JPWO2020245921A1 - かご形回転子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
かご形回転子(30)の製造方法は、回転子鉄心(1)に形成されたスロットにアルミダイカストによってアルミニウムを充填させてアルミバーを形成する第1ステップと、スロットにアルミバーが形成された回転子鉄心(1)を回転軸(C)の延伸方向に引っ張りながら回転軸(C)回りにねじる第2ステップと、回転子鉄心(1)を回転軸(C)の延伸方向に圧縮しながら第2ステップとは逆方向にねじる第3ステップとを含む。第2ステップは、回転軸(C)の延伸方向における回転子鉄心(1)の外周面の一端部(1a)と他端部(1b)とを把持して回転軸(C)の延伸方向における回転子鉄心(1)の中央部(1c)を局所的にねじる。
Description
本発明は、かご形回転子の製造方法に関する。
誘導電動機のかご形回転子は、回転軸を中心に回転する回転子鉄心と二次導体とを備える。回転子鉄心には、周方向に並べて複数のスロットが形成されている。二次導体は、アルミダイカストによってスロットにアルミニウムが充填されて形成されるアルミバーを含んで構成される。
省資源化および高効率化の要求の高まりによって、誘導電動機の損失を減らすことが課題となっている。誘導電動機の損失には、鉄損、一次銅損、二次銅損、および機械損などがあり、高性能の材料を用いたり、鉄心形状またはコイルの最適化設計を行ったりすることにより損失を減らす努力がなされている。これらの損失以外にも回転子に不要な電流が流れる横流損がある。横流損とは、アルミダイカストで形成した二次導体のアルミバーと回転子鉄心との間に電位差が生じることで、本来流れるべきではない電流が流れることにより生じる損失である。
特許文献1には、アルミバーがスロットに形成された回転子鉄心をねじることで、アルミバーと回転子鉄心との間の絶縁を図って誘導電動機の効率の向上を図ることができるかご形回転子の製造方法が開示されている。
しかしながら、回転子鉄心を回転軸の延伸方向で全体的に均等になる程度にねじろうとした場合、誘導電動機の効率の向上を意図したように図れない可能性がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、誘導電動機の効率を向上させることができるかご形回転子の製造方法を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、回転軸を中心に回転するかご形回転子の製造方法であって、回転子鉄心に形成されたスロットにアルミダイカストによってアルミニウムを充填させてアルミバーを形成する第1ステップと、スロットにアルミバーが形成された回転子鉄心を回転軸の延伸方向に引っ張りながら回転軸回りにねじる第2ステップと、回転子鉄心を回転軸の延伸方向に圧縮しながら第2ステップとは逆方向にねじる第3ステップとを含む。第2ステップは、回転軸の延伸方向における回転子鉄心の外周面の一端部と他端部とを把持して回転軸の延伸方向における回転子鉄心の中央部を局所的にねじる。
本発明にかかるかご形回転子の製造方法は、誘導電動機の効率を向上させることができる、という効果を奏する。
以下に、本発明の実施の形態にかかるかご形回転子の製造方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる製造方法で製造されたかご形回転子を備える誘導電動機の断面図である。図1に示す誘導電動機50は、かご形回転子30と、かご形回転子30の外周と間隔を空けて内周が対向する位置に配置された固定子40と、かご形回転子30に固定されたシャフト11とを備える。
図1は、本発明の実施の形態1にかかる製造方法で製造されたかご形回転子を備える誘導電動機の断面図である。図1に示す誘導電動機50は、かご形回転子30と、かご形回転子30の外周と間隔を空けて内周が対向する位置に配置された固定子40と、かご形回転子30に固定されたシャフト11とを備える。
かご形回転子30は、複数のスロット6が周方向に沿って並べて形成された回転子鉄心1と、回転子鉄心1に形成された複数のスロット6およびスキュー5に充填されて形成される複数のアルミバー7とを備える。回転子鉄心1には、中心に貫通孔8が形成されており、かかる貫通孔8にシャフト11が挿入される。かご形回転子30は、シャフト11の軸心を回転軸Cとして回転可能である。
図2は、実施の形態1にかかるかご形回転子が備える回転子鉄心の構成例を示す図である。図2に示すように、回転子鉄心1は、同じ形状に打ち抜かれた複数の電磁鋼板2が積層されて構成される。各電磁鋼板2には、スロット6および貫通孔8を形成する穴が形成される。また、電磁鋼板2には、スロット6を形成する穴から電磁鋼板2の外周にわたって溝が形成される。
電磁鋼板2を周方向にずらしながら積層することで、上述した溝が回転軸Cに対して斜めに延びるように連なるスキュー5が回転子鉄心1に形成される。電磁鋼板2同士は、カシメにより連結される。回転子鉄心1のうちスロット6の間には、ティース3が形成される。
図3は、実施の形態1にかかるかご形回転子の外観斜視図である。図3に示すように、かご形回転子30は、上述した回転子鉄心1とダイカスト部17とを備える。ダイカスト部17は、回転子鉄心1に対してアルミダイカストを行うことで形成される。かかるダイカスト部17は、上述したアルミバー7と、回転軸C方向における回転子鉄心1の両側に設けられる第1エンドリング15および第2エンドリング16とを備える。なお、図3では、第2エンドリング16は、回転子鉄心1に隠れて見えない位置にある。
ここで、横流損について説明する。回転子鉄心1の破断面には絶縁皮膜がないため、アルミダイカストによって、回転子鉄心1とアルミバー7とが導通状態にある。このため、二次導体であるアルミバー7間で電位差が生じると、電流の一部が回転子鉄心1を介して流れて横流損が生じる。かかる横流損は、誘導電動機においては、回転子鉄心のうち縦方向の中心付近に局所的に発生することが知られている。縦方向とは、誘導電動機50では、回転子鉄心1における電磁鋼板2の積層方向であり、回転軸Cの延伸方向である。以下、電磁鋼板2の積層方向を回転子鉄心1の積層方向と記載する場合がある。
図4は、実施の形態1にかかるかご形回転子から抜き出したダイカスト部の模式図である。図4に示すように、ダイカスト部17は、複数のアルミバー7と、各アルミバー7の一端に接続される第1エンドリング15と、各アルミバー7の他端に接続される第2エンドリング16とを備える。
固定子40に設けられた固定子巻線に電流が流れると、回転子鉄心1に誘導磁界が発生する。かかる誘導磁界によって、二次導体であるアルミバー7に誘導電流が流れる。図4に示すように、誘導電流は、隣接する2つのアルミバー7のうち一方のアルミバー7、第1エンドリング15、他方のアルミバー7、第2エンドリング16、および一方のアルミバー7の順にループ状に流れる。
固定子巻線には交流電流が印加されているため、固定子巻線に流れる電流の方向は時間の経過に伴って繰り返し反転する。固定子巻線に流れる電流に対応して誘導電流が流れる方向も時間の経過に伴って繰り返し反転する。
回転子鉄心1における縦方向の中心付近で回転子鉄心1とアルミバー7とが電気的に接触している場合、縦方向の中心付近に横電流が発生して、回転トルクが減少する場合がある。図5は、実施の形態1にかかる回転子鉄心における縦方向の中心付近で回転子鉄心とアルミバーとが電気的に接触している場合にダイカスト部に流れる誘導電流の一例を示す図である。
固定子巻線が形成する磁界が図5における上側と下側とで不均一に形成されていて電位差が発生すると、固定子巻線の電流の正負の切換え時に、上側と下側とで正負の反転タイミングがずれる。そのため、図5に示すように、回転子鉄心1の積層方向である縦方向の中心付近に横電流が発生して、上側と下側とで逆方向の短ループ電流が流れる。これらの短ループ電流が流れることによって、回転トルクが減少する場合がある。
そこで、実施の形態1では、回転子鉄心1をねじることで回転子鉄心1から二次導体であるアルミバー7を引きはがし、回転子鉄心1とアルミバー7との間の電気的抵抗を大きくすることにより、短ループ電流の発生を抑制する。短ループ電流は固定子巻線の電流の正負の切換え時に発生し、上下対称に発生しやすく、横電流は回転子鉄心1の積層方向の中心付近に発生しやすい。そのため、回転子鉄心1からのアルミバー7の引きはがしは、回転子鉄心1における縦方向の中心付近を重点的に行うことが望ましい。
そこで、実施の形態1では、横流損の影響が大きい回転子鉄心1の中央部を局所的にねじることによって、回転子鉄心1における縦方向の中心付近において、回転子鉄心1からのアルミバー7の引きはがしを重点的に行う。これにより、かご形回転子30を組み込んだ誘導電動機50の渦電流損および漂遊負荷損などを抑えることができ、誘導電動機50の特性改善を図ることができる。また、回転子鉄心1にねじりによる衝撃を加えるという簡単な手順で回転子鉄心1とアルミバー7との間に絶縁処理を施すことができる。
引きはがしの工程は、アルミダイカスト後にアルミバー7が固体となっている状態で、縦方向における回転子鉄心1の中央部を局所的にねじるねじり工程と、ねじり工程後に回転子鉄心1のねじれを戻すねじり戻し工程を含む。以下において、ねじり工程での処理とねじり戻し工程での処理を含めてねじり処理と記載する場合がある。
図6は、実施の形態1にかかるかご形回転子のねじり工程を説明するための模式図である。図7は、実施の形態1にかかるかご形回転子のねじり戻し工程を説明するための模式図である。図8は、実施の形態1にかかる回転子鉄心をねじる方法を説明するための模式図である。図9は、実施の形態1にかかる回転子鉄心のねじり工程後の状態を示す模式図である。
かご形回転子30のねじり工程は、図6に示すように、かご形回転子30のうち回転子鉄心1の一端部と他端部とを、スキュー5が回転軸Cに沿った位置になるように回転軸Cを中心に互いに逆方向に回転させることによって行われる。また、かご形回転子30のねじり戻し工程は、図7に示すように、かご形回転子30のうち回転子鉄心1の外周面の一端部と他端部とを、ねじり工程において回転させる方向とは逆方向に回転させることによって行われる。
図8に示すように、かご形回転子30のねじり工程およびねじり戻し工程は、回転子鉄心1の外周面の一端部1aと他端部1bとをチャックなどの把持部61,62で把持し、回転軸Cを中心として一方の把持部61と他方の把持部62とを互いに逆方向に回転することによって行われる。チャックなどの把持部61,62で回転子鉄心1を把持し、ねじるといった単純な工程で済むため、かご形回転子30を製造する製造ラインの小型化およびインライン化などを図ることができる。なお、一方の把持部61を固定し、回転軸Cを中心に他方の把持部62のみを回転してもよく、また、他方の把持部62を固定し、回転軸Cを中心に一方の把持部61のみを回転してもよい。
かご形回転子30のねじり工程は、図9に示すように、回転子鉄心1のうち横流損の影響が大きい縦方向の中央部1cを局所的に、かつスキュー5が回転軸Cに沿った位置になるまでねじることでアルミバー7と回転子鉄心1との積極的な剥離を促す。スキュー5が回転軸Cに沿った位置とは、例えば、スキュー角が90度になる位置であり、スキュー5が無くなる位置と言い換えることもできる。スキュー角とは、回転軸Cと垂直な方向に対するスキュー5の角度である。
ねじり工程中において、回転子鉄心1は回転軸Cの延伸方向に伸びるため、アルミバー7には縦方向において電磁鋼板2と離間する力が加わる。そのため、かご形回転子30のねじり工程において、回転子鉄心1を回転軸Cの延伸方向に引っ張りつつ回転子鉄心1をねじる。これにより、アルミバー7に過度な負荷が加わることを避けることができ、アルミバー7の損傷を防ぐことができる。
図10は、実施の形態1にかかるねじり工程におけるかご形回転子のスキューを含む領域の状態変化を示す模式図である。図10に示すように、ねじり工程によって、アルミバー7が回転方向に傾き、アルミバー7と電磁鋼板2との間に空隙が生じる。アルミバー7と電磁鋼板2との間の空隙により、アルミバー7と電磁鋼板2との間の接触抵抗が増大し、アルミバー7から回転子鉄心1へ流れる不要な電流を抑制することができる。ねじり工程において、スキュー5が回転軸Cに沿った位置を超えるまで回転子鉄心1をねじると、アルミバー7が損傷し、アルミバー7にクラックが発生する可能性があるため、留意が必要である。
かご形回転子30のねじり戻し工程中には、ねじり工程中とは逆に回転子鉄心1が回転軸Cの延伸方向に縮む動きをする。そのため、ねじり戻し工程では、回転子鉄心1を回転軸Cの延伸方向に圧縮しつつねじり工程とは逆方向に回転子鉄心1をねじる。これにより、ねじり工程前と同様のスキュー角への復帰を図ることができる。
図11は、実施の形態1にかかるかご形回転子の縦方向における中央部のアルミバーを含む領域のねじり工程による状態変化を示す図である。図11に示すように、かご形回転子30のねじり工程によって、アルミバー7と電磁鋼板2の間に隙間9が生じる。アルミバー7と電磁鋼板2の間に生じる隙間9は、例えば、0.1mmから0.2mmの範囲である。なお、図11においてハッチングは省略している。
図12は、実施の形態1にかかるシャフトを連結された状態のかご形回転子の側面図である。図12に示すシャフト11のかご形回転子30への連結は、ねじり処理を行う前またはねじり処理を行った後のいずれでもよいが、シャフト11を連結した後にねじり処理を行う場合には、シャフト11とかご形回転子30との連結強度の低下に留意することが望ましい。
図13は、実施の形態1にかかるかご形回転子を用いた誘導電動機の回転数とトルクとの関係を示す図である。図13において、横軸は、誘導電動機50の回転数を示し、縦軸は、誘導電動機50のトルクを示す。図13に示すように、ねじり処理が加えられていないかご形回転子を備える誘導電動機のトルクカーブ21よりも、ねじり処理が加えられたかご形回転子30を備える誘導電動機50のトルクカーブ20の方が大きなトルク上昇を確認することができる。
図14は、実施の形態1にかかるかご形回転子を用いた誘導電動機の回転数と効率との関係を示す図である。図14において、横軸は、誘導電動機50の回転数を示し、縦軸は、誘導電動機50の効率を示す。図14に示すように、ねじり処理が加えられていないかご形回転子を備える誘導電動機の効率カーブ23よりも、ねじり処理が加えられたかご形回転子30を備える誘導電動機50の効率カーブ22の方が効率の向上を確認することができる。
ここで、回転子鉄心1の縦方向における中央部1cを局所的にねじることの効果をより具体的に説明する。図15は、実施の形態1にかかるねじり処理を行う前のかご形回転子の側面を示す模式図である。図16は、図15に示すかご形回転子のうちダイカスト部を全体的にねじった状態を示す模式図である。ダイカスト部17は剛体であるため、ダイカスト部17のみであれば、図16に示すように、ねじりによってアルミバー7を直線状にして、スキュー5の部分が無い状態にすることができる。
図17は、実施の形態1にかかるアルミダイカスト前の状態の回転子鉄心の外周面の両端を把持部で把持して回転子鉄心をねじった状態を示す模式図である。回転子鉄心1は複数の電磁鋼板2が積層されて構成されており、回転子鉄心1をねじったときに特定の電磁鋼板2間で滑りが発生すると、静摩擦力より動摩擦力の方が低いので、図17に示すように、滑り出した電磁鋼板2間のみでまわって、他の位置では回らない場合がある。なお、図17では、説明の便宜上、1つのスキュー5のみ図示している。
図18は、実施の形態1にかかるかご形回転子を全体的にねじった状態を示す模式図である。かご形回転子30は、回転子鉄心1とアルミバー7とが一体となった構造であるため、アルミバー7のみに対するねじり処理による状態変化と回転子鉄心1のみに対するねじり処理による状態変化とが合成されたような状態変化になる。
すなわち、回転子鉄心1は、縦方向における把持部61,62の把持部分において電磁鋼板2間のすべりが大きく、中央部1cにおいて電磁鋼板2間の滑りが小さい。そのため、回転子鉄心1のねじり処理によって、かご形回転子30は、図18に示すような状態になる。図18に示す状態では、回転子鉄心1の中央部1cで電磁鋼板2間の滑りが少ないため、横流損の影響が大きい回転子鉄心1の中央部1cにおいてアルミバー7と回転子鉄心1との剥離が不十分になっている。
そこで、実施の形態1のねじり工程では、回転子鉄心1の外周面のうち横流損の影響が小さい一端部1aと他端部1bとを把持部61,62で把持し、横流損の影響が大きい回転子鉄心1の中央部1cを局所的にねじるようにしている。図19は、実施の形態1にかかるかご形回転子の一端部と他端部とを把持した状態を示す模式図であり、図20は、実施の形態1にかかるねじり工程が完了した状態のかご形回転子の側面を示す模式図である。
図19および図20に示すように、実施の形態1にかかるねじり工程では、回転子鉄心1の外周面の一端部1aと他端部1bとが把持部61,62によって把持される。回転子鉄心1のうちねじる対象である中央部1cの回転子鉄心1の積層方向における長さL2を、回転子鉄心1の積層方向における全長の30%から40%の範囲にすることが望ましい。そのため、回転子鉄心1の積層方向における一端部1aおよび他端部1bの長さL1は、例えば、回転子鉄心1の積層方向における全長の30%から35%の範囲とすることが望ましい。これにより、横流損の大きい位置での引きはがしを十分に行うことができる。
なお、回転子鉄心1のうちねじる対象である中央部1cの回転子鉄心1を局所的にねじることができればよく、一端部1aおよび他端部1bの長さL1は、回転子鉄心1の積層方向における全長の30%から35%の範囲に限定されない。また、ねじり工程では、スキュー5が回転軸Cに沿った位置になるようにかご形回転子30にねじりが加えられるが、スキュー5が回転軸Cに沿った位置になる状態には、図20に示す状態が含まれる。
以上のように、実施の形態1にかかる回転軸Cを中心に回転するかご形回転子30の製造方法は、アルミバー形成ステップと、ねじりステップと、ねじり戻しステップとを含む。アルミバー形成ステップは、回転子鉄心1に形成されたスロット6にアルミダイカストによってアルミニウムを充填させてアルミバー7を形成する。ねじりステップは、スロット6にアルミバー7が形成された回転子鉄心1を回転軸Cの延伸方向に引っ張りながら回転軸C回りにねじる。ねじり戻しステップは回転子鉄心1を回転軸Cの延伸方向に圧縮しながらねじりステップとは逆方向にねじる。ねじりステップは、回転軸Cの延伸方向における回転子鉄心1の外周面の一端部1aと他端部1bとを把持して回転軸Cの延伸方向における回転子鉄心1の中央部1cを局所的にねじる。このように、回転子鉄心1の中央部1cを局所的にねじることによって、横流損の影響が大きい回転子鉄心1の中央部1cを精度よくねじることができ、渦電流損および漂遊負荷損などを抑えることで、誘導電動機50の効率の向上を図ることができる。また、回転子鉄心1にねじりによる衝撃を加えるという簡単な手順で回転子鉄心1とアルミバー7との間に絶縁処理を施すことができる。
また、回転軸Cの延伸方向における中央部1cの長さは、回転軸Cの延伸方向における回転子鉄心1の全長の30%から40%の範囲である。これにより、横流損の影響が大きい領域で回転子鉄心1とアルミバー7との間の絶縁を図ることができ、誘導電動機50の効率の向上を適切に図ることができる。
また、ねじりステップは、回転子鉄心1をねじることによって回転子鉄心1とアルミバー7との間に隙間9を形成する。これにより、回転子鉄心1の中央部1cにおいて、アルミバー7と電磁鋼板2との間の接触抵抗が増大し、アルミバー7から回転子鉄心1へ流れる不要な電流を抑制することができる。
また、隙間9は、0.1mmから0.2mmの範囲である。これにより、回転子鉄心1の中央部1cにおいて、アルミバー7から回転子鉄心1へ流れる不要な電流を精度よく抑制することができる。
また、回転子鉄心1には、スキュー5が形成されており、ねじりステップは、スキュー5が回転軸Cに沿った位置になるまで回転子鉄心1をねじる。これにより、回転子鉄心1の中央部1cにおいて、横流損の大きい位置での引きはがしを十分に行うことができる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1 回転子鉄心、1a 一端部、1b 他端部、1c 中央部、2 電磁鋼板、3 ティース、5 スキュー、6 スロット、7 アルミバー、8 貫通孔、9 隙間、11 シャフト、15 第1エンドリング、16 第2エンドリング、17 ダイカスト部、20,21 トルクカーブ、22,23 効率カーブ、30 かご形回転子、40 固定子、50 誘導電動機、61,62 把持部、C 回転軸。
Claims (5)
- 回転軸を中心に回転するかご形回転子の製造方法であって、
回転子鉄心に形成されたスロットにアルミダイカストによってアルミニウムを充填させてアルミバーを形成する第1ステップと、
前記スロットに前記アルミバーが形成された前記回転子鉄心を前記回転軸の延伸方向に引っ張りながら前記回転軸回りにねじる第2ステップと、
前記回転子鉄心を前記回転軸の延伸方向に圧縮しながら前記第2ステップとは逆方向にねじる第3ステップと、を含み、
前記第2ステップは、
前記回転軸の延伸方向における前記回転子鉄心の外周面の一端部と他端部とを把持して前記回転軸の延伸方向における前記回転子鉄心の中央部を局所的にねじる
ことを特徴とするかご形回転子の製造方法。 - 前記回転軸の延伸方向における前記中央部の長さは、
前記回転軸の延伸方向における前記回転子鉄心の全長の30%から40%の範囲である
ことを特徴とする請求項1に記載のかご形回転子の製造方法。 - 前記第2ステップは、
前記回転子鉄心をねじることによって前記回転子鉄心と前記アルミバーとの間に隙間を形成する
ことを特徴とする請求項1または2に記載のかご形回転子の製造方法。 - 前記隙間は、0.1mmから0.2mmの範囲である
ことを特徴とする請求項3に記載のかご形回転子の製造方法。 - 前記回転子鉄心には、スキューが形成されており、
前記第2ステップは、
前記スキューが前記回転軸に沿った位置になるまで前記回転子鉄心をねじる
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載のかご形回転子の製造方法。
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