JP6992363B2 - アルミニウム容器の製造法 - Google Patents

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Description

本発明は、高純度のアルミニウムよりなる容器の製造法に関する。
アルミニウムは、軟質の金属であり、塑性加工し易いことから種々の用途に使用されており、例えば、絞りしごき成形(DI成形)やインパクト成形(衝撃押出成形)等の塑性加工によって容器として広く使用されている。特にA3004合金やA3104合金等のアルミニウム合金はしごき加工性に優れており薄肉に加工することが容易で、ビール缶などに多用されている。これらの合金がしごき加工性に優れる理由の1つは、Al-Mn-Fe系晶出物、或いはAl-Mn-Fe-Si系晶出物が合金全体に均一に析出し、それらの内の表面に露出した晶出物がしごき成形性(耐かじり性)を向上させるためである。しかしアルミニウム以外の合金成分を相当量含むことで高純度アルミニウム材と比較して耐食性が幾分劣る傾向があり、これらの合金材で製造した容器に腐食性が強い内容物を詰めると内面から腐食が生じる場合がある。
ところで、高純度のアルミニウムは延性に富み、通常アルミニウム合金よりも耐食性に優れている。従って、高純度アルミニウムにより容器を作製して上記の腐食性が強い内容物を詰めても腐食に耐えられる場合があるが、反面、塑性加工時に用いる金型の表面に凝着してしまうという欠点があり、連続的な生産性の点で問題があった。特に絞りしごき成形のような過酷な塑性加工ほど金型表面へのアルミニウムの凝着が顕著となり、効率のよい生産が困難となっているのが現状である。
一方、特許文献1には、Mg0.8~1.3重量%、Mn1.0~1.5重量%を含有し、さらにはSi、Fe等の他の金属を含むアルミニウム合金からなる外層と、アルミニウム99重量%以上のアルミニウムからなる内層とを有するアルミニウム容器が開示されている。
この特許文献1には、Al-Mn-Fe系晶出物、或いはAl-Mn-Fe-Si系晶出物がしごき成形性を向上させることが開示されている。即ち、特許文献1の容器は、Mn、Mg、Fe、及びSi等の他の金属を含むアルミニウム合金により外層が形成されているためしごき加工性に優れており、しごき成形に際しての型表面へのアルミニウムの凝着が有効に抑制され、連続生産に適しており、内面側の耐食性にも優れているものである。
しかしながら、特許文献1のアルミニウム容器を製造するには、高純度のアルミニウムの熱間圧延板と、マンガン等の他の金属を含むアルミニウム合金の熱間圧延板とを重ね合わせて、再度熱間圧延を行ない、更に冷間圧延を行なって得られたアルミニウム・クラッド板を基材としてしごき成形等の塑性加工を行わなければならない。即ち、多数の圧延工程により、塑性加工すべきアルミニウム基材を製造することが必要となるため、極めてコストの高いものとなってしまう。これは、工業的に見て致命的な欠点である。
特公平2-30930号公報
従って、本発明の目的は、塑性加工性、特にしごき成形性に優れ、塑性加工時の金型表面へのアルミニウムの凝着が有効に抑制され、連続的な塑性加工によって製造することができ、しかも、繰り返しの圧延によって得られるような特殊なアルミニウム基材を用いて塑性加工を行う必要がなく、ローコストでアルミニウム容器を製造できる方法を提供することにある。
本発明者らは、高純度アルミニウム基材と金型との間に高硬度のAl合金の微粒子を介在させた状態で塑性加工を行うことにより、金型表面へのアルミニウムの凝着を有効に防止せしめ、高い耐食性をもち、且つ、塑性加工性に優れたアルミニウム容器を安価に製造することに成功した。
本発明によれば、Al含量が99質量%以上のアルミニウムよりなるアルミニウム基材を塑性加工して容器の形態に成形するアルミニウム容器の製造法において、
前記塑性加工に際して、前記アルミニウム基材の表面と塑性加工に用いる金型の作用面との間に、前記アルミニウム基材よりも高硬度のAl合金の微粒子を介在させることを特徴とするアルミニウム容器の製造法が提供される。
本発明の製造法においては、以下の手段を好適に採用することができる。
(1)前記アルミニウム基材の塑性加工前のビッカース硬さをHa、前記金型の作用面のビッカース硬さをHbとしたとき、前記微粒子を形成しているAl合金のビッカース硬さHcは、下記式(1);
1.5Ha<Hc<0.8Hb (1)
で表される条件を満足していること。
(2)前記Al合金の微粒子として、該Al合金よりなる素材を塑性加工する際に生じた摩耗粉を使用すること。
(3)前記Al合金が、Mgを0.8~5.0質量%含有していること。
(4)前記塑性加工に先立って、前記アルミニウム基材の表面に、前記微粒子を付着させておくこと。
(5)前記微粒子が、0.1μm以下の粒径を有していること。
(6)前記塑性加工はインパクト成形、絞り成形、再絞り成形、しごき成形のうち1つ以上含むこと。
(7)前記塑性加工が、すくなくともしごき成形を含むこと。
本発明は、アルミニウム含量が99質量%以上の高純度アルミニウムからなる基材を塑性加工してアルミニウム容器を製造するものであるが、特に、塑性加工に用いる金型の作用面とアルミニウム基材との間に、アルミニウム基材よりも高硬度のAl合金の微粒子を介在させた状態で塑性加工を行う点に、重要な特徴を有している。
本発明では、このような微粒子を介在させた状態で塑性加工を行うことにより、金型の作用面へのアルミニウムの凝着が有効に防止され、連続的に塑性加工を実施することが可能となる。即ち、金型の作用面にアルミニウムが凝着したとしても、高硬度の微粒子により、金型の作用面に凝着したアルミニウムが掻き取られ、この結果、アルミニウムの凝着を有効に防止できるのである。
また、本発明においては、金型の作用面でのアルミニウムの凝着が有効に防止されているため、後述する実施例に示されているように、得られるアルミニウム缶の外面は、平滑性が高く、最もアルミニウムの凝着が生じ易い過酷な条件下での塑性加工(絞りしごき加工)を行った場合においても、その容器外面側の表面粗さ(算術平均粗さ)Ra(JIS B-0601-2013)は0.040μmである。微粒子を用いずに塑性加工を行った場合には金型への純アルミ材のビルドアップが激しく生じた結果、容器外面側の表面粗さRaは、0.305μmであり、このことからも、金型の作用面でのアルミニウムの凝着が有効に防止されていることが判る。
このように、本発明では、熱間圧延や冷間圧延を繰り返し行うことにより得られる特殊な圧延基材を使用せずに、高純度のアルミニウムの基材を用いてしごき成形等の著しい過酷な塑性加工を繰り返し行ったとしても、金型表面へのアルミニウムの凝着は有効に抑制され、連続して過酷な塑性加工を行うことができ、著しく優れた生産性が確保される。
本発明のアルミニウム容器の製造法の一例を示す図。
<アルミニウム容器の製造>
本発明では、所定の高純度のアルミニウム基材を用いての塑性加工により製造される。
高純度のアルミニウム基材は、アルミニウム含量が99質量%以上の純アルミニウム(例えば、A1070等)からなるものであるが、アルミニウムの純度が99質量%以上である限り他の元素、例えばSi、Fe、Cu、Mn等を含有した他の工業用純アルミニウム(A1100等)からなるものであってもよい。
このような高純度のアルミニウムからなる基材は、例えば熱間鍛造や冷間鍛造、熱間圧延、冷間圧延、押出し成形、引き抜き成形、鋳造法等によって得られるものであり、最終的に得られる容器の形態や用いる塑性加工手段に応じて、板状、スラグ状、棒状等の形態を有している。
また、上記アルミニウム基材を容器の形態に賦形するための塑性加工は、特に制限されず、インパクト成形、絞り成形、再絞り成形、しごき成形等により行われ、これらの成形手段を適宜組み合わせて実施することもできる。
本発明においては、特に過酷な成形手段であるしごき成形による塑性加工が本発明の利点を最大限に活かす上で最も好適である。
このようなしごき成形を採用してのアルミニウム容器(アルミニウム缶)の製造プロセスを図1に示した。
図1において、前述した高純度のアルミニウム製の基材1は、先ず、打ち抜き加工に付せられ、これにより、缶用の円板3が得られる(図1(a)参照)。
かかる打ち抜き加工では、円板3の直径に相当する外径を有する打ち抜き用パンチ5と、基材1を保持し且つ円板3の直径に相当する開口を有するダイ7が使用される。即ち、パンチ5によりダイ7上に保持された基材1を打ち抜くことにより、所定の大きさの円板3が得られる。
尚、かかる製造プロセスで製造する成形物の形態によっては、基材1は、他の形状(例えば矩形状)に打ち抜かれることもある。
上記のようにして得られた円板3は、絞り成形に付せられ、これにより、ハイトの低い絞り缶(有底筒状体)9が得られる(図1(b)参照)。
かかる絞り成形においては、ダイ11上に打ち抜かれた円板3が保持され、この円板3の周囲はしわ押え用の治具13によって保持されている。ダイ11には、開口が形成されており、絞り用のパンチ15を用いてダイ11の開口内に円板3を押し込むことにより、絞り缶9が得られることとなる。
尚、このダイ11の開口の上端のコーナー部(円板3を保持している側)にアール(曲率部)が形成されており、円板3が速やかに且つ折れることなく、ダイ11の開口内に押し込まれるようになっており、パンチ15の外径は、円板3のほぼ厚みに相当する分だけ、ダイ11の開口の径よりも小さく設定されている。即ち、この絞り成形では、薄肉化はほとんど行われない。尚、絞り成形は成形品の形状に応じて複数回行う場合もある。
また、上記の絞り成形においては、クーラント(潤滑冷却液)を流しながら行われ、これにより、成形時の過熱を回避し、絞り成形時の表面荒れを有効に防止することができる。
次いで、上記で得られた筒状形状の絞り缶9は、しごき成形に付せられ、これにより、ハイトが高く且つ薄肉化されたアルミニウム缶基体(絞りしごき缶)17が成形される(図1(c)参照)。
このしごき成形では、上記の絞り成形により得られた絞り缶9の内部にしごき用のパンチ19を挿入し、リング形状のしごきダイス21の内面に該絞り缶9の外面を圧接しながら、パンチ19を降下させることにより、しごきダイス21により、筒状体9の側壁が薄肉化されていくこととなる。これにより、薄肉化され、且つ薄肉化の程度に応じてハイトが高くなったアルミニウム缶基体17が得られることとなる。更に高いハイトが必要であれば、ダイス21の内径よりも小さい内径のしごきダイス22を用いてしごき用のパンチ19との間でアルミニウム缶基体17の円筒壁をしごき加工してアルミニウム缶基体25を得ることができる。
図1から理解されるように、この打ち抜き加工、絞り成形及びしごき成形の一連の工程において、打ち抜き加工では、摺動性は不要であるが、絞り成形からしごき成形になるほど、用いる金型と被加工物との間の摺動性を要する。特にしごき成形では、被加工物の降伏応力を超える面圧が加わるため、最も高い摺動性を要する。
このようなしごき成形は、目的とする容器の形態や厚みに応じて多段で行うこともでき、これにより、更なる薄肉化や高ハイト化を実現できる。
更に、係るしごき成形も絞り成形と同様、クーラントを流しながら行われる。
本発明においては、上記のような絞り成形やしごき成形等の塑性加工を行うに際して、被加工物である円板3、絞り缶9或いは缶基体17と成形型(ダイ11或いはしごきダイス21)との間に、高純度のアルミニウム製の基材1よりも硬質の金属ないし金属合金からなる微粒子を介在させることが重要である。先にも述べたように、このような硬質の微粒子を介在させて絞り成形、しごき成形等の塑性加工を行うことにより、基材3や絞り缶9を形成しているアルミニウムの成形型(ダイ11或いはしごきダイス21、22)の作用面(被加工物であるアルミニウムと接触する面)への凝着を防止することができる。
上記のような微粒子を介在させての塑性加工は、例えばクーラント中に該微粒子を添加し、このクーラントを循環供給しながら行うことができ、また、該微粒子の粒子を分散させた液を絞り成形やしごき成形等の塑性加工に先立って円板3や絞り缶9の缶外面となる部分に噴霧して付着させた状態で塑性加工を行うこともできる。
本発明において、上記微粒子の硬度は、例えば、前記アルミニウム基材の塑性加工前のビッカース硬さをHa、前記金型の作用面のビッカース硬さをHbとしたとき、前記微粒子を形成している金属ないし金属合金のビッカース硬さHcは、下記式(1);
1.5Ha<Hc<0.8Hb (1)
で表される条件を満足していることが好適である。このような硬さを有している金属ないし金属合金の微粒子を用いることにより、より確実に金型(例えばしごきダイス21或いは22)の作用面でのアルミニウムの凝着を有効に防止することができる。即ち、微粒子の硬度Hcが1.5Ha以下であると、凝着したアルミニウムの掻き取り効果が低く、凝着防止効果が低下する傾向があり、また、微粒子の硬度が0.8Hb以上であると、アルミニウムの凝着を効果的に防止することはできるが、金型の作用面を損傷するおそれがある。
また、上記微粒子を形成する金属ないし金属合金としては、アルミニウム基板1よりも硬質であり、さらには、前記式(1)の条件を満足するようなものであれば特に制限されず、例えばアルミニウム合金、スチール、銅、マンガン、或いはその他の金属の合金であってもよい。
さらに、かかる微粒子は、その粒径が0.1μm以下の微細なものであることが好ましい。この粒径が大きいと、粗大な粒子を介在させて塑性加工が行われることとなり、得られる容器の表面が粗面になってしまうおそれがある。
本発明において、上記のような微細な金属ないし金属合金の微粒子は、このような金属ないし金属合金を塑性加工する際に発生する摩耗粉として得られる。即ち、このような金属ないし金属合金を塑性加工するときにも、図1に示されているプロセスと同様、クーラントが使用されるため、塑性加工により生じる摩耗粉は、クーラント中に混入するため、クーラントの循環路中に設けられるフィルタから容易に取得することができ、しかも、このような摩耗粉は、上記のように著しく微細なものであり、本発明において好適に使用することができる。
特に本発明では、アルミニウム合金、特にMgを0.8~5.0質量%の割合で含むアルミニウム合金からなる微粒子が、入手が容易であり且つ前述した式(1)の条件を確実に満足しているという点で最も好適である。即ち、このようなアルミニウム合金の微粒子は、A3004合金やA3104合金の塑性加工(例えば、DI缶製造工程、圧延工程等)に際して発生する摩耗粉として容易に得られるばかりか、高純度のアルミニウムに比してかなり高硬度である。即ち、前述した高純度のアルミニウム基板1の硬度は、塑性加工、特にしごき加工による薄肉化により硬度が上昇することが知られているが、このような硬度の上昇を考慮しても、前述した式(1)の条件を満足する硬度を有しているため、本発明においては、最も好適に使用することができる。
ところで、本発明におけるアルミニウム基材よりも高硬度の金属ないし金属合金の微粒子の硬さについては、微小ビッカース硬さ試験機を用いて直接的に測定することが困難もしくは不可能であるが、間接的に、例えば、ビッカース硬さが既知の鏡面研磨された試験片表面にその微粒子をこすりつけて試験片側の疵付きの有無により、微粒子の硬さを決定することができる。また、微粒子が磨耗粉の場合であれば、磨耗する以前の材料硬さと同一ないし加工硬化して若干硬いと推定できる。
上述した本発明において、クーラントへの添加或いは噴霧等によって被加工物である円板3や絞り缶9、缶基体17等の外面に介在させる微粒子の量は、これら被加工物の表面全体にわたって分布するような量であればよいが、通常は、最終的に得られるアルミニウム容器の表面に一定の量(この量については後述する)が残存するような量とすればよく、予めのラボ実験等により、塑性加工を阻害しない程度の量(クーラントへの混入量或いは塗布量)を設定しておくことができる。
また、アルミニウムの金型(ダイ11やしごきダイス21、22)への凝着は、これら金型の作用面にダイヤモンドライクカーボン等の炭素膜を形成しておくことによっても、回避することができるが、このような炭素膜が形成された金型の使用はコストダウンを目的とする本発明には適当ではない。従って、このような金型としては、通常の剛性を有する材料、例えばタングステンカーバイド(WC)とコバルト及びニッケルなどの金属バインダーとの混合物を焼結して得られる所謂超硬合金や、炭化チタン(TiC)などの金属炭化物や炭窒化チタン(TiCN)などのチタン化合物とニッケルやコバルトなどの金属バインダーとの混合物を焼結して得られるサーメット、あるいは炭化ケイ素(SiC)や窒化ケイ素(Si)、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)といった硬質セラミックス等により表面が形成されているものが好適に使用される。ここに例示した金型材料表面のビッカース硬さはそれぞれグレードにより異なるがおよそHV700からHV2700の間である。
上記のようにしてしごき成形が行われた後は、底部の加工、ネックイン加工、フランジ加工、ビード加工等の公知の加工が行われて口部(首部)が形成され、目的とするアルミニウム容器が得られる。
上述した本発明の製造法においては、絞り成形やしごき成形を塑性加工手段として採用されているが、もちろんインパクト成形により一段でアルミニウム容器を製造することもできる。係るインパクト成形においても、加工用潤滑剤中に前述した微粒子を添加しておいたり、或いは容器表面となるスラグの面に微粒子を噴霧等によりコートして成形が行われる。
本発明の製造方法においては、アルミニウムの金型作用面への凝着が有効に抑制されているため、金型の交換、洗浄等によりプロセスを停止することなく、同じ金型を使用して連続して塑性加工を行うことができる。このため、生産効率が高く、ローコストで高純度アルミニウムの容器を製造することができる。
また、本発明による製造法によれば、塑性加工に際して用いる微粒子は成形された後の容器よりも高硬度なので、金型と接した容器表面に食い込むか突き刺さるかなどして残留するため、容器表面の分析から本発明の方法を実施したものか判別可能である。一方、発明者の分析によれば微粒子の残留量は検出可能としてもさほど多くはなく、特に容器内面側においては検出困難なほど極微量であり、純アルミニウム製容器としての耐食性が低下することなく維持されることがわかっている。更に、容器表面の平滑化が阻害されることはなく、むしろ、金型作用面へのアルミニウムもの凝着が抑制されているため、微粒子を用いない場合に比して容器の表面は平滑な面となる。
したがって、本発明の製造法により得られる容器は、高純度アルミニウムを基材としての塑性加工により得られるものであるため、耐食性、ならびに外観に優れ、飲料缶用、食品缶用、エアゾール缶用等の容器として好適に使用される。
本発明を次の実験例で説明する。
<実施例1>
ビッカース硬さがHV85のA3004合金板を素材とする絞り・しごき缶(DI缶)を製造する製造設備に設置されているクーラント濾過装置(シュナイダー型濾過機)において使用済みとなった不織布製濾材を約1mを切り出し、新たに作製した水性エマルションクーラント20Lに浸し、十分に撹拌して液中に濾材に捕捉された摩耗粉約2g/L(体積割合として約0.074%)を混入させた。この摩耗粉は、Mgを1.0質量%含有していた。また、レーザー回折散乱法で測定した摩耗粉の平均粒径は0.1μmであった。不織布製濾材の濾過精度は元々0.1μmよりもはるかに大きいものであったが、クーラント中の油分の作用で極めて微細な粒子が濾材中に捕捉されていた。磨耗粉の硬さは、ビッカース硬さにしてHV110であった。
上記の摩耗粉が添加されたクーラント液の外観は黒色で、明らかに通常に用いられるクーラントの白濁した色調と異なるものであった。
Al99.5重量%、残り不可避不純物よりなるビッカース硬さがHV35の純アルミ材の厚さ1.0mmの圧延板にカップ成形用潤滑油を塗布し、直径84mmの円形ブランクに打抜いた後、内径51mmの絞りダイスと外径48mmの絞りパンチを用いて円形ブランクを高さ約22mmのカップ体を作製した。このカップ体を先に作製した摩耗粉添加クーラント液を用いて再絞りおよび3段にわたるしごき成形を超硬合金製しごきダイスを用いて行った。
なお、クーラントの噴射量は各工程の合計で10L/分とした。クーラントの循環経路に設置されたフィルタは磨耗粉の通過を妨げないように濾過精度10μmのものを用いた。この絞りしごき缶の外径は35mm、胴部の平均厚さは0.3mm、缶の平均高さは約134mmとなった。この条件での成形を連続して1万缶おこなったところ、しごきダイスの作用面全体にわたってアルミニウムの目立った凝着はなく、成形された缶の表面も問題の無い品質であった。
また、最後に得られた缶外面の表面粗さRaは、0.040μmであった。
<実施例2>
Al99.7重量%、残り不可避不純物よりなる直径48mm、厚さ3mmの純アルミスラグにカップ成形用潤滑油を塗布し、インパクト成形(衝撃後方押出成形)により外径48mm、底部の厚さ1mm、側壁の平均厚さ1.1mm、高さ約25mmのカップ体を作製した。このカップ体を、カップ体の作製方法以外は実験例1と同様にして1万缶の連続成形を行ったところ、しごきダイスの作用面全体にわたってアルミニウムの目立った凝着はなく、成形された缶の表面も問題の無い品質であった。
<比較例1>
A3004合金板を素材とする絞り・しごき缶(DI缶)を製造する過程で得られた摩耗粉をクーラントに添加しない以外は、実施例1と同様にして、純アルミ材の厚さ1.0mmの圧延板からアルミニウム缶を製造した。
約50缶の製造で金型の作用面、特にしごきダイスの作用面にアルミニウムの著しい凝着(ビルドアップ)が発生し、成形を停止した。
最後に得られた缶の外面の表面粗さRaは、0.305μmであった。
1:アルミニウム基材
3:円板
5:打ち抜き用パンチ
9:絞り缶
11:ダイ
17:アルミニウム缶基体
21,22:しごきダイス

Claims (8)

  1. Al含量が99質量%以上のアルミニウムよりなるアルミニウム基材を塑性加工して容器の形態に成形するアルミニウム容器の製造法において、
    前記塑性加工に際して、前記アルミニウム基材の表面と塑性加工に用いる金型の作用面との間に、前記アルミニウム基材よりも高硬度のAl合金の微粒子を介在させることを特徴とするアルミニウム容器の製造法。
  2. 前記アルミニウム基材の塑性加工前のビッカース硬さをHa、前記金型の作用面のビッカース硬さをHbとしたとき、前記微粒子を形成しているAl合金のビッカース硬さHcは、下記式(1);
    1.5Ha<Hc<0.8Hb (1)
    で表される条件を満足している請求項1に記載のアルミニウム容器の製造法。
  3. 前記Al合金の微粒子として、該Al合金よりなる素材を塑性加工する際に生じた摩耗粉を使用する請求項1または2に記載のアルミニウム容器の製造法。
  4. 前記Al合金が、Mgを0.8~5.0質量%含有している請求項1~3の何れかに記載のアルミニウム容器の製造法。
  5. 前記塑性加工に先立って、前記アルミニウム基材の表面に、前記微粒子を付着させておく請求項1~4の何れかに記載のアルミニウム容器の製造法。
  6. 前記微粒子が、0.1μm以下の粒径を有している請求項1~5の何れかに記載のアルミニウム容器の製造法。
  7. 前記塑性加工はインパクト成形、絞り成形、再絞り成形、しごき成形のうち1つ以上含む請求項1~6の何れかに記載のアルミニウム容器の製造法。
  8. 前記塑性加工が、すくなくともしごき成形を含む請求項1~7の何れかに記載のアルミニウム容器の製造法。
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