JP6985692B2 - 化学洗浄方法及び粒子捕集装置 - Google Patents

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本発明は、洗浄対象物に洗浄薬剤を循環させる化学洗浄方法及び当該化学洗浄方法において用いる粒子捕集装置に関し、特に、火力発電プラントや化学プラントなどの稼働によって発生する固形分を洗浄薬剤により溶解又は剥離させ、剥離した粒子を捕集して除去する化学洗浄方法及び粒子捕集装置に関する。
特に発電用の貫流ボイラなど、内壁にスケールが付着して連続運転ができなくなる各種化学プラントからスケールを除去する方法として、洗浄薬剤を循環させる化学洗浄方法が一般的に採用されている。化学洗浄方法においては、洗浄対象物であるボイラに洗浄薬剤を接触させることにより、スケールの構成成分を溶解又は剥離させて除去する。剥離されたスケール(「スラッジ」ともいう)は、洗浄薬剤と共に循環する。スラッジに含まれる固形物の粒径は、スケールの構成成分に大きく依存し、ひいてはボイラの水処理に大きく依存する。
貫流ボイラの水処理は、ボイラ・タービン系統内での腐食発生、スケール生成及び付着、タービンへのキャリオーバなどの障害を防止するために行われており、揮発性物質処理(AVT)及び酸素処理(中性水処理:NWT、及び複合水処理:CWT)がある。
揮発性物質処理(AVT)は、pH調整剤のアンモニアと酸素除去剤のヒドラジンで水質調整を行い、溶存酸素濃度を低く保持し腐食を防止する方法であり、マグネタイトを主体とするスケールが生成される。マグネタイトが主体のスケールは、ボイラ内壁面に波状に成長し、ボイラの差圧上昇が起こりやすいため、化学洗浄の間隔も3〜5年と短い。マグネタイトが主体のスケールを化学洗浄する場合に発生するスラッジに含まれる粒子の平均粒子径は、20μm〜40μm程度である。このスラッジはボイラ内に残留すると、起動時のクリーンアップでの水質が悪化し、浄化のための使用水量が増加するため、コストアップにつながってしまう。
酸素処理は、高濃度の水中で、難溶解性の酸化物を鋼の表面上に密着させて適切に保持することによって、その後の鋼の腐食及び腐食生成物の水中への溶出を抑制する方法である。中性水処理は中性の水に溶存酸素を共存させる方法であり、複合水処理はアンモニアによってpHを8.0〜9.3の弱アルカリ性の条件において溶存酸素を共存させる方法である。酸素処理は、揮発性物質処理の問題であるボイラ差圧やスケールの成長を抑制することができる。酸素処理で発生するスケールは、パウダースケールといわれるヘマタイト主体の外層と、揮発性処理のスケールに近いマグネタイト主体の内層との二層構造になる。スケールの成長が遅く、波状にも成長しないため、化学洗浄の間隔は10年程度に延伸できるとされている。しかし、このパウダースケールは化学洗浄で微細化し、粒子径1μm〜20μm程度の微粒子として、難溶解性のスラッジを構成することになる。
このパウダースケールおよびそのスラッジは、一般的な化学洗浄液の組成(クエン酸+グリコール酸+還元剤)と温度(80℃〜90℃)における溶解性は小さいため、洗浄液中に残留することになる。これが洗浄後のボイラ内に残留し、起動後の火炉壁管内面に付着し、火炉壁管メタル温度の上昇や蒸気側のエロージョンの要因となっている。(非特許文献1)
上記の懸念から、化学洗浄時にスラッジをなるべく除去するというニーズは高く、様々な技術が提案されている。
たとえば、揮発性物質処理(AVT)ボイラの化学洗浄方法として、洗浄用酸液を被洗浄部分に循環させる際に、循環路の途中に磁石を備えたスラッジ捕捉手段を用いて除去する方法(特許文献1)、薬液が循環する管系に遠心分離器を併設して未溶解物質を除去する方法(特許文献2)が提案されている。
特許文献1の方法では、マグネタイトのような強磁性のスラッジは除去できるが、ヘマタイトのような常磁性のスラッジは除去できない。特許文献2の方法では、遠心分離器を用いてスラッジの分離を行うので、その分級能力は小さく、30μm程度が限度であり、微細なヘマタイトのスラッジ(1μm〜20μm)はほとんど除去できない。
また、スラッジの回収にフィルタを使用する化学洗浄方法が提案されている(特許文献3)。特許文献3には、10μm前後の粒径のスラッジを回収するために粒径2.5μm以下のろ過能力を有するプリーツ型メンブランフィルタ又は中空糸フィルタを用いることが開示されている。特許文献3の実施例によれば、洗浄液の循環流量は400m/h、ろ過面積は150mとあり、例えば標準の3Sプリーツフィルタ(75cm)を用いる場合には107本を要することになり、破瓜後のフィルタは廃棄することになるから、廃棄物が大量に発生することになり、実用的ではない。
さらに、酸素処理ボイラの化学洗浄方法として、遠心分離機による粗固形物の除去と、フィルタ又は膜ろ過による微固形物の除去とを組み合わせる方法が提案されている(特許文献4)。
特許文献4には、酸素処理ボイラの化学洗浄で発生する固形物量は、揮発性処理ボイラの化学洗浄で発生する固形物量の2倍以上であること、粒径が20μmを越える粗固形物は21%及び29%であること、洗浄液中の固形物濃度は600mg/l及び1200mg/lであることが記載されている。例えば、洗浄液中の固形物濃度が600mg/Lである場合、遠心分離機で粗粒子として21%が除去されたとすると、フィルタ又は膜ろ過で捕集すべき微粒子は474mg/Lとなる。洗浄液の総量が400mの場合には、総量189.6kgの微粒子を捕集することになる。特許文献4にはフィルタの具体例が記載されていないが、例えば標準の3Sプリーツフィルタ(75cm)を用いると、ヘマタイトのろ過比抵抗と孔径から捕集能力は最大400g/m程度であり、300mのろ過面積が必要となるから、3Sプリーツフィルタの必要数は200本にもなり、大量の廃棄物が発生し、実用的でない。
特許文献4では、遠心分離後の液の一部だけ(50〜75%)をフィルタまたは膜ろ過で捕集し、残液はボイラに供給するとしており、残液中の微粒子が474mg/Lの場合には、最大118.5mg/L〜237mg/Lの微粒子が洗浄液の循環によりボイラ内に再度戻されることになる。粒径20μm以下の微粒子は洗浄液に対して難溶解性であるため、ボイラの低流速部分に滞留する可能性が高く、非特許文献1によれば、パウダースケールとして火炉壁管メタル温度上昇の要因となる。
特開公51−40532号公報 特開昭59−157496号公報 特開平9−118993号公報 特許5569217号公報
「火力プラント水処理:酸素処理の適用実績とパウダースケール付着対策の紹介」三菱重工技報 Vol.49 No.1 (2012)
本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、ボイラ再稼働時の妨げとなるパウダースケールに代表されるスラッジの微粒子を、負荷が小さくかつ廃棄物も少ない方法で捕集し、洗浄後のボイラを清浄に保持することができる、化学洗浄方法及び粒子捕集装置を提供することを目的とする。
本発明によれば、下記の化学洗浄方法及び粒子捕集装置が提供される。
[1]洗浄対象物に洗浄薬剤を循環させる化学洗浄方法であって、
洗浄対象物に洗浄薬剤を注入し、洗浄対象物に固着している金属酸化物を溶解又は剥離させ、
剥離した金属酸化物の粒子、溶解した金属イオン及び洗浄薬剤を含む洗浄循環液の全量を、単一の金属線条又は複数の金属線条の集合体を設置した洗浄循環液流路及び当該金属線条を磁化する超伝導磁石を含む粒子捕集装置に通液して、磁化された当該金属線条に当該粒子を磁気的に吸着させて除去した後、洗浄対象物に再循環させる、
ことを特徴とする化学洗浄方法。
[2]前記洗浄循環液の全量を前記粒子捕集装置に通液する前に、前記洗浄循環液の全量を遠心分離処理して金属酸化物の粗粒子を除去し、金属酸化物の微粒子、金属イオン及び洗浄薬剤を含む洗浄循環液の全量を前記微粒子捕集装置に通液することを特徴とする、[1]に記載の化学洗浄方法。
[3]前記粒子捕集装置にて捕集される粒子は、強磁性、常磁性又はこれらの組み合わせから選択される磁性粒子であることを特徴とする、[1]または[2]に記載の化学洗浄方法。
[4]前記強磁性の微粒子はマグネタイトを含むことを特徴とする、[3]に記載の化学洗浄方法。
[5]前記常磁性の微粒子はヘマタイトを含むことを特徴とする、[3]に記載の化学洗浄方法。
[6]前記洗浄対象物は、給水処理に酸素処理を適用しているボイラであることを特徴とする、[1]〜[5]のいずれか1に記載の化学洗浄方法。
[7]前記粗粒子は粒径が20μmよりも大きく40μm以下の粒子であり、前記微粒子は粒径が20μm以下の粒子であることを特徴とする、[2]〜[6]のいずれか1に記載の化学洗浄方法。
[8]洗浄対象物に洗浄薬剤を循環させる化学洗浄方法において用いる粒子捕集装置であって、
単一の金属線条又は複数の金属線条の集合体を装填した洗浄循環液流路及び当該金属線条を磁化する超伝導磁石を含むことを特徴とする粒子捕集装置。
本発明の化学洗浄方法によれば、揮発性物質処理(AVT)を行なうボイラにおけるスケールの主成分であり、酸素処理を行なうボイラにおけるパウダースケールの一部に含有され、また内層スケールの主成分である強磁性体のマグネタイト(Fe)ばかりでなく、酸素処理を行なうボイラにおけるパウダースケールの主成分であり、外層スケールである常磁性体のヘマタイト(Fe)をも効率的に分離除去することができ、マグネタイト及びヘマタイトをボイラに再循環することを防止できる。
従来の電磁フィルタ(電磁石)や通常の磁石を用いる化学洗浄方法では、常磁性体を吸着除去できる程の磁力を印加することができず、パウダースケールの回収は困難であった。本発明では、単一の金属線条又は複数の金属線条の集合体を装填した洗浄循環液流路及び当該金属線条を磁化する超伝導磁石を含むことを特徴とする粒子捕集装置を用いて、常磁性体を吸着できる程度に金属線条の磁力を強めることができる。
金属線条は、フィルタと異なり、目詰まりしないため、稼働期間を長期化することができ、廃棄物を大幅に減量することができる。中空糸フィルタや膜ろ過による従来の粒子捕集方法では、例えば酸素処理ボイラ化学洗浄の微粒子スラッジの捕集には少なくとも1〜5μmの孔径が必要であり、細孔のため初期圧損が高く、フィルタ体積当たりのろ過面積も大きく取れないため装置規模がかなり大きくなるか、洗浄中のフィルタ交換が必要であった。本発明の粒子捕集装置は、磁気的に吸着するために、粒子の粒径にかかわらず粒子を捕集でき、初期圧損も小さい。
また、金属線条に磁気的に吸着された強磁性体も磁化されて、金属線条の磁力はさらに強化され、洗浄が進行するにつれて常磁性体に対する吸着力が強くなり、一旦吸着された常磁性体の微粒子が洗浄循環液の通水によって剥離されることが防止される。
従来のプリーツフィルタ等による膜ろ過では、フィルタの最大捕集量までスラッジを捕集した場合、通液を停止するとスラッジが脱離して、装置底部に滞留してしまい回収が困難になる。このため、フィルタを逆洗型にしてスラッジを含む液を系外に排出したり、送液停止後に底部から液抜きを行いフィルタ缶体の液を空にしてからフィルタを交換する必要があり、廃液が増加したり操作に時間を要していた。本発明の粒子捕集装置においては、スラッジが磁気的に吸着された金属線条を交換するだけでよいから、交換作業が極めて簡易で、逆洗も不要にできる。
本発明の化学洗浄方法を実施する一実施態様のフロー図である。 本発明の化学洗浄方法を実施する別の実施態様の説明図である。 本発明の化学洗浄方法にて用いる粒子捕集装置の一例を示す斜視図である。 図3の断面図である。 CWTスラッジ及びヘマタイトの質量磁化測定結果を示すグラフである。
1:酸素処理貫流ボイラ
2:ライン
3:粒子捕集装置
4:遠心分離ライン
5:遠心分離機
6:微粒子ライン
7:粗粒子ライン
8:粗粒子分離槽
9:戻りライン
10:ポンプ
11:循環ライン
31:洗浄循環液流路
32:金属線条
33:超伝導磁石
35:真空容器
36:冷凍機
37:導線
以下、添付図面を参照しながら本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1は、本発明の化学洗浄方法を酸素処理貫流ボイラに適用した一例を示すフロー図である。貫流ボイラ1には、循環ライン11から化学洗浄薬剤を含む洗浄循環液が供給される。貫流ボイラ1内に流入した洗浄循環液により、貫流ボイラ1の内壁に形成されているスケールが溶解又は剥離され、スラッジとなる。スケールに由来する金属イオン及び酸化金属粒子を含むスラッジは洗浄循環液に随伴され、全量がライン2を介して貫流ボイラ1から粒子捕集装置3に送られる。粒子捕集装置3内の洗浄循環液流路31に装填されている磁化された金属線条32に、金属イオン及び酸化物金属粒子を含むスラッジは磁気的に吸着されて除去される。粒子捕集装置3を通過したスラッジ除去後の洗浄循環液は、循環ライン11を介して再び貫流ボイラ1に流入する。
図2は、本発明の化学洗浄方法の図1の実施態様において、粒子捕集装置3の前段に遠心分離機5を設けた一例のフロー図である。貫流ボイラ1には、循環ライン11から化学洗浄薬剤を含む洗浄循環液が供給される。貫流ボイラ1内に流入した洗浄循環液により、貫流ボイラ1の内壁に形成されているスケールが溶解又は剥離され、スラッジとなる。スケールに由来する金属イオン及び酸化金属粒子を含むスラッジは洗浄循環液に随伴され、全量が遠心分離ライン4を介して遠心分離機5に送られる。遠心分離機5において、粒径20μmを越える粗粒子と粒径20μm以下の微粒子とに分級され、粗粒子は遠心分離機5の底部にて濃縮され、粗粒子ライン7を介して粗粒子分離槽8に送られ、沈降して回収される。粗粒子分離槽8の上澄液は、戻りライン9を介して循環ポンプ10により循環ライン11を経由して貫流ボイラ1に再び流入する。遠心分離により粗粒子が除去された微粒子を含む洗浄循環液は全量が遠心分離機5の上部から微粒子ライン6を介して粒子捕集装置3に送られる。粒子捕集装置3内の洗浄循環液流路31に装填されている磁化された金属線条32に、金属イオン及び酸化物金属粒子を含むスラッジは磁気的に吸着されて除去される。粒子捕集装置3を通過したスラッジ除去後の洗浄循環液は、循環ライン11を介して再び貫流ボイラ1に流入する。遠心分離機5および粗粒子分離槽8を設置すると、スラッジの全量を粒子捕集装置3内の金属線条のみで捕集する場合よりも、金属線条における捕集量が少なくなり、金属線条の交換頻度を低下させることができる。
図3及び図4を参照しながら、粒子捕集装置3について説明する。粒子捕集装置3は、図示した形態において円筒形の真空容器35の中心部を貫通する洗浄循環液流路31が設けられている。洗浄循環液流路31内部には、金属線条32が装填されている。真空容器35内には、洗浄循環液流路31の周囲に、超伝導磁石(ソレノイドコイル)33が設けられている。超伝導磁石33には、真空容器35の外部に設置されている冷凍機36より4K近傍の冷熱が提供され、冷却される。超伝導磁石33には、外部の電源より電荷を印加するための導線37が接続されている。真空容器35には、超伝導磁石33からの磁力を遮蔽する磁気シールドが設けられている。粒子捕集装置3は、たとえばNbSn内層コイル及びNbTi外層コイルを用いた無冷媒型超電導マグネットを利用して、中央の貫通開口部に配管を着脱自在に設置もしくは接続して、洗浄循環液流路31を形成したものでもよい。
洗浄循環液流路31に装填する金属線条は、単一の金属線条若しくは複数の金属線条の集合体である。金属線条は、粒子を吸着するために表面積が大きいほど好ましい。金属線条は、直線状でも曲線状でもプリーツ形状でもよく、金属束子状の集合体がより好ましく、形状巻縮加工や表面凹凸加工が施されていてもよい。金属線条の線径は、1mm以下、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.3mm以下、さらに好ましくは0.1mm以下である。線径が小さい程、磁束の勾配が大きくなり、常磁性体を吸着するために十分な磁力にまで磁化されやすい。金属線条の材質としては、洗浄薬剤に対する耐蝕性があり、磁化可能な金属であれば特に制限なく用いることができるが、強磁性体であることがより好ましく、例えばSUS430などのステンレススチールを好適に挙げることができる。強磁性体の金属線条を用いることにより、超伝導磁石により磁化された後、金属線条自体の磁化が持続する。
超伝導磁石による印加磁場(磁束密度)は大きいほど強磁性体および常磁性体を捕集できる。磁場の強さは2T(テスラ)〜15Tが好ましく、より好ましくは、6T〜10Tである。
本発明において、粒子捕集装置3内に装填される金属線条の交換は極めて簡易である。洗浄循環液を抜く必要もなく、捕集したスラッジを脱離させる必要もなく、金属線条ごと回収することができる。次に同様の新品の金属線条を装填するだけで粒子捕集装置として復帰できるため、系外に排出する廃液は存在しない。
本発明の化学洗浄方法及び粒子捕集装置において、洗浄薬剤は特に限定されない。通常の化学洗浄方法に用いられる有機混酸(クエン酸+グリコール酸)及び酸性乃至アルカリ性の薬液を制限無く用いることができる。また、化学洗浄工程だけでなく、その後の水洗工程、リンス工程、中和工程、防錆工程、最終水洗工程の任意の1以上の工程に適用できる。
本発明の化学洗浄方法及び粒子捕集装置の適用温度範囲は、洗浄循環液が循環できる温度範囲であれば特に制限されず、典型的には0℃〜150℃である。
また、図示した実施形態において、ボイラは酸素処理貫流ボイラとしたが、洗浄対象物はこれに限定されるものではなく、揮発性物質処理ボイラをはじめ、一般的に化学洗浄方法が適用されている洗浄対象物すべてに適用できる。
以下、本発明を実施例より具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
[参考例]
CWT処理を行ったボイラ蒸発管の実スケールを剥離させ、物理特性測定装置(PPMS,日本カンタムデザイン株式会社)を用いて質量磁化の測定を行った結果を表1に示す。
Figure 0006985692
CWT実スケールの前処理としては、ワイヤブラシで物理的にCWTスケールを剥離させて、ふるいで混入したワイヤを除去後、有機混酸(クエン酸+グリコール酸)8%+還元剤の混合液に投入し、90℃で30分間撹拌を行った。その試料の質量磁化を測定した。
強磁性体では、外部磁場を上昇させると測定値である質量磁化は図5に示すように初期に急激な上昇をみせ、やがて磁化が飽和に到達するのが特徴である。一方、ヘマタイトのような常磁性体では、外部磁場を掛けても質量磁化上昇の傾きは小さく、磁化が飽和しないのが特徴である。CWTの実スケールは、内層スケールおよび外層スケール(パウダースケール)共に質量磁化が初期に急激な上昇を見せることが観測されたため、強磁性体の性質を持っていることが判明した。表1より、パウダースケールの10,000Oe(ほぼ1T)における質量磁化はマグネタイトと比較すると小さいが、ヘマタイトと比較するととても大きく、本発明の方法により、磁場を増加させることで、マグネタイトばかりでなくヘマタイトをも容易に回収できる。
[実施例1]
図3及び4に示す粒子捕集装置を用いて、金属線条32として線径0.1mmのSUS430ワイヤの集合体1gを洗浄循環液流路2に装填し、超伝導磁石33に電荷を印加して、表1に示す印加磁場まで金属線条32を磁化させた後、市販のマグネタイト試薬(液中平均粒子径1μm)2ppm(mg/kg)の液を流速0.5m/sで通水し、マグネタイトの捕集率を求めた。捕集量は、捕集後の金属線条の重量から初期重量を差し引き、通液量は回収した液量として算出した。
Figure 0006985692
[実施例2]
市販のヘマタイト試薬(液中平均粒子径2μm)10ppm(mg/kg)の液を流速0.5m/sで粒子捕集装置に通水した以外は実施例1と同様にして、ヘマタイトの捕集率を求めた。結果を表3に示す。
Figure 0006985692
[実施例3]
実施例1で使用した市販のマグネタイト試薬(液中平均粒子径1μm)と実施例2で使用した市販のヘマタイト試薬(液中平均粒子径2μm)をそれぞれ2ppm(mg/kg)及び1ppm(mg/kg)となるように混合した液を表3に示す流速で通水した以外は実施例1及び2と同様にして、マグネタイト及びヘマタイトの合計の捕集率を求めた。結果を表4に示す。
Figure 0006985692
本発明の化学洗浄方法及び粒子捕集装置では、従来の技術では捕集できなかったヘマタイトを、環境負荷が小さくかつ簡易に捕集できる。従来の技術では、ヘマタイトを捕集するには膜ろ過が必要であり、これはフィルタによる物理的な捕集であり、初期差圧も高く大量のフィルタが廃棄物となっていた。本発明では、超伝導磁石により金属線条に高磁場を持たせて磁力による捕集を行なうため、初期差圧はほぼ0であり、また金属線条の重量よりも十分多い粒子を脱落することなく且つ廃液を出さずに回収できる。また洗浄対象物であるボイラの種類によっては、遠心分離機および粗粒子分離槽およびそれに付随する配管が不要であり、環境負荷や仮設装置及び配管の規模を低減できる。また、酸素処理ボイラの化学洗浄で発生するパウダースケール由来のスラッジは、ヘマタイト主体であるがマグネタイトとの複合結晶であり強磁性体の性質を有するため、ヘマタイト単独の場合よりも本発明の化学洗浄方法及び粒子捕集装置による除去効果が大きい。

Claims (7)

  1. 酸素処理貫流ボイラの化学洗浄方法であって、
    酸素処理貫流ボイラに洗浄薬剤を含む洗浄循環液を注入し、酸素処理貫流ボイラに固着している金属酸化物を溶解又は剥離させ、
    前記洗浄循環液の全量を遠心分離処理して金属酸化物の粗粒子を除去し、
    剥離した金属酸化物の粒子、溶解した金属イオン及び洗浄薬剤を含む洗浄循環液の全量を、単一の金属線条又は複数の金属線条の集合体を設置した洗浄循環液流路及び当該金属線条を磁化する超伝導磁石を含む粒子捕集装置に通液して、磁化された当該金属線条に、マグネタイトとヘマタイトの複合結晶を含む当該金属酸化物の粒子を磁気的に吸着させて除去した後、酸素処理貫流ボイラに再循環させる、
    ことを特徴とする酸素処理貫流ボイラの化学洗浄方法。
  2. 前記金属線条は、2T〜15Tの印加磁場まで磁化されることを特徴とする、請求項1に記載の酸素処理貫流ボイラの化学洗浄方法。
  3. 前記粒子捕集装置にて捕集される粒子は、強磁性、常磁性又はこれらの組み合わせから選択される磁性粒子であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の酸素処理貫流ボイラの化学洗浄方法。
  4. 前記強磁性の微粒子はマグネタイトを含むことを特徴とする、請求項に記載の酸素処理貫流ボイラの化学洗浄方法。
  5. 前記常磁性の微粒子はヘマタイトを含むことを特徴とする、請求項に記載の酸素処理貫流ボイラの化学洗浄方法。
  6. 前記粗粒子は粒径が20μmよりも大きく40μm以下の粒子であり、前記微粒子は粒径が20μm以下の粒子であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1に記載の酸素処理貫流ボイラの化学洗浄方法。
  7. 請求項1〜のいずれか1に記載の酸素処理貫流ボイラの化学洗浄方法において用いる粒子捕集装置であって、
    単一の金属線条又は複数の金属線条の集合体を装填した洗浄循環液流路及び当該金属線条を磁化する超伝導磁石を含むことを特徴とする粒子捕集装置。
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