JP4096576B2 - 化学洗浄方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は事業用発電大型ボイラや熱交換器、その他のプラント、機器類において、酸化鉄等よりなるスケールを有機酸を主成分とする洗浄液で化学洗浄する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ボイラ、熱交換器、その他のプラント、特に火力発電所のボイラや、原子力発電所の蒸気発生器の2次冷却水系では、稼動により系内に酸化鉄を主体とするスケールが付着して、熱効率の低下、流量低下等の障害を引き起こすため、定期的に薬品による化学洗浄を行ってこれを除去する必要がある。
【0003】
この化学洗浄には無機酸又は有機酸が用いられるが、特に貫流ボイラやSUS使用プラントでは、腐食防止のために、高価ではあるが腐食性が低い有機酸を主成分とする有機酸洗浄剤が用いられている。
【0004】
この化学洗浄に用いられる有機酸としては、クエン酸、グリコール酸、リンゴ酸等のオキシカルボン酸、ギ酸、マロン酸等の飽和カルボン酸又はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)等のアミノポリカルボン酸等が利用されている。また、有機酸洗浄剤にはこのような有機酸の他、アスコルビン酸、エリソルビン酸等の還元剤や腐食抑制剤が添加されている。
【0005】
このような有機酸洗浄剤を用いる化学洗浄により排出される洗浄排液は、有機酸、還元剤、腐食抑制剤等に起因するCOD成分及び洗浄によりスケールから溶出した鉄イオン等の重金属成分を多量に含んでいるため、直接放流することはできない。
【0006】
この対策として、この洗浄排液を逆浸透(RO)膜処理することにより濃縮減容化する方法がある(特公平8−13355号公報、特公平7−24827号公報)。
【0007】
なお、有機酸を用いた化学洗浄排液をイオン交換処理して溶出金属を除去した後、化学洗浄に循環使用することも提案されている(特開平9−113690号公報)。この特開平9−113690号公報では、使用済みの洗浄排液中の有機酸を、紫外線照射、陽極酸化、酸化剤添加により分解処理している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記特公平8−13355号公報等のようにRO膜処理による化学洗浄排液の濃縮減容化を行っても、廃棄物の発生は避けられず、濃縮液を焼却処分しているのが現状である。このように、濃縮液が廃棄物として発生する従来法では、これを焼却処分するためのコストが嵩む上に、高価な有機酸を廃棄することとなるため、薬品コストも高くつくという問題がある。
【0009】
化学洗浄排液をイオン交換処理して循環使用することにより、有機酸の繰り返し使用で薬品コストの低減を図ることは可能であるが、従来において、使用済の有機酸を回収、再利用することは行われておらず、例えば、特開平9−113690号公報では、有機酸を分解処理しており、高価な有機酸の消費を抑えることはできない。
【0010】
本発明は上記従来の問題点を解決し、事業用発電大型ボイラや熱交換器、その他のプラントにおいて、稼動により系内に蓄積する酸化鉄主体のスケールを有機酸を主成分とする洗浄液で化学洗浄する際に発生する有機酸含有洗浄排液を効率的に処理して、有機酸を回収し、再利用する化学洗浄方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の化学洗浄方法は、被洗浄部に有機酸を主成分とする洗浄液を通液し、該洗浄部に付着した金属酸化物を溶解させて有機酸金属塩として流出させる洗浄工程と、該洗浄工程から排出される排出洗浄液をH形カチオン交換樹脂と接触させることにより、該排出洗浄液から金属イオンを除去して該有機酸金属塩を有機酸に変換して洗浄液を再生させる再生工程と、該洗浄液再生工程で再生された洗浄液を濃縮手段により濃縮して、高濃度有機酸を回収する有機酸回収工程とを有することを特徴とする。
【0012】
請求項2の化学洗浄方法は、被洗浄部に有機酸を主成分とする洗浄液を通液し、該被洗浄部に付着した金属化合物を溶解させて有機酸金属塩として流出させる通液工程と、該通液工程から排出される排出洗浄液をH形カチオン交換樹脂と接触させることにより、該排出洗浄液から金属イオンを除去して該有機酸金属塩を有機酸に変換して洗浄液を再生させる洗浄液再生工程と、該洗浄液再生工程で再生された洗浄液を前記通液工程に戻す循環工程との3工程を順次繰り返して該被洗浄部の洗浄を行った後、前記洗浄液再生工程で再生された再生洗浄液を濃縮手段により濃縮して、高濃度有機酸を回収することを特徴とする。
【0013】
請求項3の化学洗浄方法は、請求項1又は2において、濃縮手段として、逆浸透膜処理、常圧蒸発処理、減圧蒸発処理、及び電気透析処理のうちの一つもしくは二つ以上を組み合わせて、前記再生された洗浄液を濃縮することを特徴とする。
【0014】
請求項4の化学洗浄方法は、請求項1〜3のいずれかにおいて、回収した高濃度有機酸を、化学洗浄剤として再使用することを特徴とする。
【0015】
請求項5の化学洗浄方法は、請求項1〜4のいずれかにおいて、該洗浄液の有機酸濃度が0.5〜3重量%であることを特徴とする。
【0016】
本発明では、洗浄液再生工程で排出洗浄液中から金属イオンを除去して有機酸金属塩を有機酸に変換して再生することにより、これを回収再利用することができる。特に、洗浄液を再生しながら循環使用することで、洗浄系内には、常に清浄度の高い、即ち洗浄効果の高い洗浄液が供給されるようになるため、低有機酸濃度の洗浄液で十分な洗浄効果を得ることができる。
【0017】
また、このようにして繰り返し再生しながら循環使用した後、再生洗浄液を、RO膜処理して濃縮した後、濃縮液を更に蒸発濃縮することにより、濃度50%程度以上の溶液もしくは固体状であって、不純物を含まない有機酸を回収することができる。この有機酸は汚染物を含まず有機酸本来の洗浄機能は損なわれていないため、濃度調整後、洗浄工程に再利用することができ、新品の有機酸と同等の洗浄効果を得ることができる。このため、従来法のような洗浄排液の焼却処分は不要となる。
【0018】
本発明においては、洗浄液を再生しながら循環使用する場合には0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜3重量%程度の低い有機酸濃度の洗浄液で良好な洗浄効果を得ることができることから、有機酸を回収して再利用することによる薬品コストの低減効果と共に、有機酸の低濃度化による薬品コストの低減も図ることができる。
【0019】
なお、本発明の実施のためには、H形カチオン交換樹脂塔等の設備が必要となるが、上述の如く、焼却処分が不要となると共に、薬品コストが大幅に低減されることにより、総合的な洗浄コストは従来法に比べて著しく低減される。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明の化学洗浄方法の実施の形態の一例を詳細に説明する。図1は本発明の化学洗浄方法の実施の形態の一例を示す系統図である。
【0021】
図1の方法では、ボイラ等の被洗浄部1に対して洗浄液の循環洗浄を行うに当たり、循環ライン2に遠心分離機3、フィルター4及びH形カチオン交換樹脂塔5をこの順で設け、被洗浄部1から排出される洗浄液を遠心分離機3で遠心分離処理して粗粒のスラッジを除去し、更にフィルター4を通して微粒の懸濁粒子を除去した後、H形カチオン交換樹脂塔5でイオン交換処理し、その後被洗浄部1に循環通液させる。
【0022】
この化学洗浄液により、被洗浄部1の内面に付着していた酸化鉄などの金属化合物を主体としたスケールは溶解し、有機酸金属塩として洗浄液中に溶け込み、ライン2へ流出する。なお、この有機酸金属塩は洗浄液中では解離定数に従った電離状態にある。
【0023】
遠心分離機3及びフィルター4は、洗浄液中のスラッジ等でカチオン交換樹脂塔5のカチオン交換樹脂が汚染されたり、目詰まりを起こすのを防止するために設けられており、このような汚染粒子の除去機能を有するものであれば何ら遠心分離機とフィルターとの2段処理に限定されない。
【0024】
H形カチオン交換樹脂塔5では、化学洗浄(通液工程)により被洗浄部1から洗浄液中に溶出した鉄イオン等の金属イオンを吸着分離することにより、有機酸金属塩を有機酸に再生する。
【0025】
このH形カチオン交換樹脂塔5のカチオン交換樹脂としては、ゲル型の強酸性又は弱酸性カチオン交換樹脂、ポーラス型の強酸性又は弱酸性カチオン交換樹脂或いはキレート樹脂の中から、洗浄液中の有機酸の種類に応じて選択使用される。一般に、貫流ボイラ等の化学洗浄で使用されるクエン酸とグリコール酸の混酸よりなる洗浄液の場合、ポーラス型の強酸性カチオン交換樹脂を用いるのが好ましい。
【0026】
このH形カチオン交換樹脂塔5への通水流量は、SV2〜50hr−1、好ましくはSV5〜30hr−1の範囲で適宜調整すれば良い。
【0027】
なお、図1の循環洗浄ライン2には、腐食抑制剤の注入装置6が設けられており、循環使用される洗浄液に腐食抑制剤を注入、補給するように構成されている。
【0028】
このように、洗浄液をH形カチオン交換樹脂で再生しながら循環使用することにより、被洗浄部1には、常に再生により浄化され、洗浄力が回復した洗浄液が供給されるようになる。このため、本発明によれば、従来一般的な化学洗浄で用いられる洗浄液の有機酸濃度3〜7重量%と比較した場合約1/2以下の0.5〜3重量%という低濃度で十分な洗浄効果を得ることができ、洗浄液の有機酸濃度の低減で薬品コストの削減を図ることができる。
【0029】
洗浄液の再生に用いたカチオン交換樹脂は、定期的に或いはイオン交換能の低下が認められた際に系外に取り出し、塩酸又は硫酸等の酸で再生して再使用することができる。
【0030】
このような循環洗浄を繰り返し、洗浄が終了した後は、H形カチオン交換樹脂塔5の流出液を循環ライン2から取り出し、有機酸の濃縮回収を行う。
【0031】
まず、H形カチオン交換樹脂塔5の流出液をRO膜装置7でRO膜分離処理して濃縮する。このRO膜装置7による濃縮は、濃縮液の有機酸濃度が10〜20重量%程度となるように行うのが好ましい。このRO膜装置7による濃縮に当たり、洗浄液中の有機酸の種類に応じてRO膜分離に好適なpH条件を採用することが好ましく、有機酸の種類によってはpH調整が必要な場合があるが、貫流ボイラ等で一般に用いられているクエン酸とグリコール酸の混酸の場合には、pH無調整で、その洗浄液のpH(通常の場合、pH2〜3程度である。)のままRO膜装置7に通液して処理することができる。
【0032】
用いるRO膜装置7のRO膜の形式には特に制限はなく、スパイラル型、中空糸型、チューブ型等のRO膜を用いることができ、RO膜装置7の操作圧力は濃縮倍率に応じて適宜決定される。
【0033】
このRO膜装置7の透過水は、有機酸を含まないものであるが、pH酸性でCOD成分を含むものであるため、別の排水処理系へ送給され、処理される。
【0034】
RO膜装置7の濃縮液は次いで蒸発濃縮装置8に送給し、濃縮液を更に蒸発濃縮して、有機酸濃度40〜60%の高濃度有機酸の濃縮液又は乾固物を得る。この蒸発濃縮装置8としては、加熱ないし減圧蒸発濃縮装置を用いることができる。
【0035】
このようにして得られた濃縮物は、H形カチオン交換樹脂によりイオン交換処理されたものであるから、鉄イオン等の金属成分を含まず、また、濃縮により有機酸純度が高いものとなっている。このため、この濃縮物は、保管後或いは直ちに適当な有機酸濃度となるように希釈することにより、洗浄液として化学洗浄に再使用することができ、新品の有機酸を用いた洗浄液と同様の洗浄効果を得ることができる。
【0036】
このため、本発明によれば、廃棄物の発生を無くすことができ、廃棄物の処分に係る問題を解消することができる。
【0037】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0038】
なお、以下の実施例及び比較例では、貫流ボイラから抜管した水壁管を洗浄対象として洗浄試験を行った。
【0039】
実施例1
スケール付着量が火炉側(バーナー側)21.5〜31.1mg/cm、炉材側(バーナー側の裏側)18.7〜20.6mg/cmであり、スケール主成分は酸化鉄(Fe)である前壁管及び右側壁管について、本発明方法に従って化学洗浄を行った。
【0040】
まず、新品の有機酸を用いてクエン酸濃度0.5重量%、グリコール酸濃度0.5重量%の洗浄液を調製し、85℃に加熱して試料1を洗浄対象として被洗浄部に入れ、洗浄液の循環洗浄を行い、スケールを完全に除去するまでの洗浄時間を調べた。なお、洗浄液は、図1に示す如く、遠心分離機及びフィルターで懸濁物を除去した後、ポーラス型H形カチオン交換樹脂(三菱化学(株)製「ダイヤイオンSK1B」)80mLを充填したカチオン交換樹脂塔にSV10hr−1で通液してイオン交換処理して循環使用した。
【0041】
その結果、カチオン交換樹脂によるイオン交換処理により洗浄液中の溶出鉄イオンは完全に除去され、8時間の洗浄時間でスケールを完全に除去することができた。
【0042】
この洗浄後の洗浄排液(カチオン交換樹脂塔流出液)300LをpH無調整でRO膜装置(4B複合膜1本、圧力6.5MPa)に通水し、透過水250Lと濃縮液50Lに分離した。各液の水質を表1に示す。
【0043】
【表1】
Figure 0004096576
【0044】
次いで、得られたRO濃縮液40Lを、内部に蒸気を通気し、外面温度が110℃に加熱された回転円盤外面(表面積0.4m)にフラッシュさせ加熱蒸発濃縮を行った。濃縮物はスクレーパーにてかきとった。この濃縮物の性状を表2に示す。
【0045】
【表2】
Figure 0004096576
【0046】
得られた濃縮物を有機酸(クエン酸とグリコール酸の合計)濃度1.0重量%に調整して、上記と同様に洗浄試験を行ったところ、新品の場合と同様に8時間の洗浄時間でスケールを完全に除去することができた。
【0047】
比較例1
新品の有機酸を用いて、クエン酸濃度1.5重量%、グリコール酸濃度1.5重量%の洗浄液を調製し、カチオン交換樹脂による処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、実施例1と同一程度にスケールが付着した前壁管及び右壁管の洗浄試験を行った。
【0048】
その結果、この比較例1では有機酸濃度が高いため6時間の洗浄時間でスケールを完全に除去することができた。なお、洗浄により洗浄液中には8,400mg/Lもの鉄イオンが溶出していた。
【0049】
比較例2
新品の有機酸を用いて、クエン酸濃度1.0重量%、グリコール酸濃度1.0重量%の洗浄液を調製し、カチオン交換樹脂による処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、実施例1と同一程度にスケールが付着した前壁管及び右壁管の洗浄試験を行った。
【0050】
その結果、この比較例2では有機酸濃度が低いため8時間の洗浄時間でもスケールを完全に除去することができなかった。なお、洗浄により洗浄液中には5,800mg/Lの鉄イオンが溶出していた。
【0051】
実施例1及び比較例1,2の結果を表3にまとめて記す。
【0052】
【表3】
Figure 0004096576
【0053】
表3より、実施例1では、新品の有機酸を用いた場合も、再生回収した有機酸を再利用した場合のいずれにおいても洗浄に要する時間は比較例1より2時間長いが、有機酸濃度は洗浄液再生工程のない比較例1の3重量%に比べて1重量%と、著しく低濃度でスケールの除去が可能であり、薬品濃度と再利用の両面から薬品コストの低減効果は著しく高いことがわかる。
【0054】
実施例2
スケール付着量が火炉側54.2〜80.1mg/cm、炉材側26.5〜31.6mg/cmであり、スケール主成分は酸化鉄(Fe)の左側壁管について、本発明方法に従って化学洗浄を行った。
【0055】
まず、新品の有機酸を用いてクエン酸濃度1.5重量%、グリコール酸濃度1.5重量%の洗浄液を調製し、90℃に加熱して試料2を洗浄対象として被洗浄部に入れ、洗浄液の循環洗浄を行い、スケールを完全に除去するまでの洗浄時間を調べた。なお、洗浄液は、図1に示す如く、遠心分離機及びフィルターで懸濁物を除去した後、ポーラス型H形カチオン交換樹脂(三菱化学(株)製「ダイヤイオンSK1B」)140mLを充填したカチオン交換樹脂塔にSV10hr−1で通液してイオン交換処理して循環使用した。
【0056】
その結果、カチオン交換樹脂によるイオン交換処理により洗浄液中の溶出鉄イオンは完全に除去され、15時間の洗浄時間でスケールを完全に除去することができた。
【0057】
この洗浄後の洗浄排液(カチオン交換樹脂塔流出液)200LをpH無調整でRO膜装置(4B複合膜1本、圧力6.4MPa)に通水し、透過水150Lと濃縮液50Lに分離した。各液の水質を表4に示す。
【0058】
【表4】
Figure 0004096576
【0059】
次いで、得られたRO濃縮液40Lを、内部に蒸気を通気し、外面温度が110℃に加熱された回転円盤外面(表面積0.4m)にフラッシュさせ加熱蒸発濃縮を行った。濃縮物はスクレーパーにてかきとった。この濃縮物の性状を表5に示す。
【0060】
【表5】
Figure 0004096576
【0061】
得られた濃縮物を1ヶ月間保管した後、有機酸(クエン酸とグリコール酸の合計)濃度3.0重量%に調整して、上記と同様に洗浄試験を行ったところ、新品の場合と同様に15時間の洗浄時間でスケールを完全に除去することができた。
【0062】
比較例3
新品の有機酸を用いて、クエン酸濃度3.5重量%、グリコール酸濃度3.5重量%の洗浄液を調製し、カチオン交換樹脂による処理を行わなかったこと以外は実施例2と同様にして実施例2と同程度にスケールが付着した左側壁管の洗浄試験を行った。
【0063】
その結果、この比較例3では有機酸濃度が高いため12時間の洗浄時間でスケールを完全に除去することができた。なお、洗浄により洗浄液中には11400mg/Lもの鉄イオンが溶出していた。
【0064】
実施例2及び比較例3の結果を表6にまとめて記す。
【0065】
【表6】
Figure 0004096576
【0066】
表6より、実施例2では、新品の有機酸を用いた場合も、再生回収した有機酸を再利用した場合のいずれにおいても洗浄に要する時間は比較例3より3時間長いが、有機酸濃度は洗浄液再生工程のない比較例3の7重量%に比べて3重量%と、著しく低濃度でスケールの除去が可能であり、薬品濃度と再利用の両面から薬品コストの低減効果は著しく高いことがわかる。
【0067】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の化学洗浄方法によれば、事業用発電大型ボイラや熱交換器、その他のプラント、機器類を、有機酸を主成分とする洗浄液で化学洗浄する際に洗浄排液を再生しながら循環使用すると共に、循環使用した後の洗浄排液を濃縮して再利用可能な高濃度有機酸を回収することができる。このため、廃棄物の発生を無くして廃棄物の焼却処分を不要とすると共に、薬品コストの大幅な削減が可能となり、化学洗浄コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化学洗浄方法の実施の形態を示す系統図である。
【符号の説明】
1 被洗浄部
2 循環ライン
3 遠心分離機
4 フィルター
5 H型カチオン交換樹脂塔
6 腐食抑制剤注入装置
7 RO膜装置
8 蒸発濃縮装置

Claims (5)

  1. 被洗浄部に有機酸を主成分とする洗浄液を通液し、該洗浄部に付着した金属酸化物を溶解させて有機酸金属塩として流出させる洗浄工程と、
    該洗浄工程から排出される排出洗浄液をH形カチオン交換樹脂と接触させることにより、該排出洗浄液から金属イオンを除去して該有機酸金属塩を有機酸に変換して洗浄液を再生させる再生工程と、
    該洗浄液再生工程で再生された洗浄液を濃縮手段により濃縮して、高濃度有機酸を回収する有機酸回収工程と
    を有することを特徴とする化学洗浄方法。
  2. 被洗浄部に有機酸を主成分とする洗浄液を通液し、該被洗浄部に付着した金属化合物を溶解させて有機酸金属塩として流出させる通液工程と、
    該通液工程から排出される排出洗浄液をH形カチオン交換樹脂と接触させることにより、該排出洗浄液から金属イオンを除去して該有機酸金属塩を有機酸に変換して洗浄液を再生させる洗浄液再生工程と、
    該洗浄液再生工程で再生された洗浄液を前記通液工程に戻す循環工程との3工程を順次繰り返して該被洗浄部の洗浄を行った後、
    前記洗浄液再生工程で再生された再生洗浄液を濃縮手段により濃縮して、高濃度有機酸を回収することを特徴とする化学洗浄方法。
  3. 濃縮手段として、逆浸透膜処理、常圧蒸発処理、減圧蒸発処理、及び電気透析処理のうちの一つもしくは二つ以上を組み合わせて、前記再生された洗浄液を濃縮することを特徴とする請求項1又は2に記載の化学洗浄方法。
  4. 回収した高濃度有機酸を、化学洗浄剤として再使用することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の化学洗浄方法。
  5. 該洗浄液の有機酸濃度が0.5〜3重量%であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の化学洗浄方法。
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