本発明が適用されるキャップ付き容器100は、図1に示す如く、内容物を収容する容器110とキャップ120とから構成される。本明細書では、容器110を正立させた状態で、容器110の側を下側とし、キャップ120の側を上側とする。
容器110は、容器本体111に本体キャップ112を固定して構成され、キャップ120を本体キャップ112に螺着可能にしている。但し、容器110は本体キャップ112を備えることを必須とせず、キャップ120を容器本体111に直に固定するものでも良い。
容器本体111は、ポリプロピレン等の合成樹脂成形体からなり、胴部111Aの上部の肩部111Bに連なる首部111Cの下端側外周部と中間外周部のそれぞれに環状フランジ部111Dと環状係止部111Eを設けている。容器本体111は首部111Cにおける環状フランジ部111Dの直下に環状くびれ部Pを形成して備える。
本体キャップ112は、ポリプロピレン等の合成樹脂成形体からなり、容器本体111における首部111Cの内径側に挿入される内筒部112Aと、内筒部112Aの軸方向中間部に結合されて該内筒部112Aの中間部外周を囲む外筒部112Bを有し、外筒部112Bの下端内周部に設けた環状係合部112Cを容器本体111の環状係止部111Eに打ち込み固定可能にしている。本実施形態の本体キャップ112は、内筒部112Aの底部に内容物の注出筒112Dを有する。本体キャップ112の内筒部112Aは容器110の口部113を構成する。
キャップ120は、本体キャップ112の内筒部112Aにおける外筒部112Bより上方に突出している部分の外周おねじ部112Eに螺着する内周ねじ部121Aを備えた環状筒部121と、環状筒部121の上端部から内方に延在する環状面121Bに結合された有底筒状の計量筒部122を有する。計量筒部122は、環状筒部121よりも軸方向の上側及び下側に突出し、環状筒部121の内周ねじ部121Aを本体キャップ112の外周おねじ部112Eに螺着させたときに、その開口部の側を本体キャップ112の内筒部112Aの内側に配置し、本体キャップ112の注出筒112Dを該計量筒部122の内側に挿入させる。キャップ120は、計量筒部122の内部を容器110から注出される内容物のための計量空間として用いるものであり、計量した内容物のレベルを外から視認可能にするために、透明体又は半透明体からなることが好ましい。
(第1実施形態)
キャップ付き容器100は、乳幼児や認知症の人等による内容物の誤飲を防止する必要があるとき、図2に示す如く、開封抑制具10を付属させて用いる。
開封抑制具10は、図2、図3に示す如く、シリコーンゴム、又は天然ゴム等のエラストマー製の薄肉の筒状体11からなる。筒状体11の厚みは、好ましくは0.3乃至1.0mm、更に好ましくは0.5乃至0.8mmである。開封抑制具10の筒状体11は、図2に示す如く、容器本体111に本体キャップ112が固定されて構成される容器110の軸方向の少なくとも一部(本実施形態では容器本体111の肩部111B乃至首部111Cの環状フランジ部111Dの範囲、及び本体キャップ112の外筒部112Bの範囲)の外周からなる容器外周部110Aと、キャップ120の軸方向の少なくとも一部(本実施形態ではキャップ120の環状筒部121の範囲)の外周からなるキャップ外周部120Aの双方に跨って被着され、それらの両外周部110A、120Aに弾力をもって緊着可能にされるとともに、当該弾力に抗してキャップ付き容器100から取外し可能にされる。キャップ付き容器100において、容器外周部110Aとキャップ外周部120Aとは隣接している。
開封抑制具10の筒状体11は、容器外周部110Aとキャップ外周部120Aへ緊着される前の自由状態で、キャップ付き容器100の容器外周部110Aとキャップ外周部120Aの輪郭に沿って、それらの各外周部110A、120Aに対応するか所をそれらの各外周部110A、120Aより小径とする内周部11iを備える(図3)。これにより、筒状体11は、各外周部110A、120Aに被着される過程で、それらの外周部110A、120Aのそれぞれに対応する部分が概ね一様に弾性変形的に拡径され、その被着後にはその弾性変形の復元力に起因する弾力をもってそれらの各外周部110A、120Aに緊着(ぴったりとくっつくこと)するものになる。
尚、開封抑制具10の筒状体11は、本実施形態では、容器外周部110Aとキャップ外周部120Aとが軸方向で隣接するものとしたが、キャップ付き容器100(容器110及びキャップ120)の形態によっては、容器外周部110Aとキャップ外周部120Aの間に間隔があったり、他の部材が介在することもあり得る。
また、本実施形態のキャップ付き容器100では、容器本体111の環状フランジ部111Dと本体キャップ112の外筒部112Bにおける下端側に形成された環状フランジ部112Fとが、互いに近接していて、それらに対して上下に隣接する部位よりも大径の膨出状部K1を呈している。また、本体キャップ112の上記環状フランジ部112Fを除いた外筒部112Bとキャップ120の環状筒部121とが、互いに近接していて上記膨出状部K1より小径で、本体キャップ112の側からキャップ120の側に向けて連続的に僅かに縮径されるテーパ状部K2を呈している。これにより、開封抑制具10の筒状体11は、キャップ付き容器100の膨出状部K1に対応しつつ、より下方に延びる下端側の大径部11Aと、テーパ状部K2に対応する上端側のテーパ状小径部11Bとを有する。筒状体11は、大径部11A内で小径部11Bとの境界部に、本体キャップ112の環状フランジ部112Fに軸方向の上方から突き当て可能になる段差部11Cを形成して備える。
また、開封抑制具10の筒状体11は、本実施形態では、使用者がキャップ付き容器100の容器外周部110Aとキャップ外周部120Aに該筒状体11を取付けたり、取外す際に、該筒状体11を手指でつまむ等して取扱い容易とするため、両端部を開口状にしている。そして、筒状体11の軸方向において、容器外周部110Aに緊着される側となる下端側(大径部11A)の開口部12と、キャップ外周部120Aに緊着される側となる上端側(小径部11B)の開口部13の各縁部12E、13Eを径方向外方に向けて厚肉化した厚肉状縁部としている。開封抑制具10は、キャップ付き容器100の軸方向で、容器110における容器本体111の肩部111Bの側からキャップ120の環状筒部121の側に至るまでの長さ範囲に被着されて、容器外周部110Aとキャップ外周部120Aに緊着されるものになる。このとき、大径部11Aの縁部12Eは容器本体111の肩部111Bに沿う位置に配置され、小径部11Bの縁部13Eはキャップ120における環状筒部121の環状面121Bに対する概ね同レベル(環状縁部121の上端面より僅かに下位又は僅かに上位をなすレベル)に配置される。
また、開封抑制具10は、図3(A)に示す如く、筒状体11の下端部(大径部11Aの側の下端部)に舌片状つまみ部14を設けている。本実施形態の開封抑制具10は、筒状体11の下端側の1つの直径方向で相対する2つの円弧状部を切欠いた切欠部11Dとし、筒状体11の下端側(大径部11A)の他の直径方向で切欠かれずに相対する2つの円弧状部のそれぞれを舌片状つまみ部14とする。このとき、筒状体11の下端側の開口部12を形成する厚肉状縁部12Eは、舌片状つまみ部14の存在範囲にのみ形成されるものになり、当該舌片状つまみ部14の先端外縁部を構成する。各舌片状つまみ部14は、開封抑制具10をキャップ付き容器100の容器110とキャップ120に着脱するときに、使用者の手指でつまみ持ち、筒状体11を拡径させつつキャップ付き容器100の軸方向下方に引きずりおろしたり、キャップ付き容器100の軸方向上方に引き上げることの操作部になる。
また、開封抑制具10は、筒状体11の外周面における軸方向の複数位置に、その周方向に近接する溝部15を並置して設けている。筒状体11の軸方向で近接して並置される複数条の溝部15は、互いに多段状をなす多段状部16を形成する。多段状部16は、開封抑制具10をキャップ付き容器100の容器110とキャップ120に着脱するときに、使用者の手指で筒状体11をしごくことの操作部になり、あるいは筒状体11をめくり上げるための折り目にもなり得る。溝部15及び多段状部16は、筒状体11の外周面の軸方向に沿う全部、もしくは上部、下部又は中間部のいずれに設けることもできる。溝部15及び多段状部16は、筒状体11の外周面の軸方向に沿う中間部に設けることにより、該筒状体11を効果的にめくり上げ可能にするための折り目になり得る。尚、開封抑制具10における溝部15及び多段状部16は、各外周部110A、120Aに対する密着性の点で筒状体11の内周面にはない方が良い。
尚、開封抑制具10の筒状体11は、透明体又は半透明体のエラストマーから構成されても良く、不透明体のエラストマーから構成されても良い。
以下、キャップ付き容器100に対する開封抑制具10の取付け動作について説明する(図4)。
(1)キャップ付き容器100(容器110及びキャップ120)の上部に開封抑制具10を持ち込む(図4(A))。
(2)開封抑制具10の筒状体11を容器110の容器外周部110Aとキャップ外周部120Aに被せ、該筒状体11の下端側の直径方向で相対するように設けてある各舌片状つまみ部14を両手の手指でつまんで外方に引っ張り、該筒状体11を拡径させつつ、キャップ付き容器100の軸方向下方に引きずりおろす(図4(B))。
(3)キャップ付き容器100の容器外周部110Aとキャップ外周部120Aにある程度被着された開封抑制具10の筒状体11を、それらの容器外周部110Aとキャップ外周部120Aの軸方向下方に更に引きずりおろす(図4(C))。このとき、筒状体11の外周面に設けた複数条の溝部15からなる多段状部16を手指でキャップ付き容器100の軸方向下方にしごいても良く、筒状体11を容器外周部110Aとキャップ外周部120Aに更に引きずりおろして被着させ緊着させる。
(4)筒状体11の緊着完了状態(図4(D))で、筒状体11の大径部11Aは、キャップ付き容器100の前述した膨出状部K1に密着して被着され、かつ容器本体111の首部111Cにおける環状フランジ部111Dの直下のくびれ状部Pに食い込むように被着されるとともに、その下端部の各舌片状つまみ部14が容器本体111の肩部111Bに沿うように外方に大きく引き伸ばされて該肩部111Bに密着して被着され、該舌片状つまみ部14の厚肉状縁部12Eが容器本体111の肩部111Bに添う位置から僅かに外方に張り出して配置される。また、筒状体11の小径部11Bが、キャップ付き容器100の前述したテーパ状部K2に密着して被着される。筒状体11の段差部11Cは、本体キャップ112の環状フランジ部112Fに軸方向の上方から突き当て可能とされる。これにより、開封抑制具10は、キャップ付き容器100に緊着状態で取付けられ、キャップ付き容器100から取外しできず、キャップ120を開封困難にする。
尚、開封抑制具10のキャップ付き容器100への取付けに際し、開封抑制具10は、つまみ部14を備えることを必須とせず、筒状体11の下端部を掴んだり、溝部15及び多段状部16をしごいてキャップ付き容器100に取付けられるものでも良い。
次に、キャップ付き容器100に緊着されている開封抑制具10の取外し動作について説明する(図5)。
(1)容器110の容器外周部110Aとキャップ120のキャップ外周部120Aに緊着されている筒状体11の各舌片状つまみ部14を両手の手指でつまむ。このとき、容器本体111の肩部111Bから外方に僅かに張り出ている各舌片状つまみ部14の厚肉状縁部12Eを手指でつまんで外方に引っ張り、該筒状体11を拡径させつつ、キャップ付き容器100の軸方向上方に引き上げる(図5)。
(2)上記(1)による筒状体11の引き上げ時に、筒状体11の外周面に設けてある段差部11Cを折り目(図5の11E)として、該筒状体11の下端側を上方にめくり上げる(図5)。
(3)上記(1)及び(2)により、筒状体11がキャップ付き容器100の軸方向上方に引き上げられて容器外周部110A及びキャップ外周部120Aから離脱され、開封抑制具10がキャップ付き容器100から取外し除去されるものになる。
従って、本実施形態の開封抑制具10によれば、以下の作用効果を奏する。
(a)開封抑制具10は、一般のキャップ付き容器100において、当該キャップ付き容器100が誤飲、誤使用の防止等のため開封抑制を必要とする場合にだけ、当該キャップ付き容器100に付属させて用いられる。
開封抑制具10を構成するエラストマー製の筒状体11は、キャップ付き容器100の容器外周部110Aとキャップ外周部120Aの双方に跨って、それらの両外周部110A、120Aに弾力をもって緊着され、当該開封抑制具10のキャップ付き容器100に対する着脱構造の認識や、当該弾力に抗し得る取外し操作力がない人(乳幼児や認知症の人等)には、当該キャップ付き容器100から容易には取外しできない。
即ち、乳幼児や認知症の人等が開封抑制具10の上部をつかんで該開封抑制具10の上から仮にキャップ120を回そうとしても、開封抑制具10の筒状体11はその下部が容器外周部110Aに緊着していて、その下部乃至上部の全体が容器110に対して容易には相対回転できず、結果としてキャップ120を回すこと、換言すればキャップ120を容器110の口部113から取外すことができず、乳幼児や認知症の人等がキャップ120を開けて内容物を誤飲又は誤使用等するおそれがない。
一方、開封抑制具10のキャップ付き容器100に対する着脱構造の認識や取外し操作力がある一般人は、当該開封抑制具10をキャップ付き容器100から取外し除去した後、キャップ120を容器110の口部113から取外して内容物を注出入できる。
(b)開封抑制具10を構成する筒状体11が、自由状態で、容器外周部110Aとキャップ外周部120Aの輪郭に沿って、それらの各外周部110A,120Aに対応するか所をそれらの各外周部110A、120Aより小径とする内周部111を備える。従って、開封抑制具10は、容器外周部110Aとキャップ外周部120Aの双方に対し、確実に、弾力をもって緊着し得るものになる。
(c)開封抑制具10を構成する筒状体11を容器外周部110Aとキャップ外周部120Aに被せた状態で、該筒状体11の一端部に設けた舌片状つまみ部14を手指でつまんで該筒状体11を拡径させつつ、キャップ付き容器100の軸方向下方に引きずりおろすことにより、該筒状体11を容器外周部110A及びキャップ外周部120Aにスムースに被着させて緊着させることができる。
また、容器外周部110A及びキャップ外周部120Aに緊着されている筒状体11の取外し時には、該筒状体11の上記舌片状つまみ部14を手指でつまんで該筒状体11を拡径させつつ、キャップ付き容器100の軸方向上方に引き上げることにより、該筒状体11を容器外周部110A及びキャップ外周部120Aからスムーズに取外しできる。
(d)開封抑制具10を構成する筒状体11を容器外周部110Aとキャップ外周部120Aに被せた状態で、該筒状体11の外周面に設けた複数条の溝部15をキャップ付き容器100の軸方向下方にしごくことにより、該筒状体11を容器外周部110A及びキャップ外周部120Aにスムーズに被着させて緊着させることができる。
また、容器外周部110Aとキャップ外周部120Aに緊着されている筒状体11を、その外周面に設けた複数条の溝部15のいずれかを折り目としてめくり上げることもでき、該筒状体11を容器外周部110A及びキャップ外周部120Aからスムーズに取外しできる。
(e)開封抑制具10を構成する筒状体11が透明体又は半透明体からなるとき、乳幼児や認知症の人等は、開封抑制具10の存在に気づきにくいため、当該開封抑制具10をキャップ付き容器100から取外してキャップ120を取外し可能にすることの認識を生じにくく、内容物の誤飲又は誤使用等を一層防止できる。
(f)開封抑制具10を構成する筒状体11が不透明体からなるとき、乳幼児や認知症の人等は、キャップ120の存在を視認できないため、キャップ120を取外すこと自体を思いつきにくく、内容物の誤飲又は誤使用等を防止できる。
(第2実施形態)
第2実施形態は、図6に示す如く、第1実施形態におけると同様のキャップ付き容器100に、第1実施形態の開封抑制具10に代わる開封抑制具20を用いたものである。
開封抑制具20は、図7に示す如く、シリコーンゴム、又は天然ゴム等のエラストマー製の厚肉の筒状体21からなる。開封抑制具20の筒状体21は、容器本体111に本体キャップ112が固定されて構成される容器110の軸方向の少なくとも一部(本実施形態では容器本体111の胴部111A乃至首部111Cの環状フランジ部111Dの範囲、及び本体キャップ112の外筒部112Bの範囲)の外周からなる容器外周部110Aと、キャップ120の軸方向の少なくとも一部(本実施形態ではキャップ120の環状筒部121の範囲)の外周からなり、該容器外周部110Aに隣接するキャップ外周部120Aの双方に跨って被着され、それらの両外周部110A、120Aに弾力をもって緊着可能にされるとともに、当該弾力に抗してキャップ付き容器100から取外し可能にされる。筒状体21の厚みは、好ましくは1.0乃至2.5mm、更に好ましくは1.3乃至2.0mmである。
開封抑制具20の筒状体21は、容器外周部110Aとキャップ外周部120Aへ緊着される前の自由状態で、キャップ付き容器100の容器外周部110Aとキャップ外周部120Aの輪郭に沿って、それらの各外周部110A、120Aより小径の内周部21iを備える(図7)。これにより、筒状体21は、各外周部110A、120Aに被着される過程で、それらの外周部110A、120Aのそれぞれに対応する部分が概ね一様に弾性変形的に拡径され、その被着後にはその弾性変形の復元力に起因する弾力をもってそれらの各外周部110A、120Aに緊着(ぴったりとくっつくこと)するものになる。
また、本実施形態のキャップ付き容器100は、第1実施形態で前述した通り、容器本体111の環状フランジ部111Dと本体キャップ112の外筒部112Bにおける下端側に形成された環状フランジ部112Fとが、互いに近接していて、それらに対して上下に隣接する部位よりも大径の膨出状部K1を呈している。また、本体キャップ112の上記環状フランジ部112Fを除いた外筒部112Bとキャップ120の環状筒部121とが、互いに近接していて上記膨出状部K1より小径で、本体キャップ112の側からキャップ120の側に向けて連続的に僅かに縮径されるテーパ状部K2を呈している。
そして、開封抑制具20の筒状体21は、キャップ付き容器100における容器本体111の胴部111Aに対応する大径筒部21Aと、肩部111Bに対応するテーパ状大径部21Bと、上述の膨出状部K1及びテーパ状部K2に対応するテーパ状小径部21Cと、キャップ120の環状筒部121から上方に突出している計量筒部122に対応する小径筒部21Dとを有する。
更に、筒状体21は、テーパ状大径部21Bとテーパ状小径部21Cの境界部に、本体部本体部111の首部111Cにおける環状フランジ部111Dの直下のくびれ状部Pに径方向の外方から食い込み可能にされるくびれ状段差部21Eを形成して備える。くびれ状段差部21Eは、テーパ状外径部21B及びテーパ状小径部21Cの内外径よりも縮径されたV字断面状をなし、内周に形成されるV字状突起を容器本体11の上述のくびれ状部Pに食い込み可能にする。また、内周に形成されるV字状突起に対応してくびれ状段差部21Eの外周に形成されるV字状溝部は、開封抑制具20をキャップ付き容器100の容器110とキャップ120に着脱するときに、使用者の手指で筒状体11をめくり上げるときの折り目(図9(A))になり得る。また、筒状体21は、テーパ状小径部21Cと小径筒部21Dの境界部に、キャップ120の環状筒部121における環状面121Bに軸方向の上方から突き当て可能になる平面状段差部21Fを形成して備える。
また、開封抑制具20の筒状体21は、本実施形態では、使用者がキャップ付き容器100の容器外周部110Aとキャップ外周部120Aに該筒状体21を取付けたり、取外す際に、該筒状体21を手指でつまむ等して取扱い容易とするため、両端部を開口状にしている。開封抑制具20は、キャップ付き容器100の軸方向で、容器110における容器本体111の胴部111Aの側からキャップ120の計量筒部122の側に至るまでの長さ範囲に被着されて、容器外周部110Aとキャップ外周部120Aに緊着されるものになる。このとき、大径筒部21Aの下端部は容器本体111の胴部111Aの側にまで配置され、小径筒部21Dの上端部はキャップ120における計量筒部122の上端面に対する概ね同レベル(計量筒部122の上端面より僅かに下位又は僅かに上位をなすレベル)に配置される。
また、開封抑制具20は、筒状体21の下端部(大径筒部21Aの側の下端部)に舌片状つまみ部24を設けている。本実施形態の開封抑制具20は、筒状体21の下端側の1つの直径方向で相対する2つの円弧状部を切欠いた切欠部21Gとし、筒状体21の大径筒部21Aの他の直径方向で切欠かれずに相対する2つの円弧状部のそれぞれを舌片状つまみ部24とする。各舌片状つまみ部24は、開封抑制具20をキャップ付き容器100の容器110とキャップ120に着脱するときに、使用者の手指でつまみ持ち、筒状体21を拡径させつつキャップ付き容器100の軸方向下方に引きずりおろしたり、キャップ付き容器100の軸方向上方に引き上げることの操作部になる。
尚、開封抑制具20の筒状体21は、透明体又は半透明体のエラストマーから構成されても良く、不透明体のエラストマーから構成されても良い。
以下、キャップ付き容器100に対する開封抑制具20の取付け手順について説明する(図8)。
(1)キャップ付き容器100(容器110及びキャップ120)の上部に開封抑制具20を持ち込む(図8(A))。
(2)開封抑制具20の筒状体21を容器110の容器外周部110Aとキャップ外周部120Aに被せ、筒状体21の外周部、例えばテーパ状小径部21Cの上部の平面状段差部21Fまわりに両手の手指を掛けて下方に押し込む(図8(B))。これにより、筒状体21をキャップ付き容器100の外周部に添わせるように拡径させつつ、該筒状体21を容器外周部110A及びキャップ外周部120Aに被着させ緊着させる。
このとき、筒状体21の大径筒部21Aに設けた各舌片状つまみ部24を手指でつまんで該筒状体21を拡径させつつ、キャップ付き容器100の軸方向下方に引きずりおろすこともできる。
(3)筒状体21の緊着完了状態(図8(C))で、筒状体21の大径筒部21Aはキャップ付き容器100における容器本体111の胴部111Aに密着して被着され、筒状体21のテーパ状大径部21Bは容器本体111の肩部111Bに密着して被着され、筒状体21のテーパ状小径部21Cはキャップ付き容器100の前述した膨出状部K1及びテーパ状部K2に密着して被着され、筒状体21の小径筒部21Dはキャップ120の計量筒部122に密着又は隙間を介して被着される。
このとき、大径筒部21Aに設けた各舌片状つまみ部24は容器本体111の肩部111Aに添う位置に被着され、テーパ状大径部21Bとテーパ状小径部21Cの境界部に設けたくびれ状段差部21Eは容器本体111における環状フランジ部111Dの直下のくびれ状部Pに食い込み、テーパ状小径部21Cと小径筒部21Dの境界部に設けた平面状段差部21Fはキャップ120の環状筒部121における環状面121Bの上に突き当て可能とされる。これにより、開封抑制具20がキャップ付き容器100に取付けられるものになる。
次に、キャップ付き容器100に緊着されている開封抑制具20の取外し手順(図9)について説明する(図9)。
(1)容器110の容器外周部110Aとキャップ120のキャップ外周部120Aに緊着されている筒状体21の各舌片状つまみ部24を両手の手指でつまんで外方に引っ張り上げる。これにより、筒状体21は、テーパ状大径部21Bとテーパ状小径部21Cの境界部に設けてあるくびれ状段差部21Eを折り目として、該筒状体21の下端側(大径筒部21A及びテーパ状大径部21B)が上方にめくり上げられる(図9(A))。
(2)上記(1)で上方にめくり上げられた筒状体21の大径筒部21A及びテーパ状大径部21Bを、両手の手指で上方に押上げ、該筒状体21をキャップ付き容器100の軸方向上方に押し上げる(図9(B))。
このとき、筒状体21の各舌片状つまみ部24を両手の手指でつまんで外方に引張り、該筒状体21を拡径させつつ、キャップ付き容器100の軸方向上方に引き上げても良い。
(3)筒状体21がキャップ付き容器100の軸方向上方に押し上げ又は引き上げられて容器外周部110A及びキャップ外周部120Aから離脱され、開封抑制具20がキャップ付き容器100から取外し除去されるものになる(図9(C))。
尚、開封抑制具20にあっても、開封抑制具10におけると同様に、筒状体21の外周面の軸方向複数位置にその周方向に延在される溝部を設けても良い。これにより、筒状体21の外周面に複数条の溝部によって互いに多段状をなす多段状部を形成し、この多段状部が筒状体21をキャップ付き容器100に着脱するときに該筒状体21をしごく操作部とされ、又は該筒状体21をめくり上げるときの折り目の生成部とされても良い。
従って、本実施形態の開封抑制具20は、開封抑制具10と実質的に同様の特徴的構成を有するものであり、開封抑制具10における前述(a)乃至(f)と実質的に同様の作用効果を奏する。