JP2015139319A - 回転子、電動機、回転子の製造方法及び電動機の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】より簡単な装置及び工程によって横流損失を低減できる回転子を提供することを目的とする。
【解決手段】貫通孔25a及びスロット部14を備えた回転子鉄心板5aと、貫通孔25a、スロット部14及び突起13を備えた回転子鉄心板5bと、を作製し、少なくとも1枚の回転子鉄心板5bが一方の端面側に配置されるように、回転子鉄心板5a、5bを積層して回転子鉄心5を作製し、ダイカストにより回転子鉄心5のスロット部14内にアルミニウムバー6を形成してかご形回転子を作製し、一方の端面側に配置された回転子鉄心板5bの突起13を少なくとも支持してかご形回転子を一回転方向に捻るようにする。
【選択図】図9
【解決手段】貫通孔25a及びスロット部14を備えた回転子鉄心板5aと、貫通孔25a、スロット部14及び突起13を備えた回転子鉄心板5bと、を作製し、少なくとも1枚の回転子鉄心板5bが一方の端面側に配置されるように、回転子鉄心板5a、5bを積層して回転子鉄心5を作製し、ダイカストにより回転子鉄心5のスロット部14内にアルミニウムバー6を形成してかご形回転子を作製し、一方の端面側に配置された回転子鉄心板5bの突起13を少なくとも支持してかご形回転子を一回転方向に捻るようにする。
【選択図】図9
Description
本発明は、回転子、電動機、回転子の製造方法及び電動機の製造方法に関するものである。
誘導電動機のかご形回転子は、回転子鉄心と二次導体とを備える。回転子鉄心には、周方向に並列して複数の貫通穴(スロット)が形成されている。二次導体は、ダイカストによってアルミニウムがスロットに充填されることにより形成されるアルミニウムバーを含んで構成される。
誘導電動機への省資源化、高効率化の要求の高まりによって、損失を減らすことが求められている。誘導電動機の損失には、鉄損、一次銅損、二次銅損、機械損などがある。高性能の材料を用いたり、鉄心形状及びコイルの最適化設計を行ったりすることにより損失を減らす努力がなされている。これらの損失以外にも、回転子に不要な電流が流れる横流損失がある。
横流損失とは、かご形回転子の二次導体にスキューをかけた場合、二次導体と回転子鉄心との間に電位差が発生することで、二次導体と回転子鉄心との間に本来流れるべきでない電流が流れることによって生じる損失である。
横流損失を低減する方法としては、特許文献1に開示されているように、回転子鉄心のスロットの内面に絶縁被膜を形成し、回転子鉄心とアルミニウムバーとの間の絶縁抵抗を確保する方法や、特許文献2に開示されているように、ダイカスト後に回転子を加熱、冷却し、金属の線膨張率の違いを利用して回転子鉄心とアルミニウムバーとの間に空隙を形成して絶縁させる方法や、特許文献3に開示されているように、ダイカスト後の回転子をアルカリ溶液に浸漬し、アルミニウムバーを腐食させて絶縁させる方法等がある。
しかしながら、特許文献1〜3に開示されている方法では、絶縁被膜を形成する工程、回転子を加熱、冷却する工程、及び回転子をアルカリ溶液に浸漬する工程等、時間やコストがかかる工程がそれぞれ必要になるという問題点があった。
本発明は、上述のような問題点を解決するためになされたものであり、より簡単な装置及び工程によって横流損失を低減できる回転子、電動機、回転子の製造方法及び電動機の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る回転子の製造方法は、中心部に設けられた貫通孔、及び外周部に設けられたスロット部を備えた第1の回転子鉄心板と、前記貫通孔、前記スロット部、及び外周端からさらに外周側に突出した突起を備えた第2の回転子鉄心板と、を作製する第1の工程と、少なくとも1枚の前記第2の回転子鉄心板が一方の端面側に配置されるように、前記第1の回転子鉄心板及び前記第2の回転子鉄心板を積層して回転子鉄心を作製する第2の工程と、ダイカストにより前記回転子鉄心の前記スロット部内に二次導体を形成してかご形回転子を作製する第3の工程と、前記一方の端面側に配置された前記第2の回転子鉄心板の前記突起を少なくとも支持して前記かご形回転子を一回転方向に捻る第4の工程と、を有することを特徴とするものである。
本発明に係る電動機の製造方法は、上記の回転子の製造方法を用いることを特徴とするものである。
本発明に係る回転子は、上記の回転子の製造方法を用いて製造されたことを特徴とするものである。
本発明に係る電動機は、上記の回転子を備えることを特徴とするものである。
本発明によれば、かご形回転子を捻ることによって回転子鉄心とスロット部内の二次導体とを剥離させることができ、回転子鉄心と二次導体との間の接触抵抗を増大させることができる。また、かご形回転子を捻る際に少なくとも突起を支持することによって、捻り工程を容易にすることができるとともに、かご形回転子の捻られる領域、すなわち回転子鉄心と二次導体とを剥離させる領域を軸方向に大きくとることができる。これにより、簡単な装置及び工程によって回転子の横流損失を低減することができる。
実施の形態1.
本発明の実施の形態1に係る回転子、電動機、回転子の製造方法及び電動機の製造方法について説明する。図1は、本実施の形態に係るかご形誘導電動機(以下、単に「電動機」という)1の回転軸Cに垂直な平面での断面構成を示す断面図である。なお、図1を含む以下の図面では、各構成部材の寸法の関係や形状等が実際のものとは異なる場合がある。
本発明の実施の形態1に係る回転子、電動機、回転子の製造方法及び電動機の製造方法について説明する。図1は、本実施の形態に係るかご形誘導電動機(以下、単に「電動機」という)1の回転軸Cに垂直な平面での断面構成を示す断面図である。なお、図1を含む以下の図面では、各構成部材の寸法の関係や形状等が実際のものとは異なる場合がある。
図1に示すように、電動機1は、シャフト7が一体的に取り付けられる回転子4と、回転子4の外周を囲んで設けられた固定子2と、を有している。
回転子4は、回転子鉄心5と、回転子鉄心5の外周部のスロットに周方向で等間隔に埋め込まれた複数のアルミニウムバー6と、を有している。回転子鉄心5は、後述する複数の回転子鉄心板5a、5b、5cを積層して形成されている。回転子鉄心板5a、5b、5cのそれぞれは、電磁鋼板からの打ち抜きにより形成されている。アルミニウムバー6は、回転子鉄心5の回転軸方向における一端面から他端面まで貫通し、かつ所定のスキュー角で傾いて形成されている。また、各アルミニウムバー6同士は、当該一端面及び他端面上に形成された2つのエンドリング部18(図1では図示せず)を介して電気的に接続されている。アルミニウムバー6及びエンドリング部18は、回転子4の二次導体を構成するものであり、アルミニウムダイカストを用いて形成されている。
固定子2は、固定子鉄心3と、固定子鉄心3に形成された複数の固定子ティースに巻回された複数のコイル8と、を有している。固定子鉄心3は、後述する複数の固定子鉄心板3aを積層して形成されている。固定子鉄心板3aのそれぞれは、電磁鋼板からの打ち抜きにより形成されている。
図2は、回転子鉄心板5a、5b、5cの構成の例を示す図である。図2(a)は、回転子鉄心板5aの構成の例を示している。図2(a)に示すように、回転子鉄心板5aは、外周部に周方向で等間隔に形成された複数の回転子ティース部12と、隣接する回転子ティース部12の間に形成されたスロット部14と、シャフト7が挿通される円形の貫通孔25aと、を有している。スロット部14は、回転子鉄心板5a、5b、5cが積層された際に、アルミニウムバー6が埋め込まれるスロットを構成するものである。回転子鉄心板5aには、後述する突起13及び溝部15は設けられていない。
図2(b)は、回転子鉄心板5bの構成の例を示している。図2(b)に示すように、回転子鉄心板5bは、複数の突起13が設けられていることを除き、図2(a)の回転子鉄心板5aと同様の構成を有している。複数の突起13は、一部の回転子ティース部12の外周端からさらに外周側に突出して形成されている。突起13のそれぞれは、矩形状の形状を有している。本例では、回転子鉄心板5bの周方向において等間隔に4つの突起13が設けられている。
図2(c)は、回転子鉄心板5cの構成の例を示している。図2(c)に示すように、回転子鉄心板5cは、複数の溝部15が設けられていることを除き、図2(a)の回転子鉄心板5aと同様の構成を有している。複数の溝部15は、貫通孔25aの内周端から外周側に切り込まれて形成されている。溝部15のそれぞれは、矩形状の形状を有している。本例では、貫通孔25aの内周端の周方向において等間隔に、8つの溝部15が放射状に設けられている。
図2(d)は、回転子鉄心板5cの構成の別の例を示している。図2(d)に示すように、本例の回転子鉄心板5cは、図2(c)に示す回転子鉄心板5cと同様に複数の溝部15が設けられていることに加えて、図2(b)に示す回転子鉄心板5bと同様に複数の突起13が設けられている。
次に、電動機1(回転子4)の製造方法について説明する。
まず、回転子鉄心5を構成する複数の回転子鉄心板5a、5b、5cと、固定子鉄心3を構成する複数の固定子鉄心板3aとを、電磁鋼板9からの打ち抜きにより作製する(打ち抜き工程)。図3は、電動機1の製造工程において、電磁鋼板9から回転子鉄心板5aと固定子鉄心板3aとを打ち抜く際の配置を示す図である。図4は、電磁鋼板9から回転子鉄心板5bと固定子鉄心板3aとを打ち抜く際の配置を示す図である。電磁鋼板9から固定子鉄心板3a及び回転子鉄心板5aを打ち抜く際には、材料コストの低減のため、図3に示すように、固定子鉄心板3aの内側で回転子鉄心板5aを打ち抜くことが考えられる。本実施の形態では、図4に示すように、突起13が設けられる回転子鉄心板5bも同様に、固定子鉄心板3aの内側で打ち抜くことが可能である。すなわち、固定子鉄心板3aの隣り合う固定子ティース部10の先端にそれぞれ形成されて互いに対向する2つのティースチップ11の間の不要な部分を、回転子鉄心板5bの突起13として4方向に矩形状に打ち抜くことができる。
回転子4の製造工程では、次に、複数の回転子鉄心板5a、5b、5cを積層して回転子鉄心5を作製する(積層工程)。図5は、回転子4の製造工程において、複数の回転子鉄心板5a、5b、5cを積層して作製した回転子鉄心5の構成を示す斜視図である。図5に示すように、複数の回転子鉄心板5a、5b、5cを積層する際には、回転軸方向の一端側(図5では下端側)に、突起13が設けられた少なくとも1枚(本例では1枚)の回転子鉄心板5b(図2(b)参照)を配置する。次に、回転子鉄心板5b上に、突起13が設けられていない複数枚の回転子鉄心板5a(図2(a)参照)を1枚ずつ徐々に回転させながら積層する。最後に、回転子鉄心板5a上に、溝部15が設けられた少なくとも1枚(本例では1枚)の回転子鉄心板5c(図2(c)参照)を積層する。なお、図2(c)に示した回転子鉄心板5cに代えて、図2(d)に示した回転子鉄心板5cを積層してもよい。これにより、回転子鉄心5が作製される。作製された回転子鉄心5の中心部には、複数の回転子鉄心板5a、5b、5cの貫通孔25aからなる貫通孔25が形成される。また、作製された回転子鉄心5の外周部には、各回転子鉄心板5b、5a、5cのスロット部14が回転方向に徐々にずれながら積層されることにより、回転子鉄心5の端面に対して所定のスキュー角θs(θs<90°。図10参照)で傾いたスキュー16が形成される。
本例では、回転子鉄心5の一端側に回転子鉄心板5bを配置し、他端側に回転子鉄心板5cを配置するようにしているが、回転子鉄心5の一端側及び他端側の双方に回転子鉄心板5bを配置するようにしてもよい。
ここで、図示を省略しているが、隣接する回転子鉄心板5b、5a、5c同士は、カシメ(例えば、抜きカシメ)によって連結されている。
次に、アルミニウムダイカストを用いてアルミニウムバー6及びエンドリング部18を形成し、回転子4(かご形回転子)を作製する(ダイカスト工程)。図6は、アルミニウムバー6及びエンドリング部18を形成した回転子4の構成を示す斜視図である。各回転子鉄心板5b、5a、5cの複数のスロット部14には、それぞれアルミニウムバー6が図中の上端面から下端面まで貫通して埋め込まれる。各アルミニウムバー6の上端同士はエンドリング部18を介して接続され、下端同士は別のエンドリング部(図示せず)を介して接続される。
本実施の形態では、ダイカスト工程の前にスロット部14の内壁面への絶縁処理を施していない。このため、この時点では、回転子鉄心5の各回転子鉄心板5b、5a、5cと各アルミニウムバー6とは密着しており、導通状態にある。仮に、この時点の回転子4をそのまま用いて電動機を作製したとすると、二次導体であるアルミニウムバー6を流れる電流の一部が回転子鉄心5を介して不要に流れてしまうことになる。そこで、本実施の形態では、ダイカスト工程の終了後、アルミニウムバー6が固化した状態で、捻り工程及び捻り戻し工程を行う。捻り工程及び捻り戻し工程は、連続的に行うことができる。
図7は、捻り工程を示す説明図である。図7に示すように、捻り工程では、回転軸Cを中心として、スキュー角θsが大きくなる回転方向(スキュー16が回転軸Cと平行な方向に近づく回転方向)に回転子4を捻る。
図8は、捻り工程の後に行われる捻り戻し工程を示す説明図である。図8に示すように、捻り戻し工程では、捻り工程で捻られた回転子4を、回転軸Cを中心として逆の回転方向に捻り、捻り工程の前の状態に戻す。
本実施の形態では、捻り工程で回転子4を捻り、捻り戻し工程で回転子4を捻り戻すことにより、回転子鉄心5とアルミニウムバー6とにずれを生じさせる。すなわち、ダイカスト工程の終了時点では、アルミニウムが高圧で射出成型されることで回転子鉄心5とアルミニウムバー6とが密着しているが、捻り工程及び捻り戻し工程を行うことにより、回転子鉄心5とアルミニウムバー6とを剥離させることができる。これにより、回転子鉄心5とアルミニウムバー6との間の接触抵抗が増大し、アルミニウムバー6から回転子鉄心5に流れる不要な電流を抑制することができる。したがって、本実施の形態によれば、回転子4で生じる横流損失を低減できるため、電動機の効率を向上させることができる。
図9は、捻り工程及び捻り戻し工程で回転子4を捻る(又は捻り戻す)方法を示す説明図である。図9(a)は、回転子4を側方から見た図であり、図9(b)は回転子4をチャック19a側から回転軸C方向に見た図である。なお、図9(b)ではチャック19aの図示を省略している。図9(a)、(b)に示すように、回転子4を捻る際には、回転子4の貫通孔25に対し、回転子鉄心5に溝部15が設けられた端面側(回転子鉄心板5c側)から心棒20を挿入する。このとき、心棒20に設けられた1つ又は複数(例えば、溝部15の数と同数)の突起23を溝部15に嵌合させるようにする。また、回転子4の同端面側の外周をチャック19aで把持して固定する。回転子鉄心5(回転子鉄心板5c)の溝部15に心棒20の突起23を嵌合させることにより、チャック19aのみでの固定よりも、回転子4をさらに強固に固定することができる。
回転子4の逆側の端面側(回転子鉄心板5b側)の外周は、チャック19bで把持して固定する。このとき、チャック19bに設けられた複数(例えば、突起13の数と同数)の溝部21に回転子鉄心5(回転子鉄心板5b)の突起13を嵌合させるとともに、チャック19bの内面に設けられたつかみ部22で回転子4を把持するようにする。そして、回転子4の両端をそれぞれ固定した状態で、チャック19bをチャック19a及び心棒20に対して回転軸Cを中心とする所定の回転方向に回転させ、回転子4を捻る。このとき、回転子鉄心5に突起13及び溝部15が形成されていることによって、チャック19a、19bが滑りにくくすることができる。また、突起13及び溝部15がない場合に比べて、チャック19a、19b又は心棒20で支持する領域を軸方向で小さくすることができる。例えば、回転子4の一端面に配置された1枚の回転子鉄心板5bと、他端面に配置された1枚の回転子鉄心板5cとを支持して回転子4を捻ることができる。このため、回転子4が捻られる領域を軸方向に大きくとることができる。
ここで、図2(d)に示した回転子鉄心板5cがチャック19a側の端面に配置されている場合には、チャック19aの構成をチャック19bと同様にしてもよい。すなわち、チャック19aに設けられた複数の溝部21に、回転子鉄心板5cの突起13を嵌合させるようにしてもよい。また、チャック19a側の端面に回転子鉄心板5bが配置されている場合(回転子鉄心5の一端側及び他端側の双方に回転子鉄心板5bが配置されている場合)にも、チャック19aの構成をチャック19bと同様にしてもよい。すなわち、チャック19aに設けられた複数の溝部21に、回転子鉄心板5bの突起13を嵌合させるようにしてもよい。
図10は、捻り工程で捻られる前の回転子4の状態を示す側面図である。図11は、捻り工程で捻られている回転子4の状態を示す側面図である。図12は、図10に示す状態における回転子鉄心5(回転子ティース部12)とアルミニウムバー6との関係を示す模式的な断面図である。図13は、図11に示す状態における回転子鉄心5とアルミニウムバー6との関係を示す模式的な断面図である。図12及び図13では、回転子鉄心5のうち3枚の回転子鉄心板のみを示している。
図10及び図12に示すように、捻られる前の回転子4におけるスキュー角は角度θs1であるものとする。図11及び図13に示すように、捻り工程では、スキュー角が角度θs1よりも大きい角度θs2(θs1<θs2)となるように回転子4が捻られる。本例では、角度θs2は90°以下である(θs1<θs2≦90°)。回転子4が捻られると、アルミニウムバー6の傾きが小さくなるため、回転子4は軸方向に伸びる動きをする。すなわち、回転子鉄心5の回転子鉄心板同士は互いに離れようとする。このため、回転子ティース部12やアルミニウムバー6に無理な力が加わって損傷しないように、各回転子鉄心板には、捻りに合わせて、回転方向だけでなく軸方向にも倣うような動きをさせる。したがって、隣接する回転子鉄心板同士を連結する方法としては、カシメを用いるのが望ましい。カシメを用いて回転子鉄心板同士を連結することによって、複数の回転子鉄心板を積層体(層状の連続体)として一体化することができる。カシメにより一体化した回転子鉄心5は、回転方向に捻られる動きをある程度許容し、かつ軸方向に伸びる動きをある程度許容する。このようにして回転子4を捻ることによって、図13に示すように回転子鉄心5とアルミニウムバー6とにずれを生じさせ、回転子鉄心5とアルミニウムバー6とを剥離させることができる。
図14は、図9(b)に対応する図であり、捻り工程での捻りの回転角θtを示す説明図である。本実施の形態では、捻りの回転角θtは回転子4の鉄心長(回転子鉄心5の軸方向長さ)に基づいて決められ、鉄心長が長いほど大きくする。目安として、鉄心長が10〜25mmである場合、回転角θtは10〜25°程度でよい。これは、捻りすぎると回転子ティース部12やアルミニウムバー6が損傷してしまうためである。
一方、捻り戻し工程で回転子4を元の状態に捻り戻す際には、回転子4は、元の軸方向長さに戻る動きをする。このため、各回転子鉄心板には、捻り工程と同様に、捻り戻しに合わせて軸方向にも倣うような動きをさせる。これにより、回転子4のスキュー角θsを捻られる前の角度θs1に戻すことができる。
捻り戻し工程の後、回転子4の外周面から突出する突起13を切削等により除去する工程、及び貫通孔25にシャフト7を嵌入させる工程等を経て、図15に示すロータシャフト30を作製する。その後、別工程を経て作製された固定子2とロータシャフト30とをケーシング内に組み込むことにより、電動機が完成する。なお、図15に示すロータシャフト30では突起13が除去されているが、突起13を除去せずにそのまま残存させてもよい。
図16は、本実施の形態の電動機及び従来の電動機のトルク特性を示すグラフである。グラフの横軸は回転数を表しており、縦軸はトルクを表している。グラフ中の実線の曲線C1は本実施の形態の電動機のトルク特性を示しており、破線の曲線C2は従来の電動機のトルク特性を示している。図16に示すように、本実施の形態の電動機は、回転数に関わらず、従来の電動機よりも高いトルクが得られることが分かる。
図17は、本実施の形態の電動機及び従来の電動機の効率特性を示すグラフである。グラフの横軸は回転数を表しており、縦軸は効率を表している。グラフ中の実線の曲線C3は本実施の形態の電動機の効率特性を示しており、破線の曲線C4は従来の電動機の効率特性を表している。図17に示すように、本実施の形態の電動機は、回転数に関わらず、従来の電動機よりも高い効率が得られることが分かる。したがって、本実施の形態の電動機によれば、エネルギー消費量を削減することができる。もしくは、本実施の形態を施さない電動機と同等の効率でよい場合であれば、コイルの銅量を削減することができる。
以上説明したように、本実施の形態に係る回転子の製造方法は、中心部に設けられた貫通孔25a、及び外周部に設けられたスロット部14を備えた回転子鉄心板5a(第1の回転子鉄心板)と、貫通孔25a、スロット部14、及び外周端からさらに外周側に突出した突起13を備えた回転子鉄心板5b(第2の回転子鉄心板)と、を作製する打ち抜き工程と、少なくとも1枚の回転子鉄心板5bが一方の端面側に配置されるように、回転子鉄心板5a、5bを積層して回転子鉄心5を作製する積層工程と、ダイカストにより回転子鉄心5のスロット部14内に二次導体(本例ではアルミニウムバー6)を形成してかご形回転子を作製するダイカスト工程と、一方の端面側に配置された回転子鉄心板5bの突起13を少なくとも支持してかご形回転子を一回転方向に捻る捻り工程と、を有するものである。
本実施の形態によれば、回転子4を捻ることによって回転子鉄心5とアルミニウムバー6とを剥離させることができ、回転子鉄心5とアルミニウムバー6との間の接触抵抗を増大させることができる。また、回転子4を捻る際に少なくとも突起13を支持することによって、捻り工程を容易にすることができるとともに、捻られる領域、すなわち回転子鉄心5とアルミニウムバー6とを剥離させる領域を軸方向に大きくとることができる。これにより、簡単な装置及び工程によって回転子4の横流損失を低減でき、電動機の効率を向上させることができる。
上記の各実施の形態や変形例は、互いに組み合わせて実施することが可能である。
1 電動機、2 固定子、3 固定子鉄心、3a 固定子鉄心板、4 回転子、5 回転子鉄心、5a、5b、5c 回転子鉄心板、6 アルミニウムバー、7 シャフト、8 コイル、9 電磁鋼板、10 固定子ティース部、11 ティースチップ、12 回転子ティース部、13 突起、14 スロット部、15 溝部、16 スキュー、18 エンドリング部、19a、19b チャック、20 心棒、21 溝部、22 つかみ部、23 突起、25、25a 貫通孔、30 ロータシャフト、C 回転軸。
Claims (9)
- 中心部に設けられた貫通孔、及び外周部に設けられたスロット部を備えた第1の回転子鉄心板と、前記貫通孔、前記スロット部、及び外周端からさらに外周側に突出した突起を備えた第2の回転子鉄心板と、を作製する第1の工程と、
少なくとも1枚の前記第2の回転子鉄心板が一方の端面側に配置されるように、前記第1の回転子鉄心板及び前記第2の回転子鉄心板を積層して回転子鉄心を作製する第2の工程と、
ダイカストにより前記回転子鉄心の前記スロット部内に二次導体を形成してかご形回転子を作製する第3の工程と、
前記一方の端面側に配置された前記第2の回転子鉄心板の前記突起を少なくとも支持して前記かご形回転子を一回転方向に捻る第4の工程と、
を有することを特徴とする回転子の製造方法。 - 前記第1の工程は、前記貫通孔、前記スロット部、及び前記貫通孔の内周端から外周側に切り込まれた溝部を備えた第3の回転子鉄心板をさらに作製するものであり、
前記第2の工程は、少なくとも1枚の前記第3の回転子鉄心板が他方の端面側に配置されるように、前記第1の回転子鉄心板、前記第2の回転子鉄心板及び前記第3の回転子鉄心板を積層するものであり、
前記第4の工程は、前記他方の端面側に配置された前記第3の回転子鉄心板の前記溝部を少なくとも支持して前記かご形回転子を捻るものであることを特徴とする請求項1に記載の回転子の製造方法。 - 前記第2の工程は、少なくとも1枚の前記第2の回転子鉄心板が他方の端面側にも配置されるように、前記第1の回転子鉄心板及び前記第2の回転子鉄心板を積層するものであり、
前記第4の工程は、前記他方の端面側に配置された前記第2の回転子鉄心板の前記突起を少なくとも支持して前記かご形回転子を捻るものであることを特徴とする請求項1に記載の回転子の製造方法。 - 前記第4の工程で捻られた前記かご形回転子を逆回転方向に捻り戻す第5の工程をさらに有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の回転子の製造方法。
- 前記第2の工程は、隣接する回転子鉄心板同士をカシメによって連結するものであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の回転子の製造方法。
- 前記第2の工程は、少なくとも前記第1の回転子鉄心板及び前記第2の回転子鉄心板をスキューが形成されるように積層するものであり、
前記第4の工程は、スキュー角が大きくなる回転方向に前記かご形回転子を捻るものであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の回転子の製造方法。 - 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の回転子の製造方法を用いることを特徴とする電動機の製造方法。
- 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の回転子の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする回転子。
- 請求項8に記載の回転子を備えることを特徴とする電動機。
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JP2014010495A JP2015139319A (ja) | 2014-01-23 | 2014-01-23 | 回転子、電動機、回転子の製造方法及び電動機の製造方法 |
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