図1(a)〜(c)並びに図2(a)〜(c)は、本発明の地盤改良工法の実施に際して用いられる微細気泡(以下「マイクロバブル」)注入液生成装置の一例を示し、図1において符号1は、水またはシリカ溶液(以下「注入液」)にマイクロバブルを混入するためのマイクロバブル発生装置(渦流発生装置)、符号2はマイクロバブル発生装置1に送り込まれる注入液をいれる溶液タンク、そして符号3はマイクロバブル発生装置1において生成されたマイクロバブル注入液を地盤中に注入する注入管である。
マイクロバブル発生装置1は、動力によって高速回転する羽根車1aを内臓し(図1(c)参照)、また、溶液タンク2から延びる送液管4と空気を取り込むエア供給管5がそれぞれ接続され、さらに、マイクロバブル発生装置1内で撹拌、混合および溶解された水またはシリカ溶液と微細気泡との混合液を地盤中に注入する注入管3に延びる圧送管6が接続されている。また、送液管4、エア供給管5および圧送管6にバルブ7がそれぞれ取り付けられている。
このような構成において、マイクロバブル発生装置1内の羽根車1aが動力によって高速回転することにより、溶液タンク2から装置1内に注入液が送液管4を介して吸引され、同時にエア供給管5を介して装置1内にエアが吸引される。
そして、装置1内で高速回転する羽根車1aによって注入液と微細気泡が撹拌、混合および溶解され、かつ圧送管6を介して注入管3に圧送され、そして注入管3から地盤中に注入されることにより地盤が不飽和化される。
マイクロバブル液生成装置としては、例えば、図2(a)〜(c)に図示するようなマイクロバブル液生成装置も使用される。当該マイクロバブル液生成装置は、マイクロバブル発生装置8と給水ポンプ9とコンプレッサー10(空気は自給でもよい)を備えて構成されている。
マイクロバブル発生装置8は、直線状をなす円形通路11aとその先端に円形通路11aより大きい内径に形成された溶液放出路11bとからなるマイクロバブルノズル11を備え、円形通路11aの後端側に気体流量調整弁(バルブ)7を介してコンプレッサー10から延びるエア供給管5が接続され、円形通路11aの先端寄りの側部に給水ポンプ9から延びる給水管12が接続されている。給水管12の先端12aは円形通路11aの内周面の接線方向に開口している。
このような構成において、コンプレッサー10の作動によりエア供給管5を介して円形通路11aにエアが供給され、同時に給水ポンプ9から給水管12を介して円形通路11aに加圧水が給水されると、円形通路11aの先端部分から溶液放出路11bにおいて加圧水の水流により加圧水と気体の旋回流が形成される。そして、溶液放出路11bの先端からマイクロバブル水となって放出される。なお、円形通路11aに加圧水の代わりにシリカ溶液を加圧供給することによりマイクロバブルが混入されたシリカ溶液を生成することができる。
エア供給管5から過大の空気量を送れば過飽和状態のマイクロバブル液となって地盤中でマイクロバブルに加えて空気も注入される。即ち本発明においてマイクロバブル液或いは気体含有液とはマイクロバブル含有液或いはマイクロバブルと空気を同時に混合された液を意味する。いずれもマイクロバブルが土粒子間に吸着されるが地盤が拘束されていれば空気も地盤中に保持されやすい。また加圧水の圧力を高くすれば空気の溶存量を多くすることができる。ノズル部分で渦流を発生させることにより溶けた空気がマイクロバブルとなって地盤中に注入される。しかしマイクロバブル含有液中の空気含有量のすべてが地中にマイクロバブルとなって放出するとは限らない。注入されるマイクロバブル含有液の圧力と空気含有量や地盤中の地下水の圧力や温度等によって地中におけるマイクロバブル生成率は異なるのでそれらの条件を考慮して算出する。また製造されたマイクロバブル中の空気溶存量は後述のようにして計測することができる。
また、本発明は、マイクロバブル液の施工法並びに施工管理法にかかわる(請求項17〜30)。図3(a)〜(d)は、本発明の実施に際して地盤中に挿入される注入管の一例を示し、特に図3(a),(b)に図示する注入管は、複数の注入細管13を各注入細管13の先端吐出口13aを管軸方向に一定長ずらし、かつひと束に結束することにより構成されている。
注入細管の先端部をしぼって気体含有液が噴射するようにすれば注入管内の気体が過飽和地盤中に解放されてマイクロバブルが生成して地盤中に浸透して土粒子間にマイクロバブルが吸着しやすい。
このように構成されていることにより、各注入細管13の先端吐出口13aから深さの異なる複数のステージ(地層)にマイクロバブルを混入した水またはシリカ溶液を同時に、または一または複数のステージを任意に選択して注入することができる。また、浅いステージに細粒子含有注入材や懸濁性注入材またはシリカ溶液注入材を注入し、深いステージにマイクロバブル液を注入することもできる。なお、この細粒子含有注入材またはシリカ溶液は、マイクロバブルを含んでいてもよい。また、細粒子含有注入材や懸濁性注入材を一次注入してマイクロバブル液を二次注入してもよい。なお複数の注入管の1つからマイクロバブル液の注入に先立って或いはあとから空気を注入することもできる(図20,(b))。
この場合空気が地盤中の地下水を周囲に押し広げて地下水がもとに戻る前にマイクロバブル液が置き換わってマイクロバブルが土粒子に吸着する。このためマイクロバブル液が広範囲に拡がってマイクロバブルの浸透範囲が広くなるという効果がある。図2の装置を用いて前述のようにマイクロバブル液と空気注入を同等に注入することもできる。また上記図3の注入管を用いてマイクロバブル液の注入後、別の注入管から空気を注入してマイクロバブル液を周辺に押し広げたり或いはこれらの工程を繰り返して広範囲に浸透させることができる。
図4(a)〜(c)は同じく注入管を示し、ケーシング14と当該ケーシング14内に設置された一または複数の注入細管13を備えて構成され、ケーシング14の先端に先端コーン15が離脱可能に取り付けられている。また、特に図4(a),(b)に図示する注入管においては、複数の注入細管13が一束に結束され、かつ各注入細管13の先端吐出口13aが管軸方向に一定長ずれている。なお、符号16は複数の注入細管13をケーシング14内に保持する保持具である。
このような構成において、ケーシング14を注入細管13と共に地盤中に打ち込み、続いてケーシング14内にシールグラウト16を圧入しながらケーシング14のみを徐々に引き抜く。
そして、各注入細管13を介して地盤中にマイクロバブルを混入した水またはシリカ溶液を注入することにより、地盤を不飽和化して地盤改良することができる。なお、ケーシング先端の先端コーン15はケーシング14内にシールグラウトを圧入することにより、その注入圧により押し出してケーシング14の先端から取り外すことができる。
なお、図5(a),(b)は注入管の変形例を示し、図4(a),(b),(c)で説明した注入管において、さらに自然落下による連続打撃によってケーシング14を注入細管13と共に地盤中に貫入させるハンマー17と、ハンマー17の打撃によるケーシング14の一定貫入量ごとの打撃回数(N値)を記録するカウンター18を備えている。この注入管3を用いると、本来なら別途作業により事前に行うべき地盤の貫入試験、地盤調査およびボーリングを地盤に注入管3を打ちこみながら行うことができる。このため地盤状況を把握しながら最適の量の注入を行うことができる。なお、図5(a),(b)に図示する注入管3は、図4(a)〜(c)に図示するように構成されている。
図6〜図10は、貯蔵タンクなどの既存の構造物直下の地盤に、液状化対策として行う本発明の地盤改良工法を示したものである。最初に、既存構造物Aの周囲の地盤中に懸濁グラウトやホワイトカーボンのように極微少の(表3)細粒子の混入液や溶液型シリカグラウト或いは溶液型シリカグラウトにこれらの極微少粒子を混入したグラウトを注入することにより隔壁18を形成する。或いはこれらを一次注入してマイクロバブルが逃げやすい空隙を充填してもよい(表1〜表3)。
続いて、隔壁18によって区画された地盤中にマイクロバブル液を注入するか或いは細粒子混入液またはシリカ溶液(シリカグラウト)、あるいはこれらの溶液中に気泡液、空気またはマイクロバブルを混入した溶液を注入することにより既存構造物直下の地盤を不飽和化して液状化を防止することができる。
なお、マイクロバブル液は、地盤中に細粒子混入液またはシリカ溶液を注入した後から注入してもよい。また、図8(b)に図示するように地盤の表層部にシリカグラウトまたは気泡、空気またはマイクロバブルを混入したシリカグラウトを注入し、その下層部分にマイクロバブル液を注入してもよい。さらに、マイクロバブルを混入した水またはシリカ溶液 (5μm〜100μmの気泡を含む空気溶存溶液)を地盤中に注入してもよい(表4、表5)。
隔壁18は、既存構造物Aの周囲に構造物直下の地盤を取り囲むように、例えば矩形の枠状に形成し、また、隔壁18は不透水層または非液状化層19まで連続して形成する。
さらに、既存構造物Aの周囲を取り巻く隔壁18内の地盤面積がかなり広い場合には、必要に応じて図7(b)に図示するように隔壁18の内側に格子状の仕切り壁20を形成して隔壁18内の地盤を複数に仕切る(図6〜11)。
なお、隔壁18は鋼製矢板、コンクリート矢板、場所打ちコンクリート壁、場所打ちRC杭、高圧噴射固結体または固結柱(ソイルセメント柱体)の連続壁、さらには懸濁液或いはシリカ溶液などの固結材を注入することにより形成することもできる。
このように施工することで、細粒子混入液、シリカ溶液、あるいはマイクロバブル等の注入材が周辺に逸脱しにくくなり、また地下水の影響を受けにくくなり、さらには地下水の移流や地震動による地盤の変状も起こりにくくなるため液状化が発生しにくくなる。
また、マイクロバブル溶液を注入して地盤を不飽和化することにより液状化を防止することができる。したがって、少々の地盤の変状を許容して地盤改良を行っても大きな液状化に至らないため、きわめて経済的に地盤改良を行うことができる。
さらに、仕切り壁20によって仕切られた各地盤内にマイクロバブルを混入した水またはこれら細粒子液或はシリカ溶液を加えた注入材を注入することにより、隔壁18と仕切り壁20の剛性により地震力によるせん断力を低減し、内部に作用するせん断力を小さくして液状化を防止することができる。
また、マイクロバブルの液状化強度が小さいために、地震時に少々の変位が生じても格子状の仕切り壁20によって全体的な地盤の変位は抑制されることにより液状化は防止できるため、経済的な地盤改良が可能であり、また、隔壁18と仕切り壁20によってマイクロバブルの注入液の逸送を防止することができることにより、マイクロバブルによる液状化防止効果を長期にわたって持続させることができる。
なお、隔壁18や仕切り壁20の代わりに複数の柱状固結体(ソイルセメントや固結材の混合土で形成された杭)を一定間隔おきに形成して固結体壁とし、或いは、この柱状固結体の周囲に細粒子を注入した後、微細気泡を混入したマイクロバブル液またはシリカバブル液を注入することにより、既存構造物直下および周辺の地盤を不飽和して液状化を防止することができる。この場合も少々の地盤の変状を許容しても大きな液状化に至らない範囲で地盤改良を経済的に行うことができる。
また図7において、隔壁18内の地盤中液状化層さらに隔壁内に図6〜11に示すように地盤改良計測センサー21を設置してマイクロバブルの注入状況をリアルタイムで確認しながら注入を行うことにより、地盤改良を無駄なくきわめて効率的かつ確実に行うことができる。
地盤改良計測センサー21は土中水分計や電気比抵抗測定器などで、地盤の電気抵抗変化または誘電率から気泡の到達範囲や飽和度の変化や間隙率の減少の程度とその分布状況を知り、それによって注入の管理を行なうことができる。
また、図9(b)に図示するように注入領域内の削孔中に設置した地盤改良計測センサー21、注入管22、当該注入管22にそれぞれ接続された分岐バルブ23、圧力計24、流量計25およびマイクロバブル発生装置26をコントローラー27によって集中管理することにより、地盤改良計測センサー21からの情報に基づき注入量、注入管22の選定、注入の完了、注入の繰返し等の管理を行なうことができる。
間隙率と間隙充填率と目標不飽和度と注入液中に含まれるマイクロバブルの空気量から目標とする不飽和度を得るに必要なマイクロバブル水の注入量を算出することができる。このようにして注入管理と不飽和化の管理を行うことができる。
図6〜11において前述したように隔壁内の液状化層の地盤を目標不飽和地盤にするのに必要とする空気量が得られるように注入されたマイクロバブル注入液の注入量から地盤に注入された空気量が算出される。一方所定の注入管から注入されたマイクロバブル液の注入量からマイクロバブル中の空気量を算出したその注入による不飽和化度が算出される。
また地盤中に吸水パイプ(又はチェック孔、排水パイプ)を設けて採取した地下水の空気含有量から注入液の到達距離や地盤の飽和度を推定できる。またその注入孔からの注入液の到達範囲に設けたセンサーから地盤の不飽和化度が算出されて(図23、図24)、以上の注入液から算出される不飽和化度とセンサーによる計測値から算出される不飽和化度を比較してその差率を算出することができる。この差率を地盤中におけるマイクロバブルの損失率とみなすか、或いは、その差率を製造された空気含有注入液中に含まれる空気量と地盤中で放出される空気量の差をマイクロバブル生成率とみなして、その量を加算して注入するか或いはマイクロバブル混入率を上げて(マイクロバブル製造中に加圧してマイクロバブルの含有率を大きくする等)注入設計を行うことができる。なぜならば地盤に注入される前の空気含有液中の空気の全量が地盤中に放出されるとは限らないからである。以上を一本当たりのマイクロバブル液の注入に対して、或いは注入領域全体の注入のいずれか或いは両方に関して比較検討して注入管理を行うことができる。以下にその手順を示す。
1 注入改良体の設計
1−1 基本式
改良範囲の飽和度Srは以下の式に示すことができる。
ここで、
改良範囲V,間隙率n
充填率α,マイクロバブル生成率β,ロス率d,注入量Qである。
1−2 マイクロバブルの溶存率と生成率
空気の溶解度は1気圧(0.1MPa)あたり、水1cm3に対して20℃で0.019cm3(1.9%)である。
ヘンリーの法則より圧力と溶存率は比例関係となる。20℃、P気圧で注入した場合の、水1cm3に対するマイクロバブルの溶存率δは以下の式に示すことができる。
また、注入液が地盤に注入されると大気圧となるとみなすと、溶存量は0.019cm3まで低下し、その差がマイクロバブルとなって地中に生成される。
マイクロバブル生成率βは以下の式に示すことができる。
2気圧(0.2MPa)で注入した場合、マイクロバブルの溶存率δは3.8%,生成率は1.9%となる。
ただし上記差がそのままマイクロバブルの生成にあずかるとは限らない。その場合はマイクロバブル生成率をその分加算すればよい。或いはその分をロス率としてもよい。
1−3 ロス率の検討
改良範囲Vが1000m3(10m×10m×10m),間隙率nが0.4の地盤とする。
飽和度90%とするために必要となる注入量を計算する。
ロス率がない(d=0)場合には2104m3注入すればよい。
上式においてロス率を10%(d=0.1)と仮定すると4208m3の注入が必要となる。
これよりロス率に応じた注入量の検討が可能となる。その他,各パラメータを変更することによって実地盤に応じた設計が可能となる。
図25(a)において改良体を半径r(=0.5m)の球状とする.飽和度Srを90%としたときに、改良球に含まれる気泡量qは以下に示される。
注入速度をvとすると、水に含まれる気泡の生成速度はv’=βv=0.019vとなる。
注入速度vを8l/minで20.9lの気泡が入るために必要となる時間tは以下に示される。
2 マイクロバブル液の空気含有量測定法
地盤中に注入される前のマイクロバブル液の空気含有量を測定する。
マイクロバブルの溶存率δを計測する方法である。
1)注入液中に混入する気体の圧力により算出
1気圧(0.1MPa)あたり、水1cm3に対して20℃で空気は0.019cm3(1.9%)溶解する。
ヘンリーの法則より、注入圧と溶解度は比例関係にある。圧力目盛がx(atm)の場合における溶解度γ(%)は
γ=1.9×xで計算でき、この値からδを算出する。
2)溶存酸素計からの算出
溶存酸素計として、横河電機株式会社製の(DO402G,DO70G,DO30G)を使用する。
空気内に酸素はおよそ20%含まれている。計測値を5倍することで空気量を算出できる。
地盤の飽和度がSrのとき、地盤間隙に含まれる空気量β=(1−Sr)(%)で示すことができる。マイクロバブルの溶存率δは溶解度と空気量βの和で示すことができ、
δ=β+1.9=(1‐Sr+1.9)=2.9‐Srとなる。
酸素量Doは溶存率δの20%となるため、以下に示される。
従って、
Doは40%(=400ppm)を示したとき、飽和度は90%に到達したと判断できる。
3)ピクノメータでの計測
測定口から取り出した水をピクノメータに入れる。気体が外に逃げないように密閉する。水は下に,気泡が上に分離する。分離時間と気泡の径、水面の位置よりストークスの式を用いて気泡の量及び飽和度を計算する。
3 地盤中における空気含有量の計測
地盤中に含まれるマイクロバブル生成率βを求める方法である。
1)電気抵抗による計測(図23)
計測された誘電率より飽和度を算出してマイクロバブル生成率を求める。飽和度の計算式を式1、誘電率の計算式を式2に示す。Kairを1、Kwaterを81、Ksoilを4として間隙率nと体積含水比θをパラメータとした場合のSrとKとの関係を図23(a)に示す。計測値Kから図22より飽和度Srを読み取る。
式1及び式2を以下に示す。
式1
Sr=θ/n×100
式2
K=(n-θ)Kair0.5+θKwater0.5+(1-n)Ksoil0.5
Sr:飽和度
θ:体積含水率
n:間隙率
K:誘電率
Kair:空気の誘電率
Kwater:水の誘電率
Ksoil:土の誘電率
2)土中水分計による計測
土中水分計では体積含水率θが得られる。体積含有率から飽和度を計算する。
これらの結果よりロス率を換算して,トータルの注入量を計算することができる。
4 注入設計例
地盤中に一定領域を囲むように遮断壁を形成し、当該遮断壁内の地盤中に気体混入液を注入することにより地盤を不飽和化する。
改良範囲Vが1000m3(10m×10m×10m),間隙率nが0.4の地盤を改良する。
目標飽和度は90%とし,実際の地盤におけるロス率dを10%として、飽和度80%となるように注入する。
空気の溶解度は1気圧(0.1MPa)あたり、水1cm3に対して20℃で0.019cm3(1.9%)である。2気圧(0.2MPa)で注入するため、ヘンリーの法則より、水1cm3に対して20℃で0.038cm3のマイクロバブルが溶存されている(溶存率δ=3.8%)。注入液が土中に含まれると大気圧(0.1MPa)になるため、溶存量は0.019cm3となる。0.038cm2-0.019m2=0.019m2が溶出され、土中に気泡として存在する(気泡含有率β=1.9%)。
改良体へ注入するマイクロバブルの総量を以下に示す。
80m3のマイクロバブルが存在するために必要な改良体への注入量の総量を以下に示す。
注入間隔を1mとすると、改良球が1000個形成できる。改良球1個あたりの注入量を以下に示す。
改良球1個あたりの注入時間は60分を目標とする。注入速度を以下に示す。
そこで、マイクロバブル発生装置(エアターボミキサー)はKTM32ND15Z(NIKUNI社商品)を用い、流量80l/min,圧力0.2MPa,モータ動力1.95kWで注入することによって地盤改良した。
施工例
注入前に図23(b)に示す6箇所にセンサー(TDR土中水分計(藤原製作所TDR-341F))を設置して品質管理を行った。飽和度Srは体積含水率θと間隙率nより以下の式で算出できる。
表示された体積含水率θから飽和度Srを算出する。例えば、θが0.36を示せば目標飽和度は90%となる。
体積含水率から飽和度を算出し、経過時間と飽和度の関係をプロットした。
その結果を図23(c)に示す。70分経過した段階で計測位置から最も遠い位置でも飽和度が90%以下を示し、ロス率10%を考慮して80%で設計することによって所定の品質が得られたことを確認した。他の改良体においても70分で注入すればよい。
施工管理例
図23(b)における注入口から同心球状にマイクロバブルが形成された際に、飽和度80%において必要となるマイクロバブル量L1を求める。
次に、地盤中のマイクロバブル生成速度v´を以下に示す。
センサーによって計測された飽和度Syが90%、80%となる際の時間を測定し、地盤中のマイクロバブル生成速度v´(=1.52l/min)で乗じた値L21、L22を求める。
L21、L22は実測値、L1は理論値となるため、L21/L1、L22/L1を算出しロス率とした。これらの結果を表−6に示す。注入口からの距離が近いA1〜A3はロス率が大きいが、B-1〜B-3に関しては2倍〜5倍である。
図27に注入口からの距離とロス率との関係を示す。近似線によって推測することで、注入口からの距離の違いによるロス率の値を求めることができる。
例えば、飽和度90%の改良径を1.2m形成する場合、注入口からの距離が0.6mとなり、図27に示す近似式よりL21/L1が1.56となる。従って、必要となるマイクロバブル量L21は下式により求めることができる。
図28は、改良径を変動させて、マイクロバブル生成量から算出した必要注入量L1とセンサーからの飽和度より算出した必要注入量L21との関係を算出し図示したものである。注入初期はL21の量が多く、注入が終わるにつれてL1の量が多くなった。注入初期は注入口付近に形成されたマイクロバブルが集中し、時間の経過によって改良域が拡大する傾向を示すことができ、実情に応じた注入量の設計が可能となる。
図29は注入初期とある程度注入を経過した場合で注入速度を変えた場合である。ロス率を10%として設計、施工したが、ロス率が設計より大きく飽和度が低減できず40分後でも飽和度が96%である。そこで注入速度を2倍にしてマイクロバブルの注入量を増加することにより、70分程度で目標飽和度の90%を得ることができる。
さらに、図10,図11に図示するように、隔壁18によって区画された地盤中に注入管22と共に地下水を汲み上げるための吸水管28を設置して、注入管22による注入液の注入と吸水管27による地下水の汲み上げを行うことによって、地下水位と地下水圧のバランスをとることにより、液状化を抑制することができる。
また、本発明は、注入領域内におけるマイクロバブル液の注入と地下水の吸水の併用にかかわる(請求項28〜31)。マイクロバブル注入地盤に吸水パイプ(又は、排水パイプチェックパイプ)を設置し、注入液の注入管からの注入中に吸水パイプから吸水して注入液の浸透の方向を誘導するか或は改良すべき地盤内における注入液の注入と吸水パイプからの吸水のバランスをとることができる。また、複数の吸水パイプは吸水パイプの上端部を地上の吸水管に吸水バルブを介して連結し、各注入管からの注入並びに/又は各吸水パイプからの吸水はそれぞれ流路変換バルブ並びに/又は吸水バルブの作動によって注入管並びに/又は吸水パイプを変換して注入並びに/又は吸水することができる。これらは図10(a)、図11、図13、図14に適用できる。吸水の併用は以下の効果がある。1つは地震時における地下水の間隙水圧の上昇防止である。この場合、吸水パイプは排水パイプの役割をする。
既存構造物Aの直下の地盤を隔壁18によって囲い、その内側にマイクロバブル混入液を注入した場合、地下水が上昇して、場合によっては被圧状態になることもありうる。この場合、液状化しやすくなる。
このため、隔壁18によって区画された地盤中に注入管22と共に地下水を汲み上げるための吸水管28を設置して、注入液の注入と吸水を行って地下水の水位または地下水圧のバランスをとることにより地下水位の上昇を抑制して液状化未然に防止することができる。
また、特定の吸水管28から吸水することによってマイクロバブル混入液の浸透の方向性を制御することもできるし、また吸水管28からの地下水の気泡の混入状態より注入液の到達の有無や気泡の混入量から地盤の不飽和度を把握することが出来る。
さらに、吸水管28から汲み上げた地下水を用いて注入液とすることにより施工の合理化をはかることができる。この場合、吸水管28−注入液製造装置−注入管22を地下水が循環することになる。又、吸水パイプをチェックパイプとしてマイクロバブル液を注入した地盤の地下水の空気含有量を測定することによりマイクロバブルの浸透範囲や飽和量を知ることができる。
また、図11(b)に図示するように注入領域内の削孔中に設置した地盤改良計測センサー21、注入管22、吸水管28、当該注入管22にそれぞれ接続された吸水バルブ29、圧力計24、流量計25およびマイクロバブル発生装置26、さらに注入管22に接続された吸水ポンプ30をコントローラー27によって集中管理することにより、地盤改良計測センサー21からの情報に基づき注入量、注入管22の選定、注入の完了、注入の繰返し等、さらに地下水位と地下水圧のバランスの管理を行なうことができる。
図12(a)〜(c)は、地震時における地下水位の上昇を抑制するための排水機能を備えた注入管と吸水管を示したものである(請求項31)。
マイクロバブルの注入では、注入管22および吸水管28は薬液の注入と違って注入液が固結しないことにより注入後に閉塞する心配はない。再注入の必要があるとき、その注入管のまま何回も注入できる。したがって、注入管22および吸水管28の上部を通常は閉束しておき、地震時に間隙水圧が上昇した場合に限って地下水が逆止弁を通して排出する。
このようにしておけば、通常時は脱水圧密で地盤沈下をおこすことはなく、地震時に作動するため、たとえ永年月後にマイクロバブルの機能が低下しても、地震時に間隙水を脱水させて間隙水圧の上昇を防いで液状化を防ぐという効果を生ずる。
図12(a)に図示する吸水管を例に説明すると、吸水管28の下端部から中間部付近にかけての側壁部に地下水が流入する地下水流入口28aが管軸方向に一定深さおきに形成されている。また、吸水管28の上端付近の側壁部には吸水管28内に流れ込んだ地下水が吸水管28の外に流出する地下水排水口28bが形成され、地下水排水口28bには地下水の逆流を防止する逆止弁29が取り付けられている。
さらに、吸水管28の上端部の周囲地盤中に砕石類を敷き詰める等の方法により形成された排水路30が形成され、また、吸水管28の上端部に止水蓋31が取り付けられている。
このような構成において、隔壁18によって区画された既設構造物直下の地下水位が上昇したとしても、地下水は吸水管28の地下水流入口28aを通って吸水管28内に流れ込み、吸水管上部の地下水排水口28bを通って吸水管28の外に流出し、排水路30を通って排水される。これにより地震時の液状化を未然に防止することができる。
また、図12(b),(c)に図示する吸水管について説明すると、吸水管28の下端部から中間部付近にかけての側壁部に地下水が流入する地下水流入口28aが管軸方向に一定深さおきに形成されている。また、吸水管28の上端部に止水蓋31が取り付けられている。止水蓋31は地下水流入口28aから吸水管28内に流入した地下水の水圧が作用することにより、スプリング32の働きによって自動的に開くように取り付けられている。
また、方法の発明は施工法であり、施工管理法であり、インフラの液状化防止法であり特にライン状の注入システムと注入方法である(請求項17〜27、請求項32〜34)。
図13〜図17は、複数の注入地点に注入材を同時または、一または複数の注入地点を任意に選択して注入材を注入する地盤改良工法を示し、このうち図13(a)は、ひとつづきの土地が複数に区画され、各区画内に戸建て住宅が建つ領域などにおいて複数の注入地点に注入材を同時または、一または複数の注入地点を任意に選択して注入材を注入する地盤改良工法を示す平面図である。
また、図14(b)は、主としてガス管や上下水道などの敷設管(ライフライン)に沿って、一定間隔おきに設定した注入地点に注入管を介して注入材を注入する地盤改良工法を示す平面図、そして、図13(c),図14(a),(b)および図15(a),(b)はこれらの概略縦断面図である。
図13(a)おいて、符号X1,X2,X5,X6、X2,X3,X4,X5、X4,Xn,Xi,X5、X5,X6,X7,Xiは、ひとつづきの土地が複数に区画され、かつ各区画内の戸建て住宅A1,A2,Ai,Anを囲むように設定された注入地点を示す。
また、図13(b)において、符号X1,X2はガス管、上下水道管などの敷設管(ライフライン)33に沿って一定間隔おきに設定された注入地点を示す。そして、図13(c)においてL1は粗砂層、L2は細砂層であり、いずれも液状化が予想される地層である。
図示するように、設定された各注入地点に注入管22を挿入し、各注入地点の注入管22に注入材製造プラント34、注入ポンプ並びに圧力・流量検出器35を送液管36を介してそれぞれ接続する。そして、これらを電気信号回路37を介しコントローラー27によって一括制御することにより、複数の注入地点または、一または複数の注入地点を任意に選択して注入材を連続的に注入することができる。
さらに説明すると、各注入管22に通じる送液管36に流路変換電磁バルブ38が設置され、各流路変換電磁バルブ38はコントローラー27によって一括制御されている。そして、ある注入地点において電気信号回路37を介してコントローラー27から指示があると、流路変換電磁バルブ38が作動して注入地点Xiの流路変換電磁バルブ38が地盤中の注入管22の方に開き、注入地点Xi+1方向へは閉じ、注入地点X1からXi−1までの流路変換電磁バルブ38は注入地点Xiの方向へのみ開く。
そうすると、注入地点Xiの注入管22に所定の注入量が注入され、あるいは注入圧力が所定圧よりも上昇すると、同様に流路変換電磁バルブ38が作動して他の注入地点に注入液が送液され、これにより複数の注入地点に注入地点を変えながら注入することにより地盤改良を連続的に行うことができる。たとえば、ある注入地点の流路変換電磁バルブ38を開け、他の流路変換電磁バルブ38を閉めれば、所定の注入管22からのみ注入液が地盤中に注入される。
勿論、流路変換電磁バルブ38は手動式で作動する構成でもよいが、管理センターから電気信号回路37を通して指示されることにより作動する構成であれば、限られた作業スペースにおいてでも、ライフラインを供用しながらで液状化対策工を実施することができる。
また、所定の位置に複数の地盤変位センサー39が配置され、各地盤変位センサー39はコントローラー27によって一括管理されている。そして、地盤変位センサー39によって地上構造物や地下埋設物の損壊が生じないようにコントローラー27を通して監視し、ある注入地点において地盤変位に異常が見られたときは、その注入地点における注入を中止して他の注入地点に注入を切り換えて構造物周辺から簡便に液状化防止注入を行うことができる。
各流路変換電磁バルブ38は三方コックとし、さらに水洗い管を装着しておき、これもまた、コントローラー27によって管理し、所定の三方コックからの注入が完了したら直ちに水洗いするようにすれば、管路は常に所定の注入地点に注入することができる。
以上の構成により、図13(a)に図示する地盤改良工法によれば、特にひとつづきの土地が複数に区画され、各区画内に戸建て住宅が建つ領域における液状化対策をきわめて効率的かつ確実に行うことができる。また、戸建て住宅地全体の液状化対策を一括して行うことができ、住宅地全体の地盤改良を容易にかつ経済的に行うことができる。
また、住宅地の生活環境に支障をきたすことなく地盤改良を行うことができる。なお、ここでは、住宅地の液状化対策について説明したが、連続した道路や空港の滑走路などであってもよく、液状化を防止する対象をいくつかに区分して注入ラインを形成し、その線上に固結体を連続して形成してもよい。なお、注入ラインとは、注入管22どうしを連続させる送液管36のラインをいう。
一方、図13(b)に図示する地盤改良工法によれば、共同溝、地下鉄、ガス管、上下水道管などの敷設管(ライフライン)33、電信電話線などのケーブル類、あるいは道路、鉄道等の敷設構造物の液状化対策をきわめて効率的にかつ確実に行うことができる。さらに、図5(a),(b)に図示する注入管を用いることにより、地盤に注入管を打ちこみながら地盤の貫入試験、地盤調査およびボーリングを同時に行うことができる。
図14(a),(b)は、ガス管、上下水道管などの敷設管33に沿って一定間隔おきに設定された注入地点に注入材を注入して固結柱体(ソイルセメントや懸濁型グラウト或いはシリカ溶液系注入材による柱体)40を形成し、固結柱体40に敷設管33を直接支持させることにより、液状化による敷設管33の不同沈下などの被害を回避するようにしたものである。図中、符号41はシールグラウト、L1は粗砂層、L2は細砂層であり、いずれも液状化が予想される地層である。また、符号38は流路変換電磁バルブである。
図において、注入地点Xi−1、Xi、Xi+1、……へ注入地点を順に移動しながら注入を連続的に行う場合、注入並びに管理プラント34から電気信号回路37を通して三方向に流路を変換できる流路変換電磁バルブ38に指示して、Xi−1までの三方コックの注入管22aへの流路を遮断してXiまでの流路を解放する。
なお、地震時の液状化で破壊しやすい敷設管33どうしの各継手部(連結部)に固結柱体40を形成して、各継手部を固結柱体40によって支持させるのが望ましい。また、注入管22に注入材を供給する送液管36は敷設管33を挟んでジグザグに配置してもよく、また敷設管33の両側に配置してもよい。
このように液状化対策工がなされた敷設管33は、たとえ周辺地盤に液状化が発生したとしても、各敷設管33の継手部が固結柱体40によって支持され、また敷設管33自身が一定の弾性を有することにより、ある程度のたわみは生じるものの破壊に至ることはない。
図16(a)〜(c)に図示する地盤改良工法および地盤改良装置は、それぞれ独立した駆動源42によって作動し、かつ集中管理装置43によって制御される複数のユニットポンプ44と、これら複数のユニットポンプ44に送液管36を介して接続された複数の注入管22、さらに各ユニットポンプ44と注入管22間に配置された送液管36にそれぞれ接続されたマイクロバブル発生装置45を備えている。
そして、各ユニットポンプ44の作動によりマイクロバブル発生装置45において生成されたマイクロバブル溶液(例えば、微細気泡混入水または微細気泡とシリカ溶液との混合液)は、送液管38を介して各注入地点の注入管22に圧送され、注入管22を介して各注入地点の地盤中に注入される。
また、集中管理装置43によって各ユニットポンプ44が制御されることにより各注入地点における気泡混入液の注入の開始、停止、再開等が任意に制御できるように構成されている。
図16(b)は、同じく本発明の地盤改良工法および地盤改良装置を示し、軟弱地盤の複数の注入地点に対してマイクロバブル溶液を同時にまたは選択的に注入することができ、また、地盤状況が異なる層ごとに最適量のマイクロバブルを注入することができ、さらにマイクロバブルの注入に先だって粗詰め注入を行うことにより、マイクロバブルの逸送を防止することができる。
図17(a),(b)に図示する地盤改良工法および地盤改良装置は、地盤中にマイクロバブル溶液を注入する複数の注入管22を備え、各注入管22は削孔46内に挿入された外管47と外管47内内に挿入された内管48を備えて構成されている。
各外管47の管軸方向の異なる位置に複数の一次注入材吐出口47aが形成され、細粒子懸濁液を注入するための一次注入材吐出口47a,47a間に複数の二次注入材吐出口47bが形成されている。
また、各一次注入材吐出口47aの上下両側に膨縮性の袋体からなる外管パッカー49,49がそれぞれ取り付けられている。さらに、外管パッカー49,49間の二次注入材吐出口47bの外周に柱状空間導水部材50が二次注入材吐出口47bを含む外管47の外周を覆うように取り付けられている。
内管48にはダブルパッカー工法やエキスパッカー工法などで使用される注入内管が用いられ、図17(b)に図示するように先端部にダブルパッカー48a,48aと1個ないし複数の内管吐出口48bを備えている。また、各内管48の上端部にマイクロバブル溶液生成装置45が接続されている。
このような構成において、マイクロバブルの注入方法について説明する。
(1)最初に、削孔46内に外管47を挿入し、当該外管47内に内管48とは異なる注入内管(図省略)を挿入する。そして、当該注入内管を介して各外管パッカー49内にエアまたはモルタル等の固化材を注入して外管パッカー49,49を膨張させることにより削孔46の孔壁と外管47の上下外管パッカー49,49間に注入材浸透源51を形成する。
(2)次に、内管48とは異なる注入管(図省略)を外管47内に挿入し、当該注入管を介して、外管47の一次注入材吐出口47aから周囲の地盤中に注入する。この工程は、いわゆる粗詰め注入であり、マイクロバブルの注入に先だってマイクロバブルの逸送を防止するために行うものである。
(3)次に、外管47内に内管48を挿入し、内管48にマイクロバブル溶液を注入する。
マイクロバブルは、内管48の内管吐出口48bおよび外管47と内管48間のダブルパッカー48a,48a間を介して外管47の二次注入材吐出口47bから柱状空間導水部材50内に流れ込み、柱状空間導水部材50から周囲の地盤中に浸透し、周辺地盤を不飽和化する。
マイクロバブル溶液は、細粒子を含む注入液と併用するが、特にベントナイトを有効成分とする懸濁液、或いはベントナイトとシリカ溶液とを混合した混合液とマイクロバブルまたは気体の組み合わせによる適用は効果的である。
例えば、図14(a)に図示するような地盤において、粗砂層L1にベントナイトまたはベントナイトとマイクロバブルとの混合液、或いはこれらとシリカとの混合液を注入し、細砂層L2にはマイクロバブル液、或いはコンプレッサーによって空気を注入すれば、液状化対策として効果的でかつ経済的である。
特に、マイクロバブル液は、数μm〜十数μmの気泡混入液であり、これを地下水面下に注入することによって地盤を不飽和化して液状化を防止できると考えられているが、長期的には地下水流で流失したり、地表面に逸脱して効果が持続しにくいという問題がある。
また、気体の注入は、すぐに地表面に逸送しやすいので、いずれも地盤中に長期に保持しておくことが課題である。
なお、固結柱体の代わりに敷設管(ライフライン)に沿って連続する基礎体を形成し、基礎体にライフラインを支持させてもよい。なお、この場合の固結柱体は、ライフラインの継手部に形成し、継手部を支えるようにするのが望ましい。固結柱体の位置は敷設管の上部或いは側面に注入して液状化による管路の浮き上りを防止することができる。
また、各注入地点における注入管は地面に垂直に設置してもよく、また戸建て住宅の基礎下に斜めに設置してもよく、さらには垂直設置と斜め設置を併用してもよい。また、送液管による各注入地点までの送液経路は複数系統あってもよい。さらに、各注入地点における注入は注入並びに管理プラントによって一括制御される。
勿論、平面的に広範囲の地盤改良であっても、図14に図示するようにライン状の配置を組み合わせて行うことにより、地盤改良を連続的に行うことができる。すなわち、図3,4,5に図示する注入管をパイプラインや上下水道管などの敷設管20の敷設された地盤上に、これらの施設物に沿って一定間隔おきに配置する。勿論、注入管は、図3,4,5に示す注入管でなくてもよく、任意の注入管を用いてもよい。
また、流路変換電磁バルブ、地盤変位センサーを配置することにより、戸建住宅が密集する住宅地、ガス管や上下水道管などが敷設された地盤に対して、注入による地盤変位によって建物や敷設物を壊したりすることなくきわめて簡便かつ安全に液状化防止注入を行うことができる。
さらに、ガス管や上下水道管などの敷設管に沿って注入管を一定間隔おきに配置し、各注入管を敷設管に沿って線状に配置した送液管13によって接続し、かつ注入並びに管理プラント21を配置することにより、注入プラントの作業地点を動かすことなく、最小の施工作業範囲を用いることにより長い区間の注入を行うことができるのでライフラインを稼働させながら地盤改良を行うことができる。
また、本発明は、マイクロバブル液の注入と他の注入材の注入の併用と液状化強度にかかわる(請求項17〜20)。マイクロバブル液の注入と細粒子の注入の併用により液状化しやすい粒径分布の地盤を液状化しにくい粒径分布に変化させることができ、あるいは液状化しやすいルーズな砂地盤の相対密度を上げて、液状化しにくい地盤にすることである。またさらにシリカ溶液との併用である(請求項17〜20)。
本発明は、地表面近くの例えば粗砂層にベントナイト等の細粒子を有効成分とするグラウトを注入し、それより下の例えば細砂層にはマイクロバブルを有効成分とするグラウトを注入することにより、ベントナイトの水密性、電気化学的吸着性、粘着性からマイクロバブルを吸着してマイクロバブルが地下水などの流れによって長期的に流失しないように保って液状化を防止する効果を得ることができる。
また、ベントナイト層の下方にコンプレッサーを用いて空気を注入すれば、ベントナイト層の遮断効果によって空気が地表面に逸脱するのを防止することができる。
また、図6〜8、図11は、構造物17の周辺部にベントナイト、ホワイトカーボンのようなそれ自体では固結性のない極微細粒子等の細粒子(或は更にシリカ溶液を加えた注入液)や懸濁液を有効成分とする注入液を充填して隔壁18を形成することにより構造物17直下の地盤を囲い込み、その内部に気泡混入液や空気を注入することにより、その内部を不飽和化しかつその周辺に気体が逸脱するのを防いで液状化を防ぐことができる。
特に、ホワイトカーボンのように非晶質シリカの微粒子であってセメントのような固結性がなく、またベントナイトのように電気的な反応性の高い粒子に比べて地盤中に容易に浸透しやすく浸透後土粒子間に沈積して地盤の粒径分布を細粒土化し、かつ相対密度を増大させることにより地盤を拘束するのみならず液状化しやすくする特性がある。またシリカ溶液や溶液性シリカグラウト或いはマイクロバブル混合液を混合して地盤に注入しても浸透性は極めてよく同様の効果がある。或いは上記極微細粒子を一次注入して後にマイクロバブルを注入してもよい。
また、構造物17の周辺部にベントナイトや上記極微細粒子を有効成分とする注入液を充填して隔壁18を形成し、さらに構造物17直下の地表部に隔壁18と同様の固結版18aを形成することにより構造物17直下の地盤を囲い込み、その内部に気泡(マイクロバブル)混入液や空気、を注入して、その内部を不飽和化しかつその周辺に気体が逸脱するのを防いで液状化を防ぐこともできる。特に、これらのベントナイトや極微粒子は、気体粒子を吸着して保持することにより長期の効果と経済性にすぐれている。
上記において、ベントナイトや極微粒子は粒径が気泡の粒径よりも小さいので気泡の流失を防ぐことができる。勿論、ベントナイトや極微粒子と水ガラスとを反応剤との混合溶液、或いはこれらと水ガラスと酸との混合液とからなる酸性〜弱アルカリ質のこれらのシリカ溶液は、経済的で止水性、水密性に富み、そのマイクロバブルとの混合液、或いはその懸濁液を注入した地盤にマイクロバブルや気体を注入した場合、マイクロバブル或いは気泡の逸脱を防ぎ、地盤中に気体を長期にわたって包含せしめることができる。
勿論、例えば図7(a),(b)等に図示するように、線状の注入ラインに沿ってシリカ系グラウト等による固結壁を形成し、その内部に気泡または気体を斜めに設置した注入管26を介して注入することにより内部を不飽和化することで液状化を防止することもできる。
なお、液状化対策としての地盤注入は、必ずしもガス管や下水管、上水管などの敷設管の全長にわたって行わなくても良い。これらの敷設管の場合、例えば、図14(b)に図示するように、敷設管33間の各継手部に対して地盤注入行うことにより各継手を支えるように固結柱40を形成してもよい。
本発明の気泡混入の効果を高めるためには該改良予定地盤野周辺に予め、もしくは本発明の施工後に矢板、場所打ち杭、連続壁、セメント混合壁等を周囲に形成し、地盤中の透水係数を下げることにより本発明の効果が持続する。
本発明ではあらかじめ懸濁粒子や極微粒子を有効成分とする注入液、シリカ溶液、あるいは懸濁粒子とシリカ溶液の混合液を併用してもよい。これらは気体混入液中に加えてもよいが別々に注入し、或は同時注入してもよい。以下にこれらの注入液並びに試験結果について説明する。
懸濁粒子としてはベントナイト、シリカフューム、ホワイトカーボン、或いはこれらの混合物は、液状化の可能性がある地盤の粒径よりも小さな粒径を有するため(図23(a)(b),表2)、これを注入して液状化が起きにくい細粒土地盤の方向に粒径分布を移動させて気泡混入液の逸脱を防止することができる。
ここに云う懸濁粒子はセメントや超微粒子セメントの様に硬化性がなくても良い。地盤の土の粒径分布を細粒土の方向に移行させれば良い。勿論細粒子に硬化性粒子が混入されても良い。
しかし、微粒子はその粒径から液状化の可能性のある地盤のうち砂地盤への注入は可能であるが、更に細粒土地盤には浸透不可能な場合もある。このため、細粒子の浸透可能性を向上させるために低濃度シリカ溶液を溶媒とする細粒子液を用いれば細粒子が浸透不可能な細粒土地盤でも低濃度シリカ溶液分がろ過されて浸透が可能である事を見出した。
しかしそれでも、実際の地盤では液状化可能性地盤の土粒子間の間隙を充分充填することが難しいことも起こり得る。一方気泡や気体注入の場合は容易に地表面に逸脱してしまいやすい。また、マイクロバブルのような気泡混入液の注入においては気泡はそれ自体の粒径が5μm〜100μm程でセメント系粒径と同程度であってその浸透性は充分でない。
本発明者は気体や、気泡を細粒子と併用した場合、
(1) 細粒子はマイクロバブルよりも極めて微粒子であって比表面積が大きくかつ、電気的化学的性質を有していることから、気泡と併在する場合、気泡を閉じ込め或は気体の流動を妨ぐ効果がある。
(2) 細粒子は液状化層の土粒子間に全て充填することができなくても部分的であるが液状化しやすい地盤の土粒子間同士を鎖状に連結する。そして、マイクロバブルは細粒子よりも大きいから細粒子を注入した地盤はマイクロバブルを拘束する。勿論空気注入の場合も同様である。
(3) シリカ溶液に気泡を混入したシリカバブルではシリカのゲル化が優勢なためゲル強度が高くバブルが地震動によって収縮しにくいが、細粒子に拘束された気泡は地震動によって収縮し間隙水圧の上昇を防ぐ。また、細粒子と低濃度シリカ溶液を混合した注入液を注入した地盤では気泡が細粒子と共に粘弾性のある弱いゲル化物で拘束されるため地盤内の気泡も同様な現象が起こりうる。このように本発明では地震動によって気泡の体積が収縮して間隙水圧の上昇を防ぐことがでる。また、細粒子からなる充填物は自己修復性があるので地震動による土の完全な破壊を防ぐ。
この3つの機能によって細粒子と気体の併用は液状化を経済的に防ぐ効果があるため、気体混入液との併用は気体混入液の上方又は水平方向への逸脱を防ぐために効果的である。
一般に水ガラスグラウトの最適の適用対象は、微細砂あるいは粗砂である。すなわち、比表面積が100〜1000cm-1の砂に適用される(表1)。
透水係数からいえば主に k=10-1〜10-3cm/secの砂に適用されるが(表1、表2)、シリカ濃度の極めて低いシリカ溶液、特に非アルカリ性のPH領域のシリカ濃度はシリカ濃度が1〜3%でも浸透可能であり、シルト質砂の10-4オーダーの地盤でも可能である。
シリカ濃度が2%以下の場合、シリカの固結や、特に地下水面下におけるシリカのゲル化能力は極めて少なく、液状化強度改善度は低い。ところが、細粒子の存在下ではシリカ濃度が2%以下、0.5%でも十分な液状化強度が得られる。
また、シリカ濃度の薄いシリカ溶液では地下水の流れがあると長期的にゲルが細かく砕かれ耐久性が不十分になる。しかし、細粒子によって空隙が充填され地下水の影響が遮断されていればシリカのゲルは安定化する。
また、本発明に用いられるシリカ溶液はアルカリ性水ガラス溶液、水ガラスのアルカリを酸で除去した非アルカリ性水ガラス(シリカゾル)、コロイダルシリカ、或いはこれらを有効成分とする混合物である。特に、本発明に使用されるシリカ溶液は水ガラス系グラウト好ましくは耐久性にすぐれたコロイダルシリカ系またはシリカゾル系等水ガラスを素材とするシリカ溶液からアルカリを除いた溶液型薬液を用いるのが望ましい。
上記におけるアルカリ性水ガラス溶液、水ガラスの酸で除去した非アルカリ性水ガラス(シリカゾル)、は水ガラスを希釈したものにゲル化時間の調整の為の反応剤を混合したものである。
上述の反応剤としては、酸性調整材として、硫酸、リン酸、重硫酸ソーダ、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の酸性塩、アルミニウム塩、炭酸塩、重炭酸塩、炭酸ガス、炭酸水、塩化物、アルミン酸塩、グリオキザール、エチレンカーボネートのような炭酸エステル、多価酢酸エステル等が挙げられ、さらにこの他、セメント、石灰、スラグ等も反応剤として単独で、または上記反応剤に併用して用いることができる。
上記におけるシリカコロイドは、粒径が5〜100nmの粒径の弱アルカリ性に安定させてなるコロイドである。また、水ガラス、あるいは水ガラスと酸を混合してなる酸性水ガラスをイオン交換樹脂やイオン交換膜で処理して得られる活性シリカでもよい。この活性シリカコロイドに水ガラス、酸あるいは塩を加えてなる活性シリカコロイド等である。
本発明におけるシリカコロイドは、液状のアルカリ金属シリカ塩水溶液(水ガラス)からアルカリ金属イオンのほとんどを除去して得られるものであって、例えば、ゼオライト系陽イオン交換体、アンモニウム系イオン交換体のイオン交換樹脂に水ガラスを通過させ、生成したシリカコロイドを80℃〜90℃の温度でさらに水ガラスに加え、再び上記イオン交換樹脂に通過してイオン交換を行って得られるものであり、比較的純粋な(希薄な)シリカコロイド(活性シリカコロイド)が得られる。
さらに、純粋なシリカコロイドを得るには、前述の希薄なシリカコロイドを微アルカリ性に調製し、これにさらに前述のシリカコロイドを加えながら蒸発し、安定化と濃縮を同時に行う方法、あるいはイオン交換後の活性シリカコロイドを適当なアルカリの下に加熱し、これにさらに活性シリカコロイドを加えて安定化する方法が用いられる。また、金属シリカからなるシリカ溶液でも良い。
本発明におけるシリカコロイド溶液は、Naイオンがほとんど分離除去されているため、通常pHが10以下の弱アルカリ性を示しており、Na2Oは0.2質量%〜4.0質量%の範囲にある。Na2Oは4質量%以上になるとシリカコロイドは溶けてしまい、ケイ酸塩の水溶液となってしまう。
一方、Na2Oが0.2質量%より少なくなるとシリカコロイドは安定して存在し得ず、凝集してしまう。すなわち、Na2Oが0.2質量%〜4.0質量%の範囲で、Naイオンがシリカコロイドの表面に分布して安定したコロイド状に保ち得る。
このようにして調製されたシリカコロイドは、ほとんど中性に近く、かつ、半永久的に安定しており、これを注入液として用いる場合、工場から現場への搬入ならびに注入操作の際にゲル化する心配がない。
このシリカのコロイド溶液をそのまま地盤中に注入してもそれ自体実用時間内にゲル化することはないので実用上の固結効果は得られない。また、本発明の地盤注入剤は、さらにこれらの注入材を併用することもできる。水ガラスはシラノール基を多く含み、反応性が早いため、初期の強度発現が早い。しかし、シリカコロイドに比べNaを多く含み、ゲル化後、ゲル化物の収縮が起こる。
本発明の細粒子はベントナイト、シリカフューム、ホワイトカーボン、超微粒子セメントや超微粒子スラグの製造時の残渣があげられる。
粘土としてベントナイトは地盤改良分野において一般的に使用されており粒径が5μm以下である。シリカヒュームは主成分が非晶質のシリカであり平均粒径は1μm以下である。
ホワイトカーボンは合成された微粉の無水ケイ酸、含水ケイ酸塩、含水ケイ酸カルシウム、含水ケイ酸アルミニウムなどの総称で、ゴムに配合すると、カーボンブラックに次ぐ優れた補強効果を示すことから、ホワイトカーボンとよばれる。製品中のシリカ(二酸化ケイ素)SiO2含有量も98%以上のものから50〜70%のものまで各種ある。製法により粒子径が異なるが、5nm〜5μmである。
粒子径(粒の大きさ)、ストラクチャー(粒子のつながり)、表面性状(官能基)をさまざまに変えることにより特性が大きく変わり、これらは製造法によりある程度コントロールできる。ホワイトカーボンは土と同じくシリカを主成分とし、かつ多孔質のため地盤と同質とみなすことができ、本発明に極めて適している。
超微粒子セメントや、超微粒子スラグの細粒子の製造方法の例としては本発明者らにより特許文献3において分級する方法が示されている。
これら一種または複数を間隙中に混合して注入することで改良効果を上げることができる。
配合1〜4にシリカ化合物と細粒子としてベントナイトを混合し、後述の珪砂7号に注入した時の28日後の液状化強度を表4に示す。珪砂のみの場合に比べて、液状化強度が高い値が得られた。
細粒子としてベントナイト、又は、ホワイトカーボンを用いた時の改良効果、及び、ベントナイト又は、ホワイトカーボンとシリカの混合液の改良効果を確認した。
ベントナイトまたはホワイトカーボン懸濁液、ベントナイトまたはホワイトカーボン懸濁液+シリカを作成し(表5)、図19(a)の装置により現場砂に注入し、現場砂の改良効果を確認した。
供試体作製手順は先ず砂を密度60%になるようにモールドに詰め、載荷板を供試体に取り付け、空圧により載荷板を押し下げ拘束圧を付加する。この状態で試料を脱気水により飽和したのち、表5薬液の浸透注入を行った。
更に、それぞれの混合液に気泡発生装置により注入材及び13注入口に気泡を混入し11供試体内部に注入材と気泡を注入した。注入された供試体は所定期間拘束圧下で養生し、4週間後液状化強度比Rを求めた。結果を表5に示す。尚、試験No.3は実施例1の配合No.2、試験No.4は実施例1の配合No.3を用いた。
砂は、細かい砂質地盤を想定した7号珪砂と、粗い砂地盤を想定した5号珪砂を用いてモールドを作成した(図19参照)。使用した砂の粒径曲線は図21に示す。
試験No.1、2の注入材を注入した供試体は改良前に対し液状化強度が0.26に上昇した。
さらに気泡混入を行ったものは0.32に上昇した。これより、ベントナイトやホワイトカーボンが砂の間隙で膨潤し、液状化強度が上がること、さらに、間隙に気泡が混入することで、繰り返し載荷時の振幅を吸収する効果が得られることがわかった。その効果は水で飽和し、気泡混入した時に比べ、注入材の粘性が高いことから気泡残存量が多くなり液状化強度の上昇効果が高くなることがわかった。
さらに、少量のシリカ化合物を混合し、全体がゲル化する注入材試験No.3,4,5においては、気泡無しでも高い液状化強度が得られ、更に気泡を混入後の液状化強度の上昇効果が高くなることがわかった。これは注入液全体がゲル化することにより気泡が砂の間隙で保持しやすくなり、試験No.1,2に比べ繰り返し載荷時の振幅を吸収する効果が得られると考えられる。また、比較例の水ガラスの身の場合に比べて液状化強度が上昇したことより、ベントナイトをシリカ系注入材に混入することで液状化防止効果が高まることがわかる。
粗い砂地盤(5号珪砂)に注入したものは細かい珪砂を使用したものに比べて液状化強度が高くなった。更に、気泡を混入したものも同様に珪砂7号に比べて高い液状化強度が得られた。これより、粗い砂地盤ではベントナイトやホワイトカーボンが間隙に浸透しやすく、より高い効果が得られることがわかった。
実施例1の実験において、さらに注入口において供試体内に四週間後に気泡を追加注入し一年後の液状化強度を測定した。
表7に気泡の追加注入の有無による液状化強度の比較を示す。
未改良砂、比較例においては、追加で気泡注入しても一年後には気泡が抜けてしまい液状化強度は初期値とほぼ同じ値になった。
試験No.1,2,3においては追加気泡無し、に比べ追加気泡有の場合液状化強度野低下率が少ない。
これは先に注入したベントナイトが後から注入した気泡を閉じ込めることにより液状化強度が長期において保持したものと考えられる。
試験No.4、5はNo.3の配合に比べ、長期においては液状化強度の若干低下がみられたが、液状化対策工としては十分な改良効果が得られた。
以上の追加気泡の効果は実施工後において永年月経て後の計測の効果万一不飽和度が低下している事が判ったら、その時点で追加気泡を行えば液状化防止効果を継続させる事が出来る事が判る。
気体を混入した液体を既存構造物又は建造する予定の構造物の周囲および/または直下の地盤に注入管を通して注入することにより、地盤を不飽和化する地盤改良工法において、地盤中に一定領域を囲むように遮蔽壁を形成し、当該遮蔽壁内の地盤中に気体混入液を注入することにより地盤を不飽和化することを特徴とする地盤の不飽和化による地盤改良工法における、品質管理は飽和度と誘電率の関係を式1、式2よりあらかじめ求め、現場にて所定の飽和度に達したことを確認する。
図23(a)は事前に飽和度と誘電率の関係を求めた結果であり、図23(c)は図8(a),図23(b)に示すように現場にて複数箇所を同時に計測しながら施工管理を行なった例である。
また、図23(c)より70分注入し続ければ飽和度が90%以下になる事がわかるのでその時点で注入を完了すればよい。さらに、同様の理由で図9(a),図11(a)のように注入配置を用いればC1から注入してD1〜D4で計測すれば、どこまで広がるか判るしD1〜D4の又測定データを見ながら注入孔C1〜C4の選定を行って最少の施工時間で注入を完了する事が出来る。
式1
Sr=θ/n×100
式2
K=(n-θ)Kair0.5+θKwater0.5+(1-n)Ksoil0.5
Sr:飽和度
θ:体積含水率
n:間隙率
K:誘電率
Kair:空気の誘電率
Kwater:水の誘電率
Ksoil:土の誘電率
地盤改良工法において液状化が予想される地盤に細粒子を主材とする注入液を注入して地盤中に細粒分を増やして液状化対策を行う場合、その設計は細粒分含有率を多くすることにより補正N値を増加させる方法と、細粒子によって間隙比を減少させることにより負のダイレタンシーを生じさせない方法があるが、いずれもあらかじめ間隙比と誘電率の関係を求め施工管理を行うことができる。(表3〜表7)
図24(a)は、細粒分を間隙に注入したときの間隙比と液状化強度の関係であり、図24(b)は、その時の誘電率と間隙比の関係である。なお、図24(c)は図23(c)と同じように施工管理を行なった例である。
上記においては地盤改良計測センサーを用いる方法として電気比抵抗法による管理方法の例を示したがRI法によりRI水分計やRI密度計や土中水分計や弾性波速定装置を用いることができるが、図18はRI法を示す。
図18(a),(b)において、地盤中にγ線源54を挿入する調査孔52およびγ線検出器57を挿入する調査孔53をほぼ平行に掘削し、かつこれら調査孔52,53にそれぞれγ線源54およびγ線検出器57を挿入し、これら調査孔52,53内のγ線源54および/またはγ線検出器57を該調査孔52,53に沿って移動させながらγ線源54からのγ線をγ線検出器57で検出することにより調査孔52,53間の含水比や密度を計測する事が出来る。
地盤中にはγ線源54およびγ線検出器57をそれぞれ挿入するための調査孔52,53が所定距離を隔てた位置にほぼ平行に掘削される。さらに調査孔52には先端にγ線源54の収容された挿入管が挿入され、かつ調査孔53にはプローブ56が挿入される。このプローブ56は下方にγ線検出器57、これに給電する高圧電源58、およびγ検出器57の出力信号を増幅するプリアンプ59を収容し、信号線が併設されたケーブルによって調査孔47内に吊り下げて挿入される。61は信号線60を経て送られるγ線検出信号をカウントする計数器である。
上述の調査孔52内のγ線源54および調査孔53内のγ線検出器57はそれぞれ調査孔52,53に沿って下方から上方に移動され、γ線源54からのγ線をγ線検出器57で検出することにより地盤の密度と水分を測定して地盤の含水比の変化を測定して飽和度の変化を知ることができる。