JP6978308B2 - ブーム作業機用モーメントリミッタ装置及びこれを備えたブーム作業機 - Google Patents

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Description

本発明は、複数のアウトリガを備えたブーム作業機に係り、ブーム作業機の過負荷作業を防止するためのモーメントリミッタ装置に関するものである。
従来、フレームの下部にクローラで走行する走行体を備えたクローラクレーンには、クレーン作業時の安定を確保するため、例えばフレームの前端部と後端部にそれぞれ左右一対(計4基)のアウトリガが設けられている。
これら4基のアウトリガは機体に対して放射状に回動可能であり、その放射状に配置された任意の位置で張り出しがなされる。そして、各アウトリガ先端を接地させて機体の安定を図るようになっている。
この種のクローラクレーンでは、そのクレーン作業の安定性を十分に確保して、クレーン作業を行なうために、「最大限に安定性を確保できる決められた方向へ張り出す」、「アウトリガのアウターボックスを最大に拡げる」、「入れ子式のアウトリガのインナーボックスを最大限に伸長させる」、「アウトリガを確実に接地させる」等の設置条件が決められている。
また、クレーンの過負荷作業を防止するための安全装置として、マイクロコンピュータを用いたモーメントリミッタ装置が装備されている。このモーメントリミッタ装置では、クレーンの状態量(荷重値、ブーム長値とブーム角値による作業半径値等)が演算される。加えて、各アウトリガの張出状態を検出するリミットスイッチ等により、「最大限に安定性を確保できる決められた方向へ張り出す」、「アウトリガのアウターボックスを最大に拡げる」、「入れ子式のアウトリガのインナーボックスを最大限に伸長させる」、「アウトリガを確実に接地させる」等の各状態が検出される。そして、これらの検出結果に基づき各条件を満足しているか否かが判定される。そして、全ての条件を満足したと判定した場合のみ、ブームは全方位に渡り、アウトリガ最大張出状態に対応する最大定格荷重性能の定格荷重テーブルを用いて、クレーン作業の過負荷判定が可能になっている。
但し、各アウトリガの張出状態が、前記条件を一つでも満足しない場合には、ブームは全方位に渡り、アウトリガが最小張出状態の場合を基にした安全性能の定格荷重テーブルを用いる、あるいは作業禁止とするなど、クレーンの転倒を未然に防止すべく作動停止や安全重視の過剰な能力制限等を行う。
また、モーメントリミッタ装置は、例えばフレームに備えられた4基のアウトリガのうちいずれか1基以上のアウトリガの展開角度が、ブームを使用した作業を実施時に機体の転倒を引き起こすおそれのある展開角度となっている場合に、このようなアウトリガの展開角度を設置禁止の展開角度(以下、「設置禁止角度」と称す)として、ブームの使用を禁止する場合もある。その際、例えば、アウトリガの設置動作の完了自体を禁止したり、設置完了までは許可するが以降のブームの使用を禁止したりする。
この種のクローラクレーンは、住宅の庭や墓地等、障害物が多くアウトリガの設置が困難な場所でのクレーン作業時でも、放射状に回動可能なアウトリガにより、設置可能な任意の位置に張り出すことができるという特徴を持っている。しかしながら、このような状況下では、「最大限に安定性を確保できる決められた方向へ張り出す(即ち、設置禁止角度を含まない状態)」、「アウトリガのアウターボックスを最大に拡げる」、「入れ子式のアウトリガのインナーボックスを最大限に伸長させる」、「アウトリガを確実に接地させる」等の各条件を全て満足することが困難である。そして、条件を満足できない場合には、モーメントリミッタ装置がクレーンの転倒を未然に防止すべく作動停止や安全重視の過剰な能力制限等を行うため、クレーンが有する最大能力を発揮することができず、本来のクレーン作業に支障がでてしまう。
これに対して、特許文献1に記載のアウトリガを備えた走行可能な作業機は、シャーシの前部と後部とにそれぞれ2基ずつ設けられた計4基のアウトリガを備え、これら4基のアウトリガには、動作信号又は距離信号を送信し受信するための送受信ユニットがそれぞれ3つずつ付設されている。この作業機は、更に、これら送受信ユニットにて受信した動作信号又は距離信号に基づき各アウトリガの支持脚の位置を特定する評価ユニットを備えている。そして、この評価ユニットによってアウトリガの任意の張り出し位置での支持脚の位置を特定し、特定した支持脚位置を結ぶ4本の傾倒エッジで囲まれた四角の範囲を設定し、この四角の範囲を作業機の重心が越えない範囲で任意の張り出し位置での作業を可能としている。具体的に、支持脚の支持位置が、シャーシ付近の内側支持位置とシャーシから遠い外側支持位置だけでなく、これらの中間位置でも作業を可能としている。
特表2012−507427号公報
しかしながら、上記特許文献1の従来技術では、設置禁止角度については記載が無く、設置禁止角度でアウトリガの設置が行われた場合に、作業者に対して例えば設置禁止角度を含む展開姿勢であることを知らせるようなことを行わない。そのため、作業者はこのことを意識せずにブームを使用する操作を行うことになり、誤操作等による転倒可能性が高くなる。また、仮に設置禁止となっている場合は、例えば狭所などにおいてアウトリガが設置できない場合があり、この場合に作業不可能となるため、作業進行に支障が生じる。
本発明は、上記課題を解決するものであり、その目的とするところは、ブーム作業機を支持するアウトリガの設置自由度を向上可能で且つ設置禁止角度を含む展開姿勢で作業可能な特殊な操作モードの使用について作業者の認識不足による誤操作の発生を低減することが可能なブーム作業機用モーメントリミッタ装置及びこれを備えたブーム作業機を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係るブーム作業機のモーメントリミッタ装置は、機体の周囲に自在に展開且つ張り出し可能な複数のアウトリガと、前記機体の上部に垂直な軸回りに旋回可能に設けられたブームとを備えたブーム作業機に適用可能なブーム作業機用モーメントリミッタ装置であって、各前記アウトリガの水平方向への展開角度を検出するアウトリガ展開角検出器と、演算制御部と、を備える。前記複数のアウトリガのそれぞれは、前記ブームを使用した作業時に前記機体を安定して支持することが可能な通常展開角度と、前記ブームを使用した作業時に前記機体が転倒する可能性のある状態で前記機体を支持する設置禁止角度とに展開可能に構成されている。
そして、前記演算制御部は、前記複数のアウトリガの展開姿勢が、前記複数のアウトリガの展開角度がいずれも前記通常展開角度となる通常展開姿勢のときに前記ブームの使用を許可する通常操作モードと、前記複数のアウトリガのうち一部の前記アウトリガの展開角度が前記設置禁止角度となり且つ他部の前記アウトリガの展開角度は前記通常展開角度となる特殊展開姿勢のときに前記ブームの使用を許可する特殊操作モードとを有する。更に、前記アウトリガ展開角検出器で検出した前記展開角度に基づき前記特殊操作モードの設定条件が成立していると判定したときに前記ブームの使用を禁止する処理を実施し、前記ブームの使用を禁止する処理の実施中に、作業者に前記特殊操作モードを使用する意思があるか否かを判定する処理を実施し、前記特殊操作モードを使用する意思があると判定したときは前記通常操作モードから前記特殊操作モードに切り替えて前記特殊展開姿勢での前記ブームの使用を許可し、前記使用する意思が無いと判定したときは前記特殊展開姿勢での前記ブームの使用を禁止する処理を継続する。
また、上記課題を解決するために、本発明の第2の態様に係るブーム作業機は、機体の周囲に自在に展開且つ張り出し可能な複数のアウトリガと、前記機体の上部に垂直な軸回りに旋回可能に設けられたブームと、上記第1の態様に係るブーム作業機用モーメントリミッタ装置と、を備える。
本発明によれば、機体の周囲に自在に展開且つ張り出し可能な複数のアウトリガを備えたブーム作業機において、作業者に対して設置禁止角度を含む特殊展開姿勢でのブームの使用を許可する特殊操作モードを使用する意思があるか否かを確認する処理を行う。そして、意思があると確認できたときのみに通常操作モードから特殊操作モードに切り替えるようにした。これによって、アウトリガの設置自由度を向上することが可能になると共に、特殊操作モードの使用について作業者に認識させることが可能となるため認識不足による誤操作の発生を低減することが可能となる。
実施形態に係るタワークレーンの作業時の状態を示す側面図である。 実施形態に係るタワークレーンの備えるアウトリガの側面図である。 アウトリガの展開位置を固定する固定機構の構成を示す図である。 実施形態に係るタワークレーンのモーメントリミッタ装置の構成図である。 (a)及び(b)は、特殊操作モードを設定可能な特殊展開姿勢の例を示す模式図である。 操作モード設定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 起伏ブームの設定可能な起伏角度の一例を示す模式図である。 意思確認画面の一例を示す図である。 安全装置停止解除キースイッチ及びそのON状態への移行方法を示す模式図である。 (a)は、クレーン作業禁止範囲、クレーン作業可能範囲及び旋回予告警報範囲の設定例を示す模式図であり、(b)は、起伏可能範囲及び起伏予告警報範囲の設定例を示す模式図である。 過負荷防止制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 機体から前後方向側に設定された定格荷重テーブル判定ラインを用いた定格荷重性能の判定方法の説明図である。 機体から左右方向側に設定された定格荷重テーブル判定ラインを用いた定格荷重性能の判定方法の説明図である。 クレーン作動制限処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 通常操作モードを設定時のタワークレーンの動作説明図である。同図ではアウトリガ張出状態のクローラクレーンの模式的な平面図に定格荷重切替ライン及び定格荷重テーブル判定ラインが記されている。 通常操作モードを設定時のアウトリガ画面の一例を示す図である。 特殊操作モードを設定時のタワークレーンの動作説明図である。同図ではアウトリガ張出状態のクローラクレーンの模式的な平面図に定格荷重切替ライン及び定格荷重テーブル判定ラインが記されている。 特殊操作モードを設定時のアウトリガ画面の一例を示す図である。 (a)〜(f)は、特殊展開姿勢の他の例を示す模式図である。
以下、本発明に係るモーメントリミッタ装置を備えるブーム作業機の一実施形態であるクローラクレーンについて、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なる場合があることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
(実施形態)
(構成)
図1に示すように、本発明の実施形態に係るタワークレーン1(以下、単に「クレーン1」と称す)は、フレーム2と、フレーム2の下部に設けられたクローラ式の走行体3と、フレーム2の上部に旋回可能に設けられたコラム4とを備えている。加えて、コラム4の上部に枢支された伸縮且つ起伏自在な起伏ブーム5Aと、起伏ブーム5Aの先端に枢支された伸縮且つ起伏自在な折曲げブーム5Bと、起伏ブーム5Aを起伏するためのブーム起伏用油圧シリンダ6Aとを備えている。更に、折曲げブーム5Bを起伏するためのブーム起伏用油圧シリンダ6Bと、起伏ブーム5Aに設けられ且つワイヤロープの巻き回されたウインチ7と、ウインチ7から繰り出されたワイヤロープを介して折曲げブーム5Bの先端から吊り下げられたフック8とを備えている。
以下、起伏ブーム5A及び折曲げブーム5Bを総じて「ブーム5」と略記する場合がある。
このクレーン1には、更にクレーン作業時の安定を確保するため、フレーム2の前端部と後端部にそれぞれ左右一対(計4基)のアウトリガA、B、C、Dが設けられている。
起伏ブーム5Aには、ブーム長検出器40Aとブーム角検出器41Aとが設けられており、折曲げブーム5Bには、ブーム長検出器40Bとブーム角検出器41Bとが設けられている。ブーム起伏用油圧シリンダ6A及び6Bには、内圧差で吊荷の実荷重を検出する荷重検出器42が設けられている。荷重検出器42には、内圧差で実荷重を検出するものに限らずロードセルを用いるもの等、他の方式のものを用いることもできる。
フレーム2とコラム4との間には、ブーム5の旋回角度を検出するブーム旋回角検出器43が設けられている。
クレーン1のアウトリガA、B、C、Dの各々は、図2に示すように、フレーム2にアウトリガ回転軸10で水平方向へ回動自在に支持されたブラケット11と、ブラケット11にアーム起伏軸17で起伏自在に支持されたアーム12とを備えている。加えて、アーム12にアウターボックス起伏軸18で起伏自在に支持されたアウターボックス14と、アウターボックス14に摺動自在に嵌挿されたインナーボックス15とを備えている。更に、インナーボックス15の先端に揺動自在に連結されたアウトリガフロート16と、ブラケット11とアーム12との間に設けられアーム12を起伏させる縦アウトリガシリンダ13とを備えている。
更に、クレーン1は、図1及び図2に示すように、アウトリガA及びBの各々のブラケット11のアウトリガ回転軸10の支持部分の上部にフレーム2から突出して設けられた前方側固定プレート9Fを備えている。
なお更に、クレーン1は、アウトリガC及びDの各々のブラケット11のアウトリガ回転軸10の支持部分の上部にフレーム2から突出して設けられた後方側固定プレート9Bを備えている。
前方側固定プレート9F及び後方側固定プレート9Bは、後述する固定ピン28によって、アウトリガA、B、C、Dを所定の展開位置にて固定するためのプレートである。
図3に示すように、前方側固定プレート9Fには、アウトリガA及びBの各々の予め設定された複数の展開角度にそれぞれ対応した位置に板面を貫通する4つの固定孔9Fa、9Fb、9Fc及び9Fdが設けられている。更に、後方側固定プレート9Bには、アウトリガC及びDの各々の予め設定された複数の展開角度にそれぞれ対応した位置に板面を貫通する4つの固定孔9Ba、9Bb、9Bc及び9Bdが設けられている。
また、図示省略するが、ブラケット11の上部には前方側固定プレート9F及び後方側固定プレート9Bと対面する位置に可動プレートが設けられている。この可動プレートには、アウトリガA、B、C、Dの各々の予め設定された複数の展開角度にそれぞれ対応した位置に複数(例えば3つ)の固定孔が設けられている。
そして、アウトリガA及びBは、前方側固定プレート9Fの固定孔9Fa〜9Fdのいずれか1つと、可動プレートの複数の固定孔のいずれか1つとを同軸に重ね合わせて固定ピン28を挿入することによって、アウトリガA及びBを所定の展開角度に固定することが可能となっている。加えて、アウトリガC及びDは、後方側固定プレート9Bの固定孔9Ba〜9Bdのいずれか1つと、可動プレートの複数の固定孔のいずれか1つとを同軸に重ね合わせて固定ピン28を挿入することによって、アウトリガC及びDを所定の展開角度(格納位置(0°)を含む)に固定することが可能となっている。
アーム12の先端部には、アウターボックス14を、アウトリガの張出距離Lfを予め設定した最大距離を含む長めの距離に設定可能な角度に固定するための最大張出固定孔19が設けられている。加えて、アウトリガの張出距離Lfを予め設定した最小距離を含む短めの距離に設定可能な角度に固定するための最小張出固定孔20と、アウターボックス14を格納位置に固定するための格納固定孔21とが設けられている。そして、アウトリガA、B、C、Dは、アウターボックス14の基端部の角度固定孔(図示略)を、最大張出固定孔19、最小張出固定孔20、又は格納固定孔21に同軸に重ね合わせて固定ピン22を挿入することにより、アーム12に対するアウターボックス14の角度を各固定孔に応じた角度に固定することが可能となっている。
また、インナーボックス15の基端側には最大固定孔23が、インナーボックス15の先端側には最小固定孔24が、インナーボックス15の最大固定孔23及び最小固定孔24の中間位置には中間固定孔27がそれぞれ設けられている。そして、アウトリガA、B、C、Dは、アウターボックス14の先端部の伸縮固定孔26に、インナーボックス15の最大固定孔23、中間固定孔27又は最小固定孔24を同軸に重ね合わせて固定ピン25を挿入する。これにより、アウターボックス14の固定角度との組み合わせから、アウトリガの張出距離Lfが最長、中間長(複数)又は最短となるようアウターボックス14とインナーボックス15の全長を変えて固定することが可能となっている。
アウトリガ回転軸10の軸上にはアウトリガ(ブラケット11)の水平方向への展開角度を検出するためのアウトリガ展開角検出器30が取り付けられている。アウトリガ展開角検出器30には、ポテンショメータやエンコーダ等が用いられる。
アウトリガ回転軸10を覆うハウジングの各可動プレートの下部位置には各前方側固定プレート9Fの固定孔9Fa〜9Fdのいずれか1つ及びこれと対応する可動プレートの複数の固定孔のいずれか1つに固定ピン28が挿入されたこと、並びに各後方側固定プレート9Bの固定孔9Ba〜9Bdのいずれか1つ及びこれと対応する可動プレートの複数の固定孔のいずれか1つに固定ピン28が挿入されたことを検出するための展開角固定状態検出部35が設けられている。
この展開角固定状態検出部35は、各前方側固定プレート9Fの固定孔9Fa〜9Fd及びこれらと対向する可動プレートの複数の固定孔とに共通の前方側検出用プレート(図示略)と、各後方側固定プレート9Bの固定孔9Ba〜9Bd及びこれらと対向する可動プレートの複数の固定孔とに共通の後方側検出用プレート(図示略)と、各前方側検出用プレート及び各後方側検出用プレートの回動動作を検出する検出器(図示略)とを含んで構成される。各前方側検出用プレートは、固定孔9Fa〜9Fd及びこれらと対向する可動プレートの固定孔のいずれの組に固定ピン28が挿入されても回動する構成となっている。同様に、各後方側検出用プレートは、固定孔9Ba〜9Bd及びこれらと対向する可動プレートの固定孔のいずれの組に固定ピン28が挿入されても回動する構成となっている。従って、各前方側検出用プレート及び各後方側検出用プレートの回動動作を検出器にて検出することで固定ピン28の挿入状態を検出することが可能である。なお、この検出器には、リミットスイッチや近接スイッチ等が用いられる。
縦アウトリガシリンダ13の基端部には、アウトリガフロート16が接地したことを検出するためのアウトリガ接地検出器31が取り付けられている。アウトリガ接地検出器31には、リミットスイッチ、近接スイッチ、ロードセル等が用いられる。
アーム12の先端側には、アーム12の角度を検出するためのアーム角検出器32と、アウターボックス14の最大張出固定孔19に固定ピン22が挿入されたこと、及び最小張出固定孔20に固定ピン22が挿入されたことを検出するアウターボックス角検出器33が取り付けられている。アーム角検出器32には、ポテンショメータやエンコーダ、アウターボックス角検出器33には、リミットスイッチ、近接スイッチ等が用いられる。ここで、最大張出固定孔19に固定ピン22が挿入されたときと、最小張出固定孔20に固定ピン22が挿入されたときのアウターボックス14の角度は既知であるため、固定ピン22がどちらの固定孔に挿入されているかで角度を特定することが可能である。
アウターボックス14には、インナーボックス15の伸長した長さを検出するためのインナーボックス長検出器34が取り付けられている。インナーボックス長検出器34には、リミットスイッチ、近接スイッチ、ポテンショメータ等が用いられる。
更に、クレーン1は、一部図示省略するが、ブーム5(コラム4)の旋回を行うための旋回用油圧モータ、起伏ブーム5A及び折曲げブーム5Bの伸縮を行うためのブーム伸縮用油圧シリンダ、ウインチ7のワイヤロープの巻き取り及び繰り出し(フック8の巻上げ及び巻下げ)を行うためのウインチ用油圧モータ、起伏ブーム5A及び折曲げブーム5Bの起伏を行うためのブーム起伏用油圧シリンダ6A及び6B等の油圧アクチュエータを備える。
加えて、他の油圧アクチュエータとして、上記した縦アウトリガシリンダ13と、図示省略するが、アウターボックス14及びインナーボックス15に内蔵され、アウターボックス14の起伏用且つインナーボックス15の伸縮用の横アウトリガシリンダとを備える。
なお更に、クレーン1は、図示省略するが、上記各油圧アクチュエータを作動するための駆動源(例えばエンジンや電動モータ等)と、駆動源を駆動制御する駆動制御回路71(後述)と、駆動源にて駆動される油圧ポンプと、油圧ポンプから吐出された圧油を上記各油圧アクチュエータに供給するための各種切換制御弁を含んで構成される油圧回路とを備える。なお、本実施形態の駆動源は、駆動制御回路71からの駆動制御信号の入力が無い状態(または指令値が0)のときに、低下可能な最低の出力状態(例えば駆動源がエンジンの場合はアイドリング状態)となるように構成されている。
更に、クレーン1は、図示省略するが、各種切換制御弁へと圧油を送油するための主管路と、主管路を介して送油した圧油をタンクへと戻すための戻り管路と、主管路と戻り管路との間に設けられたアンロード弁と、アンロード弁作動用電磁弁70とを備える。
なお更に、クレーン1は、図示省略するが、主管路と戻り管路との間に設けられたリリーフ弁と、リリーフ弁作動用電磁弁とを備える。
アンロード弁作動用電磁弁70は、ON−OFF型の電磁弁から構成されており、本実施形態では、後述する演算制御部100からのアンロード弁作動信号の供給に応じてON状態となり、非供給に応じてOFF状態となる。そして、ON状態のときにアンロード弁を開状態として、主管路と戻り管路とを連通させるようになっている。即ち、油圧ポンプから吐出した圧油を、各種切換制御弁を介さずにタンクに戻すようになっている。これによって、油圧ポンプの運転状態を、圧油を無負荷で循環するアンロード状態(無負荷運転状態)にさせることが可能となっている。
アンロード状態では、作業者が機体側の操作レバー(図示略)や遠隔操作装置(図示略)を操作しても各アウトリガシリンダを含む各油圧アクチュエータに対して圧油が供給されなくなる。例えば、アウトリガの設置完了前にアンロード状態とすることで、アウトリガの設置動作を完了することができない状態となる。
リリーフ弁作動用電磁弁は、ON−OFF型の電磁弁から構成されており、本実施形態では、演算制御部100からのリリーフ弁作動信号の供給に応じてON状態となり、リリーフ弁作動信号の非供給に応じてOFF状態となる。そして、ON状態のときに主管路からの圧油の油路を、リリーフ弁を圧油が流れる油路へと切り換える。
ここで、リリーフ弁は、その設定リリーフ圧が、通常作動時のリリーフ圧であるメイン設定圧Pmよりも低い低設定圧Ps(Pm>Ps)となっている。従って、リリーフ弁作動用電磁弁をON状態としてリリーフ弁を作動することで、圧油の圧力上限を低設定圧Psに制限することが可能である。これによって、リリーフ弁作動用電磁弁がON状態の間は、クレーン1の全ての作業動作の速度上限を通常よりも低速に制限することが可能となる。
また、本実施形態のモーメントリミッタ装置では、アウトリガA、B、C、Dの設定可能(固定ピン28で固定可能)な展開角度のうち、作業者の誤操作等によって転倒可能性が非常に高い展開角度については設置禁止角度として設定するようになっている。
具体的に、本実施形態では、アウトリガA、B、C、Dのそれぞれの最大展開角度を設置禁止角度として設定している。本実施形態のアウトリガA、B、C、Dでは、前方側のアウトリガA及びBの最大展開角度は168°となっており、後方側のアウトリガC及びDの最大展開角度は180°となっている。
ここで、図3に示すように、アウトリガA及びBを最大展開角度に展開して固定する場合は、アウトリガA及びBを展開方向に回動させて前方側固定プレート9Fの固定孔9Fcに可動プレートの固定孔を同軸に重ね合わせて固定ピン28を挿入する。一方、アウトリガC及びDを最大展開角度に展開して固定する場合は、アウトリガC及びDを展開方向に回動させて後方側固定プレート9Bの固定孔9Baに可動プレートの固定孔を同軸に重ね合わせて固定ピン28を挿入する。
また、本実施形態では、通常は、上記した設置禁止角度で固定ピン28にて固定されているアウトリガが1本でもある状態では、アウトリガA、B、C、Dの設置動作を完了できないようにアウトリガの動作が制御される。即ち、アウトリガA、B、C、Dの展開角度がいずれもクレーン1のブーム5を使用した作業時に機体を安定して支持可能な展開角度(以下、「通常展開角度」と称す)で構成される展開姿勢(以下、「通常展開姿勢」と称す)に対してのみアウトリガの設置動作の完了を許可すると共に設置完了後のブーム5の使用を許可する。以下、このような操作モードを「通常操作モード」と称する。通常操作モードは、設置禁止角度に対してアウトリガの設置動作の完了を禁止することで、設置完了後のブーム5の使用を禁止する操作モードとなる。また、通常操作モードは電源投入時に初期設定される操作モードである。
一方、例えば密集住宅地などの狭所の多い場所では、設置禁止角度を含む展開状態でアウトリガを設置する必要性が生じる場合がある。本実施形態のモーメントリミッタ装置は、このような状況を考慮して、設置禁止角度を含む特定の展開姿勢(以下、「特殊展開姿勢」と称す)でのアウトリガの設置動作の完了を許可すると共に設置完了後のブーム5の使用を許可する操作モードを備えている。以下、この操作モードを「特殊操作モード」と称する。特殊操作モードは、後述する意思確認を伴う特別な操作を行わないと移行することができない特殊な操作モードである。
本実施形態のモーメントリミッタ装置は、通常操作モードから特殊操作モードへの切替を行う際に、クレーン1を操作する作業者が、誤操作によって転倒可能性の非常に高い展開姿勢でアウトリガを設置することを認識した上で特殊操作モードを使用する意思があるか否かを判定するための処理を実行するようになっている。具体的に、特殊操作モードを使用する上での注意事項に対する作業者への注意喚起と作業者の特殊操作モードの使用に対する意思確認とを行う処理を含む操作モード設定処理(詳細は後述)を実行するようになっている。
次に、図示省略するが、クレーン1の適所には演算制御部100と警報部101と表示部102とが設けられている。
演算制御部100には、図4に示すように、アウトリガ展開角検出器30、展開角固定状態検出部35、アーム角検出器32、アウターボックス角検出器33、インナーボックス長検出器34、アウトリガ接地検出器31、荷重検出器42、ブーム長検出器40A及び40B、ブーム角検出器41A及び41B、ブーム旋回角検出器43が接続され、各検出器からの信号が入力されるようになっている。更に、演算制御部100には、警報部101、表示部102、アンロード弁作動用電磁弁70及び駆動制御回路71が接続されている。
演算制御部100は、アウトリガ展開角検出器30及び展開角固定状態検出部35からの信号に基づき、アウトリガA、B、C、Dがそれぞれどのような展開角度で固定されているかを検出する。そして、これら固定された展開角度の組合せに基づき操作モード設定処理を実行して、クレーン1の操作モードを通常操作モード及び特殊操作モードのいずれか一方に設定する。
本実施形態では、アウトリガA、B、C、Dが設置禁止角度を含む特殊展開姿勢で固定されているときに特殊操作モードの設定が可能となっている。但し、特殊操作モードを設定するためには後述する他の条件も満足する必要がある。
例えば、図5(a)に示すようにアウトリガB及びCがそれぞれ最大展開角度で展開し且つアウトリガA及びDが通常展開角度で展開している場合に特殊展開姿勢として判定される。加えて、例えば、図5(b)に示すようにアウトリガA及びDがそれぞれ最大展開角度で展開し且つアウトリガB及びCが通常展開角度で展開している場合に特殊展開姿勢として判定される。
更に、演算制御部100は、各検出器からの信号に基づき過負荷防止制御処理を実行してクレーン1が過負荷状態にあるか否かを判定する。そして、過負荷状態にあると判定したときに、警報を出力すると共にクレーン1の作業動作を停止する処理を実行する。
更に、演算制御部100は、特殊操作モードが設定されているときに、各検出器からの信号に基づきクレーン作動制限処理を実行して、クレーン1の作業動作を制限するようになっている。
また、演算制御部100は、各検出器からの信号と操作モード設定処理の処理結果と過負荷防止制御処理における演算結果とに基づいてアウトリガ画面表示処理を実行し、適時、表示部102にアウトリガ画面の画像表示信号を出力するようになっている。ここで、アウトリガ画面は、クレーン1の機体と各アウトリガA、B、C、Dとを模式的に示す画像、各アウトリガA、B、C、Dの接地状態を示す文字画像、各アウトリガA、B、C、Dの展開角度を示す文字画像、後述する仮想エリアに設定された定格荷重性能を示す文字画像、後述するクレーン作業禁止範囲を示す文字画像等を含む画面である。アウトリガを模式的に示す画像は、実際のアウトリガの張出状態に合わせた長さで且つ実際の展開角度に応じた位置に表示されるようになっている。
警報部101は、演算制御部100からの警報出力信号の受信に応じて警報ブザー等の警報音を出力する装置から構成されている。
表示部102は、液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイ等から構成される。表示部102は、演算制御部100からの画像表示信号に基づき画像を表示する。
ここで、本実施形態のクレーン1にてクレーン作業を行なう場合、まず、作業者は、アウトリガA、B、C、Dを張り出す方向(以下、「張出方向」と称す)を決定する。張出方向を決定したら、次に、フレーム2側の固定プレート及びブラケット11側の可動プレートの固定孔に挿入された固定ピン28を引き抜き、格納状態にあるアウトリガA、B、C、Dを手動で放射状に張出方向に対応する展開角度位置へと水平回動させる。このとき、クレーン作業中にアウトリガA、B、C、Dが回転しないように、所望の展開角度位置で重なり合う固定プレートの固定孔と可動プレートの固定孔とに、固定ピン28を挿入する。その後、機体の操作レバー(図示略)の操作又は遠隔操作装置(図示略)の操作によって、各横アウトリガシリンダを駆動してアウターボックス14を最伏状態から拡げて、アウターボックス14の角度固定孔(図示略)を、最大張出固定孔19又は最小張出固定孔20に合わせ、固定ピン22を挿入する。
次に、機体の操作レバーの操作又は遠隔操作装置の操作によって、各横アウトリガシリンダを駆動してインナーボックス15を伸長させる。これにより、アウターボックス14の伸縮固定孔26をインナーボックス15の最大固定孔23、中間固定孔27又は最小固定孔24に合わせ、固定ピン25を挿入する。
続いて、機体の操作レバー又は遠隔操作装置の操作によって、各縦アウトリガシリンダ13を駆動して、アウトリガフロート16を接地させる。このとき、走行体3のクローラ下面が地面から離れる(例えば50mm程度)まで、縦アウトリガシリンダ13を駆動させる。これによって、アウトリガA、B、C、Dの設置動作が完了する。なお、アウトリガの設置作業は、上記のようにアウトリガの展開を作業者の手によって行う構成に限らず、展開動作もアクチュエータによる自動作業で行う構成としてもよい。また、超小型のクレーンであれば、アーム12の起伏動作以外の動作を手動で行う構成としてもよい。
ここで、アウトリガ展開角検出器30、アーム角検出器32、アウターボックス角検出器33、インナーボックス長検出器34、アウトリガ接地検出器31、荷重検出器42、ブーム長検出器40A及び40B、ブーム角検出器41A及び41B、ブーム旋回角検出器43、演算制御部100、警報部101及び表示部102からモーメントリミッタ装置が構成される。
(操作モード設定処理)
以下、演算制御部100で実行される操作モード設定処理の処理手順の一例について詳しく説明する。
演算制御部100で操作モード設定処理が開始されると、図6に示すように、まず、ステップS100に移行する。
ステップS100では、展開角固定状態検出部35からの信号に基づきアウトリガA、B、C、Dの展開角度が固定ピン28によって固定された状態であるか否かを判定する。そして、固定された状態であると判定した場合(Yes)は、ステップS102に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、一連の処理を終了する。
ステップS102に移行した場合は、アウトリガ展開角検出器30からの信号に基づき、アウトリガA、B、C、Dの展開角度情報を取得して、ステップS104に移行する。
ステップS104では、ステップS102で取得した展開角度情報に基づき設置禁止角度が設定されているか否かを判定する。そして、設置禁止角度が設定されていると判定した場合(Yes)は、ステップS106に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、一連の処理を終了する。
ここで、設置禁止角度が設定されているか否かの判定は、本実施形態では、アウトリガA、B、C、Dの展開角度のうち少なくとも1つが予め設定したブームを使用する作業を行った際に機体が転倒する可能性がある状態で機体を支持する設置禁止の展開角度(本実施形態では最大展開角度)となっているか否かによって判定する。即ち、転倒可能性のある展開角度に設定されているものが1つでもある場合に設置禁止角度が設定されていると判定する。
なお、本実施形態では、クレーン1は、その機体重量が大きく且つ前後方向に長尺な形状となっており前後方向の安定性が高い構成となっているため、前後方向への転倒を考慮していない。即ち、アウトリガA、B、C、Dの展開姿勢が機体前後方向に直交する方向に張出する展開姿勢(展開角度90°)であっても通常展開角度として判定する。そのため、本実施形態では、左右方向及び斜め方向の転倒のみを考慮して、設置禁止角度を最大展開角度としている。
また、本実施形態において、クレーン1の操作モードは、通常操作モードが初期設定された状態となる。そして、設置禁止角度が設定されていない場合は、通常操作モードが維持された状態となり、このとき、アンロード状態となっている場合はアンロード状態が解除されるようになっている。
ステップS106に移行した場合は、アウトリガA、B、C、Dの設置動作の完了を禁止すべく、アンロード弁作動信号をクレーン1の備えるアンロード弁作動用電磁弁70に出力する。その後、ステップS108に移行する。
これにより、設置禁止角度が設定されている場合は、クレーン1がアンロード状態となるため、各アウトリガシリンダが作動しなくなり、アウトリガA、B、C、Dの設置動作を完了することができない状態となる。
ステップS108では、設置禁止角度を含む各アウトリガの展開角度の組合せとブーム角検出器41Aからの信号とに基づきクレーン1が特殊操作モードに移行可能な状態であるか否かを判定する。そして、移行可能な状態であると判定した場合(Yes)は、ステップS110に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS118に移行する。
本実施形態では、アウトリガA、B、C、Dが特殊展開姿勢で固定され且つ起伏ブーム5Aの起伏角度が予め設定された起伏角度に設定されているときに、特殊操作モードに移行可能な状態であると判定する。
具体的に、本実施形態の特殊展開姿勢は、アウトリガA及びDの少なくとも一方が最大展開角度(設置禁止角度)で展開し且つアウトリガB及びCの双方が通常展開角度で展開している姿勢となる。加えて、アウトリガB及びCの少なくとも一方が最大展開角度で展開し且つアウトリガA及びDの双方が通常展開角度で展開している姿勢となる。従って、例えば、最大展開角度のアウトリガが3本以上あったり、アウトリガA、B、C、Dの全てが最大展開角度になっていたりする場合は、特殊操作モードに移行可能な状態ではないと判定される。
なお、本実施形態において、通常展開角度は、具体的に、固定ピン28で固定可能な展開角度のうち、最大展開角度及び格納時の角度(展開角度0°)を除く残りの展開角度となる。例えば、可動プレート側に固定孔が3つ設けられている場合は、固定プレート側の4つと合わせて最大で12通りの展開角度が設定可能である。但し、展開可動域の問題等から、通常展開角度として、例えば、図5(a)及び(b)に示すように、前方側で5通り、後方側で6通りの展開角度が設定可能となっている。
また、本実施形態のクレーン1は、図7に示すように、起伏ブーム5Aの起伏角度を、85°、90°、95°の3種類から選択して設定(固定)できる構成となっている。そして、特殊操作モードへの移行が可能な起伏角度は、90°及び95°となる。即ち、起伏ブーム5Aの起伏角度が85°に設定されている場合は、上記特殊展開姿勢の条件を満足していても特殊操作モードへの移行が可能な状態ではないと判定される。
図6に戻って、ステップS110に移行した場合は、表示部102に、作業者に対して特殊操作モードを使用する上での注意事項に対する注意喚起を行うと共に特殊操作モードを使用する意思があるか否かを確認するための意思確認画面を表示する。その後、ステップS112に移行する。
ここで、意思確認画面には、上記注意事項に対する注意喚起のメッセージ(例えば警告文)と、作業者が特殊操作モードを使用する場合の所定の操作方法を示すメッセージが表示される。加えて、特殊操作モードを使用しない場合の設置動作の完了を禁止する状態(アンロード状態)を解除する方法を示すメッセージが表示される。
具体的に、本実施形態では、例えば図8に示すように、意思確認画面300を表示する。この意思確認画面300には、特殊操作モードが誤操作により転倒可能性が非常に高いモードであることを示す警告メッセージと、安全装置停止解除キースイッチをONにしてくださいといった特殊操作モードに移行するための操作内容を示すメッセージとが表示される。加えて、固定ピン28を抜き、アウトリガを安全な姿勢(展開角度)に展開し直してくださいといった特殊操作モードを使用しない場合の解除方法を示すメッセージが表示される。
図6に戻って、ステップS112では、後述する安全装置停止解除キースイッチ51がON状態になったか否かを判定することで、使用する意思があると確認されたか否かを判定する。そして、使用する意思があると確認されたと判定した場合(Yes)は、ステップS114に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS118に移行する。
ここで、例えば図9に示すように、本実施形態のクレーン1は、機体の操作レバーの上部に非常操作パネル50が設けられており、非常操作パネル50には、安全装置停止解除キースイッチ51が設けられている。作業者は付属のキー60を安全装置停止解除キースイッチ51のキー孔に挿入して時計回りに回すことで安全装置停止解除キースイッチ51をON状態にすることが可能となっている。
図6に戻ってステップS114に移行した場合は、通常操作モードから特殊操作モードへと切り替えて、ステップS116に移行する。特殊操作モードへの切替は、予め設定された特殊操作モードフラグをON状態にすることで行う。ここで、特殊操作モードフラグは、ON状態のときに特殊操作モードの設定状態を示し、OFF状態のときに特殊操作モードの未設定状態を示す。なお、本実施形態において、特殊操作モードの未設定状態は、通常操作モードの設定状態を示す。
ステップS116では、アンロード状態を解除すべくアンロード弁作動信号の出力を停止してアンロード弁作動用電磁弁70をOFF状態にする。その後、一連の処理を終了する。これによって、アンロード状態が解除され、特殊展開姿勢でのアウトリガの設置動作を完了することが可能となる。
特殊操作モードが設定された状態でアウトリガの設置を完了後は、例えば、図10(a)に示す特殊展開姿勢でアウトリガが張り出された状態となる。本実施形態において、この張出状態では、機体の右側方側のアウトリガB及びCが設置禁止角度で展開しているため、機体の右側方側のブーム5の180°のクレーン作業範囲がクレーン作業禁止範囲CTFに設定される。一方、クレーン作業禁止範囲CTFに対して反対側の機体の左側方側のブーム5の180°のクレーン作業範囲はクレーン作業可能範囲CPFとして設定される。
ここで、本実施形態のモーメントリミッタ装置は、特殊操作モードにおいて、設置禁止角度で展開しているアウトリガとその両隣の他のアウトリガとに挟まれたクレーン作業範囲のうち大きい方の範囲を含むクレーン作業範囲をクレーン作業禁止範囲CTFとして設定するように構成されている。加えて、クレーン作業禁止範囲CTFとして設定した範囲以外の残りのクレーン作業範囲をクレーン作業可能範囲CPFとして設定するように構成されている。
即ち、図10(a)の例であれば、設置禁止角度で展開されたアウトリガB及びCに対して、アウトリガA及びBに挟まれたクレーン作業範囲及びアウトリガC及びDに挟まれたクレーン作業範囲よりもアウトリガB及びCに挟まれたクレーン作業範囲の方が大きくなる。従って、機体の左右を分ける中心軸を境に、この大きい方のクレーン作業範囲側を含む180°の範囲をクレーン作業禁止範囲CTFとして設定する。
なお、図10(a)の例では、アウトリガB及びCの双方が最大展開角度で展開している状態を示したが、本実施形態では、アウトリガB及びCのうちいずれか1基のアウトリガのみが最大展開角度で展開している場合も機体の右側方側の180°のクレーン作業範囲がクレーン作業禁止範囲CTFとして設定される。
更に、本実施形態のモーメントリミッタ装置は、図10(a)に示すように、クレーン作業可能範囲CPF(左側方側の180°のクレーン作業範囲)におけるクレーン作業禁止範囲CTFの前後の所定のクレーン作業範囲(図10(a)中のθrの範囲)を旋回予告警報範囲RWFとして設定するように構成されている。そして、クレーン作業時に折曲げブーム5Bの旋回位置が旋回予告警報範囲RWF内にある間は、警報部101から警報音を出力すると共に、クレーン1の全ての作業動作の速度上限を通常操作モードのときの速度上限よりも低速に制限する制御を行うように構成されている。なお、クレーン作業可能範囲CPFにおける旋回予告警報範囲RWF以外の範囲では、作業動作の速度上限が通常操作モードのときと同じ速度上限に制御されるように構成されている。
更に、特殊操作モードでは、ブーム5の旋回動作によって、折曲げブーム5Bの旋回位置がクレーン作業可能範囲CPF内の旋回予告警報範囲RWF内からクレーン作業禁止範囲CTF内へと変化すると、変化したときの旋回方向へと旋回し続けるブーム5の旋回動作を停止するように制御される。
以上のクレーン作業禁止範囲CTF、クレーン作業可能範囲CPF及び旋回予告警報範囲RWFの説明は、アウトリガA及びDの少なくとも一方が最大展開角度で展開している場合についても同様となる。また、これら各範囲の情報は、メモリ100aに予め記憶されている。
また、本実施形態のモーメントリミッタ装置は、図10(b)に示すように、折曲げブーム5Bの作業可能な対地角度範囲(図10(b)中のθxの範囲)を起伏可能範囲UPFとして設定する。加えて、起伏可能範囲UPFのうち所定の角度範囲(図10(b)中のθαの範囲)を起伏予告警報範囲UWFとして設定するように構成されている。そして、クレーン作業時に折曲げブーム5Bの対地角度が起伏予告警報範囲UWF内の値となる間は、警報部101から警報音を出力すると共に、クレーン1の全ての作業動作の速度上限を通常操作モードのときの速度上限よりも低速に制限する制御を行うように構成されている。一方、残りの対地角度範囲(図10(b)中のθyの範囲)では作業動作の速度上限の制限を行わないように構成されている。なお、起伏可能範囲UPF及び起伏予告警報範囲UWFの情報は、メモリ100aに予め記憶されている。
図6に戻って、ステップS112で安全装置停止解除キースイッチ51がON状態になっておらずステップS118に移行した場合は、特殊操作モードを使用する意思が無いと確認されたか否かを判定する。そして、使用する意思が無いと確認されたと判定した場合(Yes)は、一連の処理を終了し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS112に移行する。
本実施形態では、安全装置停止解除キースイッチ51がOFF状態で、固定ピン28が引き抜かれた場合、特殊操作モードを使用しない場合の指示メッセージに応じた操作が行われたとして、特殊操作モードを使用する意思が無いと確認したと判定する。この場合、設置禁止角度を含まない通常展開姿勢で固定ピン28が挿入されるまで通常操作モードのままアンロード状態を維持する。
(過負荷防止制御処理)
次に、演算制御部100で実行される過負荷防止制御処理の処理手順の一例について詳しく説明する。なお、過負荷防止制御処理は、予め設定した周期で繰り返し実行される処理である。
演算制御部100で過負荷防止制御処理が開始されると、図11に示すように、まず、ステップS200に移行する。
ステップS200では、各アウトリガ接地検出器31からの信号に基づき、アウトリガA、B、C、Dのアウトリガフロート16が接地された状態であるか否かを判定する。そして、接地された状態であると判定した場合(Yes)は、ステップS202に移行し、接地されていない状態であると判定した場合(No)は、一連の処理を終了する。
ステップS202に移行した場合は、アウトリガA、B、C、Dの各々のアウトリガ展開角検出器30、アーム角検出器32、アウターボックス角検出器33及びインナーボックス長検出器34の各検出器からの信号に基づき、クレーン1の基準位置(例えば、ブーム旋回中心B0)を原点としたアウトリガフロート16の中心座標(相対座標)を算出する。その後、ステップS204に移行する。
ここで、クレーン1の基準位置の情報は、演算制御部100の有するメモリ100aに予め記憶されている。
ステップS204では、ブーム旋回中心B0と各アウトリガフロート16の中心座標とを通る仮想直線である仮想ラインを定格荷重切替ラインLa、Lb、Lc、Ldとして設定し、ステップS206に移行する。
具体的に、図12及び図13中の破線に示すように、ブーム旋回中心B0と同図中に白丸及び黒丸で示される各アウトリガフロート16の中心座標(現在の接地位置に対応する中心座標)とを通る仮想の直線である仮想ラインを設定する。なお、図12及び図13中では、張出距離Lfが最長となる場合の水平方向の各展開角度における定格荷重切替ラインLa、Lb、Lc、Ldを破線で示している。また、定格荷重切替ラインLa及びLbで挟まれた機体前方側の領域を前方仮想エリアとし、定格荷重切替ラインLb及びLcで挟まれた機体右側方側の領域を右仮想エリアとする。更に、定格荷重切替ラインLc及びLdで挟まれた機体後方側の領域を後方仮想エリアとし、定格荷重切替ラインLd及びLaで挟まれた機体左側方側の領域を左仮想エリアとする。以下、前方仮想エリア、右仮想エリア、後方仮想エリア及び左仮想エリアを区別する必要が無い場合に、単に「仮想エリア」と称する。
図11に戻って、ステップS206では、ブーム旋回方向に隣り合う各2基のアウトリガのアウトリガフロート16の中心座標に基づき、前方仮想エリア、右仮想エリア、後方仮想エリア及び左仮想エリアにおける定格荷重性能をそれぞれ設定する。その後、ステップS208に移行する。
ここで、図12及び図13中の一点鎖線に示すように、クレーン1の機体の前方、右側方、後方及び左側方には、定格荷重テーブル判定ラインLwF、LwR、LwB及びLwLが設定されている。定格荷重テーブル判定ラインLwF、LwR、LwB及びLwLは、クレーン1の安定度に基づき、前方、右側方、後方、左側方に予め所定の値が設定されている。また、定格荷重テーブル判定ラインLwF、LwR、LwB及びLwLは、4本の仮想直線によって設定され、クレーン1の機体部分を囲う四角を形成する。
具体的に、機体の前方側及び後方側の定格荷重テーブル判定ラインLwF及びLwBは、機体の左右方向に沿った直線から構成されている。定格荷重テーブル判定ラインLwFは、前端側の2基のアウトリガA及びBのアウトリガフロート16の中心座標の位置が、最大定格荷重性能を発揮可能な位置となるか否かを分ける境界線である。また、定格荷重テーブル判定ラインLwBは、後端側の2基のアウトリガC及びDのアウトリガフロート16の中心座標の位置が、最大定格荷重性能を発揮可能な位置となるか否かを分ける境界線である。即ち、定格荷重テーブル判定ラインLwF及びLwBは、折曲げブーム5Bの先端が前方仮想エリア側及び後方仮想エリア側に向いているときにクレーン1が最大吊上性能を発揮するために最低限越えなければならない必要十分な張出距離を規定した仮想ラインである。
実施形態では、定格荷重テーブル判定ラインLwF及びLwBは、いずれも最大定格荷重性能を発揮可能な最短の張出距離の位置に設定されている。従って、アウトリガフロート16の中心座標が定格荷重テーブル判定ラインLwF及びLwBのライン上並びにLwF及びLwBよりも外側にあるときは最大定格荷重性能を発揮可能と判定される。
即ち、図12に示すように、アウトリガフロート16の中心座標が同図中の黒丸で示す位置にあるときは、中心座標が定格荷重テーブル判定ラインLwF及びLwBのライン上又は外側に位置しており、最大定格荷重性能を発揮可能な位置となる。一方、アウトリガフロート16の中心座標が図12中の白丸で示す位置にあるときは、中心座標が定格荷重テーブル判定ラインLwF及びLwBの内側に位置しており、最大定格荷重性能を発揮させてはいけない位置となる。
一方、図12及び図13中の一点鎖線に示すように、機体の右側方側及び左側方側の定格荷重テーブル判定ラインLwR及びLwLは、機体の前後方向に沿った直線から構成されている。定格荷重テーブル判定ラインLwRは、右側方側の2基のアウトリガB及びCのアウトリガフロート16の中心座標の位置が、最大定格荷重性能を発揮可能な位置となるか否かを分ける境界線である。また、定格荷重テーブル判定ラインLwLは、左側方側の2基のアウトリガA及びDのアウトリガフロート16の中心座標の位置が、最大定格荷重性能を発揮可能な位置となるか否かを分ける境界線である。即ち、定格荷重テーブル判定ラインLwR及びLwLは、折曲げブーム5Bの先端が右仮想エリア側及び左仮想エリア側に向いているときにクレーン1が最大吊上性能を発揮するために最低限越えなければならない必要十分な張出距離を規定した仮想ラインである。
実施形態では、最大定格荷重性能を発揮可能な最短距離の位置に設定され、アウトリガフロート16の中心座標が定格荷重テーブル判定ラインLwR及びLwLのライン上並びにLwR及びLwLよりも外側にあるときは最大定格荷重性能を発揮可能と判定される。
即ち、図13に示すように、アウトリガフロート16の中心座標が同図中の黒丸で示す位置にあるときは、中心座標が定格荷重テーブル判定ラインLwR及びLwLのライン上又は外側に位置しており、最大定格荷重性能を発揮可能な位置となる。一方、アウトリガフロート16の中心座標が同図中の白丸で示す位置にあるときは、中心座標が定格荷重テーブル判定ラインLwR及びLwLの内側に位置しており、最大定格荷重性能を発揮させてはいけない位置となる。
ここで、定格荷重テーブル判定ラインLwF、LwR、LwB、LwLは、機体(例えばブーム旋回中心B0)から一定距離離れた位置に設定されているが、この距離は、図12及び図13の例に示すように、機体の前後方向と左右方向とで異なる。
実施形態では、ブーム旋回方向に隣り合う各2基のアウトリガのアウトリガフロート16の中心座標がそれぞれ、定格荷重テーブル判定ラインのライン上又は外側にあるか否かの組み合わせに基づき各仮想エリアの定格荷重性能を判定する。
具体的に、前方仮想エリア及び後方仮想エリアに対しては、図12に示すように、機体の前端側及び後端側の各2基のアウトリガのアウトリガフロート16の中心座標の位置が両方とも黒丸となる組み合わせであれば、最大定格荷重性能と判定される。一方、両方とも白丸となる組み合わせであれば最小定格荷重性能と判定され、一方が白丸で他方が黒丸となる組み合わせであれば中間定格荷重性能と判定される。そして、判定結果の定格荷重性能が該当する仮想エリアに設定される。
一方、右仮想エリア及び左仮想エリアに対しては、図13に示すように、機体の右側端側及び左側端側の各2基のアウトリガのアウトリガフロート16の中心座標の位置が両方とも黒丸となる組み合わせであれば、最大定格荷重性能と判定される。一方、両方とも白丸となる組み合わせであれば最小定格荷重性能と判定され、一方が白丸で他方が黒丸となる組み合わせであれば中間定格荷重性能と判定される。そして、判定結果の定格荷重性能が該当する仮想エリアに設定される。
ここで、定格荷重テーブルは、最大定格荷重性能、中間定格荷重性能、最小定格荷重性能の各性能に対応するテーブルが、演算制御部100の有するメモリ100aに予め記憶されている。各定格荷重テーブルは、クレーン1の異なる複数の作業半径Rwにそれぞれ対応した定格荷重値Wrが登録されたテーブルとなる。
また、各性能の違いは、例えば、同じ作業半径Rwでも、最大定格荷重性能では定格荷重値Wrが3[t]、中間定格荷重性能では定格荷重値Wrが2[t]、最小定格荷重性能では定格荷重値Wrが1[t]といった具合に、最大定格荷重性能、中間定格荷重性能、最小定格荷重性能の順に定格荷重性能が劣るように設定されている。
図11に戻って、ステップS208では、ブーム旋回角検出器43及びブーム角検出器41Bからの信号に基づき、折曲げブーム5Bの旋回位置にある仮想エリアに設定された定格荷重性能に対応する定格荷重テーブルを、定格荷重値Wrの演算に使用する定格荷重テーブルとして選択する。その後、ステップS210に移行する。
ステップS210では、ブーム長検出器40A及び40Bとブーム角検出器41A及び41Bとからの信号に基づき、クレーン1の作業半径Rwを算出し、ステップS212に移行する。
ステップS212では、ステップS208で選択した定格荷重テーブルに基づき、ステップS210で求めた作業半径Rwに対する定格荷重値Wrを算出し、これを現在の作業姿勢に対する定格荷重値Wrとして設定する。その後、ステップS214に移行する。
ステップS214では、特殊操作モードが設定されているか否かを判定する。そして、設定されていると判定した場合(Yes)は、ステップS216に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS212で算出した定格荷重値Wrを、以降の過負荷状態の判定に用いる定格荷重値Wrとして設定して、ステップS218に移行する。
ステップS216に移行した場合は、ステップS212で算出した定格荷重値Wrの上限値を制限する処理を行い、処理後の値を以降の過負荷状態の判定に用いる定格荷重値Wrとして設定する。その後、ステップS218に移行する。
ここで、特殊操作モードが設定されている場合は、折曲げブーム5Bの旋回位置にある仮想エリアの定格荷重性能がどのような性能かに係わらず、一律、予め設定された値(例えば350[kg])が定格荷重値Wrの上限値Thwとなる。従って、ステップS212で算出した定格荷重値Wrと上限値Thwとを比較し、上限値Thwの方が大きいと判定した場合は定格荷重値Wrを上限値Thwに設定する。
ステップS218では、荷重検出器42からの信号に基づき実荷重値Wsを算出して、ステップS220に移行する。
ステップS220では、ステップS218で算出した実荷重値Wsと設定された定格荷重値Wrとを比較し、実荷重値Wsが定格荷重値Wr以上であるか否かを判定する。そして、定格荷重値Wr以上であると判定した場合(Yes)は、ステップS222に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、一連の処理を終了する。
ステップS222に移行した場合は、警報部101に警報出力信号を出力すると共に、アンロード弁作動用電磁弁70に対してアンロード弁作動信号を出力して、一連の処理を終了し元の処理に復帰する。これによって、警報部101によって警報音が出力され、アンロード弁作動用電磁弁70の作動によって油圧ポンプの運転状態がアンロード状態になる。即ち、クレーン1の作業動作が全て停止した状態となる。
(クレーン作動制限処理)
次に、演算制御部100で実行されるクレーン作動制限処理の処理手順について詳しく説明する。なお、クレーン作動制限処理は、予め設定した所定の周期で繰り返し実行される処理である。
演算制御部100でクレーン作動制限処理が開始されると、図14に示すように、まず、ステップS300に移行する。
ステップS300では、特殊操作モードが設定されているか否かを判定し、設定されていると判定した場合(Yes)は、ステップS302に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、一連の処理を終了する。
ステップS302に移行した場合は、ブーム旋回角検出器43及びブーム角検出器41Bからの信号に基づき、機体から折曲げブーム5Bの旋回位置を算出して、ステップS304に移行する。
ステップS304では、折曲げブーム5Bの旋回位置が旋回予告警報範囲RWF内にあるか否かを判定する。そして、旋回予告警報範囲RWF内にあると判定した場合(Yes)は、ステップS306に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS308に移行する。
ステップS306に移行した場合は、警報部101に警報出力信号を出力すると共に、駆動源の出力を、最低出力状態に制限するよう、駆動制御回路71から出力している駆動制御信号の出力を停止させる。その後、一連の処理を終了し元の処理に復帰する。これによって、警報部101によって警報音が出力され、駆動制御回路71による駆動源の最低出力作動によって圧油の供給量が制限される。即ち、折曲げブーム5Bの旋回位置が旋回予告警報範囲RWF内にある間は、警報音が出力されると共にクレーン作業に係る全ての作業動作の速度上限が制限された状態となる。その結果、全ての作業速度が低速に制限された状態となる。なお、駆動制御信号の出力停止は、例えば、演算制御部100から駆動制御回路71に対して出力停止指令信号を出力することで行う。ところで、上記のステップS306では、駆動源の出力を最低出力状態に制限するために、駆動制御信号の出力を停止させる制御を行ったが、他の一例として、駆動制御信号の指令値を0に設定するように制御を行うようにしても良い。
一方、ステップS308に移行した場合は、折曲げブーム5Bの旋回位置がクレーン作業禁止範囲CTF内にあるか否かを判定する。そして、クレーン作業禁止範囲CTF内にあると判定した場合(Yes)は、ステップS310に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS312に移行する。
ステップS310に移行した場合は、警報部101に警報出力信号を出力すると共に、折曲げブーム5Bが、旋回予告警報範囲RWF内からクレーン作業禁止範囲CTF内へと変化したときの旋回方向へと旋回し続ける制御を行うブーム5の旋回指令値を0に設定して、一連の処理を終了する。
これによって、折曲げブーム5Bの旋回位置がクレーン作業禁止範囲CTF内にある間は、警報部101によって警報音が出力されると共に、折曲げブーム5Bの旋回位置がクレーン作業可能範囲CPF内からクレーン作業禁止範囲CTF内へと変化したときの旋回方向へと旋回し続けるブーム5の旋回動作(以下、「旋回禁止動作」と称す)が強制的に停止された状態となる。なお、旋回禁止動作以外の動作は可能であるため、クレーン作業禁止範囲CTFから脱出する旋回方向への旋回動作や吊荷を下ろす動作等は可能である。
一方、ステップS312に移行した場合は、ブーム角検出器41A及び41Bからの信号に基づき、折曲げブームの対地角度を算出して、ステップS314に移行する。
ステップS314では、ステップS312で算出した対地角度が起伏予告警報範囲UWF内か否かを判定し、起伏予告警報範囲UWF内であると判定した場合(Yes)は、ステップS316に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、一連の処理を終了する。
ステップS316に移行した場合は、警報部101に警報出力信号を出力すると共に、駆動制御回路71から出力している駆動制御信号の出力を停止させて、一連の処理を終了し元の処理に復帰する。これによって、折曲げブーム5Bの対地角度が起伏予告警報範囲UWF内となる間は、警報音が出力されると共にクレーン作業に係る全ての作業動作の速度上限が制限された状態となる。具体的に、全ての作業速度が低速に制限された状態となる。なお、ここでもステップS306と同様、駆動制御信号の出力を停止させる制御を、駆動制御信号の指令値を0に設定する制御としても良い。
(動作)
次に、本実施形態に係るモーメントリミッタ装置を備えたクレーン1の動作例を説明する。
いま、例えば図15に示すような展開角度でアウトリガA、B、C、Dが展開され、固定ピン28によって、これら各展開角度で展開位置が固定されたとする。この場合、アウトリガA、B、C、Dの展開角度がいずれも通常展開角度になっているため通常操作モードが設定された状態となる。
その後、作業者の機体側の操作レバー又は遠隔操作装置の操作によって、アウトリガA、B、C、Dの設置作業が行われ、図15に示すような張出状態でアウトリガA、B、C、Dが設置されたとする。
クレーン1のモーメントリミッタ装置は、各アウトリガ接地検出器31からの信号に基づきアウトリガA、B、C、Dの各アウトリガフロート16がいずれも接地状態であるか否かを判定する。そして、いずれも接地状態であると判定すると、次に、アウトリガA、B、C、Dの各検出器30、31、32、33、34及び35からの信号と、メモリ100aに記憶されたブーム旋回中心B0とに基づき、アウトリガA、B、C、Dのアウトリガフロート16の中心座標をそれぞれ演算する。これによって、図15中の黒丸で示す位置の座標が求まる。
引き続き、モーメントリミッタ装置は、図15中の一点鎖線に示すように、ブーム旋回中心B0と各アウトリガフロート16の中心座標とを通る仮想直線を定格荷重切替ラインLa、Lb、Lc、Ldとして設定する。
また、図15中の破線に示すように、クレーン1の周囲には、その機体部分を四角で囲むように、定格荷重テーブル判定ラインLwF、LwR、LwB及びLwLが設定されている。
続いて、モーメントリミッタ装置は、各アウトリガフロート16の中心座標と定格荷重テーブル判定ラインLwF、LwR、LwB及びLwLとに基づき、ブーム旋回方向に隣り合う各2基の定格荷重切替ライン間の仮想エリアに対して定格荷重性能を設定する。
具体的に、図15に示す例では、アウトリガAとアウトリガBのそれぞれのアウトリガフロート16の前方への中心座標が、何れも定格荷重テーブル判定ラインLwFの内側であるため、定格荷重切替ラインLa及びLbの間の前方仮想エリアに対しては、最小定格荷重性能が設定される。同様に、アウトリガBとアウトリガCのそれぞれのアウトリガフロート16の右側方への中心座標が、何れも定格荷重テーブル判定ラインLwRの外側であるため、定格荷重切替ラインLb及びLcの間の右仮想エリアに対しては、最大定格荷重性能が設定される。また、アウトリガCとアウトリガDのそれぞれのアウトリガフロート16の後方への中心座標が、何れも定格荷重テーブル判定ラインLwBの内側であるため、定格荷重切替ラインLc及びLdの間の後方仮想エリアに対しては、最小定格荷重性能が設定される。また、アウトリガDとアウトリガAのそれぞれのアウトリガフロート16の左側方への中心座標が、定格荷重テーブル判定ラインLwLの内側と外側であるため、定格荷重切替ラインLd及びLaの間の左仮想エリアに対しては、中間定格荷重性能が設定される。
引き続き、モーメントリミッタ装置は、ブーム旋回角検出器43及びブーム角検出器41Bからの信号に基づき起伏ブーム5Aの現在の旋回位置における定格荷重値Wrの演算に使用する定格荷重テーブルを選択する。
図15に示す例では、ブーム5の旋回角度及び折曲げブーム5Bの起伏角度から折曲げブーム5Bの旋回位置が右仮想エリア内にあることが解るため、右仮想エリアに設定された最大定格荷重性能に対応する定格荷重テーブルが選択される。
続いて、モーメントリミッタ装置は、ブーム長検出器40A及び40B並びにブーム角検出器41A及び41Bからの信号に基づき、クレーン1の作業半径Rwを算出する。そして、選択した最大定格荷重性能の定格荷重テーブルに基づき、算出した作業半径Rwに対する定格荷重値Wrを算出する。
引き続き、算出した定格荷重値Wrと荷重検出器42からの信号とに基づき、実荷重値Wsが定格荷重値Wr以上であるか否かを判定する。現在はクレーン作業が行われていないため吊荷重が「0」となっている。そのため、実荷重値Wsが定格荷重値Wr未満となり、過負荷状態では無いと判定される。
以上説明した設置禁止角度の判定に基づく操作モードの設定動作は、予め設定された周期で繰り返し実行される。また、接地状態の検出動作からの一連の動作(以下、「過負荷防止制御動作」と称す)は、予め設定された周期で繰り返し実行される。
一方、モーメントリミッタ装置は、演算制御部100において、各アウトリガA、B、C、Dの各検出器30、31、32、33及び34と、起伏ブーム5A及び折曲げブーム5Bの各検出器40A、40B、41A、41B、42及び43と、過負荷防止制御処理における演算結果とに基づきアウトリガ画面を表示するための画像データを生成する。そして、生成した画像データに基づきアウトリガ画面の画像表示信号を表示部102に出力する。
これによって、表示部102には、例えば、図16に示すようなアウトリガ画面200が表示される。このアウトリガ画面200は、画面中央に表示されたクレーン1の機体部分の模式画像201と、その前端側の左右両端から斜め前方に伸びるアウトリガA及びBの模式画像202A及び202Bと、後端側の左右両端から斜め後方に伸びるアウトリガC及びDの模式画像202C及び202Dとを含んでいる。これら模式画像202A、202B、202C及び202Dは、実際のアウトリガA、B、C、Dの張出距離及び水平方向の展開角度に対応する長さ及び角度で表示されている。
加えて、アウトリガ画面200は、画面の左上方、右上方、左下方及び右下方に表示された各アウトリガの識別情報である「アウトリガA」、「アウトリガB」、「アウトリガC」及び「アウトリガD」の文字画像203A、203B、203C及び203Dを含んでいる。
更に、アウトリガ画面200は、文字画像203A及び203Bの下側に表示されたアウトリガA及びBのアウトリガフロート16の接地状態を示す文字画像205A及び205Bと、文字画像203C及び203Dの上側に表示されたアウトリガC及びDのアウトリガフロート16の接地状態を示す文字画像205C及び205Dとを含んでいる。なお、図16に示す例では、各アウトリガA、B、C、Dがいずれも接地状態であるため、文字画像205A、205B、205C及び205Dとして、いずれも「接地」の文字画像が表示されている。なお、接地状態では無い場合は、例えば「未接地」の文字画像が表示される。
更に、アウトリガ画面200は、文字画像205A及び205Bの下側に表示されたアウトリガA及びBの展開角度、アウターボックスの起伏角度、インナーボックスの伸長位置を固定する各固定孔への固定ピン22、25及び28の挿入状態を示す文字画像206A及び206Bを含んでいる。加えて、文字画像205C及び205Dの上側に表示されたアウトリガC及びDの有する同様の各固定孔への固定ピン22、25及び28の挿入状態を示す文字画像206C及び206Dを含んでいる。
なお、図16に示す例では、各アウトリガA、B、C、Dのいずれも各固定孔に固定ピン22、25及び28が挿入された状態であるため、文字画像206A、206B、206C及び206Dとして、いずれも「ピン挿入」の文字画像が表示されている。なお、固定ピン22及び25の少なくとも一方が未挿入の場合は、例えば「ピン未挿入」の文字画像が表示される。
更に、アウトリガ画面200は、模式画像202A及び202Bの下側に表示されたアウトリガA及びBの展開角度を示す文字画像207A及び207Bと、模式画像202C及び202Dの上側に表示されたアウトリガC及びDの展開角度を示す文字画像207C及び207Dとを含んでいる。
なお、図16に示す例では、文字画像207A、207B、207C及び207Dとして、アウトリガA、B、C、Dの実際の展開角度を示す「110°」、「115°」、「103°」及び「103°」の文字画像が表示されている。
なお更に、アウトリガ画面200は、模式画像201の左上方、右上方、右下方及び左下方に表示されたアウトリガA、B、C、Dの展開範囲及び張出範囲を示す扇形の領域画像204A、204B、204C、204Dを含んでいる。
更に、アウトリガ画面200は、領域画像204A及び204Bの扇形の領域内に表示された定格荷重テーブル判定ラインLwFに対応するライン画像210LwFと、領域画像204C及び204Dの扇形の領域内に表示された定格荷重テーブル判定ラインLwBに対応するライン画像210LwBとを含んでいる。加えて、領域画像204A及び204Dの扇形の領域内に表示された定格荷重テーブル判定ラインLwLに対応するライン画像210LwLと、領域画像204B及び204Cの扇形の領域内に表示された定格荷重テーブル判定ラインLwRに対応するライン画像210LwRとを含んでいる。
更に、アウトリガ画面200は、模式画像201の上側及び下側に表示された前方仮想エリア及び後方仮想エリアの定格荷重性能を示す文字画像208F及び208Bを含んでいる。加えて、文字画像207A及び207Dの左側に表示された左仮想エリアの定格荷重性能を示す文字画像208Lと、文字画像207B及び207Cの右側に表示された右仮想エリアの定格荷重性能を示す文字画像208Rとを含んでいる。
アウトリガ画面200からは、アウトリガA、B、C、Dの展開状態及び張出状態、アウトリガA、B、C、Dの各アウトリガフロート16の接地位置、この接地位置(厳密には中心座標)が定格荷重テーブル判定ラインを越えているか否か、各仮想エリアの定格荷重性能などを簡易に視認することが可能である。
また、アウトリガ画面200は、カラー表示が可能であり、図16中の網掛けの部分には、アウトリガの張出状態、接地状態、固定ピンの挿入状態等に応じた色が付されている。例えば、クレーン作業を行う上で比較的安全性の高い状態を示す文字画像(例えば、接地、ピン挿入など)はその枠内の網掛け部分を例えば緑色で表示する。また、各アウトリガのアウトリガフロート16の接地位置の領域は、図16の例ではいずれも定格荷重テーブル判定ラインを1本しか越えていないため例えば黄色で表示する。なお、未接地やピン未挿入などの安全性が比較的低い状態の場合は例えば赤色で表示する。このようにカラー表示することで、視認性をより高めることが可能である。
その後、クレーン1による荷役作業が開始されると、モーメントリミッタ装置は、通常過負荷防止制御動作によって設定された各定格荷重切替ラインと、各仮想エリアに設定された定格荷重性能と、ブーム旋回角検出器43及びブーム角検出器41Bからの信号とに基づき定格荷重値の算出に使用する定格荷重テーブルを選択する。
図15に示す例では、ブーム旋回角度及び折曲げブーム5Bの起伏角度から折曲げブーム5Bの旋回位置が右仮想エリア内にあることが解るため、定格荷重切替ラインLb及びLcの間の右仮想エリアに設定された最大定格荷重性能に対応する定格荷重テーブルが選択される。
引き続き、モーメントリミッタ装置は、ブーム長検出器40A及び40B並びにブーム角検出器41A及び41Bからの信号に基づき、クレーン1の作業半径Rwを算出する。そして、選択された最大定格荷重性能の定格荷重テーブルから、算出した作業半径Rwに対する定格荷重値Wrを算出する。
引き続き、荷重検出器42からの信号に基づき実荷重値Wsを算出し、この実荷重値Wsが先に算出した定格荷重値Wr以上であるか否かを判定する。そして、実荷重値Wsが定格荷重値Wr以上であると判定した場合は、警報部101に警報出力信号を出力すると共に、アンロード弁作動用電磁弁70にアンロード弁作動信号を出力する。これにより、警報部101によって警報音が出力され、アンロード弁作動用電磁弁70の作動によって油圧ポンプの運転状態がアンロード状態となる。
一方、図示省略するが、いまクレーン1の機体を例えば通路壁等の壁に対してギリギリの位置に寄せた状態でアウトリガA、B、C、Dを設置したい状況であるとする。そして、このような状況において、例えば図17に示すような展開角度でアウトリガA、B、C、Dが展開され、固定ピン28によって、これら各展開角度で展開位置が固定されたとする。即ち、壁側のアウトリガA及びDの展開姿勢を最大展開姿勢にして、壁に対してギリギリの位置まで寄せた状態でアウトリガA、B、C、Dを設置したい状況であるとする。この場合は、アウトリガA及びDの展開角度がいずれも設置禁止角度となっているため、クレーン1のモーメントリミッタ装置は、設置禁止角度が設定されていると判定する。そして、アンロード弁作動用電磁弁70にアンロード弁作動信号を出力して、油圧ポンプの運転状態をアンロード状態にする。これにより、まずはアウトリガA、B、C、Dの設置動作を完了できない状態とする。
続いて、モーメントリミッタ装置は、アウトリガB及びDの展開角度がいずれも通常展開角度となっているためアウトリガA、B、C、Dの展開姿勢が特殊展開姿勢であると判定する。加えて、ブーム角検出器41Aからの信号に基づき、ここでは起伏ブーム5Aの起伏角度が90°であったとする。
以上のことから、モーメントリミッタ装置は、特殊操作モードへと移行可能な状態であると判定する。
引き続き、モーメントリミッタ装置は、表示部102に、例えば図8に示す意思確認画面300を表示する処理を実行する。即ち、意思確認画面300の画像表示信号を表示部102に出力する。なお、意思確認画面300の画像データは、予めメモリ100aに記憶されている。
表示部102に表示された意思確認画面300を作業者が見ることで、特殊操作モードが誤操作によってクレーン1の転倒可能性が非常に高い操作モードであることを作業者に注意喚起することが可能である。加えて、意思確認画面300には特殊操作モードへ移行するための所定の操作手順が表示されているため、初めて特殊操作モードを利用する作業者は、マニュアル等を読まずとも操作手順を知ることが可能である。また、作業者がこの所定の操作手順の操作入力(安全装置停止解除キースイッチ51をON状態にする操作入力)を行うことで、作業者に特殊操作モードを使用する意思があることを確認することが可能である。
その後、作業者が安全装置停止解除キースイッチ51をON状態にしたとする。モーメントリミッタ装置は、このON状態を確認することによって、作業者に特殊操作モードを使用する意思があると確認されたと判定し、通常操作モードから特殊操作モードに切り替える。これにより、特殊操作モードが設定される。
モーメントリミッタ装置は、特殊操作モードを設定すると、続いて特殊展開姿勢でのアウトリガA、B、C、Dの設置動作の完了を許可するためアンロード弁作動用電磁弁70へのアンロード弁作動信号の出力を停止する。これによって、アンロード弁作動用電磁弁70がOFF状態となり、アンロード状態が解除される。その結果、アウトリガA、B、C、Dの設置動作を完了することが可能な状態となる。
その後、作業者が機体側の操作レバー又は遠隔操作装置の操作によってアウトリガA、B、C、Dの設置動作を完了させ、図17に示すような張り出し状態でアウトリガA、B、C、Dが設置されたとする。
モーメントリミッタ装置は、特殊操作モードが設定されているため、最大展開角度で展開しているアウトリガA及びDに挟まれたクレーン作業範囲を含むクレーン1の左側方側の180°のクレーン作業範囲をクレーン作業禁止範囲CTFに設定する。加えて、クレーン作業禁止範囲CTF以外のクレーン1の右側方側の180°のクレーン作業範囲をクレーン作業可能範囲CPFに設定する。更に、クレーン作業可能範囲CPFにおけるクレーン作業禁止範囲CTFの前後の所定のクレーン作業範囲θr(ここでは36°分の範囲)を旋回予告警報範囲RWFに設定する。なお更に、折曲げブーム5Bの所定の対地角度範囲θx(ここでは0°〜85°の範囲)を起伏可能範囲UPFに設定し、起伏可能範囲UPFにおける所定の対地角度範囲θα(ここでは60°〜85°の範囲)を起伏予告警報範囲UWFに設定する。
続いて、モーメントリミッタ装置は、上記通常操作モードのときと同様の手順で、定格荷重切替ラインLa、Lb、Lc、Ldの設定処理及び各仮想エリアの定格荷重性能の設定処理を実行する。ここで、左仮想エリアについては、全域がクレーン作業禁止範囲CTFに含まれるため定格荷重性能の設定が不要となる。
引き続き、上記通常操作モードのときと同様に現在の作業半径Rwに対応する定格荷重値Wrが算出される。特殊操作モードでは、クレーン作業可能範囲CPFに含まれる各仮想エリアに設定された定格荷重性能の優劣に係わらず、定格荷重値Wrの上限が一律上限値Thw(ここでは350[kg])に制限される。従って、算出された定格荷重値Wrが上限値Thwよりも大きい場合は、上限値Thwが定格荷重値Wrとして設定される。一方、算出された定格荷重値Wrが上限値Thw以下の場合は、上限が制限されずにそのままの値が設定される。
続いて、設定した定格荷重値Wrと荷重検出器42からの信号とに基づき、実荷重値Wsが定格荷重値Wr以上であるか否かを判定する。現在はクレーン作業が行われておらず吊荷重が「0」となっている。そのため、実荷重値Wsが定格荷重値Wr未満となり、過負荷状態では無いと判定される。
以上説明した設置禁止角度の判定に基づく操作モードの設定動作は、上記通常操作モードのときと同様に、予め設定された周期で繰り返し実行される。また、過負荷防止制御動作についても、上記通常操作モードのときと同様に、予め設定された周期で繰り返し実行される。
一方、モーメントリミッタ装置は、上記通常操作モードのときと同様の手順で、アウトリガ画面を表示するための画像データを生成する。そして、生成した画像データに基づきアウトリガ画面の画像表示信号を表示部102に出力する。
これによって、表示部には、例えば、図18に示すようなアウトリガ画面200Sが表示される。
アウトリガ画面200Sでは、アウトリガ画面200の表示内容に加えて、画面右上の「アウトリガB」の文字画像203Bの上側に、「特殊操作モード」の文字画像211が表示される。これによって、作業者は、現在「特殊操作モード」が設定されていることを視認することが可能である。
また、左仮想エリアの定格荷重性能を示す文字画像208Lには、「禁止」の文字画像が表示される。これによって、作業者は、左仮想エリアの全域がクレーン作業禁止範囲CTFとして設定されていることを視認することが可能である。
また、アウトリガ画面200と異なる表示内容としては、アウトリガA、B、C、Dの模式画像202A、202B、202C、202Dの表示位置が、実際の展開角度及び張出状態に対応した位置及び長さに表示されている。加えて、展開角度を示す文字画像207A、207B、207C及び207Dとして、アウトリガA、B、C、Dの実際の展開角度を示す「168°」、「128°」、「130°」及び「180°」の文字画像が表示されている。更に、定格荷重性能を示す文字画像208F、208R及び208Bとして、最大定格荷重性能を示す「最大」の文字画像がそれぞれ表示されている。
また、図18中の網掛けの部分には、アウトリガ画面200と同様に、アウトリガの張出状態、接地状態、固定ピンの挿入状態等に応じた色が付されている。図18の例では、各アウトリガのアウトリガフロート16の接地位置の領域は、アウトリガB及びCがいずれも定格荷重テーブル判定ラインを2本とも越えていて安定した張出状態となっているため例えば緑色で表示する。また、アウトリガA及びDの展開角度及び定格荷重性能を示す文字画像の網掛け部分はクレーン作業禁止領域を示すため例えば赤色で表示する。特に、クレーン作業禁止領域を示す箇所については赤色で表示することで文字の意味だけでなく色的にも注意喚起を行うことが可能である。
その後、クレーン1による荷役作業が開始されたとする。特殊操作モードでは、折曲げブーム5Bの旋回位置が旋回予告警報範囲RWF内にあるときと折曲げブーム5Bの対地角度が起伏予告警報範囲UWF内にあるときに、クレーン1の作業動作の速度上限を制限するようになっている。
従って、モーメントリミッタ装置は、折曲げブーム5Bの旋回位置が旋回予告警報範囲RWF内にある場合及び折曲げブーム5Bの対地角度が起伏予告警報範囲UWF内にある場合の少なくとも一方の場合に、警報部101に対して警報出力信号を出力する。加えて、駆動制御回路71に対して出力停止指令信号を出力することで、駆動制御回路71に駆動源への駆動制御信号の出力を停止させる。
これによって、機体に装備されたスピーカから警報音が出力される。加えて、駆動源の最低出力動作によって油圧ポンプからの圧油の供給量が制限され、クレーン1の作業動作の速度上限が通常よりも低速に制限される。その結果、クレーン1の全ての作業速度が低速に制限される。
更に、モーメントリミッタ装置は、ブーム5の旋回動作によって折曲げブーム5Bの旋回位置が旋回予告警報範囲RWF内からクレーン作業禁止範囲CTF内に変化した場合は、警報部101に対して警報出力信号を出力すると共に、変化したときの旋回方向へと旋回し続ける制御を行う旋回指令値を強制的に0に変更する。これによって、機体に装備されたスピーカから警報音が出力されると共に、ブーム5の旋回動作が停止し且つ以降のクレーン作業禁止範囲CTF側へと旋回し続ける旋回方向への旋回動作が禁止された状態となる。
一方、折曲げブーム5Bの旋回位置が右仮想エリア内にあるため、最大定格荷重性能に対応する定格荷重テーブルが選択される。そして、この定格荷重テーブルから現在の作業姿勢に対応する定格荷重値Wrが算出される。このとき、定格荷重値Wrの上限が予め設定した上限値Thwに制限される。また、折曲げブーム5Bの旋回位置が右仮想エリア内にある状態では、クレーン1の作業速度に制限の無い状態(通常操作モードのときと同じ状態)で作業動作を行わせることが可能である。
以上説明した特殊操作モードにおけるクレーン1の作業動作を制限する一連の動作(以下、「クレーン作動制限動作」と称す)は、予め設定された周期で繰り返し実行される。
ここで、クレーン1がブーム作業機に対応し、クレーン作業範囲が作業角度範囲に対応し、固定ピン28、前方側固定プレート9Fの固定孔9Fa〜9Fd、後方側固定プレート9Bの固定孔9Ba〜9Bd、及び可動プレート側の固定孔が固定手段に対応する。
以下、前方側固定プレート9Fの固定孔9Fa〜9Fd、後方側固定プレート9Bの固定孔9Ba〜9Bd、可動プレート側の固定孔(不図示)及び固定ピン28を含んで構成されるアウトリガA、B、C、Dの各展開位置を固定するための機構を「固定機構」と称す。
(実施形態の作用及び効果)
実施形態に係るモーメントリミッタ装置は、アウトリガ展開角検出器30が、アウトリガA、B、C、Dの水平方向への展開角度を検出する。演算制御部100が、アウトリガA、B、C、Dの展開姿勢が、アウトリガA、B、C、Dの展開角度がいずれもブーム5を使用した作業時に機体を安定して支持可能な通常展開角度となる通常展開姿勢となるときにブーム5の使用を許可する通常操作モードを有する。加えて、アウトリガA、B、C、Dの展開姿勢が、アウトリガA及びDの展開角度の少なくとも一方がブーム5を使用した作業時に機体の転倒可能性のある設置禁止角度となり且つアウトリガB及びCの展開角度の双方が通常展開角度となるか、又はアウトリガB及びCの展開角度の少なくとも一方が設置禁止角度となり且つアウトリガA及びDの展開角度の双方が通常展開角度となるときにブーム5の使用を許可する特殊操作モードを有する。演算制御部100が、アウトリガ展開角検出器30で検出した展開角度に基づき特殊操作モードの設定条件が成立していると判定したときにアウトリガA、B、C、Dの設置動作の完了を禁止する処理(実施形態では油圧ポンプの運転状態をアンロード状態とする処理)を実施し、この禁止する処理の実施中に特殊操作モードを使用する意思があるか否かを判定する処理を実施する。更に、演算制御部100が、作業者に特殊操作モードを使用する意思があることを確認したと判定したときは通常操作モードから特殊操作モードに切り替えて特殊展開姿勢での設置動作の完了及びブームの使用を許可し、使用する意思が無いと判定したときは通常操作モードのまま特殊展開姿勢での設置動作の完了を禁止する処理を継続する。
この構成であれば、作業者に対して特殊操作モードを使用する意思があるか否かを確認する処理を行って、意思があると確認したときのみに通常操作モードから特殊操作モードに切り替えることが可能となる。これによって、アウトリガの設置自由度を向上することが可能になると共に、特殊操作モードの使用について作業者に認識させることが可能となるため作業者の認識不足による誤操作の発生を低減することが可能となる。
更に、実施形態に係るモーメントリミッタ装置は、演算制御部100が、作業者に、特殊展開姿勢による作業時の注意事項に対して注意喚起した上で特殊操作モードを使用する意思があるか否かを判定する処理を実施する。ここで、注意喚起として、具体的に、特殊操作モードが誤操作によってクレーン1の転倒可能性が非常に高い操作モードであるといった注意を促す警告文を表示部102に表示する。
この構成であれば、マニュアル等を良く読まずに特殊操作モードを使用しようとする作業者に対して、事前に注意喚起することが可能となる。これによって、作業者の注意事項に対する認識不足による誤操作の発生をより低減することが可能となる。
更に、実施形態に係るモーメントリミッタ装置は、演算制御部100が、特殊操作モードを使用する意思があるか否かを判定する処理として、特殊操作モードを使用するための予め設定された所定の操作手順(実施形態では安全装置停止解除キースイッチ51をON状態にする)を作業者に提示(表示部102に画面表示)すると共に、所定の操作手順の操作入力が行われたか否かを判定する処理を実行する。そして、行われたと判定すると、通常操作モードから特殊操作モードに切り替えると共に設置動作の完了を禁止する状態(アンロード状態)を解除する処理を実行する。
この構成であれば、所定の操作手順の操作入力が行われたことを判定することで、作業者に特殊操作モードを使用する意思があることを確認することが可能となる。また、特殊操作モードを使用するための所定の操作手順を画面表示することで、マニュアル等を読まずとも特殊操作モードの使用方法を視認することが可能になると共に、特殊操作モードを使用しようとしていることを作業者に視認させることが可能である。これによって、作業者の特殊操作モードに対する認識不足による誤操作の発生を低減することが可能となる。
更に、実施形態に係るモーメントリミッタ装置は、演算制御部100が、特殊操作モードが設定されているときに、設置禁止角度(実施形態では最大展開角度)で展開しているアウトリガとこのアウトリガに対して両隣の他のアウトリガとに挟まれたクレーン作業範囲のうち大きい方のクレーン作業範囲を含む範囲(実施形態では機体の左右を分ける中心軸を境に、大きい方のクレーン作業範囲側を含む180°の範囲)をクレーン作業禁止範囲CTFに設定する。加えて、クレーン作業禁止範囲CTFとして設定したクレーン作業範囲以外の残りの範囲(実施形態では残りの180°のクレーン作業範囲)をクレーン作業可能範囲CPFに設定する。そして、ブーム5の旋回動作によって折曲げブーム5Bの旋回位置がクレーン作業可能範囲CPF内からクレーン作業禁止範囲CTF内へと変化したときに、折曲げブーム5Bが前記変化したときの旋回方向へと旋回し続ける旋回動作を停止する制御(実施形態では旋回指令値を強制的に0にする制御)を行う。
この構成であれば、ブーム5が、折曲げブーム5Bの旋回位置がクレーン作業可能範囲CPF内からクレーン作業禁止範囲CTF内へと変化する旋回動作を行ったときに、変化したときの旋回方向へと旋回し続けるブーム5の旋回動作を自動停止することが可能となる。これによって、転倒可能性のより高くなる方向への旋回動作を停止することが可能となるので、クレーン1の転倒を未然に防ぐことが可能となる。
更に、実施形態に係るモーメントリミッタ装置は、演算制御部100が、クレーン作業可能範囲CPF内のクレーン作業禁止範囲CTFの前後の所定のクレーン作業範囲θrを旋回予告警報範囲RWFとして設定する。そして、折曲げブーム5Bの旋回位置が旋回予告警報範囲RWF内にあるときにクレーン1のブーム5の旋回作動を含む作業動作(実施形態では全ての作業動作)の速度上限を通常操作モードのときの速度上限よりも低速に制限する。
この構成であれば、旋回予告警報範囲RWF内における作業動作の速度上限の低下によって、作業者に対して、ブーム5の旋回位置が折曲げブーム5Bの旋回位置がクレーン作業禁止範囲CTFに近づいていることを知らせることが可能となる。これによって、作業者に対して事前に注意喚起をすることが可能となり、不必要な旋回停止の発生を低減することが可能となる。加えて、旋回速度を通常操作モードのときよりも低速に制限することが可能となるので、高速旋回からの急停止等による荷ブレの発生を防ぐことが可能となる。その結果、荷ブレによるクレーン1の転倒を未然に防ぐことが可能となる。
更に、実施形態に係るモーメントリミッタ装置は、演算制御部100が、特殊操作モードが設定されているときに、折曲げブーム5Bの起伏可能範囲UPF内の最大対地角度の手前の所定対地角度から最大対地角度までの対地角度範囲θαを起伏予告警報範囲UWFとして設定する。そして、折曲げブーム5Bの対地角度が起伏予告警報範囲UWF内にあるときにクレーン作業動作の速度上限を通常操作モードのときの速度上限よりも低速に制限する。
ここで、折曲げブーム5Bの対地角度が最大角度に近い位置では、誤操作等によって大きな荷ブレが発生すると、この荷ブレによって、吊荷が折曲げブーム5Bに衝突する場合がある。そして、この衝突によって、クレーン作業禁止範囲CTF側へとクレーン1が傾く力がかかる場合があり転倒する可能性が生じる。
即ち、上記構成であれば、折曲げブーム5Bの対地角度が起伏予告警報範囲UWF内にあるときに折曲げブーム5Bの起方向への動作速度を含む誤操作に係る作業動作(実施形態では全ての作業動作)の速度上限を通常よりも低速に制限することが可能となる。これによって、誤操作に係る作業動作速度を通常よりも低速に制限することが可能となるので、対地角度が比較的大きい範囲での誤操作による荷ブレの発生又は振れ幅を低減することが可能となる。その結果、折曲げブーム5Bへの吊荷の衝突等によって生じるクレーン1の転倒を未然に防ぐことが可能となる。
更に、実施形態に係るモーメントリミッタ装置は、固定機構が、アウトリガA、B、C、Dの展開位置をそれぞれ独立に固定する。演算制御部100が、アウトリガA及びDの組又はアウトリガB及びCの組のいずれか一方が設置禁止角度(最大展開角度)を含む展開姿勢にて固定機構により固定され且ついずれか他方が通常展開角度にて固定機構により固定されたときに特殊操作モードの設定条件の1つである特殊展開姿勢の条件が成立したと判定する。加えて、起伏ブーム5Aの起伏角度が90°及び95°のいずれか一方であるときに特殊操作モードの設定条件の1つである起伏角度の条件が成立したと判定する。そして、これらの条件が両方とも成立したときに特殊操作モードの設定条件が全て成立したと判定する。
この構成であれば、アウトリガA、B、C、Dの展開位置が固定された状態の展開姿勢を判定することが可能となり、特殊操作モードの設定条件が成立したか否かをより正確に判定することが可能となる。
更に、実施形態に係るモーメントリミッタ装置は、アーム角検出器32が、アウトリガA、B、C、Dのアーム12の角度を検出する。アウターボックス角検出器33が、アウトリガA、B、C、Dのアウターボックス14の設置角度を検出する。インナーボックス長検出器34が、アウトリガA、B、C、Dのインナーボックス15の伸長量を検出する。演算制御部100が、アウトリガ展開角検出器30、アーム角検出器32、アウターボックス角検出器33及びインナーボックス長検出器34の検出結果に基づきアウトリガA、B、C、Dの張出状態を検出する。ブーム旋回角検出器43が、ブーム5の旋回角度を検出する。ブーム長検出器40A及び40Bが、起伏ブーム5A及び折曲げブーム5Bの長さを検出する。ブーム角検出器41A及び41Bが、起伏ブーム5A及び折曲げブーム5Bの起伏角度を検出する。演算制御部100が、ブーム長検出器40A及び40Bで検出した起伏ブーム5A及び折曲げブーム5Bの長さとブーム角検出器41A及び41Bで検出した起伏ブーム5A及び折曲げブーム5Bの起伏角度とに基づき作業半径Rwを演算する。
演算制御部100のメモリ100aが、クレーン1の異なる複数の作業半径Rwに対応する複数の定格荷重値Wrが登録された定格荷重テーブルであって、最大定格荷重性能、中間定格荷重性能及び最小定格荷重性能にそれぞれ対応する定格荷重テーブルを記憶している。加えて、クレーン1が最大定格荷重性能を発揮するためにアウトリガA、B、C、Dのアウトリガフロート16が越えなければならない張出距離を規定する仮想ラインである定格荷重テーブル判定ラインLwF、LwR、LwB及びLwLの情報を記憶している。更に、クレーン1の予め設定された基準位置(ブーム旋回中心B0)の座標情報を記憶している。
演算制御部100が、ブーム旋回中心B0の座標と検出した張出状態とに基づき、アウトリガA、B、C、Dのアウトリガフロート16の接地状態時の中心座標をブーム旋回中心B0の座標を原点とした相対座標として演算する。加えて、演算したアウトリガA、B、C、Dの各アウトリガフロート16の中心座標とブーム旋回中心B0とを通る仮想直線を定格荷重切替ラインLa、Lb、Lc、Ldとして設定する。更に、ブーム5の旋回方向に隣り合う各2基のアウトリガのアウトリガフロート16の中心座標のそれぞれが、定格荷重テーブル判定ラインLwF、LwR、LwB、LwLで規定された張出距離を越えた位置の座標であるか否かの組み合わせに基づき、各2基のアウトリガに対応する2本の定格荷重切替ラインに挟まれた仮想エリアにおける定格荷重性能を設定する。演算制御部100が、ブーム旋回角検出器43で検出したブーム5の旋回角度及び折曲げブーム5Bの起伏角度に基づき機体から折曲げブーム5Bの先端方向側に位置する仮想エリアを特定する。加えて、メモリ100aに記憶された複数の定格荷重テーブルのうち、特定した仮想エリアに設定された定格荷重性能に対応する定格荷重テーブルを用いてクレーン1の現在の作業半径Rwにおける定格荷重値Wrを算出する。
この構成であれば、任意の位置にアウトリガA、B、C、Dを張り出したときに、各アウトリガフロート16の接地時の中心座標を演算し、その中心座標とブーム旋回中心B0とから定格荷重切替ラインLa、Lb、Lc、Ldを設定することが可能である。更に、ブーム5の旋回方向に隣り合う各2基のアウトリガのアウトリガフロート16の中心座標と定格荷重テーブル判定ラインLwF、LwR、LwB、LwLとに基づき、ブーム5の旋回方向に隣り合う各2基の定格荷重切替ライン間における仮想エリアに対して多段階(実施形態では3段階)の定格荷重性能のうちから適切な定格荷重性能を設定することが可能である。なお更に、ブーム5の旋回角度及び折曲げブーム5Bの起伏角度に応じて機体から折曲げブーム5Bの先端方向側にある仮想エリアを特定する。そして、特定した仮想エリアに設定された定格荷重性能に対応する定格荷重テーブルを用いてクレーン1の現在の作業半径Rwに対応する定格荷重値Wrを算出することが可能である。
これによって、クレーン1の異なる複数の作業姿勢(アウトリガA、B、C、Dの張出状態と起伏ブーム5A及び折曲げブーム5Bの姿勢)に対してよりきめ細かく定格荷重性能を設定することが可能となる。その結果、クレーン1の性能を十分に活かしつつ過負荷作業を防止又は抑制することが可能となる。加えて、定格荷重切替ライン、定格荷重テーブル判定ライン等を設定してこれらとブームやアウトリガフロートとの位置関係に基づき各仮想エリアの定格荷重性能を設定するようにしたので、簡易な計算処理にて適切な定格荷重性能を設定することが可能である。また、定格荷重切替ライン、定格荷重テーブル判定ラインは視覚化が容易であり、アウトリガの張出状態も含めこれらの関係を容易に画像化して表示することが可能である。
更に、実施形態に係るモーメントリミッタ装置は、演算制御部100が、特殊操作モードが設定されているときに、算出した定格荷重値Wrの上限を予め設定した上限値Thwに制限する。
この構成であれば、クレーン作業禁止範囲での旋回停止による荷ブレの発生時等に生じる負荷を低減して、不安定領域での高負荷の発生を防ぐことが可能となる。これによって、誤操作による転倒可能性をより低減することが可能となる。
更に、実施形態に係るモーメントリミッタ装置は、演算制御部100が、ブーム5の旋回方向に隣り合う各2基のアウトリガのアウトリガフロート16の中心座標が共に定格荷重テーブル判定ラインLwF、LwR、LwB、LwLで規定された張出距離を越えた座標であると判定したときに、該当する仮想エリアに対して最大定格荷重性能を設定する。加えて、各2基のアウトリガのアウトリガフロート16の中心座標のいずれか一方のみが定格荷重テーブル判定ラインLwF、LwR、LwB、LwLで規定された張出距離を越えた座標であると判定したときに、該当する仮想エリアに対して中間定格荷重性能を設定する。更に、各2基のアウトリガのアウトリガフロート16の中心座標が共に定格荷重テーブル判定ラインLwF、LwR、LwB、LwLで規定された張出距離を越えていない座標であると判定したときに、該当する仮想エリアに対して最小定格荷重性能を設定する。
この構成であれば、最大定格荷重性能、中間定格荷重性能及び最小定格荷重性能の3段階の定格荷重性能を各仮想エリアに対して適切に設定することが可能となるので、アウトリガの張出状態及びブームの姿勢に対してよりきめ細かく定格荷重性能を設定することが可能となる。
更に、実施形態に係るモーメントリミッタ装置は、ブーム長検出器40A及び40B、ブーム角検出器41A及び41B並びに演算制御部100が、クレーン1の作業半径Rwを検出し、荷重検出器42が、吊荷の実荷重を検出する。警報部101が、演算制御部100からの警報出力信号に応じて、クレーン1の過負荷状態に対する警報の出力を行う。アンロード弁作動用電磁弁70が、演算制御部100からのアンロード弁作動信号に応じてアンロード弁を作動することで、クレーン1の過負荷状態に対する作業動作を停止する。演算制御部100が、折曲げブーム5Bの旋回位置にある仮想エリアに対応する定格荷重性能の定格荷重テーブルから、ブーム長及びブーム角に基づき検出した作業半径に対する定格荷重値Wrを算出する。そして、算出した定格荷重値Wrと荷重検出器42からの信号に基づき算出した実荷重値Wsとを比較し、実荷重値Wsが定格荷重値Wr以上であるときにクレーン1が過負荷状態にあると判定する。
この構成であれば、クレーン1が過負荷状態であると判定したときに、警報部101に対して警報出力信号を出力することで、警報部101にて、警報音を出力する対処を行うことが可能である。加えて、アンロード弁作動用電磁弁70に対してアンロード弁作動信号を出力することで、油圧ポンプの運転状態をアンロード状態にしてクレーン1の作業動作を停止する対処を行うことが可能である。
一方、実施形態に係るクレーン1は、機体の周囲に自在に展開且つ張り出し可能なアウトリガA、B、C、Dと、機体の上部にコラム4を介して垂直な軸回りに旋回可能に設けられた起伏ブーム5A及び折曲げブーム5Bと、上記モーメントリミッタ装置と、を備えている。
この構成であれば、上記モーメントリミッタ装置と同等の作用及び効果が得られる。
(変形例)
上記実施形態では、アウトリガA、B、C、Dの設置禁止角度を最大展開角度(180°又は168°)に設定した構成を例に挙げたが、この構成に限らない。転倒可能性の高い展開姿勢を形成する展開角度であれば、最大展開角度に限らず他の展開角度も設置禁止角度に設定する構成としてもよい。
また、上記実施形態では、アウトリガA及びDの少なくとも一方が設置禁止角度で且つアウトリガB及びCの双方が通常展開角度となる展開姿勢と、アウトリガB及びCの少なくとも一方が設置禁止角度で且つアウトリガA及びDの双方が通常展開角度となる展開姿勢のときに、特殊操作モードの設定が可能な特殊展開姿勢であると判定する構成とした。この構成に限らず、例えば、クレーン1が前後方向に転倒する場合も考慮して、図19(a)及び(b)に示すように、アウトリガA及びBの組又はアウトリガC及びDの組のいずれか一方の双方が機体前後方向に対して直交する展開角度で且ついずれか他方の双方が通常展開角度となる展開姿勢のときも特殊操作モードの設定が可能な特殊展開姿勢であると判定する構成としてもよい。また、図19(a)及び(b)に示す展開姿勢の他にも、機体の重量や形状等に応じて、他の展開角度の組合せによる展開姿勢も特殊展開姿勢と判定する構成としてもよい。
また、上記実施形態では、設置禁止角度を含む展開姿勢でアウトリガA、B、C、Dの展開位置が固定されたときに、クレーン1をアンロード状態とすることで、アウトリガの設置動作の完了を禁止する構成としたが、この構成に限らない。例えば、設置完了までは許可して以降のブーム5を使用する作業動作を禁止する構成としてもよい。
また、上記実施形態では、最大定格荷重性能、中間定格荷重性能、最小定格荷重性能の3段階の性能にそれぞれ対応する3種類の定格荷重テーブルを例に挙げて説明したが、この構成に限らない。例えば、2段階の性能に対応する2種類の定格荷重テーブルを有する構成や、4段階以上の性能に対応する4種類以上の定格荷重テーブルを有する構成とするなど他の構成としてもよい。
また、上記実施形態では、4基のアウトリガを備えるクレーン1に本発明を適用する例を説明したが、この構成に限らない。5基以上のアウトリガを備えるブーム作業機に本発明を適用してもよい。
また、上記実施形態では、駆動制御回路71から出力している駆動制御信号の出力を停止することで駆動源を最低出力駆動して、クレーン1の作業速度の上限を制限する構成としたが、この構成に限らない。例えば、リリーフ弁作動用電磁弁にリリーフ弁作動信号を出力して、リリーフ弁によって作業速度の上限を制限する構成としてもよい。即ち、リリーフ弁作動用電磁弁をON状態としてリリーフ弁を作動することで、圧油の圧力上限を低設定圧Psに制限する。これによって、リリーフ弁作動用電磁弁がON状態の間は、クレーン1の全ての作業動作の速度上限を通常よりも低速に制限することが可能となる。
また、上記実施形態では、特殊操作モードが設定されている状態のときに、特に注意喚起することなく機体側の操作レバーにてクレーン操作が可能な構成とした。この構成に限らず、特殊操作モードではクレーン1の転倒可能性が通常時よりも高くなるため、遠隔操作装置による操作を推奨するアナウンスを行う構成としてもよい。例えば、機体に装備されたスピーカ(図示略)からの音声メッセージの出力によって、作業者に対して遠隔操作装置を用いるようにアナウンスを行う。または、特殊操作モードが設定されている間は、機体側の操作レバーによる操作を禁止する構成としてもよい。また、遠隔操作装置の紛失等を考慮して、この禁止状態は解除可能としてもよい。
また、上記実施形態では、特殊操作モードにおいて、設置禁止角度で展開しているアウトリガとこのアウトリガに対して両隣の他のアウトリガとに挟まれたクレーン作業範囲のうち大きい方のクレーン作業範囲側を含む180°の範囲をクレーン作業禁止範囲CTFに設定する構成とした。この構成に限らず、大きい方のクレーン作業範囲のみをクレーン作業禁止範囲CTFとして設定する構成としてもよい。
また、上記実施形態では、過負荷防止制御処理において、アウトリガ接地検出器31からの信号に基づきアウトリガA、B、C、Dの各アウトリガフロート16の接地状態を検出した場合に、以降の各処理を実施するようにした。この構成に限らず、最初にクレーンの動作モードを判定し、動作モードがアウトリガの設置後にクレーン作業を実施可能なクレーンモードであると判定したときに、以降の各処理を実施する構成としてもよい。この構成であれば、アウトリガの設置作業が終了するまでは各処理を実施しないため、アウトリガの接地状態を検出する度に各処理を実施する上記実施形態の構成と比較して、計算負荷を軽減することが可能となる。
また、上記実施形態では、隣接する2基のアウトリガのアウトリガフロート16の中心座標が、定格荷重テーブル判定ラインLwF、LwR、LwB、LwLで規定される最大定格荷重性能を発揮可能な張出距離を超えているか否かの組み合わせで定格荷重性能を判定する構成とした。これに限らず、例えば、中間定格荷重性能を発揮可能な最短張出距離の位置に新たな定格荷重テーブル判定ラインを設定して、仮想エリアを3つに分けて中心座標が3つのエリアのどこに位置するかの組み合わせで定格荷重性能を判定する構成としてもよい。他にも、例えば、最小定格荷重性能を発揮可能な最短張出距離の位置に定格荷重テーブル判定ラインを設定して、中心座標がこの張出距離以上の位置にない場合には、中心座標が作業禁止領域にあるとして定格荷重テーブルを適用しない構成としてもよい。また、このときの展開角度を設置禁止角度として設定する構成としてもよい。
また、上記実施形態では、定格荷重性能を判定する定格荷重テーブル判定ラインとして固定のラインを用いる構成としたが、この構成に限らない。例えば、機体にカウンターウェイトを搭載するなどして定格荷重性能が変化した場合に、このような変化に合わせて定格荷重テーブル判定ラインを可変にする構成としてもよい。
また、上記実施形態では、本発明に係るモーメントリミッタ装置を装備するブーム作業機として、タワークレーンを例に説明したが、これに限らない。本発明は、ブーム及びアウトリガを備えた作業機であれば、タワークレーンに限らず他のクレーンや、高所作業車などクレーン以外の種々のブーム作業機に適用可能である。
1 タワークレーン
2 フレーム
3 走行体
4 コラム
5A 起伏ブーム
5B 折曲げブーム
6 起伏シリンダ
9F 前方側固定プレート
9B 後方側固定プレート
9Fa〜9Fd、9Ba〜9Bd 固定孔
10 アウトリガ回転軸
11 ブラケット
12 アーム
13 縦アウトリガシリンダ
14 アウターボックス
15 インナーボックス
16 アウトリガフロート
17 アーム起伏軸
18 アウターボックス起伏軸
28 固定ピン
30 アウトリガ展開角検出器
31 アウトリガ接地検出器
32 アーム角検出器
33 アウターボックス角検出器
34 インナーボックス長検出器
35 展開角固定状態検出部
40A、40B ブーム長検出器
41A、41B ブーム角検出器
42 荷重検出器
43 ブーム旋回角検出器
70 アンロード弁作動用電磁弁
71 駆動制御回路
200 アウトリガ画面
La、Lb、Lc、Ld 定格荷重切替ライン
LwF、LwR、LwB、LwL 定格荷重テーブル判定ライン
Aa、Ab、Ac、Ad 定格荷重切替領域
CTF クレーン作業禁止範囲
CPF クレーン作業可能範囲
RWF 旋回予告警報範囲
UPF 起伏可能範囲
UWF 起伏予告警報範囲

Claims (11)

  1. 機体の周囲に自在に展開且つ張り出し可能な複数のアウトリガと、前記機体の上部に垂直な軸回りに旋回可能に設けられたブームとを備えたブーム作業機に適用可能なブーム作業機用モーメントリミッタ装置であって、
    各前記アウトリガの水平方向への展開角度を検出するアウトリガ展開角検出器と、
    演算制御部と、を備え、
    前記複数のアウトリガのそれぞれは、前記ブームを使用した作業時に前記機体を安定して支持することが可能な通常展開角度と、前記ブームを使用した作業時に前記機体が転倒する可能性のある状態で前記機体を支持する設置禁止角度とに展開可能に構成されており、
    前記演算制御部は、
    前記複数のアウトリガの展開姿勢が、前記複数のアウトリガの展開角度がいずれも前記通常展開角度となる通常展開姿勢のときに前記ブームの使用を許可する通常操作モードと、前記複数のアウトリガのうち一部の前記アウトリガの展開角度が前記設置禁止角度となり且つ他部の前記アウトリガの展開角度は前記通常展開角度となる特殊展開姿勢のときに前記ブームの使用を許可する特殊操作モードとを有し、更に、
    前記アウトリガ展開角検出器で検出した前記展開角度に基づき前記特殊操作モードの設定条件が成立していると判定したときに前記ブームの使用を禁止する処理を実施し、
    前記ブームの使用を禁止する処理の実施中に、作業者に前記特殊操作モードを使用する意思があるか否かを判定する処理を実施し、
    前記特殊操作モードを使用する意思があると判定したときは前記通常操作モードから前記特殊操作モードに切り替えて前記特殊展開姿勢での前記ブームの使用を許可し、前記使用する意思が無いと判定したときは前記特殊展開姿勢での前記ブームの使用を禁止する処理を継続することを特徴とするブーム作業機用モーメントリミッタ装置。
  2. 前記ブームの使用を禁止する処理は、前記複数のアウトリガの設置動作の完了を禁止する処理である請求項1に記載のブーム作業機用モーメントリミッタ装置。
  3. 前記演算制御部は、前記作業者に、前記特殊展開姿勢による作業時の注意事項に対する注意喚起を行った上で前記特殊操作モードを使用する意思があるか否かを判定する処理を実施する請求項1又は2に記載のブーム作業機用モーメントリミッタ装置。
  4. 前記演算制御部は、
    前記特殊操作モードを使用する意思があるか否かを判定する処理として、前記特殊操作モードを使用するための予め定められた所定の操作手順を画面表示して前記作業者に提示するとともに、前記予め定められた所定の操作手順の入力が行われたか否かを判定する処理を実行し、
    前記所定の操作手順の入力が行われたと判定すると、前記通常操作モードから前記特殊操作モードへと切り替えると共に前記ブームの使用禁止の状態を解除する処理を実行する請求項1から3のいずれか1項に記載のブーム作業機用モーメントリミッタ装置。
  5. 前記演算制御部は、前記特殊操作モードが設定されているときに、前記複数のアウトリガのうち前記設置禁止角度で展開している一部のアウトリガとその両隣の他のアウトリガとに挟まれた作業角度範囲のうち大きい方の作業角度範囲を含む範囲を作業禁止範囲に設定すると共に前記作業禁止範囲として設定された範囲以外の残りの作業角度範囲を作業可能範囲に設定し、前記ブームの旋回動作によって該ブームの旋回位置が前記作業可能範囲内から前記作業禁止範囲内へと変化したときに、前記ブームが前記変化したときの旋回方向へと旋回し続ける旋回動作を停止する制御を行う請求項1から4のいずれか1項に記載のブーム作業機用モーメントリミッタ装置。
  6. 前記作業禁止範囲は、機体の左右を分ける中心軸または前後を分ける中心軸を境に、前記大きい方の作業角度範囲側を含んだ180°の範囲である請求項5に記載のブーム作業機用モーメントリミッタ装置。
  7. 前記演算制御部は、前記作業可能範囲内の前記作業禁止範囲の前後の所定の作業角度範囲を旋回予告警報範囲として設定し、前記ブームの旋回位置が前記旋回予告警報範囲内にある間は前記ブーム作業機の前記ブームの旋回作動を含む作業動作の速度上限を前記通常操作モードのときの速度上限よりも低速に制限する請求項5又は6に記載のブーム作業機用モーメントリミッタ装置。
  8. 前記演算制御部は、前記特殊操作モードが設定されているときに、前記ブームの起伏可能範囲内の最大対地角度の手前の所定対地角度から最大対地角度までの対地角度範囲を起伏予告警報範囲として設定し、前記ブームの対地角度が前記起伏予告警報範囲内にあるときに前記ブーム作業機の作業動作の速度上限を前記通常操作モードのときの速度上限よりも低速に制限する請求項5から7のいずれか1項に記載のブーム作業機用モーメントリミッタ装置。
  9. 前記演算制御部は、前記特殊操作モードが設定されているときに、前記ブーム作業機の定格荷重値の上限を前記通常操作モードのときの上限よりも低い値に制限する請求項1から8のいずれか1項に記載のブーム作業機用モーメントリミッタ装置。
  10. 前記複数のアウトリガの展開位置をそれぞれ独立に固定する固定手段を更に備え、
    前記演算制御部は、前記一部のアウトリガのそれぞれが前記設置禁止角度にて前記固定手段により固定され且つ前記他部のアウトリガのそれぞれが前記通常展開角度にて前記固定手段により固定されたときに前記特殊操作モードの設定条件が成立したと判定する請求項1から9のいずれか1項に記載のブーム作業機用モーメントリミッタ装置。
  11. 機体の周囲に自在に展開且つ張り出し可能な複数のアウトリガと、
    前記機体の上部に垂直な軸回りに旋回可能に設けられたブームと、
    請求項1から10のいずれか1項に記載のブーム作業機用モーメントリミッタ装置と、を備えることを特徴とするブーム作業機。
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