JP6988781B2 - 帯電防止性シリコーンゴム組成物及び帯電防止キャリアプレート - Google Patents
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Description
1.
1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサンを含むベースコンパウンド及び硬化剤を含み、熱硬化により絶縁性シリコーンゴム硬化物を与えるベース組成物に、1分子中に少なくとも1個の重合性反応基を有し、ホスホニウム型カチオンと含フッ素アニオンを含むものであって、該ホスホニウム型カチオンが重合性反応基を有するオルガノポリシロキサン構造を含むイオン液体を上記ベースコンパウンド100質量部に対して0.001〜5質量部配合したものである帯電防止性シリコーンゴム組成物。
2.
上記ベースコンパウンドが、(A)重合度が100以上であって、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサン:100質量部及び(B)BET法による比表面積が50m2/g以上である補強性シリカ:10〜100質量部を含有するものである1記載の帯電防止性シリコーンゴム組成物。
3.
上記含フッ素アニオンがトリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、テトラフルオロボレートアニオン又はヘキサフルオロホスフェートアニオンである1又は2記載の帯電防止性シリコーンゴム組成物。
4.
上記イオン液体が下記式(3)で表されるイオン液体である1〜3のいずれかに記載の帯電防止性シリコーンゴム組成物。
5.
上記重合性反応基が、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロキシ基、(メタ)アクリルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、スチリル基又はスチリルオキシ基である1〜4のいずれかに記載の帯電防止性シリコーンゴム組成物。
6.
上記硬化剤がオルガノハイドロジェンポリシロキサンとヒドロシリル化触媒との組み合わせからなる1〜5のいずれかに記載の帯電防止性シリコーンゴム組成物。
7.
上記硬化剤が有機過酸化物からなる1〜5のいずれかに記載の帯電防止性シリコーンゴム組成物。
8.
6kVの静電気をチャージした後、その帯電圧が3kVになる半減期が2分以内の帯電防止能を有するシリコーンゴム硬化物を与えるものである1〜7のいずれかに記載の帯電防止性シリコーンゴム組成物。
9.
1〜8のいずれかに記載の帯電防止性シリコーンゴム組成物を硬化してなるシリコーンゴム硬化物を使用した帯電防止キャリアプレート。
本発明に係る帯電防止性シリコーンゴム組成物は、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサンを含むベースコンパウンド及び硬化剤を含み、熱硬化により絶縁性シリコーンゴム硬化物を与えるベース組成物に、1分子中に少なくとも1個の重合性反応基を有し、ホスホニウム型カチオンと含フッ素アニオンを含むイオン液体を上記ベースコンパウンド100質量部に対して0.001〜5質量部配合したものである。
(A)重合度が100以上であって、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサン:100質量部、及び
(B)BET法による比表面積が50m2/g以上である補強性シリカ:10〜100質量部
を含有するものであることが好ましい。
以下、本発明に係る帯電防止性シリコーンゴム組成物における各成分について説明する。
(A)成分は、ベースコンパウンドに含まれる主剤(ベースポリマー)であり、下記平均組成式(1)で表される、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサンである。
R1 aSiO(4-a)/2 (1)
(式中、R1は互いに独立して、非置換又は置換の1価炭化水素基であり、aは1.95〜2.04の正数である。ただし、1分子中のR1のうち2個以上はアルケニル基である。)
[測定条件]
・展開溶媒:トルエン
・流量:1mL/min
・検出器:示差屈折率検出器(RI)
・カラム:KF−805L×2本(Shodex社製)
・カラム温度:25℃
・試料注入量:30μL(濃度0.2質量%のトルエン溶液)
これらのオルガノポリシロキサンは、1種単独で用いても、重合度や分子構造の異なる2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)成分の補強性シリカは、上記ベースコンパウンドに含まれるものであり、得られるシリコーンゴム硬化物に対して優れた機械的特性を付与する成分として作用する。該補強性シリカは、沈降シリカ(湿式シリカ)でも、ヒュームドシリカ(乾式シリカ)でもよく、表面に多数のシラノール基(SiOH)が存在しているものである。
上記補強性シリカは、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ベースコンパウンドには、上記成分に加え、任意成分として、下記一般式で表されるオルガノシラン又はオルガノシロキサン化合物を含有することが好ましい。この成分は、(B)成分の補強性シリカの(A)成分中への分散性を向上させるための分散剤(ウェッター)として作用するものであり、この成分を配合することにより、本発明のシリコーンゴム組成物の作業性、押出特性等が向上する。
(式中、R11は水素原子、又は同一又は異種の非置換又は置換のアルキル基であり、R12は同一又は異種の非置換又は置換の1価炭化水素基であり、mは1〜50の正数である。)
(C)成分の硬化剤は、本発明のシリコーンゴム組成物を硬化させ得るものであれば、特に限定されるものではなく、例えば下記の(C−1)付加反応硬化剤、及び/又は(C−2)有機過酸化物硬化剤が挙げられる。即ち、これらの硬化剤は、本発明のシリコーンゴム組成物において、(A)成分のオルガノポリシロキサンと反応して架橋構造を形成し、シリコーンゴム硬化物を与えるものである。
付加反応硬化剤としては、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとヒドロシリル化触媒とを組み合わせて用いることができる。
上記平均組成式(2)中、R2は互いに独立して、非置換又は置換の1価炭化水素基を示し、特に脂肪族不飽和結合を除いたものが好ましい。R2は、通常、炭素数1〜12、特に炭素数1〜8のものが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基等のアラルキル基、及びこれらの基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子等で置換した基、例えば、3,3,3−トリフルオロプロピル基等が挙げられる。
なお、上記平均組成式(2)中、c、dは0≦c<3、好ましくは1≦c≦2.2、0<d≦3、好ましくは0.002≦d≦1、0<c+d≦3、好ましくは1.002≦c+d≦3を満たす正数である。
これらのヒドロシリル化触媒は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機過酸化物硬化剤としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、p−メチルベンゾイルパーオキサイド、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−t−ブチルパーオキシカーボネート等が挙げられる。これらの有機過酸化物硬化剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分のイオン液体は、1分子中に少なくとも1個の重合性反応基を有し、ホスホニウム型カチオンと含フッ素アニオンを含むイオン液体である。
上記R4、R5及びR6において、炭素原子数1〜10のアルキル基としては、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の直鎖又は分岐鎖アルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、イソボルニル基等のシクロアルキル基が挙げられる。
また、炭素原子数6〜10のアリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等が挙げられる。
なお、これらの基の水素原子の一部又は全部は、アルキル基、アリール基、F,Cl,Br等のハロゲン原子やシアノ基等で置換されていてもよく、その具体例としては、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2−シアノエチル基等が挙げられる。
これらの中でも、R4、R5及びR6としては、メチル基、エチル基、フェニル基が好ましく、反応性や入手の容易さ、生産性、コストの面からメチル基、エチル基がより好ましい。
(D)成分の配合量が上記範囲より少ない場合には、帯電防止効果が発現せず、上記範囲を超える場合には、硬化物の物性低下が起こり、経済的にも好ましくない。
ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられるが、反応性の観点から、塩素原子が好ましい。
具体的には、水素化ナトリウム、水素化リチウム、水素化カリウム、水素化セシウム等のアルカリ金属水素化物;水素化カルシウム等のアルカリ土類金属水素化物;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物及びその水溶液;水酸化バリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物及びその水溶液;カリウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属及びアルカリ土類アルコキシド;炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム等のアルカリ金属及びアルカリ土類金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属及びアルカリ土類炭酸水素塩;トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン等の3級アミンなどが挙げられる。これらの中でも、反応効率の観点から、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン等の3級アミンが好ましく、トリエチルアミン、トリブチルアミンがより好ましい。
反応時間は特に制限されないが、通常10分〜24時間である。
本発明のシリコーンゴム組成物には、上述した成分に加え、必要に応じて、石英粉末、結晶性シリカ、珪藻土等の非補強性シリカ、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(ただし、絶縁性を維持できる配合量に限る)、着色剤、ベンガラ、酸化セリウム等の耐熱性向上剤、上記白金族金属触媒以外の白金化合物、酸化チタン、トリアゾール化合物等の難燃性向上剤、受酸剤、アルミナ、窒化ホウ素等の熱伝導率向上剤、離型剤、水等の分散剤、エチニルシクロヘキサノール等の反応制御剤等を添加してもよい。これらの任意成分は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記シリコーンゴム組成物を硬化させる方法については、特に制限はないが、上述した硬化剤の分解及びシリコーンゴム組成物の加硫に十分な熱をかける方法であればよい。硬化の温度条件については硬化方法にもよるが、通常80〜400℃、特に100〜200℃で3秒〜160分間、特に3秒〜20分間である。また、その成形方法については、特に制限はなく、例えば、押し出し成形による連続加硫、プレス成形(加圧成形)、インジェクション成形等の成形方法を採用することができる。更に、必要に応じて、150〜250℃で1〜10時間程度で二次加硫(ポストキュア)してもよい。
なお、下記の例において、粘度は回転粘度計により測定した25℃における値を示す。各生成物中に含まれるシラノール基における水酸基(シラノール性水酸基)の含有量(質量%)は、各生成物にグリニャール試薬(メチルマグネシウムヨージド)を作用させた際のメタンガス発生量より定量した。室温とは、25±5℃を意味する。
下記の実施例中のイオン液体平均組成は、日本電子(株)製300MHz−NMR測定装置を用いて、1H−NMR及び29Si−NMRにおける検出スペクトルの積分値から算出した。
また、下記におけるイオン液体平均組成中のTFSI-はビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンを表す。
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた200mLセパラブルフラスコに、下記式(6)で表されるシラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物4.8g、トルエン45g、3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシトルエン0.03g及びトリエチルアミン3.2gを仕込み、40℃に加熱した。その中に、イオン性化合物としてトリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの50質量%トルエン溶液35.2gを滴下投入し、50℃にて2時間加熱撹拌した。シラノール性水酸基の含有量測定により、原料のシラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物由来のシラノール性水酸基が完全に消費され0質量%となったことを確認し、反応終了とした。
反応終了後の混合物を、10質量%芒硝水30gを用いて2回の水洗及び分液操作を行った後、減圧留去(80℃、5mmHg)を1時間実施し、濾過することで、下記式(7)で表されるイオン液体1を17g得た。
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた200mLセパラブルフラスコに、下記式(8)で表されるシラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物21g、トルエン10g、アセトニトリル40g、3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシトルエン0.03g及びトリエチルアミン5.8gを仕込み、40℃に加熱した。その中に、イオン性化合物としてトリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの50質量%トルエン溶液64.8gを滴下投入し、50℃にて2時間加熱撹拌した。シラノール性水酸基の含有量測定により、原料のシラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物由来のシラノール性水酸基が完全に消費され0質量%となったことを確認し、反応終了とした。
反応終了後の混合物を、10質量%芒硝水100gを用いて2回の水洗及び分液操作を行った後、減圧留去(80℃、5mmHg)を1時間実施し、濾過することで、下記式(9)で表されるイオン液体2を49g得た。
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた200mLセパラブルフラスコに、下記式(10)で表されるシラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物33.2g、トルエン10g、アセトニトリル40g、3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシトルエン0.04g及びトリエチルアミン5.8gを仕込み、40℃に加熱した。その中に、イオン性化合物としてトリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの50質量%トルエン溶液64.8gを滴下投入し、50℃にて2時間加熱撹拌した。シラノール性水酸基の含有量測定により、原料のシラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物由来のシラノール性水酸基が完全に消費され0質量%となったことを確認し、反応終了とした。
反応終了後の混合物を、10質量%芒硝水100gを用いて2回の水洗及び分液操作を行った後、減圧留去(80℃、5mmHg)を1時間実施し、濾過することで、下記式(11)で表されるイオン液体3を60g得た。
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた200mLセパラブルフラスコに、下記式(12)で表されるシラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物45.4g、トルエン6.5g、アセトニトリル50g、3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシトルエン0.05g及びトリエチルアミン3.8gを仕込み、40℃に加熱した。その中に、イオン性化合物としてトリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの50質量%トルエン溶液42.1gを滴下投入し、50℃にて2時間加熱撹拌した。シラノール性水酸基の含有量測定により、原料のシラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物由来のシラノール性水酸基が完全に消費され0質量%となったことを確認し、反応終了とした。
反応終了後の混合物を、10質量%芒硝水100gを用いて2回の水洗及び分液操作を行った後、減圧留去(80℃、5mmHg)を1時間実施し、濾過することで、下記式(13)で表されるイオン液体4を58g得た。
合成例3において、イオン性化合物であるトリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの50質量%トルエン溶液を、トリオクチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの50質量%トルエン溶液83.3gに変更した以外は、合成例3と同様の手順で合成し、下記式(14)で表されるイオン液体5を55g得た。
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた200mLセパラブルフラスコに、下記式(15)で表されるシラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物18g、トルエン10g、アセトニトリル40g、3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシトルエン0.05g及びトリエチルアミン5.8gを仕込み、40℃に加熱した。その中に、イオン性化合物としてトリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの50質量%トルエン溶液65.0gを滴下投入し、50℃にて2時間加熱撹拌した。シラノール性水酸基の含有量測定により、原料のシラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物由来のシラノール性水酸基が完全に消費され0質量%となったことを確認し、反応終了とした。
反応終了後の混合物を、10質量%芒硝水100gを用いて2回の水洗及び分液操作を行った後、減圧留去(80℃、5mmHg)を1時間実施し、濾過することで、下記式(16)で表されるイオン液体6を50g得た。
合成例3において、イオン性化合物であるトリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの50質量%トルエン溶液を、トリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム=クロライドの72質量%アセトニトリル溶液26.4gに変更した以外は、合成例3と同様の手順で合成し、下記式(17)で表されるイオン液体7を45g得た。
1,1,1−トリブチル−1−(トリメトキシシリルプロピル)ホスホニウム=クロライド96.5gをアセトン440gに溶解させ、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸リチウム70.5gを混合して24時間室温で撹拌した。得られた反応液をエバポレーターにて濃縮し、濃縮残渣に酢酸エチル177.2gを加えて濾過することにより析出した結晶を除去して、再度エバポレーターにて濃縮し、下記式(18)で表されるイオン液体8を150g得た。
(A−1)主鎖を構成するジオルガノシロキサン単位としてジメチルシロキサン単位99.850モル%とメチルビニルシロキサン単位0.125モル%、分子鎖末端基としてジメチルビニルシロキシ基0.025モル%を含有する平均重合度が約6,000である直鎖状オルガノポリシロキサン(生ゴム)100質量部、(B−1)BET比表面積200m2/gのヒュームドシリカ(商品名「アエロジル200」、日本アエロジル(株)製)40質量部、分散剤として両末端シラノール基を有し、平均重合度15、25℃における粘度が30mPa・sであるジメチルポリシロキサン6質量部をニーダーにて混練りし、170℃にて2時間加熱処理してベースコンパウンド1を調製した。
上記「ベースコンパウンド1」100質量部に対し、(D−1)上記合成例1で得た式(7)に示すイオン液体1を0.01質量部、(C−1)架橋剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン0.4質量部を添加し、均一に混合してシリコーンゴム組成物1を得た。
シリコーンゴム組成物1を170℃/10分のプレスキュア(一次加硫)後、オーブン内で200℃/4時間のポストキュア(二次加硫)を行って、厚さ2mmのシート状のシリコーンゴム硬化物を得た。
実施例1において(D−1)イオン液体1を(D−2)合成例2で得た式(9)に示すイオン液体2に変更し、それ以外は実施例1と同様にしてシリコーンゴム組成物2を得た。
得られたシリコーンゴム組成物2を実施例1と同じ条件で硬化させ、厚さ2mmのシート状のシリコーンゴム硬化物を得た。
実施例1において(D−1)イオン液体1を(D−3)合成例3で得た式(11)に示すイオン液体3に変更し、それ以外は実施例1と同様にしてシリコーンゴム組成物3を得た。
得られたシリコーンゴム組成物3を実施例1と同じ条件で硬化させ、厚さ2mmのシート状のシリコーンゴム硬化物を得た。
実施例1において(D−1)イオン液体1を添加せず、それ以外は実施例1と同様にしてシリコーンゴム組成物4を得た。
得られたシリコーンゴム組成物4を実施例1と同じ条件で硬化させ、厚さ2mmのシート状のシリコーンゴム硬化物を得た。
スタチックオネストメーター(シシド静電気(株)製)を用いて、ポストキュア後(初期)のシリコーンゴム硬化物の表面に、コロナ放電により静電気を6kVチャージした後、その帯電圧が半分(3kV)になる時間を測定した。
(体積抵抗率の測定)
JIS K6249に基づいて、ポストキュア後のシリコーンゴム硬化物の体積抵抗率を測定した。
(ブリード性評価)
耐熱試験後のシリコーンゴム硬化物表面のイオン液体のブリードの有無を目視にて観察した。
(黄変の評価)
耐熱試験後のシリコーンゴム硬化物の黄変の有無を目視にて観察した。
以上の結果を表1に示す。
(A−2)分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された平均重合度が750であるジメチルポリシロキサン60質量部、(B−2)BET法による比表面積が300m2/gであるヒュームドシリカ(商品名「アエロジル300」、日本アエロジル(株)製)40質量部、ヘキサメチルジシラザン8質量部、及び水2質量部を室温で30分混合後、150℃に昇温し、3時間撹拌を続けた後、冷却してシリコーンゴムベース組成物を得た。
このシリコーンゴムベース組成物100質量部に、(A−2)分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された平均重合度が750であるジメチルポリシロキサン6質量部、(A−3)分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され、主鎖のジオルガノシロキサン単位中にビニルメチルシロキサン単位を10モル%含有する平均重合度が150であるジメチルポリシロキサン5質量部、(D−3)合成例3で得た式(11)に示すイオン液体3を0.01質量部、(C−2)白金触媒(Pt濃度1質量%)0.1質量部と架橋剤として側鎖にSiH基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン(重合度38、SiH基が0.0074モル%の両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体)3質量部(SiH基/ビニル基合計量=1.75モル/モル)、及び反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05質量部を添加し、15分撹拌を続けて、シリコーンゴム組成物5を得た。この場合、上記シリコーンゴムベース組成物100質量部と、これに追加した上記(A−2)成分6質量部及び(A−3)成分5質量部とを合わせたものがベースコンパウンドであり、(D−3)成分の配合量はこのベースコンパウンド100質量部に対して0.009質量部となる。
シリコーンゴム組成物5を120℃/10分のプレスキュア(一次加硫)後、オーブン内で150℃/1時間のポストキュア(二次加硫)を行って、厚さ2mmのシート状のシリコーンゴム硬化物を得た。
実施例4において(D−3)イオン液体3を(D−4)合成例4で得た式(13)に示すイオン液体4に変更し、それ以外は実施例4と同様にしてシリコーンゴム組成物6を得た。
得られたシリコーンゴム組成物6を実施例4と同じ条件で硬化させ、厚さ2mmのシート状のシリコーンゴム硬化物を得た。
実施例4において(D−3)イオン液体3を(D−5)合成例5で得た式(14)に示すイオン液体5に変更し、それ以外は実施例4と同様にしてシリコーンゴム組成物7を得た。
得られたシリコーンゴム組成物7を実施例4と同じ条件で硬化させ、厚さ2mmのシート状のシリコーンゴム硬化物を得た。
実施例4において(D−3)イオン液体3を(D−6)合成例6で得た式(16)に示すイオン液体6に変更し、それ以外は実施例4と同様にしてシリコーンゴム組成物8を得た。
得られたシリコーンゴム組成物8を実施例4と同じ条件で硬化させ、厚さ2mmのシート状のシリコーンゴム硬化物を得た。
実施例4において(D−3)イオン液体3を添加せず、それ以外は実施例4と同様にしてシリコーンゴム組成物9を得た。
得られたシリコーンゴム組成物9を実施例4と同じ条件で硬化させ、厚さ2mmのシート状のシリコーンゴム硬化物を得た。
実施例4において(D−3)イオン液体3を(D−7)合成例7で得た式(17)に示すイオン液体7に変更し、それ以外は実施例4と同様にしてシリコーンゴム組成物10を得た。
得られたシリコーンゴム組成物10を実施例4と同じ条件で硬化させ、厚さ2mmのシート状のシリコーンゴム硬化物を得た。
実施例4において(D−3)イオン液体3を(D−8)合成例8で得た式(18)に示すイオン液体8に変更し、それ以外は実施例4と同様にしてシリコーンゴム組成物11を得た。
得られたシリコーンゴム組成物11を実施例4と同じ条件で硬化させ、厚さ2mmのシート状のシリコーンゴム硬化物を得た。
実施例4において(D−3)イオン液体3を(D−9)下記式(19)
N(CH3)(C8H17)3 + TFSI- (19)
に示すメチルトリオクチルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのイオン液体9に変更し、それ以外は実施例4と同様にしてシリコーンゴム組成物12を得た。
得られたシリコーンゴム組成物12を実施例4と同じ条件で硬化させ、厚さ2mmのシート状のシリコーンゴム硬化物を得た。
以上の結果を表2に示す。
Claims (9)
- 1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサンを含むベースコンパウンド及び硬化剤を含み、熱硬化により絶縁性シリコーンゴム硬化物を与えるベース組成物に、1分子中に少なくとも1個の重合性反応基を有し、ホスホニウム型カチオンと含フッ素アニオンを含むものであって、該ホスホニウム型カチオンが重合性反応基を有するオルガノポリシロキサン構造を含むイオン液体を上記ベースコンパウンド100質量部に対して0.001〜5質量部配合したものである帯電防止性シリコーンゴム組成物。
- 上記ベースコンパウンドが、(A)重合度が100以上であって、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサン:100質量部及び(B)BET法による比表面積が50m2/g以上である補強性シリカ:10〜100質量部を含有するものである請求項1記載の帯電防止性シリコーンゴム組成物。
- 上記含フッ素アニオンがトリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、テトラフルオロボレートアニオン又はヘキサフルオロホスフェートアニオンである請求項1又は2記載の帯電防止性シリコーンゴム組成物。
- 上記重合性反応基が、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロキシ基、(メタ)アクリルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、スチリル基又はスチリルオキシ基である請求項1〜4のいずれか1項記載の帯電防止性シリコーンゴム組成物。
- 上記硬化剤がオルガノハイドロジェンポリシロキサンとヒドロシリル化触媒との組み合わせを含む請求項1〜5のいずれか1項記載の帯電防止性シリコーンゴム組成物。
- 上記硬化剤が有機過酸化物を含む請求項1〜5のいずれか1項記載の帯電防止性シリコーンゴム組成物。
- 6kVの静電気をチャージした後、その帯電圧が3kVになる半減期が2分以内の帯電防止能を有するシリコーンゴム硬化物を与えるものである請求項1〜7のいずれか1項記載の帯電防止性シリコーンゴム組成物。
- 請求項1〜8のいずれか1項記載の帯電防止性シリコーンゴム組成物を硬化してなるシリコーンゴム硬化物を使用した帯電防止キャリアプレート。
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