JP6967227B2 - 電極装置、プラズマ発生装置 - Google Patents

電極装置、プラズマ発生装置 Download PDF

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本発明は、沿面放電のプラズマを発生させて、被処理対象物の表面処理を行うプラズマ発生装置、プラズマ発生装置用の電極装置に関する。
従来、表面の除菌や濡れ性の向上、フッ素系樹脂の接着性の向上等のため、プラズマを照射して表面処理を行うプラズマ発生装置が知られている。
例えば、特許文献1の沿面放電型プラズマジェット生成装置では、円筒状アルミナセラミックの内表面に線状の放電電極を設け、かつ、その内部または外表面に面状の誘導電極を設けた円筒型沿面放電素子に、希ガス、酸素、窒素、水素、若しくはそれらを主成分とするガスをガス流入口から供給するとともに、両電極間に高周波高電圧を印加する。これにより、放電電極から壁面に沿って沿面放電が発生する。この沿面放電で生成されるプラズマをガスと共に噴出口から噴出させることで、プラズマジェットを生成する。
そして、このプラズマジェットを、プラズマ処理を行う処理対象物の処理表面に照射する。このとき、処理対象物、若しくは円筒型沿面放電型プラズマ生成器を適宜移動させながらプラズマジェットを照射すると、処理対象物の処理表面全域をプラズマ処理することができる(特許文献1/段落0019,0036、図1,図3)。
特開2013−33603号公報
しかしながら、特許文献1の沿面放電型プラズマジェット生成装置では、処理対象物の面積が大きい場合、処理対象物若しくは円筒型沿面放電型プラズマ生成器(噴出口)を移動させるのに手間がかかり、また、プラズマの照射が不十分な領域が生じるというおそれがあった。
また、樹脂系材料の表面処理を行うためには、確実に低温(例えば、50℃以下)のプラズマを発生させる必要があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で比較的低温のプラズマを発生させ、被処理対象物の表面処理を行えるプラズマ発生装置用の電極を提供することを目的とする。
第1発明は、プロセスガスの導入及び電圧印加により沿面放電のプラズマを発生させて、被処理対象物の表面処理を行うプラズマ発生装置用の電極装置であって、
絶縁基板の表面上に、一対の側部電極と、当該一対の側部電極に電気的に接続され、当該一対の側部電極の間に設けられたプラズマ発生電極とからなる上部電極を有し、
前記絶縁基板の裏面上に、前記プラズマ発生電極の部分に対向する対向領域に配置され、当該対向領域内に設けられた下部電極を有し、前記上部電極の前記一対の側部電極は互いに平行であり、前記下部電極は、前記上部電極の前記一対の側部電極の対向方向に対応する方向の長さが、前記上部電極の長さ以下であり、前記下部電極を前記上部電極よりも小さくするとともに、前記上部電極と前記下部電極とが、前記絶縁基板を挟んだ対向領域において一部が互いに重ならないようにすることで、プラズマの温度上昇を抑えるようにしたことを特徴とする。
本発明の電極装置は、絶縁基板の表面上にプラズマ発生電極を含む上部電極を有し、絶縁基板の裏面上にプラズマ発生電極の部分に対向する対向領域内に設けられた下部電極を有しており、上部電極又は下部電極に電圧を印加すると、プロセスガスが反応して、上部電極の表面上にプラズマが発生する。
プラズマは上部電極の形状に沿って発生するが、下部電極が上部電極よりも小さい。具体的には、下部電極は、上部電極の一対の側部電極(互いに平行)の対向方向に対応する方向の長さが、上部電極の長さ以下であるため、上部電極と下部電極とが重ならない領域が生じる。そのため、当該一部領域ではプラズマが発生せず、プラズマの温度上昇が僅かに抑えられる。これにより、被処理対象物を比較的低温のプラズマに晒して、確実に表面処理を行うことができる。
第1発明の電極装置において、前記上部電極は、前記一対の側部電極を、当該一対の側部電極の対向方向に延伸した複数の桟電極で接続した梯子形状を有していることが好ましい。
上部電極を一対の側部電極と桟電極とで構成される梯子形状とすると、プラズマがその形状パターンに沿って発生する。特に、側部電極と桟電極のエッジ部分にプラズマが発生するが、パターンを微細にすることでプラズマは層状に広がるので、被処理対象物の表面処理を効率的に行うことができる。
また、第1発明の電極装置において、前記絶縁基板は、可撓性材料で構成されていることが好ましい。
この構成によれば、絶縁基板を可撓性材料(例えば、フレキシブル基板)で構成することで、上部電極及び下部電極が屈曲可能となる。これにより、プラズマを曲面状に発生させることができ、様々な形状の被処理対象物について表面処理を行うことができる。
また、第1発明の電極装置において、前記絶縁基板は、当該絶縁基板の表面側と裏面側との間を貫通する少なくとも1つの貫通孔を有し、前記貫通孔と、前記上部電極に前記プロセスガスを導入するガス導入部とが接続されていることが好ましい。
この構成によれば、絶縁基板の貫通孔がガス導入部と接続されているため、プラズマが発生する上部電極にプロセスガスを容易に供給することができる。これにより、プロセスガスを逃がすことなく、効率良くプラズマを発生させることができる。
第1発明の電極装置において、前記上部電極及び前記下部電極の何れか一方が接地電極として構成されていることが好ましい。
この構成によれば、上部電極に電圧を印加して下部電極を接地するか、その逆の接続を行うことで、被処理対象物に応じたプラズマを発生させることができる。
第2発明は、上述の何れかの電極装置である第1の電極装置及び第2の電極装置で構成されるプラズマ発生装置であって、前記第1の電極装置の当該上部電極と、前記第2の電極装置の当該上部電極とを、被処理対象物が通過可能な間隔を空けて対向配置し、前記第1の電極装置と前記第2の電極装置との間にプロセスガスを導入するガス導入口を有していることを特徴とする。
本発明のプラズマ発生装置は、第1の電極装置の上部電極と第2の電極装置の上部電極とを対向させて配置し、両電極装置の間にガス導入口からプロセスガスを導入する。各上部電極への電圧印加により、両電極装置の間にプラズマが発生するので、両電極装置の間に被処理対象物(フィルム等)を通過させることにより、被処理対象物の両面側の表面処理を行うことができる。
第1発明の実施形態に係るプラズマ発生装置の全体図。 プラズマ発生装置に用いられる電極装置(表面側)を説明する図。 プラズマ発生装置に用いられる電極装置(裏面側)を説明する図。 被処理対処物の表面処理を説明する図(上方視)。 被処理対処物の表面処理を説明する図(側方視)。 プラズマ発生装置の電極に発生したプラズマの画像。 プラズマ発生装置によるPTFEの表面処理結果を説明する図。 実験用の基板(表面側)を説明する図。 実験用の基板(裏面側)を説明する図。 (a)実験用の基板の温度測定結果を示す表。(b)実験用の基板の温度の経時変化を示すグラフ。 (a)電極Bのプラズマ発生時の様子。(b)電極Bのプラズマ発生時の様子。 第2発明の実施形態に係るプラズマ発生装置の全体図。 フィルム用のプラズマ発生装置の例。 板状部品用のプラズマ発生装置の例。 粉体用のプラズマ発生装置の例。 特殊形状の立体部品用のプラズマ発生装置の例(分解図)。 フレキシブル基板を用いた電極装置を説明する図。 図14Aの電極装置で作成したプラズマ発生装置の例。
以下では、本発明の電極装置の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
初めに、図1を参照して、プラズマ発生装置1の全体構成について説明する。プラズマ発生装置1は、電極を有する基板(電極装置1’)上に比較的低温のプラズマを発生させる装置である。
電極装置1’は、基板2と、上部電極3と、下部電極4とで構成されている。基板2は絶縁性を有するガラスエポキシ製であり(本発明の「絶縁基板」に相当)、基板2の表面側及び裏面側に、それぞれ銅薄膜の上部電極3、下部電極4をエッチングにより形成してある。例えば、上部電極3に電源電圧を印加し、下部電極4を接地して用いる。
また、プロセスガスとしてAr,Hを主成分とするガスを用意し、上部電極3上に供給する。これにより、上部電極3の上面側に沿面放電による層状プラズマが発生する。このプラズマは50℃以下と比較的低温であるため、プラズマ発生装置1の用途としては、被処理対象物αの表面処理、特に、フッ素系樹脂(PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、伸長PTFE、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン))の親水化処理が挙げられる。
次に、図2A、図2Bを参照して、プラズマ発生装置1に用いられる電極装置1’の詳細を説明する。
まず、図2Aに、電極装置1’を構成する基板2の表面側を示す。図示するように、基板2の表面側の上部電極3は、一対の側部電極3a,3bと、側部電極3a,3bに電気的に接続され、側部電極3a,3bの対向方向(側部電極3a,3bの延伸方向に垂直な方向)に設けられた複数の桟電極3c(本発明の「プラズマ発生電極」に相当)と、電圧印加又は接地に用いられる接続電極3dとで構成されている。桟電極3cは互いに平行である必要はなく、傾斜していてもよい。なお、接続電極3dは、ボルトVと電気的に接続されている。
上部電極3の電極3a〜3cからなる梯子の形状をしたラダー電極(本発明の「梯子形状」の電極)は、ラダーの高さ方向が50mm、横幅方向が7.5mm、横幅方向の桟電極3cの長さが6.0mm、桟電極3cの1本の太さが0.5mm、ラダーの間隔が2.0mmである。
次に、図2Bに、基板2の裏面側を示す。図示するように、裏面側の下部電極4は、上部電極3(桟電極3cの部分)に対向する対向領域Sに配置された対向電極4aと、電圧印加又は接地に用いられる接続電極4bとで構成されている。なお、接続電極4bは、ボルトVと電気的に接続されている。
下部電極4の対向電極4aは、ラダー電極の高さ方向と一致する方向が49mm、横幅方向が6.0mmであり、ラダー電極よりも一回り小さい。より詳細には、基板2において、上部電極3と下部電極4とは互いに平行な面上に形成され、対向領域Sは、上部電極3の桟電極3cの部分の領域を基板2の裏面上に投影した領域といえる。そして、対向電極4aは、対向領域S内に存在するように形成されている。
今回、ボルトVを介して接続電極3dに電源電圧(VDD)を印加し、ボルトVを介して接続電極4bを接地(GND)する。なお、誘電体としての機能を有する基板2を挟む形で極板として上部電極3、下部電極4が形成されているため、コンデンサの極板間に電圧を印加した状態となる。
これにより、上部電極3の側部電極3a,3bのエッジ部分及び桟電極3cのエッジ部分にプラズマが発生する(図4参照)。なお、接続電極3dを接地とし、接続電極4bに電源電圧を印加してもよく、この場合もプラズマは上部電極3上に発生する。
ここで、ラダー電極において、対向領域Sに下部電極4が存在しない部分では、上部電極3上にプラズマが発生しない。すなわち、対向電極4aのエッジ部分に沿ってプラズマが発生するため、僅かにプラズマの温度を抑えることができる。なお、本事象の詳細については、図6〜図9を参照して説明する。
次に、図3A、図3Bを参照して、プラズマ発生装置1による被処理対象物αの表面処理について説明する。
まず、図3Aに、プラズマ発生装置1の表面側(上方視)を示す。図示するように、基板2の表面側に上部電極3の一部を覆うようにコの字型のゴム板5(シリコーン製)が取り付けられている。これは、上部電極3上に発生するプラズマと被処理対象物αとの距離を所定間隔に保つ役割がある。
また、基板2の上部電極3の脇には、基板2の表面側と裏面側との間を貫通する貫通孔2bが設けられている。例えば、管状のガス導入部(図示省略)と貫通孔2bとを接続し、ガス導入部からAr,Hを主成分とするプロセスガスを導入することで、上部電極3上にプロセスガスを供給することができる。
また、被処理対象物αは、例えば、フッ素系樹脂であるため、ガラス板6に貼付して表面処理を行うことができる。図3Bは、プラズマ発生装置1の側面側(側方視)を示しているが、被処理対象物αは、ガラス板6のプラズマ発生装置1側(上部電極3側)に貼付されている。
ゴム板5の上面側にガラス板6を載置すると、上部電極3と被処理対象物αとの距離がゴム板5の厚み(約2.0mm)となる。これにより、上部電極3上に発生するプラズマによって被処理対象物αの表面処理を行うことができる。なお、図3Aに示すように、ゴム板5の3方向は閉じた形状であるため、その上面側にガラス板6を載置することで、プロセスガスが逃げずに留まるという効果が生じる。
次に、図4、図5を参照して、プラズマ発生装置1による被処理対象物αの表面処理結果について説明する。
図4は、プラズマ発生装置1により、電極装置1’の上部電極3にプラズマを発生させたときの様子を示している。ここで、電源装置としてModel 618-920 SP(クレスール製)を用い、電源電圧6.0kV(周波数を20kH)を基板2の表面側の接続電極3dに印加した(裏面側の接続電極4bは接地)。このとき、プロセスガスは、Arの流量を3.0LPM(L/Min)、Hの流量を0〜0.5LPMとした。
図示するように、プラズマは、上部電極3の銅薄膜のない矩形枠のエッジ部分に層状に広く発生し、側部電極3a,3bの外側のエッジ部分にも少量発生している。なお、発生したプラズマの温度は50℃以下と推定される。
また、被処理対象物αとして、幅約10mm、長さ約100mmにカットしたPTFEをTHF(テトラヒドロフラン)で洗浄したサンプルを用意し、上記条件で発生したプラズマにより表面処理を行った。
図5は、プラズマ発生装置1で表面処理を行った上記サンプルの水接触角(濡れ性)の結果を示したグラフである。グラフの横軸はプロセスガスの流量であるが、Arの流量は3.0LPMで固定し、Hの流量は0〜0.5LPMの間で変化させた。
図示するように、PTFEの水接触角は、Hの流量を0.1LPMとしたとき、62.0°まで低下した。このように、プラズマ発生装置1を利用した上記サンプルの表面処理により、一定の効果が得られることが分かった。
今回、プラズマ発生装置1において、電源装置による電圧印加(波形)、プロセスガスの組成や流量、電極装置1’の上部電極3及び下部電極4の形状パターンを工夫して、比較的低温(50℃以下)のプラズマを発生させることに成功した。プラズマ発生装置1は、フッ素系樹脂等の各種材料の表面処理や、野菜、果実等の有機物の消毒殺菌への利用に適しているといえる。
次に、図6A、図6Bを参照して、実験用の基板20について説明する。基板20は、上述のプラズマ発生装置1で発生したプラズマが低温となる原理を証明するものである。
まず、図6Aに、基板20(ガラスエポキシ製)の表面側を示す。図示するように、基板20の表面側の上部電極30(銅薄膜)は、ラダー形状の第1電極30aと、第2電極30bと、第3電極30cとで構成されている。電極30a〜30cは、全てラダーの高さ方向が160mm(左端の接続電極の部分を除く)、横幅方向が10mm、横幅方向の桟電極の長さが6.5mm、桟電極の1本の太さが0.5mm、ラダーの間隔が2.0mmである。また、ラダーの左端部は、接続電極となっている。
次に、図6Bに、基板20の裏面側を示す。図示するように、裏面側の下部電極40は、それぞれ第1電極30a、第2電極30b及び第3電極30cに対向する位置に配置された第1対向電極40aと、第2対向電極40bと、第3対向電極40cとで構成されている。
第1対向電極40aは、ラダーの高さ方向と一致する方向が160mm(接続電極の部分を除く)、横幅方向は10mmであり、接続電極の部分を除いて第1電極30aと重なる。以下、第1電極30a及び第1対向電極40aからなる電極を電極A(通常型)と呼ぶ。
また、第2対向電極40bは、ラダーの高さ方向と一致する方向が160mm(接続電極の部分を除く)、横幅方向は6.0mmであり、接続電極の部分を除いて第2電極30bのラダー電極(本発明の「梯子形状」の電極)よりも細幅で加工されている。以下、第2電極30b及び第2対向電極40bからなる電極を電極B(細型)と呼ぶ。
さらに、第3対向電極40cは、ラダーの高さ方向と一致する方向が160mm(接続電極の部分を除く)、横幅方向は1.0mmであり、接続電極の部分を除いて第3電極30cのラダー電極よりもかなり細幅で加工されている。以下、第3電極30c及び第3対向電極40cからなる電極を電極C(極細型)と呼ぶ。
今回、ZM2353(エヌエフ回路設計ブロック製)を用いて、基板20上の3種類の電極A、電極B及び電極Cの静電容量を測定したところ、電極A(通常型)が57pF、電極B(細型)が30pF、電極C(極細型)が12pFの結果を得た。
また、電源装置としてPW-S model 618-920 ST(クレスール製)を用い、電源電圧5.0kV(周波数20kHz)を基板20の裏面側の電極40a〜40cに印加した(電極30a〜30cの接続電極は接地)。そして、プロセスガスは、Arの流量を1.0LPM、Nの流量を0.05LPMとして、各電極Cでプラズマを発生させた。
図7、図8は、それぞれ電極A、電極B及び電極Cの温度測定結果(温度の径時変化)、発生したプラズマの画像を示している。各電極に発生したプラズマは、サーマルイメージ放射温度計TG167(FLIR製)により温度を測定した。
図7(a)に示すように、各電極で発生したプラズマの温度を時間を追って7回測定した。このときの各電極の径時変化は、図7(b)に示す通りである。表面側と裏面側とで電極が重なる電極Aでは、20分後のプラズマの温度が50℃を超えた。
一方、下部電極の横幅が細い電極Bでは、20分後のプラズマの温度が48.2℃となった。このとき、プラズマは電極Bの第2電極30b上に発生するが、その発生領域は第2対向電極40bの横幅(6.0mm)に沿ったエッジ部分となっている(図8(a)参照)。
また、下部電極の横幅がさらに細い電極Cでは、20分後のプラズマの温度が40.7℃となった。このとき、プラズマは電極Cの第3電極30c上に発生するが、その発生領域は第3対向電極40cの横幅(1.0mm)に沿ったエッジ部分となっている(図8(b)参照)。
このように、下部電極の横幅が細くなるにつれてプラズマの温度が低下したので、各電極に発生するプラズマは静電容量にも関係することが判明した。従って、プラズマ発生装置1(図1参照)の電極装置1’を含め、上部電極30(プラズマ発生側)に対して下部電極40をラダー電極(特に、桟電極の部分)の領域内で小さく形成すると、下部電極40をラダー電極と同じサイズとした場合と比較して、発生するプラズマの温度を抑えられることが分かった。
次に、図9〜図13を参照して、プラズマ発生装置の変更形態について説明する。
まず、図9に、新たな実施形態のプラズマ発生装置50の全体構成を示す。プラズマ発生装置50は、図1のプラズマ発生装置1を応用した装置であり、電極装置51と電極装置52とで構成されている。
電極装置51は、基板2Aと、上部電極3Aと、下部電極4Aとで構成されている。基板2Aの表面側には、銅薄膜による上部電極3Aが設けられている。上部電極3Aは、沿面放電用の側部電極及び桟電極と、電圧印加又は接地用の接続電極とからなり、図2Aの上部電極3と同じラダー電極(本発明の「梯子形状」の電極)を有している。
また、基板2Aの裏面側には、銅薄膜による下部電極4Aが設けられている。下部電極4Aは、上部電極3Aのラダー電極に対向する位置に配置された対向電極と、電圧印加又は接地用の接続電極とからなる。下部電極4Aは図2Bの下部電極4と同じであり、上部電極3Aのラダー電極(特に、桟電極の部分)の対向領域内に形成されている。
同様に、電極装置52は、基板2Bと、上部電極3Bと、下部電極4Bとで構成されている。基板2Bの表面側には、銅薄膜による上部電極3Bが設けられている。上部電極3Bは、沿面放電用の側部電極及び桟電極と、電圧印加又は接地用の接続電極とからなり、図2Aの上部電極3と同じラダー電極を有している。
また、基板2Bの裏面側には、銅薄膜による下部電極4Bが設けられている。下部電極4Bは、上部電極3Bのラダー電極に対向する位置に配置された対向電極と、電圧印加又は接地用の接続電極とからなる。下部電極4Bは図2Bの下部電極4と同じで、上部電極3Bのラダー電極(特に、桟電極の部分)の対向領域内に形成されている。
次に、電極装置51と電極装置52とを、それぞれ上部電極3A、上部電極3Bが対向する向きに配置して、両電極装置の隙間(本発明の「ガス導入口」に相当)にプロセスガスとして、Ar,Hを主成分とするガスを導入する。さらに、下部電極4A、下部電極4Bの接続電極を接地(GND)し、上部電極3A、上部電極3Bの接続電極に電源電圧(VDD)を印加することで、上部電極3A、上部電極3Bのそれぞれ上面側に沿面放電による層状プラズマが発生する。
プラズマ発生装置50では、両電極装置の隙間に被処理対象物α(例えば、フッ素系樹脂のフィルム)を通過させることで、被処理対象物αの両面を同時に処理することができる。
フィルム状の被処理対象物の表面処理を行う場合には、図10に示すプラズマ発生装置60を利用することもできる。プラズマ発生装置60では、モータ61を駆動して、フィルムFを送出するローラ62a,62bを回転させる。また、フィルムFの下方位置にプラズマを発生する平面電極を有する電極装置63が配設されている。このため、フィルムFを送出しながら、その片面側の表面処理を行うことができる。
被処理対象物が板状部品である場合には、図11に示すプラズマ発生装置70を利用することができる。プラズマ発生装置70では、モータ71を駆動して、複数の板状部品Cを載置したコンベヤ72を移動させる。また、板状部品Cが通過する上方位置にプラズマを発生する平面電極を有する電極装置73が配設されている。このため、板状部品Cを移動させながら、その片面側の表面処理を行うことができる。
立体構造の被処理対象物の表面処理を行うためには、図12に示すプラズマ発生装置80を利用することができる。プラズマ発生装置80は、粉体用の表面処理装置であり、投入口81から粉体Pを投入すると、粉体Pは装置内部の攪拌羽根82で攪拌される。
また、プラズマ発生装置80の底面は曲面形状を有し、この部分に電極を備える可撓性のフレキシブル基板83が配設されている。例えば、ラダー電極(図2A参照)をフレキシブル基板83に作成し、フレキシブル基板83を底面の曲面形状に合わせて貼付する。粉体Pは攪拌羽根82で攪拌されながら表面処理が行われる。また、処理後、粉体Pが排出口84から排出されるように、プラズマ発生装置80の筐体は、投入口81よりも排出口84側が低い位置の傾斜構造となっている。
円筒型等の特殊形状の被処理対象物の表面処理を行うためには、図13に示すプラズマ発生装置90を利用することができる。プラズマ発生装置90は、底面部91にワークW1、W2の下面形状に合わせた下部電極基板92が配設され、上面カバー93にワークW1、W2の上面形状に合わせた上部電極基板94が配設されている。
下部電極基板92は、ラダー電極(図2A参照)をフレキシブル基板に作成し、ワークW1、W2の下面形状に合わせた形状に加工されている。また、上部電極基板94は、ラダー電極をフレキシブル基板に作成し、ワーク上面形状に合わせた形状に加工されている。なお、ワークW2はキャップ構造であるため、下部電極基板92のワークW2に対応する部分は凸状である。
そして、ワークW1、W2を下部電極基板92の対応部分にセットし、上面カバー93を閉じ、プロセスガスを導入する。さらに、下部電極基板92と上部電極基板94の一方を接地し、他方に電源電圧を印加する。これにより、ワークW1、W2を覆うように沿面放電の層状プラズマが発生するため、ワークW1、W2の表面処理を行うことができる。
最後に、図14A、図14Bを参照して、上述のプラズマ発生装置80、プラズマ発生装置90にも関係するフレキシブル基板を用いたプラズマ発生装置100について説明する。
図14Aに示すように、電極装置101は、フレキシブル基板112と、上部電極113と、下部電極114とで構成されている。可撓性のフレキシブル基板112の表面側には、銅薄膜による上部電極113が設けられている。上部電極113は、沿面放電用のラダー電極113a(本発明の「梯子形状」の電極)と、電圧印加又は接地用の接続電極113bとからなる。
一方、フレキシブル基板112の裏面側には、銅薄膜による下部電極114が設けられている。下部電極114は、ラダー電極113aの部分に対向する位置に配置された対向電極114aと、電圧印加又は接地用の接続電極114bとからなる。対向電極114aは、ラダー電極113a(特に、桟電極の部分)の対向領域内に形成されている。
次に、図14Bに示すように、電極装置101を接続電極113b,114bが形成されている端部が開口となるように丸めて円筒形状とし、プラズマ発生装置100とする。すなわち、上部電極113及び下部電極114は、円筒型のプラズマ発生装置100の内表面及び外表面に設けられる。
ここで、接続電極114bを接地(GND)し、接続電極113bに電源電圧(VDD)を印加し、プラズマ発生装置100の端部からプロセスガス(例えば、Ar,Hを主成分とするガス)を導入する。これにより、プラズマ発生装置100の円筒内に層状プラズマが発生する。
プラズマ発生装置100は、図示するような粒体Rや上述の紛体Pの表面処理に利用することができる。また、プラズマ発生装置100の内部に、プラズマ発生装置100の直径よりも小径の棒状の被処理対象物を通過させて、その表面処理を行うこともできる。
さらに、上部電極113、下部電極114の形状パターンを工夫することで、プラズマ発生装置100の一端部からプラズマが放出するトーチ型プラズマジェット装置とすることができる。このような装置では、平面状の被処理対象物に対して表面処理を行うことができる。
上記説明は、本発明の実施形態の一部であり、これ以外にも種々な実施形態が考えられる。実施形態において示した数値は例示に過ぎず、適宜変更してもよい。
電極の材料は銅薄膜に限られず、プラズマ発生電極(図2Aの桟電極3c)はラダー形状に限られない。例えば、一対の側部電極を斜線や三角形で電気的に接続した形状パターンでもよく、プラズマは斜線や三角形のエッジ部分に発生することが実験により確認されている。
プロセスガスの種類や組成も特に指定はなく、上部電極と下部電極のどちらに電源電圧を印加してもよい。むしろ、プラズマが発生する上部電極を接地した方が異常放電が少ないこともある。
また、上部電極にプロセスガスを導入する貫通孔は、図3Aに示したように1個に限られない。図6Aに示した基板20であれば、電極30aと電極30bの間の領域に、貫通孔を複数設けてもよい。また、電極30aだけプラズマを発生させる場合には、基板20に貫通孔を開ける代わりに、コの字型のゴム板(図3A参照)の何れかの辺にガス導入口を開けた部材を使用することができる。
1,50,60,70,80,90,100…プラズマ発生装置、1’,51,52,63,73,101…電極装置、2,2A,2B,20…基板、2b…貫通孔、3,3A,3B,30,113…上部電極、3a,3b…側部電極、3c…桟電極、3d,4b,113b,114b…接続電極、4,4A,4B,40,114…下部電極、5…ゴム板、6…ガラス板、61,71…モータ、62a,62b…ローラ、72…コンベヤ、81…投入口、82…攪拌羽根、83,112…フレキシブル基板、84…排出口、91…底面部、92…下部電極基板、93…上面カバー、94…上部電極基板、113a…ラダー電極。

Claims (7)

  1. プロセスガスの導入及び電圧印加により沿面放電のプラズマを発生させて、被処理対象物の表面処理を行うプラズマ発生装置用の電極装置であって、
    絶縁基板の表面上に、一対の側部電極と、当該一対の側部電極に電気的に接続され、当該一対の側部電極の間に設けられたプラズマ発生電極とからなる上部電極を有し、
    前記絶縁基板の裏面上に、前記プラズマ発生電極の部分に対向する対向領域に配置され、当該対向領域内に設けられた下部電極を有し、
    前記上部電極の前記一対の側部電極は互いに平行であり、
    前記下部電極は、前記上部電極の前記一対の側部電極の対向方向に対応する方向の長さが、前記上部電極の長さ以下であり、
    前記下部電極を前記上部電極よりも小さくするとともに、前記上部電極と前記下部電極とが、前記絶縁基板を挟んだ対向領域において一部が互いに重ならないようにすることで、プラズマの温度上昇を抑えるようにしたことを特徴とする電極装置。
  2. 請求項1に記載の電極装置において、
    前記上部電極は、前記一対の側部電極を、当該一対の側部電極の対向方向に延伸した複数の桟電極で接続した梯子形状を有していることを特徴とする電極装置。
  3. 請求項1又は2に記載の電極装置において、
    前記絶縁基板は、可撓性材料で構成されていることを特徴とする電極装置。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の電極装置において、
    前記絶縁基板は、当該絶縁基板の表面側と裏面側との間を貫通する少なくとも1つの貫通孔を有し、
    前記貫通孔と、前記上部電極に前記プロセスガスを導入するガス導入部とが接続されていることを特徴とする電極装置。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載の電極装置において、
    前記上部電極及び前記下部電極の何れか一方が接地電極として構成されていることを特徴とする電極装置。
  6. 請求項3に記載の電極装置において、
    前記電極装置は、円筒形状を有し、
    前記上部電極及び前記下部電極は、それぞれ前記円筒形状の内表面及び外表面に設けら
    れていることを特徴とする電極装置。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載の電極装置である第1の電極装置及び第2の電極装置で構成されるプラズマ発生装置であって、
    前記第1の電極装置の当該上部電極と、前記第2の電極装置の当該上部電極とを、被処理対象物が通過可能な間隔を空けて対向配置し、
    前記第1の電極装置と前記第2の電極装置との間にプロセスガスを導入するガス導入口を有していることを特徴とするプラズマ発生装置。
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