以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.概略構成
1.1.システム構成の一例
1.2.端末装置の構成例
2.ミリ波を利用した通信に関する検討
3.技術的特徴
3.1.比較例
3.2.概略構成
3.3.アンテナ装置の構成例
3.3.1.第1の構成例
3.3.2.第2の構成例
3.3.3.第3の構成例
3.3.4.第4の構成例
3.3.5.第5の構成例
3.3.6.第6の構成例
3.3.7.第7の構成例
3.4.実施例
3.5.応用例
4.むすび
<<1.概略構成>>
<1.1.システム構成の一例>
まず、図1を参照して、本開示の一実施形態に係るシステム1の概略的な構成の一例について説明する。図1は、本開示の一実施形態に係るシステム1の概略的な構成の一例について説明するための説明図である。図1に示すように、システム1は、無線通信装置100と、端末装置200とを含む。ここでは、端末装置200は、ユーザとも呼ばれる。当該ユーザは、UEとも呼ばれ得る。無線通信装置100Cは、UE−Relayとも呼ばれる。ここでのUEは、LTE又はLTE−Aにおいて定義されているUEであってもよく、UE−Relayは、3GPPで議論されているProse UE to Network Relayであってもよく、より一般的に通信機器を意味してもよい。
(1)無線通信装置100
無線通信装置100は、配下の装置に無線通信サービスを提供する装置である。例えば、無線通信装置100Aは、セルラーシステム(又は移動体通信システム)の基地局である。基地局100Aは、基地局100Aのセル10Aの内部に位置する装置(例えば、端末装置200A)との無線通信を行う。例えば、基地局100Aは、端末装置200Aへのダウンリンク信号を送信し、端末装置200Aからのアップリンク信号を受信する。
基地局100Aは、他の基地局と例えばX2インタフェースにより論理的に接続されており、制御情報等の送受信が可能である。また、基地局100Aは、所謂コアネットワーク(図示を省略する)と例えばS1インタフェースにより論理的に接続されており、制御情報等の送受信が可能である。なお、これらの装置間の通信は、物理的には多様な装置により中継され得る。
ここで、図1に示した無線通信装置100Aは、マクロセル基地局であり、セル10Aはマクロセルである。一方で、無線通信装置100B及び100Cは、スモールセル10B及び10Cをそれぞれ運用するマスタデバイスである。一例として、マスタデバイス100Bは、固定的に設置されるスモールセル基地局である。スモールセル基地局100Bは、マクロセル基地局100Aとの間で無線バックホールリンクを、スモールセル10B内の1つ以上の端末装置(例えば、端末装置200B)との間でアクセスリンクをそれぞれ確立する。なお、無線通信装置100Bは、3GPPで定義されるリレーノードであってもよい。マスタデバイス100Cは、ダイナミックAP(アクセスポイント)である。ダイナミックAP100Cは、スモールセル10Cを動的に運用する移動デバイスである。ダイナミックAP100Cは、マクロセル基地局100Aとの間で無線バックホールリンクを、スモールセル10C内の1つ以上の端末装置(例えば、端末装置200C)との間でアクセスリンクをそれぞれ確立する。ダイナミックAP100Cは、例えば、基地局又は無線アクセスポイントとして動作可能なハードウェア又はソフトウェアが搭載された端末装置であってよい。この場合のスモールセル10Cは、動的に形成される局所的なネットワーク(Localized Network/Virtual Cell)である。
セル10Aは、例えば、LTE、LTE−A(LTE-Advanced)、LTE−ADVANCED PRO、GSM(登録商標)、UMTS、W−CDMA、CDMA200、WiMAX、WiMAX2又はIEEE802.16などの任意の無線通信方式に従って運用されてよい。
なお、スモールセルは、マクロセルと重複して又は重複せずに配置される、マクロセルよりも小さい様々な種類のセル(例えば、フェムトセル、ナノセル、ピコセル及びマイクロセルなど)を含み得る概念である。ある例では、スモールセルは、専用の基地局によって運用される。別の例では、スモールセルは、マスタデバイスとなる端末がスモールセル基地局として一時的に動作することにより運用される。いわゆるリレーノードもまた、スモールセル基地局の一形態であると見なすことができる。リレーノードの親局として機能する無線通信装置は、ドナー基地局とも称される。ドナー基地局は、LTEにおけるDeNBを意味してもよく、より一般的にリレーノードの親局を意味してもよい。
(2)端末装置200
端末装置200は、セルラーシステム(又は移動体通信システム)において通信可能である。端末装置200は、セルラーシステムの無線通信装置(例えば、基地局100A、マスタデバイス100B又は100C)との無線通信を行う。例えば、端末装置200Aは、基地局100Aからのダウンリンク信号を受信し、基地局100Aへのアップリンク信号を送信する。
また、端末装置200としては、所謂UEのみに限らず、例えば、MTC端末、eMTC(Enhanced MTC)端末、及びNB−IoT端末等のような所謂ローコスト端末(Low cost UE)が適用されてもよい。
(3)補足
以上、システム1の概略的な構成を示したが、本技術は図1に示した例に限定されない。例えば、システム1の構成として、マスタデバイスを含まない構成、SCE(Small Cell Enhancement)、HetNet(Heterogeneous Network)、MTCネットワーク等が採用され得る。またシステム1の構成の、他の一例として、マスタデバイスがスモールセルに接続し、スモールセルの配下でセルを構築してもよい。
以上、図1を参照して、本開示の一実施形態に係るシステム1の概略的な構成の一例について説明した。
<1.2.端末装置の構成例>
次に、図2を参照して、本開示の実施形態に係る端末装置200の構成の一例を説明する。図2は、本開示の実施形態に係る端末装置200の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、端末装置200は、アンテナ部2001と、無線通信部2003と、記憶部2007と、通信制御部2005とを含む。
(1)アンテナ部2001
アンテナ部2001は、無線通信部2003により出力される信号を電波として空間に放射する。また、アンテナ部2001は、空間の電波を信号に変換し、当該信号を無線通信部220へ出力する。
(2)無線通信部2003
無線通信部2003は、信号を送受信する。例えば、無線通信部2003は、基地局からのダウンリンク信号を受信し、基地局へのアップリンク信号を送信する。
(3)記憶部2007
記憶部2007は、端末装置200の動作のためのプログラム及び様々なデータを一時的に又は恒久的に記憶する。
(4)、通信制御部2005
通信制御部2005は、無線通信部2003の動作を制御することで、他の装置(例えば、基地局100)との間の通信を制御する。具体的な一例として、通信制御部2005は、送信対象となるデータを所定の変調方式に基づき変調することで送信信号を生成し、無線通信部2003に当該送信信号を基地局100に向けて送信させてもよい。また、他の一例として、通信制御部2005は、基地局100からの信号の受信結果(即ち、受信信号)を無線通信部2003から取得し、当該受信信号に対して所定の復調処理を施すことで当該基地局100から送信されたデータを復調してもよい。
以上、図2を参照して、本開示の実施形態に係る端末装置200の構成の一例を説明した。
<<2.ミリ波を利用した通信に関する検討>>
LTE/LTE−A等の規格に基づく通信システムでは、700MHz〜3.5GHz前後の極超短波と呼ばれる周波数の無線信号が通信に利用されている。これに対して、LTE/LTE−Aに続く第5世代(5G)移動体通信システムでは、28GHzや39GHzといったミリ波と呼ばれる周波数の無線信号(以下、単に「ミリ波」とも称する)を利用した通信の利用が検討されている。そこで、ミリ波を利用した通信の概要について説明したうえで、本開示の一実施形態に係る通信装置の技術的課題について整理する。
LTE/LTE−Aのような極超短波を利用した通信では、所謂MIMO(Multiple−Input and Multiple−Output)と呼ばれる技術を採用することで、フェージング環境下においても、直接波に加えて反射波を信号の送受信に利用して通信性能をより向上させることが可能である。
これに対して、ミリ波は、極超短波に比べて伝送される情報の量を増加させることが可能となる一方で、直進性が高く伝搬ロスや反射損失が増大する傾向にある。そのため、無線信号が送受信されるアンテナ間を直接結ぶ経路上に障害物が存在しない環境(所謂LOS:Line of Site)においては、反射波の影響をほとんど受けずに、主に直接波が通信特性に寄与することとなる。このような特性から、ミリ波を利用した通信においては、例えば、スマートフォン等のような通信端末が、基地局から直接送信される無線信号(即ち、ミリ波)を受信する(即ち、直接波を受信する)ことで、通信性能をより向上させることが可能となる。
また、前述したように、ミリ波を利用した通信では、主に直接波が通信特性に寄与し、反射波の影響は少ない。このような特性から、通信端末と基地局との間のミリ波を利用した通信において、直接波として送信される無線信号のうち、偏波方向が互いに異なる複数の偏波(例えば、水平偏波及び垂直偏波)を利用してMIMOを実現する、偏波MIMOと呼ばれる技術の導入が検討されている。なお、本開示において「偏波方向」とは、無線信号(即ち、偏波)が振動する方向に相当する。即ち、無線信号が伝搬する方向と、当該無線信号の偏波方向と、により所謂「偏波面」が規定されることとなる。また、偏波面が大地に対して垂直な偏波が「垂直偏波」に相当し、偏波面が大地に対して水平な偏波が「水平偏波」に相当する。
しかしながら、スマートフォン等の移動体通信達末のように携行可能に構成された端末装置は、当該端末装置を保持するユーザの移動や、当該端末装置を保持する態様の変化等に伴い、当該端末装置の位置や姿勢が時々刻々と変化する。このような状況下では、端末装置と基地局との間の相対的な位置関係もその時々に応じて変化するため、当該端末装置に対して基地局からの直接波が到来する方向も変化することとなる。これは、通信装置自身が移動可能に構成されている場合についても同様である。
また、前述したように、ミリ波は、極超短波に比べて反射損失が大きく、特に、人体により反射されやすい傾向にある。そのため、例えば、端末装置の筐体を保持する手等の部位により、当該端末装置に設けられたアンテナ素子と、基地局との間を直接結ぶ通信経路が遮蔽されると、当該通信経路を伝播するミリ波が当該手等の部位により遮蔽されることとなる。即ち、手等の部位により端末装置が保持される位置に応じて、当該端末装置が、基地局との間の通信においてミリ波を送受信可能な当該端末装置中の位置(即ち、手等により遮蔽されていない位置)も変化することとなる
このような状況から、位置や姿勢が時々刻々と変化するような状況下においても、無線の通信経路を介した他の装置との通信において、直接波を利用した偏波MIMOをより好適な態様で実現することが可能な通信装置が求められている。
その一方で、近年、スマートフォン等の通信装置は薄型化が進んでおり、無線通信のためのアンテナの実装スペースが制限されていく傾向にある。このような背景から、特に、薄型の通信装置の端部側については、アンテナの実装可能な当該通信装置の厚み方向のスペースが制限されている。そのため、通信装置の端部に対して、偏波方向が当該通信装置の厚み方向と略一致する偏波を送信または受信するアンテナを設けること困難となっている。
以上のような状況を鑑み、本開示では、薄型の通信装置においても、偏波方向が当該通信装置の厚み方向と略一致する偏波を送信または受信可能とする技術の一例について説明する。
<<3.技術的特徴>>
続いて、本開示の一実施形態に係る通信装置の技術的特徴について説明する。
<3.1.比較例>
まず、本実施形態に係る通信装置の特徴をよりわかりやすくするために、比較例として、前述した端末装置200のような通信装置に対して、パッチアンテナ(平面アンテナ)をアレイ化した所謂パッチアレイアンテナを適用した場合の構成の一例について説明する。例えば、図3は、比較例に係る通信装置の構成の一例について説明するための説明図である。なお、以降の説明では、図3に示す比較例に係る通信装置を、「通信装置211」と称する場合がある。
比較例に係る通信装置211は、略長方形の形状を成す表面及び裏面を有する板状の筐体209を備えている。なお、本説明では、ディスプレイ等の表示部が設けられた側の面を筐体209の表面と称する。即ち、図3において、参照符号201は、筐体209の外面のうち裏面を示している。また、参照符号203及び205は、筐体209の外面のうち裏面201の周囲に位置する一端面に相当し、より具体的には、当該裏面201の長手方向に延伸する端面を示している。また、参照符号202及び204は、筐体209の外面のうち裏面201の周囲に位置する一端面に相当し、より具体的には、当該裏面201の短手方向に延伸する端面を示している。なお、図3において図示を省略しているが、裏面201の反対側に位置する表面を、便宜上「表面206」とも称する。
また、図3において、参照符号2110a〜2110fのそれぞれは、基地局との間で無線信号(例えば、ミリ波)を送受信するためのアンテナ装置を示している。なお、以降の説明では、アンテナ装置2110a〜2110fを特に区別しない場合には、単に「アンテナ装置2110」と称する場合がある。
図3に示すように、比較例に係る通信装置211は、裏面201及び端面202〜205のそれぞれについて、当該面の少なくとも一部の近傍に位置するように、筐体209の内部にアンテナ装置2110が保持(設置)されている。
また、アンテナ装置2110は、複数のアンテナ素子2111を含んでいる。より具体的には、アンテナ装置2110は、複数のアンテナ素子2111をアレイ化することで、アレイアンテナとして構成されている。例えば、アンテナ素子2111aは、裏面201のうち端面204側の端部近傍に位置するように保持され、複数のアンテナ素子2111が、当該端部が延伸する方向(即ち、端面204の長手方向)に沿って配列されるように設けられている。また、アンテナ素子2111dは、端面205の一部の近傍に位置するように保持され、複数のアンテナ素子2111が、当該端面205の長手方向に沿って配列されるように設けられている。
また、ある面の近傍に位置するように保持されるアンテナ装置2110において、各アンテナ素子2111は、平面状のエレメントの法線方向が、当該面の法線方向と略一致するように保持される。より具体的な一例として、アンテナ装置2110aに着目した場合には、当該アンテナ装置2110aに設けられたアンテナ素子2111は、平面状のエレメントの法線方向が、裏面201の法線方向と略一致するように保持される。これは、他のアンテナ装置2110b〜2110fについても同様である。
以上のような構成により、各アンテナ装置2110は、複数のアンテナ素子2111それぞれにより送信または受信される無線信号の位相や電力を制御することで、当該無線信号の指向性を制御する(即ち、ビームフォーミングを行う)ことが可能となる。
続いて、図4を参照して、比較例に係る通信装置211に適用されるアンテナ装置の概略的な構成の一例について説明する。図4は、比較例に係るアンテナ装置の概略的な構成の一例について説明するための説明図である。
図4に示すアンテナ装置2140は、互いに異なる2つのアンテナ装置2130が連結部2141により連結されて構成される。なお、図4に示す例において、アンテナ装置2130a及び2130fは、例えば、図3に示す例においけるアンテナ装置2110a及び2110fにそれぞれ対応している。即ち、図4において参照符号2131で示されたアンテナ素子は、図3に示すアンテナ素子2111に相当する。なお、図4に示す例では、便宜上、複数のアンテナ素子2131が配列された方向をx方向と称し、アンテナ装置2140の厚み方向をz方向と称する場合がある。また、x方向及びz方向の双方に直交する方向をy方向と称する場合がある。
図4に示すように、アンテナ装置2130aとアンテナ装置2130fとは、それぞれの端部のうち、複数のアンテナ素子2131が配列された方向に延伸する端部の一方が互いに近傍に位置するように配置される。このとき、アンテナ装置2130aのアンテナ素子2131と、アンテナ装置2130fのアンテナ素子2131とは、平面状のエレメントの法線方向が互い交差する(例えば、直交する)か、または、当該法線方向が互いにねじれの位置にあるように配置されることとなる。また、アンテナ装置2130aとアンテナ装置2130fと間で、互いに近傍に位置する端部間を架設するように連結部2141が設けられており、当該連結部2141により当該アンテナ装置2130aと当該アンテナ装置2130fとが連結されている。
以上のような構成を有するアンテナ装置2140が、例えば、図3に示す裏面201と端面204とのように、筐体209の外面のうち互いに連接する複数の面(外面)に沿って保持されるとよい。このような構成により、互いに連接する当該複数の面それぞれについて、当該面に略垂直な方向から到来し、互いに偏波方向の異なる複数の偏波それぞれをより好適な態様で送信または受信することが可能となる。
以上、図4を参照して、比較例に係る通信装置211に適用されるアンテナ装置の概略的な構成の一例について説明した。
一方で、近年におけるスマートフォン等の通信端末の薄型化に伴い、当該通信端末に実装されるアンテナ装置のさらなる薄型化が求められている。そこで、本実施形態では、図4を参照して説明した比較例に係るアンテナ装置2140よりもさらに厚みを薄く形成可能であり、かつ偏波方向が厚み方向(即ち、図4のz方向)と略一致する偏波についても送信または受信可能なアンテナ装置の構成の一例について提案する。
<3.2.概略構成>
まず、図5を参照して、本実施形態に係るアンテナ装置の概略的な構成の一例について説明する。図5は、本実施形態に係るアンテナ装置の概略的な構成の一例について説明するための説明図であり、本実施形態に係るアンテナ装置の概略的な側面図を示している。即ち、図5は、本実施形態に係るアンテナ装置を、図4に示す例におけるx方向から見た場合における、当該アンテナ装置の構成の一例を示している。なお、図5に示す例におけるx方向、y方向、及びz方向は、図4に示す例におけるx方向、y方向、及びz方向に相当する。また、本説明では、便宜上、図面の上方向を+z方向とし、下方向を−z方向とする。また、図面の右方向を+y方向とし、左方向を−y方向とする。また、図面の手前から奥に向けた方向を+x方向とし、奥から手前に向けた方向を−x方向とする。また、以降の説明では、図5に示すアンテナ装置を便宜上「アンテナ装置3000」とも称する。なお、x方向、z方向、及びy方向が、それぞれ「第1の方向」、「第2の方向」、及び「第3の方向」の一例に相当する。
図5に示すように、アンテナ装置3000は、第1の基板3010と、第2の基板3030と、アンテナ素子3050と、アンテナ素子3070とを含む。第1の基板3010は、法線方向がz方向と略一致し、かつx方向及びy方向に延伸する面を有する。第1の基板3010は、例えば、z方向の厚みが1mm程度の基板として形成される。
第1の基板3010の表面(+z方向側の面)には、アンテナ素子3070が支持される。アンテナ素子3070は、伝搬方向がz方向と略一致する無線信号を送信または受信可能に構成されている。例えば、アンテナ素子3070は、図4に示す例において、アンテナ装置2130aに設けられたアンテナ素子2131に相当し、当該アンテナ素子2131と同様にパッチアンテナとして構成され得る。
また、第1の基板3010の裏面(−z方向側の面)には、+y方向の端部側において−z方向に延伸するように第2の基板3030が支持される。また、第2の基板3030は、第1の基板3010と同様にx方向に延伸するように形成される。即ち、第2の基板3030は、法線方向がy方向と略一致し、かつz方向及びx方向に延伸する面を有する。このとき、アンテナ装置3000のうち、第2の基板3030が支持された部分のz方向の厚み(即ち、第2の基板3030の−z方向の端部から、第1の基板3010の上面までの厚み)は3〜4mm程度に形成される。
第2の基板3030の表面(+y方向側の面)には、アンテナ素子3050が支持される。本実施形態に係るアンテナ装置3000において、アンテナ素子3050は、伝搬方向がy方向と略一致し、かつ少なくとも偏波方向がアンテナ装置3000の厚み方向(即ち、z方向)と略一致する偏波を送信または受信可能に構成される。具体的な一例として、アンテナ素子3050は、パッチアンテナとして構成されてもよい。また、他の一例として、アンテナ素子3050は、z方向に延伸するエレメントを有するダイポールアンテナとして構成されてもよい。なお、アンテナ素子3050の構成の一例については詳細を別途後述する。
以上、図5を参照して、本実施形態に係るアンテナ装置の概略的な構成の一例について説明した。
<3.3.アンテナ装置の構成例>
続いて、本開示の一実施形態に係るアンテナ装置のより詳細な構成の一例について以下に説明する。
<3.3.1.第1の構成例>
まず、第1の構成例として、図5に示したアンテナ素子3050としてパッチアンテナを適用する場合における、本実施形態に係るアンテナ装置の構成の一例について説明する。例えば、図6〜図9は、本実施形態に係るアンテナ装置の第1の構成例について説明するための説明図である。なお、以降の説明では、第1の構成例として説明するアンテナ装置を他の構成例に係るアンテナ装置と区別するために「アンテナ装置3100」と称する場合がある。
まず、図6及び図7を参照して、アンテナ装置3100の概略的な構成の一例について説明する。図6は、アンテナ装置3100の概略的な斜視図である。なお、図6は、図5に示すアンテナ素子3050としてパッチアンテナを適用した部分の構成に着目して示しており、図5に示すアンテナ素子3070に相当する構成については図示を省略している。また、図6において、x方向、y方向、及びz方向は、図5におけるx方向、y方向、及びz方向に相当する。
図6に示すように、アンテナ装置3100は、第1の基板3110と、第2の基板3130と、アンテナ素子3150と、誘電体3120及び3140とを含む。また、図7は、アンテナ装置3100の概略的な斜視図であり、アンテナ素子3150の構成がわかりやすいように、図6に示す例において、誘電体3120及び3140の図示を省略した図に相当する。
第1の基板3110は、図5に示す例における第1の基板3010に相当する。即ち、第1の基板3110は、法線方向がz方向と略一致し、かつx方向及びy方向に延伸する面を有する。第1の基板3110は、例えば、配線層がz方向に複数積層されて形成されてもよい。
第2の基板3130は、図5に示す例における第2の基板3030に相当する。即ち、第2の基板3130は、第1の基板3110の裏面(−z方向側の面)の+y方向の端部側に、−z方向に延伸するように当該第1の基板3110に指示される。例えば、図6及び図7に示す例では、第2の基板3130は、複数の基板3130a〜3130cが、第1の基板3110の裏面側に対して−z方向に積層されることで形成されてもよい。このとき、複数の基板3130a〜3130cを積層することが可能であればその方法は特に限定されない。具体的な一例として、複数の基板3130a〜3130cのうちz方向に互いに隣接する基板間がハンダ付けにより接合されることで、当該複数の基板3130a〜3130cがz方向に積層されてもよい。また、第2の基板3130(即ち、基板3130a〜3130c)は、配線層がz方向に複数積層されて形成されてもよい。以上のような構成により、第2の基板3130は、法線方向がy方向と略一致し、かつz方向及びx方向に延伸する面3131を有するように形成される。
図7に示すように、第2の基板3130の面3131には、アンテナ素子3150が保持される。アンテナ素子3150は、x方向及びz方向の双方に延伸するように形成された略平板状のエレメントを有するパッチアンテナとして構成される。
また、図6に示すように、アンテナ素子3150が保持された領域には、当該アンテナ素子3150を包含するように誘電体3120及び3140が形成される。このとき、アンテナ素子3150の一部が誘電体3120及び3140の+y方向側の端面上に露出してもよい。なお、誘電体3120は、第1の基板3110の+y方向側の端部3111に形成された、y方向に厚みを有する誘電体に相当する。また、誘電体3140は、第2の基板3130の+y方向側の面3131に形成された、y方向に厚みを有する誘電体に相当する。なお、図6に示す例では、第2の基板3130は、基板3130a〜3130bがz方向に積層されることで形成されている。そのため、誘電体3140は、基板3130a〜3130bのそれぞれの+y方向の端部側に形成された誘電体3140a〜3140cがz方向に積層されることで形成されてもよい。
ここで、図8及び図9を参照して、アンテナ素子3150のより詳細な構成の一例について説明する。図8は、図7に示すアンテナ装置3100をy方向から見た場合における、当該アンテナ装置3100の構成の一例を示した図である。また、図9は、図7に示すアンテナ装置3100をx方向から見た場合における、当該アンテナ装置3100の構成の一例を示した図である。
図8に示すように、アンテナ素子3150は、それぞれがx方向に延伸するように長尺状に形成された複数のエレメント3151と、それぞれがz方向に延伸するように長尺状に形成された複数のエレメント3153と、を含む。エレメント3151及び3153のそれぞれは、金属等のような導電性を有する素材により形成される。また、複数のエレメント3153のそれぞれは、複数のエレメント3151のそれぞれを電気的に接続するように形成される。
また、アンテナ素子3150は、給電点3157及び3159を有する。図8に示すように、給電点3157は、アンテナ素子3150のx方向の端部側に設けられている。また、給電点3159は、アンテナ素子3150のz方向の端部側に設けられている。図9に示すように、アンテナ素子3150は、給電点3157及び3159のそれぞれにおいて、第2の基板3130の面3131と電気的に接続される。即ち、第2の基板3130内に設けられた配線を介して供給される電流は、給電点3157及び3159のそれぞれを介してアンテナ素子3150に供給されることとなる。このような構成に基づき、例えば、給電点3157を介してアンテナ素子3150に電流が供給されることで、当該アンテナ素子3150のエレメントにおいてx方向に電流が流れ(即ち、エレメント3151に電流が流れ)、伝搬方向がy方向と略一致し、かつ偏波方向が当該x方向と略一致する偏波を送信または受信することが可能となる。同様に、給電点3159を介してアンテナ素子3150に電流が供給されることで、当該アンテナ素子3150のエレメントにおいてz方向に電流が流れ(即ち、エレメント3153に電流が流れ)、伝搬方向がy方向と略一致し、かつ偏波方向が当該z方向と略一致する偏波を送信または受信することが可能となる。なお、以降の説明では、伝搬方向がy方向と略一致し、かつ偏波方向がx方向に略一致する偏波を「偏波RH」とも称し、伝搬方向がy方向と略一致し、かつ偏波方向がz方向に略一致する偏波を「偏波RV」とも称する。
なお、アンテナ素子3150については、例えば、第2の基板3130からエッチング等により削り出すことで形成することが可能である。具体的には、第2の基板3130を形成する複数の配線層に対して、z方向にビアを形成することで当該複数の配線層を電気的に接続する。なお、このとき当該ビアが図8に示すエレメント3153に相当し、配線層の一部が図8に示すエレメント3151に相当することとなる。その後、ビア(エレメント3153)が形成された部分がy方向に露出するようにエッチング等により削り出すことで、アンテナ素子3150が形成されればよい。このような構成により、アンテナ素子3150は、エレメント3151が厚み方向に積層されて形成されたような構成を有することとなる。もちろん、上記に説明したアンテナ素子3150の形成方法はあくまで一例である。即ち、アンテナ素子3150を、x方向及びz方向に延伸する略平板状のエレメントを有するパッチアンテナとして形成することが可能であれば、その方法は特に限定されない。
なお、アンテナ素子3150の寸法は、送信または受信の対象となる無線信号の周波数に応じて決定される。例えば、図8及び図9に示す例では、偏波RH及び偏波RVとして、28GHz帯(例えば、26.5GHz〜29.5GHz)の無線信号を送信または受信する場合を想定している。即ち、図8及び図9に示す例では、アンテナ素子3150の略平板状のエレメントは、x方向に2.35mmの幅を有し、z方向に2.23mmの幅を有するように形成されている。また、アンテナ素子3150のエレメントは、y方向に0.15mmの厚さを有し、第2の基板3130の面3131に対してy方向に0.16mm離隔するように形成されている。また、アンテナ素子3150のエレメントの+z方向側の端部と、第1の基板3110の表面(即ち、+z方向側の面)に相当する位置との間は、z方向に0.55mmの幅を有している。また、アンテナ素子3150のエレメントの−z方向側の端部と、第2の基板3130の−z方向側の端部に相当する位置との間は、z方向に0.26mmの幅を有している。
ここで、図10を参照して、本構成例に係るアンテナ装置3100のアンテナ特性の一例について説明する。図10は、本実施形態の第1の構成例に係るアンテナ装置のアンテナ特性のシミュレーション結果の一例を示した図である。図10において、横軸は周波数を示しており、縦軸は利得を示している。また、図10において、「S1,1」として示したシミュレーション結果は、偏波RHの送信または受信に係るアンテナ特性を示しており、「S2,2」として示したシミュレーション結果は、偏波RVの送信または受信に係るアンテナ特性を示している。図10に示すように、アンテナ装置3100は、26.5GHz〜29.5GHzの帯域において、偏波RHについては反射減衰量を約6dB確保することが可能となり、偏波RVについては反射減衰量を約4dB確保することが可能となる。
以上、第1の構成例として、図6〜図10を参照して、図5に示したアンテナ素子3050としてパッチアンテナを適用する場合における、本実施形態に係るアンテナ装置の構成の一例について説明した。
<3.3.2.第2の構成例>
続いて、第2の構成例として、第1の構成例に係るアンテナ素子3150をアレイ化した場合における、本実施形態に係るアンテナ装置の構成の一例について説明する。なお、以降の説明では、第2の構成例として説明するアンテナ装置を他の構成例に係るアンテナ装置と区別するために「アンテナ装置3200」と称する場合がある。
例えば、図11は、本実施形態に係るアンテナ装置の第2の構成例について説明するための説明図であり、本構成例に係るアンテナ装置の概略的な斜視図を示している。なお、図11において、x方向、y方向、及びz方向は、図6〜図9におけるx方向、y方向、及びz方向に相当する。また、図11に示す例では、アンテナ素子の構成がわかりやすいように、誘電体(例えば、図6に示す誘電体3120及び3140)の図示を省略している。
図11に示すように、アンテナ装置3200は、第1の基板3210と、第2の基板3230と、アンテナ素子3150a〜3150dとを含む。第1の基板3210及び第2の基板3230は、図6に示すアンテナ装置3100における第1の基板3110及び第2の基板3130にそれぞれ対応している。また、アンテナ素子3150a〜3150dのそれぞれは、当該アンテナ装置3100におけるアンテナ素子3150に相当する。
即ち、アンテナ装置3200は、第2の基板3230がx方向に延伸するように形成され、当該第2の基板3230に対して複数のアンテナ素子3150が、当該x方向に沿って配列されるように支持される。また、このとき複数のアンテナ素子3150は、x方向に互いに離間するように第2の基板3230に支持される。
このような構成により、例えば、ビームフォーミングを実現することが可能となる。ここで、ビームフォーミングとは、アンテナ装置の指向性を制御しビーム幅を絞ることで、当該指向性を向けた方向に伝搬する無線信号を送信または受信する際のアンテナ利得の向上を可能とする技術である。具体的には、ビームフォーミングでは、例えば、複数のアンテナ(例えば、アンテナエレメント)のそれぞれにより送信または受信される無線信号の位相や電力を制御することにより、特定の地点で電波感度が最適化されるように制御する。このような制御により、アンテナ装置の指向性が向けられた方向について無線信号を送信または受信する場合におけるアンテナ利得をより向上させることが可能となる。即ち、図11に示すアンテナ装置3200の場合には、複数のアンテナ素子3150(例えば、アンテナ素子3150a〜3150d)それぞれにより送信または受信される無線信号の位相や電力を制御することで、特定の地点で電波感度が最適化されるように制御する(即ち、指向性を制御する)ことが可能となる。
以上、第2の構成例として、図11を参照して、第1の構成例に係るアンテナ素子3150をアレイ化した場合における、本実施形態に係るアンテナ装置の構成の一例について説明した。
<3.3.3.第3の構成例>
続いて、第3の構成例として、図5に示したアンテナ素子3050としてダイポールアンテナを適用する場合における、本実施形態に係るアンテナ装置の構成の一例について説明する。例えば、図12〜図15は、本実施形態に係るアンテナ装置の第3の構成例について説明するための説明図である。なお、以降の説明では、第3の構成例として説明するアンテナ装置を他の構成例に係るアンテナ装置と区別するために「アンテナ装置3300」と称する場合がある。
まず、図12及び図13を参照して、アンテナ装置3300の概略的な構成の一例について説明する。図12は、アンテナ装置3300の概略的な斜視図である。なお、図12は、図5に示すアンテナ素子3050としてダイポールアンテナを適用した部分の構成に着目して示しており、図5に示すアンテナ素子3070に相当する構成については図示を省略している。また、図12において、x方向、y方向、及びz方向は、図5におけるx方向、y方向、及びz方向に相当する。
図12に示すように、アンテナ装置3300は、第1の基板3310と、第2の基板3330と、アンテナ素子3350及び3360と、誘電体3320と及び3340とを含む。なお、第1の基板3310、第2の基板3330、誘電体3320、及び誘電体3340は、図6に示す第1の基板3110、第2の基板3130、誘電体3120、及び誘電体3140と実質的に同様の構成を有するため詳細な説明は省略する。即ち、基板3330a〜3330c及び誘電体3340a〜3340cについても、図6に示す基板3130a〜3130c及び誘電体3140a〜3140cと実質的に同様となる。また、図13は、アンテナ装置3300の概略的な斜視図であり、アンテナ素子3350及び3360の構成がわかりやすいように、図12に示す例において、誘電体3320及び3340の図示を省略した図に相当する。
図13に示すように、第2の基板3330は、法線方向がy方向と略一致し、かつz方向及びx方向に延伸する面3331を有するように形成される。また、当該面3331には、アンテナ素子3350が保持される。アンテナ素子3350は、z方向に延伸するように形成されたエレメントを有するダイポールアンテナとして構成される。特に、図13に示す例では、アンテナ素子3350は所謂ボウタイダイポールアンテナ(Bowtie Dipole Antenna)として構成されている。なお、この場合には、アンテナ素子3350のエレメントは、x方向及びz方向に延伸する面状に形成されてもよい。
また、第1の基板3310の+y方向に位置し、x方向に延伸する端部3311には、アンテナ素子3360が保持される。アンテナ素子3360は、x方向に延伸するように形成されたエレメントを有するダイポールアンテナとして構成される。特に、図13に示す例では、アンテナ素子3360は所謂ボウタイダイポールアンテナ(Bowtie Dipole Antenna)として構成されている。なお、この場合には、アンテナ素子3360のエレメントは、x方向及びy方向に延伸する面状に形成されてもよい。
また、図12に示すように、アンテナ素子3350及び3360が保持された領域には、当該アンテナ素子3350及び3360を包含するように誘電体3320及び3340が形成される。
ここで、図14及び図15を参照して、アンテナ素子3350及び3360のより詳細な構成の一例について説明する。図14は、図13に示すアンテナ装置3300をy方向から見た場合における、当該アンテナ装置3300の構成の一例を示した図である。また、図15は、図13に示すアンテナ装置3300をx方向から見た場合における、当該アンテナ装置3300の構成の一例を示した図である。
図14に示すように、アンテナ素子3350は、給電点3353と、エレメント3351及び3352とを有する。エレメント3351は、給電点3353が設けられたz方向の位置を基準として、+z方向に延伸するように形成される。また、エレメント3352は、給電点3353が設けられたz方向の位置を基準として、−z方向に延伸するように形成される。また、エレメント3351及び3352のそれぞれは、それぞれがx方向に延伸するように長尺状に形成された複数のエレメント3354と、それぞれがz方向に延伸するように長尺状に形成された複数のエレメント3355と、を含む。エレメント3354及び3355のそれぞれは、金属等のような導電性を有する素材により形成される。また、複数のエレメント3355のそれぞれは、複数のエレメント3354のそれぞれを電気的に接続するように形成される。なお、アンテナ素子3350が「第1のアンテナ素子」の一例に相当する。
また、アンテナ素子3360は、給電点3363と、エレメント3361及び3362とを有する。エレメント3361は、給電点3363が設けられたx方向の位置を基準として、+x方向に延伸するように形成される。また、エレメント3362は、給電点3363が設けられたx方向の位置を基準として、−x方向に延伸するように形成される。なお、アンテナ素子3360が「第2のアンテナ素子」の一例に相当する。
また、図15に示すように、アンテナ素子3350は、給電点3353において、第2の基板3330の面3331と電気的に接続される。即ち、第2の基板3330内に設けられた配線を介して供給される電流は、給電点3353を介してアンテナ素子3350に供給されることとなる。このような構成に基づき、例えば、給電点3353を介してアンテナ素子3350に電流が供給されることで、当該アンテナ素子3350のエレメント3351及び3352においてz方向に電流が流れ、偏波方向が当該z方向と略一致する偏波RVを送信または受信することが可能となる。
また、アンテナ素子3360は、給電点3363において、第1の基板3310の端部3311と電気的に接続される。即ち、第1の基板3310内に設けられた配線を介して供給される電流は、給電点3363を介してアンテナ素子3360に供給されることとなる。このような構成に基づき、例えば、給電点3363を介してアンテナ素子3360に電流が供給されることで、当該アンテナ素子3360のエレメント3361及び3362においてx方向に電流が流れ、偏波方向が当該x方向と略一致する偏波RHを送信または受信することが可能となる。
なお、アンテナ素子3350については、例えば、第2の基板3330からエッチング等により削り出すことで形成することが可能である。具体的には、第2の基板3330を形成する複数の配線層に対して、z方向にビアを形成することで当該複数の配線層を電気的に接続する。なお、このとき当該ビアが図14に示すエレメント3355に相当し、当該配線層の一部がレメント3354に相当することとなる。その後、ビア(エレメント3355)が形成された部分がy方向に露出するようにエッチング等により削り出すことで、アンテナ素子3350が形成されればよい。これにより、アンテナ素子3350は、エレメント3354が厚み方向に積層されて形成されたような構成を有することとなる。同様に、アンテナ素子3360についても、第1の基板3310からエッチング等により削り出すことで形成することが可能である。もちろん、上記に説明したアンテナ素子3350及び3360の形成方法はあくまで一例である。即ち、アンテナ素子3350を、z方向に延伸するように形成されたエレメントを有するダイポールアンテナとして形成することが可能であれば、当該アンテナ素子3350の形成方法は特に限定されない。同様に、アンテナ素子3360を、x方向に延伸するように形成されたエレメントを有するダイポールアンテナとして形成することが可能であれば、当該アンテナ素子3360の形成方法は特に限定されない。
なお、アンテナ素子3350及び3360の寸法は、送信または受信の対象となる無線信号の周波数に応じて決定される。例えば、図14及び図15に示す例では、偏波RH及び偏波RVとして、28GHz帯(例えば、26.5GHz〜29.5GHz)の無線信号を送信または受信する場合を想定している。
例えば、図14及び図15に示す例では、アンテナ素子3350のエレメント3351及び3352は、x方向の幅として最も広い部分において1.59mmの幅を有し、z方向の幅として2.65mmの幅を有する。また、エレメント3351とエレメント3352とは、z方向に0.11mmだけ離隔するように形成されている。また、エレメント3351及び3352それぞれのz方向に延伸する部分は、第2の基板3330面3331からy方向に2.00mm離隔するように形成されている。
また、アンテナ素子3360のエレメント3361及び3362は、y方向の幅として最も広い部分において1.62mmの幅を有し、x方向の幅として2.66mmの幅を有する。また、エレメント3361とエレメント3362とは、z方向に0.11mmだけ離隔するように形成されている。
ここで、図16を参照して、本構成例に係るアンテナ装置3300のアンテナ特性の一例について説明する。図16は、本実施形態の第3の構成例に係るアンテナ装置のアンテナ特性のシミュレーション結果の一例を示した図である。図16において、横軸は周波数を示しており、縦軸は利得を示している。また、図16において、「S1,1」として示したシミュレーション結果は、偏波RHの送信または受信に係るアンテナ特性を示しており、「S2,2」として示したシミュレーション結果は、偏波RVの送信または受信に係るアンテナ特性を示している。図16に示すように、アンテナ装置3300は、26.5GHz〜29.5GHzの帯域において、偏波RH及び偏波RVの双方について約10dB以上の反射減衰量を確保することが可能となる。また、アンテナ装置3300においては、24.5GHzの場合においても、偏波RH及び偏波RVの双方について約10dBの反射減衰量を確保することが可能となる。
以上、第3の構成例として、図12〜図16を参照して、図5に示したアンテナ素子3050としてダイポールアンテナを適用する場合における、本実施形態に係るアンテナ装置の構成の一例について説明する。
<3.3.4.第4の構成例>
続いて、第4の構成例として、第3の構成例に係るアンテナ素子3350及び3360をアレイ化した場合における、本実施形態に係るアンテナ装置の構成の一例について説明する。なお、以降の説明では、第4の構成例として説明するアンテナ装置を他の構成例に係るアンテナ装置と区別するために「アンテナ装置3400」と称する場合がある。
例えば、図17は、本実施形態に係るアンテナ装置の第4の構成例について説明するための説明図であり、本構成例に係るアンテナ装置の概略的な斜視図を示している。なお、図17において、x方向、y方向、及びz方向は、図12〜図16におけるx方向、y方向、及びz方向に相当する。
図17に示すように、アンテナ装置3400は、第1の基板3410と、第2の基板3430と、アンテナ素子3450a〜3450dと、アンテナ素子3460a〜3460dと、誘電体3420及び3440とを含む。第1の基板3410、第2の基板3430、誘電体3420、及び誘電体3440は、図12に示すアンテナ装置3300における第1の基板3310、第2の基板3330、誘電体3320、及び誘電体3340にそれぞれ対応している。
図17に示すように、第1の基板3410の+y方向の端部3411には、複数のアンテナ素子3460(即ち、アンテナ素子3460a〜3460d)が、当該x方向に沿って配列されるように支持される。また、このとき複数のアンテナ素子3460は、x方向に互いに離間するように第1の基板3410に支持される。
また、アンテナ装置3400では、第1の基板3410は、複数のアンテナ素子3460が保持されたx方向に沿った領域3413から、さらに+x方向に延伸するように形成されている。なお、以降の説明では、第1の基板3410においてx方向に沿って規定した領域のうち、領域3413からさらに+x方向に延伸された当該領域3413とは異なる領域を「領域3415」とも称する。アンテナ装置3400においては、第1の基板3410におけるx方向に沿った領域のうちの領域3415において、当該第1の基板3410に対して第2の基板3430が支持されている。なお、第1の基板3410のx方向に沿った領域のうち、複数のアンテナ素子3460が保持された領域(例えば、領域3413)が、「第2の領域」の一例に相当する。また、第1の基板3410のx方向に沿った領域のうち、当該第2の領域とは異なる領域(例えば、領域3415)が、「第3の領域」の一例に相当する。
また、第2の基板3430の+y方向の面3431には、複数のアンテナ素子3450(即ち、アンテナ素子3450a〜3450d)が、当該x方向に沿って配列されるように支持される。また、このとき複数のアンテナ素子3450は、x方向に互いに離間するように第2の基板3430に支持される。即ち、アンテナ装置3400においては、第1の基板3410のうちの複数のアンテナ素子3460が保持された領域3413とは異なる他の領域3415に対して、複数のアンテナ素子3450が保持された領域がz方向に隣接することとなる。なお、第2の基板3430のx方向に沿った領域のうち、複数のアンテナ素子3450が保持された領域(例えば、領域3415に対してz方向に隣接する領域)が、「第1の領域」の一例に相当する。
なお、アンテナ素子3450及び3460のそれぞれを複数配設することでアレイアンテナを構成する場合には、互いに隣り合う2つのアンテナ素子間の間隔については、グレーティングローブが可視領域に出現するビーム走査角を考慮して設定されることが望ましい。
例えば、図18は、互いに隣り合うアンテナ素子の素子間隔とグレーティングローブが可視領域に出現するビーム走査角との関係の一例を示している。図18において、横軸は素子間隔d/λを示しており、縦軸はビーム走査角[deg]を示している。なお、図18に示す情報については、電気通信学会が提供する知識ベース「知識の森」の「4群2編 アンテナ・伝搬」にて開示されている(高橋 徹、“7章 アレーアンテナ”、[online]、2013年、電子情報通信学会、[平成27年10月5日検索]、インターネット<URL:http://www.ieice-hbkb.org/files/04/04gun_02hen_07.pdf>)。
アレーアンテナを構成する場合には、送信または受信の対象とする無線信号の波長をλとした場合に、一般的には、互いに隣り合う2つのアンテナ素子それぞれの給電点間の間隔が0.5λ〜0.9λとなるように調整する。なお、図18に示す関係から、グレーティングローブを抑圧し、より好適なアンテナ特性を得るためには、例えば、互いに隣り合う2つのアンテナ素子それぞれの給電点間の間隔が約0.5λとなるように各アンテナ素子が保持されることが望ましい。
そのため、図17に示す例では、複数のアンテナ素子3460は、互いに隣り合う2つのアンテナ素子3460間のx方向の間隔が約0.5λとなるように、第1の基板3410に保持されている。同様に、複数のアンテナ素子3450は、互いに隣り合う2つのアンテナ素子3450間のx方向の間隔が約0.5λとなるように、第2の基板3430に保持されている。
以上、第4の構成例として、第3の構成例に係るアンテナ素子3350及び3360をアレイ化した場合における、本実施形態に係るアンテナ装置の構成の一例について説明した。
<3.3.5.第5の構成例>
続いて、第5の構成例として、第3の構成例に係るアンテナ素子3350及び3360をアレイ化した場合における、本実施形態に係るアンテナ装置の構成の他の一例について説明する。なお、以降の説明では、第5の構成例として説明するアンテナ装置を他の構成例に係るアンテナ装置と区別するために「アンテナ装置3500」と称する場合がある。
例えば、図19は、本実施形態に係るアンテナ装置の第5の構成例について説明するための説明図であり、本構成例に係るアンテナ装置の概略的な斜視図を示している。なお、図19において、x方向、y方向、及びz方向は、図12〜図16におけるx方向、y方向、及びz方向に相当する。
図19に示すように、アンテナ装置3500は、第1の基板3510と、第2の基板3530と、アンテナ素子3550a〜3550dと、アンテナ素子3560a〜3560dと、誘電体3520及び3540とを含む。第1の基板3510、第2の基板3530、誘電体3520、及び誘電体3540は、図12に示すアンテナ装置3300における第1の基板3310、第2の基板3330、誘電体3320、及び誘電体3340にそれぞれ対応している。
図19に示すように、第1の基板3510の+y方向の端部3511には、複数のアンテナ素子3560(即ち、アンテナ素子3560a〜3560d)が、当該x方向に沿って配列されるように支持される。また、このとき複数のアンテナ素子3560は、x方向に互いに離間するように第1の基板3510に支持される。
また、第2の基板3530の+y方向の面3531には、複数のアンテナ素子3550(即ち、アンテナ素子3550a〜3550d)が、当該x方向に沿って配列されるように支持される。また、このとき複数のアンテナ素子3550は、x方向に互いに離間するように第2の基板3530に支持される。
一方で、アンテナ装置3500は、第1の基板3510と第2の基板3530との間の位置関係が、第4の構成例に係るアンテナ装置3400と異なる。具体的には、アンテナ装置3500では、第1の基板3510における複数のアンテナ素子3560が保持されたx方向に沿った領域3513において、当該第1の基板3510に対して第2の基板3530が支持される。即ち、アンテナ装置3500においては、第1の基板3510のうちの複数のアンテナ素子3560が保持された領域3413に対して、複数のアンテナ素子3550が保持された領域がz方向に位置する(例えば、隣接する)こととなる。このような構成により、アンテナ装置3500は、図17に示すアンテナ装置3400に比べて、x方向のサイズをより小さくすることが可能となる。
ここで、図20〜図22を参照して、本構成例に係るアンテナ装置3500の放射パターンの特性について、図17を参照して説明した第4の構成例に係るアンテナ装置3400との比較を踏まえて説明する。図20〜図22は、本実施形態の第5の構成例に係るアンテナ装置3500の水平方向における放射パターン(即ち、xy平面上における放射パターン)のシミュレーション結果の一例について示した図である。なお、図20、図21、及び図22は、それぞれ送信または受信される無線信号の周波数が26.5GHz、28GHz、及び29.5GHzの場合のシミュレーション結果について示している。
また、図20〜図22において、「sample1」は、第1の基板3510に保持された複数のアンテナ素子3560a〜3560dのみによりアレイアンテナを構成した場合における、アンテナ素子3560bの放射パターンのシミュレーション結果の一例を示している。即ち、「sample1」においては、第2の基板3530に保持された複数のアンテナ素子3550が含まれないものとする。なお、sample1においては、第1の基板3510のx方向の幅は20mmに設定されている。また、「sample2」は、図17を示すアンテナ装置3400におけるアンテナ素子3460bの放射パターンのシミュレーション結果の一例を示している。なお、sample2においては、第1の基板3410のx方向の幅は35mmに設定されている。また、「sample3」は、図19に示すアンテナ装置3500におけるアンテナ素子3560bの放射パターンのシミュレーション結果の一例を示している。なお、sample3においては、第1の基板3510のx方向の幅は20mmに設定されている。
図20〜図22に示すように、sample2においては、放射パターンに乱れが生じている。これは、第1の基板3410が、グランドとしての役割を果たしており、当該グランドが、アンテナ素子3460a〜3460dが保持された領域3413からさらに+x方向に延伸するように形成された部分(即ち、領域3415に相当する部分)に流れる電流が起因しているものと推測される。即ち、グランド(即ち、第1の基板3410)が延伸する方向において、無線信号が当該グランドに流れる電流の影響を受け、結果として放射パターンに乱れが生じているものと推測される。
これに対して、sample3においては、sample2で生じていた放射パターンの乱れが抑制され、sample1により近い放射パターン(即ち、より理想的な放射パターン)を示していることがわかる。即ち、本構成例に係るアンテナ装置3500に依れば、第4の構成例として示したアンテナ装置3400に比べて、水平方向において(即ち、xy平面上において)より理想的な放射パターンを得ることが可能となる。
以上、第5の構成例として、図19〜図22を参照して、第3の構成例に係るアンテナ素子3350及び3360をアレイ化した場合における、本実施形態に係るアンテナ装置の構成の他の一例について説明した。
<3.3.6.第6の構成例>
続いて、第6の構成例として、第3の構成例に係るアンテナ素子3350及び3360をアレイ化した場合における、本実施形態に係るアンテナ装置の構成の他の一例について説明する。なお、以降の説明では、第6の構成例として説明するアンテナ装置を他の構成例に係るアンテナ装置と区別するために「アンテナ装置3600」と称する場合がある。
例えば、図23は、本実施形態に係るアンテナ装置の第6の構成例について説明するための説明図であり、本構成例に係るアンテナ装置の概略的な斜視図を示している。なお、図23において、x方向、y方向、及びz方向は、図12〜図16におけるx方向、y方向、及びz方向に相当する。
図23に示すように、アンテナ装置3600は、第1の基板3610と、第2の基板3630と、アンテナ素子3650a〜3650dと、アンテナ素子3660a〜3660dと、誘電体3620及び3640とを含む。第1の基板3610、第2の基板3630、誘電体3620、及び誘電体3640は、図12に示すアンテナ装置3300における第1の基板3310、第2の基板3330、誘電体3320、及び誘電体3340にそれぞれ対応している。
図23に示すように、第1の基板3610の+y方向の端部3611には、複数のアンテナ素子3660(即ち、アンテナ素子3660a〜3660d)が、当該x方向に沿って配列されるように支持される。また、このとき複数のアンテナ素子3660は、x方向に互いに離間するように第1の基板3610に支持される。
また、第2の基板3630の+y方向の端部3631には、複数のアンテナ素子3650(即ち、アンテナ素子3650a〜3650d)が、当該x方向に沿って配列されるように支持される。また、このとき複数のアンテナ素子3650は、x方向に互いに離間するように第2の基板3630に支持される。
一方で、アンテナ装置3600は、第1の基板3610と第2の基板3630との間の位置関係が、第4の構成例に係るアンテナ装置3400や、第5の構成例係るアンテナ装置3500と異なる。具体的には、アンテナ装置3600では、第1の基板3610における複数のアンテナ素子3660が保持されたx方向に沿った領域3613のうちの一部の領域3617において、当該第1の基板3510に対して第2の基板3630が支持される。また、このとき第2の基板3530は、複数のアンテナ素子3650が保持されたx方向に沿った領域3633のうちの一部の領域が、第1の基板3610の領域3617に対してz方向に隣接するように、当該第1の基板3610に支持される。
このような構成により、第1の基板3610のうち領域3615に相当する部分は、第2の基板3630の−x方向の端部から、さらに−x方向に突出することとなる。即ち、第1の基板3610の領域3615に対して第2の基板3630がz方向に位置しない(隣接しない)構成となるため、当該領域3615に対して−z方向に位置する領域には、誘電体3640が形成されないこととなる。また、第2の基板3630のx方向に沿った領域3633のうち、第1の基板3610の領域3617に対してz方向に位置する領域(隣接する領域)以外の他の領域3635は、第1の基板3610の+x方向の端部から、さらに+x方向に突出することとなる。即ち、第2の基板3630の領域3635に対して第1の基板3610がz方向に位置しない(隣接しない)構成となるため、当該領域3635に対して+z方向に位置する領域には、誘電体3620が形成されないこととなる。
なお、以降の説明では、アンテナ素子3660a〜3660dのうちアンテナ素子3660a及び3660bが領域3615内に保持されるものとする。即ち、図23に示すアンテナ装置3600においては、アンテナ素子3660a及び3660bに対して−z方向に位置する領域には誘電体3640が形成されないこととなる。また、アンテナ素子3650a〜3650dのうちアンテナ素子3650c及び3650dが領域3635内に保持されるものとする。即ち、図23に示すアンテナ装置3600においては、アンテナ素子3650c及び3650dに対して+z方向に位置する領域には誘電体3620が形成されないこととなる。
ここで、図24〜図26を参照して、本構成例に係るアンテナ装置3600の放射パターンの特性について、図19を参照して説明した第5の構成例に係るアンテナ装置3500との比較を踏まえて説明する。図24〜図26は、本実施形態の第6の構成例に係るアンテナ装置3600の垂直方向における放射パターン(即ち、yz平面上における放射パターン)のシミュレーション結果の一例について示した図である。なお、図24、図25、及び図26は、それぞれ送信または受信される無線信号の周波数が26.5GHz、28GHz、及び29.5GHzの場合のシミュレーション結果について示している。
また、図24〜図26において、「sample4」は、第1の基板3610に保持された複数のアンテナ素子3660a〜3660dのみによりアレイアンテナを構成した場合における、アンテナ素子3660bの放射パターンのシミュレーション結果の一例を示している。即ち、「sample4」においては、第2の基板3630に保持された複数のアンテナ素子3650が含まれないものとする。なお、sample4においては、第1の基板3610のx方向の幅は20mmに設定されている。また、「sample5」は、図19を示すアンテナ装置3500におけるアンテナ素子3560bの放射パターンのシミュレーション結果の一例を示している。なお、sample5においては、アンテナ装置3500のx方向の幅(即ち、第1の基板3510のx方向の幅)は20mmに設定されている。また、「sample6」は、図23に示すアンテナ装置3600におけるアンテナ素子3660bの放射パターンのシミュレーション結果の一例を示している。なお、sample6においては、アンテナ装置3600のx方向の幅は26mmに設定されている。
図24〜図26に示すように、sample5においては、放射パターンが−z方向に歪んでいる。これは、アンテナ素子3560bに対して−z方向に誘電体3540が形成されており、当該誘電体3540の影響により、放射パターンに−z方向の歪み(即ち、当該誘電体3540に向けた歪み)が生じていることが推測される。
これに対して、sample6においては、sample5で生じていた放射パターンの歪みが抑制され、sample4により近い放射パターン(即ち、より理想的な放射パターン)を示していることがわかる。即ち、本構成例に係るアンテナ装置3600に依れば、第5の構成例として示したアンテナ装置3500に比べて、垂直方向において(即ち、yz平面上において)より理想的な放射パターンを得ることが可能となる。
なお、上記では、第3の構成例に係るアンテナ素子3350及び3360をアレイ化する場合について説明したが、当該アンテナ素子3350及び3360が1つずつの場合においても、本構成例を適用することが可能である。この場合には、当該アンテナ素子3350及び3360が、例えば、図23に示すアンテナ素子3650cまたは3650dと、アンテナ素子3660aまたは3660bとの間の位置関係となるように保持されればよい。具体的には、アンテナ素子3350に対して+z方向に誘電体3320が形成されず、アンテナ素子3360に対して−z方向に誘電体3340が形成されないように、当該アンテナ素子3350及び3360が保持されればよい。
以上、第6の構成例として、図23〜図26を参照して、第3の構成例に係るアンテナ素子3350及び3360をアレイ化した場合における、本実施形態に係るアンテナ装置の構成の他の一例について説明した。
<3.3.7.第7の構成例>
続いて、第7の構成例として、第3の構成例に係るアンテナ素子3350及び3360をアレイ化した場合における、本実施形態に係るアンテナ装置の構成の他の一例について説明する。なお、以降の説明では、第7の構成例として説明するアンテナ装置を他の構成例に係るアンテナ装置と区別するために「アンテナ装置3700」と称する場合がある。
例えば、図27は、本実施形態に係るアンテナ装置の第7の構成例について説明するための説明図であり、本構成例に係るアンテナ装置の概略的な斜視図を示している。なお、図27において、x方向、y方向、及びz方向は、図12〜図16におけるx方向、y方向、及びz方向に相当する。
図27に示すように、アンテナ装置3700は、第1の基板3710と、第2の基板3730と、アンテナ素子3750a〜3750dと、アンテナ素子3760a〜3760dと、誘電体3720及び3740とを含む。第1の基板3710、第2の基板3730、誘電体3720、及び誘電体3740は、図12に示すアンテナ装置3300における第1の基板3310、第2の基板3330、誘電体3320、及び誘電体3340にそれぞれ対応している。
図27に示すように、第2の基板3730の+y方向の端部3731には、複数のアンテナ素子3750(即ち、アンテナ素子3750a〜3750d)が、当該x方向に沿って配列されるように支持される。また、このとき複数のアンテナ素子3750は、x方向に互いに離間するように第2の基板3750に支持される。
一方で、アンテナ装置3700では、複数のアンテナ素子3760のうち一部のアンテナ素子3760は第1の基板3710に支持され、他の一部のアンテナ素子3760については第2の基板3730に支持される点で、他の構成例に係るアンテナ装置と異なる。
具体的には、図27に示すように、第1の基板3710に対して第2の基板3730が支持される。このとき、第1の基板3710と第2の基板3730とはx方向に略等しい幅を有していてもよい。
第2の基板3730のx方向及びz方向に延伸する面には、アンテナ素子3750a〜3750dと、アンテナ素子3760c及び3760dとが保持される。このとき、第2の基板3730の当該面のx方向に沿った領域は、当該x方向に沿って領域3733と領域3735とに分けられる。このような構成の基で、第2の基板3730のx方向及びz方向に延伸する面のうち領域3733に相当する部分(以下、「面3731」とも称する)には、アンテナ素子3750a〜3750dがx方向に沿って配列するように保持される。また、第2の基板3730のx方向及びz方向に延伸する面のうち領域3735に相当する部分(以下、「面3737」とも称する)には、アンテナ素子3760c及び3760dがx方向に沿って配列するように保持される。なお、本構成例においては、アンテナ素子3760a〜3760dのうち、アンテナ素子3760a及び3760bが「第2のアンテナ素子」の一例に相当し、アンテナ素子3760c及び3760dについては「第3のアンテナ素子」の一例に相当する。また、第2の基板3730のx方向に沿った領域のうち、複数のアンテナ素子3750が保持された領域(例えば、領域37433)が「第1の領域」の一例に相当し、第3のアンテナ素子が保持された領域(例えば、領域3735)が「第4の領域」の一例に相当する。
第1の基板3710の端部3711には、アンテナ素子3760a及び3760bがx方向に沿って配列されるように保持される。このとき、アンテナ素子3760a及び3760bは、端部3711のx方向に沿った領域のうち、第2の基板3730の領域3735(換言すると、面3737)に対してz方向に位置する領域(例えば、z方向に隣接する領域)に保持される。このような構成により、第1の基板3710に保持されたアンテナ素子3760a及び3760bと、第2の基板3730に保持されたアンテナ素子3760c及び3760dとが、z方向に互いに隣り合うように保持される。
また、第1の基板3710のx方向の領域のうち、第2の基板3730の領域3733(換言すると、面3731)に対してz方向に位置する領域(例えば、z方向に隣接する領域)にはアンテナ素子3760が保持されないこととなる。即ち、アンテナ装置3700においては、複数のアンテナ素子3750(例えば、アンテナ素子3750a〜3750d)それぞれのz方向には、アンテナ素子3760が保持されない構成となる。
なお、面3731は、面3737よりも+x方向に突出するように形成されてもよい。このような構成により、第2の基板3730に保持された、アンテナ素子3750a〜3750dとアンテナ素子3760c及び3760dとを離隔させ、それぞれのアンテナ特性を向上させることが可能となる。
ここで、図28を参照して、第1の基板側に保持されたアンテナ素子3760と、第2の基板側に保持されたアンテナ素子3760との間のより詳細な位置関係について、特に、z方向の位置関係に着目して説明する。図28は、本実施形態に係るアンテナ装置の第7の構成例について説明するための説明図であり、図27に示したアンテナ装置3700をx方向から見た場合における、当該アンテナ装置3700の構成の一例を示した図である。なお、本説明では、一例として、z方向に互いに隣り合うように保持されたアンテナ素子3760a及び3760cの位置関係について説明する。
図28において、参照符号d1は、第1の基板3710の+z方向側の面のz方向の位置と、アンテナ素子3760aと、の間のz方向の間隔を示している。また、参照符号d2は、第2の基板3730の−z方向側の端部のz方向の位置と、アンテナ素子3760cと、の間のz方向の間隔を示している。また、参照符号d3は、アンテナ素子3760aとアンテナ素子3760cとの間のz方向の間隔を示している。
アンテナ素子3760a及び3760cをアレイアンテナとして構成することを想定した場合に、当該アンテナ素子3760a及び3760cが良好なアンテナ特性を示すためには、d3としてλ/2以上(λは、送信または受信の対象となる無線信号の波長)の間隔を確保することが望ましい。また、d1がより狭くなるほどアンテナ素子3760aは誘電体のより端部側(即ち、+z方向の端部側)に位置することとなり、当該アンテナ素子3760aの指向性がより傾きやすくなる。また、d1がより広くなるほどアンテナ素子3760aは誘電体のより中央側(即ち、z方向の中央側)に位置することとなり、当該アンテナ素子3760aの指向性がより傾きにくくなる。同様に、d2がより狭くなるほどアンテナ素子3760cは誘電体のより端部側(即ち、−z方向の端部側)に位置することとなり、当該アンテナ素子3760cの指向性がより傾きやすくなる。また、d2がより広くなるほどアンテナ素子3760cは誘電体のより中央側(即ち、z方向の中央側)に位置することとなり、当該アンテナ素子3760cの指向性がより傾きにくくなる。
以上のような特性から、d3としてλ/2以上の間隔を確保したうえで、d1及びd2としてより広い間隔が確保されるようにアンテナ素子3760a及び3760cが保持されることで、より良好なアンテナ特性を得ることが可能となる。
以上、第7の構成例として、図27及び図28を参照して、第3の構成例に係るアンテナ素子3350及び3360をアレイ化した場合における、本実施形態に係るアンテナ装置の構成の他の一例について説明する。
<3.4.実施例>
続いて、本開示の一実施形態に係るアンテナ装置の実施例について説明する。本実施例では、本実施形態に係るアンテナ装置を利用して、互いに異なる方向から到来する無線信号それぞれについて偏波MIMOを実現可能とするアンテナ装置の構成の一例について説明する。
例えば、図29は、本実施形態に係るアンテナ装置の一実施例について説明するための説明図であり、本実施例に係るアンテナ装置の概略的な斜視図を示している。なお、図29に示す例では、第4の構成例〜第7の構成例として前述したように、アンテナ素子としてダイポールアンテナを採用し、当該アンテナ素子をアレイ化した場合の一例について示している。また、図29において、x方向、y方向、及びz方向は、例えば、図23におけるx方向、y方向、及びz方向に相当する。また、以降の説明では、図29に示すアンテナ装置を他の構成例に係るアンテナ装置と区別するために「アンテナ装置3800」と称する場合がある。
図29に示すようにアンテナ装置3800は、第1の基板3810と、第2の基板3830と、誘電体3820及び3840と、アンテナ素子3850a〜3850dと、アンテナ素子3860a〜3860dと、アンテナ素子3870とを含む。第1の基板3810、第2の基板3830、誘電体3820、及び誘電体3840は、例えば、図23に示すアンテナ装置3600における第1の基板3610、第2の基板3630、誘電体3620、及び誘電体3640にそれぞれ対応している。また、アンテナ素子3850a〜3850d及びアンテナ素子3860a〜3860dは、例えば、図23に示すアンテナ素子3650a〜3650d及びアンテナ素子3660a〜3660dにそれぞれ対応している。なお、アンテナ装置3800の構成としては、第4の構成例〜第7の構成例のうちのいずれの構成も適用し得る。即ち、第4の構成例〜第7の構成例のうちのいずれの構成を適用するかに応じて、第1の基板3810、第2の基板3830、アンテナ素子3850a〜3850d、及びアンテナ素子3860a〜3860dの位置関係は適宜変更されてもよい。
また、図29に示すように、第1の基板3810の+z方向側の面上には、アンテナ素子3870が保持される。アンテナ素子3870としては、伝搬方向がz方向と略一致し、かつ偏波方向がx方向と略一致する偏波と、伝搬方向がz方向と略一致し、かつ偏波方向がy方向と略一致する偏波と、を送信または受信可能なアンテナ素子が適用されるとよい。具体的な一例として、アンテナ素子3870は、パッチアンテナとして構成されてもよい。また、他の一例として、アンテナ素子3870は、エレメントがx方向に延伸するように設けられたダイポールアンテナと、エレメントがy方向に延伸するように設けられたダイポールアンテナと、により構成されてもよい。もちろん、上記はあくまで一例であり、他の種類のアンテナ素子を適用することも可能である。なお、アンテナ素子3870が、「第4のアンテナ素子」の一例に相当する。
以上のような構成に基づき、アンテナ装置3800は、伝搬方向がy方向と略一致する無線信号のうち、偏波方向がx方向と略一致する偏波をアンテナ素子3860a〜3860dにより送信または受信する。また、アンテナ装置3800は、伝搬方向がy方向と略一致する無線信号のうち、偏波方向がz方向と略一致する偏波をアンテナ素子3850a〜3850dにより送信または受信する。また、アンテナ装置3800は、伝搬方向がz方向と略一致する無線信号のうち、偏波方向がx方向と略一致する偏波と、偏波方向がy方向と略一致する偏波と、をアンテナ素子3870により送信または受信する。即ち、本実施例に係るアンテナ装置3800は、y方向から到来する無線信号と、z方向から到来する無線信号と、の双方について偏波MIMOを実現することが可能となる。
続いて、本実施例に係るアンテナ装置の構成の一例について、スマートフォン等の通信装置(特に薄型の通信装置)への実装を想定してより詳しく説明する。例えば、図30は、本実施形態に係るアンテナ装置の一実施例について説明するための説明図であり、本実施例に係るアンテナ装置の構成の一例について示している。図30において、x方向、y方向、及びz方向は、図29におけるx方向、y方向、及びz方向に相当する。また、以降の説明では、図30に示すアンテナ装置を他の構成例に係るアンテナ装置と区別するために「アンテナ装置3900」と称する場合がある。
図30に示すようにアンテナ装置3900は、第1の基板3910と、第2の基板3930と、誘電体3920、3940、及び3980と、アンテナ素子3950と、アンテナ素子3960と、アンテナ素子3970と、制御回路3990とを含む。
第1の基板3910、第2の基板3930、誘電体3920、及び誘電体3940は、例えば、図29に示すアンテナ装置3800における第1の基板3810、第2の基板3830、誘電体3820、及び誘電体3840にそれぞれ対応している。また、アンテナ素子3950、アンテナ素子3960、及びアンテナ素子3970は、図29に示すアンテナ装置3800におけるアンテナ素子3850a〜3850d、アンテナ素子3860a〜3860d、及びアンテナ素子3870にそれぞれ相当する。また、図30に示す例では、アンテナ素子3950及び3960のそれぞれは、ダイポールアンテナとして構成されている。即ち、アンテナ素子3950は、エレメント3961及び3963を有する。また、アンテナ素子3960は、エレメント3951及び3953を有する。また、図30に示す例では、アンテナ素子3970は、パッチアンテナとして構成されているものとする。
アンテナ素子3970は、第1の基板3910のx方向及びy方向に延伸する面のうちの表面(+z方向側の面)に、誘電体3980の層を介して保持される。
また、第1の基板3910のx方向及びy方向に延伸する面のうち裏面(−z方向側の面)には、第2の基板3930の−y方向側(即ち、アンテナ素子3950が保持された面3931とは反対側の面側)に制御回路3990が保持されてもよい。制御回路3990は、例えば、アンテナ素子3950、3960、及び3970のうち少なくとも一部のアンテナ素子と電気的に接続され、当該アンテナ素子の駆動を制御する。このとき、制御回路3990と、駆動対象となるアンテナ素子(例えば、アンテナ素子3950、3960、及び3970)と、の間は、第1の基板3910及び第2の基板3930のうち少なくともいずれかの基板の配線層を介して接続される。そのため、例えば、制御回路3990によりアンテナ素子3950の駆動を制御する場合には、第2の基板3930のy方向の厚みL111は、上記配線と、当該第2の基板3930の配線層間をz方向に接続するビアと、の実装を想定して、約3mm以上の幅が確保されることが望ましい。
また、28GHz帯(例えば、26.5GHz〜29.5GHz)の無線信号の送信または受信を想定した場合には、アンテナ素子3950、アンテナ素子3960、誘電体3920、及び誘電体3940が形成される領域のy方向の厚みL113として、約3mm程度の幅が確保されることが望ましい。
なお、図30に示すアンテナ装置3900に依れば、第1の基板3910については、z方向の厚みを約1mm程度に抑えることが可能となる。
以上、実施例として、図29及び図30を参照して、本実施形態に係るアンテナ装置を利用して、互いに異なる方向から到来する無線信号それぞれについて偏波MIMOを実現可能とするアンテナ装置の構成の一例について説明した。
<3.5.応用例>
続いて、本開示の一実施形態に係るアンテナ装置を適用した通信装置の応用例として、スマートフォンのような通信端末以外の装置に対して、本開示に係る技術を応用する場合の一例について説明する。
近年では、IoT(Internet of Things)と呼ばれる、多様なモノをネットワークにつなげる技術が注目されており、スマートフォンやタブレット端末以外の装置についても、通信に利用可能となる場合が想定される。そのため、例えば、移動可能に構成された各種装置に対して、本開示に係る技術を応用することで、当該装置についても、ミリ波を利用した通信が可能となり、当該通信において偏波MIMOを利用することも可能となる。
例えば、図31は、本実施形態に係る通信装置の応用例について説明するための説明図であり、本開示に係る技術をカメラデバイスに応用した場合の一例を示している。具体的には、図31に示す例では、カメラデバイス300の筐体の外面のうち、互いに異なる方向を向いた面301及び302それぞれの近傍に位置するように、本開示の一実施形態に係るアンテナ装置が保持されている。例えば、参照符号311は、本開示の一実施形態に係るアンテナ装置を模式的に示している。このような構成により、図31に示すカメラデバイス300は、例えば、面301及び302それぞれについて、当該面の法線方向と略一致する方向に伝搬し、かつ偏波方向が互いに異なる複数の偏波それぞれを送信または受信することが可能となる。なお、図31に示した面301及び302のみに限らず、他の面にもアンテナ装置311が設けられていてもよいことは言うまでもない。
また、本開示に係る技術は、ドローンと呼ばれる無人航空機等にも応用することが可能である。例えば、図32は、本実施形態に係る通信装置の応用例について説明するための説明図であり、本開示に係る技術を、ドローンの下部に設置されるカメラデバイスに応用した場合の一例を示している。具体的には、高所を飛行するドローンの場合には、主に、下方側において各方向から到来する無線信号(ミリ波)を送信または受信できることが望ましい。そのため、例えば、図32に示す例では、ドローンの下部に設置されるカメラデバイス400の筐体の外面401のうち、互いに異なる方向を向いた各部の近傍に位置するように、本開示の一実施形態に係るアンテナ装置が保持されている。例えば、参照符号411は、本開示の一実施形態に係るアンテナ装置を模式的に示している。また、図32では図示を省略しているが、カメラデバイス400のみに限らず、例えば、ドローン自体の筐体の各部にアンテナ装置411が設けられていてもよい。この場合においても、特に、当該筐体の下方側にアンテナ装置411が設けられているとよい。
なお、図32に示すように、対象となる装置の筐体の外面のうち少なくとも一部が湾曲する面(即ち、曲面)として構成されている場合においては、当該湾曲する面中における各部分領域のうち、法線方向が互いに交差するか、または、当該法線方向が互いにねじれの位置にある複数の部分領域それぞれの近傍に、アンテナ装置411が保持されるとよい。このような構成により、図32に示すカメラデバイス400は、各部分領域の法線方向と略一致する方向に伝搬し、かつ偏波方向が互いに異なる複数の偏波それぞれを送信または受信することが可能となる。
なお、図31及び図32を参照して説明した例はあくまで一例であり、ミリ波を利用した通信を行う装置であれば、本開示に係る技術の応用先は特に限定されない。
以上、本開示の一実施形態に係るアンテナ装置を適用した通信装置の応用例として、図31及び図32を参照して、スマートフォンのような通信端末以外の装置に対して、本開示に係る技術を応用する場合の一例について説明した。
<<4.むすび>>
以上説明したように、本実施形態に係るアンテナ装置は、第1の方向に延伸する第1の基板と、当該第1の基板に支持され、当該第1の方向と、当該第1の方向と直交する第2の方向と、の双方に延伸する第2の基板と、を有する。また、第2の基板の、法線方向が第1の方向及び第2の方向の双方に直交する第3の方向に略一致する面には、偏波方向が第2の方向と略一致する無線信号を送信または受信するアンテナ素子が保持される。このような構成により、本実施形態に係るアンテナに依れば、偏波方向が当該アンテナ装置の厚み方向(第2の方向)と略一致する偏波を送信または受信可能とし、かつ厚みをより薄く形成することが可能となる。
また、第2の基板に設けられたアンテナ素子を、第2の方向に延伸するエレメントを有するダイポールアンテナとして構成し、第1の基板の第3の方向の端部側に、第1の方向に延伸するエレメントを有するダイポールアンテナを別途設けてもよい。このような構成により、本実施形態に係るアンテナ装置は、第3の方向に伝搬する無線信号のうち、偏波方向が第1の方向に略一致する偏波と、偏波方向が第2の方向に略一致する偏波と、を送信または受信することが可能となる。即ち、このような構成により、本実施形態に係るアンテナ装置に依れば、伝搬方向が第3の方向と略一致する無線信号について、偏波MIMOを実現することが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
第1の方向に延伸する第1の基板と、
前記第1の基板に支持され、前記第1の方向と、当該第1の方向と直交する第2の方向と、の双方に延伸する第2の基板と、
前記第2の基板の、法線方向が前記第1の方向及び前記第2の方向の双方に直交する第3の方向に略一致する面に支持され、偏波方向が前記第2の方向と略一致する無線信号を送信または受信するアンテナ素子と、
を備える、アンテナ装置。
(2)
前記第2の基板は、前記第1の基板の、法線方向が前記第2の方向に略一致する面上の、前記第3の方向の端部側に支持され、
前記第1の基板の当該第3の方向の端部側に支持され、偏波方向が前記第1の方向の略一致する無線信号を送信または受信する、前記アンテナ素子である第1のアンテナ素子とは異なる第2のアンテナ素子を備える、
前記(1)に記載のアンテナ装置。
(3)
前記第1のアンテナ素子は、前記第2の方向に延伸する第1のエレメントを備える、前記(2)に記載のアンテナ装置。
(4)
前記第1のエレメントは、前記第1の方向に延伸する複数の部材が前記第2の方向に積層されて形成される、前記(3)に記載のアンテナ装置。
(5)
前記第2のアンテナ素子は、前記第1の方向に延伸する第2のエレメントを備える、前記(2)〜(4)のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
(6)
前記第1のアンテナ素子及び前記第2のアンテナ素子の少なくともいずれかはダイポールアンテナとして構成される、前記(2)〜(5)のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
(7)
前記第1のアンテナ素子と前記第2のアンテナ素子とのうち少なくともいずれかのアンテナ素子を複数備え、
複数の当該アンテナ素子は、前記第1の方向に沿って互いに離間するように支持される、
前記(2)〜(6)のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
(8)
前記第1のアンテナ素子と前記第2のアンテナ素子との双方を複数の備え、
前記第1の方向に複数の前記第1のアンテナ素子が配設された第1の領域と、当該第1の方向に複数の第2のアンテナ素子が配設された第2の領域と、のうち一方の領域の当該第1の方向の少なくとも一部が他方の領域に対して前記第2の方向に隣接するように、前記第1の基板に対して前記第2の基板が支持される、
前記(7)に記載のアンテナ装置。
(9)
複数の前記第1のアンテナ素子が支持された前記第2の基板の面に、少なくとも前記第1の領域を包含するように設けられた第1の誘電体と、
複数の前記第2のアンテナ素子が支持された前記第1の基板の端部に、少なくとも前記第2の領域を包含するように設けられた第2の誘電体と、
を備え、
前記一方の領域のうち前記第1の方向の一部にのみ、前記第1の誘電体及び前記第2の誘電体のうち前記他方の領域を包含するように設けられた誘電体が、前記第2の方向に隣接するように、前記第1の基板に対して前記第2の基板が支持される、
前記(8)に記載のアンテナ装置。
(10)
前記第1の基板及び前記第2の基板のうち一方の基板が、他方の基板の前記第1の方向の端部よりも当該第1の方向に突出するように、前記第1の基板に対して前記第2の基板が支持される、前記(9)に記載のアンテナ装置。
(11)
前記一方の領域の前記第1の方向の全体に対して、前記他方の領域のうち前記第1の方向の少なくとも一部の領域が前記第2の方向に隣接するように、前記第1の基板に対して前記第2の基板が支持される、前記(8)に記載のアンテナ装置。
(12)
前記第1のアンテナ素子と前記第2のアンテナ素子との双方を複数の備え、
前記第1の基板の前記第1の方向に沿った領域のうち、前記第1の方向に複数の前記第2のアンテナ素子が配設された第2の領域とは異なる第3の領域に対して、当該第1の方向に複数の第1のアンテナ素子が配設された第1の領域が前記第2の方向に隣接するように、前記第1の基板に対して前記第2の基板が支持される、
前記(7)に記載のアンテナ装置。
(13)
前記第1のアンテナ素子と前記第2のアンテナ素子との双方を複数の備え、
前記第2の基板の前記第1の方向に沿った領域のうち、複数の前記第1のアンテナ素子が配設された第1の領域とは異なる第4の領域に対して支持され、偏波方向が前記第1の方向の略一致する無線信号を送信または受信する、第3のアンテナ素子を備え、
複数の前記第1のアンテナ素子は、前記第1の基板の前記第1の方向に沿った領域のうち、前記第4の領域に対して前記第2の方向に隣接する領域に支持される、
前記(7)に記載のアンテナ装置。
(14)
前記第1の領域は、前記第4の領域よりも前記第3の方向に突出するように形成される、前記(13)に記載のアンテナ装置。
(15)
前記アンテナ素子は、前記無線信号である第1の無線信号と、偏波方向が前記第1の方向と略一致する第2の無線信号と、のそれぞれを送信または受信する平面アンテナとして構成される、前記(1)に記載のアンテナ装置。
(16)
前記アンテナ素子を複数備え、
複数の前記アンテナ素子は、前記第1の方向に沿って互いに離間するように支持される、
前記(15)に記載のアンテナ装置。
(17)
前記第1の基板は、
前記第2の基板が前記第2の方向に延伸する方向とは逆側に位置し、かつ法線方向が前記第2の方向とは逆側の方向と略一致する面を有し、
当該当該面上に、前記アンテナ素子である第1のアンテナ素子とは異なる第4のアンテナ素子を備える、
前記(1)〜(16)のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
(18)
前記第1の基板の前記第4のアンテナ素子が支持された面とは反対側の面のうち、前記第2の基板の前記第1のアンテナ素子が設けられた面とは反対側に位置する領域に保持された駆動回路を備え、
前記駆動回路は、前記第1のアンテナ素子と前記第4のアンテナ素子とのうち少なくともいずれかのアンテナ素子に対して電気的に接続される、
前記(17)に記載のアンテナ装置。