JP6976926B2 - 油およびタンパク質が豊富なスラウストキトリッドバイオマス、培養方法および使用 - Google Patents

油およびタンパク質が豊富なスラウストキトリッドバイオマス、培養方法および使用 Download PDF

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Description

本発明は、微細藻類、特に、スラウストキトリッド(thraustochytrid)の培養の分野にある。タンパク質および脂質が豊富で、場合によりカロテノイドを含む、スラウストキトリッドバイオマス、前記バイオマスを得るための方法、および食品におけるその使用を目的とする。
植物起源のタンパク質の供給源および脂質の供給源のいくつかは、動物およびヒトに、その代謝に必要なアミノ酸を提供するものとして、直接または栄養補助食品として、ヒトまたは動物の食物用食品において公知である。「タンパク質の供給源」という用語は、食品が摂取されたときの、動物またはヒトが利用可能なアミノ酸の供給源を指す。脂質、特に多価不飽和脂肪酸(PUFA)は、エネルギーの供給源として、さらにそれらの治療的な特性ゆえ興味が向けられている。多価不飽和脂肪酸の中で、オメガ3系(ω−3PUFA)、特にエイコサペンタエン酸(EPAまたはω−3C20:5)およびドコサヘキサエン酸(DHAまたはω−3C22:6)、ならびにオメガ6系(ω−6PUFA)、特にアラキドン酸(ARAもしくはAAまたはω−6C20:4エイコサテトラエン酸)の、特定の高度不飽和脂肪酸(HUFA)は、栄養学的に重要であると認識されており、治療的用途の観点で大きな将来性を有する。したがって、動物およびヒトの栄養摂取における用途のための、タンパク質およびPUFAの新規な供給源が提供されることは望ましい。タンパク質および脂質、特にPUFAを含有する供給源は多くの利点を有する。
タンパク質の供給源には漁業の副産物である魚粉が含まれ、これはタンパク質を比較的多く含むが、脂質は少ない(約8%乾燥物質中含有量と言われている)。
動物飼料に使用される植物タンパク質の最もよく知られた供給源は、油の抽出後に残った固体残渣である、通常、ミールの形態のダイズである。しかしながら、ダイズミールの使用には、その起源、とりわけ遺伝子組み換え(GM)ダイズ品種に関連するいくつかの不利な点がある。さらにまた、ダイズは植物タンパク質の多くの供給源と同様にPUFAなどの脂質の供給源とはならない。
植物タンパク質の他の供給源としては、とりわけヒト用の栄養補助食品用として、スピルリナおよびクロレラが知られている。
しかしながら、クロレラと同様に、スピルリナにはタンパク質の生産性が低いという不利な点があり、これは、高収率の発酵槽での培養を難しくする。これらの培養は食物タンパク質の供給源の、広範囲かつ経済的に実施可能であり、かつその品質が、動物およびヒトの食物用食品において、ダイズなどの一般的な供給源に置き換わることを可能にするような工業的製造の目的を満たす助けにはならないであろう。さらに、クロレラおよびスピルリナのPUFA含量は非常に低い。
タンパク質および脂質と同様に、カロテノイドにはまた、動物およびヒトの栄養素として興味が向けられている。
多くの場合、これらの色素の大規模な製造には、集約的な作業および大きな製造面積を必要とする。
さらにまた、現在において、既述したタンパク質または脂肪酸の供給源は、大量のカロテノイドを含有していない。
したがって、これらの分子の市場における需要の増加に対応するために、カロテノイド、とりわけルテイン、フコキサンチン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、カンタキサンチン、エキネノン、β−カロテンおよびフェニコキサンチンの新たな供給源が求められる。
発酵槽中でのそれらの工業的製造能力について公知の原生生物は、DHAまたはEPAなどの多価不飽和脂肪酸が多い脂質を製造するために、長く利用されてきた。例えば、WO97/37032号、WO2015/004402号またはWO2012/17027号参照。特定の原生生物は、特定の条件下で、カロテノイドを産生する能力を備える。しかしながら、これまで得られたバイオマスは、脂質の抽出後を含めて、少なくとも高価な追加のタンパク質濃縮工程を必要とすることなく、食品中のタンパク質供給源としてのこれらの使用を可能にするのに十分なタンパク質含量を含有していない。
本発明の目的の一つは、広範囲で、かつ経済的に実施可能な工業的製造の目的を満たす、動物またはヒトの食物用の新規なタンパク質および脂質、特にPUFAの供給源を提供することである。タンパク質およびPUFAのこの供給源は、カロテノイド、特にカロテン(α、β、ε、γ、δまたはζ−カロテン、リコピンおよびフィトエン)およびキサントフィル(アスタキサンチン、アンテラキサンチン、シトラナキサンチン、クリプトキサンチン、カンタキサンチン、ジアジノキサンチン、ジアトキサンチン、フラボキサンチン、フコキサンチン、ルテイン、ネオキサンチン、フェニコキサンチン、ロドキサンチン、ルビキサンチン、シフォナキサンチン、ビオラキサンチン、ゼアキサンチン)も含み得る。
本発明は、特定の培養条件下で、高い多価不飽和脂肪酸の含量(とりわけ、DHAおよびEPA)を有する油の製造における用途に、公知のスラウストキトリッドが、動物の飼料およびヒトの栄養摂取用の高品質のタンパク質供給源のために、大量のタンパク質を産生することが可能な微生物であることを示すものである。本発明者らは、25%〜60%のPUFAを含有して、少なくとも20%(乾燥物質に対して)の脂質含量を維持しながら、高タンパク質含量を得ることを可能にする培養条件を決定することができた。本発明者らは、細胞に、タンパク質およびPUFAに加えて、カロテノイドを産生させることを直接可能にする培養条件も決定することができた。
したがって、本発明は、第一の目的として、乾燥物質の重量に対して、重量で、少なくとも20%のタンパク質、好ましくは少なくとも30%のタンパク質を含んでいてもよく、乾燥物質の重量に対して、重量で、40%超までのタンパク質、さらには60%超までのタンパク質の範囲であってもよい、スラウストキトリッドバイオマスを含む。バイオマスは、通常、乾燥物質の重量に対して、35%〜65%のタンパク質、特に45%〜55%のタンパク質を含有していてもよい。
タンパク質の重量百分率は、タンパク質それ自体に関して、または前記タンパク質に含有されるアミノ酸に関して表され得る。ここで示される百分率は、総窒素からではなく、バイオマス中に含有される総アミノ酸の総計によって計算される(標準ISO13903:2005)。例えば、アミノ酸分析器を使用して、総アミノ酸を測定してもよい。トリプトファンは、別にアッセイされ、次いで、その値は、総アミノ酸の総計を得るために、他のアミノ酸の総計に加えられる。
さらにまた、前記バイオマスは、乾燥物質の重量に対して、重量で、少なくとも20%の脂質、好ましくは少なくとも30%の脂質を含んでいてもよい。この脂質は、25%〜60%、好ましくは40%〜60%のPUFA、例えば、ARA、DHAおよび/またはEPAを含有していてもよい。本発明の実施形態によれば、DHAは、好ましいPUFAであり得る。
本発明の特定の実施形態によれば、前記バイオマスは、5〜250ppm(ng/mg乾燥物質)、好ましくは150〜200ppmのカロテノイドも含んでいてもよい。
本発明は、
a.適切な培養液中、約24℃〜35℃の間の範囲の温度で、従属栄養性または混合栄養性の条件下、かつ乾燥物質の重量に対して、重量で、少なくとも35%のタンパク質のレベルでタンパク質の産生を促進することができる条件下、スラウストキトリッドを培養する第一工程;
b.工程a)より低い約18℃〜25℃の間の温度で、従属栄養性または混合栄養性の条件下、少なくとも40g/L乾燥物質、好ましくは少なくとも60g/L、より好ましくは少なくとも80g/Lの培養密度が得られるまで、少なくとも20%まで、好ましくは少なくとも30%までの脂質の蓄積を促進することができ、かつ少なくとも25%まで、好ましくは少なくとも35%までの脂質内にDHAの蓄積を促進することができる条件下での第二の培養工程;
c.第二工程で得られたバイオマスを、培養液から、前記バイオマスを分離することによって回収する第三工程(採取);この工程に続いて、均質化してもよく、ならびに、必要により、
d.第三工程で回収されたバイオマスを乾燥する第四工程;
を含むことを特徴とする、上記および下記に定義されるバイオマスを製造するための方法にも関する。
培養時間は、通常、40〜100時間、好ましくは65〜96時間、例えば、70、84または96時間であってもよい。本発明に関する培養方法は、バイオマスの濃度が、100g/L、実際には、120g/L超に達することを、通常、可能にし得る。
第一工程a)において、細胞は、約18〜30時間、好ましくは24時間培養されてもよい。この第一の培養工程後、例えば、約24時間の培養の時点で、温度を、約18〜24℃に下げてもよい(工程b)の開始)。この温度低下は、脂肪酸および潜在的にカロテノイドの産生を促進し得る。低温での培養は、通常、約50〜70時間の培養まで、任意の場合においては、好ましくは培養の最後まで継続してもよい。
カロテノイドの産生は、場合により、培養中、好ましくは工程b)中に誘導されてもよい。この目的のために、好ましくは約435〜475nm、好ましくは455nmの青色光を用いる混合栄養性の条件を適用してもよい。アスタキサンチン、カンタキサンチン、β−カロテンおよびフェニコキサンチンなどのカロテノイドは、これらの波長により産生され得る。光は、通常、少なくとも18時間、好ましくは少なくとも24時間適用してもよい。
本発明の好ましい実施形態によれば、光は、培養の、24〜50時間の時点、より好ましくは45時間の時点で、および培養の最後まで、培養に適用されてもよい。
本発明は、ヒトまたは動物の食物摂取のための食品、とりわけ、水産養殖の分野における、上記または下記に定義されるバイオマスの使用にも関する。本発明は、動物の能力を改善するための、上記または下記に定義されるバイオマスの使用にも関する。前記能力は、当業者に全て公知の、食物摂取の指標、体重増加または飼料要求率を測定することによって評価してもよい。
本発明は、栄養価およびその密度の両方を増加させることを可能にする、このようなバイオマスを含む食品にも関する。
本発明は、治療、とりわけ、栄養不良の治療及び予防において使用するための、本発明によるバイオマスにも関する。
本発明によるバイオマスを含む、ヒトもしくは動物のための化粧品または医薬組成物、およびヒトもしくは動物の食物摂取のための食品または食品組成物にも関する。
「突然変異体」という用語は、自然の過程によるか、またはランダム突然変異(UVなど)もしくは遺伝子工学技術によって生じ得る、当業者に公知の物理化学的方法によるかのいずれかにより、その遺伝子プールが改変された、原種に由来する生命体を指す。
「混合栄養性の条件」または「混合栄養性の方式」という用語は、光の供給を伴う培養、および有機炭素含有基質の供給を伴う暗闇での培養を指す。
「従属栄養性−優勢混合栄養性の条件」という用語は、細胞増殖のためのエネルギーの大部分が有機炭素源によってもたらされるが、光が、細胞増殖および/または組成に影響を及ぼす、照明の条件を指す。この光は、前記照明に曝露された細胞の代謝に対して影響がある限りにおいて、強度の変化を伴うか、もしくは伴わずに連続的に、または光の期間の間の暗闇の期間を伴って不連続的に、のいずれかで提供されてもよい。周期的な強度の変化または周期的な不連続は、時間と共に規則的であってもよく、または細胞増殖の様々な段階によって変えてもよい。従属栄養性−優勢混合栄養性は、自家栄養および従属栄養の両方の利点を組み合わせることによって、関係する分子を産生することを可能にする。従属栄養性のようなこれらの条件下、有機基質は、大量のバイオマスを産生するように、微細藻類に栄養を与えるが、細胞の葉緑体および他の光エネルギー捕捉細胞小器官は、活性化される。光は、代謝応答、例えば、色素の合成を誘導することができるシグナルとして働く。
「カロテノイド」という用語は、カロテン(α、β、ε、γ、δまたはζ−カロテン、 リコピンおよびフィトエン)およびキサントフィル(アスタキサンチン、アンテラキサンチン、シトラナキサンチン、クリプトキサンチン、カンタキサンチン、ジアジノキサンチン、ジアトキサンチン、フラボキサンチン、フコキサンチン、ルテイン、ネオキサンチン、ロドキサンチン、ルビキサンチン、シフォナキサンチン、ビオラキサンチン、ゼアキサンチン)を含む。
本発明によれば、「バイオマス」という用語は、有利には、前述の原生生物を培養することにより製造される、本明細書に記載のタンパク質、脂肪酸、および場合によりカロテノイドのレベルを有する一連のスラウストキトリッド細胞を指し、この細胞は、それらの物理的な完全性を維持してもよく、または維持しなくてもよい。
したがって、前記バイオマスは、0%〜100%の範囲の量の劣化したスラウストキトリッド細胞を含んでいてもよいことが理解される。「劣化した」という用語は、前記スラウストキトリッド細胞が、改変されたそれらの構造および/または組成を有し得ることを意味する。例えば、これらは、乾燥工程または油採取工程を経ていてもよく、重要なことは、これらの細胞を含むバイオマスが、本明細書に記載の、タンパク質、脂肪酸、および場合によりカロテノイドのレベルを有するという点である。
本発明の好ましい実施形態によれば、バイオマスは、採取中または採取後に、そのアミノ酸組成を改変する処理を経ず、すなわち、採取後に前記バイオマスが付される処理は、そのアミノ酸組成を変更しない。特に、バイオマスは、タンパク質およびアミノ酸の濃縮の工程に付されない。後者は、これらの培養液中の細胞増殖に由来する。これは「タンパク質の添加なし」と呼ばれるバイオマスである。
本発明のより好ましい実施形態によれば、バイオマスは、そのアミノ酸、脂質、および、該当する場合はカロテノイドの組成を改変する処理を経ておらず、すなわち、採取後に前記バイオマスが付される処理は、そのアミノ酸、脂質、および場合によりカロテノイドの組成を変更しない。特に、脂質に対するアミノ酸の相対組成は、実質的に一定のままである。タンパク質と同様に、脂肪酸は、これらの培養液中における細胞の培養にのみ由来する。脂肪酸が豊富でなければ、バイオマスは「脂肪酸の添加なし」とも呼ばれる。
特定の場合において、本発明によるバイオマス中の劣化していないスラウストキトリッドは、劣化したスラウストキトリッドよりも優れた保存特性および消化特性を有し得ることが観察された。本発明の好ましい形態の一つは、実質的に主要量が劣化していないスラウストキトリッドを含むバイオマスである。
本発明によれば、「劣化した」という用語は、例えば、均質化からもたらされる、例えば溶解したスラウストキトリッドなどの、その構造的および/または化学的な完全性が変更され得るスラウストキトリッドを指す。
それにもかかわらず、一度産生されたものに比べて、前記バイオマスは、未加工で使用されてもよく、場合により、乾燥、またはその使用に必要な任意の処理、とりわけ、均質化に付されてもよいことは明らかである。
本発明によれば、前記バイオマスは、乾燥物質の重量に対して、重量で、1%〜95%の水分含量を有していてもよい。
好ましくは、本発明の実施形態によれば、前記バイオマスは、乾燥物質の重量に対して、重量で、70%〜90%、好ましくは80%〜85%の水分含量を有していてもよい。
より好ましくは、本発明の第二の実施形態によれば、前記バイオマスは、乾燥物質の重量に対して、重量で、1%〜10%、好ましくは2%〜7%の水分含量を有していてもよい。
本発明によれば、前記スラウストキトリッドは、スラウストキトリアレス(Thraustochytriales)目、好ましくはスラウストキトリアセアエ(Thraustochytriaceae)科、より好ましくはオーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)属、アプラノキトリウム(Aplanochytrium)属、ボトリオキトリウム(Botryochytrium)属、ジャポノキトリウム(Japonochytrium)属、オブロンギキトリウム(Oblongichytrium)属、パリエティキトリウム(Parietichytrium)属、シゾキトリウム(Schizochytrium)属、シクヨイドキトリウム(Sicyoidochytrium)属、スラウストキトリウム(Thraustochytrium)属およびウルケニア(Ulkenia)属を含む群から選択され得る属であってもよい。
スラウストキトリッドは、非遺伝子組み換え微生物であり、または遺伝子組み換え微生物でもある。遺伝子組み換えスラウストキトリッドを使用する場合、これらは、食品としての使用のためにバイオマスを劣化または消化することを可能にする、一つまたは複数の酵素をコードする遺伝子を含有しない。
有利には、前記スラウストキトリッドは、アプラノキトリウム・ケルグエレンセ(Aplanochytrium kerguelense);アプラノキトリウム・ミヌタ(Aplanochytrium minuta);アプラノキトリウム・ストッキノイ(Aplanochytrium stocchinoi);アプラノキトリウム種(Aplanochytrium sp.)PR24−1;オーランチオキトリウム・リマシヌム(Aurantiochytrium limacinum);オーランチオキトリウム・リマシヌム(Aurantiochytrium limacinum)AB022107;オーランチオキトリウム・リマシヌム(Aurantiochytrium limacinum)HM042909;オーランチオキトリウム・リマシヌム(Aurantiochytrium limacinum)JN986842;オーランチオキトリウム・リマシヌム(Aurantiochytrium limacinum)SL1101 JN986842;オーランチオキトリウム・マングローヴァイ(Aurantiochytrium mangrovei);オーランチオキトリウム・マングローヴァイ(Aurantiochytrium mangrovei)DQ323157;オーランチオキトリウム・マングローヴァイ(Aurantiochytrium mangrovei)DQ356659;オーランチオキトリウム・マングローヴァイ(Aurantiochytrium mangrovei)DQ367049;オーランチオキトリウム・マングローヴァイ(Aurantiochytrium mangrovei)CCAP 4062/2;オーランチオキトリウム・マングローヴァイ(Aurantiochytrium mangrovei)CCAP 4062/3;オーランチオキトリウム・マングローヴァイ(Aurantiochytrium mangrovei)CCAP 4062/4;オーランチオキトリウム・マングローヴァイ(Aurantiochytrium mangrovei)CCAP 4062/5;オーランチオキトリウム・マングローヴァイ(Aurantiochytrium mangrovei)CCAP 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multirudimentalis);オブロンギキトリウム種(Oblongichytrium sp.);オブロンギキトリウム種(Oblongichytrium sp.)SEK347;パリエティキトリウム・サルカリアヌム(Parieticytrium sarkarianum);パリエティキトリウム・サルカリアヌム(Parieticytrium sarkarianum)SEK351;パリエティキトリウム・サルカリアヌム(Parieticytrium sarkarianum)SEK364;パリエティキトリウム種(Parieticytrium sp.);パリエティキトリウム種(Parieticytrium sp.)F3−1;パリエティキトリウム種(Parieticytrium sp.)H1−14;パリエティキトリウム種(Parieticytrium sp.)NBRC102984;フィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans);シゾキトリウム・アグレガタム(Schizochytrium aggregatum)DQ323159;シゾキトリウム・アグレガタム(Schizochytrium aggregatum)DQ356661;シゾキトリウム・アグレガタム(Schizochytrium aggregatum);シゾキトリウム・リマシヌム(Schizochytrium limacinum);シゾキトリウム・リマシヌム(Schizochytrium limacinum)OUC166 HM042907;シゾキトリウム・マングローヴァイ(Schizochytrium mangrovei);シゾキトリウム・マングローヴァイ(Schizochytrium mangrovei)FB1;シゾキトリウム・マングローヴァイ(Schizochytrium mangrovei)FB3;シゾキトリウム・マングローヴァイ(Schizochytrium mangrovei)FB5;シゾキトリウム・ミヌツム(Schizochytrium minutum);シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)ATCC20888 DQ367050;シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)KGS2 KC297137;シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)SKA10 JQ248009;シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)ATCC 20111;シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)ATCC 20888;シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)ATCC 20111 DQ323158;シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)ATCC 20888 DQ356660;シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)ATCC 20889;シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)ATCC 26185;シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)BR2.1.2;シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)BUCAAA 032;シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)BUCAAA 093;シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)BUCACD 152;シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)BUCARA 021;シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)BUCHAO 113;シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)BURABQ 133;シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)BURARM 801;シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)BURARM 802;シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)CCAP 4087/3;シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)CCAP 4087/1;シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)CCAP 4087/4;シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)CCAP 4087/5;シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)FJU−512;シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)KH105;シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)KK17−3;シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)KR−5;シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)PJ10.4;シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)SEK 210;シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)SEK 345;シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)SEK 346;シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)SR21;シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)TIO01;シクヨイドキトリウム・ミヌツム(Sicyoidochytrium minutum)SEK354;シクヨイドキトリウム・ミヌツム(Sicyoidochytrium minutum)NBRC 102975;シクヨイドキトリウム・ミヌツム(Sicyoidochytrium minutum)NBRC 102979;スラウストキトリダエ種(Thraustochytriidae sp.)BURABG162 DQ100295;スラウストキトリダエ種(Thraustochytriidae sp.)CG9;スラウストキトリダエ種(Thraustochytriidae sp.)LY2012 JX847378;スラウストキトリダエ種(Thraustochytriidae sp.)MBIC11093 AB183664;スラウストキトリダエ種(Thraustochytriidae sp.)NIOS1 AY705769;スラウストキトリダエ種(Thraustochytriidae sp.)#32 DQ323161;スラウストキトリダエ種(Thraustochytriidae sp.)#32 DQ356663;スラウストキトリダエ種(Thraustochytriidae sp.)RT49 DQ323167;スラウストキトリダエ種(Thraustochytriidae sp.)RT49 DQ356669;スラウストキトリダエ種(Thraustochytriidae sp.)RT49;スラウストキトリダエ種(Thraustochytriidae sp.)Thel2 DQ323162;スラウストキトリダエ種(Thraustochytriidae sp.)Thel2;スラウストキトリウム・アグレガタム(Thraustochytrium aggregatum);スラウストキトリウム・アグレガタム(Thraustochytrium aggregatum)DQ356662;スラウストキトリウム・アウレウム(Thraustochytrium aureum);スラウストキトリウム・アウレウム(Thraustochytrium aureum)DQ356666;スラウストキトリウム・ガエルトネリウム(Thraustochytrium gaertnerium);スラウストキトリウム・キンネイ(Thraustochytrium kinnei);スラウストキトリウム・キンネイ(Th
raustochytrium kinnei)DQ323165;スラウストキトリウム・モチバム(Thraustochytrium motivum);スラウストキトリウム・マルチルジメンタレ(Thraustochytrium multirudimentale);スラウストキトリウム・パキデルマム(Thraustochytrium pachydermum);スラウストキトリウム・ローゼウム(Thraustochytrium roseum);スラウストキトリウム種(Thraustochytrium sp.)13A4.1;スラウストキトリウム種(Thraustochytrium sp.)ATCC 26185;スラウストキトリウム種(Thraustochytrium sp.)BL13;スラウストキトリウム種(Thraustochytrium sp.)BL14;スラウストキトリウム種(Thraustochytrium sp.)BL2;スラウストキトリウム種(Thraustochytrium sp.)BL3;スラウストキトリウム種(Thraustochytrium sp.)BL4;スラウストキトリウム種(Thraustochytrium sp.)BL5;スラウストキトリウム種(Thraustochytrium sp.)BL6;スラウストキトリウム種(Thraustochytrium sp.)BL7;スラウストキトリウム種(Thraustochytrium sp.)BL8;スラウストキトリウム種(Thraustochytrium sp.)BL9;スラウストキトリウム種(Thraustochytrium sp.)BP3.2.2;スラウストキトリウム種(Thraustochytrium sp.)BP3.3.3;スラウストキトリウム種(Thraustochytrium sp.)カウディボラム(caudivorum);スラウストキトリウム種(Thraustochytrium sp.)CHN−1;スラウストキトリウム種(Thraustochytrium sp.)FJN−10;スラウストキトリウム種(Thraustochytrium sp.)HK1;スラウストキトリウム種(Thraustochytrium sp.)HK10;スラウストキトリウム種(Thraustochytrium sp.)HK5;スラウストキトリウム種(Thraustochytrium sp.)HK8;スラウストキトリウム種(Thraustochytrium sp.)HK8a;スラウストキトリウム種(Thraustochytrium sp.)KK17−3;スラウストキトリウム種(Thraustochytrium sp.)KL1;スラウストキトリウム種(Thraustochytrium sp.)KL2;スラウストキトリウム種(Thraustochytrium sp.)KL2a;スラウストキトリウム種(Thraustochytrium sp.)ONC−T18;スラウストキトリウム種(Thraustochytrium sp.)PJA10.2;スラウストキトリウム種(Thraustochytrium sp.)TR1.4;スラウストキトリウム種(Thraustochytrium sp.)TRR2;スラウストキトリウム・ストリアタム(Thraustochytrium striatum);スラウストキトリウム・ストリアタム(Thraustochytrium striatum)ATCC24473;スラウストキトリウム・ストリアタム(Thraustochytrium striatum)DQ323163;スラウストキトリウム・ストリアタム(Thraustochytrium striatum)DQ356665;スラウストキトリウム・ビスルゲンス(Thraustochytrium visurgense);ウルケニア・アモエボイデア(Ulkenia amoeboidea)SEK 214;ウルケニア・プロフンダ(Ulkenia profunda);ウルケニア・プロフンダ(Ulkenia profunda)BUTRBG 111;ウルケニア種(Ulkenia sp.);ウルケニア種(Ulkenia sp.)ATCC 28207;ウルケニア・ビスルゲンシス(Ulkenia visurgensis);ウルケニア・ビスルゲンシス(Ulkenia visurgensis)BURAAA 141;ウルケニア・ビスルゲンシス(Ulkenia visurgensis)ATCC 28208の種から選択されてもよい。
好ましくは、本発明によれば、スラウストキトリッドは、オーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)属およびシゾキトリウム(Schyzochitrium)属から選択されてもよく、好ましくはCCAPに2014年5月20日に寄託されたオーランチオキトリウム・マングローヴァイ(Aurantiochytrium mangrovei)CCAP 4062/2、
CCAPに2014年5月20日に寄託されたオーランチオキトリウム・マングローヴァイ(Aurantiochytrium mangrovei)CCAP 4062/3、
CCAPに2014年5月20日に寄託されたオーランチオキトリウム・マングローヴァイ(Aurantiochytrium mangrovei)CCAP 4062/4、
CCAPに2014年5月20日に寄託されたオーランチオキトリウム・マングローヴァイ(Aurantiochytrium mangrovei)CCAP 4062/5、
CCAPに2014年5月20日に寄託されたオーランチオキトリウム・マングローヴァイ(Aurantiochytrium mangrovei)CCAP 4062/6、
CCAPに2013年6月21日に寄託されたオーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)CCAP 4062/1、
CCAPに2014年5月20日に寄託されたシゾキトリウム種(Schizochytrium sp)CCAP 4087/3、
CCAPに2012年2月28日に寄託されたシゾキトリウム種(Schizochytrium sp)CCAP 4087/1、
CCAPに2014年5月20日に寄託されたシゾキトリウム種(Schizochytrium sp)CCAP 4087/4、および
CCAPに2014年5月20日に寄託されたシゾキトリウム種(Schizochytrium sp)CCAP 4087/5
の種から選択されてもよい。
全ての寄託は、ブダペスト条約の条項の下、CCAP(CULTURE COLLECTION OF ALGAE AND PROTOZOA(CCAP)、SAMS Research Services Ltd.、Scottish Marine Institute、OBAN、Argyl PA37 1QA、英国)に行った。
本発明の好ましい実施形態によれば、バイオマスは、乾燥物質の重量に対して、重量で、少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは35%〜55%のタンパク質含量を有していてもよい。本発明の好ましい実施形態によれば、バイオマスは、乾燥物質の重量に対して、重量で、35%〜65%のタンパク質含量を有していてもよい。
本発明の好ましい実施形態によれば、バイオマスは、乾燥物質の重量に対して、重量で、25%〜60%、好ましくは40%〜60%のPUFAを含む、少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%の脂質含量を有していてもよい。特に、(乾燥物質の重量に対して、重量で)DHA:タンパク質の比率は、1:1.5〜1:9、好ましくは1:2〜1:7、より好ましくは1:5〜1:6であってもよい。
本発明の特定の好ましい実施形態によれば、バイオマスは、場合により、乾燥物質の重量に対して、5ppm〜250ppm、好ましくは150ppm〜200ppmのカロテノイド含量を有していてもよい。カロテノイド含量は、照明の条件だけでなく、培養液および方法の実行にも依存し得る。そのため、同じ微細藻類の株は、培養条件の作用として、異なる量の色素を産生してもよい。
本発明の好ましい実施形態によれば、前記バイオマスは、
− オーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)およびSchyzochitrium(シゾキトリウム)の属から、好ましくはオーランチオキトリウム・マングローヴァイ(Aurantiochytrium mangrovei)CCAP 4062/2;オーランチオキトリウム・マングローヴァイ(Aurantiochytrium mangrovei)CCAP 4062/3;オーランチオキトリウム・マングローヴァイ(Aurantiochytrium mangrovei)CCAP 4062/4;オーランチオキトリウム・マングローヴァイ(Aurantiochytrium mangrovei)CCAP 4062/5;オーランチオキトリウム・マングローヴァイ(Aurantiochytrium mangrovei)CCAP 4062/6;オーランチオキトリウム・マングローヴァイ(Aurantiochytrium mangrovei)CCAP 4062/1;シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)CCAP 4087/3;シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)CCAP 4087/1;シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)CCAP 4087/4;シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)CCAP 4087/5の種から選択されてもよい、スラウストキトリッド;ならびに、
− 乾燥物質の重量に対して、重量で、少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、非常に好ましくは35%〜55%または45%〜55%のタンパク質含量;
− 乾燥物質の重量に対して、重量で、25%〜60%、好ましくは40%〜60%のPUFAを含む、少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%の脂質含量;
− 場合により、乾燥物質の重量に対して、5ppm〜250ppm、好ましくは150〜200ppmのカロテノイド含量;および
− 70%〜90%、好ましくは80%〜85%の乾燥前の水分含量、または1%〜10%、好ましくは2%〜7%の乾燥後の水分含量;を有していてもよい、
バイオマスであってもよい。
得られるカロテノイドの含量および種類は、入射光の波長の選択によって、および照明条件によって、制御し得る。ルテイン、フコキサンチン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、カンタキサンチン、エキネノン、β−カロテンおよびフェニコキサンチンなどのカロテノイドは、本発明の実施形態により、産生され得る。アスタキサンチン、カンタキサンチン、β−カロテンおよびフェニコキサンチンから選択されるカロテノイドの産生を誘導するために、培養物は、青色光(約435〜475nm、好ましくは455nm)に曝露される。実施形態によれば、カロテノイドは、脂質に関して、5〜30%のアスタキサンチン含量、15%〜30%のフェニコキサンチン含量、および0〜30%のβ−カロテン含量を有していてもよい。
本発明は、目的として、
a.適切な培養液中、約24℃〜35℃の間の範囲の温度で、かつ乾燥物質の重量に対して、重量で、少なくとも35%のタンパク質のレベルでタンパク質の産生を促進することができる条件下での、スラウストキトリッドの従属栄養性または混合栄養性の培養の第一工程;
b.少なくとも40g/L乾燥物質、好ましくは少なくとも60g/L、より好ましくは少なくとも80g/Lの培養密度が得られるまで、工程a)より低い約18℃〜25℃の間の温度で、少なくとも20%まで、好ましくは少なくとも30%までの脂質の蓄積を促進することができ、かつ少なくとも25%まで、好ましくは少なくとも35%までの脂質内に、多価不飽和脂肪酸(PUFA)、好ましくはDHAおよび/またはEPAおよび/またはARAの蓄積を促進することができ、かつ場合により、カロテノイドの産生を促進する条件下での、従属栄養性または混合栄養性の培養の第二工程;
c.第二工程で得られたバイオマスを、培養液から、前記バイオマスを分離することによって回収する第三工程(採取);ならびに、必要により、
d.第三工程で回収されたバイオマスを乾燥する第四工程;
を含む、前記記載のバイオマスを製造するための方法も含む。
好ましくはスラウストキトリッドを培養する工程a)は、培養液中、タンパク質の産生を促進するために適切な条件下、行われ得る。
通常、前記適切な培養液は、スラウストキトリッドを培養するために当業者に公知であるが、工程a)中に、に窒素欠乏ではない細胞のためにそれを適応させた、培養液であってもよい。例として、炭素源が補給された海塩に基づく培養液が挙げられる。例えば、改変Verduyn培養液(15g/Lの海塩;3g/Lの(NHSO;1g/LのKHPO;0.5g/LのMgSO・7HO;24mg/LのNaEDTA;3mg/LのZnSO・7HO;3mg/LのMnCl・2HO;0.04mg/LのNaMoO・2HO;10mg/LのFeSO・7HO;3.2mg/Lのパントテン酸塩;9.5mg/Lの塩酸チアミン;0.15mg/LのビタミンB12)が挙げられる。ATCC790 MB2216またはF/2タイプの培養液も挙げられる。
本発明の実施形態によれば、前記適切な培養液は、好ましくは炭素源、窒素源、リン源および塩を含んでいてもよい、化学的に定義された培養液であってもよい。
本発明によれば、「化学的に定義された培養液」という用語は、それぞれの要素の内容が公知の培養液を指す。正確には、本発明は、豊富または複雑な有機物を含み得ない培養液を対象とする。「豊富または複雑な有機物」という表現は、未精製の有機物を指し、混合物の種々の成分の正確な組成および濃度が正確に公知ではなく、制御されておらず、かつ一つのバッチから別のバッチへの大きな変動性を有し得る、混合物として表される。豊富または複雑な有機物の例として、それぞれの成分が固定された濃度を有さない、タンパク質の加水分解反応の産物である酵母抽出物もしくはペプトン、または、例えば、海洋無機塩もしくは他の複合成長剤などのミネラルが豊富な物質が挙げられる。
本発明によれば、前記定義の培養液は、カルシウム、コバルト、マンガン、マグネシウム、亜鉛、ニッケル、銅、カリウム、鉄およびナトリウム塩、ならびにこれらの混合物から選択される塩を含んでいてもよい。
有利には、前記塩は、塩化カルシウム、塩化コバルト、塩化マンガン、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸ニッケル、硫酸銅、硫酸カリウム、硫酸鉄、モリブデン酸ナトリウム、亜セレン酸ナトリウム、塩化ナトリウムおよびこれらの混合物から選択されてもよい。
本発明の実施形態によれば、および使用される株によれば、培養液はまた、とりわけ、海洋起源の特定の株に対しては、塩化ナトリウム(NaCl)を含んでいてもよい。
この実施形態によれば、塩化ナトリウムを含んでいてもよい培養液を考慮し得る海洋株の例として、シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)株、特に、シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)CCAP 4062/3株およびCCAP 4087/4株が挙げられる。
本発明の別の実施形態によれば、および使用される株によれば、培養液は、塩化ナトリウム(NaCl)を含まなくてもよく、3.5g/L未満、好ましくは1g/L未満、より好ましくは10mg/L未満のナトリウムイオン、および1g/L未満、好ましくは500mg/L未満、より好ましくは200mg/L未満の塩化物イオンを有する、非常に少量の塩化ナトリウムを少なくとも含んでいてもよい。
この実施形態によれば、塩化ナトリウム(NaCl)を含んでいなくてもよい培養液、非常に少量の塩化ナトリウムを少なくとも含んでいてもよい培養液を考慮し得る株の例として、オーランチオキトリウム・マングローヴァイ(Aurantiochytrium mangrovei)株、特に、オーランチオキトリウム・マングローヴァイ(Aurantiochytrium mangrovei)CCAP 4062/4株およびCCAP 4062/1株が挙げられる。
本発明の実施形態によれば、前記定義の培養液の炭素源は、一つもしくは複数の炭水化物、一つもしくは複数のアセテート、一つもしくは複数のアルコール、一つもしくは複数の錯体分子、または少なくとも二つのこれらの供給源の任意の割合の任意の混合物であってもよい。
「少なくとも二つのこれらの供給源の任意の割合の任意の混合物」という表現は、任意の割合の少なくとも一つの以下の混合物を指す:一つもしくは複数の炭水化物および一つもしくは複数のアセテート、一つもしくは複数の炭水化物および一つもしくは複数のアルコール、一つもしくは複数の炭水化物および一つもしくは複数の錯体分子、一つもしくは複数のアセテートおよび一つもしくは複数のアルコール、一つもしくは複数のアセテートおよび一つもしくは複数の錯体分子および一つもしくは複数のアルコールおよび一つもしくは複数の錯体分子、一つもしくは複数の炭水化物および一つもしくは複数のアセテートおよび一つもしくは複数のアルコール、一つもしくは複数の炭水化物および一つもしくは複数のアセテートおよび一つもしくは複数の錯体分子、一つもしくは複数の炭水化物および一つもしくは複数のアセテートおよび一つもしくは複数のアルコールおよび一つもしくは複数の錯体分子。
本発明によれば、前記定義の培養液の前記窒素源は、一つもしくは複数の硝酸塩、一つもしくは複数のグルタミン酸塩、一つもしくは複数のアンモニウム塩、尿素、アンモニア、または少なくとも二つのこれらの供給源の任意の割合の任意の混合物から選択されてもよい。
「少なくとも二つのこれらの供給源の任意の割合の任意の混合物」という表現は、任意の割合の少なくとも一つの以下の混合物を指す:一つもしくは複数の硝酸塩および一つもしくは複数のグルタミン酸塩および一つもしくは複数のアンモニウム塩および尿素およびアンモニア;一つもしくは複数の硝酸塩および一つもしくは複数のグルタミン酸塩および一つもしくは複数のアンモニウム塩および尿素;一つもしくは複数の硝酸塩および一つもしくは複数のグルタミン酸塩および一つもしくは複数のアンモニウム塩およびアンモニア;一つもしくは複数の硝酸塩および一つもしくは複数のグルタミン酸塩および尿素およびアンモニア;一つもしくは複数の硝酸塩および一つもしくは複数のアンモニウム塩および尿素およびアンモニア;一つもしくは複数の硝酸塩および一つもしくは複数のグルタミン酸塩および一つもしくは複数のアンモニウム塩;一つもしくは複数の硝酸塩および一つもしくは複数のグルタミン酸塩および尿素;一つもしくは複数の硝酸塩および一つもしくは複数のグルタミン酸塩およびアンモニア;一つもしくは複数の硝酸塩および一つもしくは複数のアンモニウム塩および尿素;一つもしくは複数の硝酸塩および一つもしくは複数のアンモニウム塩およびアンモニア;一つもしくは複数の硝酸塩および尿素およびアンモニア;一つもしくは複数のグルタミン酸塩および一つもしくは複数のアンモニウム塩および尿素およびアンモニア;一つもしくは複数のグルタミン酸塩および一つもしくは複数のアンモニウム塩および尿素;一つもしくは複数のグルタミン酸塩および一つもしくは複数のアンモニウム塩およびアンモニア;一つもしくは複数のグルタミン酸塩および尿素およびアンモニア;一つもしくは複数のアンモニウム塩および尿素およびアンモニア;一つおよび複数の硝酸塩および一つもしくは複数のグルタミン酸塩;一つもしくは複数の硝酸塩および一つもしくは複数のアンモニウム塩;一つもしくは複数の硝酸塩および尿素。
本発明の実施形態によれば、前記定義の培養液のリン源は、リン酸、リン酸塩、有利には、リン酸水素ナトリウム(NaHPO)もしくはリン酸二水素ナトリウム(NaHPO)、またはリン酸二水素カリウム(KHPO)もしくはリン酸水素カリウム(KHPO)、あるいは、少なくとも二つのこれらの供給源の任意の割合の任意の混合物から選択されてもよい。
本発明の実施形態によれば、前記培養液は、塩化マグネシウム、有利には、四水和物の形態(MgCl・4HO);塩化カルシウム、有利には、二水和物の形態(CaCl・2HO);塩化コバルト六水和物(CoCl・6HO);塩化マンガン(II)四水和物(MnCl・4HO);硫酸マグネシウム七水和物(MgSO・7HO);硫酸亜鉛七水和物(ZnSO・7HO);硫酸ニッケル六水和物(NiSO・6HO);硫酸銅五水和物(CuSO・5HO);硫酸カリウム(KSO);硫酸鉄七水和物(FeSO・7HO);ホウ酸(HBO);エチレンジアミン四酢酸の二ナトリウム二水和物の形態(NaEDTA・2HO);モリブデン酸ナトリウム二水和物(NaMoO・2HO);亜セレン酸ナトリウム(NaSeO);ビタミンとして、チアミン、コバラミンもしくはビタミンB12、パントテン酸塩もしくはビタミンB5;炭素源;窒素源;リン源を含んでいてもよい。
本発明の好ましい形態によれば、前記培養液中において、塩化マグネシウムは、0.008〜0.012g/L、有利には、0.009〜0.011g/Lの濃度であってよく;塩化カルシウムは、0.40〜0.70g/L、有利には、0.50〜0.60g/Lの濃度であってよく;塩化コバルト六水和物は、0.00008〜0.00013g/L、有利には、0.00009〜0.00012g/Lの濃度であってよく;塩化マンガン(II)四水和物は、0.008〜0.013g/L、有利には、0.009〜0.012g/Lの濃度であってよく;硫酸マグネシウム七水和物は、6〜10g/L、有利には、7〜9g/Lの濃度であってよく;硫酸亜鉛七水和物は、0.008〜0.013g/L、有利には、0.009〜0.012g/Lの濃度であってよく;硫酸ニッケル六水和物は、0.004〜0.007g/L、有利には、0.005〜0.006g/Lの濃度であってよく;硫酸銅五水和物は、0.005〜0.009g/L、有利には、0.006〜0.008g/Lの濃度であってよく;硫酸カリウムは、0.5〜3.5g/L、有利には、1〜3g/Lの濃度であってよく;硫酸鉄七水和物は、0.03〜0.05g/L、有利には、0.035〜0.045g/Lの濃度であってよく;ホウ酸は、0.0155〜0.0195g/L、有利には、0.0165〜0.0185g/Lの濃度であってよく;エチレンジアミン四酢酸の二ナトリウム二水和物の形態は、0.10〜0.14g/L、有利には、0.11〜0.13g/Lの濃度であってよく;モリブデン酸ナトリウム二水和物は、0.00001〜0.0003g/L、有利には、0.00005〜0.0002g/Lの濃度であってよく;亜セレン酸ナトリウムは、0.00000015〜0.000019g/L、有利には、0.00000016〜0.00000018g/Lの濃度であってよく;チアミンは、0.015〜0.05g/L、有利には、0.025〜0.04g/Lの濃度であってよく;コバラミンもしくはビタミンB12は、0.0004〜0.00065g/L、有利には、0.00045〜0.00060g/Lの濃度であってよく;パントテン酸塩もしくはビタミンB5は、0.008〜0.013g/L、有利には、0.009〜0.012g/Lの濃度であってよく;炭素源は、45〜65g/L、有利には、50〜60g/Lの濃度であってよく;窒素源は、7〜11g/L、有利には、8〜10g/Lの濃度であってよく;リン源は、2〜6g/L、有利には、3〜5g/Lの濃度であってよい。
非常に好ましくは、本発明によれば、前記培養液中において、塩化マグネシウムは、0.0108g/Lの濃度であり;塩化カルシウムは、0.55g/Lの濃度であり;塩化コバルト六水和物(CoCl・6HO)は、0.000108g/Lの濃度であり;塩化マンガン(II)四水和物は、0.0108g/Lの濃度であり;硫酸マグネシウム七水和物は、8.01g/Lの濃度であり;硫酸亜鉛七水和物は、0.0108g/Lの濃度であり;硫酸ニッケル六水和物は、0.0056g/Lの濃度であり;硫酸銅五水和物は、0.0072g/Lの濃度であり;硫酸カリウムは、2.09g/Lの濃度であり;硫酸鉄七水和物は、0.04g/Lの濃度であり;ホウ酸は、0.0175g/Lの0.0155〜0.0195g/L間で構成される濃度であり;エチレンジアミン四酢酸の二ナトリウム二水和物の形態は、0.12g/Lの濃度であり;モリブデン酸ナトリウム二水和物は、0.000108g/Lの濃度であり;亜セレン酸ナトリウムは、0.000000173g/Lの濃度であり;チアミンは、0.032g/Lの濃度であり;コバラミンもしくはビタミンB12は、0.00052g/Lの濃度であり;パントテン酸塩もしくはビタミンB5は、0.0108g/Lの濃度であり;炭素源は、55g/Lの濃度であり;窒素源は、9g/Lの濃度であり;リン源は、4g/Lの濃度である。
本発明によれば、方法の第一の培養工程a)は、いわゆる「バッチ式」の不連続方式、いわゆる「フェッドバッチ式」の半連続方式、または連続供給方式で行われてもよい。
本発明の具体的な実施形態によれば、第一工程は、a1)適切な培養液中での第一の増殖のサブ工程、続いて、a2)増殖を制限しない窒素およびリンのレベルを培養液中で維持するように、一つまたは複数の炭素源、窒素源および/またはリン源の濃縮溶液を、同時にまたは連続して、培養液に添加してもよい、第二の産生のサブ工程の、二つのサブ工程に分けられる。
好ましい実施形態によれば、増殖のサブ工程a1)は、20g/L未満の炭素源、より具体的にはグルコースの濃度が得られるまで行われる。
別の実施形態によれば、増殖のサブ工程a1)は、少なくとも20g/L、好ましくは少なくとも40g/L、より好ましくは少なくとも60g/L、さらにより好ましくは少なくとも80g/Lの培養密度が得られるまで行われる。
工程a2)における窒素源の非限定的なレベルは、有利には、0.5〜5g/L、好ましくは0.5〜2g/Lであり、リン源の非限定的なレベルは、有利には、0.5〜5g/L、好ましくは0.5〜2g/Lである。この工程a2)のために要求される炭素源の含量は、0〜200g/L、とりわけ、5または10〜50g/Lであってもよい。好ましくはサブ工程a2)における炭素源の含量は、0〜50g/L、より好ましくは0〜10g/Lである。
好ましくは、上記に定義される二つのサブ工程a1)およびa2)に分割される第一工程a)の培養は、いわゆる「フェッドバッチ式」の半連続方式で行われる。
通常、サブ工程a1)およびa2)は、24℃〜35℃の間、好ましくは25℃〜30℃の間の温度で行われる。
方法の第二工程b)は、培養開始後24時間に、通常、開始する。これは、通常、18℃〜25℃の間の温度で行われる。この温度の低下は、タンパク質よりもむしろ、長鎖の多価不飽和脂肪酸(PUFA)、とりわけ、DHA、ARAおよびEPAに産生を向かわせる。産生する脂肪酸のプロファイルは、通常、培養された株に依存する。
通常、工程b)中では、工程a2)のために行われたように、培養液中において、炭素源の含量が5〜200g/L、好ましくは10〜50g/L、窒素源の含量が0.5〜5g/L、好ましくは0.5〜2g/L、リン源の含量が0.5〜5g/L、好ましくは0.5〜2g/Lを維持するように、一つもしくは複数の炭素源および/または窒素源および/またはリン源の濃縮溶液を、同時にまたは連続して、培養液に添加してもよい。
培養は、通常、50〜70時間後に、停止される。
培養中のカロテノイドの産生は、場合により、好ましくは工程b)中に誘導されてもよいが、培養中にわたって行われてもよい。カロテノイドの産生を誘導するために、約435〜475nm、好ましくは455nmの、好ましくは青色光を用いる混合栄養性の条件が適用される。したがって、培養は、混合栄養性の方式である。アスタキサンチン、カンタキサンチン、β−カロテンおよびフェニコキサンチンなどのカロテノイドは、これらの波長を用いて産生される。光は、通常、少なくとも18時間、好ましくは少なくとも24時間適用される。本発明の好ましい実施形態によれば、光は、培養の、24〜50時間の時点、より好ましくは45時間の時点で、培養に適用される。この照明は、通常、好ましくは培養の最後まで、継続する。培養の終了直前(例えば、終了の15分、30分、45分または1時間前)に照明を停止することも可能である。
本発明の特定の実施形態によれば、培養物は、通常、培養の終了前の、少なくとも18時間、好ましくは少なくとも24時間、光に曝露される。本発明の実施形態によれば、培養物は、開始から、すなわち、培養工程a)およびb)中に、照明を当てられる。本発明の好ましい実施形態によれば、培養物は、今のところ、工程b)を開始する時点で、照明を当てられる。本発明の好ましい実施形態によれば、培養物は、培養の少なくとも最後の18時間の間、好ましくは培養の少なくとも最後の24時間の間、照明を当てられる。
白色光を使用してもよいが、本発明者らは、約435〜475nm、好ましくは455nmの波長を有する青色光を使用することによる、より高いカロテノイド含量に注目した。一般に、培養物は、培養の40〜50時間の時点(すなわち、培養の開始後40〜50時間の時点)で、好ましくは培養の45時間の時点で、かつ培養終了時まで(50〜70時間の間)、光に曝露される。これらの条件下、約150〜250ppm(ng/mg)、好ましくは180〜200ppm(乾燥物質)のカロテノイド含量が得られる。実施形態によれば、カロテノイドは、5%〜30%のアスタキサンチン含量を有する。実施形態によれば、カロテノイドは、15%〜30%のフェニコキサンチン含量を有する。実施形態によれば、カロテノイドは、0%〜30%のβ−カロテン含量を有する。
通常、方法の工程a)およびb)は、従属栄養性の条件下および/または混合栄養性の条件下、行ってもよい。カロテノイドを得るために、工程b)において、培養は、混合栄養性の条件下、培養の終了前に少なくとも24時間行われる。
本発明の実施形態によれば、例えば、カロテノイドが産生しない場合、培養は、完全に、従属栄養性の条件下、行われる。一般に、培養中での混合栄養性の条件の使用は、脂質、特にPUFAの産生に対して、およびカロテノイドの産生に対して、正の効果を有し、バイオマス、ならびに脂肪酸、特に、PUFA、特に、DHAおよびカロテノイドの収率を増加させることを可能にする。
工程a1)、a2)およびb)は、従属栄養性の条件下または混合栄養性の条件下、独立して行ってもよい。本発明の実施形態によれば、工程a1)およびa2)は、従属栄養性の条件下で行われ、次いで、工程b)は、全部または一部、混合栄養性の条件下で行われる。本発明の好ましい実施形態によれば、工程a1)は、従属栄養性の条件下で、工程a2)は、混合栄養性の条件下で行われる。
本発明の別の実施形態によれば、工程b)中、培養物は、混合栄養性の条件下、白色光に曝露される。本発明の別の実施形態によれば、工程b)中、培養物は、混合栄養性の条件下、培養の40〜50時間まで、好ましくは45時間まで、白色光に曝露され、次いで、培養物は、少なくとも24時間、約435〜475nm、好ましくは455nmの波長を有する青色光に曝露される。
本発明の実施形態によれば、混合栄養性の方式で培養を行う際、照明は、可変および/または不連続である。点滅の形態の照明は、原生生物の成長に特に好ましく、とりわけ、脂質およびカロテノイドの産生に関して、これらの生産性を向上させることを可能にする。
「不連続の照明」という用語は、暗闇の期間によって中断される照明を指す。暗闇の期間は、藻類が培養される間、時間の25%超、好ましくは時間の50%超を構成してもよい。
本発明の好ましい態様によれば、照明は、不連続であり、より好ましくは点滅の形態である。点滅とは、本発明の意味において、短時間、すなわち、30分未満の照明である。持続時間は、15分未満、好ましくは5分未満、さらにより好ましくは1分未満であってもよい。本発明の特定の実施形態によれば、点滅の持続時間は、1秒未満であってもよい。例えば、点滅の持続時間は、1/10秒、または2/10秒、または3/10秒、または4/10秒、または5/10秒、または6/10秒、または7/10秒、または8/10秒、または9/10秒であってもよい。照明または点滅は、通常、15秒超の持続時間である。これは、通常、5秒〜10分の間、好ましくは10秒〜2分の間、より好ましくは20秒〜1分の間である。これらの点滅の持続時間は、「低周波」の光の供給に対して適している。
照明の体制(光の供給)が、「低周波」である、この最後の実施形態によれば、点滅の回数は、1時間あたり約2〜3600回であってもよい。これは、例えば、1時間あたり100〜3600回の点滅であってもよい。これはまた、1時間あたり、120〜3000回、または400〜2500回、または600〜2000回、または800〜1500回の点滅であってもよい。これはまた、1時間あたり、2〜200回、好ましくは10〜150回、より好ましくは15〜100回、さらにより好ましくは20〜50回であってもよい。
実施形態によれば、点滅は、1/150000秒〜1/1000秒の持続時間を有していてもよい。これらの点滅の持続時間は、すなわち、それぞれ、150kHz〜1kHzの点滅の周波数を有する、「高周波」の照明の体制に対して適している。
照明の体制(光の供給)が、「高周波」である、この実施形態によれば、点滅は、1時間あたり、3.6×10〜5.4×10回の間で生じてもよい。この場合において、変光は、1kHz〜150kHzの周波数、すなわち、1秒あたり、1000〜150,000回の点滅を有する。本発明のこの最後の実施形態による光の供給は、「高周波」と呼ばれる。
1時間あたりの点滅の回数は、点滅の強度および持続時間の機能として、選択されてもよい(下記参照)。一般に、点滅の形態で供給される光の強度は、5〜1000μmol・m−2・s−1、好ましくは5〜500μmol・m−2・s−1、または50〜400μmol・m−2・s−1、より好ましくは150〜300μmol・m−2・s−1であってもよい。1μmol・m−2・s−1は、文献において、しばしば使用される単位である、1μEm−2・s−1(アインシュタイン)に相当する。
本発明の別の実施形態によれば、照明は、可変であってもよく、これは、照明が、暗闇の位相によって中断されないが、代わりに、光の強度が経時的に変化することを意味する。この光の強度の変化は、規則的であってもよく、定期的または周期的であってもよい。本発明によれば、光はまた、連続および不連続の照明の位相を組み合わせて供給されてもよい。
本発明の好ましい実施形態によれば、従属栄養性−優勢混合栄養性の条件が使用される。スラウストキトリッドは、葉緑体を有していない。そのため、増殖のために使用されるエネルギーのほとんどは、培養液の炭素源に由来する。この場合において、光は、細胞における特定の代謝経路を誘導するが、光合成を介して炭素を固定化することを可能にしない。
好ましい実施形態によれば、培養物を明るくすることを、発酵槽への内部の照明装置によって、確実にし得る。したがって、照明の有効性は、光が、外側に配置された光源からの窓によって侵入する構造に対して、良好である。照明装置は、翼を備えた回転部品上に、または処理すべき主要部に浸漬された管状部分上に、またはタンクの底部もしくは上部に配置されてもよい。本発明の好ましい実施形態によれば、照明装置は、発酵槽の内部のバッフル上に位置していてもよい。このような装置は、フランス特許出願番号第1353641号に記載されている。したがって、発酵槽は、バッフルによって支えられた複数の照明源を備えていてもよく、後者は、回転混合部品の作用の下、バイオマス内の渦の形成を防止する機能を有する。これらの照明源は、好ましくはタンクの内部に前記光を拡散させることが可能な厚さの、バイオマスと適合性の材料で、これらのバッフルの少なくとも一部に、部分的にまたは完全に封入される。
本発明によれば、培養は、任意の公知の培養技術、例えば、フラスコまたは反応器中において行ってもよいだけでなく、発酵槽、または、前記技術を必要な培養条件で行うことを可能にすることを提供する、例えば、「流路」タイプのボウルのような、原生生物、特に、スラウストキトリッドの増殖に適切な任意の容器中で行ってもよい。
好ましくは、培養は、発酵槽中での原生生物の培養のための公知の方法に従って、発酵槽中で行ってもよい。
本発明によれば、前記バイオマスを回収するための方法の第三工程c)は、所望の水分含量を有し得るバイオマスを得るための適切な条件下で行ってもよい。
原生生物の前記回収は、バイオマスの回収が可能な任意の技術、とりわけ、重量(gravimetric)ろ過もしくは減圧下でのろ過、遠心分離、デカンテーションの方法、または、さらに、沈殿と続く重量ろ過の方法によって行ってもよい。
本発明は、目的として、全てのそれらの変形において、上記に記載の本発明による方法によって得ることができるバイオマスも含む。
本発明は、目的として、化粧品、医薬品または食品(ヒトまたは動物の食物摂取用)の分野における、上記に記載のバイオマスの使用も含む。
動物の給餌において、家畜類の給餌、特に、集中的な家畜類の作業は、家畜またはペット、あるいは水族館の魚または鳥小屋もしくは飼育された鳥類などの、いわゆる「レジャー(leisure)」動物とは区別される。
「家畜類」という用語は、とりわけ、放牧動物(特に、食肉、牛乳、チーズおよび皮革のために飼育されるウシ;食肉、羊毛およびチーズのために飼育されるヒツジ;ヤギ)、ブタ、ウサギ、家禽(ニワトリ、メンドリ、七面鳥、カモ、ガチョウなど)、ウマ科の一員(ポニー、ウマ、コウマ)、ヒトの活動(輸送、レジャー)もしくはその飼育を支援する動物、水生動物(例えば、魚、エビ、カキおよびムール貝)を指す。しかしながら、稚魚までの魚の飼料は、それを意図する飼料および飼料組成物を含む、養殖魚のものとは区別され得る。
家畜、ペットおよびレジャー動物は区別される。これらはまた、哺乳類、反芻動物を含むが、鳥類および魚を含まない。これらは、特に、イヌおよびネコを含む。
本発明は、目的として、上記に記載の本発明によるバイオマスを含んでいてもよい、ヒトもしくは動物のための、食品または食品組成物も含む。「食品」という用語は、ヒトもしくは動物、特に、家畜類のための食品として使用され得る、任意の組成物を指す。
本発明の実施形態によれば、食品は、乾燥されてもよく、形質転換されてもよい、バイオマスで構成されてもよく、あるいは、ヒトまたは動物の食物摂取のための食品の分野において使用される、任意の他の添加剤、担体または補助剤と混合された、乾燥されてもよく、形質転換されてもよいバイオマスで構成されてもよい。添加剤の例としては、食品保存剤、染料、調味料、pH調節剤、増量剤、増粘剤、テクスチャリング剤または結合剤が挙げられる。ビタミン、プロバイオティクスおよびプレバイオティクス、または例えば成長ホルモン、抗生物質などの医薬添加物も挙げられる。
本発明の実施形態によれば、乾燥されてもよく、形質転換されてもよいバイオマスは、ヒトまたは動物の食物摂取のための食品を目的とする製品において、それ自身を、媒体、または補助剤、添加剤、食品保存剤、染料、調味料、増量剤、増粘剤、テクスチャリング剤、もしくは結合剤として、使用してもよい。
本発明は、特に、動物、より具体的には家畜類のための飼料に関係する。この飼料は、典型的には、本発明によるバイオマスが組み込まれてもよい、単純な混合物、粉末、ペレット、残飯または飼葉(新鮮な飼葉、サイレージ、干し草など)の形態であると思われる。飼料は、畜産家自身によって調製されてもよいし、または動物給餌の専門家によって製造されてもよい。「飼料」という用語は、動物に給餌するために使用され得るものを指す。
集中的な動物の飼育作業のために、飼料は、藻類のバイオマスに加えて、栄養基剤および栄養添加剤を含んでいてもよい。したがって、動物の飼料の割当量の必須部分は、「栄養基剤」および藻類のバイオマスからなっていてもよい。この基剤は、例として、穀類、動物および/または植物起源のタンパク質ならびに脂質の混合物からなっていてもよい。
動物のための栄養基剤は、これらの動物の給餌に適合し、当業者にとって周知である。本発明の文脈において、これらの栄養基剤は、例えば、魚粉、トウモロコシ、コムギ、エンドウおよびダイズならびに他の穀類の派生物を含んでいてもよい。これらの栄養基剤は、これらが意図する様々な動物種の要求に適合し得る。これらの栄養基剤は、ビタミン、無機塩およびアミノ酸などの栄養添加剤を既に含有していてもよい。
動物の飼料において使用される添加剤は、栄養基剤または藻類のバイオマスに添加されてもよい。これらの添加剤は、飼料の特定の特徴を改善するために、例えば、その風味を増強するため、動物にとって飼料の原料物質をより消化性にするため、飼料をより効果的に保存するため、または動物を保護するために添加されてもよい。これらは、大規模な集中的な飼育作業において頻繁に使用される。
動物飼料において使用され得る添加剤は、特に、以下のサブカテゴリーに分けることができる(出典:EFSA):
− 技術的添加剤:例えば、保存剤、抗酸化剤、乳化剤、安定剤、酸味調整剤およびサイレージ添加剤;
− 知覚的添加剤:例えば、香味剤、染料;
− 栄養添加剤:例えば、ビタミン、アミノ酸および微量元素;
− 畜産学的添加剤:例えば、プロバイオティクスおよびプレバイオティクスなどの、消化性増強剤、腸内フローラ安定剤;
− 抗コクシジウム剤および抗ヒストモナス剤(殺虫剤)。
実施形態において、本発明は、本発明による方法によって得られる乾燥バイオマスを、1%〜60%、好ましくは1%〜20%、非常に好ましくは3%〜8%含んでいてもよい、家畜類の飼料に関する。
別の実施形態において、本発明は、本発明の方法によって得られる非乾燥バイオマスを、1%〜40%、好ましくは5%〜10%含んでいてもよい、家畜類の飼料に関する。
本発明の具体的な実施形態によれば、飼料は、家畜類、特に、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウサギ、家禽およびウマを対象としてもよい。
本発明の別の具体的な実施形態によれば、飼料は、特に、少なくとも稚魚段階までの魚、実際には養殖魚を含む、水生動物を対象としてもよい。成長段階の最後でのタンパク質およびPUFAが高く、色素を含むバイオマスの使用は、(PUFAおよび色素の存在の結果)食肉品質の改善を可能にする。
本発明の別の具体的な実施形態によれば、飼料は、家畜、ペットおよび/またはレジャー動物を対象としてもよい。
最後に、本発明の別の実施形態によれば、食品組成物は、ヒトを対象としてもよく、特に、小児、青年、成人または高齢者に適合する組成物であってもよい。
本発明は、目的として、上記に記載の本発明によるバイオマスを含んでいてもよい、ヒトもしくは動物のための、化粧品または医薬組成物も含む。
本発明によれば、化粧品または医薬組成物は、乾燥されてもよく、形質転換されてもよい、バイオマスのみを含んでいてもよく、あるいは、例えば、保存剤、染料、pH調節剤などの、化粧品または医薬品の分野において使用される、任意の他の添加剤、担体または補助剤と混合された、乾燥されてもよく、形質転換されてもよいバイオマスを含んでいてもよい。
本発明は、目的として、治療、例えば、栄養不良の予防および治療における、上記に記載のバイオマスの使用も含む。栄養不良の治療において、タンパク質欠乏症が、最も有害で、治療に費用がかかることが知られている。本発明の実施形態によれば、バイオマスは、とりわけ、小児および高齢者における栄養不良を予防および/または治療するための選択肢について完全な解決策を構成し得る。これは、バランスのとれた消化可能なタンパク質の供給源を構成し得る(タンパク質欠乏症は最も有害で費用がかかる)。このタンパク質の機能は、小児の適切で健全な発達のために必要な、高栄養品質の脂質の供給源と組み合せてもよい。本発明によるバイオマスはまた、栄養不良および他の加齢関連の疾患の予防および/または治療のための高齢者による使用のために適合し得る。この文脈において、本発明によるバイオマスのカロテノイドの供給はまた、加齢性黄斑変性症(AMD)などの疾患の危険性がある高齢者である、これらの人々の健康のために非常に有益であり得る。
したがって、バイオマスは、完全食品(ウェット形態または再水和される粉末として);シリアルバー、トースト、ビスケット、ケーキまたはスイーツなどのスナック;クリームなどの料理用製品;粉末混合物;乳製品;穀類または飲料に組み込まれてもよい。バイオマスは、例えば、日々の食事に添加される、粉末、スプレッドまたはソースの形態で、栄養補助食品中に存在してもよい。
本発明の他の態様及び特徴は、以下の実施例を解釈することにより明らかにされる。
実施例1:25℃での培養方法
オーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)CCAP4062/1の培養を、コンピュータ制御の自動システムを使用するための、1〜2Lの発酵槽(バイオリアクター)中で、準備した。系のpHを、塩基(NHOH)を添加することにより調整した。培養温度を、25℃に設定し、次いで、培養24時間で、18℃に低下させた。溶存酸素圧を、培養中にわたって、振とう速度(220〜1200rpm)、空気流速(0.6〜2vvm)または酸素流速(0〜2vvm)により、培養液中で調整した。制御装置に組み入れられた調整パラメーターは、5%〜30%の一定pOを維持することを可能にした。培養時間は、72時間であった。
培養中に使用した培養液の組成を以下の表に示す。
Figure 0006976926
Figure 0006976926
グルコースの添加を、炭素とリン(C:P)のモル比が530:1で有する濃縮溶液の形態で行った。
前培養を、24時間、次いで70時間の最初に、温度管理された(26℃)筐体内のシェーカー台(140rpm)において準備した。
培養のモニタリング:
総バイオマス濃度を、乾燥質量(GF/Fフィルター(Whatman)上でのろ過、次いで、重量測定の前に少なくとも24時間105℃でオーブン乾燥)を測定することによってモニターした。バイオマスは、明るいベージュ色の外観である。
総脂質および脂肪酸含量の分析を、慣行的に文献に記載された方法に従って行った[Folch J.ら、A simple method for the isolation and purification of total lipids from animal tissues.、J Biol Chem.、1957年5月;226(1):497−509]。
結果:
Figure 0006976926
実施例2:30℃での工程a)を有する培養方法
オーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)CCAP4062/4の培養を、コンピュータ制御の自動システムを使用するための、1〜2Lの発酵槽(バイオリアクター)中で、準備した。系を、塩基(NHOH)を添加することにより、pH6に調整した。培養温度を、30℃に設定し、次いで、培養24時間で、18℃に低下させた。溶存酸素圧を、培養中にわたって、振とう速度(220〜1200rpm)、空気流速(0.3〜1vvm)または酸素流速(0〜1vvm)により、培養液中で調整した。制御装置に組み入れられた調整パラメーターは、5%〜30%の一定pOを維持することを可能にした。培養時間は、40〜100時間であった(試験A:69時間、試験B:51時間)。
培養液は、実施例1のものと同様である。
炭素:窒素:リン(C:N:P)のモル比が190.5:7.3:1で有する濃縮溶液の形態でのグルコースの添加を、試験Aについて行った。試験Bについては、濃縮溶液は、C:N:Pのモル比が95.3:3.2:1で有していた。
前培養の連鎖法を、24時間、次いで70時間の最初に、温度管理された(26℃)筐体内のシェーカー台(140rpm)において行った。
培養のモニタリング:
総バイオマス濃度を、乾燥質量(GF/Fフィルター(Whatman)上でのろ過、次いで、重量測定の前に少なくとも24時間105℃でオーブン乾燥)を測定することによってモニターした。バイオマスは、明るいベージュ色の外観である。
総脂質および脂肪酸含量の分析を、慣行的に文献に記載された方法に従って行った[Folch J.ら、A simple method for the isolation and purification of total lipids from animal tissues.、J Biol Chem.、1957年5月;226(1):497−509]。
Figure 0006976926
実施例3:工程b)の最後25時間中に青色光照明を用いる培養方法
オーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)CCAP4062/4の培養を、コンピュータ制御の自動システムを使用するための、5Lの発酵槽(バイオリアクター)中で、準備した。系を、塩基(NaOH)を添加することにより、pH5に調整した。培養温度を、30℃に設定し、次いで、培養24時間で、18℃に低下させた。制御装置に組み入れられた調整パラメーターは、5%〜30%の一定pOを維持することを可能にした。培養時間は、70時間であった。培養物を、培養の45時間の時点で、青色光(455nmの波長)に曝露した。光源(LED)を、バイオリアクターの内部の二つのバッフル上に取り付けた。
培養液は、実施例1のものと同様である。
グルコースの添加を、C:N:Pのモル比が37:4:1で有する濃縮溶液の形態で行った。
前培養の連鎖法を、24時間、次いで70時間の最初に、温度管理された(26℃)筐体内のシェーカー台(140rpm)において行った。これに続いて、発酵槽中、24時間前培養した。
培養のモニタリング:
総バイオマス濃度を、乾燥質量(GF/Fフィルター(Whatman)上でのろ過、次いで、重量測定の前に少なくとも24時間105℃のオーブン乾燥)を測定することによってモニターした。
総脂質含量の分析を、慣行的に文献に記載された方法に従って行った[Folch J.ら、A simple method for the isolation and purification of total lipids from animal tissues.、J Biol Chem.、1957年5月;226(1):497−509]。
Figure 0006976926
バイオマスは、黄色/オレンジ色の外観である。白色/明るいクリーム色のバイオマスを産生した、実施例1および2と比較して、色の相違は、左側のフラスコ中のカロテノイド(主に、β−カロテン、カンタキサンチン、フェニコキサンチンおよびアスタキサンチン)の存在に起因する。
カロテノイドは、試験Aにおいて測定した:199ppm。
Figure 0006976926

Claims (24)

  1. タンパク質および脂肪酸を含むスラウストキトリッドのバイオマスであって、前記ストラウストキトリッドが、オーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)属であり、前記バイオマスが、乾燥物質の重量に対して、重量で、少なくとも35%のタンパク質および少なくとも20%の脂質を含んでなり、前記バイオマスが、添加されたタンパク質または脂肪酸を含まないバイオマスであることを特徴とする、スラウストキトリッドバイオマス。
  2. 少なくとも45%のタンパク質を含んでなる、請求項1に記載のスラウストキトリッドバイオマス。
  3. 少なくとも30%の脂質を含んでなる、請求項1または2に記載のスラウストキトリッドバイオマス。
  4. 前記脂質が、25%〜60%の多価不飽和脂肪酸の含量を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のバイオマス。
  5. 5〜250ppmのカロテノイドを含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のバイオマス。
  6. 150〜200ppmのカロテノイドを含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のバイオマス。
  7. カロテノイドが、脂質の重量に対して、5〜30%のアスタキサンチン含量、15%〜30%のフェニコキサンチン含量、および0〜30%のβ−カロテン含量を有する、請求項1に記載のバイオマス。
  8. 請求項1〜のいずれか一項に定義されるバイオマスの製造方法であって、
    a.炭素源、窒素源、リン源および塩を含む、所定の培養液中、24℃〜35℃の間の範囲の温度で、従属栄養性または混合栄養性の条件下、かつ乾燥物質の重量に対して、重量で、少なくとも35%のタンパク質のレベルでタンパク質の産生を促進することができる条件下において、オーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)属であるスラウストキトリッドを培養する第一工程と、
    b.前記工程a)より低い18℃〜25℃の間の温度で、従属栄養性または混合栄養性の条件下、少なくとも40g/L乾燥物質の培養密度が得られるまで、乾燥物質の重量に対して、重量で、少なくとも20%までの脂質の蓄積を促進することができる条件下での第二の培養工程と、
    c.前記第二工程で得られたバイオマスを、培養液から、前記バイオマスを分離することによって回収・採取する第三工程と、そして、必要に応じて、
    d.前記第三工程で回収されたバイオマスを乾燥する第四工程と
    を含んでなることを特徴とする、方法。
  9. 前記培養において、435nm〜475nmの波長を有する光の照明がなされる、請求項に記載の方法。
  10. 前記培養において、少なくとも培養の最後の18時間の間、照明がなされる、請求項に記載の方法。
  11. 前記培養において、培養の24〜50時間の時点、および培養の最後まで、照明がなされる、請求項10に記載の方法。
  12. 前記第一の培養工程a)が、いわゆる「バッチ式」方式、いわゆる「フェッドバッチ式」方式、または連続方式で行われる、請求項11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記培養が、a1)適切な培養液中、培養液中で20g/L未満の炭素源の含量が得られるまでの第一の増殖のサブ工程、続いて、a2)一つまたは複数の炭素源、窒素源およびリン源の濃縮溶液を、同時にまたは連続して、培養液に添加する、第二の産生のサブ工程の、二つのサブ工程に分けられる第一工程a)を含んでなる、請求項12に記載の方法。
  14. 前記工程a2)において、炭素源の含量が0g/L超50g/L未満の間で維持され、窒素源の含量が0.5〜5g/Lの間で維持され、リン源の含量が0.5〜5g/Lの間で維持される、請求項13に記載の方法。
  15. 前記照明が、点滅の形態で不連続になされる、請求項14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 請求項15のいずれか一項に記載の方法によって得られ得る、バイオマス。
  17. ヒトまたは動物の化粧品および食品の分野における、請求項1〜または16のいずれか一項に記載のバイオマスの使用。
  18. 食物摂取指標、体重増加、または飼料要求率の測定によって評価される、動物の能力を向上させるための、請求項1〜または16のいずれか一項に記載のスラウストキトリッドバイオマスの使用であって、前記ストラウストキトリッドが、オーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)属であることを特徴とする、使用。
  19. 請求項1〜または16のいずれか一項に記載のバイオマスを含んでなる、ヒトまたは動物のための化粧品または医薬組成物。
  20. 請求項1〜または16のいずれか一項に記載のバイオマスを含んでなる、食品。
  21. ヒトの摂取用とされた、請求項20に記載の食品。
  22. 請求項1〜または16のいずれか一項に記載のバイオマスを、1%〜60%含んでなる、家畜類の飼料。
  23. 治療において用いられる、請求項1〜または16のいずれか一項に記載のバイオマス。
  24. 請求項1〜または16のいずれか一項に記載のバイオマスを、1%〜60%含んでなる、水産養殖用飼料。
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