JP2013219904A - ステータの製造方法及びステータ - Google Patents

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洸 原
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能成 浅野
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【課題】焼嵌め時に発生する圧縮応力を活用して回転電機の性能を向上させることが可能なステータの製造方法及びステータを提供する。
【解決手段】筒状のフレームF内に焼嵌めにより固定されたステータ10の製造方法であって、フレームFと、所定の板厚に圧延された電磁鋼板Mとを準備するA工程と、電磁鋼板Mから所定形状のコアシートS1を形成するB1ステップと、電磁鋼板Mの圧延方向を一致させてコアシートS1を複数積層してステータコア11を形成するB2ステップとを有し、当該ステータコア11を備えたステータ10を形成するB工程と、ステータ10をフレームF内に焼嵌めにより固定するC工程と、を備え、焼嵌め前におけるフレームFの内周を円形とし、焼嵌め前におけるステータコア11の外周を電磁鋼板Mの圧延方向を短軸とする楕円形とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、ラジアルギャップ型回転電機に用いられるステータの製造方法及び当該製造方法により製造されたステータに関するものである。
ラジアルギャップ型回転電機は、回転軸を中心として回転可能に配設されたロータと、このロータの径方向にギャップを隔てて配設されたステータとを備える回転電機である。ステータは、円筒状のヨークの内周から径方向に突出する複数のティースを有し、周方向に隣り合うティースの間にスロットが設けられたステータコアを備えている。
ラジアルギャップ型回転電機を、空気調和機に使用される冷媒用ロータリ圧縮機等に用いる場合、当該回転電機は円筒状のフレームの内側に形成された中空部に配置される。その際、ステータはフレームの内周面に固定されるが、その主な固定方法として「焼嵌め」が挙げられる。ところが、当該固定方法によれば、この「焼嵌め」に起因して発生する圧縮応力によってステータコアにおける鉄損が増加し、回転電機の効率が低下してしまうことが知られている。
そこで、焼嵌め時に発生する圧縮応力がステータコアの磁気特性に与える影響を低減するための技術が下記特許文献1に開示されている。特許文献1に記載された手法よれば、ステータコアの外周の所定位置に凹部を設けることで、主要な磁路となるヨーク内周のスロットとの対向部近傍に残留する応力を低減することができる。このため、当該残留応力に起因する磁気抵抗の増加が効果的に抑制され、ステータコアにおける鉄損を低減できるという利点がある。
しかしながら、上述のようにステータコアの外周の所定位置に凹部が設けられている場合、この凹部とフレームの内周面は非接触となる。その結果、ステータコアの外周に対して外力がかかる位置(即ち、フレームの内周面と接触する部分)が周方向に分散されることとなり、磁気回路にアンバランスが生じるおそれがある。磁気回路のアンバランスは振動を引き起こす要因となるため、回転電機の性能上好ましくない。
特開2007−252088号公報
本発明は、かかる事情に鑑みて為されたものであり、焼嵌め時に発生する圧縮応力を活用して回転電機の性能を向上させることが可能なステータの製造方法及びステータを提供することを目的としている。
本発明は、筒状のフレーム内に焼嵌めにより固定されたステータの製造方法であって、前記フレームと、所定の板厚に圧延された電磁鋼板とを準備するA工程と、前記電磁鋼板から所定形状のコアシートを形成するステップと、前記電磁鋼板の圧延方向を一致させて該コアシートを複数積層してステータコアを形成するステップとを有し、該ステータコアを備えたステータを形成するB工程と、前記ステータを前記フレーム内に焼嵌めにより固定するC工程と、を備え、前記焼嵌め前における前記フレームの内周が円形であり、前記焼嵌め前における前記ステータコアの外周が前記電磁鋼板の圧延方向を短軸とする楕円形であることを特徴とする。
また、本発明に係るステータの製造方法は、上記A〜C工程を備え、前記焼嵌め前における前記ステータコアの外周が円形であり、前記焼嵌め前における前記フレームの内周が前記電磁鋼板の圧延方向に対して垂直方向を短軸とする楕円形であることを特徴とする。
さらに、本発明に係るステータの製造方法は、上記A〜C工程を備え、前記焼嵌め前における前記ステータコアの外周及び内周が前記電磁鋼板の圧延方向を短軸とする楕円形であり、前記焼嵌め後における前記ステータコアの内周が円形であることを特徴とする。
本発明において、前記電磁鋼板の板厚が、0.35mm以下である。
また、本発明に係るステータは、上述の各工程により製造されたことを特徴とする。
本発明に係るステータの製造方法によれば、焼嵌め前におけるフレームの内周を円形とし、焼嵌め前におけるステータコアの外周を電磁鋼板の圧延方向(即ち、L方向)を短軸とする楕円形としたことにより、焼嵌めを行う限り必然的に発生する「圧縮応力」を逆に活用して、ステータコアの透磁率を全体的に均一化させることができる。これにより、ステータにおける磁気回路にアンバランスが生じるのを低減(防止)することが可能となり、振動の発生等を効果的に抑制することができる。
本発明において、焼嵌め前におけるステータコアの外周を円形とし、焼嵌め前におけるフレームの内周を電磁鋼板の圧延方向に対して垂直方向(C方向)を短軸とする楕円形とした場合、あるいは、焼嵌め前におけるステータコアの外周及び内周を電磁鋼板の圧延方向を短軸とする楕円形とし、焼嵌め後におけるステータコアの内周が円形となる場合にも、上述と同様の効果を得ることができる。
また、本発明に係るステータによれば、ステータコアの外周を構成する楕円形の扁平率を調整することにより、ステータコアにおいて圧縮応力を発生させる位置(範囲)及びその大きさを制御することができる。このため、圧縮応力に起因する透磁率の低下を必要最小限に抑制するために最適なステータコアの形状・材質等を、予め設計・選択することが可能である。したがって、本発明に係る製造方法によって製造されたステータを用いれば、回転電機の性能を向上させることが可能となる。
第一実施形態に係るステータを備えた回転電機を示す平面断面図である。 ステータコアのL方向及びC方向における圧縮応力と透磁率の関係を示す図である。 第二実施形態に係るステータを備えた回転電機を示す平面断面図である。 焼嵌め前における第三実施形態に係るステータコアとフレームを示す平面断面図である。 第三実施形態に係るステータを備えた回転電機を示す平面断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、各図面において各構成を示す符号及び引出線を明瞭に表示するために、各構成の断面を示す部分のハッチングを適宜省略している。また、各図面は、本発明の要旨をより明確化するために、誇張して表示している。
第一実施形態として、ステータ10(図1参照)の製造方法を例示して説明する。図1に示すように、回転電機100は、回転軸1の軸心Oを中心として回転可能に配設されたロータ2と、このロータ2の径方向にギャップを隔てて配設されたステータ10と、を備える。ステータ10は、筒状のヨーク111の内周から径方向に突出する複数(本実施形態では、6個)のティース112を有し、周方向に隣り合うティース112の間にスロット113が設けられたステータコア11を備える。このステータコア11を構成するヨーク111の外周が、筒状のフレームFの内周面に焼嵌めにより固定されている。本実施形態に係るステータ10の製造方法は、以下に示すA工程、B工程、及びC工程を備えている。
A工程は、フレームF及び電磁鋼板Mを準備する工程である。フレームFは、炭素鋼等の合金から成る円筒形部材である。フレームFの内径寸法は、ステータコア11の大きさ(具体的には、ヨーク111の最大外径寸法)に応じて適宜設計される。フレームFは、全体的に均一な厚みであることが望ましい。焼嵌め時におけるフレームFの内径及び外径寸法の伸縮制御が容易であるとともに、フレームFの周方向において熱膨張率及び熱収縮率にばらつきが生じ難くなるからである。フレームFの厚みについては、特に限定されない。フレームFは、例えば、基材(炭素鋼板等)に対して曲げ加工や絞り加工等の塑性加工を行うことにより形成することができる。
電磁鋼板Mは、強磁性体(例えば、鉄、コバルト等)にケイ素やシリコーン等を含有させた軟磁性体から成る帯状の板材である。電磁鋼板Mは、全体的に略一様な板厚となるように一定方向(長手方向)に圧延されており、一定幅のロール状に形成されている。本実施形態では、電磁鋼板Mとして、表面に絶縁処理が施された板厚0.35mm以下の無方向性電磁鋼板を採用している。なお、無方向性電磁鋼板であっても磁気異方性を有することが知られている。本実施形態の電磁鋼板Mは、圧延方向(L方向)に磁化容易軸を有し、圧延方向における透磁率μ1が、当該圧延方向に対して垂直方向(C方向)における透磁率μ2よりも高い(即ち、μ1>μ2)。
B工程は、上述のステータコア11を備えたステータ10を形成する工程である。初めに、ステータコア11を形成する工程について説明する。ステータコア11は、以下のステップB1及びステップB2に示す各工程を経て形成される。
ステップB1では、A工程で準備された電磁鋼板Mから所定形状のコアシートS1を多数枚形成する。コアシートS1は、図1に示すステータコア11の径方向断面形状と同一形状(具体的には、環状のヨーク部111Sの内周から径方向に突出する複数のティース部112Sを有し、各ティース部112Sが周方向に等ピッチで配置された一体的形状)に形成される。本実施形態では、コアシートS1の外周(詳細には、ヨーク部111Sの外周)が、電磁鋼板Mの圧延方向(L方向)を短軸とする楕円形に形成される。一方、ヨーク部111Sの内周(詳細には、ティース部112Sが配置されていない部分)及びコアシートSの内周(詳細には、各ティース部112Sの先端部)は、それぞれ径寸法が異なる同心円周上の一部を成す円弧状に形成される。
ステップB1において、各コアシートS1は、当該コアシートS1の周縁形状に対応する一又は複数の金型により打抜き形成される。例えば、長手方向に一定長さだけ送り出されて間欠的に順次搬送される電磁鋼板Mに対して、所定位置に配設された一又は複数の金型で当該電磁鋼板Mを打ち抜くことにより、上述した形状のコアシートS1が形成される。本実施形態において、コアシートS1を打抜き形成する各金型は、電磁鋼板Mの搬送方向(本実施形態では、L方向)に対して、当該電磁鋼板Mの面方向における相対的な位置関係が固定される。これにより、ヨーク部111S及び各ティース部112Sに対する磁化容易軸の方向を、全てのコアシートS1において同一とすることが可能となる。
ステップB2では、ステップB1において形成された複数のコアシートS1を、当該コアシートS1の板厚方向に積層する。具体的には、各コアシートS1のヨーク部111S及びティース部112Sをそれぞれ板厚方向に積層することにより、ステータコア11を構成するヨーク111及びティース112が形成される。本実施形態において、各コアシートS1は、電磁鋼板Mの圧延方向を一致させて積層される。したがって、ステータコア11全体としての磁化容易軸は、各コアシートS1におけるL方向に一致する。
ステップB2において、上述のように積層された各コアシートS1は、周知の固定手段により一体的に固定される。当該固定手段として、例えば、カシメ、溶接、樹脂モールド、及びワニス含浸などが挙げられる。こうして、複数のコアシートS1の積層体から成るステータコア11が形成される。なお、ステータ10が後述する集中巻型である場合、絶縁部材(例えば、絶縁フィルム、インシュレータ等)を介して各ティース112に巻回された巻線(図示省略)の締結力により、各コアシートS1を一体的に固定してもよい。
続いて、上述した各ステップB1,B2により形成されたステータコア11の各スロット113に不図示の巻線を配設する。なお、本実施形態において、各スロット113に配設される巻線が、集中巻又は分布巻のいずれであるかは不問である。例えば、上述の回転電機100が三相交流電動機であると仮定すると、集中巻の場合は、上述のとおり一のティース112に対して一の相の巻線が巻回される。対して、分布巻の場合は、巻線を環状に束ねた空芯コイルを複数形成し、対応する相が異なる複数の空芯コイルが、一のスロット113内に径方向に重ねられて配設されることとなる。こうして、ステータ10が形成される。
C工程は、ステータ10をフレームF内に焼嵌めにより固定する工程である。具体的には、以下のステップC1及びステップC2に示す各工程を含む。初めに、フレームFを加熱膨張させ、フレームFを拡径させる(ステップC1)。このとき、フレームFの内径は、少なくともヨーク111の最大外径寸法よりも大きい寸法まで拡径される。また、フレームFは、加熱膨張後の形状が加熱前における円筒形と相似形となるように加熱される。ステータコア11の外周に対する圧縮荷重を均一にするためである。拡径後のフレームFの内周(及び外周)は円形(望ましくは真円)となる。フレームFの加熱条件(例えば、加熱温度、加熱時間など)は、フレームFを構成する材料の物性(例えば、線膨張係数、熱伝導率など)に応じて適宜調整される。
続いて、拡径されたフレームFの内周側に形成された中空部の所望位置までステータ10を嵌め込み、フレームFを冷却する(ステップC2)。フレームFを冷却することで、加熱により拡径された当該フレームFの径が収縮する。このとき、フレームFの内周面がステータコア11の外周面と接触し、当該接触面に対して径方向にフレームFから圧縮荷重が加えられる。ステータコア11は、この圧縮荷重によりフレームFの内周面に固定される。
本実施形態に係るステータ10の製造方法における主な特徴は、焼嵌め前におけるフレームFの内周を円形とし、焼嵌め前におけるステータコア11の外周を電磁鋼板Mの圧延方向(即ち、L方向)を短軸とする楕円形とした点にある。かかる特徴点による作用及びその効果について、以下に詳細に説明する。
ステータコア11の外周が楕円形である場合、上記C工程において加熱により拡径されたフレームFの径が収縮すると(ステップC2参照)、長軸の両端部近傍はフレームFの内周面との接触面となる。これに対し、短軸の両端部近傍がフレームFの内周面と接触するか否かは、ステータコア11の外周の扁平率によって決まる。例えば、前記扁平率が比較的高い(即ち、長径と短径の差が大きい)場合には、図1に示すように、短軸の両端部近傍はフレームFの内周面に対して非接触となる。
また、前記扁平率が低くなる(即ち、真円に近づく)につれて、ステータコア11の外周面とフレームFの内周面との接触面積は次第に増加し、場合によっては短軸の両端部近傍もフレームFの内周面と接触する可能性がある。但し、たとえ短軸の両端部近傍がフレームFの内周面と接触したとしても、ステータコア11の外周形状が楕円形である限り、短軸と長軸それぞれの両端部近傍におけるフレームFからの前記圧縮荷重については、その大きさに差が生じることになる。
ところで、上述のように、ステータ10を焼嵌めでフレームF内に固定した場合、ステータコア11の外周に対して径方向にフレームFからの圧縮荷重が加えられるため、ステータコア11には当該圧縮荷重に応じた圧縮応力が発生する。この圧縮応力が残留することによって透磁率が低下(又は、磁気抵抗が増加)し、ステータ10の鉄損増加につながる直接的な要因となる。また、本実施形態のように、ステータコア11が無方向性電磁鋼板から成る場合であっても、磁気異方性が僅かに存在することが知られている。
ステータコア11における圧縮応力と透磁率の関係を図2に示す。上述のとおり、無方向性電磁鋼板の磁化容易軸はその圧延方向(L方向)にあるため、図2に示すように、圧縮応力の大きさが同じ場合であっても、L方向の透磁率μ1の方がC方向の透磁率μ2よりも高くなる。また、ステータコア11における圧縮応力が増加するほど、当該ステータコア11におけるL方向の透磁率μ1、及び、C方向の透磁率μ2は、いずれも略同程度の低下率で低下する。
本実施形態の製造方法に係る技術的思想として重要な点は、焼嵌めを行う限り不可避である「圧縮応力」を逆に活用して、ステータコア11全体としての透磁率の均一化を図るという点にある。具体的には、電磁鋼板Mがもつ磁気異方性(即ち、L方向の透磁率μ1とC方向の透磁率μ2の差異)に着目し、L方向の透磁率μ1とC方向の透磁率μ2を同等とするために、ステータコア11に発生する「圧縮応力」を積極的に利用する。
本実施形態では、ステータコア11の外周を楕円形としたことにより、当該ステータコア11の外周に加えられる圧縮荷重の大きさを部分的に異ならせることが可能となる。これにより、ステータコア11に発生する圧縮応力の大きさについても部分的に差異が生じる。ステータコア11の当該圧縮応力が大きい部分ほど、当該部分における透磁率低下の程度も大きくなる。本実施形態において、フレームFの内周は円形であるため、「圧縮応力が大きい部分」は、圧縮荷重が大きい部分、即ち、ステータコア11の外周におけるフレームFとの接触面近傍に位置する部分となる。
ここで、ステータコア11の外周を構成する楕円形は、上述のとおり、電磁鋼板Mの圧延方向(L方向)が短軸となっている。このため、ステータコア11の外周におけるフレームFとの接触面は、長軸の両端部近傍から周方向に沿った所定範囲の領域に形成される。このとき、ステータコア11の外周面とフレームFの内周面との接触面のL方向とC方向における面積比率に着目すると、短軸の両端部近傍がフレームFの内周面に対して非接触となる場合には、必ずL方向の方がC方向よりも接触面積が大きくなる。したがって、圧縮応力についても、必ずL方向の方がC方向よりも大きくなる。
一方、短軸の両端部近傍がフレームFの内周面と接触する場合であっても、ステータコア11の外周に加えられる圧縮荷重の大きさには差異が生じる。具体的には、長軸の両端部近傍に加えられる圧縮荷重の方が、短軸の両端部近傍に加えられる圧縮荷重よりも大きくなる。このため、結果的に、L方向の方がC方向よりも圧縮荷重が大きくなり、かかる場合においても、圧縮応力については、必ずL方向の方がC方向よりも大きくなる。
つまり、ステータコア11の外周がL方向を短軸とする楕円形である限り、短軸の両端部近傍がフレームFの内周面と接触するか否かに関わらず、必ずL方向の方がC方向よりも圧縮応力が大きくなる。これにより、L方向の透磁率μ1の低下率の方がC方向の透磁率μ2の低下率よりも必ず高くなるため、L方向の透磁率μ1をC方向の透磁率μ2に近づけることができる。即ち、ステータコア11の透磁率を全体的に均一化させることが可能となる。
なお、回転電機100の回転効率を考慮すれば、各透磁率μ1,μ2が必要最小限の低下で同等となるように、ステータコア11の外周形状を設計するのが望ましい。各透磁率μ1,μ2を同等とするために必要となる圧縮応力の大きさについては、例えば、使用する電磁鋼板Mの磁気異方性の程度、フレームFの大きさ・材質、ヨーク111の外径及び幅寸法(磁路幅)、極数(ティース112の数)、及び焼嵌め時の加工条件等に基づいて算出することが可能である。これらの算出データに基づいてステータコア11の外周を構成する楕円形の扁平率を調整することにより、ステータコア11において圧縮応力を発生させる位置(範囲)及びその大きさを制御し、適宜最適化することが可能となる。
このように、本実施形態に係るステータ10の製造方法によれば、焼嵌め前におけるフレームFの内周を円形とし、焼嵌め前におけるステータコア11の外周を電磁鋼板Mの圧延方向(即ち、L方向)を短軸とする楕円形としたことにより、焼嵌めを行う限り必然的に発生する「圧縮応力」を逆に活用して、ステータコア11の透磁率を全体的に均一化させることができる。これにより、ステータ10における磁気回路にアンバランスが生じるのを低減(防止)することが可能となり、振動の発生等を効果的に抑制することができる。
また、本実施形態に係る製造方法によれば、焼嵌め時(ステップC2)において、ステータ10とフレームFの軸方向を一致させて中空部の所望位置まで嵌め込む限り、ステータコア11の外周におけるフレームFとの接触面は、必ず、長軸の両端部近傍から周方向に沿った所定範囲の領域に形成される。よって、焼嵌め時において、ステータ10の周方向についてのフレームFに対する位置決めが不要であるという利点がある。
さらに、上述の製造方法によって製造されたステータ10は、ステータコア11の外周を構成する楕円形の扁平率を調整することにより、ステータコア11において圧縮応力を発生させる位置(範囲)及びその大きさを制御することができる。このため、圧縮応力に起因する透磁率の低下を必要最小限に抑制するために最適なステータコア11の形状・材質等を、予め設計・選択することが可能である。
したがって、本実施形態に係るステータ10の製造方法及びステータ10によれば、磁気回路のアンバランスに起因する振動の発生を抑制すると同時に、圧縮応力に起因する透磁率の低下を必要最小限に抑えることができるため、回転電機100の性能を向上させることが可能となる。
以上、本発明の第一実施形態に係るステータ10の製造方法及びステータ10について説明したが、本発明は、その他の形態で実施することができる。
例えば、本発明に係るステータの製造方法において、焼嵌め前におけるステータコア及びフレームの形状は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他の形状であってもよい。具体的には、第二実施形態として図3に示すステータ20のように、焼嵌め前におけるステータコア21の外周を円形とし、焼嵌め前におけるフレームFの内周を電磁鋼板Mの圧延方向に対して垂直方向(C方向)を短軸とする楕円形として製造されたものであってもよい。
かかる場合、以下の点を除き、上述したA〜C工程と同様の工程によりステータ20を製造することが可能である。本実施形態に係るステータ20の製造方法における上記各工程(A〜C工程)との相違点は、以下のとおりである。第一に、A工程においてフレームFを準備する段階で、当該フレームFの内周(及び外周)を所定の扁平率を有する楕円形に形成する。第二に、B工程において使用する金型を、図3に示すステータコア21の径方向断面形状と同一形状のコアシートS2を形成可能な金型に置換して各コアシートS2を打抜き形成する。
本実施形態では、ステータコア21の外周が円形であるため、焼嵌め時におけるフレームFとステータ20の相対的な位置決めが特に重要となる。つまり、ステータコア21のC方向をフレームFの内周を構成する楕円形の短軸方向に一致させた状態で、焼嵌めを行う必要がある。これにより、上述した第一実施形態に係るステータ10の製造方法により得られる作用・効果と同様の作用・効果を得ることが可能となる。
また、本実施形態の製造方法によって製造されたステータ20は、ステータコア21を構成するヨーク211が周方向全周にわたって同一幅に形成されているため、当該ヨーク211では磁路幅の相違に起因する磁気抵抗のアンバランスは生じない。よって、本実施形態では、ステータコア21を構成する電磁鋼板Mの磁気異方性が、焼嵌め前のヨーク211における磁気抵抗のアンバランスの要因の大部分を占めると考えられる。
本実施形態のステータ20によれば、この磁気異方性が焼嵌め時の圧縮応力によって均一化されるため、ステータコア21全体における透磁率の均一性をより高めることができる。これと同時に、上述のステータ10に比べて、ステータコア21全体における透磁率の均一化に要する圧縮応力を軽減することができる。このため、ステータコア21における鉄損が低減され、回転電機100の高性能化を実現させることが可能である。
あるいは、第三実施形態として図4及び図5に示すステータ30のように、焼嵌め前におけるステータコア31(図4参照)の外周及び内周が電磁鋼板Mの圧延方向(L方向)を短軸とする楕円形であり、焼嵌め後におけるステータコア31(図5参照)の少なくとも内周が円形となるように構成してもよい。ステータコア31の内周は、周方向に所定間隔を隔てて配置された各ティース312における平面視円弧状の先端部によって構成されている。本実施形態に係る製造方法と上記各製造方法との相違点は、ステータコア31の形状(特に、ステータコア31の内周形状)が、焼嵌めの前後で変形を伴う点にある。
一般に、ステータをフレームFに焼嵌め固定する際、フレームFからの圧縮荷重や熱の影響を受けて、ステータコアの形状が焼嵌めの前後で変形してしまう場合がある。かかる変形は、例えば、焼嵌め時の加工条件(フレームFの温度など)、使用する電磁鋼板Mの材質、あるいは、ステータコアの形状・大きさ等に起因すると考えられる。特に、ロータと対向するステータコアの内周が変形してしまうと、各ティースの先端部からロータの磁極面(外周面)までの距離(ギャップ幅)にばらつきが生じる。その結果、ステータとロータの間のギャップにおける磁気抵抗のアンバランスによってコギングトルクが増大するため、回転電機の設計上好ましくない。
しかしながら、本実施形態に係るステータ30の製造方法によれば、ステータコア31が、焼嵌め時に発生する変形を想定して当該変形を制御するため形状に設計されているため、ステータコア31の焼嵌め後の形状を当該ステータコア31の変形特性を利用して所望の形状に変形させることができる。したがって、上述のように、ステータ30とロータ2の間のギャップにおける磁気抵抗にアンバランスが生じることがない。
また、本実施形態においても、以下の点を除き、上述したA〜C工程と同様の工程によりステータ30を製造することが可能である。本実施形態に係るステータ30の製造方法における上記各工程(A〜C工程)との相違点は、以下のとおりである。第一に、A工程において準備される電磁鋼板Mの材質、焼嵌め時に想定されるフレームFからの圧縮荷重及び熱の影響等を総合的に考慮して、ステータコア31の変形特性を算出する。ここで算出された当該変形特性に応じて、ステータコア31の内周及び外周を構成する楕円形の扁平率を設計する。第二に、B工程において使用する金型を、図4に示すステータコア31の径方向断面形状と同一形状のコアシートS3を形成可能な金型に置換して各コアシートS3を打抜き形成する。
前記楕円形の扁平率は、焼嵌めによる変形後のステータコア31が所望の形状となるか否かに基づいて決定される。具体的には、焼嵌めによる変形後のステータコア31の内周が円形になることが、当該楕円形の扁平率を決定するための必要条件となる。本実施形態では、焼嵌め前におけるステータコア31の内周(楕円形)が、焼嵌めを行うことによって長軸方向(C方向)に縮径する(図4の点線矢印参照)とともに短軸方向(L方向)に拡径する(図4の実線矢印参照)ように設計されている。その結果、ステータコア31の内周は、焼嵌めによって楕円形から円形に変形する。なお、本実施形態では、ステータコア31の外周についても、内周と同様に、焼嵌めによって楕円形から円形に変形するように設計されている。
上述のように、フレームF内に焼嵌め固定されたステータ10〜30を備えた回転電機100〜300は、後述する圧縮機構とともに当該フレームFを含む不図示の容器内に密閉して一体的に収納される、いわゆる全密閉型の圧縮機に用いるのに特に適している。具体的には、空気調和機に使用される冷媒用ロータリ圧縮機等が挙げられる。冷媒用ロータリ圧縮機は、容積圧縮機の一種であり、シリンダと、このシリンダ内に配置されたピストンとを有する圧縮機構を備えている。圧縮機構は、ピストンを動作させることによりアキュムレーターから供給される冷媒をシリンダ内に吸入し、吸入された冷媒を圧縮する。このピストン(圧縮機構が他の形態である場合は、ピストンに相当する構成)を動作させるための動力源として回転電機100〜300を使用することができる。
尚、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内で、何れかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。
1:回転軸
2:ロータ
10、20、30:ステータ
11、21、31:ステータコア
100、200、300:回転電機
111、211、311:ヨーク
112、212、312:ティース
113:スロット
1、S2、S3:コアシート
F:フレーム
M:電磁鋼板

Claims (5)

  1. 筒状のフレーム内に焼嵌めにより固定されたステータの製造方法であって、
    前記フレームと、所定の板厚に圧延された電磁鋼板とを準備するA工程と、
    前記電磁鋼板から所定形状のコアシートを形成するステップと、前記電磁鋼板の圧延方向を一致させて該コアシートを複数積層してステータコアを形成するステップとを有し、該ステータコアを備えたステータを形成するB工程と、
    前記ステータを前記フレーム内に焼嵌めにより固定するC工程と、を備え、
    前記焼嵌め前における前記フレームの内周が円形であり、
    前記焼嵌め前における前記ステータコアの外周が前記電磁鋼板の圧延方向を短軸とする楕円形であることを特徴とするステータの製造方法。
  2. 筒状のフレーム内に焼嵌めにより固定されたステータの製造方法であって、
    前記フレームと、所定の板厚に圧延された電磁鋼板とを準備するA工程と、
    前記電磁鋼板から所定形状のコアシートを形成するステップと、前記電磁鋼板の圧延方向を一致させて該コアシートを複数積層してステータコアを形成するステップとを有し、該ステータコアを備えたステータを形成するB工程と、
    前記ステータを前記フレーム内に焼嵌めにより固定するC工程と、を備え、
    前記焼嵌め前における前記ステータコアの外周が円形であり、
    前記焼嵌め前における前記フレームの内周が前記電磁鋼板の圧延方向に対して垂直方向を短軸とする楕円形であることを特徴とするステータの製造方法。
  3. 筒状のフレーム内に焼嵌めにより固定されたステータの製造方法であって、
    前記フレームと、所定の板厚に圧延された電磁鋼板とを準備するA工程と、
    前記電磁鋼板から所定形状のコアシートを形成するステップと、前記電磁鋼板の圧延方向を一致させて該コアシートを複数積層してステータコアを形成するステップとを有し、該ステータコアを備えたステータを形成するB工程と、
    前記ステータを前記フレーム内に焼嵌めにより固定するC工程と、を備え、
    前記焼嵌め前における前記ステータコアの外周及び内周が前記電磁鋼板の圧延方向を短軸とする楕円形であり、
    前記焼嵌め後における前記ステータコアの内周が円形であることを特徴とするステータの製造方法。
  4. 前記電磁鋼板の板厚が、0.35mm以下である、請求項1から請求項3の何れか一つに記載のステータの製造方法。
  5. 請求項1から請求項4の何れか一つに記載のステータの製造方法により製造されたことを特徴とするステータ。
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