JP2017224202A - 高分子材料のシミュレーション方法 - Google Patents

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容正 尾藤
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Abstract

【課題】 フィラーと高分子材料とが共存する系において、フィラーの周囲に形成される界面層を特定する。
【解決手段】 コンピュータ1を用いて、高分子材料とフィラーとの反応を解析するための方法である。この方法では、粗視化モデル2とフィラーモデル6とを予め定められた空間8内に配置して高分子材料モデル10を設定する工程S3、予め定めた条件に基づいて、高分子材料モデル10の構造緩和を計算する工程S4、構造緩和の計算後、高分子材料モデル10を予め定められた歪で変形させて、各ボンド4の配列状態を表す配向パラメータを求める計算工程S6、配向パラメータに基づいて、フィラーの周囲に形成され高分子材料の界面層を特定する界面特定工程S8を含む。また、粗視化粒子3、3間、及び粗視化粒子3とフィラー粒子7との間には、粒子間の距離が小さくなるほど無限に大きくなる斥力を含むポテンシャルが定義される。
【選択図】図3

Description

本発明は、フィラーと高分子材料とが共存する系において、フィラーの周囲に形成される界面層を特定することができる高分子材料のシミュレーション方法に関する。
近年、ゴム等の高分子材料の設計・開発のために、コンピュータを用いた高分子材料のシミュレーション方法が種々提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。この種のシミュレーション方法では、高分子材料の構造や、フィラーの配合率等の諸条件を、計算に織り込むことができる。従って、このシミュレーション方法では、実際に高分子材料を試作することなく、その物性値を計算することができる。
特開2012−238168号公報
ところで、フィラーと高分子材料とが共存する系においては、フィラーの周囲に界面層が形成されることが判明している。この界面層は、高分子材料本来の部分(以下、「バルク部分」という。)とは異なる力学的特性を示すものとして知られており、「ゲル層」などと称されることもある。
従来のシミュレーション方法でも、高分子材料の物性値を計算するに先立ち、界面層が定義されていた。しかしながら、従来のシミュレーション方法では、例えば、高分子材料及びフィラーを用いた実験結果に基づいて、界面層が定義されていたため、多くの時間や費用が必要になるという問題点があった。従って、界面層を定量的に特定することができる高分子材料のシミュレーション方法が強く求められていた。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、フィラーと高分子材料とが共存する系において、フィラーの周囲に形成される界面層を特定することができる高分子材料のシミュレーション方法を提供することを主たる目的としている。
本発明のうち請求項1記載の発明は、コンピュータを用いて、高分子材料とフィラーとの反応を解析するための方法であって、前記コンピュータに、前記高分子材料の高分子鎖を、複数の粗視化粒子と、前記粗視化粒子間を結合するボンドとを用いてモデル化した粗視化モデルを設定する工程、前記コンピュータに、前記フィラーをフィラー粒子でモデル化したフィラーモデルを設定する工程、前記コンピュータに、前記粗視化モデルと前記フィラーモデルとを予め定められた空間内に配置して高分子材料モデルを設定する工程、 前記コンピュータが、予め定めた条件に基づいて、前記高分子材料モデルの構造緩和を計算する工程、前記構造緩和の計算後、前記コンピュータが、前記高分子材料モデルを予め定められた歪で変形させて、前記各ボンドの配列状態を表す配向パラメータを求める計算工程、前記配向パラメータに基づいて、前記コンピュータが、前記フィラーの周囲に形成されかつ前記高分子材料のバルク部分とは異なる力学的特性を示す前記高分子材料の界面層を特定する界面特定工程を含み、前記粗視化粒子間、及び前記粗視化粒子と前記フィラー粒子との間には、前記粒子間の距離が小さくなるほど無限に大きくなる斥力を含むポテンシャルが定義されることを特徴とする。
また、請求項2記載の発明は、前記計算工程は、前記粗視化モデルが配置された前記空間を、前記フィラーモデルの外面に沿った境界面で複数の領域に区分する工程と、前記高分子材料モデルを前記歪で変形させる工程と、前記領域毎に、前記配向パラメータを計算する工程とを含む請求項1に記載の高分子材料のシミュレーション方法である。
また、請求項3記載の発明は、前記界面特定工程は、前記領域毎に前記配向パラメータの平均を求める工程と、前記配向パラメータの平均を、前記歪に対して同位相で応答する貯蔵成分と、前記歪に対して異なる位相で応答する散逸成分とに分解する工程と、前記貯蔵成分が前記散逸成分よりも大きい領域を前記界面層と決定する工程とを含む請求項2に記載の高分子材料のシミュレーション方法である。
また、請求項4記載の発明は、前記配向パラメータχi(m,t)は、前記ボンドに沿ったボンドベクトルui(m,t)と、前記ボンドの重心と前記フィラーモデルの重心とを結ぶ重心ベクトルni(m,t)とに基づいて、下記式(1)で定義される請求項1乃至3のいずれかに記載の高分子材料のシミュレーション方法である。

ここで、各定数及び変数は次のとおりである。
i:各ボンドのインデックス
m:各領域のインデックス
t:時刻
θi:ボンドベクトルui(m,t)と重心ベクトルni(m,t)とがなす角度
また、請求項5記載の発明は、前記配向パラメータの平均Χ(m,t)は、下記式(2)で定義され、前記歪γは、下記式(3)で定義され、前記配向パラメータの平均Χ(m,t)は、下記式(4)に基づいて、前記貯蔵成分Χ’と前記散逸成分Χ”とに分解される請求項4に記載の高分子材料のシミュレーション方法である。



ここで、各定数及び変数は次のとおりである。
i:各ボンドのインデックス
m:各領域のインデックス
t:時刻
N:各領域に配置されるボンドの総数
γ0:歪振幅
ω:角速度
また、請求項6記載の発明は、前記各領域には、前記ボンドが100個以上配置されている請求項2乃至5のいずれかに記載の高分子材料のシミュレーション方法である。
また、請求項7記載の発明は、前記斥力を含むポテンシャルは、下記式(5)で定義される請求項1乃至6のいずれかに記載の高分子材料のシミュレーション方法である。

ここで、各定数及び変数は、次のとおりである。
ij:粒子間の距離
c:カットオフ距離
ε:子間に定義されるLJポテンシャルの強度
σ:粒子の直径に相当
本発明の高分子材料のシミュレーション方法では、コンピュータが、高分子材料モデルを予め定められた歪で変形させて、各ボンドの配列状態を表す配向パラメータを求める計算工程、及び配向パラメータに基づいて、高分子材料の界面層を特定する界面特定工程を含んでいる。
一般に、高分子材料の界面層では、高分子鎖がフィラーに拘束されるため、高分子鎖がフィラーに拘束されないバルク部分に比べて変形しにくい傾向がある。本発明では、このような傾向に着目し、高分子材料モデルの変形に相関のあるボンドの配向パラメータを用いている。本発明では、配向パラメータに基づいて、高分子材料の界面層が特定される。従って、本発明では、高分子材料を用いた実験等を実施することなく、高分子材料の界面層を確実に特定することができる。
さらに、本発明では、粗視化粒子間、及び粗視化粒子とフィラー粒子との間に、粒子間の距離が小さくなるほど無限に大きくなる斥力を含むポテンシャルが定義される。このようなポテンシャルは、高分子材料の分子運動に基づくものである。従って、本発明では、実際の高分子材料の分子運動に近似させて、高分子材料の界面層を精度よく特定することができる。
本実施形態のシミュレーション方法を実行するコンピュータの斜視図である。 ポリイソプレンの構造式である。 本実施形態の計算方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 粗視化モデルの概念図である。 粗視化モデル及びフィラーモデルのポテンシャルを説明する概念図である。 高分子材料モデルの概念図である。 本実施形態の計算工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 空間が区分された領域の概念図である。 図8の拡大図である。 界面層とバルク部分とを含む高分子材料の線図である。 本実施形態の界面特定工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 領域の貯蔵成分Χ’及び散逸成分Χ”、並びに、フィラーモデルの外面から各領域の境界面までの距離の関係を示すグラフである。 界面層、バルク部分及びそれらの境界の概念図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本実施形態の高分子材料のシミュレーション方法(以下、単に「シミュレーション方法」ということがある)は、コンピュータを用いて、高分子材料とフィラーとの反応を解析するためのものである。
図1に示されるように、コンピュータ1は、本体1a、キーボード1b、マウス1c及びディスプレイ装置1dを含む。この本体1aには、例えば、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリ、磁気ディスクなどの記憶装置、及びディスクドライブ装置1a1、1a2が設けられる。また、記憶装置には、本実施形態のシミュレーション方法を実行するための処理手順(プログラム)が予め記憶される。
高分子材料としては、例えば、ゴム、樹脂又はエラストマー等が含まれる。本実施形態では、高分子材料として、図2に示されるように、cis-1,4ポリイソプレン(以下、単に「ポリイソプレン」ということがある。)が例示される。ポリイソプレンを構成する高分子鎖は、メチン基等(例えば、−CH=、>C=)、メチレン基(−CH−)、及び、メチル基(−CH)によって構成されるイソプレンのモノマー(イソプレン分子)5が、重合度nで連結されて構成されている。なお、高分子材料には、ポリイソプレン以外の高分子材料が用いられてもよい。また、フィラーとしては、例えば、カーボンブラック、シリカ又はアルミナ等が含まれる。
図3には、本実施形態のシミュレーション方法の具体的な処理手順が示されている。本実施形態のシミュレーション方法では、先ず、コンピュータ1に、高分子材料の高分子鎖をモデル化した粗視化モデルが設定される(工程S1)。図4に示されるように、粗視化モデル2は、複数の粗視化粒子3と、粗視化粒子3、3間を結合するボンド4とを含んで構成されている。
図2及び図4に示されるように、高分子材料の高分子鎖がポリイソプレンである場合には、例えば1.73個分のモノマーを構造単位(図示省略)として、該構造単位を1個の粗視化粒子3に置換される。これにより、各粗視化モデル2には、複数(例えば、10〜5000個)の粗視化粒子3が設定される。
なお、1.73個分のモノマーを構造単位としたのは、論文( Kurt Kremer & Gary S. Grest 著、「Dynamics of entangled linear polymer melts: A molecular-dynamics simulation」、J. Chem Phys. vol.92, No.8, 15 April 1990)の記載に基づき求めたものである。また、高分子鎖がポリイソプレン以外の場合でも、例えば、上記論文と論文(L,J.Fetters ,D.J.Lohse and R.H.Colby 著、「Chain Dimension and Entanglement Spacings 」Physical Properties of Polymers Handbook Second Edition P448)から構造単位を設定することができる。
粗視化粒子3は、分子動力学計算において、運動方程式の質点として取り扱われる。即ち、粗視化粒子3には、例えば、質量、体積、直径、電荷又は初期座標などのパラメータが定義される。
ボンド4には、相互ポテンシャルP1が設定される。本実施形態の相互ポテンシャルP1は、下記式(5)で定義される斥力を含むポテンシャル(以下、「LJポテンシャルULJ(rij)」ということがある。)と、下記式(6)で定義される結合ポテンシャルUFINEとの和で定義される。


ここで、各定数及び変数は、Lennard-Jonesポテンシャルのパラメータであり、次のとおりである。
ij:粒子間の距離
c:カットオフ距離
k:粒子間のばね定数
ε:粒子間に定義されるLJポテンシャルの強度
σ:粒子の直径に相当
0:伸びきり長
なお、距離rij、カットオフ距離rc及び伸びきり長R0は、各粒子3、3の中心3c、3c間の距離として定義される。
上記式(5)において、粗視化粒子3、3間の距離rijが小さくなると、斥力が作用するLJポテンシャルULJ(rij)が大きくなる。一方、上記式(6)において、粗視化粒子3、3間の距離rijが大きくなると、引力が作用する結合ポテンシャルUFINEが大きくなる。従って、相互ポテンシャルP1は、距離rijを、LJポテンシャルULJ(rij)と結合ポテンシャルUFINEとが互いに釣り合う位置に戻そうとする復元力が定義される。
また、上記式(5)では、粗視化粒子3、3間の距離rijが小さくなるほど、LJポテンシャルULJ(rij)が無限に大きくなる。一方、上記式(6)では、距離rijが伸びきり長R0以上となる場合に、結合ポテンシャルUFINEが∞に設定される。従って、相互ポテンシャルP1は、粗視化粒子3、3間の重なりと、伸びきり長R0以上の距離rijを許容しない。
このような相互ポテンシャルP1は、分子動力学計算において、粗視化モデル2を、高分子材料の分子運動に近似させることができる。なお、LJポテンシャルULJ(rij)及び結合ポテンシャルUFINEの各定数及び変数の値としては、適宜設定することができる。本実施形態では、論文(Kurt Kremer & Gary S. Grest 著 「Dynamics of entangled linear polymer melts: A molecular-dynamics simulation」、J. Chem Phys. vol.92, No.8, 15 April 1990)に基づいて、次の値が設定される。
ばね定数k:30
伸びきり長R0:1.5
定数ε:1.0
定数σ:1.0
カットオフ距離rc:2.5
また、相互ポテンシャルP1としては、上記のようなLJポテンシャルULJ(rij)と、結合ポテンシャルUFINEとの和で定義されるものの他、下記式(7)で定義される結合ポテンシャルUHarmonicでもよい。

ここで、各定数及び変数は、次に示すものを除いて、上記式(5)、(6)と同一である。
r:粗視化粒子間の距離
0:平衡長
なお、平衡長r0は、各粗視化粒子3、3の中心3c、3c間の距離として定義される。
上記式(7)で定義される結合ポテンシャルUHarmonicは、Harmonic型である。Harmonic型とは、いわゆる線形バネが定義され、平衡長r0からのずれの大きさに比例した復元力が働くポテンシャルである。
上記式(7)において、距離rと平衡長r0とが等しい場合には、結合ポテンシャルUHarmonicが0となる。また、距離rが、平衡長r0よりも大である場合は、該距離rが大きくなるほど、粗視化粒子3、3が近づく方向に、結合ポテンシャルUHarmonic(引力)が大きくなる。一方、距離rが、平衡長r0よりも小である場合は、該距離rが小さくなるほど、粗視化粒子3、3が離れる方向に、結合ポテンシャルUHarmonic(斥力)が大きくなる。このように、結合ポテンシャルUHarmonicでは、距離rを平衡長r0に戻そうとする復元力が定義される。
また、結合ポテンシャルUHarmonicは、LJポテンシャルULJ(rij)と結合ポテンシャルUFINEとの和とは異なり、距離rijの上限値が、伸びきり長R0に限定されない。従って、結合ポテンシャルUHarmonicは、伸びきり長R0以上の距離rを許容することができる。このような結合ポテンシャルUHarmonicは、分子動力学計算において、応力集中などによる分子鎖の伸長や、粗視化モデル2、2同士の絡まりによって作用する大きな力を抑制することができ、計算落ちの発生を防ぐことができる。
上記式(7)のばね定数k及び平衡長r0の各値は、適宜設定することができる。本実施形態では、相互ポテンシャルP1と同様に、上記論文に基づいて、次の値が設定される。
ばね定数k:900
平衡長r0:0.97
図5に示されるように、隣接する粗視化モデル2、2の粗視化粒子3、3間には、相互ポテンシャルP2が定義される。相互ポテンシャルP2は、上記式(5)のLJポテンシャルULJ(rij)によって定義される。なお、相互ポテンシャルP2の強度ε及び定数σも、適宜設定することができるが、上記式(5)と同一範囲が望ましい。
このような粗視化モデル2を用いたシミュレーションでは、例えば全原子モデルを用いたシミュレーションに比べて、計算時間を大幅に短縮でき、大規模かつ長時間の現象を扱うことができる。なお、これらの粗視化モデル2は、コンピュータ1で取り扱い可能な数値データであり、コンピュータ1に記憶される。
次に、コンピュータ1に、フィラーをモデル化したフィラーモデル6が設定される(工程S2)。フィラーモデル6は、一つ又は複数のフィラー粒子7でモデル化される。フィラー粒子7は、粗視化粒子3と同様に、分子動力学計算において、運動方程式の質点として取り扱われる。
また、フィラー粒子7、7間、及び、粗視化粒子3とフィラー粒子7との間には、相互ポテンシャルP3が設定される。相互ポテンシャルP3は、上記式(5)のLJポテンシャルULJ(rij)によって定義される。また、相互ポテンシャルP3の各定数及び変数の値としては、適宜設定することができる。フィラーモデル6は、コンピュータ1で取り扱い可能な数値データであり、コンピュータ1に記憶される。
次に、予め定められた空間8内に、粗視化モデル2及びフィラーモデル6が配置されて、高分子材料モデル10が設定される(工程S3)。図6に示されるように、本実施形態の空間8は、互いに向き合う三対の平面11、11を有する立方体として定義されている。各平面11には、周期境界条件が定義されている。これにより、空間8は、一方の平面11が、反対側の平面11と繋がっているものとして取り扱われる。
空間8の一辺の長さL1は、適宜設定することができるが、粗視化モデル2の慣性半径Rgの2倍以上に設定されるのが望ましい。慣性半径Rgは、粗視化モデル2の拡がりを示すパラメータである。このような空間8では、分子動力学計算において、粗視化モデル2のダイナミクス(動き)をスムーズに計算することができる。さらに、空間8の大きさは、例えば、上記論文に基づいて、粒子数密度が0.85個/σ3程度に設定されるのが望ましい。
また、空間8には、粗視化モデル2及びフィラーモデル6が複数個配置される。本実施形態では、粗視化モデル2が100〜10000本程度、フィラーモデル6が4〜32個程度配置されている。このように、粗視化モデル2及びフィラーモデル6が配置された空間8は、解析対象の高分子材料の微小構造部分である高分子材料モデル10として構成される。このような高分子材料モデル10も数値データであり、コンピュータ1に記憶される。
次に、コンピュータ1が、予め定めた条件に基づいて、高分子材料モデル10の構造緩和を計算する(工程S4)。本実施形態の分子動力学計算では、例えば、空間8について所定の時間、粗視化モデル2及びフィラーモデル6が古典力学に従うものとして、ランジュバンの運動方程式が適用される。そして、各時刻での粗視化粒子3及びフィラー粒子7の動きが、単位時間毎に追跡される。
また、本実施形態の構造緩和の計算は、空間8において、圧力及び温度が一定、又は体積及び温度が一定に保たれる。これにより、工程S4では、実際の高分子材料の分子運動に近似させて、粗視化モデル2及びフィラー粒子7の初期配置を精度よく緩和することができる。このような構造緩和の計算は、例えばソフトマテリアル総合シミュレーター(OCTA)に含まれるCOGNACを用いて処理することができる。
次に、コンピュータ1が、粗視化モデル2及びフィラーモデル6の初期配置を十分に緩和できたか否かを判断する(工程S5)。この工程S5では、粗視化モデル2及びフィラーモデル6の初期配置を十分に緩和できたと判断された場合、次の計算工程S6が実施される。一方、粗視化モデル2及びフィラーモデル6の初期配置を十分に緩和できていないと判断された場合は、単位時間を進めて(工程S7)、工程S4が再度実施される。これにより、工程S4では、粗視化モデル2及びフィラー粒子7の平衡状態(構造が緩和した状態)を確実に計算することができる。なお、構造緩和の計算時間は、上記条件の下において、末端間ベクトルの緩和時間をτnとした場合、少なくともτn以上、より好ましくは10τn以上が望ましい。
次に、構造緩和の計算後、コンピュータ1が、高分子材料モデル10を予め定められた歪で変形させて、各ボンド4の配向パラメータを求める(計算工程S6)。図7には、本実施形態の計算工程S6の処理手順の一例が示されている。
本実施形態の計算工程S6では、先ず、図8に示されるように、高分子材料モデル10において、粗視化モデル2が配置された空間8が、複数の領域Tに区分される(工程S61)。各領域Tは、フィラーモデル6の外面6sに沿った複数の境界面Tsで区分されている。また、各境界面Tsは、フィラーモデル6の重心6gを中心として、一定の厚さdwで同心円状に配置されている。
本実施形態の領域Tは、フィラーモデル6に最も隣接する第1番目の第1領域T1から第N番目の第N領域TNまでのN個分設定される。これらの領域Tは、座標値等の数値データであり、コンピュータ1に記憶される。
次に、高分子材料モデル10(図6に示す)が予め定められた歪で変形される(工程S62)本実施形態の工程S62では、高分子材料モデル10に、図6に示される初期の状態から引張変形を与えた後、該引張変形と逆方向に同一の歪で圧縮変形を与えて初期の状態に戻す工程を1周期とする引張・圧縮変形がシミュレーションされる。本実施形態の歪γは、下記式(3)で定義される。

ここで、各定数及び変数は次のとおりである。
γ0:歪振幅
ω:角速度
t:時刻
上記歪γは、正弦波形の振動歪である。このような振動歪は、例えば、動的粘弾性測定において、解析対象の高分子材料に加えられる。
高分子材料モデル10において、フィラーモデル6近傍の領域T(例えば、第1領域T1〜第5領域T5)では、粗視化粒子3とフィラー粒子7との間に作用する相互ポテンシャルP3の引力が大きくなるため、粗視化粒子3がフィラーモデル6の近傍で拘束される。このため、フィラーモデル6近傍の領域Tでは、上記変形が定義されても、粗視化粒子3の移動が小さいため、該領域Tでの変形が小さい。
一方、フィラーモデル6から大きく離間する領域T(例えば、第6領域T6〜第M領域TM)では、粗視化粒子3とフィラー粒子7との間に作用する相互ポテンシャルP3の引力が小さくなるため、上記変形が定義されると、粗視化粒子3の移動が大きくなり、該領域Tでの変形が大きくなる。このように、上記歪で変形させられた高分子材料モデル10は、フィラーが配合された高分子材料の変形を、精度良く再現することができる。
また、工程S62では、変形計算が実施される間、高分子材料モデル10の粗視化粒子3、ボンド4及びフィラー粒子7の座標値等が、時刻t毎に計算される。これらの座標値等は、数値データであり、コンピュータ1に記憶される。なお、このような高分子材料モデル10の変形計算も、例えば、ソフトマテリアル総合シミュレーター(OCTA)に含まれるCOGNACを用いて処理することができる。
上記式(3)の各定数及び変数については、適宜設定することができるが、例えば、下記の値が設定されるのが望ましい。さらに、高分子材料モデル10の変形計算は、例えば、からみ合い点の緩和時間をτeとした場合、一周期を0.1〜100τeのいずれかで定義して計算されるのが望ましく、また、一回の変形計算で20〜100個の座標データが出力されるのが望ましい。
歪振幅γ0:5%〜20%
角速度ω:2π/(100τe)〜2π/(0.1τe
次に、領域T毎に、各ボンド4の配向パラメータが計算される(工程S63)。図9に拡大して示されるように、工程S63では、工程S62で計算された粗視化粒子3、ボンド4及びフィラー粒子7の座標値に基づいて、配向パラメータが計算される。配向パラメータχi(m,t)は、下記式(1)で定義される。

ここで、各定数及び変数は次のとおりである。
i:各ボンドのインデックス
m:各領域のインデックス
t:時刻
θi:ボンドベクトルui(m,t)と重心ベクトルni(m,t)とがなす角度(狭角)
上記式(1)において、配向パラメータχi(m,t)は、第m番目の領域Tmに配置されるボンド4に沿ったボンドベクトルui(m,t)、及び、該ボンド4の重心4gとフィラーモデル6の重心6gとを結ぶ重心ベクトルni(m,t)に基づいて定義される。このような配向パラメータχi(m,t)は、フィラーモデル6に対する粗視化モデル2のボンド4の配列状態を定義することができる。
また、配向パラメータχi(m,t)は、空間8に配置される全てのボンド4について、配向パラメータχi(m,t)が、時刻t毎に計算される。このような配向パラメータχi(m,t)は、数値データであり、コンピュータ1に記憶される。なお、各ボンド4が、隣り合う領域Tに跨って配置される場合は、ボンド4の重心4gが配置される領域Tにおいて、配向パラメータχi(m,t)が計算されるものとする。
次に、配向パラメータχi(m,t)の平均Χ(m,t)に基づいて、コンピュータ1が、高分子材料の界面層を特定する(界面特定工程S8)。
図10に示されるように、フィラー13と高分子材料14との共存する系において、界面層14aは、フィラー13の周囲に形成されることが知られている。また、界面層14aでは、高分子材料14の本来の部分であるバルク部分14bとは異なる力学的特性が示される。このため、図8に示される高分子材料モデル10を用いて、高分子材料の物性値を計算する場合には、界面層14aの厚さW2を予め定義しておくことが重要である。
一般に、高分子材料14の界面層14aでは、高分子鎖がフィラー13に拘束されるため、高分子鎖がフィラー13に拘束されないバルク部分14bに比べて変形しにくい傾向がある。
本実施形態では、高分子材料モデル10の変形に相関のあるボンド4の配向パラメータχi(m,t)を用いて、高分子材料14の界面層14aを特定している。図11には、本実施形態の界面特定工程S8の具体的な処理手順が示されている。
本実施形態の界面特定工程S8では、先ず、領域T毎に、配向パラメータχi(m,t)の平均Χ(m,t)が求められる(工程S81)。配向パラメータの平均Χ(m,t)は、下記式(2)で定義される。

ここで、各定数及び変数は次のとおりである。
i:各ボンドのインデックス
m:各領域のインデックス
t:時刻
N:各領域に配置されるボンドの総数
上記式(2)では、第m番目の領域Tにおいて、該領域Tに配置される全て(N個)のボンド4の配向パラメータχi(m,t)の平均Χ(m,t)が、時刻t毎に計算される。本実施形態では、第1領域T1から第N領域TNまでの全ての領域Tにおいて、配向パラメータχi(m,t)の平均Χ(m,t)が計算される。これらの配向パラメータχi(m,t)の平均Χ(m,t)は、数値データであり、コンピュータ1に記憶される。
上述したように、フィラーモデル6近傍の領域Tでは、粗視化粒子3とフィラー粒子7との間に作用する相互ポテンシャルP3の引力が大きくなる。このため、粗視化粒子3、3間のボンド4に定義されるボンドベクトルui(m,t)と重心ベクトルni(m,t)とがなす角度θiが大となり、配向パラメータχi(m,t)の平均Χ(m,t)が1に近づく。
一方、フィラーモデル6から大きく離間する領域Tでは、粗視化粒子3とフィラー粒子7との間に作用する相互ポテンシャルP3の引力が小さくなる。このため、粗視化粒子3、3間のボンド4に定義されるボンドベクトルui(m,t)と重心ベクトルni(m,t)とがなす角度θiが乱雑になり(即ち、拘束力が弱いため、角度θiがランダムな方向に向く)、配向パラメータχi(m,t)が−1〜+1の範囲で様々な値をとるため、配向パラメータの平均Χ(m,t)は0に近づく。
このように、フィラーモデル6近傍の領域Tでは、該領域Tにおいてボンド4がフィラーモデル6の同心円状に配向するため、配向パラメータχi(m,t)の平均Χ(m,t)が1に近づく。一方、フィラーモデル6から大きく離間する領域Tでは、該領域Tでの変形、及び、配向パラメータχi(m,t)が、フィラーモデル6近傍の領域Tに比べて乱雑になるため(即ち、配向パラメータχi(m,t)が−1〜+1の範囲で様々な値となる)、配向パラメータの平均Χ(m,t)が0に近づく。従って、配向パラメータχi(m,t)は、高分子材料モデル10の変形に相関がある。
次に、配向パラメータの平均Χ(m,t)が、歪に対して同位相で応答する貯蔵成分と、歪に対して異なる位相で応答する散逸成分とに分解される(工程S82)。この工程S82では、先ず、各領域Tでの歪の応答が、下記式(8)で計算される。

ここで、各定数及び変数は、次に示すものを除き、上記式(2)及び(3)と同一である。
Χ0:配向パラメータχの振幅
δ:位相差
上記式(8)は、上記式(2)で定義される各領域Tの配向パラメータの平均Χ(m,t)、及び上記式(3)で定義される歪に基づいて、各領域Tでの歪の応答が定義される。
次に、上記式(8)で定義される高分子材料モデル10の応答が、下記式(4)のように分解される。

ここで、各定数及び変数は、上記式(2)、上記式(3)及び上記式(8)と同一である。
上記式(4)は、上記式(8)を、加法定理に基づいて分解したものである。このような上記式(4)によれば、高分子材料モデル10の応答(配向パラメータの平均Χ(m,t))を、歪に対して同位相で応答する貯蔵成分Χ’と、歪に対して異なる位相で応答する散逸成分Χ”とに分解することができる。また、上記式(4)では、貯蔵成分Χ’及び散逸成分Χ”を、時刻tから分離することができるため、貯蔵成分Χ’及び散逸成分Χ”を一意に決定することができる。図12には、各領域Tの貯蔵成分Χ’及び散逸成分Χ”、並びにフィラーモデル6の外面6sから各領域Tの境界面Tsまでの距離の関係を示すグラフが示される。
次に、貯蔵成分Χ’及び散逸成分Χ”に基づいて、界面層が決定される(工程S83)。上述したように、図10に示した高分子材料14の界面層14aでは、バルク部分14bに比べて変形しにくい傾向がある。このため、図8に示した高分子材料モデル10の界面層では、歪に対して同位相で応答する貯蔵成分Χ’が、歪に対して異なる位相で応答する散逸成分Χ”よりも大きくなると仮定することができる。このような観点より、工程S83では、貯蔵成分Χ’が散逸成分Χ”よりも大きい領域Tが、界面層17(図13に示す)として決定される。
また、高分子材料モデル10のバルク部分では、貯蔵成分Χ’が散逸成分Χ”よりも小さくなると仮定することができる。従って、工程S83では、貯蔵成分Χ’が散逸成分Χ”よりも小さい領域Tが、バルク部分18(図13に示す)として決定される。
さらに、界面層とバルク部分との境界は、貯蔵成分Χ’と散逸成分Χ”とが同一になると仮定することができる。従って、貯蔵成分Χ’と散逸成分Χ”とが交わる交点19が、界面層17とバルク部分18との境界20(図13に示す)の位置として決定される。
なお、境界20が隣り合う境界面Ts、Ts(図8に示す)の間に配置される場合は、境界20を基準として、界面層17及びバルク部分18が区分されるのが望ましい。また、交点19のフィラーモデルの外面からの距離を計算することにより、界面層17の厚さW3(図13に示す)が求められる。
このように、本発明のシミュレーション方法では、従来のシミュレーション方法のように、高分子材料及びフィラーを用いた実験を実施することなく、界面層17を特定し、さらにはその厚さW3を確実に計算することができる。従って、本発明のシミュレーション方法では、多くの時間や費用を必要とすることなく、界面層17を正確に特定することができる。
しかも、本発明のシミュレーション方法では、粗視化モデル2を用いたシミュレーションにおいて、界面層17を特定することができるため、現実に存在しない高分子鎖の界面層17を特定でき、未知の高分子材料の開発に役立つ。
さらに、本発明のシミュレーション方法では、粗視化粒子3、3間、及び粗視化粒子3とフィラー粒子7との間に、上記のような斥力を含むポテンシャル(LJポテンシャルULJ(rij))が定義されるため、実際の高分子材料の分子運動に近似させて、シミュレーションすることができる。従って、本実施形態のシミュレーション方法では、界面層17を精度よく特定することができる。
界面層17を精度良く特定するために、ボンド4が100以上配置され、かつ、各領域Tの厚さdwが単位長さσ以下の範囲で決定されるのが望ましい。各領域Tに配置されるボンド4が100個未満であると、各領域Tの配向パラメータχi(m,t)を十分に均せないおそれがある。また、厚さdwが単位長さ1σを超えると、分解能が低下するおそれがある。
次に、コンピュータ1が、高分子材料モデル10の物性値を計算する(工程S9)。この工程S9では、空間8に、界面層17の厚さW3等の所定のパラメータが設定され、高分子材料の物性値(例えば、複素弾性率)が計算される。
次に、コンピュータ1が、高分子材料モデル10の物性値が、許容範囲内であるかを判断する(工程S10)。この工程S10では、物性値が許容範囲内であると判断された場合、粗視化モデル2を含む空間8の条件等に基づいて、高分子材料が製造される(工程S11)。一方、物性値が許容範囲内でないと判断された場合は、粗視化モデル2を含む空間8の諸条件を変更して(工程S12)、工程S4〜S11が再度行われる。このように、本実施形態のシミュレーション方法では、高分子材料モデル10の物性値が許容範囲内になるまで、粗視化モデル2を含む空間8の諸条件が変更されるため、所望の性能を有する高分子材料を、効率よく設計することができる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図3、図7及び図11に示される手順に従って、高分子材料モデルのボンドの配向パラメータが求められ、高分子材料の界面層が特定された(実施例)。
そして、実施例において、界面層の厚さを求めるのに要した時間が測定された。なお、ポテンシャル、及び歪の各パラメータ等は、明細書中の記載通りであり、共通仕様は次のとおりである。
粗視化モデル:
粗視化粒子の個数:1000個/本
慣性半径:16.9σ
フィラーモデルの半径:11.2σ
各領域:
厚さdw:1.0σ
個数:10個
各領域に配置されるボンドの個数:730〜2073個
空間:
1辺の長さL1:61.1σ
粗視化モデルの本数:189本
フィラーモデルの個数:1個
テストの結果、実施例で計算された界面層の厚さは、4.8σであった。従って、実施例では、高分子材料を用いた実験等を実施することなく、界面層の厚さを一意に特定することができた。
2 粗視化モデル
4 ボンド
6 フィラーモデル
10 高分子材料モデル

Claims (7)

  1. コンピュータを用いて、高分子材料とフィラーとの反応を解析するための方法であって、
    前記コンピュータに、前記高分子材料の高分子鎖を、複数の粗視化粒子と、前記粗視化粒子間を結合するボンドとを用いてモデル化した粗視化モデルを設定する工程、
    前記コンピュータに、前記フィラーをフィラー粒子でモデル化したフィラーモデルを設定する工程、
    前記コンピュータに、前記粗視化モデルと前記フィラーモデルとを予め定められた空間内に配置して高分子材料モデルを設定する工程、
    前記コンピュータが、予め定めた条件に基づいて、前記高分子材料モデルの構造緩和を計算する工程、
    前記構造緩和の計算後、前記コンピュータが、前記高分子材料モデルを予め定められた歪で変形させて、前記各ボンドの配列状態を表す配向パラメータを求める計算工程、
    前記配向パラメータに基づいて、前記コンピュータが、前記フィラーの周囲に形成されかつ前記高分子材料のバルク部分とは異なる力学的特性を示す前記高分子材料の界面層を特定する界面特定工程を含み、
    前記粗視化粒子間、及び前記粗視化粒子と前記フィラー粒子との間には、前記粒子間の距離が小さくなるほど無限に大きくなる斥力を含むポテンシャルが定義されることを特徴とする高分子材料のシミュレーション方法。
  2. 前記計算工程は、前記粗視化モデルが配置された前記空間を、前記フィラーモデルの外面に沿った境界面で複数の領域に区分する工程と、
    前記高分子材料モデルを前記歪で変形させる工程と、
    前記領域毎に、前記配向パラメータを計算する工程とを含む請求項1に記載の高分子材料のシミュレーション方法。
  3. 前記界面特定工程は、前記領域毎に前記配向パラメータの平均を求める工程と、
    前記配向パラメータの平均を、前記歪に対して同位相で応答する貯蔵成分と、前記歪に対して異なる位相で応答する散逸成分とに分解する工程と、
    前記貯蔵成分が前記散逸成分よりも大きい領域を前記界面層と決定する工程とを含む請求項2に記載の高分子材料のシミュレーション方法。
  4. 前記配向パラメータχi(m,t)は、前記ボンドに沿ったボンドベクトルui(m,t)と、前記ボンドの重心と前記フィラーモデルの重心とを結ぶ重心ベクトルni(m,t)とに基づいて、下記式(1)で定義される請求項1乃至3のいずれかに記載の高分子材料のシミュレーション方法。

    ここで、各定数及び変数は次のとおりである。
    i:各ボンドのインデックス
    m:各領域のインデックス
    t:時刻
    θi:ボンドベクトルui(m,t)と重心ベクトルni(m,t)とがなす角度
  5. 前記配向パラメータの平均Χ(m,t)は、下記式(2)で定義され、
    前記歪γは、下記式(3)で定義され、
    前記配向パラメータの平均Χ(m,t)は、下記式(4)に基づいて、前記貯蔵成分Χ’と前記散逸成分Χ”とに分解される請求項4に記載の高分子材料のシミュレーション方法。



    ここで、各定数及び変数は次のとおりである。
    i:各ボンドのインデックス
    m:各領域のインデックス
    t:時刻
    N:各領域に配置されるボンドの総数
    γ0:歪振幅
    ω:角速度
  6. 前記各領域には、前記ボンドが100個以上配置されている請求項2乃至5のいずれかに記載の高分子材料のシミュレーション方法。
  7. 前記斥力を含むポテンシャルは、下記式(5)で定義される請求項1乃至6のいずれかに記載の高分子材料のシミュレーション方法。

    ここで、各定数及び変数は、次のとおりである。
    ij:粒子間の距離
    c:カットオフ距離
    ε:粒子間に定義されるLJポテンシャルの強度
    σ:粒子の直径に相当
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