JP6915791B1 - 地盤注入工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】結束注入細管の各注入細管同士の間隙をシールグラウトでシールすることで、注入材が注入細管同士の間隙を管軸方向に逸走するのを防止し、かつ注入孔の削孔径を大きくすることなく改良体の拡径化と版厚の増大化に対応できて経済性と施工性の向上を可能にする。【解決手段】地盤に設けた注入孔5内に結束注入細管1を設置する。結束注入細管1と孔壁5aとの間隙をシールグラウト6によってシールする。結束注入細管1の各注入細管2を通して孔壁周囲の各注入ステージに注入材を浸透注入する。結束注入細管1は、先端に注入材の吐出口3を有する複数の注入細管2,2を、各注入細管2の吐出口3が管軸方向の異なる位置にくるように結束して構成する。各注入細管2,2間の間隙8をシールグラウト6でシールすることで、各注入細管2の吐出口3から吐出した注入材が注入細管2,2間の間隙7を管軸方向に逸走するのを防止する。【選択図】図1

Description

本発明は、先端に吐出口を有する複数の注入細管を、前記吐出口が管軸方向の異なる位置にくるように結束することにより構成された結束注入細管を用いて、孔壁周囲の地盤中に地盤注入材(以下「注入材」)を注入して改良体を形成する際に、各注入細管の吐出口から吐出した注入材が、注入細管同士の間隙を管軸方向に逸走して地上に溢れ出たり混ざり合ってしまうのを防止して、孔壁周囲の各ステージに確実に浸透注入することができ、また、孔径の小径な注入孔においても孔壁周囲の各ステージに確実に浸透注入することができて、経済性と施工性の向上を可能にしたものである。
これまで出願人は、先端に吐出口3を有する複数の注入細管2を、各注入細管2の吐出口3が管軸方向の異なる位置にくるように複数の結束具(以下「結束バンド」)4で結束することにより構成された結束注入細管1(図1,2)を用いて、地盤中の各ステージに耐久性に優れた注入材を必要量浸透注入することにより地盤中に所定径、所定厚さの改良体を形成する地盤注入工法を開発している(図1、図2、図5、図6、特許文献1〜4参照)。
当該地盤注入工法において、注入材を多数の吐出口3から低吐出量で吐出させて大きな固結径の改良体を形成するには、注入材としてゲルタイムの長い非アルカリ性シリカグラウトが用いられ(表1No.1〜3)、また、地盤状況によっては、非アルカリ性シリカに高分子を加えて粘性を高めることにより、地盤中での希釈を防いだ耐久性に優れたグラウトが用いられている(特許文献5)。
ところで、結束注入細管1を利用すると、地盤中の各ステージに最適量の注入材を多数の吐出口3から低吐出速度で同時に注入することができ、また、各ステージ当たり土粒子間浸透に対応した低吐出速度で注入しながら、多数のステージに対して同時注入により大きな注入速度で注入できるため、全体として急速な土粒子間浸透が可能になる。
また、複数の結束注入細管1を複数の注入地点に間隔をおいて設置することにより、広大な面積の地盤に対しても複数地点に同時にまたは順番に、あるいは注入地点毎に異なる注入材を注入することができ、きわめて効率的に地盤改良を実施することができる(図6(a),(b))。
実施に際しては、地盤にケーシングロッド(図省略)を併用してボーリングした注入孔5内に結束注入細管1を挿入し、その周囲にセメントベントナイトスラリーや低アルカリのカルシウムシリケートスラリー等の低強度の懸濁型のシールグラウト6を充填して孔壁5aと結束注入細管1との間隙をシールする。そして、各注入細管2を通して注入孔5内に注入材を注入する(図1、2、特許文献3、4)。
そうすると、各注入細管2の吐出口3から吐出した注入材は、その吐出圧で吐出口周辺の固化したシールグラウト6をこわして、孔壁5aより各ステージの地盤中に浸透注入される。
特許第3724644号公報 特許第5799400号公報 特許第3762353号公報 特許第3545322号公報 特許第3437084号公報 特開2006-274646号公報
水ガラス系注入材の微小間隙限界止水圧の特性調査、第45回地盤工学研究発表会、2010年 活性シリカコロイドによる微小間隙止水への利用の検討、土木学会第66回年次学術講演会、2011年 島田、佐藤、多久、最先端技術の薬液注入工法、理工図書、189頁、図4.5、表3.3、並びに43頁、図1.29
シールグラウト6は、従来、注入孔5内に設置した結束注入細管1と孔壁5aとの間隙を充填するのに用いられ、結束注入細管1と孔壁5aとの間隙に充填されたシールグラウト6は、孔壁5a周囲の地盤中に注入材(浸透性グラウト)を注入する際に、各注入細管先端の吐出口3から吐出される注入材の吐出圧によって砕かれる。
また、シールグラウト6には、十分な強度をもつ懸濁型グラウトや瞬結性シリカゾルグラウトからなるシールグラウトが用いられ(非特許文献3)、また、本出願人によって開発された結束注入細管1を用いる地盤注入工法においても、同様に懸濁型グラウト等のシールグラウト6が用いられている(図1、図3、特許文献1、特許文献4)。
ところで、結束注入細管1を用いた地盤注入工法(図1〜図3)は、ひとつの吐出口3からの低吐出量注入を行いながら、多数の吐出口3からの同時注入が可能なため、低吐出速度による土粒子間浸透注入と全体で大きな吐出速度による土粒子間浸透により急速施工が可能であるという優れた特性を備えている。
また、結束注入細管1と孔壁5aとの間隙を充填するシールグラウト6には、注入目的に応じてセメントベントナイトや低アルカリ性のカルシウムアルミネートを主材とする懸濁液が用いられている(図1、特許文献4)。
一方、結束注入細管1の注入細管2,2間の間隙7から注入材が地上に逸走することがあると、大径浸透固結体の形成や浸透性の悪い懸濁型グラウトによる高強度固結体の形成が困難になり、また、改良深度の幅が厚いと多数の注入細管2からなる結束注入細管1を必要とし、かつこれに伴い注入孔7の口径を大きくする必要があることから経済性に問題があった。また、注入細管2の管径を小径にすると高強度が得られる懸濁型グラウトを適用し難くなり施工性に問題があった。
本発明者が上記課題を解決するために研究を続けた結果、懸濁型シールグラウト6は、注入材が地上部に逸走しないための十分な強度を有し、孔壁5aを安定化させ、かつ孔壁5aと結束注入細管1との間隙をシールすることは可能であるものの、低粘度でゲル化時間が長く、浸透性に優れた注入材の場合は、注入細管2,2間の間隙7入りにくいため、注入細管2,2間の間隙7(図3)から地表面に逸走しやすいことがわかった。また、浸透性の悪い懸濁型グラウトの加圧注入においても、同様の現象が生じやすいこともわかった。
また、本出願人の研究によって、結束注入細管1の各注入細管2,2間の間隙7は、注入細管2の径によって異なり、図3に図示するように大きい径の間隙7と小さい径の間隙7を有しており、各注入細管2の吐出口3から吐出した注入材は、これらの間隙7(図3)を管軸方向に逸走して地上に流出することがわかった(図1)。
注入材の地上へ逸走を防止する方法として、2本の注入管を抱き合わせ、この2本の注入管を通してA液とB液を送液して瞬結グラウトを注入する方法も採用されるが、注入管の本数が増えることにより注入孔の削孔径を大きくする必要があった(特許文献3)。
また、本出願人も上記課題を解決するため、結束注入細管1の地表面近くを湾曲させたり結束を緩めたり、或いは注入細管同士を枠材やセパレーター等の間に通して、注入細管と注入細管との間に間隙を設け、その隙間にシールグラウトを充填する方法を発明しているが(特許文献2)、この方法も削孔径が大きくなるという課題を解決できていない。
また、特許文献3は、結束注入細管をカバーチューブで被覆し、注入細管先端の吐出口をカバーチューブの外に出す構造である。この構造は注入細管の吐出口からの注入材が注入細管同士の間隙から上方に流出するのを防ぐことはできるが、先端の吐出口がカバーチューブの外側に位置しているため結束注入細管の径が大きくなり、注入孔の削孔径を大きくする必要があった。
結束注入細管を用いる注入工法は、先端の吐出口の数毎に注入細管が必要なため、改良体の注入深度方向の厚さが増すほど注入細管の本数が多くなる。従って、結束注入細管の径が大きくなり、これに伴い注入孔の削孔径が大きくなって不経済になるため、結束注入細管の構造はできるだけシンプルな構造で注入細管の本数を少なくすることによって削孔径を小さくすることが好ましい。
また、高強度地盤を形成するために懸濁型グラウトを注入する場合、注入細管は送液抵抗が大きいことから低圧で注入する必要があるため、管径を大きくする必要があるが、この場合も削孔径が大きくなるので、注入細管の本数を少なくできれば、改良深度幅が大きくても対応しやすくなる。
したがって、結束注入細管の形状を変えることなく先端吐出口の数を少なくして、従って注入細管の本数を少なくして削孔径を小さくするようにして、かつ注入細管同士の間隙にシールグラウトがゲル化物を形成すれば注入圧を高くして所定のステージに十分圧力をかけて注入できるので、浸透固結径を大きくすることができて好ましいことがわかる。
本発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、先端に吐出口を有する複数の注入細管を、前記吐出口が管軸方向の異なる位置にくるように結束することにより構成された結束注入細管によって孔壁周囲の地盤中に注入材を注入して改良体を形成する際に、各注入細管の吐出口から吐出した注入材が、注入細管同士の間隙を管軸方向に逸走して地上に溢れ出たり混ざり合ってしまうのを防止して、孔壁周囲の各ステージに確実に浸透注入することができ、また、孔径の小径な注入孔においても孔壁周囲の各ステージに確実に浸透注入することができて、経済性と施工性の向上を可能にした地盤注入工法を提供することを目的とするものである。
本発明は、先端に地盤注入材の吐出口を有する複数の注入細管を、各注入細管の吐出口が管軸方向の異なる位置にくるように結束することにより構成された結束注入細管を、地盤に設けた注入孔内に設置し、当該結束注入管と前記注入孔の孔壁との間隙をシールグラウトによってシールした後、前記結束注入細管を通して前記注入孔の孔壁周囲の各注入ステージに注入材を浸透注入する地盤注入工法であって、前記各注入細管同士の間隙をシールグラウトによってシールすることにより、前記注入細管の吐出口から吐出した地盤注入材が前記注入細管同士の間隙を管軸方向に逸走するのを防止するようにしたことを特徴とするものである。また、上記機能を持ちながら、前記結束注入細管の径を小さくして、前記削孔の削孔径が小さく済むようにして、経済性を確保せんとしたものである。
また、前記結束注入細管に送液される地盤注入材の貯蔵タンクと、それぞれ独立した駆動源に接続され、かつそれぞれ集中管理装置で制御されて、前記貯蔵タンク内の地盤注入材を前記結束注入細管の各注入細管に送液する複数のユニットポンプを備えた多連装注入装置と、前記各注入細管に送液される前記地盤注入材の流量、圧力および速度を検出するデータ検出器を備え、かつ前記データ検出器から前記集中管理装置に送信される前記地盤注入材の流量および/または圧力に関するデータに基づいて、前記地盤注入材の注入状況を前記集中管理装置で一括管理しながら前記各ユニットポンプの作動により、前記貯蔵タンク内の地盤注入材を任意の注入速度、注入圧力あるいは注入量で前記複数の注入細管に圧送し、かつ前記複数の吐出口から同時に或いは選択的に地盤に注入することを特徴とするものである。
このようにすることにより、注入深度が地表面に近くても注入材は地表面に逸走せずに所定の深度で周辺地盤に浸透させることができる。
また、ステージごとに最適量の注入材、あるいは異なる種類の注入材を注入しても、地上に溢れ出すことなく、また削孔内で互いに混ざり合ってしまうこともなく、ステージごとに最適量の地盤注入を確実に、また削孔径を最小限に抑えて、経済的に注入することができる。
本発明者は、この問題を解決するために、種々の研究を行った結果、本出願人による岩盤における微細間隙に対する浸透固結の研究結果(特許文献7、8)を応用して、結束注入細管の注入細管同士の間隙をシールすることに想到し、それを基本にして上述した結束注入細管を用いた注入工法に適用するにあたっての必要な条件は以下の点にあることを見出した。
(1) 削孔径を最小に抑えるためには、図1、図3に示すように注入細管2,2同士の外周部の側面が密着するように、注入細管2,2同士を結束バンド24で結束して一体化する必要があり、これにより注入細管2,2同士の間隙7が狭くなって間隙7へのシールグラウト6の充填は困難を伴うが、注入細管2,2間の間隙7は、密着せずに残ったままである。このためシールグラウト6は微小間隙に対して極めて浸透性に優れていなくてはならない。
(2) 結束注入細管1の吐出口3の位置で注入細管2,2同士の間隙8のシールグラウト6が注入時に破断される可能性があるから、図1の注入材の吐出口3の上下の距離Lの間隙に充填させているシールグラウト6のゲルが軸方向に破断部に向かって注入圧で押し出されないだけの十分な強度が必要である。
(3) 結束注入細管1の上下吐出口3,3間の間隔Lは注入目的、地盤条件、注入孔5,5間の間隔に応じて異なるが、50cm〜2mとするものとし、室内実験で安全性を考慮して20cm〜40cmの長さの微小間隙でゲル化したシールグラウト6が注入圧力によって管軸方向に押し出されない強度があれば十分である。なぜならば管軸方向の間隔が長くなるほど押し出し抵抗は大きくなり、シールグラウト6の厚さの薄い横方向のシールグラウト6を破って周囲の地盤に注入されるからである。
(4) シールグラウト6は、浸透性が良ければ注入細管2,2間の間隙8に浸透してゲル化する。しかし浸透性が良いと、注入細管2,2間の間隙8に浸透する前に地盤中に浸透流出してしまう可能性がある。このため、孔壁5aから浸透流出しないように粘性を高くしたり、懸濁液にするのが好ましいが、そうすると注入細管2,2間の間隙7に浸透しなくなってしまう問題が生ずる。
セメント系グラウトや薬液の微小亀裂のある岩石への浸透可能限界は、割れ目幅が0.1mmであることが知られているが、割れ目の幅や長さや固結物の強度や水圧との関係も含めて詳細は不明であるし、本発明における注入細管同士の微小間隙に対する浸透も不明であった。
以上の問題を解決するために、本出願人は、円形断面のプラスチック製チューブからなる注入細管2,2間の間隙7をもつ図3の結束注入細管1は、互いに密着している微小間隙と大きな間隙を持つことに着目して岩盤の微細亀裂の止水に関する本出願人による研究の成果(非特許文献1、2)を結束注入細管1の注入細2,2間の間隙7への充填に適用することに想到して本発明を完成した。
(1)結束注入細管(図1〜図3)を用いる地盤注入工法は、一つの吐出口からの低吐出量注入を行いつつ、多数の吐出口からの同時注入が可能なため、土粒子間浸透注入と全体として大きな吐出量注入により急速施工が可能であるという優れた特性を持つ。本発明は以上の利点を保持しながら、(a)注入材が各注入細管同士の間隙から地上に逆流する場合があるという問題、(b)結束注入細管を構成する1本の注入細管が一個の注入口を受け持ち、それが1ステージに対応するため、注入改良厚が大きくなるにつれて注入細管の本数が多くなり、結束注入細管が太くなり、結束注入細管を設置する削孔の径が大きく なるという問題、および(c)注入細管の管径が細いと懸濁型グラウトの浸透性が悪くなるという問題を改善することができる。
(2)本発明者は、結束注入細管の各注入細管同士の間隙にシールグラウトが浸透固結しないため、注入材がこの間隙から地上方向に逸走することがあることを見出し、その問題を微小間隙からの止水として捉えた。
その結果、超微粒子セメント等の懸濁グラウトの微細スリットへの圧入限界は0.22mmまでであり、それ以下の微小間隙へは浸透しないことが判った。また、シリカコロイドやシリカゾル、水ガラスグラウトは0.05mmの間隙まで圧入できることが判った。
(3)微小間隙に充填したシリカゲルの強度と限界止水圧は、それぞれ60KPa〜300KPa、5MPa〜10MPaであった。また微小間隙の長さが20cm、40cmの場合、40cmの最大限界圧は20cmの場合に比べてより大きくなる。
この強度条件を満たすシールグラウトの配合処方を適用することにより、注入細管同士の間隙の充填を可能にした。上記注入細管同士の間隙を充填することにより、加圧注入において、注入材が逸出することなく所定の注入ステージに浸透し、また懸濁液の適用が可能になる。
(4)吐出口を有する中空芯材を注入細管に抱き合わせ、結束バンドで一体化することにより、ケーシングロッドを用い清水掘りで削孔し、ケーシングロッド内にシールグラウトを充填した後、結束注入細管をシールグラウト中に設置してからケーシングロッドを引き上げて後、中空芯材の吐出口からシールグラウトを吐出して結束注入細管同士の空隙を充填して、ゲル化せしめ、注入材の地上部への流出を防止することができる。この場合、シールグラウトは懸濁型シール材でも溶液型のシール材のいずれも用いることができる。
(5)中空芯材を通して一次注入することにより、各注入細管同士の間隙を充填すると共に注入地盤の粗詰注入を行って、地盤を均質化して後、注入細管の各吐出口から土粒子間浸透することにより、注入細管の吐出口の上下の間隔を拡げることにより、注入細管の本数を少なくすることができる。
(6)注入細管の吐出口を柱状浸透源とすることにより、1ステージの注入深度厚さを大きくでき、従って、懸濁液を送液するのに十分な大きさの注入細管を用いて、注入細管の本数を少なくして、削孔径の増大を減らすことができる。
(7)複数の注入細管と吐出口を有する中空芯材を結束バンドで一体に結束して注入細管同士の表面を密着させて外周をシールグラウトで固定して中空芯材の吐出口からシールグラウトを注入細管同士の間隙に充填することにより結束注入細管の径を小さくして、また小径で注入細管の本数を増やすことにより削孔径を小さくし、注入細管同士の間隙を充填し経済性とシール機能を同時に可能にした。また結束注入細管同士を密着させて間隙を小さくしてもシリカ溶液によって微小間隙への浸透、充填を可能にした。
(8)さらにシールグラウトとして、また結束注入細管の注入細管同士の間隙を充填するためのシールグラウトとして高分子増粘剤やシリカ溶液、微細粒子のベントナイトやカオリナイト等の粘土や高分子増粘剤等の増粘剤を加えることができる。この場合、シールグラウトは低い強度のため、低圧でシールグラウトを破って、注入材の浸透注入が可能である。またベントナイトや水ガラスやセメントやCaを含むアルカリ性を呈する安定液を用いてシールグラウトとすれば、削孔中に満たされた酸性を呈するシリカグラウトは削孔壁面に接触してゲル化が進行して強固なシールグラウトのゲル化物となりシールグラウトの流出を防ぐことができる。
(9)上記粘土や高分子材、或いはこれらの混合物やこれらとシリカグラウトとの混合液は、削孔の際の泥水や削孔壁の安定材として用いることができる。
従って、ケーシング掘りの際にこれらをボーリング水として削孔すれば、孔壁は安定化し、かつ止水性をもつため、ケーシングロッド内に結束注入細管を設置して後、前述したシリカ溶液を主材とするシールグラウトをケーシングロッド内に充填して、結束注入細管を挿入してケーシングロッドを引き上げれば、或いはケーシングロッド内に結束注入細管を挿入して上記シリカグラウトを満たしながらケーシングロッドを引き上げれば、削孔壁からシールグラウトが流出することなく結束注入細管の間隙に充填して十分な強度を有するシール効果を生ずることが可能になる。
注入孔に設置された結束注入細管の正面図である。 注入細管の先端部の拡大縦断面図である。 結束注入細管の拡大横断面図である。 図(a)は中空芯材を備えた結束注入細管の拡大横断面図、図(b),(c),(d),(e)は、中空芯材の変形例を示す一部側面図である。 注入孔に設置された結束注入細管を備えた多点地盤注入装置の概略図である。 多点注入工法を示し、図(a)はその全体の概略図、図(b)は地盤面下の複数の結束注入細管の概略図でる。 微小間隙止水試験装置の概要を示す、図(a)はその立体模式図、図(b)は断面図の模式図である。 試験の実施状況を示す説明図である。 ゲル強度の小さい場合の間隙の厚さと限界止水圧との関係を示すグラフである。 ゲル強度が比較的大きい場合の間隙の厚さと限界止水圧との関係を示すグラフである。 図(a),(b)は、先端部に柱状浸透吐出口を有する注入細管先端部の一部破断正面図である。 注入材を複数地点の孔壁周囲の複数の注入ステージに結束注入細管を通して同時に注入できるように構成された多点注入装置であり、図(a)は一地点の注入孔内に設置された結束注入細管の一部正面図、図(b)は多点注入装置全体の正面図である。 注入速度qと注入圧力pとの関係と限界注入速度を示すグラフである。 図(a)は、球状浸透における浸透半径と注入圧との関係を示すグラフ、図(b)は、柱状浸透における浸透半径と注入圧との関係を示すグラフである。、 図(a)は、固結径Rと注入口間隔Dとの関係を示す説明図、図(b)は、注入孔間隔Dと固結径Rとの関係を示す説明図である。 改良体の鉛直方向の配列を示す説明図である。
本発明者は、図1〜図3で説明した結束注入細管1の注入細管2,2間の間隙7を微細スリットと捉え、当該微小スリットの幅(厚さ)と長さを図7の微小間隙止水試験装置を用いて変え、かつ当該微細スリットに超微粒子セメント懸濁液とシリカ溶液を圧入し、これらの圧入限界となる微細スリット幅(厚さ)と微小間隙中に充填されたゲル化物の注入圧力に対する押し出し抵抗のゲル強度との関係を適用した(非特許文献1、2)。
(試験方法)
微細スリット試験装置
図7は、本出願人による微小間隙止水試験装置であり、図8は試験状況を示す。本装置は、角型上下フランジからなる2枚合わせ型の微小間隙止水試験装置であり、この角型フランジ式微小間隙止水試験装置の間隙は、図7(b)に示す上下フランジ間に作成した溝にスペーサーを入れて目的の間隙を設定した。スペーサーは最小厚さ0.01mm(10μm)で7種類準備した。設定した微小間隙は約0.02mm(20μm)〜0.5mm(500μm)の範囲である。
浸透可能限界試験
注入材は、図7(a)に示す試験装置の左側にある注入孔から注入した。図7(a)の中央並びに右側の注入孔からの注入圧の最大圧力は50KPaであった。
その結果、超微粒子セメントの微細スリットの浸透限界は0.22mmまでであり、それ以下の微小間隙へは浸透しなかった。シリカコロイドは0.05mmの間隙まで浸透できることがわかった。2日養生後、注水孔から手動の水圧ポンプで水圧を作用させて限界止水圧を測定した(図9)。
止水圧は、最大止水圧約10MPaまで上げることが可能である。なお、この試験は上述のように注水孔の位置を変えることにより注入材で充填された止水ゾーンの長さを2通りに変えることができる特徴がある。その長さは20cmと40cmである。
注入材で充填された微小間隙の限界止水圧
角型フランジ式微小間隙止水試験装置を用い、注入材で微小間隙を充填したときの限界止水圧の測定結果を図9、図10 に示した。本試験に用いた注入材は、微粒子セメントとシリカコロイド系、シリカゾル系および複合シリカ系、溶液型シリカグラウトである。
ここでは、微粒子セメントとシリカコロイド系とシリカゾル系の例を述べる。複合シリカ系と溶液型シリカは、粒子径がシリカコロイド径よりも小さいのでシリカコロイド系が浸透可能な微小間隙には浸透し得るからである。
微粒子セメントによる実験
微細スリット止水試験装置による試験で、微粒子セメント注入材は、0.22mm以上の間隙を通過し、それ以下の微小間隙には浸透しなかったので、限界止水圧試験はできなかった。
溶液型シリカによる実験
本実験は、7段階の微小間隙で限界止水実験を実施した。溶液型シリカ溶液にはシリカコロイド、シリカゾルグラウト、有機系水ガラスおよび複合シリカグラウトを用いた(表1)。最初にゲル強度が60KPa と小さいシリカゾル系注入材の結果を見てみる。その微小間隙の厚さと限界止水圧の関係は図9 に示した。この図には微小間隙の長さ20cmと40cmの2 通りの結果も示した。微小間隙の厚さと限界水圧の関係を考察すると図に示すようにピークをもつ曲線で示される。
Figure 0006915791
微小間隙の厚さが0.2mm付近で最大の限界止水圧となる。このピーク点を境に間隙の厚さが大きくなると、限界止水圧は間隙の大きさに逆比例して小さくなり、間隙の厚さが0.1mm以下になるとほぼ一定の限界止水圧となる。次に、間隙の長さと限界止水圧を考察してみる。図9に示すように間隙の長さが大きくなると限界止水圧も大きくなっている。間隙の長さが20cm(実線)と40cm(点線)を比較して見ると間隙の長さ40cmでは20cmに比較して大きい限界止水圧になる。それぞれの最大限界水圧は約5MPa,4MPa である。
ゲル強度が300KPa と強度の大きいコロイダルシリカ系では、図10に示す結果を見てみると間隙の厚さに逆比例して限界止水圧が大きくなっている。間隙0.05mm(50μm)の厚さで約10MPa の限界止水圧を得ることがわかった。なお、シリカゾルも複合シリカもゲル強度がほぼ同じで、それよりも強度がやや高い有機系水ガラスもほぼ同様の限界水圧を示した。また、これらはいずれもコロイダルシリカよりも粒径が小さいためコロイダルシリカが浸透しうる微小間隙には浸透した。
試験結果
1)微小間隙と限界水圧
懸濁液に比べてコロイド、シリカゾルおよび有機系水ガラスは、微小間隙に浸透する。
a.ゲルの強度が高ければ限界水圧が高くなる。
b.間隙の厚さが小さければ限界水圧が高くなる。
c.間隙の長さが長ければ限界水圧が高くなる。
微小間隙止水試験装置による試験で、微粒子セメント注入材は0.22mm以上の間隙を通過し、シリカコロイドは間隙幅0.05mmを通過した。これより、微粒子セメント系注入材は0.22mm以下には浸透しないが、シリカコロイドやシリカゾル系、複合シリカ系等の溶液型シリカグラウトは、微粒子セメント系注入材の浸透しない、0.22mm以下の微小間隙に浸透して止水が可能になることがわかった。
2)微小間隙への浸透性
微粒子セメントの粒径は2×10-3〜2×10-1mm、50%<10μである。それに対してシリカコロイドの粒径は10〜20nmであり、シリカゾルの粒径は1nm程度である。
また、シリカコロイドとシリカゾルからなる複合シリカの粒径は、1〜20nmである。水ガラスの粒径は0.1nmといわれている。従って、シリカコロイドが浸透する微小間隙にはシリカゾルも複合シリカも水ガラス系も浸透する。
3)実験では、微小間隙に充填したシリカゲル強度と限界止水圧ゲル強度が60KPa〜300KPaで、限界止水圧は5MPa〜10MPaであって、微小間隙の長さが20cm、40cmの場合、微小間隙の長さが40cmの最大限界圧は、微小間隙の長さが20cmの場合に比べて大きくなる。
表1よりシールグラウト6に使用するシリカ溶液の配合は、ホモゲルの強度が上記ゲル強度を満たす配合処方を用いるものとする。また、結束注入細管1を構成する各注入細管2の径が大きければ、注入細管2,2間の間隙は大きい部分も生ずるので上記シリカ溶液にベントナイト等の粘土や高分子増粘剤を加えることにより大きい抵抗水圧を得ることができるし、注入細管2,2間の接着力を得ることができる高分子増粘剤やベントナイトに高分子増粘剤を加えた溶液(表2、表3、表4)を用いることができる。
Figure 0006915791
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実際の地盤注入の注入圧力は、通常50KPa〜2MPa程度の範囲であるから、図1〜3で説明した結束注入細管1による地盤注入において、上記注入材をシールグラウト6に用いて、微小間隙の長さLが20cm、40cmでも十分シール効果が得られる配合処方を設定することができる。
また、上記ゲル化物の強度は、注入圧力に対応して十分な強度を用いることができ、また、上下の吐出口3,3間の間隔Lに対応して吐出口3,3間の間隔Lが短ければシールグラウト6の強度を高くし、間隔Lが長ければシールグラウト6の強度を低くすることもできる。ゲルタイムはシリカ濃度とpHの関係によるが、いずれも数秒〜数時間の配合を得ることができるので、注入細管2,2間の間隙7に浸透固結させるための十分な時間を確保できる(表1)。
以上の結果より、出願人は結束注入細管1の各注入細2,2間の間隙8のシールグラウト6として以下のシリカ溶液を用いて本発明の目的を達することができる。
(1) シリカコロイドまたはシリカゾルまたは両者の混合系(複合シリカ)を用いる。
(2) 水ガラス系溶液型注入液を用いる。
(増粘剤の適用性)
本発明に用いるシリカ溶液は、シールグラウト6として用いて瞬結から数時間までゲル化時間のコントロールができるから、シールグラウト6が周辺地盤に逸出して孔壁5aから流出してしまうことを防ぎ、注入細管2,2間の微小間隙7に浸透するゲル化時間を得ることができる。
さらに、本発明に用いる溶液型シリカグラウトに微細粒子のベントナイトやカオリナイト等の粘土や高分子増粘剤等の増粘剤を加えて、孔壁5aの安定性を得ることができ、また、作業性を考えて長いゲル化時間を保持しながら孔壁5aへの浸透を抑えながら注入細管2,2間の間隙7への浸透を図ることができる。
微粒子セメントの粒径は、2×10-2〜2×10-1mm(50%<10μ)であるのに対し、ベントナイトの粒径はそれよりも小さいので微粒子セメントよりも浸透性が良い。なお、粘土としてベントナイトやカオリナイト等の任意の材料を用いることができる。
また、シリカ溶液に高分子系増粘剤やベントナイトを混入することができ(表3、表4、特許文献5)、また、注入細管2の径が大きければ注入細管2,2間の間隙7の径が大きく限界圧が小さいため、これらを用いてゲル強度を高くすることができる。
表5は、表4において高分子増粘剤を入れない例を示したものである。この場合、粘性が低いことがわかる。また、シールグラウト6として高分子系増粘剤(特許文献6)やベントナイトに高分子増粘剤を加えたシリカ溶液を用いることができる(表2)。
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注入孔の孔壁安定剤
結束注入細管1の設置にあたっての、孔壁崩壊防止のためのボーリング水についていえば、
(1)地盤注入の場合、孔壁5aからの浸透性を考慮して、ケーシングロッドの設置の際に清水を用いることが多い。本発明では清水を用いることもできるし、孔壁安定液を用いることもできる。なお、コアビットの保護と孔壁5aの崩壊防止やスライムの浮遊と除去等、ボーリングの作業の効率化のために、通常はボーリング泥水を用いている。
(2) ボーリング泥水には通常ベントナイト、モンモリドナイト等の膨潤性にすぐれた粘土が用いられ、孔壁をコーティングすることで孔壁崩壊を防止することができる。
(3) 孔壁安定剤として高分子増粘剤を用いることができる(特許文献6)。高分子増粘剤としては、表2などのポリマー類を上げることができ、また、生分解性ポリマーもある。
(4) これらのポリマーは、ベントナイト泥水に調整剤として加えることができる。例えば、ベントナイト5〜8%(重量比)にCMC0.05〜0.5%加えた泥水は、比重が1.05〜1.10であって、孔壁5aに薄く強靭な不浸透性の壁を形成して孔壁崩壊を防止したり、逸水、湧水を遮断する効果をもつ。
(5) シリカグラウトと混合して止水性の優れたゲル化機能を有する泥水をつくることもできる(表2、表3、表4)。
孔壁安定材の適用
上記粘土や高分子材は、削孔の際の泥水や孔壁安定材として用いることができる(特許文献5、表2)。従って、ケーシングロッド掘りの際は、これらをボーリング水に用いて削孔することにより、孔壁5aが安定化し、止水性を保持するため、ケーシングロッド内に前述したシリカ溶液を主材とするシールグラウト6を充填し、シールグラウト6内に結束注入細管1を設置して後、ケーシングロッド(図省略)を引き上げることができる。
または、ケーシングロッド内に結束注入細管1を挿入後、ケーシングロッドを引き上げながらシールグラウト6を充填しても良い。その際、シールグラウト6の粘性が低くても孔壁5aからの逸走を低減することができる。
また、ゲルタイムを調整して注入孔7内にシールグラウト6を保持して注入細管2,2間の間隙7に浸透ゲル化させることができる。また、作業性を考慮してシールグラウト6のゲル化時間が長くても孔壁5aからシールグラウト6が流出することなく、注入細管2,2間の間隙7に充填して十分な強度を有するシール効果を生ずることになる。
実際の施工にあたっては、ケーシングロッドで孔壁安定剤を循環させながら削孔し、所定の深度まで削孔後、ケーシングロッド内にシールグラウト6を充填し、結束注入細管1をシールグラウト中に挿入して後、ケーシングロッドを引き上げ、注入細管2,2間の間隙7を充填しゲル化してシールする。
後述するように、複数の注入細管2,2内に中空芯材8を抱き合わせることにより構成された結束注入細管1を用いれば、清水とケーシングロッドでボーリングし、ケーシングロッド内にシールグラウト6を充填して後、結束注入細管1を挿入してからケーシングロッドを引き上げ、そして、結束注入細管1の中空芯材8の吐出口8aからシールグラウト6を吐出することにより各注入細管2,2間の間隙7をシールすることができる。
この場合、図16に図示するように、結束注入細管1と注入孔5の孔壁5a間の間隙に充填されるシールグラウト6aは、懸濁型シールグラウト、高分子増粘剤やシリカ溶液にベントナイトや高分子増粘剤でもよい。また、各注入細管2,2間の間隙7に充填されるシールグラウト6bは懸濁型シール材でも溶液型シリカ溶液でもよい。シールグラウト6として、高分子増粘剤やベントナイト、或いはこれらとシリカ溶液との混合液を用いた場合、弱い強度のシールグラウトになるため、注入材は低圧注入でもシールグラウト6を壊して周辺地盤へ浸透させることができる。
注入孔5の孔壁安定剤は、pHがアルカリ性を呈する材料を用い(ベントナイトやCBやカルシウムアルミネートや水ガラス等)、シリカ溶液の反応剤(消石灰や無機塩等)を添加することにより、結束注入細管1の各注入細管2,2間の間隙7を充填した非アルカリ性シリカ溶液(表1の1、2、3)が、孔壁5aの安定剤に接触すると、ゲル化が促進することによって、シリカ溶液が孔壁5aから逸送するのを防止することができる。
また、ケーシングロッドと清水または孔壁安定剤を用いて所定の深度まで注入孔5を削孔し、当該注入孔5内に結束注入細管1を挿入して後、ケーシングロッドを引き上げながらCB(pH11〜12)や低アルカリ性カルシウムアルミネート(表6)等の懸濁液を(特許文献4)充填し(又はケーシングロッドにこれらを充填してから結束注入細管1をシリカグラウトに挿入しても良い)、途中からシリカ溶液を充填することにより、注入細管2,2間の間隙7を浸透ゲル化させてシールすることができる。
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この場合、地表面近くの注入細管2,2間の間隙7のシールと、結束注入細管1と孔壁5a 間のシールを行うことによって、注入材の地表面への流出を防ぐことができる。なお、地表面近くのシリカ溶液の充填であるから、ゲル化時間の短縮をしながらシリカ溶液の逸出の有無を見ながら調整が容易である。また、結束注入細管1の注入細管2,2間の上方部の間隙7のシールが十分に行われるため、注入材は上方への逸走が拘束されて周辺地盤へ浸透注入することができる。
施工性と経済性を考慮すれば、結束注入細管1はできるだけ、径が小さいことが要求される。なぜならば、径が大きくなると注入孔5の削孔径が大きくなり、経済性に問題が生ずるからである。また、注入細管2の本数が増えても同様である。
実際には、結束注入細管1の注入細管2には、内径が6mm程度のポリエチレン製等のチューブが用いられるが、注入細管2は大きくたわみやすいため、塩ビ製芯棒などの剛性の大きい芯棒を抱き合わせ、結束バンド等の結束具4で結束することにより、ケーシングロッド内にシールグラウト6を充填した後からでも、結束注入細管1を注入孔5内に容易に挿入することができる。
なお、剛性の大きい芯棒の一例として中空芯材8があり、当該中空芯材8に注入材の注入管を兼ねさせることができる。また、注入細管2,2同士を結束することで結束注入細管1の径が小さくなる一方、注入細管2,2同士が密着するため、結束注入細管1と孔壁5a間を充填するシールグラウト6が注入細管2,2間の間隙7に侵入しにくくなり、その間隙7から注入材が上方に逸走しやすくなることがある。
このような問題を解決するため、特に、注入細管2を湾曲させたり、セパレーターで注入細管2,2間の間隙7を広げたり、袋体で結束注入細管1の外周を覆って吐出口3を袋体の内側に設けたりするようなことはせず、結束注入細管1の形状を直線状に単純化すると共に、逆止弁4を備えた吐出口3を有する中空芯材8を複数の注入細管2と抱き合わせ、結束バンド4で一体化して注入細管2,2同士を密着させ、そして中空芯材8を通して注入孔5内にシールグラウト6を充填することにより、孔壁5aと結束注入細管1間および各注入細管2,2間の間隙7を確実にシールすることを可能にした。
このようにすれば、結束注入細管1の径を大きくする必要もなく、また、シールグラウト6は浸透性の優れたシリカ溶液であるため、注入細管2,2間の微細な間隙7に浸透し得る。また、シールグラウト6として懸濁型グラウトを用いることができ、さらに、結束注入細管1の径が大きく注入細管2,2間の間隙7が大きい場合は、懸濁型シールグラウトを用いて、高強度のシールグラウト6で間隙8を充填することができる。
一方、結束注入細管1が小径であれば、同一径の削孔径で結束注入細管1の注入細管2の本数を増やして吐出口3を増やすことにより、改良体を厚く形成することができる。また、図16に図示するように結束注入細管1と孔壁5間の間隙のシールグラウト6aとして懸濁型グラウトを用い、当該懸濁型グラウトを各注入細管2,2間の間隙7に中空芯材8を通して注入すれば、結束注入細管1と孔壁5間のシールグラウト6aと各注入細管2,2間の間隙7内のシールグラウト6bによって、結束注入細管1の両面から高強度に固定されるため注入材は外側のシールグラウトを破って、所定の注入ステージにおいて、周辺地盤に浸透することになる。
また、シールグラウト6としてシリカ溶液を用いれば、各注入細管2,2間の間隙7に吐出されたシリカ溶液は、注入細管2,2間の微小な間隙7に浸透してゲル化するため、各注入細管2の吐出口3から吐出された注入材は、管軸方向よりも所定の注入ステージで結束注入細管1の外側の孔壁5aとの間の薄い厚さのシールグラウト6aを破って地盤中に浸透することになる。
また、結束注入細管1と孔壁5a間のシールグラウト6aとして、高分子増粘剤或いは粘土や高分子増粘剤を含有するシリカグラウトを用いれば、シールグラウト6aの強度は弱いため、注入材は低圧でシールグラウト6aを破って周辺地盤に低圧で浸透注入される(図16)。
なお、図4(a),(b)は、複数の注入細管2に抱き合わせて設置された中空芯材8を示したものであり、内径8mm程度の塩ビ管を用いた例である。中空芯材8は、シールグラウト6が懸濁型シールグラウトの場合は内径8mm程度の塩ビ管、シリカ溶液の場合は内径6mm程度の塩ビ管を用いるのが望ましい。また、中空芯材8の吐出口8aは、図4(b)に示すように薄いゴムチューブ等からなる逆止弁9で被膜しても良い。
また、注入細管2、中空芯材または中空注入管8および芯材8bは、生分解性プラスチックで形成されたものであってよい。
また、この吐出口8aは地表面の近い位置(最上部)に設けても良いし、地表面より深い位置(最下部)に設けても良い。吐出口8aを最上部に設ける場合は、それよりも下方部分を帯状の芯材8bとしても良いし(図4(e))、また、最上部または最下部に吐出口8aを設ける場合は、注入内管を用いず、中空芯材8のみでシールグラウト6を直接注入することができる。また、中空芯材8の吐出口8aは、管軸方向の任意の位置に複数設けても良い。
さらに、吐出口8aは、中空芯材8の管軸方向の複数箇所に間隔を開けて設け、そして中空芯材8に注入内管(図省略)を挿入して注入材を注入することにより、注入材を一次注入材として地盤の粗詰注入を行うこともできる。また、この場合の注入材は、シールグラウト6を兼ねることができる(図16)。
また、透水性の異なる土層に対しては、中空芯材8の管軸方向の複数個所に径の異なる吐出口8aを設けるか(図4(d))、または密度(間隔)を変えて複数の吐出口8aを設け(図4(c))、そして、当該中空芯材8に一次注入材を圧入することにより注入細管2,2間の間隙7をシールできると共に、透水性の大きい土層に対しては多量の一次注入材を吐出でき、透水性の小さい土層に対しては少量の注入材を吐出できる。また、吐出口を有する中空注入管と芯材を分離して設置してもよいのは勿論である。
この場合、中空芯材8に注入内管(図省略)を挿入して注入することも逆止弁も必要としない。上記において、結束注入細管1と孔壁5a間の間隙内はシールグラウト6によって密閉状態にあるため、中空芯材8の吐出口8aから吐出されるシールグラウト6は各注入細管2,2間の密閉された間隙7内に加圧状態で圧入される。
この場合、吐出口8aからの吐出量は、吐出口8aの開口面積が大きければ、或いは吐出口8aの数が多ければ多くなり、逆の場合は少なくなる。従って、注入地盤の深度方向の透水性の大きな層、或いはルーズな層には開口面積が大きく吐出量の多い吐出口8aを配置し、透水性が低く、或いは密な層には開口面積が小さく吐出量の小さい吐出口8aを配置すれば、中空芯材8から圧入された一次注入材は、シールグラウト6として各注入細管2,2間の間隙7を充填すると共に、透水性の大きな層、或いはルーズな層には多く、透水性の小さな層、或いは密な層には少なくそれぞれ自動的に注入され、地盤の均質化が可能になる。 また、図4(d)の吐出口8aは、管軸方向に縦長に、例えば楕円形状に形成されているため懸濁型シールグラウト(又は一次注入材)を注入するのに適している。
また、注入細管2の本数を可能な限り減らして、注入孔7の削孔径を小さくするには、注入細管2,2の各吐出口3,3間の管軸方向の間隔Lを注入孔5,5の削孔間隔(注入孔5,5の中心間隔)Dに対応させるのが望ましい。削孔間隔Dは1個の吐出口3から吐出される注入材の浸透固結径にかかわるため、大径の固結径の形成が目的ならば、吐出口3,3間の間隔Lは大きくなり、小径固結径の場合は小さくなる。
固結体同士は互いに重ね合う必要があるので、吐出口3,3の間隔Lは注入孔5,5の間隔Dに対応して設定するのが好ましい。一般に、吐出口3,3間の間隔Lは、削孔間隔Dに対して50〜80%が好ましい。例えば、地盤状況にもよるが、削孔間隔Dが2〜3mの場合、吐出口間隔Lは1〜1.5m、削孔間隔Dが1〜1.5mの場合、吐出口間隔Lは0.5〜0.75m、或いは削孔間隔Dが2.5mの場合、吐出口間隔Lは2.0mとして固結径が重ね合うようにし、このようにして注入細管2,2の吐出口間隔L、削孔間隔Dに対応して十分距離を取るように設定することにより、注入細管2の本数を最少にして削孔径を小さくして経済性を得ることができる。
(懸濁型注入材の適用)
結束注入細管1の注入細管2は可能な限り小径が望ましく、また、注入細管2の本数はできるだけ少ない方が望ましい。なぜなら注入細管2の径が大きいほど、また注入細管2の本数が多いほど、削孔径が大きくなり経済性の問題が生ずるからである。しかし、結束注入細管1を用いる注入工法は、一つの吐出口3からの低吐出量注入を行いつつ、多数の吐出口からの同時注入が可能なため、土粒子間浸透により高い施工能率と経済性を生ずる。
本出願人の現場試験によれば、注入細管2の管径が6mm程度の場合、溶液型シリカグラウトの送液には特に問題はなく、広範囲の浸透固結が可能であるが、懸濁型グラウトの場合はスムーズな送液は困難となり、固結体は小径になりやすいため、注入細管2の管径は8mm以上が望ましいことがわかった。
また、図4(a)からわかるように、注入細管2の径が大きくなると、注入孔5の削孔径は大きくなり、また、注入細管2,2間の間隙7が大きくなるという問題が生じる。
この注入孔5の削孔径の問題を解決するために、本出願人は、各注入細管2先端部の吐出口3を柱状浸透吐出口3aとした(図11、図12)。図11(b)にその注入システムを示す。柱状浸透吐出口3aは、一または複数の吐出口3を柱状導水部材10で被覆することにより構成されている。
柱状浸透導水部材10は、スリットの入ったゴム状被覆材、またはマット、網状体、透水性布状体などのシート状被覆材であり、注入細管2の吐出口3を有する部分に一面にまたは螺旋状に巻き付けられている(図11(a),(b))。柱状浸透吐出口3aから吐出された注入材は、柱状浸透導水部材10の全長Lから周囲地盤に注入されるため大きな柱状浸透源からの低圧による土粒子管浸透する(図11、図12)。
なお、図5は、一地点に対して注入材の地盤注入を実施する地盤注入装置の概要を図示したものであり、図において符号1は、一地点の注入孔5内に設置された結束注入細管、符号11は結束注入細管1に送液され、注入孔5の孔壁周囲の地盤中に注入される注入材の貯蔵タンクである。貯蔵タンク11は注入材製造プラント(図省略)に送液管を通して接続されている。
また、符号12は貯蔵タンク11内の注入材を送液管13を通して結束注入細管1の各注入細管2に送液するユニットポンプ、符号14は各ユニットポンプ12を個々に駆動する駆動源、符号15は貯蔵タンク11から検束注入細管1の各注入細管2に送液される注入材の流量、圧力および速度のデータを検出するデータ検出器である。
そして、符号16は、注入孔5の孔壁周囲の地盤中に各ステージ毎に注入材の注入状況を一括管理しながら、各ユニットポンプ12を作動させ、バルブ17、流量計18および圧力計19などで監視しながら貯蔵タンク14内の注入材を各注入地点の注入細管2に任意の注入速度、注入圧力および注入量で圧送すると共に、各注入細管2の吐出口3から同時に或いは選択的に地盤に浸透注入する集中管理装置である。
当該地盤注入装置によれば、一地点における注入孔5の孔壁周囲の地盤中に、各ステージ毎に必要量の注入材を効率的に浸透注入させることができる。
図6は、複数地点に対して注入材の地盤注入を実施する多点地盤注入装置の概要を図示したものであり、結束注入管1は一定間隔に削孔された複数の各注入孔5内に設置されている。また、各地点の結束注入管1の各注入細管2に貯蔵タンク11、ユニットポンプ12、バルブ17、流量計18および圧力計19、およびこれらを監視しながら貯蔵タンク14内の注入材を各注入地点の各注入細管2に任意の注入速度、注入圧力および注入量で圧送すると共に、各注入細管2の吐出口3から同時に或いは選択的に地盤に浸透注入する集中管理装置が接続されている。
当該地盤注入装置によれば、複数地点における各注入孔5の孔壁周囲の地盤中に、各ステージ毎に必要量の注入材を効率的に浸透注入させることができる。
図12(a),(b)は、図6に図示する装置と同じ多点地盤注入装置の概要図であり、特に各結束注入細管1の各注入細管2の先端部に図11で説明した柱状浸透吐出口3aが形成されている。当該地盤注入装置によれば、複数地点における各注入孔5の孔壁周囲の地盤中に、各ステージ毎に必要量の注入材をより効率的に浸透注入させることができる。
図13に土粒子間浸透の限界注入速度を示す。また、図14(a)に球状浸透における浸透半径と注入圧との関係、図14(b)に柱状浸透における浸透半径と注入圧との関係を示す。さらに、図15に注入孔間隔Lと固結径(改良径)Rと改良率(間隙充填率)aとの関係を示す。
柱状浸透では浸透源が大きいため、低い注入圧で浸透距離が長くなる(図14(b))。このため注入細管2,2の上下吐出口3,3間の間隔Lを広くとれて、かつ注入孔間隔Lも広くなるため、注入細管2の径が大きくなっても同一固結深度厚さに対して注入口が少なくなり、従って、注入細管2の本数も少なくてすむ。また、平面からみた全固結面積における削孔数が少なくてすむ。
従って、注入細管2を太くすることにより、懸濁液による地盤改良が可能になり、かつ柱状浸透吐出口3aとすることにより、注入細管2の本数を少なくでき、かつ注入孔7の本数も少なくでき、削孔による経済性の問題を解決することができる。しかし、これらは結束注入細管1の注入細管2,2間の間隙空隙7がシールグラウト6によって充填されてはじめて上方に逸走することなく注入圧力を加えることにより可能となる。
また、図15に図示するように、中空芯材8に注入内管(図省略)を挿入して、カルシウムアルミネート懸濁液またはCBを一次注入することにより、対象地盤の粗詰注入を行うとともに注入細管2,2間の間隙7を充填することができる。その後、柱状浸透吐出口3aから懸濁グラウト(勿論、溶液型シリカグラウトでも良い。)を注入すれば大きなLで、従って注入細管2の本数を少なくして、大きなDで浸透固結が可能になる。鉛直方向の各吐出口3,3間の間隔(ステップ長)Lは、水平方向の注入孔間隔Dに対し50〜80%の間隔とすることを標準と配置することとする。
ステップ長L<注入孔間隔Dとして改良体を割り付ける。
一般に地盤改良を必要とする地盤は、垂直方向より水平方向の透水性が大きいため、球状浸透注入の一点注入の場合、横方向の楕円状の固結体となる。従って、柱状浸透注入の場合は、吐出口3,3間の間隔Lを長くとることができるため、長い注入孔間隔Dを設定でき、大きな改良深さ幅で少ない本数の注入細管2で地盤改良が可能になる。
本発明は結束注入細管同志の間隙を充填しているために地表面への注入液が逸出を防いでいるため、十分な注入圧のもとに広範囲な注入が可能になる。また中空芯材又は中空注入管の吐出口からの一次注入によって、粗詰注入できるために浸透二次注入の逸脱を防ぐことができる。また柱状浸透源からの注入によって、急速低圧注入ができるのみならず、懸濁液の低圧注入が可能になる。このような特性により、以下の所定の注入領域からの逸脱を低減しながら、広範囲の急速浸透注入を経済的に行うことが要求される以下の1〜3の地盤改良を行うための注入工法が容易になった。
またマイクロバブル液やシリカ溶液とマイクロバブル液を併用して地盤に注入する液状化対策工は大きな注入孔間隔の急速注入で経済的な地盤改良が要求される。
またヒ素や六価クロム等の重金属による汚染地盤に対する土壌浄化法においても、硫酸第二鉄及び/又はポリ硫酸第2鉄等やマグネシウム系不溶化剤等、また、有機溶剤や有機洗剤等の有機化合物に対しては、土壌中の微生物を活性化して汚染物質を分解するための栄養材を注入するために大きな注入孔間隔で急速注入により経済的地盤改良が要求される。これらの要求に本発明は効果的に適用することができる。
1.急速液状化対策工
2.懸濁グラウトによる高強度地盤強化工
3.溶液シリカグラウトによる急速浸透注入工
4.マイクロバブル注入工法
5.土壌浄化工
なお、上記注入細管や芯材や中空管はトウモロコシや木材等の植物由来の生分解性プラスチック材を用いることもできる。これによって、施工後土中で注入管が分解し、掘削工事が容易になり、或いは土壌浄化法に用いて土壌浄化後、注入管を引き抜かなくとも原状に戻る地盤改良が可能になる。
本発明に用いられる生分解性プラスチックスは微生物により分解される高分子化合物であって、好ましくは熱可塑性であり、従来公知の押出成形により加工でき、注入管としての機械的強度を有するものが好ましい。なお、水溶性プラスチックス、特にアルカリ性の条件下で溶解するプラスチックスは、生物によっても分解され易く、本発明において好ましいものである。
その化学構造は(1)主鎖が脂肪族で、これにエーテル結合またはエステル結合を有するもの、(2)主鎖(または側鎖)に水酸基、カルボキシル基を有するもの、あるいは、(3)プラスチックスの光分解および微生物分解を誘因、促進する添加剤を含有することにより生物分解性が良好なプラスチックスであり、具体的には澱粉系、酢酸セルロース系、ポリ乳酸系、脂肪族ポリエステル系、ポリビニルアルコール系等の生分解性プラスチックスが挙げられる。これらの主原料には、性能の向上あるいは可撓性の付与等の目的で他の高分子化合物、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチックス、可塑剤、安定剤、着色剤等を必要に応じて添加することもできる。
上記(2)の水酸基あるいはカルボキシル基を有する化合物としては、脂肪族化合物が好ましい。これらの生分解性プラスチックスとしては、具体的には、上記(1)の例として、「ピオノーレ」(ポリオールとジカルボン酸の脂肪族ポリエステル)(昭和高分子株式会社と昭和電工株式会社)、「セルグリーン」(酢酸セルロース系、ポリカプロラクトン系)(ダイセル化学工業株式会社)、「ラクティ(乳酸系)」(株式会社島津製作所)、(2)の例として、「ポバール」(ポリビニルアルコール)(株式会社クラレ)、(3)の例として、「ワンダースターン」(トウモロコシ澱粉とポリエチレン)(ワンダー株式会社)等々が挙げられる。
上記生分解性プラスチックスには、ポリヒドロキシブチレート、ポリ乳酸、ポリグリコシド等の高融点生分解性プラスチックスをブレンドすることにより、加工性を向上させ、織物、不織布とすることにより袋体としても使用できる。これらの主原料は、土中ではバクテリアにより、例えば90〜300日程度の日数で分解される。
本発明は、先端に吐出口を有する複数の注入細管を、前記吐出口が管軸方向の異なる位置にくるように結束することにより構成された結束注入細管によって孔壁周囲の地盤中に注入材を注入して改良体を形成する際に、各注入細管の吐出口から吐出した注入材が、注入細管同士の間隙を管軸方向に逸走して地上に溢れ出たり混ざり合ってしまうのを防止して、孔壁周囲の各ステージに確実に浸透注入することができ、また、孔径の小径な注入孔においても孔壁周囲の各ステージに確実に浸透注入することができる。
1 結束注入細管
2 注入細管
3 吐出口
3a 柱状浸透吐出口
4 結束バンド(結束具)
5 注入孔
5a 注入孔の孔壁
6 シールグラウト
7 注入細管同士の間隙
8 中空芯材 又は中空注入管
8a 中空芯材の吐出口
8b 帯状の芯材
9 逆止弁
10 柱状浸透導水部材
11 注入材製造装置
12 ユニットポンプ
13 送液管
14 駆動源
15 データ検出器
16 集中管理装置
17 バルブ
18 流量計
19 圧力計

Claims (16)

  1. 先端に地盤注入材の吐出口を有する複数の注入細管を、各注入細管の吐出口が管軸方向の異なる位置にくるように結束して構成された結束注入細管を、地盤に設けた注入孔内に設置し、当該結束注入細管と前記注入孔の孔壁との間隙をシールグラウトによってシールした後、前記結束注入細管の各注入細管を通して前記孔壁周囲の地盤中に前記地盤注入材を浸透注入する地盤注入工法において、前記シールグラウトはシリカ溶液を有効成分とする以下の特徴を有するゲル化剤であって、前記注入細管の吐出口から吐出した前記地盤注入材が前記注入細管同士の間隙を管軸方向に逸走するのを防止するようにしたことを特徴とする地盤注入工法。
    (1)該シールグラウトは、0.22mm以下の微小間隙をも浸透するシリカ溶液を有効成分とするゲル化剤であること。
    (2)該シールグラウトは、微小間隙長が20cm、40cmとして4MPaの水圧を加えてもゲル化物が微小間隙から押し出されないこと。
    (3)該シールグラウトは水ガラス、非アルカリシリカ溶液、シリカコロイドのいずれか或いは複数を有効成分とするゲル化するシリカ溶液であること。
  2. 請求項1記載の地盤注入工法において、前記結束注入細管は、前記注入細管の管軸方向に抱き合わせて設置された中空芯材、中空注入管および/または芯材を備えていることを特徴とする地盤注入工法。
  3. 請求項2記載の地盤注入工法において、前記中空芯材と前記中空注入管は、管軸方向の複数個所に径の異なる吐出口または管軸方向に間隔を変えて配置された複数の吐出口を備えていることを特徴とする地盤注入工法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の地盤注入工法において、前記結束注入細管の各注入細管に送液される地盤注入材の貯蔵タンクと、それぞれ独立した駆動源に接続され、かつそれぞれ集中管理装置によって制御されて、前記貯蔵タンク内の地盤注入材を前記結束注入細管の各注入細管に送液する複数のユニットポンプを備えた多連装注入装置と、前記各注入細管に送液される前記地盤注入材の流量、圧力および速度のデータを検出するデータ検出器を備え、かつ前記データ検出器から前記集中管理装置に送信される前記地盤注入材の流量、圧力および/または速度のデータに基づいて、前記地盤注入材の注入状況を前記集中管理装置で一括管理しながら、前記各ユニットポンプの作動により前記貯蔵タンク内の地盤注入材を前記各注入細管に任意の注入速度、注入圧力および注入量で圧送すると共に、前記複数の吐出口から同時に或いは選択的に地盤に浸透注入することを特徴とする地盤注入工法。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の地盤注入工法において、前記結束注入細管の注入細管同士の間隙をシールするシールグラウトは、懸濁液、シリカ溶液、高分子増粘剤または粘土のいずれか、または複数を有効成分とすることを特徴とする地盤注入工法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の地盤注入工法において、前記結束注入細管と前記注入孔の孔壁間をシールするシールグラウトは、懸濁型グラウト、シリカ溶液、高分子増粘剤又は粘土のいずれかまたは複数を有効成分とすることを特徴とする地盤注入工法。
  7. 請求項〜6のいずれかに記載の地盤注入工法おいて、前記結束注入細管の注入細管同士の間隙をシールするシールグラウトは、前記中空芯材または中空注入管の吐出口から注入することを特徴とする地盤注入工法。
  8. 請求項〜7のいずれかに記載の地盤注入工法において、以下の工程を有することを特徴とする地盤注入工法。
    (1)孔壁安定液とケーシングロッドを用いて孔壁を保護しながら注入孔を削孔する工程。
    (2)前記注入孔内のケーシングロッド内にシールグラウトを充填する工程。
    (3)前記ケーシングロッドを引き抜いて前記結束注入細管と前記孔壁間を前記シールグラウトによってシールする工程。
    (4)前記中空芯材または中空注入管による一次注入によって前記注入細管同士の間隙をシールすると共に、前記孔壁周囲の地盤に対して粗詰注入を行う工程。
    (5)前記注入細管からの二次注入によって前記孔壁周囲の地盤に注入材を浸透注入する工程。
  9. 請求項8記載の地盤注入工法において、前記結束注入細管と前記注入孔の孔壁間をシールするシールグラウトは、前記注入細管同士の間隙に充填されるシールグラウトが接触するとゲル化が促進することにより前記孔壁からの逸出を防ぐことを特徴とする地盤注入工法。
  10. 請求項8または9記載の地盤注入工法において、前記ケーシングロッド内に充填した懸濁シールグラウト中に該結束注入細管を挿入して、前記ケーシングロッドを引き上げながら、途中からシリカ溶液のシールグラウトを前記ケーシングロッド内に充填することにより、地表面近くの結束注入細管の注入細管同士の間隙をシリカ溶液のゲルで充填して、該結束注入細管から吐出した注入液が地表面に逸出することを防ぐことを特徴とする地盤注入工法。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の地盤注入工法において、前記結束注入細管の各注入細管の先端部に前記吐出口と当該吐出口を被覆する柱状浸透導水部材とからなる柱状浸透吐出口を備えていることを特徴とする地盤注入工法。
  12. 請求項〜11のいずれかに記載の地盤注入工法において、前記結束注入細管の上下吐出口の中間に位置する中空芯材または中空注入管の吐出口より、一次注入材を注入して結束注入細管同士の間隙をシールすると共に、前記注入孔の孔壁周囲の地盤に対して粗詰注入を行って後、前記注入細管の吐出口から二次注入材の浸透注入を行うことを特徴とする地盤注入工法。
  13. 請求項3〜12のいずれかに記載の地盤注入工法において、前記中空芯材または中空注入管に一次注入材を圧入することにより前記注入細管同士の間隙をシールすると共に、透水性の大きい孔壁周囲の地層に対しては多量の一次注入材を吐出し、透水性の小さい孔壁周囲の地層に対しては少量の一次注入材を吐出することを特徴とする地盤注入工法。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の地盤注入工法において、前記結束注入細管の各注入細管の吐出口の管軸方向の間隔Lは、地盤中に設けた注入孔の間隔Dに応じて設定し、当該吐出口の管軸方向の間隔Lは前記注入孔の間隔Dの50〜80%とすることを特徴とする地盤注入工法。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載の地盤注入工法は、以下の目的に適用されることを特徴とする地盤注入工法。
    (1)急速液状化対策工、
    (2)懸濁グラウトによる高速度地盤強化工、
    (3)溶液シリカグラウトによる急速浸透注入工法、
    (4)マイクロバブル注入工法、
    (5)土壌浄化工、
  16. 請求項〜15のいずれかに記載の地盤注入工法において、前記注入細管、中空注入管、中空芯材および/または芯材に生分解性プラスチック製のものを用いることを特徴とする地盤注入工法。
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