以下、家庭用冷蔵庫に適用した一実施形態について、図面を参照しながら説明する。まず、図1を参照して、本実施形態に係る冷蔵庫1の全体構成について簡単に述べる。この冷蔵庫1は、断熱箱体からなる冷蔵庫本体2内を、断熱仕切壁により複数に区画することにより、複数の貯蔵室を備えて構成されている。詳しく図示はしないが、前記断熱箱体は、鋼板製の外箱と、プラスチック製の内箱とを結合し、それらの形成する空間内に真空断熱パネル等の断熱材を充填して構成されている。
前記複数の貯蔵室として、本実施形態では、冷蔵庫本体2内には、上段から順に、冷蔵室3、野菜室4、製氷室5及び上段冷凍室6、下段冷凍室7が設けられている。そのうち製氷室5及び上段冷凍室6は、左右に並んで位置して設けられている。前記冷蔵室3の前面部には、ヒンジ開閉式いわゆる観音開き式の左右の断熱扉8、9が設けられている。前記野菜室4の前面部には、引出し式の断熱扉10が設けられ、この断熱扉10の背面部には、貯蔵容器11が連結されている。
製氷室5の前面には、貯氷容器(図示せず)が連結された引出し式の断熱扉12が設けられている。上段冷凍室6の前面には、貯蔵容器(図示せず)が連結された引出し式の断熱扉13が設けられている。下段冷凍室7の前面には、貯蔵容器(図示せず)が連結された引出し式の断熱扉14が設けられている。前図示はしないが、前記製氷室5内には、自動製氷装置が設けられている。さらに、冷蔵庫本体2内には、周知の冷凍サイクルや冷機循環機構等からなる冷却機構が組込まれている。
そして、上記貯蔵室のうち野菜室4には、貯蔵容器11を前後方向に出し入れ可能に案内するスライドレール機構15が設けられる。このとき、野菜室4の前面の断熱扉10の背面側には、全体としては図示しないが、貯蔵容器11を支持するための支持枠が、コ字状をなすように設けられている。貯蔵容器11は、その支持枠に対して上方から着脱可能に嵌め込まれて保持されるようになっている。前記支持枠のうち、貯蔵容器11の左右部において前後方向に延びる側部アーム部分が、後述するスライドレール機構15の可動レール(第1レール)18を兼用するようになっている。このとき、図7に示すように、貯蔵容器11の上端部の左右辺部には、外側下方に逆U字状に折返されるような折返し部11aが一体に設けられており、その折返し部11aが、可動レール18の上端面に被さるように位置される。
スライドレール機構15は、野菜室4内の左右の側壁部において、左右対称的に設けられている。以下、それらを代表させて、野菜室4内の図で左側に配置されるスライドレール機構15について、図2〜図9も参照して説明する。尚、図1に示すように、前記下段冷凍室7にも、貯蔵容器を前後方向に出し入れ可能に案内するスライドレール機構15が設けられる。下段冷凍室7に設けられるスライドレール機構については、野菜室4内のスライドレール機構15と同様の機構を採用しても良いし、シングルレール方式のスライドレール機構を採用しても良い。
図2〜図4に示すように、スライドレール機構15は、いわゆるダブルレール方式のものが採用されている。スライドレール機構15は、野菜室4の内側壁(左側壁)に取付けられた第3レールとしての固定レール16と、この固定レール16に対して第1ローラ19を介して前後方向にスライド移動可能な第2レールとしての中間レール17と、この中間レール17に対してローラとしての第2ローラ20を介して前後方向にスライド移動可能な第1レールとしての可動レール18とを備えて構成される。これら各レール16〜18について、以下順に述べる。尚、図示はしないが、前記可動レール18の後端部と、右側のスライドレール機構15の可動レール18の後端部とが、左右方向延びる連結部により連結されることにより、前記支持枠が構成される。
まず、前記固定レール16は、図2〜図4に示すように、金属板から、板面を左右方向に向けた状態で前後方向に延びる形状をなしている。このとき、図4に示すように、固定レール16は、前後方向に見て、全体として断面が上下方向に延びている。より具体的には、固定レール16は、前方から見て、下半部が垂直に立上がるようにして、野菜室4の内側壁に沿って配置され、上下方向中間部で右側にほぼ直角に折曲げられた後、すぐに上方に直角に折曲げられて、上半部が上方に延びて立上がる形態とされている。従って、固定レール16は、上下方向中間部に段部を有した形態をなし、上半部は、野菜室4の内側壁から若干だけ離れた形態とされる。
図2等に示すように、この固定レール16の下半部の野菜室4内を向く内面側(図で右面部)には、前端部に位置して、中間レール17をスライド可能に支持するための前記第1ローラ19が設けられている。そして、図3に示すように、固定レール16の下半部の右側面には、やや前寄り部分に位置して、前部ストッパ部21が設けられ、後端部に位置して、後部ストッパ部22が設けられている。これら前部ストッパ部21及び後部ストッパ部22は、後述する中間レール17の突出部30に対応しており、該中間レール17の前後方向の移動範囲を規制するようになっている。
また、図4にも示すように、固定レール16の右側面下辺部には、前部ストッパ部21と後部ストッパ部22との間に位置して、L字状をなすように折曲辺部16aが設けられ、その折曲辺部16a内に、前後方向に細長く延びるキャビリテーナ23が上方から嵌合固定されている。このキャビリテーナ23は、合成樹脂からなり、全体として断面四角形の棒状をなし、その上面に、正面凹形状をなすように、スライド溝部23aが形成されている。キャビリテーナ23の上面は、後述する中間レール17の第3ローラ31が相対的に転動するようになっていると共に、中間レール17の突出部30の突片30cがスライド溝部23aに係合することにより、中間レール17を前後方向にガイドする。
この固定レール16の上半部の前端部には、合成樹脂製のレールスペーサ24が取付けられている。このレールスペーサ24は、図4に示すように、後述する中間レール17の下半部の左側面の平面部に当接し、相対的に摺動することにより、中間レール17との間の左右方向の間隔を確保する機能を果たす。更に、固定レール16の後部部の下部には、後述する可動レール18の後部載置片部36aが前後方向に移動可能に載置される可動レールガイド部25が、正面から見て右側に開放するレール状をなすように、前後方向に延びて設けられている。
次に、前記中間レール17は、図3、図5に示すように、金属板から、全体として、板面を左右方向に向けた状態で前後方向に延びる形状をなしている。このとき、図4に示すように、中間レール17の下半部は、前後方向に見て、左方に開口した薄型のコ字状に構成されたコ字状部とされ、中間レール17の上半部が、そのコ字状部の上端の右辺部から上方に立上がる形態とされている。尚、前記コ字状部の上辺部及び下辺部の水平部分を、夫々上部水平部17a及び下部水平部17bと称する。図2、図4に示すように、下部水平部17bは、前記第1ローラ19上に載置され、中間レール17の前後方向の移動に伴い、下部水平部17bの下面を第1ローラ19が相対的に転動するようになっている。
この中間レール17は、下半部(コ字状部)が、前記固定レール16の上半部の右側に、隙間を介して配置され、上半部が野菜室4の内側壁に近い側に配置される。図4、図5に示すように、中間レール17の前記コ字状部の内側となる左側面は、前記固定レール16のレールスペーサ24の右側面を相対的に摺動する滑らかな平面部17cとされている。図3、図4に示すように、この中間レール17の前端部の上部の右側面には、後述する可動レール18をスライド可能に支持するための前記第2ローラ20が設けられている。
また、図3、図4に示すように、この中間レール17には、後端部の下辺部から下方に突出する突出部30が前後方向に延びて一体的に設けられている。図2にも示すように、この突出部30の左側面には、前記固定レール16のキャビリテーナ23上を転動する第3ローラ31が設けられている。突出部30の前後部は、夫々左側に直角に折曲げられ、前端部が前部係止部30aとされ、後部係止部30bとされている。突出部30の下辺には、前記キャビリテーナ23のスライド溝部23aに係合して前後方向にガイドされる突片30cが設けられている。
これにて、中間レール17は、固定レール16に対し、下部水平部17bの下面が第1ローラ19上を相対的に転動すると共に、第3ローラ31がキャビリテーナ23上を転動することにより、前後方向にスムーズに移動される。このとき、突出部30の突片30cがスライド溝部23aに沿って移動すると共に、前記レールスペーサ24が平面部17cを相対的に摺動することにより、左右方向のがたつきなく移動される。また、固定レール16に対する中間レール17の移動可能な範囲は、前部係止部30aが前部ストッパ部21に当接する位置と、後部係止部30bが後部ストッパ部22に当接する位置との間に規制されるようになっている。
また、本実施形態では、図5等にも示すように、中間レール17の前端部には、上部水平部17aのやや下方の右側面側に位置して、可動レール18の左右方向のがたつきを抑制しながら前後方向に案内するための第1のリテーナ26が設けられている。図4にも示すように、この第1のリテーナ26は、合成樹脂材料からなり、正面から見てほぼH型をなすような小型のブロック状をなしており、上面側に、前後方向に延び後述する可動レール18の下辺縁部18aが差込まれる上部溝26aを有している。
詳しい図示は省略するが、第1のリテーナ26には、中間レール17の前端縁部が差込まれる差込み溝が形成されていると共に、その差込み溝側に突出する爪を有する取付爪部27(図5参照)が一体に形成されている。取付爪部27は、差込み溝bを開く或いは狭める方向に弾性変形可能とされている。これに対し、図3に示すように、中間レール17には前端部分に位置して取付部としての前後方向に長い長方形状の取付穴17dが形成されている。第1のリテーナ26は、中間レール17の前端縁部が差込み溝内に差込まれるようにしながら、取付穴17dに対し取付爪部27を係合させることにより、前方から着脱可能に取付けられている。
更に、中間レール17には、図3、図4に示すように、上部水平部17aの下面側(左側面側)の、前後方向中間部及び後端部寄り部分の2箇所に位置して、固定レール16に対する中間レール17の左右方向のがたつきを防止するための第2のリテーナ28が取付けられる。図4に示すように、これら第2のリテーナ28は、合成樹脂材料からなり、正面から見て下向きのコ字状(C字状)をなすような小型のブロック状をなしており、下面側に、固定レール16の上辺縁部16bが下方から差し込まれる凹部28aを有している。また、第2のリテーナ28の右側面部には、抜止め用の凸部(図示せず)が一体に設けられている。
これに対し、中間レール17には、図3、図4に示すように、前記各第2のリテーナ28が取付けられる嵌合保持部29が設けられている。この嵌合保持部29は、中間レール17の上部水平部17aの左端から上方に立上がる直ぐ上部の部分を四角く下向きに切起こして切起し部を設けると共に、上部水平部17aの右端から少し下の部分を四角く左向きに切起こして抜止片を設けて構成される。これにて、嵌合保持部29は、正面から見て、下面の左側が開口しているほぼ角筒状に設けられる。
詳しく図示はしないが、この嵌合保持部29に対し、第2のリテーナ28は、前方から嵌め込まれるように取付けられ、下方への抜止め状態に支持されると共に、凸部が抜止め部に係止して前方への抜止め状態とされる。尚、図示はしないが、右側に設けられるスライドレール機構については、第2のリテーナ28を、後方から嵌合保持部29に嵌合させて取付ける構成とすることもできる。これにより、部品の共通化を図ることができる。
次に、前記可動レール18は、図3〜図5等に示すように、金属板から、全体として、板面を左右方向に向けた状態で前後方向に延びる形状をなしている。また、この可動レール18の前端部には、前記断熱扉10の裏面側に取付けられる前部連結板部32が、ほぼ直角に折曲げられた形態で一体に設けられている。図示はしないが、上記したように、可動レール18の後端部と、右側の可動レールの後端部とは、左右方向延びる連結部により連結され、貯蔵容器11を保持する支持枠が構成される。
この可動レール18の上辺部には、図4等に示すように、左側に直角に折曲げられた後更に下向きに折曲げられた形態の上部ガイドレール部33が前後方向ほぼ全体に渡って一体に設けられている。また、図3に一部示すように、可動レール18の後端部の左側面には、第4ローラ34が設けられている。そして、図5に示すように、前記上部ガイドレール部33には、可動レール18の前後方向中間やや後ろ寄りに位置して、ストッパ35が一体に設けられている。このストッパ35は、前記第2ローラ20に当接することにより、中間レール17に対する可動レール18の引出し位置を規制するためのもので、このストッパ35部分の構成については、後述する。
可動レール18は、上部ガイドレール部33が、前記第2ローラ20上に載置されると共に、第4ローラ34が前記中間レール17の上部水平部17aの上面に載置されるようにして、中間レール17の上半部の右側に配置される。この状態では、前記第2ローラ20が上部ガイドレール部33の下面を相対的に転動し、また、第4ローラ34が上部水平部17aの上面を転動することにより、可動レール18は前後方向に案内される。
このとき、図4に示すように、可動レール18の後端部を除く下辺縁部18aが、前記第1のリテーナ26の上部溝26aに上から差込まれることによって、可動レール18の前後方向の移動時における左右方向のがたつきが抑制されるようになっている。尚、図3、図5等に示すように、可動レール18の後端部には、下方に膨出する後部膨出部36が設けられ、可動レール18(貯蔵容器11)の野菜室4内への収納状態で、後部膨出部36の下端の後部載置片部36aが、前記可動レールガイド部25上に前後方向に移動可能に載置されるようになっている。
ここで、前記可動レール18に設けられたストッパ35部分の構成について、図6〜図9も参照して詳述する。図6、図8等に示すように、可動レール18の上辺の上部ガイドレール部33のうちストッパ35形成部分には、上辺の左右の縁部に沿って前後方向に延びる2本のスリット18b、18bが形成されている。そして、そのスリット18b、18b間の部分が、側面から見て緩やかなV字状をなすように下方に塑性変形されることにより、ストッパ35が2つの傾斜面を有する側面V字状に構成されている。
そして、本実施形態では、ストッパ35の2つの傾斜面のうち前記第2ローラ20側を向く前側の傾斜面35a全体を包み込む(巻き付ける)ように、該第2ローラ20との衝突音を緩和するための緩衝部材37が設けられている。図6、図7、図9に示すように、緩衝部材37は、例えばゴムから環状この場合角筒状に構成されると共に、その周方向の一部にスリット37a(図7、図9参照)を有している。このとき、図8に示すように、前記可動レール18の右側面部には、前記傾斜面35aの側方を開放させるように、前記スリット18bに連続する挿入穴18cが形成されている。
前記緩衝部材37は、前記スリット37aを開くように変形させながら、スリット37aの一方側(薄肉側)を挿入穴18cの外側(右側方)から挿入する。そして、図7、図9に示すように、スリット37aが左上部の角部に位置するようにして、傾斜面35aの側方から巻回させるようにしてストッパ35に取付けられる。また、この状態では、緩衝部材37のうち挿入穴18c部分の外側に露出している部分を引出すことにより、スリット37aを開くようにしてストッパ35から容易に取外しできる。これにより、緩衝部材37は、可動レール18に対して、着脱可能に取付けられている。
このとき、緩衝部材37の取付状態では、第2ローラ20との接触時に該第2ローラ20により緩衝部材37が挿入穴18cから外れる方向とは異なる方向に押されるように構成されている。しかも本実施形態では、図7に示すように、緩衝部材37の取付状態では、緩衝部材37の側面部が、可動レール18に保持されている貯蔵容器11の外側面に接触するように構成されている。また、図7に示すように、スライドレール機構15には、緩衝部材37の第2ローラ20と当接する部分の反対側(図で上側)に位置して、該緩衝部材37の変形を許容するための空間Sが設けられるようになる。尚、スライドレール機構15においては、可動レール18の引出し動作の途中のタイミングにおいて、第2ローラ20に緩衝部材37が当接するようになっている。
上記した構成のレール機構16において、レール16、17、18が組合わされた状態では、図2、図4に示すように、野菜室10の内側壁に固定レール16が固定的に取付けられ、この固定レール16に対し、中間レール17が前後方向にスライド移動可能に支持される。このとき、固定レール16の前端に設けられた第1ローラ19上に、中間レール17の下部水平部17bが載置される。また、中間レール17の後部の突出部30に設けられた第3ローラ31が、固定レール16のキャビリテーナ23上を転動すると共に、突片30cがキャビリテーナ23のスライド溝部23aに係合される。
これに加え、中間レール17に2箇所に設けられた第2のリテーナ28の凹部28aに、固定レール16の上辺縁部16bが下方から差込まれる。更に、固定レール16の前端部に設けられたレールスペーサ24が、中間レール17の平面部17cに接触し、相対的に摺動する。これにて、中間レール17は、固定レール16に対し、第1ローラ19や第3ローラ31によって、前後方向にスムーズに移動されるようになると共に、レールスペーサ24や第2のリテーナ28等によって、左右方向のがたつきが抑えられる。また、固定レール16の前部ストッパ部21に突出部30の前部係止部30aが当接すること、及び、後部ストッパ部22に突出部30の後部係止部30bが当接することにより、中間レール17の前後方向の移動範囲が規制される。
そして、中間レール17に対し、可動レール18ひいては貯蔵容器11が前後方向にスライド移動可能に支持される。このとき、可動レール18の上部ガイドレール部33が、中間レール17の前端部の第2ローラ20上に載置され、これと共に、可動レール18の第4ローラ34が、中間レール17の上部水平部17aの上面に載置される。さらに、可動レール18の下辺縁部18aが、中間レール17の第1のリテーナ26の上部溝26aに上から差込まれる。
これにより、可動レール18は、中間レール17に対し、第2ローラ20や第4ローラ34によって、前後方向にスムーズに移動されるようになると共に、第1のリテーナ26により、左右方向のがたつきが抑えられる。また、図6に示すように、可動レール18のストッパ35が第2ローラ20に当接することにより、中間レール17に対する前方への引出し量が規制される。このとき、緩衝部材37が第2ローラ20に衝突するようになり、衝突音の発生が抑えられる。断熱扉10が冷蔵庫本体2の前面に当接して閉塞されることにより、可動レール18の後方への移動量が規制される。尚、ストッパ35部分を第2ローラ20の上部を乗り越えさせるようにすることによって、可動レール18ひいては貯蔵容器11の、冷蔵庫本体2からの取外しが可能となる。
このような実施形態によれば、次のような作用・効果を得ることができる。即ち、本実施形態のスライドレール機構15においては、上記のように、固定レール16に対して第1ローラ19を介して中間レール17が前後方向にスライド移動され、その中間レール18に対して、第2ローラ20を介して可動レール18が前後方向にスライド移動される。このときの中間レール17及び可動レール18の移動、ひいては貯蔵容器11の出し入れ作業は、弱い力でスムーズに行われる。この場合、ストッパや係止部等によって、中間レール17及び可動レール18の移動範囲(断熱扉10ひいては貯蔵容器11の引出し量)が規制されるようになる。
また、第1のリテーナ26を設けたことにより、貯蔵容器11の出し入れに伴う、可動レール18ひいては貯蔵容器18の左右方向のがたつきを抑えることができる。第2のリテーナ28を設けたことにより、固定レール16に対する中間レール17の左右方向のがたつきも抑制することができる。更に、固定レール16に、レールスペーサ24を設けるようにしたので、摺動抵抗を小さく抑えることができ、固定レール16に対する中間レール17のより一層スムーズな移動を可能とすることができる。このように、ユーザにとって高品質感が得られるスライドレール機構15を得ることができる。
特に、中間レール17の第2ローラ20に対し、可動レール18の上部ガイドレール部33が載置されて前後方向に案内される構成より、比較的弱い操作力で、可動レール18のスムーズな移動を果たすことが可能となるのであるが、この場合、可動レール18に設けられたストッパ35が、第2ローラ20に当接することによって、引出位置の規制がなされるようになる。このとき、ストッパ35に、緩衝部材37が設けられていることにより、第2ローラ20との衝突音が緩和されるようになる。この結果、本実施形態によれば、引出し式の貯蔵容器11を案内するスライドレール機構15を備えたものにあって、引出量を規制するためのストッパ35と第2ローラ20とが当接する際の異音の発生を抑制することができる。
本実施形態では、緩衝部材37は、可動レール18に着脱可能に取付けられているので、緩衝部材37が破損したり劣化したりした際の交換などのメンテナンスを容易に行うことができる。このとき、緩衝部材37を、挿入穴18cを通して傾斜面35aに巻き付けるように装着することができ、逆向きに挿入穴18cから引っ張って容易に取り外しができ、装着或いは取外しの作業が容易である。そして、緩衝部材37は、第2ローラ20により挿入穴18cから外れる方向とは異なる方向に押されるので、使用時において、緩衝部材37が外れにくいものとすることができ、自然に脱落してしまうといったことを未然に防止できる。
また本実施形態では、ストッパ35は側面V字状に構成され、そのうち第2ローラ20側を向く傾斜面35a全体に緩衝部37材を設ける構成とした。これにより、第2ローラ20との接触面となる、ストッパ35の傾斜面35aの全体に緩衝部材37が配置されるようになり、ストッパ35としての機能及び緩衝の機能を効果的に発揮させることができる。
ここで、スライドレール機構においては、貯蔵容器11を一杯まで引き出したとき、つまり断熱扉10の全開時にあっては、少なからず貯蔵容器11のガタ音が生じるため、貯蔵容器11のガタ音と同じタイミングでストッパ35の衝突音が発生する場合には、その音がさほど目立つことはない。ところが、固定レール16、中間レール17、可動レール18を有するダブルレールタイプのスライドレール機構15の場合は、貯蔵容器11の引き出し時における固定レール16に対して中間レール17が引き出されるタイミングが一定でないため、ストッパ35が第2ローラ20に当接するタイミングが不確定、つまり、断熱扉11の全開時より前に衝突音が発生し、ユーザにとって異音が気になるものとなる。従って、本実施形態のように、緩衝部材37を、ダブルレールタイプのスライドレール機構15に適用するとより効果的となるのである。
更に本実施形態では、緩衝部材37の側面部が貯蔵容器11の外側面に接触するように構成したので、緩衝部材37が貯蔵容器11の左右方向のがたつきを防止する効果も期待できる。上記実施形態では、緩衝部材37の第2ローラ20と当接する部分の反対側に位置して、該緩衝部材37の変形を許容するための空間Sを設けたので、緩衝部材37が第2ローラ20と当接した際の変形が許容され、緩衝部材37に無理な力が作用することを抑えることができ、緩衝部材37の早期の破損や変形などを防止することができる。
尚、上記実施形態では、緩衝部材37を角筒状に構成したが、円筒状に構成しても良く、また、板状に構成することも可能である。ストッパ35の形状としても、側面V字状に限らず、様々な形状とすることができる。また、上記実施形態では、第1のリテーナ26、第2のリテーナ28、レールスペーサ24を設けるようにしたが、これらリテーナ26、28及びレールスペーサ24については、必要に応じて設ければ良く、またそれらの形状や取付構造、設ける位置についても様々な変更が可能である。
更に、上記実施形態では、スライドレール機構として、固定レール、中間レール、可動レールの3つのレールを備えたダブルレールタイプのものを例に説明を行ったが、固定レール及び中間レールを兼用した形態の第2レールと、第1レールとしての可動レールとの2つのレールからなるシングルレールタイプのスライドレール機構にも適用することができる。更には、中間レールを複数備えた4つ以上のレールからなるスライドレール機構に適用してもよい。
その他、冷蔵庫の全体構成や、スライドレール機構を構成する各レールの形状や構造等についても、様々な変更が可能であることは勿論である。以上説明した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。