JP5440423B2 - 回転電機 - Google Patents
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Description
上記の構成では、個々のティース120が分離していると、ヨーク110に対し全ティース120を一個ずつ所定の位置にセットするための治具が必要であり、且つ、ヨーク110の凹部111にティース120の凸部121を嵌合する時の寸法管理等が大変である。このため、図11に示すように、全ティース120の反ヨーク側、即ち、半径方向の内周端を連結部130によって環状に連結する必要がある。
本発明は、円環状のヨークと、このヨークの周方向に一定の間隔を有して配置され、ヨークの内周より中心方向に突き出る所定数のティースとを有し、周方向に隣合うティース同士の間にスロットを形成した固定子鉄心を備える回転電機において、所定数のティースは、ヨークと分割して設けられ、且つ、周方向に隣合うティース同士がそれぞれ連結バーにより環状に連結されて環状ティース群を形成し、この環状ティース群をヨークの内周に組み込んで固定子鉄心が組み立てられ、連結バーは、ヨークの内周より中心方向に突き出るティースの長さ方向に対し、スロットを半径方向に分割する位置に設けられ、スロットは、連結バーより半径方向のヨーク側に形成される第1のスロット空間と、連結バーより半径方向の反ヨーク側に形成される第2のスロット空間とに分割されていることを特徴とする。
請求項1に記載した回転電機において、連結バーは、ティースの長さ方向に対し、ヨークの軸心方向に開口する第1のスロット空間の開口面積と第2のスロット空間の開口面積とが同一となる位置に設けられていることを特徴とする。
この場合、例えば、同じ断面積のコイル線を同じ数だけ第1のスロット空間と第2のスロット空間とに挿入し、同じ大きさの電流を同じ方向に流すことで、同じ周回方向の磁界H1とH2とが発生する。この磁界H1とH2は、互いに打ち消し合う方向に作用するため、連結バーに合成磁束が流れることはない。その結果、連結バーが磁気飽和することはなく、スロットリップルが発生することはない。
請求項1または2に記載した回転電機において、ヨークと環状ティース群は、ヨークの内周に形成された所定数の凹部と、個々のティースのヨーク側に形成された凸部とを嵌合して組み付けられることを特徴とする。
本発明の環状ティース群は、周方向に隣合うティース同士の間隔が一定となる様に、所定数のティースがそれぞれ連結バーによって環状に連結されている。これに対し、ヨークは、その内周に所定数(全ティースと同数)の凹部を周方向に一定の間隔を有して形成することで、ヨークの内周に形成された凹部と、個々のティースのヨーク側に形成された凸部とを嵌合する際に、位置決め用の治具等を用いる必要はなく、ヨークと環状ティース群とを容易に組み付けることができる。
請求項1または2に記載した回転電機において、ヨークと環状ティース群は、ヨークの内周に個々のティースの外周を圧入して組み付けられることを特徴とする。
この請求項4に係る発明では、環状ティース群を構成する個々のティースの外周をヨークの内周に軸心方向より圧入するだけでヨークと環状ティース群とを容易に組み付けることができる。
請求項1〜4に記載した何れか一つの回転電機において、ヨークの内周から中心方向に突き出るティースの長さ方向全体でスロットの周方向の開口幅が同一となるように、ティースの周方向幅が長さ方向のヨーク側から反ヨーク側へ向かって次第に小さく形成されていることを特徴とする。
この請求項5に係る発明では、スロットの周方向の開口幅がティースの長さ方向全体で同一に形成されている。つまり、スロットを形成する周方向の両側面(ティースの周方向側面)が平行に形成されている。この構成によれば、例えば、第1のスロット空間および第2のスロット空間に挿入されるコイル線に矩形断面の平角線を用いることができるので、高密度に巻線することが容易であり、且つ、丸線等と比較して占積率を向上できることは言うまでもない。
請求項1〜4に記載した何れか一つの回転電機において、ヨークの内周から中心方向に突き出るティースの長さ方向全体でティースの周方向幅が同一に形成されていることを特徴とする。
この請求項6に係る発明では、ティースの周方向幅を同一に形成することで、ティースの磁路断面積を一様にできるため、ティースの磁気飽和を抑制できる。
また、周方向に隣合うティース同士の間に形成されるスロットは、ティースのヨーク側から反ヨーク側(ティースの先端側)に向かって周方向の開口幅が次第に小さく形成される。これに対し、例えば、台形状の断面形状を有するコイル線をスロット(第1、第2のスロット空間)に挿入することで、占積率を落とすことなく、低騒音と高出力密度の回転電機を高次元で両立することが可能である。
請求項1〜6に記載した何れか一つの回転電機において、複数本のコイル線がスロットの半径方向に一列に収容され、そのコイル線は、スロット幅方向の断面の最大寸法をa、スロット半径方向の断面の最大寸法をbとすると、a≧bの関係が成り立ち、連結バーの半径方向の寸法は、コイル線の最大寸法bより小さいことを特徴とする。
本発明の連結バーは、一つのスロットを第1のスロット空間と第2のスロット空間とに分割する位置に設けられ、その半径方向の寸法が、コイル線のスロット半径方向の断面の最大寸法bより小さく形成されている。その結果、連結バーを設けたことによるスロット面積の減少を最小限に抑えることができ、電気装荷の極大化を図ることが可能である。
請求項1〜7に記載した何れか一つの回転電機において、環状ティース群は、複数枚の鋼板を積層して構成され、且つ、連結バーの半径方向の寸法が1枚の鋼板の板厚より大きいことを特徴とする。
連結バーの半径方向の寸法が鋼板の板厚より小さいと、その連結バーによって環状に連結された環状ティース群を圧延鋼板等の薄板から金型プレスで打ち抜いた時に、連結バーが歪む、捩じれる、あるいは、切断される等の不具合を生じる恐れがある。これに対し、連結バーの半径方向の寸法を鋼板の板厚より大きく設定することで、金型プレスによる打ち抜きが可能となるため、量産性が向上する。
請求項1〜8に記載した何れか一つの回転電機において、第1のスロット空間と第2のスロット空間には、それぞれ、同一アンペアターンの磁界を同じ周回方向に発生させるコイル線が挿入されていることを特徴とする。
上記の構成によれば、第1のスロット空間に挿入されるコイル線に電流を流すことで発生する磁界と、第2のスロット空間に挿入されるコイル線に電流を流すことで発生する磁界とが同一起磁力(アンペアターン)を有し、且つ、同じ周回方向に発生する。これにより、連結バーでは、互いの磁界が打ち消し合う方向に作用するので、連結バーに合成磁束が流れることはなく、磁気飽和することはない。その結果、トルクリップルの抑制効果を最大限に発揮できると共に、第1のスロット空間に挿入されるコイル線と第2のスロット空間に挿入されるコイル線とで構成する二組の電気回路を直列にも並列にも接続できるので、電流制御が容易に実現できる。
この実施例1では、8極24スロットの3相全節分布巻きモータの一例を示すが、極数、スロット数、巻線方式等は任意である。
図1は、例えば、誘導電動機や同期電動機等に使用可能な電機子鉄心1を示すもので、円環状のヨーク2と、このヨーク2の内周より中心方向へ突き出る所定数(実施例1では24個)のティース3とで構成され、この所定数のティース3がヨーク2の周方向に一定の間隔を有して配置され、周方向に隣合うティース3同士の間にそれぞれ巻線用のスロット4が形成されている。
電機子鉄心1の内周空間には、電機子鉄心1の中心と同軸に回転子(図示せず)が配置され、図示しないモータハウジングに軸受を介して回転自在に支持されている。この回転子は、例えば、誘導電動機に使用されるかご形回転子、同期電動機に使用される永久磁石形回転子、あるいは、リラクタンスモータに使用される突極形回転子等である。
電機子鉄心1は、図2に示す様に、ヨーク2と全ティース3とが分割して形成されている。ヨーク2は、同図(a)に示す様に、リング形状に設けられ、その内周に全ティース3と同数(24個)の凹部2aを有し、この凹部2aがヨーク2の周方向に一定の間隔を有して形成されている。なお、凹部2aは、ヨーク2の周方向に開口する開口幅が、ヨーク2の内周から外周側へ向かって次第に大きくなる台形状に形成されている。
このヨーク2は、例えば、電磁鋼板を金型プレスで図2に示すリング状に打ち抜いた後、その打ち抜いたリング体を板厚方向に複数枚積層して構成される。
また、ティース3のヨーク側(反先端側)には、図2(b)に示す様に、凸部3aが形成されている。この凸部3aは、ヨーク2に形成された凹部2aの内周形状に合致する外周形状を有している。なお、「凹部2aの内周形状に合致する外周形状」とは、凹部2aの内周に凸部3aの外周が略隙間なく嵌合できる凸部3aの形状、つまり、台形状であるとを言う。
なお、コイル線5は、図3または図4に示す様に、スロット4の半径方向(図示上下方向)に一列に収容され、且つ、第1のスロット空間4aに収容されるコイル線5の本数と、第2のスロット空間4bに収容されるコイル線5の本数とが同数(図3または図4では2本ずつ)である。つまり、第1のスロット空間4aに収容される全コイル線5の総断面積と、第2のスロット空間4bに収容される全コイル線5の総断面積とが等しくなっている。
図5は、第1、第2のスロット空間4a、4bに収容されるコイル線5(なお、図5はコイル線5を省略している)を流れる電流Ia、Ibの向きと、その電流Ia、Ibがコイル線5を流れることにより発生する磁界H1、H2の極性とを示している。なお、コイル線5を流れる電流Ia、Ibの向きは、図中の記号に示される様に、紙面の奥から手前に向かって垂直に流れている。また、第1、第2のスロット空間4a、4bに収容される両コイル線5の導体断面積は等しく、流れる電流Ia、Ibの大きさも同じであることは既述の通りである。
第1、第2のスロット空間4a、4bのコイル線5に電流Ia、Ibが流れると、図中に矢印で示す極性を有し、且つ、同一アンペアターンの磁界H1、H2が発生する。これにより、スロット4を半径方向に二分割している連結バー6に磁束が流れるが、その連結バー6では、互いの磁界H1、H2が打ち消し合う方向に作用するため、磁気飽和が起きない。
第1、第2のスロット空間4a、4bには、図3および図4に示す様に、任意の断面形状を有するコイル線5を収容することが可能である。例えば、図3(a)に示す矩形(平角線)、同図(b)に示す楕円形、図4(a)に示す正方形、同図(b)に示す円形(丸線)等が考えられる。このコイル線5は、スロット幅方向(図示左右方向)のコイル断面の最大寸法をa、スロット半径方向(図示上下方向)のコイル断面の最大寸法をbとすると、a≧bの関係が成り立つ。
一方、連結バー6の半径方向の寸法をdとすると、スロット半径方向のコイル断面の最大寸法bより連結バー6の半径方向の寸法dの方が小さく設定されている。但し、連結バー6の半径方向の寸法dは、電磁鋼板の板厚以上であることが望ましい。
実施例1に記載したモータは、電機子鉄心1のヨーク2と全ティース3とが分割して設けられ、その全ティース3は、連結バー6によって環状に連結されて環状ティース群30として一体化されている。ここで、連結バー6は、スロット4を半径方向に二分割する位置に設けられ、且つ、第1のスロット空間4aの開口面積と第2のスロット空間4bの開口面積とが同一に形成されている。この構成によれば、第1、第2のスロット空間4a、4bにそれぞれ同一断面積のコイル線5を収容し、且つ、同じ大きさの電流を同一方向に流した場合、図5を参照して説明した様に、連結バー6では、同一アンペアターンの磁界H1とH2とが打ち消し合う方向に作用する。その結果、磁界H1、H2の合成磁束が連結バー6に流れることはなく、連結バー6に磁気飽和が起きないので、回転子の回転時にトルクリップルやコギングトルクの発生を抑制できる。
この構成によれば、第1、第2のスロット空間4a、4bに挿入されるコイル線5に、例えば、図3(a)に示した矩形断面の平角線を用いることができるので、高密度に巻線することが容易であり、且つ、丸線等と比較して占積率を向上できることは言うまでもない。
この実施例2は、図7に示す様に、ヨーク2の内周から中心方向に突き出るティース3の長さ方向全体でティース3の周方向幅を同一に形成した一例を示す。
この場合、ティース3の周方向幅を同一に形成することで、ティース3の磁路断面積を一様にできるため、ティース3の磁気飽和を抑制できる。また、ティース3の周方向幅をティース3の長さ方向全体で同一に形成することで、周方向に隣合うティース3同士の間に形成されるスロット4は、ティース3のヨーク側から反ヨーク側(ティース3の先端側)に向かって周方向の開口幅が次第に小さく形成される。これに対し、例えば、図8に示す様に、台形状の断面形状を有するコイル線5を第1、第2のスロット空間4a、4bに挿入することで、占積率を落とすことなく、低騒音と高出力密度のモータを高次元で両立することが可能である。
この実施例3は、ヨーク2の内周に形成される凹部2aと、ティース3のヨーク側(反先端側)に形成される凸部3aの形状に関する他の一例を示す。
実施例1に記載したヨーク2の凹部2aは、ヨーク2の周方向に開口する開口幅が、ヨーク2の内周から外周側へ向かって次第に大きくなる台形状に形成されており、ティース3の凸部3aは、ヨーク2に形成された凹部2aの内周形状に合致する外周形状を有している。しかし、個々のティース3は、連結バー6により連結されて環状ティース群30として一体的に構成されているので、実施例1に記載した凹部2aと凸部3aの形状でなくても、個々のティース3がヨーク2の内周から中心方向へ抜けることはない。
このため、ヨーク2の凹部2aとティース3の凸部3aは、実施例1に記載した形状に限定する必要はなく、例えば、図9に示す様に、矩形状に形成することもできる。
この実施例4は、ヨーク2の内周に環状ティース群30を圧入して結合する一例である。上記の実施例3に記載した様に、個々のティース3は、連結バー6により連結されて環状ティース群30として一体的に構成されているので、ヨーク2と環状ティース群30とを結合する手段として、ヨーク2の凹部2aとティース3の凸部3aとの嵌合による結合以外の方法も考えられる。
その一例として、図10に示す様に、円形に打ち抜かれたヨーク2の内周に、凸部を有していない全ティース3の外周を軸心方向より圧入して組み付けることが出来る。
実施例1では、本発明の回転電機を交流モータに適用した一例を記載したが、発電機に適用することも可能である。
2 ヨーク
2a ヨークの内周に形成された凹部
3 ティース
3a ティースのヨーク側に形成された凸部
4 スロット
4a 第1のスロット空間
4b 第2のスロット空間
5 コイル線
6 連結バー
30 環状ティース群
Claims (9)
- 円環状のヨークと、
このヨークの周方向に一定の間隔を有して配置され、前記ヨークの内周より中心方向に突き出る所定数のティースとを有し、
周方向に隣合う前記ティース同士の間にスロットを形成した固定子鉄心を備える回転電機において、
所定数の前記ティースは、前記ヨークと分割して設けられ、且つ、周方向に隣合う前記ティース同士がそれぞれ連結バーにより環状に連結されて環状ティース群を形成し、この環状ティース群を前記ヨークの内周に組み込んで前記固定子鉄心が組み立てられ、
前記連結バーは、前記ヨークの内周より中心方向に突き出る前記ティースの長さ方向に対し、前記スロットを半径方向に分割する位置に設けられ、
前記スロットは、前記連結バーより半径方向のヨーク側に形成される第1のスロット空間と、前記連結バーより半径方向の反ヨーク側に形成される第2のスロット空間とに分割されていることを特徴とする回転電機。 - 請求項1に記載した回転電機において、
前記連結バーは、前記ティースの長さ方向に対し、前記ヨークの軸心方向に開口する前記第1のスロット空間の開口面積と前記第2のスロット空間の開口面積とが同一となる位置に設けられていることを特徴とする回転電機。 - 請求項1または2に記載した回転電機において、
前記ヨークと前記環状ティース群は、前記ヨークの内周に形成された所定数の凹部と、個々の前記ティースのヨーク側に形成された凸部とを嵌合して組み付けられることを特徴とする回転電機。 - 請求項1または2に記載した回転電機において、
前記ヨークと前記環状ティース群は、前記ヨークの内周に個々の前記ティースの外周を圧入して組み付けられることを特徴とする回転電機。 - 請求項1〜4に記載した何れか一つの回転電機において、
前記ヨークの内周から中心方向に突き出る前記ティースの長さ方向全体で前記スロットの周方向の開口幅が同一となるように、前記ティースの周方向幅が長さ方向のヨーク側から反ヨーク側へ向かって次第に小さく形成されていることを特徴とする回転電機。 - 請求項1〜4に記載した何れか一つの回転電機において、
前記ヨークの内周から中心方向に突き出る前記ティースの長さ方向全体で前記ティースの周方向幅が同一に形成されていることを特徴とする回転電機。 - 請求項1〜6に記載した何れか一つの回転電機において、
複数本のコイル線が前記スロットの半径方向に一列に収容され、
前記コイル線は、スロット幅方向の断面の最大寸法をa、スロット半径方向の断面の最大寸法をbとすると、a≧bの関係が成り立ち、
前記連結バーの半径方向の寸法は、前記コイル線の最大寸法bより小さいことを特徴とする回転電機。 - 請求項1〜7に記載した何れか一つの回転電機において、
前記環状ティース群は、複数枚の鋼板を積層して構成され、且つ、連結バーの半径方向の寸法が1枚の前記鋼板の板厚より大きいことを特徴とする回転電機。 - 請求項1〜8に記載した何れか一つの回転電機において、
前記第1のスロット空間と前記第2のスロット空間には、それぞれ、同一アンペアターンの磁界を同じ周回方向に発生させるコイル線が挿入されていることを特徴とする回転電機。
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