以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態は、例示であり、本開示による発光装置の構成およびその製造方法は、以下の実施形態に限られない。例えば、以下の実施形態で示される数値、形状、材料、ステップ、そのステップの順序などは、あくまでも一例であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の改変が可能である。
図面が示す構成要素の寸法、形状等は、わかり易さのために誇張されている場合があり、実際の発光装置における寸法、形状、および、構成要素間の大小関係を反映していない場合がある。また、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略することがある。
以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。以下の説明では、特定の方向または位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」およびそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。しかしながら、それらの用語は、参照した図面における相対的な方向または位置をわかり易さのために用いているに過ぎない。参照した図面における「上」、「下」等の用語による相対的な方向または位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品等において、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。本開示において「平行」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺、面等が0°から±5°程度の範囲にある場合を含む。また、本開示において「垂直」または「直交」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺、面等が90°から±5°程度の範囲にある場合を含む。
(第1の実施形態)
図1~図5Bは、本開示の第1の実施形態による発光装置を示す。参考のために、図1~図5Bには、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印が示されている。本開示の他の図面においてもこれらの矢印を示すことがある。
図1は、本開示の第1の実施形態による発光装置100Aを上面100a側から見た斜視図であり、図2は、図1に示す発光装置100Aの上面図である。図1および図2に例示する構成において、発光装置100Aは、全体として直方体形状を有する。ここでは、直方体形状の互いに垂直な3つの辺は、それぞれ、X方向、Y方向およびZ方向に平行であり、図2に示すように、図のZ方向に沿って見たときの発光装置100Aの形状は、例えば正方形である。図のZ方向に沿って見たときの発光装置100Aの一辺の長さは、例えば、1mm~2.5mm程度であり得る。
発光装置100Aは、発光素子110と、第1の反射性樹脂部121と、透光性部材130Aとを含む。図1および図2に例示する構成において、発光素子110は、発光装置100Aのほぼ中央に位置する。発光素子110としては、LED(Light Emitting Diode)等の公知の半導体発光素子を利用することができる。第1の反射性樹脂部121は、発光装置100Aの底部に位置し、図のXY面に平行に拡がる層状を有する。透光性部材130Aは、発光素子110を覆っており、この例では、透光性部材130Aは、発光素子110を覆う波長変換層132Aと、波長変換層132A上の透光層134Aとを含んでいる。
図3は、発光装置100Aの下面100bを示す。発光素子110は、サファイア基板等の透光性基板および透光性基板上の半導体層を含む積層構造体112と、正極115および負極116とを有する。積層構造体112中の半導体層は、活性層と、活性層を挟むn型半導体層およびp型半導体層とを含む。正極115および負極116は、積層構造体112の半導体層に電気的に接続されており、半導体層に電流を供給する機能を有する。
図3に示すように、正極115の下面および負極116の下面は、発光装置100Aの下面100bに位置し、これらのそれぞれの少なくとも一部が、発光装置100Aの下面100bに位置する第1の反射性樹脂部121の下面から露出されている。すなわち、第1の反射性樹脂部121は、発光素子110の下面のうち、正極115および負極116が配置された領域以外の領域を覆う。
後述するように、第1の反射性樹脂部121は、例えば光反射性のフィラーが分散された樹脂材料から形成される。第1の反射性樹脂部121の、発光素子110からの光に対する反射率は、例えば60%以上である。発光素子110からの光に対する反射率は、70%以上、80%または90%以上であってもよく、適宜に設定され得る。発光素子110の下面のうち、正極115および負極116が配置された領域以外の領域を第1の反射性樹脂部121で覆うことにより、発光装置100Aの下面100b側に向かう光を第1の反射性樹脂部121によって発光装置100Aの上面100a側に反射させることができる。すなわち、発光装置100Aの下面100bからの光漏れを抑制して、光の取出し効率を向上させることが可能である。
正極115および負極116は、例えば、Ag、Al、Au、Cu、Ti、Ni、Pt、Pd、W等の金属または合金の単層膜または積層膜である。正極115および負極116をはんだ等の接合部材によって例えば配線基板に物理的および電気的に接続することにより、発光装置100Aを配線基板に実装することができる。すなわち、発光装置100Aは、フリップチップ接続に適合するように構成されている。
図3に示す、正極115および負極116の形状は、あくまでも例示である。図3に示すように、第1の反射性樹脂部121から露出された部分の形状を正極115と負極116との間で互いに異ならせることにより、2つの電極のいずれが正極115であるかを区別しやすくなる。
図4は、図3のIV-IV断面を模式的に示す。図4に示すように、発光素子110は、上面110aと、下面110bと、上面110aおよび下面110bの間に位置する側面110cとを有し、正極115および負極116は、下面110bに位置している。ここでは、正極115および負極116の下面と、第1の反射性樹脂部121の下面とは、整合しており、したがって、発光装置100Aの下面100bは、ここでは平坦面である。
発光素子110は、透光性部材130Aによって覆われている。発光素子110から発せられた光は、透光性部材130Aを介して発光装置100Aの外部に取り出される。上述したように、ここでは、透光性部材130Aは、発光素子110を覆う波長変換層132Aおよび透光層134Aを含んでいる。なお、発光素子110を覆う透光性部材は、波長変換層および透光層の少なくとも一方を含んでいればよく、後述するように、これらのうちの一方が省略されることもあり得る。
図4に模式的に示すように、波長変換層132Aは、発光素子110の上面110aと、側面110cとを覆っている。この例では、第1の反射性樹脂部121の上面121aが発光素子110の上面110aよりも低い位置にあるので、波長変換層132Aの一部が図のZ方向に突出している。
波長変換層132Aは、例えば樹脂中に蛍光体の粒子等の波長変換部材が分散された層である。波長変換層132Aは、発光素子110から出射する光の少なくとも一部を吸収し、発光素子110からの出射光の波長とは異なる波長の光を発する。なお、発光素子110から出射された光の一部は、そのまま波長変換層132Aを通過して透光層134Aに入射する。
透光層134Aは、波長変換層132Aを覆っており、透光性を有する。なお、本明細書において、「透光性」および「透光」の用語は、入射した光に対して拡散性を示すことをも包含するように解釈され、「透明」であることに限定されない。透光層134Aは、蛍光体等の波長変換部材を実質的に含まない点で波長変換層132Aから区別される。発光素子110の発光ピーク波長における、透光層134Aの透過率は、典型的には、60%以上である。光を有効に利用する観点から、発光素子110の発光ピーク波長における透光層134Aの透過率が70%以上であると有益であり、80%以上であるとより有益である。
図5Aは、図4中に破線の円Vで示された部分およびその周辺の拡大図である。図5Aは、第1の反射性樹脂部121の例示的な形状を示している。上述したように、第1の反射性樹脂部121は、発光素子110の下面110bのうち正極115および負極116が配置された領域以外の領域を覆う。図5Aからわかるように、第1の反射性樹脂部121は、負極116の側面116cと、図5Aにおいて不図示の正極115の側面とをも覆う。
図5Aに例示する構成において、第1の反射性樹脂部121の上面121aは、平坦部121fと、曲面部121wとを含む。平坦部121fと比較して、曲面部121wは、発光素子110の側面110cのより近くに位置し、発光素子110の側面110cに接している。この例では、平坦部121fは、Z方向において、発光素子110の積層構造体112の上面112aと、積層構造体112の下面112bとの間に位置する。第1の反射性樹脂部121の形状は、この例に限定されず、平坦部121fが、Z方向において積層構造体112の下面112bよりも第1の反射性樹脂部121の下面121bの近くに位置することもあり得る。なお、積層構造体112の上面112aは、発光素子110の上面110aと一致する。
また、この例では、曲面部121wと発光素子110の側面110cとの接点Ctは、Z方向において、平坦部121fよりも積層構造体112の上面112aの近くに位置している。換言すれば、図5Aに示す例では、接点Ctは、Z方向において、平坦部121fよりも第1の反射性樹脂部121の下面121bから遠くに位置している。
図5Bは、第1の反射性樹脂部121の他の例示的な形状を示す。図5Bに例示するように、接点Ctが、Z方向において、平坦部121fよりも第1の反射性樹脂部121の下面121bの近くに位置していてもよい。
(第1の実施形態の変形例)
図6~図10は、本開示の第1の実施形態による発光装置の変形例を示す。図6は、本開示の第1の実施形態による発光装置の変形例である発光装置100Bを上面100a側から見た斜視図であり、図7は、図6に示す発光装置100Bの上面図である。図6および図7に示す発光装置100Bと、上述の発光装置100Aとの間の主な相異点は、発光装置100Bが、第1の反射性樹脂部121に加えて第2の反射性樹脂部122を有し、透光性部材130Aに代えて透光性部材130Bを有する点である。
図6に示すように、発光装置100Bは、第1の反射性樹脂部121および第2の反射性樹脂部122を含む光反射部材120Bを有する。第2の反射性樹脂部122は、図のX方向に間隔をあけて配置された第1部分122aと第2部分122bとを含む。第1部分122aおよび第2部分122bは、第1の反射性樹脂部121よりも大きな厚さを有する。第1部分122aおよび第2部分122bのそれぞれは、図のY方向に延びる壁状の構造であり、この例では、第1の反射性樹脂部121は、第1部分122aおよび第2部分122bの間に挟まれている。後述するように、第2の反射性樹脂部122は、第1の反射性樹脂部121を形成するための材料と同様の材料から形成され得る。第2の反射性樹脂部122の、発光素子110からの光に対する反射率は、第1の反射性樹脂部121と同様に、例えば60%以上、70%以上、80%または90%以上である。
透光性部材130Bは、上述の透光性部材130Aと同様に、発光素子110を覆う波長変換層132Bと透光層134Bとを含んでいる。図6に示すように、波長変換層132Bおよび透光層134Bは、第1の反射性樹脂部121の上面121aと、第2の反射性樹脂部122の第1部分122aおよび第2部分122bの内側面とによって規定される空間Cvの内側に位置する。
波長変換層132Bは、発光素子110および第1の反射性樹脂部121を覆う。ここでは、透光層134Bは、空間Cvのうち波長変換層132Bおよび発光素子110以外の部分を占めている。換言すれば、透光層134Bの上面は、発光装置100Bの上面100aの一部を構成し、透光層134Bの側面は、発光装置100Bの側面のうち、図のZX面に平行な側面の一部を構成する。発光素子110から発せられた光は、波長変換層132Bを介して、または、透光層134Bをさらに介して発光装置100Bの外部に取り出される。
図8は、発光装置100Bの下面100bを示し、図9は、図6のIX-IX断面を模式的に示す。上述の発光装置100Aと同様に、第1の反射性樹脂部121は、発光素子110の下面110bのうち、正極115および負極116が配置された領域以外の領域を覆う。なお、図8および図9では、第1の反射性樹脂部121と、第2の反射性樹脂部122の第1部分122aとの間の境界、および、第1の反射性樹脂部121と、第2の反射性樹脂部122の第2部分122bとの間の境界を破線Bdによって示している。ただし、実際の発光装置においては、これらの境界を明瞭に観察できないこともあり得る。例えば、第1の反射性樹脂部121および第2の反射性樹脂部122を同一の材料で形成した場合には、第1の反射性樹脂部121および第2の反射性樹脂部122の間の境界を明確に画定できないこともある。
図10は、図8のX-X断面を模式的に示す。図10中に破線の円Wで示された部分およびその周辺の構成は、図5Aおよび図5Bを参照して説明した、図4中に破線の円Vで示された部分およびその周辺の構成と同様であり得る。したがって、ここでは、図10中に破線の円Wで示された部分およびその周辺の図示を省略する。図5Aおよび図5Bを参照して説明した例と同様に、発光装置100Bの第1の反射性樹脂部121の上面121aは、平坦部121fと、発光素子110の側面110cのより近くに位置する曲面部121wとを有し得る。
(第1の実施形態による発光装置の例示的な製造方法)
次に、本開示の実施形態による発光装置の製造方法の例を説明する。
図11は、本開示のある実施形態による発光装置の製造方法の概要を示すフローチャートである。図11に例示された発光装置の製造方法は、概略的には、第1の支持体上に未硬化の第1の反射性樹脂材料を付与する工程(ステップS1)と、下面側に正極および負極を有する発光素子を、少なくとも正極および負極が第1の反射性樹脂材料に埋没されるように、第1の支持体上に配置し、第1の反射性樹脂材料を硬化させることによって第1の反射性樹脂層を得る工程(ステップS2)と、第1の支持体を除去する工程(ステップS3)とを含む。以下に説明するように、本開示の実施形態によれば、第1の反射性樹脂部121を有する発光装置をより簡易な方法で形成可能である。
以下、図12~図27を参照しながら、第1の実施形態による発光装置の例示的な製造方法を説明する。
まず、図12に示すように、第1の支持体である支持体10を準備する。支持体10としては、例えば粘着シートを用いることができる。ここでは、リングフレーム31に貼りつけられた耐熱性の粘着シートを支持体10として用いる。支持体10としての耐熱性の粘着シートは、日東電工株式会社または大日本印刷株式会社等から入手可能であり、例えば、日東電工株式会社製 PW-3610Aを用いることができる。
次に、支持体10の上面10aに、未硬化の第1の反射性樹脂材料21を付与する。ここでは、支持体10の上面10aにリング状のシムスペーサ32を配置し、その後、シムスペーサ32で囲まれた領域に第1の反射性樹脂材料21を付与している。
第1の反射性樹脂材料21としては、光反射性のフィラーが分散された樹脂材料を用いることができる。光反射性のフィラーとしては、金属の粒子、または、光反射性のフィラーを分散させる樹脂材料よりも高い屈折率を有する無機材料もしくは有機材料の粒子を用いることができる。光反射性のフィラーの例は、二酸化チタン、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライト、酸化ニオブ、硫酸バリウムの粒子、または、酸化イットリウムおよび酸化ガドリニウム等の各種希土類酸化物の粒子等である。光反射性のフィラーを分散させる樹脂材料としては、例えば、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂もしくはフッ素樹脂、または、これらの樹脂の2種以上を含む樹脂を用いることができる。
第1の反射性樹脂材料21の層の厚さは、シムスペーサ32の厚さによって調整可能である。第1の反射性樹脂材料21の層の厚さは、例えば、10μm以上90μm以下程度の範囲であり、発光素子110の正極115および負極116の厚さに応じて適宜調整され得る。
次に、正極115および負極116を有する発光素子110を準備する。その後、発光素子110の下面110bを下側にして、換言すれば、下面110bを支持体10に向けて、発光素子110を支持体10上に配置する。このとき、図13において太い矢印Psで模式的に示すように、発光素子110を支持体10に向けて押しつけ、少なくとも正極115および負極116を第1の反射性樹脂材料21に埋没させる。典型的には、正極115および負極116の表面が支持体10の上面10aに接するまで正極115および負極116を第1の反射性樹脂材料21に埋没させる。
次に、第1の反射性樹脂材料21を硬化させる。発光素子110を支持体10に向けて押しつけながら発光素子110を支持体10上に配置することにより、第1の反射性樹脂材料21のうち、正極115および負極116と、支持体10との間にある部分を正極115および負極116によって押しのけることができる。この状態で第1の反射性樹脂材料21を硬化させることにより、図14に示すように、発光素子110の下面110bのうち正極115および負極116に挟まれた領域上に位置する部分を含む第1の反射性樹脂層121Lを形成することができる。このとき、正極115および負極116の表面を支持体10の上面10aに接触させた状態で第1の反射性樹脂材料21を硬化させることにより、正極115の下面の少なくとも一部と、負極116の下面の少なくとも一部とを第1の反射性樹脂層121Lから露出させることができる。ただし、第1の反射性樹脂層121Lの形成の時点で、正極115の下面と、負極116の下面とが第1の反射性樹脂層121Lから露出させられていることは必須ではない。
硬化前の第1の反射性樹脂材料21がAステージの状態であると、Bステージの状態の第1の反射性樹脂材料21に正極115および負極116を埋没させた場合と比較して、第1の反射性樹脂部121の発光素子110からの剥離が生じにくくなるので有益である。また、樹脂材料に光反射性のフィラーを分散させ、粘度が上昇した場合であっても、第1の反射性樹脂材料21の層を例えば塗布または印刷によって比較的容易に形成でき、結果として、発光装置の下面100bに位置する第1の反射性樹脂部121を比較的容易に形成することが可能になる。
なお、ここでは、支持体10上に複数の発光素子110を配置している。支持体10上に複数の発光素子110を配置することにより、より効率的に複数の発光装置を提供し得る。図14では、紙面の左右方向に沿って複数の発光素子110が配置されているが、紙面に垂直な方向に沿っても複数の発光素子110が配置され得る。言うまでもないが、支持体10上に配置する発光素子110の数が1つであってもかまわない。この場合には、第1の反射性樹脂材料21を硬化させた段階で、上述の第1の反射性樹脂部121を得ることが可能である。
次に、発光素子110を覆う透光構造体を形成する。ここでは、図15に示すように、まず、波長変換層132Lを形成する。なお、図15に示す例では、支持体10に支持された複数の発光素子110を覆うように、波長変換層132Lを第1の反射性樹脂層121L上に配置している。波長変換層132Lは、例えば、蛍光体の粒子が分散された樹脂材料中の樹脂をBステージの状態とした蛍光体シートを複数の発光素子110上に配置し、Bステージの状態の樹脂を硬化させることによって形成できる。発光素子110および第1の反射性樹脂層121Lと蛍光体シートとの間に透光性の接着剤を介在させてもよい。あるいは、蛍光体、シリコーン樹脂等の樹脂材料、無機フィラー粒子および溶媒を含有するスラリーを、スプレー法、キャスト法、ポッティング法、ディップコーティング法等の塗布法によって発光素子110上および第1の反射性樹脂層121L上に付与し、付与された材料を硬化させることによって波長変換層132Lを形成してもよい。
蛍光体には、公知の材料を適用することができる。蛍光体の例は、YAG系蛍光体、KSF系蛍光体等のフッ化物系蛍光体およびCASN等の窒化物系蛍光体、βサイアロン蛍光体等である。YAG系蛍光体は、青色光を黄色光に変換する波長変換部材の例であり、KSF系蛍光体およびCASNは、青色光を赤色光に変換する波長変換部材の例であり、βサイアロン蛍光体は、青色光を緑色光に変換する波長変換部材の例である。蛍光体は、量子ドット蛍光体であってもよい。蛍光体の粒子を分散させる樹脂材料としては、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂もしくはフッ素樹脂、または、これらの樹脂の2種以上を含む樹脂を用いることができる。発光素子110が、波長変換層132L中の波長変換部材を効率良く励起できる短波長の光を出射することが可能な窒化物半導体(InxAlyGa1-x-yN、0≦x、0≦y、x+y≦1)を含んでいると有益である。
次に、波長変換層132Lを覆う透光層134Lを形成する。ここでは、波長変換層132L上に透光性の樹脂材料を付与し、樹脂材料を硬化させることにより、波長変換層132Lを覆う透光層134Lを形成している。これにより、発光素子110を覆う、波長変換層132Lおよび透光層134Lの積層構造を有する透光構造体130Lが得られる。
透光層134Lは、例えば、図16Aに示すように波長変換層132L上に樹脂枠34を形成し、樹脂枠34の内側を透光性の樹脂材料で充填し、樹脂材料を硬化させることによって形成できる。透光層134Lの形成するための樹脂材料としては、例えば、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、トリメチルペンテン樹脂もしくはポリノルボルネン樹脂、または、これらの2種以上を含む材料を適用し得る。透光層134Lを形成するための樹脂材料に、例えば、屈折率の異なる材料を分散させることにより、透光層134Lに光拡散機能を与えてもよい。
次に、支持体10およびシムスペーサ32を除去し、図16Bに示すように、支持体10から分離された構造の上下を反転させて支持体20上に配置する。すなわち、ここでは、透光構造体130L中の透光層134Lが支持体20の上面20aに対向している。図16Bに示すように、支持体20は、リングフレーム31によって支持され得る。支持体20としては、紫外線の照射によって粘着力の低下する、UVテープを適用することができる。
次に、必要に応じて、支持体20に支持された構造を、第1の反射性樹脂層121L側から例えば20μm~40μm程度研削する。発光素子110の正極115および負極116が第1の反射性樹脂層121Lによって覆われている場合には、この研削の工程により、正極115および負極116を研削面から露出させることができる。このとき、研削によって、第1の反射性樹脂層121Lの一部とともに正極115および負極116の一部が除去されてもかまわない。
次に、支持体20を除去し、図16Cに示すように、支持体20から分離された構造を支持体30上に配置する。このとき、支持体20から分離された構造を、透光構造体130L中の透光層134Lが支持体30の上面30aに対向するようにして支持体30上に配置する。支持体30としては、支持体20と同様に、公知のUVテープを用いることができる。
図16Cに例示するように、正極115の下面および負極116の下面を覆う金属膜118を形成してもよい。金属膜118の材料として、正極115および負極116を構成する材料よりも耐腐食性および/または耐酸化性に優れた材料を選択すると有益である。例えば、腐食しにくい材料で正極115および負極116を被覆することにより、正極115および負極116の腐食を抑制することができる。
正極115の下面および負極116の下面を覆う金属膜118の材料の例は、Pt等の白金族元素またはAuである。金属膜118は、単層膜であってもよいし、積層膜であってもよい。発光装置がはんだによって配線基板等に接続される場合には、はんだが接する最表面がAu膜であると、はんだに対する濡れ性が向上する。金属膜118が、高融点の金属、例えば、Ru、Mo、Ta等から形成された層を含んでいると、そのような層が、はんだに含まれるSnの拡散を低減させる拡散防止層として機能し得るので有益である。換言すれば、正極115もしくは負極116、または、金属膜118のうち正極115または負極116に近い層への、はんだに含まれるSnの拡散を低減させ得る。このような拡散防止機能を備える積層構造としては、正極115または負極116から順にNi/Ru/Au、Ti/Pt/Au等を積層した構造が挙げられる。拡散防止層として機能する例えばRu膜の厚さは、例えば、10Å~1000Å程度である。なお、以降の図面では金属膜118の図示を省略する。
次に、支持体30上の構造を支持体30から分離して、図16Dに示すように、支持体40上に配置する。このとき、支持体30から分離された構造を、透光層134Lが支持体40の上面40aに対向するようにして支持体40上に配置する。支持体40としては、支持体20、支持体30と同様に、公知のUVテープ、例えば、ダイシングテープを用いることができる。
次に、図16Dおよび図17中に破線Dcで模式的に示すように、複数の発光素子110間で第1の反射性樹脂層121Lおよび透光構造体130Lを切断する。ここでは、例えばダイシング装置によって第1の反射性樹脂層121L、波長変換層132Lおよび透光層134LをX方向およびY方向に沿って切断する。X方向およびY方向に沿った切断後、支持体40を除去することにより、図1に示す発光装置100Aが得られる。
ここで説明した例では、第1の反射性樹脂層121L上に波長変換層132Lおよび透光層134Lを順次に形成している。ただし、上述したように、本開示の実施形態による製造方法において、波長変換層132Lおよび透光層134Lの両方を形成することは必須ではなく、これらのうちの一方の形成を省略することも可能である。
例えば、発光素子110を覆う波長変換層132Lの形成の工程において、図18に示すように、第1の反射性樹脂層121L上に樹脂枠34を設け、樹脂枠34の内側を波長変換層132Lの材料で充填して、充填された材料を硬化させて透光構造体としての波長変換層132Lを得てもよい。その後、図18中に破線Dcで模式的に示すように、複数の発光素子110間の位置で第1の反射性樹脂層121Lおよび波長変換層132Lを切断すれば、図19に例示するような、波長変換層132Lの一部を透光性部材130Cとして有する複数の発光装置100Cが得られる。樹脂枠34の内側を波長変換層132Lの材料で充填することに代えて、例えばトランスファー成形等を適用してもよい。
あるいは、図20に示すように、波長変換層132Lの形成の工程を省略して、発光素子110を覆う透光層134Lを透光構造体として第1の反射性樹脂層121L上に形成してもよい。その後、図20中に破線Dcで模式的に示すように、複数の発光素子110間の位置で第1の反射性樹脂層121Lおよび透光層134Lを切断すれば、図21に例示するような、透光層134Lの一部を透光性部材130Dとして有する複数の発光装置100Dが得られる。なお、図18および図20では、複数の発光素子110が支持体10によって支持された状態で個片化が実行されるように図示されているが、図16B~図16Dを参照して説明したように、支持体10上の構造を反転させて他の支持体上に配置し、第1の反射性樹脂層121Lの研削、金属膜118の形成等を実行した後に個片化してもよい。
次に、図6に示す発光装置100Bの例示的な製造方法を説明する。発光素子110を波長変換層132Lおよび透光層134Lの少なくとも一方で覆い、正極115および負極116を第1の反射性樹脂層121Lから露出させるまでの工程は、図12~図16Bを参照して説明した工程と同様であり得るので、ここでは、これらの工程の図示および詳細な説明を省略する。
正極115および負極116を第1の反射性樹脂層121Lから露出させ、必要に応じて金属膜118を形成した後(図16C参照)、図16D中に破線Dcで模式的に示すように、複数の発光素子110間で第1の反射性樹脂層121Lおよび透光構造体130Lを切断する。ただし、ここでは、図22中に破線Dcで模式的に示すように、X方向に沿った切断を実行することにより、それぞれが複数の発光素子110を含む複数の発光体200を形成する。
次に、支持体40を除去し、図23および図24に示すように、支持体40から分離された複数の発光体200を第2の支持体である支持体50上に配置する。このとき、図23に示すように、正極115および負極116が支持体50に接触するようにして、互いに間隔をあけて複数の発光体200を支持体50上に配置する。正極115および負極116上に金属膜118を形成した場合には、金属膜118が支持体50に接触するようにして、互いに間隔をあけて複数の発光体200を支持体50上に配置すればよい。支持体50としては、支持体10と同様に耐熱性の粘着シートを用いることができる。支持体50は、例えばリングフレームに支持され得る。
次に、図25に示すように、支持体50上の複数の発光体200を未硬化の第2の反射性樹脂材料22で覆う。複数の発光体200を第2の反射性樹脂材料22で覆った後、第2の反射性樹脂材料22を硬化させる。第2の反射性樹脂材料22を硬化させることにより、発光体200を覆う樹脂層を形成することができる。第2の反射性樹脂材料22としては、第1の反射性樹脂材料21と同様に、光反射性のフィラーが分散された樹脂材料を用いることができる。第2の反射性樹脂材料22と上述の第1の反射性樹脂材料21とが同一である必要はない。例えば、第2の反射性樹脂材料22と第1の反射性樹脂材料21との間で光反射性のフィラーの含有量が異なっていてもよい。
発光体200を覆う樹脂層の形成は、例えばトランスファー成形によって実行される。圧縮成形法を適用する場合、エポキシ系またはシリコーン系の粉状のモールドコンパウンド等を用いてもよい。あるいは、支持体50上に樹脂枠を形成し、樹脂枠の内側を第2の反射性樹脂材料22で充填することによって第2の反射性樹脂材料22を付与してもよい。
次に、図26に示すように、支持体50を除去し、支持体50から分離された構造を支持体60上に配置する。支持体60としては、支持体20と同様に、公知のUVテープを用いることができる。支持体60は、例えばリングフレームに支持され得る。その後、硬化後の第2の反射性樹脂材料22を透光構造体130Lが露出するまで研削することによって第2の反射性樹脂層122Lを形成する。この例では、研削により、第2の反射性樹脂層122Lの上面は、図26に示すように、研削面Gsから透光層134Lが露出された状態となる。このとき、硬化後の第2の反射性樹脂材料22の一部とともに透光構造体130Lの一部が除去されてもかまわない。研削面Gsの形成には、例えばラップ加工、平面研削機を利用した研削加工等を適用できる。第2の反射性樹脂層122Lの厚さ、すなわち、支持体60の上面60aから研削面GsまでのZ方向における距離は、例えば250~500μm程度の範囲であり得る。
次に、複数の発光体200間で第2の反射性樹脂層122Lを切断する。すなわち、図26および図27中に破線Dc1で模式的に示すように、Y方向に互いに隣接する2つの発光体200の間の位置で第2の反射性樹脂層122Lを切断する。また、図27中に破線Dc2で模式的に示すように、各発光体200に含まれる発光素子110間の位置で、発光体200および第2の反射性樹脂層122LをX方向に沿って切断する。Y方向に沿った切断およびX方向に沿った切断により、それぞれが発光素子110を含む構造が得られる。Y方向に沿った切断およびX方向に沿った切断には、例えばダイシング装置を適用できる。なお、図16Dを参照して説明したように、支持体60上の構造をダイシングテープ等の他の支持体に載せ替えてから個片化を実行してもよい。また、このとき、透光構造体130Lを支持体側に向けて、支持体60上の構造を他の支持体上に配置してもよい。Y方向に沿った切断およびX方向に沿った切断の順序は、任意であり、どちらを先に実行してもよい。
この発光素子110の個片化の工程により、第1の反射性樹脂層121L、透光構造体130Lおよび第2の反射性樹脂層122Lが、1つの発光素子110を含む単位ごとに分割される。これにより、上述の第1の反射性樹脂部121と、波長変換層132Bと、透光層134Bと、第1部分122aおよび第2部分122bを含む第2の反射性樹脂部122とが形成される。発光素子110の個片化の後、個片化された構造を支持する支持体を除去することにより、図6に示す発光装置100Bが得られる。なお、Y方向に沿った切断およびX方向に沿った切断の工程において、それぞれが複数の発光素子110を含む単位に分割してもよい。すなわち、それぞれが2以上の発光素子110を含む発光装置を得てもよい。
あるいは、複数の発光素子110を波長変換層132Lまたは透光層134Lで覆った構造(図18および図20参照)から、それぞれが複数の発光素子110を含む複数の発光体を形成し、そのような発光体を第2の反射性樹脂材料22で覆った後、個片化によって複数の発光装置を得てもよい。この場合、硬化後の第2の反射性樹脂材料22の研削の工程において、研削面Gsからは波長変換層132Lまたは透光層134Lが露出される。
以上に説明した例では、未硬化の第1の反射性樹脂材料21中に発光素子110の正極115および負極116を埋め込んだ状態で第1の反射性樹脂材料21を硬化させているので、発光素子110の下面110b側に位置する第1の反射性樹脂部121をより簡易な工程によって得ることが可能である。また、発光素子110を波長変換層132A、132Bで覆うことにより、発光素子110からの出射光の波長とは異なる波長の光を発光装置から出射させることができる。波長変換層132A、132B上に透光層134A、134Bを有する構成では、透光層が波長変換層の保護層として機能する。
図25~図27を参照して説明したように、発光素子110全体を未硬化の第2の反射性樹脂材料22で覆い、硬化後の第2の反射性樹脂材料22の層に対する研削、切断等によって第2の反射性樹脂部122を形成することにより、発光装置100Bの指向特性を調整可能である。図6に例示する構成では、第2の反射性樹脂部122が、X方向に間隔をあけて配置された第1部分122aおよび第2部分122bを含む。第2の反射性樹脂部122が第1部分122aおよび第2部分122bを含むことにより、波長変換層132Bから出射された光のうち、X方向に平行な成分をY方向またはZ方向に向けて反射させることができる。結果として、ZX面とYZ面との間で異なる指向特性が得られる。
未硬化の第1の反射性樹脂材料21に配置する発光素子110の数は、1つであってもよい。この場合、発光素子110を覆う透光構造体130Lを形成し、上面110a側に透光構造体130Lが配置された発光素子110の全体を未硬化の第2の反射性樹脂材料22で覆い、第2の反射性樹脂材料22を硬化させればよい。硬化後の第2の反射性樹脂材料22の上面を研削して例えば透光層を露出させることにより、第2の反射性樹脂部122を形成することが可能である。
(第2の実施形態)
図28は、本開示の第2の実施形態による発光装置を示す。図28に示す発光装置100Eは、発光素子110と、光反射部材120Eと、発光素子110を覆う透光性部材130Eとを有する。この例では、発光素子110を覆う透光性部材130Eは、波長変換層132Eと、波長変換層132E上の透光層134Eとを含んでいる。ただし、第1の実施形態と同様に、透光性部材130Eが波長変換層132Eおよび透光層134Eの両方を含んでいることは必須ではなく、これらのうちの一方が省略されてもよい。
光反射部材120Eは、発光装置100Eの下面100bに位置する層状の第1の反射性樹脂部123と、第1の反射性樹脂部123の上方に位置する第2の反射性樹脂部124とを含む。図28に例示する構成において、第2の反射性樹脂部124は、波長変換層132Eおよび透光層134Eを取り囲む形状を有している。図28では、図8および図9と同様に、破線Bdにより、第1の反射性樹脂部123と、第2の反射性樹脂部124との間の境界を示している。ただし、上述したように、実際の発光装置においては、これらの境界を明瞭に観察できないことがある。
図29は、図28のXXIX-XXIX断面を模式的に示す。図29に示すように、発光装置100Eの下面100bに位置する第1の反射性樹脂部123が、発光素子110の下面110bのうち、正極115および負極116が配置された領域以外の領域と、正極115および負極116の側面とを覆う点は、第1の実施形態と共通している。第2の反射性樹脂部124は、第1の反射性樹脂部123の上面から透光層134Eの上面に達する高さを有し、発光素子110の側面110cを取り囲んでいる。発光素子110の側面110cを取り囲むように第2の反射性樹脂部124を形成することにより、側面110cから出射された光を第2の反射性樹脂部124によって発光装置100Eの例えば上方に向けて反射させ、透光性部材130Eを介して外部に取り出すことが可能になる。換言すれば、光取り出し効率をより向上させ得る。また、第1の実施形態と比較して、YZ面に関しても指向特性が向上された配光を得ることができる。
波長変換層132Eおよび透光層134Eに注目すると、本実施形態の波長変換層132Eおよび透光層134Eは、いずれも平板状であり、発光素子110の上方に位置している。この例では、発光素子110の上面110aと波長変換層132Eとの間に透光性樹脂層150Eが介在している。
図30は、本開示の第2の実施形態による発光装置の変形例を示す。図31は、図30の模式的なXXXI-XXXI断面図である。図28および図29を参照して説明した発光装置100Eと比較して、図30および図31に示す発光装置100Fは、光反射部材120Eに代えて、第1の反射性樹脂部123および第2の反射性樹脂部125を含む光反射部材120Fを有する。
この例でも、透光性部材130Eは、波長変換層132Eおよび透光層134Eを含んでいる。ただし、ここでは、波長変換層132Eおよび透光層134Eは、発光素子110の上面110aよりも大きな面積を有する。なお、第1の実施形態と同様に、波長変換層132Eおよび透光層134Eの一方が省略されてもかまわない。
図31に示すように、この例では、発光装置100Fは、発光素子110の上面110aと波長変換層132Eとの間に位置する第1部分161と、発光素子110の側面110cの少なくとも一部を覆う第2部分162とを含む導光部材160を有する。光反射部材120Fの第2の反射性樹脂部125は、導光部材160の第2部分162と、発光素子110の側面110cのうち導光部材160の第2部分162によって覆われていない領域とを覆っている。この例のように、発光素子110の側面110cの少なくとも一部を覆う第2部分162を有する導光部材160を設けることにより、発光素子110の側方に向かう光を第2部分162と第2の反射性樹脂部125との界面で反射させることができる。すなわち、発光素子110の側方に向かう光を発光装置100Fの上面100a側に向けて反射させることができるので、より多くの光を取り出すことが可能になる。
(第2の実施形態による発光装置の例示的な製造方法)
以下、図32~図37を参照しながら、第2の実施形態による発光装置の例示的な製造方法を説明する。
図32は、複数の発光素子110を支持体10上に配置し、支持体10上に第1の反射性樹脂層123Lを形成した状態を示している。図示するように、第1の反射性樹脂層123Lは、発光素子110の下面110bのうち、正極115および負極116が配置された領域以外の領域と、正極115および負極116の側面とを覆っている。第1の反射性樹脂層123Lを得るまでの工程は、図12~図14を参照しながら説明した工程と同様であり得る。すなわち、未硬化の第1の反射性樹脂材料が付与された支持体10上に発光素子110を配置し、正極115および負極116が第1の反射性樹脂材料に埋め込まれた状態で第1の反射性樹脂材料を硬化させればよい。
次に、発光素子110の上面110aに透光構造体を配置する。図32に示すように、ここでは、波長変換層132Eおよび透光層134Eの積層構造を含む板状の透光構造体130Mを発光素子110の上面110aに配置する。また、ここでは、透光性の接着剤150を発光素子110の上面110aに付与し、接着剤150によって透光構造体130Mを発光素子110の上面110aに接合する。接着剤150としては、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、トリメチルペンテン樹脂もしくはポリノルボルネン樹脂、または、これらの2種以上を含む材料等、透光性樹脂を用いることができる。この例では、透光層134Eが、波長変換層132Eの第1面130aおよび第1面130aとは反対側に位置する第2面130bのうち、第1面130a側に位置しているので、第2面130bを発光素子110の上面110aに向けた状態で、接着剤150を介して透光構造体130Mを発光素子110の上方に配置する。
透光構造体130Mは、例えば以下のようにして作製することができる。蛍光体の粒子が分散された樹脂材料中の樹脂をBステージの状態とした蛍光体シートと、例えば透光性樹脂のシート(以下、単に「透光性シート」と呼ぶ。)とを準備し、これらを貼り合わせる。あるいは、蛍光体、シリコーン樹脂等の樹脂材料、無機フィラー粒子および溶媒を含有するスラリーを、スプレー法、キャスト法、ポッティング法等の塗布法によって透光性シートの一方の主面上に付与し、付与された材料を硬化させる。これらの方法により、蛍光体シートおよび透光性シートの積層体が得られる。さらに、ここでは、蛍光体シートを構成する樹脂の硬化後に、蛍光体シートおよび透光性シートの積層体を、発光素子110に適合するサイズに切断し、複数の透光構造体130Mを得ている。透光構造体130Mのサイズは、発光素子110のサイズに一致している必要はなく、アライメントマージンを考慮して発光素子110のサイズよりも大きくてもかまわない。
発光素子110の上方に透光構造体130Mを配置した後、接着剤150を硬化させる。これにより、図33に示すように、発光素子110の上面110a上に透光性樹脂層150E、波長変換層132Eおよび透光層134Eが積層された構造を得ることができる。なお、接着剤150によって発光素子110の上面110aに蛍光体シートを接合後、蛍光体シート上に透光性シートまたはガラス板を配置することによっても同様の構造を得ることができる。あるいは、波長変換層132Eを形成するための材料を発光素子110の上面110aに付与した後、発光素子110ごとに透光性シートをさらに重ねてから波長変換層132Eの材料を硬化させることによって、発光素子110の上面110a側に波長変換層132Eおよび透光層134Eを形成してもよい。この場合は、発光素子110と波長変換層132Eとの間の透光性樹脂層150Eは、省略され得る。
次に、図34に示すように、上面110a側に透光構造体130Mが配置された発光素子110全体を未硬化の第2の反射性樹脂材料24で覆う。第2の反射性樹脂材料24としては、上述の第2の反射性樹脂材料22と同様の材料を用い得る。複数の発光素子110を第2の反射性樹脂材料24で覆った後、第2の反射性樹脂材料24を硬化させ、発光素子110を覆う樹脂層を形成する。発光素子110を覆う樹脂層の形成には、例えば、トランスファー成形、印刷、ポッティング、圧縮成形、スプレー等の方法を適用し得る。
第2の反射性樹脂材料24の硬化後、図35に示すように、支持体10およびシムスペーサ32を除去し、支持体10から分離構造を支持体25上に配置する。支持体25としては、上述の支持体20と同様に、公知のUVテープを用いることができる。支持体25は、ここでは、リングフレーム31によって支持されている。
第2の反射性樹脂材料24の一部を第1の反射性樹脂層123Lとは反対側から例えば研削によって除去することにより、第2の反射性樹脂層124Lを形成する。図35に示すように、研削の終了後、第2の反射性樹脂層124Lの上面を構成する研削面Gsは、各発光素子110の位置で、透光構造体130Mのうちの透光層134Eが露出された状態となる。
次に、図35中および図36中に破線Dc1および破線Dc2で模式的に示すように、複数の発光素子110間で第1の反射性樹脂層123Lおよび第2の反射性樹脂層124Lを切断する。切断によって複数の発光素子110を個片化することにより、第1の反射性樹脂層123Lおよび第2の反射性樹脂層124Lからそれぞれ第1の反射性樹脂部123および第2の反射性樹脂部124が形成される。複数の発光素子110の個片化に先立ち、図16Bおよび図16Cを参照して説明したように、支持体10または支持体25上の構造を、第1の反射性樹脂層123Lを上に向けて他の支持体上に配置し、第1の反射性樹脂層123Lの研削、金属膜118の形成等を実行してもよい。
その後、個片化された構造を支持する支持体を除去し、それぞれが発光素子110を含む構造を支持体から分離することにより、図28および図29に示す発光装置100Eが得られる。なお、例えば、波長変換層132Eおよび透光層134Eの一方が省略された板状の構造を透光構造体130Mとして用いれば、波長変換層132Eおよび透光層134Eの一方が省略された構成を有する発光装置が得られる。
図30および図31に示す発光装置100Fを得るには、例えば、以下のようにすればよい。上述の例において図32を参照して説明した工程と同様に、透光性の接着剤を発光素子110の上面110aに付与する。また、波長変換層132Eおよび透光層134Eの積層構造を含む板状の透光構造体130Mを準備する。このとき、発光素子110の上面110aの面積よりも大きな面積を有する透光構造体130Mを準備する。
次に、透光性の接着剤を介して、透光構造体130Mを発光素子110の上面110aに接合する。このとき、透光構造体130Mを発光素子110の上面110aに向けて適度に押し付けることにより、接着剤の一部を透光構造体130Mと発光素子110の上面110aとの間から発光素子110の側面110c上に流すことができる。接着剤の一部を発光素子110の側面110cの少なくとも一部上に配置した状態で接着剤を硬化させることにより、図37に示すように、第1部分161および第2部分162を有する導光部材160を形成することができる。
その後の工程は、図34~図36を参照して説明した工程と同様である。透光構造体130Mが配置された発光素子110全体を未硬化の第2の反射性樹脂材料24で覆う。第2の反射性樹脂材料24の硬化後、透光層134Eが現れるまで第2の反射性樹脂材料24の上面を研削して第2の反射性樹脂層124Lを形成する。その後、個片化を実行すれば、第2の反射性樹脂層124Lから第2の反射性樹脂部125を形成して、図30および図31に示す発光装置100Fを得ることができる。
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、発光素子110の下面110b側に位置する第1の反射性樹脂部123をより簡易な工程によって形成可能である。図32~図37を参照しながら説明した例では、波長変換層132Eおよび透光層134Eを含む透光構造体130Mを各発光素子110の上面110aに配置しており、発光素子110単位で、波長変換層132Eおよび透光層134Eを含む透光性部材130Eを有する構造を得ることができる。さらに、発光素子110、透光層134Eおよび波長変換層132Eを有する構造を第2の反射性樹脂材料24で覆うので、発光素子110、透光層134Eおよび波長変換層132Eを取り囲む第2の反射性樹脂部124を有する光反射部材120Eまたは第2の反射性樹脂部125を有する光反射部材120Fを形成することができる。図28~図31に示すように、発光素子110および透光性部材130Eの側面が第2の反射性樹脂部124または125によって覆われるので、指向特性がより向上された配光を実現し得る。
支持体10上に複数の発光素子110を配置し、第2の反射性樹脂層124Lの形成後に第1の反射性樹脂層123Lおよび第2の反射性樹脂層124Lを複数の発光素子110の間の位置で切断することにより、第1の実施形態と同様に、発光装置の生産性を向上させ得る。このとき、それぞれが複数の発光素子110を含む単位に分割されるように切断を実行してもよい。