JP6979930B2 - 可変圧縮比機構の制御装置 - Google Patents
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Description
図1は、車両用内燃機関に備えられる可変圧縮比機構100の一態様を模式的に示した概略構成図である。
可変圧縮比機構100は、車両用内燃機関の機械圧縮比を可変とする機構である。
可変圧縮比機構100は、内燃機関のシリンダブロックのシリンダ内を往復運動するピストン1とクランクシャフト4を連結するリンク機構110と、リンク機構110の姿勢を制御する連結機構120と、減速機構21と駆動モータ22とを有し連結機構120を回転駆動するアクチュエータ130と、を備えている。
連結機構120は、一端部がロアリンク5の他端部に連結ピン8を介して回転自在に連結された各気筒に有する制御リンク7と、各制御リンク7の他端部と連結された第1制御軸10と、第1制御軸10に連結リンク12とリンクアーム13を介して回転自在に連結された第2制御軸14と、を備えている。
第1偏心軸部10bは、第1アーム部10dを介して第1ジャーナル部10aに対して所定量偏心した位置に設けられている一方、第2偏心軸部10cは、第2アーム部10eを介して第1ジャーナル部10aに対して所定量偏心した位置に設けられている。
一端部12aの先端部には、第2偏心軸部10cが回動自在に挿通される挿通孔12cが貫通形成されている。
リンクアーム13は、第2制御軸14とは分離して形成され、円環状の本体13aの中央位置に第2制御軸14の前後の各ジャーナル部の間に形成された固定部に圧入固定される圧入用孔13cが貫通形成されていると共に、本体13aの外周には、径方向へ突出したU字形状の突起部13bが一体に設けられている。
第2制御軸14は、ハウジング20内に複数のジャーナル部を介して回転自在に支持されていると共に、連結リンク12の他端部12bにリンクアーム13を介して連結されている。
軸部本体23は、リンクアーム13が圧入用孔13cを介して圧入される固定部23aを有している。
これにより、ロアリンク5の姿勢が変化してピストン1のストローク特性が変化し、機関圧縮比が変化するようになっている。
駆動モータ22は、例えばブラシレス型の電動モータであって、出力軸の回転角度を検出するレゾルバなどのモータ回転角センサ22aを備える。
また、第2制御軸14の回転角度を検出する制御軸回転角センサ150が設けられている。
電子制御装置140は、内燃機関の運転状態に応じた目標圧縮比に相当する第2制御軸14の目標回転角度を取得し、この目標回転角度と制御軸回転角センサ150で検出される実回転角度とを比較し、目標回転角度(目標圧縮比)に実回転角度(実圧縮比)が近づくように、駆動モータ22の正逆回転を制御する制御電流を出力する。
更に、減速機構21と駆動モータ22とを有するアクチュエータ130は、移動体である第2制御軸14を回転させるアクチュエータであり、制御軸回転角センサ150は、移動体である第2制御軸14の回転角度を検出するセンサである。
図4のフローチャートは、電子制御装置140におけるスリップ診断の手順の一態様を示す。
電子制御装置140は、ストッパの当接状態でのセンサ出力を学習し、学習結果に基づき、制御軸回転角センサ150の出力と第2制御軸14の回転角度の検出値との相関を校正する。
後述するように、電子制御装置140は、スリップ診断においてストッパ57,58を当接状態に安定させるための押し付け制御を実施するが、ストッパ57,58の耐力を超える押し付けトルクが要求されることを抑止する必要がある。
なお、内燃機関の負荷の小さい状況とは、例えば、暖機完了状態であって低回転低負荷領域で運転されている状態である。
そこで、ストッパ57,58の耐力が比較的大きい場合は、内燃機関の負荷がより高い条件下、例えば、機関温度がより低く、かつ、内燃機関の回転速度及び負荷がより高い状況で、スリップ診断を行わせる。
この他、スリップ診断の実施条件として、制御軸回転角センサ150の診断処理で正常判定されていることや、圧縮比の変化が車両の運転性に影響しない状態であることなどを含めることができる。
電子制御装置140は、第1ストッパ57を当接状態にするために圧縮比が低下する方向に第2制御軸14を回転駆動すると、ステップS404で、制御軸回転角センサ150の出力が低圧縮比方向に変化した後で安定状態になったか否かを判定することで、第1ストッパ57の安定当接状態になったか否かを判断する。
なお、上記の高トルクとは、リンクアーム13が第2制御軸14の軸部本体23に圧入固定される部分でのスリップを誘発できる所定の高トルクである。換言すれば、圧入部分でスリップしかかっているときに、高トルクで第2制御軸14を駆動することでスリップを誘発させ、圧入部分の保持力の低下(不足)を検知できるようにする。
第1ストッパ57の当接状態でのセンサ出力を学習し、第2ストッパ58の当接状態でのセンサ出力を学習していない場合であっても、第1ストッパ57の当接状態でのセンサ出力から第2ストッパ58の当接状態でのセンサ出力を推定でき、ストッパ位置学習済であれば、第2ストッパ58の当接状態でのセンサ出力は既知である。
そして、図5に示すように、正常範囲の手前のセンサ出力を、トルクを弱めるタイミングを規定するセンサ出力の閾値SL1とすれば、センサ出力のばらつきを考慮しても、第2ストッパ58が当接する前のタイミングで駆動トルクを弱めることができる。
そして、電子制御装置140は、閾値SL1と制御軸回転角センサ150の出力とが一致すると、ステップS407に進み、第2制御軸14を高圧縮比方向に回転駆動するトルクを最大トルクよりも弱め、弱めたトルクで第2ストッパ58を当接させる(図5参照)。
このように、電子制御装置140は、ストッパ位置学習の結果に基づき、スリップを誘発させるような高トルクで駆動できる期間の終期を特定する。換言すれば、第2ストッパ58が当接状態になるセンサ出力を予め推定しておくことで、当接位置の手前までの期間でスリップを誘発させるような高トルクで駆動することが可能となり、高トルクの駆動によってスリップしかかっている異常を検知できる。
ここで、制御軸回転角センサ150の出力が変動している場合、電子制御装置140は、ステップS409へ進んで、第2ストッパ58の当接に向けた駆動を開始してからの経過時間が設定時間内であるか否かを判断する。
そして、電子制御装置140は、第2ストッパ58の当接に向けた駆動を開始してからの経過時間が設定時間内であれば、ステップS407に戻って、第2ストッパ58が耐えられる衝突エネルギーになるトルクで圧縮比を増加させる方向に第2制御軸14を駆動する制御を継続させる。
第2ストッパ58の当接状態での制御軸回転角センサ150の出力が正常範囲内であれば、圧入部分のスリップは発生していないと推定できる状況であるので、電子制御装置140は、ステップS412に進み、可変圧縮比機構100のアクチュエータ130の正常判定を行って、係る診断履歴を保存する。
一方、第2ストッパ58の当接状態での制御軸回転角センサ150の出力が、第1ストッパ57の当接状態で求めた基準出力に基づき設定した正常範囲外である場合(図5参照)、圧入部分のスリップの発生によって、第2制御軸14とリンクアーム13とが一体に回転せず、リンクアーム13が第1ストッパ57によって回転規制されるようになるまでの第2制御軸14の回転角量が標準からずれたと推定できる。
なお、ステップS413でアクチュエータ130の異常(スリップ)を判定した場合、電子制御装置140が制御軸回転角センサ150の出力から認識する圧縮比と実圧縮比とに乖離が生じ、目標圧縮比への制御精度が低下する。
一方、制御軸回転角センサ150の出力が安定せず、第2ストッパ58の当接に向けた駆動を開始してからの経過時間が設定時間を超えた場合、第2制御軸14とリンクアーム13との圧入部分における空転が発生している可能性がある。
ステップS410でアクチュエータ130の異常(空転)を判定した場合、第2制御軸14の回転駆動による圧縮比制御は不能であるので、電子制御装置140は、可変圧縮比機構100の制御を停止して圧縮比をデフォルトに保持し、圧縮比の制御不能状態を運転者に警告したりする。
ここで、第1ストッパ57の当接状態におけるセンサ出力に基づきアクチュエータ130の異常判定を行うか、第2ストッパ58の当接状態におけるセンサ出力に基づきアクチュエータ130の異常判定を行うかは、各ストッパ57,58の剛性に基づき選定することができる。
つまり、両ストッパ57,58のうち、剛性がより高い方のストッパの当接状態におけるセンサ出力に基づきアクチュエータ130の異常判定を実施する構成とすれば、より高いトルクで第2制御軸14を駆動でき、スリップをより誘発させ易くなって、スリップの検知性が向上する。
そこで、電子制御装置140は、動作開始位置から第1ストッパ57の当接位置までが所定角度以上であるときに、動作開始位置から直接第2ストッパ58の当接状態に推移させるようにして、診断に要する時間を短く抑えることができる。
電子制御装置140は、ステップS501でストッパ位置の学習済であるか否かを、ステップS401と同様に判断し、ストッパ位置学習済であれば、ステップS502に進む。
電子制御装置140は、ステップS503で、スリップ診断開始時点における制御軸回転角センサ150の出力(第2制御軸14の回転角度)と、第1ストッパ57の当接状態での出力と第2ストッパ58の当接状態での出力との中間値である閾値SL2(図7参照)とを比較する。
以下、電子制御装置140は、ステップS505−ステップS514に進み、前述のステップS404−413と同様な診断処理を実施する。つまり、電子制御装置140は、現在の第2制御軸14の角度位置(動作開始位置)が閾値SL2よりも第1ストッパ57に近い場合、第1ストッパ57の当接状態にした後、第2ストッパ58の当接状態に推移させ、第2ストッパ58の当接状態におけるセンサ出力に基づきアクチュエータ130の異常診断(スリップ診断)を実施する。
そして、ステップS560で電子制御装置140は、第2制御軸14の高圧縮比方向の回転を規制する第2ストッパ58を当接状態にするために、スリップ診断の開始時点の角度位置から圧縮比が増加する方向に第2制御軸14を回転駆動する(図7参照)。
これにより、診断時間に制約がある場合であっても、制約される時間内で診断処理を終えることができる。
また、好ましい実施形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
また、制御軸回転角センサ150に代えて、モータ回転角センサ22aの出力に基づき第2制御軸14の回転角度を検出して圧縮比を調整する場合にも、電子制御装置140は、ストッパ位置のセンサ出力が学習済であることを条件として、スリップ診断を実施することができる。
Claims (4)
- 可変圧縮比機構であって、
内燃機関のピストンとクランクシャフトをリンク機構のロアリンクとアッパリンクによって連結すると共に、前記ロアリンクの姿勢を、連結機構を介してアクチュエータにより制御することによって前記ピストンのストローク特性を変化させて前記内燃機関の圧縮比を制御し、
前記連結機構は、
一端部が前記ロアリンクに回転自在に連結された制御リンクと、
前記制御リンクの他端部側に第1アーム部を介して回転自在に連結された第1制御軸と、
一端部が前記第1制御軸に第2アーム部を介して連結された連結リンクと、
前記連結リンクの他端部に回転自在に連結されたリンクアームと、
ハウジング内に回転自在に支持されていると共に、前記リンクアームに圧入用孔を介して圧入により連結された第2制御軸と、
を備え、
前記アクチュエータは、前記第2制御軸を回転駆動させて前記リンクアームに回転駆動力を伝達し、
前記第2制御軸の回転領域の一端で当接して前記第2制御軸を停止させる第1ストッパと、
前記第2制御軸の回転領域の他端で当接して前記第2制御軸を停止させる第2ストッパと、
前記第2制御軸の回転角度を検出するセンサと、
を備えた前記可変圧縮比機構を制御する、可変圧縮比機構の制御装置であって、
前記制御装置は、
前記第1ストッパの当接状態と前記第2ストッパの当接状態との少なくとも一方における前記センサの出力を基準出力として求めた後、
前記アクチュエータの診断のために前記第2制御軸を前記第2ストッパの当接状態に向けて回転させ、前記第2ストッパの当接状態での前記センサの出力が、前記基準出力に基づき設定した正常範囲から外れたときに、前記第2制御軸の前記圧入用孔に対する滑りの発生を判定するとともに、
前記第2ストッパの当接状態に向けて前記第2制御軸を回転させるときに前記第2制御軸に加えるトルクを、前記第2制御軸の前記圧入用孔に対する滑りを誘発させる所定の高トルクに設定する、
可変圧縮比機構の制御装置。 - 請求項1に記載の可変圧縮比機構の制御装置であって、
前記制御装置は、
前記第1ストッパに当接させた後、前記第1ストッパの当接状態から前記第2ストッパの当接状態に向けて前記第2制御軸を回転させ、前記第2ストッパの当接状態での前記センサの出力が前記正常範囲から外れたときに、前記第2制御軸の前記圧入用孔に対する滑りの発生を判定する、
可変圧縮比機構の制御装置。 - 請求項2に記載の可変圧縮比機構の制御装置であって、
前記制御装置は、
前記第2制御軸の回転開始位置が閾値よりも前記第1ストッパに近いときは、前記第1ストッパに当接させた後に前記第1ストッパの当接状態から前記第2ストッパの当接状態に向けて前記第2制御軸を回転させて前記第2ストッパを当接状態とし、
前記第2制御軸の回転開始位置が前記閾値よりも前記第2ストッパに近いときは、前記回転開始位置から前記第2ストッパの当接状態に向けて前記第2制御軸を回転させて前記第2ストッパを当接状態とする、
可変圧縮比機構の制御装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の可変圧縮比機構の制御装置であって、
前記第2ストッパは、前記第1ストッパよりも剛性の高いストッパである、
可変圧縮比機構の制御装置。
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