JP2018095932A - 製鉄スラグからの地金回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、製鉄スラグから効率よく地金を容易に回収する地金回収方法の提供を目的とする。【解決手段】本発明は、製鉄スラグへの水の供給条件及び篩条件を決定する事前準備工程と、事前準備工程によって決定された供給条件で水を製鉄スラグに供給し、含水した製鉄スラグを事前準備工程によって決定された篩条件で篩分けを行う選別工程とを有する。事前準備工程では、製鉄スラグの粒度分布及び成分組成を測定する工程と、製鉄スラグの含水量、体積膨張率、及び篩作業条件の関係を調査する工程と、この関係に基づいて決定した含水量となるよう製鉄スラグに水を供給し篩作業条件で篩分けを行う工程と、この工程後に篩上に残存した製鉄スラグのスラグ付着量を測定する工程と、この測定結果に基づいて製鉄スラグへの水の供給条件及び製鉄スラグの篩条件を決定する工程とを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、製鉄スラグからの地金回収方法に関する。
製鉄スラグを有効利用するために、製鉄スラグから地金を回収する方法が提案されている。例えば、特許文献1では、溶銑の脱硫工程で生じた石灰系脱硫スラグを水分飽和状態に至るまで注水冷却し、その後、屋外で乾燥させた脱硫スラグを篩分けし、篩目10〜25mmの篩上の残存物を磁選および破砕処理して、高炉原料に利用することが提案されている。
しかし、この特許文献1の方法では、水分飽和状態に至るまで注水冷却する必要があるため、処理時間が長期化せざるを得ない。しかも、特許文献1の方法では、冷却後の乾燥のために約1ヶ月の天日乾燥が必要であり、大量の製鉄スラグを処理するためには膨大な乾燥のための施設面積が必要となる。さらに、特許文献1の方法では、破砕機や磁選機を用いるため、保全作業等、操業上の負荷が大きい。
特開昭59−123706号公報
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、製鉄スラグから効率よく地金を容易に回収することのできる製鉄スラグからの地金回収方法の提供を目的とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、地金の表面に被着物を有する粒状体を含む製鉄スラグから地金を回収する製鉄スラグからの地金回収方法であって、製鉄スラグへの水の供給条件及び製鉄スラグの篩条件を決定する事前準備工程と、上記事前準備工程によって決定された供給条件で水を製鉄スラグに供給し、含水した製鉄スラグを上記事前準備工程によって決定された篩条件で篩分けを行う選別工程とを有し、上記事前準備工程が、回収される製鉄スラグの粒度分布及び所定粒度の成分組成を測定する第一工程と、上記第一工程によって測定されたデータに基づいて篩目を決定する第二工程と、製鉄スラグの含水量、この含水量による製鉄スラグの体積膨張率、及び篩作業条件の関係を調査する第三工程と、上記第三工程の関係に基づいて決定した含水量となるよう製鉄スラグに水を供給し、上記第二工程で決定した篩目を用い、上記第三工程の関係に基づいて決定した篩作業条件で篩分けを行う第四工程と、第四工程後に篩上に残存した製鉄スラグについて付着したスラグ量を測定する第五工程と、第五工程の測定結果に基づいて製鉄スラグへの水の供給条件及び製鉄スラグの篩条件を決定する第六工程とを有する製鉄スラグからの地金回収方法である。
当該地金回収方法は、製鉄スラグに所定の供給条件で水を供給し、含水した製鉄スラグが膨張することで、地金表面の被着物がクラック(ひび割れ)等の発生によって地金から剥離されやすくなり、この状態で製鉄スラグを所定の篩条件で篩分けを行うことで、被着物の少なくとも一部が剥離された地金を効率よく回収することができる。また、当該地金回収方法では、製鉄スラグに適した水の供給条件及び篩条件を事前準備工程で決定するため、地金の回収効率を高めることができ、また処理時間の短縮化を図ることができる。
以上説明したように、本発明の製鉄スラグからの地金回収方法によれば、製鉄スラグから効率よく地金を容易に回収することができる。
本発明の一実施形態に係る製鉄スラグからの地金回収方法の手順を示すフロー図である。 図1の製鉄スラグからの地金回収方法の事前準備工程で測定されたKRスラグの体積膨張率(縦軸)と水和反応時間(横軸(day))との関係を示す。 図1の製鉄スラグからの地金回収方法の事前準備工程で測定されたKRスラグの体積膨張率(縦軸)と水和反応時間(横軸(min))との関係を示す。 図1の製鉄スラグからの地金回収方法の事前準備工程で測定されたKRスラグのスラグ付着割合(縦軸)とバケット振動時間(横軸(min))との関係を示す。
以下、適宜図面を参照しつつ本発明の製鉄スラグからの地金回収方法の実施形態について説明する。当該地金回収方法は、地金の表面に被着物を有する粒状体を含む製鉄スラグから地金を回収する方法であるが、まず処理対象である製鉄スラグについて説明する。
[製鉄スラグ]
製鉄スラグは、脱硫処理された溶銑上から除去される。この脱硫処理としては、CaO(酸化カルシウム)及びアルミニウム等を含む脱硫剤を溶銑に添加し、機械攪拌式脱硫装置を用いて溶銑を攪拌することによって行われる(KR法)。この脱硫処理によって溶銑上に浮かんだ製鉄スラグ(以下、KRスラグということがある)は除さいされる。この除さいは、爪状の設備によって溶銑上に浮かんだKRスラグを掻き取ることで行われる。
なお、溶銑中の硫黄(S)は、下記式(1)に示すように、CaOとの反応により硫化カルシウム(CaS)として固定化される。下記式(1)において、()内はスラグ中又は脱硫剤中の成分を表し、[]内は溶銑中の成分を表す。
(CaO)+[S]→(CaS)+[O] ・・・(1)
この製鉄スラグは、種々の粒径の粒状体の集合体から構成されている。この製鉄スラグは、地金の表面に被着物を有する粒状体を含む。この粒状体は、上記被着物であるスラグと、脱硫処理時にスラグ内に取り込まれた地金とを有する。特にKR法によっては脱硫剤と溶銑とが激しく攪拌されるため、KR法によって形成される製鉄スラグ(以下、KRスラグということがある)の中には処理途中でスラグ中に巻き込まれた溶銑が粒鉄(地金)として大量に含まれる。また、KRスラグには、上記爪状の設備で掻き取られる際に少量の溶銑も溶銑鍋から掻き出されるため、KRスラグには大小さまざまな地金が混ざった状態で排出される。
また、上記被着物であるスラグは、主に硫化カルシウムから構成されているが、このスラグには未反応のCaOが含まれている。以下、このスラグ内の未反応のCaOについて遊離CaOということがある。
ここで、製鉄スラグは、製鉄設備、製鉄処理方法等が異なると成分や粒度分布等が異なるが、例えば同一の製鉄設備で同様の製鉄処理を行った場合に得られる製鉄スラグはある程度の規則性が得られる。
[地金回収方法]
当該地金回収方法は、図1に示すように、KRスラグへの水の供給条件及びKRスラグの篩条件を決定する事前準備工程S1と、上記事前準備工程S1によって決定された供給条件で水をKRスラグに供給し、含水したKRスラグを上記事前準備工程S1によって決定された篩条件で篩分けを行う選別工程S2とを有している。
つまり、当該地金回収方法にあっては、事前準備工程S1において選別工程S2の条件を予め決定し、その後にその条件に基づいて選別工程S2が行われる。なお、上記事前準備工程S1は、各選別工程S2の都度行うことを要しない。例えば同一の製鉄設備で同様の製鉄処理を行って得られた製鉄スラグについては、上記事前準備工程S1を一度行うのみで複数回の上記選別工程S2を行うことが可能である。
<事前準備工程>
当該事前準備工程S1は、以下の工程を有する。
(1)KRスラグの粒度分布及び所定粒度の成分組成を測定する第一工程S11。
(2)第一工程S11によって測定されたデータに基づいて篩目を決定する第二工程S12。
(3)KRスラグの含水量、この含水量によるKRスラグの体積膨張率、及び篩作業条件の関係を調査する第三工程S13。
(4)第三工程S13の関係に基づいて決定した含水量となるようKRスラグに水を供給し、第二工程S12で決定した篩目を用い、第三工程S13の関係に基づいて決定した篩作業条件で篩分けを行う第四工程S14。
(5)第四工程S14の後に篩上に残存したKRスラグについて付着したスラグ量を測定する第五工程S15。
(6)第五工程S15の測定結果に基づいてKRスラグへの水の供給条件及びKRスラグの篩条件を決定する第六工程S16。
(第一工程)
第一工程S11では、KRスラグの粒度分布と、所定粒度における組成割合とを測定する。粒度分布は、篩目の異なる篩を用いることで測定できる。具体的には、例えば篩目100mmの篩、篩目40mmの篩及び篩目20mmの篩を用いて、KRスラグにおけるすく粒度の質量%(粒度分布)を測定する。この測定の結果の一例としては、100mmの篩目を通過しなかったものが3質量%、100mmの篩目を通過し40mmの篩目を通過しなかったものが97質量%、40mmの篩目を通過し20mmの篩目を通過しなかったものが46質量%、20mmの篩目を通過したものが34質量%であった。この測定結果のもと、このKRスラグの粒度分布について表1に示す。つまり、20mmの篩目を通過したもの(粒径20mm以下)が34質量%、40mmの篩目を通過し20mmの篩目を通過しなかったもの(粒径20〜40mm)が12質量%、100mmの篩目を通過し40mmの篩目を通過しなかったもの(粒径40〜100mm)が51質量%、100mmの篩目を通過しなかったものが3質量%であった。なお、篩目は、それぞれ格子状に配され、各目が正方形状であるものを使用できる。
Figure 2018095932
そして、粒径20mm以下のもの、粒径20mm〜40mmのもの、及び粒径40mm超のものについて、それぞれ組成割合を測定した。具体的には、それぞれCaO、遊離CaO、SiO(シリカ)、Al(アルミナ)、T.Fe(全鉄)、FeO(酸化第一鉄)、M.Fe(金属鉄)及びSの組成割合(何れも質量%)を測定し、その結果を表2に示す。なお、各組成割合は、各粒径の全体質量(例えば40mm超の粒径の全体質量)に対する各組成の質量%を示す。なお、各組成割合は従来公知の方法によって測定でき、例えば、JIS−A1102(2014)に準拠して測定できる。
Figure 2018095932
転炉で地金をリサイクルする場合、地金に付着しているスラグの成分によって、リサイクル機会が制約される場合がある。一例として、硫黄を多く含むスラグが多く付着している地金の場合、低い硫黄含有量を求められる鋼を精錬している処理にはリサイクルできない。その場合、高価な清浄スクラップを使用する必要が生じるため、操業コストの悪化を招くおそれがある。このため、事前に各粒度分布における組成割合を測定することで、後述するような効果的なリサイクルが可能となる。
(第二工程)
第二工程S12では、上述のように第一工程S11によって測定されたデータに基づいて篩目を決定する。例えば、表1及び表2に示す例にあっては、KRスラグ全体において質量%が高く、また組成中のM.Feの割合が多い粒径40mmのKRスラグを選別するために、40mmの篩目に決定する。
サイズが小さい地金を転炉にリサイクルする場合、地金を装入した転炉に溶銑装入時に水蒸気爆発が生じるおそれがあるが、上述のように粒径40mm以上のKRスラグであれば、転炉にリサイクルしても上記不都合が生じにくい。
(第三工程)
第三工程S13では、上述のようにKRスラグの含水量、この含水量によるKRスラグの体積膨張率、及び篩作業条件の関係を調査する。表2に示すように、KRスラグにはCaOが多く含まれ、このCaOの大半は遊離CaOとして存在している。この遊離CaOは水と反応してCa(OH)となり、その際に体積膨張を伴う。図2及び図3に体積膨張率と水和反応時間との関係を示す。
ここで、含水量及び体積膨張率は、従来公知の方法によって測定でき、例えば、含水量はJIS−A1125(2015)に準拠して測定できる。また、体積膨張率は、JIS−A1104(2006)に準拠して測定した密度から、下記式(2)によって求めることが出来る。ここで、Vは含水前後での体積膨張率、ρiは含水前のKRスラグの密度、ρfは含水後のKRスラグの密度である。
V=1+(1/ρf−1/ρi)/(1/ρi) ・・・ (2)
図2及び図3に示すように体積膨張は、水和時間と共に進行し、全ての遊離CaOが反応(若しくは全ての水分が反応)した時に停止する。完全に遊離CaOを反応させるためにはKRスラグを数日間水没させることを要するが、地金に付着するスラグにクラックを発生させためには完全に遊離CaOを反応させることを要しない。つまり、本発明者らは、スラグが完全に含水しなくとも、体積膨張率が一定以上(例えば1.01倍以上)となれば、その後の篩作業で地金に付着したスラグにクラックが発生し、このスラグが地金から剥離されやすいことを見出した。
(第四工程)
第四工程S14では、上述のように第三工程S13の関係に基づいて決定した含水量となるようKRスラグに水を供給し、第二工程S12で決定した篩目の篩を用い、第三工程S13の関係に基づいて決定した篩作業条件で篩分けを行う。
ここで、篩としては、格子状の篩目を有するバケットを用いることができ、特に重機に付設可能なスケルトンバケットを用いることが好ましい。なお、この第四工程S14では、KRスラグを運搬台車によって運搬し、この運搬台車上のKRスラグに対して散水作業を行い、この散水作業の直後に運搬台車からKRスラグを重機に付設されたスケルトンバケットで掬い、スケルトンバケットを振動することでKRスラグに対して篩作業を行うことができる。散水作業と篩作業との時間的間隔は、上述の体積膨張率が一定以上(例えば1.01倍)となれば足りる。
より具体的には、表1及び表2に示すKRスラグについて、散水して所定の含水量とした。ここで、含水量が3質量%、5質量%及び7質量%とそれぞれなるように散水条件(散水量及び散水時間)を調整し、このKRスラグを篩目40mmのスケルトンバケットを用いて篩作業を行った。ここで、篩作業時間30秒、1分30秒及び3分それぞれの篩作業を行った。この第四工程S14において、篩作業後に篩上のKRスラグを回収すると共に、篩から落下した落下物も回収した。
(第五工程)
第五工程S15では、上述のように篩作業後に篩上から回収したKRスラグについて、付着したスラグ量を測定する。具体的には、この第五工程S15において、例えば篩上から回収したKRスラグを恒温乾燥機によって105℃で15時間乾燥した後、地金表面から手作業でスラグを除去し、付着したスラグ量を測定する。
(第六工程)
第六工程S16では、上述のように第五工程S15の測定結果に基づいてKRスラグへの水の供給条件及びKRスラグの篩条件を決定する。この決定に際して、第五工程S15で測定した付着したスラグ量について地金の質量に対する割合(以下、スラグ付着割合ということがある)を算出し、この算出結果に基づいてKRスラグへの水の供給条件及びKRスラグの篩条件を決定する。
図4に、表1及び表2のKRスラグに対して第四工程S14で含水量をそれぞれ3質量%、5質量%及び7質量%に調整したものについての上記スラグ付着割合(単位は[g/kg])と、篩作業時間との関係を示す。この図4からも明らかなように、含水量3質量%では篩作業時間を長くしても、スラグ付着量は低下しなかった。これは、KRスラグの含水量が低すぎ、遊離CaOが十分に反応しなかったためと考えられる。また、含水量5質量%では、1.5分以上篩作業を行うとスラグ付着量が大きく低下した。これは、遊離CaOの水和反応が効果的に進行し、地金からスラグが剥離しやすくなり、篩作業時の振動によって地金から剥離されたものと考えられる。さらに、含水量7質量%では、含水量5質量%のものに比べて篩作業1.5分後のスラグ付着量は低下したものの、地金から剥離したスラグがスラリー状となって篩上に残留した。この結果、表1及び表2のKRスラグに関しては、含水量を5質量%に調整し、篩目40mmで振動時間1.5分とすることで、余剰の水を供給することなく、短時間で効率的にスラグ付着量を低減できることが判明した。
さらに、上述のKRスラグへの水の供給条件及びKRスラグの篩条件の決定に際しては、下記式(3)によって求められる目標とする地金へのKRスラグ付着量D[g/kg]を基準に判断される。
D≦A×100/(W×S) ・・・ (3)
ここで、式(3)において、Aは転炉での一回当たりの硫黄許容量A[g/回]であり、W[kg/回]はKRスラグから回収した地金の転炉への投入量であり、S[質量%]は地金に付着しているKRスラグの硫黄含有量である。
<選別工程>
選別工程S2では、上述のように上記第六工程S16によって決定された供給条件で水をKRスラグに供給する工程S21と、水が供給され含水したKRスラグを上記第六工程S16によって決定された篩条件で篩分け作業を行う工程S22とを有する。
この選別工程S2では、溶銑から除去されたKRスラグを重機で運搬台車に積載して搬出した後、まず水冷及び空冷がなされる。つまり、選別工程S2は、上記水の供給工程S21の前にKRスラグを第一の温度(100℃〜200℃)まで水冷する工程S23と、この水冷工程S23の後にKRスラグを第二の温度(100℃以下)まで空冷する工程S24とをさらに有する(図1参照)。
上記水冷工程S23は、例えばスラグ1tあたり、880L/時間の散水を1時間行うことでなされる。上記水の供給工程S21は、空冷工程S24の後になされ、この水の供給工程S23によってKRスラグの含水量が調整される。
そして、水の供給工程S21の後、篩工程S22がなされる。この篩工程S22の後に、40mmの篩上に残存したKRスラグは転炉に利用される。この篩工程S22は、上述したスケルトンバケットを用いて行われるとよい。ここで、篩条件としては、上述のように事前準備工程S1によって定められ、具体的には、40mmの格子状の篩目かつ有効篩面積10mのスケルトンバケットを用い、一回あたりにスケルトンバケットに5tのKRスラグを掬い、振動時間90秒/回、振幅30cm、振動水3.2Hzで篩作業を行った。
なお、上記篩工程S22の際に40mmの篩の下方に20mmの篩を設置することができ、40mmの篩を通過し20mmの篩上に残存したKRスラグについてはKR法(機械攪拌式脱硫装置)に利用することができ、また、20mmの篩を通過したKRスラグは焼結に使用することができる。
[利点]
当該地金回収方法は、水の供給工程S21でKRスラグに所定の供給条件で水を供給することで、KRスラグが含水して膨張する。この膨張に伴って地金表面の被着物(スラグ)にクラック(ひび割れ)等が発生し、これによって地金から剥離されやすくなる。そして、含水した状態のKRスラグに対して所定の篩条件での篩工程S22を行うことで、被着物が剥離された地金を効率よく回収することができる。また、当該地金回収方法では、KRスラグに適した水の供給条件及び篩条件を上述のように事前準備工程S1で決定するため、地金の回収効率を高めることができ、また処理時間の短縮化を図ることができる。
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
つまり、地金の回収対象の製鉄スラグとしてKRスラグを例に説明したが、その他の鉄鋼スラグを対象とすることも可能である。ただし、表面の付着物が遊離CaOを含む製鉄スラグを対象とすることが好ましく、これにより水の供給により含水させた際に付着物が膨張することで付着物の剥離が効果的に行われる。
また、上記実施形態においては、選別工程が水冷工程及び空冷工程を具備するものであったが、本発明はこれに限定されない。ただし、KRスラグに対して100〜200℃まで冷却する水冷工程を行うことが好ましく、これにより、大量の粉体を含むKRスラグの水蒸気爆発や粉塵による環境悪化の抑制効果が図られる。また、水冷工程による冷却を100℃以上までで終了することで、KRスラグがスラリー状になり運搬等の取り扱いが困難となることを抑制できる。さらに、水の供給工程の開始時に鉄鋼スラグが100℃未満であることが好ましく、これにより鉄鋼スラグの含水量を調整しやすい。
さらに、上記実施形態においては篩としてスケルトンバケットを用いるものについて説明したが、例えば振動スクリーン等の一般的な篩設備を用いて篩作業を行うことも可能である。
以上説明したように、当該製鉄スラグからの地金回収方法は、上述のように製鉄スラグから効率よく地金を容易に回収することができるので、鋼材の製造に有用である。
S1 事前準備工程
S11 第一工程
S12 第二工程
S13 第三工程
S14 第四工程
S15 第五工程
S16 第六工程
S2 選別工程
S21 水の供給工程
S22 篩工程
S23 水冷工程
S24 空冷工程

Claims (1)

  1. 地金の表面に被着物を有する粒状体を含む製鉄スラグから篩を用いて地金を回収する製鉄スラグからの地金回収方法であって、
    製鉄スラグへの水の供給条件及び製鉄スラグの篩条件を決定する事前準備工程と、
    上記事前準備工程によって決定された供給条件で水を製鉄スラグに供給し、含水した製鉄スラグを上記事前準備工程によって決定された篩条件で篩分けを行う選別工程と
    を有し、
    上記事前準備工程が、
    製鉄スラグの粒度分布及び所定粒度の成分組成を測定する第一工程と、
    上記第一工程によって測定されたデータに基づいて篩目を決定する第二工程と、
    製鉄スラグの含水量、この含水量による製鉄スラグの体積膨張率、及び篩作業条件の関係を調査する第三工程と、
    上記第三工程の関係に基づいて決定した含水量となるよう製鉄スラグに水を供給し、上記第二工程で決定した篩目を用いて、上記第三工程の関係に基づいて決定した篩作業条件で篩分けを行う第四工程と、
    第四工程によって選別された製鉄スラグの地金について付着したスラグ量を測定する第五工程と、
    第五工程の測定結果に基づいて製鉄スラグへの水の供給条件及び製鉄スラグの篩条件を決定する第六工程と
    を有する製鉄スラグからの地金回収方法。
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