JP6987609B2 - 混合物の分離方法および装置 - Google Patents

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Description

本発明は、混合物の分離方法および装置に関し、特に、見かけ密度の異なる複数の物体からなる混合物を物体毎に効率的に分離することができる方法および装置に関するものである。
鋼の連続鋳造は、取鍋内の溶鋼をタンディッシュに注入し、タンディッシュ内に所定量の溶鋼が滞在した状態で溶鋼を鋳型に注入することにより行われる。図1は、一般的なタンディッシュの側面断面図を示している。この図に示したタンディッシュ1は、外殻を鉄皮2とし、この鉄皮2の内側にパーマレンガ3およびワークレンガ4からなる耐火物が設置された構成を有している。ここで、ワークレンガ4の表面には、吹き付け施工などによる酸化マグネシウム(MgO)の被覆層5が形成されている。また、タンディッシュ1の底部には、タンディッシュ1内の溶鋼を鋳型に注入するノズル6が、ノズル受けレンガ7を介して取り付けられている。このノズル6は、上ノズル6aと浸漬ノズル6bとからなる。
上述のように、耐火物はパーマレンガ3およびワークレンガ4からなり、パーマレンガ3はシリカを主成分とする一方、ワークレンガ4はアルミナを主成分とする。ワークレンガ4は溶鋼に直接接するため、耐熱性と耐食性が求められる。鋼の連続鋳造において、溶鋼がタンディッシュ1に繰り返し注がれると、ワークレンガ4が表層から劣化していく。そのため、ワークレンガ4の厚みが規定寸法以下になると、耐火物は解体される。劣化したワークレンガ4の表層数十mmは、鉄(Fe)やマンガン(Mn)などが浸潤し、黒っぽく変色した状態となっている。
解体された屑には、地金鉄や浸潤されたワークレンガ4、健全なワークレンガ4、およびパーマレンガ3が混在している。こうした解体屑に含まれる使用済み耐火物を産業廃棄物として処理することは、多大なコストを要するのみならず、省資源の観点からも望ましくない。そこで、製鉄所で発生した使用済み耐火物を再利用する方法が多数提案されている。
例えば、特許文献1には、破砕粒度と成分の関係を利用して、使用済みの耐火物を溶銑予備処理の造宰材として再利用する技術が記載されている。
また、特許文献2には、破砕粒度と成分の関係を利用して、使用済み耐火物の一部を耐火物として再利用し、残りを製鉄精錬副原料や土木工事の材料として再利用する技術が記載されている。
さらに、特許文献3には、破砕して粒度調整した使用済み耐火物を脱炭材として再利用する技術が記載されている。
上記特許文献1〜3に記載された技術は、精錬副原料や土木工事の材料として再利用するものである。しかしながら、使用済み耐火物は、本来耐火物としての能力を有する成分に富んだ素材であるため、安価な副原料や土木工事の材料として利用するのは経済価値の低い方法である。そのため、使用済み耐火物を成分毎に分離し、経済価値の高い有価物を回収して耐火物として再利用するのが望ましい。
しかしながら、使用済み耐火物を成分毎に分離するのは、以下に示すタンディッシュ1の解体施工の問題から困難である。タンディッシュ1の解体は、具体的には以下のように行う。すなわち、まず、ワークレンガ4のみを重機や専用機械で剥がすか、あるいは削る。その際、剥がしたワークレンガ4の屑はタンディッシュ1の底面に溜まる。一般的には、この溜まったレンガ屑を排出するために、タンディッシュ1全体を転動させる。すると、パーマレンガ3は、通常、タンディッシュ1の鉄皮2に沿って積まれているだけであり、ワークレンガ4によって鉄皮2に押さえつけるように固定されているため、ワークレンガ4を削った後にタンディッシュ1を転動させると、ワークレンガ4屑だけでなく、パーマレンガ3も崩れ落ちて排出される。以上の理由から、ワークレンガ4とパーマレンガ3を別々に回収することは困難であり、これらのレンガが混在した屑として排出されるのである。
このような背景の下、使用済み耐火物から有価物であるワークレンガ4を分離して回収する方法がこれまでも提案されてきた。例えば、特許文献4および5には、破砕・磁選・色選別を組み合わせてワークレンガ4とパーマレンガ3を選別する技術が記載されている。しかし、浸潤層は濃い灰色に変色しているため、選別できる可能性があるものの、健全なワークレンガ4とパーマレンガ3は、双方とも白色系の色を有しているため、色彩選別だけでは選別は困難である。
ここで、ワークレンガ4とパーマレンガ3の成分を見ると、ワークレンガ4は、60質量%のアルミナ(Al23)および35質量%のシリカ(SiO2)を含有し、パーマレンガ3は、15質量%のAl23および80質量%のSiO2を含有する。このように、双方ともAl23およびSiO2が主成分である。これらの成分のうち、価値が高いのはAl23であり、ワークレンガ4はAl23リッチであり、パーマレンガ3はSiO2リッチである。よって、ワークレンガ4だけを高純度に分離回収できれば、Al23リッチな原料として再利用できる。
ところで、Al23の密度は3.95〜4.1(g/cm3)であり、SiO2の密度は2.2(g/cm3)である。つまり、ワークレンガ4とパーマレンガ3とを比べた場合、Al23が主成分であるワークレンガ4の方がパーマレンガ3よりも密度が大きい。すなわち、この密度の差を利用することにより、使用済み耐火物の解体屑からワークレンガ4を分離して回収できることが期待される。
比重または密度の差を利用した選別方法は、従来様々な分野で提案されている。例えば、水を用いて比重1よりも軽いものと重いものに分ける方法や、さらにそれを発展させ、比重を1〜3に調整した重液と呼ばれる液体によって、浮遊物と沈降物に分ける方法が考えられている。比重が1〜3であれば廃プラスチックや鉱物、軽金属部品と広い用途に利用することができ、廃棄物リサイクルの分野ではよく利用されている。分離を高速かつ大量に行う用途においては、湿式サイクロン法もよく利用される。この湿式サイクロンは、選鉱の分野では大規模に利用されている。
さらに、振動と空気流を同時に与えることで比重別に分離するエアテーブル法もよく知られている。この方法は古くは農業分野で穀物粒ともみ殻を分離する技術として開発されたものであるが、近年では廃棄物リサイクル分野でも導入されている。この方法は乾式で行うため、廃液処理が不要であり、また、小規模の設備で済むという利点がある。
特開2009−263742号公報 特開2005−58835号公報 特開2006−241478号公報 特許第3645843号公報 特許第3704301号公報
しかしながら、使用済み耐火物を、有価物であるワークレンガ4とパーマレンガ3とにこれらの見かけ密度の差を用いて分離する技術はこれまで提案されていない。また、製鉄所では、タンディッシュ1に使用されるレンガ以外に、高炉鍋や高炉樋に用いられるレンガ、転炉に用いられるマグネシアカーボンレンガ等があるが、これらは製鉄所において大量に発生するため、見かけ密度の異なる複数の物体からなる混合物を物体毎に効率的に分離する技術の開発が希求されていた。
そこで、本発明の目的は、見かけ密度の異なる複数の物体からなる混合物を物体毎に効率的に分離する方法および装置を提案することにある。
本発明者らは、先の出願(特願2014−210592号、特願2014−210596号、特願2015−048466号)において、製鉄所で発生した見かけ密度の異なる使用済み耐火物の混合物(以下、「混合耐火物」と称する)を、流動媒体としての粉体に気体を供給して固気流動層を形成し、この固気流動層に混合体化物を供給し、固気流動層のかさ密度を利用して混合耐火物を耐火物毎に分離する方法および装置を提案している。
図2は、固気流動層を用いて上記混合耐火物を耐火物毎に分離する一般的なフローを示している。混合耐火物を固気流動層を用いて良好に分離するためには、耐火物の粒度は10〜50mm程度であることが好ましい。これに対して、製鉄所で発生する使用済み耐火物の粒度は通常数100mm程度である。そのため、図2のフローに示したように、予め、耐火物に対して破砕処理を施した後、篩等を用いて、例えば10mm以上50mm以下の粒度範囲に調整している。
上記耐火物の破砕処理時には大量の粉塵が発生して飛散する。そのため、上記破砕処理は耐火物に散水しながら行う。また、上述のように粒度調整された耐火物は、直ちに分離処理に供されることは少ないため、屋根のないヤードで一旦山積みされて保管されるが、耐火物は粉塵にまみれた状態であるため、粉塵の飛散防止のために、必要に応じて耐火物に散水される。
固気流動層を用いた密度分離では、流動層の流動性が分離性能を左右する。流動媒体である粉体は、通常100〜300μm径の砂や鉄粉等が用いられる。これらの粉体に水分が混入すると、流動媒体としての粉体が団子状に固まり、水分が大量に混入した場合には、流動層全体が流動化しなくなり、固気流動層の密度分離性能が著しく低下してしまう。
そのため、耐火物等の分離対象物は、固気流動層に供給する前に乾燥していることが必要であり、これまでは、固気流動層に供給して密度分離を行う前に、ヤードで山積みされて保管されていた濡れた耐火物に対して、例えばロータリーキルン等を用いて乾燥処理を施していた。
しかし、上記乾燥処理には多くのエネルギーを消費するため、消費エネルギーの低減が不可欠となっていた。ここで、破砕処理において発生する粉塵に対しては、集塵機により粉塵を集めて対応する方法が考えられる。しかしながら、ヤードでの保管時には、降雨によって耐火物は濡れ、その結果耐火物は水分を含んでいる場合が多い。こうした耐火物への水分の混入に対しては、製鉄所で発生する耐火物やスラグの量は膨大であることから、屋根付きの保管スペースを用意することは経済的に成り立たない。
そこで本発明者らは、分離対象物である混合耐火物が濡れている場合にも、固気流動層を用いて耐火物毎に分離する方途について鋭意検討した結果、固気流動層を形成するための気体の粉体への供給を、気体の温度を環境温度よりも高くした状態、または気体の相対湿度を環境の相対湿度よりも低くした状態、もしくはそれら双方の状態で行うことが極めて有効であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨構成は以下の通りである。
(1)見かけ密度の異なる複数の物体からなる混合物を、粉体に該粉体を流動化させる気体を供給して形成された固気流動層に供給し、前記固気流動層における前記複数の物体の浮沈現象を利用して前記混合物を物体毎に分離する方法において、
前記気体の前記粉体への供給は、前記気体の温度を環境温度よりも高くした状態で行う、または/および前記気体の相対湿度を環境の相対湿度よりも低くした状態で行うことを特徴とする混合物の分離方法。
(2)前記気体の前記粉体への供給は、前記気体の温度を環境温度よりも5℃以上高くした状態で行う、前記(1)に記載の混合物の分離方法。
(3)前記気体の前記粉体への供給は、前記気体の相対湿度を環境の相対湿度よりも5%以上低くした状態で行う、前記(1)に記載の混合物の分離方法。
(4)前記気体の前記粉体への供給は、前記気体の風速を前記固気流動層の最小流動化速度の1.05倍以上2倍以下とした状態で行う、前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の混合物の分離方法。
(5)前記固気流動層に供給する前記混合物は濡れている、前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の混合物の分離方法。
(6)前記物体は製鉄所で発生した使用済み耐火物である、前記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の混合物の分離方法。
(7)前記気体は空気である、前記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の混合物の分離方法。
(8)前記混合物を物体毎に分離した後に、前記物体の表面に付着して固定した前記粉体を除去して回収する、前記(1)〜(7)のいずれか一項に記載の混合物の分離方法。
(9)粉体に該粉体を流動化させる気体を供給する気体供給手段と、前記粉体が流動化されて形成された固気流動層を収容する分離槽と、見かけ密度の異なる複数の物体からなる混合物を前記固気流動層に供給する混合物供給手段と、前記混合物のうち前記固気流動層において浮揚した物体を回収する浮遊物回収手段と、前記混合物のうち固気流動層において沈降した物体を回収する沈降物回収手段と、前記気体供給手段から供給される前記気体の温度を測定する温度計または/および前記気体の相対湿度を測定する湿度計とを備え、前記気体供給手段から供給される前記気体の温度は環境温度よりも高い、または/および前記気体の相対湿度は環境の相対湿度よりも低いことを特徴とする混合物の分離装置。
(10)分離された前記物体の表面に付着して固定した前記粉体を除去する粉体除去手段を更に備える、前記(9)に記載の混合物の分離装置。
(11)前記気体供給手段から供給される前記気体の温度は環境温度よりも5℃以上高い、前記(9)または(10)に記載の混合物の分離装置。
(12)前記気体供給手段から供給される前記気体の相対湿度は環境の相対湿度よりも5%以上低い、前記(9)または(10)に記載の混合物の分離装置。
(13)前記気体供給手段から供給される前記気体の風速は、前記気体の風速を前記固気流動層の最小流動化速度の1.05倍以上2倍以下である、前記(9)〜(12)のいずれか一項に記載の混合物の分離装置。
(14)前記固気流動層に供給する混合物は濡れている、前記(9)〜(13)のいずれか一項に記載の混合物の分離装置。
(15)前記物体は、製鉄所で発生した使用済み耐火物である、前記(9)〜(14)のいずれか一項に記載の混合物の分離装置。
(16)前記気体は空気である、前記(9)〜(15)のいずれか一項に記載の混合物の分離装置。
本発明によれば、見かけ密度の異なる複数の物体からなる混合物を物体毎に効率的に分離することができる。
一般的なタンディッシュの側面断面図である。 固気流動層を用いて混合耐火物を耐火物毎に分離する一般的なフローを示す図である。 (a)は従来のアルキメデス法による見かけ密度の測定原理を、(b)は本発明における改良されたアルキメデス法による見かけ密度の測定原理を説明する図である。 耐火物から流動媒体である粉体への水分の移動を模式的に示す図である。 粉体に供給する気体の温度を環境温度よりも高くする方法の一例を示す図である。 粉体に供給する気体の温度を環境温度よりも高くする方法の別の例を示す図である。 本発明の好適な実施形態を説明する図である。 粉体に供給する気体の相対湿度を環境の相対湿度よりも低くする方法の一例を示す図である。 本発明の別の好適な実施形態を説明する図である。 粉体に供給する気体の風速と、固気流動層の圧力損失との関係を示す図である。 本発明による混合物の分離装置の一例を示す図である。
(混合物の分離方法)
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。本発明に係る混合物の分離方法は、見かけ密度の異なる複数の物体からなる混合物を、粉体に該粉体を流動化させる気体を供給して形成された固気流動層に供給し、固気流動層における複数の物体の浮沈現象を利用して混合物を物体毎に分離する方法である。ここで、上記気体の粉体への供給は、気体の温度を環境温度よりも高くした状態で行う、または/および気体の相対湿度を環境の相対湿度よりも低くした状態で行うことが肝要である。
ここで、「環境温度」とは、使用している固気流動層装置の周囲の気体温度のことを指し、粉体に該粉体を流動化させる気体を供給する気体供給手段(ブロワ、エアコンプレッサなど)の入側気体温度と等しい。
本発明において、分離対象物である物体(混合物)は特に限定されず、例えば、耐火物の押さえ金物の屑や混入するコンクリ屑など、製鉄所で発生する使用済み耐火物とすることができる。本発明は、中でも、見かけ密度の異なる使用済み耐火物からなる混合耐火物を耐火物毎に効率的に分離するのに適している。
また、本発明は、上記物体(混合物)が濡れている場合に適している。上述のように、製鉄所で発生する使用済み耐火物は、分離処理に供される前に屋根のないヤードで保管されるのが通常であり、保管中の雨や、粉塵の飛散防止のための散水により濡れて水分を含んでいる。本発明は、こうした濡れた耐火物からなる混合耐火物を耐火物毎に分離するのに好適である。以下、物体が製鉄所で発生する使用済みの耐火物である場合を例として、本発明を詳しく説明するが、これに限定されない。
上述のように、固気流動層を用いて混合耐火物を耐火物毎に分離する際、耐火物の粒度は10〜50mm程度であることが好ましいため、混合耐火物を固気流動層による密度分離処理に供する前に、耐火物の粒度を、好ましくは10mm以上50mm以下、より好ましくは10mm以上30mm以下の粒度範囲に調整する。そのために、まず、耐火物(混合耐火物)に対して破砕処理を施す。この破砕処理は、破砕により発生する粉塵が飛散するのを防止するために散水しながら行う。
上記破砕処理に供する耐火物(混合耐火物)は、特に限定されず、例えばタンディッシュ1に使用されるレンガや、高炉鍋や高炉樋に用いられるレンガ、転炉に用いられるマグネシアカーボンレンガである。
高炉鍋は、鉄皮と、その内部に配置されたレンガとからなり、このレンガは、一般的にはアルミナ、SiCを主成分としている。また、レンガは、溶銑の運搬およびその後の予備処理に伴って劣化し、また、スラグや地金が温度の低下により凝固して付着するため、健全なレンガのみを効率的に分離して回収することが望ましい。
また、高炉樋は、耐酸化鉄(FeO)性が良好、すなわち酸化鉄が付着しにくいアルミナを主成分とするレンガからなるメタルライン部、および耐スラグ性が良好なSiCを主成分とするレンガからなるスラグライン部からなる。このうち、SiCを主成分とするレンガが有用であるため、このレンガのみを効率的に分離して回収することが望ましい。
さらに、マグネシアカーボンレンガは、転炉の耐火物として使用されるレンガであり、使用回数が増すに従って金属が浸潤し、不純物濃度が大きくなるため、使用済みの耐火物から、不純物の少ないマグネシアカーボンレンガのみを効率的に分離して回収することが望ましい。
なお、上記見かけ密度の異なる複数の耐火物からなる混合耐火物は、タンディッシュ1内のパーマレンガ3およびワークレンガ4からなる混合耐火物のように、組成の異なる耐火物で構成される耐火物ばかりでなく、耐火物に溶鋼が不純物として浸潤して見かけ密度が変化した部分と溶鋼が浸潤していない健全な部分とからなる耐火物も含んでいる。
これら見かけ密度の異なる複数の耐火物からなる混合耐火物の破砕は、例えばジョークラッシャーやバケットクラッシャー等を用いて行うことができる。
次いで、破砕された混合耐火物を固気流動層による密度分離に好ましい、例えば10mm以上50mm以下の粒度範囲に調整する。この混合耐火物の粒度調整処理は、具体的には篩を用いて行うことができる。混合耐火物の粒度範囲を10mm以上50mm以下に調整する場合には、まず、目開き寸法が50mmの篩を用いて、破砕された混合耐火物を篩う。
次に、目開き寸法が50mmの篩を通過した混合耐火物を、目開き寸法が10mmの篩で篩う。この10mmの篩の上に残った混合耐火物が、10mm以上50mm以下の粒度範囲の混合耐火物である。なお、上記説明から明らかなように、所望の粒度範囲の混合耐火物は、混合耐火物の最大粒径が上記粒度範囲内にあることを意味しているわけではなく、単に、粒度範囲の上限の篩にかけ、次いでこの篩を通過した混合耐火物を粒度範囲の下限の篩にかけた後、この篩上に残った混合耐火物を意味している。
上記混合耐火物の粒度調整の際に、上記1回目の篩処理により篩上に残った混合耐火物、および2回目の篩処理により篩を通過した混合耐火物は、粒径が大きすぎるか、あるいは小さすぎて、固気流動層による密度分離には適していないため、耐火物としては再利用されず、土木工事等に利用される。しかし、1回目の篩処理において、篩上に残った粒度の大きな混合耐火物については、破砕処理を再度行って粒度を小さくした上で、再度粒度調整して固気流動層による密度分離に供することができる。
なお、粒度調整された混合耐火物は、上述のように、固気流動層を用いた分離処理に供する前にヤードで一旦保管される場合が多いが、その際、粉塵の飛散の防止のために必要に応じて散水される。
続いて、本発明による混合物の分離方法に従って、上述のように粒度調整された混合耐火物を、粉体に該粉体を流動化させる気体を供給して形成された固気流動層に供給し、固気流動層における複数の物体の浮沈現象を利用して混合耐火物を耐火物毎に分離する。本発明において、「固気流動層」とは、流動媒体である粉体に気体を供給して流動化させ、液体に類似した性質を有するものを意味している。
ここで、固気流動層による耐火物の密度分離の原理について説明する。粉体に気体を供給して浮遊流動化させると、粉体を含む固気流動層は液体と同様の挙動を示す。従って、固気流動層のかさ密度ρfbは下記の式で表される。
ρfb=Wp/Vf=(1−εf)ρp (1)
ここで、Wpは流動媒体としての粉体の重量、Vfは流動化時の体積、εfは流動化時の空隙率、ρpは流動媒体である粉体の密度である。
このようなかさ密度ρfbを有する固気流動層中に、密度ρsの耐火物を混在させると、ρs<ρfbである場合には流動層の上部に浮揚し、ρs>ρfbである場合には流動層12の下部に沈降する。そしてρs=ρfbである場合には流動層中間部を浮遊する。この原理を利用して、混合耐火物を耐火物毎に分離するのである。
上記耐火物の密度ρsは、アルキメデス法により求めるのが一般的である。すなわち、図3(a)に示すように、まず、空中において、耐火物の乾燥状態の重量maを測定する。次いで、耐火物を水に浸漬し、水中での重量mlを測定する。水に浸漬された耐火物には、耐火物の体積に相当する浮力が働くため、乾燥重量maと水中重量mlとの差が、耐火物の体積vに相当する。よって、耐火物の見かけ密度ρは以下の式で与えられる。
ρ=ma/(ma−ml) (2)
しかし、耐火物が多孔性(ポーラス)の材料からなり、高い吸水性を有する場合には、上記した通常のアルキメデス法により見かけ密度を測定する際に、耐火物が水を吸収してその水中重量が吸水した水の重量Δmだけ大きく測定される。そのため、測定された水中重量mlをそのまま用いて耐火物の見かけ密度を求めると、真の値よりも大きくなってしまう。そこで、耐火物が高い吸水性を有する場合には、以下のように改良されたアルキメデス法を用いて見かけ密度を求めることが好ましい。
すなわち、図3(b)に示すように、まず、空中において、耐火物の乾燥状態の重量maを測定する。次いで、耐火物を水に十分な時間浸漬し、水中での重量mlを測定する。続いて、耐火物を水中から取り出して、耐火物の表面に付着した水滴を充分に拭き取った後、湿潤重量mwを測定する。湿潤重量mwと乾燥重量maとの差mw−maが、耐火物に吸収された水の重量Δmである。そして、耐火物の真の見かけ密度ρrは以下の式で与えられる。
ρr=ma/(mw−ml)=ma/(ma+Δm−ml) (3)
この式(3)を用いることにより、耐火物が多孔性を有して高い吸湿性を有する場合にも、耐火物の見かけ密度を精度よく求めることができる。
耐火物の水への浸漬時間は、耐火物の粒度にもよるが、後述する固気流動層を用いた混合物の分離装置において好ましい粒度である10〜50mm程度では、発明者らの検討によると3〜5分程度で水分が内部まで十分に吸収され、内部で水分が飽和した状態となる。
本発明においては、こうした固気流動層を用いた密度分離処理によって混合耐火物を耐火物毎に分離するに際し、固気流動層を形成するための気体の粉体への供給は、気体の温度を環境温度よりも高くした状態で行う、または/および気体の相対湿度を環境の相対湿度よりも低くした状態で行うことが肝要である。
上述のように、製鉄所で発生する使用済み耐火物は多孔性を有しているため、破砕時およびヤードでの保管時の散水や、保管時の降雨によって濡れており、表面および内部は水分を含んでいる。そのため、耐火物をそのまま固気流動層に投入すると、耐火物に含まれる水分が流動媒体である粉体に浸透して、粉体の流動化が阻害されるように思われる。
しかし、本発明者らが水分を含む耐火物を固気流動層に投入した場合の水分の移動について詳細に調査した結果、耐火物から流動媒体としての粉体への水分の移動は、当初の予想ほど大きくないことが判明した。以下、この知見を得るに至った実験について説明する。
まず、ジルコンサンドからなる流動媒体50kgに、流動化のための気体として空気を最小流動化速度の1.3倍の風速で供給して固気流動層を形成した。次いで、形成した固気流動層に、濡れて水分を含む混合耐火物(高炉樋耐火物)を1t/hの処理速度で供給して、耐火物毎に密度分離した。
図4は、本実験における耐火物から流動媒体である粉体への水分の移動を模式的に示している。上記固気流動層に供給する前の耐火物に含まれる水分の測定値から、固気流動層内に供給された水分量は49.0kg/hであることが分かった。また、固気流動層から排出された耐火物の水分の測定値から、固気流動層から排出された水分量は45.1kg/hであることも分かった。
つまり、固気流動層内には正味3.9kg/hの水分が供給され、固気流動層に投入された耐火物に含まれる水分の7.9%が流動媒体である粉体に浸透したことが判明したのである。この水分量は、当初の予想を下回る僅かなものであり、この程度の水分量であれば、常温の気体を粉体に供給し続けるうちに、粉体に浸透した水分を乾燥させて、粉体の流動化状態を健全化することができる。
ただし、工業的観点では、耐火物を連続的かつ速やかに処理することが必要であるため、乾燥に長時間をかけることはできない。そこで、本発明者らは、耐火物に含まれる水分が浸透した粉体をより速やかに乾燥させて粉体の流動化を健全化する方途について鋭意検討した結果、流動化のために粉体に供給する気体の温度を環境温度よりも高める、すなわち、温風を流動媒体に供給することにより飽和蒸気圧を上げて、粉体の乾燥速度を上昇させる考えに至ったのである。
これは、例えば気体が空気である場合、図5に示すように、送風機から送風された常温の空気に熱風発生機により発生させた熱風を合流させて風速計および温度計を通過させるように構成し、固気流動層に供給する空気の風速および温度をモニターして、固気流動層を構成する粉体に供給する空気の温度が環境温度よりも高くなるように、熱風発生機から発生させる熱風の温度および風量、並びに送風機からの常温の空気の風量を調整することにより行うことができる。
あるいは、図6に示すように、熱風発生機で発生させた熱風を送風機で送風するように構成し、固気流動層に供給する空気の風速および温度をモニターして、固気流動層を構成する粉体に供給する空気の温度が環境温度よりも高くなるように、熱風発生機から発生させる熱風の温度および風量、並びに送風機の風量を調整することにより行うこともできる。
粉体に供給する気体の温度は、環境温度よりも高ければ、乾燥速度を速めることができるが、特に、図7に模式的に示すように、気体の温度が環境温度よりも5℃以上高い場合には、製鉄所で発生する大量の使用済み混合耐火物に対して、濡れた耐火物から粉体に浸透した水分を乾燥させつつ、混合耐火物を物体毎に連続的に分離することができる。また、処理速度の点で、気体の温度が環境温度よりも10℃以上高いことがより好ましい。
固気流動層へ供給される気体温度は、環境温度+10℃程度で良いことから、最も条件の厳しい夏季であっても50〜60℃程度まで昇温すればよく、製鉄所等で100〜150℃程度の蒸気より熱エネルギーを回収した後に排出される60℃程度の温水からでも熱を回収することができる。
これにより、送風に最低限必要なエネルギー以外に、利用価値の高い高温の蒸気、電気、燃料などを使用することなく、湿潤した耐火物をそのまま分離することができ、環境負荷の低い耐火物リサイクルフローを達成することができる。
このような濡れた粉体を乾燥させる効果は、粉体に供給する気体の温度を環境温度よりも高めることに代えて、気体の相対湿度を環境の相対湿度より低めることによっても達成することができる。すなわち、環境よりも乾燥した気体を流動媒体に供給することにより、濡れた粉体の乾燥速度を上昇させることができる。
これは、例えば、図8に示すように、湿度の低い気体を発生させることができる乾燥気体発生機で発生した気体を、送風機の入り側に供給して流量計および湿度計を通過させるように構成し、固気流動層を構成する粉体に供給する気体の相対湿度が環境の相対湿度よりも低くなるように、乾燥気体発生機で発生させる気体の湿度および風量、並びに送風機の風量を調整することにより行うことができる。
粉体に供給する気体の相対湿度は、環境の相対湿度よりも低ければ、乾燥速度を速めることができるが、特に、図9に模式的に示すように、気体の相対湿度が環境の相対湿度よりも5%以上低い場合には、製鉄所で発生する大量の使用済み混合耐火物に対して、濡れた耐火物から粉体に浸透した水分を乾燥させつつ、混合耐火物を物体毎に連続的に分離することができる。また、処理速度の点で、気体の相対湿度が環境の相対湿度よりも10%以上低いことがより好ましい。
上記濡れた粉体を乾燥させる効果は、気体の温度を環境温度よりも高め、かつ気体の相対湿度を環境の相対湿度よりも低めることによっても達成できるのは言うまでもない。
気体の風速については、流動媒体が吸収した水分を乾燥させる点では高いことが好ましい。しかし、本発明は、固気流動層の浮沈現象を利用した混合物の分離する方法であるため、気体の風速を上げすぎると、流動層における気泡サイズが大きくなって固気流動層が激しく攪拌され、混合耐火物の分離を効率的に行えなくなるおそれがある。
図10は、粉体に供給する気体の風速と、固気流動層の圧力損失との関係を示している。この図に示すように、気体の風速が最小流動化速度に達すると、固気流動層の圧力損失が飽和し、一定になる。そこで、上記気体の粉体への供給は、気体の風速を固気流動層の最小流動化速度の1.05倍以上2倍以下とした状態で行うことが好ましい。これにより、粉体が吸収した水分を速やかに乾燥しつつ、混合耐火物の分離を効率よく行うことができる。
固気流動層を構成する粉体は、特に限定されず、混合物を構成する物体の密度に応じて適切に選択される。例えば、混合物が製鉄所において排出される使用済み耐火物の場合、シリカサンド、クロマイトサンド、ジルコンサンドや鉄粉を用いることができる。
また、粉体の粒径は特に限定されないが、粒径が大きいと流動化の送風能力がより多く必要となる点から、100μm以上500μm以下とすることが好ましい。
さらに、粉体に供給する気体は、上記密度分離を行う際に安定なものであれば特に限定されないが、好ましくは空気である。固気流動層のかさ密度は、これらの混合比および粉体に供給する気体の風速を変更することにより調整することができる。
さらにまた、濡れた混合耐火物を固気流動層に供給して耐火物毎に分離する処理を行うと、濡れた耐火物の表面に固気流動層を構成する粉体が付着し、そのままの状態で乾燥されて耐火物の表面に固定されてしまう場合がある。すると、耐火物の分離処理を継続すると、耐火物の表面に固定された粉体が耐火物とともに固気流動層から排出され、固気流動層の嵩が減少してしまう。
そこで、混合耐火物を耐火物毎に分離した後に、物体の表面に固定した粉体を除去して回収することが好ましい。これにより、濡れた耐火物の表面に付着した粉体が固定された場合にも、混合耐火物の分離を連続的に行うことができる。
(混合物の分離装置)
次に、本発明に係る混合物の分離装置について説明する。本発明に係る混合物の分離装置は、粉体に該粉体を流動化させる気体を供給する気体供給手段と、粉体が流動化されて形成された固気流動層を収容する分離槽と、見かけ密度の異なる複数の物体からなる混合物を固気流動層に供給する混合物供給手段と、混合物のうち固気流動層において浮揚した物体を回収する浮遊物回収手段と、混合物のうち固気流動層において沈降した物体を回収する沈降物回収手段と、気体供給手段から供給される気体の温度を測定する温度計または/および気体の相対湿度を測定する湿度計とを備える。ここで、気体供給手段から供給される気体の温度は環境温度よりも高い、または/および気体の相対湿度は環境の相対湿度よりも低いことが肝要である。
図11は、本発明による混合物の分離装置の一例を示している。この図に示した分離装置10は、分離槽11を備え、この分離槽11には、固気流動層12を構成する粉体が充填されている。また、分離槽11内の中央部付近には、固気流動層12に浮遊する、固気流動層12のかさ密度より密度の小さな浮遊物Sを回収するための、スクレーパ13aを有する浮遊物回収手段13が設けられており、回収された浮遊物Sは排出部14により装置外に排出される。さらに、分離槽11の内壁に沿って、固気流動層12に沈降した、固気流動層12のかさ密度より密度の大きな沈降物Pを回収するための、スクレーパ15aを有する沈降物回収手段15が設けられており、回収された沈降物Pは排出部16により装置外に排出される。
また、上記気体供給手段としての熱風発生機および送風機が設けられており、これらでそれぞれ発生した熱風および常温の気体が合流され、断熱材で囲まれた配管を通過させて、分離槽11の下部から粉体に気体を供給して粉体を流動化させて固気流動層12が形成されるように構成されている。また、配管には気体の風速を測る風速計および温度を測る温度計が設けられている。
ここで、気体供給手段から供給される気体の温度は環境温度よりも高い、または/および気体の相対湿度は環境の相対湿度よりも低いことが肝要である。これにより、固気流動層12に濡れた混合物が投入された場合にも、流動媒体である粉体の乾燥速度を上昇させて流動化を健全化し、混合物を物体毎に連続的に分離することができる。
ここで、気体の温度を環境温度よりも高くする場合には、気体の温度が環境温度よりも5℃以上高いことが好ましく、これにより製鉄所で発生する大量の使用済み混合耐火物に対して、濡れた耐火物から粉体に浸透した水分を乾燥させつつ、混合耐火物を物体毎に連続的に分離することができる。処理速度の点では、10℃以上高くすることがより好ましい。
また、気体の相対湿度を環境の相対湿度よりも低くする場合には、粉体に供給する気体の相対湿度が環境の相対湿度よりも5%以上低いことが好ましく、これにより、製鉄所で発生する大量の使用済み混合耐火物に対して、濡れた耐火物から粉体に浸透した水分を乾燥させつつ、混合耐火物を物体毎に連続的に分離することができる。処理速度の点では、10%以上低くすることがより好ましい。
上記濡れた粉体を乾燥させる効果は、気体の温度を環境温度よりも高くし、かつ気体の相対湿度を環境の相対湿度よりも低くすることによっても達成できる。
固気流動層12を構成する粉体は、特に限定されず、混合物を構成する物体の密度に応じて適切に選択される。例えば、混合物が製鉄所において排出される使用済み耐火物の場合、シリカサンド、クロマイトサンド、ジルコンサンドや鉄粉を用いることができる。
また、粉体の粒径は特に限定されないが、粒径が大きいと流動化の送風能力がより多く必要となる点から、100μm以上500μm以下とすることが好ましい。
さらに、本発明の分離装置に供する混合物(物体)は特に限定されず、例えば耐火物の押さえ金物の屑や混入するコンクリ屑など、製鉄所で発生する使用済み耐火物であり、中でも見かけ密度の異なる使用済み耐火物からなる混合耐火物を耐火物毎に分離するのに適している。また、本発明は、上記物体が濡れている場合に混合物を物体毎に分離するのに適している。
さらにまた、固気流動層12を構成する粉体に供給する気体は、上記密度分離を行う際に安定なものであれば特に限定されないが、好ましくは空気である。また、気体の風速は、固気流動層12の最小流動化速度の1.05倍以上2倍以下であることが好ましい。これにより、粉体が吸収した水分を速やかに乾燥しつつ、混合耐火物の分離を効率よく行うことができる。
また、濡れた混合耐火物を固気流動層12に供給して耐火物毎に分離する処理を行うと、濡れた耐火物の表面に固気流動層12を構成する粉体が付着し、そのままの状態で乾燥されて耐火物の表面に固定されてしまう場合があるため、混合耐火物を耐火物毎に分離した後に、物体の表面に固定した粉体を除去して回収する粉体除去手段をさらに備えることが好ましい。これにより、濡れた耐火物の表面に付着した粉体が固定された場合にも、混合耐火物の分離を連続的に行うことができる。
この分離装置10を用いた耐火物毎の分離は以下のように行うことができる。すなわち、まず、分離槽11内に流動媒体としての粉体であるジルコンサンドや鉄粉等を導入し、分離槽11の下面から分離槽11内に、環境温度よりも高い温度の気体か、環境の相対湿度よりも低い湿度の気体を送風して粉体を流動化させ、固気流動層12を形成する。次いで、分離槽11の上面開口(図示せず)から混合耐火物を投入する。すると、固気流動層12のかさ密度よりも密度の大きい耐火物Pは沈降する一方、固気流動層12のかさ密度よりも密度の小さな耐火物Sは浮遊する。
浮遊物回収手段13に取り付けられたスクレーパ13aは、図11の矢印の向きに移動しており、固気流動層12に浮遊した浮遊物Sをかき集め、排出部14が、かき集められた浮遊物Sを分離槽11外に排出する。一方、沈降物回収手段15に取り付けられたスクレーパ15aは、図11の矢印の向きに移動しており、固気流動層12を沈降した、固気流動層12よりも密度が大きな沈降物Pをかき集め、排出部16は、かき集められた沈降物Pを分離槽11外に排出する。こうして、固気流動層12のかさ密度を利用して、混合物を物体毎に分離することができる。
こうして、見かけ密度の異なる複数の物体からなる混合物を物体毎に効率的に分離することができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、これに限定されない。
(発明例1)
図11に示した装置を用いて使用済みの高炉樋耐火物をシリカリッチ層とアルミナリッチ層とに分離した。すなわち、まず、シリカリッチ層(密度:2.3g/cm3)とアルミナリッチ層(密度:3.0g/cm3)の割合がほぼ1:1の重量比である高炉樋耐火物を、圧縮刃のクリアランスが30mmのジョークラッシャーを用いて破砕した。次いで、破砕された耐火物を目開き寸法:30mmの篩にかけ、篩を通過したレンガを目開き寸法:10mmの篩にかけ、篩上に残った耐火物を回収することにより、10mm以上30mm以下の粒度を有する耐火物を回収した。その後、回収した耐火物を固気流動層を用いた分離装置(長さ:2500mm、幅:1000mm、深さ:250mm)に導入して、浮遊した耐火物および沈降した耐火物を回収し、シリカリッチ層とアルミナリッチ層とに分離した。ここで、固気流動層を構成する粉体として、クロマイトサンド(粒径:300μm、密度:2.55g/cm3)に鉄粉(粒径:150μm、密度:4.31g/cm3)を混合し、見かけ密度を2.7g/cm3に調整したものを用いた。このような粉体に、最小化流動化速度の1.3倍の風速で気体を送風して固気流動層を形成した。その際、粉体に供給する気体として、環境温度12℃に対して20℃の温風(空気)を用いた。こうして形成した固気流動層に、高炉樋耐火物を供給して1.0t/hの処理速度で分離処理を行った。なお、固気流動層に投入する前の高炉樋耐火物に含まれる水分量は10%であった。
以上の条件で分離した結果、沈降した耐火物の濃度は90%であり、回収率も90%であった。
(発明例2)
発明例1と同様に、高炉樋耐火物をシリカリッチ層とアルミナリッチ層とに分離した。その際、固気流動層を形成するために粉体に供給した気体は、環境温度21℃に対して、37℃の温風(空気)とした。その他の条件は発明例1と全て同じである。
以上の条件で分離した結果、沈降した耐火物の濃度は90%であり、回収率も90%であった。
なお、製鉄所で発生する混合耐火物を耐火物毎に分離する場合を例に本発明を説明したが、これに限定されず、種々変形可能であり、浮揚物および沈降物の回収ができるのであれば、種々の形態を採用することが可能である。また固気流動層を構成する粉体も、混合物を構成する物体の分離が可能であれば、実施例に限定されない。
本発明によれば、見かけ密度の異なる複数の物体からなる混合物を物体毎に効率的に分離することができるため、製鉄業において特に有用である。
1 タンディッシュ
2 鉄皮
3 パーマレンガ
4 ワークレンガ
5 被覆層
6 ノズル
6a 上ノズル
6b 浸漬ノズル
7 ノズル受けレンガ
10 分離装置
11 分離槽
12 固気流動層
13 浮遊物回収手段
13a、15a スクレーパ
14、16 排出部
15 沈降物回収手段
S 浮遊物
P 沈降物

Claims (18)

  1. 見かけ密度の異なる複数の物体からなる混合物を、粉体に該粉体を流動化させる気体を供給して形成された固気流動層に供給し、前記固気流動層における前記複数の物体の浮沈現象を利用して前記混合物を物体毎に分離する方法において、
    前記気体の前記粉体への供給は、湿度計により前記気体の相対湿度を測定し、乾燥気体発生機によって前記気体の相対湿度を環境の相対湿度よりも低く調整した状態で行うことを特徴とする混合物の分離方法。
  2. 前記気体の前記粉体への供給は、前記気体の相対湿度を環境の相対湿度よりも低くした状態、かつ前記気体の温度を環境温度よりも高くした状態で行う、請求項1に記載の混合物の分離方法。
  3. 前記気体の前記粉体への供給は、前記気体の温度を環境温度よりも5℃以上高くした状態で行う、請求項2に記載の混合物の分離方法。
  4. 前記気体の前記粉体への供給は、前記気体の相対湿度を環境の相対湿度よりも5%以上低くした状態で行う、請求項1〜3のいずれか一項に記載の混合物の分離方法。
  5. 前記気体の前記粉体への供給は、前記気体の風速を前記固気流動層の最小流動化速度の1.05倍以上2倍以下とした状態で行う、請求項1〜4のいずれか一項に記載の混合物の分離方法。
  6. 前記固気流動層に供給する前記混合物は濡れている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の混合物の分離方法。
  7. 前記物体は製鉄所で発生した使用済み耐火物である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の混合物の分離方法。
  8. 前記気体は空気である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の混合物の分離方法。
  9. 前記混合物を物体毎に分離した後に、前記物体の表面に付着して固定した前記粉体を除去して回収する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の混合物の分離方法。
  10. 粉体に該粉体を流動化させる気体を供給する気体供給手段と、前記粉体が流動化されて形成された固気流動層を収容する分離槽と、見かけ密度の異なる複数の物体からなる混合物を前記固気流動層に供給する混合物供給手段と、前記混合物のうち前記固気流動層において浮揚した物体を回収する浮遊物回収手段と、前記混合物のうち固気流動層において沈降した物体を回収する沈降物回収手段と、前記気体供給手段から供給される前記気体の相対湿度を測定する湿度計とを備え、
    前記気体供給手段から供給される前記気体の相対湿度を環境の相対湿度よりも低く調整する乾燥気体発生機を備えることを特徴とする混合物の分離装置。
  11. 分離された前記物体の表面に付着して固定した前記粉体を除去する粉体除去手段を更に備える、請求項10に記載の混合物の分離装置。
  12. 前記気体供給手段から供給される前記気体の温度を測定する温度計を更に備え、
    前記気体供給手段から供給される前記気体の相対湿度は環境の相対湿度よりも低く、かつ前記気体の温度は環境温度よりも高い、請求項10または11に記載の混合物の分離装置。
  13. 前記気体供給手段から供給される前記気体の温度は環境温度よりも5℃以上高い、請求項12に記載の混合物の分離装置。
  14. 前記気体供給手段から供給される前記気体の相対湿度は環境の相対湿度よりも5%以上低い、請求項10〜13のいずれか一項に記載の混合物の分離装置。
  15. 前記気体供給手段から供給される前記気体の風速は、前記気体の風速を前記固気流動層の最小流動化速度の1.05倍以上2倍以下である、請求項10〜14のいずれか一項に記載の混合物の分離装置。
  16. 前記固気流動層に供給する混合物は濡れている、請求項10〜15のいずれか一項に記載の混合物の分離装置。
  17. 前記物体は、製鉄所で発生した使用済み耐火物である、請求項10〜16のいずれか一項に記載の混合物の分離装置。
  18. 前記気体は空気である、請求項10〜17のいずれか一項に記載の混合物の分離装置。
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