JP6986359B2 - 揮散器 - Google Patents

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Description

本発明は、棒状に加工したポリマー繊維からなる揮散部材を使用して香料液を揮散させる揮散器であって、香料液の揮散速度の低下を抑制できる揮散器に関する。また、本発明は、当該揮散器に使用される香料液に関する。
従来、香料液を揮散させる揮散器は外観の美しさやインテリア性がさほど求められる商品ではなかったが、建築技術の進歩や建築基準法による換気率規定等により、居室空間内の臭気強度が低減したことから、悪臭への対処の必要性が低減し、代わりに居室空間を彩るためのインテリア性が重視されるようになってきた。
インテリア性を高めた揮散器として、例えば、特許文献1に示されるような、籐(ラタン)の木片を使用した意匠効果に優れた揮散部材を用いた揮散器が多く商品化されている。その中でも、揮散部材として棒状に加工した籐(ラタン)等の天然素材を使用した揮散器は、インテリア性が高く、消費者に好まれる傾向があるため、近年精力的に開発が進められている。例えば、特許文献2及び3には、開口部を有する容器に、揮散部材として複数の棒状の籐と揮散液とを収容してなる揮散器が開示されている。
一方、籐等の天然素材からなる揮散部材として使用した揮散器は、優れたインテリア性の付与という利点がある反面、揮散部材が天然素材であるが故に、資材のバラツキが大きい、量産が不可能であるため将来的に安定供給ができなくなる懸念がある、等といった欠点がある。
そこで、近年、天然素材からなる揮散部材の欠点を克服すべく、量産可能であり、インテリア性にも優れている揮散部材として棒状に加工したポリマー繊維の使用が提案されている。しかしながら、棒状に加工したポリマー繊維からなる揮散部材を使用した揮散器を使用した場合の香料液の揮散特性については、十分な検討がなされていないのが現状である。
特開平10−24096号公報 特開2015−8799号公報 特開2016−124603号公報
本発明者は、棒状に加工したポリマー繊維からなる揮散部材を使用した揮散器を使用した場合の香料液の揮散特性について検討を行ったところ、一般的に使用される香料液では、籐からなる揮散部材を使用した場合に比べて揮散速度が遅くなる場合があるという新たな課題に直面した。従来、籐からなる揮散部材によって香料液を揮散させた際に感じられる香気の質や強さは、良好なものとして消費者に広く受け入れられており、棒状に加工したポリマー繊維からなる揮散部材を使用した際に認められる香料液の揮散速度の低下は、揮散させる香気の質や強さに悪影響を及ぼすことになる。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、香料液に使用されている香料成分の中でアルコール系香料(テルペン系のアルコール系香料、脂肪族系のアルコール系香料、及び芳香族系のアルコール系香料)が、棒状に加工したポリマー繊維からなる揮散部材を使用した揮散器における香料液の揮散速度の低下要因になっていることを突き止めた。通常、香料液には、所望の香気を付与するために複数の香料成分が配合されており、アルコール系香料は、香気の質や強さを調整する上で、香料液に含まれる香料成分の総量に対して比較的高い比率で含有させることが多い。そのため、香料液において、含有する香料成分に対するアルコール系香料の比率が高い場合に、棒状に加工したポリマー繊維からなる揮散部材による揮散速度の低下を抑制することが重要になる。
そこで、本発明は、含有する香料成分に対するアルコール系香料の比率が高い香料液を用いて、棒状に加工したポリマー繊維からなる揮散部材を使用して揮散させる際に、当該香料液の揮散速度の低下を抑制する揮散器を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、香料成分の総量100重量部当たりアルコール系香料を15重量部以上含む香料液において、香料液におけるテルペン系のアルコール系香料、脂肪族系のアルコール系香料、及び芳香族系のアルコール系香料の含有量を所定値未満に設定することにより、棒状に加工したポリマー繊維からなる揮散部材を使用する際のアルコール系香料の悪影響を抑制し、香料液の揮散速度の低下を抑制し得ることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 開口部を有する容器と、
前記容器に収容された香料液と、
前記香料液を吸液して揮散させる棒状に加工したポリマー繊維とを備え、
前記棒状に加工したポリマー繊維が、前記容器の開口部から挿入され、少なくとも一部が前記開口部から容器外に露出するように設置されている揮散器であって、
前記香料液に含まれる香料成分の総量100重量部当たり、アルコール系香料が15重量部以上であり、
前記香料液におけるテルペン系のアルコール系香料の含有量が総量で7.5%未満であり、
前記香料液における脂肪族系のアルコール系香料の含有量が総量で5%未満であり、且つ
前記香料液における芳香族系のアルコール系香料の含有量が総量で2.5%未満である、
揮散器。
項2. 前記棒状に加工したポリマー繊維が円柱状である、項1に記載の揮散器。
項3. 前記棒状に加工したポリマー繊維を長さ方向に対して垂直に切断した断面の直径が5mm以下である、項2に記載の揮散器。
項4. 前記棒状に加工したポリマー繊維の長さが110〜190mmである、項1〜3のいずれかに記載の揮散器。
項5. 前記棒状に加工したポリマー繊維が、ポリエステル及びポリウレタンを含む、項1〜4のいずれかに記載の揮散器。
項6. 前記香料液が、パラフィン系炭化水素を含む、項1〜5のいずれかに記載の揮散器。
項7. 棒状に加工したポリマー繊維を揮散部材として使用して揮散される香料液であって、
前記香料液に含まれる香料成分の総量100重量部当たり、アルコール系香料が15重量部以上であり、
前記香料液におけるテルペン系のアルコール系香料の含有量が総量で7.5%未満であり、
前記香料液における脂肪族系のアルコール系香料の含有量が総量で5%未満であり、且つ
前記香料液における芳香族系のアルコール系香料の含有量が総量で2.5%未満である、
香料液。
本発明によれば、香料成分の総量に対するアルコール系香料含有率が高い香料液(香料成分の総量100重量部当たり、アルコール系香料が15重量部以上を占める香料液)であっても、棒状に加工したポリマー繊維を揮散部材として使用した場合に、香料液の揮散速度の低下を抑制できるので、優れたインテリア性を備えつつ、香料液の揮散性に優れた揮散器を提供することができる。
本発明の揮散器の一例の概略断面図である。 参考試験例1において、揮散部材として棒状に加工したポリマー繊維及び棒状に加工した籐を使用し、揮散液の揮散速度を評価した結果である。 試験例1において、テルペン系のアルコール系香料を含む香料液の揮散速度を評価した結果である。 試験例1において、脂肪族系のアルコール系香料を含む香料液の揮散速度を評価した結果である。 試験例1において、芳香族系のアルコール系香料を含む香料液の揮散速度を評価した結果である。 試験例1において、アルデヒド系香料を含む香料液の揮散速度を評価した結果である。 試験例1において、エステル系香料を含む香料液の揮散速度を評価した結果である。 試験例1において、ケトン系香料を含む香料液の揮散速度を評価した結果である。 試験例1において、エーテル系香料を含む香料液の揮散速度を評価した結果である。
1.揮散器
本発明の揮散器は、開口部を有する容器と、前記容器に収容された香料液と、前記香料液を吸液して揮散させる棒状に加工したポリマー繊維とを備え、前記棒状に加工したポリマー繊維が、前記容器の開口部から挿入され、少なくとも一部が前記開口部から容器外に露出するように設置されている揮散器であって、前記香料液に含まれる香料成分の総量100重量部当たり、アルコール系香料が15重量部以上であり、前記香料液におけるテルペン系のアルコール系香料の含有量が総量で7.5%未満であり、前記香料液における脂肪族系のアルコール系香料の含有量が総量で5%未満であり、且つ前記香料液における芳香族系のアルコール系香料の含有量が総量で2.5%未満であることを特徴とする。以下、本発明の揮散器について詳述する。
[香料液]
本発明において、「香料液」とは、香料成分を含み、常温、大気圧下で揮散する溶液である。
本発明で使用される香料液は、香料成分を含み、且つ香料液に含まれる香料成分の総量100重量部当たり、アルコール系香料が15重量部以上であり、前記香料液におけるテルペン系のアルコール系香料の含有量が総量で7.5%未満であり、前記香料液における脂肪族系のアルコール系香料の含有量が総量で5%未満であり、前記香料液における芳香族系のアルコール系香料の含有量が総量で2.5%未満である。このように香料液に含まれる香料成分の総量に対するアルコール系香料の比率が高くても、アルコール系香料の構造毎の含有量を所定値未満に制御することによって、揮散部材として棒状に加工したポリマー繊維を使用した場合に、香料液の揮散速度の低下を抑制することが可能になる。
本発明において、「アルコール系香料」とは、アルコール性水酸基を有し、大気圧下で揮散して香気を呈する香料成分であり、テルペン骨格を有するテルペン系のアルコール系香料、脂肪族骨格を有する脂肪族系のアルコール系香料、及び芳香環を有する芳香族系のアルコール系香料に分類される。
テルペン系のアルコール系香料としては、具体的には、リナロール、エチルリナロール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、ミルセノール、ラバンジュロール、テオラヒドロゲラニオール、ジヒドロリナロール、テトラヒドロリナロール、ヒドロキシシトロネロール、ジヒドロミルセノール、ターピネオール、α−ターピネオール、ターピネン−4−オール、メントール、テルピネオール、ボルネオール、アロオキシメノール、イソプレゴール、ノポール、ファルネソール、フェンチルアルコール、ネロリドール、セドロール、パチュリアルコール、ベチベロール、アンブリノール、サンタロール、イソボルニルシクロヘキサノール等が挙げられる。
脂肪族系のアルコール系香料としては、具体的には、シス−3−ヘキセノール、トランス−2−ヘキセノール、シス−3−ヘキセノール、3−オクタノール、1−オクテン−3−オール、2、6−ジメチル−2−ヘプタノール、9−デセノール、4−メチル−3−デセン−5−オール、10−ウンデセノール、トランス−2−シス−6−ノナジエタノール、2,6−ジメチルヘプタン−2−オール、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−メタノール、4−イソプロピルシクロヘキサノール、4−イソプロピルシクロヘキサンメタノール、1−(4−イソプロピルシクロヘキシル)−エタノール、p−t−ブチルシクロヘキサノール、o−t−ブチルシクロヘキサノール、1−(2−t−ブチルシクロヘキシルオキシ)−2−ブタノール、ペンタメチルシクロヘキシルプロパノール、1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−ヘキサノール、2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール、エバノール、ポリサントール、3,7−ジメチル−7−メトキシオクタン−2−オール、サンダロア、バグダノール等が挙げられる。
芳香族系のアルコール系香料としては、具体的には、フェニルエチルアルコール、フェネシルアルコール、3−フェニルプロパノール、2,2−ジメチル−3−(3−メチルフェニル)−プロパノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、フェノキシエチルアルコール、フェニルプロピルアルコール、スチラリルアルコール、アニスアルコール、シンナミックアルコール、フェニルプロピルアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、ジメチルフェニルエチルカルビノール、フェニルエチルメチルエチルカルビノール、3−メチル−5−フェニルペンタノール、チモール、カルバクロール、オルシノールモノメチルエーテル、オイゲノール、イソオイゲノール、プロペニルグアエトール等が挙げられる。
これらのアルコール系香料は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明で使用される香料液に含まれる香料成分の総量100重量部当たり、アルコール系香料の総量が15重量部以上であればよいが、好ましくは15〜50重量部、更に好ましくは20〜40重量部、特に好ましくは20〜30重量部が挙げられる。このように香料液に含まれる香料成分の総量に対してアルコール系香料が多く含まれていることにより、良好な香気に調香することが可能になる。
また、本発明の揮散器において、香料液の揮散速度の低下を抑制するために、香料液におけるテルペン系のアルコール系香料の総量の含有量を7.5重量%未満、脂肪族系のアルコール系香料の総量の含有量を5重量%未満、且つ芳香族系のアルコール系香料の総量の含有量を2.5重量%未満にすることが重要になる。このように、香料液における構造毎のアルコール系香料を所定値に設定することによって、香料成分の総量100重量部当たり、アルコール系香料の総量が15重量部以上を占める香料液であっても、棒状に加工したポリマー繊維を用いて揮散させる際に香料液の揮散速度の低下を抑制することが可能になる。
本発明で使用される香料液におけるテルペン系のアルコール系香料の含有量については、香料成分の総量100重量部当たり、アルコール系香料の総量が15重量部以上を充足し、且つテルペン系のアルコール系香料の総量の含有量を7.5重量%未満であることを限度として特に制限されず、香料液にテルペン系のアルコール系香料が含まれていなくてもよいが、テルペン系のアルコール系香料を含有させる場合であれば、香料液におけるテルペン系のアルコール系香料の含有量として、0.01重量%以上7.5重量%未満、好ましくは0.5〜5重量%、更に好ましくは1〜2.5重量%が挙げられる。
本発明で使用される香料液における脂肪族系のアルコール系香料の含有量については、香料成分の総量100重量部当たり、アルコール系香料の総量が15重量部以上を充足し、且つ脂肪族系のアルコール系香料の総量の含有量を5重量%未満であることを限度として特に制限されず、香料液に脂肪族系のアルコール系香料が含まれていなくてもよいが、脂肪族系のアルコール系香料を含有させる場合であれば、香料液における脂肪族系のアルコール系香料の含有量として、0.01重量%以上5重量%未満、好ましくは0.5〜4重量%、更に好ましくは1〜2重量%が挙げられる。
本発明で使用される香料液における芳香族系のアルコール系香料の含有量については、香料成分の総量100重量部当たり、アルコール系香料の総量が15重量部以上を充足し、且つ芳香族系のアルコール系香料の総量の含有量を2.5重量%未満であることを限度として特に制限されず、香料液に芳香族系のアルコール系香料が含まれていなくてもよいが、芳香族系のアルコール系香料を含有させる場合であれば、香料液における芳香族系のアルコール系香料の含有量として、0.01重量%以上2.5重量%未満、好ましくは0.3〜2重量%、更に好ましくは0.5〜1重量%が挙げられる。
本発明で使用される香料液において、アルコール系香料の総量の含有量(即ち、テルペン系のアルコール系香料、脂肪族系のアルコール系香料、及び芳香族系のアルコール系香料の総量の含有量)については、前述する構造毎のアルコール系香料の含有量を重層する範囲で適宜設定すればよいが、例えば、0.5〜10重量%、好ましくは1〜7.5重量%、更に好ましくは1.5〜5重量%が挙げられる。
本発明で使用される香料液は、香料成分として、前述する含有量を満たす範囲でアルコール系香料が単独で含まれていてもよいが、アルコール系香料以外の香料成分を含み、所望の香気に調香されていることが望ましい。アルコール系香料以外の香料成分としては、アルデヒド系香料(アルコール性水酸基を有さず、アルデヒド基を有する香料)、エステル系香料(アルコール性水酸基を有さず、ラクトン構造を有さず、エステル結合を有する香料)、ケトン系香料(アルコール性水酸基を有さず、ケトン基を有する香料)、エーテル系香料(アルコール性水酸基を有さず、アセタール構造を有さず、エーテル結合を有する香料)、炭化水素系香料(アルコール性水酸基を有さず、炭化水素からなる香料)、アセタール系香料(アルコール性水酸基を有さず、アセタール構造を有する香料)、カルボン酸系香料(アルコール性水酸基を有さず、カルボキシル基を有する香料)、ラクトン系香料(アルコール性水酸基を有さず、ラクトン構造を有する香料)、ムスク系香料(アルコール性水酸基を有さず、大環状ムスク、ニトロムスク、多環状ムスク等を有し、ムスク香を呈する香料)、窒素含有香料(アルコール性水酸基を有さず、窒素原子を含む香料)、ニトリル系香料(アルコール性水酸基を有さず、ニトリル基を有する香料)、硫黄含有香料(アルコール性水酸基を有さず、硫黄原子を含む香料)等が挙げられる。
アルデヒド系香料としては、具体的には、ヘキサナール、シトラール、ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、デシルアルデヒド、ウンデシルアルデヒド、ドデシルアルデヒド、トリデシルアルデヒド、トリメチルヘキシルアルデヒド、メチルオクチルアセチルアルデヒド、メチルノニルアセトアルデヒド、トランス−2−ヘキセナール、シス−4−ヘプテナール、2,6−ノナジエナール、シス−4−デセナール、トランス−4−デセナール、ウンデシレンアルデヒド、トランス−2−ドデセナール、トリメチルウンデセナール、2,6,10−トリメチル−5,9−ウンデカジエナール、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、ペリラルデヒド、メトキシジヒドロシトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニルカルボキシアルデヒド、イソシクロシトラール、センテナール、マイラックアルデヒド、リラール、ベルンアルデヒド、デュピカール、マセアール、ボロナール、セトナール、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、フェニルプロピルアルデヒド、シンナミックアルデヒド、α−アミルシンナミックアルデヒド、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヒドロトロピックアルデヒド、アニスアルデヒド、p−メチルフェニルアセトアルデヒド、クミンアルデヒド、シクラメンアルデヒド、3−(p−t−ブチルフェニル)−プロピルアルデヒド、p−エチル−2,2−ジメチルヒドロシンナムアルデヒド、2−メチル−3−(p−メトキシフェニル)−プロピルアルデヒド、p−t−ブチル−α−メチルヒドロシンナミックアルデヒド、サリチルアルデヒド、ヘリオトロピン、ヘリオナール、バニリン、エチルバニリン、メチルバニリン等が挙げられる。
エステル系香料としては、具体的には、エチルブチレート、スチラリルアセテート、o−t−ブチルシクロへキシルアセテート、蟻酸エチル、蟻酸シス−3−ヘキセニル、蟻酸リナリル、蟻酸シトロネリル、蟻酸ゲラニル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、蟻酸1−(3,3−ジメチルシクロヘキシル)エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、シクロペンチリデン酢酸メチル、酢酸ヘキシル、酢酸シス−3−ヘキセニル、酢酸トランス−3−ヘキセニル、酢酸イソノニル、酢酸シトロネリル、酢酸ラバンジュリル、酢酸ゲラニル、酢酸リナリル、酢酸ミルセニル、酢酸ターピニル、酢酸メンチル、酢酸メンタニル、酢酸ノピル、酢酸n−ボルニル、酢酸イソボルニル、酢酸p−t−ブチルシクロヘキシル、酢酸o−t−ブチルシクロヘキシル、酢酸トリシクロデセニル、酢酸2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−メタニル、酢酸ベンジル、酢酸フェニルエチル、酢酸スチラリル、酢酸シンナミル、酢酸アニシル、酢酸パラクレジル、酢酸ヘリオトロピル、アセチルオイゲノール、アセチルイソオイゲノール、酢酸グアイル、酢酸セドリル、酢酸ベチベリル、酢酸デカヒドロβナフチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸シロネリル、プロピオン酸シロネリル、プロピオン酸ゲラニル、プロピオン酸リナリル、プロピオン酸ターピニル、プロピオン酸ベンジル、プロピオン酸シンアミル、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、プロピオン酸トリシクロデセニル、酪酸エチル、2−メチル酪酸エチル、酪酸ブチル、酪酸イソアミル、酪酸ヘキシル、酪酸リナリル、酪酸ゲラニル、酪酸シトロネリル、酪酸ベンジル、イソ酪酸シス−3−ヘキセニル、イソ酪酸シトロネリル、イソ酪酸ゲラニル、イソ酪酸リナリル、イソ酪酸ベンジル、イソ酪酸フェニルエチル、イソ酪酸フェノキシエチル、イソ酪酸トリシクロデセニル、吉草酸エチル、吉草酸プロピル、イソ吉草酸シトロネリル、イソ吉草酸ゲラニル、イソ吉草酸シンアミル、イソ吉草酸ベンジル、イソ吉草酸フェニルエチル、カプロン酸エチル、カプロン酸アリル、エナント酸エチル、エナント酸アリル、カプリン酸エチル、チグリン酸シトロネリル、オクチンカルンボン酸メチル、2−ペンチロキシグリコール酸アリル、シス−3−ヘキセニルメチルカーボネート、ケト酸エチル、ピルビン酸イソアミル、アセト酸エチル、レブリン酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸イソブチル、安息香酸イソアミル、安息香酸ゲラニル、安息香酸リナリル、安息香酸ベンジル、安息香酸フェニルエチル、安息香酸フェニルエチル、ジヒドロキシメチル安息香酸メチル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、フェニル酢酸イソブチル、フェニル酢酸イソアミル、フェニル酢酸ゲラニル、フェニル酢酸ベンジル、フェニル酢酸フェニルエチル、フェニル酢酸p−クレジル、桂皮酸メチル、桂皮酸エチル、桂皮酸ベンジル、桂皮酸シンアミル、桂皮酸フェニルエチル、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、サリチル酸イソブチル、サリチル酸イソアミル、サリチル酸ヘキシル、サリチル酸シス−3−ヘキセニル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸フェニルエチル、アニス酸メチル、アニス酸エチル、アンスラニル酸メチル、アンスラニル酸エチル、メチルアンスラニル酸メチル、ジャスモン酸メチル、ジヒドロジャスモン酸メチル、メチルフェミルグリシド酸エチル、フェニルグリシド酸エチル、グリコメル、フラクトン、フレイストン、フルテート、ジベスコン、エチル2−メチル−6−ペンチル−4−オキサ−2−シクロヘキセンカーボネート等が挙げられる。
ケトン系香料としては、具体的には、2−オクタノン、δ−ダマスコン、アセトイン、ジアセチル、ミチルアミルケトン、エチルアミルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、メチルヘプテノン、コアボン、カンファー、カルボン、メントン、d−プレゴン、ピペリトン、フェンチョン、ゲラニルアセトン、セドリルメチルケトン、ヌートカトン、イオノン、α−イオノン、β−イオノン、メチルイオノン、α−n−メチルイオノン、β−n−メチルイオノン、α−イソイオノン、β−イソイオノン、アリルイオノン、イロン、α−イロン、β−イロン、γ−イロン、ダマスコン、α−ダマスコン、β−ダマスコン、δ−ダマスコン、ダマセノン、ダイナスコン、α−ダイナスコン、β−ダイナスコン、マルトール、エチルマルトール、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフランノン、シュガーラクトン、p−t−ブチルシクロヘキサノン、アミルシクロペンタノン、ヘプチルシクロペンタノン、ジヒドロジャスモン、シスージャスモン、フロレックス、プリカトン、4−シクロヘキシル−4−メチル−2−ペンタノン、p−メンテン−6−イルプロパノン、2,2,5−トリメチル−5−ペンチルシクロペンタノン、エトキシビニルテトラシクロヘキサノン、ジヒドロペンタメチルインダノン、イソ・イー・スーパー(1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−2,3,8,8−テトラメチル−2−アセトナフタレノン)、トリモフィックス、アセトフェノン、p−メチルアセトフェノン、ベンジルアセトン、カローン、ラズベリーケトン、アニシルアセトン、4−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−2−ブタノン、メチルナフチルケトン、4−フェニル−4−メチル−2−ペンタノン、ベンゾフェノン等が挙げられる。
エーテル系香料としては、具体的には、ジフェニルオキシド、p−クレジルエチルエーテル、dl−ローズオキシド、ネロールオキサイド、ミロキサイド、1,8−シネオール、ローズオキサイド、リメトール、メントフラン、リナロールオキサイド、ブチルジメチルジヒドロキシピラン、アセトキシアミルテトラヒドロピラン、セドリルメチルエーテル、メトキシシクロドデカン、1−メチル−1−メトキシシクロドデカン、エトキシメチルシクロドデシルエーテル、トリクロデセニルメチルエーテル、ルボフィックス、セドロキサイド、アンブロキサン、グリサルバ、ボワジリス、アニソール、ジメチルハイドロキノン、パラクレジルメチルエーテル、アセトアニソール、アネトール、ジヒドロアネトール、エストラゴール、ジフェニルオキサイド、メチルオイゲノール、フェニルエチルメチルエーテル、フェニルエチルイソアミルエーテル、β−ナフチルメチルエーテル、β−ナフチルイソブチルエーテル等が挙げられる。
炭化水素系香料としては、具体的には、リモネン、カリオフィレン、ピネン、ミルセン、ターピノレン、オシメン、ターピネン、フェランドレン、p−サイメン、カリオフィレン、ファルネセン、1,3,5−ウンデカトリエン、ジフェニルメタン等が挙げられる。
アセタール系香料としては、具体的には、オクチルアルデヒドグリコールアセタール、アセトアルデヒドエチルシス−3−ヘキセニルアセタール、シトラールジメチルアセタール、シトラールジエチルアセタール、アセトアルデヒドエチルリナリルアセタール、アセトアルデヒドエチルリナリルアセタール、ヒドロキシシトロネラールジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、ヒドラトロピックアルデヒドジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドヒドグリセリルアセタール、アセトアルデヒドエチルフェニルアセタール、アセトアルデヒドフェニルエチルプロピルアセタール、フェニルプロピルアルデヒドプロピレングリコールアセタール、4,4,6−トリメチル−2−ベンジル−1,3−ジオキサン、2,4,6−トリメチル−2−フェニル−1,3−ジオキサン、2−ブチル−4,4,6−トリメチル−1,3−ジオキサン、テトラヒドロインデノ−m−ジオキシン、ジメチルテトラヒドロインデノ−m−ジオキシン、カラナール等が挙げられる。
カルボン酸系香料としては、具体的には、ゲラニル酸、シトロネリル酸、安息香酸、フェニル酢酸、フェニルプロピオン酸、桂皮酸、2−メチル−2−ペンテノ酸等が挙げられる。
ラクトン系香料としては、具体的には、γ−オクタラクトン、γーノナラクトン、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトン、δ−デカラクトン、クマリン、ジヒドロクマリン、ジャスモラクトン、ジャスミンラクトン等が挙げられる。
ムスク系香料としては、具体的には、ムスコン、シベトン、シクロペンタデカノン、シクロヘキサデセノン、シクロペンタデカノリド、12−ケトシクロペンタデカノリド、シクロヘキサデカノリド、シクロヘキサデセノリド、12−オキサ−16−ヘキサデカノリド、11−ヘキサ−16−ヘキサデカノリド、10−オキサ−16−ヘキサデカノリド、エチレンブラシレート、エチレンドデカンジオエート、ムスクケトン、ムスクキシロール、ムスクアンブレット、ムスクチベテン、ムスクモスケン、6−アセチルヘキサメチルインダン、4−アセチルジメチル−t−ブチルインダン、5−アセチルテトラメチルイソプロプルインダン、6−アセチルヘキサテトラリン、ヘキサメチルヘキサヒドロシクロペンタンベンゾピラン等が挙げられる。
窒素含有香料としては、具体的には、アセチルピロール、インドール、スカトール、インドレン、2−アセチルピリジン、マリティマ、6−メチルキノリン、6−イソプロピルキノリン、イソブチルキノリン、2−アセチルピラジン、2,3−ジメチルピラジン、2−イソプロピル−3−メトキシピラジン、2−イソブチル−3−メトキシピラジン、2−セカンダリーブチル−3−メトキシピラジン、トリメチルピラジン、5−メチル−3−ヘプタンオキシム等が挙げられる。
ニトリル系香料としては、具体的には、ゲラニルニトリル、シトロネリルニトリル、5−フェニル−2,6−ノナジエンニトリル、シナモンニトリル、クミンニトリル、ドデカンニトリル、トリデセン−2−ニトリル等が挙げられる。
硫黄含有香料としては、具体的には、ジメチルスルフィド、2−メチル−4−プロピル−1,3−オキサチアン、イソオシアン酸アリル、p−メンタン−8−チオール−3−オン、p−メンテン−8−チオール、p−メンチルチオプロピオン酸メチル等が挙げられる。
これらの香料成分(アルコール系香料以外)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの香料成分(アルコール系香料以外)の中でも、より一層効果的に香料液の揮散速度の低下を抑制するという観点から、好ましくはアルデヒド系香料、エステル系香料、ケトン系香料、エーテル系香料、ラクトン系香料、窒素含有香料、更に好ましくはアルデヒド系香料、エステル系香料、ケトン系香料、エーテル系香料が挙げられる。
また、本発明で使用される香料液における香料成分の総含有量については、特に制限されず、使用する香料成分の種類、付与すべき香気の質や強さ等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、本発明で使用される香料液において、香料成分の総量が2.5〜40重量%、好ましくは5〜30重量%、更に好ましくは7.5〜20重量%が挙げられる。
本発明で使用される香料液には、前述する香料成分以外に、当該香料成分を溶解又は分散させるための有機溶剤が含まれる。
本発明で使用される香料液に含まれる有機溶剤の種類については、香料成分を溶解又は分散するための媒体となり得ることを限度として特に制限されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等の1価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等の多価アルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートトリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコールエーテル;エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン等のアミン;ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。また、イソパラフィン、ノルマルパラフィン等のパラフィン系炭化水素を使用することもできる。パラフィン系炭化水素として、好ましくは沸点が100〜300℃、好ましくは150〜250℃のものが挙げられる。
これらの有機溶剤の中でも、好ましくは1価アルコール、多価アルコール、パラフィン系炭化水素、グリコールエーテル、更に好ましくはパラフィン系炭化水素、特に好ましくはイソパラフィンが挙げられる。
これらの有機溶剤は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明で使用される香料液において、有機溶剤の含有量については、特に限定されないが、例えば60〜97.5重量%、好ましくは70〜95重量%、更に好ましくは80〜92.5重量%が挙げられる。
また、本発明で使用される香料液では、有機溶剤としてパラフィン系炭化水素を使用する場合には、香料の溶解補助剤として3−メトキシ−3−1−ブタノールが含まれていてもよい。本発明で使用される香料液に3−メトキシ−3−1−ブタノールを含有させる場合、その含有量については特に制限されないが、例えば、0.5〜20重量%、好ましくは1〜15重量%、更に好ましくは2〜10重量%が挙げられる。
本発明で使用される香料液には、前述した成分以外に、本発明の効果を妨げないことを限度として、他の添加剤を含有してもよい。このような他の添加剤としては、例えば、害虫忌避剤、消臭剤、殺虫剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、溶解剤、防腐剤、増粘剤、pH調製剤、消臭剤、キレート剤等が挙げられる。
害虫忌避剤成分としては、飛翔昆虫(蚊、ユスリカ、蚋、ハエ等)、ゴキブリ、ダニ等の害虫を忌避できるものであればよいが、例えば、ピレスロイド系化合物、ナフタレン系化合物、パラジクロロベンゼン系化合物、樟脳、N,N−ジエチル−m−トルアミド、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、p−メンタン−3,8−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジ−n−プロピルイソシンコメロネート、p−ジクロロベンゼン、ジ−n−ブチルサクシネート、カラン−3,4−ジオール、1−メチルプロピル−2−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペリジンカルボキシレート、イソチオシアン酸アリル、植物抽出物(カラシ、ワサビ等)、木酢液等が挙げられる。これらの害虫忌避剤成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
消臭剤としては、例えば、安定化二酸化塩素;アルデヒド化合物;グリコールエーテル化合物;フィトンチッド系香料;低級脂肪族アルデヒド系香料等が挙げられる。
殺虫剤成分としては、例えば、ヒノキチオール、ヒバ油、アリルイソチオシアネート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エタノール、プロパノール、1,8―シネオール等が挙げられる。
抗菌剤としては、例えば、アリルイソチオシアネート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビン酸塩、イソフラボン、α−トコフェロール等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系(2−(3,5−ジ−tert−ペンチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール)、ベンゾフェノン系(2,2’,4,4’,−テトラヒドロキシベンゾフェノン)等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
[棒状に加工したポリマー繊維]
本発明の揮散器では、揮散部材として棒状に加工したポリマー繊維を使用する。本発明において、「揮散部材」とは、容器に収容された香料液を吸い上げて、空気中に香料液を揮散させる部材を指す。従来技術では、揮散部材として棒状に加工したポリマー繊維を使用した揮散器では、香料液において香料成分の総量当たりアルコール系香料が多く含まれる場合には、香料液の揮散速度が、籐からなる揮散部材を使用した場合に比して低下するという欠点があるが、本発明では、香料成分100重量部当たりアルコール系香料が15重量部以上という高い比率で含まれていても当該欠点を克服し、香料液の揮散速度の低下を抑制することが可能になっている。
棒状に加工したポリマー繊維の素材としては、揮散液を吸液して揮散できる素材からなるものであれば特に限定されないが、例えば、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン、ポリオレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレン等)、ポリウレタン等の合成繊維が挙げられる。これらの中でも、香料液の揮散速度の低下を効果的に抑制するという観点から、前記ポリマー繊維の素材として、耐熱性、耐薬性等の観点から、好ましくは合成繊維、更に好ましくはポリエステル、ポリウレタン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
棒状に加工したポリマー繊維の構成素材として使用されるポリエステルの種類については、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。これらのポリエステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのポリエステルの中でも、耐熱性、耐薬性の観点から、好ましくはポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
棒状に加工したポリマー繊維の構成素材として使用されるポリウレタンの種類については、主鎖中にウレタン結合を含む高分子であれば、特に限定されず、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとの反応で得られるものが挙げられる。
ポリウレタンを構成するポリオール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのグリコール類;トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどのポリオール類;エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド単位を有するポリオール化合物;ポリエーテルジオール類、ポリエステルジオール類などの高分子量ジオール類;ビスフェノールAやビスフェノールFなどのビスフェノール類;ダイマー酸のカルボキシル基を水酸基に転化したダイマージオール等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ポリウレタンを構成するポリイソシアネート成分としては、芳香族、脂肪族、及び脂環族の公知のジイソシアネート類が挙げられる。ジイソシアネート類の具体例としては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメチルジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、及びこれらのアダクト体、ビウレット体、イソシアヌレート体等が挙げられる。また、ジイソシアネート類には、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートなどの3官能以上のポリイソシアネート類を用いてもよい。これらは1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
棒状に加工したポリマー繊維の構成素材として、ポリエステルとポリウレタンを含む場合、これらの比率については、特に制限されないが、例えば、ポリエステル100重量部に対して、ポリウレタンが0.1〜20重量部、好ましくは1〜10重量部、より好ましくは3〜7重量部が挙げられる。
ポリマー繊維を棒状に加工する方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いて棒状に加工するとよい。
棒状に加工したポリマー繊維の形状としては、棒状であれば特に限定されず、例えば、円柱状や、三角柱状、四角柱状、六角柱状等の多角柱状が挙げられる。これらの中でも、棒状に加工したポリマー繊維の形状としては、円柱状が好ましい。なお、円柱状には、例えば、底面形状が完全な円形であるものだけではなく、微小な凹凸等があっても全体として略円形であるものも含まれる。棒状に加工したポリマー繊維は、複数使用する場合、全てが同じ形状であってもよいし、一部の形状が異なるものであってもよいが、同じ形状であることが好ましい。
棒状に加工したポリマー繊維の形状が円柱状である場合、長さ方向に対して垂直に切断した断面の直径としては、特に限定されず、揮散器の外観や薬液の揮散速度等の観点から適宜設定すればよいが、例えば、5mm以下、好ましくは2〜4mm、更に好ましくは2.5〜3.5mmが挙げられる。
棒状に加工したポリマー繊維において、長さ方向に対して垂直に切断した場合の断面積については、特に制限されず、揮散器の外観、使用する棒状に加工したポリマー繊維の数等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、1.5〜25mm2、好ましくは3〜16mm2、更に好ましくは4.5〜10mm2が挙げられる。
棒状に加工したポリマー繊維の長さについては、特に限定されず、使用する容器や収容する香料液の量等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、110〜190mm、好ましくは110〜170mm、更に好ましくは110〜130mmが挙げられる。
本発明の揮散器において、棒状に加工したポリマー繊維は、単数用いてもよいし、複数用いてもよく、揮散器の外観、揮散部材の形状や薬液の揮散速度等に応じて適宜設定すればよいが、香料液を揮散し易くするという観点からは、複数用いることが好ましい。本発明において、棒状に加工したポリマー繊維の数は、特に限定されないが、例えば、直径2〜4mm程度の棒状に加工したポリマー繊維を使用する場合、6〜10本程度、好ましくは7〜9本程度使用するとよい。
棒状に加工したポリマー繊維の長さとしては、特に限定されず、使用する容器の形状や香料液の量等に応じて適宜設定すればよい。
[容器]
本発明の揮散器において使用する容器の形状については、前述の棒状に加工したポリマー繊維と揮散液を収容するための開口部を有し、前記ポリマー繊維を揮散液に浸漬させ、前記ポリマー繊維を介して揮散液を揮散させることのできる態様で使用できるものであれば、特に制限されず、インテリア性などを考慮して適宜設定することができる。
また、前記容器の素材についても特に制限されず、プラスチック製、ガラス製、陶器製等のいずれであってもよく、また、透明、不透明、半透明等のいずれであってもよく、揮散器に備えさせるべきインテリア性等を考慮して適宜設定すればよい。
[構成]
本発明の揮散器は、図1に示すように、棒状に加工したポリマー繊維を揮散部材1とし、当該揮散部材の一部(下端)が容器3内の香料液2に浸漬され、当該揮散部材の他の一部(上端)が容器外に露出するよう設置されることにより、香料液2が、揮散部材1を介して揮散するように配される。香料液2に浸漬された前記揮散部材1の下端から、揮散液2が毛細管現象により吸い上げられて揮散部材1の上端から揮散される。
2.香料液
本発明は、棒状に加工したポリマー繊維を揮散部材として使用して揮散される香料液であって、当該香料液に含まれる香料成分の総量100重量部当たり、アルコール系香料が15重量部以上であり、当該香料液におけるテルペン系のアルコール系香料の含有量が総量で7.5%未満であり、当該香料液における脂肪族系のアルコール系香料の含有量が総量で5%未満であり、且つ当該香料液における芳香族系のアルコール系香料の含有量が総量で2.5%未満であることを特徴とする。
当該香料液は、前記揮散器に使用される香料液であり、その組成、揮散させる際に使用される揮散部材や容器等については、前記「1.揮散器」の欄に記載の通りである。
また、当該香料液は、前記「1.揮散器」に記載の揮散部材(棒状に加工したポリマー繊維)及び容器と共に提供されてもよく、また、前記「1.揮散器」における香料液の詰め替え用として提供されてもよい。前記「1.揮散器」における香料液の詰め替え用として提供する場合、必要に応じて、揮散部材(棒状に加工したポリマー繊維)とセットにして提供してもよい。
次に、本発明について実施例を挙げて、更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
参考試験例1
開口部を有するガラス製透明容器(容積約94mL、容器内底面積13.06mm、開口部の内径20.3mm)に、表1に示す組成の揮散液Aを70mL入れ、更にガラス製透明容器の開口から揮散部材として棒状に加工されたポリマー繊維(円柱状、直径約3mm、長さ120〜180mm、組成:ポリエチレンテレフタレート/ポリウレタン=95/5(重量比))を8本、又は棒状に加工した籐を8本入れて、揮散部材の下部が揮散液に浸漬し、揮散部材の上部が容器外に露出するように設置した。この状態で19℃の温度条件下で40日間静置し、揮散液の重量変化を経時的に測定した。
Figure 0006986359
得られた結果を図2に示す。図2には、静置開始時の揮散液の重量を100%として換算した揮散液の残存率(%)を示している。この結果、香料を含まない揮散液では、揮散部材として棒状に加工されたポリマー繊維を使用しても、棒状に加工した籐を使用した場合と同じ揮散速度を示すことが確認された。
試験例1
開口部を有するガラス製透明容器(容積約94mL、容器内底面積13.06mm、開口部の内径20.3mm)に、表2に示す組成の香料液を70mL入れ、更にガラス製透明容器の開口から揮散部材として棒状に加工されたポリマー繊維(円柱状、直径約3mm、長さ120〜180mm、組成:ポリエチレンテレフタレート/ポリウレタン=95/5(重量比))を8本、又は棒状に加工した籐を8本入れて、揮散部材の下部が香料液に浸漬し、揮散部材の上部が容器外に露出するように設置した。この状態で19℃の温度条件下で90日間静置し、香料液の重量変化を経時的に測定した。
Figure 0006986359
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Figure 0006986359
得られた結果を図3〜9に示す。図3〜9には、静置開始時の香料液の重量を100%として換算した香料液の残存率(%)を示している。この結果、アルデヒド系香料、エステル系香料、ケトン系香料及びエーテル系香料を含む香料液では、揮散部材の種類に違いにより揮散速度に差は生じなかった。これに対して、アルコール系香料を含む香料液では、揮散部材として棒状に加工されたポリマー繊維を使用した場合には、棒状に加工した籐を使用した場合に比べて香料液の揮散速度が大幅に低下していた。即ち、本試験結果から、棒状に加工されたポリマー繊維を揮散部材として使用する場合には、香料液中のアルコール系香料の含有量を減らすことにより、揮散速度の低下を抑制できることが明らかとなった。
試験例2
開口部を有するガラス製透明容器(容積約94mL、容器内底面積13.06mm、開口部の内径20.3mm)に、表10に示す組成の揮散液及び香料液を70mL入れ、更にガラス製透明容器の開口から揮散部材として棒状に加工されたポリマー繊維(円柱状、直径約3mm、長さ120〜180mm、組成:ポリエチレンテレフタレート/ポリウレタン=95/5(重量比))を8本入れて、揮散部材の下部が揮散液又は香料液に浸漬し、揮散部材の上部が容器外に露出するように設置した。この状態で19℃の温度条件下で33日間静置し、揮散液及び香料液の重量変化を経時的に測定した。
静置開始時の揮散液及び香料液の重量を100%として、33日間静置後の残存率(%)を求めた。更に、下記算出式に従って、香料液の揮散速度の変化量を算出した。
Figure 0006986359
得られた結果を表10に示す。この結果から、香料液に含まれる香料成分の総量100重量部当たり、アルコール系香料が15重量部以上である場合において、香料液におけるテルペン系のアルコール系香料の含有量が総量で7.5%未満、脂肪族系のアルコール系香料の含有量が総量で5%未満、且つ芳香族系のアルコール系香料の含有量が総量で2.5%未満である場合には、棒状に加工したポリマー繊維を揮散部材として使用する場合において、香料液の揮散速度の低下を抑制できることが明らかとなった。
Figure 0006986359
試験例3
開口部を有するガラス製透明容器(容積約94mL、容器内底面積13.06mm、開口部の内径20.3mm)に、表11に示す組成の揮散液及び香料液を70mL入れ、更にガラス製透明容器の開口から揮散部材として棒状に加工されたポリマー繊維(円柱状、直径約3mm、長さ120〜180mm、組成:ポリエチレンテレフタレート/ポリウレタン=95/5(重量比))を8本入れて、揮散部材の下部が揮散液又は香料液に浸漬し、揮散部材の上部が容器外に露出するように設置した。この状態で19℃の温度条件下で33日間静置した。33日後の香料液の揮散速度の変化量を前記試験例3に記載の方法で算出し、下記判定基準に従って揮散性について評価した。
<揮散性の判定基準>
◎:−3%≦香料液の揮散速度の変化量(%)≦0%
○:−6%≦香料液の揮散速度の変化量(%)<−3%
×:香料液の揮散速度の変化量(%)<−6%
得られた結果を表11に示す。香料成分の総量100重量部当たりアルコール系香料が15重量部未満であり、アルコール系香料の比率が比較的低い場合には、香料液の揮散速度の低下は認められなかった(香料液10)。一方、香料成分の総量100重量部当たりアルコール系香料が15重量部以上にして、アルコール系香料の比率を高めると、香料液におけるアルコール系香料の含有量が7.5%未満、脂肪族系のアルコール系香料の含有量が5%未満、且つ芳香族系のアルコール系香料の含有量が2.5%未満を満たしていない場合には、香料液の揮散速度の低下が認められた(香料液11及び12)。これに対して、香料成分の総量100重量部当たりアルコール系香料が15重量部以上であっても、香料液におけるアルコール系香料の含有量が7.5%未満、脂肪族系のアルコール系香料の含有量が5%未満、且つ芳香族系のアルコール系香料の含有量が2.5%未満を満たしている場合には、香料液の揮散速度の低下を抑制できていた(香料液13)。
Figure 0006986359
1 揮散部材
2 香料液
3 容器

Claims (7)

  1. 開口部を有する容器と、
    前記容器に収容された香料液と、
    前記香料液を吸液して揮散させる棒状に加工したポリマー繊維(但し、撚糸を含む場合を除く)とを備え、
    前記棒状に加工したポリマー繊維が、前記容器の開口部から挿入され、少なくとも一部が前記開口部から容器外に露出するように設置されている揮散器であって、
    前記ポリマー繊維が合成繊維であり、
    前記香料液に含まれる香料成分の総量100重量部当たり、アルコール系香料が15重量部以上であり、
    前記香料液におけるテルペン系のアルコール系香料の含有量が総量で2.5%以下であり、
    前記香料液における脂肪族系のアルコール系香料の含有量が総量で5%未満であり、且つ
    前記香料液における芳香族系のアルコール系香料の含有量が総量で2.5%未満である、
    揮散器。
  2. 前記棒状に加工したポリマー繊維が円柱状である、請求項1に記載の揮散器。
  3. 前記棒状に加工したポリマー繊維を長さ方向に対して垂直に切断した断面の直径が5mm以下である、請求項2に記載の揮散器。
  4. 前記棒状に加工したポリマー繊維の長さが110〜190mmである、請求項1〜3のいずれかに記載の揮散器。
  5. 前記棒状に加工したポリマー繊維が、ポリエステル及びポリウレタンを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の揮散器。
  6. 前記香料液が、パラフィン系炭化水素を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の揮散器。
  7. 棒状に加工したポリマー繊維(但し、撚糸を含む場合を除く)を揮散部材として使用して揮散される香料液であって、
    前記ポリマー繊維が合成繊維であり、
    前記香料液に含まれる香料成分の総量100重量部当たり、アルコール系香料が15重量部以上であり、
    前記香料液におけるテルペン系のアルコール系香料の含有量が総量で2.5%以下であり、
    前記香料液における脂肪族系のアルコール系香料の含有量が総量で5%未満であり、且つ
    前記香料液における芳香族系のアルコール系香料の含有量が総量で2.5%未満である、
    香料液。
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