JP6978256B2 - 化合物 - Google Patents
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Description
コーティング剤、フォトレジスト等の種々の用途に使用される各種組成物に含有させて、組成物の光学特性、耐熱性を向上させる充填材(フィラー)が求められている。
下記一般式(1)で表される化合物である。
また、本発明の化合物は、重合性モノマー、又は重合性モノマーの製造中間体としても好適である。
また、本明細書において、「〜」は特に断りがなければ以上から以下を表す。
第1の態様に係る化合物は、上記一般式(1)で表される。
上記一般式(1)において、環Z1及び環Z2としては、例えば、ベンゼン環、縮合多環式芳香族炭化水素環[例えば、縮合二環式炭化水素環(例えば、ナフタレン環等のC8−20縮合二環式炭化水素環、好ましくはC10−16縮合二環式炭化水素環)、縮合三環式芳香族炭化水素環(例えば、アントラセン環、フェナントレン環等)等の縮合2乃至4環式芳香族炭化水素環]等が挙げられる。環Z1及び環Z2は、ベンゼン環又はナフタレン環であることが好ましく、ナフタレン環であることがより好ましい。なお、環Z1及び環Z2は、同一でも異なっていてもよく、例えば、一方の環がベンゼン環、他方の環がナフタレン環等であってもよいが、いずれの環もナフタレン環であることが特に好ましい。また、X1及びX2の両方が直結する炭素原子にX1又はX2を介して結合する環Z1又は環Z2の置換位置は、特に限定されない。例えば、環Z1又は環Z2がナフタレン環の場合、上記炭素原子に結合する環Z1又は環Z2に対応する基は、1−ナフチル基、2−ナフチル基等であってもよい。
上記置換基Aとしては、上記の1価炭化水素基、水酸基、−OR4aで示される基、−SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、−NHR4cで示される基、−N(R4d)2で示される基、(メタ)アクリロイルオキシ基、メシルオキシ基、もしくはスルホ基等が挙げられる。
下記置換基Aを有する、上記の1価炭化水素基、−OR4aで示される基、−SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、−NHR4cで示される基、もしくは−N(R4d)2で示される基としては、例えば、アルコキシアリール基(例えば、メトキシフェニル基等のC1−4アルコキシC6−10アリール基)、アルコキシカルボニルアリール基(例えば、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基等のC1−4アルコキシ−カルボニルC6−10アリール基等)が挙げられる。
R3a及びR3bとしては、それぞれ独立に、環構成原子にイオウ原子を含む1価の含イオウ芳香族基、シアノ基又はアルキル基であることが好ましく、環構成原子にイオウ原子を含む1価の含イオウ芳香族基、アルキル基であることが特に好ましく、環構成原子にイオウ原子を含む1価の含イオウ芳香族基であることが最も好ましい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基等のC1−6アルキル基(例えば、C1−4アルキル基、特にメチル基)等が例示できる。
なお、n1が2以上の整数である場合、R3aは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、n2が2以上の整数である場合、R3bは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。更に、R3aとR3bとが同一であってもよく、異なっていてもよい。また、環Y1及び環Y2に対するR3a及びR3bの結合位置(置換位置)は、特に限定されない。好ましい置換数n1及びn2は、1又は2、特に1である。なお、n1及びn2は、互いに同一でも異なっていてもよい。
含イオウ芳香族基は、例えばジベンゾチオフェン環基のように2以上の単環が縮合した基であってもよく、フェニル基で置換されたチオフェン環基のように2以上の単環が単結合で連結された基であってもよい。
また、含イオウ芳香族基は、その構造中に脂肪族環を含んでいてもよい。ただし、含イオウ芳香族基が有する結合手は、含イオウ芳香族基中の芳香族環に結合している。脂肪族環は、芳香族環と縮合していてもよく、芳香族環と単結合により結合していてもよい。脂肪族環を含む含イオウ芳香族基としては、例えば、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン−2−イル基や、4−シクロヘキシルチオフェン−2−イル基等が挙げられる。
含イオウ芳香族基が、芳香族単環、又は芳香族単環と脂肪族単環とを2以上含む場合、含イオウ芳香族基に含まれる単環の数は、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。
含イオウ芳香族基としては、炭素原子数3以上30以下(好ましくは4以上15以下、より好ましくは4以上10以下)の含イオウ芳香族基(例えば、チオフェン環構造を含む基、チアゾール環構造を含む基等)が好ましく、チオフェン環構造を含む基がより好ましい。
含イオウ芳香族基の環構成原子数は、5以上50以下が好ましく、5以上40以下がより好ましく、5以上30以下が特に好ましい。なお、含イオウ芳香族環基が、含イオウ芳香族環とともに、イオウ原子を含まない単環を1以上含む場合、イオウ原子を含まない単環を構成する原子数も、含イオウ芳香族基の環構成原子数に含める。
なお、含イオウ芳香族基が、メチル基やメトキシ基等の置換基を有する場合、当該置換基の原子数は、含イオウ芳香族基の環構成原子数に含まれない。
例えば、ベンゾチオフェニル基では、環構成原子数は9であり、4−フェニルチオフェン−2−イル基では、環構成原子数は11である。
チオフェン環構造を含む基としては、ジベンゾチオフェン環基、チオフェン環基、ベンゾチオフェン環基等が挙げられ、下記式(2)で表されるジベンゾチオフェン環基、下記式(3)で表されるチオフェン環基、又は下記式(4)で表されるベンゾチオフェン環基であることが好ましく、下記式(2)で表されるジベンゾチオフェン環基であることがより好ましい。
R11、R12及びR13についてのアルキル基としては、炭素原子数1以上12以下(好ましくは炭素原子数1以上8以下、より好ましくは炭素原子数1以上6以下)のアルキル基が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基等が挙げられる。
R11、R12及びR13についてのシクロアルキル基としては、炭素原子数5以上10以下(好ましくは炭素原子数5以上8以下、より好ましくは炭素原子数5以上6以下)のアルキル基が挙げられ、例えば、シクロへキシル基等が挙げられる。
R11、R12及びR13についてのアシル基としては、炭素原子数2以上6以下(好ましくは炭素原子数3以上5以下)のアシル基が挙げられ、例えば、アセチル基等が挙げられる。
R11、R12及びR13についてのアルコキシ基としては、炭素原子数1以上6以下(好ましくは炭素原子数1以上4以下)のアルコキシ基が挙げられ、例えば、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。
R11、R12及びR13についてのアリール基としては、炭素原子数6以上10以下のアリール基が挙げられ、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
R11、R12及びR13についてのアラルキル基としては、炭素原子数7以上11以下のアラルキル基が挙げられ、例えば、ベンジル基等が挙げられる。
R11、R12及びR13についてのアルケニル基としては、炭素原子数2以上10以下(好ましくは炭素原子数2以上6以下、より好ましくは炭素原子数2以上4以下)のアルケニル基が挙げられ、例えば、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等が挙げられる。
R11、R12及びR13についてのアルキニル基としては、炭素原子数2以上10以下(好ましくは炭素原子数2以上6以下、より好ましくは炭素原子数2以上4以下)のアルキニル基が挙げられ、例えば、エチニル基等が挙げられる。
R11、R12及びR13としては、水素原子、アルキル基、アシル基又はアリール基であることが好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物は、フィラー、特に、耐熱性を高めるフィラーとして好適に用い得る。
本発明は、上記一般式(1)で表される化合物を含むフィラーにも関する。
上記フィラーを各種組成物に含有させることにより、組成物に耐熱性及び高屈折率製を付与することができる。
上記組成物は、種々の用途、例えば、コーティング剤、フォトレジスト、配向膜及び平坦化膜(例えば、液晶表示ディスプレイや有機ELディスプレイ等に用いられる配向膜及び平坦化膜);反射防止膜、層間絶縁膜、カーボンハードマスク等のレジスト下層膜;液晶表示ディスプレイや有機ELディスプレイ等のスペーサ及び隔壁;液晶表示ディスプレイのカラーフィルタの画素やブラックマトリクス;液晶表示ディスプレイや有機ELディスプレイ等の表示装置;レンズ(例えば、マイクロレンズ等)、光ファイバー、光導波路、プリズムシート、ホログラム、高屈折フィルム、再帰反射フィルム等の光学部材;低透湿膜(例えば、水蒸気バリア層として用いられる低透湿膜);光学材料;半導体用材料に用いることができる。
さらに、上記一般式(1)で表される化合物は、種々の機能性化合物の合成原料としても好適に用いることができる。
例えば、上記一般式(1)で表される化合物は、ジオール化合物であるので、ポリエステル樹脂やポリカーボネート樹脂製造用のモノマーとしても使用し得る。この場合、一般式(1)で表される化合物の優れた性質に基づいて、耐熱性や光学特性に優れるポリエステル樹脂やポリカーボネート樹脂が製造され得る。
また、上記一般式(1)で表される化合物中の水酸基に、(メタ)アクリロイル基や、グリシジル基等の架橋性基を導入して、架橋性のフルオレン化合物を得ることもできる。
さらに、上記一般式(1)で表される化合物をカップラートして用い、種々のジアゾニウム塩とジアゾカップリングさせることにより、顔料等の色素として有用なビスアゾ化合物を合成することもできる。この場合も、一般式(1)で表される化合物の優れた性質に基づいて、耐熱性の良好なビスアゾ化合物を製造し得る。
上記一般式(1)で表される化合物と重合反応させ得る上記ビニルエーテル化合物としては、下記一般式(5)で表されるビニルエーテル化合物が挙げられる。
Rg−CO−O−CH=CH2 (6)
(式中、Rgは、水素原子又は有機基を示す。)
上記一般式(1)で表される化合物の製造方法としては特に制限はないが、例えば、下記一般式(8)で表されるハロゲン化化合物と、環構成原子にイオウ原子を含む含イオウ芳香族ボロン酸(例えば、4−ジベンゾチエニルボロン酸(4−ジベンゾチオフェンボロン酸)、7−ベンゾチエニルボロン酸、2−チオフェンボロン酸)との任意のクロスカップリング反応(例えば、パラジウム触媒等の任意の触媒を用いたクロスカップリング反応)により製造することができる。
上記反応後、任意の精製方法(例えば、HPLC、シリカゲルクロマトグラフィー、濾過等)により精製してもよい。
(上記一般式(9−1)、(9−2)、(10−1)、(10−2)、及び(11)中、Z1、Z2、Y1、Y2、R、R1a、R1b、R2a、R2b、R33a、R33b、m1、m2、n1、及びn2は上記の通りである。)
2Lセパラブルフラスコ中に、2,7−ジブロモ−9−フルオレノン67.60g、2−ナフトール138.40g、3−メルカプトプロピオン酸16.90g及びトルエン337.98gを加えた。フラスコの内容物を撹拌しながら、98質量%濃硫酸59.48gを滴下してフラスコ内に仕込んだ。その後、反応液を除々に60℃まで昇温し、同温度で11時間反応させた。HPLC(島津製作所製、検出器波長:210nm)により、2,7−ジブロモ−9−フルオレノンの残存が仕込み量に対して25%以下になったのを確認した後、反応液にトルエン400.00g及び蒸留水120.00gを加えた。フラスコ内の液を分液ロートに移し、分液を行った。採取した有機相に、1N水酸化ナトリウム水溶液870gを加え中和させた後、有機相を再度採取した。中和された有機相を、蒸留水140gにより計5回繰り返し水洗した。水洗された有機相を固形分濃度が25質量%になるまで減圧濃縮し、下記に示す9,9−ジ(6−ヒドロキシナフタレン−2−イル)−2,7−ジブロモフルオレンのトルエン溶液770gを得た。
15mgの化合物1について、開始温度30℃、測定温度範囲30〜500℃、昇温速度2℃/分の条件下で、同時熱重量測定−示差走査熱量測定計(STA 449 F1 Jupiter(登録商標);NETZSCH社製)を用いて熱重量−示差走査熱量同時測定を行い耐熱性を試験した。比較例として、下記比較化合物を用いて同様に耐熱性を試験した。
また、化合物1は、500℃における重量減少が13%であったのに対し、比較化合物は、500℃における重量減少が19.6%であった。
この結果から、化合物1は、耐熱性が高いことがわかる。
Claims (5)
- 下記一般式(1)で表される化合物。
- 前記環Y1及び環Y2で表される芳香族炭化水素環が、それぞれベンゼン環である、請求項1又は2に記載の化合物。
- 前記環Z1及び環Z2が、それぞれベンゼン環又はナフタレン環である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
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