JP6988878B2 - 銅線材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、銅線材の製造方法に関する。本出願は、2017年02月23日出願の日本出願第2017−032700号に基づく優先権を主張し、上記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
特許文献1には、表面性状に優れる銅線材の製造方法として、上引き鋳造法によって得られたアップキャスト材にコンフォーム押出を施す方法が開示されている。
特開2015−28903号公報
コンフォーム押出は、回転するホイールの溝に素材(アップキャスト材)を装入し、ホイールと素材との間の摩擦熱等による発熱で素材を塑性流動状態にしてダイスから押出す成型法であり、伸線と比べて線速が遅い傾向にある。
また、コンフォーム押出は、長尺材を連続して製造できるが、比較的小径の長尺材とすることは難しい。そのため、特許文献1では、コンフォーム押出を施して得られた押出材に伸線加工を施している。
本開示に係る銅線材の製造方法は、
銅又は銅合金からなる銅線材を得る銅線材の製造方法であって、
鋳型から上方に引上げる鋳片の線径が8mm以上であり、前記線径に対する前記鋳片の引上げ周期の比率が0.5以下となるように上引き鋳造法を行って得られたアップキャスト材を準備する準備工程と、
前記アップキャスト材に40%以上の加工度で伸線加工を施して伸線材を得る伸線工程とを備える。
[本開示が解決しようとする課題]
本発明は表面性状に優れ、導体の素材に適した銅線材を効率的に得られる銅線材の製造方法を提供することを目的の一つとする。
[発明の効果]
上記銅線材の製造方法は、表面性状に優れ、導体の素材に適した銅線材を効率的に得られる。
[本発明の実施形態の説明]
上引き鋳造法は、酸素濃度がより低い線材(例えば、無酸素銅線材)を製造できる。しかし、上引き鋳造法によって得られるアップキャスト材は、表面性状が悪い。上引き鋳造法では、鋳型と鋳片との間の引っ掛かり(かじり)の発生を抑制したり、鋳造の不安定を抑制したりするために、微小な間隔で断続的に鋳片を引き上げることがある。そこで、本発明者らは、アップキャスト材の表面性状として、鋳型から鋳片を上方に引上げる際に、その引上げ周期によって結晶組織が周期的に変化することに着目した。ここで、「引上げ周期」とは、鋳片を一定間隔で断続的に引上げたときの引上げ長さの周期のことを言う。つまり、鋳片の断続的な引上げ過程において、鋳片の引上げ中断の後、引上げが開始されてから次の引上げ中断に至るまでの間に鋳片が引上げられる距離のことを言う。また、「結晶組織が周期的に変化する」とは、鋳片を一定間隔で断続的に引上げることで、引上げが継続して行われた領域と引上げが中断された領域とで結晶組織が変化することを言う。
アップキャスト材の結晶組織の周期間隔が大きい場合、即ち鋳片の引上げ周期が大きい場合、そのアップキャスト材に伸線加工を施すと、低い加工度(例えば、40%未満の加工度)だと、割れや破断が生じる。この理由は、上引き鋳造法による鋳造時にアップキャスト材の結晶組織に周期的な変化が生じ、そのままそのアップキャスト材をドラムやキャプスタンに巻き、次工程の伸線加工のために繰り出すと、そのアップキャスト材の繰り出し時に蛇行が生じるからである。アップキャスト材に蛇行が生じると、伸線ダイスの通過時に大きな線ブレが発生し、キャプスタンとの擦れにより深いキズが発生する。そこで、アップキャスト材の結晶組織を均一的にする手段を検討した結果、アップキャスト材の結晶組織の周期間隔を小さくすると共に、アップキャスト材に高い加工度(40%以上の加工度)で伸線加工を施すことが好ましい、との知見を得て、本発明を完成するに至った。以下、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明の実施形態に係る銅線材の製造方法は、
銅又は銅合金からなる銅線材を得る銅線材の製造方法であって、
鋳型から上方に引上げる鋳片の線径が8mm以上であり、前記線径に対する前記鋳片の引上げ周期の比率が0.5以下となるように上引き鋳造法を行って得られたアップキャスト材を準備する準備工程と、
前記アップキャスト材に40%以上の加工度で伸線加工を施して伸線材を得る伸線工程とを備える。
ここでの「銅線材」とは、銅又は銅合金からなり、上引き鋳造法を行って得られたアップキャスト材に、伸線加工を必須とする種々の加工を施した線材を言う。そのため、銅線材として、製造段階に応じて、伸線材、皮剥ぎ材、熱処理材等と呼ぶことがある。
実施形態の銅線材の製造方法は、アップキャスト材に40%以上の高加工度で伸線加工を施すことで、周期的に変化したアップキャスト材の結晶組織が均され、そのアップキャスト材の結晶組織の周期性によって生じた蛇行を正すことができる。特に、アップキャスト材は、鋳片の線径D(mm)に対する引上げ周期L(mm)の比率:L/Dが0.5以下であることで、アップキャスト材の結晶組織の周期間隔を短くでき、伸線加工時に生じ得る線材の蛇行を正し易い。また、鋳片の線径(アップキャスト材の線径)が8mm以上であることで、アップキャスト材の伸線加工の加工度を十分に高くすることができる。以上より、実施形態の銅線材の製造方法は、線径Dが大きく、かつ結晶組織の周期間隔が短いアップキャスト材に、40%以上の高加工度で伸線加工を施すことで、アップキャスト材の結晶組織の周期的な変化を実質的に消失でき、実質的に直行状態とできる。
よって、上記銅線材の製造方法は、伸線時に生じ得るキズ等の表面欠陥を低減でき、表面性状に優れ、導体の素材に適した銅線材を容易に得られる。
(2)上記銅線材の製造方法の一形態として、前記伸線材に皮剥ぎを施して皮剥ぎ材を得る皮剥ぎ工程を備えることが挙げられる。
伸線材に皮剥ぎを施すことで、伸線時に伸線材に生じるキズ等の表面欠陥を除去でき、表面性状により優れる銅線材を得られる。
(3)上記銅線材の製造方法の一形態として、前記伸線材に熱処理を施して熱処理材を得る熱処理工程を備えることが挙げられる。
伸線材に熱処理を施すことで、伸線材の結晶組織を再結晶化させることができ、結晶組織を均一的にし易い。また、伸線性の向上を図ることができる。
(4)皮剥ぎ工程を備える上記銅線材の製造方法の一形態として、前記皮剥ぎ材に加工度が80%以下の伸線加工を施した中間線材に熱処理を施して熱処理材を得る熱処理工程を備えることが挙げられる。
上記形態によれば、皮剥ぎ材の結晶組織をより均一的にし易く、伸線性をより向上することができる。
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態の詳細を、以下に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
〔銅線材の製造方法〕
実施形態の銅線材の製造方法は、上引き鋳造法を行って得られたアップキャスト材を準備する準備工程と、準備したアップキャスト材に伸線加工を施して伸線材を得る伸線工程とを備える。実施形態の銅線材の製造方法は、線径が大きく、かつ結晶組織の周期間隔が短いアップキャスト材を準備し、このアップキャスト材に40%以上の高加工度で伸線加工を施すことを特徴の一つとする。また、実施形態の銅線材の製造方法は、必要に応じて、前記伸線材に皮剥ぎを施して皮剥ぎ材を得る皮剥ぎ工程を備える。更に、実施形態の銅線材の製造方法は、必要に応じて、前記伸線材に熱処理を施して熱処理材を得る熱処理工程を備える。以下、工程ごとに詳細に説明する。
≪準備工程≫
準備工程は、上引き鋳造法を行って得られたアップキャスト材を準備する工程である。上引き鋳造法による鋳造には、市販又は公知の上引き鋳造機を利用できる。アップキャスト材は、鋳型から上方に引上げる鋳片の線径Dが8mm以上であり、この線径Dに対する鋳片の引上げ周期Lの比率:L/Dが0.5以下となるように上引き鋳造法を行って得られたものである。
アップキャスト材の線径Dは、8mm以上である。ここで言う線径Dは、アップキャスト材の等面積円相当径のことであり、アップキャスト材の横断面において、その断面積と同じ面積を有する円の直径のことである。アップキャスト材は、横断面形状が円形の丸線が代表的である。アップキャスト材の線径Dが大きいほど、後述する伸線工程において、伸線加工の加工度を十分に高くできる。よって、アップキャスト材の線径Dは、8.5mm以上、更に10mm以上、12mm以上、15mm以上、特に16mm以上であることが好ましい。
アップキャスト材は、例えば1100〜1200℃の銅溶湯から鋳片を引上げ速度0.1〜4m/minで、鋳型から上方に引上げることで得られる。この鋳片の引上げ時の引上げ長さの周期L(mm)は、アップキャスト材の線径D(mm)に対する比率L/Dが0.5以下となるように設定する。上記比率L/Dは、上記引上げ速度の範囲内においては、上記引上げ速度に関わらず一定であることが挙げられる。また、引上げ時の引上げ間の停止時間は、0.01〜60secとすることが挙げられる。ここで、「引上げ速度」とは、鋳片の引上げと停止とを繰り返し行う際の「鋳片の引上げ開始から次の引上げ開始まで」、言い換えると「鋳片の引上げ開始から一サイクルの引上げを停止し、その停止状態で保持する時間の完了まで」の一連の動作での平均速度のことを言う。
上引き鋳造法により得られるアップキャスト材は、鋳片の引上げ周期に伴い、その長手方向に結晶組織が周期的に変化する。この結晶組織の周期的な変化は、アップキャスト材の縦断面を顕微鏡にて観察することで見える。この結晶組織の周期的な変化によって、アップキャスト材に蛇行が生じる。アップキャスト材に蛇行が生じると、後述する伸線工程において、伸線時に生じ得るキズ等の表面欠陥の原因となる。具体的には、蛇行によって伸線ダイスの通過時に大きな線ブレが発生し、キャプスタンとの擦れにより深いキズが発生したりする。鋳片の引上げ周期Lが短いほど、得られるアップキャスト材の結晶組織の周期間隔を短くでき、蛇行を小さくできるため、線ブレを小さくしたり、キャプスタンとの擦れによる負荷を小さくしたりできる。また、伸線加工時にアップキャスト材の蛇行を正し易い。よって、鋳片の引上げ周期Lは、アップキャスト材の線径Dに対する比率L/Dが0.40以下、更に0.35以下、特に0.30以下であることが好ましい。一方、引上げ周期Lは、短過ぎると生産性が低下する虞があるため、L/Dが0.1以上、更に0.12以上、特に0.15以上であることが好ましい。L/Dが0.1以上であることで、鋳造不安定による断線が生じ難くできる。
アップキャスト材の構成材料は、いわゆる純銅とする。純銅は、無酸素銅(Cuを99.95質量%以上含有し、残部が不可避不純物(好ましくは不可避不純物の合計含有量が0.03質量%以下))が挙げられる。無酸素銅中の酸素含有量は、少ないほど導電性に優れることから0.005質量%(50質量ppm)以下、更に0.002質量%(20質量ppm)以下が好ましい。酸素含有量は、溶解時に精錬したり、鋳造雰囲気を調整したりすることで調整できる。上引き鋳造法は、鋳造雰囲気を調整し易く、酸素含有量を低くし易い。
≪伸線工程≫
伸線工程は、準備工程で準備したアップキャスト材に40%以上の加工度で伸線加工を施して伸線材を得る工程である。伸線加工には、代表的には、伸線ダイスを用いる。
本発明者らが検討した結果、アップキャスト材に低い加工度(例えば、40%未満の加工度)で伸線加工を施し、この伸線材に皮剥ぎを行った場合、線材に生じるキズ等の表面欠陥をある程度は除去できるが、そのアップキャスト材の蛇行を正すことは難しかった。これは、伸線加工度が低いために、結晶組織の周期的な変化が残存したことによると考えられる。そのため、皮剥ぎによって表面欠陥を除去したとしても、線材が蛇行したままであると、その後のキャプスタンとの擦れによって新たにキズが発生してしまう。そこで、アップキャスト材に40%以上の高加工度で伸線加工を施し、この伸線材に皮剥ぎを行ったところ、伸線材に生じるキズ等表面欠陥を除去できる上に、その線材の蛇行を正すことができた。これは、伸線加工度が高いために、伸線時に結晶組織の周期的な変化が実質的に消失されたことによると考えられる。そのため、その後の製造過程においてアップキャスト材が蛇行することはなく、その伸線材にキャプスタンとの擦れによって新たにキズが発生することを抑制できる。
伸線加工は、1回又は複数回施すことができる。伸線加工を1回とする場合、その1回の加工度が40%以上であり、伸線加工を複数回とする場合、複数回の総加工度が40%以上である。伸線加工度が高いほど、線材の結晶組織の周期的な変化を消失し易い。よって、伸線加工度(複数回の場合は総加工度)は、50%以上、更に55%以上、60%以上、65%以上、特に70%以上であることが好ましい。
≪皮剥ぎ工程≫
皮剥ぎ工程は、伸線工程で得た伸線材に皮剥ぎを施して皮剥ぎ材を得る工程である。皮剥ぎを施すことで、伸線時に生じるキズ等の表面欠陥を除去でき、表面性状により優れる銅線材を得られる。皮剥ぎには、代表的には、皮剥ぎダイスを用いる。
皮剥ぎは、1回又は複数回施すことができる。皮剥ぎを1回とする場合、歩留りを低減し易い。皮剥ぎを複数回施す場合、キズ等の欠陥を良好に除去できる。皮剥ぎ厚さ(除去厚さ)は、素材の大きさ、欠陥の状態等に応じて適宜選択できる。例えば、素材が直径5mm以上15mm以下程度の線材である場合、皮剥ぎ厚さ(複数回行う場合は合計厚さ)は、20μm以上150μm以下、更に40μm以上100μm以下が好ましい。上記範囲の大きさの線材に対して、皮剥ぎ厚さを20μm以上(好ましくは40μm以上)とすることで、表面欠陥を十分に除去でき、150μm以下(好ましくは100μm以下)とすることで、歩留りの低下を抑制できる。なお、皮剥ぎ後の線材の直径は、(皮剥ぎ前の素材の直径−皮剥ぎ厚さ×2)である。
40%以上の高加工度で伸線加工を施した線材は加工硬化により硬くなっているため、この線材に皮剥ぎを施すことで、切削性が良好で、皮剥ぎし易く、ムシレ等の欠陥の発生を抑制し易い。
≪熱処理工程≫
熱処理工程は、伸線工程で得た伸線材に熱処理を施して熱処理材を得る工程である。熱処理を施すことで、結晶組織を再結晶化させることができ、結晶組織を均一的にし易い。熱処理は、皮剥ぎを施した皮剥ぎ材に行うことが好ましい。特に、熱処理は、皮剥ぎ材に対する加工度が80%以下の伸線加工を施した中間線材に対して行うことが好ましい。これは、キズ等の欠陥を低減するには加工度が低いうちに結晶組織を均一にしたいものの、加工度が低過ぎると再結晶が均一に進み難いからである。よって、熱処理は、皮剥ぎ材に対する加工度が78%以下、更に75%以下、特に73%以下の中間線材に対して行うことが好ましい。
熱処理条件は、加熱温度が200℃以上550℃以下、更に250℃以上500℃以下、特に300℃以上450℃以下とすることが挙げられる。また、保持時間は、0.2秒以上10時間以下、更に30秒以上8時間以下、特に60秒以上5時間以下とすることが挙げられる。熱処理は、バッチ処理及び連続処理のいずれを利用してもよい。連続処理とすると、長尺な線材に対して熱処理を行える上に、保持時間を短くできる。
≪その他≫
上記銅線材に、圧延加工を施して、形状を変更する圧延工程を備え、銅異形線材を製造することができる。例えば、圧延工程は、上記銅線材に圧延加工を施して銅平角線を製造することができる。圧延条件は、所望の厚さ、幅、断面積、外形等を有する銅異形線材が得られるように適宜選択できる。アップキャスト材の線径が8mm以上と比較的大きいものを用いているため、圧延工程では、断面積が2mm以上の平角線等の銅異形線材を得られる。この圧延工程を行わずに、伸線処理によって、断面積が2mm以上の横断面形状が円形の丸線とすることもできる。なお、上記銅線材としては、アップキャスト材に伸線加工を施した伸線材、伸線材に皮剥ぎを施した皮剥ぎ材、伸線材又は皮剥ぎ材に熱処理を施した熱処理材、皮剥ぎ材又は熱処理材に更に伸線加工を施した第二伸線材が挙げられる。
上記銅線材(最終線径の銅線材)を導体とし、この導体の表面に絶縁被覆を形成する被覆工程を備え、被覆銅線を製造することができる。絶縁被覆の形成は、例えば、公知のエナメル線の製造に利用されている公知の手法を利用できる。代表的には、導体の表面に絶縁被覆を構成する樹脂を塗布する工程と、塗布された導体を焼付炉に通して上記樹脂を乾燥・硬化させて焼付けする工程とを、絶縁被覆が所定の厚さに達するまで1回又は複数回繰り返すことが挙げられる。その他に、導体の表面に押出被覆によって絶縁被覆を形成することもできる。
[試験例1]
無酸素銅からなる線材を種々の条件で作製し、得られた線材の表面状態を調べた。
原料として、純銅(Cu:99.95質量%以上、酸素:0.001質量%以下の無酸素銅)を用意して、溶湯を作製した。作製した溶湯を、表1に示す引上げ周期L(mm)、引上げ速度(m/min)、停止時間(sec)に設定して上引き鋳造を行って、表1に示す線径D(直径、mm)を有する断面円形状のアップキャスト材を作製した(準備工程:試料No.1−1〜試料No.1−6、試料No.1−11〜試料No.1−14)。得られるアップキャスト材の線径Dに対する引上げ周期Lの比率(L/D)を併せて表1に示す。
試料No.1−14以外の試料では、上記アップキャスト材に表1に示す加工度αで伸線加工を施して、表1に示す線径(直径、mm)の伸線材を作製した(伸線工程)。
得られた試料No.1−14以外の伸線材に表1に示す皮剥ぎ厚さ(μm)の皮剥ぎを施して、皮剥ぎ材を作製した(皮剥ぎ工程)。
試料No.1−1、試料No.1−2、試料No.1−4〜試料No.1−6、試料No.1−11〜試料No.1−13では、皮剥ぎ材に対する加工度が表1に示す加工度βの伸線加工を施した中間線材に450℃×0.2秒の熱処理を施した(熱処理工程)。なお、試料No.1−14では、伸線加工途中の中間線材(線径が5mm)に450℃×0.2秒の熱処理を施した。その後、全試料について、表1に示す総加工度となるように伸線加工を施して、表1に示す断面積(mm)の最終線材(銅線材)を作製した。
得られた最終線材から導体を作製し、この導体を備える被覆銅線を作製した。線材の表面性状として、作製した被覆銅線について、市販の探傷装置を用いて、被覆の膨れの発生状態を調べた。線材にキズ等の表面欠陥が生じていると、その欠陥部分が空気溜まりとなって被覆の膨れ等の不良が生じる。よって、被覆の膨れの発生状態を調べることで、線材の表面性状がわかる。つまり、被覆の膨れの発生が少ない線材は、表面性状に優れるということである。被覆の膨れの発生状態については、被覆形成設備に併設して市販の探傷装置を配置し、長尺な線材(ここでは被覆銅線)を走行させることで、被覆の形成に連続して、キズ(膨れ)の発生数をカウントできるインライン方式を利用した。その結果を、100kg当たりの発生箇所として表1に示す。
Figure 0006988878
表1に示すように、線径Dが8mm以上で、かつ引上げ周期Lが短い(L/Dが0.5以下と小さい)アップキャスト材に、加工度αが40%以上で伸線加工を施した試料No.1−1〜試料No.1−6は、欠点(100kg当たりの被覆の膨れの発生箇所)が2.0以下であり、試料No.1−11〜試料No.1−14と比較して低く、表面性状に優れることがわかる。これは、伸線加工度が高いために、上引き鋳造時の引上げ周期に伴い形成された結晶組織の周期的な変化が、伸線時に実質的に消失されたことによると考えられる。特に、引上げ周期Lが短いことで、アップキャスト材の結晶組織の周期間隔を短くでき、伸線時に結晶組織に伴う蛇行も正せたことによると考えられる。
更に、最終線径に至るまでの伸線加工途中の中間線材に熱処理を施した試料No.1−1、試料No.1−2、試料No.1−4〜1−6は、欠点が1.3以下であり、更に表面性状に優れることがわかる。これは、熱処理によって結晶組織を再結晶化させることができ、結晶組織を均一的にできたことによると考えられる。特に、皮剥ぎ材に対する加工度が80%以下である中間線材に熱処理を施した試料No.1−1、試料No.1−2、試料No.1−4、試料No.1−6は、欠点が1.0以下であり、表面性状に非常に優れることがわかる。これは、均一化した結晶組織に対して伸線加工を施すことで、伸線性を向上できたことによると考えられる。また、加工度αが81%(80%以上)で伸線加工を施した後に、皮剥ぎを施した皮剥ぎ材に熱処理を施した試料No.1−6は、欠点が0.3以下であり、最も表面性状に優れることがわかる。
一方、アップキャスト材の線径Dが小さい試料No.1−11、引上げ周期Lが長い(L/Dが0.5超と大きい)試料No.1−12、皮剥ぎ前のアップキャスト材に伸線加工を施したがその加工度が低い(40%未満)試料No.1−13、アップキャスト材に伸線加工を施さなかった試料No.1−14、は、欠点が大きく、表面性状が悪かった。これは、上引き鋳造時の引上げ周期に伴いアップキャスト材に形成された結晶組織の周期的な変化が、伸線時に消失されず、アップキャスト材の蛇行を正すことができないために、最終線径に至るまでの伸線時に、キャプスタンとの擦れ等によってキズが生成されたものと考えらえる。

Claims (4)

  1. 無酸素銅からなる銅線材を得る銅線材の製造方法であって、
    上引き鋳造法を行って得られたアップキャスト材を準備する準備工程と、
    前記アップキャスト材に40%以上の加工度で伸線加工を施して伸線材を得る伸線工程とを備え、
    前記上引き鋳造法では、
    鋳型から上方に引上げる鋳片の線径を8mm以上とし、
    前記線径に対する前記鋳片の引上げ周期の比率を0.5以下とし、
    前記鋳片の引上げ速度を0.6m/min以上2.0m/min以下とし、
    前記鋳片の引上げ周期は、前記鋳片の断続的な引上げ過程において、前記鋳片の引上げ中断の後、引上げが開始されてから次の引上げ中断に至るまでの間に前記鋳片が引上げられる距離であり、
    前記鋳片の引上げ速度は、前記鋳片の引上げ開始から一サイクルの引上げを停止し、その停止状態で保持する時間の完了までの一連の動作の平均速度であり、
    前記加工度は、前記アップキャスト材の断面積に対する前記伸線材の断面積の減少割合である、
    銅線材の製造方法。
  2. 前記伸線材に皮剥ぎを施して皮剥ぎ材を得る皮剥ぎ工程を備える請求項1に記載の銅線材の製造方法。
  3. 前記伸線材に熱処理を施して熱処理材を得る熱処理工程を備える請求項1又は請求項2に記載の銅線材の製造方法。
  4. 前記皮剥ぎ材に加工度が80%以下の伸線加工を施した中間線材に熱処理を施して熱処理材を得る熱処理工程を備える請求項2に記載の銅線材の製造方法。
JP2019501093A 2017-02-23 2017-12-26 銅線材の製造方法 Active JP6988878B2 (ja)

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