《●シートリクライニング装置4の概略構成について》
始めに、実施例1のシートリクライニング装置(乗物用シートリクライニング装置)4の構成について、図1〜図32を用いて説明する。なお、以下の説明において、前後上下左右等の各方向を示す場合には、各図中に示されたそれぞれの方向を指すものとする。また、「シート幅方向」と示す場合には、シート1の左右方向を指すものとする。
本実施例のシートリクライニング装置4は、図1に示すように、自動車の右側座席を構成するシート1に適用されている。上述したシートリクライニング装置4は、上述したシート1の背凭れ部となるシートバック2を着座部となるシートクッション3に対して背凭れ角度の調節を行える状態に連結する、シートリクライニング調節機構として構成されている。具体的には、上述したシートリクライニング装置4は、上述したシートバック2とシートクッション3との間に左右一対で設けられており、各々が一体的となってロック・アンロックの各状態に切り換えられることにより、シートバック2の背凭れ角度を固定したり解除したりする構成とされている。
詳しくは、上述したシートリクライニング装置4は、上述したシートバック2の左右の側部骨格を成す各サイドフレーム2Fの下端部と、これらのシート幅方向の外側に位置するシートクッション3の左右の側部骨格の後端部に連結された各リクライニングプレート3Fと、の間にそれぞれ介設されて、これらを互いに同軸まわりに相対回転させたり回転止めしたりすることができる形に連結した構成とされている(図2〜図3参照)。
上述したシートリクライニング装置4は、常時は、シートバック2の背凭れ角度を固定したロック状態に保持されている。そして、シートリクライニング装置4は、シートクッション3の車両外側となる右側の側部に設けられたリクライニングレバー5が引き上げられる操作によって、それらのロック状態が一斉に解除されて、シートバック2の背凭れ角度を変えられるアンロック状態へと切り換えられるようになっている。そして、シートリクライニング装置4は、上述したリクライニングレバー5の引き上げられた操作状態が戻されることにより、付勢によって再びロック状態へと戻されるようになっている。
ここで、上述したシートバック2の左右各側のサイドフレーム2Fとそれらの外側に配置された各リクライニングプレート3Fとの間には、それぞれ、シートバック2に対して常時、前倒れ回転する方向へのバネ付勢力をかけるリターンスプリング6が掛着されている。これらリターンスプリング6の回転付勢力により、シートバック2は、上述したシートリクライニング装置4による背凭れ角度の固定状態が解かれることで、着座乗員の背部に当たる位置まで起こし上げられて、着座乗員の背部が前後に傾動される動きに合わせてその背凭れ角度が前後に自由に調節されるようになっている。上記構成により、シートバック2が、背凭れ角度の調節を簡便に行うことができるようになっている。
上述したシートバック2は、上述したシートクッション3に対して、その上面に畳み込まれる前倒れ位置と、後側に略真っ直ぐ倒し込まれた後倒れ位置と、の間の約180度の回転領域をシート前後方向に回転することができるようになっている。このうち、シートバック2の背凭れ角度が上側に略真っ直ぐ起立した直立位置(図21に示す初段のロック位置S1)から上述した後倒れ位置となるまでの間の約90度の回転領域は、リクライニングレバー5の引き上げ操作が解かれることでシートバック2の背凭れ角度が固定された状態に戻される「ロック領域A1」として設定されている。また、シートバック2の背凭れ角度が上述した直立位置から前倒れ位置となるまでの間の回転領域は、リクライニングレバー5の引き上げ操作が解かれてもシートバック2の背凭れ角度が固定された状態に戻されることなく解除されたままの状態(ロックが無効となる状態)に維持される「フリー領域A2」として設定されている。
上述したロック領域A1及びフリー領域A2は、それぞれ、後述するシートリクライニング装置4に設定されたロック領域A1やフリー領域A2によって形成されている。上述したフリー領域A2の設定により、シートバック2は、シート1に人が座っていない状態でリクライニングレバー5が操作された時には、上述したリターンスプリング6の付勢によってフリー領域A2に入る位置まで倒し込まれたら、その後はリクライニングレバー5の操作状態を継続しなくても前傾姿勢位置まで倒されていくようになっている。
上述したシートリクライニング装置4は、図2〜図3に示すように、具体的には、上述したシートバック2の各側のサイドフレーム2Fの外側面に一体的に結合されるラチェット10と、各側のリクライニングプレート3Fの内側面に一体的に結合されるガイド20と、を有し、これらラチェット10とガイド20とが互いの相対回転をロックされたり解除されたりすることにより、シートバック2の背凭れ角度を固定したり解除したりする構成とされている。
《シートリクライニング装置4の具体的な構成について》
以下、上述した左右一対で設けられたシートリクライニング装置4の具体的な構成について詳しく説明していく。なお、シートリクライニング装置4は、互いに左右対称向きとなる同一の構成となっているため、以下では、これらを代表して、図2〜図3に示されている車両外側(右側)に配置された一方側の構成について説明することとする。
図4〜図5に示すように、シートリクライニング装置4は、互いに軸方向に組み付けられる略円板形状のラチェット10及びガイド20と、これらの間に組み付けられる3つのポール30及びこれらを径方向の内外に移動操作する回転カム40と、回転カム40をガイド20に対してロックの回転動作方向に付勢するスパイラルスプリングから成るロックスプリング50と、ラチェット10とガイド20との外周部間に跨って装着されてこれらを軸方向に組み付けた状態に保持する略円筒形状の外周リング60と、を有して構成されている。上述したラチェット10、ガイド20、3つのポール30、及び回転カム40は、それぞれ、プレス成形後に焼き入れ処理されることで硬質化されて構造強度が高められた構成とされている。ここで、上述したラチェット10が本発明の「他方」及び「もう片方」に相当し、ガイド20が本発明の「一方」及び「片方」に相当する。また、3つのポール30及びこれらの移動操作を行う回転カム40から成る機構が、本発明の「ロック機構」に相当する。以下、上述したシートリクライニング装置4を構成する各部材の具体的な構成について順に詳しく説明していく。
《◆ラチェット10について》
図4に示すように、ラチェット10は、1枚の金属板部材が略円板状の形にカットされると共に、所々で板厚方向(軸方向)に半抜き加工されて形成された構成とされている。
具体的には、上述したラチェット10の円板本体11の外周縁部には、ガイド20への組み付け方向となる軸方向に略円筒形状に突出する円筒部12が形成されている。上述した円筒部12は、詳しくは、円板本体11の外周縁部が軸方向に2段階に突出する形に半抜き加工されていて、その内周側に円筒部12よりも軸方向に短く略円筒形状に突出する中間円筒部13が形成された、内外2段の円筒形状を有する段付き円筒形状に形成された構成とされている。
上述した円筒部12の内周面には、径方向の内側に歯面を向ける内周歯12Aが周方向の全域に亘って連続的に並ぶ形となって形成されている。上述した内周歯12Aは、後述する各ポール30の外周面に形成された各外周歯31をそれぞれ径方向の内側から押し付けて噛合させることのできる歯面形状に形成されている。詳しくは、上述した内周歯12Aは、各歯面が周方向に2度ピッチで等間隔に並ぶ形に形成された構成とされている。
また、中間円筒部13の内周面には、その中心部(中心軸線C)からの内径や周方向長さが個々に設定された3つの周方向領域(第1の領域13A、第2の領域13B及び第3の領域13C)と、これらの領域の一部の境界から径方向の内側に突出する第1の凸部13D及び第2の凸部13Eと、上述した第3の領域13Cの第2の凸部13Eとの境界位置にて径方向の外側に凹む逃がし凹部13Fと、が形成されている。
上述した第1の領域13Aと第2の領域13Bと第3の領域13Cとは、互いが中心部(中心軸線C)まわりの同心円の円弧を描く形に湾曲した内周面形状に形成されている。詳しくは、第1の領域13Aと第3の領域13Cは、第2の領域13Bよりも大きな内径を有する内周面形状に形成され、第1の領域13Aと第3の領域13Cとは、互いに同一の内径を有する内周面形状に形成されている。
上述した第1の領域13Aは、図10、図17(a)及び図18(a)に示すように、ラチェット10の回転により後述する3つのポール30のうちのメインポールP1が同領域に周方向に重なって配置される時に、同メインポールP1がラチェット10の内周歯12Aと噛合するための径方向の外側への移動を許容してロック作動させられるようにする、メインポールP1のロック領域A1を構成するものとなっている。
また、第2の領域13Bと第3の領域13Cとは、それぞれ、上述した第1の領域13AにメインポールP1が周方向に重なって配置される時に、上記3つのポール30のうちの残る2つのサブポールP2と周方向に重なる配置とされる他所領域A3として、これらサブポールP2のラチェット10の内周歯12Aへの噛合移動を許容するよう機能するものとなっている。
しかし、上述した第2の領域13Bは、図12に示すように、ラチェット10の回転により上述したメインポールP1が同領域に周方向に重なって配置される時には、図13、図17(b)及び図18(b)に示すように、同メインポールP1がラチェット10の内周歯12Aと噛合するための径方向の外側への移動を途中で乗り上げさせて食い止めるように機能する、メインポールP1のフリー領域A2を構成するものとなっている。
そして、上述した第2の領域13BにメインポールP1が周方向に重なって配置される時には、上述した第3の領域13Cと第1の領域13Aとは、それぞれ、残る2つのサブポールP2と周方向に重なる配置となる他所領域A3として、これらの領域で上述したメインポールP1の動きに同調する各サブポールP2の動きを逃がすように機能するものとなっている。
すなわち、上述したラチェット10の中間円筒部13は、上述した第1の領域13AにおいてメインポールP1のロック作動を許容するロック領域A1(図10、図17(a)及び図18(a))参照)を構成し、第2の領域13BにおいてメインポールP1のロック作動を乗り上げにより阻止してアンロック状態に保持したままラチェット10を周方向にフリーに回転させられるようにするフリー領域A2(図13、図17(b)及び図18(b)参照)を構成するものとなっている。
そして、図10、図17(a)及び図18(a)に示すように、上述したメインポールP1が第1の領域13Aと周方向に重なって配置される時には、第2の領域13Bと第3の領域13Cとは、それぞれ、他所領域A3として、残る2つのサブポールP2がメインポールP1の動きに同調してロック作動する動きを許容するように機能するようになっている。また、図13、図17(b)及び図18(b)に示すように、上述したラチェット10の回転により上述したメインポールP1が第2の領域13Bと周方向に重なって配置される時には、第3の領域13Cと第1の領域13Aとが、それぞれ、他所領域A3となって、残る2つのサブポールP2がメインポールP1の動きに同調してロック作動が途中で阻止される動きを許容するように機能するようになっている。
このように、ラチェット10の中間円筒部13は、上述した第1の領域13Aと第2の領域13BとによってメインポールP1のロック作動の許容・阻止を制御し、その時その時の残る2つのサブポールP2が位置する他の領域(他所領域A3)によってこれら2つのサブポールP2がメインポールP1の動きに同調する動きを逃がすことができるように構成されている。
第1の凸部13Dと第2の凸部13Eとは、図17(c)及び図18(c)に示すように、上述したメインポールP1がラチェット10の回転によりロック領域A1(第1の領域13A)からフリー領域A2(第2の領域13B)へと移行される時に中途半端に径方向の外側に押し出されて第1の領域13Aと第2の領域13Bとの間の段差に誤って周方向に押し当てられることがあった場合(図17(b)及び図18(b)のような配置となる場合)に、それによる負荷をメインポールP1にのみ集中させることなく他の2つのサブポールP2へも分散させられるように2つのサブポールP2を同時に当接させる機能をするものとなっている。
すなわち、上述した第1の凸部13Dと第2の凸部13Eとは、ラチェット10の回転により上述したメインポールP1が第1の領域13Aと第2の領域13Bとの間の段差に周方向に押し当てられる関係となる時に、残る2つのサブポールP2と周方向に押し当てられる関係となる位置にそれぞれ形成されている。
逃がし凹部13Fは、図14、図17(d)及び図18(d)に示すように、上述したメインポールP1がラチェット10の回転によりフリー領域A2である第2の領域13B上を周方向の末端位置まで移動した際に、同メインポールP1をその位置でラチェット10の内周歯12Aに噛合させられるように乗り上がり状態から外す構成となっている。上記逃がし凹部13Fにより、ラチェット10がフリー領域A2の末端位置、すなわちシートバック2が図1で前述したシートクッション3の上面に畳み込まれる前倒れ位置まで倒し込まれることにより、シートリクライニング装置4がその位置でロックされて、シートバック2が回転止めされた状態へと切り換えられるようになっている。それにより、シートバック2を前倒れ位置にてバタ付かせないようにロックすることができるようになっている。
図4〜図5に示すように、上述したラチェット10の円板本体11の中心部(中心軸線C上の位置)には、丸孔形状に貫通した貫通孔11Aが形成されている。この貫通孔11A内には、後述する回転カム40の中心部(中心軸線C上の位置)に差し込まれて装着される操作ピン5Aが、軸方向の外側から回転フリーな状態として挿通されるようになっている。また、図5に示すように、上述したラチェット10の円板本体11の外側面上には、その中心部(中心軸線C)まわりの同一円周上に並ぶ周方向の3箇所の位置に、軸方向に円弧状に押し出された形となって突出するダボ14が形成されている。
上述した各ダボ14は、上述した中間円筒部13の第1の領域13Aと第2の領域13Bと第3の領域13Cとが形成された周方向の各形成領域内にそれぞれ1つずつ収まる形に形成されている。上記構成のラチェット10は、図3に示すように、その円板本体11の外側面が上述したシートバック2のサイドフレーム2Fの外側面に面当接される形に組み付けられて、互いの当接箇所が溶接されることにより、シートバック2のサイドフレーム2Fに一体的に結合されている(溶接箇所W)。
詳しくは、上述したラチェット10は、その円板本体11の外側面上に形成された3つのダボ14が、シートバック2のサイドフレーム2Fに形成された対応する略円弧形状に貫通する3つの各嵌合孔2Fa内にそれぞれ嵌合された状態に組み付けられて、これら嵌合された各箇所の周囲領域(結合領域A4)がそれぞれレーザ溶接によりサイドフレーム2Fに面当接した状態に接合されて結合されている(溶接箇所W)。
より詳しくは、上述したラチェット10の円板本体11の外側面には、その3つのダボ14が形成された領域の径方向の外側かつ周方向の両サイドの領域に、上述したサイドフレーム2Fに面当接した状態に当てられてレーザ溶接される結合領域A4が形成されている。上述した各結合領域A4は、図7に示すように、それらの外周縁に形成された上述した中間円筒部13の第1の領域13Aと第3の領域13Cとが第2の領域13Bよりも径方向の外側に拡張された位置にある構成とされていることにより、第1の領域13Aと第3の領域13Cとが形成された周方向の各形成領域にある領域が、第2の領域13Bが形成された周方向の形成領域にある領域よりも、径方向に面積が拡張された拡張面部11Bを有する構成とされている。
上記構成により、上述したラチェット10の円板本体11の外側面は、上述した第1の領域13Aと第3の領域13Cとが形成された周方向の各形成領域にある拡張面部11Bを有する2つの結合領域A4が、第2の領域13Bが形成された周方向の形成領域にある1つの結合領域A4よりも、サイドフレーム2Fに対して径方向の外側へ向けてより広く当てられた状態として強固に溶接されるようになっている。
具体的には、上述したラチェット10の円板本体11の外側面のサイドフレーム2Fに対する溶接は、各ダボ14を径方向の外側領域から周方向の両サイド領域に跨ってC字状に囲い込む形となって溶接ビードが入れられる形で行われている(溶接箇所W)。上述したサイドフレーム2Fには、上述したラチェット10の中心部(中心軸線C上の位置)に形成された貫通孔11A内に通される操作ピン5Aを軸方向の外側へと通し出すことのできる通し孔2Fbが貫通して形成されている。
《◆ガイド20について》
図5に示すように、ガイド20は、1枚の金属板部材が上述したラチェット10よりもひとまわり大きな外径をもつ略円板状の形にカットされると共に、所々で板厚方向(軸方向)に半抜き加工されて形成された構成とされている。
具体的には、上述したガイド20の円板本体21の外周縁部には、ラチェット10への組み付け方向となる軸方向に略円筒形状に突出する円筒部22が形成されている。上記円筒部22は、その内径寸法が上述したラチェット10の円筒部12の外径寸法よりも僅かに大きな形となるように形成されている。詳しくは、上述した円筒部22は、その径方向の肉厚が、後述する略一定の板厚を持つ板材から成る外周リング60の板厚よりも薄型化された形に形成された構成とされている(図15参照)。より詳しくは、上述した円筒部22は、その外周面が後述する外周リング60の段差部63の外周面よりも径方向の内側に位置する程に径方向の肉厚が薄くされた構成とされている。上述したガイド20は、図9に示すように、その円筒部22内に上述したラチェット10の円筒部12が軸方向に差し込まれた状態としてセットされるようになっている。
それにより、ガイド20は、上述したラチェット10と互いの円筒部22,12同士が径方向の内外に緩やかに嵌まり合った状態として、互いに相対回転可能に内外に支え合った状態に組み付けられるようになっている。そして、上述したガイド20は、その円筒部22と上述したラチェット10の円筒部12との間に後述する外周リング60が外周側から跨った状態に装着されることにより、上記外周リング60を介してラチェット10に対して軸方向に外れ止めされた状態として組み付けられるようになっている(図2〜図3及び図6〜図9参照)。ここで、上述したガイド20に形成された円筒部22が、本発明の「円筒部」に相当する。
図5に示すように、上述したガイド20の円板本体21の内側面上には、その周方向の3箇所の位置に、ラチェット10への組み付け方向となる軸方向に略扇形状に突出するガイド壁23が半抜き状に押し出されて形成されている。これらガイド壁23は、それらの径方向の外周面が、互いに中心部(中心軸線C)まわりに描かれる同心円の円弧を描く形に湾曲した形状とされている。そして、上述した各ガイド壁23は、上述したガイド20の円筒部22内に組み付けられるラチェット10の円筒部12内に緩やかに嵌まり込んだ状態となってセットされるようになっている。
上述した各ガイド壁23の形成により、上述した円板本体21の内側面上における各ガイド壁23の周方向の配置間領域には、後述する3つのポール30をそれぞれ1つずつ径方向の内外に摺動させられる形にセットすることのできるポール収容溝24Aが形成されている。また、上述した各ガイド壁23によって囲まれた円板本体21の内側面上における中央領域には、後述する回転カム40を軸回転させられる形にセットすることのできるカム収容溝24Bが形成されている。
上述した各ガイド壁23は、図10〜図11に示すように、上述した各ポール収容溝24A内にセットされた対応する各ポール30を、それぞれ、各ポール収容溝24Aに臨む周方向の両サイド面である規制面23Aによって周方向の両側から対面させる形にあてがえて、各ポール30を径方向の内外方にのみ摺動可能とする形に案内するように周方向の両側から支持する構成とされている。
また、上述した各ガイド壁23は、上述したカム収容溝24B内にセットされた回転カム40を、カム収容溝24Bに臨む径方向の内周面である支持面23Bによって径方向の外側から対面させる形にあてがえて、回転カム40をガイド20の円板本体21上の中心部(中心軸線C上の位置)にて周方向の回転のみ可能とする形に案内するように径方向の外側から支持する構成とされている。
また、図5に示すように、上述したガイド20の円板本体21の内側面上におけるメインポールP1がセットされるポール収容溝24Aの形成領域上には、軸方向に円柱状に突出してメインポールP1に形成された楔状のガタ詰め孔35内に差し込まれるガタ詰めピン21Cが形成されている。上述したガタ詰めピン21Cは、図11に示すように、上述したメインポールP1が径方向の内側に引き込まれてラチェット10の内周歯12Aとの噛合から外されている時には、楔状のガタ詰め孔35内における孔幅の広い径方向の外側領域に位置してメインポールP1の移動を阻害しないようになっている。
しかし、上述したガタ詰めピン21Cは、図10に示すように、メインポールP1が径方向の外側に押し出されてラチェット10の内周歯12Aに噛合されるのに併せて、メインポールP1の楔状のガタ詰め孔35内における孔幅の狭い径方向の内側領域に押し詰められて、メインポールP1の周方向のガタ抑えをした状態へと切り換えられるようになっている。上記構成により、メインポールP1が周方向にガタ抑えされた状態としてラチェット10の内周歯12Aに噛合されて、ラチェット10とガイド20とがメインポールP1を介して互いに周方向にガタ抑えされた状態にロックされるようになっている。
図4〜図5に示すように、上述した各ガイド壁23には、それらの周方向と径方向とに形状を広げる突出領域の周縁を残した中間部に、ラチェット10への組み付け方向となる軸方向とは反対側に向かって半抜き状に押し出された浮島状のビード部23Cが形成されている。上記各ビード部23Cの形成により、各ガイド壁23は、それらの規制面23Aによって各ポール30を周方向の両側から支持するための各ポール30との接触面積を減らすことなく、各ポール30を周方向の両側から強固に支持することのできる高い構造強度を備えた構成とされている。
また、上述したガイド20の円板本体21の中心部(中心軸線C上の位置)には、後述するロックスプリング50が内部に収容された状態にセットされる略丸孔形状に貫通した貫通孔21Aが形成されている。上述した貫通孔21Aには、その孔形状の一部分から径方向の外側に向かって細長く孔形状を延出させる掛入れ孔21Aaが形成されている。上記掛入れ孔21Aa内には、上述した貫通孔21A内にセットされるロックスプリング50の外側の端部52が軸方向に嵌め込まれて周方向に一体的に固定された状態にセットされるようになっている。
図4に示すように、上述したガイド20の円板本体21の外側面上には、その周方向の3箇所の位置に、軸方向に略寸胴状に押し出された形となって突出するダボ21Bが形成されている。これらダボ21Bは、上述した円板本体21の外側面上における上述した各ポール収容溝24Aの裏側に相当する領域上にそれぞれ1つずつ軸方向に押し出された形となって形成されている。
上記構成のガイド20は、図2に示すように、上述した円板本体21の外側面上から突出する各ダボ21Bが、リクライニングプレート3Fに形成された対応する各嵌合孔3Fa内に嵌め込まれて溶接されることにより、リクライニングプレート3Fに強固に一体的に結合された状態とされている。上述したリクライニングプレート3Fには、上述したガイド20の中心部(中心軸線C上の位置)に形成された貫通孔21A内に通される操作ピン5Aを軸方向の外側へと通し出すことのできる通し孔3Fbが貫通して形成されている。
《◆ポール30について》
図4〜図5に示すように、3つのポール30は、それぞれ、1枚の金属板部材が略矩形状の形にカットされると共に、所々で板厚方向(軸方向)に半抜き加工されて形成された構成とされている。具体的には、上述した各ポール30は、それらの径方向の内周側の領域を成すオフセット面部30Bが、外周側の領域を成す本体面部30Aに対して、ラチェット10への組み付け方向となる軸方向に略板厚相当分だけ半抜き状に押し出された形状とされている。
また、上述した3つのポール30のうちの特定の1つは、メインポールP1として、他の2つのサブポールP2とは一部異なる形状とされて機能的に区別された構成とされている。上記の具体的な違いについては、後に詳述することとする。
上述した各ポール30は、それぞれ、図10〜図11に示すように、上述したガイド20の円板本体21の内側面上に形成された各ポール収容溝24A内にそれぞれ1つずつ収められた形にセットされている。上記セットにより、各ポール30は、各ポール収容溝24Aに周方向の両側から臨む各ガイド壁23の規制面23Aによって周方向の両側から面状に支持された状態として、これらの規制面23Aに沿って径方向の内外方にのみ移動可能となるように支持された状態として設けられるようになっている。
詳しくは、上述した各ポール30は、図9に示すように、上述した各ポール収容溝24A内にセットされた状態では、それらの本体面部30Aがガイド20の円板本体21の内側面上に当てられる形にセットされるようになっている。それにより、各ポール30は、それらの本体面部30Aの径方向の外側の位置に、上述したガイド20の円筒部22内に組み付けられたラチェット10の円筒部12の内周歯12Aが径方向に対面する形にセットされるようになっている。
また、上述した各ポール30のオフセット面部30Bは、上述したガイド20の円板本体21の内側面上から軸方向に離間した形にセットされて、上述したラチェット10の中間円筒部13と軸方向の配置が重なる形にセットされるようになっている。
図4に示すように、上述した各ポール30の本体面部30Aの径方向の外周面には、径方向の外側に歯面を向ける外周歯31が周方向の全域に亘って連続的に並ぶ形となって形成されている。上述した各ポール30の外周歯31が形成された径方向の外周面は、前述したラチェット10の内周歯12Aが形成された円筒部12の内周面に沿って湾曲した面形状に形成されている。
上記構成により、各ポール30の外周歯31は、ラチェット10の内周歯12Aに径方向の内側から押し付けられることで、全体がラチェット10の内周歯12Aに噛合されるようになっている。詳しくは、各ポール30の外周歯31は、これらの噛合するラチェット10の内周歯12Aと同様に、各歯面が周方向に2度ピッチで等間隔に並ぶ形に形成された構成とされている。
しかし、より厳密には、上述した各ポール30の外周歯31は、それぞれ、図10を参照して、それらの周方向の中央の歯面がラチェット10の内周歯12Aに最も深く噛合する形に入り込み、そこから周方向の両端側に向かって、ラチェット10の内周歯12Aに対する入り込みが漸次浅くなっていくよう歯丈が小さくなっていく形に形成されている。
上記構成により、各ポール30は、それらの進行方向に真っ直ぐ歯面を向ける中央箇所の歯面の他、同中央箇所から周方向の両端側に向かって歯面の向く方向が進行方向とは異なる方向に傾けられていくその他の歯面も、各ポール30の径方向の外側への移動によって対応するラチェット10の内周歯12Aの歯面につっかえさせることなく適切に噛合させることができるようになっている。なお、上記外周歯31の具体的な歯面形状については、特開2015−29635号公報等の文献に開示されたものと同一となっているため、詳細な説明を省略することとする。
上記構成により、各ポール30は、それらの外周歯31がラチェット10の内周歯12Aと噛合された際に、各々が径方向の内側から押圧される力の作用によって、それらの最も深く噛合された周方向の中央箇所を支点に、全体が周方向のどちらかに押し傾けられるような偏った力の作用を受けるおそれのある構成とされている。しかしながら、上記の作用は、メインポールP1がラチェット10と噛合する際に、ガイド20に設けられたガタ詰めピン21Cが楔状のガタ詰め孔35内に押し詰められて周方向にガタ詰めされる作用によって適切に抑止されるようになっている。
上述した各ポール30は、図9に示すように、それらの本体面部30Aによって囲まれた径方向の内側の領域に、ガイド20の中心部(中心軸線C上の位置)にセットされた後述する回転カム40が径方向に対面した形となってセットされるようになっている。上記セットにより、各ポール30は、それらの本体面部30Aが回転カム40の径方向の外側の位置に並んで設けられると共に、それらのオフセット面部30Bが回転カム40と軸方向に重なった状態となって設けられるようになっている。
ここで、図5に示すように、上述した各ポール30の本体面部30Aの内周面部には、上述した回転カム40と径方向に対面して、回転カム40の回転に伴って径方向の内側から外側へと押圧される作用力を受ける被押圧面部32が形成されている。また、上述した各ポール30のオフセット面部30Bの中間部には、上述した回転カム40に形成された対応する各引込みピン42が軸方向に差し込まれて、回転カム40の回転に伴って径方向の内側へと引き込まれるように操作される引込み孔33が軸方向に貫通して形成されている。また、上述した各ポール30の本体面部30Aの中間部には、それらのオフセット面部30Bと同一の軸方向に半抜き状に押し出された乗り上がり突起34が形成されている。
上述した各ポール30の被押圧面部32は、図10に示すように、上述した回転カム40がガイド20との間に掛着された後述するロックスプリング50のバネ附勢力によって図示反時計回り方向に回されることにより、同回転カム40の外周面部に形成された対応する各押圧部44によって径方向の内側から外側へと押圧されるようになっている。上記押圧により、各ポール30は、それらの外周歯31が上述したラチェット10の内周歯12Aに押し付けられて噛合されると共に、同噛合された状態として保持されるようになっている。それにより、各ポール30がラチェット10に対して周方向に一体的に結合された状態となり、各ポール30を介してラチェット10とガイド20との間の相対回転がロックされた状態となる。詳しくは、上述した各ポール30の径方向の噛合を介して、ラチェット10とガイド20とが互いに径方向にもガタ詰めされた形にロックされた状態となる。
また、上述した各ポール30の引込み孔33は、図11に示すように、上述した回転カム40が上述したリクライニングレバー5の操作によってロックスプリング50のバネ附勢力に抗した図示時計回り方向へと回されることにより、それらの内部に差し込まれた対応する回転カム40の引込みピン42によって径方向の内側へと引き込まれるようになっている。上記引き込みにより、各ポール30は、それらの外周歯31が上述したラチェット10の内周歯12Aとの噛合状態から外されると共に、同外された状態(アンロック状態)として保持されるようになっている。それにより、上述したラチェット10とガイド20との間の回転ロック状態が解除されるようになっている。
また、上述した各ポール30の乗り上がり突起34は、図9に示すように、上述した各ポール30のオフセット面部30Bと同一の軸方向に同一位置まで半抜き状に押し出されて、それらの外周面部34Aが上述したラチェット10の中間円筒部13の内周面と径方向に対面した状態として設けられるようになっている。上述した各ポール30の乗り上がり突起34は、図10、図17(a)及び図18(a)に示すように、上述したラチェット10のガイド20に対する回転位置が前述したロック領域A1の状態にある時には、上述した各ポール30が回転カム40によって径方向の外側に押し出されても、ラチェット10の中間円筒部13の内周面には押し当てられず、各ポール30がラチェット10の内周歯12Aと噛合する動きを阻害しないようになっている。
しかし、上述した各ポール30の乗り上がり突起34は、図13、図17(b)及び図18(b)に示すように、上述したラチェット10のガイド20に対する回転位置が前述したフリー領域A2の状態へと変えられることにより、上述した各ポール30が回転カム40によって径方向の外側へと押し出された際に、ラチェット10の中間円筒部13の内周面上に乗り上がる形に押し当てられて、各ポール30がラチェット10の内周歯12Aと噛合する動きを途中位置で食い止めるようになっている。
詳しくは、上述した各ポール30の乗り上がり突起34は、メインポールP1と他の2つのサブポールP2とでは、ガイド20の中心部(中心軸線C上の位置)からそれらの外周面部34Aまでの径寸法、すなわち径方向における形成位置が互いに異なる形に形成された構成とされている。具体的には、メインポールP1の乗り上がり突起34が、他の2つのサブポールP2の乗り上がり突起34よりも径方向の外側に張り出した位置に形成されている。
上述したメインポールP1の乗り上がり突起34は、図10、図17(a)及び図18(a)に示すように、前述したラチェット10の中間円筒部13の第1の領域13A(ロック領域A1)と周方向に重なる配置とされる時には、回転カム40によって径方向の外側に押し出されても、第1の領域13A上に乗り上がる位置までは押し出されずに、メインポールP1がラチェット10の内周歯12Aと噛合する動きを阻害しないようになっている。
そして、その際には、他の2つのサブポールP2の乗り上がり突起34も、上述したメインポールP1の乗り上がり突起34よりも径方向の内側の位置に形成された構成により、上述した第1の領域13Aよりも径方向の内側に張り出す第2の領域13B及び第3の領域13C(他所領域A3)とそれぞれ周方向に重なる配置とされても、回転カム40によって径方向の外側に押し出された際にこれら第2の領域13B及び第3の領域13C上に乗り上がる位置までは押し出されずに、各サブポールP2がラチェット10の内周歯12Aと噛合する動きを阻害しないようになっている。
また、図13、図17(b)及び図18(b)に示すように、上述したメインポールP1の乗り上がり突起34は、前述したラチェット10の中間円筒部13の第2の領域13B(フリー領域A2)と周方向に重なる配置とされることにより、回転カム40によって径方向の外側に押し出されることで、第2の領域13B上に乗り上がり、メインポールP1がラチェット10の内周歯12Aと噛合する動きを途中位置で食い止めるようになっている。
しかし、その際にも、他の2つのサブポールP2の乗り上がり突起34は、対応する第3の領域13C及び第1の領域13A(他所領域A3)とそれぞれ周方向に重なる配置とされても、回転カム40によって径方向の外側に押し出された際にこれら第3の領域13C及び第1の領域13A上に乗り上がる位置までは押し出されずに、各サブポールP2の径方向の外側への移動を途中位置で食い止めないようになっている。
そのような構成であっても、各サブポールP2は、メインポールP1の径方向の外側への移動が途中位置で食い止められることで、それにより回転カム40の回転が止められてそれ以上径方向の外側へ押し出されなくなることから、メインポールP1と共にラチェット10の内周歯12Aへの押し付けが阻止されたアンロック状態として保持されるようになっている。上述した2つのサブポールP2に形成された各乗り上がり突起34は、それらの外周面部34A上における周方向の一端側の角部に、形状が面取り状に肉抜きされた傾斜面34Bが形成されている。
上述した各傾斜面34Bは、図13、図17(b)及び図18(b)に示すように、上述したメインポールP1の乗り上がり突起34がラチェット10のフリー領域A2(第2の領域13B)上に乗り上がり、各サブポールP2の乗り上がり突起34が第3の領域13C上と第1の領域13A上とにそれぞれ位置する状態から、ラチェット10がリクライニングレバー5の操作を行うことなくフリー領域A2からロック領域A1へと戻される方向に回された際(シートバック2が後側に起こされた際)に、各サブポールP2の乗り上がり突起34を前述した第1の凸部13Dと第2の凸部13Eとにそれぞれ周方向に突き当てないように傾斜形状の案内によって径方向の外側へと逃がしながら周方向に乗り越えさせる逃がし部として機能するものとなっている。
また、図4〜図5に示すように、上述したメインポールP1の本体面部30Aには、その乗り上がり突起34の形成領域から周方向に外れた中間部に、径方向の外側から内側に向けて孔形状が先細り状となる形に貫通するガタ詰め孔35が形成されている。上述したガタ詰め孔35は、図11に示すように、上述したメインポールP1がガイド20上にセットされることで、同ガイド20の円板本体21の内側面上から突出するガタ詰めピン21Cがその孔内に差し込まれた状態にセットされるようになっている。上記セットにより、ガタ詰め孔35は、上述したメインポールP1がラチェット10の内周歯12Aと噛合する前のアンロック状態にある時には、上述したガタ詰めピン21Cを径方向の外側の孔幅の広い領域に位置させた状態として、メインポールP1の移動を阻害しないようになっている。
しかし、上記ガタ詰め孔35は、図10に示すように、上述したメインポールP1が径方向の外側に押し出されてラチェット10の内周歯12Aに噛合されるのに併せて、上述したガタ詰めピン21Cを径方向の内側の孔幅の狭い領域へと押し詰めて、メインポールP1の周方向のガタ抑えをした状態へと切り換えられるようになっている。上記構成により、メインポールP1が周方向にガタ抑えされた状態としてラチェット10の内周歯12Aに噛合されて、ラチェット10とガイド20とがメインポールP1を介して互いに周方向にガタ抑えされた状態にロックされるようになっている。
ところで、上述した各ポール30は、図4〜図5及び図19〜図20に示すように、それらのオフセット面部30Bと乗り上がり突起34とが、互いに径方向に離間して並ぶように本体面部30Aに対して同一の軸方向に別々に半抜き状に押し出されて形成されている。その際、各ポール30のオフセット面部30Bは、それらの半抜き加工による成形面に精度を持たせる精度管理面Qが、それらの半抜き状に押し出されて径方向の外側に面を向ける外周面部側にではなく、半抜きによって径方向の内側に面を向けた形となって形成される本体面部30Aの内周面部(被押圧面部32)側に設定されて形成されている。上記構成により、各ポール30は、それらの被押圧面部32が精度良く形成された構成とされている。
また、各ポール30の乗り上がり突起34は、それらの半抜き加工による成形面に精度を持たせる精度管理面Qが、それらの半抜き状に押し出されて径方向の外側に面を向ける外周面部34A側に設定されて形成されている。上記構成により、各ポール30は、それらの外周面部34A及び傾斜面34Bが精度良く形成された構成とされている。このように、各ポール30は、上述したオフセット面部30Bと乗り上がり突起34とが、互いに径方向に離間して並ぶように本体面部30Aに対して別々に半抜き状に押し出されて形成されていることで、上記のように精度管理面Qを互いに表裏別々の側に設定して成形面の精度を出すことができるようになっている。
なお、上述した各ポール30の被押圧面部32は、詳しくはそれらの乗り上がり突起34の形成箇所から周方向の両側に外れた各領域が図4で前述した回転カム40の対応する各押圧部44によって径方向の内側から押圧されるようになっている。そのため、実際には、各ポール30の被押圧面部32は、それらの乗り上がり突起34と周方向の配置が重ならない両側の領域に精度管理面Qが設定され、乗り上がり突起34と周方向の配置が重なる領域には精度管理面Qが設定されていない構成とされている。上記構成により、各ポール30のオフセット面部30Bと乗り上がり突起34とが互いに周方向に重なる配置となっていても、各々に精度管理面Qを適切に設定して具合良く成形することができるようになっている。
《◆回転カム40について》
回転カム40は、図5に示すように、1枚の金属板部材が略円板状の形にカットされると共に、所々で板厚方向(軸方向)に半抜き加工されて形成された構成とされている。上述した回転カム40は、上述したガイド20の円板本体21の内側面上に形成されたカム収容溝24B内に収容された状態としてセットされている。
上述した回転カム40は、図9に示すように、上述した各ポール30と略同一の板厚を有した形状とされており、上述したガイド20の円板本体21の内側面と各ポール30の軸方向に半抜き状に押し出されたオフセット面部30Bとの間に挟まれる形で、各ポール30の本体面部30Aによって外周側から囲まれる形に配置された状態とされている。
図5に示すように、上述した回転カム40の中心部(中心軸線C上の位置)には、図1で前述したリクライニングレバー5と一体的に連結される操作ピン5Aが軸方向の内側から差し込まれて回転方向に一体的に装着される貫通孔41が形成されている。上述した操作ピン5Aは、上述した回転カム40の貫通孔41内に軸方向の内側から外側へと貫通して差し込まれて、その先で、図1で前述したリクライニングレバー5と一体的に接続されている。上記構成により、操作ピン5Aは、上述したリクライニングレバー5の引き上げ操作に伴って回転カム40を一体的に回転操作するようになっている。
上述した操作ピン5Aは、図1で前述したもう一方側のシートリクライニング装置4に差し込まれている操作ピン5Aとコネクティングロッド5Bを介して一体的に連結されている。上記構成により、上述したリクライニングレバー5が引き上げられる操作によって、もう一方側の操作ピン5Aも一体的に回転操作されて、同側のシートリクライニング装置4の回転カム40も一体的に回転操作されるようになっている。
図5に示すように、上述した回転カム40は、上述したガイド20の中心部(中心軸線C上の位置)に形成された貫通孔21Aよりもひとまわり大きな略円板形状に形成されており、そのガイド20の貫通孔21A内に臨む外側面上に2本の引掛ピン43が軸方向に突出した形となって形成されている。上述した各引掛ピン43には、図2及び図6に示すように、後述するロックスプリング50の内側の端部51がこれらの間に挟み込まれる形に引掛けられて一体的に固定されるようになっている。また、上述した回転カム40の各ポール30のオフセット面部30Bに臨む内側面上には、各ポール30に形成された対応する引込み孔33内にそれぞれ差し込まれた状態にセットされる3本の引込みピン42が軸方向に突出した形となって形成されている。
上述した回転カム40は、上述したガイド20に対して、ロックスプリング50を介して弾性支持された状態に組み付けられている。すなわち、回転カム40は、上述したガイド20のカム収容溝24B内にセットされた状態から、そのガイド20の貫通孔21A内に臨む外側面上から突出する各引掛ピン43間にロックスプリング50の内側の端部51が引掛けられ、更に上記ロックスプリング50の外側の端部52がガイド20の貫通孔21Aから延びる掛入れ孔21Aa内に掛け入れられる形でロックスプリング50がガイド20の貫通孔21A内にセットされることにより、ガイド20に対してロックスプリング50を介して弾性支持された状態として組み付けられている。
上記組み付けにより、回転カム40は、図9に示すように、上述したガイド20の円板本体21と各ポール30の軸方向に半抜き状に押し出されたオフセット面部30Bとの間で軸方向に挟まれた状態として支持されると共に、径方向においては各ポール30の本体面部30Aの内周面部である被押圧面部32によって径方向の外側から囲まれた形となって設けられた状態とされている。
そして、上述した回転カム40は、上述したガイド20との間に掛着されたロックスプリング50(図2及び図6参照)のバネ付勢力によって、常時、ガイド20に対して図10に示す反時計回り方向に回転付勢された状態とされている。上記付勢による反時計回り方向の回転により、回転カム40は、その外周面部上の周方向の複数箇所に突出して形成された各押圧部44によって、各ポール30の被押圧面部32を径方向の内側から外側へと押し出す形に操作するようになっている。
また、上述した回転カム40は、図1で前述したリクライニングレバー5が引き上げ操作されることにより、図11に示すように、操作ピン5Aを介して上述した付勢方向とは反対側となる図示時計回り方向に回転操作される。これにより、回転カム40は、その各ポール30の引込み孔33内に差し込まれている各引込みピン42が、各引込み孔33内を周方向に移動しながら各引込み孔33の径方向の外側に変化していく形状によって、各ポール30を径方向の内側へ引き込むように操作するようになっている。
詳しくは、上述した回転カム40は、図10に示すように、各ポール30をロックスプリング50のバネ付勢力による回転力によって径方向の内側から押し出してラチェット10の内周歯12Aに噛合させた状態(ロック状態)では、その引掛ピン43に引掛けられたロックスプリング50の内側の端部51が、ガイド20に形成された3つのガイド壁23のうちの図示左上側と図示右上側の2つのガイド壁M1の間の周方向領域に位置付けられた状態とされるようになっている。
上記の状態では、回転カム40は、ロックスプリング50の内側の端部51から受けるバネ付勢力によって、図示反時計回り方向の回転付勢力の他、径方向の外側に向けて偏心する付勢力の作用を受けた状態とされるようになっている。それでも、回転カム40は、各ポール30がラチェット10の内周歯12Aに噛合した時には、各ポール30からの支持を受けてガイド20の中心部(中心軸線C上の位置)にセンタリングされた状態として保持されるようになっている。
しかし、上述した回転カム40は、図11に示すように、上述したロックスプリング50のバネ付勢力に抗して図示時計回り方向に回転操作されて、各ポール30がラチェット10の内周歯12Aとの噛合状態から外されることにより、上述したロックスプリング50の内側の端部51から受ける偏心方向の付勢作用により、図16に示すように、上述した2つのガイド壁M1の内周側の支持面23Bに押し当てられながらこれら2つのガイド壁M1の支持面23B上を摺動する形で図示時計回り方向に回転操作されるようになっている。その時、残るもう1つのガイド壁M2は、他の2つのガイド壁M1とは異なり、上述した回転カム40の外周面との間に僅かな径方向の隙間Tが設定される形に形成されている。
このような構成とされていることにより、図16に示すように、回転カム40がロックスプリング50の付勢作用により押し当てられる2つのガイド壁M1において、回転カム40が軸ズレ方向(偏心方向)に移動しないように適切に支持しつつも、回転カム40がこれら2つのガイド壁M1を支点に残るもう1つのガイド壁M2のある方向に形状をガタ付かせた場合の移動を適切に逃がして、回転カム40を偏心させることなくスムーズに解除方向に摺動回転させることができるようになっている。
《◆外周リング60について》
図4〜図5に示すように、外周リング60は、1枚の薄板材がリング状に打ち抜かれると共に、その打ち抜かれた中空円板の外周部分が板厚方向(軸方向)に円筒形状に突出する形に絞り加工されることにより、中空円板状の座の付いた略円筒型形状に形成されている。それにより、外周リング60は、軸方向に真っ直ぐ面を向ける中空円板状のフランジ部62と、同フランジ部62の外周縁部に沿って軸方向に略円筒形状に突出する結合部61と、を有した構成とされている。
詳しくは、上述した外周リング60は、上述した結合部61がフランジ部62の外周部分から軸方向に2段階に突出する形に押し出されることにより、結合部61の内周側に結合部61よりも軸方向に短く略円筒形状に突出する段差部63が形成された、内外2段の円筒形状を有する段付き円筒形状に形成された構成とされている。上述した外周リング60は、上述したガイド20に3つのポール30と回転カム40とロックスプリング50とをセットすると共にラチェット10を組み付けた後、これら組み付けたユニットを円筒内部にセットして結合部61をガイド20にかしめることで、ラチェット10とガイド20との外周部間に跨って装着された状態とされている(かしめ部位61A)。
詳しくは、上述した外周リング60は、その円筒内部に上述したユニットがラチェット10から順に入り込む形に組み付けられることにより、図9及び図15に示すように、その段差部63が上述したガイド20の円筒部22に軸方向に突き当てられた状態にセットされて、上述したフランジ部62が上述したラチェット10の円筒部12を軸方向の外側から覆った状態とされるようになっている。そして、上記のセットに伴って、上述した外周リング60の円筒形状の結合部61内に、上述したガイド20の円筒部22が軸方向に嵌め込まれた状態にセットされる。
そして、上述したセットの後に、上述した外周リング60の結合部61のガイド20の円筒部22から軸方向の外側に延出する先の部分を、径方向の内側に折り曲げて上述した段差部63との間でガイド20の円筒部22を軸方向に挟み込むように円筒部22の外側面にかしめて一体的に結合することにより、外周リング60がラチェット10とガイド20との外周部間に跨って装着された状態となる。上記装着により、外周リング60は、上述したガイド20に対して一体的に結合された状態として、そのフランジ部62によりラチェット10をガイド20に対して軸方向にも径方向にも大きくガタ付かせないようにあてがえた状態として保持するようになっている。ここで、上述したフランジ部62が、本発明の「当て部」に相当する。
詳しくは、上述した外周リング60は、そのフランジ部62の径方向の内側に張り出した先の角部が、ラチェット10の中間円筒部13と円筒部12との間の軸方向の外側面部に形成された径方向の外側に斜めに面を向ける傾斜面13G上に添えられた形となって、上述したラチェット10の軸方向の外側及び径方向の外側へのガタ付きを抑えた状態として保持するようになっている。
より詳しくは、上述した外周リング60は、図5及び図7に示すように、上述したフランジ部62の周方向の3箇所の領域に形成された、軸方向の内側に突出する形にかしめられた各斜め当接部62Aが、上述したラチェット10の傾斜面13G上の周方向の3箇所の領域に形成された、軸方向の外側かつ径方向の外側に斜めに面を向ける形に突出する各突出傾斜面13H上に乗り上がる回転位置関係となることにより、各斜め当接部62Aが、対応する各突出傾斜面13Hとの当接により、上述したラチェット10の軸方向の外側及び径方向の外側へのガタ付きをより適切に抑えた状態として保持することができるようになっている。
上述した外周リング60のフランジ部62に形成された各斜め当接部62Aは、上述したフランジ部62の周方向の3箇所の領域が、段差部63との繋ぎ目である径方向の外側の端部を基点に内側の端部を軸方向の内側へ突出させるように斜めに折り曲げられる形にかしめられることにより形成されている。また、上述したラチェット10の傾斜面13G上の周方向の3箇所の領域に形成された各突出傾斜面13Hは、ラチェット10の半抜き加工時に押し当てられる型形状により、傾斜面13Gと略平行に傾斜面13Gよりも軸方向の外側かつ径方向の外側に斜めに突出した形となって形成されている。
上述した各突出傾斜面13Hは、それぞれ、上述した傾斜面13G上の周方向の3箇所の領域に約20度の周方向の幅長を有した形となって均等に配置形成されている。。上述した各突出傾斜面13Hの周方向の両サイド部には、各突出傾斜面13Hと傾斜面13Gとの間の段差を傾斜状に滑らかにする形に肉盛りされた案内斜面13H1が形成されている。また、上述した外周リング60のフランジ部62に形成された各斜め当接部62Aも、上述したフランジ部62上の周方向の3箇所の領域に約20度の周方向の幅長を有した形となって均等に配置形成されている。
上記構成の外周リング60は、図21に示すように、上述したシートバック2の背凭れ角度が、上述した上側に真っ直ぐ起立した直立位置となる初段のロック位置S1とトルソアングルS2(約20度)との間の角度領域にある時に、図22〜図23に示すように、上述したフランジ部62の周方向の3箇所の領域に形成された各斜め当接部62Aにラチェット10の傾斜面13G上の周方向の3箇所の領域に形成された対応する各突出傾斜面13Hが周方向に重ね合わされて、各斜め当接部62Aを対応する各突出傾斜面13H上に乗り上がらせて当接させた状態とされるようになっている(当接領域B1)。
それにより、外周リング60は、上述した各斜め当接部62Aによって、ラチェット10の軸方向及び径方向のガタ付きを適切に抑えた状態として保持するようになっている。その際、図24に示すように、上述した外周リング60のフランジ部62は、上述したラチェット10の傾斜面13Gとは当接することなく離間された非当接状態とされるようになっている。上述した当接領域B1は、図21に示すように、シートバック2の背凭れ角度が上述した初段のロック位置S1である直立位置から前側に約10度傾斜した角度位置と、トルソアングルS2から後側に約10度傾斜した角度位置と、の間の約40度の角度領域に設定されている。
上記の当接領域B1では、図22に示すように、外周リング60によるラチェット10のガタ抑えが比較的強く働くため、これらの当接に伴う摺動摩擦抵抗力の作用によって、ラチェット10のガイド20に対する回転移動が抑制されやすくなる。しかし、上記のようにシートバック2が起立した角度領域にある時には、シートバック2を前回転方向に付勢する前述したリターンスプリング6(図1参照)の付勢力が比較的強く作用することから、上記のようにガタ詰めが行われてもシートバック2を円滑に回転移動させることができる。
また、上述した外周リング60は、図25に示すように、上述したシートバック2の背凭れ角度が、図21で示した当接領域B1から後側に外れた角度領域へと移された時には、図26〜図27に示すように、上述したフランジ部62の周方向の3箇所の領域に形成された各斜め当接部62Aにラチェット10の傾斜面13Gが周方向に重ね合わされて、各斜め当接部62Aとラチェット10の傾斜面13Gとの間に僅かな隙間が形成される非当接状態とされるようになっている(非当接領域B2)。その際、図28に示すように、上述した外周リング60のフランジ部62も、その一部領域がラチェット10の各突出傾斜面13Hと周方向に重ね合わされる状態となるが、各突出傾斜面13Hとは当接することなく離間された非当接状態とされるようになっている。
上記の領域では、外周リング60によるラチェット10のガタ抑えが働きにくくなるが、その分、ラチェット10をガイド20に対してスムーズに回転移動させられるようになる。したがって、上記のようにシートバック2が後傾した角度領域にある時には、シートバック2を前回転方向に付勢する前述したリターンスプリング6(図1参照)の付勢力が比較的弱く作用するが、そのような領域であってもシートバック2を円滑に前側に起こし上げることができる。
また、上述した外周リング60は、図29に示すように、上述したシートバック2の背凭れ角度が、図21で示した当接領域B1から前側に外れた角度領域へと移された時にも、図30〜図31に示すように、上述したフランジ部62の周方向の3箇所の領域に形成された各斜め当接部62Aにラチェット10の傾斜面13Gが周方向に重ね合わされて、各斜め当接部62Aとラチェット10の傾斜面13Gとの間に僅かな隙間が形成される非当接状態とされるようになっている(非当接領域B2)。その際、図32に示すように、上述した外周リング60のフランジ部62も、その一部領域がラチェット10の各突出傾斜面13Hと周方向に重ね合わされる状態となるが、各突出傾斜面13Hとは当接することなく離間された非当接状態とされるようになっている。
上記の領域でも、外周リング60によるラチェット10のガタ抑えが働きにくくなるが、その分、ラチェット10をガイド20に対してスムーズに回転移動させられるようになる。したがって、上記のようにシートバック2が前傾した角度領域にある時には、シートバック2を後方向に起こし上げる力が大きくなるが、そのような領域であってもシートバック2を比較的円滑に後側に起こし上げることができる。
《■まとめ》
以上をまとめると、本実施例のシートリクライニング装置4は次のような構成とされている。すなわち、乗物用シートリクライニング装置(4)であって、互いに相対回転可能に軸方向に組み付けられたラチェット(10)及びガイド(20)と、ラチェット(10)とガイド(20)との間に設けられてこれらの相対回転を径方向にガタ詰めした状態としてロックするロック機構(30,40)と、ラチェット(10)とガイド(20)との外周部間に跨って装着されてこれらを軸方向に組み付けた状態に保持する外周リング(60)と、を有する。外周リング(60)が、ラチェット(10)及びガイド(20)のうちの一方(20)と結合される結合部(61)と、他方(10)に対して軸方向の外側から当てられる当て部(62)と、を有する略一定の板厚を持つ板材から成る。ラチェット(10)及びガイド(20)のうちの片方(20)が、もう片方(10)を外周側から囲い込み状に覆って互いの間のアンロック時における径方向のガタ付きを規制する円筒部(22)を有する。円筒部(22)の径方向の肉厚が、外周リング(60)の板厚よりも薄く設定される。
このような構成とされていることにより、ラチェット(10)及びガイド(20)のうちの片方(20)に形成された円筒部(22)は、もう片方(10)を外周側から囲い込み状に覆ってアンロック時の径方向のガタ付きを規制するための機能部として、ロック時のロック強度には直接的に寄与しない部位とされる。したがって、このような部位(円筒部(22))には、比較的高い構造強度が要求されないことから、上記のように薄肉化しても、ラチェット(10)とガイド(20)との間のアンロック時における径方向のガタ付きを適切に抑えることができる。そして、上記薄肉化により、構造全体を小型化したりロック機構(30,40)によるロックの係合位置を強度的に有利となる径方向の外側位置に寄せたりすることができる。
《■その他の実施形態について》
以上、本発明の実施形態を1つの実施例を用いて説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施することができるものである。例えば、本発明の乗物用シートリクライニング装置は、自動車の右側座席以外のシートにも適用することができる他、鉄道等の自動車以外の車両や、航空機、船舶等の様々な乗物用に供されるシートにも広く適用することができるものである。また、乗物用シートリクライニング装置は、シートバックをシートクッションに対して背凭れ角度の調節を行える状態に連結するものの他、シートバックを乗物本体側に固定されたブラケット等のベースに対して背凭れ角度の調節を行える状態に連結するものであってもよい。
また、乗物用シートリクライニング装置は、ラチェットがシートクッション等の乗物本体に固定される側の部材に結合され、ガイドがシートバックに結合される構成であってもよい。また、乗物用シートリクライニング装置のロック機構を構成する複数のポールは、周方向に2つ又は4つ以上並べられて設けられるものであってもよい。各ポールの周方向の配置は、均等配置されるものに限らず、片寄って配置されるものであってもよい。
また、各ポールを径方向の外側に押し出すように操作するカムは、回転により各ポールを径方向の外側に押し出すタイプの他、径方向のスライドにより各ポールを上記スライド方向とは交差する径方向に押し出すようにスライドさせるタイプの構成であってもよい(特開2015−227071号公報参照)。なお、各ポールを径方向の内側へ引き戻す操作は、レリーズプレート等のカムとは別体の部材によって行われるようになっていてもよい(同公報参照)。
また、外周リングの当て部は、ラチェットに対して斜め当たりとなるものの他、軸方向の外側から真っ直ぐ当てられるものであってもよい。また、外周リングは、結合部がラチェットと結合され、当て部がガイドに対して軸方向の外側から当てられる構成となっているものであってもよい。また、外周リングの結合部は、ラチェット及びガイドのうちの一方にかしめられて結合されるものの他、溶接により結合されるものであってもよい。また、円筒部は、ガイドではなく、ラチェットに設定されてガイドを外周側から囲い込み状に覆う構成とされたものであってもよい。