以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1について説明する。各図に適宜付される矢印Fr、Rr、L、R、U、Loは、それぞれ、画像形成装置1の前側、後側、左側、右側、上側、下側を示している。
まず、画像形成装置1の全体の構成について説明する。画像形成装置1は、例えば、プリント機能、コピー機能及びファックス機能等を複合的に備えた複合機である。
図1を参照して、画像形成装置1は、箱型の装置本体2を備えている。装置本体2の上端部には、原稿画像を読み取るための画像読取装置3が設けられている。装置本体2の上部には、画像読取装置3の下側に排紙トレイ4が設けられている。装置本体2の上部には、排紙トレイ4の下側に4個のトナーコンテナ5が設けられている。4個のトナーコンテナ5は、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーを収容している。
装置本体2の略中央部には、4個のトナーコンテナ5の下側に中間転写ベルト6(被転写体の一例)が収容されている。装置本体2の略中央部には、中間転写ベルト6の下側に4個の画像形成部7が収容されている。4個の画像形成部7は、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーに対応している。各画像形成部7は、感光体ドラム8(感光体の一例)と、帯電装置9と、現像装置10と、一次転写ローラー11(転写部材の一例)と、クリーニング装置12と、を備えている。
装置本体2の下部には、4個の画像形成部7の下側に4個の露光装置13が収容されている。装置本体2の下端部には、4個の露光装置13の下側に給紙カセット14が収容されている。給紙カセット14には、用紙Sが収納されている。
装置本体2の右側部には、用紙Sの搬送路Pが設けられている。搬送路Pの上流部には、給紙部15が設けられている。搬送路Pの中流部には、二次転写ローラー16が設けられている。搬送路Pの下流部には、定着装置17が設けられている。
次に、このような構成を備えた画像形成装置1の動作について説明する。
まず、帯電装置9が感光体ドラム8の表面を帯電させる。次に、各露光装置13が感光体ドラム8の表面を露光して、感光体ドラム8の表面に静電潜像を形成する(図1の点線矢印参照)。次に、現像装置10が感光体ドラム8の表面の静電潜像をトナー像に現像する。次に、一次転写ローラー11が感光体ドラム8の表面のトナー像を中間転写ベルト6の表面に一次転写する。以上のような動作が各画像形成部7において行われることで、中間転写ベルト6の表面にフルカラーのトナー像が形成される。なお、感光体ドラム8の表面に残留したトナーは、クリーニング装置12によって除去される。
一方で、給紙部15によって給紙カセット14から取り出された用紙Sは、搬送路Pを下流側へと搬送され、中間転写ベルト6と二次転写ローラー16のニップ部分に進入する。二次転写ローラー16は、中間転写ベルト6の表面のフルカラーのトナー像を用紙Sに二次転写する。トナー像を二次転写された用紙Sは、搬送路Pを更に下流側へと搬送され、定着装置17に進入する。定着装置17は、用紙Sにトナー像を定着させる。トナー像が定着された用紙Sは、排紙トレイ4上に排出される。
次に、各画像形成部7について更に説明する。
図2を参照して、各画像形成部7は、上記の通り、感光体ドラム8と、帯電装置9と、現像装置10と、一次転写ローラー11と、クリーニング装置12と、を備えている。
各画像形成部7の感光体ドラム8は、円筒状の基材層21と、この基材層21の表面を覆う感光層22と、を備えている。基材層21は、例えば、アルミニウムやステンレス等の金属によって構成されている。感光層22は、例えば、アモルファスシリコンによって構成されている。つまり、感光体ドラム8は、アモルファスシリコン感光体によって構成されている。
各画像形成部7の帯電装置9は、ホルダー24と、ホルダー24の上部に保持される帯電ローラー25と、ホルダー24の下部に保持されるクリーニングローラー26と、を備えている。帯電ローラー25の表面は、感光体ドラム8の表面に接触している。クリーニングローラー26の表面は、帯電ローラー25の表面に接触している。
各画像形成部7の現像装置10は、筐体28と、筐体28の下部に収容される左右一対の撹拌部材29と、筐体28の上部に収容される現像ローラー30と、を備えている。筐体28には、現像剤が収容されている。この現像剤は、例えば、非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤である。
各画像形成部7の一次転写ローラー11は、感光体ドラム8とともに中間転写ベルト6を挟み込んでいる。一次転写ローラー11は、中間転写ベルト6の表面を感光体ドラム8の表面に接触させる第1の位置(図2の実線参照)と、中間転写ベルト6の表面を感光体ドラム8の表面から離間させる第2の位置(図2の二点鎖線参照)と、の間で移動可能に設けられている。このように、中間転写ベルト6は、感光体ドラム8に対して接離可能に設けられている。
各画像形成部7のクリーニング装置12は、ケース31と、ケース31に保持されるブレード32と、ケース31に収容される回収スクリュー33と、を備えている。ブレード32は、例えば、ポリウレタンゴムによって構成されており、感光体ドラム8の表面に接触している。
次に、各露光装置13について更に説明する。
図3を参照して、各露光装置13は、光ビーム装置35と、ポリゴンミラー36と、ポリゴンモーター37と、光学レンズ38と、を備えている。
各露光装置13の光ビーム装置35は、2個の光源39を備えている。各光源39は、例えば、レーザーダイオードによって構成されており、光ビームを出射可能に設けられている(図3の点線矢印参照)。
各露光装置13のポリゴンミラー36は、正六角形状を成している。ポリゴンミラー36の外周面には、6個の反射面36Aが設けられている。ポリゴンミラー36は、回転可能に設けられている。
各露光装置13のポリゴンモーター37は、ポリゴンミラー36に固定されている。ポリゴンモーター37は、所定の回転速度で回転することで、ポリゴンミラー36を回転させる。
各露光装置13の光学レンズ38は、例えば、fθレンズである。光学レンズ38は、ポリゴンミラー36と感光体ドラム8の間に設けられている。なお、各露光装置13は、光学レンズ38の他にも、複数の光学レンズ(図示せず)を備えている。
次に、画像形成装置1の制御システムについて説明する。
図4を参照して、画像形成装置1は、制御部41を備えている。制御部41は、例えば、CPU(Central Processing Unit)によって構成されている。制御部41は、画像形成装置1の各部(例えば、画像形成部7)に接続されており、画像形成装置1の各部を制御している。
制御部41は、記憶部42に接続されている。記憶部42は、制御用のプログラムやデータを記憶している。記憶部42は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を備えている。
制御部41は、表示部43に接続されている。表示部43は、例えば、操作画面やメッセージ画面などの各種画面を表示するタッチパネルによって構成されている。
制御部41は、帯電用印加部44に接続されている。帯電用印加部44は、帯電ローラー25に帯電バイアス電圧を印加する。帯電バイアス電圧は、直流成分のみから成るバイアス電圧であっても良いし、直流成分に交流成分が重畳されたバイアス電圧であっても良い。帯電バイアス電圧の直流成分の極性は、現像剤に含まれるトナーの帯電極性と同一である。
制御部41は、電流センサー45に接続されている。電流センサー45は、帯電ローラー25に流れる電流の値を検知し、制御部41に出力する。
制御部41は、現像用印加部46に接続されている。現像用印加部46は、現像ローラー30に現像バイアス電圧を印加する。現像バイアス電圧は、直流成分に交流成分が重畳されたバイアス電圧である。
制御部41は、転写用印加部47に接続されている。転写用印加部47は、一次転写ローラー11に転写バイアス電圧又はエージングバイアス電圧を印加する。転写バイアス電圧及びエージングバイアス電圧は、直流成分のみから成るバイアス電圧であっても良いし、直流成分に交流成分が重畳されたバイアス電圧であっても良い。転写バイアス電圧の直流成分の極性は、現像剤に含まれるトナーの帯電極性と逆である。エージングバイアス電圧の直流成分の極性は、現像剤に含まれるトナーの帯電極性と同一であり、転写バイアス電圧の直流成分の極性と逆である。
制御部41は、ポリゴンモーター37に接続されている。ポリゴンモーター37は、制御部41からの信号に基づいて所定の回転速度で回転し、ポリゴンミラー36を回転させる。
制御部41は、ファン48に接続されている。ファン48は、制御部41からの信号に基づいて駆動し、機外(装置本体2の外部)の空気を機内(装置本体2の内部)に取り込む。
制御部41は、第1温度センサー51(温度センサーの一例)に接続されている。第1温度センサー51は、機内温度を検知し、制御部41に出力する。
制御部41は、第2温度センサー52(他の温度センサーの一例)に接続されている。第2温度センサー52は、機外温度を検知し、制御部41に出力する。
制御部41は、湿度センサー53に接続されている。湿度センサー53は、機外湿度を検知し、制御部41に出力する。
次に、用紙Sに印字する印字モードについて説明する。
印字モードの実行時には、一次転写ローラー11が第1の位置(図2の実線参照)にある。そのため、中間転写ベルト6の表面が感光体ドラム8の表面に接触している。
印字モードの実行時には、帯電用印加部44が帯電ローラー25に帯電バイアス電圧を印加し、帯電ローラー25を帯電させる。また、印字モードの実行時には、感光体ドラム8が回転し、感光体ドラム8に接触する帯電ローラー25が感光体ドラム8に従動して回転する。これにより、帯電ローラー25が感光体ドラム8の表面を一様に帯電させる。
また、印字モードの実行時には、ポリゴンモーター37が所定の回転速度で回転することで、ポリゴンミラー36を回転させる。その際、ポリゴンモーター37の回転速度は、複数の回転速度の中から選択される。
また、印字モードの実行時には、2個の光源39からそれぞれ光ビームが出射される(図3の点線矢印参照)。各光源39から出射された光ビームは、ポリゴンミラー36の各反射面36Aによって偏向され、光学レンズ38を通過して、感光体ドラム8の表面に到達する。これにより、感光体ドラム8の表面が同時に2ラインずつ露光される。このように感光体ドラム8の表面が露光されていくことで、感光体ドラム8の表面に静電潜像が形成される。
また、印字モードの実行時には、各撹拌部材29が回転することで、筐体28内の現像剤が撹拌され、帯電する。また、印字モードの実行時には、現像ローラー30が回転することで、帯電した現像剤が現像ローラー30によって搬送される。また、印字モードの実行時には、現像用印加部46が現像ローラー30に現像バイアス電圧を印加する。これにより、現像剤中のトナーが現像ローラー30から感光体ドラム8の表面に供給され、感光体ドラム8の表面の静電潜像がトナー像に現像される。
また、印字モードの実行時には、転写用印加部47が一次転写ローラー11に転写バイアス電圧を印加する。これにより、感光体ドラム8の表面のトナー像が中間転写ベルト6の表面に一次転写される。中間転写ベルト6の表面に一次転写されたトナー像は、二次転写ローラー16によって用紙Sに二次転写される。
次に、感光体ドラム8の表面から水分を除去するエージングモードについて説明する。
画像形成装置1の電源の立ち上げ時やスリープモードからの復帰時には、第1、第2温度センサー51、52が機内及び機外温度を検知し、湿度センサー53が機外湿度を検知する。例えば、機内温度と機外温度の差が所定の閾値以上であり、且つ、機外湿度が所定の閾値以上である場合には、制御部41は、画像形成装置1が結露環境(結露が発生しやすい環境)に置かれていると判定する。また、機外温度が所定の閾値以上であり、且つ、機外湿度が所定の閾値以上である場合には、制御部41は、画像形成装置1が高温高湿環境(温度及び湿度が両方とも高い環境)に置かれていると判定する。画像形成装置1が結露環境又は高温高湿環境に置かれていると制御部41が判定すると、以下のエージングモードが自動的に実行される。なお、エージングモードは、ユーザーやサービスマン等の作業者が表示部43を操作することで、手動でも実行可能である。
エージングモードの実行時には、一次転写ローラー11が第2の位置(図2の二点鎖線参照)にある。そのため、中間転写ベルト6の表面が感光体ドラム8の表面から離間している。
エージングモードの実行時には、印字モードの実行時よりも絶対値の小さい帯電バイアス電圧を帯電用印加部44が帯電ローラー25に印加し、帯電ローラー25を帯電させる。また、エージングモードの実行時には、感光体ドラム8が回転し、感光体ドラム8に接触する帯電ローラー25が感光体ドラム8に従動して回転する。これにより、帯電ローラー25が感光体ドラム8の表面を一様に帯電させる。
また、エージングモードの実行時には、ポリゴンモーター37が所定の回転速度で回転することで、ポリゴンミラー36を回転させる。その際、ポリゴンモーター37の回転速度は、印字モードの実行時において選択可能な複数の回転速度の中で最も速い回転速度に設定される。なお、エージングモードの実行時には、2個の光源39から光ビームが出射されることはなく、感光体ドラム8の表面に静電潜像は形成されない。
また、エージングモードの実行時には、印字モードの実行時と同様の作用により、現像ローラー30から感光体ドラム8の表面に現像剤中のトナーが供給される。但し、上記のように感光体ドラム8の表面に静電潜像が形成されていないため、感光体ドラム8の表面にはトナー帯(感光体ドラム8の回転軸方向に連続する帯状のトナー像)が形成される。
また、エージングモードの実行時には、転写用印加部47が一次転写ローラー11にエージングバイアス電圧(転写バイアス電圧とは逆極性の電圧)を印加する。これにより、感光体ドラム8の表面のトナー帯は、中間転写ベルト6に一次転写されることなく、一次転写ローラー11の対向領域を通過してクリーニング装置12に進入し、ブレード32によって除去される。これに伴って、感光体ドラム8の表面に付着した水分がトナー帯と共に感光体ドラム8の表面から除去される。以下、このようなトナー帯を利用したエージングのことを「トナーエージング」と称する。
また、エージングモードの実行時には、上記トナーエージングの終了後に、帯電用印加部44が帯電ローラー25に帯電バイアス電圧を印加し、帯電ローラー25を通電させる。これに伴って、感光体ドラム8の発熱が促進され、感光体ドラム8の表面に付着した水分が蒸発する。以下、このような帯電ローラー25の通電を利用したエージングのことを「通電エージング」と称する。なお、通電エージングの実行時には、現像ローラー30から感光体ドラム8の表面に現像剤中のトナーが供給されない。
ここで、トナーエージングにおけるトナー帯の長さやトナーエージング及び通電エージングの実行時間は、各センサー51〜53によって検知される温湿度や画像形成装置1の印字速度に応じて、適宜調整される。また、トナーエージング及び通電エージングを実行しても像流れが発生しやすい状態から復帰しない場合(例えばトナーエージング及び通電エージングを実行しても電流センサー45によって検知される電流の値が所定の閾値以上である場合)には、トナーエージング及び通電エージングのリトライが実行される。
ところで、本実施形態では前述のように、2個の光源39から出射される2本の光ビームによって、感光体ドラム8の表面を同時に2ラインずつ露光することが可能となっている。このような構成を採用することで、ポリゴンミラー36を回転させるポリゴンモーター37の回転速度の上昇を抑制しつつ、書き込み線速(感光体ドラム8に対して静電潜像を書き込む速度)を上昇させることが可能となる。そのため、画像形成装置1の印字速度の高速化に対応しやすくなる。
一方で、上記のようにポリゴンモーター37の回転速度の上昇が抑制されると、ポリゴンモーター37の発熱も抑制され、機内温度が上昇しにくくなるため、機内が結露しやすくなる。そのため、上記のエージングモードを実行しても、像流れが発生しやすい状態から復帰しなくなったり、像流れが発生しやすい状態から復帰するのに時間が掛かったりする恐れがある。
しかしながら、本実施形態では、エージングモードの実行時に、ポリゴンモーター37が回転している。このような構成を採用することで、ポリゴンモーター37を発熱させ、機内温度の上昇を促進して機内を乾燥させることが可能となる。そのため、エージングモードの実行によって像流れが発生しやすい状態から速やかに復帰することが可能となり、像流れの発生を確実に抑制することが可能となる。
また、上記のようにエージングモードの実行によって像流れが発生しやすい状態から速やかに復帰することができるため、エージングモードの実行に掛かる時間を短縮することが可能となる。そのため、エージングモードの実行に伴う作業者の待ち時間を短縮し、画像形成装置1の利便性を向上させることができると共に、エージングモードの実行に際して使用されるトナーの量を減少させ、画像形成装置1のランニングコストを減少させることが可能となる。
また、各温度センサー51、52の検知結果及び湿度センサー53の検知結果に基づいて、エージングモードが実行されている。このような構成を採用することで、画像形成装置1が結露環境や高温高湿環境に置かれていることを確実に検知することが可能となり、これに伴って、結露環境や高温高湿環境における像流れを確実に抑制することが可能となる。
また、エージングモードの実行時に、ポリゴンモーター37の回転速度は、印字モードの実行時において選択可能な複数の回転速度の中で最も速い回転速度に設定されている。このような構成を採用することで、ポリゴンモーター37の発熱量を上昇させ、機内を速やかに乾燥させることが可能となる。
また、エージングモードの実行時に、中間転写ベルト6の表面が感光体ドラム8の表面から離間している。このような構成を採用することで、エージングモードの実行時に感光体ドラム8の表面から中間転写ベルト6の表面にトナー帯の一部が転写されるような不具合を抑制することが可能となる。
また、エージングモードは、トナー帯を利用するトナーエージングと、帯電ローラー25の通電を利用する通電エージングと、を含んでいる。このような構成を採用することで、エージングモードの実行によって感光体ドラム8の表面から水分を確実に除去することが可能となる。
<変形例>
本実施形態では、エージングモードの実行時に、ポリゴンモーター37が常に回転している。しかしながら、ポリゴンモーター37の回転に伴って機内温度が過度に上昇すると、ブレード32の温度特性によってブレード32の反発弾性が大きくなる。これに伴って、ブレード32によってトナーや外添剤が感光体ドラム8の表面に強く押し付けられると、トナーや外添剤が感光体ドラム8の表面に付着し、ダッシュマークと呼ばれる画像不良が発生する恐れがある。
そこで、他の異なる実施形態では、エージングモードの実行時に、第1温度センサー51が検知する機内温度に基づいて、ポリゴンモーター37の回転のON/OFFを切り替えても良い。例えば、エージングモードの実行時に、第1温度センサー51が検知する機内温度が所定の閾値未満である間は、ポリゴンモーター37の回転をONにし、第1温度センサー51が検知する機内温度が所定の閾値以上になると、ポリゴンモーター37の回転をONからOFFに切り替えても良い。このような構成を採用することで、ブレード32の温度特性によってブレード32の反発弾性が大きくなるのを抑制することが可能となり、ダッシュマークの発生を抑制することが可能となる。
また、更に他の異なる実施形態では、エージングモードの実行時に、第1温度センサー51が検知する機内温度が所定の第1閾値未満であり、且つ、第2温度センサー52が検知する機外温度が所定の第2閾値以上であることを条件に、ポリゴンモーター37の回転速度を段階的に低下させても良い。このような構成を採用することで、機内温度を一気に上昇させ、除湿効果を高めることが可能となる。そのため、像流れが発生しやすい状態からの復帰時間の短縮とダッシュマークの発生の抑制を同時に実現することが可能となる。なお、この場合も、第1温度センサー51が検知する機内温度に基づいて、ポリゴンモーター37の回転のON/OFFを切り替えるのが好ましい。
本実施形態では、湿度センサー53が機外湿度を検知している。一方で、他の異なる実施形態では、湿度センサー53が機内湿度を検知しても良い。
本実施形態では、感光体ドラム8がアモルファスシリコン感光体によって構成されている。一方で、他の異なる実施形態では、感光体ドラム8が有機感光体等のアモルファスシリコン感光体以外の感光体によって構成されていても良い。
本実施形態では、露光装置13のビーム数(光ビームの数)が2本である。一方で、他の異なる実施形態では、露光装置13のビーム数が1本であっても良いし、露光装置13のビーム数が3本以上であっても良い。露光装置13のビーム数が増加すると、同時に露光できるライン数も増加するため、画像形成装置1の印字速度の高速化に対応しやすくなる。
本実施形態では、中間転写ベルト6を被転写体としている。一方で、他の異なる実施形態では、用紙Sを被転写体としても良い。言い換えると、他の異なる実施形態では、感光体ドラム8の表面のトナー像を用紙Sに直接転写しても良い。
本実施形態では、画像形成装置1が複合機である。一方で、他の異なる実施形態では、画像形成装置1がプリンター、コピー機、ファクシミリ等であっても良い。
<実験>
以下の通り、上記実施形態に係る画像形成装置1の効果を実証するための実験を行った。
<実験1>
実験1では、画像形成装置1が結露環境に置かれている状態でエージングモードを実行し、像流れが発生しやすい状態から復帰した後、60分間の間欠印字を実行した。間欠印字は、10分回に1回の頻度で実施した。各回の間欠印字では、印字モードを実行して用紙Sにトナー像を転写した後、エージングモードを実行した。各回の間欠印字では、ファン48を駆動させ、機外の空気を機内に取り込んだ。このように機外の空気が機内に取り込まれると、機外の湿気も機内に取り込まれるため、像流れが発生しやすくなる。つまり、実験1は、像流れが発生しやすい状態で行われた。
上記の60分間の間欠印字が終了した後、用紙Sにハーフ画像(印字率50%の画像)を転写し、像流れの有無を目視で確認した。実験1の結果を図5に示す。
図5を参照して、比較例1〜4では、エージングモードにおいてポリゴンモーター37を回転させなかった。これに対して、実施例1、2では、エージングモードにおいてポリゴンモーター37を回転させた。
比較例1では、印字モードにおいて、露光装置13のビーム数が1本に設定されると共に、ポリゴンモーター37の回転速度が30,000rpm(印字モードにおける最速の回転速度)に設定されている。そのため、ポリゴンモーター37の発熱が促進されることで機内温度が上昇しており、像流れが発生していない。一方で、比較例2では、印字モードにおいて、露光装置13のビーム数が3本に設定されると共に、ポリゴンモーター37の回転速度が15,000rpm(印字モードにおける最速の回転速度よりも遅い回転速度)に設定されている。そのため、ポリゴンモーター37の発熱が抑制されることで機内温度が上昇しにくくなっており、像流れが発生している。また、比較例3、4では、印字モードにおいて、露光装置13のビーム数が1本に設定されると共に、ポリゴンモーター37の回転速度が22,500rpmと27,000rpm(印字モードにおける最速の回転速度よりも遅い回転速度)に設定されている。この場合も、比較例2と同様に、像流れが発生している。
これに対して、実施例1では、印字モードにおいて、露光装置13のビーム数が3本に設定されると共に、ポリゴンモーター37の回転速度が15,000rpmに設定されている。この点は、比較例2と同じである。但し、実施例1では、比較例2とは異なり、エージングモードにおいてポリゴンモーター37を30,000rpm(印字モードにおける最速の回転速度)で回転させている。そのため、ポリゴンモーター37の発熱が促進されることで機内温度が上昇しており、像流れが発生していない。
また、実施例2では、印字モードにおいて、露光装置13のビーム数が2本に設定されると共に、ポリゴンモーター37の回転速度が実施例1よりも更に低い11,000rpmに設定されている。また、実施例2では、実施例1と同様に、エージングモードにおいてポリゴンモーター37を30,000rpmで回転させている。そのため、ポリゴンモーター37の発熱が促進されることで機内温度が上昇しており、像流れが発生していない。
実験1の結果から、画像形成装置1が結露環境に置かれている状態で、エージングモードにおいてポリゴンモーター37を回転させることで、像流れが発生しやすい状態から速やかに復帰できることが実証された。また、画像形成装置1が結露環境に置かれている状態で、エージングモードにおけるポリゴンモーター37の回転速度を印字モードにおける最速の回転速度に設定することで、像流れの発生を確実に抑制できることも実証された。
<実験2>
実験2では、画像形成装置1が高温高湿環境に置かれている状態で印字モード及びエージングモードを実行した後、用紙Sにハーフ画像を転写し、像流れの有無を目視で確認した。実験2の結果を図6に示す。
図6を参照して、比較例1〜3では、エージングモードにおいてポリゴンモーター37を回転させなかった。これに対して、実施例1では、エージングモードにおいてポリゴンモーター37を回転させた。
比較例1では、画像形成装置1が初期状態(使用が開始された直後の状態)である。そのため、像流れが発生していない。また、比較例2では、画像形成装置1が耐久状態(使用が開始されてから相当期間が経過した状態)であるが、エージングモードのリトライが実行されている。そのため、像流れが発生していない。一方で、比較例3では、画像形成装置1が耐久状態であり、且つ、エージングモードのリトライが実行されていない。そのため、像流れが発生している。
これに対して、実施例1では、画像形成装置1が耐久状態であり、且つ、エージングモードのリトライが実行されていない。この点は、比較例3と同じである。但し、実施例1では、比較例3とは異なり、エージングモードにおいてポリゴンモーター37を30,000rpm(印字モードにおける最速の回転速度)で回転させている。そのため、ポリゴンモーター37の発熱が促進されることで機内温度が上昇しており、像流れが発生していない。
実験2の結果から、画像形成装置1が高温高湿環境に置かれている状態で、エージングモードにおいてポリゴンモーター37を回転させることで、像流れが発生しやすい状態から速やかに復帰できることが実証された。また、画像形成装置1が高温高湿環境に置かれている状態で、エージングモードにおけるポリゴンモーター37の回転速度を印字モードにおける最速の回転速度に設定することで、像流れの発生を確実に抑制できることも実証された。
<実験3>
実験3では、画像形成装置1が実験2よりも温度及び湿度が高い高温高湿環境に置かれている状態で印字モード及びエージングモードを実行した後、用紙Sにハーフ画像を転写し、像流れ及びダッシュマークの有無を目視で確認した。実験3の結果を図7に示す。
図7を参照して、比較例1〜3では、エージングモードにおいてポリゴンモーター37を回転させなかった。これに対して、実施例1〜3では、エージングモードにおいてポリゴンモーター37を回転させた。
比較例1では、画像形成装置1が初期状態である。そのため、像流れが発生していない。また、比較例2では、画像形成装置1が耐久状態であるが、エージングモードのリトライが3回実行されている。そのため、像流れが発生していない。一方で、比較例3では、画像形成装置1が耐久状態であり、且つ、エージングモードのリトライが実行されていない。そのため、像流れが発生している。
これに対して、実施例1では、画像形成装置1が耐久状態であり、且つ、エージングモードのリトライが実行されていない。この点は、比較例3と同じである。但し、実施例1では、比較例3とは異なり、エージングモードにおいてポリゴンモーター37を30,000rpm(印字モードにおける最速の回転速度)で回転させている。そのため、ポリゴンモーター37の発熱が促進されることで機内温度が上昇しており、像流れが発生していない。但し、実施例1では、機内温度の上昇に伴って、ダッシュマークが発生している。
これに対して、実施例2では、画像形成装置1が耐久状態であり、且つ、エージングモードのリトライが2回だけ実行されている。また、実施例2では、初回のエージングモードの実行時には機内温度が所定の閾値(38℃)未満であったため、ポリゴンモーター37を回転させたが、エージングモードのリトライの実行時には機内温度が所定の閾値(38℃)以上であったため、ポリゴンモーター37の回転を停止させた。つまり、実施例2では、エージングモードの実行時に、機内温度に基づいてポリゴンモーター37の回転のON/OFFを切り替えた。そのため、エージングモードのリトライの回数を比較例2より減少させているが、像流れとダッシュマークが両方とも発生していない。
実施例3では、画像形成装置1が耐久状態であり、且つ、エージングモードのリトライが実行されていない。また、実施例3では、エージングモードの実行時に、機内温度が所定の第1閾値(38℃)未満であり、且つ、機外温度が所定の第2閾値(28℃)以上であったため、最初の2分間はポリゴンモーター37の回転速度を50,000rpm(印字モードにおける最速の回転速度よりも速い回転速度)とし、次の1分間はポリゴンモーター37の回転速度を30,000rpm(印字モードにおける最速の回転速度)とし、最後の1分間はポリゴンモーター37の回転速度を2,000rpm(印字モードにおける最速の回転速度よりも遅い回転速度)とした。つまり、実施例3では、ポリゴンモーター37の回転速度を段階的に低下させた。そのため、エージングモードのリトライを実行していないが、像流れとダッシュマークが両方とも発生していない。
実験3(特に、実施例2)の結果から、エージングモードの実行時に機内温度に基づいてポリゴンモーター37の回転のON/OFFを切り替えることで、ダッシュマークの発生を抑制しつつ、像流れが発生しやすい状態からの復帰時間を短縮できることが実証された。また、実験3(特に、実施例3)の結果から、エージングモードの実行時にポリゴンモーター37の回転速度を段階的に低下させることで、ダッシュマークの発生を抑制しつつ、像流れが発生しやすい状態からの復帰時間をより一層短縮できることが実証された。