ところで、上記特許文献1のような発光パネルを室外へ光を出射するようにして使用することが考えられる。この場合、発光パネルを保護する観点から、室内側に発光パネルを配置し、発光パネルから出射する光を窓ガラス等の透明な板部材を介して室外へ出射させることが考えられる。このように発光パネルが配置される場合、発光パネルから出射する光の多くは板部材を透過するものの、一部は板部材における両側の表面で反射される。このため、板部材の表面で反射した光の一部が室内側に漏えいし、室内の人がこの漏えいする光によって眩しくて不快に感じたり、作業をし難くなったりする等の支障が生じる虞がある。
そこで、本発明は、発光体を保護しつつ光を出射する側と反対側への不要な光の漏えいを抑制し得る窓部材を提供しようとすることを目的とする。
上記目的の達成のため、本発明の窓部材は、透明な板部材と、前記板部材の一方の面と対向して配置される発光体と、を備え、前記発光体は、前記板部材側に光を出射するとともに前記板部材側から入射する光の少なくとも一部を透過し、前記板部材における前記一方の面上及び他方の面上の少なくとも一方に、光の反射を抑制する反射抑制層が設けられることを特徴とするものである。
この窓部材では、上記のように発光体は板部材の一方の面と対向して配置され板部材側に光を出射するため、発光体から出射する光の多くは板部材を透過して板部材の他方の面から出射する。また、少なくとも発光体の光を出射する側を板部材によって保護し得る。また、上記のように発光体は少なくとも板部材側から入射する光の一部を透過するため、発光体を基準として板部材側と反対側に位置する人は、板部材を基準として発光体側と反対側を窓部材を介して見ることができる。つまり、例えば発光体が室内側に位置するように窓部材が配置される場合、この窓部材は室外へ発光体からの光を出射するとともに、室内の人は窓部材を介して室外側を見ることができる。また、上記のように板部材における一方の面上及び他方の面上の少なくとも一方に、光の反射を抑制する反射抑制層が設けられているため、反射抑制層が設けられない場合と比べて、発光体から出射する光が板部材で反射することを抑制できる。従って、この窓部材は、板部材で反射された光の一部が発光体を基準として板部材側と反対側に漏えいすることを抑制し、発光体を基準として板部材側と反対側に位置する人がこの漏えいする光によって眩しくて不快に感じたり、作業をし難くなったりする等の支障が生じることを抑制し得る。つまり、例えば上記のように発光体が室内側に位置するように窓部材が配置される場合、この窓部材は、板部材で反射された光の一部が室内側に漏えいすることを抑制し、室内の人に対する上記のような支障が生じることを抑制し得る。なお、反射抑制層による光の反射の抑制とは、反射抑制層がない場合と比べて板部材の表面で反射して窓部材から出射する光の光量を低減させることである。
前記発光体は、前記板部材側と反対側に光を非出射とされることが好ましい。
このような構成にすることで、例えば発光体から光が出射されている場合であっても、発光体を基準として板部材側と反対側に位置する人における板部材を基準として発光体側と反対側の視認性が低下することを抑制し得る。つまり、例えば上記のように発光体が室内側に位置するように窓部材が配置される場合、この窓部材は、発光体から光が出射されている場合であっても、室内の人における窓部材を介した室外側の視認性が低下することを抑制し得る。この窓部材は、発光体を基準として板部材側と反対側が車両の内部等の運転者が位置する空間とされる場合に特に有用であり、発光体から光が出射されている場合であっても、運転者における窓部材を介する外部の視認性が低下することを抑制し得る。
前記反射抑制層が前記板部材における前記一方の面上及び前記他方の面上に設けられることが好ましい。
このような構成にすることで、板部材の一方の面及び他方の面における発光体から出射する光の反射を抑制できる。従って、この窓部材は、板部材で反射された光の一部が発光体を基準として板部材側と反対側に漏えいすることをより抑制し、発光体を基準として板部材側と反対側に位置する人に対する上記のような支障が生じることをより抑制し得る。
前記発光体を基準として前記板部材側と反対側に配置され、前記板部材側から入射する光の一部を遮る光フィルタを更に備えることが好ましい。
この窓部材は、発光体から出射して板部材で反射された光の一部を光フィルタによって遮るため、板部材で反射された光の一部が光フィルタを基準として板部材側と反対側に漏えいすることをより抑制し、光フィルタを基準として板部材側と反対側に位置する人に対する上記のような支障が生じることをより抑制し得る。また、この窓部材では、板部材側から入射する光の他の一部は光フィルタを透過するため、光フィルタを基準として板部材側と反対側に位置する人は、板部材を基準として光フィルタ側と反対側を窓部材を介して見ることができる。
上記のように光フィルタを有する場合、前記光フィルタは、前記板部材側から入射する光の一部を前記板部材側に反射するハーフミラーとされることが好ましい。
この窓部材では、発光体から出射して板部材で反射された光の一部をハーフミラーによって遮るとともにこの遮られる光を板部材側へ反射させることができる。従って、この窓部材は、光フィルタを基準として板部材側と反対側に位置する人に対する上記のような支障が生じることをより抑制しつつ、板部材を透過して出射する光の強度が低下することを抑制し得る。
前記板部材は車両の内部と外部とを隔てる窓とされ、前記発光体は前記車両の内部に位置することとされても良い。
このような構成にすることで、窓を介する車両の外部の視認性の低下を抑制しつつ、発光体によってこの窓から車両の外部に向かって光を出射することができる。このため、車両の外部に向かって光を出射する装置、例えば表示装置や灯具等を当該窓に設けることができ、車両におけるこれら表示装置や灯具等の配置の自由度が向上され得る。また、上記のように窓部材では板部材で反射された光の一部が発光体を基準として板部材側と反対側に漏えいすることが抑制されるため、運転者がこの漏えいする光によって運転操作をし難くなることが抑制され得る。
上記のように板部材が車両の内部と外部とを隔てる窓とされる場合、前記発光体は前記車両の後方に向かって表示を行う後部標識灯の少なくとも一部とされても良い。
このような構成にすることで、例えばバックウインドウに後部標識灯の少なくとも一部を設けることができ、車両の窓に後部標識灯を設けない場合と比べて、車両における後部標識灯の配置の自由度が向上される。また、上記のように窓部材では板部材で反射された光の一部が発光体を基準として板部材側と反対側に漏えいすることが抑制されるため、運転者がこの漏えいする光によって運転操作をし難くなることが抑制され得る。
ところで、後部標識灯には、一般的に赤色に点灯するテールランプ、赤色に点灯するストップランプ、橙色に点灯するターンランプ、白色に点灯するバックランプ等が含まれる。このテールランプとストップランプは車両の後部に配置されるため、夜間等の視界が悪い状況において車外の人はテールランプやストップランプの点灯によって車両の向きを認識し得る。例えば、発光体が赤色に点灯するテールランプやストップランプの少なくとも一部とされ、板部材で反射された光の一部が発光体を基準として板部材側と反対側である車内に漏えいする場合、この漏えいする光は赤色である。車外の人は例えばフロントウインドウ等を介してこの赤色の漏えいする光を視認し得るため、この赤色の光によって車両の向きを誤認してしまう虞がある。しかし、この窓部材では、板部材で反射された光の一部が車内に漏えいすることが抑制されるため、上記のように車外の人が車両の向きを誤認することを抑制し得る。
以上のように本発明によれば、発光体を保護しつつ光を出射する側と反対側への不要な光の漏えいを抑制し得る窓部材を提供し得る。
以下、本発明に係る窓部材を実施するための形態が添付図面とともに例示される。以下に例示する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、以下の実施形態から変更、改良することができる。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る窓部材の一例を示す図である。図1は、車両VEを後方側から見た図であり、図1に示すように、本実施形態の窓部材はバックウインドウ1とされ、車両VEの外部に露出している。また、本実施形態では、車両VEは、当該車両VEの背面における左右方向のそれぞれに1つずつ設けられる後部標識灯30を備える。この後部標識灯30は、車両VEの外部に露出しており、車両VEの後方に向かって光を出射して表示を行う。
本実施形態の後部標識灯30は、上方から順に第1ランプ31と、第2ランプ32と、第3ランプ33とを備える。本実施形態では、第1ランプ31は赤色に点灯するとともに明るさを変化させられるように構成されており、第2ランプ32は白色に点灯し、第3ランプ33は橙色に点灯する。具体的には、本実施形態の第1ランプ31は、車両VEの前照灯が点灯されたときに第1の所定の明るさで点灯し、テールランプとして機能する。また、第1ランプ31は、車両VEのブレーキが操作されたときに第1の所定の明るさよりも明るい第2の所定の明るさで点灯し、ストップランプとして機能する。本実施形態の第2ランプ32は、車両VEのギアがバックギアに入れられたときに点灯し、バックランプとして機能する。本実施形態の第3ランプ33は、車両VEの方向指示器が操作されたときに点滅し、ターンランプとして機能する。
図2は、図1のバックウインドウの一部を概略的に示す断面図である。図1、図2に示すように、バックウインドウ1は、透明な板部材10と、発光体20とを主な構成として備える。本実施形態の板部材10は、車両VEの後部において車両VEの内部と外部とを隔てる窓とされる。板部材10は、概ね長方形状に形成され、前方に傾倒している。なお、図2において、理解の容易のために、板部材10が上下方向に延在するように回転された状態のバックウインドウ1が示されている。板部材10の光の透過率、色、厚さ、板部材10を形成する材料等は、車両のバックウインドウとして使用できる限りにおいて、特に限定されない。
本実施形態では、板部材10の一方の面である車内側の面10A上に反射抑制層11が設けられている。反射抑制層11は、光を透過するとともに、車内側から板部材10に入射する光の一部が板部材10の面10Aで反射して車内に向かうことを抑制する層である。本実施形態では、反射抑制層11は、AR(Anti Reflection)コートとされる。ARコートして、例えば板部材10の屈折率と異なる屈折率を有する材料からなる薄膜を挙げることができる。このような反射抑制層11では、板部材10の面10Aで反射して車内に向かう光と反射抑制層の板部材10側と反対側の面で反射して車内に向かう光とが干渉し合い、これら光の多くが互いに打ち消され、板部材10の面10Aでの光の反射が抑制される。なお、反射抑制層11は、車内側から板部材10に入射する光が板部材10の面10Aで反射することを抑制するものであり、反射抑制層11がない場合と比べて板部材10の表面で反射してバックウインドウ1から出射する光の光量を低減させるものである限りにおいて、特に限定されない。例えば、反射抑制層11は、上記薄膜が複数重ね合わされたマルチARコートとされても良い。
本実施形態の発光体20は板部材10の車内側の面10Aと対向して配置され、車外側から板部材10を介して見た場合に発光体20の全体が板部材10によって覆われて当該発光体20は車外に露出されていない。発光体20は、板部材10に設けられる反射抑制層11と離間して配置されても良く、この反射抑制層11と接して配置されても良い。なお、図2では、発光体20が反射抑制層11と離間する形態が例示されている。発光体20は、板部材10に対する相対的な位置があまり変化しないように車両VEに取り付けられれば良く、例えば反射抑制層11を介して板部材10に取り付けられても良く、車両VEの他の部材に取り付けられても良い。
本実施形態では、発光体20は、上記の後部標識灯30の一部とされており、第1ランプ31におけるストップランプとしての点灯に応じて赤色の光を出射する。具体的には、本実施形態の発光体20は、板部材10側の面20Bから板部材10側に赤色の光Lを出射し、板部材10側と反対側である車内側には光を非出射とされる。この赤色の光Lの強度は、上記の第1ランプ31が第2の所定の明るさで点灯する際に第1ランプ31から出射する光の強度と概ね同じとされる。また、発光体20は、板部材10側から入射する光の少なくとも一部を透過する。なお、発光体20は、板部材10側と反対側の面20Aから入射する光の少なくとも一部を透過しても良く、この光を遮っても良い。
このような発光体20として、例えば透過型片面発光のOLEDパネルを挙げることができる。透過型片面発光のOLEDパネルは、図示による説明は省略するが、例えばガラス基板、反射電極、OLED素子からなるOLED層、透明電極等を主な構成として備える。この場合、反射電極はガラス基板の一方の側の面に当該面方向に間隔を開けて複数設けられており、OLED層はこの複数の反射電極上にのみそれぞれ配置され、これらOLED層は反射電極と透明電極とによって挟み込まれる。このような透過型片面発光のOLEDパネルでは、ガラス基板を介して反射電極と透明電極との間に電圧を印加することでOLED層から光が出射され、この光のうち反射電極側に向かう光は反射電極によって遮られ透明電極側に反射され、透明電極側に向かう光は透明電極を透過する。このようにして、透過型片面発光のOLEDパネルでは、透明電極側のみから光が出射される。また、透過型片面発光のOLEDパネルでは、透明電極側から入射する光の一部は、互いに隣り合う反射電極間の隙間を通ってガラス基板側から出射し、ガラス基板側から入射する光の一部は、互いに隣り合う反射電極間の隙間を通って反射電極側から出射する。従って、このような透過型片面発光のOLEDパネルは、透明電極側から光を出射し、透明電極側と反対側であるガラス基板側には光を非出射とされ、透明電極側から入射する光の少なくとも一部を透過する。そして、本実施形態では、このような透過型片面発光のOLEDパネルが発光体20とされ、透明電極側が板部材10の車内側の面10Aと対向するように配置される。
本実施形態では、発光体20は不図示の制御部に電気的に接続され、この制御部には車両VEの不図示の制御装置や上記の後部標識灯30等が電気的に接続される。また、制御部は、車両VEの制御装置から当該制御部に入力する信号に基づいて、発光体20の光の出射の状態や後部標識灯30の点灯の状態を制御する。
次に、発光体20による光の出射について説明する。
本実施形態では、上記のように発光体20はストップランプの一部として機能する。このため、制御部は、車両VEの制御装置からのブレーキ動作を示す信号を検知してこの信号が制御部に入力している入力状態の場合、発光体20を制御して、発光体20から赤色の光Lを出射する。発光体20から出射する赤色の光Lは板部材10側の面20Bから板部材10側に向けて出射され、この光Lの多くは、板部材10を透過して板部材10の面10Bから車外へ出射する。また、制御部は、後部標識灯30を制御して第1ランプ31を第2の所定の明るさで点灯させる。こうして、バックウインドウ1から車両VEの後方へ向けて赤色の光Lが出射されるとともに、第1ランプ31が第2の所定の明るさで点灯し、車両VEのブレーキが操作されたことが車外に向けて表示される。従って、本実施形態の発光体20は、上述したようにストップランプの一部として機能し、車両VEの後方に向かって表示を行う後部標識灯30の一部とされている。
ところで、発光体20から出射する赤色の光Lの一部は、板部材10における車内側の面10Aや車外側の面10Bで反射して車内側に向かい、発光体20を透過して車内に入射する。しかし、本実施形態では、板部材10の面10A上に反射抑制層11が設けられているため、板部材10の面10Aにおける光の反射が抑制され、反射して車内側に向かう光の光量は、反射抑制層11が設けられていない場合と比べて少なくなる。従って、本実施形態では、発光体20から出射して板部材10で反射された光の一部が発光体20側である車内側に漏えいすることが抑制される。
以上説明したように、本実施形態のバックウインドウ1は、透明な板部材10と、板部材10の一方の面である車内側の面10Aと対向して配置される発光体20と、を備える。発光体20は、板部材10側に赤色の光Lを出射するとともに板部材10側から入射する光の少なくとも一部を透過する。板部材10における一方の面である車内側の面10A上に、光の反射を抑制する反射抑制層11が設けられている。
本実施形態のバックウインドウ1では、上記のように発光体20は板部材10の車内側の面10Aと対向して配置され板部材10側に光を出射するため、発光体20から出射する光Lの多くは板部材10を透過して板部材10の車外側の面10Bから出射する。また、少なくとも発光体20の光を出射する側を板部材10によって保護し得る。
本実施形態では、上記のように発光体20は少なくとも板部材10側から入射する光の一部を透過するため、車外から板部材10を透過して入射する光LOの一部を透過し、発光体20を基準として板部材10側と反対側に位置する人、つまり車内の人はバックウインドウ1を介して車外を見ることができる。
本実施形態では、上記のように板部材10における車内側の面10A上に、光の反射を抑制する反射抑制層11が設けられているため、反射抑制層11が設けられる板部材10の面10Aにおいて発光体20から出射する光Lが反射することを抑制できる。従って、バックウインドウ1は、板部材10で反射された光の一部が車内に漏えいすることを抑制し、車内の人がこの漏えいする光によって眩しくて不快に感じたり、車両VEの運転操作をし難くなったりする等の支障が生じることを抑制し得る。
ところで、このように発光体20から出射する光の一部が車内側に漏えいすることを抑制する観点から、反射抑制層11は、板部材10の面10A上における発光体20から出射する光が照射される領域の少なくとも一部を含む領域に設けられれば良い。しかし、反射抑制層11は、発光体20から出射する光が照射される領域の全体を含む領域に設けられることが好ましい。
本実施形態では、発光体20は、当該発光体20を基準として板部材10側と反対側である車内側に光を非出射とされる。従って、例えば発光体20から光が出射されている場合であっても、車内の人におけるバックウインドウ1を介した板部材10を基準として発光体20と反対側である車外の視認性が低下することを抑制でき、運転者が車両VEの運転操作をし難くなったりする等の支障が生じることを抑制し得る。
本実施形態では、板部材10が車両VEの内部と外部とを隔てる窓とされ、発光体20は車両VEの内部に位置し、この発光体20は車両VEの後方に向かって表示を行う後部標識灯30の一部とされている。つまり、本実施形態の車両VEでは、バックウインドウ1に後部標識灯30の一部が設けられている。従って、車両の窓に後部標識灯を設けない場合と比べて、車両における後部標識灯の配置の自由度が向上される。
ところで、後部標識灯には、上述したように一般的に赤色に点灯するテールランプ、赤色に点灯するストップランプ、橙色に点灯するターンランプ、白色に点灯するバックランプ等が含まれる。このテールランプとストップランプは車両の後部に配置されるため、夜間等の視界が悪い状況において車外の人はテールランプやストップランプの点灯によって車両の向きを認識し得る。本実施形態では、発光体20が赤色に点灯するストップランプの一部とされている。このため、発光体20から出射して板部材10で反射された光の一部が車内に漏えいする場合、この漏えいする光は赤色である。車外の人は例えばフロントウインドウ等を介してこの赤色の車内に漏えいする光を視認し得るため、この赤色の光によって車両VEの向きを誤認してしまう虞がある。しかし、本実施形態のバックウインドウ1では、上記のように板部材10で反射された光の一部が車内側に漏えいすることが抑制されるため、上記のように車外の人が車両VEの向きを誤認することを抑制し得る。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図3を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態の窓部材における構成要素のうち第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
図3は、第2実施形態に係る窓部材の一部を図2と同様に示す図である。本実施形態の窓部材は第1実施形態と同様にしてバックウインドウ1とされ、図3に示すように、本実施形態のバックウインドウ1では、反射抑制層12が板部材10における車外側の面10B上に設けられている点において、第1実施形態のバックウインドウ1と異なる。
反射抑制層12は、光を透過するとともに、車内側から板部材10に入射する光の一部が板部材10の面10Bで反射して車内に向かうことを抑制する層である。本実施形態では、反射抑制層12は反射抑制層11と同様にしてARコートとされ、板部材10の面10Bで反射して車内に向かう光と反射抑制層12の板部材10側と反対側の面で反射して車内に向かう光とが干渉することによって、板部材10の面10Bでの光の反射が抑制される。
本実施形態では、上記のように板部材10の面10B上に反射抑制層12が設けられているため、反射抑制層12が設けられる板部材10の面10Bにおいて発光体20から出射する光Lが反射することを抑制できる。従って、このバックウインドウ1は、上記第1実施形態のバックウインドウ1と比べて、板部材10で反射された光の一部が車内に漏えいすることをより抑制し、車内の人がこの漏えいする光によって眩しくて不快に感じたり、車両VEの運転操作をし難くなったりする等の支障が生じることをより抑制し得る。なお、反射抑制層12は、このように発光体20から出射する光の一部が車内側に漏えいすることを抑制する観点から、板部材10の面10B上における発光体20から出射する光が照射される領域の少なくとも一部を含む領域に設けられれば良く、発光体20から出射する光が照射されるこの領域の全体を含む領域に設けられることが好ましい。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図4を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態の窓部材における構成要素のうち第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
図4は、第3実施形態に係る窓部材の一部を図2と同様に示す図である。本実施形態の窓部材は第1実施形態と同様にしてバックウインドウ1とされ、図4に示すように、本実施形態のバックウインドウ1では、光フィルタ40を更に備える点において、第1実施形態のバックウインドウ1と異なる。
本実施形態の光フィルタ40は、発光体20を基準として板部材10側と反対側である車内側に配置され、光フィルタ40を介して見た場合に発光体20の全体が光フィルタ40によって覆われて当該発光体20は車内に露出されていない。光フィルタ40は、発光体20と離間して配置されても良く、発光体20と接して配置されても良い。なお、図4では、光フィルタ40が発光体20と離間する形態が例示されている。光フィルタ40は、発光体20に対する相対的な位置があまり変化しないように車両VEに取り付けられれば良い。光フィルタ40は、例えば当該光フィルタ40と板部材10に設けられる反射抑制層11とで発光体20を挟み込むように反射抑制層11に取り付けられても良く、発光体20に取り付けられても良い。本実施形態の光フィルタ40は、板部材10側から入射する光の一部を透過するとともに他の一部を板部材10側に反射するハーフミラーとされる。
本実施形態では、発光体20から出射して板部材10で反射された光の一部を光フィルタ40によって遮るとともにこの遮られる光LRを板部材10側へ反射させることができる。このため、本実施形態のバックウインドウ1は、光フィルタ40を備えない場合と比べて、板部材10で反射された光の一部が車内に漏えいすることをより抑制し、車内の人がこの漏えいする光によって眩しくて不快に感じたり、車両VEの運転操作をし難くなったりする等の支障が生じることをより抑制し得る。また、本実施形態のバックウインドウ1は、板部材10を透過して車外に出射する光の強度が低下することを抑制し得る。また、本実施形態のバックウインドウ1では、板部材10側から入射する光の他の一部は光フィルタ40を透過するため、車内の人はバックウインドウ1を介して車外を見ることができる。
以上、本発明について、実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、1つの発光体20を備えるバックウインドウ1を例に説明したが、バックウインドウ1は複数の発光体20を備えても良い。
また、上記第2実施形態では、反射抑制層11が板部材10における車内側の面10A上に設けられ、反射抑制層12が板部材10における車外側の面10B上に設けられていた。しかし、反射抑制層は板部材における一方の面上及び他方の面上の少なくとも一方に設けられれば良く、例えば、上記第2実施形態のバックウインドウ1において、板部材10に反射抑制層11が設けられていなくても良い。このようなバックウインドウであっても、板部材10で反射された光の一部が車内に漏えいすることを抑制し、車内の人がこの漏えいする光によって眩しくて不快に感じたり、車両VEの運転操作をし難くなったりする等の支障が生じることを抑制し得る。
また、上記第3実施形態では、光フィルタ40は、板部材10側から入射する光の一部を透過するとともに他の一部を板部材10側に反射するハーフミラーとされた。しかし、光フィルタは、発光体20を基準として板部材10側と反対側に配置され、板部材側から入射する光の一部を透過するとともに他の一部を遮るものであれば良い。このような光フィルタとして、例えばスモークフィルム等の一部の光を透過し得る程度の遮光性を有する遮光フィルム等が挙げられる。光フィルタ40がこのようなフィルムとされることで、発光体20から出射して板部材10で反射された光の一部を光フィルタ40によって遮ることができる。このため、光フィルタ40を備えない場合と比べて、板部材10で反射された光の一部が車内に漏えいすることをより抑制し、車内の人がこの漏えいする光によって眩しくて不快に感じたり、車両VEの運転操作をし難くなったりする等の支障が生じることをより抑制し得る。また、板部材10側から光フィルタ40に入射する光の他の一部は光フィルタ40を透過するため、車内の人はバックウインドウ1を介して車外を見ることができる。
また、上記実施形態では、ストップランプの一部として機能する発光体20を例に説明したが、発光体20は光を出射して機能を果たすものであれば良く、特に限定されない。発光体20は、テールランプやバックランプやターンランプ等として機能するものであっても良く、複数種類のランプとして機能するものとされても良い。また、発光体20は、後部標識灯30に含まれるランプと異なるもの、例えば光を出射して周囲を照らす照明として機能するものとされても良く、光を出射して文字や画像等を表示する表示装置として機能するものとされても良い。
また、上記実施形態では、バックウインドウ1を例に説明したが、窓部材はバックウインドウに限定されるものではなく、例えば車両の他の部位の窓部材とされも良い。また、窓部材は、例えば建物等に用いられる窓部材とされても良く、発光体が建物等の外部側に位置するように窓部材が配置されも良い。このような場合であっても、上記のように発光体から出射する光の多くは板部材を透過して板部材の発光体側と反対側の面から出射する。また、少なくとも発光体の光を出射する側を板部材によって保護し得る。また、発光体を基準として板部材側と反対側に位置する人は、窓部材を介して板部材を基準として発光体側と反対側を見ることができる。また、板部材で反射された光の一部が発光体を基準として板部材側と反対側に漏えいすることを抑制し、発光体を基準として板部材側と反対側に位置する人がこの漏えいする光によって眩しくて不快に感じたり、作業をし難くなったりする等の支障が生じることを抑制し得る。
また、上記実施形態では、板部材10側と反対側である車内側には光を非出射とする発光体20を例に説明した。しかし、発光体は、板部材側と反対側に光を出射しても良い。例えば発光体は、電源ランプを板部材側と反対側の面から外部に露出するように備え、この電源ランプの光が板部材側と反対側に出射されても良い。また、発光体は、板部材側と反対側に光を出射して文字や画像等を表示しても良い。このような構成であっても、発光体から板部材側に出射されて板部材で反射された光の一部が意図せず発光体側に漏えいすることを抑制し、発光体側に位置する人がこの漏えいする光によって眩しくて不快に感じたり、作業をし難くなったりする等の支障が生じることを抑制し得る。
また、窓部材は、例えば板部材が破損した際に板部材の破片が飛散することを抑制する飛散抑制フィルムや板部材の光の透過率を調節する遮光フィルム等を更に備えていても良い。このようなフィルムは、例えば反射抑制層を外方から覆うように取り付けられても良く、このフィルムと板部材とで発光体を挟み込むように板部材に取り付けられても良く、このフィルムが板部材の内部に位置するように板部材とこのフィルムとが互いに一体とされて形成されても良い。また、これらのフィルムは板部材に複数取り付けられても良い。