JP6988631B2 - ステータコア及びモータ - Google Patents

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Description

本発明は、ステータコア及びモータに関する。
ステータコアが筐体に収容されたモータの特性を改善する種々の技術が知られている。例えば、非特許文献1には、ステータコアのティース部に巻き回されたコイルの銅損により発生した熱が、ステータコアを介してステータコアの外周に沿って配置される筐体から大気、又は冷却ジャケットに通水される冷却水に放熱されることが記載されている。さらに、非特許文献1には、車両に搭載されるモータにおいて急坂路を登るとき等の高トルク領域が多用されて銅損が支配的な状態で、筐体までの熱伝導経路が長いコイルエンドの温度上昇が、モータの出力を制限する要因になることが記載されている。
非特許文献2及び非特許文献3には、コイルエンドの温度上昇を抑制するために、動力電動部及び軸受等を潤滑するATF(Automatic Transmission Fluid)によりモータを冷却して、コイルエンドからの放熱特性を改善する技術が記載されている。
また、打抜き加工及びシェービング加工等の種々の成形加工が施された鋼板を積層することによりモータのステータコアを成形する種々の技術が知られている。例えば、特許文献1には、打抜き加工が施された端面に1回当たり被加工板材の板厚の5〜25%に相当する領域を除去するシェービング加工を施して、被加工板材の板厚の40〜60%に相当する領域を除去する技術が記載される。特許文献1に記載される技術によれば、被加工板材の板厚に対して所定の割合に相当する領域を除去することで、回転電機鉄心を焼鈍することなく、低鉄損の回転電機鉄心を得ることができる。但し、所定の割合に相当する領域を除去するに際して、若干の歩留り低下を余儀なくされる。
特許文献2には、ロータの鉄心の外径打抜き穴と、ステータの鉄心の内径との間に残余されたエアギャップ部に対し、板厚の範囲内で半抜き加工し、この半抜き加工したエアギャップ部をスクラップとして打ち抜く技術が記載されている。特許文献2に記載される技術によれば、小さいエアギャップ量でも、リング状スクラップとして確実に打抜き除去することが可能であり、所望のエアギャップ部分を形成することができる。
特許文献3には、アーマチュアコアのコア材を、薄板材を打ち抜いて形成するにあたり、各ティース外周縁部に形成された加工硬化部を除去する技術が記載されている。特許文献3に記載される技術によれば、ティース外周縁部に形成される加工硬化部が除去され、鉄損を低減して磁気特性が優れたアーマチュアコアを形成することで、効率のよい電動モータを提供することができる。
また、複数のステータ片を円弧状に配置して形成される分割ステータ構造とも称されるステータコアの特性を改善する技術が特許文献4及び5に記載されている。特許文献4には、周方向において互いに対向し合うステータ片のヨーク部の周方向の端面同士が全て互いのシェア面同士にて当接するようになる値のうちの最小値を超える値に設定する技術が記載されている。特許文献4に記載される技術によれば、互いに隣り合う各ステータ片の間の空隙の幅のばらつきを小さくできるため、コギングトルクを小さくすることができる。
また、特許文献5には、ティース部におけるヨーク部の周方向の側面のビッカース硬度をステータ片の他の側面のビッカース硬度よりも低くし、ヨーク部における周方向の側面の剪断面の比率をティース部の側面の剪断面の比率よりも大きくする技術が記載されている。特許文献5に記載される技術によれば、ティース部の側面のビッカース硬度は、ヨーク部の側面のビッカース硬度よりも低くなるため、モータを駆動する時の鉄損を効率的に低減することができる。また、特許文献5に記載される技術によれば、ヨーク部における周方向の側面の剪断面の比率を側面の剪断面の比率よりも大きくするので、ステータ片を環状に組み付けてステータコアを製作するとき、ステータコアを精度良く組み付けることができる。
特許第5598062号公報 特開2004−34143号公報 特開2007−252092号公報 特許第4062943号公報 特開平2011−109834号公報
「HV駆動用モータの高出力密度化に関する研究」、神谷宗宏、博士論文、2008年 「ハイブリッド電気自動車(HEV)のATFを用いたモータ冷却構造の熱解析」、鬼丸貞久、松井啓仁、田口知成、大高健二、市岡英二、水谷竜彦、自動車技術会、学術講演会前刷集、No.68−06、P.19−24、2006 "Development of a new hybrid transmission for FWD sports Utility Vehicles", Hata, H., Kojima, M., Watanabe, H., Mizutani, T. et al., SAE Technical Paper 2005-01-0272, 2005
モータにおいて鉄損及び銅損等により温度が上昇すると、絶縁破壊の発生、磁石の減磁、及び銅損増加等の種々の不具合が発生するおそれが高くなるため、巻線及びステータコア等は、効率的に冷却されることが好ましい。ステータコアの熱伝導率は空気の熱伝導率よりも高いため、巻線及びステータコア等で発生した熱の多くは、ステータコアを介してモータの外部に放散される。ステータコアが筐体に収容されたモータでは、巻線及びステータコア等で発生した熱の多くは、筐体を介して放散されるため、ステータコアと筐体との間の熱伝導特性は、良好であることが好ましい。
そこで、本発明は、歩留り低下を抑えつつ、ステータコアと筐体との間の熱伝導特性を向上させる技術を提供することを目的とする。
このような課題を解決する本発明は、以下に示すステータコア及びモータを要旨とするものである。
(1)第1ヨーク面と、
第1ヨーク面の反対の第2ヨーク面と、
第1ヨーク面から第2ヨーク面に向かって第1ヨーク面及び第2ヨーク面に直交する方向に延伸する接触面を有するヨーク外壁部と、
ヨーク外壁部と対向するように第1ヨーク面の一辺から第2ヨーク面の一辺に延伸するヨーク内壁部と、を有するヨーク部と、
ヨーク内壁部からヨーク外壁部と反対の方向に延伸するティース部と、を有するステータコアであって、
ヨーク外壁部の高さに対する接触面の高さの比率は、90%以上であり、
接触面のビッカース硬度は、ステータコアの材料である電磁鋼板のビッカース硬度の1倍超1.9倍以下である、ことを特徴とするステータコア。
(2)ティース部は、第1ティース面と、第1ティース面の反対の第2ティース面と、第1ティース面から第2ティース面に第1ティース面及び第2ティース面に直交する方向に向かって延伸するシェービング面を有するティース側面部と、を有し、
シェービング面のビッカース硬度は、接触面のビッカース硬度よりも低い、(1)に記載のステータコア。
(3)収納される筐体の内壁部とヨーク外壁部との間の離隔距離の最大値は、2μm以下である、(1)又は(2)に記載のステータコア。
(4)ヨーク部の周方向の圧縮応力は、2MPa以上20MPa以下である、(1)〜(3)の何れか一項に記載のステータコア。
(5)ステータコアを有するステータと、ロータと、ステータ及びロータを収容する筐体とを有し、
ステータコアは、
第1ヨーク面と、
第1ヨーク面の反対の第2ヨーク面と、
第1ヨーク面から第2ヨーク面に向かって第1ヨーク面及び第2ヨーク面に直交する方向に延伸し且つ筐体の内壁部と接触する接触面を有するヨーク外壁部と、
ヨーク外壁部と対向するように第1ヨーク面の一辺から第2ヨーク面の一辺に延伸するヨーク内壁部と、を有するヨーク部と、
ヨーク内壁部からヨーク外壁部と反対の方向に延伸するティース部と、を有し、
ヨーク外壁部の高さに対する接触面の高さの比率は、90%以上であり、
接触面のビッカース硬度は、ステータコアの材料である電磁鋼板のビッカース硬度の1倍超1.9倍以下である、ことを特徴とするモータ。
本発明では、歩留り低下を抑えつつ、ステータコアと筐体との間の熱伝導特性を向上させることができる。
第1実施形態に係るステータコアを有するモータの平面図である。 (a)は図1に示すステータコアの斜視図であり、(b)は図1に示すステータコアの部分側面図である。 図1に示すステータコアと筐体とが接触する接触部の部分断面図である。 図1に示すステータの製造工程を示すフローチャートである。 (a)はS101の処理で形成された打抜き片の平面図であり、(b)はS101の処理で形成された打抜き片の部分拡大図であり、(c)はS102の処理で形成されるステータコアの部分拡大図である。 (a)は第1比較例に係るステータコアと筐体との接触部の部分断面図であり、(b)は第2比較例に係るステータコアと筐体との接触部の部分断面図であり、(c)は第3比較例に係るステータコアと筐体との接触部の部分断面図であり、(d)は第1実施形態に係るステータコアと筐体との接触部の部分断面図である。 第2実施形態に係るステータを有するモータの平面図である。 (a)は図7に示すステータコアの部分斜視図であり、(b)は図7に示すステータコアの部分側面図である。 図7に示すステータの製造工程を示すフローチャートである。 (a)はS202の処理で形成された打抜き片の平面図であり、(b)はS202の処理で形成された打抜き片の部分拡大図であり、(c)はS203の処理で形成されるステータコアの部分拡大図である。 実施例で使用されるモータの部分平面図である。 電磁鋼板のビッカース硬度の測定を説明するための図である。
以下図面を参照して、本発明に係るステータコア及びモータについて説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されない。
(実施形態に係るステータコアの概要)
本発明の発明者らは、ステータコアと筐体との間の熱伝導特性を向上させて、モータの温度上昇を抑制するための種々の実験及び検討を重ねてきた。本発明の発明者らは、上記課題を解決するために筐体に収容されるステータコアにおいて、筐体と接触するステータコアの外壁部に表面及び裏面に直交する接触面を形成することで、筐体とステータとの間の接触部の接触面積率を向上させることを見出した。本発明の発明者らは、筐体とステータコアとの間の接触部の接触面積率を向上させることで、筐体とステータコアとの間の熱伝導特性を向上させて、モータの温度上昇を抑制することを知見した。さらに、本発明の発明者らは、表面及び裏面に直交する接触面をシェービング加工及び切削加工等で形成することを知見した。
より具体的には、本発明の発明者らは、ヨーク部の外壁部の高さに対する接触面の高さの比率を90%以上とすることを知見した。通常、パンチとダイとを使用して鋼板を打抜き加工する場合、パンチにより打抜かれる打抜き部材の外壁部には、パンチの移動方向から順にダレ、剪断面、破断面及びカエリが形成される。パンチにより打抜かれたステータコアでは剪断面が最も突出しているため、剪断面のみが筐体に接触し、ダレ、破断面及びカエリは接触せずにダレ、破断面及びカエリの間は空気が存在するギャップとなる。空気の熱伝導率は電磁鋼板の熱伝導率より低いため、外壁部の高さに対する接触面の高さの比率を向上させると共に、外壁部の高さに対するダレ、破断面及びカエリの高さの比率を低下させることで、ステータコアと筐体との間の熱伝導特性を向上させる。実施形態に係るステータコアでは、ヨーク部の外壁部の高さに対する高さの比率が90%以上である接触面を形成することで、ステータコアと筐体との間の熱伝導特性を向上させて、モータの熱放散特性を向上させることができる。
(第1実施形態に係るステータコアの構成及び機能)
図1は第1実施形態に係るステータコアを有するモータの平面図である。図1において、矢印Aで示される方向は周方向であり、矢印Bで示される方向は径方向であり、ドットCで示される方向は回転軸方向である。
モータ100は、筐体101と、回転子とも称されるロータ102と、固定子とも称されるステータの鉄心であるステータコア1とを有する。筐体101は、円筒状の形状を有するアルミニウム等の金属で形成され、ロータ102及びステータコア1を収容する。筐体101の内壁は、ステータコア1の外壁部に形成される接触面と接触する。
ロータ102は、シャフト121と、ロータコア122と、複数の永久磁石123とを有する。シャフト121は、円筒状の筐体101の中心軸と同軸に配置され、不図示の軸受を介して回転可能に支持される。ロータコア122は、シャフト121の外周に配置され、シャフト121と一体的に回転するようにシャフト121に対して同軸に固定される。複数の永久磁石123は、モータ100の周方向に同一角度だけ位相をずらして配置される。複数の永久磁石123のそれぞれは、ロータコア122の内部を回転軸方向に貫通するように配置される。
図2(a)はステータコア1の部分斜視図であり、図2(b)はステータコア1の部分側面図である。図2(a)において、矢印Aで示される方向は周方向であり、矢印Bで示される方向は径方向であり、矢印Cで示される方向は回転軸方向である。
ステータコア1は、電磁鋼板で形成され、ヨーク部10と、銅線が巻き回されるティース部20とを有する。ヨーク部10は、第1ヨーク面11と、第2ヨーク面12と、ヨーク外壁部13と、ヨーク内壁部14とを有する。ティース部は、第1ティース面21と、第2ティース面22と、ティース内壁部23と、第1ティース側壁部24と、第2ティース側壁部25とを有する。
第1ヨーク面11はヨーク部10の表面であり、第2ヨーク面12は第1ヨーク面11の反対のヨーク部10の裏面であり、それぞれ略矩形状に形成される。ヨーク外壁部13は第1ヨーク面11の径方向の外側の一辺から第2ヨーク面12の径方向の外側の一辺に延伸する面である。
ヨーク外壁部13は、ダレ131と、接触面132と、破断面133と、カエリ134とを有する。ダレ131、破断面133及びカエリ134が形成されるメカニズムは、よく知られているので、ここでは詳細な説明は省略する。接触面132は、第1ヨーク面11及び第2ヨーク面12に直交する方向に延伸する面であり、打抜き工程の後で実行されるシェービング工程において形成される。接触面152の高さの外壁部の高さに対する比率は、90%以上である。
図3は、ステータコア1と筐体101とが接触する接触部の部分断面図である。
ステータコア1は、接触面132が筐体101の内壁部130に接触するように配置される。接触面132が筐体101の内壁部130に接触するとき、ステータコア1のダレ131、破断面133及びカエリ134は、離隔して配置される。
カエリ134と内壁部130の間の距離であるステータコア1と筐体101の間の離隔距離は、2μm以下であることが好ましく、1μm以下であることが更に好ましい。ステータコア1と筐体101の間の離隔距離が2μmを超えると、ステータコア1と筐体101の間の熱伝導特性が低下し、ステータコア1の温度上昇が無視できなくなる。ステータコア1と筐体101の間の離隔距離を2μm以下とすることで、ステータコア1の温度上昇が抑制される。また、ステータコア1と筐体101の間の離隔距離を1μm以下とすることで、ステータコア1の温度上昇が更に抑制される。なお、破断面153と、カエリ154がなく、ヨーク側壁部の高さに対する接触面の高さの比率が100%の場合の離隔距離は0μmとする。
ヨーク内壁部14は、ヨーク外壁部13と対向するように第1ヨーク面11の径方向の内側の一辺から第2ヨーク面12の径方向の内側の一辺に延伸する面である。
第1ティース面21はティース部20の表面であり、第2ティース面22は第1ティース面21の反対のティース部20の裏面であり、それぞれ矩形状に形成される。ティース内壁部23は、ヨーク外壁部13と対向するように第1ティース面21の径方向の内側の一辺から第2ティース面22の径方向の内側の一辺に延伸する面である。第1ティース側壁部24及び第2ティース側壁部25のそれぞれは、ヨーク内壁部14からティース内壁部23に向かって延伸する壁部である。
(第1実施形態に係るステータの製造工程)
図4は、第1実施形態に係るステータの製造工程を示すフローチャートである。
まず、不図示のプレス加工装置は、電磁鋼板に打抜き加工を施すことで、打抜き片を形成する(S101)。次いで、不図示のプレス加工装置は、S101の処理で形成された打抜き片のヨーク部の外壁部にシェービンク加工を施してステータコア1を形成する(S102)。
図5(a)はS101の処理で形成された打抜き片の部分平面図であり、図5(b)はS101の処理で形成された打抜き片の部分拡大図であり、図5(c)はS102の処理で形成されるステータコア1の部分拡大図である。
打抜き片110は、ヨーク部111と、ティース部112とを有する。不図示のプレス加工装置は、矢印Aで示されるヨーク部111の外壁部にシェービング加工を施してステータコア1を形成する。不図示のプレス加工装置によるシェービング加工は、単一のシェービング処理で実行される。
S102に示すシェービング加工で切削されるシェービング幅LCは、打抜き片110の厚さLTの5%以上40%以下であることが好ましく、打抜き片110の厚さLTの25%以上35%以下であることが更に好ましい。シェービング幅LCを、打抜き片110の厚さLTの5%以上40%以下とすることで、ステータコア1と筐体101の間の離隔距離を2μm以下にすることができる。シェービング幅LCを、打抜き片110の厚さLTの25%以上35%以下とすることで、ステータコア1と筐体101の間の離隔距離を1μm以下にすることができる。
S102の処理で形成されるステータコア1のヨーク外壁部13の接触面132のビッカース硬度は、ステータコア1の材料である電磁鋼板のビッカース硬度の1倍超1.9倍以下であることが好ましい。単一のシェービング処理で、シェービング加工を施すと、ヨーク外壁部13の接触面132のビッカース硬度は、ステータコア1の材料である電磁鋼板のビッカース硬度の1倍超1.9倍以下になる。
電磁鋼板のビッカース硬度は、例えばJIS Z 2244:2009に基づき測定する。測定に供する電磁鋼板は、打ち抜き端面を含むように切断し、切断面を平滑で、凹凸、酸化物膜(スケール)及び異物がなく、特に潤滑剤のない表面とする。切断面の仕上げは、過熱、冷間加工などによる表面硬さの変化が、できるだけ生じないようにする。硬度測定は打ち抜き端面近傍から一定距離間隔を置いて実行する。素材硬度、測定したい間隔及び板厚の小さい方に応じて測定荷重を決める必要がある。例えば、板厚0.5mmの50A350で、50μm間隔で硬度測定を行う場合、測定荷重は25gf程度が適している。50μmより狭い間隔で硬度測定を行う場合、図12に示すように打点を斜めにずらす等の工夫を行い、隣接する圧痕に影響を及ぼさないようにする必要がある。
鋼板を打ち抜き加工すると、打ち抜き端面近傍に高い加工歪みが導入され、端面近傍のビッカース硬度が上昇する。硬度上昇代、硬度上昇する打ち抜き端面からの距離は、鋼板の厚み、鋼板の機械強度、ダイとパンチ間のクリアランスによって変化するが、打ち抜き端面極近傍で2倍程度まで硬度上昇し、打抜き端面から鋼板内部に向かって連続的に硬度が変化する。硬度の上昇する領域は打抜き端面極近傍から板厚同等〜板厚の1/2程度までである。加工歪みが導入された領域は磁気特性が劣化し、鉄損が増加する。特許文献1,2,5では加工歪みが導入された領域をシェービング加工により除去することでモータ鉄損を低減している。この目的からは、シェービング加工後の打ち抜き端面近傍のビッカース硬度上昇はほぼ1倍になる。一方、本発明では必ずしも加工歪みが導入された領域を全て除去する必要はなく、加工歪みが残留しても接触面を増やすことでステータコアと筐体との間の熱伝導を向上させ、モータ温度上昇を抑制する。この目的からは、接触面のビッカース硬度は、複数のステータ片の材料である電磁鋼板のビッカース硬度の1倍超1.9倍以下であることが必要である。1倍にすると加工歪み導入部分は除去でき、さらにモータ鉄損を低減できるが、シェービングで除去する幅が大きくなり歩留りが低下する上、金型寿命も低下する傾向である。本発明の目的であるモータ温度上昇抑制には、1倍超でも1.9倍までなら、接触面が増えることにより効果発揮できる。1.9倍超では接触面が増えることによるモータ鉄損低減効果より、加工歪み導入によるモータ鉄損増加影響が大きくなるため、接触面のビッカース硬度を、複数のステータ片の材料である電磁鋼板のビッカース硬度の1倍超1.9倍以下と規定する。歩留り向上の観点から、望ましくは接触面のビッカース硬度は、複数のステータ片の材料である電磁鋼板のビッカース硬度の1.02倍以上であり、さらに望ましくは1.04倍以上である。加工歪み除去の観点から、望ましくは接触面のビッカース硬度は、複数のステータ片の材料である電磁鋼板のビッカース硬度の1.8倍以下であり、さらに望ましくは1.7倍以下である。
尚、ヨーク側壁部の高さに対する接触面の高さの比率の制御は、以下のように行うことが出来る。
即ち、打ち抜いた鋼板を、除去する幅を変更してシェービング加工を行った際の、シェービング除去幅と接触面高さとの関係を、打ち抜き条件(ダイスとパンチのクリアランス等)毎にあらかじめ求めておいて、この関係に基づいて、接触面の高さを制御することが出来る。
また、接触面のビッカース硬度の制御も、シェービング除去幅と硬度の関係を打ち抜き条件毎に求めておいて、この関係に基づいて、行うことが出来る。
これらより、打ち抜き条件とシェービング除去幅を適宜選ぶことで、ヨーク側壁部の高さに対する接触面の比率は、接触面の硬度と独立に制御することが出来る。
次いで、不図示のステータ組立装置は、S102の処理で形成されたステータコア1を積層する(S103)。次いで、不図示のステータ組立装置は、S103の処理で積層されたステータコア1を筐体101に焼き嵌め処理を施すことで、固定する(S104)。
S104に示す焼き嵌め処理は、ステータコア1のヨーク部10の周方向の圧縮応力が2MPa以上20MPa以下になるように施される。ヨーク部10の周方向の圧縮応力が2MPa未満である場合、ステータコア1の接触面15と筐体101の内壁部130との間のギャップが大きくなり、熱伝導特性が低下するおそれがある。一般に、ヨーク部10の周方向の圧縮応力が増加するとモータ100の鉄損が増加する。ヨーク部10の周方向の圧縮応力が20MPaを超えるとモータ100の鉄損増加が無視できなくなるため、ヨーク部10の周方向の圧縮応力は、20MPa以下とする。なお、ヨーク部10の周方向の圧縮応力は、5MPa以上15MPa以下であることが更に好ましい。ヨーク部10の周方向の圧縮応力を15MPa以下にすることで、圧縮応力による鉄損増加を抑制することができる。また、5MPa以上にすることで、ステータコア1の接触面15と筐体101の内壁部130との間のギャップを小さくすることができる。
ヨーク部10の周方向の圧縮応力は、第1ヨーク面11に歪ゲージを配置することにより測定する。歪ゲージは、ティース部20の延伸方向に直交する方向の圧縮応力を測定するように配置される。歪ゲージは、株式会社共和電業製の製品番号KFGS-10-120-D16-11、或いは相当品を使用する。
(第1実施形態に係るステータコアの作用効果)
図6(a)は第1比較例に係るステータコアと筐体との接触部の部分断面図であり、図6(b)は第2比較例に係るステータコアと筐体との接触部の部分断面図である。図6(c)は第3比較例に係るステータコアと筐体との接触部の部分断面図であり、図6(d)は第1実施形態に係るステータコアと筐体との接触部の部分断面図である。
第1比較例に係るステータコア901では、ヨーク部の外壁部の高さに対する高さの比率は25%であり、第2比較例に係るステータコア902では、ヨーク部の外壁部の高さに対する高さの比率は45%である。また、第3比較例に係るステータコア903では、ヨーク部の外壁部の高さに対する高さの比率は70%であり、第1実施形態に係るステータコア1は、ヨーク部の外壁部の高さに対する高さの比率は90%である。
第1比較例〜第3比較例に係るステータコア901〜903は、筐体101の内壁部に剪断面が接触し、ダレ、破断面及びカエリは接触しない。第1比較例〜第3比較例に係るステータコア901〜903は、剪断面のみが接触し、コイル等で発生した熱は、ヨーク部の外壁部の25%、45%及び70%の領域を通って筐体101に伝導するので、十分な熱伝導特性が得られないおそれがある。
一方、第1実施形態に係るステータコア1は、接触面の外壁部の高さに対する接触面の高さの比率は90%以上であるので、筐体101の内壁部に接触する領域が大きくなる。第1実施形態に係るステータは、筐体101の内壁部に接触する領域が大きくなるので、ステータコア1と筐体101との間の熱伝導特性が向上し、ステータコア1の熱放散特性を向上させることができる。
(第2実施形態に係るステータの構成及び機能)
図7は第2実施形態に係るステータを有するモータの平面図である。図7において、矢印Aで示される方向は周方向であり、矢印Bで示される方向は径方向であり、ドットCで示される方向は回転軸方向である。
モータ200は、ステータコア2(下記の第2実施形態に係るステータコア)をステータコア1の代わりに有することがモータ100と相違する。ステータコア2以外のモータ200の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付されたモータ100の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
図8(a)はステータコア2の部分斜視図であり、図8(b)はステータコア2の部分側面図である。図8(a)において、矢印Aで示される方向は周方向であり、矢印Bで示される方向は径方向であり、矢印Cで示される方向は回転軸方向である。
ステータコア2は、ティース部30をティース部20の代わりに有することがステータコア1と相違する。ティース部30は、第1ティース側壁部34と、第2ティース側壁部35を第1ティース側壁部24と、第2ティース側壁部25との代わりに有することがティース部20と相違する。第1ティース側壁部34及び第2ティース側壁部35以外のステータコア2の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付されたステータコア1の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。また、第2ティース側壁部35の構成要素の構成及び機能は、第1ティース側壁部34の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
第1ティース側壁部34は、ダレ341と、シェービング面342と、破断面343と、カエリ344とを有する。ダレ341、破断面343及びカエリ344が形成されるメカニズムは、よく知られているので、ここでは詳細な説明は省略する。
シェービング面342は、打抜き加工の後で、第1ティース側壁部34の高さに対する比率が5%〜25%に相当する領域を削除するシェービング加工を2回以上施して第1ティース側壁部34の高さの40%〜60%の高さを有するように形成される。
第1ティース側壁部34の高さに対する比率が5%〜25%に相当する領域毎にシェービング加工を施してシェービング面342を形成することで、シェービング面342の近傍に新たな塑性歪を導入されることなく、打抜き加工による塑性歪を除去される。
シェービング面342では、新たな塑性歪を導入されることなく、打抜き加工による塑性歪を除去されるため、特許文献1に記載されるように、モータ200の鉄損を低くすることができる。また、シェービング面342のビッカース硬度は、打抜き加工による塑性歪は全て除去するようにシェービングするので、単一のシェービング処理で形成される接触面152のビッカース硬度よりも低くなる。
(第2実施形態に係るステータの製造工程)
図9は、第2実施形態に係るステータの製造工程を示すフローチャートである。
S201及びS202の処理は、S101及びS102の処理と同様なので、ここでは詳細な説明は省略する。次いで、不図示のプレス加工装置は、S202の処理でヨーク部の側壁部にシェービンク加工が施された打抜き片のティース部の側壁部にシェービンク加工を施してステータコア2を形成する(S203)。S203の処理では、シェービング面342は、第1ティース側壁部34の高さに対する比率が5%〜25%に相当する領域を削除するシェービング加工を2回以上施して第1ティース側壁部34の高さの40%〜60%の高さを有するように形成される。
図10(a)はS202の処理で形成された打抜き片の部分平面図であり、図10(b)はS202の処理で形成された打抜き片の部分拡大図であり、図10(c)はS203の処理で形成されるステータコア2の部分拡大図である。
打抜き片210は、ヨーク部211と、ティース部212とを有する。不図示のプレス加工装置は、矢印A及びBのそれぞれで示されるティース部212の側壁部にシェービング加工を施してステータコア2を形成する。不図示のプレス加工装置によるシェービング加工は、複数回に亘るシェービング処理で実行される。
S203に示すシェービング加工で切削されるシェービング幅LCは、打抜き片210の厚さLTの5%以上40%未満であることが好ましい。シェービング幅LCを、打抜き片210の厚さLTの5%以上40%未満とすることで、シェービング加工によって新たに塑性歪をシェービング加工部の端面近傍に導入させることなく、打抜き加工が施された端面近傍から塑性歪を除去することができる。
S204〜S205の処理は、S103〜S104の処理と同様なので、ここでは詳細な説明は省略する。
(実施形態に係るステータの変形例)
ステータコア1及び2では、接触面132はシェービンク加工により形成されるが、実施形態に係るステータでは、ヨーク部の外壁部に形成される接触面は切削加工により形成されてもよい。
ステータコア1及び2は、単一のステータコアとして形成されるが、実施形態に係るステータでは、複数のステータ片を円弧状に配置して形成される分割ステータ構造であってもよい。
図11は、実施例で使用されるモータの部分平面図である。
モータ300は、無方向性電磁鋼板50A350を用いて電気学会Dモデルをベースとして作製されたIPMモータである。ステータコア3の外径は112mmであり、ロータ302の外径は54mmであり、ステータコア3の積み高さは100mmである。スロット数は24スロットである。ステータコア3は、筐体301に焼き嵌めにより固定される。ロータ302の外径は54mmφであり、ステータコア332の内径は55mmφであり、ロータ302とステータコア332との間のギャップは0.5mmである。また、ステータコア332の外径は112mmφ(=54mm+0.5mm×2+28.5mm×2)である。
第1実施例に係るステータコアは、ダイ及びパンチによって打抜き加工した後に、ヨーク部の外壁部の接触面の高さの割合が外壁部の高さの90%となるようにシェービング加工することで形成された。第1実施例におけるシェービング加工量は、片側0.1mmである。第1実施例では、ヨーク部周方向の圧縮応力が10MPaになるように焼き嵌めすることで形成された。ステータコアは24スロットであり、ステータコアのティース部に巻き回す銅線の1相当たりの巻線数は35ターンであり、ロータの磁石の磁束密度Brは1.25Tである。接触面で測定したビッカース硬度(荷重25gf)の材料である電磁鋼板のビッカース硬度に対する比率は1.35倍、離隔距離は2μmであった。
第2実施例に係るステータコアは、ダイ及びパンチによって打抜き加工した後に、ヨーク部の外壁部の接触面の高さの割合が外壁部の高さの90%となるようにヨーク部の外面をグラインダで研磨して平滑化することで形成された。第2実施例におけるグラインダ研磨量は、片側0.1mmである。第2実施例では、ステータコアは、第1実施例と同様に、ヨーク部周方向の圧縮応力が10MPaになるように焼き嵌めすることで形成された。スロット数、ステータコアのティース部に巻き回す銅線の1相当たりの巻線数、及びロータの磁石の磁束密度Brは、第1実施例と同様である。
第1比較例に係るステータコアは、ヨーク幅が第1実施例及び第2実施例と同一になるように、ダイ及びパンチによって打抜き加工することで形成された。第1比較例では、ステータコアは、ヨーク部周方向の圧縮応力が10MPaになるように焼き嵌めすることで形成された。スロット数、ステータコアのティース部に巻き回す銅線の1相当たりの巻線数、及びロータの磁石の磁束密度Brは、第1実施例と同様である。接触面で測定したビッカース硬度(荷重25gf)の材料である電磁鋼板のビッカース硬度に対する比率は1.35倍、離隔距離は2μmであった。
第1実施例、第2実施例及び第1比較例において、波高値3Aの巻線電流を位相角30度で流して、1500RPMの回転数で60分駆動した時のモータの上昇温度及び鉄損と銅損の和を測定した。モータの上昇温度は、駆動前のモータの温度である25℃から駆動開始から60分経過したときの温度との差である。
表1は、第1実施例、第2実施例及び第1比較例に係るモータの上昇温度(単位:℃)及び鉄損と銅損の和(単位:W)を示す。表1において、上段が上昇温度(単位:℃)を示し、下段が鉄損と銅損の和(単位:W)を示す。
表1で、第1比較例のモータ温度上昇は、第1比較例のモータ温度上昇よりも小さい。第1実施例及び第2実施例は、筐体の内壁部と接触するステータコアの接触面を大きくすることで、ステータコアと筐体との間の熱伝導特性を向上させることで、モータ温度上昇が低減されている。第1比較例の鉄損と銅損の和は第1実施例及び第2実施例の鉄損と銅損の和より高くなった。巻線温度が上昇し、銅損が増えたためと考えられる。
Figure 0006988631
実施例1と同様に、無方向性電磁鋼板50A350を用いて電気学会Dモデルをベースとして作製されたIPMモータのモータ温度上昇(単位:℃)を測定した。第3実施例、第4実施例及び第2比較例のそれぞれは、焼き嵌め工程でのヨーク部の周方向の圧縮応力以外は、第1実施例、第2実施例及び第1比較例と同様に形成された。第3実施例、第4実施例及び第2比較例のそれぞれは、ヨーク部の周方向の圧縮応力が50MPaになるように焼き嵌めすることで形成された。
第3実施例、第4実施例及び第2比較例において、波高値3Aの巻線電流を位相角30度で流して、1500RPMの回転数で60分駆動した後のモータ温度上昇を測定した。
表2は、第3実施例、第4実施例及び第2比較例の上昇温度(単位:℃)及び鉄損と銅損の和(単位:W)を示す。表2において、上段が上昇温度(単位:℃)を示し、下段が鉄損と銅損の和(単位:W)を示す。
表2で、第3実施例及び第4実施例のモータ温度上昇は、第2比較例のモータ温度上昇よりも小さい。第3実施例及び第4実施例は、筐体の内壁部と接触するステータコアの接触面を大きくすることで、ステータコアと筐体との間の熱伝導特性を向上させることで、モータ温度上昇が低減されている。第2比較例の鉄損と銅損の和は第3実施例及び第4実施例の鉄損と銅損の和より高くなった。巻線温度が上昇し、銅損が増えたためと考えられる。
Figure 0006988631
実施例1と同様に、無方向性電磁鋼板50A350を用いて電気学会Dモデルをベースとして作製されたIPMモータのモータ温度上昇(単位:℃)を測定した。第5実施例、第3比較例、第4比較例及び第5比較例のそれぞれは、実施例1と同様に、ダイ及びパンチによって打抜き加工した後に、シェービング加工することで形成された。第5実施例では、シェービング加工は、ヨーク部の外壁部の接触面の高さの割合が外壁部の高さの90%となるように施された。第3〜5比較例のそれぞれでは、シェービング加工は、ヨーク部の外壁部の接触面の高さの割合が外壁部の高さの25%、40%及び70%となるように施された。第5実施例、第3比較例、第4比較例及び第5比較例のそれぞれの接触面で測定したビッカース硬度(荷重25gf)の材料である電磁鋼板のビッカース硬度に対する比率は1.35倍、離隔距離は2μmであった。第5実施例、第3比較例、第4比較例及び第5比較例のそれぞれは、ヨーク部の周方向の圧縮応力が10MPaになるように焼き嵌めすることで形成された。
第5実施例は、第1実施例と同様に形成された。第3比較例、第4比較例及び第5比較例のそれぞれは、ヨーク部の外壁部の接触面の高さの割合以外は、第1比較例と同様に形成された。
第5実施例、第3比較例、第4比較例及び第5比較例において、波高値3Aの巻線電流を位相角30度で流して、1500RPMの回転数で60分駆動した後のモータ温度上昇を測定した。
表3は、第5実施例、第3比較例、第4比較例及び第5比較例の上昇温度(単位:℃)及び鉄損と銅損の和(単位:W)を示す。表3において、上段が上昇温度(単位:℃)を示し、下段が鉄損と銅損の和(単位:W)を示す。
表3で、ヨーク部の外壁部の接触面の高さの割合が外壁部の高さの90%である第5実施例のモータ温度上昇は、ヨーク部の外壁部の接触面の高さの割合が外壁部の高さの90%に達しない第3比較例、第4比較例及び第5比較例よりも非常に小さい。第3比較例、第4比較例及び第5比較例の鉄損と銅損の和は第5実施例の鉄損と銅損の和より高くなった。巻線温度が上昇し、銅損が増えたためと考えられる。
Figure 0006988631
実施例1と同様に、無方向性電磁鋼板50A350を用いて電気学会Dモデルをベースとして作製されたIPMモータのモータ温度上昇(単位:℃)を測定した。第6実施例、第7実施例、第6比較例及び第7比較例のそれぞれは、打抜き加工を施すときに、ダイとパンチとの間のクリアランスを変化させることで、ステータコア1と筐体101の間の離隔距離が変化するように形成された。第6実施例、第7実施例、第6比較例及び第7比較例のそれぞれでは、ステータコア1と筐体101の間の離隔距離は、1μm、2μm、4μm及び5μmである。第6実施例、第7実施例、第6比較例及び第7比較例のそれぞれでは、接触面で測定したビッカース硬度(荷重25gf)の材料である電磁鋼板のビッカース硬度に対する比率は1.04倍、1.35倍、1.55倍及び1.65倍であった。また、第6実施例、第7実施例、第6比較例及び第7比較例のヨーク部の側壁部の接触面の高さの割合は側壁部の高さの90%であった。第6実施例、第7実施例、第6比較例及び第7比較例のそれぞれは、ヨーク部の周方向の圧縮応力が10MPaになるように焼き嵌めすることで形成された。
第6実施例及び第7実施例は、ダイとパンチとの間のクリアランスを変化させること以外は、第1実施例と同様に形成された。第6比較例及び第7比較例のそれぞれは、ダイとパンチとの間のクリアランスを変化させること以外は、第1比較例と同様に形成された。
第6実施例、第7実施例、第6比較例及び第7比較例において、波高値3Aの巻線電流を位相角30度で流して、1500RPMの回転数で60分駆動した後のモータ温度上昇を測定した。
表4は、第6実施例、第7実施例、第6比較例及び第7比較例の上昇温度(単位:℃)及び鉄損と銅損の和(単位:W)を示す。表4において、上段が上昇温度(単位:℃)を示し、下段が鉄損と銅損の和(単位:W)を示す。
表4で、ステータコアと筐体との間の離隔距離が2μmである第7実施例のモータ温度上昇は、ステータコアと筐体との間の離隔距離が4μm以上である第6比較例、第7比較例よりも非常に小さい。第6比較例及び第7比較例の鉄損と銅損の和は第6実施例及び第7実施例の鉄損と銅損の和より高くなった。巻線温度が上昇し、銅損が増えたためと考えられる。
Figure 0006988631
実施例1と同様に、無方向性電磁鋼板50A350を用いて電気学会Dモデルをベースとして作製されたIPMモータのモータ温度上昇(単位:℃)を測定した。第8実施例、第9実施例、第10実施例、第11実施例、第8比較例及び第9比較例に係るステータ片は、ダイ及びパンチによって打抜き加工した後に、ヨーク部の外壁部をシェービング幅がそれぞれ片側50μm、100μm、150μm、175μm、250μmになるようにシェービング加工により成形した。第8実施例、第9実施例、第10実施例、第11実施例及び第8比較例はシェービング加工後のヨーク幅が同一になるように、シェービング加工前の寸法を調整した。第9比較例に係るステータ片は、ヨーク幅が第8実施例、第9実施例、第10実施例、第11実施例及び第8比較例と同一になるように、ダイ及びパンチによる打抜き加工により成形した。
第8実施例、第9実施例、第10実施例、第11実施例、第8比較例及び第9比較例のそれぞれでは、離隔距離は2.5μm、2μm、1.5μm、1μm、0μm及び3μmであった。また、第8実施例、第9実施例、第10実施例、第11実施例及び第8比較例のヨーク部の側壁部の接触面の高さの割合は側壁部の高さの90%であり、第9比較例のヨーク部の側壁部の接触面の高さの割合は側壁部の高さの70%であった。第8実施例、第9実施例、第10実施例、第11実施例、第8比較例及び第9比較例のそれぞれは、ヨーク部の周方向の圧縮応力が10MPaになるように焼き嵌めすることで形成された。
第8実施例、第9実施例、第10実施例、第11実施例、第8比較例及び第9比較例において、波高値3Aの巻線電流を位相角30度で流して、1500RPMの回転数で60分駆動した後のモータ温度上昇を測定した。
表5は、第8実施例、第9実施例、第10実施例、第11実施例、第8比較例及び第9比較例の上昇温度(単位:℃)、鉄損と銅損の和(単位:W)、接触面で測定したビッカース硬度(荷重25gf)の材料である電磁鋼板のビッカース硬度に対する比率(単位:倍)及び打ち抜き歩留まりを示す。表5において、1段目が上昇温度(単位:℃)を示し、2段目が鉄損と銅損の和(単位:W)を示し、3段目がビッカース硬度(単位:倍)を示し、4段目が打ち抜き歩留りを示す。
表5で、接触面で測定したビッカース硬度(荷重25gf)の材料である電磁鋼板のビッカース硬度に対する比率(単位:倍)が1倍超1.9倍以下である第8実施例、第9実施例、第10実施例、第11実施例及び第8比較例の温度上昇は、ビッカース硬度(荷重25gf)の材料である電磁鋼板のビッカース硬度に対する比率(単位:倍)が1.9倍超である第9比較例よりも小さい。第9比較例の鉄損と銅損の和は、第8実施例、第9実施例、第10実施例、第11実施例及び第8比較例の鉄損と銅損の和より高くなった。第8比較例では、モータ温度上昇、鉄損と銅損の和が第10実施例及び第11実施例とほぼ同等であるが、打ち抜き歩留まりが70%以下と大幅に劣化した。
Figure 0006988631
1、2、3 ステータコア
10 ヨーク部
13 ヨーク外壁部
20、30 ティース部
24、34 第1ティース側壁部
25、35 第2ティース側壁部
100、200、300 モータ
101、301 筐体
102、302 ロータ
131 ダレ
132 接触面
133 破断面
134 カエリ

Claims (5)

  1. 第1ヨーク面と、
    前記第1ヨーク面の反対の第2ヨーク面と、
    前記第1ヨーク面から前記第2ヨーク面に向かって前記第1ヨーク面及び前記第2ヨーク面に直交する方向に延伸する接触面を有するヨーク外壁部と、
    前記ヨーク外壁部と対向するように前記第1ヨーク面の一辺から前記第2ヨーク面の一辺に延伸するヨーク内壁部と、を有するヨーク部と、
    前記ヨーク内壁部から前記ヨーク外壁部と反対の方向に延伸するティース部と、を有するステータコアであって、
    前記ヨーク外壁部の高さに対する前記接触面の高さの比率は、90%以上であり、
    前記接触面のビッカース硬度は、前記ステータコアの材料である電磁鋼板のビッカース硬度の1倍超1.9倍以下である、ことを特徴とするステータコア。
  2. 前記ティース部は、第1ティース面と、前記第1ティース面の反対の第2ティース面と、前記第1ティース面から前記第2ティース面に前記第1ティース面及び前記第2ティース面に直交する方向に向かって延伸するシェービング面を有するティース側面部と、を有し、
    前記シェービング面のビッカース硬度は、前記接触面のビッカース硬度よりも低い、請求項1に記載のステータコア。
  3. 収納される筐体の内壁部と前記ヨーク外壁部との間の離隔距離の最大値は、2μm以下である、請求項1又は2に記載のステータコア。
  4. 前記ヨーク部の周方向の圧縮応力は、2MPa以上20MPa以下である、請求項1〜3の何れか一項に記載のステータコア。
  5. ステータコアを有するステータと、ロータと、前記ステータ及びロータを収容する筐体とを有し、
    前記ステータコアは、
    第1ヨーク面と、
    前記第1ヨーク面の反対の第2ヨーク面と、
    前記第1ヨーク面から前記第2ヨーク面に向かって前記第1ヨーク面及び前記第2ヨーク面に直交する方向に延伸し且つ前記筐体の内壁部と接触する接触面を有するヨーク外壁部と、
    前記ヨーク外壁部と対向するように前記第1ヨーク面の一辺から前記第2ヨーク面の一辺に延伸するヨーク内壁部と、を有するヨーク部と、
    前記ヨーク内壁部から前記ヨーク外壁部と反対の方向に延伸するティース部と、を有し、
    前記ヨーク外壁部の高さに対する前記接触面の高さの比率は、90%以上であり、
    前記接触面のビッカース硬度は、前記ステータコアの材料である電磁鋼板のビッカース硬度の1倍超1.9倍以下である、ことを特徴とするモータ。
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