JP6969461B2 - 下地処理検査装置および下地処理検査方法 - Google Patents

下地処理検査装置および下地処理検査方法 Download PDF

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Description

本発明は、電磁波を利用して対象物の下地の状態を検査する下地処理検査装置および下地処理検査方法に関する。
従来、塗装の品質を左右する因子は種々存在するが、最も大事な因子の1つとして下地処理がある。塗装を行う対象の表面に塗料、すなわち塗膜を強固に密着させるためには、塗装を行う対象の表面に、アンカーパターンと呼ばれる凹凸を形成する必要がある。通常、アンカーパターンはショットブラストによって形成される。鋼橋や鋼船などの鋼構造物の分野においては、塗装を行う前に施主などによる立ち会い検査を行うことによって、所定の下地処理が行われているかを確認している。この下地処理の立ち会い検査は、多くの場合、検査者による目視によって行われることから、検査者の技量に起因した判定のばらつきや見逃しの問題などが生じる可能性があった。
一方で、テラヘルツ波の利用が検討されている。テラヘルツ波は、樹脂などの非金属材料に照射するとほとんどが透過する一方、金属材料に照射するとほとんどが反射する性質を有する。このテラヘルツ波の性質を利用することによって、樹脂層の下層に存在する鋼材の鋼面の凹凸性状を測定して、画像化することが可能である。非特許文献1には、テラヘルツ波の性質を利用して2次元イメージングを行うことができる、共鳴トンネルダイオード(RTD:Resonant Tunneling Diode)を用いた反射型光学系の電子デバイス方式によるイメージング装置が開示されている。非特許文献1に記載された技術によれば、樹脂層の下層の金属面におけるテラヘルツ波の反射波の強弱を測定して、画像化することが可能になる。
特開2013−152220号公報
山口淳、「テラヘルツイメージングシステムの開発」、PIONEER R&D(2014)
上述したように、塗装前には、鋼面に所定の処理が行われているか否かを検査するために、立ち会い検査を行う必要がある。ところが、目視検査は煩雑であるのみならず、正確性に関しても検査官ごとにばらつきが生じる可能性がある。さらに、立ち合い検査の工程を確保する必要があるため、製造工程などを含めた全体の作業工程が長くなるという問題も生じる。
そこで、テラヘルツ波を利用して、金属の表面における反射波の進行方向垂直平面上の強度分布に基づいて欠陥を検出する検査装置および検査方法が提案された(特許文献1)。しかしながら、特許文献1に記載の技術において、テラヘルツ波を利用して金属表面の凹凸として表面までの距離を測定するためには、必要な計測分解能を得るために時間幅の小さなテラヘルツ波のパルス波(以下、テラヘルツパルス波)を利用する必要がある。ところが、テラヘルツパルス波を発生させるためには、煩雑な機構が必要になる。また、テラヘルツパルス波では、アンカーパターンのような微細な凹凸を計測するための必要な分解能を確保することが困難である。さらに、特許文献1に記載の技術においては、検査対象となる下地の上層に塗膜などの被覆層が設けられた対象物に、被覆層側からテラヘルツパルス波を照射すると、下地の表面での反射波のみならず被覆層の表面での反射波が発生する。そのため、これらの下地での反射波と被覆層の表面での反射波とから、下地での反射波のみを識別する機構がさらに必要になる。
これに対し、テラヘルツ波を連続的に出射させる、いわゆるテラヘルツ連続波を利用する方法が検討された。この点、テラヘルツ連続波は、時間情報を有しないことから距離の計測が困難になる一方、送受信装置の装置構成は、上述したテラヘルツパルス波を用いる場合の装置構成に比して単純になる。ところが、下地の上層に被覆層が設けられた対象物に被覆層側からテラヘルツ連続波を照射した場合、被覆層の表面と下地の表面とのそれぞれにおいて反射波が生じる。そのため、対象物から反射したテラヘルツ波を測定すると、下地の表面の反射波と被覆層の表面の反射波とによって干渉縞が発生する。この干渉縞は、テラヘルツ連続波を用いた場合に特に顕著に生じる。この場合、生じた干渉縞から下地の表面の凹凸形状に関する情報のみを抽出することは、極めて困難であるため、被覆層の下層にある下地の凹凸形状を検出することができなかった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、下地の上層に被覆層が形成された対象物において、下地の表面に形成された凹凸を検査することができる下地処理検査装置および下地処理検査方法を提供することにある。
(1)上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る下地処理検査装置は、下地と前記下地の上層に設けられた被覆層とから構成される対象物における前記被覆層の所定位置に、前記被覆層の表面に対してブリュースター角をなしてテラヘルツ波を照射可能に構成されたテラヘルツ波発信手段と、前記対象物の前記下地において反射されたテラヘルツ波を検出可能に構成された少なくとも1つのテラヘルツ波検出素子を有するテラヘルツ波検出手段と、前記下地の表面が略平坦である場合において前記テラヘルツ波検出手段によって得られた前記反射されたテラヘルツ波の強度または強度分布を基準として、前記テラヘルツ波検出手段によって検出された前記反射されたテラヘルツ波の強度または強度分布における、前記基準となる強度または強度分布に対する比率に基づいて、前記下地の表面の粗さを評価する解析手段と、を備えることを特徴とする。
(2)本発明の一態様に係る下地処理検査装置は、上記(1)の発明において、前記テラヘルツ波発信手段から発信される前記テラヘルツ波を前記対象物に照射する前にP偏光にする、発信側P偏光手段をさらに備えることを特徴とする。
(3)本発明の一態様に係る下地処理検査装置は、上記(1)または(2)の発明において、前記テラヘルツ波検出素子に対して前記反射されたテラヘルツ波が入射する側に、テラヘルツ波のP偏光を透過する検出側P偏光手段をさらに備えることを特徴とする。
(4)本発明の一態様に係る下地処理検査装置は、上記(1)〜(3)のいずれか1つの発明において、前記下地が金属基体の表面であるとともに前記被覆層が非金属層であり、前記テラヘルツ波は、前記金属基体の表面で反射されることを特徴とする。
(5)本発明の一態様に係る下地処理検査装置は、上記(4)の発明において、前記金属基体が鋼材であることを特徴とする。
(6)本発明の一態様に係る下地処理検査装置は、上記(1)〜(5)のいずれか1つの発明において、前記テラヘルツ波発信手段から発信される前記テラヘルツ波が連続波であることを特徴とする。
(7)本発明の一態様に係る下地処理検査方法は、下地と前記下地の上層に設けられた被覆層とから構成される対象物における前記被覆層の所定位置に、前記被覆層の表面に対してブリュースター角をなしてテラヘルツ波を照射する発信ステップと、前記対象物の前記下地において反射されたテラヘルツ波を検出可能に構成された少なくとも1つのテラヘルツ波検出素子を有するテラヘルツ波検出手段によって、前記反射されたテラヘルツ波を検出する検出ステップと、前記下地の表面が略平坦である場合において前記テラヘルツ波検出手段によって得られた前記反射されたテラヘルツ波の強度または強度分布を基準として、前記テラヘルツ波検出手段によって検出された前記反射されたテラヘルツ波の強度または強度分布における、前記基準となる強度または強度分布に対する比率に基づいて、前記下地の表面の粗さを評価する解析手段と、を備えることを特徴とする。
(8)本発明の一態様に係る下地処理検査方法は、上記(7)の発明において、前記発信ステップにおいて発信された前記テラヘルツ波を、前記対象物に照射する前にP偏光にすることを特徴とする。
(9)本発明の一態様に係る下地処理検査方法は、上記(7)または(8)の発明において、前記反射されたテラヘルツ波が前記テラヘルツ波検出素子に入射する前に、前記反射されたテラヘルツ波のP偏光成分を取り出して、前記テラヘルツ波検出素子に入射させることを特徴とする。
(10)本発明の一態様に係る下地処理検査方法は、上記(7)〜(9)のいずれか1つの発明において、前記下地が金属基体の表面であるとともに前記被覆層が非金属層であり、前記テラヘルツ波は前記金属基体の表面で反射されることを特徴とする。
(11)本発明の一態様に係る下地処理検査方法は、上記(10)のいずれか1つの発明において、前記金属基体が鋼材であることを特徴とする。
(12)本発明の一態様に係る下地処理検査方法は、上記(7)〜(11)のいずれか1つの発明において、前記発信ステップにおいて発信される前記テラヘルツ波が連続波であることを特徴とする。
本発明に係る下地処理検査装置および下地処理検査方法によれば、下地の上層に被覆層が形成された対象物において、下地の表面に形成された凹凸を検査することが可能になる。
図1は、本発明の一実施形態による下地処理検査装置を示すブロック図である。 図2は、本発明の一実施形態による下地処理検査方法において、下地処理が不十分な場合について説明するための図である。 図3は、本発明の一実施形態による下地処理検査方法において、下地処理が十分である場合について説明するための図である。 図4は、本発明の一実施形態による下地処理から塗装の完了までの塗装作業を説明するためのフローチャートである。 図5は、従来技術による下地処理から塗装の完了までの塗装作業を説明するためのフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の一実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。また、本発明は以下に説明する一実施形態によって限定されるものではない。
まず、本発明の一実施形態による下地処理検査装置について説明する。図1は、一実施形態による下地処理検査装置1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、一実施形態による下地処理検査装置1は、テラヘルツ波発信器10、テラヘルツ波検出器20、および解析制御部30を備えて構成される。なお、一実施形態において検査の対象となる対象物80は、金属基体としての鋼材81の上層に、非金属層からなる被覆層としての各種の樹脂からなる塗膜82が設けられて構成される。塗膜82は、下地である鋼面81aにおける防食層として機能するが、接着剤なども含む。なお、対象物80としては、例えば塗覆装を有する鋼構造物のほか、アルミニウム(Al)やステンレス鋼(SUS)などの金属材料からなる基体の所定の面を下地として、下地の上層に非金属層が形成された種々の物体とすることができる。
一実施形態による下地処理検査装置1は、テラヘルツ波L1を対象物80の表面に照射可能に構成されているとともに、対象物80を反射したテラヘルツ波L2を検出可能に構成された反射型のテラヘルツ波計測装置から構成される。すなわち、下地処理検査装置1は、テラヘルツ波発信手段とテラヘルツ波検出手段とを兼ね備える。ここで、テラヘルツ波は、1テラヘルツ(1THz=1012Hz)前後、具体的には、100GHz〜10THz(1011〜1013Hz)オーダーの周波数領域である、いわゆるテラヘルツ領域に属する電磁波である。テラヘルツ領域は、光の直進性と電磁波の透過性を兼ね備えた周波数領域である。なお、一実施形態においては、テラヘルツ波の波長は、下地となる鋼面81aに形成される後述するアンカーパターン81bの表面粗度の設定に応じて選定される。例えば、波長としては、アンカーパターン81bの深さである10μm〜数100μm程度において散乱する波長を選定するのが好ましい。この場合、テラヘルツ波の周波数は、3THz以上30THz以下であるが、必ずしもこの範囲に限定されるものではない。なお、テラヘルツ波の波長は、必要に応じて塗膜82内における波長によって規定してもよい。
テラヘルツ波発信手段としてのテラヘルツ波発信器10は、例えば共鳴トンネルダイオード(RTD:Resonant Tunneling Diode)などを備えて構成されるテラヘルツ波発生素子11と、半球レンズ12と、コリメートレンズ13と、対物レンズ14とを有して構成される。なお、共鳴トンネルダイオードの代わりに、光伝導アンテナ(PCA:Photo Conductive Antenna)を用いてもよい。テラヘルツ波発信器10における発信側には、発信側P偏光手段としてのP偏光板15が設けられている。なお、テラヘルツ波発信器10、およびP偏光板15は直線状に配置された光学系を構成しているが、必ずしも直線状に配置される場合に限定されず、テラヘルツ波L1を反射する反射ミラーなどをさらに備えてテラヘルツ波を屈曲させる光学系であってもよい。テラヘルツ波発信器10およびP偏光板15からなる発信光学系は、テラヘルツ波L1のP偏光であるテラヘルツ波L1pを、対象物80の面に対してブリュースター角αで照射可能に構成されている。なお、ブリュースター角αは、塗膜82の材料、すなわち屈折率に依存する入射角である。
テラヘルツ波検出器20は、例えばRTDからなるテラヘルツ波検出素子21と、半球レンズ22と、集光レンズ23とを有して構成される。テラヘルツ波検出器20は、テラヘルツ波検出素子21によってテラヘルツ波の反射波(テラヘルツ波L2,L2p)を受信可能な状態で、下地処理検査装置1に設けられている。テラヘルツ波検出器20における検出側には、検出側P偏光手段としてのP偏光板24が設けられている。テラヘルツ波検出器20の検出側にP偏光板24が設けられていることにより、テラヘルツ波検出器20に到達して検出されるテラヘルツ波L2pが、P偏光に限定される。これにより、ノイズ成分となる、塗膜82の表面82aでの反射波の影響を低減できる。
解析手段および制御手段としての解析制御部30は、信号増幅部31、バイアス生成部32、ロックイン検出部33、および解析処理部34を備える。解析制御部30は、テラヘルツ波発信器10に対する各種制御を行う。また、解析制御部30は、テラヘルツ波検出器20によって検出されたテラヘルツ波の信号に対して、各種処理を行う。信号増幅部31は、テラヘルツ波検出器20によって検出された信号を増幅し、テラヘルツ波受信データとしてロックイン検出部33に出力する。バイアス生成部32は、バイアス電圧を生成してテラヘルツ波発生素子11およびテラヘルツ波検出素子21をバイアスすることによって、バイアス電圧に応じて発信するテラヘルツ波、または検出されたテラヘルツ波を変化させる。テラヘルツ波発生素子11およびテラヘルツ波検出素子21によって発信または検出されたテラヘルツ波は、微弱な場合もある。この場合、テラヘルツ波の検出にはロックイン検出が用いられる。ロックイン検出の際、テラヘルツ波発信器10においては、テラヘルツ波発生素子11のバイアス電圧として変調された参照信号が用いられることにより、テラヘルツ波の検出信号のノイズ成分が除去される。解析処理部34は、検出されたテラヘルツ波受信データを格納する所定の記録部(図示せず)を備えるとともに、テラヘルツ波受信データに対して解析処理を行う。
(下地処理検査方法)
上述のように構成された下地処理検査装置1の動作時においては、まず、テラヘルツ波発信器10からテラヘルツ波L1が発信される。具体的には、テラヘルツ波発生素子11において発生したテラヘルツ波が、半球レンズ12、コリメートレンズ13、および対物レンズ14を介して、テラヘルツ波L1として出力される。ここで、発信されるテラヘルツ波L1は、典型的には連続的に発信されるテラヘルツ連続波であるが、断続的に発信されるテラヘルツパルス波やトーンバースト波であってもよい。
テラヘルツ波発信器10から発信されたテラヘルツ波L1は、P偏光板15によって直線偏光にされる。P偏光板15は、発信されたテラヘルツ波L1のS偏光成分をカットしてP偏光(P偏波ともいう)にする。P偏光板15を通過したP偏光のテラヘルツ波L1pは、対象物80の表面の所定位置に、所定の入射角であるブリュースター角αをなして照射される。なお、P偏光およびS偏光は、塗膜82に照射される電磁波の照射方向および反射方向と塗膜82の法線とから規定される入射面に対する相対的な関係によって決まる。電磁波における電界が入射面内で振動している電磁波をS偏光、入射面に垂直に振動している光をP偏光という。ここで、テラヘルツ波L1pがP偏光であるため、塗膜82の表面82aにブリュースター角αで入射したテラヘルツ波L1pは、表面82aでの反射率が0になる。一方、P偏光のテラヘルツ波L1pは、塗膜82を透過して鋼材81の鋼面81aで反射される。
鋼面81aで反射されたテラヘルツ波L2は、塗膜82を通過した後にP偏光板24を通過してS偏光成分がカットされる。P偏光のテラヘルツ波L2pは、集光レンズ23によって集光されて半球レンズ22によって集められた後、テラヘルツ波検出素子21によって検出される。テラヘルツ波L2pを検出したテラヘルツ波検出素子21においては、テラヘルツ波L2pの強度に応じた信号が生成される。この場合、反射されたテラヘルツ波L2pがP偏光であることにより、対象物80からの反射波として、検査対象面である鋼面81aからの反射波のみを取り出すことができる。なお、P偏光のテラヘルツ波の場合、反射波が多重反射することがないため、鋼面81aからの反射波の検出の正確性を向上できる。
解析制御部30は、テラヘルツ波検出器20によって検出されたテラヘルツ波L2pの強度または強度分布に基づいたテラヘルツ波受信データを、解析処理部34の所定の記録部(図示せず)に格納する。このテラヘルツ波受信データは、塗膜82の表面82aにおいて反射されたテラヘルツ波が除外されて、鋼面81aで反射されたテラヘルツ波L2pのみが取り出された、強度または強度分布に基づいたデータである。解析処理部34は、供給されたテラヘルツ波受信データに対して解析処理を行う。図2および図3はそれぞれ、一実施形態による下地処理検査方法において、下地処理が不十分な場合および十分な場合について説明するための図である。
すなわち、図2に示すように、鋼材81の鋼面81aに対する下地処理が不十分な場合、鋼面81aは略平坦な面になる。そのため、対象物80に照射されたP偏光のテラヘルツ波L1pは、鋼面81aにおいて完全反射に近い状態で反射される。この場合、テラヘルツ波検出器20には、高い強度のテラヘルツ波L2pが到達して検出される。これにより、生成されるテラヘルツ波受信データにおける強度も高い強度となる。なお、あらかじめ、平坦な鋼面81aの上層に均一の厚さの塗膜82を形成した対象物80に対して、テラヘルツ波L1pを照射して反射したテラヘルツ波L2pの検出強度を、テラヘルツ波データとして取得しておく。この取得したテラヘルツ波受信データは、基準データとして、解析処理部34の所定の記録部に格納しておく。
一方、図3に示すように、鋼材81の鋼面81aに対する下地処理が十分である場合、鋼面81aには、例えばショットブラストなどによって形成されたアンカーパターン81bが形成されている。この場合、対象物80に照射されたP偏光のテラヘルツ波L1pは、鋼面81aによって乱反射されるため、鋼面81aにおいて反射されてテラヘルツ波検出器20に到達するテラヘルツ波L2pの強度は低くなる。そのため、生成されるテラヘルツ波受信データにおける強度も低い強度となる。
解析制御部30の解析処理部34は、上述したテラヘルツ波受信データの基準データにおける強度と、検出したテラヘルツ波受信データにおける強度とを比較する。図3に示す例においては、基準データでの強度に対する検出したテラヘルツ波L2pの強度の比率は例えば30%程度と低い強度になる。解析処理部34は、検出したテラヘルツ波L2pの強度の比率に基づいて、対象物80の鋼面81aの粗度を導出して、下地処理の程度としてアンカーパターン81bの程度を評価する。なお、このテラヘルツ波L2pの強度の比率から、直接的に下地処理によるアンカーパターン81bの程度を評価してもよい。これにより、塗装や樹脂層などの塗膜82の形成前に行われる下地処理の良否を、塗膜82を除去することなく評価できる。なお、テラヘルツ波L2pの強度、強度分布、または強度の比率とアンカーパターン81bの粗度との関係を、解析処理部34の所定の記録部に、あらかじめ検量線や標準曲線などのテーブルとして格納しておくことも可能である。この場合、解析処理部34は、検出されたテラヘルツ波L2pの強度、強度分布、または強度の比率に基づいて、格納されたテーブルからアンカーパターン81bの粗度を導出して、下地処理の良否を評価できる。
この一実施形態による下地処理検査方法によれば、テラヘルツ連続波を使用することができるので、高価で複雑なパルスレーザを用いたテラヘルツパルス波の機構を使用することなく,テラヘルツ波の送信および検出にRTDを用いることができる。これにより、下地処理検査装置1を、小型で軽量な検査装置とすることができる。
さらに、上述した一実施形態によれば、下地処理および塗装処理を含む塗装作業に関して、さらなる効果を奏する。図4は、上述した一実施形態による下地処理検査装置1を用いた場合の塗装作業の処理を示すフローチャートである。図5は、従来技術による塗装作業の処理を示すフローチャートである。
この一実施形態による下地処理検査装置1を用いて下地処理の検査を実行する場合、塗装作業は次のように行う。すなわち、図4に示すように、まず、鋼材81の鋼面81aに対して下地処理を行うことによって、アンカーパターン81bを形成する(ステップST1)。下地処理を行った後、鋼面81aに対して塗装処理を行うことによって、鋼面81aの上層に塗膜82を形成する(ステップST2)。続いて、上述した下地処理検査装置1を用いた下地処理検査方法に基づいて、下地であるアンカーパターン81bの状態の検査を行う(ステップST3)。ステップST3における検査と並行して、検査官による目視検査などによって塗膜82の状態の検査を行う(ステップST4)。塗膜82に対する検査は、例えば、塗膜の厚さや垂れの有無など表面状態を確認する検査などである。
下地処理検査装置1によるアンカーパターン81bの状態の検査によって、下地処理が不十分であると判断された場合(ステップST5:No)、ステップST1に復帰する。この場合、塗膜82を除去した後に、改めて鋼面81aに対して下地処理を行う必要がある。一方、下地処理が十分であると判断された(ステップST5:Yes)上で、検査官によって塗膜82の膜厚不足や外観状態などが不良であると判断された場合(ステップST6:No)、ステップST2に復帰して、塗膜82の状態が良好であると判断されるまで、鋼面81aおよび塗膜82に対する塗装処理を行う。他方、下地処理が十分であると判断された(ステップST5:Yes)上で、検査官の目視検査によって塗膜82の状態が良好であると判断された場合(ステップST6:Yes)、塗装作業を終了する。
これに対し、従来の塗装作業は次のように行われる。すなわち、図5に示すように、まず、鋼材81の鋼面81aに対して下地処理を行う(ステップST11)。下地処理を行った後、検査官の目視などによって下地であるアンカーパターン81bの状態の検査を行う(ステップST12)。検査官の目視などによって下地処理が不十分であると判断された場合(ステップST13:No)、ステップST11に復帰して、下地処理が十分であると判断されるまで、鋼面81aに対する下地処理を行う。一方、下地処理が十分であると判断された場合(ステップST13:Yes)、鋼面81aに対して塗装処理を行うことによって、鋼面81aの上層に塗膜82を形成する(ステップST14)。塗装処理を行った後、検査官による目視などによって塗膜82の検査を行う(ステップST15)。検査によって塗装処理が不十分であると判断された場合(ステップST16:No)、ステップST14に復帰して、鋼面81aに対する塗装処理を改めて行う。一方、塗装処理が十分であると判断された場合(ステップST16:Yes)、塗装作業を終了する。
図4のフローチャートに示すように、一実施形態においては、アンカーパターン81bの状態の検査と、塗装処理によって形成された塗膜82の状態の検査とを並行して行うことができる。この場合、アンカーパターン81bの検査と塗膜82の検査とは、同じ検査官が並行して検査することが可能となる。これに対し、図5のフローチャートに示すように、従来技術においては、アンカーパターン81bの検査後に塗装を行っていることにより、上述した並行した検査は不可能である。すなわち、一実施形態によれば、塗装作業における、検査の工程を短縮することが可能になり、塗装作業の作業効率を向上できる。さらに、下地処理の検査については、検査官による目視検査が不要になるのみならず、定量的に評価できるため、検査結果のばらつきを抑制できる。
また、図4に示す一実施形態による塗装作業によれば、塗装処理後に下地処理によるアンカーパターン81bの状態を確認できる。そのため、従来技術による塗装前の下地処理の検査のステップを省いても、塗装処理後にアンカーパターン81bの状態の良否が評価できることから、不十分な下地処理が施されたものを排除できる。これにより、図4におけるステップST5からステップST1に復帰する可能性および頻度が大幅に低減される。さらに、上述した一実施形態によれば、下地処理と塗装処理との間に検査を行うステップが存在しないため、下地処理と塗装処理とを連続して行うことができるので、下地処理後にアンカーパターン81bが形成された鋼面81aを空気中に放置する時間を大幅に短縮できる。そのため、鋼面81aにおける錆の発生などの不具合の発生を大幅に抑制できる。
以上、本発明の一実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述した一実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、上述の一実施形態において挙げたテラヘルツ波送信器、テラヘルツ波検出器、解析制御部の装置構成はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる装置構成としてもよい。また、本発明は、上述した一実施形態による本発明の開示の一部をなす記述および図面により限定されない。
例えば、上述した一実施形態においては、鋼面81aで反射され、テラヘルツ波検出器20によって検出されたテラヘルツ波L2pの強度に基づいて、鋼面81aにおけるアンカーパターン81bを評価しているが、テラヘルツ波L2pの強度分布に基づいて、アンカーパターン81bの評価を行うことも可能である。この場合、テラヘルツ波L2pの強度分布を検出するために、それぞれが集光レンズおよび半球レンズを備えたテラヘルツ波検出素子を平面状で、アレイ状または列状に複数設けて構成された、テラヘルツ波検出器20を用いることが望ましい。なお、上述した一実施形態による下地処理検査装置1においても、テラヘルツ波検出器20として、テラヘルツ波検出素子を複数設けて構成してもよい。この場合、テラヘルツ波検出器20によって検出される、反射されたテラヘルツ波L2pの強度および強度分布に基づいて、アンカーパターン81bの状態を評価することが可能になる。
上述した一実施形態においては、下地処理検査装置1においては、2つのP偏光板15,24を備えているが、いずれか一方のP偏光板のみを備えることも可能であり、いずれのP偏光板15,24も備えないことも可能である。
1 下地処理検査装置
10 テラヘルツ波発信器
11 テラヘルツ波発生素子
15,24 偏光板
20 テラヘルツ波検出器
21 テラヘルツ波検出素子
30 解析制御部
34 解析処理部
80 対象物
81 鋼材
81a 鋼面
81b アンカーパターン
82 塗膜
82a 表面

Claims (6)

  1. テラヘルツ波を反射する鋼材の表面からなる下地と前記下地の上層に設けられ、前記テラヘルツ波を透過する非金属材料からなる被覆層とから構成される対象物における前記被覆層の所定位置に、前記被覆層の表面に対してブリュースター角をなして連続波であるテラヘルツ波を照射可能に構成されたテラヘルツ波発信手段と、
    前記対象物の前記下地において反射された連続波であるテラヘルツ波を検出可能に構成された少なくとも1つのテラヘルツ波検出素子を有するテラヘルツ波検出手段と、
    あらかじめ前記下地の表面が略平坦かつ前記被覆層の厚さが均一である場合において前記テラヘルツ波検出手段によって得られた前記反射されたテラヘルツ波の強度または強度分布を基準として取得し、前記テラヘルツ波検出手段によって検出された前記反射されたテラヘルツ波の強度または強度分布における、前記基準となる強度または強度分布に対する比率に基づいて、前記下地の表面の粗さを評価する解析手段と、を備える
    ことを特徴とする下地処理検査装置。
  2. 前記テラヘルツ波発信手段から発信される前記テラヘルツ波を前記対象物に照射する前にP偏光にする、発信側P偏光手段をさらに備える
    ことを特徴とする請求項1に記載の下地処理検査装置。
  3. 前記テラヘルツ波検出素子に対して前記反射されたテラヘルツ波が入射する側に、テラヘルツ波のP偏光を透過する検出側P偏光手段をさらに備える
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の下地処理検査装置。
  4. テラヘルツ波を反射する鋼材の表面からなる下地と前記下地の上層に設けられ、前記テラヘルツ波を透過する非金属材料からなる被覆層とから構成される対象物における前記被覆層の所定位置に、前記被覆層の表面に対してブリュースター角をなして連続波であるテラヘルツ波を照射する発信ステップと、
    前記対象物の前記下地において反射された連続波であるテラヘルツ波を検出可能に構成された少なくとも1つのテラヘルツ波検出素子を有するテラヘルツ波検出手段によって、前記反射されたテラヘルツ波を検出する検出ステップと、
    あらかじめ前記下地の表面が略平坦かつ前記被覆層の厚さが均一である場合において前記テラヘルツ波検出手段によって得られた前記反射されたテラヘルツ波の強度または強度分布を基準として取得し、前記テラヘルツ波検出手段によって検出された前記反射されたテラヘルツ波の強度または強度分布における、前記基準となる強度または強度分布に対する比率に基づいて、前記下地の表面の粗さを評価する解析ステップと、を含む
    ことを特徴とする下地処理検査方法。
  5. 前記発信ステップにおいて発信された前記テラヘルツ波を、前記対象物に照射する前にP偏光にする
    ことを特徴とする請求項に記載の下地処理検査方法。
  6. 前記反射されたテラヘルツ波が前記テラヘルツ波検出素子に入射する前に、前記反射されたテラヘルツ波のP偏光成分を取り出して、前記テラヘルツ波検出素子に入射させる
    ことを特徴とする請求項またはに記載の下地処理検査方法。
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