蒸留水は0.01μ、水道水は119.5μ
の導電率である。したがって、図60、図61おいて、注入が完了した注入液送液管路を水洗しても、あるいは注入液送液管路の中にゲルが詰まって水洗する場合でも、検出値が1ms/cm以下なら洗浄水とみなして注入液を識別し、注入量を把握する。なお、この導電率は注入液によっても異なり、あるいは洗浄水によっても異なるので、あらかじめ計測して識別する範囲を認識し、図76のシテスム仕様設定に登録しておけばよい。
これらのうち、密度計について例示する。図78に地盤注入液に放射線を照射する放射線源と、当該放射線の透過強度または反射強度を検出する放射線検出器と、この検出値から当該地盤注入液の濃度を算出する演算器とを備えた地盤注入液の濃度測定装置を示す。
送液管路を通過する注入液に放射線を照射する放射線源を注入液送液管路の外側壁に配置する。さらに、この放射線源に対向する送液管路の外側壁に前記放射線の透過強度また
は反射強度を検出する放射線検出器を配置する。さらにまた、この検出値から注入液の濃度を算出する演算器を備えて濃度測定装置とする。
前記放射線源はガンマ線源であり、この場合、放射線検出器はガンマ線検出器となる。そして、演算器はガンマ線の入射強度と透過強度との比または反射強度との比から注入液の濃度を算出する構成のものである。
さらに、放射線源は中性子線源であることもでき、この場合、放射線検出器は中性子検出器となる。そして、演算器は中性子線の入射強度と透過強度の比、または反射強度との比から、注入液の濃度を算出する構成のものである。
算出した注入液の濃度またはこの濃度を指標するデータを連続的に集中管理装置に送信して集中管理装置中の演算制御装置(cpu)で注入液の密度または濃度に変換し、これを予め定めた一定時間間隔で集中管理装置に記録する。そして、注入液の密度を例えば1.6〜2.2の範囲の設定仕様とし、注入液の密度管理を行うことができる。
上述のとおり、注入液のpH、導電率、濃度等を検出することにより、注入液の管理が可能になる。したがって、注入液の種類、濃度、配合等の注入液データを集中管理装置に送信し、注入液データとして注入管理することもできる。上記において検出器は管路に直接設置していなくても図19に示すように管路に設けたバルブを介した管路から定期的に或いは任意の時点で注入液を抽出して計測することができる。
なお、地盤中に観測井戸を設け、この観測井戸の中のpH値、導電率等を測定してこれらの変化を見い出すことにより注入液が用水に流入していることがわかり、そのデータを集中管理装置に送信し、これらを影響データとして画面表示し、これに基づいて注入を中断して用水への影響を防ぐことができる。また上述したように、図75に示すように、上述の地盤変位のみならず構造物の変位を集中管理装置に送信し、限界値に達したら注入を中断して影響を防止することもできる。したがって、これらを影響データとして注入管理することができる。(請求項23)
[データ情報管理と注入の自動化]
さらにまた本発明はICTによる地盤改良システムを用いて所定の注入領域に所定の注入
が行われ、所定の効果が得られる地盤改良管理システムが可能になる。(図60、図62(b)
)データとしては地盤データ、薬液データ、注入データ、環境データ等があり、具体例図62(b)A群等がある。
これらの(1)注入液のデータ(2)注入工法並びに削孔データ注入領域のブロック区分或いは注入孔や注入孔間隔と各注入ステージにおける注入圧と流量(注入速度)と積算流量等のデータ等の注入データ(3)上記(1)、(2)の他にさらに環境データ等を施工中
に注入現場からリアルタイムでデータ情報管理センターサーバー又はクラウドに送信して一括管理して発注者、施工会社、現場事務所がリアルタイムで注入状況を把握できるとともにデータ情報を保持、共有し、或いは任意の時点で開示または提供できることを可能にする。
またこれらの現場データをデータ情報管理センター或いはクラウドサーバーで解析し、或いはすでに集積している多数の現場から集めた多量のデータ(図79)のもとにデータ情報管理センターで自動判断して、或いは現場に必要な指示をインターネットを通して行い、かつそれを保管或いは開示できるようにして、所定注入領域に所定の注入がなされていることが確認、また注入が不十分な領域は再注入して充分な注入効果を得ることができる。
このようにして図62(b)のB群の例に示す効果を得ることができる。上記注入液データは上述したように、例えば地盤条件、注入液の組成や配合処方やシリカ濃度、ゲル化時間GT(GT0やGTS0)、pH(pH0やpHS0)や注入孔間隔、注入ステージや注入範囲における注入効果の確認データと注入設計等のデータ、注入液と水洗水の区別、或いは地表面への溢出水の内容の判定による地盤中にとどまっている注入液の注入量の判定等がある。また注入液と注入液固結土の耐久データに記載されている。また上記(2)の注入施工データに関し
ては、上述並びに図63〜78に記載している。このように所定領域に所定の効果を有する地盤注入が可能な注入管理が可能になる。またこのようにして施工の進歩状況や三次元の固結状況や出来形等の可視化、品質状況、地盤中の固結状況並びに出来形の可視化、施工内容並びに工程の可視化、施工中のデータをリアルタイムで解析して地盤状況や注入状況に応じて注入速度や注入量がそれぞれのステージ毎に適正に行われるように注入現場或いは集中管理装置にフィードバックして指示することができる。
また環境データとしては地下水のpH、地盤の変位、構造物の位置や変位等がある。このようにして遠距離から図60、図61、図62(b)の管理システムにより図62(b)のA群の情報を
インターネットで各注入現場の計測器のセンサーからの信号でデータ処理管理センターサーバーにより一括管理してB群の基本データにより解析し、施工状況を評価し、或いは自
動判定結果や改善ポイントを工事現場毎にフィードバックすることができ、さらに大量のデータの集積と解析による遠隔制御による集中管理装置への指示による自動注入への道が可能になる。また地盤状態や注入材のゲルタイムに係る注入に伴う変位量等において、浸透距離や注入圧力、注入速度、注入量の実際を通してセンサーの追加や制御プログラムの変更に対応することもできる。
またデータ情報管理センターサーバーやクラウドからの情報はビックデータといわれるほど大量の情報となり情報の選定がそのデータ解析にとって重要となる。そのためには情報の定量化が重要となる。本発明は(0065)〜(0150)には所定領域における浸透固結性の定量化、表4に示すように注入地盤の耐久性の定量化を行ってデータの収集と解析に便
ならしめている。またそれに対応してシリカグラウトの定量化も(0267)〜(0294)(図33〜図57)、(0315〜0320)に記載し、(0152)〜(0202)には施工管理、(0204)〜(0216)には効果の確認法が(0199)〜(0202)並びに図79、図81にはこれらの要素技術の統合を示しており、これらの蓄積したデータを基本データとして受信した現場データを解析して当現場における注入目的を満たすように施工現場にフィードバックするとともに情報を共有して耐久地盤改良を可能にならしめている。また、この地盤改良システムはシリカ溶液の注入のみならずセメントやスラグを主成分とするシリカを含有してゲル化を伴う懸濁型グラウトを含む薬液注入の注入に適用できる。
[注入地盤の品質管理]
以上のとおり、本発明は地盤注入液を複数の注入液送液管路から複数の異なる注入ステージにそれぞれ同時に或いは選択的注入するに際し、複数の注入液送液管路にそれぞれ流量圧力検出器を設け、これら検出器から検出された注入液の流量信号、ないしは圧力信号を集中管理装置に送信し、データの記録ならびに画面表示により注入状況の一括監視を行って注入管理するようにしたから、地盤中に設置した複数本の注入管路から、対象とする土層に注入液を注入して該地盤を改良するに際して、最適な設定流量ないしは設定圧力をもって注入液を同時かつ、自動的に、あるいは選択的に注入し、これにより各注入ステージにおける逸脱を低減しながら確実な注入を可能にし、広範囲の地盤を急速かつ確実に改良することができる。
上述したように、耐久シリカグラウトは注入工の間隔が広く、多様な地盤条件下で目的とする地盤改良ができていることを要求されるため、所定の領域に耐久シリカグラウトが注入対象範囲外へ逸脱することなく注入目的に適合した浸透固結していることを確認する
調査が必要となる(図29)。
注入前の注入計画と注入後の品質管理を図58に示す。このうち注入地盤において所定の注入液が浸透固結しているかどうかの確認は事後の品質管理でなされる(図81)。仮設目的において注入後の注入材の有無を知るために、サンプリングした試料にフェノール反応による判定がよく行われてきた。しかし、液状化対策工法のような本設注入では、目的とする強度が得られているかどうかを知ることが必要である。この場合、通常サウンディングやコアボーリングによって供試体の強度を測定することになるが、実際の地盤ではレキが含まれている場合や細粒分が多い場合、不撹乱試料の採取が難しい場合が多い。このような目的のためにシリカ量分析による改良効果の評価法を用いるものとする(図29、図58、図59)。
この試験法は注入地盤のSiO2濃度の測定値から薬液のSiO2濃度を求めて、注入地盤の強度を推定する方法である。事前に現場採取土を用いて現場と同一密度の供試体を作製し、そこに種々のシリカ濃度の注入液を浸透させて固結供試体を作製して、強度試験を行う(図58(a))。その供試体のシリカ濃度を分析し、シリカ濃度と強度の関係を求めておき(
図58(b))、注入地盤の採取土のシリカ濃度の分析結果(図19(b))から注入地盤の強度を推定する(図58(a))。
可溶性シリカの分析はICP-AES法(誘導結合プラズマ発光分光分析)や原子吸光法を用
いる。
1)事前試験
施工にあたり、設計強度を満足する配合(シリカ濃度)を決定する目的で室内配合試験を実施し、シリカ濃度SiO2と一軸圧縮強度の関係を求める(28日強度)。なお、室内配合強度は、注入孔間隔における注入薬液の希釈による強度低下等の安全率を考慮し設計強度の2倍となる。
試験結果を図58に示す。この現場における設計強度は60kN/m2であり、室内配合強度は
安全率を加え120kN/m2となる。上述の室内試験を行い、現場配合シリカ濃度は6%を採用
した。
なお、一軸圧縮試験に用いた供試体は前述の可溶性シリカ量の測定を行い、注入材のシリカ濃度と注入された土からの可溶性シリカ量SiO2Sの関係を求めた(図58(b))。
2)事後評価
施工後にレキの影響により不攪乱試料が取れなかったため、事前に行ったシリカ含有量と一軸圧縮強度の関係を用い、現地改良後の強度の予測を行った。その予測手法は、改良後に採取した攪乱試料のシリカ含有量測定を行い、シリカ濃度を求め、その濃度から改良強度の予測を行ったところ100kN/m2であった(図58(a))。
この結果より、設計強度60kN/m2を満たしていることが判った。
このようにしてシリカ濃度6%の活性複合シリカ(図7)を注入することによって、注入地盤が28日強度で100kN/m2が得られることが判った。室内試験では120kN/m2となるシリカ溶液を注入して、現場では100kN/m2となる。この結果、所定領域に浸透固結している
事が判った。
このように本発明は該耐久条件を満たすシリカ溶液を用い、以下の手法に配合処方を行って該耐久条件を満たすシリカ溶液を用いることを特徴とする耐久性に優れた地盤改良工法を可能にする。
(1)注入対象地盤の調査:密度測定を行う。密度測定はN値でもよい。
(2)対象地盤の採取土を用いて現場密度に調整した供試体を作製する。
(3)上記供試体に現場上載圧に対応した拘束圧を加えて種々のシリカ濃度のシリカグラウトを注入して固結供試体を作製する。
(4)固結供試体を所定期間養生する。
(5)固結供試体の強度試験を行う。
(6)固結供試体のシリカ濃度を分析してシリカ濃度と強度の関係を把握する。
(7)注入地盤から採取した土を用いてシリカ濃度を分析する。
(8)計測されたシリカ濃度から地盤固結強度を把握する。
供試体の土は乾燥状態にし、2.00mmふるい透過分を用いた供試体に、実際の地盤の応力状態に相当する拘束圧を付加して請求項1〜13のシリカグラウトを浸透注入して固結供試
体を作製し、以下のいずれかの手法を用い該耐久条件を満たすシリカ溶液を用いた耐久性に優れた地盤改良工法を可能にする。
(1)予め対象地盤のシリカ含有量を測定し、固結供試体のシリカ含有量を測定する。土中のCa分はゲルタイムや強度に影響するのでCa含有量を測定しておくのが望ましい。
(2)固結体のシリカ含有量から現地盤のシリカ含有量を差し引きして注入液によるシリカ含有量と供試体の強度の関係を把握する。
(3)現場固結採取土のシリカ含有量を計測し、その測定値から注入前のシリカ含有量を差し引き注入液に起因するシリカ含有量(注入固結土シリカ含有量)を把握して計測されたシリカ濃度から現場強度を把握する。
(4)把握した注入地盤の固結土シリカ含有量から注入地盤の注入液注入率を把握する。(5)供試体の強度とシリカ濃度の関係より設計数値或いは目標強度を満たす注入時の配合処方を確認する。
また供試体の作製は混合法により注入前の土の密度に対応したシリカ量と強度の関係を計測することもできる。上記において、混合法とはシリカグラウトと土との混合、或いはモールド中にシリカグラウトを満たして土を投入して現場の地盤の密度に対応した土の密度になるように供試体を形成する方法をいう。
シリカ量の分析はJIS K 0101-1979、モリブデン酸黄法、モリブデン青比色法又はICP高分光分析法や原子吸光分光法によることができる。
供試体のシリカ含有量は供試体中の注入液の注入量から算出したシリカ量又は固結供試体からシリカ分析法によって得られたシリカ含有量を用いる。
[耐久期間と耐久性の持続性]
本発明は耐久性地盤改良工法に適用するシリカグラウトの耐久性の意味を明白にして耐久性を要求される耐久期間を明らかにして、それに対応したシリカグラウトの耐久特性を明らかにして経時的強度特性をもつ配合処方を可能にしたものである(請求項24〜31)。さらに耐久性は単に注入材そのものの耐久性によって決まるのではなく、注入地盤の状態によって大きく作用されることに着目し、そのような場合にも耐久性が低下しない手法を開発したものである(請求項2〜11、32〜38)。また耐久性グラウトの適用はその周辺地
盤に長期にわたって環境上の影響をもたらすもので、その点も問題を生じない耐久性地盤改良が要求される。このため上記異なる特性を有する「コロイダルシリカと水ガラスと酸を有効成分とするの複合シリカ」と「コロイダルシリカ」と「シリカゾル」の特性を一体化して上記適用条件に対応して経済的な配合処方を調整しうるシリカ溶液とその適用法を開発したものである。
上述したように、耐久性を考慮した薬液注入の目的は、恒久止水、液状化防止、補強等があるが、それぞれにおいて耐久性の期間と要求される耐久性が異なり、その間の耐久性の経時的持続性や供用期間中の所定の改良効果の持続性が要求される。
従来、上述した条件のもとで注入目的と耐用期間と要求される改良効果の持続性に対して、どのように注入材並びに配合を選定して、効果と経済性を満たすかについての具体的方法が不明確だった。
耐久性があると思われるシリカグラウトはそれぞれ長期耐久性の持続性、強度変化やゲル化物や固結体の特性において、またそれが注入された地盤条件によってそれぞれ異なる特性がありながら、しかも施工条件や環境条件においてそれらが互いに関連し合っているため、一口に耐久性地盤改良と言っても判断の基準が不明確だった。その理由は固結地盤の耐久目的耐久目的に対応した長期の経時変化が不明確な事にあった。本発明者は数十年に及ぶいつ来るかわからない地震等に対する数十年に及ぶ長期耐久性の研究と多数の野外試験、東日本大震災等の第自身の経験も含め、シリカグラウトの長期強度変化の実測値並びに促進試験の開発等を経て、各シリカグラウトの長期耐久性を明らかにすることによって、耐久期間を考慮した耐久性の設定の考え方が可能になったものである。
図37は耐久性を有するシリカ溶液における、経日強度の変化の傾向をまとめた例である。
これよりシリカの溶脱が無視できるほど小さければ耐久性に優れたグラウトといえるが、耐久性が耐久期間を考えて注入目的に適した所定の強度を得ることを意味すると考えれば供用期間中、注入目的に要求される強度が持続し得るシリカの濃度と組成が耐久性グラウトとして要求される事が判る。
さらに注入液の耐久期間中の環境保全性や注入対象領域から逸脱することなく浸透固結される注入液の特性や注入地盤条件や注入後の注入地盤の改良効果の確認も耐久グラウト地盤改良工法として要求される。
図3並びに図37は上述したシリカグラウトを一体化して上記条件を満たす耐久性を選定
できるシリカゾルグラウトの範囲に関わる。図38にシリカグラウトの強度と経時日数の経時強度ラインの範囲の例を示す。この範囲内において、効果と経済性を加味した耐久目的を満たす最適の配合処方を得ることができる。
図37に初期強度または配合強度(室内配合強度)として7日、28日強度並びに100日強度のラインを示した。また供用期間として供用10年、20年、50年、100年のラインを示した
。また中間の比較の強度として400日や1,000日のラインの例を示すこともできる。(請求項9)
またこれらのラインに初期強度:1年以内強度又は配合時強度、恒久耐久強度、ピーク
時強度、収束強度、時限強度、供用期間強度等の例を示した。耐久性という場合、注入目的によって所定の改良効果を期待する期間があるわけであって、それを供用期間とした。(図37)(請求項14)
ここで耐久性とは、耐久性を注入目的に応じて以下のいずれか或いは複数とする。耐久期間とは注入目的による耐久性を要求される期間をいい、耐久性は耐久期間中、要求される所定の改良効果を持続する性質をいい、そのようなシリカグラウトを耐久シリカグラウトとする。固結強度試験強度は設計基準強度に対して安全率をかけた室内目標強度とする。(請求項10)
(a)恒久耐久性:所定の耐久性を恒久的に持続すると思われる耐久性
(b)時限耐久性:ある一定期間所定の耐久性を持続すると思われる耐久性
(c)供用耐久性:所定の供用期間中、所定の耐久性を持続すると思われる耐久性
(d)収束耐久性:最終的に要求される所定の耐久性に収斂すると思われる耐久性
注入目的に対応した耐久レベルのシリカ溶液を得るために耐久期間の間、所定の改良効果を持続するためには図37に記載するように、耐久期間中にその所定の強度を保持しうる強度ラインの配合設定が得られるシリカグラウトを得なくてはならない。
そのためには現場採取土又は標準砂を用いて現場の密度に対応した供試体にシリカ溶液を浸透させて(或いは混合して)、配合設定時の強度に耐用期中の強度変化を加味して、或いは浸透距離や地下水によう希釈を考慮した安全率をかけて設計強度になるように設計時の配合を定めたシリカグラウトを用いる。
従って、図37の範囲から、請求項1〜4のシリカグラウトを選定し、かつ全シリカ濃度、全シリカ濃度のうちのコロイド又は並びに水ガラスの濃度に起因するシリカ量又は比率を定め反応剤(又は酸性剤)の種類と濃度とゲル化時間を定める。活性複合シリカの場合はコロイドと水ガラスを有効成分とする酸性領域のシリカグラウトであるから、その収縮量は図36(c)の活性シリカコロイドのラインからシリカゾルのラインまでの範囲を取りうる
し、またその強度は、図36(b)のシリカゾルと活性シリカコロイドの上限ラインと下限ラ
インまでの範囲を取りうる。図37の斜線の範囲はコロイドと水ガラスを有効成分とする酸性−中性のシリカ溶液を一体化したグラウトの強度経日変化を示すものであり、この範囲から所定の耐久期間に所定の強度を持続し得る主剤の配合と所定の領域に浸透固結しうる土中ゲル化時間を含むゲル化時間を得るpHと添加剤の配合処方を設定するものとする。
そして前述した耐久性地盤改良注入において、耐久性に影響する条件を加味して耐久性期間において、所定の強度を得られるシリカグラウトを選定することができる。
このようにして注入目的、地盤条件に応じて、経済的必要最小の組成を用いた耐久性グラウトの選定が可能になる。
アルカリ領域の水ガラスグラウトは反応剤が無機化合物であれ、有機化合物であれ、ゲル中に未反応アルカリが残存しているため、ゲルがアルカリによって解重合してしまい、ホモゲルのシリカの溶脱が大きく長期耐久性は得られないことが判った(表4、表13、図33、A20、A15、A06)。
図32(a)はシリカの可溶性はpHが10以下では少なく、pHが10以上になると大きくなる。
図32(b)はシリカの粒径が大きいほど、比表面積が小さくなり、溶解量が少なく、粒径が
小さいほど溶解量が大きくなることを示す。
表5に無定形シリカの粒径を示す。表5、表6は各シリカ溶液と細粒子の粒径を示す。こ
れより非アルカリ領域の耐久性は粒径の大きいシリカほど耐久性がすぐれていることが判る。
またシリカ濃度が低くても(表1)、表6に示す細粒子やマイクロバブルを加えた、低濃度シリカ注入液、或いは懸濁液や細粒子を一次注入してから低濃度のシリカ溶液を注入すれば耐久性が優れた地盤が形成されることが判る(請求項2、32、36〜38)。
[ホモゲルの耐久性とサンドゲルの耐久性]
ホモゲルの体積変化を調べたところ(図34(a),(b)、図36(c)、図41〜43)、シリカゾルのゲルの体積変化は長期にわたって収縮し、最終的にきわめて大きいことが判った。(図34(a)、図36(c)、図41(1))また、シリカコロイドのゲルは長期にわたって収縮は無視
できるほど少ないことがわかった。(図34(b)、図36(c)、図41(3))ホモゲルの収縮は
ゲルそのものの強度と共に固結砂の強度増加をもたらすが過大な収縮はサンドゲルの強度の低下をもたらす(図35、図36(b)、図37、図49(a)、図54、図57)。
メスシリンダー中にホモゲルを養生したところ、シリカゾルは体積変化が大きく、ガラス容器から剥離し、シリカコロイドはガラス容器と一体となった。この場合、容器はガラスであることから、土粒子間におけるゲルの状態を予測できる。なお、図34、図36の体積変化はガラス容器による計測結果である。また図38より、ホモゲルの収縮の大きさは耐水圧性のみならず、土の粒径の大きさ、或いは間隙の大きさに対する耐久性への影響が予測できる。即ち、大きな粒径、ルーズな土、地下水の流動や水圧に対しては過大なゲルの収縮は耐久性に悪影響を及ぼし、又、土粒子同志の接着力を低減し、かつ土粒子間のゲルの剥離による強度低下が推定できる。
ホモゲルの耐久性と固結豊浦砂の長期強度を調べたその結果を図35〜図44、図49、図54に示す。また、シリカの溶脱とシリカゲルの収縮と固結豊浦砂の強度変化の関係は図36より、シリカゲルの収縮に大きく影響されることが判った。
水ガラスのアルカリを酸で除去した非アルカリ性シリカゾルはシリカの溶脱は極めて少なく(図32、図33)濃度が低い割には強度発現が早く(図46、図49)、長期固結性に優れているが、ゲルが長期にわたって過大に収縮して(図33(a)、図36(c)、図41(1)、図54
)その結果、養生後ほぼ200日をこえると固結砂の強度がピークを迎えた後、長期にわた
って強度低下をもたらす(図35(a)、図36(b)、図54(b))ことが判った。
コロイダルシリカは、ホモゲル、サンドゲルからのシリカの溶脱が無視できるほど小さく(図33、図36(a))、又、ホモゲルの収縮もほとんどなく(図34(b)、図36(c))、強度
の劣化はなく長期間強度が増加し続けるため(図35(b)、図36(b))改良効果が永続する。しかし、コロイドの表面の活性が少ないため、強度発現が遅く(図35(b))、かつ低いシ
リカ濃度では、ゲル強度が低い(図44(c))。
図38に固結豊浦砂に動水勾配50で長期透水し続けた場合の止水性を保った日数を示す。これより収縮の少ないシリカコロイドは水圧下においても長期間耐水圧性を示し、収縮の大きいシリカゾルでは長期耐水圧性が低いことがわかる。
本出願人の長期耐久性研究から以下のことが判った。
各シリカグラウトのシリカの溶脱とホモゲルの収縮とサンドゲルの一軸圧縮の関係より、シリカゾルもシリカコロイドもいずれもシリカの溶脱は殆どないが、シリカコロイドはホモゲルの収縮はなく強度が長期にわたって増加し続ける。シリカゾルのサンドゲルの初期強度は高いがホモゲルが過剰に収縮し(20〜30%)ほぼ100〜200日付近で強度がピークを経て後、強度低下が生ずる。(図35(a)、図36(b))
また図33、図36より有機水ガラスの強度低下はゲル中の未反応水ガラス又はアルカリによるゲルの溶解によることが判る。また図33、図36と図38よりシリカゾルの水圧下における止水性の持続性の消滅はゲルの収縮が20%以上に達した時点ほぼ200日以後に生じてい
ることが判る。
それに対し活性シリカコロイドは上記特性によって、止水性の持続性が優れていることが判る。
図37は図35、図36によるデータに基づき、各シリカグラウトの強度の経時変化の例を示す。ここに耐久期間の例を示し、耐久期間の具体的な例を示した。また表4に耐久性レベ
ルの定量的評価の例を示した。
アルカリ性水ガラスグラウトのようにシリカの溶脱があるグラウトでは強度が大幅に低下して耐久性が得られない。酸性・中性のシリカグラウトのようにシリカの溶脱がない場
合でも経時的強度変化はゲルの収縮に依存する。ゲルの収縮がない場合、或いは少ない場合はゲルの収縮は固結砂の強度の増加をもたらす。しかし、ゲルの収縮が過大になると固結砂の強度はピークから減少に転ずる。
この理由は、ゲルの収縮が接着効果の他に固結砂の砂同志を締め付ける効果によるものと思われるが、収縮が過大になるとゲルが土粒子から剥離して接着効果も締め付け効果も低減するためと思われる。また、ゲルの収縮は土の粒径が大きい場合や空隙の大きい地盤では土粒子間に空隙を生ずるため止水性や透水性も低下する。このため、大きな間隙のある地盤ではシリカ濃度が低くてもシリカの粉状体をシリカ溶液に加える、或いは一次注入としてシリカ溶液の注入(二次注入)前にシリカの粉状体、セメントベントナイト懸濁液を注入してゲルの収縮による悪影響を防ぐことができる。表1に低濃度シリカのホモゲル
とサンドゲルの固結性を示す。(請求項6、7、12、18)
本発明者はシリカゲルの過大な収縮に伴うサンドゲルの強度低下を防ぐためにシリカコロイドの含有量を増やす他に酸性シリカ溶液と反応性の少ないシリカ粒子を混入することが有効であることを見出した。シリカ溶液のゲルの収縮が25%以上になるとサンドゲルの強度低下が著しくなるから25%以上の収縮量に相当するシリカ粉体を加えることに着目した。例えば28%の収縮を生ずるなら、体積3%に相当するシリカ粉体を加えればよく、35
%の収縮量ならば10%の粉体を加えれば良い。粒径の大きな地盤や空隙の大きな地盤ではホモゲルの収縮が大きく影響するため、その20%以上の収縮量に対するシリカ粉体を加えることもできる。この場合、シリカ粉体がシリカ溶液との反応性が少ない場合はゲル化時間の短縮などの影響が少なくてすむ。その浸透性については土の粒径とその粒径の空隙に浸透しうる粉体の粒径はすでに懸濁液の浸透可能限界として計算できることが知られているので、それによって表6のセメント以外の粉体を選定すれば良い。このようにすればゲ
ルの収縮が殆どないゲルを土粒子間に充填して耐久性のある地盤を形成できる(請求項10、表5、6)。

懸濁液の注入可能限界(グラウタビリティー):
懸濁粒子の粒径分布の85%径(D85)、95%径(D95
地盤の粒径分布の10%径(D10)、15%径(D15)とすると、
N1 = D15/D85 ≧ 15
N2 = D10/D95 ≧ 8
が満たされないとスムーズに浸透できない。
(J.C.king,Proc. ASCE, 1961)コンストラクション1972.1〜1974.7
現場技術者のための薬液注入工法連載No.1〜27;島田俊介、兼松陽著
この場合、シリカ溶液の濃度は0.4〜3%程度の薄い濃度でこれらシリカの粉状体、或いはマイクロバブル或いは粘土とマイクロバブルを混入して用いる事ができる。マイクロバブルは希釈したシリカ溶液中のシリカ分のゲルが表面に付着してマイクロバブル長期に亘って逸出することなく地盤を不飽和化するのに効果があると思われる。(表1)
マイクロバブルをシリカ濃度の濃いシリカ溶液中に含ませた場合、マイクロバブルは強度のあるシリカ溶液中に包含されるため地震に対する抵抗は固結土の強度で決まってしまうことが判った。それに対してシリカ濃度が極めて薄い場合はマイクロバブルの周辺のシリカゲルは極めて弱いため変位に対して追随性があり地震動による間隙水圧が直接マイクロバブルに作用してマイクロバブルが変形して間隙水圧の上昇が妨げられて液状化が起こりにくくなる効果が生ずる。同じ現象はマイクロバブルと粘土を混入しても同様に起きる。また薄いシリカ液に増粘剤を加えることによってシリカ濃度が薄くても地下水で希釈されにくいシリカ溶液を作ることができる。マイクロバブル、粘土のいずれ又は両者に増粘剤の添加は効果的である。このためシリカ濃度は3%以下、好ましくは2〜0.4%くらいが
適切である。またこの濃度ではほとんど中性領域でゲル化時間を長時間迄得られるので、環境の点からも好ましい(請求項3)。
図36(b),(c)ではシリカゾルのゲル収縮が20%(ガラス製メスシリンダー法)付近までは強度が増加し続け、その後固結砂の強度がピークから減少に転じている。その時期はゲル化後ほぼ200日であることから、シリカグラウトのシリカの溶脱と体積変化と経時的強度
変化がそれぞれ独立して存在しているのではなく、互いに関連し合って、固結土の経時耐久性に影響していることが判る。
活性シリカコロイドはホモゲルの収縮が少なく、サンドゲルは強度が増加し続ける。しかしシリカ濃度が高いわりには強度発現が遅い。それに対して活性複合シリカはシリカコロイドと水ガラスの濃度と配合比率によって、そのゲル化時間もホモゲルの収縮もサンドゲルの強度もはシリカゾルから活性シリカコロイドまでの範囲を取ることができ、コロイドと水ガラスの比率はコロイドが少なくなる程シリカゾルの特性に近くなり、コロイドの比率が大きくなるほどシリカコロイドの特性に近くなることが判った。
図36(b)、図37は活性複合シリカの長期強度を示す。即ち、低シリカ濃度でも強度発現
が早く強度の低下しない処方を得ることができることが判る。(図39(a)〜(d)、図39、図49(b))
活性複合シリカは、コロイドの比率が小さくても、その複合シリカのゲルにおいては、大きなコロイドを核にして小さなシリカが吸着し、コロイドが生長すると思われる。このため水ガラスに起因する小さなシリカ分が多くても大きなシリカコロイドの耐久性効果が顕著になる。このように複合シリカは、シリカ濃度、コロイドと水ガラスの配合比率を調整することにより、ゲルの収縮は図36(b),(c)のシリカゾルから活性シリカコロイドまで
の幅の中、又ゲル化時間は図3の斜線の範囲で調整でき、従って、強度の最大値の範囲は
シリカゾルの上限から活性シリカコロイドの上限の範囲まで任意に調整でき(図36(b)、
図37)、かつ最小強度は表1の低濃度の固結性の最小値まで強度を任意に調整できること
が判る(図37)。
またシリカゾルにコロイドを加えることによりシリカゾルの強度の低下領域においても強度増加、或いは最終的強度が一定に収束する配合領域を得ることができる(図42、図43、図53、図54)。また活性シリカコロイドのシリカ濃度が高い割には強度が低く強度発現が遅い欠点を解決できる。このようにしてシリカ注入液(の濃度と組成)の経時的強度範囲を注入目的に対応した耐久期間に持続するように設定することができることが判る。
この活性複合シリカグラウトによる固結土の強度は主材のシリカゲルによる粘着力の付与の他、小さなシリカのシロキサン結合の進行に伴う体積収縮によって、土粒子を拘束する効果によることが判った。さらには、活性複合シリカに含まれる活性シリカコロイドがゲル中で骨格構造を形成し、体積収縮量を調整する役割も担っているため、活性複合シリカはある程度の収縮は生じるものの過剰な体積変化を生じず、かつ強度を増加する配合を得ることができることが判った(図36(c)、400日以降、体積変化8%程度に収束)、このため活性複合シリカは活性シリカコロイドよりも低シリカ濃度で強度発現は早く、経時的に改良効果(強度)が安定する傾向を示す。(図36(b)、図39(a)〜(d)、図49(b)、図53、図54)
また活性シリカコロイドは粒径が大きく(表5)、水圧に対するゲルの抵抗が大きく(
図38)、ゲルの収縮がなく(図34(b)、図36(c))、シリカの溶脱が無視できるほど小さいため(図34(b))シリカ濃度が10〜30%で恒久止水並びに岩盤止水に適している。また貯
水池や廃棄物処理や有害物の遮水壁や液化ガス等の燃料の地盤中への貯留のため遮断壁の
用いることができる。
耐久シリカグラウトとして注入目的に対応した耐久期間に対して上述の1つ又は複数の
耐久期間に対応する耐久強度を得られる配合からなるグラウトを用いることができる。
図33の注入材のゲルのシリカの溶脱率の9,000日までの値を示す。図34に酸性シリカゾ
ル並びに活性シリカコロイドの9,000日までの体積変化率を示す。
図35(a),(b)並びに、図36、図37、図39にそれぞれ酸性シリカゾル注入材、活性シリカ
コロイド並びに活性複合シリカによる固結豊浦砂の9,000日までの強度変化を示す。
[耐久性の向上]
シリカ溶液を粗粒土、或いは大きな空隙、或いは地下水の流動している地盤においては、以下の(a)〜(d)のいずれかの方法で、ゲルの収縮を低減してゲルの強度を高めるか、水圧に対する抵抗性を高めるか、地下水に対する注入液の流動性を低減して、固結砂の強度低下を低減することを特徴とする地盤改良工法である。図49(a)、図53よりシリカ
濃度を高くすると収縮が大きくても、その剛性が高くなり、強度低下が抑制されることが判った。
(a)シリカ濃度を高める(図38、図43、図49(a)、図53)。
(b)モル比を高くする、コロイド濃度を高くする(図36、図41、図42、図43、図53、図54)。
(c)シリカの微粒子を添加する(表6)。
(d)一次注入を行い地盤の均質化と透水性の低減と地下水の流動化を低減する(図16(c),(d))。
(e)増粘剤をシリカ溶液に加えることにより、地下水による希釈を低減させることができる。増粘剤としては高分子ポリマー。例えばポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、粘土等がある。
上記シリカ溶液において、シリカ溶液がシリカコロイドと水ガラスに起因するシリカ分からなる非アルカリ性シリカグラウトにおいて、該コロイドとして、水ガラスに塩を加えてコロイド化したシリカ分(析出シリカ又は塩析シリカ)(表6)を加えることによって
、コロイド分を増加させて耐久性を向上することができる。
上記シリカ溶液においてコロイド濃度を高めるために、シリカの微粒子として、ホワイトカーボン、微細化シリカゲル、析出シリカ(塩析シリカ)、粘土を加えることによって、シリカコロイド分を増加させて、ゲルの収縮を低減し、かつ耐水圧性を高め、耐久性を向上させることができる(表6)。
ここで析出シリカとは水ガラスに海水や多価金属塩を加えて塩析して析出するシリカ微粒子をいう。粘土のコロイドの大きさ5μ以下(粘土ハンドブック 日本粘土学会 技報堂P.114、昭和42年1月15日、粘土の粒径5μ以下(土木学会)
シリカグラウトによる耐久性は注入した地盤の耐久性を意味するものである。しかし注入材の耐久性は配合処方によって経時的に物性が変化するのみならず注入材そのものの耐久性が優れていても注入地盤の耐久性に及ぼす要因は、前述のように多数存在するから注入地盤の耐久性を判断するのが困難であった。
このように耐久シリカグラウトを用いた耐久性地盤改良が困難な最大の理由は注入地盤の状況によって長期間の耐久性が変化することによる。
本出願人は永年に亘るシリカグラウトによる注入地盤の長期耐久性の研究を行った結果
、実験例に示すようにシリカのホモゲルとシリカによるサンドゲルの耐久性が異なることを見出した。(請求項9〜13)
即ち、シリカのホモゲルの経時的耐久性は
(1)非アルカリ領域ではシリカの溶脱はほとんどない。
(2)ホモゲルは経時的に収縮率、強度は変化するがその値は配合によって決まる。
(3)ホモゲルは経時的に強度が増大するが強度の低下は見られず配合組成と濃度によって経時的にほぼ所定の値を示す。そしてホモゲルの最終的耐久性(強度と収縮)は組成と配合によってほぼ一定になることが判った(図41〜図47)。
一方それを注入したサンドゲルは、ホモゲルが配合によって経時的収縮と強度が所定の値になるにも関わらず注入された土の種類、密度等固結する土の状態によって耐久性が異なることが判った(図7、図35〜図39)。
そこで固結する土の状態と関係のなく一定の耐久性を示すホモゲルに着目して、土の状態に対応して異なるサンドゲルの耐久性を把握することにより、耐久期間中の強度が低減しない期間並びに供用期間中所定の強度を維持できる固結土強度と期間を推定できることが可能になった。また固結土強度を短期間に推定するにはサンドゲルの加温養生による促進試験が有効であるがサンドゲルに比べてホモゲルは容易に促進ができるので固結土の強度の推定が容易になった(表3(a)、(b)、図45)
〔実験例〕
以下に実験例を示す。
1.使用シリカグラウトの種類と組成(表7)
ここでモル比とは、n=重量比(SiO2/Na2O)×1.032 この式より算出している。
2.ゲルタイム
pHは図3に示すように非アルカリ性(弱アルカリ〜酸性:pH=1〜10)の範囲シリカ濃度は0.4〜30wt%とし、ゲルタイムの範囲は図3に示すように瞬結から6700分とする実験に用いた水ガラスと酸の混合液(シリカゾル:記号AS)のシリカ濃度別のゲルタイムを図40に示す。瞬結とは通常ほぼ10秒位内のゲル化時間をいう。
3.ホモゲルの体積変化の特性
図41〜43に示す。本実験ではホモゲルの円柱供試体で実施した。
これより、いずれもシリカ濃度が低いほど収縮が大きくシリカ濃度が高いほど収縮は小さくなる。
また活性複合シリカ系(HS)はモル比が高いほど収縮が小さく、活性コロイド系は極めて少ない。(ガラス製メスフラスコでは膨張率は0〜+1%程度膨張であるが、円柱供試体では5%収縮する。またゲルの収縮はガラス製メスフラスコの場合よりプラスチック製シ
リンダー容器を用いた円柱状供試体の方が大きくなることが判った。ゲルそのものの収縮はプラスチック容器の方が対応性があると思われるが土粒子はシリカなので地盤中のゲルの収縮はガラス製メスフラスコのほうが実際に近いものと思われる。)
それに対して酸性シリカゾルでは図42、図43より、SiO2濃度が同一の場合、水ガラスのモル比にかかわらず最終体積変化は同程度であることが判った。
また図41(1)より、12%〜6%のシリカ濃度で400日収縮25〜28%である。
一方、活性複合シリカ系は酸性シリカゾルと比べて最終体積変化量は小さくコロイド量が多いほど、即ちモル比が高いほど、最終体積変化は減少する(図41、図42、図43)。
同一のモル比あるいは、同一のコロイドと水ガラスの比率(以下、コロイド含有率)における活性複合シリカは、薬液の濃度が高くなるほど、体積収縮量は小さくなる傾向を示す。
また、注入材のシリカ全量が同一の場合、コロイド含有率が高いほど、体積収縮量は少なくなる傾向を示す。
また図41では活性複合シリカの体積変化は、15%〜9%のSiO2濃度で400日収縮 18%〜21%である。複合シリカの収縮率はモル比が高くなるほどCSに近づく(図41(3))。
また図43はシリカ濃度と最終体積変化率(ενχmax)の関係を示す。

…式(3)
ここで、
ενχ:材令χ日の体積変化率(%)
a:定数
χ:材令(日)
ενχmax:最終変化率
4.ホモゲルの強度特性
ホモゲルの一軸圧縮試験例を図44〜47に示す。
図44より、ホモゲルの一軸強度はシリカ濃度や主材のモル比、コロイド含有量に関わらず経時的強度低下は見られず最終的にはそれぞれ一定の値となる傾向が判る。
シリカゾル(AS)ではシリカ濃度が同じならモル比の違いで最終的な一軸強度の違いはみられず、活性複合シリカ(HS)ではコロイド含有率が大きくなるにつれて強度は低くなることが判る。
図45にホモゲルの一軸圧縮強さと変化係数の関係を示す。
E50pq=0.006×qupg 1.41 …式(4)
の関係にある。
E50pg:ホモゲルの変形係数(MN/m2
qupg:ホモゲルの一軸圧縮強さ(kN/m2
図46はSiO2濃度と材令400日におけるホモゲルの一軸圧縮強度の関係を示す。
いずれも一軸圧縮強さはシリカ濃度の増大に伴い高くなるがシリカゾルでは水ガラスのモル比によらず、シリカ濃度に依存する。複合シリカではコロイド含有量が大きくしてモル比を高くすると、強度発現の割合が低くなり、水ガラスの濃度を増やしてモル比を低くすると強度発現の割合が高くなる。
図47はホモゲルの破壊ひずみεf(%)と一軸圧縮強さの関係を示す。
これよりモル比、コロイド含有量やシリカ濃度によらず、式(5)の関係にあることが判
る。
qupg=467×εf -1.83 …式(5)
qupg:一軸圧縮強さ(kN/m2
εf:ホモゲルの破壊ひずみ(%)
4.サンドゲルの特性
4−1 試験法
表7のシリカグラウトを用いて表2、図48の豊浦砂を用いてシリカ溶液を間隙に充填して
供試体(表8)を作製した。
4−2 サンドゲルの一軸圧縮強度qupgの経時変化(図49〜54)
酸性シリカゾルグラウトはホモゲルの一軸強度が低下しないにも関わらず(図44(a))
サンドゲルの強度低下がみられる。強度低下はシリカ濃度が低いものほど大きく、かつ早い段階でおきた(図49(a))。
一方、活性複合シリカや活性シリカコロイド系の場合、シリカ濃度に関わらず改良効果は低下せず安定となるサンドゲルを得る事ができる(図49(b),(c))。これらの強度特性
はシリカコロイドの含有量による複合比率でコントロールできる。
図50はサンドゲルの一軸圧縮強度と変形係数を示す。サンドゲルの一軸圧縮強度と変形係数の関係はSiO2濃度やモル比、コロイド含有量にかかわらず次式の関係がある。
E50sg=0.02qusg 1.56 …(6)
E50sg:サンドゲルの変形係数(MN/m2
qusg:サンドゲルの一軸圧縮強さ(kN/m2
図51はホモゲルとサンドゲルの一軸圧縮強度を示す。
これよりホモゲル強度に対するサンドゲルの強度の増加割合が判る。
図53(b)はサンドゲルの一軸圧縮強度の平均値が最大となった時のシリカ濃度と一軸圧
縮強度qusgの関係を示す。
図53(a)より、複合シリカの体積変化は25%以下で図53(b)より強度変化は殆ど見られないことが判る。図52より、酸性シリカゾルグラウトの場合、モル比に係わらず強度は同程度になり、活性複合シリカではコロイド含有率が増えると低くなるが、水ガラス濃度が高くなると強度が高くなる。従って収縮量の低減、強度の低減を防ぐにはコロイド含有率をたかくすればよいことが判る。
ホモゲル・サンドゲルの強度はコロイド含有率によらず、主として水ガラス(シリカゾル)濃度によって決まるため、水ガラス濃度によって目標強度を満足する濃度を使用する(図52)。図53はシリカ濃度と収縮率と強度比を示す。
注入材のシリカ濃度に関わらず、コロイド濃度が高いものほど体積収縮量は少なくなる。またシリカ濃度を高くすれば体積収縮率が大きくても強度低下は生じにくいことが判る。それはシリカゲルによる土粒子同士の接着強度が高くなるためと思われる。
図53(a)はシリカ濃度とホモゲルの最終体積変化率(図41〜図43)の関係を示す。図53(b)はシリカ濃度とサンドゲルの強度比の関係を示す。
強度比は養生期間中のサンドゲルの一軸圧縮強度(平均値)が最大となった値qumax
材令400日(平均値)の値qu400dayを除した値である。
これらから活性複合シリカと活性シリカコロイドでは強度低下は見られないサンドゲルを得ることができることが判る。一方酸性シリカゾルは強度低下がみられ、シリカ濃度が低くなるほど大きくなることがわかった。しかしシリカ濃度が10wt%よりも大きくなると
、好ましくは12%以上になると強度低下は極めて少ないことがわかった。
図53より、SiO2の濃度が5〜15%でホモゲルの体積変化率が30%以下であって、サンド
ゲルの強度が400日までの最大強度との強度比が100%〜80%で所定の強度に収束する耐久シリカグラウトとすることができる。
5.ホモゲルとサンドゲルの耐久性の関係と固結土の耐久強度の予測
図54はホモゲルの収縮率とホモゲルの変形係数からサンドゲルの耐久性の関係を見出した試験例である。図54(a)はシリカゾルのホモゲルの経時的体積変化率ε(%)(図41
)に対応したホモゲルの一軸圧縮試験(図44、図45)におけるホモゲルの変形係数(図45
)をそれぞれ縦軸と横軸にプロットしたものである。そしてホモゲルは収縮と共に(経時的に)強度が上がっているにも関わらず、サンドゲルはホモゲルの収縮が一定以上になると強度が低下する。それを曲線上にX印で示す。その境界線を実線で示す。実線上にサン
ドゲルが強度低下する分岐点がある。シリカゾル(AS)の場合、シリカ濃度が低いと低い収縮率で強度低下が生じ、シリカ濃度が高いと分岐点の収縮率が大きくなることが判る。
図中の点はサンドゲルの強度が増加或いは一定値を保持している状態を示し、Xはサン
ドゲルの強度低下が生じている状態を示す。
図54(a)の白三角でプロットしているものは、酸性シリカゾルのモル比3.75シリカ濃度
が12%のものである(図49(a)AS 12%)。
養生に伴いホモゲルの体積変化率は大きくなる(図41(1))とともにホモゲルの強度
(図44)も変形係数も大きくなり(図45)サンドゲルの一軸圧縮強度も増加するが(図49、図50)、ホモゲルの体積収縮率が過大に大きくなるとサンドゲルの一軸圧縮強度が低下することが判った(図49(a))。
図54(b),(c),(d)は図49(a)のシリカ濃度6%の場合を示す。
図54(b)はサンドゲル強度と養生日数の関係、図54(c)はホモゲルの体積変化率と養生日数の関係並びにホモゲルの一軸強度の変形係数と養生日数の関係、図54(d)はホモゲルの
体積変化率とホモゲルの変形係数の関係を示す。
強度の分岐点450kN/m2(イ)が体積変化率(ロ)18%で、養生日数10日付近で生じ、
その時の変形係数が0.3MN/m2(ハ)(ニ)であることが判る。
またホモゲルの変形係数が1.0MN/m2近く(ト)であっても体積変化率が30%(ヘ)(
チ)ならば、サンドゲル強度(ホ)は300kN/m2に低下することが判る。
このような図はそれぞれの配合で画くことができるがここでは省略する。
図54(e)は図54(a)を半対数グラフで示したものである。
この図より変形係数と体積変化率の関係とサンドゲルの強度低下の分岐線をほぼ直線で示すことができることが判る。これより個々のシリカ濃度において初期の強度変化、例えば1週強度と28日強度の変形係数の勾配が判れば分岐点の体積変化率になるまでの変形係
数を知ることが判る。
図54(f)は活性複合シリカと活性シリカコロイドの例を示す。これより活性複合シリカ
はゲルの収縮が少なくサンドゲルが強度低下を生じない領域に位置する固結体を得ることができることが判る。また活性シリカコロイドは全く強度低下が生じないため限界線までに至らないことが判る。又活性複合シリカはコロイド量を増やしてモル比を高くすることにより活性シリカコロイドの領域まで調整できることが判る。
一方、ホモゲルの変形係数とホモゲルの一軸圧縮強度はほぼ図45の直線上にのることが判る。本発明者はすでに上述の実験で明らかにした通りホモゲルはサンドゲルと異なり配合によって一定の値をとることができるという特性がある。
これにより図54(e),(c)よりシリカゾルにおいてはシリカ濃度により、活性複合シリカ
コロイドではコロイドとの複合比率とシリカ濃度により強度低下しないホモゲルの収縮率の範囲内の変形係数値を得ることができ(図54(f))、その結果、図45並びに式(4)からホモゲルの一軸圧縮強度を得ることができる。
さらに図54(e),(f)より養生日数における強度低下を生じない分岐点に到るまでの養生
日数に対応したホモゲルの変形係数(→一軸圧縮強度)が判るから注入目的に対応した供
用期間又は期限耐久期間或いは恒久耐久期間におけるホモゲルの変形係数(→一軸圧縮強度)を知ることができる。(図45)
次にホモゲルと固結砂の強度の関係から耐久期間中或いは最終的に収束する強度を知ることができる(請求項7) 、(図51)。
又、図54(e),(f)より強度低下しないサンドゲルはホモゲルの体積変化率のみに一義的
に定まるのではなく、ホモゲルの変形係数と関係があることが判る。即ち、ホモゲルの体積変化率が20%以上でも変形係数が大きければ、即ち剛性が大きければ強度低下がないサンドゲルが得られることが判る。
これは、ホモゲルの剛性が高ければ土粒子間同士を強固に結合して骨格構造を作って間隙のゲルが収縮しても強度低下の影響を低減するものと思われる。
この強度低下を生じない直接の範囲は、図54(e),(f)より以下のように言うことができ
る。半対数グラフで縦軸をホモゲル変形係数E50(MN/m2)の目盛とし、横軸をホモゲルの
体積変化率εv(%)の目盛とすると、E50(0.1 MN/m2) 、εv(20%)のポイントから
50(100 MN/m2) 、εv(30%)のポイントを通る直線より左の領域にE50、εvがある
ホモゲルからなるサンドゲルの強度低下がしないシリカグラウトであり、又右の領域にあるならばサンドゲルの強度が低下するシリカグラウトであることが判る。
このように、(0290)に述べた手法によりサンドゲルが強度低下しないホモゲルの収縮率の範囲内の変形係数を得てサンドゲルの強度を知ることができる。また、図39(d)
は実施工における異なる地盤条件下におけるシリカ濃度を変化させた場合のサンドゲルの一軸試験結果を示す。それぞれのシリカグラウトの配合は判っており、そのホモゲルのシリカ濃度、体積変化、変形係数も図54と同じように示すことができる。
従って、種々のシリカ濃度に対応した多数の曲線の強度の違いは、それぞれの現場の土質条件の違いである。従って、適用するシリカ濃度の配合を設定すれば類似の土質条件に対応した実際の現場で得られるサンドゲルの強度を推定することができる。
上述したように、ホモゲルの強度はサンドゲルの強度と異なり経時的に一定の値を得ることができるので、その経時的値をとれば所定の耐久期間における強度を推定できる。また収束強度を得れば最終的な地盤強度を得ることができ、ホモゲル強度の経時的変化はほぼ一定値になるまでの実測値でも良いし、また促進試験による実測値でも良い(図57)。勿論サンドゲルの実測値や促進試験による実証値を用いても良い。またサンドゲルの初期強度、例えば1週強度、28日強度等の強度からその注入材の種類と濃度の傾向から所定の
耐久期間における強度を予測することもできる。
いずれにせよホモゲルの強度変化並びに収縮率は種類と濃度のみで経時的変化を測定できるし、また加温養生による促進試験で容易に測定できるので簡便であることが判る(図57)。
上述の強度変化が生ずるシリカグラウトの配合設定にあたって、所定の期間において、所定の強度を得られることを確認するのに常温で長期間にわたって試験するのでは注入設計時に間に合わないことになる。このためには、化学反応は温度が高くなると促進されるというアレニウスの化学反応速度論をベースにして固結砂の標準養生(20℃)の強度変化と養生水温度を上げた促進養生の強度変化を時間軸に移動させて促進倍率を求め、一軸圧縮強さの経年変化を知ることができることが判った。
化学反応の速度は温度によって影響され、温度が高ければ反応速度が早くなるところから地盤注入に、上記の耐久性の変化を知るのにアレニウスの化学反応速度論を適用できるが、基本的には加温養生することで化学反応が促進することで温度による促進倍率を知ることで経時的な変化の値並びに最終的な値を知ることができるので、ここではいずれも加温養生による促進試験として以下に示す。
縦軸に強度を横軸に時間をとって時間軸上を移動することで重ね合わせることによって
、標準養生強度を促進養生から予測することが可能となる。
以下に、活性シリカコロイド系を例にして説明する(図55、図56)。
活性シリカコロイド系の固結豊浦砂の強度は、標準養生では1000日以上の長期にわたって強度が大幅に増大し続ける。(図55のプロット)養生温度を上げることで化学反応や物理的変化を促進し、少ない時間で強度の経時変化を把握して長期強度を予測できると考えて促進実験を行った。(図56のプロットと実線)
図55の実線は、図56の促進試験結果の実線を図中の倍率で標準養生に挿入したものである。この倍率が、養生温度を50℃にした促進倍率と考えられる。
このようにしてシリカゾルグラウトと活性シリカコロイドについて常温試験と促進試験を行い、その結果を図35並びに表3に示す。このようにサンドゲルを加温することにより
長期の強度を予測することができる。従って、図35、図36において、促進倍率は養生温度を20℃、40℃、55℃、65℃とした場合の促進倍率を表3に示す。この方法により、10000日以上の強度でも促進試験によって知ることができる。図35には、その促進試験に20℃の養生に換算した値をグラフ化してある。強度低下率(強度増加率も含めて)と体積変化率は化学変化の進行によって生ずる現象であるから強度の場合と同様に加温養生によって耐久期間に対応した数値を把握することができる。本発明者は更に促進試験はサンドゲルのみならずホモゲルの強度や収縮、酸性ゲル中のコンクリートへの影響等において同様に促進試験が可能であることを見出した。図57はシリカゾルのゲルの促進試験の例である。
シリカ濃度6%のホモゲル一軸圧縮強度試験についてシリカゾルと複合シリカの常温養
生(20℃)と加温養生(55℃)の促進試験結果を表3(b)に示す。
これにより、この例ではシリカゾルのホモゲルの強度は常温の10倍の日数で複合シリカのホモゲルの強度は14倍の日数で同一強度に達しており、促進試験が効果的なことが判った。ゲルの経時的収縮もほぼ同程度であることが判った(図57(b))。またサンドゲルの
促進試験では強度低下の促進も図57(c),(d)より確認することができた。サンドゲルに比
べてホモゲルは促進試験が容易でまた強度は配合によって一定値を得られるのでホモゲルの強度並びに収縮量から容易にサンドゲルの強度や強度変化の有無の予測もできるし、また土の状況によって土の状況にかかわる定数を用いて固結土の強度予測をすることができることが判った。
従って、定量的評価において耐用期間に対して加温養生による促進法を用いることにより耐久性の定量的評価が可能になる。
同様の理由により、加温養生による促進法は以下を対象とする耐久期間に対応した耐久性の定量的評価がが可能になる。(請求項13、21)
(1)固結物(サンドゲル、ホモゲル)の強度変化
(2)固結物からのシリカの溶脱
(3)ホモゲルの収縮
(4)化学物質の固結物の影響(環境条件、地盤条件)
に適用することができる
[耐久性の定量的評価]
シリカ溶液による固結土の耐久性に及ぼす要因は発明が解決しようとする課題の項に示した通りであるが、強度や所定領域への浸透固結性に対しては、pH、シリカ濃度、ゲル化時間、土中ゲル化時間、ゲル又は固結砂からのシリカの経時的溶脱、シリカゲルの収縮、シリカゲルの強度、固結砂の強度、シリカゲルの構造的安定性、耐水圧性等が影響し長時間のゲル化時間を用いた注入工法と注入速度が影響し、さらに環境に対しては、pH、魚貝類等に対する安全性、水質等に対する安全性、酸の種類と濃度、コンクリートに対する安
全性等が影響する。
本発明者はこれらの適用条件に対応して、かつ経済的に所定の目的を達成しうるシリカグラウトとその適用法を開発したものである。
上述したように、シリカ溶液は耐久性の点からそれぞれ異なる特性があるものの、薬液注入を用いた耐久性地盤改良が、発明が解決しようとする課題の項に示した多様な条件下において、経済性を考慮した(即ち材用の使用量を出来るだけ少なくした処方)耐久条件を満たすシリカグラウトの適用に当っては注入目的に応じた耐久条件の基準を定量的に設けて、それに対応したシリカグラウトの処方と適用が重要になる。
また耐久性を定量的に評価することにより経済的な処方を用いることが可能になる。このように本発明は耐久性地盤改良を行うためには耐久性に影響する要因を明白にし(発明が解決しようとする課題の項参照)、かつ耐久性そのもののレベルを明白にしてどのようにシリカ溶液の処方を行うかによって耐久性グラウトの適用法を具体化することが必要である。
このため本発明者は、注入目的に応じた改良レベルを定量的に評価することにより経済的配合を設定することを可能にした(表4)。また注入に当たって注入後の対象地盤の強
度変化を加味して供用期間中の必要とする強度を期待できる最適な経済的なシリカグラウトを設定することが好ましい。このための経時的耐久性評価の基準となるシリカ溶液の配合処方として初期強度、最終強度、最大強度、供用期間強度、収束強度のいずれか1つ又
は複数を基準強度として供用年数に対応する耐久強度が得られる配合を用いることを特徴とする地盤改良工法を開発した。上記シリカグラウトの耐久性特性と耐久レベルと耐用期間を組み合わせて適用することにより、耐久条件に応じた経済的適用が可能になった。(請求項14〜17)
前述したように、注入材そのものの耐久性は
(1)全シリカ量が大きいほどシリカゲルの収縮は少なくなる。
(2)酸性シリカ溶液において水ガラスに起因するシリカ濃度が高くなるにつれ強度が上がる。
(3)コロイドの濃度を高くするにつれ収縮が低減して、耐久性が向上する。コロイドの含有比率を調整して種々の耐久特性をうる。
(4)活性複合シリカの強度は水ガラスに起因するシリカの濃度に主として依存する。シリカの収縮を少なくして強度低下を低減あるいは一定にする効果は全シリカ量においてコロイドを増やすことによる。
本発明者は耐久シリカグラウトを地盤条件に対応して、その組成を選定するに当たって以下の手法を見出した。(請求項4、10〜13、20〜22)
(1)複合シリカグラウトにおいて、サンドゲルの強度は主として水ガラスの含有量によって決まる。一方、コロイドはゲルの収縮量を低減する効果はあるが強度増加には殆ど寄与しない。そしてシリカ溶液中に一定量含有すれば水ガラスの濃度に関わらず収縮量の低減に効果がある。従って酸性複合シリカにおいて、耐久性はコロイドに依存し、強度は水ガラスに依存すれば良いことが判った。しかも水ガラスの含有量が高くなると収縮量は水ガラスの含有量が少ない場合よりも低減していくことが判った。これより水ガラス量を増やすと収縮が大きくなるという考えで全シリカ量におけるコロイドと水ガラスの比率を一定にする必要はなく、サンドゲルの耐久性と固結強度を高めるためにコロイド含有量を一定に設定しておき、水ガラスの含有量を高めることにより耐久性のある固結強度の高いサンドゲルを得ることが判った。上記において、コロイド量はシリカ溶液100cc当り0.5〜15gの範囲で土の粒径や透水係数や空隙状況(表2)に応じて選定し、水ガラスの使用量は要求される強度に応じて定めれば良い。粒径が小さく透水係数が小さく空隙が小さければ、
コロイド量は少なくてもゲルの収縮の影響は少ない。
この場合、水ガラス量を多くしても砂との結合が大きくなるためたとえ収縮が存在しても骨格が強化されるため耐久性が得られることが判った。この場合、一定のコロイド量の値はシリカ溶液100cc中0.5〜15gの範囲とし地盤条件、粒径、土の密度によってその量を
選定する(請求項16)。
(2)地盤条件、粒径、密度に対応して、上述したように粉体を酸性シリカ溶液に加えて収縮を低減する。粉体の選定と添加量は前述した通りである。
(3)サンドゲルの強度並びに耐久性は地盤状態によって異なるが、ホモゲルの強度や収縮は組成と配合によって経時的に一定の値になるので、ホモゲルそのものの耐久性から注入地盤の状態から固結土の耐久性を推定できる。(請求項11〜16、19)
これらの研究に基づいて、シリカの組成と濃度、全シリカ量におけるシリカ濃度、コロイド濃度と水ガラス濃度とゲルの体積変化と強度から耐久性の評価を数値的にレベルで表記して注入目的に応じた耐久性が得られる配合設計を行うことができる(表4)。
耐久性評価項目を設定して、表4に注入目的に応じた耐久性改良効果の評価レベルをシ
リカゲルの体積変化を基準として表4に耐久性向上の補助手段を追加、定量的評価の例を
示す。(請求項14〜17)
以上のようにして、活性複合シリカ或いはシリカゾルにおいて耐久性を定量的に評価することにより経済的な配合が決定することができる。活性複合シリカにおいて、活性シリカコロイドの含有量による体積収縮量を調整し強度低下率を改善する。
図42はモル比が3.75と4.35の水ガラスを用いた酸性シリカゾルのゲルの収縮率並びに
モル比3.75の水ガラスとシリカコロイドからなる酸性複合シリカのゲルの収縮率を示す
。これより、同一のモル比あるいは同一のコロイドと水ガラスの比率(以下、コロイド含有率)における活性複合シリカは、薬液の濃度が高くなるほど体積収縮量は小さくなる傾向を示す。また、注入材のシリカ全量が同一の場合、コロイド含有率が高いほど体積収縮量は少なくなる傾向を示す。
図41〜図43、図53より、注入材のシリカ濃度に関わらずコロイド濃度が高いものほど体積収縮量は少なくなることが判る。
活性複合シリカグラウトにおいて、図42、図43、図44、図46、図52、図53、表4より耐
久性のレベルに合わせコロイドの使用量を決定し、さらに図39、図49、図51、図52、図54から必要強度に応じて水ガラスの使用量(シリカゾル濃度)を調整すればよいことがわかる。さらに図54によって、サンドゲルの強度低下の限界内であることを把握して表4の耐
久レベルの定量的評価により耐久性を確認して耐久期間に要求される配合設計を行うことができる。
表4は耐久レベルの定量的評価の例を示す。耐久レベルを固結度の強度低下率、ホモゲ
ルの体積変化、固結体(ホモゲルまたはサンドゲル)からのシリカの溶脱について定量化して注入目的と耐久期間(供用期間、時限耐久)に応じて評価基準とする地盤注入工法を示し、経験と実績によって数値の選定と設計の緻密化が可能となる。
上記耐久性の強度の初期値は1年以内の期間における値とする。通常は7日、或いは28日強度とするが目的によって、選定することができる。
表4に示した耐久性の定量的評価の数値は一例である。耐久性は目的に対応した耐久性
期間によるものであるから、それに対応したレベルで評価の数字を設定する。耐久性レベルとそのレベルと耐久性を左右する項目を強度変化率、収縮率、シリカの溶脱率とし、耐
久性を要求する期間を恒久耐久性、時限耐久性、供用耐久性、収束耐久性とし、強度低下が50%以下にならないものを耐久性があるグラウトと位置づけ、50%以下のものは耐久性
があるグラウトとはしない。レベルIは経時的に耐久性が増加、或いは一定値のまま持続に到る収束耐久性とする。(請求項12〜14、16、17)
レベルIIは供用期間中、耐久性は永続的に一定値を保持するか、或いは低下の傾向があっても、いずれは一定値になる。また強度がピークに到り、その後、低下する場合でも所定期間、即ち供用期間中、所定の強度で持続するものは時限耐久性ということができる。供用期間中は耐久条件を満たすレベルを云う。レベルIIIは、シリカの溶脱が殆ど無視で
きるほど小さく固結の持続性は十分得られるものの、耐久性の低下は避けられず、所定期間中耐久性を維持できるか不明確なもの、或いは環境保全性の点から不明確なもの、しかし固結性は、耐用期間中は持続性の予測できるので長期仮設工事に用いられる。レベルIV、シリカが溶脱し、耐久性の劣化の予測がつかないので短期仮設に適用する。
また耐久性は土質の密度、粒度によってはホモゲルの体積変化や固結砂の強度に影響し強度低下率にも影響する。また全シリカ量におけるコロイドの比率を高めれば体積変化も強度低下も改善或いはほぼゼロになる。
表4より、レベル1、レベル2における注入材におけるコロイド含有量はシリカ溶液100cc当り0.5〜15g、ホモゲルの体積変化は0〜20%(メスフラスコ測定法)であり、コロイド
量はゲルの収縮を少なくすることにより耐久性を向上させる。地盤状況、空隙によって選定し、ゲルの収縮は空隙の大きな地盤や粗い地盤には影響が大きく、細かい地盤では影響が少ないことを考慮してコロイドの量を選定すればよい。一方、水ガラスの含有量は要求される強度によって定める。水ガラス量を多くすることによって収縮が大きくなることはないことが判ったので、以上の設定が可能になった。レベル3における注入材は、シリカ
含有量は水ガラスに由来し、ゲルの収縮が大きくなる。
表4をまとめると以下のことが判る。
非アルカリ性で(pHが10以下)、ホモゲルからの溶脱が5%以内、サンドゲルからの溶脱が10%以内でホモゲルの体積変化がメスフラスコ測定法で0〜20%、並びに/又はプラ
スチック製モールドによる円柱測定法で0〜25%の範囲内であって、サンドゲル、ホモゲ
ルの強度低下がないか、或いは最終的に所定の強度に収束するとみなせる場合には恒久耐久とみなし、本設注入にも仮設注入にも適用できる。また、ホモゲルの体積変化がメスフラスコ測定法で20〜35%並びに/又はプラスチック製モールドによる円柱測定法で、25〜35%の範囲であって、サンドゲルの強度低下があるが限定期間或いは供用期間では固結性が持続するので時限耐久、限定耐久、長期仮設用として適用できる。
しかし、アルカリ性でホモゲルのシリカの溶脱が5〜100%、サンドゲルからの溶脱が5
〜100%、ホモゲルの体積変化が5〜100%の場合耐久性はなしとし短期仮設用とする。
また、非アルカリ性であって大きなシリカと小さなシリカからなる複合シリカコロイドは地盤の空隙や粒径の多様性地下水圧に対して耐久性の点から対応性が優れている。また地盤の空隙や不均質性に応じて微粒子シリカを加えたり、シリカ濃度を高くしたりして一次注入を行うことによってシリカゲルの収縮による影響を低減して耐久性を向上することができる。
特に、上記において大きなシリカと小さなシリカからなる複合シリカコロイドであって、サンドゲルが200日以上で強度が安定している場合は長期耐久性があるとみなせる。(請求項7、12、16)
上述のように、本発明者の研究により、シリカグラウトは、主剤となるシリカの種類やその配合比率やさらに添加材によるゲル化後の体積収縮により長期における強度発現が異なり、またこれらは地盤中の砂の粒度や間隙、即ち密度も体積収縮や強度発現に影響することや土質と共に地盤中の地下水の動水勾配も耐久性に影響することが明らかになった。
また前述した環境保全性、即ち地下水質、水生生物、コンクリート構造物等においても酸性中和剤の種類や量が大きく影響し、またこれらは強度やゲルタイム等、即ち施工法と共に互いに関連するものであることを本発明者は見出した。即ち耐久シリカグラウトと環境保全性と施工法は互いに関連しており、従って、これらと一体となった耐久シリカグラウトの処方と地盤改良工法が要求される。本発明者はこれらの改良目的並びに耐久条件や環境保全性に応じて適切なシリカグラウトの適用を可能にしたものである(請求項26〜31、図79)。
一方、耐久性地盤改良は既設構造物直下やインフラ等の近傍で用いられ、かつ永続的に影響するため酸性注入材を用いる場合、コンクリート等既設構造物や水生生物や人体に対する環境保全性が重要になる。特にコンクリートは、硫酸等酸による影響を考慮しなくてはならない(請求項2、4、14)。
[耐久グラウトと環境保全]
本発明者はさらに環境条件に適合する以下の発明を行った。(請求項7)
1.コンクリート地中構造物に対する安全性
環境性に対する安全性を要求される場合は、以下のいずれかの手法にほるシリカ溶液を用いることを特徴とする地盤改良工法。
(1)酸としてリン酸系を用いるかリン酸と硫酸の混酸を用いてシリカのアルカリ分を中和するに要する硫酸分使用量を低減してコンクリート構造物に対する安全性を確保する。(2)金属イオン封鎖剤を添加する。
(3)コロイドの使用比率を増やして水ガラスの使用量を減らすことによって、酸の使用量を低減する。
2.水質に対する安全性:魚貝類や藻類に対して中和剤としての酸の種類と量や比率を調整したり、或いはコロイドと水ガラスの比率を調整する工法。
モルタル供試体を同体積のリン酸と硫酸を中和剤とする酸性シリカ溶液中に埋め込んで養生するとほぼ1年以内にモルタル供試体表面のしろ色の被覆が形成される。この被覆は
モルタル内部からのアルカリ(Ca)の溶出を防ぎ、かつ硫酸イオンの供試体内部への浸入を防ぐ効果があることが判った。供試体表面の白色被覆の分析値を表10に示す。
白色被覆のX線回折を図59に示す。比較のために硫酸のみの中和剤で酸性シリカ溶液を
作り、同様の試験をしたところ、モルタル供試体は1年で一部損壊した。中和剤としてリ
ン酸(75%溶液)と硫酸(75%溶液)、リン酸と硫酸の比率は75%濃度に換算して全酸量の容量中リン酸15容量%以上、好ましくは50%以上用いればモルタルの硫酸に対する防護効果があることが判った。実験によれば、50%以上の場合はゲル中で16年以上養生しても何ら問題を生じなかった。(請求項7)
同様の効果により、コンクリート構造物周辺部は硫酸系中和剤を用いた酸性シリカ溶液で調整してもよい。本発明に用いられる金属イオン封鎖剤としては、テトラポリリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩(特にナトリウム塩が良い)、トリポリリン酸塩、ピロリン酸塩、酸性ヘキサメタリン酸塩、酸性ピロリン酸塩等の縮合リン酸塩類、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロトリ酢酸、グルコン酸、酒石酸、クエン酸またはこれらの塩類等が挙げられ、実用的には縮合リン酸塩類が好ましい。
また、リン酸系化合物としては、リン酸、各種の酸性リン酸塩、中性リン酸塩、塩基性リン酸塩等が挙げられる。このようにして、環境条件に応じた組成を選定してコンクリート構造物の近傍における耐久性地盤を形成することができる。
また水質に対する安全性として、魚貝類や藻類に対して中和剤としての酸の種類と量や比率を調整するか、或いはコロイドと水ガラスの比率を調整することにより酸の使用量が少なく(反応生成物が少ない)水質の変化が少ない注入材を得ることができる。
[耐久グラウト地盤注入における互いに関連する要素技術とその統合化]
〔統合技術〕
前述したように耐久性に優れた地盤改良工法においては、発明が解決しようとする課題(0020)の項に記載した耐久性に及ぼす要因と耐久性地盤改良における注入条件を明らかにし((1)〜(5))、しかもこれらは互いに独立した要件ではなくそれぞれ互いに関連しあっていることを見出し(0012)に記載の(1)〜(6)の各要素技術を開発し、それを統合して耐久性地盤改良を可能にしたものである。(図79)(請求項23〜33)
〔耐久要因の関連性〕
一般に地盤条件、現場条件、要求される改良効果は設計上与えられており、実施する側が選定できるのは「注入材」の組成や濃度の選定と配合設計、「注入工法」の選定と注入設計、「環境保全性」を満たす注入材の組成、並びにこれらの実証データである。施工の実際においては現場ごとに異なる地盤条件、施工条件、環境条件下で「耐久性を満たすため所定の品質をクリアーする地盤改良を行うには、シリカのゲル化による化学的地盤改良効果が、発明が解決しようとする課題の項に記載した条件によって影響を受けやすく、このため、図79の3つの要件とそれを構成する要素技術が互いに関連し合っており、一方が
良ければ他方が悪いという現象が起きやすいため、現場土を用いて改良目的が得られるように要素技術を組み合わせた配合設計と施工における品質管理を行って、はじめてこれらを統合した耐久性地盤改良工法の確立が可能になる。(図79)
まず、注入材は耐久性が優れたシリカグラウトを用いて注入対象範囲から逸脈を防ぎながら注入するには土粒子間浸透が可能な限界圧力内の小さな吐出速度で注入しなくてはならない(図15)。吐出速度が過大になれば注入液の耐久性が優れていても注入液は脈状に逸脱すれば注入地盤の耐久性は得られない(図16(a))。そのためこのような注入設計が
できる注入工法を用いなくてはならない。
一方、大規模地盤改良工法として経済施工が必要であることから削孔間隔を広げる(1.5〜4m間隔)ことができれば削孔本数を大幅に減らすことができる。この場合、注入ステージの注入量も注入所要時間もきわめて大きいから、長時間の連続注入が可能な超長時間ゲル化時間と広範囲の浸透固結性が可能な浸透固結特性を持ち、かつ耐久性を発現する注入材であることが必要となる。(図4、図32〜57、表11)長時間ゲル化で耐久性を得るに
はシリカグラウトの劣化要因となるアルカリを除去した酸性領域のシリカ溶液でなくてはならない(図3)(請求項1〜4)。
シリカグラウトによる耐久性地盤改良が可能になるためには互いに関連する以下の耐久要件が組み合わされて耐久目的と耐久期間に対応した耐久効果の持続性を満たさなくてはならない。
(イ)シリカグラウトの耐久要因
・シリカグラウトの組成とシリカ濃度と気中ゲル化時間と土中ゲル化時間と所定領域における浸透固結性
・ゲルからのシリカの溶脱
・ゲルの収縮
・ゲルの強度
・ゲルの耐久性とサンドゲルの耐久性の関連性
・サンドゲルの耐久性(シリカの溶脱、固結土強度と経時変化)
・土中ゲル化時間と所定範囲における浸透固結性
(ロ)注入地盤の特性と施工法
・地盤の粒度と粒径分布
・土の密度
・土性
・地下水の状態
・施工法(注入孔間隔、ゲル化時間、注入量、毎分吐出量、注入ステージ、一次注入と二次注入)
(ハ)
・現場採取土を用いた配合設計法、シリカグラウトと注入固結地盤の品質管理。
・配合管理と注入量と注入速度の管理
・シリカグラウトの組成とシリカ濃度とゲル化時間(配合時ゲル化時間と、pH、地盤のpHと土中ゲル化時間、浸透距離とゲル化時間の管理
・施工法の管理
・注入液のシリカ量と固結土のシリカ量からの施工後の固結地盤のシリカ量による品質管理又は/並びにコアサンプリングによる確認調査
・環境管理
・水質並びに土中構造物への環境保全性
耐久シリカグラウトはシリカの種類、濃度、酸性反応剤の種類や使用量や主材のアルカリ分やシリカ濃度が互いに関係する。本発明はこのように前述した耐久性条件を満たす地盤改良においては注入材の配合処方、注入施工法、環境保全の三つの要件がそれぞれ独立しているものではなく互いに関連し合っており、施工の実際においてはこれを注入目的と施工条件に対応して統合技術として一体化した技術として注入材を選定してそれを用いた地盤改良工法を用いることによって、前述の耐久性地盤改良工法の課題を解決することができる。(請求項26〜30)
このため本発明者は以下の要素技術を開発し、それを体系化することによって、はじめて耐久性地盤改良を可能にしたものである。これらは互いに関連し合って耐久グラウトを用いた耐久地盤改良工法を可能にしているものである(図79)。
本発明者は非アルカリ性シリカグラウトの組成、濃度の範囲を明確にし、かつそれを注入した場合の地盤中の所定領域に確実に浸透固結するためのゲル化時間と注入地盤中の注入液のpHの挙動と注入時間の関係を土中ゲル化時間とその挙動を中心にして浸透固結特性からその設定法を明らかにした。注入地盤の土の強度は注入されるべき地盤の状態と注入されたグラウトの経時的ゲルの強度によって定まる。またゲルの経時的収縮は固結土の経時的強度を増加する一方過大になると固結土の強度低下が生ずる。即ち、本発明者はホモゲルの体積変化と強度の経時的変化に着目して、それが注入地盤の耐久性にどのような影響をもたらすかの研究をすすめた。
その結果、ホモゲルの経時的強度と収縮を介して固結土の経時的強度と強度変化の関係、即ち耐久期間を知る事ができることを見出した。これにより本発明者はシリカの組成とゲルの経時的化学変化、物性変化、強度変化に基づき固結土の耐久性を把握することを可能にしたものである。耐久性グラウトの地盤改良の注入設計の確立が不明確な理由は注入材そのものの耐久性のみならず、それが注入される土の状態によって左右されるからである。また耐久性を数10年〜100年程度で数えた場合、最終的な変化がよく判らないことに
よる。そのため本発明者はアルカリを除去した非アルカリ性シリカグラウトのゲルの組成と浸透固結特性とゲルの特性変化に着目した。即ち、ゲル化物からのシリカの溶脱、ゲルの収縮、ゲルの経時的強度はシリカグラウトの組成と濃度の配合によって経時的に定まる事を見出した。即ち、定量的に把握できる。
本発明者は、ゲルは多かれ少なかれ経時的に収縮し、それと共に強度は増加する。しかしサンドゲルと異なり、ゲル強度増加は収縮と共に経時的に一定の値をとり、サンドゲルのように土の状況によって強度が変化したり強度低下を生ずることはなくゲルの最終強度は非アルカリ性であるならば、組成と収縮率と養生期間によって定まる。一方固結砂の強度の耐久性は注入される地盤の状態とゲルの収縮量並びにシリカ濃度並びに所定領域における浸透固結性によって定まる。従って、定量的に把握できるゲルの耐久性を仲介として地盤条件によって異なるサンドゲルの耐久性を推定することができる。しかも加温促進試験によって、サンドゲルよりも大幅に短期間にゲルの物性変化が得られることが判り、これにより更に固結土の耐久性の把握が容易になった。このようにして本発明者は耐久性地盤改良工法が図48の互いに関連する耐久要件とそれらを構成する以下の耐久要素技術を開発し、それを体系化することによって信頼性のある耐久性地盤改良工法を可能にしたものである。
本発明は従来不明確な耐久グラウトの地盤改良とその耐久性注入設計を体系化して可能にした。本発明によれば、耐久シリカの構成と長期耐久性の物性を明らかにし、かつ注入地盤に注入して所定の領域に確実に浸透固結して注入目的を満たす改良効果を得る耐久シリカと耐久シリカを用いた地盤改良工法を可能にした。このため、注入目的に応じた耐久期間を把握し、シリカグラウトを耐久性レベルの定量的評価例に基づき選定し、かつ環境条件を考慮してシリカ濃度と組成を決定することができる。また耐久性の向上をはかり、また現場採取土を用いた配合設計を行い、かつシリカの含有量を測定し、注入地盤のシリカの含有量から注入地盤の強度を把握し、注入液による供試体の促進試験によって、その耐久期間中の強度を測定して注入設計強度を得られる配合設計を行う事により耐久性地盤に要求される配合処方と注入効果の確認が可能になり、さらにインターネットシステムを用いた管理方法により耐久性地盤改良工法の体系化を行い、注入目的を満たす実用性のある地盤改良工法を可能にしたものである。

Claims (32)

  1. シリカ注入液を地盤中に注入することにより地盤改良を行う耐久性地盤改良工法に使用するpHが1〜10のシリカグラウトであって、該シリカ注入液はシリカコロイド又は水ガラスのいずれか1種又は複数種と、反応剤として酸或いは塩のいずれか1種或いは複数種を有効成分とし、該シリカ注入液がコロイドと水ガラスと酸からなる場合は該シリカコロイドに起因するシリカ濃度と水ガラスに起因するシリカ濃度の比率は100:0〜0:100、かつシリカ濃度は0.4〜40wt%、シリカのモル比は2.0〜100、ゲル化時間は瞬結から10000分の配合から選定したシリカグラウトであって、
    前記シリカ注入液は、以下のいずれか又は複数の手法を用いて所定領域に浸透固結するゲル化時間と各ステージで所定量の浸透注入を管理して所定の注入領域外への逸脱を低減して所定の耐久性を得ることを特徴とする耐久シリカグラウト。
    (1)ゲルタイムの調整はシリカ濃度やpHや酸や塩の添加量による調整と、全シリカ量中のコロイドと水ガラスの比率を調整することによって行う。
    (2)該シリカグラウトにおいて、ゲルタイムの調整とゲルの収縮と強度と環境保全性に対する影響をシリカ溶液と反応剤の組成と濃度によって調整することを特徴とする耐久シリカグラウトであって、水ガラス+コロイド+酸を有効成分とする酸性シリカグラウトにおいてコロイドを除いた水ガラス+酸を有効成分とするシリカ溶液が酸性を呈し、シリカ濃度或いはシリカ濃度中のコロイド量と酸の量、或いは酸としての硫酸又はリン酸の量又はリン酸と硫酸の比率を調整することによってゲルの収縮量の低減、或いは強度の所定の値以上への収束、或いは環境への影響の低減を行うことにより耐久性を向上させてなることを特徴とする耐久シリカグラウト。
    (3)該シリカグラウトにおいて、コロイドに起因するシリカ量は全シリカ量中の10〜100%である耐久シリカグラウトであって、該シリカグラウトの酸として硫酸及び/又はリン酸を用い、両者を併用した場合、酸におけるリン酸の比率は75%硫酸、75%リン酸に換算してリン酸は全酸量の15〜50容量%とすることによってゲル化時間の調整が容易で、かつコンクリートに対しての影響を低減する耐久シリカグラウト。
    (4)該シリカグラウトにおいて、該シリカ溶液の配合はシリカ濃度、コロイドと水ガラスの比率、硫酸とリン酸の比率、弱酸性〜中性付近でのゲル化時間の調整を土中ゲル化時間(GTs)や土中pH(pHS)や注入孔間隔にかかわる浸透距離や注入時間並びに現場状況に基づき、気中ゲル化時間(Gt0)や気中pH(pH0)の調整や組成をコロイドの全シリカ中の比率が10〜100%、リン酸の全酸(硫酸+リン酸)に対する比率が15〜100%をから選定して、1.0〜4.0mの注入孔間隔で注入速度を土粒子間浸透の限界内で注入して所定の注入領域からの逸脱を低減し、かつ広範囲に限定固結することができる耐久シリカグラウト。
    (5)該シリカグラウトにおいて、上記シリカグラウトの処方は土中ゲル化時間と各ステージで所定量の浸透注入を管理して所定の注入領域外への逸脱を低減しながら注入する処方を選定するものとし、気中ゲルタイム(GT0)と土中ゲルタイム(GTs0)、注入時間(H)の関係が以下の範囲にある処方を用いることによって所定の注入領域外への逸脱を低減して注入目的に応じた地盤の耐久性を得ることを特徴とする耐久シリカグラウト。


    好ましくはβ=4.68〜0.34、即ち0.2H<GTs0<3H

    但し、シリカ濃度を0.4〜40%とし、1ステージ当たりの毎分吐出量を1〜30L/minとし、1ステージ当たりのステージ長を33cm〜4mとし、注入ポイントは1点注入又は多点注入又は柱状注入とし、ゲルタイムが瞬結から10000分とし、注入孔間隔1〜4mとし、毎分吐出量は限界浸透範囲内の注入速度であることを特徴とする耐久シリカグラウト。
  2. シリカ注入液を地盤中に注入することにより地盤改良を行う耐久性地盤改良工法に使用するpHが1〜10のシリカグラウトであって、該シリカ注入液はシリカコロイド又は水ガラスのいずれか1種又は複数種と、反応剤として酸或いは塩のいずれか1種或いは複数種を有効成分とし、該シリカ注入液がコロイドと水ガラスと酸からなる場合は該シリカコロイドに起因するシリカ濃度と水ガラスに起因するシリカ濃度の比率は100:0〜0:100、かつシリカ濃度は0.4〜40wt%、シリカのモル比は2.0〜100、ゲル化時間は瞬結から10000分の配合から選定したシリカグラウトであって、
    該シリカグラウトはコロイドと水ガラスを含む非アルカリ性複合シリカ溶液であって、該シリカコロイドと水ガラスは以下の(1)〜(6)の処方のうちいずれか1つまたは複数を実行することによって所定の耐久性を得るか、或いは耐久性の向上を図ることを特徴とする耐久シリカグラウト。
    (1)該シリカグラウトにおいて、固結強度は全シリカ濃度又は水ガラス濃度に主として依存し、ホモゲルの収縮の低減は、主としてコロイドの量に依存するシリカグラウトであって、シリカ注入液のコロイド含有量は全シリカ量の10%以上の範囲で地盤状況による耐久性を考慮して定め、水ガラスの含有量は要求される強度に応じて定めてなる事を特徴とする耐久シリカグラウト。
    (2)該シリカグラウトにおいて、主としてシリカコロイドの含有量により体積収縮量を調整し、強度の低下率を改善するか、又は並びに主として水ガラスの濃度により改良強度の増加をはかるシリカグラウト。
    (3)該シリカグラウトにおいて、酸性シリカゾルのゲルの収縮に伴う固結土の強度の低下を水ガラスのモル比を高くするかコロイドを加えてモル比を高くするか、或いはシリカコロイドとして微粒子シリカコロイドを加えるか、或いは水ガラス濃度を10%以上にすることにより強度低下を抑制することを特徴とする耐久シリカグラウト。
    (4)該シリカグラウトにおいて、シリカコロイドによる固結土のシリカ濃度が高い割に強度が低く、強度発現の遅い性質をシリカコロイド溶液と水ガラス又は酸性シリカゾルを混合して酸性複合シリカにすることにより、シリカ濃度が低い割に強度を高くし、かつ強度発現を早くすることを特徴とする耐久シリカグラウトであって、該酸性複合シリカにおいてシリカコロイドが全シリカ量の10%以上とするか、シリカコロイドが全シリカ量の10%以下の場合はシリカ溶液中の水ガラス濃度を大きくして全シリカ量を増加することによって収縮があっても強度低下を低減することを特徴とする耐久シリカグラウト。
    (5)該シリカグラウトにおいて、コロイド含有量はシリカ溶液100cc当たり全シリカ量の10%以上又は並びに0.5〜15gとし、水ガラスの含有量は要求されるサンドゲルの強度によって定める耐久シリカグラウト。
    (6)該シリカグラウトにおいて、微粒子のシリカコロイドとして、ホワイトカーボン、微細化シリカゲル、析出シリカ(塩析シリカ)、粘土から選ばれた一種または複数種を加えることによって、シリカコロイド分を増加させて、シリカゲルの収縮を低減して耐久性を向上させたことを特徴とする耐久シリカグラウト。
  3. シリカ注入液を地盤中に注入することにより地盤改良を行う耐久性地盤改良工法に使用するpHが1〜10のシリカグラウトであって、該シリカ注入液はシリカコロイド又は水ガラスのいずれか1種又は複数種と、反応剤として酸或いは塩のいずれか1種或いは複数種を有効成分とし、該シリカ注入液がコロイドと水ガラスと酸からなる場合は該シリカコロイドに起因するシリカ濃度と水ガラスに起因するシリカ濃度の比率は100:0〜0:100、かつシリカ濃度は0.4〜40wt%、シリカのモル比は2.0〜100、ゲル化時間は瞬結から10000分の配合から選定したシリカグラウトであって、
    シリカグラウトが(1)〜(10)の特性のうちのいずれか1つまたは複数の特性を持つことを特徴とする耐久シリカグラウト。
    (1)該シリカグラウトにおいて、pHが非アルカリ性でシリカの溶脱がホモゲル5%以内、サンドゲルが10%以内で、ホモゲルの強度が低下せず、ホモゲルの体積変化率がメスフラスコ測定法で0〜-20%、或いは並びに円柱測定法で0〜-25%の範囲内であって、サンドゲルの強度低下が0か、最終強度が所定の範囲内に収束する耐久シリカグラウト。本発明において、非アルカリ性とは酸性から10までのpH領域をいう。
    (2)該シリカグラウトにおいて、pHが非アルカリ性でシリカの溶脱がホモゲル5%以内、サンドゲルが10%以内で、ホモゲルの体積変化率がメスフラスコ測定法で-20〜-35%、或いは並びに円柱測定法で-25〜-40%の範囲内であって、強度低下はあっても限定期間または供用期間において固結性は持続する耐久シリカグラウト。
    (3)該シリカグラウトにおいて、半対数グラフで縦軸をホモゲル変形係数E50(MN/m2)の目盛とし、横軸をホモゲルの体積変化率εv(%)の目盛とすると、E50(0.1 MN/ m2)、εv(20%)のポイントからE50(100 MN/ m2)、εv(30%)のポイントを通る直線より左の領域にE50、εvがあるホモゲルならばサンドゲルの強度低下はしないシリカグラウトとし、右の領域にあるならばサンドゲルの強度が低下するシリカグラウトとする耐久シリカグラウト。
    (4)ホモゲルの強度並びに体積変化率の特性から耐久期間におけるシリカグラウトのサンドゲルの強度を予測してなる耐久シリカグラウト。
    (5)該シリカグラウトにおいて、SiO2の濃度が5〜15%でホモゲルの体積変化率が30%以下であって、サンドゲルの強度が400日までの最大強度との強度比が100%以上〜50%で所定の強度に収束する耐久シリカグラウト。
    (6)強度低下を生ずる過大なホモゲルの収縮量に対応して微粒子シリカコロイドを加えてなる耐久シリカグラウト。
    (7)該シリカグラウトにおいて、地盤状況と注入目的に応じて以下のいずれか又は複数の手法によってホモゲルの体積変化率を低減し、かつ地下水圧に対する耐久性を向上し、又は並びに環境保全性を向上する耐久シリカグラウト。
    (A)1.シリカ濃度を高める、或いは変形係数を大きくする。
    (A)2.モル比を高める。
    (B) 瞬結グラウトや懸濁グラウトを一次注入して地盤の大きな空隙や地下水の水みちや地盤の不均質性を低減して地盤に注入されるホモゲルの収縮の影響を低減する。
    (C)土中構造物や水質に対する影響を低減する。
    (8)シリカ濃度0.4〜3%の弱酸性〜中性のシリカグラウトであって、シリカの粉状体或いはマイクロバブル或いは粘土を含む耐久シリカグラウト。
    (9)該シリカ溶液がシリカコロイド溶液であってpHが弱酸性〜弱アルカリ性でシリカ濃度が10〜40%のシリカコロイドであって、止水目的、貯留用、産業廃棄物封じ込め等、耐水圧性止水ゾーンの構築目的に使用される耐久シリカグラウト。
    (10)該シリカ溶液が、以下のいずれかの手法により環境性に対する影響を低減することを特徴とする耐久シリカグラウト。
    1.コンクリート地中構造物近傍部に以下の手法で耐久シリカグラウトを注入する。
    (a) 酸としてリン酸系を用いるかリン酸と硫酸の混酸であって、リン酸と硫酸の比率を調整するものとし、リン酸の比率は全酸の内、15%以上を用いてシリカのアルカリ分を中和するに要する硫酸分使用量を低減してコンクリート構造物に対する安全性を確保する。ただし、リン酸、硫酸の濃度は75wt%として換算する。
    (b)金属イオン封鎖剤を添加する。
    (c)コロイドの使用比率を増やして水ガラスの使用量を減らすことによって、酸の使用量を低減する。
    2.水質に対する安全性において、pHやコロイドや水ガラスの量と比率を調整する。
    3.中和剤としてリン酸(75%溶液)と硫酸(75%溶液)、リン酸と硫酸の比率は75%濃度に換算して全酸量の容量中リン酸15容量%以上、好ましくは50%以上用いればモルタルの硫酸に対する防護効果を得る。
  4. シリカ注入液を地盤中に注入することにより地盤改良を行う耐久性地盤改良工法に使用するpHが1〜10のシリカグラウトであって、該シリカ注入液はシリカコロイド又は水ガラスのいずれか1種又は複数種と、反応剤として酸或いは塩のいずれか1種或いは複数種を有効成分とし、該シリカ注入液がコロイドと水ガラスと酸からなる場合は該シリカコロイドに起因するシリカ濃度と水ガラスに起因するシリカ濃度の比率は100:0〜0:100、かつシリカ濃度は0.4〜40wt%、シリカのモル比は2.0〜100、ゲル化時間は瞬結から10000分の配合から選定したシリカグラウトであって、
    該シリカ注入液は以下の(A)の範囲で地盤に注入されるグラウトであって、以下の(B)のいずれか又は複数に基づいて地盤状況、注入孔間隔又は注入状況に応じて土中ゲル化時間(GTS0)と注入時間(H)の関係を満たすように組成とゲル化時間を設定してシリカグラウトの注入領域外への逸脱を低減しながら、所定の注入領域に浸透固結して注入目的に応じた耐久性注を得ることを特徴とする耐久シリカグラウト。
    (A)シリカ濃度を0.4〜40%とし、1ステージ当たりの毎分吐出量を1〜30L/minとし、1ステージ当たりのステージ長を33cm〜4mとし、注入ポイントは1点注入又は多点注入又は柱状注入とし、ゲルタイムが瞬結から10000分とし、注入孔間隔1〜4mとし、毎分吐出量は限界浸透範囲内の注入速度で注入するシリカグラウト。
    (B)
    (1)該シリカグラウトにおいて、シリカ溶液のpH(pH0)を地盤のpHよりも酸性側に調整して、かつ注入速度を土粒子間浸透の限界速度内で注入する事により、地盤中への浸透距離の拡大に伴う、シリカ濃度の希釈による強度低下と注入領域外への逸脱を該シリカ注入液の地盤中におけるpH の上昇、或いは地盤中の反応性成分によるゲル化の促進によって低減せしめて、所定の注入領域に浸透固結して、注入目的に応じた耐久性が得られる注入液の組成とゲルタイムを設定してなるシリカグラウト。
    (2)該シリカグラウトにおいて、気中pH0が、6≧pH0 ≧1.5、地盤のpHが6〜10。
    但し、pH10はCaの多い地盤又はCBを一次注入した地盤。
    瞬結≦GT0≦10000分、GT0≧H≧GTs0
    k=100〜10-5cm/sec 、注入孔間隔1.0〜4m
    であって、注入時間(H)よりも短い土中ゲル化時間(GT s0)になる気中ゲル化時間(GT0)で注入するシリカグラウト。
    (3)該シリカグラウトにおいて、a.地盤状況、b.浸透注入の限界内の注入速度と注入圧、c.土中ゲル化時間(GTs0)、d.各注入方式に対応したステージ長と注入ステージ当たりの注入量と注入時間(H)に基づいて配合を設定することにより所定範囲外へ逸脱を低減して所定の注入領域への浸透固結をはかるシリカグラウト。
    ただし、注入時間Hは1ステージの注入量又は1バッチの注入量を浸透注入の限界速度内の毎分注入量で割った時間とする。
    (4)該シリカグラウトにおいて
    a.注入液の配合と気中ゲルタイム(GT0
    .注入孔間隔、ステージ長、1ステージ当たりの注入量、毎分注入量、1ステージ当たりの注入時間(H)
    c.現場採取土と注入液との土中ゲル化時間(GTs0)と注入時間(H)との比率を、β=H/GTs0とすると、施工実績又は現場注入試験における所定注入領域の浸透固結確認試験によって得られた注入目的を達しられた前記βのデータの範囲内になるようにaとbを設定するシリカグラウト。
    (5)該シリカグラウトにおいて、該シリカ注入液は注入液の気中ゲルタイム(GT0)または気中pH(pH0)と土中ゲルタイム(GTs0)または土中pH(pHS0)と注入時間(H)と注入孔間隔、又は浸透距離(L)から所定の範囲の浸透固結が得られる組成と濃度と気中ゲルタイムまたは気中pH0からなる配合液を設定してなるシリカグラウト。
    (6)該シリカグラウトにおいて、シリカグラウトのゲルタイム(GT0)と土中ゲルタイム(GTs0)は以下の範囲に設定してなるシリカグラウト。ただし、土中ゲル化時間(GTs0)とは現場の土と注入液を混合したときのゲル化時間または注入液を土に浸透させて静止した状態のシリカ注入液のゲル化時間をいう。

    ただし、pH0=1.0〜10、GT0=10000〜0.1分、GTS0=6000分〜10秒とする。
    (7)該シリカグラウトにおいて、気中ゲル化時間をGT0、土中ゲル化時間をGTS0、1ステージの注入時間をHとすると、

    好ましくは、
    β=4.68〜0.34
    即ち、
    0.2H< GTs0 <3H
    とし、地盤条件、又は注入孔間隔又は固結径、または注入方式、又はステージ長に応じて、またはさらに施工実績に基いて補正しながら配合液の組成とゲル化時間(GT0)またはpH0を設定して所定注入領域に浸透固結せしめるシリカグラウト。
    ただし、気中pH(pH0)=1.0〜10.0、気中ゲルタイム(GT0)=0.1分〜10000分、土中ゲルタイムGTS0=10秒〜3000分、土中pH(pHS0)=3〜10、地盤pH=4.0〜10.0、注入速度=1〜30L/min、注入孔間隔又は固結径=1.0〜4.0m、1ステージ=0.33〜4.0m、1ステージ当りの注入時間H=10000〜4.4分、また注入速度は浸透注入の限界速度内とする。又、注入時間(H)は実用上の作業性や工期に応じてその範囲を短縮することができる。
    (8)該シリカグラウトにおいて、pH4.5〜8.5の注入地盤で、注入可能範囲が土粒子間浸透範囲で瞬結≦GT0≦10000分、GT0≧H≧GTS0とすると、1ステージの注入時間(H)より短い土中ゲル化時間(GTS0)で注入して、土中におけるゲル化を進行させながら注入領域を拡大する事により注入液のシリカ濃度の低減と所定注入領域からの逸脱を低減させるシリカグラウト。
    (9)該シリカグラウトにおいて、1ステージの注入量を複数回に分けてゲルタイム又は/並びにシリカ濃度を変えて注入して所定領域に浸透固結させることを特徴とする耐久シリカグラウト。
    (10)該シリカグラウトにおいて、1ステージの注入において初期の注入においてはpHが低く或いはシリカ濃度を高くし、その後の注入においてはpHを高く、或いはシリカ濃度を低くして注入領域外への逸脱を低減しながら注入領域全体の強度の均質化と注入地盤の酸性化を低減させることを特徴とする耐久シリカグラウト。
    (11)該シリカグラウトにおいて、地盤状況、注入孔間隔、又は注入状況に応じてH≧GTS0、H≦GTS0のいずれか或いはいずれかを併用してシリカ濃度と気中ゲル化時間(GT0)を設定してシリカグラウトの注入対象領域以外への逸脱又はシリカ濃度の低下を低減させていることを特徴とする耐久シリカグラウト。
    (12)該シリカグラウトにおいて、1ステージの注入液の注入は1ステージの注入時間又は1ステージの注入を複数のバッチによる注入液で注入するものとし、1ステージの注入時間又は1バッチの注入時間をHとし、H ≧GTs0、又はH≦GT 0 、又はこれらを併用した組成と気中ゲルタイム(GT0)を設定してなることを特徴とする耐久シリカグラウト。
    (13)該シリカグラウトにおいて、所定の浸透距離通過時点における地盤中の注入液のゲル化時間(GTsf)またはpH(pHsf)と土中ゲル化時間(GTs0)または、土中pH(pHS0)との関係を以下のA、B、α、βとして示し、柱状浸透長L又はγ・Lのパイプに現場土を充填した注入試験に基づき地盤条件、注入孔間隔又は固結径、注入方式に応じて配合液の組成とゲル化時間(GT0)又はpH(pH0)を設定して所定の注入領域に浸透固結せしめるなることを特徴とする耐久シリカグラウト。
    ただし、ここで所定の浸透距離通過時点とは、注入固結半径又は浸透長に相当する浸透長をL、又はγ・Lとし、L又はγ・Lのパイプに現場土を現場密度で充填して間隙を水で充填した後、シリカ注入液を注入して注入液が溢出してきた時点をいい、GTsfとpHsfとはその時点の注入液のゲル化時間とpHをいう。又、Hは浸透長(L又はγ・L)の通過時点の注入時間又は1ステージの注入時間に対応した注入時間をいい、γは一次元注入のLに対して三次元注入における係数とする。
    (14)該シリカグラウトにおいて、シリカ注入液が所定の注入対象領域に留まって固結するために注入ステージの設定、地盤状況並びに注入方式に対応した注入配合液の気中ゲル化時間(GT0)と土中ゲルタイム(GTS)を有するシリカグラウトであって、特に初期の土中ゲルタイム(GTS0)と地盤での注入中における土中ゲルタイム(GTS)の変化と1ステージの注入量と毎分注入量(注入速度)と注入時間(H)と所定の注入が完了した時点に注入領域先端部の注入液が注入範囲外への逸脱を低減する配合処方(GT0)からなる耐久シリカグラウト。
    (15)該シリカグラウトにおいて、1ステージ中の注入において、又は1バッチ中の注入において、注入液の主剤をA液とし、反応剤をB液とし、A液とB液を混合または合流してH≧GTS0或いはH≦GTS0或いは、これらを併用して地盤状況に応じて配合液のシリカ濃度とゲル化時間(GTO)を設定することを特徴とする耐久シリカグラウト。
  5. シリカ注入液を地盤中に注入することにより地盤改良を行う耐久性地盤改良工法に使用するpHが1〜10のシリカグラウトであって、該シリカ注入液はシリカコロイド又は水ガラスのいずれか1種又は複数種と、反応剤として酸或いは塩のいずれか1種或いは複数種を有効成分とし、該シリカ注入液がコロイドと水ガラスと酸からなる場合は該シリカコロイドに起因するシリカ濃度と水ガラスに起因するシリカ濃度の比率は100:0〜0:100、かつシリカ濃度は0.4〜40wt%、シリカのモル比は2.0〜100、ゲル化時間は瞬結から10000分の配合から選定したシリカグラウトであって、
    以下のいずれか又は複数の方法によって注入目的に応じた耐久性の期間において所定の耐久性が得られる処方を設定することを特徴とする耐久シリカグラウト。
    (1)該シリカグラウトにおいて、以下A群のいずれか、又は複数の耐久特性からB群のいずれか又は複数の耐久期間にかかわる耐久性が得られることを特徴とする耐久シリカグラウト。
    A群
    1. ゲルの収縮と強度
    2. シリカの溶出
    3. 固結土の強度
    4. 耐久期間
    B群
    (a)恒久耐久性:所定の耐久性を恒久的に持続すると思われる耐久性
    (b)供用期間耐久性:所定の供用期間中所定の耐久性を持続すると思われる耐久性
    (c)収束耐久性:最終的に所定の耐久性に収束すると思われる耐久性
    (d)特殊目的耐久性:恒久耐久性であって、高強度恒久止水、高強度恒久強化、岩盤止水、或いは産業廃棄物、公害物の密封止水、エネルギー貯留用密封止水、高密度化耐久性、低強度不飽和化を可能にする恒久耐久性)
    (e)非耐久性;耐久性がないか、耐久性があるか不明確な一時的固結性
    (2)該シリカグラウトにおいて、サンドゲルの長期変化の特性が耐久期間に所定の強度を持続するシリカグラウトであって、該シリカグラウトの配合は、pHとシリカ溶液のゲルタイムの関係を示すグラフ上において、pHと水ガラスと酸からなるシリカゾルの溶液のゲルタイムの関係を示すラインをSライン、pHとシリカコロイドの溶液のゲルタイムの関係を示すラインをCライン、pHとシリカコロイドと水ガラスと酸の複合シリカの溶液のゲルタイムの関係を示すラインをDラインとし、同一pHにおいて最小のゲルタイムを示すラインを下限とし、10000分を示すラインを上限とする範囲を適用範囲Eとし、経時強度と養生日数の関係を示すグラフ上において、水ガラスと酸からなるシリカゾルのゲルの経時強度と養生日数の関係を示すラインをSライン、シリカコロイドのゲルの経時強度と養生日数の関係を示すラインをCライン、シリカコロイドと水ガラスと酸の複合シリカのゲルの経時強度と養生日数の関係を示すラインをDラインとし、同一養生日数において経時強度が最大のラインと最少のラインとで囲まれる範囲を適用範囲Fとすると、適用範囲Fの範囲内で、注入目的に応じた耐久期間内で、所定の耐久性を満たす強度が得られるシリカ濃度とゲル化時間を満たす配分を範囲Eから選定してなることを特徴とする耐久シリカグラウト。
    (3)該シリカグラウトにおいて、初期強度、恒久強度、ピーク時強度、時限強度、最大強度、供用期間強度、収束強度のいずれか1つ又は複数を基準強度として、耐久期間に応じて所定の強度が得られるシリカ濃度と組成からなる配合を設定することを特徴とする耐久シリカグラウト。
    (4)該シリカグラウトにおいて、酸性シリカ溶液においてシリカコロイドによる固結土のシリカ濃度が高い割には強度が低く強度発現が遅い性質を、シリカコロイド溶液と水ガラスまたは酸性シリカゾルを混合して酸性複合シリカにすることにより、シリカ濃度が低い割には強度を高くし強度発現を早くしたシリカグラウト。
    (5)該シリカグラウトにおいて、サンドゲルの強度のピークを生ずるシリカゾルグラウトをコロイドと組み合わせることにより強度の一定化又は向上又は所定の範囲内の強度低下におさえて、耐久期間内の所定の改良効果が持続するシリカグラウト。
    (6)該シリカグラウトにおいて、サンドゲルの経時強度ラインの強度発現が遅く強度は低いが経時的強度増加を維持するシリカコロイドとサンドゲルの経時強度ラインがピーク強度を生ずるシリカゾルを複合して初期強度の向上と強度の一定、又は向上、又は所定の範囲内の強度低下に抑えて耐久期間内で所定の改良効果が持続する耐久シリカグラウト。
    (7)該シリカグラウトにおいて、サンドゲルの最終強度が初期強度と同一以上か、強度低下があっても耐久期間内において最大強度の50%以内の所定の強度範囲内に収束する耐久シリカグラウト。
    (8)該シリカグラウトのサンドゲルの設計基準強度を、注入目的、耐久期間並びに耐久期間内の強度の経時的変化に応じて、初期強度又は1年以内強度、又は400日強度、又は1000日強度又は配合時強度の常温養生又は加温養生にて設定した耐久シリカグラウト。
    (9)室内試験目標強度は設計基準強度に対して安全率をかけた室内試験目標強度とするものとし、該室内試験目標強度は所定の耐久期間に該注入目的を満たす強度とする。
    (10)シリカ濃度と組成が以下のいずれか又は両方を満たす配合を選定するシリカグラウト。
    (A)注入対象地盤の現場採取土を用いた固結土の初期強度が耐久期間中に要求される固結強度に経時的又は/並びに施工上の強度変化を加味した安全率をかけて設定する。
    (B)注入対象地盤の現場採取土を用いた固結土の初期強度が耐久期間中に要求される固結強度が得られる配合に耐久性向上手段を付与した配合を設定してなる。
    (C)上記酸の種類並びに添加量によって注入目的、地盤条件、環境条件、耐久条件に応じて設定される。
    (11)粒径が5μ以下のシリカコロイドを含有する耐久シリカグラウト。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載の耐久シリカグラウトにおいて、該シリカ注入液は以下(1)〜(3)の組成からなるシリカグラウトであって、注入目的並びに地盤状況に応じて所定の耐久性が得られる処方を以下の範囲内で選定することを特徴とする耐久シリカグラウト。
    (1)該シリカ注入液のシリカ濃度は以下の範囲から選定する。
    0.4%≦SiO2・T ≦40%
    0 ≦SiO2・S ≦30%
    0 ≦ SiO2・C ≦40%
    ただし、
    上記シリカコロイドに起因するシリカ濃度をSiO2・C(%)、
    上記水ガラスまたはシリカゾルに起因するシリカ濃度をSiO2・S(%)、
    上記シリカ注入液中の全シリカ濃度をSiO2・T(%)(=SiO2・C(%)+ SiO2・S(%))とする。
    (2)上記シリカのゲルタイムはシリカ濃度並びに反応剤を用いて調整されて、瞬結から10000分以内範囲内で選定してなり、前記シリカコロイドはイオン交換法、イオン交換膜法、金属シリカ法又は析出シリカ法で得られたシリカコロイド又はシリカコロイドとしてシリカの微粒子の1種又は複数種、水ガラスはモル比2.0〜5.0の珪酸塩、又は水ガラスと酸を有効成分とする酸性シリカ溶液の1種又は複数種から選定され、反応材は酸として硫酸または/並びにリン酸を用い、塩は1価または多価金属塩、或いは金属イオン封鎖剤を用いたものから選定する。
    (3)所定領域に浸透固結するゲル化時間と各ステージで所定量の浸透注入を管理して所定の注入領域外への逸脱を低減しながら注入される処方から選定する。
  7. 請求項1〜6の何れか一項に記載の耐久シリカグラウトであって、該シリカグラウトの配合は、pHとシリカ溶液のゲルタイムの関係を示すグラフ上において、水ガラスと酸からなるシリカゾルの溶液のゲルタイムの関係を示すラインをSライン、pHとシリカコロイドの溶液のゲルタイムの関係を示すラインをCライン、pHとシリカコロイドと水ガラスと酸の複合シリカの溶液のゲルタイムの関係を示すラインをDラインとし、同一pHにおいて最小のゲルタイムを示すラインを下限とし、10000分を示すラインを上限とする範囲を適用範囲Eとし、経時強度と養生日数の関係を示すグラフ上において、水ガラスと酸からなるシリカゾルのゲルの経時強度と養生日数の関係を示すラインをSライン、シリカコロイドのゲルの経時強度と養生日数の関係を示すラインをCライン、シリカコロイドと水ガラスと酸の複合シリカのゲルの経時強度と養生日数の関係を示すラインをDラインとし、同一養生日数において経時強度が最大のラインと最少のラインとで囲まれる範囲を適用範囲Fとすると、適用範囲Fの範囲内で、注入目的に応じた耐久期間内で、所定の耐久性を満たす強度が得られるシリカ濃度とゲル化時間を満たす配分を範囲Eから選定してなることを特徴とする耐久シリカグラウト。
  8. 請求項1〜7の何れか一項に記載の耐久シリカグラウトにおいて、該耐久シリカグラウトは互いに関連する以下の要因に基づいて注入地盤が所定の耐久性を満たす配合処方を設定することを特徴とする耐久シリカグラウト。
    1.ホモゲルとサンドゲルの物性;ホモゲルのシリカの溶脱、体積変化、強度或いは剛性等の経時変化、サンドゲルのシリカの溶脱、サンドゲルの強度の経時的変化
    2.シリカ溶液の物性; pH、シリカ濃度、コロイド濃度、水ガラス濃度、モル比並びにその構成の比率と添加材、ゲル化時間
    3.地盤の状況;土の粒径、密度、土性(土のpH、Ca含有量等)、地下水の状況
    4.浸透固結性;ゲル化時間(気中ゲル化時間、土中ゲル化時間)、浸透限界速度
    5.施工法;注入方式、注入孔間隔、注入ステージ、注入量、注入速度、注入時間
  9. 請求項1〜8の何れか一項に記載の耐久シリカグラウトにおいて、以下のいずれか1つまたは複数によって配合処方された耐久シリカグラウト。
    (1)シリカの溶脱が、ホモゲルが5%以内、サンドゲルが10%以内であって、ホモゲルが経時的に強度低下せず、かつホモゲルの経時的体積がサンドゲルの強度低下を生じない耐久シリカグラウト。
    (2)シリカの溶脱が、ホモゲルが5%以内、サンドゲルが10%以内であって、ホモゲルが経時的に強度低下せず、ホモゲルの経時的体積変化があり、サンドゲルが強度低下するが最終的に所定の強度に収束する耐久シリカグラウト。
    (3)シリカの溶脱が、ホモゲルが5%以内、サンドゲルが10%以内であって、注入目的に応じた耐久期間内で所定のサンドゲル強度が持続する耐久シリカグラウト。
    (4)シリカの溶脱が、ホモゲルが5%以内、サンドゲルが10%以内であって、ホモゲルの経時的強度からサンドゲルの経時的強度を設定してなる耐久シリカグラウト。
    (5)シリカの溶脱が、ホモゲルが5%以内、サンドゲルが10%以内であって、ホモゲルは経時的に強度低下せず、サンドゲルが強度は低下するが耐久期間内での所定の強度を維持する濃度と組成から配合処方してなる耐久シリカグラウト。
    (6)シリカの溶脱が、ホモゲルが5%以内、サンドゲルが10%以内であって、ホモゲルが経時的に強度低下せず、ホモゲルの体積変化率(収縮率)がメスフラスコ測定法で20〜35%、或いは並びに円柱測定法で25〜40%でサンドゲルの強度が供用期間中固結性が持続する耐久シリカグラウト。
    (7)シリカの溶脱が、ホモゲルが5%以内、サンドゲルが10%以内であって、ホモゲルが経時的に強度低下することなく体積変化率(収縮率)がメスフラスコ測定法で20%以内、並びに又は円柱測定法で25%以内であって、サンドゲルの強度低下がないか、強度低下はあっても最終強度が所定の範囲内に収束する耐久シリカグラウト。
    (8)上記(6)、(7)の耐久シリカグラウトにおいて、以下の手法で体積変化率を低減して、又はホモゲルの変形係数を大きくしてサンドゲルの耐久性を向上させることを特徴とする耐久シリカグラウト。
    1.コロイド又は並びに微粒子シリカコロイドを含有させる。
    2.シリカ濃度を高める。或いは水ガラス濃度を高める。
    3.モル比を高める。
    4.シリカ溶液100cc当たりコロイド含有量を0.5〜15gとする。
    (9)該耐久シリカグラウトにおいて、該耐久シリカグラウトの配合時のサンドゲル強度は28日以内又は1年以内の強度に示される実測値或いは促進試験による予測強度であって、該配合が耐久期間中のいずれか或いは複数の耐久期間中、注入目的に応じた所定の強度が得られるシリカ濃度と組成であることを特徴とする耐久シリカグラウト。
    (10)該耐久シリカグラウトにおいて、ホモゲルの常温又は並びに加温促進試験における初期強度と経時的強度変化或いは並びに体積変化率の経時的変化からサンドゲルの経時的強度を知って耐久期間に注入目的を満たす強度が得られる耐久シリカグラウト。
    (11)該耐久シリカグラウトにおいて、ホモゲルの強度並びに体積変化率の特性から耐久期間におけるシリカグラウトのサンドゲルの耐久性を予測して注入目的に応じた耐久性が得られる処方を用いた耐久シリカグラウト。
    (12)該耐久シリカグラウトのホモゲルの体積変化率に並びに地盤状況と土の注入可能限界に対応して、コロイド又は微粒子シリカコロイドを加えることを特徴とする耐久シリカグラウト。
    上記微粒子コロイドは、セメント粒子以外でシリカ溶液と反応剤の少ない微粒子セメントを用いると浸透性が長く、かつゲルの収縮を低減する。
  10. 請求項1〜9の何れか一項に記載の耐久シリカグラウトにおいて、以下のいずれか或いは複数の方法によってホモゲルの常温又は加温促進試験の経時的強度からサンドゲルの耐久期間における強度を把握する耐久シリカグラウト。
    (1)経時的ホモゲル強度の耐久性からサンドゲルの耐久期間強度又は収束強度を把握してなる耐久シリカグラウト。
    (2)ホモゲル並びにサンドゲルの初期強度からサンドゲルの耐久期間強度又は収束強度を把握してなる耐久シリカグラウト。
    (3)ホモゲルの耐久期間の強度から注入する土の条件を加味して固結土の強度を把握してなる耐久シリカグラウト。
    (4)ホモゲルの強度と体積変化率の経時的変化から耐久期間中のサンドゲルの強度又は収束強度を把握する耐久シリカグラウト。
    (5)ホモゲルの初期強度から耐久期間におけるサンドゲルの強度を推定する耐久シリカグラウト。
    (6)ホモゲルの耐久性の特性から耐久期間におけるシリカグラウトのサンドゲルの耐久性を予測して注入目的に応じた耐久性が得られる処方からなる耐久シリカグラウト。
    (7)現場採取土を用いた固結土の強度変化が耐久期間中における強度の限界範囲内となる耐久シリカグラウト。
    (8)ホモゲルの加温促進試験によってサンドゲルの耐久性を把握してなる耐久シリカグラウト。
    (9)ホモゲルの最終強度から地盤条件を加味してサンドゲルの耐久強度を推定してなる耐久シリカグラウト。
    (10)上記シリカグラウトの組成とシリカ濃度を設定した配合処方において、注入目的に対応した耐久期間を設定し、28日以内強度または1年以内強度の配合が、該耐用期間に目的を満たす所定の強度が得られるシリカ濃度並びに組成からなる耐久シリカグラウト。
  11. 請求項1〜10の何れか一項に記載の耐久シリカグラウトにおいて、以下のいずれか或いは複数の方法によって耐久性を評価する耐久シリカグラウト。
    (1)該耐久シリカグラウトにおいて、シリカ注入液を地盤中に注入することにより地盤改良を行う耐久性地盤改良工法に使用するシリカグラウトは、該シリカグラウトの注入目的に応じた耐久性期間に対して耐久性を評価する項目として、以下のいずれか又は複数を設定して、該シリカグラウトの組成とシリカ濃度を設定してなることを特徴とする耐久シリカグラウト。
    1.ゲルの収縮
    2.シリカの溶出
    3.固結土の強度
    4.環境保全性
    (2)耐久性に関する期間に応じて耐久性を定量的に評価してなる耐久シリカグラウト。
    (3)注入目的に応じた耐久性の評価として定量的に評価してなる耐久シリカグラウト。
    (4)耐久性評価として耐久性のレベルを設定して評価してなる耐久シリカグラウト。
    (5)耐久性レベルにあわせて主としてコロイドの使用量を決定し、さらに目標強度に応じて主として水ガラス使用量を調整してなることを特徴とする耐久シリカグラウト。
    (6)環境保全性の点から、土中構造物や水質保全を考慮した耐久シリカグラウト。
    (7)注入地盤の耐久性を加圧透水下における固結土の強化低下又はシリカの溶脱に対して耐久性の評価をすることを特徴とする耐久シリカグラウト。
    (8)定量的評価において耐用期間の耐久性に対して加温養生による促進法を用いることを特徴とする耐久シリカグラウト。
    (9)該耐久シリカグラウトにおいて、定量的評価が耐久期間における以下の強度のいずれか或いは複数の強度によって判断されることを特徴する耐久シリカグラウト。
    1.初期強度、1年以内強度、配合時強度、400日強度又は1000日強度における常温又は加温養生における強度
    2.恒久強度
    3.ピーク時強度
    4.時限耐用強度
    5.収束強度
    6.供用期間強度
  12. 請求項1〜11の何れか一項に記載の耐久シリカグラウトにおいて、以下A群のいずれか又は複数を耐久性評価基準項目として設定し、B群の注入目的に対応した供用期間中の耐久性を評価することを特徴とする耐久シリカグラウト。
    A群
    (1)シリカグラウトのpH又は並びに土中ゲルタイムと土中pH
    (2)固結土の強度変化
    (3)ホモゲルの体積変化
    (4)ホモゲルまたは固結土からのシリカの溶脱
    (5)加圧透水下における固結土の強度変化又はシリカの溶脱
    (6)加温養生による促進試験における固結土又はホモゲルの強度変化またはシリカの溶脱、又はゲルの体積変化
    B群
    (1)恒久止水、液状化防止、恒久地盤補強
    (2)液状化防止、補強
    (3)耐久地盤改良、長期仮設
    (4)短期仮設
  13. 請求項1〜12の何れか一項に記載の耐久シリカグラウトにおいて、耐久性の期間に対してホモゲルからのシリカの溶脱、ゲルの収縮、固結砂の強度変化のいずれか或いは複数に対して定量的に耐久性を評価して注入目的を満たす処方を設定してなることを特徴とする以下の何れか又は複数の条件を満たす耐久シリカグラウト。
    (1)該耐久シリカグラウトにおいて、非アルカリ性で(pHが10以下)、ホモゲルからのシリカの溶脱が5%以内、サンドゲルのシリカの溶脱が10%以内、ホモゲルの強度変化が耐久期間中初期値の50%以内である耐久シリカグラウト。
    (2)該耐久シリカグラウトにおいて、非アルカリ性で(pHが10以下)、ホモゲルからのシリカの溶脱が5%以内、サンドゲルからの溶脱が10%以内、サンドゲルの強度低下がないか、ホモゲルの体積収縮率(収縮率)がガラスのメスフラスコ測定法で20%以内、並びに又はプラスチック円柱測定法でホモゲルの体積変化率が25%以内で、サンドゲルの強度の低下はないが、最終的にサンドゲル強度が所定の範囲内に収束するとみなせるシリカグラウトであって、恒久地盤改良、液状化防止、補強並びに仮設用地盤改良に適用する耐久シリカグラウト。
    (3)ホモゲルからのシリカの溶脱が5%以内、サンドゲルからのシリカの溶脱が10%以内、ホモゲルの体積変化(収縮率)がメスフラスコ測定法で20〜35%、プラスチック円柱測定法で25〜40%でサンドゲルの強度低下があっても限定期間又は供用期間中固結性が持続するものとし、時限耐久、供用耐久として、又は仮設注入に適用する耐久シリカグラウト。
    (4)上記(1)、(2)、(3)において地盤条件、注入目的に応じて以下の手法で体積変化率(収縮率)を低減し、又は変形係数を大きくして、又は又地下水圧に対する抵抗性を高めて耐久性を向上してなる耐久シリカグラウト。
    1.コロイド或いは並びに微粒子シリカコロイドを含有させる。
    2.シリカ濃度を高める。
    3.モル比を高める。
    (5)該耐久シリカグラウトとして、以下の特性を有するシリカグラウトを恒久地盤改良、液状化防止、補強、仮設注入に適用することを特徴とする耐久シリカグラウト。
    1.非アルカリ性と大きなシリカと小さなシリカからなる複合シリカコロイドであってホモゲル強度の低下がなく、かつサンドゲルの強度が200日以上経ても安定しているシリカグラウト。
    2.該シリカグラウトにおいて注入の空隙並びに土質の多様性に対し、非アルカリ性の大きなシリカと小さなシリカからなる複合シリカコロイドを適用して耐久性を付与したシリカグラウト。
    3.強度低下を生ずる過大なホモゲルの収縮量に対応した微粒子シリカコロイドを加えてなるシリカグラウト。
    4.ホモゲルの強度が低下せず、サンドゲルの強度が200日以後、強度低下が所定強度内で一定であるシリカグラウト
    5.該シリカグラウトにおいて、以下の手法によってホモゲルの収縮はあってもサンドゲルの強度低下は低減し、長期的に一定の値に収束する耐久シリカグラウト。
    a.シリカゾル;シリカ濃度を10%以上にする。
    b.複合シリカコロイド;
    ・全シリカ中のコロイド比を10%以上にする。
    ・全シリカ中のコロイド比が10%以下の場合は全シリカ中のシリカ濃度を高くして、その濃度は地盤状況と要求される要求される強度に応じて定める。
    ・シリカ溶液100cc当たりコロイド量を0.5〜15gとし、水ガラスの使用量は地盤状況と要求される強度に応じて定める。
    6.ホモゲルの強度が低下せず、サンドゲルのシリカの溶脱が10%以内であって、サンドゲルの強度低下が初期強度の50%以内であって、耐久期間中固結性が持続するシリカグラウト。
  14. 請求項1〜13の何れか一項に記載の耐久シリカグラウトの試験方法であって、以下のいずれか又は複数の方法を用いることによって所定の注入領域からの逸脱を低減しながら浸透注入する注入液のゲルタイムと組成を設定するための試験方法。
    (1)注入液のシリカ濃度とゲルタイムの関係をあらかじめ測定しておき、所定の長さの浸透長Lのパイプに現場土を現場密度で充填して水で間隙を充填して後、注入液のボイリングを生じない流速と注入圧で注入し、土中ゲルタイム(GTS)と上記パイプの先端から溢出するまでの土中pH(pHS)又は/並びに土中ゲルタイムの変化と或いはさらに浸透速度とpHとゲル化時間の関係を測定し、1ステージ又は1バッチの注入時間を設定し地盤条件、注入項間隔或いは注入方式に応じて、該シリカ注入液の配合並びにゲル化時間(GT0)あるいはpH0を設定し、或いは注入状況に応じて注入中の注入液の配合を調整して設定することを特徴とする試験方法。
    (2)該シリカグラウトの試験方法であって、注入液のゲルタイム(GT0)並びにpH(pH0)と現場採取土による土中ゲル化時間(GTs0)と土中pH(pHs0)を測定しておき、注入孔間隔をLとするとγ・Lの注入距離をもつ注入パイプに現場土を充填し、水を充填した後、注入液を注入し、溢出した注入液のpH(pHSf)とゲルタイム(GTsf)を測定し、GT0又は並びにpH0をGT0=β1 GTsf又はpH0=β2pHsfとし、α、β1、β2を地盤条件、注入孔間隔L或いはγ・Lまたは注入方式に応じて設定することにより、或いは更に施工実績に基いて補正することにより所定の注入領域からの逸脱を低減しながら浸透注入する注入液のゲルタイムと組成を設定することを特徴とする試験方法。
  15. 請求項14記載の試験方法に用いる耐久シリカグラウトの試験装置であって、浸透経路の所定の位置に注入液の計測口を設けて注入中の注入液の組成やpHやゲルタイムを計測することを特徴とする注入試験装置。
  16. 請求項1〜13の何れか一項に記載の耐久シリカグラウトにおいて、地盤条件、又は注入孔間隔又は固結径、または注入方式、又はステージ長に応じて、またはさらに施工実績に基いて補正しながら配合液の組成とゲル化時間(GT0)またはpH0を設定して所定注入領域に浸透固結せしめることを特徴とする地盤改良工法であって、以下の(A)又は並びに(B)の条件を満たすことを特徴とする耐久性地盤改良工法。
    (A) 注入速度は限界浸透注入速度内とする。
    注入孔間隔又は固結径L=1.0〜4.0m
    毎分注入速度q=1〜30L/minただし、限界注入速度内とする。
    1ステージ長:0.33m〜4.0m
    1ステージ当たりの注入時間H 4.4〜25600分
    ただし、注入時間(H)は現場の作業性や後期の短縮を考慮して短縮することができる。
    気中ゲル化時間 GT0 0.1分〜10000分、又は3分〜10000分
    気中pH(pH0) 1〜10
    シリカ濃度 0.4〜40%(重量%)
    土中ゲルタイム GTS0 10秒〜6000分、または10分〜6000分
    土中pH(pHS0)=3〜10
    地盤のpH 4〜10
    (B) 気中ゲル化時間をGT0、土中ゲル化時間をGTS0、1ステージの注入時間をHとすると、


    好ましくは、
    β=4.68〜0.34
    即ち、
    0.2H<GTso<3H
  17. 請求項1〜13の何れか一項に記載の耐久シリカグラウトを用いた耐久性地盤改良工法において、粗粒土、或いは大きな空隙、或いは地下水の流動している地盤においては、以下の(1)〜(8)のいずれか一種又は複数の方法で、ゲルの収縮を低減するかゲルの強度を高めるか、水圧に対する抵抗性を高めるか、ゲルの収縮の地盤の間隙への影響を低減するか、地下水による注入液の逸脱、希釈を低減して、固結砂の強度低下を低減し、或いは注入地盤の耐久性を向上することを特徴とする耐久性地盤改良工法。
    (1)シリカ濃度を高める。
    (2)コロイド濃度を高くする。
    (3)微粒子シリカコロイドを添加する。
    (4)析出シリカを添加する。
    (5)粒径が5μ以下のシリカコロイドを含むシリカ溶液を注入する。
    (6)一次注入を行い地盤の均質化と透水性の低減と地下水の流動化を低減する。
    (7)不均質地盤において、懸濁液グラウトを一次注入して粗い土層の空隙を低減し、耐久シリカグラウトを二次注入する。
    (8)懸濁グラウトとして微粒子シリカは粘土や水酸化マグネシウム等の弱アルカリ性微粒子シリカ或いはホワイトカーボン等の中性のシリカ粉体を含む懸濁液を一次注入する
  18. 請求項1〜13の何れか一項に記載の耐久シリカグラウトを用いた耐久性地盤改良工法において、耐久性評価基準として耐久レベルを設定し固結土の強度変化率、ホモゲルの体積変化、ホモゲル又は固結土からのシリカの溶脱について、注入目的と、耐久期間に応じて評価基準を設定することとし、或いはホモゲルの強度並びに収縮耐久性の特性から耐久期間におけるシリカグラウトのサンドゲルの耐久性を予測して注入目的に応じた耐久性が得られる処方を用いた耐久性地盤改良工法。或いは更に実績と研究に基づいて定量化数値を補正していくことを特徴とする耐久性地盤改良工法。
  19. 請求項1〜13の何れか一項に記載の耐久シリカグラウトを用いた耐久性地盤改良工法において、所定の注入領域に要求される耐久期間における強度は、改良対象地盤のサンドゲルの供試体の強度とシリカ濃度の関係より算出するものとし、設計数値を満たすための注入時の配合処方における室内試験目標強度は設計値に安全率をかけたものとし、その安全率は地下水による希釈や注入孔間隔間の長さによる固結強度のばらつきや耐久期間における強度変化のいずれか或いは複数種において決定することを特徴とする耐久性地盤改良工法。
  20. 請求項16〜19の何れか一項に記載の耐久性地盤改良工法において、加温養生による促進法は以下のいずれかまたは複数を対象とすることを特徴とする耐久性地盤改良工法。
    (1)固結物(サンドゲル、ホモゲル)の強度変化
    (2)固結物からのシリカの溶脱
    (3)ホモゲルの収縮
    (4)固結物(サンドゲル)の透水性の変化
    (5)化学物質の固結物に対する影響
  21. 請求項1〜13の何れか一項に記載の耐久シリカグラウトを用いて、以下のいずれかを満たすことにより所定の注入領域からの逸脱を低減しながら、所定の改良効果が得られる耐久性地盤改良工法。
    (1)該シリカグラウトは所定の注入ステージにおける注入時間(H)と土中ゲル化時間(GTS)を考慮して所定の注入領域に浸透固結する気中ゲル化時間(GT0)を有する組成を選定してなるシリカグラウトを用いる。但し、ここで土中ゲル化時間とは現場採取土と注入液を混合したときのゲル化時間
    または現場の土に注入液を浸透させたシリカグラウトのゲル化時間をいう。
    (2)該シリカグラウトは複数の注入ポンプからそれぞれ所定の注入ステージに送液される注入液送液系系統に送液されそれぞれの送液系系統には流量・圧力検出器が設けられ、それらの流量・圧力器で検出された流量および/または圧力データを集中管理装置に送信して表示することにより、複数の注入ステージにおける注入状況を一括管理して、所定の注入領域において所定の注入がなされるように浸透固結せしめる。
    (3)該シリカグラウトは以下の手法を用いて所定の注入領域における浸透固結を確認する。
    a.現場採取土を用いて土の密度が対象地盤の密度になるように調整して種々のシリカ濃度のシリカ溶液による固結供試体を作製して強度試験を行い、固結体のシリカ濃度を分析して、シリカ溶液によるシリカ含有量と固結供試体の強度の関係を把握する。
    b.注入前後の現場注入地盤の採取土のシリカ含有量を計測し、注入液によるシリカ含有量と強度の関係から現場における浸透固結の確認と地盤改良強度を推定する。
    c.注入孔からの所定の注入範囲内または隣接する注入範囲からの採取土のシリカ量を分析して所定領域内に浸透固結していることを確認する。
    d.該シリカグラウトにおいて、以下の(I)か(II)の手法を用い、所定の注入領域において、注入目的を満たすシリカ注入液の浸透固結が得られるようにした耐久シリカグラウト。
    (手法I)
    1.所定の耐久性が得られ、所定のシリカ濃度とゲル化時間からなる配合組成を用いて、シリカ注入液による現場採取土固結供試体を作成し、室内試験によって種々のシリカ濃度により、土の密度が対象地盤の密度になるように調整し固結供試体の強度試験を行い、固結供試体とのシリカ量を分析してシリカ含有量と固結供試体の強度の関係を把握する。
    2.注入前後の注入後現場注入地盤の採取土のシリカ含有量を計測し、その測定値を室内試験におけるシリカ含有量と強度の関係から現場における地盤の強度を推定して設計強度が得られているか否かを判定する。
    3.注入孔からの所定注入範囲内又は隣接する注入範囲からの採取試料のシリカ量を分析して所定領域に浸透固結していることを確認する。
    (手法II)
    以下の手法によって所定の強度が得られるシリカ濃度を設定し、かつ注入領域における浸透固結と所定の強度が得られているか否かを判定することを特徴とする耐久性地盤改良工法。
    1.注入対象地盤の密度測定を行う。
    2.注入地盤の設計強度と該設計強度に安全率をかけた室内試験目標強度を設定する。
    3.対象地盤の採取土を用いて現場密度に調整した供試体を作製する。または、更に採取土のシリカの含有量を測定する。
    4.上記供試体に現場上載圧に対応した拘束圧を加えて種々のシリカ濃度のシリカグラウトを注入して固結供試体を作製する。または現場土と種々のシリカ濃度のシリカグラウトを混合して、供試体中の土の密度が現場密度に相当するように固結体供試体を作製する。
    5.上記条件下で固結供試体を所定期間養生する。
    6.固結供試体の強度試験を行う。
    7.固結供試体のシリカ濃度を分析してシリカ濃度と強度の関係を把握する。又は、注入液によるシリカ量の増加分を分析してシリカ量の増加分と強度の関係を把握する。
    8.上記シリカグラウトを注入対象地盤に注入する。
    9.注入地盤から採取した土を用いてシリカ濃度を分析する。又は、注入液によるシリカ量の増加分を把握する。
    10.計測されたシリカ濃度から、上記シリカ濃度と強度の関係から地盤固結強度を推定して、所定の設計強度を満たす強度が得られているか否かを判定する。又はシリカ量の増加分と強度の関係から地盤固結強度を推定して所定の設計強度を満たす強度が得られているか否かを判定する。又は、更に注入対象地盤における注入量を推定する。
    11.JIS K 0101-1979モリブデン酸黄法、モリブデン青比色法、CP発光分光分析法、原子吸光分光法のいずれかにより、シリカ量の分析を行う
  22. 請求項1〜13の何れか一項に記載の耐久シリカグラウトを用いた耐久性地盤改良工法において、シリカ濃度を0.4〜40%とし、1ステージ当たりの毎分吐出量を1〜30L/minとし、1ステージ当たりのステージ長を33cm〜2mとし、注入ポイントは1点注入又は多点注入または柱状注入とし、ゲルタイムが瞬結から10000分とし、注入孔間隔1〜4mの範囲で注入するものとし、以下の項目を設定して所定の注入領域に確実に注入液が保持されて浸透固結せしめることを特徴とする地盤改良工法。
    (1)注入速度と注入圧が浸透注入限界以内であること
    (2)気中ゲル化時間(GT0
    (3)地盤状況(地盤のpH、Ca含有量、粒度、透水係数、地下水状況等)
    (4)土中ゲル化時間(GTS0
    (5)適用する各注入方式に対応したステージ長と注入速度とステージ当りの注入量と注入時間を考慮して配合したグラウトを注入する。
  23. 請求項1〜13の何れか一項に記載の耐久シリカグラウトを用いて、以下のいずれか或いは複数の方法で地表面への逸脱を防ぐことにより所定の注入領域で浸透固結させてあることを特徴とする耐久性地盤改良工法。
    (1)上記シリカグラウトの注入に先立って注入領域にアルカリ剤又は懸濁液又は瞬結注入材を一次注入して、地盤の逸脱しやすい部分を充填した上で、シリカグラウトを二次注入する。
    (2)注入地盤の地表面側の領域の注入孔ピッチを狭め、或いは予め地表面近くを固結しておくことにより地表面への注入液の逸脱を低減する。
    (3)複数の吐出口からの注入を同時に、或いは選択的に行って或いは逸脱しやすい領域を先行して注入することにより注入領域を拘束して注入範囲外への注入液の逸脱を低減する。
    (4)地表面へのリーク時の中断と低速注入を繰り返す。
    (5)注入ステージの固結体の外周部を接触させることにより注入領域を拘束して注入範囲外への逸脱を低減する。
    (6)地表面に近い注入ステージの注入を先行する。
  24. 請求項16〜23の何れか一項に記載の耐久性地盤改良工法において、以下のいずれか或いは複数を用いて地表面や用水や所定の注入領域外への逸脱或いは地盤変位を防ぎながら所定の注入領域で浸透固結するよう注入管理することを特徴とする耐久性地盤改良工法。
    (1)地盤注入液を注入ポンプから複数の注入液送液系統を通して地盤中の複数の注入ポイントに注入するに際し、地盤の所定注入領域に代表的注入ポイントを一ポイントまたは複数ポイント設定し、この代表的注入ポイントの位置する各注入ステージにおける注入液又は水による適切な圧力および/または流量を測定し、得られた値の適切な範囲を注入監視盤を備えた集中管理装置に設定し、この設定範囲に基づいて所定の注入領域における各注入ステージでの注入を行なうことを特徴とする注入管理方法とし、或いはさらに各注入ステージにおける適切な圧力および/または流量の範囲は注入試験によって得られた設定範囲に実際の注入による測定値を加味して補正することにより設定される注入管理方法。
    (2)該シリカ注入液を複数の注入ポンプから複数の注入液送液管を通して地盤中の複数の注入ステージに注入するに際し、それぞれの注入液送液管に流量圧力検出器を設け、これら検出器から検出された注入液の流量および/または圧力データを集中管理装置に送信し、注入液送液管からの各ステージにおける注入状況を一括表示して、各注入ステージに対して所定の条件下の注入が行われている事を集中管理することを特徴とする注入管理方法。
    (3)注入監視盤に、時データ、場所データ、および注入圧力および/または流量にかかわる注入データを画面表示して注入管理することを特徴とする注入管理方法。
    (4)前記集中管理装置に所望の範囲の注入圧力および/または流量を予め設定しておき、前記注入液送液管からのそれぞれの注入ステージにおける注入を集中管理装置中の注入監視盤の画面に表示して注入状況が上記設定範囲を維持するようにして所定の注入領域からの逸脱を低減して注入管理することを特徴とする注入管理方法。
    (5)注入圧力、注入速度、注入量、浸透状況に関するデータを、三次元的に画面表示で可視化して所定の注入領域における注入状況をリアルタイムで、或いは注入結果を把握し、注入圧力および/または流量の少なくとも一つの設定範囲を満たしていない部分を見出し、その部分に再注入する注入管理方法。
    (6)地盤注入液を複数の注入液ポンプから複数の注入液送液系統を通して地盤中の複数の注入ポイントに注入する地盤注入工法において、複数の注入液送液系統にそれぞれ流量圧力検出器を設け、これら検出器から検出された注入液の注入圧力および/または流量のデータを注入監視盤を備えた集中管理装置に送信し、これらデータを注入監視盤に画面表示することにより注入状況の一括監視を行なって、送液系統におけるそれぞれの注入圧力および/または流量を所定の範囲に維持しながら注入するとともに、上記データの情報に基づき、注入の完了、中止、継続あるいは再注入を行なうか或いは注入後、注入固結地盤に注入液を注入し、その抵抗圧の分布から注入効果を把握し不十分なら再注入して所定の注入領域、所定の注入効果を得ることを特徴とする注入管理方法。
    (7)注入領域の地盤ないしは構造物には変位センサが設けられ、この変位センサからの情報を集中管理装置に送信し、地盤ないしは構造物の変位状況ならびに注入液の浸透固結状況を把握する注入管理方法。
    (8)注入前に予め非アルカリ性シリカグラウトのシリカ濃度或いはさらにpHや電気伝導度を計測し、現場土のシリカ濃度と或いはさらに土のpHや土の電気伝導度や、Ca分を計測しておき現場採取土を地盤の密度で該シリカグラウトを浸透または混合して固結して注入液のシリカ濃度と固結土のシリカ濃度と強度の関係を把握し、或いはさらに配合液のゲル化時間(GT0)とpH(pH0)と土中ゲル化時間(GTS、GTS0)と土中pH(pHS0、pHS)や固結土の電気伝導度のいずれかとの関係を把握し、注入後、注入対象範囲の土のサンプリング試料のシリカ濃度、或いはさらに固結土pHや電気伝導度を測定して、或いはサウンディングやコアボーリングによって所定の注入領域の改良効果を確認することを特徴とする注入管理方法。
    ここでGTSとpHSは地盤中に注入液が浸透していく過程の地盤中のゲルタイムとpHをいい、変動しうる値をいう。GTS0、pHS0は注入液と地盤の土を混合した状態の注入液のゲルタイムとpHであって、注入孔から注入された初期の値に相当する。
    (9)複数の注入液送液系統には注入液か、非注入液かを識別する識別センサが設けられ、前記識別センサからの情報を集中管理装置に送信し、地盤中に注入された注入液の流量を非注入液と区別して把握する注入管理方法。
    (10)以下のいずれかの方法、或いは複数の方法によって環境への影響を管理する方法。
    1.注入液のpHや、導電率や、シリカ濃度を測定しておき注入中に或いはこれらの数値の関係を把握しておき、周辺地盤に設けた観測井戸中の地下水の計測あるいは地表面への逸出液の計測により、注入領域外への逸出を把握し、注入を中断し或いは用水への影響を防ぐ注入管理方法。
    2.地盤変位や構造物の変位を集中管理装置に送信し地盤の隆起或いは沈下の変位を管理し、或いは変位量が限界値に達したら注入を中断して影響を防止する注入管理方法。
    (11)導電率測定装置、pH測定装置、濃度測定装置のいずれかを用いて注入液の管理を行うか、或いはこれらの装置の一つ又は複数を送液系統に設け、送液中のこれらを測定することにより測定値のデータを集中管理装置に伝達し、これにより注入中の注入液の種類と組成、洗浄水と注入液の識別、或いは地表面に溢出した地中液が地下水か注入液か、或いは地中液に含まれる注入液の比率を識別して実際の注入量を把握或いは品質管理をする注入管理方法。
  25. 請求項1〜13の何れか一項に記載の耐久シリカグラウトを用いた請求項16〜24の何れか一項に記載の耐久性地盤改良工法に用いる注入管理方法において、注入現場における地盤データ、シリカ系グラウトデータ、削孔データ、注入データ、環境データ、品質データ、出来型データ、工程データ、施工管理データのいずれかにに関する以下のA群、B群に示すいずれか又は複数の注入データをリアルタイムでインターネットの情報管理センターサーバー或いはクラウドに送信して一括管理してリアルタイム又はその後の任意の時点で企業者、施工会社、現場施工者のいずれか或いは複数が注入状況を把握することができると共に情報を保持することを特徴とする注入管理方法。
    ただし上記において、シリカ系グラウトとはシリカ注入液、或いはシリカを含有する懸濁型の注入液の注入をいう。
    A群は
    (1)地盤データと削孔データ
    (2)注入装置データ
    (3)計測装置と計測データ
    (4)注入液データ
    (5)注入工法データ
    (6)注入計画データ
    (7)注入試験データ
    (8)各注入ステージの注入データ並びに限界数値又は許容範囲のデータ
    (9)注入効果確認データと注入効果解析データ
    (10)追加注入データ
    (11)地盤変位や地中埋設物や水質等の環境データ
    (12)現場採取土配合設計
    (13)改良目標数値と改良値
    B群は
    ・データの可視化
    ・データの集積と解析による注入現場或いは集中管理装置への指示
    ・工程の把握
    ・データの保持と解析
    ・所定領域に所定量が注入されていることの確認
    ・改良効果と耐久データ
    ・改良不十分部分の指示
    ・過去のデータの集積
    ・改良目標
    ・統合技術としての耐久性地盤改良工法における各種要件及び各種要素技術のデータ
    ・蓄積したデータとの解析
    ・現場データと室内試験の比較と対応
    ・遠隔制御による自動注入
  26. 請求項1〜13の何れか一項に記載の耐久シリカグラウトを用いた請求項16〜25の何れか一項に記載の耐久性地盤改良工法に用いる注入管理方法において、以下のいずれか又は複数のデータを情報管理センターサーバーにデータを蓄積し、インターネットからの施工現場からのデータを既存のデータと共に解析し、その結果をインターネットで施工現場にフィードバックするものとし、或いは解析の結果、目的とする注入が行われていないと判断した場合、注入の補正を施工現場に指示して確実な施工を行わせしめ、又はその情報を現場の集中管理装置に送信して、或いは注入の自動化を行うものとし、その情報過程をデータ情報センター又はクラウドで管理し、リアルタイム又は必要な任意の時点で開示できるようにした注入管理方法。
    (1)注入地盤データ並びに削孔データ
    (2)注入装置データ
    (3)計測装置と計測データ
    (4)注入液のデータ
    (5)注入工法のデータ
    (6)注入計画データ
    (7)注入前後の試験データ
    (8)注入データ
    (9)追加注入データ
    (10)環境データ
    (11)注入効果の確認データ
    ただし、上記において、薬液注入とはシリカ注入液或いはシリカを含有する懸濁型注入液の注入をいう。
  27. 請求項1〜13の何れか一項に記載の耐久シリカグラウトを用いた耐久性地盤改良工法において、耐久性地盤改良工法は以下の互いに関連する耐久要件を統合して耐久期間中所定の改良効果を持続させることを特徴とする耐久性地盤改良工法。
    (a)シリカグラウトと耐久特性と環境保全性
    (b)施工法と固結地盤の耐久性と注入設計法
    (c)施工実績による耐久性の実証
    (d)現場土配合設計法と品質管理
  28. 請求項1〜13の何れか一項に記載の耐久シリカグラウトを用いた耐久性地盤改良工法において、以下の互いに関連する耐久性要素技術を統合して注入目的を満たす耐久性を有する耐久地盤を得ることを特徴とする耐久性地盤改良工法。
    (a)耐久シリカグラウトの耐久性と環境保全性
    (1)耐久性と地盤強化のメカニズムの解明
    (2)ホモゲルとサンドゲルの耐久性
    (3)地盤条件に対応した耐久性
    (4)固結地盤の長期耐久性
    (5)所定の領域における浸透固結性が得られる配合設定
    (6)環境保全性
    (b)注入地盤と施工法と固結地盤の耐久性
    以下の地盤条件と施工法と注入材の配合設計によって耐久性が影響をうける。
    (1)地盤条件:地盤の粒度と粒径分布、土の密度、土性、水圧
    (2)広範囲浸透注入工法
    (3)所定領域における浸透固結性と土中ゲルタイム
    (4)マグマアクション法
    (5)マスキングシリカ法
    (c)施工実績による耐久性の実証
    (1)広範囲浸透注入工法
    (2)広範囲浸透注入工法を用いた大規模野外注入試験による耐久シリカ注入地盤の耐久性の実証
    (3)大震災における注入地盤の耐震性の実証
    (d)現場土配合設計法と品質管理
    (1)現場土配合設計法
    (2)地盤珪化評価法
    (3)施工管理
    (4)材料管理と注入管理
    (5)事前の改良効果の予測と事後の改良効果の管理
    (6)環境管理
  29. 請求項1〜13の何れか一項に記載の耐久シリカグラウトを用いた耐久性地盤改良工法において、耐久要件はそれぞれ以下の1つ又は複数の要素からなる特徴とする耐久性地盤改良工法。
    (1)シリカグラウトの固結物の耐久性
    (a)ホモゲル並びに/又は、サンドゲルからのシリカの溶脱の経時変化
    (b)ホモゲルの収縮の経時変化
    (c)ホモゲル並びに/又は、サンドゲルの強度の経時変化
    (2)注入液の配合設計
    (a)所定領域に浸透固結するための配合設計
    (b)耐久期間に注入目的を満たす所定の耐久効果を得る配合設計
    (c)耐久期間の強度予測と促進試験による配合設計
    (d)現場採取土を用いた配合設計
    (3)地盤条件と施工法
    地盤条件
    (a)地盤の粒度、粒度分布
    (b)土の密度
    (c)土性
    (d)水圧(動水勾配)
    施工法
    (a)注入孔ピッチ
    (b)毎分吐出量とゲル化時間
    (c)一次注入と二次注入
    (d)注入ステージ
    (4)品質管理
    (a)シリカグラウトの組成と配合とゲル化時間に関わる品質管理
    (b)安全施工に係る品質管理
    (c)環境に係る品質管理
    (d)シリカ量測定又は/並びにコア採取による注入地盤の品質管理
    (e)現位置試験による注入効果の確認に寄る品質管理
  30. 請求項1〜13の何れか一項に記載の耐久シリカグラウトを用いた耐久性地盤改良工法において、以下の耐久要件が組み合わされて耐久目的と耐久期間に対応した耐久効果の持続性を満たすことを特徴とする耐久性地盤改良工法。
    (1)シリカグラウトの耐久要因
    ・シリカグラウトの組成とシリカ濃度と気中ゲル化時間と土中ゲル化時間と所定領域における浸透固結性
    ・ゲルからのシリカの溶脱
    ・ゲルの収縮
    ・ゲルの強度
    ・ゲルの耐久性とサンドゲルの耐久性の関連性
    ・サンドゲルの耐久性(シリカの溶脱、固結土強度と経時変化)
    ・土中ゲル化時間と所定範囲における浸透固結性
    (2)注入地盤の特性と施工法
    ・地盤の粒度と粒径分布
    ・土の密度
    ・土性
    ・地下水の状態
    ・施工法(注入孔間隔、ゲル化時間、注入量、毎分吐出量、注入ステージ、一次注入と二次注入)
    (3)管理
    ・現場採取土を用いた配合設計法、シリカグラウトと注入固結地盤の品質管理。
    ・配合管理と注入量と注入速度の管理
    ・シリカグラウトの組成とシリカ濃度とゲル化時間(配合時ゲル化時間と、pH、地盤のpHと土中ゲル化時間、浸透距離とゲル化時間の管理
    ・施工法の管理
    ・注入液のシリカ量と固結土のシリカ量からの施工後の固結地盤のシリカ量による品質管理又は/並びにコアサンプリングによる確認調査
    (4)環境保全性
    請求項1〜13の耐久シリカグラウトを用いた耐久シリカグラウトであって、以下のいずれかの手法により環境性に対する影響を低減することを特徴とする耐久シリカグラウト。
    (A1)コンクリート地中構造物近傍部に以下の手法で耐久シリカグラウトを注入する。
    (a)酸としてリン酸系を用いるかリン酸と硫酸の混酸であって、リン酸と硫酸の比率を調整するものとし、リン酸の比率は全酸の内、15%以上を用いてシリカのアルカリ分を中和するに要する硫酸分使用量を低減してコンクリート構造物に対する安全性を確保する。ただし、リン酸、硫酸の濃度は75wt%として換算する。
    (b)金属イオン封鎖剤を添加する。
    (c)コロイドの使用比率を増やして水ガラスの使用量を減らすことによって、酸の使用量を低減する。
    (2)水質に対する安全性において、pHやコロイドや水ガラスの量と比率を調整する。
  31. 請求項1〜13の何れか一項記載の耐久シリカグラウトを用いた耐久地盤改良工法において、以下の注入管理と注入前後の品質管理を行うことを特徴とする耐久性地盤改良工法。
    (1)土質と浸透可能性
    (2)注入液と固結体の特性
    (3)現場採取土のシリカ含有量、Ca含有量、pHとゲルタイム
    (4)注入方式と注入孔間隔と1ステージ長
    (5)注入率と注入量
    (6)注入速度、注入圧力、注入量、注入時間、限界注入速度試験による適切な注入速度を決定、施工時の上限圧力の設定
    (7)配合液の組成とpH(pHo)とゲルタイム(GT0)と土中ゲルタイム(GTs0)と注入時間(H)と浸透固結範囲と環境条件(水質並びに土中構造物への影響)に対する対応。
    (8)土中ゲルタイム(GTs0)と注入時間(H)に対応した注入液のpH(pHo)とゲルタイム(GT0)の管理
    (9)注入方式と注入孔間隔と1ステージ長と限界注入速度内の毎分注入量と1ステージの注入時間(H)の選定と室内実験、並びに現場条件、地盤条件に対応した過去の施工実績に基づく土中ゲルタイム(GTs0)と注入時間(H)から、所定注入範囲外への逸脱を低減して所定の注入範囲に浸透固結して所定の品質を得られるための注入液のpH(pH0)とゲルタイム(GT0)の管理。
    (10)注入前後の品質管理
    以下のいずれか或いは複数による注入前後の品質管理
    ・ボーリング位置
    改良半径の1/2または2〜4本の交点など
    ・強度確認
    一軸圧縮試験、三軸圧縮試験、液状化強度試験
    コアボーリング或いはサウンディング
    ・その他(注入前後)
    注入前後のシリカ含有量試験
    孔内水平載荷試験
    注入地盤のCa含有量試験
    注入による地盤変位
  32. 請求項16〜24,27〜31の何れか一項記載の耐久性地盤改良工法であって、以下のいずれかを用いる耐久性地盤改良工法。
    (1)二重管瞬結・緩結注入工法
    (2)ダブルパッカ工法
    (3)多点同時注入工法
    (4)柱状注入工法
    (5)袋パッカ注入工法
    (6)点注入工法
JP2018093021A 2017-05-16 2018-05-14 耐久シリカグラウト並びに耐久シリカグラウトを用いた地盤改良工法 Active JP6460432B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017097094 2017-05-16
JP2017097094 2017-05-16

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018193550A JP2018193550A (ja) 2018-12-06
JP6460432B2 true JP6460432B2 (ja) 2019-01-30

Family

ID=64571638

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018093021A Active JP6460432B2 (ja) 2017-05-16 2018-05-14 耐久シリカグラウト並びに耐久シリカグラウトを用いた地盤改良工法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6460432B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7212423B1 (ja) 2022-06-29 2023-01-25 強化土エンジニヤリング株式会社 地盤注入工法および地盤注入装置
CN116199490A (zh) * 2023-02-08 2023-06-02 山东大学 一种适用于致密软弱地层加固与抗渗处理的硅基注浆材料及其制备方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU684014B2 (en) * 1994-04-19 1997-11-27 Ad-Base Pty. Ltd. Stabilising soil and aggregate mixtures and structures
JP4268297B2 (ja) * 1999-12-27 2009-05-27 株式会社トクヤマ 沈下防止用地盤注入剤および沈下防止方法
JP5720060B2 (ja) * 2010-05-19 2015-05-20 富士化学株式会社 地盤注入用固結材の製造方法
JP4912486B2 (ja) * 2010-06-30 2012-04-11 日本化学工業株式会社 地盤注入用グラウト材および地盤注入工法
JP6233818B2 (ja) * 2016-03-28 2017-11-22 富士化学株式会社 地盤注入用固結材の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018193550A (ja) 2018-12-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5270819B2 (ja) 地盤強化方法
CN108166994B (zh) 一种应用于富水砂层盾构隧道的注浆加固圈的施工方法
JP6460432B2 (ja) 耐久シリカグラウト並びに耐久シリカグラウトを用いた地盤改良工法
JP6995328B2 (ja) 地盤注入工法並びに注入材
JP2006257281A (ja) 可塑性注入材、地盤強化方法、地盤注入管理方法並びに注入管理装置
JP2010185020A (ja) 地盤注入剤および地盤注入工法
JP5390060B2 (ja) 地盤強化方法
JP2008002076A (ja) 地盤強化方法、並びに圧入管理方法
JP4628378B2 (ja) 地盤強化方法
JP2014114645A (ja) 地盤改良工法
JP2009180078A (ja) 地盤強化方法、並びに圧入管理方法
CN104747208B (zh) 一种注浆加固浆液扩散调控方法
JP4689555B2 (ja) 地盤強化方法
CN102493444A (zh) 一种预应力管桩浅层断桩的处理方法
JP2007040096A (ja) 地盤強化方法、地盤圧入管理方法並びに圧入管理装置
CN115030733A (zh) 一种防止地层土量损失或地表沉降的注浆方法
Flach et al. Degradation of Cementitious Materials Associated with Saltstone Disposal Units
JP5467233B1 (ja) 地盤改良工法
JP2005299337A (ja) 高炉水砕スラグ裏込め材の固結促進方法
Alzayani Impact of undrained deformation on the hydraulic conductivity of cement-bentonite barrier material
Zhang Compound-Grouting Technology and Its Application in Subsea Tunnel-Surrounding Rock
JP2014114684A (ja) 地盤改良工法
JP2014114686A (ja) 地盤改良工法
Asakura et al. Development of new grouting material for tunnel rehabilitation
Hatami et al. Implementation of dam wall by plastic concrete to control water seepage under soil dams structure

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180516

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20180516

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180528

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180530

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20180621

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180717

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180910

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181023

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181113

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181218

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181219

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6460432

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R157 Certificate of patent or utility model (correction)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R157

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250