JP6965517B2 - 高分子材料のシミュレーション方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フィラーと高分子材料とが共存する系において、フィラーの周囲に形成される界面層を特定することができる高分子材料のシミュレーション方法に関する。
近年、ゴム等の高分子材料の設計・開発のために、コンピュータを用いた高分子材料のシミュレーション方法が種々提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。この種のシミュレーション方法では、高分子材料の構造や、フィラーの配合率等の諸条件を、計算に織り込むことができる。従って、このシミュレーション方法では、実際に高分子材料を試作することなく、その物性値を計算することができる。
特開2012−238168号公報
ところで、フィラーと高分子材料とが共存する系においては、フィラーの周囲に界面層が形成されることが判明している。この界面層は、高分子材料本来の部分(以下、「バルク部分」という。)とは異なる力学的特性を示すものとして知られており、「ガラス層」などと称されることもある。
従来のシミュレーション方法でも、高分子材料の物性値を計算するに先立ち、界面層が定義されていた。しかしながら、従来のシミュレーション方法では、例えば、高分子材料及びフィラーを用いた実験結果に基づいて、界面層が定義されていたため、多くの時間や費用が必要になるという問題点があった。従って、界面層を定量的に特定することができる高分子材料のシミュレーション方法が強く求められていた。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、フィラーと高分子材料とが共存する系において、フィラーの周囲に形成される界面層を特定することができる高分子材料のシミュレーション方法を提供することを主たる目的としている。
本発明は、コンピュータを用いて、高分子材料とフィラーとの反応を解析するための方法であって、前記コンピュータに、前記高分子材料の高分子鎖を、複数の粒子モデルと、前記粒子モデル間を結合するボンドとを含む全原子モデル又はユナイテッドアトムモデルとしてモデル化したポリマーモデルを設定する工程、前記コンピュータに、前記フィラーをフィラー粒子モデルでモデル化したフィラーモデルを設定する工程、前記コンピュータに、前記ポリマーモデルと前記フィラーモデルとを予め定められた空間内に配置して高分子材料モデルを設定する工程、前記コンピュータが、予め定めた条件に基づいて、前記高分子材料モデルの構造緩和を計算する工程、前記構造緩和の計算後、前記コンピュータが、前記高分子材料モデルを予め定められた歪で変形させて、前記各ボンドの配列状態を表す配向パラメータを求める計算工程、前記配向パラメータに基づいて、前記コンピュータが、前記フィラーの周囲に形成されかつ前記高分子材料のバルク部分とは異なる力学的特性を示す前記高分子材料の界面層を特定する界面特定工程を含むことを特徴とする。
本発明に係る前記高分子材料のシミュレーション方法は、前記計算工程は、前記ポリマーモデルが配置された前記空間を、前記フィラーモデルの外面に沿った境界面で複数の領域に区分する工程と、前記高分子材料モデルを前記歪で変形させる工程と、前記領域毎に、前記配向パラメータを計算する工程とを含むのが望ましい。
本発明に係る前記高分子材料のシミュレーション方法は、前記界面特定工程は、前記領域毎に前記配向パラメータの平均を求める工程と、前記配向パラメータの平均を、前記歪に対して同位相で応答する貯蔵成分と、前記歪に対して異なる位相で応答する散逸成分とに分解する工程と、前記貯蔵成分が前記散逸成分よりも大きい領域を前記界面層と決定する工程とを含むのが望ましい。
本発明に係る前記高分子材料のシミュレーション方法は、前記配向パラメータχi(m,t)は、前記ボンドに沿ったボンドベクトルui(m,t)と、前記ボンドの重心と前記フィラーモデルの重心とを結ぶ重心ベクトルni(m,t)とに基づいて、下記式(1)で定義されるのが望ましい。
Figure 0006965517

ここで、各定数及び変数は次のとおりである。
i:各ボンドのインデックス
m:各領域のインデックス
t:時刻
θi:ボンドベクトルui(m,t)と重心ベクトルni(m,t)とがなす角度
本発明に係る前記高分子材料のシミュレーション方法は、前記配向パラメータの平均Χ(m,t)は、下記式(2)で定義され、前記歪γは、下記式(3)で定義され、
前記配向パラメータの平均Χ(m,t)は、下記式(4)に基づいて、前記貯蔵成分Χ’と前記散逸成分Χ”とに分解されるのが望ましい。
Figure 0006965517

Figure 0006965517
Figure 0006965517

ここで、各定数及び変数は次のとおりである。
i:各ボンドのインデックス
m:各領域のインデックス
t:時刻
N:各領域に配置されるボンドの総数
γ0:歪振幅
ω:角速度
本発明に係る前記高分子材料のシミュレーション方法は、前記各領域には、前記ボンドが100個以上配置されているのが望ましい。
本発明の高分子材料のシミュレーション方法では、コンピュータが、高分子材料モデルを予め定められた歪で変形させて、各ボンドの配列状態を表す配向パラメータを求める計算工程、及び配向パラメータに基づいて、高分子材料の界面層を特定する界面特定工程を含んでいる。
一般に、高分子材料の界面層では、高分子鎖がフィラーに拘束されるため、高分子鎖がフィラーに拘束されないバルク部分に比べて変形しにくい傾向がある。本発明では、このような傾向に着目し、高分子材料モデルの変形に相関のあるボンドの配向パラメータを用いている。本発明では、配向パラメータに基づいて、高分子材料の界面層が特定される。従って、本発明では、高分子材料を用いた実験等を実施することなく、高分子材料の界面層を特定することができる。
さらに、本発明のポリマーモデルは、高分子材料の高分子鎖を、複数の粒子モデルと、粒子モデル間を結合するボンドとを含む全原子モデル又はユナイテッドアトムモデルとしてモデル化されている。このようなポリマーモデルは、例えば、高分子材料のモノマーを一つの粗視化粒子でモデル化した粗視化モデルに比べて、現実の高分子鎖に近似するため、高分子材料の界面層を精度よく特定することができる。
本実施形態のシミュレーション方法を実行するコンピュータの斜視図である。 ポリイソプレンの構造式である。 本実施形態の計算方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 全原子モデルとしてモデル化されたポリマーモデルの概念図である。 (a)〜(c)は、ポテンシャルを説明するポリマーモデルの部分図である。 ポリマーモデルのポテンシャルを説明する概念図である。 ポリマーモデル及びフィラーモデルのポテンシャルを説明する概念図である。 高分子材料モデルの概念図である。 本実施形態の計算工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 空間が区分された領域の概念図である。 図10の拡大図である。 界面層とバルク部分とを含む高分子材料の線図である。 本実施形態の界面特定工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 領域の貯蔵成分Χ’及び散逸成分Χ”、並びに、フィラーモデルの外面から各領域の境界面までの距離の関係を示すグラフである。 界面層、バルク部分及びそれらの境界の概念図である。 ユナイテッドアトムモデルとしてモデル化されたポリマーモデルの概念図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本実施形態の高分子材料のシミュレーション方法(以下、単に「シミュレーション方法」ということがある)は、コンピュータを用いて、高分子材料とフィラーとの反応を解析するための方法である。
図1に示されるように、コンピュータ1は、本体1a、キーボード1b、マウス1c及びディスプレイ装置1dを含む。この本体1aには、例えば、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリ、磁気ディスクなどの記憶装置、及びディスクドライブ装置1a1、1a2が設けられる。また、記憶装置には、本実施形態のシミュレーション方法を実行するための処理手順(プログラム)が予め記憶される。
高分子材料としては、例えば、ゴム、樹脂又はエラストマー等が含まれる。本実施形態では、図2に示されるように、高分子材料として、cis-1,4ポリイソプレン(以下、単に「ポリイソプレン」ということがある。)が例示される。このポリイソプレンを構成する高分子鎖は、メチン基等(−CH=、>C=)、メチレン基(−CH−)、及び、メチル基(−CH)によって構成されるイソプレンのモノマー(イソプレン分子)5が、重合度nで連結されて構成されている。なお、高分子材料には、ポリイソプレン以外の高分子材料が用いられてもよい。また、フィラーとしては、例えば、カーボンブラック、シリカ又はアルミナ等が含まれる。
図3には、本実施形態のシミュレーション方法の具体的な処理手順が示されている。本実施形態のシミュレーション方法では、先ず、コンピュータ1に、高分子材料の高分子鎖をモデル化したポリマーモデルが設定される(工程S1)。図2及び図4に示されるように、ポリマーモデル2は、複数の粒子モデル3と、粒子モデル3、3間を結合するボンド4とを含んでいる。
本実施形態の粒子モデル3は、高分子鎖の炭素原子をモデル化した炭素モデル3C、及び、高分子鎖の水素原子をモデル化した水素モデル3Hを含んでいる。従って、本実施形態のポリマーモデル2は、高分子鎖の全ての炭素原子及び水素原子をモデル化した全原子モデルとして構成されている。
粒子モデル3は、分子動力学計算に基づいたシミュレーションにおいて、運動方程式の質点として取り扱われる。即ち、粒子モデル3は、質量、直径、電荷、又は、初期座標などのパラメータが定義される。
ボンド4は、粒子モデル3、3間を拘束するものである。本実施形態のボンド4は、炭素モデル3C、3Cを連結する主鎖4a、及び、炭素モデル3Cと水素モデル3Hとの間を連結する側鎖4bとを含んでいる。
図5(a)〜(b)に示されるように、ポリマーモデル2には、各粒子モデル3、3間の結合長さである結合長r、及びボンド4を介して連続する3つの粒子モデル3がなす角度である結合角θが定義されている。さらに、図5(c)に示されるように、ポリマーモデル2には、ボンド4を介して連続する4つの粒子モデル3において、隣り合う3つの粒子モデル3が作る一方の平面5Aと他方の平面5Bとのなす角度ある二面角φが定義される。なお、ポリマーモデル2は、外力又は内力によって、上記結合長r、結合角θ及び二面角φが変化する。
このような結合長r、結合角θ及び二面角φは、下記式(5)で定義される結合ポテンシャルUbond(r)、下記式(6)で定義される結合角ポテンシャルUAngle(θ)、及び下記式(7)で定義される結合二面角ポテンシャルUtorsion(φ)によって設定される。
Figure 0006965517

Figure 0006965517

Figure 0006965517

ここで、各定数及び変数は、次のとおりである。
r:結合長
0:平衡長
1:ばね定数
θ:結合角
θ0:平衡角度
k2:二面角ポテンシャルの強度
N−1:二面角ポテンシャル多項式の次数
φ:二面角
n:二面角定数
なお、結合長r及び平衡長r0は、各粒子モデル3の中心(図示省略)間の距離として定義される。
ポリイソプレンのモノマーは−[CH−CH(CH3)=CH−CH]−である。従って、結合ポテンシャルUbond(r)は、CH=CH、CH−CH、C−H、CH−CH3及びCH−CHにそれぞれ定義される。各結合ポテンシャルUbond(r)は、いずれも調和振動子として長さの変化に対するポテンシャルが表現される。また、各結合ポテンシャルUbond(r)の定数は、適宜設定することができる。本実施形態では、論文(J. Phys. Chem. 94, 8897 (1990))に基づいて、以下のように設定されるのが望ましい。
CH=CH:
1=1400(kcal/mol・Å)、r0=1.33(Å)
CH−CH
1=700(kcal/mol・Å)、r0=1.53(Å)
CH3−H:
1=700(kcal/mol・Å)、r0=1.09(Å)
CH−H:
1=700(kcal/mol・Å)、r0=0.99(Å)
CH−CH3
1=700(kcal/mol・Å)、r0=1.43(Å)
CH−CH
1=700(kcal/mol・Å)、r0=1.43(Å)
また、結合角ポテンシャルUAngle(θ)は、CH−CH−CH、及びCH=CH−CH等にそれぞれ定義される。いずれの結合角ポテンシャルUAngle(θ)も、調和振動子として角度の変化に対するポテンシャルが表現される。各結合角ポテンシャルUAngle(θ)の定数は、適宜設定することができるが、上記論文に基づいて、以下のように設定されるのが望ましい。
CH−CH−CH:
1=100(kcal/mol・rad)、θ0=109.5(deg)
CH=CH−CH
1=100(kcal/mol・rad)、θ0=120(deg)
さらに、結合二面角ポテンシャルUtorsion(φ)は、一つのボンド4を中心軸CL(図5(c)に示す)とする分子鎖内の回転を表すポテンシャルである。この結合二面角ポテンシャルUtorsion(φ)は、その中心軸CLで区別すると、CH=CH、CH−CH等にそれぞれ定義される。各結合二面角ポテンシャルUtorsion(φ)の定数は、適宜設定することができるが、上記論文に基づいて、例えば、以下のように設定されるのが望ましい。
CH−CH
k2=0.111 (kcal/mol)、N=4、A0=1、A1=3、A2=0、A3=−4
図6に示されるように、隣接するポリマーモデル2、2の粒子モデル3、3間には、相互作用ポテンシャルP1が定義される。相互作用ポテンシャルP1は、下記式(8)で定義されるLJポテンシャルULJ(rij)である。
Figure 0006965517

ここで、各定数及び変数は、Lennard-Jones ポテンシャルのパラメータであり、次のとおりである。
ij:粒子モデル間の距離
c:カットオフ距離
ε:粒子モデル間に定義されるLJポテンシャルの強度
σ:粒子モデルの直径に相当
なお、距離rij及びカットオフ距離rcは、各粒子モデル3、3の中心3c、3c(図4に示す)間の距離として定義される。
相互作用ポテンシャルP1は、粒子間の距離rijが21/6σよりも小さくなるほど、粒子間に作用する斥力が大きくなる。また、相互作用ポテンシャルP1は、粒子間の距離rijが21/6σになるときに最小となり、粒子間の距離rijが21/6σより長くなると粒子間に引力が作用する。さらに、相互作用ポテンシャルP1は、粒子間の距離rijが26/7σよりも大になるほど、粒子間に作用する引力が小さくなる。このように、相互作用ポテンシャルP1は、粒子間の距離rijに応じて、斥力及び引力を定義することができる。
相互作用ポテンシャルP1は、炭素モデル3C、3C間に設定される第1ポテンシャルP1a、水素モデル3H、3H間に設定される第2ポテンシャルP1b、及び、炭素モデル3Cと水素モデル3Hとの間に設定される第3ポテンシャルP1cを含んでいる。上記式(4)中の各定数は、適宜設定することができる。本実施形態では、上記論文に基づいて、ポテンシャルP1a〜P1c毎に以下のように設定される。
第1ポテンシャルP1a:
ε=0.0951(kcal/mol)、σ=3.473(Å)、rc=8.68(Å)
第2ポテンシャルP1b:
ε=0.0152(kcal/mol)、σ=2.846(Å)、rc=7.12(Å)
第3ポテンシャルP1c:
ε=0.0381(kcal/mol)、σ=3.160(Å)、rc=7.90(Å)
このようなポリマーモデル2は、例えば(株)JSOL社製のJ−OCTAというソフトウエアを用いて作成することができる。ポリマーモデル2は、コンピュータ1で取り扱い可能な数値データであり、コンピュータ1に記憶される。
次に、コンピュータ1に、フィラーをモデル化したフィラーモデルが設定される(工程S2)。図7に示されるように、フィラーモデル6は、例えば、一つのフィラー粒子モデル7でモデル化される。フィラー粒子モデル7は、粒子モデル3と同様に、分子動力学計算において、運動方程式の質点として取り扱われる。
粒子モデル3とフィラー粒子モデル7との間、及びフィラー粒子モデル7、7間には、相互作用ポテンシャルP2が定義される。この相互作用ポテンシャルP2は、上記式(8)で定義されるLJポテンシャルULJ(rij)である。このような相互作用ポテンシャルP2は、粒子間の距離rijに応じて、斥力及び引力を定義することができる。
相互作用ポテンシャルP2は、フィラー粒子モデル7と炭素モデル3Cと間に設定される第1ポテンシャルP2aと、フィラー粒子モデル7と水素モデル3Hとの間に設定される第2ポテンシャルP2bとが含まれる。上記式(8)中の各定数は、適宜設定することができる。本実施形態では、上記論文に基づいて、各ポテンシャルP2a、P2b毎に以下のように設定される。
第1ポテンシャルP2a:
ε=0.0951(kcal/mol)、σ=3.473(Å)、rc=8.68(Å)
第2ポテンシャルP2b:
ε=0.381(kcal/mol)、σ=3.160(Å)、rc=7.90(Å)
次に、予め定められた空間内に、ポリマーモデル2及びフィラーモデル6が配置されて、高分子材料モデル10が設定される(工程S3)。図8に示されるように、本実施形態の空間8は、互いに向き合う三対の平面11、11を有する立方体として定義されている。各平面11には、周期境界条件が定義されている。これにより、空間8は、一方の平面11が、反対側の平面11と繋がっているものとして取り扱われる。
空間8の一辺の長さL1は、適宜設定することができるが、ポリマーモデル2の慣性半径(図示省略)の2倍以上が望ましい。慣性半径は、分子動力学計算において、ポリマーモデル2の拡がりを示すパラメータである。このような空間8では、分子動力学計算において、ポリマーモデル2の運動をスムーズに計算することができる。さらに、空間8の大きさは、例えば1atmで安定な体積に設定される。このような空間8は、コンピュータ1で取り扱い可能な数値データであり、コンピュータ1に記憶される。
空間8には、ポリマーモデル2及びフィラーモデル6が複数個配置される。本実施形態では、ポリマーモデル2が100〜1000本程度、フィラーモデル6が4〜32個程度配置されている。このように、ポリマーモデル2及びフィラーモデル6が配置された空間8は、解析対象の高分子材料の微小構造部分である高分子材料モデル10として構成される。このような高分子材料モデル10も数値データであり、コンピュータ1に記憶される。
次に、コンピュータ1が、予め定められた条件に基づいて、高分子材料モデル10の構造緩和を計算する(工程S4)。本実施形態の分子動力学計算では、例えば、空間8について所定の時間、ポリマーモデル2及びフィラーモデル6が古典力学に従うものとして、ニュートンの運動方程式が適用される。そして、各時刻での粒子モデル3(図7に示す)及びフィラー粒子モデル7(図7に示す)の動きが、単位時間毎に追跡される。このような構造緩和の計算は、例えばソフトマテリアル総合シミュレーター(OCTA)に含まれるCOGNACを用いて処理することができる。
構造緩和の計算は、空間8において、圧力及び温度が一定、又は体積及び温度が一定に保たれる。これにより、工程S4では、実際の高分子材料の分子運動に近似させて、ポリマーモデル2及びフィラー粒子モデル7の初期配置を精度よく緩和することができる。
本実施形態のポリマーモデル2は、全原子モデルとしてモデル化されているため、例えば、モノマーを一つの粗視化粒子でモデル化した粗視化モデルに比べて、現実の高分子鎖に近似する。従って、本実施形態の工程S4では、ポリマーモデル2の初期配置を精度よく緩和することができる。
次に、コンピュータ1が、ポリマーモデル2及びフィラーモデル6の初期配置を十分に緩和できたか否かを判断する(工程S5)。この工程S5では、ポリマーモデル2及びフィラーモデル6の初期配置を十分に緩和できたと判断された場合、次の計算工程S6が実施される。一方、ポリマーモデル2及びフィラーモデル6の初期配置を十分に緩和できていないと判断された場合は、単位時間を進めて(工程S7)、工程S4が再度実施される。これにより、工程S4では、ポリマーモデル2及びフィラーモデル6の平衡状態(構造が緩和した状態)を確実に計算することができる。なお、構造緩和の計算時間は、上記条件の下で、末端間ベクトルの緩和時間をτとした場合、少なくともτ以上、より好ましくは10τ以上が望ましい。
次に、構造緩和の計算後、コンピュータ1が、高分子材料モデル10を予め定められた歪で変形させて、各ボンド4の配向パラメータを求める(計算工程S6)。図9には、本実施形態の計算工程S6の処理手順の一例が示されている。
本実施形態の計算工程S6では、先ず、図10に示されるように、高分子材料モデル10において、ポリマーモデル2が配置された空間8が、複数の領域Tに区分される(工程S61)。各領域Tは、フィラーモデル6の外面6sに沿った複数の境界面Tsで区分されている。また、各境界面Tsは、フィラーモデル6の重心6gを中心として、一定の厚さdwで同心円状に配置されている。
本実施形態の領域Tは、フィラーモデル6に最も隣接する第1番目の第1領域T1から第N番目の第N領域TNまでのN個分設定される。これらの領域Tは、座標値等の数値データであり、コンピュータ1に記憶される。
次に、高分子材料モデル10(図8に示す)が予め定められた歪で変形される(工程S62)。本実施形態の工程S62では、図8に示される初期の高分子材料モデル10に引張変形を与えた後、該引張変形と逆方向に同一の歪で圧縮変形を与えて初期の状態に戻す工程を1周期とする引張・圧縮変形がシミュレーションされる。本実施形態の歪γは、下記式(3)で定義される。
Figure 0006965517

ここで、各定数及び変数は次のとおりである。
γ0:歪振幅
ω:角速度
t:時刻
上記歪γは、正弦波形の振動歪である。このような振動歪は、例えば、動的粘弾性測定において、解析対象の高分子材料に加えられる歪に近似させることができる。
空間8において、フィラーモデル6近傍の領域T(例えば、第1領域T1〜第5領域T5)では、粒子モデル3とフィラー粒子モデル7との間に作用する相互作用ポテンシャルP2の引力が大きくなる。このため、フィラーモデル6近傍の領域Tでは、粒子モデル3が拘束され、上記歪γが定義されても、該領域Tの変形が小さくなる。
フィラーモデル6から大きく離間する領域T(例えば、第6領域T6〜第N領域TN)では、粒子モデル3とフィラー粒子モデル7との間に作用する相互作用ポテンシャルP2の引力が小さくなる。このため、フィラーモデル6から大きく離間する領域Tでは、粒子モデル3の動きが大きくなり、該領域Tでの変形が大きくなる。
このように、工程S62では、フィラーが配合された高分子材料の変形を、高分子材料モデル10を用いて精度良く再現することができる。また、本実施形態のポリマーモデル2は、全原子モデルとしてモデル化されているため、前記粗視化モデルに比べて、高分子材料の変形をより精度良く再現しうる。
工程S62では、時刻t毎に、高分子材料モデル10の粒子モデル3、ボンド4及びフィラー粒子モデル7の座標値等が計算される。これらの座標値等は、数値データであり、コンピュータ1に記憶される。このような高分子材料モデル10の変形計算も、例えば、ソフトマテリアル総合シミュレーター(OCTA)に含まれるCOGNACを用いて処理することができる。
上記式(3)の各定数及び変数については、適宜設定することができるが、例えば、下記の値が設定されるのが望ましい。さらに、高分子材料モデル10の変形計算は、例えば、からみ合い点の緩和時間をτeとした場合、一周期を0.01〜10τeの何れかで定義して計算されるのが望ましく、また、一回の変形計算で20〜100個の座標データが出力されるのが望ましい。
歪振幅γ0:5%〜20%
角速度ω:2π/(10τe)〜2π/(0.01τe
次に、領域T毎に、各ボンド4の配向パラメータが計算される(工程S63)。図11に拡大して示されるように、工程S63では、工程S62で計算された粒子モデル3、ボンド4及びフィラー粒子モデル7の座標値に基づいて、配向パラメータが計算される。配向パラメータχi(m,t)は、下記式(1)で定義される。
Figure 0006965517

ここで、各定数及び変数は次のとおりである。
i:各ボンドのインデックス
m:各領域のインデックス
t:時刻
θi:ボンドベクトルui(m,t)と重心ベクトルni(m,t)とがなす角度(狭角)
配向パラメータχi(m,t)は、例えば、第m番目の領域Tmに配置されるボンド4に沿ったボンドベクトルui(m,t)、及び、該ボンド4の重心4gとフィラーモデル6の重心6gとを結ぶ重心ベクトルni(m,t)に基づいて定義される。このような配向パラメータχi(m,t)は、時刻t毎に、フィラーモデル6に対するポリマーモデル2のボンド4の配列状態を定義することができる。
工程S63では、空間8に配置される全てのボンド4(主鎖4a及び側鎖4bを含む)について、配向パラメータχi(m,t)が、時刻t毎に計算される。これらの配向パラメータχi(m,t)は、数値データであり、コンピュータ1に記憶される。なお、ボンド4が隣り合う領域Tに跨って配置される場合は、ボンド4の重心4gが配置される領域Tにおいて、配向パラメータχi(m,t)が計算されるものとする。
次に、配向パラメータχi(m,t)の平均Χ(m,t)に基づいて、コンピュータ1が、高分子材料の界面層を特定する(界面特定工程S8)。
図12に示されるように、フィラー13と高分子材料14との共存する系において、界面層14aは、フィラー13の周囲に形成されることが知られている。また、界面層14aでは、高分子材料14の本来の部分であるバルク部分14bとは異なる力学的特性が示される。このため、図8に示される高分子材料モデル10を用いて、高分子材料の物性値を計算する場合には、界面層14aの厚さW2を予め定義しておくことが重要である。
一般に、高分子材料14の界面層14aでは、高分子鎖がフィラー13に拘束されるため、高分子鎖がフィラー13に拘束されないバルク部分14bに比べて変形しにくい傾向がある。
本実施形態では、高分子材料モデル10の変形に相関のあるボンド4の配向パラメータχi(m,t)の平均Χ(m,t)を用いて、高分子材料14の界面層14aを特定している。図13には、本実施形態の界面特定工程S8の具体的な処理手順が示されている。
本実施形態の界面特定工程S8では、先ず、領域T毎に、配向パラメータχi(m,t)の平均が求められる(工程S81)。配向パラメータの平均Χ(m,t)は、下記式(2)で定義される。
Figure 0006965517

ここで、各定数及び変数は次のとおりである。
i:各ボンドのインデックス
m:各領域のインデックス
t:時刻
dw:各領域の厚さ
N:各領域に配置されるボンドの総数
上記式(2)では、第m番目の領域Tの配向パラメータχi(m,t)の平均が、時刻t毎に計算される。本実施形態では、第1領域T1から第N領域TNまでの全ての領域Tにおいて、配向パラメータの平均Χ(m,t)が計算される。これらの配向パラメータの平均Χ(m,t)は、数値データであり、コンピュータ1に記憶される。
上述したように、フィラーモデル6近傍の領域Tでは、粒子モデル3とフィラー粒子モデル7との間に作用する相互作用ポテンシャルP2の引力が大きくなる。このため、粒子モデル3、3間のボンド4に定義されるボンドベクトルui(m,t)と重心ベクトルni(m,t)とがなす角度θiが大となり、配向パラメータχi(m,t)が1に近づく。
一方、フィラーモデル6から大きく離間する領域Tでは、粒子モデル3とフィラー粒子モデル7との間に作用する相互作用ポテンシャルP2の引力が小さくなる。このため、粒子モデル3、3間のボンド4に定義されるボンドベクトルui(m,t)と重心ベクトルni(m,t)とがなす角度θiが乱雑となり(即ち、拘束力が弱いため、角度θがランダムな方向に向く)、配向パラメータが−1〜+1の間で様々な値をとるため、配向パラメータの平均Χ(m,t)が0に近づく。
このように、フィラーモデル6近傍の領域Tでは、該領域Tにおいて、ボンド4がフィラーモデル6の同心円状に配向するため、配向パラメータの平均Χ(m,t)が1に近づく。一方、フィラーモデル6から大きく離間する領域Tでは、該領域Tでの変形、及び、
配向パラメータχi(m,t)が、フィラーモデル6近傍の領域Tに比べて乱雑になるため(即ち、配向パラメータχi(m,t)が−1〜+1の範囲でランダムな値となる)、配向パラメータの平均Χ(m,t)が0に近づく。従って、配向パラメータの平均Χ(m,t)は、高分子材料モデル10の変形に相関がある。
次に、配向パラメータの平均Χ(m,t)が、歪に対して同位相で応答する貯蔵成分と、歪に対して異なる位相で応答する散逸成分とに分解される(工程S82)。この工程S82では、先ず、高分子材料モデル10の応答が、下記式(9)で計算される。
Figure 0006965517

ここで、各定数及び変数は、次に示すものを除き、上記式(2)及び(3)と同一である。
Χ0:配向パラメータχの振幅
δ:位相差
上記式(9)は、上記式(2)で定義される各領域Tの配向パラメータの平均Χ(m,t)、及び上記式(3)で定義される歪に基づいて、各領域Tでの歪の応答が定義される。
次に、上記式(9)で定義される高分子材料モデル10の応答が、下記式(4)のように分解される。
Figure 0006965517

ここで、各定数及び変数は、上記式(2)、上記式(3)及び上記式(9)と同一である。
上記式(4)は、上記式(9)を、加法定理に基づいて分解したものである。このような上記式(4)によれば、領域Tの歪に対する応答(配向パラメータの平均Χ(m,t))を、歪に対して同位相で応答する貯蔵成分Χ’と、歪に対して異なる位相で応答する散逸成分Χ”とに分解することができる。また、上記式(4)では、貯蔵成分Χ’及び散逸成分Χ”を、時刻tから分離することができるため、貯蔵成分Χ’及び散逸成分Χ”を一意に決定することができる。図14には、各領域Tの貯蔵成分Χ’及び散逸成分Χ”、並びにフィラーモデル6の外面6sから各領域Tの境界面Tsまでの距離の関係を示すグラフが示される。
次に、貯蔵成分Χ’及び散逸成分Χ”に基づいて、界面層が決定される(工程S83)。上述したように、図12に示した高分子材料14の界面層14aでは、バルク部分14bに比べて変形しにくい傾向がある。このため、図10に示した高分子材料モデル10の界面層では、歪に対して同位相で応答する貯蔵成分Χ’が、歪に対して異なる位相で応答する散逸成分Χ”よりも大きくなると仮定できる。従って、工程S83では、貯蔵成分Χ’が散逸成分Χ”よりも大きい領域Tが、界面層17(図15に示す)として決定される。
また、高分子材料モデル10のバルク部分では、貯蔵成分Χ’が散逸成分Χ”よりも小さくなると仮定できる。従って、工程S83では、貯蔵成分Χ’が散逸成分Χ”よりも小さい領域Tが、バルク部分18(図15に示す)として決定される。
さらに、界面層とバルク部分との境界は、貯蔵成分Χ’と散逸成分Χ”とが同一になると仮定できる。従って、工程S83では、貯蔵成分Χ’と散逸成分Χ”とが交わる交点19が、界面層17とバルク部分18との境界20(図15に示す)の位置として決定される。
なお、境界20が隣り合う境界面Ts、Ts(図10に示す)の間に配置される場合は、境界20を基準として、界面層17及びバルク部分18が特定されるのが望ましい。また、工程S83では、交点19のフィラーモデル6の外面6sからの距離が計算されることにより、界面層17の厚さW3(図15に示す)が求められる。
このように、本発明のシミュレーション方法では、従来のシミュレーション方法のように、高分子材料及びフィラーを用いた実験を実施することなく、界面層17を特定し、さらにはその厚さW3を確実に計算することができる。従って、本発明のシミュレーション方法では、多くの時間や費用を必要とすることなく、界面層17を正確に特定することができる。
しかも、本発明のシミュレーション方法では、ポリマーモデル2を用いたシミュレーションにおいて、界面層17を特定することができるため、現実に存在しない高分子鎖の界面層17を特定でき、未知の高分子材料の開発に役立つ。
さらに、本実施形態のポリマーモデル2は、全原子モデルとしてモデル化されているため、粗視化モデルに比べて、現実の高分子材料の変形に近似させることができる。従って、本実施形態のシミュレーション方法では、界面層17を精度よく特定することができる。
界面層17をより精度良く特定するために、各領域Tには、ボンド4が100個以上配置され、かつ、各領域Tの厚さdwが単位長さ1σ以下の範囲で決定されるのが望ましい。各領域Tに配置されるボンド4が100個未満であると、各領域Tの配向パラメータχi(m,t)を十分に均せないおそれがある。また、厚さdwが単位長さ1σを超えると、分解能が低下するおそれがある。
次に、コンピュータ1が、高分子材料モデル10の物性値を計算する(工程S9)。この工程S9では、空間8に、界面層17の厚さW3等の所定のパラメータが設定され、高分子材料の物性値(例えば、複素弾性率)が計算される。
次に、コンピュータ1が、高分子材料モデル10の物性値が、許容範囲内であるかを判断する(工程S10)。この工程S10では、物性値が許容範囲内であると判断された場合、ポリマーモデル2を含む空間8の条件等に基づいて、高分子材料が製造される(工程S11)。一方、物性値が許容範囲内でないと判断された場合は、ポリマーモデル2を含む空間8の諸条件を変更して(工程S12)、工程S4〜S11が再度行われる。このように、本実施形態のシミュレーション方法では、高分子材料モデル10の物性値が許容範囲内になるまで、ポリマーモデル2を含む空間8の諸条件が変更されるため、所望の性能を有する高分子材料を、効率よく設計することができる。
図4に示されるように、本実施形態のポリマーモデル2は、全原子モデルとして構成されるものが例示されたが、これに限定されるわけではない。図16に示されるように、例えば、炭素原子に結合した水素原子を、該炭素原子と一体化して一つの粒子モデル3として扱うユナイテッドアトムモデル( united atom model )として構成されてもよい。このようなポリマーモデル2は、高分子鎖のモノマーの配置を維持しつつ、水素原子を省略することができる。従って、このようなポリマーモデル2が用いられたシミュレーション方法では、界面層17の特定精度を維持しつつ、計算時間を短縮することができる。なお、各ポテンシャルのパラメータは、公開されている文献等に基づいて設定されるのが望ましい。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図3、図9及び図13に示される手順に従って、全原子モデルのボンドの配向パラメータが求められ、高分子材料の界面層が特定された(実施例)。そして、実施例において、界面層の厚さを求めるのに必要な時間が測定された。なお、ポテンシャル、及び歪の各パラメータ等は、明細書中の記載通りであり、共通仕様は次のとおりである。
実施例:
ポリマーモデル:
構造:cis-1,4ポリイソプレン
重合度:202
慣性半径:1.6nm
フィラーモデルの半径:3.0nm
空間:
1辺の長さL1:10.3nm
ポリマーモデルの本数:39本
フィラーモデルの個数:1個
各領域:
厚さdw:0.50nm
個数:10個
各領域に配置されるボンドの個数:1218〜39316個
テストの結果、実施例で計算された界面層の厚さは、4.2nmであった。従って、実施例では、高分子材料を用いた実験等を実施することなく、界面層の厚さを特定することができた。
2 ポリマーモデル
4 ボンド
6 フィラーモデル
10 高分子材料モデル

Claims (6)

  1. コンピュータを用いて、高分子材料とフィラーとの反応を解析するための方法であって、
    前記コンピュータに、前記高分子材料の高分子鎖を、複数の粒子モデルと、前記粒子モデル間を結合するボンドとを含む全原子モデル又はユナイテッドアトムモデルとしてモデル化したポリマーモデルを設定する工程、
    前記コンピュータに、前記フィラーをフィラー粒子モデルでモデル化したフィラーモデルを設定する工程、
    前記コンピュータに、前記ポリマーモデルと前記フィラーモデルとを予め定められた空間内に配置して高分子材料モデルを設定する工程、
    前記コンピュータが、予め定めた条件に基づいて、前記高分子材料モデルの構造緩和を計算する工程、
    前記構造緩和の計算後、前記コンピュータが、前記高分子材料モデルを予め定められた歪で変形させて、前記各ボンドの配列状態を表す配向パラメータを求める計算工程、
    前記配向パラメータに基づいて、前記コンピュータが、前記フィラーの周囲に形成されかつ前記高分子材料のバルク部分とは異なる力学的特性を示す前記高分子材料の界面層を特定する界面特定工程を含むことを特徴とする高分子材料のシミュレーション方法。
  2. 前記計算工程は、前記ポリマーモデルが配置された前記空間を、前記フィラーモデルの外面に沿った境界面で複数の領域に区分する工程と、
    前記高分子材料モデルを前記歪で変形させる工程と、
    前記領域毎に、前記配向パラメータを計算する工程とを含む請求項1に記載の高分子材料のシミュレーション方法。
  3. 前記界面特定工程は、前記領域毎に前記配向パラメータの平均を求める工程と、
    前記配向パラメータの平均を、前記歪に対して同位相で応答する貯蔵成分と、前記歪に対して異なる位相で応答する散逸成分とに分解する工程と、
    前記貯蔵成分が前記散逸成分よりも大きい領域を前記界面層と決定する工程とを含む請求項2に記載の高分子材料のシミュレーション方法。
  4. 前記配向パラメータχi(m,t)は、前記ボンドに沿ったボンドベクトルui(m,t)と、前記ボンドの重心と前記フィラーモデルの重心とを結ぶ重心ベクトルni(m,t)とに基づいて、下記式(1)で定義される請求項1乃至3のいずれかに記載の高分子材料のシミュレーション方法。
    Figure 0006965517

    ここで、各定数及び変数は次のとおりである。
    i:各ボンドのインデックス
    m:各領域のインデックス
    t:時刻
    θi:ボンドベクトルui(m,t)と重心ベクトルni(m,t)とがなす角度
  5. 前記配向パラメータの平均Χ(m,t)は、下記式(2)で定義され、
    前記歪γは、下記式(3)で定義され、
    前記配向パラメータの平均Χ(m,t)は、下記式(4)に基づいて、前記貯蔵成分Χ’と前記散逸成分Χ”とに分解される請求項に記載の高分子材料のシミュレーション方法。
    Figure 0006965517

    Figure 0006965517

    Figure 0006965517

    ここで、各定数及び変数は次のとおりである。
    i:各ボンドのインデックス
    m:各領域のインデックス
    t:時刻
    N:各領域に配置されるボンドの総数
    γ0:歪振幅
    ω:角速度
  6. 前記各領域には、前記ボンドが100個以上配置されている請求項2乃至5のいずれかに記載の高分子材料のシミュレーション方法。
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