JP6978062B2 - 吸水収縮性不織布 - Google Patents

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Description

本発明は、吸水時に収縮し嵩高となる吸水収縮性不織布に関する。
特許文献1には、吸水収縮性繊維を用いて作製した不織布について記載されている。不織布を構成する吸水収縮性繊維よりも吸水収縮率が高い繊維を不織布に縫い込んで一体化することにより、吸水時に不織布を面状に収縮させることが記載されている。
特開昭63−12704号公報
特許文献1等の不織布は、使い捨ておむつ等に用いられており、吸水時に不織布が線状ではなく面状に収縮する作用について検討されているが、吸水時に不織布が嵩高になる構造や効果については検討されていない。本発明は、こうした事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、吸水時に好適に嵩高くなる不織布を提供することにある。
上記課題を解決するための不織布は、熱融着性繊維と吸水収縮性繊維とを含有し、前記熱融着性繊維の融着力によって繊維間結合して成る不織布であって、前記吸水収縮性繊維を含有する第1繊維層と、前記第1繊維層に積層され、前記吸水収縮性繊維を含有しない第2繊維層とを有し、前記吸水収縮性繊維は、ポリビニルアルコール繊維であって、繊維長が20〜100mmであり、不織布全質量に対して20質量%以上含有されており、前記第1繊維層は、前記吸水収縮性繊維の含有率が50質量%以上90質量%以下で、かつ前記熱融着性繊維の含有率が10質量%以上50質量%以下であり、使用時における吸水時の厚み変化率が1.5倍以上であることを要旨とする。
この構成によれば、不織布は吸水収縮性繊維を含有しているため、吸水時に所定の割合で収縮する。このとき吸水収縮性繊維は第1繊維層にのみ集中して含有し、第2繊維層は吸水収縮性繊維を含有していないため、吸水による収縮は第1繊維層にのみ生じて第2繊維層には生じない。吸水時に第1繊維層が収縮すると、第1繊維層に積層された第2繊維層は、第1繊維層に引っ張られて皺が生じて起伏が形成される。仮に、不織布全体に吸水収縮性繊維を分散させて含有した場合、不織布全体が収縮するため、表面に起伏は形成されにくい。上記構成によれば、不織布における収縮する機能と、嵩高くなる機能とを第1繊維層と第2繊維層とで分担しているため、不織布全体に吸水収縮性繊維を分散させた態様に比べて、不織布を嵩高くすることができる。また、吸水収縮性繊維の含有率が20質量%以上であるため、第1繊維層の収縮率を向上させて、不織布をより嵩高くすることができる。また、第1繊維層において、必要最小限以上の熱融着性繊維を含有しているため、第1繊維層において吸水収縮性繊維が離脱することを抑制することができる。また、吸水収縮性繊維の繊維長が20mm以上であると、熱融着性繊維を介してその接着力によって互いに連結される確率が高くなるため、吸水時の収縮率が向上する。また、吸水収縮性繊維の繊維長が100mm以下であると、均一な地合いの不織布を作製することが容易になる。
上記不織布について、前記第1繊維層に積層され、前記吸水収縮性繊維を含有しない第3繊維層をさらに有し、前記第1繊維層は、前記2繊維層と前記第3繊維層とによって挟まれていることが好ましい。この構成によれば、不織布の吸水時に第1繊維層の両側の繊維層において、第1繊維層の吸水収縮に伴う皺を出現させることができる。
上記不織布について、吸水時の厚み変化率が1.5倍以上であることが好ましい。この構成によれば、吸水時に好適に嵩高くすることができる。
本発明の不織布によれば、吸水時に好適に嵩高くなる。
本実施形態の不織布の製造工程の概要図。 本実施形態の不織布の別の製造工程の概要図。
本発明の不織布の一実施形態を説明する。
本発明の不織布は、使い捨ておむつ等の吸水性物品に使用される。さらに詳しくは、吸収体として使用され、吸水時に収縮し嵩高になることで、吸水・保水性能を向上させることが出来る。
不織布は、熱融着性繊維と吸水収縮性繊維とを含有し、熱融着性繊維の融着力によって繊維間が結合されている。不織布は、熱融着性繊維と吸水収縮性繊維を含有する第1繊維層と、第1繊維層に積層され、熱融着性繊維を含有し吸水収縮性繊維を含有しない第2繊維層とを有する。また、不織布は、第1繊維層に積層され、熱融着性繊維を含有し吸水収縮性繊維を含有しない第3繊維層を有する。第1繊維層は、第2繊維層と第3繊維層とによって挟まれている。ここで、吸水収縮性繊維を含有しない態様には、不織布の製造時に吸水収縮性繊維が混入することによって、吸水収縮性繊維が3質量%以下の割合で含有した態様が含まれるものとする。
吸水収縮性繊維は、不織布全質量に対して20質量%以上の割合で含有されている。吸水収縮性繊維の含有率が上記数値範囲であることにより、吸水時に不織布を所定の割合で収縮させることができる。第1繊維層は、吸水収縮性繊維の含有率が50質量%以上90質量%以下であり、熱融着性繊維の含有率が10質量%以上50質量%以下である。第1繊維層における吸水収縮性繊維の含有率が上記数値範囲であると、第1繊維層の吸水時の収縮率を好適なものとすることができる。第1繊維層における熱融着性繊維の含有率が上記数値範囲であると、熱融着性繊維同士が熱融着した接点の数が好適なものとなるため、第1繊維層中の個々の吸水収縮性繊維の収縮をシート全体の収縮へと変換することができる。
第2繊維層及び第3繊維層に含有される熱融着性繊維の含有率は、特に限定されないが、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。第2繊維層及び第3繊維層に含有される熱融着性繊維の含有率は、100質量%であってもよい。第2繊維層及び第3繊維層における熱融着性繊維の含有率が上記数値範囲であると、熱融着性繊維同士が熱融着した接点の数が好適なものとなるため、第2繊維層及び第3繊維層の形状を好適に保持することができる。
吸水収縮性繊維は、繊維長が20〜100mmである。より均一な地合いの不織布を形成するためには、吸水収縮性繊維の繊維長は、20〜75mmであることがより好ましい。
熱融着性繊維の繊維長は、特に限定されないが、繊維長が5〜100mmであることが好ましい。
吸水収縮性繊維としては、特に限定されないが、不織布を40℃の温水に浸漬して放置した時、第1繊維層が吸水収縮して形成した第2繊維層や第3繊維層の起伏状態を維持することができる繊維であることが好ましい。そのためには、吸水収縮性繊維と熱融着性繊維との融着部が剥がれないことが重要であり、吸水収縮性繊維の表面が40℃の温水で溶解したり、ひどく膨潤したりしないことが好ましい。すなわち、吸水収縮性繊維は、40℃の温水に対して不溶性であることが好ましい。40℃の温水に対する溶解性は、紡糸時の延伸条件及び熱処理条件を調整することにより制御することができる。ポリビニルアルコール(以下、「PVA」ともいう)繊維は、ケン化度や重合度、紡糸時の熱処理温度などの条件を調節する事で溶解温度や繊維の引張強度、収縮率等をコントロールする事が容易にできるため好ましい。
熱融着性繊維としては、特に限定されないが、融点の異なる合成樹脂が組み合わされた複合繊維を用いることができる。複合繊維の樹脂の組合せとしては、低融点樹脂/高融点樹脂の順で、ポリエチレン(PE)/ポリプロピレン(PP)、低密度ポリエチレン(PE)/高密度ポリエチレン(PE)、ポリエチレン(PE)/ポリエステル(PET)等の複合芯鞘繊維が挙げられる。熱融着性繊維は、上記複合芯鞘繊維以外に、熱融着性を有する単繊維で構成されていてもよい。
熱融着製繊維は、不織布が尿や経血等の体液に接触したとき速やかに吸収して収縮嵩高になり、更に、吸収したそれら体液を不織布内に保持するために親水性樹脂からなることが好ましい。そのため、疎水性樹脂からなる熱融着性繊維には、親水剤を練り込み又はコーティングして親水性を付与することが好ましい。
また、不織布に親水性を付与する目的で、第1繊維層には、吸水収縮性繊維及び熱融着性繊維以外の繊維が含まれていてもよい。また、第2繊維層及び第3繊維層には、熱融着性繊維以外の繊維が含まれていてもよい。吸水収縮性繊維及び熱融着性繊維以外の繊維としては、例えば、セルロース系繊維が挙げられる。セルロース系繊維は、親水性であり不織布の吸保水性を高めることができる。セルロース系繊維としては、特に限定されないが、木材パルプ、コットン、レーヨン等を用いることができる。
また、第2繊維層及び第3繊維層には、熱融着性繊維以外に、バインダーが含まれていてもよい。バインダーが含まれていると、第2繊維層及び第3繊維層を構成する繊維同士がバインダーによって固着されることにより、不織布の形状が保持され易くなる。バインダーとしては、特に限定されないが、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、PVA、ポリアクリル酸ソーダ等の水溶液タイプのバインダーを用いることができる。また、ポリアクリル酸エステル、アクリル・スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、アクリルニトリル・ブタジエン共重合体、メチルメタアクリレート・ブタジエン共重合体等の各エマルジョン、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(SBR)等のエマルジョンタイプのバインダーを用いることもできる。ただし、バインダー付着量が多くなると、バインダー液に含まれている水分が不織布の製造工程中に吸水収縮性繊維に収縮作用を及ぼし、得られた不織布は吸水収縮性が失われた物になるため、バインダーは第2繊維層及び第3繊維層の外面にごく少量添加することが望ましい。
不織布全体の坪量に対する第1繊維層の坪量の比は、特に限定されないが、0.1以上1.0以下であることが好ましい。坪量の比が上記数値範囲であると、第1繊維層での吸水収縮性や第2繊維層や第3繊維層での第1繊維層の収縮に伴う収縮性を好適なものとすることができる。
不織布は、吸水収縮性繊維が配向した流れ方向(MD)と、流れ方向(MD)に直交する幅方向(CD)とを有し、不織布を40℃の温水に浸漬放置した時、流れ方向(MD)または幅方向(CD)の収縮率の大きい方における最大収縮率に対する収縮率の経時低下率が50%以下であることが好ましい。ここで、流れ方向(MD)は、吸水収縮性繊維が最も多く配向した方向を意味するものとし、幅方向(CD)は、吸水収縮性繊維が最も多く配向した方向に直交する方向を意味するものとする。
本実施形態の不織布の製造方法について説明する。本実施形態の不織布は、以下に記載する開繊工程と、ウェブ形成工程と、熱融着工程を順に経ることにより製造される。
図1及び図2に代表的な製造工程の略図を示すが、これは製造工程を分かりやすく説明する為の例であって、これに限定されるものではない。
(開繊工程)
開繊工程は、原料繊維をほぐす工程である。
図1及び図2に示すように、投入機1A、1Bで投入された原料繊維を、開繊機2A、2Bを用いて開繊する。各繊維層の原料繊維は個別に開繊される。すなわち、第1繊維層の原料繊維は、投入機1A、開繊機2Aを用いて開繊し、第2繊維層及び第3繊維層の原料繊維は、投入機1B、開繊機2Bを用いて開繊する。開繊工程には、公知の開繊機を適宜採用することができる。
(ウェブ形成工程)
ウェブ形成工程は、開繊工程により得られた繊維を積層して、所定の厚さを有するシート(ウェブ)にする工程である。ウェブ形成工程には、公知のウェブ形成法を適宜採用することができる。例えば、エアレイド法、カーディング法等の乾式の方法を採用することができる。
図1に示すように、エアレイド法では、第2繊維層用及び第3繊維層用の開繊した繊維を周面に貫通孔を有する円筒状のドラム3Bに投入し、空気流通下、横向きの状態でドラム3Bを回転させて、貫通孔を通過した繊維をドラム3B下に設置したコンベアネット8上に堆積させてウェブを形成する。また、第1繊維層用の開繊した繊維を公知のウェブフォーマー3Aに投入し、ウェブフォーマー3A下に設置したコンベアネット8上に堆積させてウェブを形成する。第2繊維層となるウェブを形成した後、その上に第1繊維層となるウェブと第3繊維層となるウェブを順番に形成することにより、第1繊維層を、第2繊維層と第3繊維層とによって挟まれた状態とすることができる。
図2に示すように、カーディング法では、公知のカード機4A、4Bを用いてウェブを形成する。第2繊維層及び第3繊維層となるウェブをカード機4Bで形成し、第1繊維層となるウェブをカード機4Aで形成する。第2繊維層となるウェブを形成した後、その上に第1繊維層となるウェブと第3繊維層となるウェブを順番に形成することにより、第1繊維層を、第2繊維層と第3繊維層とによって挟まれた状態とすることができる。
(熱融着工程)
熱融着工程は、ウェブ形成工程により得られたウェブに含まれる熱融着性繊維同士を熱融着させる工程である。
図1及び図2に示すように、熱融着工程は、公知の熱風通気加熱処理機5を用いて、ウェブを貫通するように熱風を当てながら熱融着性繊維が融着する温度にウェブを加熱する、いわゆる熱風通気加熱処理法(エアスルー)によって行うことができる。熱風通気加熱処理法は、熱風通気加熱処理機5を用いてウェブに熱風を吹き付けることによって、ウェブ全体を均一に、すばやく加熱することができるとともに、ウェブに過度の圧力が加わることを抑制することができるため、嵩高で柔軟な不織布が得られ易くなる。熱融着性繊維同士を熱融着させる方法は、熱風通気加熱処理法(エアスルー)に限定されず、熱ロール方式等の他の公知の方法を採用してもよい。更に必要に応じて、熱融着性繊維同士を熱融着させた後、熱ロール6を不織布表面に軽く当て表面平滑処理をしてもよい。熱融着工程によって得られた不織布は、適宜巻き取り機7によって巻き取られる。
本実施形態の作用及び効果を説明する。
(1)熱融着性繊維と吸水収縮性繊維とを含有し、熱融着性繊維の融着力によって繊維間結合して成る不織布であって、吸水収縮性繊維を含有する第1繊維層と、第1繊維層に積層され、吸水収縮性繊維を含有しない第2繊維層とを有する。吸水収縮性繊維は、繊維長が20〜100mmであり、不織布全質量に対して20質量%以上含有されており、第1繊維層は、吸水収縮性繊維の含有率が50質量%以上90質量%以下で、かつ熱融着性繊維の含有率が10質量%以上50質量%以下である。
不織布は吸水収縮性繊維を含有しているため、吸水時に所定の割合で収縮する。このとき吸水収縮性繊維は第1繊維層にのみ集中して含有し、第2繊維層は吸水収縮性繊維を含有していないため、吸水による収縮は第1繊維層にのみ生じて第2繊維層には生じない。吸水時に第1繊維層が収縮すると、第1繊維層に積層された第2繊維層は、第1繊維層に引っ張られて皺が生じて起伏が形成される。仮に、不織布全体に吸水収縮性繊維を分散させて含有した場合、不織布全体が収縮するため、表面に起伏は形成されにくい。上記構成によれば、不織布における収縮する機能と、嵩高くなる機能とを第1繊維層と第2繊維層とで分担しているため、不織布全体に吸水収縮性繊維を分散させた態様に比べて、不織布を嵩高くすることができる。また、吸水収縮性繊維の含有率が20質量%以上であるため、第1繊維層の収縮率を向上させて、不織布をより嵩高くすることができる。また、第1繊維層において、必要最小限以上の熱融着性繊維を含有しているため、第1繊維層において吸水収縮性繊維が離脱することを抑制することができる。また、吸水収縮性繊維の繊維長が20mm以上であると、熱融着性繊維を介してその接着力によって互いに連結される確率が高くなるため、吸水時の収縮率が向上する。また、吸水収縮性繊維の繊維長が100mm以下であると、均一な地合いの不織布を作製することが容易になる。
(2)第1繊維層に積層され、吸水収縮性繊維を含有しない第3繊維層をさらに有し、第1繊維層は、第2繊維層と第3繊維層とによって挟まれている。
したがって、不織布の吸水時に第1繊維層の両側の繊維層において、第1繊維層の吸水収縮に伴う皺を出現させることができる。
(3)不織布について、吸水時の厚み変化率が1.5倍以上である。したがって、吸水時に好適に嵩高くすることができる。
(4)不織布は、吸水収縮性繊維が配向した流れ方向(MD)と、流れ方向(MD)に直交する幅方向(CD)とを有し、不織布を40℃の温水に浸漬放置した時、流れ方向(MD)または幅方向(CD)の収縮率の大きい方における最大収縮率に対する収縮率の経時低下率が50%以下である。
不織布を紙おむつや生理用品として使用する場合を考えると、尿や経血を吸収するため体温付近の35〜40℃の温水において吸水収縮し嵩高になる必要がある。更にその状態が、時間が経過しても維持されるものでなければならない。40℃の温水に浸漬放置した時、最大収縮率に対する収縮率の経時低下率が50%以下であることにより、尿や経血などを吸収処理する製品に用いられた時、吸収した時に生じる収縮による嵩高状態を、製品の使用中を通じて維持する事が出来る。
(5)繊維間のボンディング方法を熱融着性繊維の融着力によって繊維間結合をするサーマルボンド法、その中でも最も好ましい方法であるエアスルー法を採用している。したがって、他のボンディング方法であるニードルパンチング法やステッチボンド法などと比べて、より嵩高な不織布を得ることが可能であり、かつ、第2繊維層及び第3繊維層に皺を生じさせやすくなる。
本実施形態は、次のように変更して実施することも可能である。また、上記実施形態の構成や以下の変更例に示す構成を適宜組み合わせて実施することも可能である。
・第2繊維層と第3繊維層とは、同様の繊維構成としてもよいし、異なる繊維構成としてもよい。
・不織布は、第3繊維層を有さない構成であってもよい。すなわち、不織布は、第1繊維層と、第1繊維層に積層された第2繊維層とで構成されていてもよい。
・第1繊維層に積層された第2繊維層において、さらに、第1繊維層と同様の繊維構成からなる繊維層が積層されていてもよい。すなわち、吸水収縮性繊維を含有しない繊維層が、吸水収縮性繊維を含有する繊維層によって挟まれた構成であってもよい。
・不織布を40℃の温水に浸漬放置した時、流れ方向(MD)または幅方向(CD)の収縮率の大きい方における最大収縮率に対する収縮率の経時低下率が50%を越えていてもよい。
上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下に記載する。
(イ)不織布は、吸水収縮性繊維が配向した流れ方向(MD)と、流れ方向(MD)に直交する幅方向(CD)とを有し、不織布を40℃の温水に浸漬放置した時、流れ方向(MD)または幅方向(CD)の収縮率の大きい方における最大収縮率に対する収縮率の経時低下率が50%以下である。
以下、上記実施形態をさらに具体化した実施例について説明する。
(実施例1)
第1繊維層の原料繊維として、吸水収縮性繊維であるPVA繊維(繊度2.5dtex、繊維長51mm)と、熱融着性繊維であるポリエチレン/ポリエステル繊維(繊度2.2dtex、繊維長51mm)とを、70:30の質量比となるように計量し、開繊機を用いて開繊した。PVA繊維は、40℃の温水に対して不溶性のものを使用した。また、第2繊維層及び第3繊維層の原料繊維として、パルプ(NBKP)と、熱融着性繊維であるポリエチレン/ポリエステル繊維(繊度2.2dtex、繊維長5mm)とを、70:30の質量比となるように計量し、開繊機を用いて開繊した。
開繊した第2繊維層の原料繊維を用いてエアレイド法で20g/mのウェブを形成した後、このウェブ上に、同じくエアレイド法で、第1繊維層の原料繊維を用いて20g/mのウェブを形成した。さらに、このウェブの上に同じくエアレイド法で、第3繊維層の原料繊維を用いて20g/mのウェブを形成し、全体で60g/mのウェブを作製した。作製したウェブを130℃のエアスルードライヤーに通して熱融着性繊維同士を熱融着させた。これにより、第1繊維層、第2繊維層及び第3繊維層が積層した不織布を作製した。
(実施例2)
第2繊維層及び第3繊維層の坪量をそれぞれ25g/mとし、全体で70g/mのウェブとしたことを除いて、実施例1と同じ条件で不織布を作製した。
(実施例3)
第1繊維層のPVA繊維と熱融着性繊維であるポリエチレン/ポリエステル繊維を90:10の質量比とし、第1繊維層を30g/m、第2、第3繊維層をそれぞれ15g/mとしたことを除いて実施例1と同じ条件で不織布を作製した。
(実施例4)
第1繊維層の原料繊維として、吸水収縮性繊維であるPVA繊維(繊度2.5dtex、繊維長100mm)と、熱融着性繊維であるポリエチレン/ポリエステル繊維(繊度2.2dtex、繊維長51mm)とを、50:50の質量比となるように計量し、開繊機を用いて開繊した。また、第2繊維層の原料繊維として、熱融着性繊維であるポリエチレン/ポリエステル繊維(繊度2.2dtex、繊維長51mm)を開繊機を用いて開繊した。
開繊した第1繊維層の原料繊維をカード機へ通して20g/mとなるようウェブを形成した後、このウェブの上に、第2繊維層の原料繊維を同じくカード機へ通して20g/mとなるよう形成し、全体で40g/mのウェブを形成した。作製したウェブを130℃のエアスルードライヤーに通して熱融着性繊維同士を熱融着させた。これにより、第1繊維層と第2繊維層が積層した不織布を作製した。
(実施例5)
第1繊維層のPVA繊維の繊維長を20mmとしたことを除いて、実施例1と同じ条件で不織布を作製した。
(比較例1)
第1繊維層、第2繊維層及び第3繊維層の原料繊維を、ともに同様の繊維構成として、パルプ(NBKP)と熱融着性繊維であるポリエチレン/ポリエステル繊維(繊度2.2dtex、繊維長5mm)とを70:30としたことを除いて、実施例1と同じ条件で不織布を作製した。
(比較例2)
第1繊維層、第2繊維層及び第3繊維層の原料繊維を、ともに同様の繊維構成として、PVA繊維(繊度2.5dtex、繊維長51mm)と熱融着性繊維であるポリエチレン/ポリエステル繊維(繊度2.2dtex、繊維長51mm)とを70:30としたことを除いて、実施例1と同じ条件で不織布を作製した。
(比較例3)
第1繊維層の原料繊維として、PVA繊維(繊度2.5dtex、繊維長51mm)を100%としたことを除いて、実施例1と同じ条件で不織布を作製した。
(比較例4)
第1繊維層の坪量を10g/mとし、全体で50g/mのウェブとしたことを除いて、実施例1と同じ条件で不織布を作製した。
(比較例5)
第1繊維層の原料繊維として、PVA繊維(繊度2.5dtex、繊維長51mm)と熱融着性繊維であるポリエチレン/ポリエステル繊維(繊度2.2dtex、繊維長51mm)とを40:60となるように計量し、第1繊維層の坪量を30g/m、第2、第3繊維層を15g/mとしたことを除いて、実施例1と同じ条件で不織布を作製した。
(比較例6)
第1繊維層の原料繊維として、PVA繊維の繊維長を15mmとしたことを除いて、実施例1と同じ条件で不織布を作製した。
(評価試験)
実施例及び比較例の不織布について、坪量、厚み、収縮率、吸水後の経時低下率を測定した。
不織布の坪量(g/m)は、250mm×200mmサイズの質量を測定し、単位面積(m)当たりの質量(g)を算出した。
厚み(mm)は、尾崎製作所製ピーコックデジタルゲージPDN−20を用いて吸水前後の厚みを測定した。吸水後の厚みは40℃の温水に5分間浸漬した後に測定した。厚み変化率(倍率)は吸水後と吸水前の厚みから、以下の計算式にて算出した。
厚み変化率(倍率)=(吸水後の厚み)/(吸水前の厚み)
収縮率(%)は、得られた不織布を40℃の温水に浸漬し十分に吸水させ、吸水前後の長さをそれぞれ測定し、以下の計算式にて算出した。吸水前後の長さは、吸水収縮性繊維が配向した流れ方向(MD)と、流れ方向(MD)に直交する幅方向(CD)それぞれで測定し、収縮の大きい方を収縮率(%)の算出に採用した。
収縮率(%)=(吸水前の長さ−吸水後の長さ)/(吸水前の長さ)×100
収縮率の経時低下率(%)は、40℃の温水に浸漬した後の最大収縮率と、40℃の温水に浸漬した1時間後の収縮率とから、以下の計算式にて算出した。
経時低下率(%)=(最大収縮率−1時間後の収縮率)/最大収縮率×100
Figure 0006978062
表1の実施例1〜5では、厚み変化率が1.6〜2.4倍であり、吸水時に好適に嵩高くなる不織布を得ることができた。また、収縮率の経時低下率が0.0〜0.4%であり、収縮が好適に維持されていた。
比較例1では、吸水収縮性繊維を有しないため吸水時に嵩高にならない。比較例2では、全層に吸水収縮性繊維を有しているため、収縮は大きいが嵩高にはならない。比較例3では、第1繊維層に熱融着性繊維を含有しないため、不織布全体を収縮させる作用が働かない。比較例4では、不織布全体におけるPVA繊維の比率が少ないため、不織布を収縮させる力が弱く嵩高にならない。比較例5では、第1繊維層中のPVA比率が小さいため、不織布全体を収縮させる作用が小さい。比較例6では、吸水収縮性繊維の繊維長が短いため、収縮繊維同士の連結が弱く、収縮作用が小さい。
1A…第1繊維層用原料投入機、1B…第2繊維層及び第3繊維層用原料投入機、2A…第1繊維層用原料開繊機、2B…第2繊維層及び第3繊維層用原料開繊機、3A…第1繊維層ウェブフォーマー、3B…第2繊維層及び第3繊維層ウェブフォーミングドラム、4A…第1繊維層用カード機、4B…第2繊維層及び第3繊維層用カード機、5…熱風通気過熱処理機、6…熱ロール、7…巻き取り機、8…コンベアネット。

Claims (2)

  1. 熱融着性繊維と吸水収縮性繊維とを含有し、前記熱融着性繊維の融着力によって繊維間結合して成る不織布であって、
    前記吸水収縮性繊維を含有する第1繊維層と、前記第1繊維層に積層され、前記吸水収縮性繊維を含有しない第2繊維層とを有し、
    前記吸水収縮性繊維は、ポリビニルアルコール繊維であって、繊維長が20〜100mmであり、不織布全質量に対して20質量%以上含有されており、
    前記第1繊維層は、前記吸水収縮性繊維の含有率が50質量%以上90質量%以下で、かつ前記熱融着性繊維の含有率が10質量%以上50質量%以下であり、
    使用時における吸水時の厚み変化率が1.5倍以上であることを特徴とする不織布。
  2. 前記第1繊維層に積層され、前記吸水収縮性繊維を含有しない第3繊維層をさらに有し、前記第1繊維層は、前記第2繊維層と前記第3繊維層とによって挟まれている請求項1に記載の不織布。
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