本明細書または特許請求の範囲において、三角形や四角形などの多角形に関しては、多角形の隅に角丸め、面取り、角取り、丸取り等の加工が施された形状も含めて、多角形と呼ぶものとする。また、隅(辺の端)に限らず、辺の中間部分に加工が施された形状も同様に、多角形と呼ぶものとする。つまり、多角形をベースにして加工が施された形状は、本明細書及び特許請求の範囲で記載される“多角形”の解釈に含まれるものとする。
また、多角形に限らず、台形や円形や凹凸など、特定の形状を表す言葉についても同様である。また、その形状を形成する各辺を扱う場合も同様である。つまり、ある辺において、隅や中間部分に加工が施されていたとしても、“辺”の解釈は加工された部分も含む。なお、意図的な加工が加えられていない“多角形”や“辺”を、加工された形状と区別する場合は“厳密な”を付して、例えば、“厳密な四角形”などと記載するものとする。
また、本明細書または特許請求の範囲において、ある構成要素に関し、これに該当するものが複数あり、それぞれを区別して表現する場合に、その構成要素の頭に“第1”、“第2”と付記して区別することがある。このとき、本明細書と特許請求の範囲とで区別する対象や観点が異なっていれば、本明細書における付記の態様と、特許請求の範囲における付記の態様と、が一致しないことがある。
以下に、図面を参照しながら、本明を実施するための形態を説明する。ただし、示される形態は、本発明の技術思想が具体化されたものではあるが、本発明を限定するものではない。また、以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、重複した説明は適宜省略することがある。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするために誇張していることがある。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る発光装置1の斜視図である。図2は、発光装置1の上面図である。図3は、図2のIII-III線における発光装置1の断面図である。図4は、内部構造を説明するために発光装置1から遮光部材100を除いた状態の斜視図である。図5は、図4と同様の状態における上面図である。図6は、内部構造を説明するために発光装置1からさらに、第1実施形態に係る光学部材2を除いた状態の斜視図である。図7は、図6と同様の状態における上面図である。図8は、光学部材2の斜視図である。図9は、図8と同様の状態における上面図で、透光性部材80と波長変換部材90との接合面を説明するために波長変換部材90を透過した図である。なお、図9では、波長変換部材90の外形を波線で、波長変換部材90が構成する部分を点線で記している。図10は、透光性部材80の上面図である。図11は、波長変換部材90の下面図である。なお、図11では、波長変換部材90の導電膜94を構成する部分をハッチングして記している。図12は、図9のXII-XII線における光学部材2の断面図である。図13は、透光性部材80と波長変換部材90とを接合する前の状態を示す断面図である。
発光装置1は、構成要素として、基部10、2つの半導体レーザ素子20、2つのサブマウント30、2つの光反射部材40、保護素子50、温度測定素子60、配線70、透光性部材80、波長変換部材90、及び、遮光部材100を有する。
(基部10)
基部10は、上面から下面の方向に窪んだ凹形状を有する。また、上面視で外形が矩形であり、窪みはこの外形の内側に形成される。基部10は、上面11、底面12、下面13、内側面14、及び、外側面15を有しており、内側面14と底面12とが窪んだ空間を作り上げる。また、上面視で、上面11と交わる内側面14によって矩形の枠が形成され、窪んだ空間がこの枠に囲まれる。
また、基部10は、枠の内側において2つの段差部16を形成する。ここで、段差部16は、上面と、この上面と交わり下方に進む側面と、で構成される部分を指すものとする。そのため、基部10の内側面14は、基部10の上面11と交わる側面と、段差部の側面と、を含んで構成される。
ここでは、2つの段差部16を、底面12に近い方から第1段差部161、第2段差部162、と呼ぶものとする。なお、基部10において、2つの段差部16を有していなくてもよい。例えば、段差部16は1つであってもよい。
面と面との交差については、図面から特定することができる。例えば、外側面15は、上面11及び下面13と交わる、といえる。また例えば、第1段差部161の上面は、この上面から上方に進む側面として、一部において第2段差部162の側面と交わり、他の一部において上面11に交わる側面と交わる、といえる。なお、辺と辺との交差についても同様である。
基部10は、セラミックを主材料として形成することができる。例えば、セラミックとして、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素を用いることができる。なお、セラミックに限らず、絶縁性を有する他の材料を主材料に用いて形成してもよい。
また、基部10には複数の金属膜が設けられる。基部10の上面11には6つの金属膜が、底面12には5つの金属膜が、第2段差部162の上面には2つの金属膜が設けられる。また、底面12における4つの金属膜、及び、第2段差部162の上面における2つの金属膜、のそれぞれが、基部10の内部を通る金属を介して、上面11に設けられた6つの金属膜のいずれかと繋がる。また、第1段差部161の上面にも金属膜が設けられる。
なお、金属膜が設けられる領域(場所)や数はこれに限らない。上面11や底面12に設ける金属膜の数を変えるなどしてもよい。例えば、上面11の代わりに下面13に設けてもよい。発光装置1については、基部10の底面12、第2段差部162の上面、及び、基部10の上面11に、複数の金属膜が設けられているといえる。
(半導体レーザ素子20)
半導体レーザ素子20は、上面視で長方形の外形を有する。また、長方形の2つの短辺のうちの一辺と交わる側面が、半導体レーザ素子20から放射される光の出射端面となる。また、半導体レーザ素子20の上面及び下面は、出射端面よりも面積が大きい。
なお、半導体レーザ素子から放射される光(レーザ光)は拡がりを有し、光の出射端面と平行な面において楕円形状のファーフィールドパターン(以下「FFP」という。)を形成する。ここで、FFPとは、出射端面から離れた位置における出射光の形状や光強度分布を示す。
半導体レーザ素子20から出射される光のFFPの形状は、活性層を含む複数の半導体層の層方向よりも、それに垂直な積層方向の方が長い楕円形状である。この層方向をFFPの水平方向、積層方向をFFPの垂直方向というものとする。
また、半導体レーザ素子20のFFPの光強度分布に基づいて、ピーク強度値に対する1/e2以上の強度を有する光を、主要部分の光と呼ぶものとする。また、この光強度分布の半値全幅に相当する角度を拡がり角と呼ぶものとする。FFPの垂直方向における拡がり角は垂直方向の拡がり角と呼び、FFPの水平方向における拡がり角は水平方向の拡がり角と呼ぶものとする。
半導体レーザ素子20には、例えば、青色の光を放射する半導体レーザ素子を採用することができる。ここで、青色の光は、その発光ピーク波長が420nm~494nmの範囲内にある光をいうものとする。青色の光を発する半導体レーザ素子として、窒化物半導体を含む半導体レーザ素子が挙げられる。窒化物半導体としては、例えば、GaN、InGaN、及びAlGaNを用いることができる。
(サブマウント30)
サブマウント30は、直方体の形状で構成され、下面、上面、及び、側面を有する。また、サブマウント30は上下方向の幅が最も小さい。なお、形状は直方体に限らなくてよい。サブマウント30は、例えば、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、又は炭化ケイ素を用いて形成される。なお、他の材料を用いてもよい。また、サブマウント30の上面には金属膜が設けられている。
(光反射部材40)
光反射部材40は、光を反射する2つの光反射面41を有する。光反射面41には、例えば、照射された光のピーク波長に対する光反射率が99%以上となる面が設けられる。ここでの光反射率は100%以下あるいは100%未満とすることができる。
2つの光反射面41は平面形状で、下面に対して傾斜しており、互いに下面に対する傾斜角が異なる。つまり、2つの光反射面41はいずれも、下面からみた配置関係が垂直でも平行でもない。また、2つの光反射面41は連続して繋がっており、一体的な1つの反射領域を形成する。
ここでは、下面に近い方の光反射面を第1反射面411、遠い方の光反射面を第2反射面412と呼ぶものとする。光反射部材40では、第2反射面412の傾斜角の方が、第1反射面411の傾斜角よりも大きい。例えば、第1反射面411と第2反射面412との傾斜角の差は、10度以上から60度以下の範囲にある。
なお、一体的な1つの反射領域を形成する3つ以上の光反射面41を有していてもよい。また、1つの光反射面41で1つの反射領域を形成してもよい。また、連続して繋がっていない光反射面をさらに有していてもよい。また、光反射面41の形状は、平面形状でなく曲面形状であってもよい。
光反射部材40は、その外形を形成する主材料に、ガラスや金属などを用いることができる。主材料は熱に強い材料がよく、例えば、石英若しくはBK7(硼珪酸ガラス)等のガラス、アルミニウム等の金属、又はSiを用いることができる。また、光反射面は、例えば、Ag、Al等の金属やTa2O5/SiO2、TiO2/SiO2、Nb2O5/SiO2等の誘電体多層膜を用いて形成することができる。
(保護素子50)
保護素子50は、特定の素子(例えば半導体レーザ素子)に過剰な電流が流れて破壊されてしまうことを防ぐためのものである。保護素子50としては、例えば、Siで形成されたツェナーダイオードを用いることができる。
(温度測定素子60)
温度測定素子60は、周辺の温度を測定するための温度センサとして利用される素子である。温度測定素子60としては、例えば、サーミスタを用いることができる。
(配線70)
配線70は、特定の素子(例えば半導体レーザ素子)の電気的な接続に用いられる。配線70としては、例えば、金属のワイヤを用いることができる。
(透光性部材80)
透光性部材80は、直方体の平板形状で構成され、下面と、上面と、側面とを有する。透光性部材は、光を透過する透光性を有する。ここで、透光性とは、光に対する透過率が80%以上であることとする。なお、形状は直方体に限らない。
透光性部材80は、サファイアを主材料に用いて形成することができる。サファイアは、比較的屈折率が高く、比較的強度も高い材料である。なお、主材料には、サファイアの他に、例えば、石英、炭化ケイ素、又は、ガラス等を用いることもできる。
透光性部材80の上面には、光学膜81と、2つの金属膜82と、が設けられる。また、透光性部材80の下面には、反射防止膜(AR膜)と、金属膜が設けられる。上面の金属膜82及び下面の金属膜はいずれも、面の外周領域に設けられる。そのため、透光性部材80には、上面視または下面視で、透光性を有する領域と、透光性を有さない領域と、がある。また、中央部に透光性を有する領域が設けられる。
光学膜81は、特定の波長の光を反射する反射膜を形成する。また、その他の波長の光を透過する透光膜を形成する。つまり、光学膜81は、反射及び透光のいずれの光学特性も有し、光の波長に応じて特性が異なる光学膜といえる。また、特定の波長の光を反射、あるいは、透過させる、光学フィルタとして機能する。光学膜81としては、例えば、DBR(Distributed Bragg Reflector)膜がある。なお、反射あるいは透光のいずれかの光学特性を有する光学膜、つまり、反射膜あるいは透光膜のいずれかであってもよい。
反射防止膜は、透光性部材80の下面に入射する光が、この下面で反射されることを抑制するために設けられる。反射防止膜は、反射を完全に防止するものに限られず、反射を軽減できるものであればよい。
光学膜81及び反射防止膜は、複数種類の誘電体層を積層して多層膜に形成した誘電体多層膜によって構成することができる。誘電体層としては、酸化ケイ素、酸化ニオブ、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル等を採用することができる。これらを適当に組み合わせて、目的に応じた誘電体多層膜を作成する。
(波長変換部材90)
波長変換部材90は、直方体の平板形状で構成され、下面と、上面と、側面とを有する。また、波長変換部材90は、透光性の波長変換部91と、包囲部92と、を有する。また、波長変換部91と包囲部92とが一体的に形成されている。包囲部92の内側面が波長変換部91の側面と接しており、包囲部92の外側面が波長変換部材90の側面に相当する。
波長変換部91は直方体の形状である。また、波長変換部91は、波長変換部91に入射した光を波長の異なる光に変換する。波長変換部材90は、光の照射により分解されにくい無機材料を主材料に用いて形成することができる。なお、無機材料でなくてもよい。
また、波長変換部91は、セラミックスを主材料とし、蛍光体を含有させて形成することができる。これに限らず、ガラスを主材料とする、あるいは、蛍光体の単結晶で形成するなどしてもよい。
蛍光体としては、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)、セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット(LAG)、ユウロピウム及び/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム(CaO-Al2O3-SiO2)、ユウロピウムで賦活されたシリケート((Sr,Ba)2SiO4)、αサイアロン蛍光体、βサイアロン蛍光体等が挙げられる。なかでも、耐熱性が良好な蛍光体であるYAG蛍光体を用いることが好ましい。
包囲部92は、直方体の平板の中央部分に貫通孔を有する形状である。貫通孔の領域に波長変換部91が設けられる。また、貫通孔の形状は、波長変換部91の形状に対応しており、包囲部92は波長変換部91の側面を囲う。
包囲部92は、セラミックスを主材料に用いて形成することができる。また、これに限らず、金属や、セラミックスと金属の複合体などを用いてもよい。また、包囲部92には、波長変換部91による熱を排熱する高熱伝導率の材料を用いるのが好ましい。高熱伝導率の材料が主材料に用いられた包囲部92は、波長変換部91における熱を排熱する放熱機能を有し、この観点から包囲部92に代えて放熱部材と捉えることができる。
また、包囲部92には、半導体レーザ素子20が出射した光及び蛍光体が発する蛍光を高反射率で反射する材料を用いるのが好ましい。高反射率の材料が主材料に用いられた包囲部92は、照射された光を反射する高反射性を有し、この観点から包囲部92に代えて光反射部材と捉えることができる。なお、高反射率及び高熱伝導率を有する材料としては、例えば、酸化アルミニウムが挙げられる。
波長変換部材90の下面には、反射防止膜(AR膜)93、導電膜94、及び、金属膜95が設けられる。また、導電膜94及び金属膜95は、包囲部92の下面に設けられる。また、導電膜94及び金属膜95は、反射防止膜93を介して設けられる。反射防止膜93は、透光性部材80における反射防止膜と同様の性質のもので、誘電体多層膜で構成することができる。
導電膜94は、波長変換部91に近い位置に設けられる。また、導電膜94は線状で、下面視で波長変換部91を囲うように設けられる。なお、波長変換部91の下面にまで及んでもよい。また、導電膜94は細い線状で形成されるのが好ましい。
細い線状とは、例えば、下面視で、波長変換部91の幅よりも小さい線幅となっている線の長さが波長変換部91の外周よりも長いことを示す。波長変換部91の幅は、外形が矩形の場合は短辺の幅であり、外形が楕円形の場合は短径の幅である。また、これ以外の形状の場合も、これらの例示に基づき、実質的に幅が特定される。
導電膜94は、酸化インジウムスズ(ITO)を用いて形成することができる。ITOは可視光による透過率が高い。ITOで形成された導電膜94は透光性を有し、この観点から透光性導電膜94と捉えることができる。
金属膜95は、複数の領域に分かれて設けられる。また、金属膜95は、下面視で波長変換部91を囲うように設けられる。線状の導電膜94の両端は、金属膜95の異なる領域と繋がる。導電膜94は、一端で金属膜95と繋がり、金属膜95の内側を通って波長変換部91を囲み、他端で金属膜95と繋がる。
(遮光部材100)
遮光部材100は、中央部に貫通孔が形成された形状を有する。また、下面側には、貫通孔を囲う凸形状が形成される。言い換えると、下面側において、中央部が窪んだ凹形状が形成される。
遮光部材100は、遮光性を有する樹脂によって形成される。ここで、遮光性とは光を透過しない性質を示し、光を遮る性質の他、吸収する性質や反射する性質などを利用して、遮光性を実現してもよい。例えば、樹脂に、光拡散材及び/又は光吸収材等のフィラーを含有させることで形成できる。
遮光部材100を形成する樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、BTレジン等が挙げられる。また、光吸収性のフィラーとしては、カーボンブラック等の暗色系の顔料等が挙げられる。なお、遮光部材100はこれら以外の材料で形成されてもよい。
(発光装置1)
次に、これらの構成要素を有する発光装置1の製造について説明する。
まず、基部10の底面12に2つの光反射部材40が配置される。基部10の底面12は構成要素が配置される配置面といえる。2つの光反射部材40は、それぞれ異なる金属膜の上に配置され、その下面が基部10の底面12に接合される。また、2つの光反射部材40は、点対称に配置される。また、2つの光反射部材40は、上面視で、光反射面41の上端が、基部10の内側面14または外側面15と平行あるいは垂直である。
次に、基部10の底面12に、保護素子50と温度測定素子60とが配置される。保護素子50は、2つの光反射部材40のうちの一方が配置されている金属膜に配置され、接合される。温度測定素子60は、2つの光反射部材40が配置された金属膜とは異なる金属膜の上に配置され、接合される。
次に、基部10の底面12に2つのサブマウント30が配置される。2つのサブマウント30は、それぞれ異なる金属膜の上に配置され、その下面が基部10の底面12に接合される。また、2つのサブマウント30はそれぞれ、光反射部材40が配置されている金属膜に配置される。なお、サブマウント30と光反射部材40は、異なる金属膜に配置されていてもよい。
次に、半導体レーザ素子20がサブマウント30に配置される。2つの半導体レーザ素子20は、それぞれ異なるサブマウント30の上面に配置され、その下面が接合される。また、2つの半導体レーザ素子20は、点対称に配置される。この対称となる点は、2つの光反射部材40が対称となる点と、同じ位置にある。以降の説明では、この点を、対称点と呼ぶものとする。
2つの半導体レーザ素子20は、上面視で、出射端面が、基部10の内側面14または外側面15と平行及び垂直にならない。そのため、光反射面41の上端とも、平行及び垂直にならない。つまり、半導体レーザ素子20は、上面視で、基部10の内側面14及び外側面15、または、光反射面41の上端、に対して出射端面が斜めになるように配置される。
なお、半導体レーザ素子20を斜めに配置する代わりに、光反射部材40を斜めに配置するようにしてもよい。つまり、半導体レーザ素子20を、基部10の内側面14または外側面15と平行あるいは垂直に配置し、光反射部材40を平行及び垂直にならないように配置してもよい。
2つの半導体レーザ素子20のそれぞれで、出射端面から出射された光は、対応する光反射部材40に照射される。対応する光反射部材40とは、同じ金属膜に配置されている光反射部材40である。少なくとも主要部分の光が光反射面41に照射されるように、半導体レーザ素子20は配置される。
また、対応する半導体レーザ素子20と光反射部材40との間で、光反射部材40よりも半導体レーザ素子20の方が対称点から遠い位置にある。従って、半導体レーザ素子20から出射された光は、対称点に近付く方向に進む。
なお、温度測定素子60は、2つの半導体レーザ素子20の一方に近い位置に配される。配置を対称にすることで、2つの半導体レーザ素子20の温度に大きな差が出ないようにしている。これにより、半導体レーザ素子20の数よりも少ない数の温度測定素子60で発光装置1を実現できる。
半導体レーザ素子20が配されたサブマウント30は、発光装置1において、半導体レーザ素子20から発生した熱を逃がす放熱部材としての役割を果たしている。サブマウント30を放熱部材として機能させるには、半導体レーザ素子20よりも熱伝導率の良い材料で形成すればよい。
また、サブマウント30は、発光装置1において、半導体レーザ素子の光の出射位置を調整する役割を果たすことができる。例えば、光軸を通る光が底面12と水平になるようにし、かつ、光反射面41の所定の位置に照射させたい場合に、サブマウントを調整部材として用いられる。
次に、底面12に配された各構成要素を電気的に接続するため、配線70が接合される。また、配線70は、底面12に設けられた金属膜と各構成要素とが電気的に接続するように配される。配線70によって、2つの半導体レーザ素子と保護素子50とが直列に接続する。また、温度測定素子60が、2つの半導体レーザ素子及び保護素子50とは別で、電気的に接続する。
次に、透光性部材80が基部10の上面に配置される。透光性部材80は、その下面が基部10の段差部16の上面に配置され接合される。より詳細には、第1段差部161の上面に接合される。透光性部材80の下面の外周領域に設けられた金属膜と、第1段差部161の上面に設けられた金属膜と、がAu-Sn等を介して接合し固定される。
透光性部材80が基部10に接合されることで、半導体レーザ素子20が配された閉空間が形成される。このように、発光装置1では、透光性部材80は蓋部材としての役割を果たすことができる。また、この閉空間は気密封止された状態で形成される。気密封止されることで、半導体レーザ素子20の光の出射端面に有機物等が集塵することを抑制できる。
ここで、透光性部材80は、上面に波長変換部材90が接合された状態で、基部10に接合される。そのため、透光性部材80が基部10の上面に配され、波長変換部材90が透光性部材80の上面に配される。
透光性部材80と波長変換部材90とが接合された状態の部材を、光学部材2と呼ぶものとする。透光性部材80、波長変換部材90、並びに、光学部材2の製造に関して詳述する。
透光性部材80の製造について、まず、主材料により母材を形成する。例えば、サファイアを主材料として直方体の平板形状の母材を形成する。なお、自ら形成する代わりに、形成された母材を準備してもよい。
次に、形成された母材の上面に光学膜81を形成する。ここで、光学膜81には、波長変換部91により波長変換された光を反射し、半導体レーザ素子20から出射された光を透過するDBR膜が採用される。
なお、光学膜81は、波長変換部91により波長変換された光を透過し、半導体レーザ素子20から出射された光を反射する光学膜であってもよい。また、波長変換部91により波長変換された光、及び、半導体レーザ素子20から出射された光のいずれも反射する反射膜、あるいは、いずれも透過する透光膜であってもよい。
光学膜81は、母材の上面の一部に設けられる。また、光学膜81の形成には、スパッタやフォトリソグラフィ等を利用することができる。例えば、スパッタや蒸着等により光反射膜を母材の上面全体に設けてから、上面にフォトレジストを配して除去パターンを形成し、不要な部分の光反射膜を除去することで、光学膜81は形成される。
光学膜81は、波長変換部材90と接合した場合に、上面視で波長変換部91を覆う領域に設けられる。また、形成される光学膜81の厚み(膜厚)、言い換えると下面から上面までの距離が、2.0μm以上から5.0μm以下の範囲となるように形成される。なお、自ら形成する代わりに、光学膜81が形成された母材を準備してもよい。
次に、2つの金属膜82が、透光性部材80の母材の上面であって、光学膜81の設けられていない領域に形成される。また、各金属膜82は、配線用金属膜821と、接合用金属膜822と、を有し、配線用金属膜821を設けてから接合用金属膜822が設けられる。
配線用金属膜821は、配線70が配される領域を設けるための金属膜である。配線用金属膜821は、Ti/Pt/Au(Ti、Pt、Auの順で積層した金属膜)を用いて形成することができる。なお、配線用金属膜821の形成材料はこれに限らない。例えば、Tiに替えてNiやCrを、Ptに替えてRuを用いることもできる。
接合用金属膜822は、波長変換部材90と接合する金属膜である。接合用金属膜822は、例えば、Au-Snなどの金属接着剤を用いて形成することができる。なお、接合用金属膜822の形成材料はこれに限らない。
接合用金属膜822は、配線用金属膜821の上に設けられる。また、上面視で、接合用金属膜822が設けられる領域は、一部を除いて、透光性の領域に囲まれる。上面視で、接合用金属膜822が設けられる領域の外周の90%以上が透光性の領域に囲まれるのが好ましい。透光性の領域に囲まれることで、波長変換部材90との接合の状態を容易に確かめることができる。
また、配線用金属膜821のうち、接合用金属膜822と重ならない領域を第1領域、重なる領域を第2領域とすると、第1領域と第2領域とは、一部の接続部分を除いて離れているといえる。また、一部の接続部分を除けば、第1領域は、第2領域の外側で、第2領域を囲うようにして設けられる。
なお、配線用金属膜821は、第1領域と、第2領域とで、別々の工程で形成される。また、第1領域と、第2領域とで、形成される金属膜の膜厚が異なる。配線用金属膜821の膜厚は、第1領域の方が厚く、第2領域の方が薄い(図13参照)。
配線用金属膜821において、第2領域の膜厚を、第1領域の膜厚の1/2以下にして形成することができる。但し、別々に形成する場合、第1領域と第2領域とが繋がる部分では、第1領域と第2領域を合わせた膜厚になる。なお、第1領域と第2領域とを1つの工程で形成してもよい。また、同じ膜厚で形成してもよい。
配線用金属膜821は、膜厚が、第1領域において0.3μm以上から3.5μm以下の範囲、第2領域において0.2μm以上から3.2μm以下の範囲となるように設けられる。また、接合用金属膜822は、膜厚が、3.5μm以上から10.0μm以下の範囲となるように設けられる。
また、配線用金属膜821の厚みは、光学膜81の厚みよりも小さい。配線用金属膜821の厚みは、光学膜81の厚みの1/5以下とすることができる。一方で、接合用金属膜822の厚みは、光学膜81の厚みよりも大きい。接合用金属膜822の厚みは、光学膜81の厚みの1.5倍以上とすることができる。
なお、光学膜81を形成する工程と、金属膜82を形成する工程との、工程の順番を入れ替えて、光学膜81及び金属膜82を形成することも可能である。また、自ら形成する代わりに、金属膜82、または、さらに金属膜82が形成された母材を準備してもよい。
波長変換部材90の製造について、まず、波長変換部91が形成される。波長変換部91の主材料にセラミックスを用いる場合、例えば、蛍光体と酸化アルミニウム等の透光性材料とを焼結させて形成することができる。蛍光体の含有量は、セラミックスの総体積に対して0.05体積%~50体積%とすることができる。なお、蛍光体の含有量はこれに限らなくてもよい。
また、波長変換部91は、気体の含有率が1.0%以下となるように形成される。例えば、高い圧力をかけることで内部の水分を十分に取り除いて焼結することで形成できる。言い換えれば、焼結の工程において、内部に含まれる水分を調整することで、気体の含有率を調整することができる。なお、焼結には、例えば、放電プラズマ焼結法(SPS法)やホットプレス焼結法(HP法)等を用いることができる。
次に、包囲部92によって波長変換部91を囲う。例えば、焼結体等の成形品からなる波長変換部91と、包囲部92を形成する粉粒の材料と、を一体的に成形して焼結することで、包囲部92と波長変換部91とが一体焼結体となった波長変換部材90の母材が形成される。包囲部92の主材料にセラミックスを用いる場合、例えば、酸化アルミニウムを用いることができる。
また、包囲部92は、気体の含有率が5%以上から15%以下となるように形成される。このようにすると、包囲部92の内部に形成された空隙によって光の反射率が向上する。一方で、気体の含有率が多くなると強度が弱くなるため、強度とのバランスを取る必要がある。つまり、強度とのバランスが保たれていれば、含有率はこれに限らなくてよい。なお、自ら形成する代わりに、形成された母材を準備してもよい。
次に、波長変換部91と包囲部92とで形成された波長変換部材90の母材の下面に、反射防止膜93を形成する。反射防止膜93は、下面全体に設けられる。なお、部分的に設けられてもよいが、その場合は少なくとも波長変換部91の下面には設けられるようにする。また、形成される反射防止膜93の厚みが、0.05μm以上から1.0μm以下の範囲となるように形成される。なお、自ら形成する代わりに、反射防止膜93が形成された母材を準備してもよい。
次に、波長変換部材90の母材の下面に導電膜94を形成する。導電膜94は、波長変換部材90の母材の下面との間に反射防止膜93を介して設けられる。なお、反射防止膜93を介さずに設けてもよい。また、形成される導電膜94の厚みが、0.1μm以上から1.0μm以下の範囲となるように形成される。なお、自ら形成する代わりに、導電膜94、または、さらに導電膜94が形成された母材を準備してもよい。
次に、波長変換部材90の母材の下面に金属膜95を形成する。金属膜95は、波長変換部材90の母材の下面との間に反射防止膜93を介して設けられる。また、導電膜94と重なる領域では、波長変換部材90の下面との間に導電膜94を介して設けられる。なお、反射防止膜93を介さずに設けてもよい。また、形成される金属膜95の厚みが、0.3μm以上から3.5μm以下の範囲となるように形成される。
導電膜94や金属膜95などの形成は、メタルマスクによって形成される。メタルマスクは、開口部を設けた金属板である。波長変換部材90の母材の下面にパターン化された形状を形成する場合、下面にフォトレジストを配するよりもメタルマスクを配する方が好ましい。導電膜94や金属膜95は包囲部92の下面に形成されるところ、包囲部92をセラミックなどの空隙がある材料で形成する場合には、包囲部92にフォトレジストを設けると、反射率向上のために設けた空隙にこれが侵入してしまうためである。なお、自ら形成する代わりに、金属膜95、または、さらに金属膜95が形成された母材を準備してもよい。
光学部材2は、このようにして形成された透光性部材80の上面と波長変換部材90の下面とを接合して製造される。また、波長変換部材90の包囲部92に設けられた金属膜95と、透光性部材80に設けられた金属膜82とが、接合用金属膜822を介して接合される。
具体的には、波長変換部材90の波長変換部91の直下に光学膜81が位置する状態で、波長変換部材90の金属膜95と、透光性部材80の金属膜82とを、接合用金属膜822を介して接合する。従って、光学膜81と、波長変換部とは、直接的には接合しない。
また、導電膜94の一端に繋がる金属膜95と、透光性部材80の2つの金属膜82のうちの一方の金属膜82とが、接合用金属膜822によって接合され、他端に繋がる金属膜95と、他方の金属膜82とが、接合用金属膜822によって接合される。これにより、透光性部材80の2つの金属膜82を電極として、電気的に接続することができるようになる。
このとき、透光性部材80の下面側から接合用金属膜822の接合具合を確認することができる。上述したように、接合前における接合用金属膜822は透光性の領域に囲まれて設けられており、波長変換部材90との接合によって拡がった接合用金属膜822が透光性の領域に染み出すこととなる(図12及び図13参照)。この染み出しの状態を確認することで、適切に接合されているかを判断することができる。
また、透光性部材80の接合用金属膜822よりも、この接合用金属膜822によって接合される波長変換部材90の金属膜95の方が面積は大きい。下面側からみれば、金属膜95が背景となって接合用金属膜822の染み出しを確認できるため、より的確に、金属膜95との接合を確認することができる。
透光性部材80と波長変換部材90との接合により、透光性部材80は、波長変換部91における熱を排熱する役割を果たすことができる。つまり、透光性部材80の母材は放熱性を有し、この観点から放熱部材と捉えることができる。
また、透光性部材80と波長変換部材90との接合により、2つの金属膜82と導電膜94は電気的に接続する。導電膜94は、波長変換部91の近傍においてその周りを線状の膜で囲っているため、波長変換部91に割れなどの異常が発生すると、その衝撃に対応して導電膜94にも亀裂が入るなどして電気的な接続状態に変化を与える。従って、この変化(例えば、抵抗値の大幅な上昇)を検知することで波長変換部91の異常を検知することができる。導電膜94は、波長変換部91の異常を検知するセンサである異常検知素子といえる。
また、透光性部材80の上面に設けられた光学膜81は、上面視で波長変換部91を囲う。つまり、上面視で、波長変換部91の外形は、光学膜81の外形と重なるか、光学膜81の外形の内側にある。このように配された光学膜81によって、光学膜81の方向に向かう蛍光を反射して、波長変換部91で波長変換された光を効果的に上方に出射させることができる。
また、透光性部材80の金属膜82が設けられる領域に光学膜81を設けないことで、透光性部材80と波長変換部材90との接合距離を近付けることができる。つまり、透光性部材80の母材の上面と、波長変換部材90の母材の上面と、の間の距離を短くすることができる。これにより、光を効率的に反射させることができ、光の取り出し効率に寄与する。また、波長変換部91で生じた熱に対する放熱効果が向上し、波長変換部91による変換効率の熱による低下を低減することができ、効率的に光を取り出せる。
また、透光性部材80の光学膜81は、上面視で、波長変換部材90の金属膜95と重ならないように設ける。接合用金属膜822は、接合によって潰れて厚みが薄くなるため(図12及ぶ図13参照)、このようにすることで、透光性部材80と波長変換部材90とを安定して接合させることができる。
また、接合用金属膜822は、例えば加熱により溶融し、金属膜95及び金属膜82の表面を濡れ広がる。光学膜81が金属膜82から離れていることにより、接合時において接合用金属膜822が光学膜81に付着する可能性を低減することができる。
透光性部材80と波長変換部材90とは、透光性部材の光学膜81を、波長変換部材90に当接させた状態で接合することができる。また、光学膜81は、上面視で、導電膜94と重なるように設け、光学膜81を導電膜94に当接させた状態で接合することができる。その結果、光学膜81と波長変換部91との間に空間を設けることができ、光学膜81による反射率が向上する。
なお、光学膜81が、上面視で、導電膜94と重ならないように設けてもよい。例えば、光学膜81を、波長変換部91を囲い、かつ、導電膜94の内側に設ける。こうすることで、光学膜81は導電膜94に当接せず、少なくとも波長変換部91を囲う部分の導電膜94が透光性部材80と接触しなくなるため、波長変換部91の異常を精度良く検知することができる。
透光性部材80の上面は、波長変換部材90の下面よりも大きい。また、上面視で、透光性部材80の上面は、波長変換部材90の下面を囲う。あるいは、波長変換部材90を囲う。上面視で、透光性部材80の2つの金属膜82におけるそれぞれの配線用金属膜821は、波長変換部材90の下面と重なる領域から重ならない領域に亘って設けられる。接合用金属膜822は、上面視で、波長変換部材90の下面と重ならない領域には設けられない。
このようにして、透光性部材80、波長変換部材90、並びに、光学部材2は製造される。
波長変換部材90が接合された透光性部材80が基部10に配されることで、2つの半導体レーザ素子20より出射された光、特に主要部分の光は、それぞれに対応する光反射部材40の光反射面41によって反射され、上方に配された透光性部材80を透過し、波長変換部91の下面に入射する。
波長変換部91に入射した光の一部あるいは全部は、波長変換部91によって異なる波長の光に変換される。レーザ光または波長変換された光が、波長変換部91の上面から発光装置1の外部に出射される。また、波長変換された光は、光学膜81によって反射され、発光装置1の外部に出射される。つまり、波長変換部91の上面が、発光装置1の光取出面となる。
なお、光学膜81が反射膜である場合、つまり、光学膜81が半導体レーザ素子20からの光及び波長変換部91によって波長変換された光のいずれも反射する反射膜である場合、半導体レーザ素子20からの光が波長変換部91の上面から入射するように配置するとよい。
なお、波長変換により生じる熱が特定の箇所に集中すると波長変換部91が劣化しやすいため、波長変換部91に入射する光の分布は拡散している方がよい。例えば、2つの半導体レーザ素子20のそれぞれから出射されたレーザ光の光強度の強い部分が重ならないようにするとよい。
発光装置1では、光反射部材40の光反射面41を傾斜角の異なる複数の反射面で構成することで、FFPの光強度分布よりも均一化された光が波長変換部91に入射するように制御している。
また、2つの光反射部材40の配置によって、それぞれの半導体レーザ素子から出射された光軸を通る光が、波長変換部の中心を通らないようにしている。つまり、それぞれの半導体レーザ素子から出射された光軸を通る光は、波長変換部91の入射面(下面)において重ならない。
次に、異常検知素子を電気的に接続するための配線70が接合される。配線70は、基部10の第2段差部162に設けられた金属膜と、透光性部材80の金属膜82の配線用金属膜821と、に接合される。
ここでは、半導体レーザ素子20、保護素子50,及び、温度測定素子60を電気的に接続するための配線70を第1配線71、異常検知素子を電気的に接続するための配線70を第2配線72、と呼ぶものとする。
基部10の上面11の6つの金属膜は、半導体レーザ素子20に電源を供給するための2つの金属膜と、温度測定素子60に電源を供給するための2つの金属膜と、異常検知素子に電源を供給するための2つの金属膜と、で構成される。なお、電源供給の態様はこれに限らなくてよい。例えば、温度測定素子60や異常検知素子を有さない場合は、係る金属膜も有さなくてよい。また例えば、他の目的で金属膜が利用されてもよい。
次に、遮光部材100が、基部10の上面11による枠の内側に形成される。遮光部材100は、基部10と波長変換部材90との隙間を埋めるようにして形成される。遮光部材100は、樹脂を流し込み、これを熱で硬化させることで形成できる。樹脂が隙間に入り込むことで、定型化された遮光部材100を嵌め込むよりも良好な遮光性を得ることができる。なお、半導体レーザ素子20が配される閉空間には樹脂は侵入しない。
遮光部材100は、基部10の上面11と交わる内側面14、基部10の段差部16の上面、透光性部材80の側面、透光性部材80の上面、及び、波長変換部材90の側面、に接する。また、波長変換部材90の上面には達さない。あるいは、包囲部92の上面に達したとしても、波長変換部91の上面には達さない。これにより、半導体レーザ素子20からの光が、波長変換部91(光取出面)以外の場所から漏れることを抑制できる。
また、遮光部材100は、第2配線72を内包する。つまり、遮光部材100が形成された時点で、発光装置1において第2配線72は露出しない。これにより、第2配線72を水滴等の付着から保護することができる。なお、必ずしも内包していなくてよい。
遮光部材100が形成する貫通孔には、波長変換部材90が貫通する。また、遮光部材100の下面側に形成される凸形状の突出部分は、透光性部材80の側面と、基部10の内側面14と、の間の溝に嵌る。
遮光部材100は、上面視で、基部10の上面11による枠の内側に露出していた金属領域を隠す。発光装置1において、遮光部材100は絶縁性の材料によって形成されており、絶縁部材としての役割を果たしている。これにより、外部電源による発光装置1への給電のための導通領域は、凹形状の窪んだ空間の外側に限定することができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る発光装置について説明する。図14は、第2実施形態に係る発光装置において、透光性部材280と波長変換部材90との接合面を説明するために波長変換部材90を透過した図である。図15は、透光性部材280の上面図である。図16は、図14のXVI-XVI線における光学部材202の断面図である。図17は、透光性部材280と波長変換部材90とを接合する前の状態を示す断面図である。
第2実施形態に係る発光装置は、透光性部材280が、土台部281を有する点で、第1実施形態に係る発光装置1と異なる。また、その他については、第1実施形態に係る発光装置1と同様の構成で実現できる。
(透光性部材280)
透光性部材280は、土台部281を有する。また、透光性部材280は、複数の土台部281を有する。1または複数の土台部281は、上面側に設けられる。また、1または複数の土台部281及び光学膜81は、同じ面側に設けられる。
複数の土台部281は、同じ形状を有する。なお、上面から赤面までの高さは同じであれば、異なる形状であってもよい。また、複数の土台部281には、2つの土台部281であって、上面視でそれぞれの土台部281の一点を結ぶ仮想的な直線が接合用金属膜822を通る2つの土台部281、が含まれる。
また、複数の土台部281には、2つの土台部281であって、上面視でそれぞれの土台部281における一点を結ぶ仮想的な直線が光学膜81を通る2つの土台部281、が含まれる。また、複数の土台部281には、2つの土台部281であって、上面視でそれぞれの土台部281の一点を結ぶ仮想的な直線が、接合用金属膜822及び光学膜81を通る2つの土台部281、が含まれる。
なお、2つの土台部281によってではなく、1つの土台部281によって、これらの条件のうちのいずれかを満たしてもよい。この場合、1つの土台部281における異なる2点を結ぶ仮想的な直線が、いずれかの条件を満たすこととなる。従って、1または複数の土台部281は、上面視で、1または複数の土台部281が配される領域内の2点を結ぶ仮想的な直線が、接合用金属膜822、光学膜81、あるいは、接合用金属膜822及び光学膜81を通る位置に設けられる。
また、複数の土台部281には、4つの土台部281であって、そのうちの2つの土台部281を通る仮想的な直線と、残りの2つの土台部281を通る仮想的な直線と、が、光学膜81が設けられる領域内で互いに交わる、4つの土台部281が含まれる。なお、この条件も同様に、1つの土台部281で満たしてもよい。
透光性部材280における、1または複数の土台部281が設けられる領域と、接合用金属膜822が設けられる領域と、は異なる。言い換えれば、接合用金属膜822が設けられる領域に、土台部281は設けられない。
また、透光性部材280において、1または複数の土台部281は、配線用金属膜821が設けられる領域内であって、かつ、接合用金属膜822が設けられていない領域に設けられる。例えば、1または複数の土台部281は、配線用金属膜821の第1領域内に設けられる。
また、1または複数の土台部281は、接合用金属膜822よりも、光学膜81から遠い位置に設けられる。言い換えると、土台部281は、光学膜81の任意の点と接合用金属膜822の任意の点を結ぶどのような直線の線分も通らない位置に設けられる。なお、接合用金属膜822よりも、光学膜81から近い位置に設けられる土台部281を有していてもよい。
土台部281の形成は、光学膜81の形成と合わせて行うことができる。例えば、透光性部材280の母材の上面全体に設けられた光反射膜を部分的に除去して光学膜81を形成するときに、土台部281を形成する領域にも光反射膜が残るようにする。土台部281を形成する領域に残った光反射膜の上に金属膜82が設けられ、土台部281が形成される。
なお、土台部281を形成する方法はこれに限らない。例えば、母材の上面に設けられた金属膜82の上に、土台を形成してもよい。
(発光装置)
第2実施形態に係る発光装置は、透光性部材280と波長変換部材90とが接合した光学部材202を有する。光学部材202は、第1実施形態に係る発光装置1と同様の方法で実装することができる。
光学部材202において、透光性部材280が有する1または複数の土台部281は、上面視で、波長変換部材90と重なる位置に設けられる。また、1または複数の土台部281は、上面視で、波長変換部材90の外側には設けられない。そのため、1または複数の土台部281は、上面視で露出しない。
また、1または複数の土台部281は、上面視で、波長変換部材90の導電膜94と重ならない位置に設けられる。また、1または複数の土台部281は、上面視で、波長変換部材90の金属膜95と重ならない位置に設けられる。
また、1または複数の土台部281は、上面視で、波長変換部材90において絶縁性を有する領域と重なる位置に設けられる。また、1または複数の土台部281は、上面視で、波長変換部材90の反射防止膜93と重なる位置に設けられる。このような位置に配することで、導電性の材料で土台部281が形成されていても、意図しない導通を避けることができる。
1または複数の土台部281は、導電膜94の下面よりも上方に位置する。また、1または複数の土台部281は、金属膜95の下面よりも上方に位置する。これにより、導電膜94または金属膜95に土台部281を接触させる場合に比べて、光学膜81は波長変換部91に近付くため、効率的に光を取り出すことができる。
透光性部材280が1または複数の土台部281を有することで、波長変換部材90と接合するときに、光学膜81から波長変換部91までの距離のばらつきを抑制することができる。つまり、接合の際に接合用金属膜822は潰れるが、その度合いにばらつきがあったとしても、土台部281が波長変換部材90に接触する位置よりも、透光性部材280と波長変換部材90の距離は縮まらない。距離のばらつきが抑制されることで、波長変換部91から出射される光の色合いのばらつきが抑制される。
以上、説明してきたが、明細書により開示された技術的特徴を有した本発明は、明細書の実施形態で説明した構造に限られるわけではない。例えば、実施形態に開示のない構成要素を有する場合においても本発明は適用され得るものであり、開示された構造と部分的に違いがあることは本発明を適用できないことの根拠とはならない。
このことはつまり、実施形態により開示された全ての構成要素を必要十分に備えることを必須としないものであっても、本発明が適用され得ることを示す。例えば、特許請求の範囲に、実施形態により開示された発光装置の一部の構成要素が記載されていなかった場合、その構成要素については、本実施形態に開示されたものに限らず、代替、省略、形状の変形、材料の変更などといった当業者による設計の自由度を認め、その上で特許請求の範囲に記載された発明が適用されることを請求するものである。