JP6980336B2 - 固型状粉末化粧料 - Google Patents
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Description
固型状粉末化粧料は圧縮成型されているので、粉体が飛び散らずに持ち運ぶことができる。女性の社会進出に伴い化粧用具一式をバッグに入れて持ち歩くことが常識となった現代において、固型状粉末化粧料は消費者に最も受け入れられた剤型である。しかしながら、バッグに入れて持ち運ぶと、歩く時の振動が伝わって衝撃となったり、時にはバックを落としてしまったりした時の衝撃により、ファンデーション等の固型状粉末化粧料にヒビが入ったり割れたりすることがある。割れたファンデーションは、その後の使用で粉々になることが多く、使い物にならない。このため、耐衝撃性を有する品質は、最低限確保しなければならない。
一方、ファンデーションにはパウダータイプの粉末化粧料がある。これは、主に化粧台に置いて室内で使用することが想定された剤型である。したがって、粉末化粧料の処方設計では、耐衝撃性を考慮する必要はなく、専ら使用感を重視した設計で十分である。
パウダータイプの粉末化粧料では、圧縮成型されていないので粉体と粉体がばらけており、そもそも「「ふんわり」とした感触は達成されているともいえる。或いはさらに「ふんわり」とした感触を付与させたい場合には、粉体の一部を弾性粉体に置き換えればよく、比較的容易に処方設計することができる。しかしながら、固型状粉末化粧料では弾性粉体を多く配合した処方にすると耐衝撃性が低下するという問題が生じる。このため固型状粉末化粧料において、弾性粉体を多く配合した処方では、油剤を多く配合したり、ワックスやワセリンといった固形や半固形の油剤を配合したりすることで粉体の結着性を高める必要があった。前述したとおり、油剤は肌への密着性やその他の使用感に大きく影響するので、弾性粉体を多く配合した処方における前記手段は使用感をある程度犠牲にしなければならず、弾性粉体の好ましい使用感を十分に発揮させることができないという問題がある。油剤を変えずに粉体の種類や配合量を調整することで耐衝撃性が高まる場合もある。しかし、「ふんわり」とした感触が減少するだけでなく、粉体が凝集して固くなりパフへの「とれ」が悪くなるケーキング現象が発生するなど、新たな問題が生じてしまう。また「ふんわり」とした感触を重視しすぎると、パフに過剰に粉がとれてしまい、塗布に際して粉浮きを生じてしまうという問題が発生してしまう。このように、固型状粉末化粧料において、耐衝撃性と、「ふんわり」とした感触、さらには粉浮きしない仕上がり、以上のすべてを実現させることは非常に困難であった。
たとえば、アミノ変性シリコーン処理粉体と金属石鹸処理粉体を含む固型状粉末化粧料は、ルース状粉末化粧料のような「ふんわり」とした軽い感触と、良好な成型性が得られることが記載されている(特許文献1)。
また、特定の粒子径を有するシリカ0.1〜3質量%と、シリコーンエラストマー球状粉末0.1〜20質量%と、25℃における硬度が0.1〜10Nである半固形油分を油分総量に対して0.1〜50質量%含有させた固型状粉末化粧料(特許文献2)、弾性粉体0.5〜7質量%と、液状油2〜15質量%と、ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末20〜75質量%含有させた固型状粉末化粧料(特許文献3)、特定のデキストリン脂肪酸エステル0.5〜5質量%と、球状シリコーン弾性粉体と、チッ化ホウ素を含有させた固型状粉末化粧料(特許文献4)、合成フッ素金雲母12〜30質量%と、チッ化ホウ素5〜15質量%と、フェニルシリコーン球状弾性粉末を5〜15質量%含有させた固型状粉末化粧料(特許文献5)が提案されている。これらの固型粉末状化粧料には使用感と耐衝撃性が両立することが記載されているが、十分満足できるものではない。
さらにまた、特許文献10には、疎水化処理された粉体、シリコーン変性アクリルポリマー、柔軟性球状複合粉末及びHLB10以下の界面活性剤を組合せて配合することにより、肌への伸びがよく、塗布後つっぱり感がなく適度な保湿感を有し、色移りしない化粧持続性に優れた固型状粉末化粧料が得られることが記載されている。
(1)(A) ジメチコノールとアミノシランで表面処理した粉体と、(B)柔軟性複合粉体と、(C)油剤を含有する固型状粉末化粧料。
(2)(A)の表面処理した粉体が、タルク、セリサイト、合成金雲母、マイカから選ばれる一種以上である(1)に記載の固型状粉末化粧料。
(3)(B)柔軟性複合粉体が、核となるシリコーン樹脂粉末、シリコーンゴム粉末及びシリコーンエラストマー粉末を、シリコーンレジン、金属酸化物、界面活性剤及びチッ化ホウ素から選ばれる一種以上で被覆したものである(1)又は(2)に記載の固型状粉末化粧料。
(4)(A)のジメチコノールとアミノシランで表面処理した粉体を、5〜35質量%含有する(1)〜(3)のいずれかに記載の固型状粉末化粧料。
(5)(B)柔軟性複合粉体を3〜15質量%含有する(1)〜(4)のいずれかに記載の固型状粉末化粧料。
(6)25℃で液状を呈する液状油を(C)油剤とし、該液状油を5〜10質量%含有する(1)〜(5)のいずれかに記載の固型状粉末化粧料。
(7)さらに(D)チッ化ホウ素を8〜12質量%含有する(1)〜(6)のいずれかに記載の固型状粉末化粧料。
(8)さらに(E)微粒子金属酸化物を10〜15質量%含有する(1)〜(7)のいずれかに記載の固型状粉末化粧料。
また、チッ化ホウ素などの耐衝撃性が低下する成分を高配合することが可能となる。
特に、耐衝撃性を損なう恐れがある成分(柔軟性複合粉体、チッ化ホウ素)を合計量で11〜27質量%配合しても耐衝撃性が損なわれることなく、「ふんわり」とした感触と粉浮きしない化粧仕上がりを実現できる。
さらにまた、油剤含有量が5〜10質量%であっても固型状粉末化粧料となる。特に固形油や半固形油といった使用感や仕上がりを低下させる恐れのある成分を配合せずに、優れた耐衝撃性を実現できる。
固型状粉末化粧料の処方では、固形油や半固形油は粉体を結着させる目的で配合され、通常0.2〜1質量%配合されるが、0.2質量%未満であると粉体の結着性が不十分となり、塗布時に均一に塗布できず、仕上がりが粉っぽくしっとりしない等の使用感面での問題が生じやすいと言われている。逆に1質量%を超えて配合するとのびが重くなったりケーキングが発生したりする場合がある。このため、従来は、化粧料のつき・のび・粉っぽさ・しっとり感などの使用感調整と併行して、ケーキングが生じないか、確認試験を行う所謂微妙な「さじ加減」が必要とされ、試行錯誤が必須であった。しかし、本発明により、そのような試行錯誤が不要となる。
加えて、本発明は、感触の不良な紫外線防御効果を有する微粒子酸化亜鉛や微粒子酸化チタンを高配合しても、ぎしぎしとした好ましくない感触を抑制し、「ふんわり」とした使用感をそのまま維持できる。紫外線防御機能を高める微粒子酸化亜鉛や微粒子酸化チタンなどの微粒子金属酸化物を10〜15質量%と高配合しても「ふんわり」とした感触、粉浮きしない仕上がり、耐衝撃性を確保できる。
(A)ジメチコノールとアミノシランで表面処理した粉体
本発明の(A)表面処理粉体とは、粉体をジメチコノールとアミノシランで表面処理したものである。表面処理の対象の粉体は、化粧料で使用可能なものであれば特に制限なく、ジメチコノールとアミノシランで表面処理した粉体は、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9に記載された方法で製造できる。また、市販品を使用することもできる。市販品としては三好化成(株)製のSE処理シリーズが使用でき、SE−S−100S(処理された粉体はセリサイト)、SE−TA−13R(処理された粉体はタルク)、MiyoSYN Fine−SE(処理された粉体は合成金雲母)、SE−MA−23(処理された粉体はマイカ)を例示できる。
ジメチコノールとアミノシランで表面処理した粉体の好ましい配合量は5〜35質量%、より好ましくは8〜30質量%である。5質量%よりも少ないと、本発明の目的とする効果が十分に得られない恐れがある。また35質量%を超えて配合しても、その効果は大きく増加しないので35質量%を超えて配合しても、費用対効果の点から好ましいとはいえない。
本発明の(B)柔軟性複合粉体とは、柔軟性を有する粒子(柔軟性粒子)を他の成分と複合して得られた複合粉体をいう。複合の方法としては、例えば、柔軟性を有する球状粒子の表面を他の成分で被覆処理した被覆処理柔軟性球状複合粒子等を挙げることができる。ここで「被覆」とは、核となる柔軟性粒子と化学結合や水素結合等の結合で被覆物が配されてもよいし、物理的な付着により粒子の周りに被覆物が配されてもかまわない。柔軟性複合粉体は、さらにジメチルポリシロキサンなどのシリコーンオイルで撥水化処理を施してもよいし、1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコールで親水化処理を施してもよい。柔軟性粒子はゴム弾性を有するものであることが好ましい。
核となる柔軟性粒子として好ましいのはシリコーンから形成されたシリコーン粒子であり、これらはシリコーン樹脂粉末、シリコーンゴム粉末、シリコーンエラストマー粉末と呼ばれるものである。被覆物としてはシリコーンレジン、金属酸化物、界面活性剤、チッ化ホウ素が例示できる。柔軟性複合粉体の粒子の好ましい形状は球状であり、平均粒子径が1〜20μm、より好ましくは2〜20μmのものを選択するとより好ましい。また、柔軟性複合粉体の好ましい配合量は3〜15質量%、より好ましくは5〜12質量%、さらに好ましくは5〜10質量%である。3質量%よりも少ないと、本発明の目的とする効果が十分に得られない恐れがある。15質量%を超えて配合すると、(C)油剤の種類や配合量を細かく調整する必要が生じる恐れがある。
本発明で用いる柔軟性複合粉体は、実施に適したやわらかさと、皮膚への密着性(組成物調製時に凝集せずにきれいに分散するが、皮膚への密着性がある)を兼ね備えたものとして下記に例示するものを使用できる。例えば、シリコーンゴム粉末をシリコーンレジンで被覆した柔軟性複合粉体の市販品としては、信越化学工業(株)製のKSP−100、KSP−101、KSP−102、KSP−105が例示でき、これらの表示名称は、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマーである。これもまたシリコーンゴム粉末をシリコーンレジンで被覆した柔軟性複合粉体の市販品であるが、信越化学工業(株)製のKSP−300(表示名称;(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー)、KSP−411(表示名称;ポリシリコーン−1クロスポリマー)、KSP−441(表示名称;ポリシリコーン−22)が例示できる。(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーを金属酸化物で被覆した柔軟性複合粉体の市販品としては、東レ・ダウコーニング(株)製のEP−9261 TI Cosmetic Powder (被覆物;酸化チタン)、EP−9293ALCosmetic Powder(被覆物;酸化アルミニウム)、9701Cosmetic Powder(被覆物;シリカ)が例示できる。また、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーを界面活性剤で混合被覆したEP−9289LLCosmetic Powder(被覆物;ラウロイルリシン)、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーをシリカで被覆しさらに1,3−ブチレングリコールで処理したEP−9801Hydro Cosmetic Powder(被覆物;シリカ)を例示できる。
本発明で用いる油剤としては、化粧料に配合できるものであればいずれでもよい。25℃で液状を呈する液状油が好ましい。例えば、トリグリセリド、液体蝋、エステル油、炭化水素油、シリコーン油などが例示できる。トリグリセリドとしてはオリーブ油、マカデミアナッツ油、ヒマワリ種子油、アボカド油、サフラワー油、米糠油、米胚芽油、小麦胚芽油、ヒマシ油、ブドウ種子油、アーモンド油、ヤシ油、パーム油、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル等が例示できる。液体蝋としてはホホバ油等を例示できる。エステル油としては、ジイソノナン酸1,3−ブチレングリコール、ジ2−エチルヘキサン酸1,3−ブチレングリコール、ジイソノナン酸ジプロピレングリコール、ジ2−エチルヘキサン酸ジプロピレングリコール、イソノナン酸イソノニル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、パルミチン酸エチルヘキシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリトリット、水添ダイマージリノール酸イソステアリル/フィトステリル等が例示できる。炭化水素油としては、スクワラン、スクワレン、流動パラフィン等が例示できる。シリコーン油としては、鎖状ポリシロキサンのジメチルポリシロキサン等、環状ポリシロキサンのシクロペンタシロキサン等が例示できる。
本発明では、油剤を5〜10質量%含有することが好ましい。
しかし、固型状粉末化粧料にしっとり感を付与するために、本発明の効果を損なわない範囲で少量配合することは構わない。なお、少量とは0.2質量%未満であり、より好ましくは0.1質量%未満である。
(D)チッ化ホウ素
チッ化ホウ素は、耐衝撃性を阻害することが知られた成分である。しかし、同時になめらかなのびや適度なカバー力を有することからファンデーションに好んで配合される成分である。さらにチッ化ホウ素を配合することが、本発明では可能となった。
チッ化ホウ素は、化粧料に配合できる形態ものであれば、どのようなものであっても使用可能である。市販品としては、水島合金鉄(株)製のSHP−3、SHP−6を例示できる。
チッ化ホウ素の好ましい配合量は8〜12質量%である。
微粒子酸化チタンや微粒子酸化亜鉛は紫外線遮蔽効果を有することが知られた成分である。しかし、微粒子酸化チタンや微粒子酸化亜鉛などの金属酸化物は、きしみといったあまり好ましくない感触を有する。紫外線防御効果を付与したい場合にしばしば配合される成分である。本発明において、さらに化粧料に配合する場合は、悪影響を考慮せずに、自由に配合可能である。配合可能な市販品としては、テイカ(株)製のMTY−100SAS(微粒子酸化チタン)、SPY−100MSIO(微粒子酸化チタン)、MZ−303M(微粒子酸化亜鉛)などを例示できる。
ファンデーション等に高い紫外線防御効果を付与したい場合、微粒子金属酸化物の好ましい配合量は、合計量で10〜15質量%である。この配合量は、きしみが感じられる恐れがある配合量である。このため通常では油剤を10質量%を超えて配合したりワックスやワセリンといった油剤を選択したりして、使用感の調整を行うが、本発明の場合はそのような調整を必要としない。
(A) ジメチコノールとアミノシランで表面処理した粉体 5〜35質量%
(B)柔軟性複合粉体 3〜15質量%
(C)油剤 5〜10質量%
(その他の粉体)40〜87質量%
上記の(D)成分及び(E)成分を配合する場合は、その他の粉体の一部として配合する。
1.実施例1〜7、比較例1〜5の固型状粉末化粧料(ファンデーション)の調製
(1)調製手順
表1の処方にて実施例1〜7、比較例1〜5の固型状粉末化粧料を調製した。成分(C)以外の配合成分をブレンダーミキサー(HANIL製LAB.MIXER)で4分間、均一に混合した。その後、成分(C)を投入して、ミキサーで8分間、均一に混合し、四角の金皿に一定量(10g)採取し、プレス圧2.6MPaで1秒間、2回圧縮成型した。
得られた固型状粉末化粧料の硬度と落下強度(落下に耐えた回数)を測定した。
また、落下強度から耐衝撃性を評価し、官能試験により「ふんわり」とした感触、化粧後の仕上がりと粉浮きのなさを評価した。
<硬度>
得られた固型状粉末化粧料を、高分子計器株式会社製のアスカー硬度計を用い、測定条件(固型状粉末化粧料のプレス表面から高さ1cmに測定押針を設置。高さ1cmから測定押針を下降)で測定した。プレス成型品の5箇所を測定し、平均値を算出した。
<耐衝撃性(落下強度)>
得られた固型状粉末化粧料を下記試験法にて落下強度を測定し、その結果から耐衝撃性を評価した。
(落下強度の測定)
金皿に充填した固型状粉末化粧料を50cmの高さからスチール製の机に落下させる行為を繰り返して行い、「割れ、ひび、かけ」のいずれかが生じるまでの回数で評価した。尚、21回めの落下に耐えたものは21回で測定を終了し、表中には20回以上と記載した。それ以外は「割れ、ひび、かけ」のいずれかが生じた直前の数値(落下に耐えられた回数)を記載した。
また、耐衝撃性は下記基準により、評価した。
◎:11〜20回であり、耐衝撃性が極めて良好である
○:8〜10 回であり、耐衝撃性が良好である
△:4〜7回であり、耐衝撃性にやや不安がある
×:3回以下であり、耐衝撃性が不安である
<「ふんわり」とした感触>
得られた固型状粉末化粧料をパフでこすりとり、上腕内側部にのばし、下記評価基準により、「ふんわり」とした感触(「ふんわり」感)を評価した。
◎:「ふんわり」とした感触を強く感じる
○:「ふんわり」とした感触がある
×:「ふんわり」とした感触がない
<仕上がりの粉浮きのなさ>
得られた固型状粉末化粧料をパフでこすりとり、上腕内側部にのばし、下記評価基準により、仕上がりが粉浮きしないかどうかを評価した。
◎:全く粉浮きしない
○:粉浮きしない
△:やや粉浮きする
×:粉浮きする
表1に示す通り、実施例1〜7の固型状粉末化粧料は、硬度が20〜33とそれほど高い数値ではないにも関わらず落下強度試験では8回以上をクリアし、すべて耐衝撃性が良好であった。また、「ふんわり」とした感触で粉浮きもなかった。これに対して、比較例2〜4の固型状粉末化粧料は、硬度が実施例と同様な数値であったが、落下強度試験では4〜7回であり耐衝撃性に不安がある(△評価)、という結果となった。また、比較例2〜4の固型状粉末化粧料は、「ふんわり」とした感触と粉浮きのない仕上がりの両方を実現したものはなかった。比較例1は、硬度が31であり、落下試験の結果も20回以上であり、耐衝撃性は良好であった。しかしながら、「ふんわり」とした感触と粉浮きのない仕上がりとはならず、目的とした化粧料は得られなかった。比較例5は本発明の成分B(柔軟性複合粉体)に代えて複合されていない球状粉体を配合した処方であるが、硬度が37であり、本試験では最も高い値を示し落下強度は20回以上をクリアした(耐衝撃性の判定は◎)。しかしながら、「ふんわり」とした感触はなく、仕上がりも粉浮きしてしまった。尚、比較例5はパフでこすり続けるとケーキング現象が発生した。
また、本発明の構成(A+B+C)をとることで、チッ化ホウ素といった使用感が優れているが配合することで耐衝撃性が低下することが知られた成分(D)をさらに配合しても、耐衝撃性が損なわれることなく、「ふんわり」とした感触と粉浮きしない仕上がりを実現しつつ高配合することが可能であることが分かった。
さらにまた、本発明の構成(A+B+C)をとることで、感触は良くないが紫外線防御効果を有する成分(E)(微粒子酸化亜鉛や微粒子酸化チタンなどの微粒子金属酸化物)を10〜15質量%と高配合しても、ぎしぎしとした特有の好ましくない感触が表に出ることなく、「ふんわり」とした使用感と粉浮きしない仕上がりがそのまま維持できることが確認できた。
以下に本発明の固型状粉末化粧料の処方例を示す。
〔処方例1〕
固型状粉末ファンデーションの処方
成分 配合量(質量%)1.シリコーン処理セリサイト 7
2.シリコーン処理マイカ 7
3.シリコーン処理タルク 適量
4.シリコーン処理雲母 7
5.シリコーン処理酸化チタン 19
6.シリコーン処理酸化亜鉛 5
7.SE−TA−13R 10
8.MiyoSYN Fine−SE(合成金雲母表面処理粉体) 10
9.アクリル樹脂末 5
10.(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー 15
11.着色顔料 適量
12.ジメチコン(50cs) 4
13.ジメチコン(100cs) 3
Claims (4)
- (A) ジメチコノールとアミノシランで表面処理した粉体と、(B)柔軟性複合粉体と、(C)油剤を含有する固型状粉末化粧料であって、
(A)ジメチコノールとアミノシランで表面処理した粉体を、8〜30質量%と、
(B)核となるシリコーン樹脂粉末、シリコーンゴム粉末及びシリコーンエラストマー粉末を、シリコーンレジン、金属酸化物、界面活性剤及びチッ化ホウ素から選ばれる一種以上で被覆した柔軟性複合粉体であって、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー、(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー、ポリシリコーン−1クロスポリマー、ポリシリコーン−22である柔軟性複合粉体のいずれか1以上を含む柔軟性複合粉体を5〜15質量%と、
(C)油剤を5〜10質量%と、
(A)と(B)を除くその他粉体を40〜87質量%含有する固型状粉末化粧料。 - (A)の表面処理した粉体が、タルク、セリサイト、合成金雲母、マイカから選ばれる一種以上である請求項1に記載の固型状粉末化粧料。
- その他粉体が(D)チッ化ホウ素を8〜12質量%含むものである請求項1又は2に記載の固型状粉末化粧料。
- その他粉体が(E)微粒子金属酸化物を10〜15質量%含むものである請求項1〜3のいずれかに記載の固型状粉末化粧料。
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