以下、本発明の屋根構造体の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態においては、屋根構造体をカーポート1に適用した例について説明する。カーポート1は、屋根体4の下方に、1台又は複数台の自動車の駐車スペースが確保されている。なお、本実施形態においては、屋根構造体をカーポート1に適用した例について説明するが、これに限定されない。また、屋根構造体を、カーポート以外の構造物、例えば、駐輪場、シェルター、休憩所、テラス、バス停などの構造物に適用してもよい。
図1は、本発明の一実施形態に係るカーポート1を上方側から見た斜視図である。図2は、本発明の一実施形態に係るカーポート1を下方側から見た斜視図である。図3は、屋根体4の左右方向の下流側端部側の構造を示す要部拡大斜視図である。図4は、図1におけるA−A線断面図である。図5は、屋根体4を構成する下流側樋構成形材42の梁3への接続構造を示す断面図である。図6は、屋根体4を構成する中間形材43の梁3への接続構造を示す断面図である。図7は、図1におけるB−B線断面図である。図8は、屋根体側部枠材8を示す斜視図である。図9は、屋根体側部枠材8を取り付けた状態で屋根体4の前後方向の端部を下方側から見た斜視図である。図10は、屋根体側部枠材8を取り付けた状態で屋根体4の前後方向の端部を上方側から見た斜視図である。図11は、屋根体4の前後方向の端部における連結端部止水部480を示す斜視図である。図12(a)は、水受け流路部840に充満された場合の水が流れる部分の断面積S1を示す図であり、図12(b)は、隣接する長尺形材41同士の嵌合部分450の嵌合隙間451の断面積S2を示す図である。
なお、本実施形態の説明においては、カーポート1の屋根体4を構成する複数の長尺形材(長尺材)41が延びる方向を前後方向(長尺形材41の長手方向)ともいう。また、図1において、カーポート1の左手前側を前側ともいい、カーポート1の右奥側を後側ともいう。また、梁3が延びる方向であって、長尺形材(長尺材)41が延びる前後方向に直交する方向を左右方向(長尺形材41の長手方向に交差する方向)ともいう。本実施形態においては、屋根体4が左右方向において傾斜しており、屋根体4の左右方向を傾斜方向ともいい、図1における左奥側を上流側ともいい、図1における右手間側を下流側ともいう。
まず、本実施形態のカーポート1の全体構造について説明する。本実施形態のカーポート1は、図1及び図2に示すように、屋根体4を左右方向の両側それぞれにおいて一対の支柱2で支持する、いわゆる、両支持構造のカーポートである。また、本実施形態のカーポート1は、支柱2に接続された梁3の下部(下方)に、屋根体4が吊られて接続される吊構造で構成される。
図1及び図2に示すように、本実施形態のカーポート1は、地面11に立設される2組の一対の支柱2(柱材)と、支柱2の上端部から支柱2に交差する方向に延びる2つの梁3と、2つの梁3の下方に配置され屋根体端部側樋構造40を有する屋根体4と、を備える。支柱2及び梁3は、アルミ材料の押出し形材で形成され、断面が中空状の中空部を有するホロー構造を有する。
2組の支柱2(柱材)は、図1及び図2に示すように、一対の支柱2が前後方向に2組並んで配置される。一対の支柱2は、カーポート1の左右方向の両側に屋根体4を挟んで対向して配置され、梁3の左右方向の両端部に接続される。
2組の一対の支柱2は、図1に示すように、カーポート1の前後方向に離間して配置される。支柱2は、上下方向に延びて形成される。支柱2は、図1に示すように、横断面が角筒状に形成される中空状の支柱本体部21と、支柱本体部21の屋根体4側の側面から屋根体4側に突出すると共に上下方向に延びる一対のカバー取付壁22と、を有する。一対のカバー取付壁22には、支柱カバー部材23が取り付けられる。支柱2の上端部には、支柱2の上端部の開口を覆うように、支柱キャップ24が配置される。
支柱2と支柱カバー部材23との間には、図3及び図4に示すように、屋根体4の左右方向の下流側において、屋根体4の屋根体端部側樋構造40(後述)から排出された水が流される。屋根体4の左右方向の下流側に配置される支柱2と支柱カバー部材23との間には屋根体4の屋根体端部側樋構造40(後述)から排出された水が流入して水が流れるため、支柱2及び支柱カバー部材23は支柱側樋構成部20(柱材側樋構造)として構成される。本実施形態においては、支柱2と支柱カバー部材23との間に雨樋用のホースなどが配置されずに、支柱2及び支柱カバー部材23だけで、縦樋を構成する。
2つの梁3は、図1に示すように、カーポート1の前後方向に離間して配置される。2つの梁3は、それぞれ、屋根体4の左右方向に延びる。2つの梁3の左右方向の両端部(右側及び左側の端部)は、図4に示すように、L字状の接続部材25を介して、支柱2の上端部に接続される。2つの梁3の下部には、屋根体4が接続される。
2つの梁3は、図1及び図3に示すように、それぞれ、断面が角筒状に形成される梁側ホロー部31と、延出板部32と、を有する。本実施形態においては、2つの梁3は、屋根体4の前後方向に離間して対向して配置されており、梁3の対向面(梁3の面における対向する別の梁3側の面)側の構成は、同様の構成である。
延出板部32は、梁側ホロー部31の下端部から、屋根体4における前後方向の中央側(一対の梁3のうち、当該梁3とは別の梁3側)に向けて延出すると共に、左右方向に延びる板状に形成される。
延出板部32は、図3及び図4に示すように、左右方向に並んで複数配置されるネジ部材101により、延出板部32において、屋根体4に固定される。
屋根体4は、図1に示すように、屋根体4が2つの梁3の下部に吊られて配置される吊り下げ構造であって、2つの梁3の下部に取り付けられる(接続される)。屋根体4は、複数の長尺形材(長尺材)41が、梁3が延びる方向に並んで連設されて互いが嵌合して連結されて構成される。
屋根体4の上面4aは、図4に示すように、屋根体4の左右方向において、例えば、傾斜角度αの角度で、屋根体4の左右方向の一方側(図4における右側)が下る下り傾斜に形成される(屋根体4の他方側(図4における左側)から一方側(図4における右側)に向かうに従って下るように傾斜する)。そのため、屋根体4の上面4aを流れる水の流れとしては、屋根体4の左右方向の一方側(図4における右側)が下流側となる。本実施形態においては、例えば、屋根体4の左右方向の傾斜角度αを1°〜2°程度に設定している。また、屋根体4は、前後方向においては、傾斜していない。
複数の長尺形材41は、図1及び図3に示すように、それぞれ、カーポート1の前後方向(梁3が延びる方向に直交する方向)に延びている。複数の長尺形材41は、それぞれ、アルミ材料の押出し形材で形成され、断面が中空状に形成される中空部を有するホロー構造を備える。屋根体4は、上面4a及び下面4bがフラット(平面状)に形成される。本実施形態では、屋根体4の上面4aが平面状に形成されることから、屋根体4を傾かせるだけで、屋根体4の上面4aの水を、容易に、屋根体4の傾斜面に沿って流すように構成している。
ここで、以下の長尺形材41の説明において、左右方向の区別が必要な場合には、図4〜図6等における右側を、一方側といい、図4〜図6等における左側を、他方側という。
屋根体4を構成する複数の長尺形材41は、図4〜図6に示すように、左右方向に並んで配置され、一方側の端部に配置される下流側樋構成形材42と、他方側の端部に配置される上流側構成形材44と、左右方向において下流側樋構成形材42と上流側構成形材44との間に配置される複数の中間形材43と、により構成される。複数の長尺形材41は、それぞれ、梁3に接続される。
下流側樋構成形材42は、図4に示すように、複数の長尺形材41のうち、複数の長尺形材41が並ぶ方向の一方側の端部(屋根体4の左右方向の下流側の端部)に配置される長尺形材であり、屋根体4において、複数の長尺形材41が並ぶ方向の一方側の端部(屋根体4の下流側の端部)に並列に配置される。下流側樋構成形材42は、中空部を有さないソリッド状の部材により形成され、上部側が上方側に向けて開口する長尺形材により形成される。これにより、下流側樋構成形材42は、屋根体4の上面4aから凹む凹状の屋根体端部側樋構造40として構成される。屋根体端部側樋構造40は、長尺形材41(下流側樋構成形材42)の長手方向に沿って延びて構成される。屋根体端部側樋構造40は、下流側樋構成形材42の長手方向に延びて形成され、支柱2と支柱カバー部材23との間の支柱側樋構成部20(柱材側樋構造)に接続される。
また、上流側構成形材44は、複数の長尺形材41のうち、複数の長尺形材41が並ぶ方向の他方側の端部(屋根体4の左右方向の上流側の端部)に配置される長尺形材であり、屋根体4において、複数の長尺形材41が並ぶ方向の他方側の上流側の端部に並列に配置される。上流側構成形材44は、中空部を有するホロー構造を備えて形成される長尺形材により形成される。
また、複数の中間形材43は、屋根体4の左右方向において、下流側樋構成形材42と上流側構成形材44との間に並んで配置される。複数の中間形材43は、中空部を有するホロー構造を備えて形成される長尺形材により形成される。
図4に示すように、長尺形材41における下流側樋構成形材42の左右方向の一方側の部分と梁3の延出板部32とは、複数のネジ部材101のうちのネジ部材102で固定される。また、長尺形材41における下流側樋構成形材42の他方側の部分と梁3の延出板部32とは、複数のネジ部材101のうちのネジ部材103で固定される。
長尺形材41における中間形材43の他方側の部分と梁3の延出板部32とは、複数のネジ部材101のうちのネジ部材103で固定される。
長尺形材41における上流側構成形材44の左右方向の他方側の部分と梁3の延出板部32とは、複数のネジ部材101のうちのネジ部材104で固定される。
下流側樋構成形材42は、図5に示すように。屋根体4の左右方向の一方側に形成される上方に向けて開放したソリッド状の端部側ソリッド状樋構成部421と、屋根体4の左右方向の他方側に形成される他方側上部外方延出片427(接続される部分)と、屋根体4の左右方向の他方側に形成される他方側下部外方片428と、を有する。
端部側ソリッド状樋構成部421は、上方が開放する略U字形状の凹状の樋構成部本体422と、屋根体4の左右方向の一方側に配置される一方側上部内方延出片423(接続される部分)と、他方側上部内方延出片424と、水切りフィン425と、一方側上部壁426と、を有する。
樋構成部本体422は、屋根体4の上面4aにおいて支柱2側に流された水を、上方の開放された部分から導入して受け止める。樋構成部本体422の左右方向の一方側の側面には、導出開口422a(排水口)が形成される。
導出開口422aは、屋根体4の左右方向の下流側の端部において、樋構成部本体422の側面を支柱2側の側方に貫通して形成される。導出開口422aには、誘導部材26の屋根体側開口部261(後述)が接続される。
誘導部材26は、図3及び図5に示すように、屋根体端部側樋構造40に流れ込んで滞留した水を、支柱側樋構成部20に誘導する。誘導部材26は、誘導部材本体27と、フィルタ部材28と、を有する。誘導部材本体27は、L字状の筒状に形成され、側部に形成された屋根体側開口部261と、下端部に形成された支柱側開口部262と、を有する。誘導部材本体27は、一方側の屋根体側開口部261が樋構成部本体422(屋根体端部側樋構造40)の側面に形成された導出開口422aに接続されると共に、他方側の支柱側開口部262が支柱側樋構成部20の内部に開口される。
フィルタ部材28は、図5に示すように、誘導部材本体27の屋根体側開口部261に配置される。フィルタ部材28は、誘導部材26に誘導された汚れ(例えば、落ち葉など)をせき止めて捕捉する。フィルタ部材28は、上下方向に延びる複数の板材で形成される。フィルタ部材28の複数の板材は、屋根体側開口部261を複数の開口に仕切るように、屋根体側開口部261の横方向に並んで配置される。
一方側上部内方延出片423は、図5に示すように、端部側ソリッド状樋構成部421の一方側において、端部側ソリッド状樋構成部421の上方側の他方側の内面から他方側に突出する。一方側上部内方延出片423の上面には、梁3の延出板部32が配置される。梁3の延出板部32及び一方側上部内方延出片423は、ネジ部材102により共締めされる。
他方側上部内方延出片424は、端部側ソリッド状樋構成部421の幅方向の一方側と反対側の他方側において、端部側ソリッド状樋構成部421の上端部から内側に突出する。他方側上部内方延出片424の一方側の端部には、下方に突出する引っ掛け突出片424aが形成される。
下流側樋構成形材42を梁3に取り付ける場合には、下流側樋構成形材42の引っ掛け突出片424aを、梁3の延出板部32の下面に固定されたフック部110の立ち上がり板110dに引っ掛けることで、下流側樋構成形材42を、梁3の延出板部32の下面に仮置きできる。また、下流側樋構成形材42の引っ掛け突出片424aを梁3の延出板部32の下面に固定されたフック部110の立ち上がり板110dに引っ掛けた状態で、引っ掛け突出片424aを中心に下流側樋構成形材42を回転することで、下流側樋構成形材42を、取り付け位置に配置できる。
フック部110は、図5に示すように、梁3の延出板部32の下面にネジ部材105により固定される取付板110aと、取付板110aの他方側の端部から下方に延びる上下方向延在板110bと、上下方向延在板110bの下端部から他方側に延びる底面板110cと、底面板110cの他方側の端部から立ち上がる立ち上がり板110dと、を有する。
下流側樋構成形材42の引っ掛け突出片424aは、下流側樋構成形材42が梁3に固定された状態においては、フック部110の上方に配置される。これにより、下流側樋構成形材42が梁3に固定された状態において、下流側樋構成形材42を固定するネジ部材102,103が外れた場合においても、引っ掛け突出片424aは、フック部110の立ち上がり板110dに引っ掛かって、下流側樋構成形材42の落下を抑制できる。
水切りフィン425は、樋構成部本体422における屋根体4の一方側において、樋構成部本体422の下端部から下方に突出する。水切りフィン425の下端部425aの位置は、上下方向において、支柱カバー部材23の上端部よりも下方に位置する。
水切りフィン425は、屋根体側部枠材8(後述)により伝達された水を、屋根体4の下面4bに回り込まないように、屋根体4の下方に落下させる。
一方側上部壁426は、屋根体4の一方側の端部において、屋根体4の上面4aから立設して形成される。一方側上部壁426は、屋根体4の一方側の端部において、水の飛び出しを低減する。
他方側上部外方延出片427は、樋構成部本体422における屋根体4の左右方向の他方側(図5における左側)の上端部から左右方向の他方側に向けて延出する。他方側上部外方延出片427は、下流側樋構成形材42の左右方向の他方側の端部の上端部に配置され、ネジ部材103により梁3の延出板部32に固定される固定部(接続される部分)を構成する。他方側上部外方延出片427は、中間形材43における引っ掛け係合部428aの上方に形成される。
他方側上部外方延出片427における屋根体4の左右方向の他方側(図5における左側)の端部には、側方に延出する側方延出壁427bと、下方延出壁427cと、が形成される。
下方延出壁427cにおける屋根体4の左右方向の他方側の面には、隣接する中間形材43の一方側の端部に取り付けられるビード材401(止水材)が押圧される。ビード材401は、下流側樋構成形材42と中間形材43との連結部分に配置される止水部として機能する。ビード材401は、下流側樋構成形材42及び隣接する中間形材43(長尺形材41)の連結部分が延びる方向、即ち、長尺形材41の長尺方向(長手方向)に沿って延びるように形成される。
他方側下部外方片428は、樋構成部本体422における屋根体4の左右方向の他方側の下端部から他方側に延出する。他方側下部外方片428における他方側の端部には、上方側に突出する引っ掛け係合部428aが形成される。
引っ掛け係合部428aは、図5に示すように、梁3に取り付けられた下流側樋構成形材42の左右方向の他方側の端部において、下流側樋構成形材42の下端部に形成される。引っ掛け係合部428aは、梁3に取り付けられた下流側樋構成形材42の左右方向の他方側の端部において、下流側樋構成形材42の下端部に配置される他方側下部外方片428から上方に立ち上がると共に、立ち上がった上端部において長手方向に直交する幅方向に延びるT字状に形成される。
中間形材43の引っ掛け係合部428aは、隣接する中間形材43の一方側の下端部の側面から一方側に突出する一方側下部突出片436と、隣接する中間形材43の一方側の端部に形成される引っ掛け延出片435の引っ掛け片435bと、(後述)に係合可能である。
他方側下部外方片428の上面には、隣接する長尺形材41の中間形材43における中段樋構成部410(止水部)から溢れた水が流通する。他方側下部外方片428の上面は、屋根体4の内部において、上下方向の下段に位置する下段樋構成部420を構成する。下段樋構成部420は、水を流す樋機能を有すると共に、止水部として機能する。下段樋構成部420は、ビード材401を通過して中段樋構成部410に受け止められて中段樋構成部410(止水部)から溢れた水を受け止める。下段樋構成部420は、中段樋構成部410から溢れて受け止めた水を前後方向の両端部側に流通させる。
つまり、屋根体4は、隣接する長尺形材41の連結部分において、図5に示すように、2段の樋構造を備えており、上段側に配置されると共に上段側で水を受け止める中段樋構成部410と、下段側に配置されると共に下段側で中段樋構成部410から溢れた水を受け止める下段樋構成部420と、を備えている。中段樋構成部410及び下段樋構成部420は、隣接する長尺形材41の連結部分が延びる方向、即ち、長尺形材41の長尺方向(長手方向)に沿って延びる。
下流側樋構成形材42は、図5に示すように、屋根体4の左右方向の一方側において、上方側から移動されるネジ部材102により、梁3の延出板部32と共締めされる。
また、下流側樋構成形材42は、屋根体4の左右方向の他方側において、上方側から移動されるネジ部材103により、他方側上部外方延出片427は、梁3の延出板部32と共締めされる。
中間形材43は、図4に示すように、左右方向の一端側に配置される下流側樋構成形材42と他端側に配置される上流側構成形材44との間に複数並んで配置される。中間形材43は、図6に示すように、一方側に配置される第1中間ホロー部431と、第1中間ホロー部431の左右方向の他方側に配置される第2中間ホロー部432と、第1中間ホロー部431における一方側の上端部の側面に形成されるビード材取付凹部433と、第1中間ホロー部431の中間形材43側の面において上下方向の略中央から中間形材43側に延在するL字状の中段樋部434と、中段樋部434の一方側の端部の下端部から下方に延びるL字状の引っ掛け延出片435と、第1中間ホロー部431における中間形材43側の下端部の側面から一方側に突出する一方側下部突出片436と、他方側上部外方延出片437(接続される部分)と、他方側下部外方片438と、を有する。
中段樋部434の一方側の端部の下方側には、図6に示すように、下方に開口(開放)する開口部439が形成される。開口部439は、中段樋部434における第1中間ホロー部431の一方側に配置される上下方向に延びる端辺431aと、L字状の引っ掛け延出片435とにより形成される。開口部439の開口縁には、開口部439の開口縁から開口部439の内側に互いに対向して突出する対向突出部439aが形成される。本実施形態においては、対向突出部439aは、一方側下部突出片436と、L字状の引っ掛け延出片435の引っ掛け片435b(後述)と、により構成され、互いが近づくように、開口部439の内側に向けて突出して延びる。
以上のように構成される下流側樋構成形材42及び中間形材43においては、隣接する下流側樋構成形材42及び中間形材43が連結した状態において、下流側樋構成形材42の引っ掛け係合部428aは、隣接する中間形材43の開口部439の内部に配置された状態で、上下方向の移動を規制するように、対向突出部439a(一方側下部突出片436、L字状の引っ掛け延出片435の引っ掛け片435b)に引っ掛かって嵌合する。
ビード材取付凹部433は、一方側に隣接する下流側樋構成形材42の下方延出壁427cに対向して配置される。図5及び図6に示すように、ビード材取付凹部433の上面433aは、屋根体4の上面4aから一段下がった位置に形成される。ビード材取付凹部433の上面433aには、側方延出壁427bが配置される。つまり、側方延出壁427bは、ビード材取付凹部433の上面433aに重なって配置される。ビード材取付凹部433は、隣接する長尺形材41の連結部分が延びる方向、即ち、長尺形材41の長尺方向(長手方向)に沿って延びる。
ビード材取付凹部433には、ビード材401が取り付けられる。ビード材401は、ビード材取付凹部433に取り付けられた状態で、一方側に隣接する下流側樋構成形材42の下方延出壁427cを押圧する。ビード材401は、下流側樋構成形材42と中間形材43との連結部分に配置され、止水部として機能する。
以上のように、ビード材取付凹部433の上面433aには、側方延出壁427bが重なって配置される。このため、ビード材401が外部に直接露出されないため、ビード材401の耐候性を向上でき、ビード材401の劣化を低減できる。
中段樋部434は、底壁部434aと、立設片434bと、を有する。中段樋部434は、屋根体4の内部において、上下方向の中段に位置する中段樋構成部410を構成する。中段樋構成部410は、水を流す樋機能を有すると共に、止水部として機能する。中段樋構成部410は、ビード材401で止水できなかったビード材401を通過した水を受け止めて、受け止めた水を前後方向の両端部側に流通させる。
L字状の引っ掛け延出片435は、下方延出片435aと、下方延出片435aの下端部から中間形材43の幅方向中央部に向かう引っ掛け片435bと、を有する。引っ掛け片435bは、隣接する下流側樋構成形材42の他方側の端部に形成される引っ掛け係合部428aに係合可能である。引っ掛け片435bは、引っ掛け係合部428aに係合した状態で、引っ掛け係合部428aを中心に回転可能である。
下流側樋構成形材42の隣りに、隣接する中間形材43を取り付ける場合には、梁3の延出板部32が接続された下流側樋構成形材42の引っ掛け係合部428aに、中間形材43の引っ掛け延出片435を引っ掛けることで、梁3の下方において、中間形材43を仮置きできる。また、下流側樋構成形材42の引っ掛け係合部428aに中間形材43の引っ掛け延出片435を引っ掛けた状態で、引っ掛け延出片435の先端を中心に中間形材43を回転することで、中間形材43を取り付け位置に配置できる。
中間形材43を取り付け位置に配置した状態においては、下流側樋構成形材42における左右方向の他方側には、下流側樋構成形材42の引っ掛け係合部428aに中間形材43の引っ掛け延出片435が嵌合した状態で、中間形材43が取り付けられる。
中間形材43の他方側上部外方延出片437及び他方側下部外方片438については、説明しない点については、下流側樋構成形材42の他方側上部外方延出片427及び他方側下部外方片428の構造と同様である。そのため、中間形材43の他方側上部外方延出片437及び他方側下部外方片438の構造については、図6において下流側樋構成形材42の構造に対応する符号を付して、その説明を省略する。
また、連続して配置される複数の中間形材43の構成は全て同様の構成であるため、その説明を省略する。梁3に接続した中間形材43の隣りに、隣接する中間形材43を取り付ける場合には、下流側樋構成形材42の隣りに中間形材43を取り付ける場合と同様に、梁3の延出板部32に接続された中間形材43の引っ掛け係合部438aに、中間形材43の引っ掛け延出片435を引っ掛けることで、梁3の下方において、中間形材43を仮置きできる。また、中間形材43の引っ掛け係合部438aに中間形材43の引っ掛け延出片435を引っ掛けた状態で、引っ掛け延出片435を中心に中間形材43を回転することで、中間形材43を取り付け位置に配置できる。隣接する中間形材43を取り付け位置に配置した状態においては、中間形材43における左右方向の他方側には、中間形材43の引っ掛け係合部438aに、隣接する中間形材43の引っ掛け延出片435が嵌合した状態で、隣接する中間形材43が取り付けられる。
屋根体4の左右方向の他方側の端部に配置される上流側構成形材44は、一方側の端部の構成が、中間形材43の一方側の端部の構成と同様であり、他方側の端部の構成は、ネジ部材104により、他方側の端部の上面が梁3の延出板部32に固定される。そのため、屋根体4の左右方向の他方側の端部に配置される上流側構成形材44の説明を省略する。
以上のように構成される屋根体4は、図5〜図7に示すように、アルミ材料の押出し形材で形成された複数の長尺形材41を連結して屋根体4を構成することで、複数の長尺形材41を、屋根体4の面材として使用できると共に、屋根体4の強度を確保することができる。また、屋根体4を構成する複数の長尺形材41を、中空部を有する形材で構成することで、屋根体4自体を強度部材として使用でき、屋根体4の強度を出すための部材を別に設ける必要がない。よって、屋根体4を構成する部材の部品点数を低減できる。
また、屋根体端部側樋構造40は、上部側が開口しているため、屋根体4の下方から見た場合に、長尺形材41のフラットな(平面状の)下面4bが見えるだけで、屋根体4の上面4a側に樋が存在することを認識させずに樋を構成できる。そのため、複数の長尺形材41が並んで連設されることで屋根体4を構成しており、屋根体4の下面4bを平面状に形成されるため、屋根体4を下方から見た場合の意匠性を向上できる。
屋根体4は、図1に示すように、屋根体4の前後方向の両端部に配置される一対の屋根体側部枠材8(枠材)を有する。一対の屋根体側部枠材8は、図1、図7〜図11に示すように、屋根体4の前後方向の両端部において、屋根体4の左右方向(長尺形材41の長手方向に直交(交差)する方向)に延びて配置される。
一対の屋根体側部枠材8は、屋根体4の前後方向の両端部において、長尺形材41の側部(端部)を覆うように配置される。屋根体側部枠材8は、図7及び図8に示すように、上面カバー部81(上面板部)と、側面カバー部82(上下方向延在部)と、下方側内方延出部83(下面板部)と、を有する。屋根体側部枠材8の上面カバー部81は、屋根体4の左右方向に並ぶ複数のネジ部材107により、屋根体4の上面に固定される。
側面カバー部82は、上下方向に延びて形成され、屋根体4の前後方向の端部を覆うように、長尺形材41の長手方向の端部の側部の外側において、複数の長尺形材41の端面に対面して配置される。側面カバー部82は、上下方向に所定の長さを有し、かつ、屋根体4の傾斜方向に沿って左右方向に延びる板状に形成される。
側面カバー部82は、上下方向に延びる側面板部820と、側面板部820から上方に突出する上部突出部821と、側面板部820から下方に突出する水切り突状部(水切りフィン)823と、側面板部820の内面から内側に突出する2つの突状部824と、を有する。
上面カバー部81は、図7に示すように、板状に形成され、屋根体4の両端部の上面4aの上方側に配置される。上面カバー部81は、側面カバー部82の上方側の部分に接続され、屋根体4の端部の上面4aを覆うように、側面カバー部82の上方側の内面から、屋根体4の端部の上面4aに沿って長尺形材41側に所定幅で略水平に延びる。上面カバー部81の下面には、下方に突出する下側凸部811と、下方に突出する2つの突き当て部812,813と、が形成される。
下側凸部811は、上面カバー部81における屋根体4の内側の端部の下面に配置される。下側凸部811は、長尺形材41の長手方向に直交する方向に沿って延びて配置され、長尺形材41の長手方向に直交する方向の略全域に亘って延びる。下側凸部811は、複数の長尺形材41の上面(屋根体4の上面4a)に当接する。
2つの突き当て部812,813は、上面カバー部81の下面から下方に突出して形成され、上面カバー部81の下側凸部811よりも長尺形材41の長手方向の外側において、長尺形材41の長手方向に離間して配置される。突き当て部812,813は、屋根体4において長尺形材41の長手方向に直交する方向の略全域に亘って延びる。
下側凸部811と突き当て部812との間には、上面カバー部81の下面と長尺形材41との間において、上面シール部材814(第1止水材)が配置される。上面シール部材814は、長尺形材41の長手方向に所定幅を有し、長尺形材41の長手方向に直交する方向の略全域に亘って延びる。本実施形態においては、上面シール部材814は、例えば、弾性変形してシールする弾性の止水部材である。本実施形態では、上面シール部材814として、例えば、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)の発泡体を用いている。なお、上面シール部材814としては、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)の発泡体以外にも、弾性のある樹脂製の止水部材(例えば、ブチル、ウレタンなどの材料で製作された止水部材)でもよい。
下方側内方延出部83は、図7〜図9に示すように、屋根体4の前後方向の両端部の下面4bの下方に配置され、側面カバー部82から屋根体4の前後方向の両端部の下面4bに沿って延びる。下方側内方延出部83は、側面カバー部82の下方側の内面から長尺形材41側に延出する延出接続部831と、延出接続部831の屋根体4の内側の端部に接続される水受け流路部840(第3止水部)と、を有する。
水受け流路部840は、屋根体4の端部において屋根体4の下面4bよりも下方に配置される。水受け流路部840は、複数の長尺形材41が並ぶ方向に延びており、下方側内方延出部83の長手方向の全域に亘って形成される。水受け流路部840は、延出接続部831の上面よりも窪んでおり、上方が開放した凹状に形成される。水受け流路部840は、中段樋構成部410及び下段樋構成部420から導出されて屋根体4の前後方向の端部から排出される水を底面部843で受け止める。水受け流路部840は、基端側が延出接続部831を介して側面カバー部82に接続され、先端側には、先端側壁部845が形成されている。
水受け流路部840は、屋根体4の前後方向の端部から排出されて流れる水を受けて止めて屋根体4の上流側から下流側に水を流通させると共に、水を止水する止水部として機能する。水受け流路部840に受け止められた水は、側面カバー部82が一方側の端部側が下る下り傾斜に構成されるため、屋根体4の一方側の端部側である左右方向の下流側に流される。水受け流路部840により屋根体4の左右方向の下流側に流された水は、屋根体4の下流側の端部において、屋根体4の下方に落下される。また、側面カバー部82の水受け流路部840の底面部843の上面を流された水の一部は、屋根体4の下流側の端部から、水切りフィン425(図5、図7参照)に伝達される。水切りフィン425からは、屋根体側部枠材8の水受け流路部840から伝達された水が、屋根体4の下流側の端部側において屋根体4の下方に落下する。
水受け流路部840は、図7及び図8に示すように、底面部843と、基端側壁部844と、先端側壁部845と、突起846(凸部)と、を有する。
底面部843の上面は、水受け流路部840の底面を構成し、長尺形材41の端部(中段樋構成部410及び下段樋構成部420の端部)から流出された水を受け止めて流通させる。底面部843の上面は、水受け流路部840の長手方向の他方側から一方側(屋根体4の左右方向の他方側から一方側)に向かうに従って下る下り傾斜に形成される。底面部843は、底面部843に突起846(後述)が底面部843に設けられることで、底面部843の幅方向において、基端側底面部841と、先端側底面部842と、に分断される。基端側底面部841及び先端側底面部842は、水受け流路部840の長手方向に延びる。
基端側壁部844は、底面部843の基端側の端部において、側面カバー部82に向かうに従って上方に向かうように傾斜して立ち上がる。
先端側壁部845は、底面部843の先端側の端部において、側面カバー部82から離れるに従って上方に向かうように傾斜して立ち上がる。
突起846は、図7及び図8に示すように、屋根体4の左右方向(傾斜方向)に延び、底面部843の幅方向(屋根体4の前後方向)の中央寄りに、上方に突出して形成される。突起846は、水受け流路部840において、水の流通方向に沿って延びると共に、水受け流路部840における水の流通方向である長手方向の全域に亘って形成される。突起846は、先端が丸みを帯びると共に、一方側及び他方側の立ち上がり部分の角部が、丸みを帯びたアール形状の曲面状で形成される。なお、本実施形態においては、突起846は、水受け流路部840の長手方向の全域に亘って形成されているが、これに限定されず、水受け流路部840の少なくとも下流側端部の底面部843に設けられていればよい。
本実施形態においては、突起846の高さは、基端側壁部844及び先端側壁部845の高さ以下に形成される。底面部843に突起846が底面部843に設けられることで、前述の通り、底面部843は、基端側底面部841と、先端側底面部842と、に分断される。長尺形材41の内部を流れた水は、突起846により分断された基端側底面部841及び先端側底面部842の一方又は両方に流れ込んで、基端側底面部841及び先端側底面部842の一方又は両方に流通される。
本実施形態においては、突起846の高さが基端側壁部844及び先端側壁部845の高さ以下であるため、基端側底面部841又は先端側底面部842を流通する水の量が多い場合には、基端側底面部841又は先端側底面部842から溢れた水は、突起846を乗り越えて、互いに行き来きできる。これにより、水受け流路部840は、突起846で分断した基端側底面部841及び先端側底面部842に水を流通させることができるため、多量の水を流すことができる。
水受け流路部840は、図12(a)に示すように、水受け流路部840の底面部843と屋根体4の下面4bとの間に水を充満可能に、屋根体4の端部において屋根体4の下面4bの下方に配置される。水受け流路部840は、図9に示すように、屋根体4の下面4bの下方において隣接する長尺形材41同士の嵌合部分450に跨って形成される。
図12(a)に示すように、屋根体4の下面4bと水受け流路部840の底面部843との間に水が充満した場合における水が流通する部分は、断面積がS1で、屋根体4の左右方向(長尺形材41の長手方向に交差する方向)に延びる。また、図12(b)に示すように、隣接する長尺形材41同士の嵌合部分450の嵌合隙間451は、断面積がS2で、長尺形材41の長手方向に延びる。水受け流路部840が延びる方向と隣接する長尺形材41同士の嵌合部分450の嵌合隙間451が延びる方向とは、図9に示すように、略直交している。
本実施形態においては、図12(a)及び(b)に示すように、屋根体4の下面4bと水受け流路部840の底面部843との間に水が充満した場合における水が流通する部分の断面積S1は、隣接する長尺形材41同士の嵌合部分450において下方に開放する嵌合隙間451の断面積S2よりも大きい(S1>S2)。例えば、屋根体4の下面4bと水受け流路部840の底面部843との間に水が充満した場合における水が流通する部分の断面積S1は、15〜50mm2程度であり、隣接する長尺形材41同士の嵌合部分450において下方に開放する嵌合隙間451の断面積S2は、3〜5mm2程度である。
ここで、長尺形材41の長手方向の端部の上面側の止水構造について説明する。図10に示すように、長尺形材41の長手方向の端部には、屋根体側部枠材8が配置される。屋根体側部枠材8の上面カバー部81の下方側には、長尺形材41の長手方向の端部の上面において、連結端部止水部480(第1止水部)が設けられる。
図11及び図12(b)に示すように、長尺形材41の長手方向の端部において、長尺形材41の上面には、長手方向に沿って所定長さ切り欠かれる切欠部437f(427f)が形成される。切欠部437f(427f)は、長尺形材41の長手方向に直交する方向の屋根体4の先端側の端部において、長尺形材41同士の接続部分における前後方向の端部以外の部分に形成される側方延出壁437b(427b)が切り欠かれて形成される。切欠部437f(427f)は、長尺形材41の長手方向に直交する方向の所定幅で、側面カバー部82が配置される側の端部から長尺形材41の長手方向に沿って内側に所定長さ切り欠かれたポケット状に形成される。
切欠部437f(427f)には、カーポート1の施工時に、湿式シール部材403が塗工される。切欠部437f(427f)は、湿式シール部材403が塗工されない状態においては、長尺形材41同士の接続部分において止水するビード材401の長手方向の端部が外部に露出するように切り欠かれている。切欠部437f(427f)において、カーポート1の施工時に、露出されたビード材401を覆うように、湿式シール部材403が塗工される。ビード材401、切欠部437f(427f)、及び湿式シール部材403は、連結端部止水部480(第1止水部)を構成する。
次に、カーポート1における雨水の流れについて説明する。
図1に示すカーポート1において、屋根体4の上面4aに降り注いだ雨水は、屋根体4の上面4aの傾斜に沿って、屋根体4の傾斜方向の上流側から下流側(左右方向の左側から右側)に流れる。そして、屋根体4の下流側に流された水は、屋根体端部側樋構造40に流入する。屋根体端部側樋構造40に流入した水は、支柱側樋構成部20(図5参照)に流入する。
支柱側樋構成部20に流入した水は、支柱側樋構成部20を落下して、支柱2の下方において、支柱2の外部に排出される。
また、屋根体4の上面4aに降り注いだ雨水は、屋根体4の上面4aにおいて、前後方向の両端部に流れる。
ここで、長尺形材41同士の接続部分には、図5及び図6に示すように、ビード材401が配置されている。そのため、屋根体4の上面4aを流れる水を、長尺形材41同士の接続部分において、ビード材401で止水できる。これにより、屋根体4の上面4aを流れる水をビード材401により止水して、屋根体4の下面4bから、水が落下することを抑制できる。本実施形態では、ビード材取付凹部433の上面433aには、側方延出壁427bが重なって配置される。このため、ビード材401が外部に直接露出されないため、ビード材401の耐候性を向上でき、ビード材401の劣化を低減できる。
また、屋根体4の上面4aを流れる水は、長尺形材41同士の接続部分がビード材401により止水されているため、ビード材401の上方側を、長尺形材41同士の接続部分における長尺形材41の縁部を伝わって水が流れる。
屋根体4の上面4aの前後方向の両端部には、屋根体側部枠材8が配置される。屋根体側部枠材8の上面カバー部81の下面には、下側凸部811及び上面シール部材814が設けられる。これにより、屋根体4の上面4aの前後方向の端部に流れた水が、屋根体4の上面4aと屋根体側部枠材8との間に浸入することを抑制できる。
また、図10〜図12(b)に示すように、長尺形材41同士の接続部分における前後方向の側面カバー部82が配置される側の端部において、長尺形材41には、連結端部止水部480(第1止水部)が設けられている。
連結端部止水部480(第1止水部)は、ビード材401、切欠部437f(427f)、及び湿式シール部材403を備えて構成される。切欠部437f(427f)は、長尺形材41同士の接続部分における前後方向の側面カバー部82が配置される側の端部において、長手方向に切り欠かれて形成される。湿式シール部材403は、ビード材401を覆うように塗工されている。連結端部止水部480は、長尺形材41同士の接続部分の長手方向の端部において、長尺形材41同士の接続部分を伝わる水を端部側において止水することができる。
また、ビード材401の部分や、連結端部止水部480(第1止水部)の部分や、屋根体側部枠材8の上面カバー部81の下面に形成される下側凸部811の部分や、上面シール部材814の部分を水が通過した場合であっても、屋根体4の内部には、中段樋構成部410と下段樋構成部420とが段差状に2段で連続して設けられており、二重の止水部を構成する。ビード材401(止水部)の部分や、連結端部止水部480(第1止水部)の部分や、屋根体側部枠材8の上面カバー部81の下側凸部811の部分や、上面シール部材814の部分を通過した水は、中段樋構成部410(第1の第2止水部)に流れる。中段樋構成部410(第1の第2止水部)から溢れた水は、下段樋構成部420(第2の第2止水部)に流れる。中段樋構成部410及び下段樋構成部420の2段の樋構造により、隣接する長尺形材41の連結部分が延びる方向、即ち、長尺形材41の長尺方向(長手方向)に沿って水を流して、止水できるため、屋根体4の下面4bから、水が落下することを一層抑制できる。
中段樋構成部410(第1の第2止水部)と下段樋構成部420(第2の第2止水部)とに導入された水は、屋根体4の前後方向の端部に向けて流れる。前後方向の端部に向けて流れた水は、屋根体側部枠材8に導入される(図7参照)。
屋根体側部枠材8に導入された水は、屋根体側部枠材8の下端部に配置される下方側内方延出部83の水受け流路部840(図7参照)(第3止水部)に受け止められて、屋根体4の傾斜に沿って、屋根体4の左右方向の下流側に流される。屋根体側部枠材8の水受け流路部840において支柱2側に流された水は、屋根体4の下流側に流れて、屋根体4の下流側の端部から下方に落下する。
屋根体4の下流側の端部から下方に落下するのと同時に、水受け流路部840において下流側に流された水の一部は、屋根体4の下流側の端部から、屋根体4の下流側樋構成形材42の下端部において下方に突出して設けられる水切りフィン425(図5及び図7参照)に伝わり、屋根体4の下流側樋構成形材42の下流側の端部において、水切りフィン425を介して下方に落下する。水切りフィン425から水を落下させることで、屋根体4の下面4b側に水が回り込むことを抑制できる。これにより、屋根体4の下面4bの端部でない部分から、水が落下することを抑制できる。
ここで、水受け流路部840に水が流入した場合において、水受け流路部840の底面部843を流れる水の流れについて説明する。図13は、水受け流路部840を流れる水を示す図であって、(a)、(b)及び(c)の順に水が充填される様子を示す図である。図14は、水受け流路部840を流れる水が、水の表面張力により、屋根体4の下面4bにおいて、嵌合隙間451側へ移動せずに、水受け流路部840側に戻される様子を説明する図である。
図13(a)に示すように、水受け流路部840に流入した水が少量の場合には、水は、底面部843の基端側底面部841に流入して、基端側底面部841を水の流通方向の下流側に向けて流れる。
そして、水受け流路部840の底面部843を流れる水の量が増加すると、図13(b)に示すように、水は、突起846を乗り越えて、底面部843の先端側底面部842に流入して、基端側底面部841及び先端側底面部842を水の流通方向の下流側に向けて流れる。
更に、水受け流路部840の底面部843を流れる水が増加すると、図13(c)に示すように、水受け流路部840の底面部843と屋根体4の下面4bとの間に水が充満される。この状態で、水は、水の流通方向の下流側に向けて流れる。
ここで、水受け流路部840を流れる水は、水受け流路部840が長手方向の他方側から一方側(屋根体4の左右方向の他方側から一方側)に向かうに従って下り傾斜するため、屋根体4の左右方向の他方側から一方側に向けて流れる。一方、屋根体4の下面4bにおいて、隣接する長尺形材41同士の嵌合部分450の嵌合隙間451は、水受け流路部840が延びる方向に略直交して配置され、長尺形材41の長手方向に沿って屋根体4の内側に延びている(図9参照)。
また、水受け流路部840の底面部843と屋根体4の下面4bとの間に水が充満した場合の水が流通する部分の断面積S1は、図12(a)及び(b)に示すように、隣接する長尺形材41同士の嵌合部分450の嵌合隙間451の断面積S2よりも大きく構成される(S1>S2)。
そのため、図13(c)に示すように、水受け流路部840の底面部843と屋根体4の下面4bとの間に充満した場合に、水の表面張力は、隣接する長尺形材41同士の嵌合部分の嵌合隙間451側よりも、水受け流路部840の底面部843の上方側に位置する屋根体4の下面4b側が大きい。これにより、図14に示すように、水受け流路部840を流れる水は、水の表面張力により、屋根体4の下面4bにおいて、水受け流路部840から屋根体4の内側の嵌合隙間451側へ移動せずに、水受け流路部840側に戻される。よって、屋根体4の下面4bにおいて、水受け流路部840を流れる水は、水受け流路部840側から、長尺形材41同士の嵌合部分450に伝わることが抑制され、水受け流路部840の水の流通方向の下流側へ流れる。従って、屋根体4の下面4bからの水の落下を抑制でき、排水性能を向上できる。
以上説明した本実施形態の屋根体4によれば、以下のような効果を奏する。
本実施形態の屋根体4は、所定方向に並んで連設されて互いが嵌合して連結される複数の長尺形材41を有する屋根体4であって、屋根体4の端部において屋根体4の下面4bの下方に配置され、複数の長尺形材41が並ぶ方向に延びて形成されると共に、屋根体4の端部から排出される水を底面部843で受け止めて流通させる水受け流路部840を備え、水受け流路部840は、水受け流路部840の底面部843と屋根体4の下面4bとの間に水を充満可能に屋根体4の下面4bの下方に配置されると共に、屋根体4の下面4bの下方において隣接する長尺材41の嵌合部分450に跨って形成され、屋根体4の下面4bと水受け流路部840の底面843との間に水が充満した場合における水が流通する部分の断面積S1は、隣接する長尺形材41同士の嵌合部分450において下方に開放する嵌合隙間451の断面積S2よりも大きい。
そのため、水受け流路部840の底面部843と屋根体4の下面4bとの間に充満した場合の水の表面張力は、隣接する長尺形材41同士の嵌合部分の嵌合隙間451側よりも、水受け流路部840の底面部843の上方側に位置する屋根体4の下面4b側が大きい。これにより、水受け流路部840を流れる水は、水の表面張力により、屋根体4の下面4bにおいて、水受け流路部840から屋根体4の内側の嵌合隙間451側へ移動せずに、水受け流路部840側に戻される。よって、屋根体4の下面4bにおいて、水受け流路部840を流れる水は、水受け流路部840側から、長尺形材41同士の嵌合部分450に伝わることが抑制され、水受け流路部840の水の流通方向の下流側へ流れる。従って、屋根体4の下面4bからの水の落下を抑制でき、排水性能を向上できる。
また、本実施形態においては、水受け流路部840の底面部843は、水受け流路部840の長手方向の他方側から一方側に向かうに従って下る下り傾斜に形成される。そのため、水受け流路部840を流れる水は、下り傾斜方向に沿って流れ易い。これにより、隣接する長尺形材41同士の嵌合部分の嵌合隙間451側へ流れるよりも、水受け流路部840の傾斜方向に流れ易くなる。従って、排水性能を一層向上できる。
また、本実施形態においては、水受け流路部840の底面部843の幅方向の中央寄りには、水受け流路部840の長手方向に延びる突起846が設けられる。そのため、底面部843の幅方向の中央寄りにおいて、水受け流路部840を突起846により分断することができる。これにより、基端側底面部841又は先端側底面部842を流通する水の量が多い場合に、基端側底面部841又は先端側底面部842から溢れた水は、突起846を乗り越えて、互いに行き来きできる。これにより、水受け流路部840は、突起846で分断した基端側底面部841及び先端側底面部842に水を流通させることができるため、水受け流路部840の流通方向に多量の水を流すことができる。よって、排水性能を一層向上できる。
以上、本発明の屋根体4及びカーポート(屋根構造体)の好ましい一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、前記実施形態においては、水受け流路部840の底面部843に突起846(凸部)を設けたが、これに限定されない。例えば、図15に示すように、水受け流路部840Aの底面部843Aに突起(凸部)を設けなくてもよい。図15は、変形形態を示す図であって、前記実施形態の図12(a)に対応する断面図である。図15の説明において、図12(a)と同様の構成については、図12(a)の説明を援用して、図15の説明を省略する。
図15の変形形態は、図12(a)の実施形態における水受け流路部840の底面部843に突起846(凸部)を備えない点において、図12(a)に示す構成と主に異なる。
図15に示すように、変形形態の屋根体側部枠材8Aは、上面カバー部81(上面板部)と、側面カバー部82(上下方向延在部)と、下方側内方延出部83A(下面板部)と、を有する。下方側内方延出部83Aは、側面カバー部82の下方側の内面から長尺形材41側に延出する延出接続部831と、延出接続部831の内側の端部に接続される水受け流路部840Aと、を有する。図15に示す変形形態には、水受け流路部840Aの底面部843Aには、図12(a)における突起(凸部)が設けられていない。
図15に示す変形形態においては、屋根体4の下面4bと水受け流路部840Aの底面部843Aとの間に水が充満した場合における水が流通する部分の断面積S1Aは、隣接する長尺形材41同士の嵌合部分450において下方に開放する嵌合隙間451の断面積S2(図12(b)参照)よりも大きい(S1A>S2)。例えば、屋根体4の下面4bと水受け流路部840Aの底面部843Aとの間に水が充満した場合における水が流通する部分の断面積S1Aは、15〜50mm2程度であり、隣接する長尺形材41同士の嵌合部分450において下方に開放する嵌合隙間451の断面積S2は、3〜5mm2程度である。
以上の変形形態によれば、前記実施形態と同様に、水受け流路部840Aを流れる水は、水の表面張力により、屋根体4の下面4bにおいて、水受け流路部840Aから屋根体4の内側の嵌合隙間451側へ移動せずに、水受け流路部840A側に戻される。よって、屋根体4の下面4bにおいて、水受け流路部840Aを流れる水は、水受け流路部840A側から、長尺形材41同士の嵌合部分450に伝わることが抑制され、水受け流路部840Aの水の流通方向の下流側へ流れる。従って、屋根体4の下面4bからの水の落下を抑制でき、排水性能を向上できる。
また、前記実施形態においては、屋根体4を梁3の下方において梁3に直接的に接続(固定)して構成したが、これに限定されず、屋根体4を他の部材を介して間接的に梁に接続(固定)して構成してもよい。
また、前記実施形態においては、屋根体4は、梁3に吊られて構成されていたが、これに限定されず、梁3の上方に配置される構成であってもよい。
また、前記実施形態においては、カーポートを、屋根体4を左右方向の両側それぞれにおいて一対の支柱2で支持する、いわゆる、両支持構造のカーポートにより説明したが、これに限定されず、屋根体4を左右方向の一方の端部を支柱で支持する、いわゆる、片持ち構造のカーポートでもよい。