以下、添付図面を参照して、本願の開示する空調システムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
(第1の実施形態)
<空調システムの概要>
まず、第1の実施形態に係る空調システムの概要について図1Aおよび図1Bを参照して説明する。図1Aおよび図1Bは、第1の実施形態に係る空調システムの概要説明図である。
図1Aおよび図1Bに示すように、第1の実施形態に係る空調システム1は、浴室2と隣室3とにそれぞれ設置された2台の空調機10,20を連動させることによって、浴室2または隣室3の空調効率を向上させるものである。隣室3は、たとえば洗面所、脱衣所あるいは洗面脱衣所等である。
具体的には、第1の実施形態に係る空調システム1は、浴室空調機10と、隣室空調機20と、制御部30とを備える。
浴室空調機10は、浴室2を空調する。隣室空調機20は、浴室2に連通する洗面所または脱衣所等の隣室を空調する。制御部30は、浴室空調機10および隣室空調機20を制御する。
空調システム1において、浴室空調機10および隣室空調機20の少なくとも一方は、室内に風を送る送風運転モードまたは室内に加熱した風を送る暖房運転モードを有する。また、浴室空調機10および隣室空調機20の少なくとも他方は、室内の空気を室外へ排気する換気運転モードを有する。
暖房運転モード、送風運転モードおよび換気運転モードは、何れも室内に空気の流れを生じさせるものであるが、浴室2と隣室3とは、たとえば浴室ドア4に設けられたガラリ等の通気部5を介して連通しているため、一方の室内に設置された空調機が発生させる気流によって他方の室内における空調効率が低下してしまうおそれがある。たとえば、浴室空調機10を用いて浴室2の換気を行いつつ、隣室空調機20を用いて隣室3の暖房を行った場合、隣室3に供給された温かい空気が浴室へ流れることで隣室3の暖房効率が低下するおそれがある。
そこで、図1Bに示すように、制御部30は、隣室空調機20の暖房運転モードが開始された場合に、浴室空調機10を制御して、浴室空調機10の換気運転モードにおける排気量を、暖房運転モードが開始される前における排気量よりも小さくする。これにより、隣室3に供給された温かい空気が浴室2へ流れることを抑制することができる。したがって、第1の実施形態に係る空調システム1によれば、隣室3における暖房効率の低下を抑制することができる。
また、隣室空調機20を用いて隣室3への送風を行っているときに、浴室2の湿気が隣室3へ流入すると、隣室3の湿度が高まることで送風による快適性が損なわれるおそれがある。
そこで、制御部30は、隣室空調機20の送風運転モードが開始された場合には、浴室空調機10を制御して、浴室空調機10の換気運転モードにおける排気量を増大させる。これにより、隣室3から浴室2への空気の流れが形成されることで、浴室2から隣室3への湿気の流入が抑制され、隣室3の湿度の上昇が抑制される。これにより、たとえば夏場における隣室3の蒸し暑さをより小さい風量でやわらげることができる。
このように、第1の実施形態に係る空調システム1によれば、浴室空調機10および隣室空調機20のうち一方の運転モードに基づいて、浴室空調機10および隣室空調機20のうち他方の換気運転モードを制御する連動空調制御を行うことで、浴室2または隣室3の空調効率を向上させることが可能である。
<空調システムの構成>
次に、上述した空調システム1の構成について図2を参照して説明する。図2は、空調システム1の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、空調システム1は、浴室空調機10と、隣室空調機20と、制御部30と、入力装置60とを備える。
なお、ここでは、連動空調制御を行う制御部30が、入力装置60に設けられる場合の例について説明する。ただし、連動空調制御は、後述する浴室空調機10の制御部11が行ってもよいし、隣室空調機20の制御部21が行ってもよい。また、空調システム1は、連動空調制御を含めた空調システム1全体の制御を行う1つの制御部を備えることとしてもよい。
浴室空調機10は、制御部11と、駆動装置12と、ダンパ13と、循環用ファン14と、換気用ファン15と、熱源16と、浴室温度検出部17とを備える。また、駆動装置12は、ダンパ駆動装置121と、循環用ファン駆動装置122と、換気用ファン駆動装置123と、熱源駆動装置124とを備え、これらは制御部11によって制御される。
ここで、浴室空調機10の構成について図3Aおよび図3Bを参照して説明する。図3Aおよび図3Bは、浴室空調機10の構成例を示す図である。
図3Aおよび図3Bに示すように、浴室空調機10は、たとえば浴室2の天井2Cに埋め込まれる所謂ビルトインタイプの空調機である。かかる浴室空調機10は、浴室2の内部に向けて開口する吸込口101および室内吹出口102と、浴室2の外部に向けて開口する屋外吹出口103とを備える。また、浴室空調機10は、吸込口101、室内吹出口102および屋外吹出口103を連通する風路104を備える。風路104は、たとえばダクトである。
ダンパ13は、風路104に配置され、吸込口101から風路104に吸い込まれた空気の流出先を室内吹出口102と屋外吹出口103との間で切り替える。なお、図3Aには、ダンパ13によって空気の流出先が室内吹出口102側に切り替えられた状態を示している。また、図3Bには、ダンパ13によって空気の流出先が屋外吹出口103側に切り替えられた状態を示している。ダンパ13は、ダンパ駆動装置121によって駆動される。ダンパ駆動装置121は、モータを含んで構成される。
循環用ファン14は、ダンパ13よりも上流側の風路104に配置され、吸込口101から室内吹出口102へ向かう空気の流れ(図3A参照)を発生させる際に用いられる。循環用ファン14は、循環用ファン駆動装置122によって駆動される。循環用ファン駆動装置122は、モータを含んで構成される。
換気用ファン15は、ダンパ13よりも下流側の風路104のうち屋外吹出口103へ向かう風路104に配置され、吸込口101から屋外吹出口103へ向かう空気の流れ(図3B参照)を発生させる際に用いられる。換気用ファン15は、換気用ファン駆動装置123によって駆動される。換気用ファン駆動装置123は、モータを含んで構成される。
熱源16は、ダンパ13よりも下流側の風路104のうち室内吹出口102へ向かう風路104に配置され、風路104内を室内吹出口102へ向かって流れる空気を加熱する。熱源16は、たとえばヒータであり、熱源駆動装置124によって駆動される。熱源駆動装置124は、熱源16への通電を行うことによって熱源16を駆動する。
浴室温度検出部17は、浴室2の温度を検出する。浴室温度検出部17は、浴室空調機10の風路104内に配置される。循環流が通過する浴室空調機10の風路104内に浴室温度検出部17を配置することで、たとえば、浴室2の隅など空気の流れが少ない場所に浴室温度検出部17を配置した場合と比較して、浴室2の温度変化に対する応答性を高めることができる。
また、浴室温度検出部17は、熱源16よりも上流側の風路104に配置される。これにより、熱源16によって加熱される前の空気の温度を検出することとなるため、たとえば、熱源16よりも下流側の風路104に浴室温度検出部17を配置する場合と比較して、浴室2の温度をより正確に検出することができる。
上記のように構成された浴室空調機10は、「暖房運転モード」と、「送風運転モード」と、「換気運転モード」とを有する。
暖房運転モードにおいて、浴室空調機10の制御部11は、ダンパ駆動装置121を制御することにより、ダンパ13を駆動させて、空気の流出先を室内吹出口102に切り替える。なお、ダンパ13が既に室内吹出口102側に切り替わっている場合には、この処理は不要である。
また、制御部11は、循環用ファン駆動装置122を制御することにより、循環用ファン14を駆動させて、吸込口101から室内吹出口102へ向かう空気の流れ(循環流)を風路104内に形成する。また、制御部11は、熱源駆動装置124を制御することにより、熱源16を駆動させて、吸込口101から室内吹出口102へ流れる空気を加熱する。これにより、加熱された空気が室内吹出口102から浴室2の内部に供給されて浴室2が暖房される。
また、送風運転モードにおいて、制御部11は、熱源16を駆動させることなく上記暖房運転モードと同様の制御を行う。これにより、熱源16によって加熱されていない空気(たとえば浴室2と同等の温度の空気)が室内吹出口102から浴室2の内部に供給される。
また、換気運転モードにおいて、制御部11は、ダンパ駆動装置121を制御することにより、ダンパ13を駆動させて、空気の流出先を屋外吹出口103に切り替える。なお、ダンパ13が既に屋外吹出口103側に切り替わっている場合には、この処理は不要である。
また、制御部11は、換気用ファン駆動装置123を制御することにより、換気用ファン15を駆動させて、吸込口101から屋外吹出口103へ向かう空気の流れを風路104内に形成する。これにより、浴室2内の空気が吸込口101から屋外吹出口103へ排出されて浴室2が換気される。
図2に戻り、隣室3に設置される機器の構成について説明する。隣室3には、隣室空調機20と、入力装置60とが設置される。
隣室空調機20は、制御部21と、駆動装置22と、ファン23と、熱源24と、隣室温度検出部25とを備える。また、駆動装置22は、ファン駆動装置221と、熱源駆動装置222とを備え、これらは制御部21によって制御される。
ここで、隣室空調機20の構成について図4を参照して説明する。図4は、隣室空調機20の構成例を示す図である。
図4に示すように、隣室空調機20は、たとえば隣室3の天井3Cに埋め込まれる所謂ビルトインタイプの空調機である。なお、隣室空調機20は、隣室3の壁面に設置される壁掛けタイプの空調機であってもよい。
隣室空調機20は、隣室3の内部に向けて開口する吸込口201および吹出口202と、吸込口201および吹出口202を連通する風路204とを備える。風路204は、たとえばダクトである。
ファン23は、風路204に配置され、吸込口201から吹出口202へ向かう空気の流れを発生させる。ファン23は、ファン駆動装置221によって駆動される。ファン駆動装置221は、モータを含んで構成される。
熱源24は、ファン23よりも下流側の風路204に配置され、風路204内を流れる空気を加熱する。熱源24は、たとえばヒータであり、熱源駆動装置222によって駆動される。熱源駆動装置222は、熱源24への通電を行うことによって熱源24を駆動する。
隣室温度検出部25は、隣室3の温度を検出する。隣室温度検出部25は、隣室空調機20の風路204内に配置される。循環流が通過する隣室空調機20の風路204内に隣室温度検出部25を配置することで、たとえば、隣室3の隅など空気の流れが少ない場所に隣室温度検出部25を配置した場合と比較して、隣室3の温度変化に対する応答性を高めることができる。
また、隣室温度検出部25は、熱源24よりも上流側の風路204に配置される。これにより、熱源24によって加熱される前の空気の温度を検出することとなるため、たとえば、熱源24よりも下流側の風路204に隣室温度検出部25を配置する場合と比較して、隣室3の温度をより正確に検出することができる。
上記のように構成された隣室空調機20は、「暖房運転モード」と、「送風運転モード」とを有する。
暖房運転モードにおいて、隣室空調機20の制御部21は、ファン駆動装置221を制御することによってファン23を駆動させて、吸込口201から吹出口202へ向かう空気の流れ(循環流)を風路204内に形成する。また、制御部21は、熱源駆動装置222を制御することにより、熱源24を駆動させて、吸込口201から吹出口202へ流れる空気を加熱する。これにより、加熱された空気が吹出口202から隣室3の内部に供給されて隣室3が暖房される。
また、送風運転モードにおいて、制御部21は、熱源24を駆動させることなく上記暖房運転モードと同様の制御を行う。これにより、熱源24によって加熱されていない空気(たとえば隣室3と同等の温度の空気)が吹出口202から隣室3の内部に供給される。
図2に戻り、入力装置60について説明する。入力装置60は、たとえば壁掛けタイプのリモコンであり、上述した制御部30の他、入力部61と、記憶部62とを備える。入力部61は、使用者による入力操作を受け付ける。
記憶部62は、たとえばRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子等によって実現される。記憶部62には、浴室空調機10および隣室空調機20の運転状態等が記憶される。運転状態としては、運転中か停止中かの別、実行中の運転モードの種類、設定風量、設定温度などの情報を含む。
制御部30は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、記憶部62に記憶されているプログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部30は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
制御部30は、入力部61への入力結果に応じた信号を浴室空調機10の制御部11または隣室空調機20の制御部21へ出力する。たとえば、入力部61には、隣室空調機20の暖房運転モードを開始させるボタンが設けられており、かかるボタンが使用者によって押下された場合、制御部30は、暖房運転モードの開始信号を隣室空調機20の制御部21に対して出力する。その他、制御部30は、浴室空調機10の制御部11または隣室空調機20の制御部21に対し、設定風量や設定温度の変更を指示する信号を出力する。
かかる制御部30は、浴室空調機10と隣室空調機20とを連動させる連動空調制御を行う。ここで、連動空調制御の内容について図5Aおよび図5Bを参照して説明する。図5Aおよび図5Bは、連動空調制御の説明図である。
なお、図5Aおよび図5Bにおいて、「換気風量」は、換気運転モードにおいて、換気用ファン15によって単位時間当たりに排気される空気量(すなわち排気量)を示し、「循環風量」は、暖房運転モードまたは送風運転モードにおいて、循環用ファン14によって単位時間当たりに供給される空気量を示す。図5Aおよび図5Bには、浴室空調機10が換気運転モード中である場合の例を示している。
図5Aに示すように、隣室空調機20の暖房運転モードが開始された場合、制御部30は、浴室空調機10を制御して、浴室空調機10の換気風量を、暖房運転モードが開始される前における換気風量よりも小さくする。
これにより、隣室空調機20によって隣室3に供給された温かい空気が浴室2へ流れることを抑制することができる。したがって、隣室3における暖房効率の低下を抑制することができる。
また、制御部30は、隣室空調機20の暖房運転モードが停止された場合に、浴室空調機10を制御して、浴室空調機10の換気風量を暖房運転モードが開始される前の換気風量に戻す。具体的には、制御部30は、隣室空調機20の暖房運転モードが開始された場合に、暖房運転モードが開始される前の換気風量を記憶部62に記憶しておき、暖房運転モードが停止された場合に、浴室空調機10の換気風量を記憶部62に記憶された換気風量に戻す。
このように、隣室空調機20の暖房運転モードが停止した場合に、浴室空調機10における換気風量を元に戻すことで、浴室2の除湿に時間がかかったり浴室2が十分に除湿されなかったりすることを防止することができる。
また、図5Bに示すように、隣室空調機20の送風運転モードが開始された場合、制御部30は、浴室空調機10を制御して、浴室空調機10の換気風量を、送風運転モードが開始される前における換気風量よりも大きくする。
隣室空調機20を用いて隣室3への送風を行っているときに、浴室2の湿気が隣室3へ流入すると、隣室3の湿度が高まることで送風による快適性が損なわれるおそれがある。そこで、空調システム1では、隣室空調機20が送風運転モードである場合に、浴室空調機10の換気風量を増大させることとした。これにより、隣室3から浴室2への空気の流れが形成されることで、浴室2から隣室3への湿気の流入が抑制され、隣室3の湿度の上昇が抑制される。これにより、たとえば夏場における隣室3の蒸し暑さをより小さい風量でやわらげることができる。すなわち、隣室3における送風効率を向上させることができる。
また、制御部30は、隣室空調機20の送風運転モードが停止された場合に、浴室空調機10を制御して、浴室空調機10の換気風量を送風運転モードが開始される前の換気風量に戻す。具体的には、制御部30は、隣室空調機20の送風運転モードが開始された場合に、送風運転モードが開始される前の換気風量を記憶部62に記憶しておき、送風運転モードが停止された場合に、浴室空調機10の換気風量を記憶部62に記憶された換気風量に戻す。
このように、隣室空調機20の送風運転モードが停止された場合に、換気風量を増大させた状態から元の状態に戻すようにすることで、浴室空調機10の運転音の増大を抑制することができる。
次に、浴室空調機10の換気風量について図6Aおよび図6Bを参照して説明する。図6Aは、隣室空調機20の暖房運転モードの開始前後における換気風量の変化の一例を示す図であり、図6Bは、隣室空調機20の送風運転モードの開始前後における換気風量の変化の一例を示す図である。
図6Aに示すように、換気運転モードには、使用者が設定可能な風量として、たとえば、「換気強」、「換気弱」および「24時間換気」の3つの設定風量が存在する。ここでは、理解を容易にするために、「換気強」における換気風量を「10」、「換気弱」における換気風量を「5」、24時間換気における換気風量を「3」と仮定し、数字が大きいほど換気風量が大きいものとする。
たとえば、制御部30は、隣室空調機20の暖房運転モードが開始された場合、浴室空調機10の換気風量を、暖房運転モードが開始される前の換気風量よりも一段階小さい換気風量に変更する。具体的には、浴室空調機10が「換気弱」(風量:5)で運転中であるときに、隣室空調機20の暖房運転モードが開始された場合、制御部30は、浴室空調機10の換気風量を一段階小さい「24時間換気」(風量:3)に変更する。
また、浴室空調機10が「24時間換気」(風量:3)で運転中であるときに、隣室空調機20の暖房運転モードが開始された場合、制御部30は、浴室空調機10の換気風量を24時間換気よりもさらに換気風量が小さい「風量:1」に変更する。
ここでは、換気風量を一段階下げる場合の例について説明したが、制御部30は、暖房運転モードの開始前の換気風量に関わらず、浴室空調機10の換気風量を予め決められた換気風量に変更してもよい。たとえば、制御部30は、隣室空調機20の暖房運転モードが開始された場合に、暖房運転モードの開始前の換気風量に関わらず、浴室空調機10の換気風量を「風量:1」に変更してもよい。
また、制御部30は、隣室空調機20の暖房運転モードが開始された場合に、浴室空調機10の換気風量を「風量:0」にしてもよい。すなわち、制御部30は、浴室空調機10の換気運転モードを停止してもよい。
また、図6Bに示すように、隣室空調機20の送風運転モードが開始された場合、浴室空調機10の換気風量を、送風運転モードが開始される前の換気風量よりも一段階大きい換気風量に変更する。
たとえば、浴室空調機10が「換気弱」(風量:5)で運転中であるときに、隣室空調機20の送風運転モードが開始された場合、制御部30は、浴室空調機10の換気風量を一段階大きい「換気強」(風量:10)に変更する。
また、浴室空調機10が「換気強」(風量:10)で運転中であるときに、隣室空調機20の送風運転モードが開始された場合、制御部30は、浴室空調機10の換気風量を「換気強」よりもさらに換気風量が大きい「風量:12」に変更する。
ここでは、換気風量を一段階上げる場合の例について説明したが、制御部30は、送風運転モードの開始前における換気風量に関わらず、浴室空調機10の換気風量を予め決められた換気風量に変更してもよい。たとえば、制御部30は、隣室空調機20の送風運転モードが開始された場合に、送風運転モードの開始前における換気風量に関わらず、浴室空調機10の換気風量を「風量:12」に変更してもよい。
また、制御部30は、隣室空調機20の送風運転モードが開始された場合に、浴室空調機10の換気運転モードが停止中である場合には、浴室空調機10の換気運転モードを開始させてもよい。この場合、制御部30は、たとえば、換気風量を「風量:0」よりも一段階大きい「風量:1」(図6A参照)に設定してもよいし、その他の風量(たとえば、「風量:12」)に設定してもよい。
次に、連動空調制御の変形例について図7Aおよび図7Bを参照して説明する。図7Aおよび図7Bは、変形例に係る連動空調制御の説明図である。
図7Aに示すように、制御部30は、隣室空調機20の暖房運転モードが開始された場合に、浴室空調機10を制御して、浴室空調機10の換気風量を、暖房運転モードが開始される前における換気風量(現換気風量と記載する)と、現換気風量よりも小さい換気風量(変更後風量と記載する)とで交互に切り替えてもよい。
これにより、たとえば、現換気風量である「換気弱」(風量:5)と、変更後風量である「24時間換気」(風量:3)とを交互に切り替えることで、「換気弱」および「24時間換気」の中間の換気風量(風量:4)を実現することができる。このため、DCモータのように細かい速度制御が可能なモータを用いずとも、換気風量を細かく調整することが可能である。したがって、たとえば、DCモータと比較して耐久性に優れるAC(Alternating Current)モータを換気用ファン駆動装置123に用いて換気用ファン15の細かい速度制御を行うことも可能である。
ここでは、現換気風量と変更後風量との時間比率を1対1とすることで中間の換気風量(風量:4)を実現することとしたが、制御部30は、現換気風量と変更後風量との時間比率を変更することで、換気風量を任意に調整することが可能である。
また、制御部30は、隣室空調機20の送風運転モードが開始された場合にも同様の制御を行ってもよい。すなわち、制御部30は、隣室空調機20の送風運転モードが開始された場合に、浴室空調機10の換気風量を、送風運転モードが開始される前における換気風量(現換気風量)と現換気風量よりも大きい換気風量(変更後風量)とで交互に切り替えてもよい。
このように、現換気風量と変更後風量とを交互に切り替えるようにすることで、浴室空調機10の運転音の増大を抑制することができる。
また、図7Bに示すように、制御部30は、隣室空調機20の暖房運転モードが開始された後、予め設定された時間(設定時間)が経過した場合に、浴室空調機10を制御して、浴室空調機10の換気風量を、暖房運転モードが開始される前における換気風量に戻すこととしてもよい。
また、制御部30は、隣室空調機20の暖房運転モードが開始された後、隣室温度検出部25により検出される温度が隣室空調機20の暖房運転モードにおける目標温度に達した場合に、浴室空調機10を制御して、浴室空調機10の換気風量を、暖房運転モードが開始される前における換気風量に戻すこととしてもよい。
このように、隣室空調機20の暖房運転モードが開始された後、予め設定された時間が経過した場合、あるいは、隣室3の温度が目標温度に達した場合に、浴室空調機10の換気風量を元に戻すことで、浴室2の除湿に時間がかかったり浴室2が十分に除湿されなかったりすることを防止することができる。
なお、制御部30は、隣室空調機20の送風運転モードが開始された場合にも同様の制御を行ってもよい。すなわち、制御部30は、隣室空調機20の送風運転モードが開始された後、予め設定された時間が経過した場合に、浴室空調機10を制御して、浴室空調機10の換気風量を、送風運転モードが開始される前における換気風量に戻してもよい。
<連動空調制御のフローチャート>
次に、実施形態に係る空調システム1において実行される連動空調制御の処理手順について図8を参照して説明する。図8は、連動空調制御の処理手順を示すフローチャートである。ここでは、図8中の「一方」が隣室空調機20であり、「他方」が浴室空調機10であるものとして説明する。
図8に示すように、制御部30は、隣室空調機20の暖房運転モードが開始されたか否かを判定する(ステップS101)。この処理において、暖房運転モードが開始されたと判定した場合(ステップS101,Yes)、制御部30は、浴室空調機10が換気運転モード中であるか否かを判定する(ステップS102)。
ステップS102において、浴室空調機10が換気運転モード中であると判定した場合(ステップS102,Yes)、制御部30は、浴室空調機10の換気風量を、暖房運転モードが開始される前における換気風量よりも小さくする(ステップS103)。たとえば、制御部30は、暖房運転モードが開始される前における換気風量よりも一段階小さい換気風量に変更する。あるいは、制御部30は、浴室空調機10の換気運転モードを停止させる。
一方、ステップS101において、隣室空調機20の暖房運転モードが開始されていない場合(ステップS101,No)、制御部30は、隣室空調機20の送風運転モードが開始されたか否かを判定する(ステップS104)。この処理において、送風運転モードが開始されたと判定した場合(ステップS104,Yes)、制御部30は、浴室空調機10が換気運転モード中であるか否かを判定する(ステップS105)。一方、ステップS104において、隣室空調機20の送風運転モードが開始されていない場合(ステップS104,No)、制御部30は、処理をステップS101へ戻す。
ステップS105において、浴室空調機10が換気運転モード中であると判定した場合(ステップS105,Yes)、制御部30は、浴室空調機10の換気風量を、送風運転モードが開始される前における換気風量よりも大きくする(ステップS106)。たとえば、制御部30は、送風運転モードが開始される前における換気風量よりも一段階大きい換気風量に変更する。一方、ステップS105において、浴室空調機10が換気運転モード中でない場合には(ステップS105,No)、制御部30は、浴室空調機10の換気運転モードを開始させる(ステップS107)。
ステップS103,S106,S107の処理を終えた場合、または、ステップS102において浴室空調機10が換気運転モード中でない場合(ステップS102,No)、制御部30は、終了条件が満たされたか否かを判定する(ステップS108)。
ここで、終了条件とは、たとえば、隣室空調機20の暖房運転モードが停止したこと、ステップS103,S106,S107の処理を行ってから予め設定された時間が経過したこと、隣室3が目標温度に達したこと、などである。
ステップS108において、終了条件が満たされていない場合(ステップS108,No)、制御部30は、終了条件が満たされるまでステップS108の判定処理を繰り返す。一方、ステップS108において、終了条件が満たされたと判定した場合(ステップS108,Yes)、制御部30は、浴室空調機10の換気風量を、隣室空調機20の暖房運転モードまたは送風運転モードが開始される前の換気風量に戻して(ステップS109)、処理を終える。
上述したように、第1の実施形態に係る空調システム1は、浴室空調機10と、隣室空調機20と、制御部30とを備える。浴室空調機10は、浴室2を空調する。隣室空調機20は、浴室2に連通する隣室3を空調する。制御部30は、浴室空調機10および隣室空調機20を制御する。また、浴室空調機10および隣室空調機20は、室内に風を送る送風運転モードおよび室内に加熱した風を送る暖房運転モードを有する。また、浴室空調機10は、室内の空気を室外へ排気する換気運転モードを有する。そして、制御部30は、隣室空調機20の運転モードに基づいて、浴室空調機10の換気運転モードを制御する。
したがって、第1の実施形態に係る空調システム1によれば、浴室2および隣室3に設置された2台の空調機10,20を連動させることによって隣室3の空調効率を向上させることができる。
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、浴室空調機10のみが換気運転モードを有する場合の例について説明したが、浴室空調機10および隣室空調機20の両方が換気運転モードを有していてもよい。かかる場合の空調システムの構成について図9を参照して説明する。図9は、第2の実施形態に係る空調システムの概要説明図である。
図9に示すように、第2の実施形態に係る空調システム1Aは、隣室空調機20Aを備える。隣室空調機20Aは、浴室空調機10と同様の構成を備え、暖房運転モードおよび送風運転モードに加えて、換気運転モードを有する。具体的には、隣室空調機20Aは、吸込口201および吹出口202(図4参照)ならびに屋外吹出口(図示せず)に連通する風路204Aを備え、ファン23、熱源24、隣室温度検出部25に加えてダンパと換気用ファンとを備える。
また、第2の実施形態に係る空調システム1Aは、制御部30Aを備える。制御部30Aは、上述した第1の実施形態に係る制御部30が行う連動空調制御に加え、以下の連動空調制御を行う。
たとえば、制御部30Aは、浴室空調機10の暖房運転モードが開始された場合に、隣室空調機20Aを制御して、隣室空調機20Aの換気風量を、暖房運転モードが開始される前における換気流量よりも小さくする。
また、制御部30Aは、浴室空調機10の暖房運転モードが開始された場合に、隣室空調機20Aを制御して、隣室空調機20Aの換気風量を、暖房運転モードが開始される前における換気風量(現換気風量)と現換気風量よりも小さい変更後風量とで交互に切り替えてもよい。
また、制御部30Aは、浴室空調機10の暖房運転モードが開始された後、浴室空調機10の暖房運転モードが停止された場合、あるいは、予め設定された時間が経過した場合に、隣室空調機20Aを制御して、隣室空調機20Aの換気風量を、暖房運転モードが開始される前における換気風量に戻す。
また、制御部30Aは、浴室空調機10の暖房運転モードが開始された後、浴室温度検出部17により検出される温度が暖房運転モードにおける目標温度に達した場合に、隣室空調機20Aを制御して、隣室空調機20Aにおける換気風量を、暖房運転モードが開始される前における換気風量に戻してもよい。
また、制御部30Aは、浴室空調機10の送風運転モードが開始された場合に、隣室空調機20Aを制御して、隣室空調機20Aの換気風量を、送風運転モードが開始される前における換気風量よりも大きくする。
また、制御部30Aは、浴室空調機10の送風運転モードが開始された場合に、隣室空調機20Aを制御して、隣室空調機20Aの換気風量を、送風運転モードが開始される前における換気風量(現換気風量)と現換気風量よりも大きい変更後風量とで交互に切り替えてもよい。
また、制御部30Aは、浴室空調機10の送風運転モードが開始された後、浴室空調機10の送風運転モードが停止された場合、あるいは、予め設定された時間が経過した場合に、隣室空調機20Aを制御して、隣室空調機20Aの換気風量を、送風運転モードが開始される前における換気風量に戻す。
このように、第2の実施形態に係る空調システム1Aにおいて、浴室空調機10および隣室空調機20Aは、送風運転モード、暖房運転モードおよび換気運転モードを有する。そして、制御部30Aは、浴室空調機10および隣室空調機20Aのうち一方の運転モードに基づいて、浴室空調機10および隣室空調機20Aのうち他方の換気運転モードを制御する。
したがって、第2の実施形態に係る空調システム1Aによれば、浴室2および隣室3に設置された2台の空調機10,20Aを連動させることによって浴室2または隣室3の空調効率を向上させることができる。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。