JP6970520B2 - 攪拌機 - Google Patents

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Description

本発明は、溶媒に投入された溶質を溶媒と共に撹拌して溶解させるための攪拌機に関する。
従来、溶媒と溶質とを混合溶解させて溶液を作成するための装置として、上下に長い立形バッチ式容器などを備えた撹拌機が用いられている。このような撹拌機では、撹拌効率が最終目的とする溶液の生産性に大きく影響する。特に固体状のモノマーを溶質として水などの溶媒に溶解させてポリマー溶液を得る場合、溶液内の熱伝達率を均一にするとともに、溶質の分散や溶液の循環を効率よく行う必要がある。
このような要求に応える、高い混合性能を有する撹拌機としては以下のようなものが挙げられる。すなわち椀状の境板を例とする、中心部を最低面とした形状を有する撹拌槽と、撹拌槽の中心部に設けられた回転軸と、回転軸に沿って取り付けられた一対の格子翼と、回転軸の下部に取り付けられており格子翼の径方向の長さより長い翼径を有する一対のパドル翼とを備えた撹拌機が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
特許文献1に係る従来の撹拌機では、格子翼とパドル翼とを回転軸を中心として回転させることにより、撹拌槽の底部にある溶液はパドル翼によって上昇流となる。そして底部から上昇する溶液は格子翼によってさらに分散されるので、撹拌槽の底部と上部における熱伝達率をより均一化できる。
特開2003−159523号公報
しかしながら、上記従来装置では溶質の分散や溶液の循環効率を十分に高めることが困難であり、特に回転軸の直下において溶質が滞留するという問題が懸念される。すなわち、回転軸を中心として格子翼およびパドル翼を回転させた場合、回転軸の直下では流速が比較的小さいので、密度の高い固体状の溶質が重力の影響により撹拌槽の下部へと沈降しやすくなる。
従来の撹拌槽において回転軸は撹拌槽の中央に位置することが一般的であり、撹拌槽の底部は中心部が最低面となるように構成されている。そのため、回転軸の直下において撹拌槽の下部へ沈降した溶質は、最低面となっている底面中心部に堆積するので、撹拌槽内の溶液濃度が不均一となるという問題が懸念される。
さらに、撹拌混合によって生成された溶液を効率よく抜き取ることを目的として、撹拌槽の底面中央部に溶液抜き取り用の排出口を設ける場合がある。この場合、排出口に溶質が堆積して閉塞させてしまうので、溶液の抜き取り効率が大幅に低下するという新たな問題も懸念される。
溶質の沈降および堆積などの問題を改善する構成としては、撹拌槽の底部と上部にバイパスとなる配管を設け、ポンプなどの動力を用いて撹拌槽内部の溶液および溶質を循環させる構成が挙げられる。しかしながらバイパス配管を配備する構成は、過剰な撹拌動力および撹拌槽の複雑化が要求されるので撹拌機のコスト上昇を招く。さらに当該バイパス配管の詰まりを防止すべく、バイパス配管の洗浄工程などが別途必要となる。その結果、撹拌槽の運用に伴う操作者の負担が増大する等、別種の問題が発生する。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、撹拌槽の複雑化を回避しつつ、撹拌槽内の広範囲で強い上下循環流を発生させるとともに、撹拌槽内に投入された溶質が底部に滞留することをより確実に防止できる撹拌機を提供することを主たる目的とする。
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち本発明は、中心部を最低面とする椀型の底面を有する、溶液が投入される撹拌槽と、前記撹拌槽の中心部に設けられた回転軸と、前記回転軸に取り付けられた撹拌翼と、を備える撹拌機であって、
前記撹拌翼は、
前記回転軸の軸に沿って取り付けられた板状部材と、
前記回転軸の下端の片側にのみ取り付けられたパドル翼とを備え、
前記パドル翼は、
前記パドル翼の下端部が前記回転軸の下端より下方に突出し、かつ前記回転軸に近い側の端部が前記回転軸の中心を越えて径方向へ突出しないように前記回転軸に取り付けられ
前記パドル翼の翼径は、前記撹拌槽の半径に対する比が0.2以上0.3以下であり、
前記パドル翼の下端の形状は前記撹拌槽の底部に沿った形状となっており、前記パドル翼の下端と前記撹拌槽の底部との隙間は10mm以下となるように構成されている
ことを特徴とするものである。

(作用・効果)この構成によれば、パドル翼は回転軸の下端の片側にのみ取り付けられ、全体として片翼状となっている。パドル翼を回転軸とともに回転させることにより、回転軸の下方に相当する撹拌槽の底部において、回転軸中心の直下から径方向にわたる広い範囲で強い上昇流が形成される。
そして回転軸の両側にパドル翼が設けられる従来の構成では、一方のパドル翼によって形成される上昇流は、対になるパドル翼によって打ち消される。一方、片翼状のパドル翼を回転させる本発明の構成ではパドル翼に対して回転軸の中心を挟んで対向する位置には、撹拌槽内の溶液を撹拌する構成が存在しない。そのため、パドル翼の回転によって形成される上昇流が打ち消されることを確実に回避できる。従って、撹拌槽の上部から回転軸の下方に沈降する固体状の溶質は、上昇流に従って撹拌槽の上部へと再度巻き上げられるので、溶質が撹拌槽の底部に堆積・滞留することを確実に防止できる。
また、上述した発明において、前記パドル翼の翼径は、前記撹拌槽の半径に対する比が0.2以上0.3以下であることが好ましい。この場合、パドル翼の翼径は比較的短い。そのため、回転軸の下端の片側にのみパドル翼を取りつける本発明の構成において、回転軸を回転させて撹拌を行う際に撹拌翼のバランスを好適に保つことがより容易となる。
また、上述した発明において、前記パドル翼は、前記パドル翼の下端部が前記撹拌槽の底部に向けて取り付けられており、前記パドル翼の一方の面が前記撹拌槽の斜め上方を向くように傾斜角を持っていることが好ましい。
(作用・効果)この構成によれば、撹拌槽の斜め上方を向くように傾斜角をつけてパドル翼を取り付けることにより、撹拌槽下部の溶液は傾斜角を有するパドル翼の上面によって効率よく掻き上げられ、より好適に上昇流となる。そのため、撹拌槽の内部における溶液の循環効率をより向上できる。
また、上述した発明において、前記撹拌槽の内側壁の上部から下部にわたって取り付けられた、投入された溶液の流れを規制する規制部材を備え、前記パドル翼は、径方向における先端部が前記規制部材の下側まで延伸していることが好ましい。
(作用・効果)この構成によれば、撹拌翼の回転に伴って発生する溶液の回転方向への流れは、規制部材に衝突することによって効率よく上昇流へと変えられる。また、パドル翼の先端部は規制部材の下側まで延伸しているので、規制部材の下側における溶液は滞留されること無くパドル翼によって掻き出されるように撹拌される。従って、撹拌槽における溶液の撹拌効率をより向上できる。
本発明に係る撹拌機によれば、撹拌槽の複雑化を回避しつつ、撹拌槽内の広範囲で強い上下循環流を発生させるとともに、撹拌槽内に投入された溶質が底部に滞留することをより確実に防止できる。
実施例に係る撹拌機の基本構成を示す破断斜視図である。 実施例に係る撹拌槽の底部の構成を示す断面図である。 実施例1に係る撹拌槽の構成を示す平面図である。 実施例1におけるシミュレーションを説明する図である。(a)は解析モデルとして用いられた、実施例1に係る撹拌翼の下部を示す拡大正面図であり、(b)はシミュレーション時におけるパドル翼の位置、回転軸の回転方向、および観察方向を示した平面図であり、(c)はシミュレーションによって得られた、撹拌槽内における溶液の速度ベクトルを示す図であり、(d)は(c)に係る速度ベクトルの概略を示した図である。 実施例1における効果を説明する図である。(a)は図4(b)の状態について、さらにパドル翼を180°回転させた状態を示した平面図であり、(b)は速度ベクトルの概略と、上昇流が形成される領域の位置とを示した概略図である。 比較例1におけるシミュレーションを説明する図である。(a)は解析モデルとして用いられた、比較例1に係る撹拌翼の下部を示す拡大正面図であり、(b)はシミュレーションによって得られた、撹拌槽内における溶液の速度ベクトルを示す図であり、(c)は(b)に係る速度ベクトルの概略を示した図である。 比較例2におけるシミュレーションを説明する図である。(a)は解析モデルとして用いられた、比較例2に係る撹拌翼の下部を示す拡大正面図であり、(b)はシミュレーションによって得られた、撹拌槽内における溶液の速度ベクトルを示す図であり、(c)は(b)に係る速度ベクトルの概略を示した図である。 比較例3におけるシミュレーションを説明する図である。(a)は解析モデルとして用いられた、比較例3に係る撹拌翼の下部を示す拡大正面図であり、(b)はシミュレーションによって得られた、撹拌槽内における溶液の速度ベクトルを示す図であり、(c)は(b)に係る速度ベクトルの概略を示した図である。 比較例4におけるシミュレーションを説明する図である。(a)は解析モデルとして用いられた、比較例4に係る撹拌翼の下部を示す拡大正面図であり、(b)はシミュレーションによって得られた、撹拌槽内における溶液の速度ベクトルを示す図であり、(c)は(b)に係る速度ベクトルの概略を示した図である。 実施例2におけるシミュレーションを説明する図である。(a)は解析モデルとして用いられた、実施例2に係る撹拌翼の下部を示す拡大正面図であり、(b)はシミュレーションによって得られた、撹拌槽内における溶液の速度ベクトルを示す図であり、(c)は(b)に係る速度ベクトルの概略を示した図である。 実施例3におけるシミュレーションを説明する図である。(a)は解析モデルとして用いられた、実施例3に係る撹拌翼の下部を示す拡大正面図であり、(b)はシミュレーションによって得られた、撹拌槽内における溶液の速度ベクトルを示す図であり、(c)は(b)に係る速度ベクトルの概略を示した図である。 従来例における問題点を説明する図である。(a)は従来例のうち、比較例1に係る撹拌翼の下部を示す拡大正面図であり、(b)は比較例1における、パドル翼の位置関係を示す平面図である。 従来例における問題点を説明する図である。(a)は従来例のうち、比較例4に係る撹拌翼の下部を示す拡大正面図であり、(b)は比較例5に係る撹拌翼の下部を示す拡大正面図である。 変形例に係る撹拌翼の下部を示す拡大正面図である。 変形例に係るパドル翼と格子翼との位置関係を示す平面図である。 変形例に係るパドル翼の構成を説明する破断正面図である。(a)は各実施例に係る、パドル翼が回転軸の中心軸と平行な構成を示す破断正面図であり、(b)は変形例に係る、パドル翼が回転軸の中心軸から傾斜するように取り付けられる構成を示す破断正面図である。 変形例に係るパドル翼の構成を説明する平面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。図1は、実施例1に係る撹拌機1の全体構成を示す破断斜視図である。
<全体構成の説明>
撹拌機1は図1に示すように、撹拌槽2と、回転軸3と、撹拌翼4と、邪魔板5と、ジャケット部6とを備えている。撹拌槽2は椀状の底部を有する円筒形の構成を備えており、各種の溶質、溶媒および溶液などが投入される。撹拌槽2は底部の中央に排出口7が配設されている。排出口7は撹拌槽2内の溶液を取り出す取り出し口としての機能を有しており、排出管8に接続されている。撹拌槽2において撹拌混合して生成された溶液は、排出管8を介して回収される。
回転軸3は撹拌槽2の中央に設けられており、カップリングを介してその上部の図示しない駆動部と連接されている。回転軸3は駆動部の駆動により図3において符号Rで示す方向へ回転する。回転軸3は、図1に示すような片持ち支持されている構成に限ることはなく、底部を貫通して上下から支持されてもよい。また、駆動部が撹拌槽2の下部側に設けられてもよい。
撹拌翼4は回転軸3に沿って取り付けられており、格子翼9およびパドル翼10によって構成されている。格子翼9は、縦2列、横3行からなる格子板が、回転軸3の左右にそれぞれ取り付けられた構成を備えている。一対の格子板は、それぞれ回転軸3の上部から下部に沿って取り付けられている。なお格子板に設けられている格子の構成は縦2列、横3行に限ることはなく、適宜変更してよい。格子翼9は、本発明における板状部材に相当する。
次に図2を用いてパドル翼10の構成を説明する。図2は撹拌槽2の底部を示す拡大図である。なお、図2ではジャケット部6、排出口7および排出管8の構成を省略している。
パドル翼10は格子翼9の下方に設けられており、回転軸3の下端に取り付けられている。パドル翼10は扇状の形状を有している。また本発明の特徴として、パドル翼10は回転軸3の片側、すなわち左右のうち一方にのみ取り付けられている。そのため、パドル翼10は全体として片翼状の構成となっており、回転軸3の中心軸Pを基準として回転軸3の径方向における一方にのみ延伸している。
パドル翼10の下端10aは回転軸3の下端よりも下方に突出している。回転軸3側(内側)におけるパドル翼10の端部10b(以下、「内端部10b」と略称する)は、回転軸3の中心軸Pを越えて突出しないことが好ましい。当該構成による効果の詳細については後述する。
パドル翼10の下端10aの形状は、撹拌槽2が有する椀状の底部に沿った同一の形状となっている。すなわち、下端10aと撹拌槽2の底部との隙間Gは均一となっている。隙間Gを狭い空間とすることにより、パドル翼10を回転させることによって隙間Gを流通する溶液の流速が向上するので、溶液の熱伝達率を高めることができる。実施例において、隙間Gは10mm以下であることが好ましい。
なお実施例1では図2に示すように、径方向におけるパドル翼10の先端部10cが邪魔板5の下側まで延伸している。そのため、邪魔板5の下側における溶液は滞留されること無くパドル翼10によって掻き出されるように撹拌されるので、撹拌槽2における溶液の撹拌効率をより向上できる。
なお実施例1では、パドル翼10の翼径S2(内端部10bから先端部10cまでの長さ)と、撹拌槽2の半径S1との比(対槽半径比V)は0.9となるように構成されている。そして格子翼9の翼径S3と撹拌槽2の半径S1との比は0.7となるように構成されている。また図1ないし図3に示すように、格子翼9とパドル翼10とは互いに平行となるように回転軸3に取り付けられている。
邪魔板5は一例として平板状であり、撹拌槽2における円筒形部分の内壁の上部から下部にわたって取り付けられている。邪魔板5は、格子翼9の回転に伴って撹拌槽2内の溶液が回転方向Rに流れることを規制する。すなわち、格子翼9の回転方向Rに流れる溶液は、邪魔板5に衝突して上昇流に変えられるようになっている。実施例1において邪魔板5は2本であるが、邪魔板5の数は適宜変更してよい。邪魔板5は本発明における規制部材に相当する。
ジャケット部6は撹拌槽2の外周部および底部の各々を包み込むように付設されている。ジャケット部6の内部には、温度調節用流体としての温水や冷却水が流通する流路11が設けられている。すなわち、ジャケット部6に温度調節用流体を循環させることによって、撹拌槽2の内部における温度を一定に保つように構成されている。
<シミュレーション解析>
ここで撹拌槽2に投入された溶液の撹拌を行う場合における、実施例1に係る撹拌翼4の撹拌性能をシミュレーションにより検証を行った。すなわち、撹拌機1と同様の構成を有する解析モデルに基づいて撹拌槽2の内部における溶液の流動状態を、MRF(Multiple Reference Frame)の手法を用いて定常解析を行った。
なお、シミュレーションにおける各種条件は、以下の通りである。
解析ソフトプログラム:Fluent6.3
回転軸3の回転数:60rpm
解析モデル形状:パドル翼
流体物性:FLUENTデータベースより、Water−liquidを用いた。
溶液の密度:998kg/m3
溶液の粘度:1mPa・s
前記した条件の下でシミュレーションによる定常解析を行った結果について、図4の各図を用いて説明する。図4(a)は解析モデルとして用いられた、実施例1に係る撹拌翼4の下部を示す拡大正面図である。すなわち回転軸3の下端片側にパドル翼10が取り付けられており、パドル翼10の内端部10bは回転軸3の中心軸Pを越えない位置に配置されている。また、パドル翼10の対槽半径比Vの値は0.9となっている。
図4(b)は、シミュレーション時におけるパドル翼10の位置、回転軸3の回転方向、および観察方向を示した図である。図4(c)などに係る速度ベクトル図における観察方向は、図4(b)において符号Qを付して示されている。また図4(b)ではパドル翼10の位置を明示する関係上、格子翼9や邪魔板5などの記載を省略している。
図4(c)はシミュレーションによって得られた、中心軸Pに平行で回転軸3を含む断面における速度ベクトルを示す図である。各々の速度ベクトルは、撹拌槽2の上下方向(z方向)について、上向きの場合は正の値で示されており、下向きの場合は負の値で示されている。このとき、パドル翼10は回転軸3の中心軸Pから奥側へ向かって延伸する位置にある。また図4(c)に係る速度ベクトル図は、図4(b)において観察方向Qから見たA−A断面図である。図4(d)は、図4(c)に係る速度ベクトルの概略を示した図である。
図4(c)および図4(d)に示すように、実施例1に係る撹拌翼4の回転によって、点線F1で示すx方向に広い範囲において撹拌槽2の底部から強い上昇流Jが形成されることが分かった。
すなわち回転軸3の下方において、回転軸3の中心軸Pの直下から向かって右側について、x方向に広い領域F1で上昇流Jが形成されている。また実施例1において、上昇流Jのz方向への速度は+0.06〜+0.10m/s程度となっている。すなわち、上昇流Jは上向きの速い流れとなっている。一方、回転軸3の下方であって領域F1を除く範囲において形成されている、液流Kのz方向への速度は、概ね−0.10〜+0.00m/s程度である。すなわち、液流Kは概ね横向きまたは下向きの流れとなっている。
そして、回転軸3の回転に従ってパドル翼10が中心軸Pの軸周りに回転移動することにより、上昇流Jが形成される範囲F1の位置も中心軸Pの軸周りに回転移動する。すなわち図5(a)に示すように、図4(b)に示す状態からパドル翼10が中心軸Pの軸周りに180°回転移動した場合、上昇流Jの形成範囲F1の位置は図5(b)に示す通りとなる。
すなわち、上昇流Jの形成範囲F1は、回転軸3の中心軸Pの直下から向かって左側について、x方向に広い範囲となる。このようにパドル翼10の回転に応じて、回転軸3の下方に相当する撹拌槽2の底部(中央底部H)の全領域において、強い上昇流Jが周期的に形成される。
このように、回転軸3の片側に設けられたパドル翼10を回転させることにより、中央底部Hにおいて、中心軸Pの直下から径方向にわたる広い領域F1で強い上昇流Jが形成される。そして、上昇流Jの形成領域F1は中央底部Hの全領域をカバーするように順次移動する。
そのため、撹拌槽2の上部から回転軸3の下方に沈降する固体状の溶質は、上昇流Jに従って撹拌槽2の上部へと再度巻き上げられる。その結果、撹拌槽2の中央底部Hにおいて、モノマーなど固体状・粉末状の溶質が堆積することを確実に防止できる。
ここで、実施例1に係るシミュレーションとの比較を行うため、図6〜図9に示す比較例に係る解析モデルを用いて、前記と同様の条件下でシミュレーションによる定常解析を行った。
(比較例1)
まず、特許文献1に係る撹拌翼を比較例1の解析モデルとして、撹拌性能のシミュレーション検証を行った。比較例1に係る撹拌翼4Aは図6(a)に示すように、回転軸3の下端両側にパドル翼10がそれぞれ取り付けられている。パドル翼10の内端部10bは回転軸3の中心軸Pを越えない位置に配置されている。また、パドル翼10の対槽半径比は、実施例1と同様に0.9となっている。
比較例1に係る撹拌翼4Aを解析モデルとしてシミュレーションを行った結果を図6(b)および図6(c)に示している。図6(b)はシミュレーションによって得られた、中心軸Pに平行で回転軸3を含む断面における速度ベクトルをジオメトリで示した図であり、図6(c)は、図6(b)の概略図である。
図4(c)および図4(d)と比較すると、比較例1に係る撹拌翼4Aの回転によって上昇流JAが形成される領域F2は、実施例1において上昇流Jが形成される領域F1と比べてx方向に狭いことが分かる。また、範囲F2において形成される上昇流JAのz方向への速度は、+0.02〜+0.04m/s程度であり、実施例1において形成される上昇流Jの速度と比べて低いことも分かる。なお、回転軸3の下方であって領域F2を除く範囲において形成されている、液流KAのz方向への速度は、−0.14〜+0.00m/s程度である。
さらに、領域F2の位置は回転軸3の中心軸Pの直下に相当する狭い範囲に限られる。そのため撹拌翼4Aを回転させても領域F2は領域F1と異なり、撹拌槽2の中央底部Hにおいて変位しない。従って、比較例1に係る撹拌翼4Aを用いて撹拌を行っても、撹拌槽2の中央底部Hにおいて、中心軸Pの直下における非常に限られた範囲に弱い上昇流JAが形成されるにとどまる。その結果、領域F2を除く中央底部H(一例として回転軸3の周縁部の直下)において溶質の滞留・堆積が顕著に発生する。
さらに、撹拌槽2の底面付近を流れる液流Lは、いずれも中央底部Hに向かって流れている。すなわち、撹拌槽2の底面に沈降する溶質は椀状の底面および液流Lに沿って底面の中央へと移動するので、中央底部Hにおける溶質の堆積がさらに顕著に発生する。その結果、溶質の溶解効率が低下する問題や、堆積した溶質によって排出口7が閉塞するので溶液の排出が困難になる問題が容易に発生する。
実施例1と比較例1とを比べると明らかなように、パドル翼10を回転軸3の下端において両側ではなく片側に取り付けることによって、溶液を撹拌する際に撹拌槽2の中央底部Hにおいて強い上昇流Jが広範囲に形成される。従って、溶質が槽の底部に堆積することを防止できるので、撹拌槽2における撹拌効率を大きく向上できる。
(比較例2)
次に、パドル翼を有しない撹拌翼を比較例2として、撹拌性能のシミュレーション検証を行った。比較例2に係る撹拌翼4Bは図7(a)に示すように、実施例1に係る撹拌翼4からパドル翼10を除いた構成となっている。
比較例2に係る撹拌翼4Bを解析モデルとして、シミュレーションを行った結果を図7(b)および図7(c)に示している。比較例2では撹拌槽2の中央底部Hにおいて、ごく限られた領域F3において弱い上昇流JBが僅かに確認できるにとどまっている。なお、上昇流JBのz方向への速度は、+0.00〜+0.02m/s程度である。
そのため、比較例2の構成において、中央底部Hに沈降する溶質を非常に弱い上昇流JBによって撹拌槽2の上部へ再度巻き上げることは困難である。さらに、比較例2に係る撹拌翼4Bはパドル翼10を備えていないので、撹拌翼4Bと撹拌槽2の底面との隙間が大きい。そのため、撹拌槽2の下部を流れる溶液を撹拌槽2の上部へ掻き上げることが困難である。その結果、撹拌槽2における溶液の循環効率は、実施例1などの構成と比べて大きく低下する。
(比較例3)
続いて、図8(a)に示す撹拌翼4Cを比較例3に係る解析モデルとして、撹拌性能のシミュレーション検証を行った。比較例3に係る撹拌翼4Cは、回転軸3の下端に1枚のパドル翼10が取り付けられている。パドル翼10は、回転軸3の左右へそれぞれ延伸しており、パドル翼10の下端10aは回転軸3の下端からさらに下方へ延伸している。x方向について一方(回転軸3の左方向)におけるパドル翼10の翼径S4、および他方(回転軸3の右方向)へ延びるパドル翼10の翼径S5は、それぞれ対槽半径比が実施例1と同様、0.9となるように構成されている。
比較例3に係る撹拌翼4Cを解析モデルとして、シミュレーションを行った結果を図8(b)および図8(c)に示している。比較例3では撹拌槽2の中央底部Hにおいて上昇流が形成されていないことが分かる。なお、回転軸3の下方において形成されている液流KCのz方向への速度は、いずれも−0.02〜+0.02m/s程度である。比較例1と比較例3とを比べると、回転軸3の下端において下方側の全体にパドル翼が取り付けられると、中央底部Hにおける上昇流の発生効率が低下することが分かる。
(比較例4)
さらに、図9(a)に示す撹拌翼4Dを比較例4に係る解析モデルとして、撹拌性能のシミュレーション検証を行った。比較例4に係る撹拌翼4Dは実施例1と同様、回転軸3の下端において片側にパドル翼10が取り付けられている。但し比較例4に係るパドル翼10は、内端部10bが回転軸3の中心軸Pを越えて径方向に延伸している点で、実施例1に係るパドル翼10と相違する。すなわち、比較例4に係る撹拌翼4Dは比較例3と同様に、回転軸3の下端において下方側の全体にパドル翼が取り付けられる構成を有している。
比較例4に係る撹拌翼4Dを解析モデルとして、シミュレーションを行った結果を図9(b)および図9(c)に示している。図4(c)および図4(d)と比較すると、比較例4に係る撹拌翼4Dの回転によって上昇流JDが形成される領域F4は、実施例1において上昇流Jが形成される領域F1と比べてx方向に狭くなっていることが分かる。
なお、上昇流JDのz方向への速度は、+0.02〜+0.06m/s程度であり、実施例1において形成される上昇流Jの速度と比べて低いことも分かる。なお、回転軸3の下方であって領域F4を除く範囲において形成される、液流KDは下向きに速い流れであり、そのz方向への速度は−0.14〜−0.04m/s程度である。
このように、実施例1と同様に比較例4の結果からも、回転軸3の下端の両側にパドル翼10を取り付ける構成と比べて、回転軸3の下端の片側にパドル翼10を取り付ける構成では中央底部Hにおける上昇流の発生効率および発生範囲が大きく向上することが分かる。その一方で、撹拌翼4においてパドル翼10の内端部10bが中心軸Pを越えて回転軸3の径方向に突出し、回転軸3の下端において下方側の全体にパドル翼が取り付けられる構成となると、中央底部Hにおける上昇流の発生効率および発生範囲が低下することが分かる。
次に、本発明の実施例2を説明する。実施例2に係る撹拌機1の構成は実施例1と共通する。但しパドル翼10の翼径において実施例1と相違する。実施例2に係る撹拌翼4Eは図10(a)に示すように、回転軸3の下端の片側にパドル翼10が設けられている。パドル翼10の下端10aは回転軸3の下端より下方に突出しており、パドル翼10の内端部10bは回転軸3の中心軸Pを越えて径方向に突出しないように構成されている。
実施例2において、パドル翼10の翼径S1は対槽半径比Vが0.7となるように構成されている。すなわちパドル翼10の翼径S1は格子翼9の翼径S3と略同じである。すなわち実施例2では実施例1と異なり、径方向におけるパドル翼10の先端部10cが、邪魔板5の下側まで届かないように構成されている。
そして実施例2に係る撹拌翼4Eを解析モデルとして、シミュレーションを行った結果を図10(b)および図10(c)に示している。すなわち実施例1と同様に、実施例2に係る撹拌翼4Eの回転によって、符号F5で示すx方向に広い領域において撹拌槽2の底部から強い上昇流Jが形成されることが分かる。
すなわち上昇流Jが発生する領域F5は、回転軸3の下方において、回転軸3の中心軸Pの直下から向かって右側について、x方向に広い領域となっている。実施例2において、領域F5において形成される上昇流Jのz方向への速度は、実施例1と同様に+0.06〜+0.10m/s程度の高い速度となっている。なお、回転軸3の下方であって領域F5を除く範囲において形成される、液流Kのz方向への速度は概ね−0.12〜−0.02m/s程度である。
さらに、本発明の実施例3を説明する。実施例3に係るパドル翼10は、実施例2よりさらに翼径が短くなっている。実施例3に係る撹拌翼4Fは図11(a)に示すように、パドル翼10が取り付けられる位置は実施例1および実施例2と共通している。実施例3において、パドル翼10の翼径S1は対槽半径比Vが0.2となるように構成されている。
実施例3に係る撹拌翼4Fを解析モデルとして、シミュレーションを行った結果を図11(b)および図11(c)に示している。実施例1および実施例2と同様に、実施例3に係る撹拌翼4Fの回転によって、符号F6で示すx方向に広い領域において撹拌槽2の底部から強い上昇流Jが形成されることが分かる。
実施例3において、領域F6において形成される上昇流Jのz方向への速度は、実施例1と同様に+0.04〜+0.06m/s程度の高い速度となっている。なお、回転軸3の下方であって領域F6を除く範囲において形成されている、液流Kのz方向への速度は概ね−0.16〜+0.00m/s程度である。
このように、実施例1ないし実施例3の結果から明らかなように、パドル翼10の翼径の長さに関わらず、回転軸3の片側にパドル翼10を取り付けることにより、回転軸3の下方に相当する撹拌槽2の中央底部において強い上昇流Jが広い範囲で形成されることが分かる。すなわち、比較例1および比較例3のような、回転軸3の下端両側にパドル翼10が延伸する構成と比べて、実施例1ないし実施例3のような、回転軸3の下端片側にのみパドル翼10が延伸する構成を適用することで撹拌時に上昇流が広範囲で形成される。
回転軸3の下端片側にのみパドル翼10を取り付けることによって、撹拌翼4が中央底部Hにおけるより広い範囲に上昇流Jを形成できる理由としては、以下のような仮説が考えられる。ここでは撹拌槽2においてパドル翼10が通過する任意の位置のうち、一例として所定の位置Fを挙げ、図12の各図を用いて説明する。図12(b)は図4(b)と同様に、格子翼9の記載を省略した平面図である。
従来のパドル翼は、回転の際のバランスを考慮して、回転軸の両側に設ける構成とすることが一般的である。すなわち、従来のパドル翼は図12(a)に示すような、一対のパドル翼10が回転軸3の両側に延伸する構成となる。しかし、このような両翼状のパドル翼を有する従来の構成では、一方のパドル翼10Pの回転によって形成される上昇流が、他方のパドル翼10Qの回転によって打ち消されると考えられる。すなわち、図12(b)に示すように、一方のパドル翼10Pが方向Rに沿って回転して所定の位置Fを通過することによって、撹拌槽2の中央底部において広い範囲に上昇流が発生する。
しかしながら従来の構成では、一方のパドル翼10Pから遅れて所定の位置Fを通過する他方のパドル翼10Qによって、当該上昇流の大部分が打ち消される。その結果、上昇流が発生する範囲は非常に狭い範囲に限られるものと考えられる(比較例1を参照)。このようにパドル翼が回転軸3の両側に延伸する従来の構成では、一方に延びるパドル翼と他方に延びるパドル翼とが、撹拌槽2の中央底部Hにおいて形成される上昇流を互いに打ち消し合う。その結果、撹拌槽2の中央底部Hにおける撹拌効率が大幅に低下し、沈降する溶質が容易に滞留・堆積する。
従来の構成に対し、各実施例に係る撹拌翼4は、中心軸Pを基準としてパドル翼10が径方向について回転軸3の一方にのみ延伸するように構成される。このような各実施例の構成では、中心軸Pを挟んでパドル翼10と対向する位置に、翼状部材を例とする溶液の速度ベクトルを変える構成が存在しない。そのため、パドル翼10が撹拌槽2内の溶液を撹拌することによって形成される上昇流が打ち消されることを回避できる。その結果、撹拌翼4を用いて撹拌することで、撹拌槽2の中央底部Hにおいて強い上昇流を広範囲に形成できると考えられる。
撹拌槽2の中央底部Hにおいて強い上昇流が広範囲に形成される結果、撹拌槽2の上部から回転軸3の下方に沈降する固体状の溶質は、上昇流に従って撹拌槽2の上部へと再度巻き上げられるので、溶質の堆積・滞留を防止できる。その結果、パイパス配管などを新たに設けることなく、撹拌機1における撹拌翼4の撹拌効率および溶質の溶解効率を大きく向上できる。
また、実施例3の結果から明らかなように、パドル翼10の翼径を短くした場合であっても、回転軸3の下端から下方に突出する片翼状のパドル翼10を回転軸3に取り付けることによって、撹拌槽2の中央底部Hにおける広い範囲に上昇流を形成できる。さらに、パドル翼10の翼径S2を短くすることにより、回転軸3の片側にのみパドル翼10を取りつける本発明の構成において、撹拌翼4のバランスを好適に保つことがより容易となる。撹拌翼4をバランスよく回転させるという観点から、パドル翼10の翼径S2の対槽半径比Vは0.2以上0.3以下であることが特に好ましい。
なお、実施例1と比較例4とを比べると、回転軸3の下方側全体にパドル翼10が取り付けられることによって、中央底部Hにおける上昇流Jの形成範囲が狭くなることが分かる。この理由としては、以下のような仮説が考えられる。
すなわち比較例4に係る撹拌翼4Dでは、図13(a)に示すようにパドル翼10のうち、回転軸3の中心軸Pから径方向へ一方に延びる部分Maの回転によって発生する上昇流が、パドル翼10のうち、回転軸3の中心軸Pから径方向へ他方に延びる部分Mbによって打ち消される。その結果、部分Mbを有しない実施例1と比べて、部分Mbを有する比較例4では上昇流Jの形成能力が低下したと考えられる。
従って、回転軸3の下端の片側にパドル翼10を取り付ける本発明の構成において、パドル翼10の内端側10bは中心軸Pを越えて径方向に突出しないことが好ましい。内端部10bが中心軸Pを越えて突出する場合、内端部10bが中心軸Pを越えて突出する長さNに応じて、図13(a)に示す部分Mbの面積が広くなる。部分Mbが広くなるに従って、部分Maの回転によって形成される上昇流はより打ち消されやすくなるので、長さNはより短いことが望ましい。中心軸Pは本発明における回転軸の中心に相当する。
また、本発明に係る撹拌翼4において、パドル翼10の下端10bは回転軸3の下端より下方へ突出する必要があり、回転軸3の下端より下方へ突出する長さWはより長いことが好ましい。パドル翼10の下端10bが回転軸3の下端より下方へ突出しない場合、撹拌翼4Gは図13(b)に示すような構成となる。
このような比較例5に係る撹拌翼4Gの構成は比較例4に係る撹拌翼4Dと類似の構成であるので、撹拌翼4Gを使用した場合、比較例4と同様の問題が発生する。すなわち、パドル翼10によって形成される上昇流Jは、中心軸Pを挟んでパドル翼10と対向する位置にある、回転軸3の下端部3Aによって打ち消される。その結果、中央底部Hにおける上昇流Jの形成が抑制される。従って、パドル翼10によって形成される上昇流が打ち消されることを回避すべく、パドル翼10の下端10bは回転軸3の下端より下方へより突出することが望ましい。
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
(1)上記各実施例において、パドル翼10は回転軸3の下端の下側に接するように取り付けられている。すなわちパドル翼10の上端10dと回転軸3の下端が接する構成となっているが、これに限られない。すなわちパドル翼10の下端10bが回転軸3の下端より下方に突出するならば、パドル翼10は回転軸3の下端の側部に接するように取り付けられていてもよい。
当該変形例(1)に係る撹拌翼4Hは、図14に示すように、パドル翼10の内端部10bが回転軸3の下端の側面と接するように構成されている。このような構成であっても、下端10bが下方へ突出する長さWを十分に長くすることにより、片翼状のパドル翼10によって形成される上昇流が打ち消されることを確実に回避できる。なお、「回転軸の片側にのみパドル翼が取り付けられる」とは、少なくとも各実施例の構成のみならず変形例(1)の構成を含む、いわゆる片翼状のパドル翼10を備える構成を示唆する。
(2)上記各実施例および変形例において、図1ないし図3に示すように、パドル翼10は格子翼9と平行となるように回転軸3に取り付けられているが、図15に示すようにパドル翼10は格子翼9と交差姿勢で取り付けられてもよい。
ここで、回転軸3に対するパドル翼10の取り付け角度と格子翼9の取り付け角度との関係を説明する。図15に示す対頂角θ1は、基準軸線である格子翼9の翼径に対してパドル翼10の先端10cを回転方向Rの前方に変位させた場合に、パドル翼10の回転方向Rとは逆の後方側に形成される角度である。対頂角θ1は90°以下にすることが好ましい。この場合、パドル翼10の回転に伴って上昇流となった溶液を、格子翼9によってさらに効率よく分散できる。
(3)上記各実施例および各変形例において、パドル翼10は図16(a)に示すように回転軸3の中心軸Pと平行に取り付けられているが、これに限られない。すなわち図16(b)に示すように、パドル翼10の一方の面が撹拌槽2の上方を向くように傾斜角θ2をつけて回転軸3の下端に取り付けられてもよい。傾斜角θ2は、中心軸Pに対して0°〜60°の範囲に設定することが好ましい。傾斜角θ2をつけてパドル翼10を取り付けることにより、撹拌槽2下部の溶液はパドル翼10の上面によって掻き上げられ、より好適に上昇流となる。そのため、撹拌槽2の内部における溶液の循環効率をより向上できる。
(4)上記各実施例および各変形例において、パドル翼10は図3に示すような1枚板の構成であったが、これに限られない。すなわち図17に示すように、複数枚の板状部材13a〜13cが回転軸3の回転方向Rに重なるように回転軸3に取り付けられてパドル翼10を構成してもよい。
このような変形例において、先頭の板状部材13aと最後尾の板状部材13cとの角度θ3は、0°〜90°であることが好ましい。角度θ3が当該範囲内である場合、パドル翼10を構成する先頭の板状部材13aの回転によって形成される上昇流が、後続の板状部材13bおよび13cなどによって打ち消されることを回避できる。パドル翼10を構成する板状部材13の数は3枚に限ることはなく、適宜変更してもよい。
(5)上記各実施例および各変形例において、撹拌翼4はパドル翼10の他に格子翼9、すなわち格子を有する板状部材を有する構成を例にとって説明したがこれに限られない。すなわち格子翼9の代わりに、格子を有しない一対の平板状部材を回転軸3の軸に沿って取り付けてもよい。
1 … 撹拌機
2 … 撹拌槽
3 … 回転軸
4 … 撹拌翼
5 … 邪魔板
6 … ジャケット部
7 … 排出口
8 … 排出管
9 … 格子翼
10 … パドル翼
G … 隙間

Claims (3)

  1. 中心部を最低面とする椀型の底面を有する、溶液が投入される撹拌槽と、
    前記撹拌槽の中心部に設けられた回転軸と、
    前記回転軸に取り付けられた撹拌翼と、を備える撹拌機であって、
    前記撹拌翼は、
    前記回転軸の軸に沿って取り付けられた板状部材と、
    前記回転軸の下端の片側にのみ取り付けられたパドル翼とを備え、
    前記パドル翼は、
    前記パドル翼の下端部が前記回転軸の下端より下方に突出し、かつ前記回転軸に近い側の端部が前記回転軸の中心を越えて径方向へ突出しないように前記回転軸に取り付けられ
    前記パドル翼の翼径は、前記撹拌槽の半径に対する比が0.2以上0.3以下であり、
    前記パドル翼の下端の形状は前記撹拌槽の底部に沿った形状となっており、前記パドル翼の下端と前記撹拌槽の底部との隙間は10mm以下となるように構成されている
    ことを特徴とする撹拌機。
  2. 請求項1に記載の撹拌機において、
    前記パドル翼は、
    前記パドル翼の下端部が前記撹拌槽の底部に向けて取り付けられており、前記パドル翼の一方の面が前記撹拌槽の斜め上方を向くように傾斜角を持っている
    ことを特徴とする撹拌機。
  3. 請求項1または請求項2に記載の撹拌機において、
    前記撹拌槽の内側壁の上部から下部にわたって取り付けられた、投入された溶液の流れを規制する規制部材を備え、
    前記パドル翼は、径方向における先端部が前記規制部材の下側まで延伸している
    ことを特徴とする撹拌機。
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