JP6991817B2 - 共役ジエン系重合体組成物、マスターバッチ、タイヤ用部材、及び共役ジエン系重合体組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
一方、安全性の観点からは、湿潤路面でのブレーキ性能(ウェットスキッド抵抗性)に優れること、また良好な加工性を有しつつ、加硫物とした際には、補強性充填剤による補強効果が得られ、良好実用上十分な耐摩耗性、破断特性を有する材料が求められている。
そのため、共役ジエン系重合体にシリカ表面と相互作用する官能基を導入(変性)することで、シリカ表面との親和性を高め、組成物中でのシリカの分散性を改良して、転がり抵抗性をより優れたものにする試みが行われている。
例えば、特許文献1には、グリシジルアミノ基を有する変性剤を重合体末端に反応させて得られる変性共役ジエン系重合体が開示されており、特許文献2には、窒素原子を含有するアルコキシシラン類を重合体末端に反応させて得られる変性共役ジエン系重合体が開示されている。
また、特許文献3には、樹脂とシリカの溶融混練の条件を調整することによって、シリカの分散性を向上させる方法が記載されている。
具体的には、特許文献1又は2に記載のように、シリカとの親和性を向上させるように共役ジエン系重合体を変性することによってシリカの分散性は改善するものの、かかる特性を発揮する重合体の構造が限定的であるという問題を有しており、重合体の構造によらず(例えば変性していなかったり、官能基の少ない共役ジエン系重合体であっても)シリカの分散性を高めることが可能になれば、タイヤの設計の自由度はより高くなり、安全性や耐摩耗性を更に改善することにも資する可能性があり、タイヤ以外の用途にも利用が広がると考えられるが、未だこのような技術は開発されていない。
また、特許文献3に記載の方法は、溶融状態とはいえ固体の樹脂とシリカを物理的に混練する方法であるので、分散性の向上効果は限定的にしか得られていないという問題を有している。
本発明は以下の通りである。
共役ジエン系重合体のマトリクス中にシリカ系無機充填剤が分散し、
前記シリカ系無機充填剤の、共役ジエン系重合体組成物中の体積分率φ(vol%)と、
粘弾性試験により算出されるペイン効果ΔG’(MPa)と、
が、
下記式(I)を満たす、共役ジエン系重合体組成物の製造方法であって、
ΔG’< 0.250×exp(0.162×φ) ・・・(I)
(式(I)中、ΔG’は、ASTM D6204に準拠して前記共役ジエン系重合体組成
物の0.07%歪と1200%歪を測定した時の貯蔵弾性率(G’)値の差として得られ
るペイン効果を表す。φは、共役ジエン系重合体組成物中のシリカ系無機充填剤の体積分
率(vоl%)を表す。)
共役ジエン系重合体が溶解した溶液に、シリカ系無機充填剤を分散させ、分散液を得る
工程(A)と、
前記分散液を脱溶剤する工程(C)と、
を、有し、
前記工程(A)において、シリカ系無機充填剤の分散を行い、
前記脱溶剤する工程(C)において、
回転する二軸のスクリューを有する装置へ前記分散液を搬送しながら加熱し、
前記スクリューのモーター電流値と、無負荷時における前記スクリューのモーター電流
値とが以下の式(II)を満たすようにする、
共役ジエン系重合体組成物の製造方法。
1.05≦((I1)/(I0))≦2.00 ・・・(II)
(式(II)中、I1は、前記脱溶剤する工程(C)における前記スクリューのモーター
電流値〔A〕を表し、I0は、無負荷時における前記スクリューのモーター電流値〔A〕
を表す。)
〔2〕
前記工程(A)において、前記溶液に、前記シリカ系無機充填剤100質量部に対して
、分散剤を1~50質量部、添加する、
前記〔1〕に記載の共役ジエン系重合体組成物の製造方法。
〔3〕
前記工程(A)よりも前の工程として、
共役ジエン系重合体を製造し、当該共役ジエン系重合体を変性する工程を有する、
前記〔1〕又は〔2〕に記載の共役ジエン系重合体組成物の製造方法。
〔4〕
前記分散液を脱溶剤する工程(C)よりも前の工程として、
共役ジエン系重合体溶液又はオイルを加える工程(B)を実施する、
前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の共役ジエン系重合体組成物の製造方法。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は、
共役ジエン系重合体にシリカ系無機充填剤が分散した共役ジエン系重合体組成物であって、
前記共役ジエン系重合体組成物中の前記シリカ系無機充填剤の体積分率φ(vol%)と、
粘弾性試験により算出されるペイン効果ΔG’(MPa)と、
が、
下記式(1)を満たす共役ジエン系重合体組成物である。
ΔG’<0.250×exp(0.162×φ)・・・(I)
(式(I)中、ΔG’は、ASTM D6204に準拠して前記共役ジエン系重合体組成物の0.07%歪と1200%歪を測定した時の貯蔵弾性率(G’)値の差として得られるペイン効果を表す。φは、共役ジエン系重合体組成物中のシリカ系無機充填剤の体積分率(vоl%)を表す。)
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は、共役ジエン系重合体を含有する。
「共役ジエン系重合体」とは、繰り返し単位に共役ジエン由来の構造を少なくとも1種類有する高分子量体である。
共役ジエン系重合体は、共役ジエン単量体を重合することによって得られる単独重合体であってもよい。
共役ジエン単量体としては、重合可能な単量体であれば特に限定されず、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、3-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘプタジエン、及び1,3-ヘキサジエンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、1,3-ブタジエン、及びイソプレンが好ましい。
これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
芳香族ビニル単量体としては、共役ジエン単量体と共重合可能な単量体であれば特に限定されず、例えば、スチレン、m又はp-メチルスチレン、α-メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、ジフェニルエチレン、及びジビニルベンゼンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、スチレンが好ましい。これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、分散剤と共役ジエン系重合体とが前記工程(A)で使用する溶媒に溶解しやすいものであることにより、分散剤がシリカ系無機充填剤の表面等と反応しやすいため好ましい。さらに、溶媒を除去した後に分散剤と共役ジエン系重合体との相溶性が高いと、シリカ系無機充填剤の配合物とした際の粘度を下げることができ、加工性が良化する観点から好ましい。
上述した観点から、具体的には、溶解度パラメータが近い共役ジエン系重合体を採用することが好ましい。
結合芳香族ビニル量は、具体的には、フェニル基の紫外吸光によって測定でき、ここから結合共役ジエン量も求めることができる。
なお、共役ジエン系重合体が共重合体である場合は、その共重合体は、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。ここで、共役ジエン系重合体がブタジエンとスチレンの共重合体である場合には、ハンプトンの方法(R.R.Hampton,Analytical Chemistry,21,923(1949))により、ブタジエン結合単位中のビニル結合量(1,2-結合量)を求めることができる。
ランダム共重合体としては、以下に限定されないが、例えば、ブタジエン-イソプレンランダム共重合体、ブタジエン-スチレンランダム共重合体、イソプレン-スチレンランダム共重合体、及びブタジエン-イソプレン-スチレンランダム共重合体が挙げられる。
共重合体鎖中の各単量体の組成分布は、統計的ランダムな組成に近い完全ランダム共重合体、及び組成分布に勾配があるテーパー(勾配)ランダム共重合体が挙げられる。共役ジエン系重合体の結合様式、すなわち1,4-結合、1,2-結合等の組成は、分子鎖によって均一であってもよいし、異なっていてもよい。
前記式において、各ブロックの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。例えば、ブロックBが芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体との共重合体の場合、ブロックB中の芳香族ビニル単量体は均一に分布していても、又はテーパー状に分布していてもよい。また、ブロックBに、芳香族ビニル単量体が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個共存していてもよい。さらに、ブロックBに、芳香族ビニル単量体含有量が異なるセグメントが複数個共存していてもよい。共重合体中にブロックS、ブロックBがそれぞれ複数存在する場合、それらの分子量及び組成の構造は、同一でもよいし、異なっていてもよい。
なお、一般的には、共役ジエン系重合体の分子量の大きさはシリカ系無機充填剤の分散性に間接的に影響することがある。すなわち分子量が高いと、共役ジエン系重合体の粘度が高くなるため、溶融混練しようとするとシリカ系無機充填剤と練り難く、シリカ系無機充填剤の分散性が低くなる傾向にあるが、本実施形態の場合には、後述する共役ジエン系重合体組成物の製造方法に示すように、工程(A)にて、共役ジエン系重合体が溶解した溶液に、シリカ系無機充填剤を混合し、分散させるため、溶融混練し難くなることの影響は小さい。また、オイルを添加して混合物の粘度を下げたり、固形分濃度を下げたりする等することにより粘度を下げることも可能である。
また、重量平均分子量及び数平均分子量は、標準ポリスチレン試料を用いた検量式として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」と表す。)から求められる。
共役ジエン系重合体の製造方法としては、特に限定されないが、乳化重合法や溶液重合法等が挙げられるが、運転制御や分子構造制御、分子修飾(変性)の容易さから溶液重合法が好ましい。
溶液重合法を用いた共役ジエン系重合体の製造方法は、公知の方法を適用することができる。一般的には炭化水素溶媒中にて、アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を重合開始剤として用い、共役ジエン単量体、又は共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体とを、重合又は共重合することで、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得る重合工程、必要に応じて変性剤と反応させる変性工程、更に炭化水素溶媒を揮発させ固形分(共役ジエン系重合体)を単離する脱揮工程から成る製法にて製造することができる。
溶液重合法を用いた共役ジエン系重合体の、重合工程における重合反応は、溶剤(以下、「重合反応用溶剤」ともいう。)中で重合する溶液重合の反応が好ましい。
重合反応用溶剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、飽和炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素系溶媒が挙げられる。
具体的な重合反応用溶剤としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;これらの混合物からなる炭化水素等が挙げられる。
溶液重合法を用いた共役ジエン系重合体の、重合工程における重合開始剤として用いるアルカリ金属化合物は、特に限定されないが、有機リチウム化合物が好ましい。
有機リチウム化合物としては、低分子化合物、可溶化したオリゴマーの有機リチウム化合物、有機基とリチウムの結合様式において炭素-リチウム結合を有する化合物、錫-リチウム結合を有する化合物等が挙げられる。
有機リチウム化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、n-ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム等が挙げられる。
上記のモノ有機リチウム化合物に加え、多官能有機リチウム化合物を併用して、重合を行うこともできる。
前記多官能有機リチウム化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,4-ジリチオブタン、sec-ブチルリチウムとジイソプロペニルベンゼンの反応物、1,3,5-トリリチオベンゼン、n-ブチルリチウムと1,3-ブタジエン及びジビニルベンゼンの反応物、n-ブチルリチウムとポリアセチレン化合物の反応物等が挙げられる。さらに、米国特許第5,708,092号明細書、英国特許第2,241,239号明細書、米国特許第5,527,753号明細書等に開示されている公知の有機アルカリ金属化合物も使用することができる。
有機リチウム化合物としては、工業的入手の容易さ及び重合反応のコントロールの容易さの観点から、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウムが好ましい。
これらの有機リチウム化合物は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
他の有機アルカリ金属化合物としては、例えば、有機ナトリウム化合物、有機カリウム化合物、有機ルビジウム化合物、有機セシウム化合物等が挙げられる。具体的には、ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン等が挙げられる。その他にも、リチウム、ナトリウム及びカリウム等のアルコキサイド、スルフォネート、カーボネート等が挙げられる。また、他の有機金属化合物と併用してもよい。
アルカリ土類金属化合物としては、有機マグネシウム化合物、有機カルシウム化合物、有機ストロンチウム化合物等が挙げられる。また、アルカリ土類金属のアルコキサイド、スルフォネート、カーボネート等の化合物を用いてもよい。これらの有機アルカリ土類金属化合物は、アルカリ金属化合物や、その他有機金属化合物と併用してもよい。
溶液重合法を用いた共役ジエン系重合体の重合様式としては、特に限定されないが、回分式(「バッチ式」ともいう。)、連続式等の重合様式で行うことができる。連続式においては、1個又は2個以上の連結された反応器を用いることができる。反応器は、撹拌機付きの槽型、管型等のものが用いられる。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物に含有されている共役ジエン系重合体は、その製造工程において変性されたもの(官能基を導入したもの)であってもよく、非変性のものであってもよい。
非変性の共役ジエン系重合体も、後述する本実施形態の共役ジエン系重合体組成物の製造方法における、共役ジエン系重合体が溶解した溶液にシリカ系無機充填剤を分散させ、溶液を得る工程(A)において、分散剤を用いることで、分散剤が溶液中でシリカ系無機充填剤の表面に吸着又は反応し、その表面を疎水化することで、共役ジエン系重合体中にシリカ系無機充填剤を均一に分散できる。
非変性の共役ジエン系重合体と分散剤との組み合わせで、シリカ系無機充填剤の分散性を改善する場合、重合体の構造、分散剤の種類や量の選択の自由度が大きくなるメリットがある。
変性によってシリカ系無充填剤に親和性のある官能基を導入する場合には、重合反応の最後に変性剤を反応させたり、重合体同士をカップリングする等の方法があるが、ある程度導入の場所や数が限られる。これに対し、溶液中で分散剤と重合体を混合する場合には、分散剤の量は適宜調整できるので、目的に応じて設定可能である。
非変性共役ジエン系重合体と分散剤の組み合わせの場合、非変性共役ジエン系重合体とシリカ系無機充填剤が吸着又は反応する位置は制御できないが、例えば末端を変性した変性共役ジエン系重合体の場合には、確実に重合体の末端をシリカ系無機充填剤に固定することができるため、共役ジエン系重合体の運動を抑制する効果が高く見込まれる。
変性共役ジエン系重合体は、従来、シリカ系無機充填剤と溶融混練する工程で官能基がシリカ系無機充填剤に作用することが想定されていたのに対し、後述する本実施形態の共役ジエン系重合体組成物の製造方法において、共役ジエン系重合体が溶解した溶液にシリカ系無機充填剤を分散させ分散液を得る工程(A)で作用することによって官能基がより効率よく、均一に高い吸着性又は反応性を発揮できると想定される。
変性共役ジエン系重合体の場合、当該工程(A)において分散剤を添加することは必須ではないが、変性共役ジエン系重合体と分散剤を併用することで、シリカ系無機充填剤を一層効率よく、均一に分散させることも可能である。
変性剤であるエポキシ基を有する化合物としては、以下に限定されないが、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル;4,4’-ジグリシジル-ビスフェノールA等の2個以上のフェノール基を有する芳香族化合物のポリグリシジルエーテル;1,4-ジグリシジルベンゼン、1,3,5-トリグリシジルベンゼン、ポリエポキシ化液状ポリブタジエン等のポリエポキシ化合物;4,4’-ジグリシジル-ジフェニルメチルアミン、4,4’-ジグリシジル-ジベンジルメチルアミン等のエポキシ基含有3級アミン;ジグリシジルアニリン、ジグリシジルオルソトルイジン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル-p-フェニレンジアミン、ジグリシジルアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン等のジグリシジルアミノ化合物等が挙げられる。
また、ジグリシジルアミノ基を持つ多官能化合物は、分子中に、エポキシ基を2個以上有し、3個以上有することが好ましく、4個以上有することがより好ましい。
これらの中でも、アルコキシシリル基を有する化合物官能基とシリカ等の無機充填剤との反応性及び相互作用性の観点と、加工性の観点から、1-[3-(トリエトキシシリル)-プロピル]-4-メチルピペラジン、2,2-ジメトキシ-1-(3-トリメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、及び2,2-ジエトキシ-1-(3-トリエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタンが好ましい。
R3及びR4は、各々独立して、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、又は、エーテル基、及び3級アミン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する炭素数1~20のアルキル基を表す。
R5は、炭素数1~20のアルキル基、又は、エーテル基、3級アミン基、エポキシ基、カルボニル基、及びハロゲン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する炭素数1~20のアルキル基を表す。
nは、1~6の整数を表す。
R3及びR4は、各々独立して、炭素数1~20のアルキル基を表す。
R5は、炭素数1~6のアルキル基を表し、隣接する窒素原子及び珪素原子とともに5員環以上の環構造をなす。
R6は、炭素数1~20のアルキル基、活性水素原子を有しない且つヘテロ原子で置換されている炭素数1~20のアルキル基、又は、有機置換シリル基を表す。
mは1又は2の整数を表し、nは2又は3の整数を表す。
前記一般式(4)で表される化合物としては、以下に限定されないが、例えば、2,2-ジメトキシ-1-(3-トリメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(3-トリエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-(4-トリメトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロヘキサン、2,2-ジメトキシ-1-(5-トリメトキシシリルペンチル)-1-アザ-2-シラシクロヘプタン、2,2-ジメトキシ-1-(3-ジメトキシメチルシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(3-ジエトキシエチルシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ,2-メチル-1-(3-トリメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ,2-エチル-1-(3-トリエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ,2-メチル-1-(3-ジメトキシメチルシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ,2-エチル-1-(3-ジエトキシエチルシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタンが挙げられる。これらの中でも、変性剤の官能基とシリカ等の無機充填剤との反応性及び相互作用性の観点、並びに加工性の観点から、mが2、nが3であるものがより好ましく、2,2-ジメトキシ-1-(3-トリメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(3-トリエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタンがさらに好ましい。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は、共役ジエン系重合体に、シリカ系無機充填剤が分散した形態を有している。
シリカ系無機充填剤としては、特に限定されず、公知のものを用いることができるが、SiO2、又はSi3Alを構成単位として含む固体粒子が好ましく、SiO2、又はSi3Alを構成単位の主成分とすることがより好ましい。
ここで、主成分とは、シリカ系無機充填剤中に50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上含有される成分をいう。
シリカ系無機充填剤として、具体的には、シリカ、クレイ、タルク、マイカ、珪藻土、ウォラストナイト、モンモリロナイト、ゼオライト、ガラス繊維等の無機繊維状物質等が挙げられる。また、表面を疎水化したシリカ系無機充填剤や、シリカ系無機充填剤とシリカ系以外の無機充填剤との混合物も用いることができる。強度や耐摩耗性等の観点からは、シリカ及びガラス繊維が好ましく、シリカがより好ましい。例えば、乾式シリカ、湿式シリカ、合成ケイ酸塩シリカ等が挙げられる。これらの中でも、加硫物とした際の破壊特性果並びにウェットスキッド抵抗性のバランスの観点から、湿式シリカが好ましい。ここでシリカ系無機充填剤は、表面改質されているものを用いてもよい。
また必要に応じて、比較的比表面積が小さい(例えば、比表面積が200m2/g未満のシリカ)と、比較的比表面積の大きい(例えば、200m2/g以上のシリカ)と、を組み合わせて、窒素吸着比表面積が前記範囲となるように調整したシリカ系無機充填剤を用いることができる。これにより、良好な耐摩耗性、破断強度及び低発熱性を高度にバランスさせることができる。
シリカ系無機充填剤の形状は特に限定されず、目標とする物性に応じて球状、真球状、無定形の粒状、針状、繊維状、板状のもの等を使用できるが、本実施形態の共役ジエン系重合体組成物をタイヤに加工する場合、異方性が出にくい球状又は真球状のものを使用することが、応力集中の偏在が起きにくく好ましい。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は、シリカ系無機充填剤100質量部に対し、分散剤を1~50質量部、含有していることが好ましく、2~45質量部がより好ましく、3~40質量部がさらに好ましい。
分散剤によりシリカ系無機充填剤表面を改質させることができ、分散性が向上する。
分散剤は、後述する共役ジエン系重合体組成物の製造方法における、共役ジエン系重合体が溶解した溶液にシリカ系無機充填剤を分散させて分散液を得る工程(A)において、シリカ系無機充填剤100質量部に対して、1~50質量部、添加することが好ましい。
かかる工程(A)及び分散剤の構造や具体例については、後述する。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物の製造方法においては、共役ジエン系重合体のマトリクス中にシリカ系充填剤が分散した共役ジエン系重合体組成物を製造する。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物の製造方法は、
共役ジエン系重合体が溶解した溶液に、シリカ系無機充填剤を分散させ、分散液を得る工程(A)と、
前記分散液を脱溶剤する工程(C)と、
を、有する。
前記工程(B)において添加するオイルとしては、ゴム用軟化剤(伸展油)が適用できる。
これにより、本実施形態の共役ジエン系重合体組成物の加工性の向上効果が得られる。
ゴム用軟化剤としては、鉱物油、又は液状若しくは低分子量の合成軟化剤が好適である。ゴムの軟化、増容、加工性の向上を図るために使用されているプロセスオイル又はエクステンダーオイルと呼ばれる鉱物油系ゴム用軟化剤は、芳香族環、ナフテン環、及びパラフィン鎖の混合物であり、パラフィン鎖の炭素数が全炭素中50%以上を占めるものがパラフィン系と呼ばれ、ナフテン環炭素数が30~45%のものがナフテン系、芳香族炭素数が30%を超えるものが芳香族系と呼ばれている。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物及び当該共役ジエン系重合体組成物を含むマスターバッチとともに用いるゴム用軟化剤としては、適度な芳香族含量を有するものが共役ジエン系重合体との馴染みがよい傾向にあるため好ましい。
添加されたオイル、例えば、ゴム用軟化剤は、後述する脱溶剤する工程(C)においてトルクを下げる効果を有するとともに、分散液から溶剤を脱揮した後にも、脱揮されずに共役ジエン系重合体組成物又はマスターバッチと共に残存し、他の材料と混合加工する際に、加工性を改良する効果を有する。
オイル、例えばゴム用軟化剤の配合量は、本実施形態の共役ジエン系重合体組成物又はマスターバッチに由来する共役ジエン系重合体を含有するゴム成分100質量部に対して、0~100質量部が好ましく、5~80質量部がより好ましく、10~50質量部がさらに好ましい。オイル、例えばゴム用軟化剤の配合量がゴム成分100質量部に対して100質量部以下とすることにより、ブリードアウトを抑制でき、本実施形態の共役ジエン系重合体組成物の表面にベタツキを生ずることを防止することができる。
本実施形態の、共役ジエン系重合体組成物の製造方法は、共役ジエン系重合体が溶解した溶液(共役ジエン系重合体溶液と記載する場合がある。)に、シリカ系無機充填剤を分散させ、分散液を得る工程(A)を有する。
工程(A)における共役ジエン系重合体が溶解した溶液は、共役ジエン系重合体と溶剤とを含む。
溶剤としては、特に限定されないが、例えば、C4~C8の炭化水素溶剤、トルエン、キシレンが挙げられる。さらに、溶剤は環式の構造を有するものでもよく、不飽和結合又は分岐構造を有するものでもよい。沸点及び蒸気圧が製造工程上取り扱いやすいことから、C5又はC6の炭化水素溶剤が好ましく、ペンタン、ノルマルヘキサン、及びシクロヘキサンがより好ましい。これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせてもよい。溶液重合法を用いて製造した共役ジエン系重合体の場合、製造プロセス簡素化の観点から、共役ジエン系重合体の重合工程で使用したものと同じ溶剤であることが好ましい。すなわち、重合反応や、必要に応じて変性反応を行った溶液から溶媒を除くことなくそのまま使用することができる。
共役ジエン系重合体が溶解した溶液は、その共役ジエン系重合体溶液の総量(100質量%)に対して、溶剤を10質量%以上99質量%以下含むことが好ましく、より好ましくは30質量%以上98質量%以下、さらに好ましくは50質量%以上97質量%以下含む。溶剤を10質量%以上含むことにより、分散機で分散させる際の粘度を低下させ、シリカ系無機充填剤の分散をより進行させる効果がある。一方、99質量%以下含むことで、後述する脱溶剤する工程(C)で揮発させる溶剤量を減らし、プロセスへの負荷を低減することができる。
工程(A)における共役ジエン系重合体が溶解した溶液には、溶液重合法による重合工程で添加された極性化合物が共存してもよい。
極性化合物は、溶液重合法による重合工程において、芳香族ビニル単量体を共役ジエン単量体とランダムに共重合させるためにも用いることができ、共役ジエン部のミクロ構造を制御するためのビニル化剤としても用いることができる。また、重合速度の改善等にも効果がある。
極性化合物としては、以下に限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジメトキシベンゼン、2,2-ビス(2-オキソラニル)プロパン等のエーテル類;テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジン等の第3級アミン化合物;カリウム-t-アミラート、カリウム-t-ブチラート、ナトリウム-t-ブチラート、ナトリウムアミラート等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物が挙げられる。これらの極性化合物は、それぞれ1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
極性化合物の添加量は、特に限定されず、目的等に応じて選択することができるが、重合開始剤1モルに対して、0.01モル以上100モル以下であることが好ましい。また、極性化合物(ビニル化剤)は、重合体の共役ジエン部分のミクロ構造の調節剤として、所望のビニル結合量に応じて、適量を用いることができる。
多くの極性化合物は、共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体との共重合において有効なランダム化効果を有し、芳香族ビニル単量体の分布の調整剤及びスチレンブロック量の調整剤としても用いることができる。
共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体とをランダム化する方法としては、特に限定されないが、例えば、特開昭59-140211号公報に記載されているような、共重合の途中に1,3-ブタジエンの一部を断続的に添加する方法が挙げられる。
工程(A)においては、共役ジエン系重合体溶液に、共役ジエン系重合体に対して、保管中のゲルの生成を防止する観点、及び加工時の安定性を向上させる観点から、ゴム用安定剤を共存させてもよい。
ゴム用安定剤は、公知のものを用いることができ、以下に限定されるものではないが、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン(BHT)、n-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェノール)プロピネート、2-メチル-4,6-ビス[(オクチルチオ)メチル]フェノール等の酸化防止剤が好ましい。
これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせてもよい。
工程(A)において、シリカ系無機充填剤としては、上述したものを用いることができる。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物の製造方法において、工程(A)を経る方法を採用することで、共役ジエン系重合体組成物において分散した状態でのシリカ系無機充填剤の含有量を大きくできる傾向にある。そのため、シリカ系無機充填剤を含有する共役ジエン系重合体組成物を調製する場合に、目的物よりもシリカリッチな共役ジエン系重合体組成物を予め製造し、これをマスターバッチとし、それにポリマー等を適宜追加して混練し、目的とする共役ジエン系重合体組成物を調製する方法を採用できる。
また、工程(A)において、目的物よりもシリカリッチな共役ジエン系重合体のシリカ分散液を予め調製しておき、これに、所定量の共役ジエン系重合体溶液を適宜追加して溶剤を揮発させることで、目的とする共役ジエン系重合体組成物を製造することもできる。
なお、後述する工程(C)で、スチームストリッピングによって溶媒を除去する工程を実施する場合、特にシリカ含有量が多い場合には、シリカが水を吸収して再凝集することが考えられるが、後述する脱揮二軸押出機を使用すると、スチームストリッピングが不要になるために、よりシリカリッチで良好な分散性の組成物を得やすい点でも好ましいと言える。また脱揮二軸押出機を使用することで、シリカ含有量が多くトルクが上がりがちな配合においても、トルクの上昇を抑えて押出しできるメリットもある。
工程(A)は、分散剤の存在下で実施することが好ましい。
かかる工程(A)においては、シリカ系無機充填剤100質量部に対し、分散剤を1~50質量部、添加することが好ましく、より好ましくは2~45質量部、さらに好ましくは3~40質量部である。
分散剤によりシリカ系無機充填剤の表面を改質し、分散性を向上させることができる。
分散剤によるシリカ系無機充填剤の表面改質は、化学反応を通じて所定の官能基をシリカ系無機充填剤の表面に結合させるか、あるいは混合又は吸着を通じて分散剤を物理的な方法でシリカ系無機充填剤の表面に結合させる。例えば、Wang W,Nanse G,Vidal A,et al.K.G.K[J],1994,47:493で述べられるように、分散剤を溶剤に溶かした後にシリカ系無機充填剤と混合して液相で改質する方法、例えば、Wang MJ,Wolff.S.R.C.T[J],1992,65:715で述べられるように、分散剤をシリカ系無機充填剤と混合し加熱して固相で改質する方法を含むが、これらに限定されない。
このような分散剤としては、以下の一般式(1)又は(2)で表されるものが挙げられる。
(一般式(1)中、R1は置換又は非置換の1価炭化水素基であり、R1が複数含まれる場合には、各々独立して互いに同じでも異なってもよい。R2は炭素数1~4のアルキル基であり、R2が複数含まれる場合には、各々独立して互いに同じでも異なってもよい。mは0~3の整数であり、nは0~2の整数である。)
(一般式(2)中、R3は炭素数8~30の直鎖又は分岐状アルキル基、R4は置換又は非置換の1価炭化水素基であり、R4が複数含まれる場合には、各々独立して互いに同じでも異なってもよい。R5は炭素数1~4のアルキル基であり、R5が複数含まれる場合には、各々独立して互いに同じでも異なってもよい。mは0~3の整数であり、nは0~2の整数である。)
一般式(1)中、mは0~3の整数であり、m=0の場合は、テトラアルコキシシランとなる。
前記一般式(2)中、R5は、炭素数1~4のアルキル基である。具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が挙げられる。
前記一般式(2)中、nは0~2の整数である。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物を加硫して、例えばタイヤに使用することを企図している場合、ゴム成分中にカップリング剤を包含させることは公知である。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物の製造方法において、工程(A)で添加する分散剤の一部又は全部として、ゴム成分とのカップリング能を有する分散剤を使用することは、共役ジエン系重合体組成物又はマスターバッチ中でのシリカ系無機充填剤の分散性を向上させ、加硫物とした時にゴムの補強効果を向上できるため好ましい。
このような、カップリング能を有する分散剤としては、従来公知の分散剤(シランカップリング剤)を用いることができ、以下に限定されるものではないが、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリメトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィドなどのスルフィド系;3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、8-メルカプトオクタノイルトリエトキシシランなどのメルカプト系等が挙げられる。スルフィド系のシランカップリング剤としてはエボニックデグサ社製のSi75、Si69等が挙げられ、メルカプト系のシランカップリング剤としては、Momentive社製のNXT-Z100、NXT-Z45、NXT、エボニックデグサ社製のSi363等が挙げられる。
これらの分散剤(シランカップリング剤)は、1種のみを単独で用いてもよく、所望とする分散性と加硫物の物性を考慮して2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カップリング剤の添加量は、特に限定されず、所望とする分散度と加硫物の物性とコスト等を加味して決定できるが、シリカ系無機充填剤100質量部に対し、1~50質量部が好ましく、より好ましくは2~40質量部であり、さらに好ましくは3~30質量部である。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物の製造方法における工程(A)においては、共役ジエン系重合体溶液にシリカ系無機充填剤を微分散させる。当該分散させる方法は、特に限定されないが、例えば、高速回転せん断型撹拌機、コロイドミル、ロールミル、高圧噴射式分散機、超音波分散機、ボールミル等の容器駆動型ミル、ビーズミル等の媒体撹拌ミル等を用いる方法が挙げられる。特に、比較的温和な条件下で微分散化でき、かつ温度管理が容易であることから、ビーズミル等の媒体撹拌ミルを用いる方法が好ましい。
ビーズの材質については、特に限定されないが、塗料に代表される顔料分散の技術分野で知られているように、その比重、均一性、長期使用にわたる耐摩耗性を考慮し選択できる。好ましくは、酸化ジルコニウムビーズが、使用される。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物の製造方法においては、上述した工程(A)で得られた、シリカ無機充填剤が分散した共役ジエン系重合体の分散液に対し、必要に応じて共役ジエン系重合体溶液や、上述したオイル、ゴム用軟化剤、安定剤等を加える工程(B)を実施することができる。
かかる工程(B)においては、後述する工程(C)にて取り出す、共役ジエン系重合体組成物又はマスターバッチ中の共役ジエン系重合体、シリカ系無機充填剤、分散剤、ゴム用軟化剤、安定剤等の組成を調整した分散液又は溶液を作製する。
なお、工程(B)は、後述する脱溶剤する工程(C)の前であれば、任意のタイミングでさらに行うことができ、工程(A)の前の工程として実施してもよい。
前記工程(B)において添加する共役ジエン系重合体溶液とは、共役ジエン系重合体と溶剤とを含むものをいう。
工程(B)において添加する共役ジエン系重合体溶液における共役ジエン系重合体は、特に限定されないが、共役ジエン単量体を重合することによって得られる単独重合体であってもよい。共役ジエン単量体としては、重合可能な単量体であれば特に限定されず、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、3-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘプタジエン、及び1,3-ヘキサジエンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、1,3-ブタジエン、及びイソプレンが好ましい。これらは1種のみならず2種以上を併用してもよい。
ここで、上述した工程(A)において使用したものと同一でもよく、異なっていてもよい。
溶剤を1.0質量%以上含むことで、上述した工程(A)で得た分散液との均一混合が速くなる傾向にあり、99質量%以下含むことで、後述する工程(C)において揮発させる溶剤量が減るため、レートアップに繋がる。ここで、工程(A)で得た分散液の粘度と、工程(B)において添加する共役ジエン系重合体溶液の粘度は、極力近い方が、均一混合が速くなる傾向にあるため、好ましい。
工程(C)においては、上述した工程(A)又は工程(B)で得られた共役ジエン系重合体組成物又はマスターバッチの分散液から溶剤を揮発させ、固形分としての共役ジエン系重合体組成物又はマスターバッチを得る工程である。
工程(C)は、スチームストリッピング、フラッシュタンク、薄膜型濃縮器、ドラムドライヤー、及び撹拌翼付き濃縮容器、脱揮二軸押出機等を用いる方法が挙げられるが、排水への環境負荷低減、低せん断性及び分散形態維持の観点から脱揮二軸押出機を使用する方法が好ましい。
1.05≦((I1)/(I0))≦2.00 ・・・(II)
式(II)中、I1は、前記脱揮工程(C)における前記スクリューのモーター電流値〔A〕を表し、I0は、無負荷時における前記スクリューのモーター電流値〔A〕を表す。
工程(C)により、ゲルの生成や共役ジエン系重合体の分子鎖切断を抑えつつ、適当な残揮発分量となるまで溶剤を脱揮した共役ジエン系重合体組成物又はマスターバッチを得ることができる。この脱揮した共役ジエン系重合体組成物又はマスターバッチは、適当な残揮発分量となっていればよく、溶剤を含んでいてもよい。また、脱揮した組成物の外観は、固体状、粉末状、液状等のいずれであってもよい。
また、工程(C)においては、二軸のスクリューを有する装置を二基以上用いることが、脱揮された共役ジエン系重合体組成物又はマスターバッチの残揮発成分量の観点から好ましい。この場合は、二基以上の二軸のスクリューを有する装置を直列に連結して分散液を連続式に送る方法や、各装置でバッチ式に処理する方法が挙げられるが、連続式に送る方法の方が生産効率の面でより好ましい。連続式に分散液を移送する装置としては、例えばギアポンプ等のポンプ、二軸押出機等のスクリュー型装置、及びコンベア等を例に挙げることができる。2つ以上の装置を連結して連続式に脱揮する場合、温度や圧力等の脱揮の条件は装置ごとに異なっていてもよい。一般に、濃縮初期の段階では加熱速度が工程(C)の律速となるため、伝熱面積の広く取れる装置がより好ましい。そのためにスクリュー内部を中空状態として、そこに熱媒を通すことによってスクリュー表面を伝熱部にすることもより好ましい。濃縮の進行に伴い固形物が析出する場合がある。その場合、固形物に内包された溶剤分を脱揮させるためには固形物にせん断を与え、表面更新する機能が要求される。
1.05≦((I1)/(I0))≦2.00 ・・・(II)
(I1)/(I0)を1.05以上とすることにより、共役ジエン系重合体組成物が、適度に表面が更新され、溶剤の脱揮を促進させることができる。一方、(I1)/(I0)を2.00以下とすることにより、ゲル生成と共役ジエン系重合体の分子鎖切断を抑えることができる。さらに、(I1)/(I0)は、溶剤脱揮性と熱劣化のバランスの観点から、1.10以上1.80以下であることが好ましく、1.20以上1.60以下であることがより好ましい。
なお、(I1)は、関係式(II)を満たせば一定値である必要はなく、変動する値であってもよい。(I1)/(I0)は、装置内の共役ジエン系重合体組成物又はマスターバッチと溶剤の混合物の充填率やスクリューの回転数が高いほど、大きくなる傾向にある。また、(I1)/(I0)は、スクリューの形状、スクリュー径、スクリューの長さ、胴体とスクリューの間隔、マスターバッチと溶剤との混合物の供給速度等、によっても調整することができる。複数のスクリューを回転させる場合は、回転方向は同方向でも逆方向でもよく、回転速度は同じでも異なっていてもよいが、スクリューへの重合体の付着防止の観点から、回転方向は逆方向、回転速度は異なっている方が好ましい。
また、工程(C)において、二軸のスクリューを有する装置の内容積と単位時間当たりに揮発する溶剤量とが下記の関係式(III)を満たすことが好ましい。
1.0≦((VA)/(V0))≦50 ・・・(III)
式(III)中、(V0)は、当該装置の内容積〔L〕を表し、(VA)は、単位時間〔h〕当たりに揮発する溶剤量〔L〕を表す。
上記のスクリューを有する装置を二基以上用いた場合において、L/Dは、各々独立に、4.0以上12以下であればよい。なお、L/Dがこのような範囲にない装置であっても、上記のスクリューを有する装置と組み合わせて用いてもよい。
1.0≦((VA)/(V0))≦50 ・・・(III)
(VA)/(V0)が1.0以上であることで、熱劣化とゲル化、更に共役ジエン系重合体の分子鎖切断を抑えることができる傾向にある。また、(VA)/(V0)が50以下であることで、分散液のベントアップを抑えることができる傾向にある。
さらに、(VA)/(V0)は、脱揮性と熱劣化と分子鎖切断のバランスの観点から、5.0以上45以下であることがより好ましく、10以上30以下であることがさらに好ましい。
VAは、上記の関係式(III)を満たす限りは、一定値である必要はなく、変動する値であってもよい。なお、ベントアップとは、共役ジエン系重合体組成物を含む分散液がベント開口部を通過してベント配管部へ流入してくる現象であり、配管内壁の表面に付着した分散液が乾燥すると、固形の組成物が表面に残留する。ベントアップが継続して発生すると、ベント配管内壁に組成物が堆積し、やがてベント配管は閉塞する。ベント配管が閉塞すると、装置内で溶液から蒸発した溶剤ガスの排出が妨げられ、十分に脱揮されないため、組成物の残揮発成分量が増加することもある。
V0は、脱揮性の観点からは、1.0以上であることが好ましく、5.0以上であることがより好ましく、10以上であることがさらに好ましい。また、装置内を減圧にした減圧脱揮条件における漏れ込み空気量の観点からは、500以下であることが好ましく、400以下であることがより好ましく、300以下であることがさらに好ましい。
組成物溶液を、スクリューを有する装置に供給する前に加熱すると、脱揮速度が向上する傾向にあり、好ましい。加熱する温度は、特に限定されないが、装置内の圧力における溶剤の沸点以上に溶液を加熱すると、脱揮速度が高くなる傾向にあり、該溶剤の沸点よりも50℃以上高く加熱することがより好ましく、該溶剤の沸点よりも80℃以上高く加熱することがさらに好ましい。また、当該装置内での脱揮時の組成物の同伴を防止する観点から、140℃以下に加熱することが好ましく、120℃以下に加熱することがより好ましい。具体的な例としては、共役ジエン系重合体溶液中の溶剤がヘキサンで、二軸のスクリューを有する装置内の圧力が400torrの場合、400torrにおけるヘキサンの沸点は約50℃なので、共役ジエン系重合体溶液を50℃以上に加熱するとよい。
共役ジエン系重合体組成物又はマスターバッチの分散液は、工程(C)において二軸のスクリューを有する装置に供給する前に、二軸のスクリューを有しない装置で濃縮することもできる。その装置としては、例えば、フラッシュタンク、薄膜型濃縮器、ドラムドライヤー、及び撹拌翼付き濃縮容器が挙げられる。
脱揮された共役ジエン系重合体組成物の残揮発分量は、その組成物の総量(100質量%)に対して、0.001質量%以上5.0質量%以下であることが、組成物を製品に加工する際の作業性の観点から好ましい。残揮発分は、重合や分散に用いた溶剤などの原料の他、水を含んでもよい。
(ペイン効果(ΔG’))
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物中におけるシリカ系無機充填剤の分散性は、未加硫粘弾性装置「RPA2000(ALPHA TECHNOLOGIES社製)」を用い、ASTM D6204に準拠して測定した0.07%歪と1200%歪の貯蔵弾性率(G’)値の差として得られるペイン効果ΔG’(MPa)によって評価できる。
ペイン効果は、通常はゴムマトリックス中の充填剤-充填剤相互作用についての情報を得るために用いられており、小さい歪における貯蔵弾性率(G’)値が高ければ高いほど、充填剤-充填剤相互作用はより高い。歪掃引測定の間に、貯蔵弾性率値は、充填剤-充填剤ネットワークの破壊のために低下して、小さい歪で開始した充填剤-充填剤相互作用であるにもかかわらず、大きな歪においてと同様のG’値が得られる。
ここで、ペイン効果(ΔG’)及び小さい歪における貯蔵弾性率(G’)は、共役ジエン系重合体組成物中におけるシリカ系無機充填剤の分散性だけでなく、シリカ系無機充填剤の体積分率(φ)により変動し、シリカ系無機充填剤の体積分率(φ)が多いほど、その値は大きくなる傾向にある。共役ジエン系重合体組成物中のシリカ系無機充填剤の体積分率(φ)は、例えば、灰分(共役ジエン系重合体組成物又はマスターバッチを燃焼させた時に燃焼せずに残る成分量)測定や、蛍光X線を利用した公知の定量分析法、公知のICP分析法により定量したシリカ系無機充填剤の重量分率を体積分率に換算することで測定できる。
ΔG’<0.250×exp(0.162×φ)・・・(I)
ΔG’が上記上限値未満であることにより、シリカ系無機充填剤がより分散した共役ジエン系重合体組成物となるためより好ましい。
シリカ系無機充填剤の分散性の観点からは、ΔG’の下限値は特に限定されないが、共役ジエン系重合体組成物の剛性を十分発現させる観点からは、0.0100×exp(0.162×φ)<ΔG’が好ましく、0.0150×exp(0.162×φ)<ΔG’がより好ましく、0.0200×exp(0.162×φ)<ΔG’がさらに好ましい。
前記式(I)を満たす共役ジエン系重合体組成物は、重合体中にシリカ系無機充填剤が微分散した状態であるので、シリカ系無機充填剤の分散性が求められる用途で幅広く利用可能である。
本実施形態のマスターバッチは、上述した本実施形態の共役ジエン系重合体組成物を含有する。
すなわち、本実施形態のマスターバッチは、本実施形態の共役ジエン系組成物の構成成分を含有しており、目的物、例えばゴム材料等の製造工程における利便性を図る観点等のために、構成成分、例えばシリカ系無機充填剤がリッチに含有されたものであってもよく、本実施形態の共役ジエン系組成物の必須の構成成分の他、さらに、オイル、共役ジエン系重合体等を配合されたものであってもよい。
前記式(I)を満たす本実施形態の共役ジエン系重合体組成物をシリカマスターバッチとしてタイヤ原料にすると、加硫物におけるシリカ系無機充填剤の分散性が良化するため転がり抵抗とウェットスキッド抵抗性のバランスが良化する。更に耐摩耗性及び引張特性、加工性に優れたものとなる。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は、ベールと当業界で称される直方体に圧縮成形でき、各種用途に適用することができる。また、共役ジエン系重合体組成物は、天然ゴム等の他のゴム材料、シリカ系無機充填剤、カーボン等の無機材料等と配合して、タイヤ用部材、各種工業用ベルト、履物等にも加工できる。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物、及びマスターバッチは、上述した各種成分の他、必要に応じてその他の成分を配合することにより、所望の機能をもたせたゴム組成物、及びその成形体とすることができる。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は、加硫物として好適に用いられる。
加硫物は、例えば本実施形態の共役ジエン系重合体組成物又はマスターバッチを、必要に応じて、シリカ系無機充填剤やカーボンブラック等の有機充填剤、本実施形態の組成物に含まれるゴム成分以外のゴム状重合体、シランカップリング剤、ゴム用軟化剤、加硫剤、加硫促進剤・助剤等と混合して組成物とした後、加熱して加硫することにより得ることができる。
例えば、タイヤ用ゴム組成物を調製する場合、タイヤにおけるシリカ含有量と、ゴム成分の含有量を勘案して、シリカ含有量が目的物より多いマスターバッチを製造する。このシリカマスターバッチと、天然ゴム等その他のゴム成分を必要に応じて混練してタイヤ用の組成物を調製することができる。
従来のタイヤ用ゴム組成物では、ゴム成分とシリカ系無機充填剤を溶融混練していたが、シリカ表面の親水基のため、ゴム成分とシリカ系無機充填剤は相溶し難く、分散性を高めるのが難しかった。これに対し、本実施形態のマスターバッチを使用すると、シリカ系無機充填剤が共役ジエン系重合体中にあらかじめ微分散しているので、その他のゴム成分と混合した目的の組成物中においてもシリカ系無機充填剤が微分散した状態になり易い。そのため、加硫物としたときに、低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランスに優れ、かつ実用上十分な耐摩耗性や破壊強度を有し、優れた加工性を付与できる。
この場合、シリカマスターバッチに含まれる以外の(追加で添加した)無機充填剤は、マスターバッチ及びそれ以外のゴム成分と溶融混練することになる。追加した無機充填剤は、シリカマスターバッチの分散性と比較すれば、分散性の低い状態になると想定されるが、シリカマスターバッチ由来のシリカ系無機充填剤の分散性に由来して目的物の分散性を良好にすることが可能である。また、目的の組成物が複数のシリカ系無機充填剤を含有する場合に、(1) シリカマスターバッチに複数のシリカ系無機充填剤を配合してもよいし、(2)粒径や表面の状態等の影響でよりゴムに分散しにくいシリカ系無機充填剤をシリカマスターバッチに配合し、それ以外の充填剤を溶融混練してもよい。
具体的には、ブタジエンゴム又はその水素添加物、イソプレンゴム又はその水素添加物、スチレン-ブタジエンゴム又はその水素添加物、スチレン-ブタジエンブロック共重合体又はその水素添加物、スチレン-イソプレンブロック共重合体又はその水素添加物等のスチレン系エラストマー、アクリロニトリル-ブタジエンゴム又はその水素添加物等が挙げられる。
また、非ジエン系重合体としては、エチレン-プロピレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、エチレン-ブテン-ジエンゴム、エチレン-ブテンゴム、エチレン-ヘキセンゴム、エチレン-オクテンゴム等のオレフィン系エラストマー、ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、α、β-不飽和ニトリル-アクリル酸エステル-共役ジエン共重合ゴム、ウレタンゴム、多硫化ゴム等が挙げられる。
上述した各種ゴム状重合体は、水酸基やアミノ基等の極性を有する官能基を付与した変性ゴムであってもよい。またその重量平均分子量は、性能と加工特性のバランスの観点から、2,000~2,000,000であることが好ましく、5,000~1,500,000であることがより好ましい。また、低分子量のいわゆる液状ゴムを用いることもできる。これらのゴム状重合体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態のマスターバッチに含まれているシリカ系無機充填剤の他、さらにその他のシリカ系無機充填剤を含有させる場合、これらの配合比率(質量比)は、マスターバッチに由来するシリカ系無機充填剤と、上述したその他のシリカ系無機充填剤を、合計で5~300質量部含むものとすることが好ましく、10~250質量部含むものがより好ましく、20~200質量部含むものが更に好ましい。無機充填剤の添加効果が発現する観点から、マスターバッチに由来するシリカ系無機充填剤と、追加のシリカ系無機充填剤の合計量は5質量部以上とすることが好ましく、組成物の加工性や機械強度を実用的に十分なものとする観点からが300質量部以下とすることが好ましい。
本実施形態における共役ジエン系重合体組成物、又はマスターバッチには、カーボンブラックを含有させてもよい。
カーボンブラックとしては、特に限定されず、例えば、SRF、FEF、HAF、ISAF、SAF等の各クラスのカーボンブラックが使用できる。これらの中でも、窒素吸着比表面積が50m2/g以上、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が80mL/100gのカーボンブラックが好ましい。
カーボンブラックの含有量は、本実施形態の共役ジエン系重合体組成物又はマスターバッチに由来する共役ジエン系重合体成分を含むゴム成分100質量部に対し、0.5~100質量部が好ましく、3~100質量部がより好ましく、5~50質量部がさらに好ましい。カーボンブラックの含有量は、ドライグリップ性能や導電性等のタイヤ等の用途に求められる性能を発現する観点から、0.5質量部以上とすることが好ましく、分散性の観点から、100質量部以下とすることが好ましい。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物には、シリカ系無機充填剤やカーボンブラック以外に、金属酸化物や金属水酸化物をその他の充填剤として含有させてもよい。
金属酸化物とは、化学式MxOy(Mは金属原子を表し、x及びyは各々1~6の整数を表す。)を構成単位の主成分とする固体粒子のことをいい、例えばアルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等を用いることができる。
また金属酸化物と金属酸化物以外の無機充填剤の混合物も用いることができる。金属水酸化物としては、特に限定されず、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム等が挙げられる。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物には、シランカップリング剤を含有させてもよい。
シランカップリング剤は、ゴム成分とシリカ系無機充填剤との相互作用を緊密にする機能を有しており、ゴム成分及びシリカ系無機充填剤のそれぞれに対する親和性又は結合性の基を有しており、一般的には、硫黄結合部分とアルコキシシリル基、シラノール基部分を一分子中に有する化合物が用いられる。具体的には、ビス-[3-(トリエトキシシリル)-プロピル]-テトラスルフィド、ビス-[3-(トリエトキシシリル)-プロピル]-ジスルフィド、ビス-[2-(トリエトキシシリル)-エチル]-テトラスルフィド等が挙げられる。
シランカップリング剤の含有量は、共役ジエン系重合体組成物由来のシリカ系無機充填剤と、上述した追加するその他のシリカ系無機充填剤の合計100質量部に対して、0.1~30質量部が好ましく、0.5~20質量部がより好ましく、1~15質量部がさらに好ましい。マスターバッチの製造工程において、シランカップリング剤を使用した場合は、そのマスターバッチに由来するカップリング剤の量との合計量が上記範囲内にあることが好ましい。シランカップリング剤の配合量が上記範囲であると、シランカップリング剤による上記添加効果を一層顕著なものにできる。
本実施形態における共役ジエン系重合体組成物、又はマスターバッチには、加工性の改良を図るために、上述した工程(B)を実施するタイミング以外において、ゴム用軟化剤をさらに含有させてもよい。
ゴム用軟化剤としては、鉱物油、又は液状若しくは低分子量の合成軟化剤が好適である。ゴムの軟化、増容、加工性の向上を図るために使用されているプロセスオイル又はエクステンダーオイルと呼ばれる鉱物油系ゴム用軟化剤は、芳香族環、ナフテン環、及びパラフィン鎖の混合物であり、パラフィン鎖の炭素数が全炭素中50%以上を占めるものがパラフィン系と呼ばれ、ナフテン環炭素数が30~45%のものがナフテン系、芳香族炭素数が30%を超えるものが芳香族系と呼ばれている。本実施形態のマスターバッチとともに用いるゴム用軟化剤としては、適度な芳香族含量を有するものが共重合体との馴染みがよい傾向にあるため好ましい。
ゴム用軟化剤の配合量は、本実施形態の共役ジエン系重合体組成物又はマスターバッチに由来する共役ジエン系重合体を含有するゴム成分100質量部に対して、0~100質量部が好ましく、5~80質量部がより好ましく、10~50質量部がさらに好ましい。本実施形態の共役ジエン系重合体組成物又はマスターバッチの製造工程において、ゴム用軟化剤を添加した場合は、それに由来するゴム用軟化剤との合計量が上記範囲内にあることが好ましい。ゴム用軟化剤の含有量がゴム成分100質量部に対して100質量部以下であることにより、ブリードアウトを生じることを防止でき、組成物表面にベタツキを生ずることを防止できる。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物又はマスターバッチと、その他のゴム状重合体、シリカ系無機充填剤、カーボンブラックやその他の充填剤、シランカップリング剤、ゴム用軟化剤等の添加剤とを混合する方法については特に限定されるものではない。
例えば、オープンロール、バンバリーミキサー、ニーダー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶解混合後、溶剤を加熱除去する方法等が挙げられる。これらのうち、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、押出機による溶融混練法が生産性、良混練性の観点から好ましい。また、マスターバッチと各種配合剤とを一度に混練する方法、複数の回数に分けて混合する方法のいずれも適用可能である。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は、加硫剤により加硫処理を施した加硫組成物としてもよい。
加硫剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、有機過酸化物及びアゾ化合物等のラジカル発生剤、オキシム化合物、ニトロソ化合物、ポリアミン化合物、硫黄、硫黄化合物が使用できる。硫黄化合物には、一塩化硫黄、二塩化硫黄、ジスルフィド化合物、高分子多硫化合物等が含まれる。
加硫剤の使用量は、通常は、本実施形態の共役ジエン系重合体組成物に由来する共役ジエン系重合体を含むゴム成分100質量部に対して0.01~20質量部であり、0.1~15質量部が好ましい。加硫方法としては、従来公知の方法を適用でき、加硫温度は、通常120~200℃であり、好ましくは140~180℃である。
また、加硫に際しては、必要に応じて加硫促進剤を用いてもよい。加硫促進剤としては、従来公知の材料を用いることができ、以下に限定されるものではないが、例えば、スルフェンアミド系、グアニジン系、チウラム系、アルデヒド-アミン系、アルデヒド-アンモニア系、チアゾール系、チオ尿素系、ジチオカルバメート系等の加硫促進剤が挙げられる。
また、加硫助剤としては、亜鉛華、ステアリン酸等を使用できる。加硫促進剤の使用量は、通常、本実施形態の組成物に由来する共役ジエン系重合体を含有するゴム成分100質量部に対して0.01~20質量部であり、0.1~15質量部が好ましい。
実施例及び比較例における各種特性の評価方法は以下のとおりである。
後述する製造例1~4の試料B、D、F、H100mgをクロロホルムで100mLにメスアップ、溶解して測定サンプルとした。
スチレンのフェニル基によるUV254nmの吸収により結合スチレン量(質量%)を測定した(島津製作所社製、分光光度計「UV-2450」)。
後述する製造例1~4の試料B、D、F、H50mgを10mLの二硫化炭素に溶解して測定サンプルとした。
溶液セルを用いて、赤外線スペクトルを600~1000cm-1の範囲で測定して所定の波数における吸光度によりハンプトンの方法の計算式に従いブタジエン部分のミクロ構造を求めた(日本分光社製、フーリエ変換赤外分光光度計「FT-IR230」)。
ムーニー粘度計(上島製作所社製、「VR1132」)を用い、JIS K6300(ISO289-1)に準拠し、後述する製造例1~4における変性前及び変性後のムーニー粘度を測定した。
測定温度は、変性前は110℃とし、変性後は100℃とした。
まず、試料を1分間予熱した後、2rpmでローターを回転させ、4分後のトルクを測定してムーニー粘度(ML1+4)とした。
レーザー回折式粒度分布径(株式会社堀場製作所製、Partica LA-950)を用い、分散液中のシリカ系無機充填剤の平均粒径(メジアン径)を測定した。
分散液をシクロヘキサンで固形分濃度約1%に希釈し、透過性が85%~95%の推奨レベルの間になるまで調整した後、超音波で1分処理し、測定セルに投入した。
計算用の屈折率は、シクロヘキサンについては1.427、シリカ系無機充填剤については波長依存性があることを考慮し、(R)は1.457、(B)は1.470を用いた。
測定装置としてTG-DTA(日立ハイテクサイエンス社製、示差熱熱重量同時測定装置STA7200RV)を使用し、マスターバッチW(g)を外径5.0mmのアルミニウム製パンに入れ、25℃から500℃まで20℃/minの昇温速度で加熱し、マスターバッチに含まれる可燃性分を除去するため、500℃で25分保持して、質量変化が恒常的であることを確認し、残渣物であるシリカ系無機充填剤の質量WS(g)を測定した。
さらに、シリカ系無機充填剤との仕込み量比から分散剤の質量WD(g)を計算し、W(g)からの差分からポリマーの質量WP(g)を計算した。
シリカ系無機充填剤、分散剤、ポリマーの比重をそれぞれdS(g/cm3)、dD(g/cm3)、dP(g/cm3)とし、以下の式によりマスターバッチ中のシリカ系無機充填剤の体積分率φ(vol%)を算出した。
φ=(WS/dS)/[(WS/dS)+(WD/dD)+(WP/dP)]×100
測定装置としてRPA2000(ALPHA TECHNOLOGIES社製、未加硫粘弾性装置)を用い、ASTM D6204に準拠して測定した0.070%歪と1200%歪の貯蔵粘弾性(G’)値の差としてペイン効果ΔG’(MPa)を測定した。
実施例及び比較例における脱揮装置の内容積(V0)は、脱揮装置の内容積(L)を表し、スクリュー部や装置ジャケット部の容積は含まなかった。具体的には、スクリューを具備したまま、装置に接続するベント配管やフィード、原料フィード配管、重合体吐出配管等の配管と装置の接続部を全て閉じた状態で装置内に水を入れ、満液となるまで入れた水量をV0とした。
(製造例1)
内容積10Lで、内部の高さと直径の比(L/D)が4であり、底部に入り口、頂部に出口を有し、撹拌機及び温度調整用のジャケットを有するオートクレーブを2基直列に連結し、1基目を重合反応器として、2基目を変性反応器とした。
予め、水分等の不純物を除去した、1,3-ブタジエンを16.0g/分、スチレンを8.0g/分、n-ヘキサンを136.0g/分の条件で混合した。この混合溶液が1基目の反応器に入る直前で、不純物不活性化処理用のn-ブチルリチウムを0.056mmol/分でスタティックミキサーで混合した後、1基目反応器の底部に連続的に供給した。更に、極性物質として2,2-ビス(2-オキソラニル)プロパンを0.020g/分の速度で、重合開始剤としてn-ブチルリチウムを0.150mmol/分の速度で、1基目反応器の底部へ供給し、反応器出口の内温を80℃となるように重合反応を継続させた。1基目反応器出口より、変性剤添加前の重合体溶液を少量抜き出し、酸化防止剤(BHT)をポリマー100gあたり0.2gとなるように添加した後に溶媒を除去し、110℃のムーニー粘度を測定した結果、52であった。2基目の反応器の温度を85℃に保ち、変性剤としてテトラグリシジル-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン(TGAMH)を0.038mmol/分の速度で2基目反応器の底部から添加し、変性(カップリング)反応を実施した。2基目反応器の頂部から流出した重合体溶液に酸化防止剤(BHT)をポリマー100gあたり0.2gとなるように0.048g/分(n-ヘキサン溶液)で連続的に添加し、変性反応を終了させ、変性共役ジエン系重合体の15質量%溶液(試料A)を得た。
更に、試料Aに対し、スチームストリッピングにより溶媒を除去した後に乾燥機により乾燥処理を施して、変性共役ジエン系重合体の固体(試料B)を得た。
試料A及び試料Bの性状を表1に示す。
変性剤をテトラグリシジル-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサンから2,2-ジメトキシ-1-(3-トリメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン(AS-1)に替えた。その他の条件は(製造例1)と同様にして、変性共役ジエン系重合体の15質量%溶液(試料C)、及び変性共役ジエン系重合体の固体(試料D)を得た。試料B及び試料Dの性状を表1に示す。
変性剤をテトラグリシジル-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサンからN-n-ブチル-アザ-2,2-ジメトキシシラシクロペンタン(AS-2)に替えた。その他の条件は(製造例1)と同様にして、変性共役ジエン系重合体の15質量%溶液(試料E)及び、変性共役ジエン系重合体の固体(試料F)を得た。
試料E及び試料Fの性状を表1に示す。
1基目反応器の底部へ供給する極性物質2,2-ビス(2-オキソラニル)プロパンの速度を0.010g/分、重合開始剤としてのn-ブチルリチウムの速度を0.075mmol/分とし、さらに変性剤を使用しなかった以外は、(製造例1)と同様にして、共役ジエン系重合体の15質量%溶液(試料G)、及び共役ジエン系重合体の固体(試料H)を得た。
試料G及び試料Hの性状を表1に示す。
(実施例1)組成物(M1)
試料A3.9kgにシクロヘキサン15.4kgを加えて希釈し、シリカ系無機充填剤438.8gと、分散剤(1)としてn-オクチルトリエトキシシラン87.8gを加え、ホモジナイザーで10000rpm×5分攪拌し、懸濁させた。ここで配合組成比は、試料Aに含まれる変性共役ジエン系重合体100質量部に対し、シリカ系無機充填剤75質量部、分散剤(1)が15質量部であった。この液を0.5mmのジルコニア製ビーズを充填したビーズミル装置(株式会社広島メタル&マシナリー社製UAM-05)で送液量17.0kg/h、周速10m/sで6時間処理し、次いでビーズを0.1mmに替え送液量17.0kg/h、周速12m/sで6時間処理し、分散液を得た。分散液中のシリカ系無機充填剤の平均粒径(メジアン径)は520nmであった。
次いでこの分散液を、スクリュー径(D)が50mm、スクリュー径(D)に対するスクリュー長さ(L)の比率(L/D)=6.0、V0=4.0の二軸スクリュー型ニーダーに、供給口から0.83kg/minの速さで連続的に供給した。この時スクリュー回転速度とモーター駆動部から見た時の回転方向は、一方は反時計回りで50rpm、もう一方は時計回りで100rpmであった。モーター電流値は試料を供給する前はI0=7.9Aで、試料を供給した後はI1=12.0Aで、I1/I0=1.52であった。電流は周波数60Hzの交流であった。ニーダーのジャケットに180℃の熱媒オイルを供給しながら分散液を加熱した。ベント口は配管を通して真空ポンプに接続され、装置内部を100torrに保った。分散液はスクリューで搬送されながら濃縮されていき、最終的にはニーダー装置の先端上面に接続された小型押出機から排出され、固形状の組成物(M1)を得た。気化した溶剤はベント口を通り、真空ポンプ手前に設置された7℃に冷却されたコンデンサーで凝縮され、液体として回収された。組成物(M1)中のシリカ系無機充填剤の体積分率φは23.6vol%、ペイン効果ΔG’は2.3MPaであった。
試料Aの替わりに試料Cを用いた以外は実施例1と同様にして、固形状の組成物(M2)を得た。
ここで、分散液中のシリカ系無機充填剤の平均粒径(メジアン径)は490nm、脱揮装置の電流値はI1=11.9AでI1/I0=1.51であった。組成物(M2)中のシリカ系無機充填剤の体積分率φは23.6vol%、ペイン効果ΔG’は1.8MPaであった。
試料Aの替わりに試料Eを用いた以外は実施例1と同様にして、固形状の組成物(M3)を得た。
ここで、分散液中のシリカ系無機充填剤の平均粒径(メジアン径)は550nm、脱揮装置の電流値はI1=12.3AでI1/I0=1.56であった。組成物(M3)中のシリカ系無機充填剤の体積分率φは23.6vol%、ペイン効果ΔG’は2.0MPaであった。
試料Aの替わりに試料Gを用いた以外は実施例1と同様にして、固形状の組成物(M4)を得た。
ここで、分散液中のシリカ系無機充填剤の平均粒径(メジアン径)は620nm、脱揮装置の電流値はI1=12.6AでI1/I0=1.59であった。組成物(M4)中のシリカ系無機充填剤の体積分率φは23.6vol%、ペイン効果ΔG’は3.4MPaであった。
分散剤をn-オクチルトリエトキシシラン87.8gの替わりに、分散剤(1)であるn-オクチルトリエトキシシラン52.7g、及び分散剤(2)であるNXT-Z45(Momentive社製)35.1gを用いた以外は実施例1と同様にして、固形状の組成物(M5)を得た。
ここで、分散液中のシリカ系無機充填剤の平均粒径(メジアン径)は500nm、脱揮装置の電流値はI1=12.0AでI1/I0=1.52であった。組成物(M5)中のシリカ系無機充填剤の体積分率φは23.6vol%、ペイン効果ΔG’は2.2MPaであった。
分散剤をn-オクチルトリエトキシシラン87.8gの替わりに、分散剤(1)であるn-オクチルトリエトキシシラン52.7g、及び分散剤(2)であるNXT-Z45(Momentive社製)35.1gを用いた以外は実施例2と同様にして、固形状の組成物(M6)を得た。
ここで、分散液中のシリカ系無機充填剤の平均粒径(メジアン径)は510nm、脱揮装置の電流値はI1=11.8AでI1/I0=1.48であった。組成物(M6)中のシリカ系無機充填剤の体積分率φは23.6vol%、ペイン効果ΔG‘は2.2MPaであった。
分散剤をn-オクチルトリエトキシシラン87.8gの替わりに、分散剤(2)であるNXT-Z45(Momentive社製)87.8gを用いた以外は実施例1と同様にして、固形状の組成物(M7)を得た。
ここで、分散液中のシリカ系無機充填剤の平均粒径(メジアン径)は500nm、脱揮装置の電流値はI1=13.2AでI1/I0=1.67であった。組成物(M7)中のシリカ系無機充填剤の体積分率φは23.6vol%、ペイン効果ΔG’は1.9MPaであった。
分散剤をn-オクチルトリエトキシシラン87.8gの替わりに、分散剤(2)であるNXT-Z45(Momentive社製)87.8gを用いた以外は実施例2と同様にして、固形状の組成物(M8)を得た。
ここで、分散液中のシリカ系無機充填剤の平均粒径(メジアン径)は480nm、脱揮装置の電流値はI1=13.4AでI1/I0=1.70であった。組成物(M7)中のシリカ系無機充填剤の体積分率φは23.6vol%、ペイン効果ΔG’は1.1MPaであった。
分散剤を使用しなかった以外は実施例1と同様にして、固形状の組成物(M9)を得た。
ここで、分散液中のシリカ系無機充填剤の平均粒径(メジアン径)は3.4μm、脱揮装置の電流値はI1=15.6AでI1/I0=1.97であった。組成物(M9)中のシリカ系無機充填剤の体積分率φは26.0vol%、ペイン効果ΔG’は16.0MPaであった。
分散剤を使用しなかった以外は実施例6と同様にして、固形状の組成物(M10)を得た。
ここで、分散液中のシリカ系無機充填剤の平均粒径(メジアン径)は2.7μm、脱揮装置の電流値はI1=15.2AでI1/I0=1.92であった。組成物(M10)中のシリカ系無機充填剤の体積分率φは26.0vol%、ペイン効果ΔG’は15.5MPaであった。
シリカ系無機充填剤を585.0gとし、分散剤(1)であるn-オクチルトリエトキシシランを117.0gとした以外は実施例1と同様にして、固形状の組成物(M11)を得た。
ここで、分散液中のシリカ系無機充填剤の平均粒径(メジアン径)は530nm、脱揮装置の電流値はI1=15.2AでI1/I0=1.92であった。組成物(M11)中のシリカ系無機充填剤の体積分率φは31.9vol%、ペイン効果ΔG’は16.5MPaであった。
シリカ系無機充填剤を585.0gとし、分散剤(1)であるn-オクチルトリエトキシシランを117.0gとした以外は実施例2と同様にして、固形状の組成物(M12)を得た。
ここで、分散液中のシリカ系無機充填剤の平均粒径(メジアン径)は490nm、脱揮装置の電流値はI1=15.0AでI1/I0=1.90であった。組成物(M12)中のシリカ系無機充填剤の体積分率φは31.9vol%、ペイン効果ΔG’は15.1MPaであった。
シリカ系無機充填剤を292.5gとし、分散剤(1)であるn-オクチルトリエトキシシランを58.5gとした以外は実施例1と同様にして、固形状の組成物(M13)を得た。
ここで、分散液中のシリカ系無機充填剤の平均粒径(メジアン径)は530nm、脱揮装置の電流値はI1=10.2AでI1/I0=1.29であった。組成物(M13)中のシリカ系無機充填剤の体積分率φは19.0vol%、ペイン効果ΔG’は1.3MPaであった。
シリカ系無機充填剤を292.5gとし、分散剤(1)であるn-オクチルトリエトキシシランを58.5gとした以外は実施例2と同様にして、固形状の組成物(M14)を得た。
ここで、分散液中のシリカ系無機充填剤の平均粒径(メジアン径)は500nm、脱揮装置の電流値はI1=9.8AでI1/I0=1.24であった。組成物(M14)中のシリカ系無機充填剤の体積分率φは19.0vol%、ペイン効果ΔG’は0.8MPaであった。
分散剤をn-オクチルトリエトキシシラン87.8gの替わりに、分散剤(2)であるNXT-Z45(Momentive社製)を35.1g用いた以外は実施例1と同様にして、固形状の組成物(M15)を得た。
ここで、分散液中のシリカ系無機充填剤の平均粒径(メジアン径)は490nm、脱揮装置の電流値はI1=12.2AでI1/I0=1.54であった。組成物(M15)中のシリカ系無機充填剤の体積分率φは25.0vol%、ペイン効果ΔG’は4.5MPaであった。
分散剤をn-オクチルトリエトキシシラン87.8gの替わりに、分散剤(2)であるNXT-Z45(Momentive社製)を35.1g用いた以外は実施例2と同様にして、固形状の組成物(M16)を得た。
ここで、分散液中のシリカ系無機充填剤の平均粒径(メジアン径)は480nm、脱揮装置の電流値はI1=12.1AでI1/I0=1.53であった。組成物(M16)中のシリカ系無機充填剤の体積分率φは25.0vol%、ペイン効果ΔG’は3.3MPaであった。
分散液の脱揮方法を、二軸スクリュー型ニーダーによる脱揮からスチームストリッピング及びロールによる乾燥とした以外は実施例1と同様にして、固形状の組成物(M11)を得た。
組成物(M17)中のシリカ系無機充填剤の体積分率φは23.6vol%、ペイン効果ΔG’は10.8MPaであった。
分散液の脱揮方法を、二軸スクリュー型ニーダーによる脱揮からスチームストリッピング及びロールによる乾燥とした以外は実施例2と同様にして、固形状の組成物(M18)を得た。
組成物(M18)中のシリカ系無機充填剤の体積分率φは23.6vol%、ペイン効果ΔG’は10.6MPaであった。
予め180℃に加熱したバンバリー型ラボプラストミル(東洋精機製容量250cc)に、試料(B)100質量部を添加し回転数50rpmにて3分間素練りしたあと、シリカ系無機充填剤75質量部を加え回転数50rpmで混練を開始した。
内温が150℃に達した後は、160℃を超えないよう回転数を調節しながら2分間混練を継続し、排出し組成物(M19)を得た。
組成物(M19)中のシリカ系無機充填剤の体積分率φは26.0vol%、ペイン効果ΔG’は32.3MPaであった。
試料(B)の替わりに試料(D)を用いた以外は比較例1と同様にして、組成物(M20)を得た。
組成物(M20)中のシリカ系無機充填剤の体積分率φは26.0vol%、ペイン効果ΔG’は29.9MPaであった。
試料(B)の替わりに試料(F)を用いた以外は比較例1と同様にして、組成物(M21)を得た。
組成物(M21)中のシリカ系無機充填剤の体積分率φは26.0vol%、ペイン効果ΔG’は32.0MPaであった。
試料(B)の替わりに試料(H)を用いた以外は比較例1と同様にして、組成物(M22)を得た。
組成物(M22)中のシリカ系無機充填剤の体積分率φは26.0vol%、ペイン効果ΔG’は43.4MPaであった。
なお、表2、表3中の脱溶剤条件の(二軸押出)は、「二軸押出機を用いた脱溶剤操作」を意味し、(スチーム)は、「スチームストリッピングによる脱溶剤操作」を意味する。
表4及び表5に示す試料及び試薬を用いて、以下に示す条件に従い、それぞれの試料を含有するゴム組成物を得た。
組成物試料(M1~M22):すべての試料におけるシリカ系無機充填剤含有量を統一するため、マスターバッチ試料由来のシリカ系無機充填剤が、(変性)共役ジエン系重合体100質量部に対し75質量部となるよう決定した。
(変性)共役ジエン系重合体(試料B,D,F,H):100質量部(比較例9~12のみ)
シリカ系無機充填剤(エボニック デグサ社製の商品名「Ultrasil 7000GR」窒素吸着比表面積170m2/g):75.0質量部
シランカップリング剤:分散剤としてMomentive社製の商品名「NXT-Z45」を使用したマスターバッチ試料については、既にカップリング剤としての効果を有していると見なしてシランカップリング剤は加えず、「NXT-Z45」を使用していない試料については、エボニック デグサ社製の商品名「Si75」(ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)を6.0質量部加えた。
また、表4及び表5に示す組成に加えて、下記の材料を添加した。
カーボンブラック(東海カーボン社製、シーストKH(N339)):5.0質量部
S-RAEオイル(JX日鉱日石エネルギー社製の商品名「プロセスNC140」):42.0質量部
亜鉛華:2.5質量部
ステアリン酸:1.0質量部
老化防止剤(N-(1,3-ジメチルブチル)-N‘-フェニル-p-フェニレンジアミン):2.0質量部
硫黄:2.2質量部
加硫促進剤1(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフィンアミド):1.7質量部
加硫促進剤2(ジフェニルグアニジン):2.0質量部
合計:239.4~259.4質量部
温度制御装置を具備する密閉混練機(内容量0.3L)を使用し、第一段の混練として、充填率65%、ローター回転数50/57rpmの条件で、マスターバッチ試料(M1~M22)、(変性)共役ジエン系重合体、シリカ系無機充填剤、カーボンブラック、シランカップリング剤、S-RAEオイル、亜鉛華、ステアリン酸を混練した。
このとき、密閉混合機の温度を制御し、排出温度は155~160℃でゴム組成物(配合物)を得た。
次に、第二段の混練として、上記で得た配合物を室温まで冷却後、老化防止剤を加え、再度混練した。
この場合も、混合機の温度制御により、配合物の排出温度を155~160℃に調整した。
冷却後、第三段の混練として、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤を加えて混練した。
その後、成型し、160℃で20分間、加硫プレスにて加硫した。
加硫後、ゴム組成物の物性を測定した。
物性測定結果を表4及び表5に示す。
((1)配合物ムーニー粘度(配合物ムーニー粘度))
硫黄及び加硫促進剤を加えて混練した後の試料を測定対象とし、ムーニー粘度計を使用し、JIS K6300-1に準拠して、130℃、1分間の予熱を行った後に、ローターを毎分2回転で4分間回転させた後の粘度を測定した。
値が小さいほど加工性に優れることを示す。
加硫後のゴム組成物を測定試料とし、JIS K6251の引張試験法に準拠して測定し、比較例10の結果を100として指数化した。
加硫後のゴム組成物を測定試料とし、レオメトリックス・サイエンティフィック社製の粘弾性試験機「ARES」を使用し、ねじりモードで粘弾性パラメータを測定した。
各々の測定値は比較例10の結果を100として指数化した。
0℃において周波数10Hz、ひずみ1%で測定したtanδをウェットグリップ性能(表4及び表5中、0℃ tanδ (歪み 1%)と表記した。)の指標とした。
値が大きいほどウェットグリップ性能が良好であることを示す。
また、50℃において周波数10Hz、ひずみ3%で測定したtanδを省燃費特性の指標(表4及び表5中、50℃ tanδ (歪み 3%)と表記した。)とした。
値が大きいほど省燃費性能が良好であることを示す。
加硫後のゴム組成物を測定試料とし、アクロン摩耗試験機(安田精機製作所社製)を使用し、JIS K6264-2に準拠して、荷重44.1N、1000回転の摩耗量を測定し、比較例10の結果を100として指数化した。
指数が大きいほど耐摩耗性が優れることを示す。
また、比較例10の組成物と比較して、配合物ムーニー粘度が低く、加工性と加硫物の物性のバランスに優れていることが確認された。
さらに、実用十分な耐摩耗性及び破壊強度を有していることが確認された。
以上より、本実施例のマスターバッチ及びゴム組成物は、加硫物としたときに、転がり抵抗性とウェットスキッド抵抗性とのバランスに優れ、実用上十分な耐摩耗性や破壊強度を有し、かつ加工性にも優れていることが確認された。
Claims (4)
- 共役ジエン系重合体のマトリクス中にシリカ系無機充填剤が分散し、
前記シリカ系無機充填剤の、共役ジエン系重合体組成物中の体積分率φ(vol%)と、
粘弾性試験により算出されるペイン効果ΔG’(MPa)と、
が、
下記式(I)を満たす、共役ジエン系重合体組成物の製造方法であって、
ΔG’< 0.250×exp(0.162×φ) ・・・(I)
(式(I)中、ΔG’は、ASTM D6204に準拠して前記共役ジエン系重合体組成
物の0.07%歪と1200%歪を測定した時の貯蔵弾性率(G’)値の差として得られ
るペイン効果を表す。φは、共役ジエン系重合体組成物中のシリカ系無機充填剤の体積分
率(vоl%)を表す。)
共役ジエン系重合体が溶解した溶液に、シリカ系無機充填剤を分散させ、分散液を得る
工程(A)と、
前記分散液を脱溶剤する工程(C)と、
を、有し、
前記工程(A)において、シリカ系無機充填剤の分散を行い、
前記脱溶剤する工程(C)において、
回転する二軸のスクリューを有する装置へ前記分散液を搬送しながら加熱し、
前記スクリューのモーター電流値と、無負荷時における前記スクリューのモーター電流
値とが以下の式(II)を満たすようにする、
共役ジエン系重合体組成物の製造方法。
1.05≦((I1)/(I0))≦2.00 ・・・(II)
(式(II)中、I1は、前記脱溶剤する工程(C)における前記スクリューのモーター
電流値〔A〕を表し、I0は、無負荷時における前記スクリューのモーター電流値〔A〕
を表す。) - 前記工程(A)において、前記溶液に、前記シリカ系無機充填剤100質量部に対して
、分散剤を1~50質量部、添加する、
請求項1に記載の共役ジエン系重合体組成物の製造方法。 - 前記工程(A)よりも前の工程として、
共役ジエン系重合体を製造し、当該共役ジエン系重合体を変性する工程を有する、
請求項1又は2に記載の共役ジエン系重合体組成物の製造方法。 - 前記分散液を脱溶剤する工程(C)よりも前の工程として、
共役ジエン系重合体溶液又はオイルを加える工程(B)を実施する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の共役ジエン系重合体組成物の製造方法。
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