JP6982209B1 - ポリウレタン−ウレア樹脂溶液及び物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】エージング又は加温による硬化を必要とせずに、セパレーターレスで巻き取り可能であるとともに、加温によって剥離強度を選択的に高めることも可能なポリウレタン−ウレア樹脂溶液を提供する。【解決手段】ポリオール成分(A)に由来する構成単位、ジイソシアネート成分(B)に由来する構成単位、及びポリアミン成分(C)に由来する構成単位を有する、その末端に活性アミノ基を持ったポリウレタン−ウレア樹脂と、多官能ポリイソシアネート成分(D)とを含有し、ポリオール成分(A)が、ポリエーテル系ポリオール(A−1)等であり、ポリウレタン−ウレア樹脂の末端アミノ基濃度が、20〜200μEQ/gであり、リウレタン−ウレア樹脂の重量平均分子量が、5,000〜150,000であるポリウレタン−ウレア樹脂溶液である。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリウレタン−ウレア樹脂溶液、及びそれを用いた物品に関する。
粘着剤としては、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、及びウレタン系粘着剤等が一般的である。これらの粘着剤は、例えば、食品や化粧品等の包装材、車両、ラッピングフィルム、スマートフォン用の保護フィルム、及び医療用のメディカルテープ等の高付加価値製品等に利用されている。なかでも、ラッピングフィルムや保護フィルム等の製品に対しては、優れた意匠性、透明性、及び光学特性等が要求される。但し、これらの製品を構成する基材に用いられるアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、及びポリカーボネート樹脂等は、いずれも耐薬品性に乏しい材料である。
なお、顔料やフィラー等を分散させた粘着剤を用いて構成される、液晶ディスプレイと筐体を貼着するとともに、筐体内の光源からの光漏れを防止するために用いられる遮光性粘着テープ等が提案されている(特許文献1)。
アクリル系粘着剤は粘着力に優れる一方で、残留モノマーによる臭気等が懸念されている。また、粘着力が強いため、被着体に貼着した後の再剥離性がさほど良好であるとは言えず、ラッピングフィルムや保護フィルム等の製品に用いると再剥離が困難になる等の課題があった。また、シリコーン系粘着剤は適用温度範囲が広く、耐候性・耐薬品性も良好である。しかし、被着体を汚染しやすいとともに、低分子量のシリコーン樹脂が揮発して電子デバイス等の機器の表面に吸着しやすく、電気系統に不具合を生じさせる等の懸念があった。このため、スマートフォン等の電子部材用の保護フィルム等にシリコーン系粘着剤を展開するのは困難であった。
これに対して、ウレタン系粘着剤は、微粘着性であるとともに、再剥離性も比較的優れており、かつ、含有成分も揮発しにくいといった利点がある。しかし、ウレタン系粘着剤は粘着力の面でやや劣るため、市場規模の面でアクリル系粘着剤やシリコーン系粘着剤には及ばないものである。
ウレタン系粘着剤に関連する従来技術としては、例えば、非極性フィルムに対しても十分な粘着性を示す、ウレタン基及びウレア基を有するポリウレタン/ウレア粘着剤組成物、及びそれを用いた塗工物が提案されている(特許文献2)。また、再剥離性等が良好であるとともに、被着体の凹凸への追随性が良好であり、かつ、粘着力の剥離速度依存性の低いポリウレタン粘着剤組成物、及びそれを用いた粘着シート等が提案されている(特許文献3)。さらに、初期粘着性が良好であるとともに、糊残りせずに貼り直し可能な、反復使用しうる強粘着型粘着体を任意の形状で製造することができる粘着剤組成物が提案されている(特許文献4)。
特開2016−175967号公報 特開2000−328034号公報 特開2006−182795号公報 特開2009−167272号公報
しかし、特許文献2で提案された粘着剤組成物を用いて粘着フィルム等の物品を製造しようとする場合、1週間程度の長期間のエージングが必要であった。また、特許文献3で提案された粘着剤組成物を用いて粘着フィルム等の物品を製造しようとする場合、巻き取り時に離型フィルム等のセパレーターを用いる必要があった。さらに、特許文献4で提案された粘着剤組成物は強粘着性であることから、再剥離はさほど容易であるとはいえなかった。また、粘着フィルム等の物品を製造する際には、硬化剤を用いるとともに、所定温度で所定時間加熱して硬化させる必要があった。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、エージング又は加温による硬化を必要とせずに、セパレーターレスで巻き取り可能であるとともに、加温によって剥離強度を選択的に高めることも可能なポリウレタン−ウレア樹脂溶液を提供することにある。また、本発明の課題とするところは、上記のポリウレタン−ウレア樹脂溶液を用いて得られる塗料、インキ、コーティング剤、フィルム、及びシート等の物品を提供することにある。
すなわち、本発明によれば、以下に示すポリウレタン−ウレア樹脂溶液が提供される。
[1]ポリオール成分(A)に由来する構成単位、ジイソシアネート成分(B)に由来する構成単位、及びポリアミン成分(C)に由来する構成単位を有する、その末端に活性アミノ基を持ったポリウレタン−ウレア樹脂と、多官能ポリイソシアネート成分(D)と、を含有し、前記ポリオール成分(A)が、ポリエーテル系ポリオール(A−1)及び下記一般式(1)で表されるポリオール(A−2)の少なくともいずれかであり、前記ポリウレタン−ウレア樹脂の末端アミノ基濃度が、20〜200μEQ/gであり、前記ポリウレタン−ウレア樹脂の重量平均分子量が、5,000〜150,000であり、前記多官能ポリイソシアネート成分(D)の含有量が、前記ポリウレタン−ウレア樹脂100質量部に対して、下記式(2)で表される量であるポリウレタン−ウレア樹脂溶液。
Figure 0006982209
(前記一般式(1)中、Rは炭素数1〜5のアルキレン基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは、相互に独立に、エステル結合又はカーボネート結合を示し、nは3〜40の数を示す)
多官能ポリイソシアネート成分(D)の含有量(質量部)
=(X×N)/(CNCO×100) ・・・(2)
X:10.0〜80.0
NCO:多官能ポリイソシアネート成分(D)のNCO基含有率(%)
N:ポリウレタン−ウレア樹脂の不揮発分(質量部)
[2]前記ポリオール成分(A)の水酸基価が、30.0〜200.0mgKOH/gである前記[1]に記載のポリウレタン−ウレア樹脂溶液。
[3]前記ジイソシアネート成分(B)が、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートの少なくともいずれかである前記[1]又は[2]に記載のポリウレタン−ウレア樹脂溶液。
[4]前記ポリアミン成分(C)が、室温で液状のジアミンである前記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリウレタン−ウレア樹脂溶液。
[5]前記ポリウレタン−ウレア樹脂が、反応性OH基を有する前記ポリオール成分(A)と反応性NCO基を有する前記ジイソシアネート成分(B)をNCO/OH=1.6〜2.2(mol/mol)の比率で反応させた反応物であるウレタンプレポリマーと、反応性アミノ基を有する前記ポリアミン成分(C)とを、NH/NCO=1.05〜1.5(mol/mol)(xは0〜2の整数)の比率で反応させた反応物である前記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリウレタン−ウレア樹脂溶液。
[6]アルコール系溶剤を含む有機溶剤をさらに含有し、前記有機溶剤中の前記アルコール系溶剤の含有量が、10〜90質量%である前記[1]〜[5]のいずれかに記載のポリウレタン−ウレア樹脂溶液。
[7]非加熱乾燥皮膜の剥離強度が1〜200mN/mmであり、100℃以上に加熱して形成した加熱乾燥皮膜の剥離強度が、前記非加熱乾燥皮膜の剥離強度の10倍以上である、又は剥離強度測定時に材破する前記[1]〜[6]のいずれかに記載のポリウレタン−ウレア樹脂溶液。
[8]エステル系溶剤及びアルコール系溶剤を含む有機溶剤をさらに含有し、前記エステル系溶剤と前記アルコール系溶剤の質量比が、50/50〜10/90である前記[1]〜[5]のいずれかに記載のポリウレタン−ウレア樹脂溶液。
また、本発明によれば、以下に示す物品が提供される。
[9]前記[1]〜[8]のいずれかに記載のポリウレタン−ウレア樹脂溶液を含む、塗料、インキ、コーティング剤、ホットメルト接着剤、フィルム、及びシートのいずれかの物品。
本発明によれば、エージング又は加温による硬化を必要とせずに、セパレーターレスで巻き取り可能であるとともに、加温によって剥離強度を選択的に高めることも可能なポリウレタン−ウレア樹脂溶液を提供することができる。また、本発明によれば、上記のポリウレタン−ウレア樹脂溶液を用いて得られる塗料、インキ、コーティング剤、フィルム、及びシート等の物品を提供することができる。
<ポリウレタン−ウレア樹脂溶液>
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明の一実施形態であるポリウレタン−ウレア樹脂溶液は、その末端に活性アミノ基を持ったポリウレタン−ウレア樹脂と、多官能ポリイソシアネート成分(D)とを含有する。ポリウレタン−ウレア樹脂は、ポリオール成分(A)に由来する構成単位、ジイソシアネート成分(B)に由来する構成単位、及びポリアミン成分(C)に由来する構成単位を有する。また、ポリオール成分(A)は、ポリエーテル系ポリオール(A−1)及び下記一般式(1)で表されるポリオール(A−2)の少なくともいずれかである。そして、ポリウレタン−ウレア樹脂の末端アミノ基濃度は、20〜200μEQ/gである。ポリウレタン−ウレア樹脂の末端に存在する活性アミノ基(末端アミノ基)の少なくとも一部が架橋することで三次元構造が形成されると考えられるが、本実施形態のポリウレタン−ウレア樹脂溶液はコーティングが可能な組成物であり、塗料、インキ、コーティング剤等として有用である。以下、本実施形態のポリウレタン−ウレア樹脂溶液の詳細について説明する。
Figure 0006982209
(前記一般式(1)中、Rは炭素数1〜5のアルキレン基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは、相互に独立に、エステル結合又はカーボネート結合を示し、nは3〜40の数を示す)
(ポリオール成分(A))
ポリオール成分(A)は、ポリエーテル系ポリオール(A−1)及び一般式(1)で表されるポリオール(A−2)の少なくともいずれかである。ポリオール成分(A)の水酸基価は、30.0〜200.0mgKOH/gであることが好ましい。ポリオール成分(A)の水酸基価が30.0mgKOH/g未満であると、ベタつきやすくなる傾向にある。一方、水酸基価が200.0mgKOH/g超であると、タック感が不足する傾向にある。
[ポリエーテル系ポリオール(A−1)]
ポリエーテル系ポリオール(A−1)は、その分子構造中にエーテル結合を含むポリオールである。ポリエーテル系ポリオール(A−1)の水酸基価は、35.0〜160mgKOH/gであることが好ましく、50.0〜115.0mgKOH/gであることがさらに好ましい。
ポリエーテルポリオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールエーテル、ポリオキシテトラメチレンポリオキシエチレングリコール、ポリオキシテトラメチレンポリオキシエチレングリコール等を挙げることができる。なかでも、プロピレンオキサイド変性されたポリエーテルポリオールは結晶性が崩れているので、粘着性を付与する成分として好ましい。特に、プロピレンオキサイド成分が多いポリプロピレングリコールが好ましい。
[一般式(1)で表されるポリオール(A−2)]
下記一般式(1)で表されるポリオール(A−2)は、その分子構造中に分岐アルキル鎖を有するポリオールである。分岐アルキル鎖を有するために有機溶剤に溶解しやすく、アミド系有機溶剤やケトン系有機溶剤等の強溶剤を用いずに、弱溶剤を用いても溶解しうるポリウレタン−ウレア樹脂とすることができる。さらに、分岐アルキル鎖が立体障害を示すので、適度な粘着性を発揮させることができる。
Figure 0006982209
(前記一般式(1)中、Rは炭素数1〜5のアルキレン基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは、相互に独立に、エステル結合又はカーボネート結合を示し、nは3〜40の数を示す)
ポリオール(A−2)は、その分子構造中にエステル結合又はカーボネート結合を有するので、ポリエーテル系ポリオール(A−1)に比してタック感が不足しやすくなることがある。このため、ポリオール(A−2)の水酸基価は120mgKOH/g以下であることが好ましく、50.0〜100.0mgKOH/gであることがさらに好ましい。
一般式(1)で表されるポリオール(A−2)としては、ネオペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、及び2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等の分岐アルキル鎖を有するジオールに由来する構成単位を含むポリエステル系ポリオールやポリカーボネート系ポリオール等を挙げることができる。
(ジイソシアネート成分(B))
ジイソシアネート成分(B)は、その分子構造中に2つのイソシアネート基(NCO)を有する化合物である。ジイソシアネート成分(B)としては、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等を挙げることができる。但し、芳香族ジイソシアネートは、ポリアミン成分(C)との反応性が高く、反応の制御がやや困難になる場合がある。また、芳香族基を有するポリウレタン−ウレア樹脂は有機溶剤に溶解しにくくなることがあり、ゲル化しやすくなる場合がある。さらに、タック感がやや不足する場合もあるので、ジイソシアネート成分(B)は、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートの少なくともいずれかであることが好ましい。
脂肪族ジイソシアネートとしては、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。脂環族ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等を挙げることができる。また、これらのブロック体のイソシアネートを用いることもできる。反応性及び物性等の総合的な観点から、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネートが好ましい。
ポリウレタン−ウレア樹脂は、通常、ウレタンプレポリマーと、反応性アミノ基を有するポリアミン成分(C)との反応物である。このウレタンプレポリマーは、反応性OH基を有するポリオール成分(A)と反応性NCO基を有するジイソシアネート成分(B)をNCO/OH=1.6〜2.2(mol/mol)の比率で反応させた反応物であることが好ましい。NCO/OH比の値が小さすぎると、ウレタンプレポリマーの分子量が大きくなるとともに、ポリウレタン−ウレア樹脂の分子量も大きくなるので、粘着力が強くなりすぎて再剥離が困難になる場合がある。なお、残留モノマーの低減や生産性等の観点から、NCO/OH=1.8〜2.0(mol/mol)とすることがさらに好ましい。
(ポリアミン成分(C))
ポリアミン成分(C)としては、室温(25℃)で液状のジアミンや固体のジアミンを用いることができる。なかでも、室温(25℃)で液状のジアミンを用いることが好ましい。末端に活性アミノ基を持ったジアミン構造を有するポリウレタン−ウレア樹脂を形成するために、通常、ウレタンプレポリマーとジアミン成分(C)を、ジアミン成分(C)過剰で反応させる。室温で固体のジアミンをウレタンプレポリマーと常温で反応させると、反応の進行に伴ってジアミンが溶解し、アミノ基とイソシアネート基の比率が部分的に崩れて反応に不具合が生ずる場合がある。また、室温で固体のジアミンとウレタンプレポリマーを加温しながら反応させると、反応速度が速くなりすぎるとともに、反応熱も発生するので、予期せぬ三次元化が引き起こされる可能性もある。このため、室温で液状のジアミンをポリアミン成分(C)として用いることが好ましい。
ポリウレタン−ウレア樹脂は、ウレタンプレポリマーと、反応性アミノ基を有するポリアミン成分(C)とを、NH/NCO=1.05〜1.5(mol/mol)(xは0〜2の整数)の比率で反応させた反応物であることが好ましい。また、加温による粘着強度を考慮すると、NH/NCO=1.05〜1.25(mol/mol)とすることがさらに好ましく、NH/NCO=1.10〜1.20(mol/mol)とすることが特に好ましい。
室温で液状のジアミンとしては、脂肪族ジアミン、脂環族ジアミン、及び芳香族ジアミンを用いることができる。このようなジアミンとしては、エチレンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、1,3−シクロヘキシルジアミン、ダイマージアミン、ポリエーテルジアミン、ポリオキシアルキレンジアミン、ポリ(プロピレングリコール)ジアミン、及びこれらの水添物等を挙げることができる。なかでも、イソホロンジアミン、1,3−シクロヘキシルジアミン、ダイマージアミンなどの脂環基を有するジアミンが好ましい。
室温で固形のジアミンとしては、その融点が35℃以上(好ましくは50℃以上)のジアミンを用いることができる。このようなジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジアミノビフェニル、2,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、2,4−ジアミノフェノール、2,5−ジアミノフェノール、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,3−トリレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、2,5−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、3,4−トリレンジアミン等の芳香族ジアミン;1,12−ドデカンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,14−テトラデカンジアミン、1,16−ヘキサデカンジアミン等の脂肪族ジアミンを挙げることができる。
特許文献3に記載された粘着剤組成物に用いられるポリウレタンの両末端は水酸基であることから、イソシアネートと硬化反応させる際にエージングが必要とされる。これに対して、本実施形態のポリウレタン−ウレア樹脂溶液の場合、末端アミノ基濃度が20〜200μEQ/gであるポリウレタン−ウレア樹脂を用いるので、エージングが不要である。なお、粘着性の観点から、ポリウレタン−ウレア樹脂の末端アミノ基濃度は30〜150μEQ/gであることがさらに好ましく、100〜150μEQ/gであることが特に好ましい。
ポリウレタン−ウレア樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5,000〜150,000である。ポリウレタン−ウレア樹脂は、前述の通り、ウレタンプレポリマーと、ポリアミン成分(C)とを反応させた反応物である。ポリウレタン−ウレア樹脂の重量平均分子量が5,000未満であると、ポリアミン成分(C)が十分に反応していない可能性があり、物性がやや不足する。一方、ポリウレタン−ウレア樹脂の重量平均分子量が150,000超であると、塗料として用いる場合に糸引きが発生しやすくなり、成膜しにくくなる。なお、粘着性をより高めるには、ポリウレタン−ウレア樹脂の重量平均分子量は、10,000〜150,000であることが好ましい。
(多官能ポリイソシアネート成分(D))
多官能ポリイソシアネート成分(D)は、2官能超のイソシアネート基を有するポリイソシアネートである。多官能ポリイソシアネート成分(D)としては、ジフェニルメタンジイソシアネート系、トルエンジイソシアネート系、及びヘキサメチレンジイソシアネート系、イソホロンジイソシアネート系;これらのトリメチロールプロパンアダクト体、ビウレット変性体、及びヌレート変性体;ポリメリックMDI;末端イソシアネートプレポリマー;等を挙げることができる。また、これらのブロック体のポリイソシアネートを用いることもできる。なかでも、ヘキサメチレンジイソシアネート系やイソホロンジイソシアネート系のトリメチロールプロパンアダクト体、ビウレット変性体、及びヌレート変性体が意匠性及び物性面で好ましい。
多官能ポリイソシアネート成分(D)は、ポリウレタン−ウレア樹脂の末端アミノ基以外にも、例えばアルコール系溶剤と反応する可能性がある。さらに、多官能ポリイソシアネート成分(D)は、ウレタン結合やウレア結合とも反応する可能性があるので、所期の物性とならない場合もある。このため、ポリウレタン−ウレア樹脂溶液中の多官能ポリイソシアネート成分(D)の含有量を適切に設計することが必要である。具体的には、多官能ポリイソシアネート成分(D)の含有量を、ポリウレタン−ウレア樹脂100質量部に対して、下記式(2)で表される量とする。すなわち、下記式(2)中のXの値が10.0〜80.0となるような多官能ポリイソシアネート成分(D)の含有量とする。
多官能ポリイソシアネート成分(D)の含有量(質量部)
=(X×N)/(CNCO×100) ・・・(2)
X:10.0〜80.0
NCO:多官能ポリイソシアネート成分(D)のNCO基含有率(%)
N:多官能ポリイソシアネート成分(D)の不揮発分(質量部)
また、熱による粘着性向上のためには、上記式(2)中のXの値が20.0〜70.0となるような多官能ポリイソシアネート成分(D)の含有量とすることが好ましい。Xの値が10.0未満であると、ベタつきやすくなる。一方、Xの値が80.0超であると、多官能ポリイソシアネート成分(D)の量が過剰となって反応が完結しない場合があり、エージングが必要になるとともに、分子構造が過剰に三次元化して塗工が困難になる。
(その他の成分)
ポリウレタン−ウレア樹脂溶液には、必要に応じて、その他の成分を含有させることができる。その他の成分としては、シランカップリング剤等を挙げることができる。なかでも、イソシアネート基、アクリロイル基、及びエポキシ基等の反応性基を有するシランカップリング剤を用いると、ポリウレタン−ウレア樹脂の末端アミノ基と反応させることができるために好ましい。ポリウレタン−ウレア樹脂溶液中、シランカップリング剤の含有量は、ポリウレタン−ウレア樹脂100質量部に対して1質量部以下とすることが、金属やガラスとの密着性を高めることができるために好ましい。なお、シランカップリング剤の含有量を、ポリウレタン−ウレア樹脂100質量部に対して1質量部超とすると、部材によっては初期の剥離強度が高くなりすぎることがある。
(有機溶剤)
本実施形態のポリウレタン−ウレア樹脂溶液は、通常、有機溶剤を含有する。すなわち、ポリウレタン−ウレア樹脂は有機溶剤に溶解している。ポリウレタン−ウレア樹脂溶液は、アルコール系溶剤を含む有機溶剤を含有することが好ましい。また、有機溶剤中の前記アルコール系溶剤の含有量は、10〜90質量%であることが好ましく、50〜80質量%であることが、塗工粘度を調整しやすいためにさらに好ましい。有機溶剤中のアルコール系溶剤の含有量が10質量%未満であると、ポリウレタン−ウレア樹脂が溶解しにくくなることがあり、多官能ポリイソシアネート成分(D)を添加した段階で塗工しにくくなる場合がある。有機溶剤中のアルコール系溶剤の含有量が90質量%超であると、多官能ポリイソシアネート成分(D)と反応しやすくなるとともに、ポリウレタン−ウレア樹脂が溶解しにくくなって濁りが生ずる場合がある。
また、ポリウレタン−ウレア樹脂溶液は、エステル系溶剤及びアルコール系溶剤を含む有機溶剤を含有することが好ましい。そして、有機溶剤中のエステル系溶剤とアルコール系溶剤の質量比は、50/50〜10/90であることが好ましく、50/50〜20/80であることがさらに好ましい。エステル系溶剤及びアルコール系溶剤を含む有機溶剤を含有させることで、アクリル樹脂やポリスチレン樹脂等の耐薬品性に乏しい基材に塗工した場合であっても、これらの基材が白化や溶解しにくくなる。なお、エステル系溶剤に代えて、ケトン系溶剤やアミド系溶剤を用いると、アクリル樹脂やポリスチレン樹脂等の耐薬品性に乏しい基材は白化したり、溶解したりする場合がある。なお、脂肪族系炭化水素溶剤を用いると、ポリウレタン−ウレア樹脂が溶解しにくくなることがあり、濁りやすくなる場合がある。
アルコール系溶剤としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、ターシャリーブチルアルコール等の他;エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート等のグリコールエーテルエステル系溶剤等を挙げることができる。なかでも、アルコール系溶剤としてはイソプロピルアルコールが好ましい。エステル系溶剤としては、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル等を挙げることができる。なかでも、エステル系溶剤としては酢酸エチルが好ましい。
有機溶剤は、アルコール系溶剤及びエステル系溶剤以外のその他の有機溶剤を含んでいてもよい。その他の有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素溶剤;n−ヘキサン等の脂肪族系炭化水素溶剤;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤;N−メチル−2−ピロリドン等のラクタム系溶剤;等を挙げることができる。
本実施形態のポリウレタン−ウレア樹脂溶液を加熱することなく乾燥させて形成される非加熱乾燥皮膜の剥離強度は、通常、1〜200mN/mmである。そして、ポリウレタン−ウレア樹脂溶液を100℃以上に加熱して形成した加熱乾燥皮膜の剥離強度は、上記の非加熱乾燥皮膜の剥離強度の好ましくは10倍以上であるか、又は剥離強度測定時に材破する(剥離することができずに破れる)。すなわち、本実施形態のポリウレタン−ウレア樹脂溶液は、加熱することなく乾燥させることで、セパレーターレスで巻き取り可能な、再剥離しうる微粘着性が発現するものであり、かつ、任意に加温することで剥離強度を選択的に高めることも可能なものである。
(ポリウレタン−ウレア樹脂溶液の製造方法)
本実施形態のポリウレタン−ウレア樹脂溶液は、以下のような手順で製造することができる。ポリオール成分(A)とジイソシアネート成分(B)を反応させて、その両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得る。得られたウレタンプレポリマーにポリアミン成分(C)を反応させる鎖伸長反応を行い、その末端に活性アミノ基を有するポリウレタン−ウレア樹脂を得る。得られたポリウレタン−ウレア樹脂と、多官能ポリイソシアネート成分(D)を混合するとともに、必要に応じて、イソシアネート基、アクリロイル基、及びエポキシ基等の反応性記を有するシランカップリング剤等を添加することで、目的とするポリウレタン−ウレア樹脂溶液を得ることができる。なお、ウレタンプレポリマーを製造する際には、必要に応じて、金属触媒やアミン塩等の反応触媒を用いることができる。
また、環境に配慮すべく、各成分にバイオマス素材を用いることが好ましい。例えば、ポリオール成分(A)としては、バイオマスポリテトラメチレングリコール等を用いることができる。ジイソシアネート成分(B)としては、バイオマスペンタメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等を用いることができる。ポリアミン成分(C)としては、ダイマージアミン等を用いることができる。多官能ポリイソシアネート成分(D)としては、上記のバイオマスペンタメチレンジイソシアネートやリジンジイソシアネート等からなるトリメチロールプロパンアダクト体、ビウレット変性体、及びヌレート変性体等を用いることができる。有機溶剤としても、バイオマス由来の有機溶剤を用いることが好ましい。
ポリウレタン−ウレア樹脂溶液を製造するに際しては、必要に応じて触媒を用いることができる。触媒としては、ジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレート、スタナスオクトエート、オクチル酸亜鉛、テトラn−ブチルチタネート等の金属と有機又は無機酸との塩;有機金属誘導体;トリエチルアミン等の有機アミン;ジアザビシクロウンデセン系触媒;等を挙げることができる。
フィラーや添加剤を含有させてポリウレタン−ウレア樹脂溶液の物性を調整したり、耐久性付与したりすることもできる。フィラーとしては、有機フィラー及び無機フィラーを用いることができる。より具体的には、シリカ、シリコーン樹脂微粒子、フッ素樹脂微粒子、アクリル樹脂微粒子、ウレタン系樹脂微粒子、シリコーン変性ウレタン系樹脂微粒子、ポリエチレン微粒子、ポリカーボネート系樹脂微粒子等をフィラーとして用いることができる。添加剤としては、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、ガス変色安定剤、金属不活性剤、着色剤、防黴剤、難燃剤、艶消し剤、消泡剤、及び滑剤等を挙げることができる。
<物品>
本発明の一実施形態である物品は、前述のポリウレタン−ウレア樹脂溶液を含む、塗料、インキ、コーティング剤、ホットメルト接着剤、フィルム、及びシートのいずれかである。すなわち、本実施形態の物品は、前述のポリウレタン−ウレア樹脂溶液を含んで構成されている。前述の通り、本実施形態のポリウレタン−ウレア樹脂溶液は、加温による硬化やエージングを塗工時に実施しなくてもセパレーターレスで巻き取り可能な、経済的かつ環境に配慮された樹脂溶液である。また、初期には貼り直し可能な程度の微粘着性を示す一方で、加温することで選択的に強粘着性を発現させることができる。さらには、必要に応じて配合する有機溶剤を選択することで、耐薬品性の乏しい基材に塗工した場合であっても意匠性や透明性を損なうことがない。
このため、このポリウレタン−ウレア樹脂溶液によって構成される本実施形態の物品は、塗料、インキ、コーティング剤、ホットメルト接着剤、フィルム、及びシート等として好適である。フィルムやシートについては、加温の有無により、粘着性を適宜調整することができる。このため、フィルムやシートは、例えば、電子部材、外装用途、衛生用品、メディカル向けの材料として好適である。また、ホットメルト接着剤は、例えば、加飾フィルム、ラッピングフィルム、アパレル用品、及び電子部材向けの粘着剤や感熱性接着剤として好適である。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
<使用材料>
表1及び2に示す略号で表される各種材料を用意した。
Figure 0006982209
Figure 0006982209
<ウレタンプレポリマーの合成>
(合成例1)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。この反応容器の内部を窒素ガスで置換しながら、ポリエーテルポリオール1(POL)100部、及びイソホロンジイソシアネート(IPDI)22.2部を仕込んだ。窒素気流下、100℃で5時間反応させて、NCO基含有率2.578%のウレタンプレポリマー(PP1)を得た。得られたPP1を酢酸エチル(EtAc)40.7部に溶解して、不揮発分75%であるPP1の溶液を得た。
(合成例2〜20)
表3−1及び3−2の中段に示す種類及び量(単位:部)の各成分を用いたこと以外は、前述の合成例1と同様にして、不揮発分75%であるウレタンプレポリマーの溶液を得た。
Figure 0006982209
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<ポリウレタン−ウレア樹脂の製造>
(製造例1)
イソホロンジアミン(IPDA)9.9部、EtAc113.4部、及びイソプロピルアルコール(IPA)154.2部を混合してジアミン溶液を得た。得られたジアミン溶液にPP1の溶液162.9部を滴下し、25℃で1時間反応させて、赤外吸収スペクトル分析により測定される遊離イソシアネート基の吸収(2,270cm−1)が消失したことを確認した。これにより、末端アミノ基濃度が128.6μEQ/gであり、重量平均分子量(Mw)が26,000であるポリウレタン−ウレア樹脂(PUA(A))の溶液(不揮発分(固形分):30%)を得た。
(製造例2〜29)
表4−1、4−2、及び5の中段に示す種類及び量(単位:部)の各成分を用いたこと以外は、前述の製造例1と同様にして、ポリウレタン−ウレア樹脂の溶液を得た。なお、製造例19、20、24、25、及び28については溶液とはならず、ゲル化した。
Figure 0006982209
Figure 0006982209
Figure 0006982209
<ポリウレタン−ウレア樹脂溶液の調製>
(実施例1)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。この反応容器の内部を窒素ガスで置換しながら、PUA(A)の溶液440.5部、及び多官能ポリイソシアネートであるHDI系TMPアダクト(PNCO1)7.1部を仕込んだ。EtAc及びIPAを添加して粘度及び不揮発分を調整し、ポリウレタン−ウレア樹脂溶液(PU1)を得た。
(実施例2〜30、比較例1〜11)
表6−1〜6−4、及び7の中段に示す種類及び量(単位:部)の各成分を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、ポリウレタン−ウレア樹脂溶液を得た。
Figure 0006982209
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<粘着フィルムの製造>
コロナ処理を施した塗工面を有するA4サイズのPETフィルムを用意した。このPETフィルムの塗工面に、調製した各ポリウレタン−ウレア樹脂溶液を乾燥膜厚が5μmとなるようにそれぞれ塗工した。80℃で2分間乾燥した直後、300gの鉄の棒に巻き取って、粘着フィルムを製造した。
<評価(1)>
(エージングレス性)
ATR法による赤外吸収スペクトル分析によって粘着フィルムの塗膜表面を分析し、以下に示す評価基準にしたがってエージングレス性を評価した。結果を表8及び9に示す。
○:2,270cm−1の吸収が消失していた。
×:2,270cm−1の吸収が残存していた。
(巻き取り性)
鉄の棒に巻き取った粘着フィルムを室温下で1分間放置した後、垂直に持ち上げて粘着フィルムを広げ、以下に示す評価基準にしたがって巻き取り性を評価した。また、鉄の棒に巻き取った粘着フィルムを室温下で1週間放置した後にも同様に評価した。結果を表8及び9に示す。
○:容易に広げることができた。
△:塗工面が背面にとられた、又は背面に糊残りがあった。
×:広げることができなかった、又は剥離困難であった。
(剥離強度)
上記の巻き取り性(1分後)の評価が「〇」又は「△」であった粘着フィルムを75mm×25mm幅のガラス片に張り合わせて、剥離強度測定用の試料片を得た。引張試験装置(型名「オートグラフ AGS−100A」、島津製作所社製)を使用し、粘着フィルムの剥離強度(180°ピール、引張速度:300mm/分)を測定した。また、剥離強度測定用の試料片を100℃で1分間加熱して熱融着サンプルとした後、同様にして粘着フィルムの剥離強度(180°ピール、引張速度:300mm/分)を測定した。結果を表8及び9に示す。
(熱融着性)
上記で測定した加熱前の剥離強度S(mN/mm)及び加熱後の剥離強度S(mN/mm)から、下記式(A)より変化率を算出して熱融着性の指標とした。算出した変化率を表8及び9に示す。なお、加熱によって剥離強度が上昇して粘着フィルムが材破した場合には「合格」と評価し、加熱前の段階で材破等した場合には「不合格」と評価した。
変化率(%)=(S/S)×100 ・・・(A)
(基材への影響)
A4サイズの透明なポリスチレンフィルムに、調製した各ポリウレタン−ウレア樹脂溶液を乾燥膜厚が5μmとなるようにそれぞれ塗工した。80℃で2分間乾燥した直後のフィルムを観察し、以下に示す評価基準にしたがって基材(フィルム)への影響を評価した。結果を表8及び9に示す。
◎:フィルム外観に変化が認められなかった。
○:フィルム外観に若干の変化(濁り)が認められた。
△:フィルム外観に明確な変化(白化)が認められた。
×:溶解する等して粘着フィルムをすることができなかった。
<粘着性インキの調製>
調製した各ポリウレタン−ウレア樹脂溶液60部、ポリエステル樹脂溶液(商品名「セイカボンド E−263」、大日精化工業社製)1部、メチルエチルケトン20部、トルエン10部、及びカーボンブラック(商品名「MA−11」、三菱化学社製)10部を混合した。ダイノミル(容積:25L、吐出量:3.0L/min、2パス)を使用して分散処理し、粘着性インキを調製した。
<遮蔽フィルムの製造>
コロナ処理を施した塗工面を有するA4サイズのPETフィルムを用意した。このPETフィルムの塗工面に、調製した各粘着性インキを乾燥膜厚が5μmとなるようにそれぞれ塗工した。80℃で2分間乾燥した直後、300gの鉄の棒に巻き取って、遮蔽フィルムを製造した。
<評価(2)>
(耐ブロッキング性)
鉄の棒に巻き取った遮蔽フィルムを室温下で1分間放置した後、垂直に持ち上げて遮蔽フィルムを広げ、以下に示す評価基準にしたがって耐ブロッキングを評価した。また、鉄の棒に巻き取った遮蔽フィルムを室温下で1週間放置した後にも同様に評価した。結果を表8及び9に示す。
○:背面に糊残りや顔料による着色が認められなかった。
△:背面に糊残りや顔料による着色が認められた。
×:広げることができなかった、又は剥離困難であった。
Figure 0006982209
Figure 0006982209
本発明のポリウレタン−ウレア樹脂溶液は、塗料、インキ、コーティング剤、ホットメルト接着剤、フィルム、及びシート等の物品を構成する材料として有用である。

Claims (9)

  1. ポリオール成分(A)に由来する構成単位、ジイソシアネート成分(B)に由来する構成単位、及びポリアミン成分(C)に由来する構成単位を有する、その末端に活性アミノ基を持ったポリウレタン−ウレア樹脂と、
    多官能ポリイソシアネート成分(D)と、を含有し、
    前記ポリオール成分(A)が、ポリエーテル系ポリオール(A−1)及び下記一般式(1)で表されるポリオール(A−2)の少なくともいずれかであり、
    前記ポリウレタン−ウレア樹脂の末端アミノ基濃度が、20〜200μEQ/gであり、
    前記ポリウレタン−ウレア樹脂の重量平均分子量が、5,000〜150,000であり、
    前記ポリウレタン−ウレア樹脂が、反応性OH基を有する前記ポリオール成分(A)と反応性NCO基を有する前記ジイソシアネート成分(B)をNCO/OH=1.6〜2.2(mol/mol)の比率で反応させた反応物であるウレタンプレポリマーと、反応性アミノ基を有する前記ポリアミン成分(C)とを、NH /NCO=1.05〜1.5(mol/mol)(xは0〜2の整数)の比率で反応させた反応物であり、
    前記多官能ポリイソシアネート成分(D)の含有量が、前記ポリウレタン−ウレア樹脂100質量部に対して、下記式(2)で表される量であり、
    シランカップリング剤をさらに含有してもよく、前記シランカップリング剤を含有する場合には、前記シランカップリング剤の含有量は、前記ポリウレタン−ウレア樹脂100質量部に対して3.4質量部以下であるポリウレタン−ウレア樹脂溶液。
    Figure 0006982209
    (前記一般式(1)中、Rは炭素数1〜5のアルキレン基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは、相互に独立に、エステル結合又はカーボネート結合を示し、nは3〜40の数を示す)
    多官能ポリイソシアネート成分(D)の含有量(質量部)
    =(X×N)/(CNCO×100) ・・・(2)
    X:10.0〜80.0
    NCO:多官能ポリイソシアネート成分(D)のNCO基含有率(%)
    N:ポリウレタン−ウレア樹脂の不揮発分(質量部)
  2. ポリオール成分(A)に由来する構成単位、ジイソシアネート成分(B)に由来する構成単位、及びポリアミン成分(C)に由来する構成単位を有する、その末端に活性アミノ基を持ったポリウレタン−ウレア樹脂と、
    多官能ポリイソシアネート成分(D)と、を含有し、
    前記ポリオール成分(A)が、ポリエーテル系ポリオール(A−1)及び下記一般式(1)で表されるポリオール(A−2)の少なくともいずれかであり、
    前記ポリウレタン−ウレア樹脂の末端アミノ基濃度が、20〜200μEQ/gであり、
    前記ポリウレタン−ウレア樹脂の重量平均分子量が、5,000〜150,000であり、
    前記ポリウレタン−ウレア樹脂が、反応性OH基を有する前記ポリオール成分(A)と反応性NCO基を有する前記ジイソシアネート成分(B)をNCO/OH=1.6〜2.2(mol/mol)の比率で反応させた反応物であるウレタンプレポリマーと、反応性アミノ基を有する前記ポリアミン成分(C)とを、NH /NCO=1.05〜1.5(mol/mol)(xは0〜2の整数)の比率で反応させた反応物であり、
    前記多官能ポリイソシアネート成分(D)の含有量が、前記ポリウレタン−ウレア樹脂100質量部に対して、下記式(2)で表される量であり、
    非加熱乾燥皮膜の剥離強度が1〜200mN/mm であり、
    100℃以上に加熱して形成した加熱乾燥皮膜の剥離強度が、前記非加熱乾燥皮膜の剥離強度の10倍以上である、又は剥離強度測定時に材破する
    ポリウレタン−ウレア樹脂溶液。
    Figure 0006982209
    (前記一般式(1)中、R は炭素数1〜5のアルキレン基を示し、R は水素原子又はメチル基を示し、R は、相互に独立に、エステル結合又はカーボネート結合を示し、nは3〜40の数を示す)
    多官能ポリイソシアネート成分(D)の含有量(質量部)
    =(X×N)/(C NCO ×100) ・・・(2)
    X:10.0〜80.0
    NCO :多官能ポリイソシアネート成分(D)のNCO基含有率(%)
    N:ポリウレタン−ウレア樹脂の不揮発分(質量部)
  3. 前記ポリオール成分(A)の水酸基価が、30.0〜200.0mgKOH/gである請求項1又は2に記載のポリウレタン−ウレア樹脂溶液。
  4. 前記ジイソシアネート成分(B)が、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートの少なくともいずれかである請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリウレタン−ウレア樹脂溶液。
  5. 前記ポリアミン成分(C)が、室温で液状のジアミンである請求項1〜のいずれか一項に記載のポリウレタン−ウレア樹脂溶液。
  6. アルコール系溶剤を含む有機溶剤をさらに含有し、
    前記有機溶剤中の前記アルコール系溶剤の含有量が、10〜90質量%である請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリウレタン−ウレア樹脂溶液。
  7. 非加熱乾燥皮膜の剥離強度が1〜200mN/mmであり、
    100℃以上に加熱して形成した加熱乾燥皮膜の剥離強度が、前記非加熱乾燥皮膜の剥離強度の10倍以上である、又は剥離強度測定時に材破する請求項1及び3〜6のいずれか一項に記載のポリウレタン−ウレア樹脂溶液。
  8. エステル系溶剤及びアルコール系溶剤を含む有機溶剤をさらに含有し、
    前記エステル系溶剤と前記アルコール系溶剤の質量比が、50/50〜10/90である請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリウレタン−ウレア樹脂溶液。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリウレタン−ウレア樹脂溶液を含む、塗料、インキ、コーティング剤、ホットメルト接着剤、フィルム、及びシートのいずれかの物品。
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