JP6993752B1 - グラフィックシート、保護フィルム付きグラフィックシート、その製造方法及びその使用方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)工程用基材フィルム表面に透明樹脂表面層をキャスト法により形成する工程と、
(2)前記透明樹脂表面層の表面にインクジェット印刷により部分的印刷層を形成する工程と、
(3)前記透明樹脂表面層及び前記部分的印刷層の表面にメラミン成分を含まない硬化剤を加えて硬化されたアルキド樹脂を含むインク下地層をキャスト法により形成する工程と、
(4)別途準備した離型フィルムの表面に粘着層をキャスト法により形成し、前記インク下地層の表面に前記粘着層を貼り合わせる工程と、
(5)前記工程用基材フィルムを剥がして保護フィルムを前記透明樹脂表面層に積層する工程を含むことを特徴とする。
<インク下地層>
インク下地層にはアルキド樹脂が、メラミン成分を含まない硬化剤で硬化された樹脂を使用する。硬化剤としては、イソシアネート系硬化剤、エポキシ系硬化剤、オキサゾリン系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤及びアジリジン系硬化剤から選ばれる少なくとも1つが好ましい。これにより、高温の焼き付けでグラフィックシートの黄変を防止できる。アルキド樹脂をイソシアネート系硬化剤、エポキシ系硬化剤、オキサゾリン系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤及びアジリジン系硬化剤で硬化した樹脂はそれぞれ、アルキドイソシアネート系樹脂、アルキドエポキシ系樹脂、アルキドオキサゾリン系樹脂、アルキドカルボジイミド系樹脂及びアルキドアジリジン系樹脂という。
アルキド樹脂は多塩基酸又は脂肪酸(又は脂肪油)と多価アルコール類との縮重合によって作られる合成樹脂である。多塩基酸としてはフタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、安息香酸などが挙げられる。脂肪酸としては例えば大豆油、ヤシ油、アマニ油、ヒマシ油、脱水ヒマシ油、サフラワー油、トール油、パーム核油、などが挙げられる。多価アルコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリンなどがある。
前記の原料からなるアルキド樹脂を、アクリル、ウレタン、エポキシ、フェノール、シリコン等の樹脂と変性させることもある。
透明樹脂表面層には、特に制限するものではないが、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、及び塩化ビニル樹脂から選ばれる少なくとも一つが好ましい。
ウレタン樹脂はポリイソシアネートとポリオールとの反応等によって生成される、ウレタン結合を含有する高分子化合物である。ポリイソシアネートとしては、メチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート類、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート類、トルエンジイソシアネート、メチレンビスフェニルジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート類、及び前記ポリイソシアネート類のアダクト体、ビウレット体、イソシアヌレート体、前記ポリイソシアネート類のイソシアネート基をブロック剤で保護したブロックイソシアネート、加えて前記ポリイソシアネート類の変性体などが挙げられる。前記ポリイソシアネート類の変性体としては、前記イソシアネート化合物をアロファネート結合、ウレア結合、ウレトジオン結合、カルボジイミド結合などにより変性したポリイソシアネート変性体が挙げられる。ポリオールは、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール及びポリエステル系ポリオールなどが挙げられ、それぞれから合成されるウレタン樹脂をポリカーボネート系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂及びポリエステル系ウレタン樹脂という。透明樹脂表面層は、耐候性、耐熱性、耐薬品性に優れていることから水系のポリカーボネート系ウレタン樹脂が好ましい。水系であれば、製造時も使用時も安全であり、環境にもやさしく、においの問題もない。市販品の水系のポリカーボネート系ウレタン樹脂、水系のポリエーテル系ウレタン樹脂及び水系のポリエステル系ウレタン樹脂としては、大日精化工業(株)製“レザミン”シリーズ、東ソー(株)製“ニッポラン”シリーズなどがある。
ホルマリン捕捉剤は、透明樹脂表面層100重量部に対して0.01~10重量部加えるのが好ましく、より好ましくは0.1~5重量部であり、さらに好ましくは0.1~2重量部である。
アクリル系樹脂としては、アクリル酸エステル共重合体及びアクリル系プレポリマーの少なくとも1種を主成分として含有する高分子系のアクリル系樹脂又は前記アクリル系樹脂中にさらに粘着付与剤及び凝集力を付与するモノマーを添加した変性アクリル系樹脂が好適である。
離型フィルムは、例えば厚さ25~50μmのポリエステル(PET)フィルムを使用できる。
グラフィックシートは、車両のナンバープレート用シートであるのが好ましい。車両のナンバープレートにグラフィックシートを使うのは、美的効果以外にも国際的スポーツ大会や各種催しものの宣伝効果にも役立つ。
(1)工程用基材フィルム表面にポリカーボネート系ウレタン透明樹脂表面層をキャスト法により形成する工程。
工程用基材フィルムは、例えば厚さ25~100μmのポリエステル(PET)フィルムを使用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ50μm)上に、前記ポリカーボネート系ウレタン透明樹脂溶液を塗布し、70~140℃で3分間加熱乾燥して厚さ約25μmのポリカーボネート系ウレタン透明樹脂表面層を形成する。
(2)前記透明樹脂表面層の表面にインクジェット印刷により部分的印刷層を形成する工程。
(3)前記透明樹脂表面層及び前記部分的印刷層の表面にアルキドイソシアネート系樹脂を含むインク下地層をキャスト法により形成する工程。
例えば、前記部分的印刷層としてグラフィック印刷を行った、ポリカーボネート系ウレタン透明樹脂表面層の上に、前記アルキドイソシアネート系樹脂溶液を塗布し、70~140℃で4分間加熱乾燥して厚さ約20μmのアルキドイソシアネート系樹脂層を形成する。
(4)別途準備した離型フィルムの表面に粘着層をキャスト法により形成する工程。
例えば、別途準備した離型PET上に粘着剤溶液を塗布し、70℃~100℃で2~3分間加熱乾燥して厚さ約33μmの粘着層を形成する。
(5)前記インク下地層の表面に前記粘着層を貼り合わせる工程。
前記アルキドイソシアネート系樹脂層と前記粘着層とを貼り合わせ、グラフィックシート本体を得る。
(6)前記工程用基材フィルムを剥がして保護フィルムを前記透明樹脂表面層に積層する工程。
例えば、グラフィックシート本体のポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ50μm)を剥離し、グラフィックシートの保護及びエンボス加工時のグラフィックシートへの追従を目的として保護フィルムを貼り合わせることで保護フィルム付きグラフィックシートを得る。
透明樹脂表面層とインク下地層と粘着層はキャスト法によって形成するため、層間の密着性が高く、全体の厚みを薄くでき、無傷のままでは剥がし難く、セキュリティ性の高いグラフィックシートとすることができる。
尚、粘着層の形成工程に関して、ここでは離型PET上に粘着層を形成した後、前記インク下地層の表面に前記粘着層を貼り合わせる工程を記載したが、前記インク下地層の表面に粘着層を形成した後、粘着層上に離型PETフィルムを貼り合わせてもよい。
(1)ベースプレートの上に前記保護フィルム付きグラフィックシートを貼り合わせ、
(2)エンボス又はデボス加工により記号を作成し、
(3)保護フィルムを剥離し、
(4)その後、前記記号の上に記号用インク層をのせて焼き付け、グラフィックシートを貼りつけたナンバープレートとする。グラフィックシートを貼りつけたナンバープレートには撥水・撥油・防汚スプレーをかけてもよい。焼き付け温度は、一例として、およそ125℃~160℃ぐらいが可能である。
図3Bは、透明樹脂表面層2の表面にインクジェット印刷により部分的印刷層3を形成する工程である。
図3Cは、透明樹脂表面層2及び部分的印刷層3の表面にアルキドイソシアネート系樹脂を含むインク下地層4をキャスト法により形成する工程である。
図3Dは、別途準備した離型フィルム7の表面に粘着層5をキャスト法により形成する工程である。
図3Eは、前記インク下地層4の表面に前記粘着層5を貼り合わせる工程である。
図3Fは、工程用基材フィルム8を剥がして保護フィルム6を透明樹脂表面層2に積層する工程である。
(1)脂肪族ポリカーボネート系ウレタン樹脂溶液「レザミンD-6300」(商品名)〔大日精化工業(株)製〕(固形分30%)80.0部
(2)高分子系紫外線吸収剤「XL07-0016」(商品名)〔ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製〕(固形分32%)20部
(3)ウレタン系樹脂「SNシックナーA-812」(商品名)〔サンノプコ(株)製〕(固形分100%)0.2部
(4)シリコン系樹脂「オルフィンE-1004」(商品名)〔日信化学工業(株)製〕(固形分100%)0.5部
<塩化ビニル樹脂溶液>の組成
(1)塩化ビニル樹脂溶液(エチレン・塩化ビニルコポリマー、ガラス転移温度81℃、固形分17%)80部
(2)エチレンアクリル酸エステル系三元共重合樹脂溶液(固形分25%)12部
(3)ウレタン系樹脂「バーノック D7-821-50」(商品名)〔DIC株式会社製〕(固形分50%)3.8部
(4)ポリエステル系可塑剤「ポリサイザーW-360-ELS」(商品名)〔DIC株式会社製〕(固形分100%)1.1部
(5)Ba/Zn系塩ビ用安定剤「アデカスタブAC-118」(商品名)〔株式会社ADEKA〕0.5部
(6)Ba系塩ビ用安定剤「アデカスタブCPL-37」(商品名)〔株式会社ADEKA〕0.06部
(7)紫外線吸収剤「Tinuvin326」(商品名)〔BASFジャパン株式会社製〕0.3部
(8)酸化防止剤「スミライザーGA-80」(商品名)〔住友化学株式会社〕0.2部
(9)光安定剤「SUNSORB LS-292」(商品名)〔SIN HUN CHEMICAL CO., LTD.〕0.06部
(10)紫外線吸収剤「Uvinul3039」(商品名)〔BASFジャパン株式会社製〕0.6部
<アルキド透明樹脂溶液>の組成
(1)アルキド樹脂溶液「ベッコライトCF-743-50」(商品名)〔DIC(株)製〕(固形分50%)46部
(2)塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂溶液(固形分25%)27部
(3)レベリング剤(固形分0.05%)0.06部
(4)可塑剤「ポリサイザーW-2310」(商品名)〔DIC(株)製〕(固形分99%)1.3部
(5)脂肪酸グリセライドのエポキシ化物「A-130P」(商品名)〔(株)ADEKA製〕(固形分100%)0.3部
(6)酸化防止剤「EVERNOX-10」(商品名)〔EVERSPRING CHEMICAL CO.,LTD.製〕(固形分100%)0.15部
(7)紫外線吸収剤「ジスライザーE」(商品名)〔三協化成(株)製〕(固形分100%)1.1部
<アルキドメラミン系白色樹脂溶液>の組成
(1)アルキド樹脂溶液「ベッコライトCF-743-50」(商品名)〔DIC(株)製〕(固形分50%)46部
(2)塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂溶液(固形分25%)27部
(3)レベリング剤(固形分0.05%)0.06部
(4)酸化チタンペースト(固形分75%)4.0部
(5)可塑剤「ポリサイザーW-2310」(商品名)〔DIC(株)製〕(固形分99%)1.3部
(6)脂肪酸グリセライドのエポキシ化物「アデカサイザーO-130P」(商品名)〔(株)ADEKA製〕(固形分100%)0.3部
(7)酸化防止剤「EVERNOX-10」(商品名)〔EVERSPRING CHEMICAL CO.,LTD.製〕(固形分100%)0.15部
(8)紫外線吸収剤「ジスライザーE」(商品名)〔三協化成(株)製〕(固形分100%)1.1部
(9)メチル化メラミン樹脂(固形分60%)8.4部
(10)ブチル化メラミン樹脂(固形分60%)4.2部
(11)触媒としてアルキル酸性リン酸エステル(固形分60%)0.15部
<白色粘着剤溶液A>の組成
(1)アクリル系樹脂「アクリセットAST-8207」(商品名)〔(株)日本触媒製〕(固形分35%)100部
(2)溶剤として酢酸エチル10部
(3)トルエン20部
(4)白色着色剤として酸化チタン「チタンペーストE」(商品名)〔(株)日本触媒製〕10部
(5)硬化剤として脂環式エポキシ樹脂硬化剤「TETRAD-C」(商品名)〔三菱ガス化学(株)製〕0.01部
<白色粘着剤溶液B>の組成
(1)アクリル系樹脂「アクリセットAST-8207」(商品名)〔(株)日本触媒製〕(固形分35%)100部
(2)溶剤として酢酸エチル10部
(3)トルエン20部
(4)白色着色剤として酸化チタン「チタンペーストE」(商品名)〔(株)日本触媒製〕10部
(5)硬化剤として芳香族変性ポリイソシアネート樹脂「コロネートL-55E」(商品名)〔東ソー(株)製〕1.5部
<透明樹脂表面層>
<ポリカーボネート系ウレタン透明樹脂溶液>を工程用基材フィルムである厚さ50μmのポリエステルフィルム「CM50」(商品名)〔中本パックス(株)製〕上に乾燥後の厚さは25μmとなるように塗布し、常圧下、70℃で50秒、100℃で50秒、120℃で1分40秒、100℃で50秒の順に加熱乾燥し透明樹脂表面層を形成した。
<部分的印刷層>
前記透明樹脂表面層の上にインクジェット印刷により部分的印刷層を形成した。
<インク下地層>
表1に示すように<アルキド樹脂溶液>75.9重量部に対してイソシアネート系硬化剤として「バーノックDN-950」(商品名)〔DIC(株)製〕(固形分75%)を11.3重量部加えて混合し、アルキドイソシアネート系樹脂溶液を調整した。この樹脂溶液を上述した透明樹脂表面層の上に、乾燥後の厚さが19μmとなるよう塗布し、常圧下、70℃で2分10秒、100℃で1分5秒、130℃で2分10秒の順に加熱乾燥しインク下地層を形成した。
<粘着層>
<白色粘着剤溶液A>を、厚さ38μmのポリエステルフィルム(「エステルフィルム E7002 #38」東洋紡(株)製)の離型処理面上に、乾燥後の厚さが33μmとなるように塗布し、常圧下、70℃で1分、100℃で2分の順に加熱乾燥し粘着層を作製した。
<積層貼り合わせ>
この粘着層粘着面とインク下地層とを貼り合わせた。透明樹脂表面層から工程用基材フィルムを剥離した後、透明樹脂表面層に保護フィルムを貼り合わせグラフィックシート本体を得た。
インク下地層の<アルキド樹脂溶液>75.9重量部に対して、イソシアネート系硬化剤を使用せず、カルボジイミド系硬化剤として「カルボジライトV-04PF」(商品名)〔日清紡ケミカル(株)製〕(固形分100%)を5.92重量部加えた以外は、実施例1と同様に実施した。
インク下地層の<アルキド樹脂溶液>75.9重量部に対して、イソシアネート系硬化剤を使用せず、アジリジン系硬化剤として「ケミタイトPZ-33」(商品名)〔(株)日本触媒製〕(固形分100%)を5.92重量部加えた以外は、実施例1と同様に実施した。
<塩化ビニル樹脂溶液>を使用して透明樹脂表面層を形成している以外は、実施例1と同様に実施した。
透明樹脂表面層のポリカーボネート系ウレタン樹脂100重量部に対して、メラミン系硬化剤として「アミディアJ-101」(商品名)〔DIC(株)製〕(固形分70%)を1.07重量部加えた以外は、実施例1と同様に実施した。
透明樹脂表面層のポリカーボネート系ウレタン樹脂100重量部に対して、メラミン系硬化剤として「スミマールM-100C」(商品名)〔住友化学(株)製〕(固形分100%)を5.35重量部加えた以外は、実施例1と同様に実施した。
透明樹脂表面層のポリカーボネート系ウレタン樹脂100重量部に対して、オキサゾリン系硬化剤として「エポクロスWS-700」(商品名)〔(株)日本触媒製〕を3.21重量部加えた以外は、実施例1と同様に実施した。
透明樹脂表面層のポリカーボネート系ウレタン樹脂100重量部に対して、カルボジイミド系硬化剤として「レザミンD-52」(商品名)〔大日精化工業(株)製〕(固形分40%)を3.21重量部加えた以外は、実施例1と同様に実施した。
透明樹脂表面層のポリカーボネート系ウレタン樹脂100重量部に対して、ホルマリン捕捉剤として尿素を0.40重量部加えた以外は、実施例5と同様に実施した。
透明樹脂表面層のポリカーボネート系ウレタン樹脂100重量部に対して、ホルマリン捕捉剤としてメラミンを0.30重量部加えた以外は、実施例5と同様に実施した。
透明樹脂表面層のポリカーボネート系ウレタン樹脂100重量部に対して、ホルマリン捕捉剤として窒素系ホルムアルデヒド捕捉剤である「ファインテックスFC-KP」(商品名)〔DIC(株)製〕(固形分30%)を1.07重量部加えた以外は、実施例5と同様に実施した。
インク下地層のアルキドイソシアネート系樹脂溶液100重量部に対して、青色顔料0.0027重量部、紫色顔料0.0090重量部加えた以外は、実施例9と同様に実施した。
インク下地層として<アルキドメラミン系白色樹脂溶液>を使用し、粘着層として<白色粘着剤溶液B>を使用した以外は、実施例1と同様に実施した。
インク下地層として<アルキドメラミン系白色樹脂溶液>を使用した以外は、実施例1と同様に実施した。
以上の条件と結果を表1-3にまとめて示す。
(1)エンボス加工時のヒビ・割れ・浮きの有無
本発明のグラフィックシートは主にナンバープレート用途であり、エンボス加工は必須であるため、エンボス加工時におけるグラフィックシートの加工耐久性は重要である。そのため、本試験を実施した。
試験片を、23℃及び3℃の温度でエンボスプレス機にてエンボスを施したのち、保護フィルムを剥離し、記号用インク層の乾燥条件である125℃で10分間加熱処理を行った。ピーク・スケール・ルーペ(倍率:18倍、東海産業製)を用いて、エンボス部のヒビ・割れ及び立ち上がり部分の浮きの有無を確認した。
評価基準
A:エンボス部のヒビ・割れ及び立ち上がり部分の浮き等が認められない。
B:エンボス部のヒビ・割れ及び立ち上がり部分の浮き等が認められる。
(2)層間密着性
本発明のグラフィックシートは主にナンバープレート用途であり、文字部へインク塗装がなされるため、インク層を含むグラフィックシート内の層間密着性は重要である。そのため、本試験を実施した。
試験片から保護フィルムを剥離し、記号用インク層の乾燥条件である125℃で10分間加熱処理を行った。JIS K 5600-5-6:1999 塗料一般試験方法-第5部:塗膜の機械的性質-第6節:付着性(クロスカット法)により、試験片のグラフィックシート部分を貫通してベースプレートに達する切り傷をそれぞれ付け、JIS Z 1522に規定する幅24mmのテープ(ニチバン(株)CT24)を指で強く押しながら貼り付け、テープを付着して5分以内にテープを引きはがし、できるだけ60°に近い角度でテープの端をつかみ、0.5秒から1.0秒で確実に引き離すようにした。テープを引きはがした後に、表面の状態を目視により確認・評価した。評価基準はJIS K 5600-5-6:1999 塗料一般試験方法-第5部:塗膜の機械的性質-第6節:付着性(クロスカット法)表1を用いた。
分類0:カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にもはがれがない。
分類1:カットの交差点における塗膜の小さなはがれ。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に5%を上回ることはない。
分類2:塗膜がカットの縁に沿って、及び/又は交差点においてはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは明確に5%を超えるが15%を上回ることはない。
分類3:塗膜がカットの縁に沿って,部分的又は全面的に大はがれを生じており,及び/又は目のいろいろな部分が,部分的又は全面的にはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは,明確に15%を超えるが35 %を上回ることはない。
分類4:塗膜がカットの縁に沿って,部分的又は全面的に大はがれを生じており,及び/又は数か所の目が部分的又は全面的にはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは,明確に35%を上回ることはない。
分類5:分類4でも分類できないはがれ程度のいずれか。
評価基準
A:分類0である。
B:分類1~2である。
C:分類3~5である。
(3)接着力
本発明のグラフィックシートは主にナンバープレート用途であり、容易にグラフィックシートが剥がされてはいけないため、グラフィックシートとベースプレートとの接着力は重要である。そのため、本試験を実施した。
試験片から保護フィルムを剥離し、記号用インク層の乾燥条件である125℃で10分間加熱処理を行った。試験片を用いて、グラフィックシート部分のみを幅25mm、長さ150mmにカットし、23℃の環境下で24時間養生し、引張圧縮試験機((株)今田製作所製)を使用して、300mm/minの速度で90度剥離した際の接着力を測定した。
評価基準
A:15.0N/25mm以上である。
B:10.0~15.0N/25mmである。
C:10.0N/25mm未満である。
(4)グラフィックシートのセキュリティ性の有無
本発明のグラフィックシートは主にナンバープレート用途であり、グラフィックシートが剥がされ再利用されてはいけないため、剥がされた際にグラフィックシートが伸びやすい又は破損しやすいことは重要である。そのため、本試験を実施した。
試験片から保護フィルムを剥離し、記号用インク層の乾燥条件である125℃で10分間加熱処理を行った。試験片を用いて、グラフィックシート部分のみに幅25mm、長さ150mmのカットを入れ、長さ5cmのマーキングを行った。その後、23℃の環境下で24時間養生し、手で90度剥離した際のマーキングの長さを測定し、伸び率を算出した。
評価基準
A:伸び率が150%以上である。
B:伸び率が125~150%未満である。
C:伸び率が110~125%未満である。
D:伸び率が110%未満である。
(5)促進耐候性試験によるグラフィックシートの耐候性の確認
本発明のグラフィックシートは主にナンバープレート用途であり、屋外での使用が主となるため、屋外使用時におけるグラフィックシートの耐候性は重要である。そのため、本試験を実施した。
試験片から保護フィルムを剥離し、記号用インク層の乾燥条件である125℃で10分間加熱処理を行った。JIS H 4001:2006 アルミニウム及びアルミニウム合金の焼付け塗装板及び条7.9促進耐候性により、試験片をサンシャインカーボン促進耐候性試験機で500時間照射後取り出し、表面がぬれているときは水分を振り切り、直後に目視で外観を点検し、JIS K 5600-8-6:2014 塗料一般試験方法-第8部:塗膜劣化の評価-欠陥の量,大きさ及び外観の変化に関する表示-第6節:白亜化の等級(テープ法)により、白亜化の程度を確認・評価した。評価基準はJIS K 5600-8-1:2014 塗料一般試験方法-第8部:塗膜劣化の評価-欠陥の量,大きさ及び外観の変化に関する表示-第1節:一般原則及び等級 表1を用いた。
等級0:無変化(すなわち、認められるような変化がない。)
等級1:極めて僅か(すなわち、かろうじて認められる程度の変化。)
等級2:僅か(すなわち、明らかに認められる変化。)
等級3:中程度(すなわち、非常にはっきりと認められる変化。)
等級4:重大(すなわち、相当な変化。)
等級5:非常に著しい変化。
評価基準
A:著しい変色及び光沢低下がなく、白亜化の等級が0~3である。
B:著しい変色及び光沢低下があり、白亜化の等級が4である。
C:著しい変色及び光沢低下があり、白亜化の等級が5である。
(6)耐溶剤性
本発明のグラフィックシートは主にナンバープレート用途であり、主に溶剤が使用される塗装に対する耐久性が必要であり、また実際の使用にはアルコール類程度での清掃がなされることも考えられるため、溶剤に対する耐久性は重要である。そのため、本試験を実施した。
試験片から保護フィルムを剥離し、記号用インク層の乾燥条件である125℃で10分間加熱処理を行った。試験片をイソプロピルアルコールに顔料系インク朱(シャチハタ)で着色した0.5wt%着色液に10分浸漬後、取り出して、イソプロピルアルコールを染み込ませたウエス等で着色液を拭き取った後、直ちに外観を確認し、500gf程度の荷重の親指で表面を擦り、軟化の有無を確認した。また、グラフィックシート部に対する着色がないこと、着色があった場合には、着色部を拡大し亀裂の有無を確認した。
評価基準
A:亀裂及び著しい軟化が見られない。
B:亀裂あるいは著しい軟化が見られる。
(7)印刷適性
本発明のグラフィックシートは主にナンバープレート用途であり、透明樹脂表面層の裏面側に形成される部分的印刷層が、インクの滲み及び濃度ムラがなく鮮やかであることは重要である。そのため、本試験を実施した。
工程基材フィルム上に形成された透明樹脂表面層の上に、印刷機として(株)ミマキエンジニアリング製インクジェットプリンター「JV300」を使用し、溶剤系インクとして(株)ミマキエンジニアリング製ソルベントインク「SS21」を使用して、シアン、マゼンタ、イエローの各単色及び、これらのインクの混色であるレッド、グリーン、ブルーの計6色をベタ印刷して部分的印刷層を形成した。部分的印刷層に対するインクの滲み及び濃度ムラの有無を確認した。
評価基準
A:著しいインクの滲み及び濃度ムラが見られない。
B:著しいインクの滲み及び濃度ムラが見られる。
(8)耐熱黄変性 b値(Hunter)
本発明のグラフィックシートは主にナンバープレート用途であり、ナンバープレートへの加工工程において、記号用インク層の焼き付け処理によって高温に晒されてもグラフィックシートが黄変しないことは重要である。そのため、本試験を実施した。
試験片から保護フィルムを剥離し、記号用インク層の乾燥条件で、高温である160℃で10分間加熱処理を行った。プレートが十分に冷めた後、分光測色計(コニカミノルタ(株)製、型式「CM-5」)を用いて、D65光源、測定径8mm、SCE(正反射光除去)方式でHunter Lab値のb値を測定した。
評価基準
A:b値が5未満である。
B:b値が5以上10未満である。
C:b値が10以上である。
(1)実施例1-9は、インク下地層がアルキド樹脂にメラミン成分を含まない硬化剤を加えて硬化された樹脂であったので、耐熱黄変性に優れ、23℃及び3℃のエンボス部のヒビ・割れ・浮きがなく、層間密着性、接着力、セキュリティ性、サンシャイン促進耐候性試験、耐溶剤性はいずれも高かった。また、印刷適性も良かった。
(2)これに対して比較例1-2は、インク下地層がアルキド樹脂をメラミン系硬化剤で硬化された樹脂であったため、耐熱黄変性は劣っていた。
(3)以上から、本発明のグラフィックシートである各実施例は、耐熱黄変性に優れることが確認でき、耐候性が高く、低温エンボス性も良好で、伸び率が高く、剥離後の再利用がされにくいため、無傷のままでは剥がし難く、よりセキュリティ性に優れたグラフィックシートであることが確認できた。
2 透明樹脂表面層
3 部分的印刷層
4 インク下地層
5 粘着層
6 保護フィルム
7 離型フィルム
8 工程用基材フィルム
9 ナンバープレート
10 保護フィルム付きグラフィックシート
11 ベースプレート
12 記号用インク層
EY 人の見る方向
Claims (24)
- 部分的印刷層を含むグラフィックシートであって、
透明樹脂表面層と、前記透明樹脂表面層の裏面側の部分的印刷層と、インク下地層と、粘着層とをこの順に含み、
前記インク下地層は、アルキド樹脂に、メラミン成分を含まない硬化剤を加えて硬化されている樹脂であることを特徴とするグラフィックシート。 - 前記メラミン成分を含まない硬化剤が、イソシアネート系硬化剤、エポキシ系硬化剤、オキサゾリン系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤及びアジリジン系硬化剤から選ばれる少なくとも1つである請求項1に記載のグラフィックシート。
- 前記透明樹脂表面層は、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、及び塩化ビニル樹脂から選ばれる少なくとも一つである請求項1又は2に記載のグラフィックシート。
- 前記ウレタン樹脂は、水系のウレタン樹脂である請求項3に記載のグラフィックシート。
- 前記水系のウレタン樹脂は、水系のポリカーボネート系ウレタン樹脂、水系のポリエーテル系ウレタン樹脂及び水系のポリエステル系ウレタン樹脂から選ばれる1つである請求項4に記載のグラフィックシート。
- 前記透明樹脂表面層には硬化剤が含まれている請求項1~5のいずれか1項に記載のグラフィックシート。
- 前記透明樹脂表面層に含まれている硬化剤が、メラミン系硬化剤、オキサゾリン系硬化剤及びカルボジイミド系硬化剤から選ばれる少なくとも1つである請求項6に記載のグラフィックシート。
- 前記透明樹脂表面層に、ホルマリン捕捉剤が含まれている請求項1~7のいずれか1項に記載のグラフィックシート。
- 前記透明樹脂表面層に含まれているホルマリン捕捉剤が、アミノ基及びアミド基の少なくとも1つを有する化合物である請求項8に記載のグラフィックシート。
- 前記透明樹脂表面層に含まれているホルマリン捕捉剤であるアミノ基及びアミド基のすくなくとも1つを有する化合物が、尿素、エチレン尿素、チオ尿素及びメラミンから選ばれる少なくとも1つである請求項9に記載のグラフィックシート。
- 前記透明樹脂表面層に青色系顔料及び紫色系顔料から選ばれる少なくとも1つが含まれている請求項1~10のいずれか1項に記載のグラフィックシート。
- 前記インク下地層に青色系顔料及び紫色系顔料から選ばれる少なくとも1つが含まれている請求項1~11のいずれか1項に記載のグラフィックシート。
- 前記インク下地層の厚さは10~50μmである請求項1~12のいずれか1項に記載のグラフィックシート。
- 前記グラフィックシートの厚さは100μm以下である請求項1~13のいずれか1項に記載のグラフィックシート。
- 前記部分的印刷層は、インクジェット印刷により形成されている請求項1~14のいずれか1項に記載のグラフィックシート。
- 前記粘着層は、アクリル系樹脂をベースポリマーとし、芳香族の成分を含まない硬化剤で硬化されている請求項1~15のいずれか1項に記載のグラフィックシート。
- 前記粘着層に含まれている芳香族の成分を含まない硬化剤は、芳香族の成分を含まないイソシアネート系硬化剤及びエポキシ系硬化剤から選ばれる少なくとも1つである請求項16に記載のグラフィックシート。
- 前記インク下地層及び前記粘着層から選ばれる少なくとも1つは、着色されている請求項1~17のいずれか1項に記載のグラフィックシート。
- 前記インク下地層及び前記粘着層から選ばれる少なくとも1つは、白色に着色されている請求項1~18のいずれか1項に記載のグラフィックシート。
- 前記グラフィックシートは、基材に貼り付けた後に剥がすと、伸びる又は破損することにより、再利用し難い性質を有する請求項1~19のいずれか1項に記載のグラフィックシート。
- 前記グラフィックシートは、車両のナンバープレート用シートである請求項1~20のいずれか1項に記載のグラフィックシート。
- 請求項1~21のいずれかに記載のグラフィックシートにおいて、前記透明樹脂表面層の外面には保護フィルムが貼り付けられており、前記粘着層の外面には離型フィルムが貼り付けられている保護フィルム付きグラフィックシート。
- 請求項22に記載の保護フィルム付きグラフィックシートの製造方法であって、
工程用基材フィルム表面に透明樹脂表面層をキャスト法により形成する工程と、
前記透明樹脂表面層の表面にインクジェット印刷により部分的印刷層を形成する工程と、
前記透明樹脂表面層及び前記部分的印刷層の表面にメラミン成分を含まない硬化剤で硬化されたアルキド樹脂を含むインク下地層をキャスト法により形成する工程と、
別途準備した離型フィルムの表面に粘着層をキャスト法により形成する工程と、
前記インク下地層の表面に前記粘着層を貼り合わせる工程と、
前記工程用基材フィルムを剥がして保護フィルムを前記透明樹脂表面層に積層する工程を含むことを特徴とする保護フィルム付きグラフィックシートの製造方法。 - 請求項22に記載の保護フィルム付きグラフィックシートの使用方法であって、
ベースプレートの上に前記保護フィルム付きグラフィックシートを貼り合わせ、
エンボス又はデボス加工により記号を作成し、
保護フィルムを剥離し、
その後、前記記号の上に記号用インク層をのせてグラフィックシートを貼りつけたナンバープレートとすることを特徴とするグラフィックシートの使用方法。
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