JP6994354B2 - 飲料 - Google Patents
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スポーツ飲料においてはエネルギー補給等のために可溶性固形分量を4%以上とすることが多かった。一方、熱中症対策の観点からはエネルギー補給は必要ではなく、電解質を効率的に取り込めるようなミネラルと炭水化物のバランスが重視される。そのため、電解質補給用飲料のような飲料においては可溶性固形分量について4%程度未満とされていた。
そこで本発明者は鋭意研究を行ったところ、リン酸および/またはその塩を含有させるとともに、ナトリウム濃度およびクエン酸濃度とリン酸濃度の比率を所定の範囲とすることで、感じられる塩味を抑えることができることを見出し、本発明を完成させた。
[1] 食塩と、クエン酸および/またはその塩とを含有し、可溶性固形分量が4%未満であり、且つpH4.0未満の飲料であって、
該飲料はリン酸および/またはその塩をさらに含み、
該飲料中のナトリウム濃度が40mg/100ml以上であり、
該飲料中のクエン酸濃度(A)とリン酸濃度(B)の比率(A)/(B)が4以下である飲料。
[2] 前記(A)/(B)が0.5~1.3である[1]に記載の飲料。
[3] 前記飲料中のクエン酸濃度が10~200mg/100mlである[1]または[2]に記載の飲料。
[4] 前記飲料中のリン酸濃度が10~200mg/100mlである[1]から[3]のいずれか一つに記載の飲料。
[5] 前記飲料の酸度が0.01~0.50である[1]から[4]のいずれか一つに記載の飲料。
[6] 電解質補給用飲料である[1]から[5]のいずれか一つに記載の飲料。
[7] 食塩と、クエン酸および/またはその塩とを含有し、可溶性固形分量が4%未満であり、且つpH4.0未満の飲料において、リン酸を含有させるとともに、飲料中のナトリウム濃度を40mg/100ml以上、飲料中のクエン酸濃度(A)とリン酸濃度(B)の比率(A)/(B)を4以下とすることを含む塩味マスキング方法。
本実施形態は食塩(塩化ナトリウム)と、クエン酸および/またはその塩とを含有し、可溶性固形分量が4%未満であり、且つpH4.0未満の容器詰飲料に関する。
本実施形態の飲料はリン酸および/またはその塩をさらに含み、該飲料中のナトリウム濃度(Na濃度)が40mg/100ml以上であり、該飲料中のクエン酸濃度(A)とリン酸濃度(B)の比率(A)/(B)が4以下である。
本実施形態の飲料において、塩味を抑える効果を得つつ、飲料のおいしさについても改善する観点から、クエン酸濃度は、10~200mg/100mlが好ましく、より好ましくは20~150mg/100mlであり、特に好ましくは40~100mg/100mlである。
また、本実施形態の飲料において、同様の観点から、リン酸濃度は、10~200mg/100mlが好ましく、より好ましくは30~150mg/100mlであり、特に好ましくは50~100mg/100mlである。
なお、クエン酸濃度およびリン酸濃度は原材料の組成に基づき算出することができるほか、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法による有機酸分析により測定することができる。
本実施形態の飲料において含有され得る他の成分としては、例えば、甘味料、酸味料、香料、色素、ビタミン、ミネラル、食物繊維などが挙げられる。
また、上述のクエン酸やリン酸は酸味料としても作用する。さらに、その他の酸味料としては、例えば、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、フィチン酸、グルコン酸、コハク酸、フマール酸等が挙げられる。
本明細書において、可溶性固形分とは、本実施形態の飲料に溶解している水溶性の成分全てであり、その量は20℃における糖用屈折計の示度(Brix値、%)として表すことができる。可溶性固形分量は、例えば、デジタル屈折計Rx-5000(アタゴ社製)を使用して測定することができる。
なお、本発明の構成を適用することで塩味をより抑えることができるため、可溶性固形分量は3%以下が好ましく、より好ましくは2.5%以下である。
また、ナトリウム濃度は、原材料の組成に基づき算出することができるほか、原子吸光度法により測定することもできる。
なお、本明細書において酸度とは、0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液を用いた電位差滴定法により算出される、クエン酸換算での酸の濃度(%)を意味する。
酸度は、フェノールフタレイン指示薬を用いて水酸化ナトリウムで滴定し、クエン酸の相当量として以下のように算出することができる。
まず、試料5~15gを200ml形三角フラスコに正確にはかり取り、水で適宜希釈して1%フェノールフタレイン指示薬数滴を加え、25mlビューレットに入れた0.1M水酸化ナトリウムで振り混ぜながら滴定する。30秒間赤色が持続する点を終点とする。水素イオン濃度計を用いる場合は、マグネティックスターラーでかき混ぜながら同様に滴定し、pHが8.1になったときを終点とする。
酸度は次の式(1)によって算出することができる。
DA=A×f×100/W×0.0064・・・(1)
本実施形態の飲料の酸度は、例えば、クエン酸および/またはその塩、リン酸および/またはその塩、その他必要に応じて加えられる酸味料の添加量を変更することなどによって調整することができる。
例えば、液体原料に、食塩、クエン酸および/またはその塩、リン酸および/またはその塩、およびその他必要に応じて含有される成分を、可溶性固形分量:4%未満、pH4.0未満、ナトリウム濃度:40mg/100ml以上、クエン酸濃度(A)とリン酸濃度(B)の比率(A)/(B):4以下となるように成分の含有量を設定して混合するなどすればよい。液体原料は水のほか、上述の他の成分の溶液や分散液であってもよい。食塩、クエン酸および/またはその塩、リン酸および/またはその塩は液体原料に同時に配合されてもよく、また、それぞれが別々に液体原料に配合されてもよく、さらにその順番も特に限定されない。
さらに、本実施形態に係る製造方法においては、得られた飲料に対して殺菌処理を行なうようにしてもよい。
また、本実施形態の飲料を容器詰飲料とする場合、容器詰めの方法としては、例えば、容器に飲料をホットパック充填し、充填した容器を冷却する方法、又は容器充填に適した温度まで飲料を冷却して、予め洗浄殺菌した容器に無菌充填する方法などを挙げることができ、特に限定されない。
なお、可溶性固形分量は糖用屈折計(RX-5000α、株式会社アタゴ)を用いて測定した。
酸度は上述の方法に基づき、測定結果から式(1)を用いて算出した。
また、各飲料について、420nmおよび650nmの吸光度を測定した。具体的には、分光光度計((株)日立製作所製、U-3990H)を用い、光路長1cm(1cmセル)として、サンプルを希釈することなく測定に供した。また水をブランクとして用いて測定した。
7点⇒かなり強い/良い
6点⇒強い/良い
5点⇒やや強い/良い
4点⇒同程度
3点⇒やや弱い/悪い
2点⇒弱い/悪い
1点⇒かなり弱い/悪い
おいしさ、後味の良さ、及びすっきり感については、対照例1よりも数値が大きいものを効果があったものと判断した。また、塩味の強さについては、対照例1よりも数値が小さいものを効果があったものと判断した。
評価した香味のうち、すっきり感とは、飲用後の後味がスッとなくなるような感触であり、甘味、苦味、酸味、うまみ、塩味も含めて飲用後の後味が無くなっていく感覚をいい、後味のキレともいう。
試飲サンプルは10℃以下でパネリストに提供した。なお、塩味の強さについてはカリウムも関与する可能性があり得るが、試験例1に係る試料においてカリウム濃度はナトリウム濃度と比較して非常に低く、実質的に塩味に寄与していないと考えられる。
水に各成分を表2記載の濃度となるように添加してナトリウム濃度を52mg/100mlとした表2記載の飲料を調合し、得られた飲料を95℃瞬間殺菌で殺菌し、PET容器に充填して容器詰飲料を得た。この容器詰飲料について、試験例1と同様の官能評価を実施した(試験例2では対照例2を4点とし、対照として用いた)。
水に各成分を表3記載の濃度となるように添加して各飲料を調合し、得られた飲料を95℃瞬間殺菌で殺菌し、PET容器に充填して容器詰飲料を得た。この容器詰飲料について、試験例1と同様の官能評価を実施した(対照例1を4点とし、対照として用いた)。
Claims (4)
- 食塩と、クエン酸および/またはその塩とを含有し、可溶性固形分量が4%未満であり、且つpH4.0未満の飲料であって、
該飲料はリン酸をさらに含み、
該飲料中のナトリウム濃度が50~135mg/100mlであり、
該飲料中のクエン酸濃度が10~200mg/100mlであり、
該飲料中のリン酸濃度が10~200mg/100mlであり、
該飲料中のクエン酸濃度(A)とリン酸濃度(B)の比率(A)/(B)が4以下であり、
前記飲料の酸度が0.01~0.50である、飲料。 - 前記(A)/(B)が0.5~1.3である請求項1に記載の飲料。
- 電解質補給用飲料である請求項1または2に記載の飲料。
- 食塩と、クエン酸および/またはその塩とを含有し、可溶性固形分量が4%未満であり、且つpH4.0未満の飲料において、リン酸を含有させるとともに、飲料中のナトリウム濃度を50~135mg/100ml、飲料中のクエン酸濃度を10~200mg/100ml、飲料中のリン酸濃度を10~200mg/100ml、飲料中のクエン酸濃度(A)とリン酸濃度(B)の比率(A)/(B)を4以下、飲料の酸度を0.01~0.50とすることを含む塩味マスキング方法。
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