JP6965434B2 - 電極複合体、電池、及び電池パック - Google Patents

電極複合体、電池、及び電池パック Download PDF

Info

Publication number
JP6965434B2
JP6965434B2 JP2020508892A JP2020508892A JP6965434B2 JP 6965434 B2 JP6965434 B2 JP 6965434B2 JP 2020508892 A JP2020508892 A JP 2020508892A JP 2020508892 A JP2020508892 A JP 2020508892A JP 6965434 B2 JP6965434 B2 JP 6965434B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
active material
electrode
containing layer
current collector
negative electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020508892A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2019187127A1 (ja
Inventor
政典 田中
圭吾 保科
則雄 高見
康宏 原田
大典 高塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Publication of JPWO2019187127A1 publication Critical patent/JPWO2019187127A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6965434B2 publication Critical patent/JP6965434B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/13Electrodes for accumulators with non-aqueous electrolyte, e.g. for lithium-accumulators; Processes of manufacture thereof
    • H01M4/131Electrodes based on mixed oxides or hydroxides, or on mixtures of oxides or hydroxides, e.g. LiCoOx
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Description

本発明の実施形態は、電極複合体、電池、及び電池パックに関する。
電動自転車などの動力として用いられる二次電池は、安全性、長寿命とともに、高い入出力性能を有することが要求される。しかしながら、電極密度を高める目的で電極作製時に圧延された電極は、表面積が小さい。そのため、このような電極を用いて電池を作製した場合、入出力性能が低下するという問題があった。
特開2014−127275号公報
本発明が解決しようとする課題は、電池抵抗の上昇が抑制された電池を実現できる電極複合体、電池抵抗の上昇が抑制された電池、及びこの電池を含む電池パックを提供することである。
実施形態によれば、集電体と、活物質含有層と、絶縁層とを含む電極複合体が提供される。活物質含有層は、集電体の少なくとも1つの主面上に設けられている。活物質含有層は、集電体の主面と接する第1表面を有する。また、活物質含有層は、第1表面に対し裏側にある第2表面を有する。活物質含有層は、チタン含有酸化物を含んだ活物質粒子と結着剤とを含む。絶縁層は、第2表面の上に設けられている。絶縁層は、絶縁性粒子を含む。活物質粒子の平均二次粒子径d1は1.5μm以上20μm以下である。絶縁性粒子の平均粒径d2は0.3μm以上5μm以下である。第2表面は凹凸を有する。集電体と第2表面との間の距離のうち最大値と最小値との差が0.5μm以上10μm以下である。活物質含有層のうち第2表面側の活物質含有層の厚さに対し20%厚さの第1領域における結着剤の含有量Bが、活物質含有層のうち集電体と第1領域との間にある第2領域における結着剤の含有量Bより多い。
他の実施形態によれば、上記実施形態に係る電極複合体を具備する電池が提供される。
更に他の実施形態によれば、電池パックが提供される。電池パックは、上記電池を具備する。
図1は、実施形態に係る一例の電極複合体の断面を示す概略図である。 図2は、実施形態に係る一例の扁平型電池の概略断面図である。 図3は、図2のA部の拡大断面図である。 図4は、実施形態に係る他の一例の電池の概略部分切欠き斜視図である。 図5は、図4のB部の拡大断面図である。 図6は、実施形態に係る一例の電池パックの概略分解斜視図である。 図7は、図6の電池パックの電気回路を示すブロック図である。
実施形態
電極の表面粗さRaを特定の数値範囲となるように圧延した電極上に、適切な範囲の平均粒径のセラミックス粒子を含む絶縁層を形成する製造方法が考案されている。この製造方法により、正極と負極とが短絡することを抑制して信頼性を高めつつ、活物質層における電解液の保持性を高めた電池を得ることができる。
電極表面への絶縁層の形成は、電池内で起こり得る副反応、例えば、低電位側での還元反応の抑制にも有効である。一方で、高容量な電池を得る観点からは、絶縁層を薄くすることが望ましい。また、絶縁層が厚いと、正負極間の距離、即ちリチウムの移動距離が大きくなり、入出力性能が低下する。セラミックス粒子などの絶縁性粒子として粒径が小さいものを用いることで絶縁層を薄くすることができる。その反面、絶縁層が密に詰まった状態になり空隙率が小さくなるため、入出力性能が低下し得る。
その他、セラミックス粒子の粒径と活物質との粒径の関係による影響もある。セラミックス粒子の粒径に対し活物質粒子の粒径が大きすぎる場合には、活物質層にセラミックス粒子が侵入しリチウムの移動を阻害することで、入出力性能が低下し得る。
[第1の実施形態]
第1の実施形態に係る電極複合体は、集電体と、活物質含有層と、絶縁層とを含む。
活物質含有層は、集電体の少なくとも1つの主面上に設けられている。また、活物質含有層は、集電体の主面と接する第1表面とこの第1表面に対し裏側にある第2表面とを有している。そして、活物質含有層は、チタン含有酸化物と結着剤とを含む。
絶縁層は、活物質含有層の第2表面の上に設けられている。
集電体と活物質含有層の第2表面との間の距離のうち、最大値と最小値との差が0.5μm以上10μm以下である。そして、活物質含有層のうち第2表面側の活物質含有層の厚さに対し20%厚さの第1領域における結着剤の含有量Bは、活物質含有層のうち集電体と第1領域との間にある第2領域における結着剤の含有量Bと比較して多い。
電極複合体における集電体と活物質含有層とは、電極を構成し得る。つまり、電極複合体は、その上に絶縁層が設けられている電極であり得る。
実施形態に係る電極複合体を、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態の電極複合体の一例を概略的に示す断面図である。
図1に示す負極複合体1は、負極上に絶縁層が設けられて成る電極複合体の例である。負極複合体1は、負極集電体5a及び負極活物質含有層5bを含む負極5と、絶縁層6とを含んでいる。
図示する例では、負極集電体5aは箔形状の導電性シートである。負極活物質含有層5bは、負極集電体5aの一方の主面上に設けられている。負極活物質含有層5bが負極集電体5aに接している面、つまり図1の下側にある面を負極活物質含有層5bの第1表面とする。第1表面に対して負極活物質含有層5bの裏側に位置する面、つまり図1の上側にある面を負極活物質含有層5bの第2表面とする。絶縁層6は、第2表面の上に設けられている。
負極集電体5aから第2表面に向かって垂直に引いた距離は、図1にて第2表面を波形状で示すとおり均一ではない。負極集電体5aからの垂直距離のうち負極複合体1における最大値D1MAXと、垂直距離のうち最小値D1minとの差ΔD1は、0.5μm以上10μm以下の範囲内にある。
集電体(負極集電体5a)と活物質含有層(負極活物質含有層5b)の第2表面との間の距離のうち、最大値D1MAXと最小値D1minとの差ΔD1が0.5μm以上10μm以下である電極複合体(負極複合体1)では、活物質含有層(負極活物質含有層5b)と絶縁層6との界面に対応する第2表面に適度な凹凸が得られ、表面積が増加している。即ち、活物質含有層(負極活物質含有層5b)と絶縁層6との界面が多いため、電池の入出力性能が向上している。ここで集電体(負極集電体5a)と第2表面との間の距離は、集電体(負極集電体5a)の表面に沿った様々な位置から集電体(負極集電体5a)表面から第2表面に向かった垂直に引いた距離をいう。差ΔD1が0.5μm以上であることで、活物質含有層の表面積、即ち電荷キャリア(例えば、リチウムなど)の挿入・脱離反応のための反応面積が十分多く、高い入出力性能が得られる。差ΔD1が10μm以下であることで、第2表面における凹部に対応する部分で絶縁層6が厚くなり過ぎず、良好な入出力性能が得られる。差ΔD1が0.5μm以上2μm以下であることがより好ましい。
活物質含有層の上(活物質含有層の第2表面上)に絶縁層が設けられていることで、電解質に対する活物質含有層の反応性が抑えられている。詳細には、絶縁層に含まれている絶縁性材料(例えば、アルミナ粒子などの絶縁性粒子)が活物質含有層中の活物質材料(チタン含有酸化物など)の表面を少なくとも部分的に被覆したり、絶縁層が含み得る結着剤が活物質材料の表面を少なくとも部分的に被覆したりすることで、副反応が起こりにくくなっている。
実施形態に係る電極複合体では、活物質含有層のうち第2表面付近に含まれている結着剤の量(面積当たりの含有量)が、活物質含有層におけるそれ以外の部分に含まれている結着剤の量(面積当たりの含有量)より多い。つまり、活物質含有層に含まれている結着剤は、絶縁層との界面付近に偏析している。詳細には、第2表面側の領域であって活物質含有層の厚さに対し20%厚さの第1領域(R)における結着剤の含有量Bが、活物質含有層のうち集電体と第1領域(R)の間にある第2領域(R)における結着剤の含有量Bより多い。ここで、活物質含有層の厚さは、活物質含有層の平面に亘る様々な位置における第1表面と第2表面との間の最短距離の平均をいう。活物質含有層の厚さは、例えば、5μm以上100μm以下であり得る。
活物質含有層と絶縁層との界面付近の結着剤の量が多いことで、電解質に対する反応性が更に低くなっている。そのため、活物質含有層の表面積が多くなっているにも関わらず、充放電による抵抗上昇が少ない。加えて、絶縁層との界面付近に結着剤が偏析しているため、電極活物質の膨張収縮による絶縁層の剥離が起こりにくい。また、活物質含有層の表面積が多いと電池の自己放電が進行しやすくなるが、結着剤が界面に多く存在することで自己放電を抑制できる。一方で、界面における結着剤量が多すぎると電気抵抗が高くなるため、望ましくない。また、第2領域Rにおける結着剤の量が少なすぎると活物質含有層の強度が低下し得る。その他、第2領域Rでの結着剤量が少ないと、集電体と活物質含有層との結着の低下により活物質の膨張収縮により活物質含有層が集電体から解離しやすくなり得る。そうすると、集電体と活物質含有層との接触が低下することに起因して、電池抵抗が上昇し得る。従って、第1領域Rと第2領域Rとの結着剤含有量の比B/Bは、1.2≦B/B≦9であることが好ましい。
活物質含有層は、チタン含有酸化物を含んだ活物質粒子を含み得る。つまり、チタン含有酸化物は、活物質粒子として活物質含有層に含まれ得る。また、活物質粒子は、複数の一次粒子が凝集して成る二次粒子であり得る。絶縁層は、絶縁性粒子を含み得る。活物質含有層に含まれている活物質粒子の平均二次粒子径d1と、絶縁層に含まれている絶縁性粒子の平均粒径d2との比d1/d2が1<d1/d2≦20の範囲内にあることが好ましい。
活物質粒子の二次粒子径に対し絶縁性粒子の粒径が大きいと、活物質含有層上に絶縁層が形成されている電極を圧延した際に、活物質粒子が絶縁層の内部へ侵入し得る。例えば、活物質の二次粒子が活物質含有層のバルクから切り離されて絶縁層内に単独で取り残され得る。一方で、絶縁性粒子の粒径に対し活物質粒子の粒径が大きいと、電極を圧延した際に絶縁性粒子が活物質含有層の内部へ侵入し得る。例えば、単独の絶縁性粒子が活物質含有層のバルクから切り離されて活物質含有層内に取り残され得る。何れの場合も、リチウム移動が阻害されて入出力性能が低下し得る。活物質粒子と絶縁性粒子との平均粒径の比d1/d2が1<d1/d2≦20の範囲内にあれば、活物質粒子が絶縁層へ侵入しにくく、また、絶縁性粒子が活物質含有層へ侵入しにくい。その結果入出力性能の低下を抑制できるため、活物質粒子と絶縁性粒子との平均粒径の比を上記範囲にすることが好ましい。従って、活物質粒子(二次粒子)と絶縁性粒子との平均粒径の比d1/d2が1を上回り20以下である電極複合体では、より良好な入出力性能が得られる。
以下、集電体、活物質含有層、及び絶縁層について説明する。
(集電体)
集電体は、導電性シートであり得る。導電性シートの例には、導電性材料からなる箔が含まれる。導電性材料の例には、アルミニウム、及びアルミニウム合金が含まれる。
集電体の厚さは、例えば、5μm以上40μm以下であり得る。
集電体の少なくとも1つの主面は、活物質含有層を保持する。集電体は、一辺(例えば、長辺、短辺)及びその近傍に活物質含有層が保持されていない部分を含み得る。集電体の一辺に平行に形成された活物質含有層非保持部は、集電タブとして機能できる。
なお、集電タブは、集電体における活物質含有層無担持の一辺に限られない。例えば、集電体の一側面から突出した複数の帯状部を集電タブとして使用可能である。集電タブは、集電体と同じ材料から形成されていても良い。または、集電体とは別に集電タブを用意し、これを集電体の少なくとも一端面に溶接等で接続してもよい。
(活物質含有層)
活物質含有層は、集電体の少なくとも1つの主面上に設けられている。例えば、活物質含有層を集電体の1つの主面に設けることができる。或いは、活物質含有層は、集電体の2つの主面、例えば、箔形状の集電体の裏表の両面に設けられていてもよい。集電体と活物質含有層とは、電極を構成し得る。この電極は、例えば、負極であり得る。
活物質含有層は、集電体と接している第1表面を有している。また、活物質含有層は、第1表面の裏側にある第2表面を有している。例えば、箔形状の集電体の表裏両面に活物質含有層を設けた場合、それぞれの活物質含有層の第1表面が電極複合体の内側に向き、それぞれの第2表面が電極複合体の外側に向き得る。
活物質含有層に含まれているチタン含有酸化物は、例えば、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物および直方晶型(orthorhombic)チタン含有複合酸化物などを含むことができる。チタン含有酸化物は、1種類の化合物でもよく、或いは、2種類以上の化合物の混合物であってもよい。
上記単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の例として、LixTi1-yM1yNb2-zM2z7+δで表される化合物が挙げられる。ここで、M1は、Zr,Si,及びSnからなる群より選択される少なくとも1つである。M2は、V,Ta,及びBiからなる群より選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦x≦5、0≦y<1、0≦z<2、−0.3≦δ≦0.3である。単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の具体例として、LixNb2TiO7(0≦x≦5)が挙げられる。
単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の他の例として、LixTi1-yM3y+zNb2-z7-δで表される化合物が挙げられる。ここで、M3は、Mg,Fe,Ni,Co,W,Ta,及びMoより選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦x≦5、0≦y<1、0≦z<2、−0.3≦δ≦0.3である。
直方晶型チタン含有複合酸化物の例として、Li2+aM(I)2-bTi6-cM(II)d14+σで表される化合物が挙げられる。ここで、M(I)は、Sr,Ba,Ca,Mg,Na,Cs,Rb及びKからなる群より選択される少なくとも1つである。M(II)はZr,Sn,V,Nb,Ta,Mo,W,Y,Fe,Co,Cr,Mn,Ni,及びAlからなる群より選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦a≦6、0≦b<2、0≦c<6、0≦d<6、−0.5≦σ≦0.5である。直方晶型チタン含有複合酸化物の具体例として、Li2+aNa2Ti614(0≦a≦6)が挙げられる。
他のチタン含有酸化物として、例えば、Li4+wTi512(0≦w≦3)で表される化合物などのスピネル型チタン酸リチウムを挙げることができる。スピネル型チタン酸リチウムは、リチウムが挿入されている状態(w>0)で電子導電性を示し、リチウム挿入量の上昇に伴って電子導電性が向上する。その反面、スピネル型チタン酸リチウムを用いた電池では、自己放電が進行し得る。これを鑑みて、活物質含有層に含ませるチタン含有酸化物は、上記した単斜晶型ニオブチタン複合酸化物および直方晶型チタン含有複合酸化物から選択することが好ましい。
チタン含有酸化物は、例えば、二次粒子の形態で活物質含有層に含まれ得る。ここでいう二次粒子とは、複数の一次粒子が凝集して成る粒子を指す。チタン含有酸化物の平均二次粒子径、つまり活物質粒子の平均二次粒子径d1は、例えば、1.5μm以上20μm以下であり得る。
活物質含有層が含むことのできるチタン含有酸化物の粒子は、当該粒子の表面の少なくとも一部に形成された炭素材料を含む相を含み得る。このような相を含むことで、良好な導電性を得ることができる。例えば、チタン含有酸化物としてのニオブチタン複合酸化物の粒子表面に炭素材料を含む相を形成した複合粒子を好適に用いることができる。
炭素材料を532nmの測定光源を用いたラマン分光によって分析すると、炭素材料の結晶性を判断することができる。炭素材料についてのラマンチャートにおける、1580cm-1付近に観測されるGバンドは、グラファイト構造に由来するピークであり、1330cm-1付近に観測されるDバンドは、炭素の欠陥構造に由来するピークである。Gバンド及びDバンドは、様々な要因により、1580cm-1及び1330cm-1から、それぞれ±50cm-1程ずれることがあり得る。
ラマンチャートにおけるGバンドのピーク強度IGとDバンドのピーク強度IDとの比IG/IDが0.8以上1.2以下である炭素材料は、グラファイトの良好な結晶性を有することを意味する。このような炭素材料は優れた導電性を有することができる。
比IG/IDが1.2よりも大きいということは、例えば、炭素の非晶質化が不十分であることを意味する。また、この場合、炭素源に含まれていた不純物が含まれていることがある。このような不純物は、電解質との副反応を進行させるため、電池の入出力性能および寿命性能に悪影響を与える。
その他、例えば、Nb2TiO7などのNb元素を含むチタン含有酸化物を用いると、炭素源がNb元素と反応する場合がある。炭素源とNb元素との反応が進行した場合、炭素間結合がグラファイト構造よりも不安定な非晶質炭素成分が優先的に酸化されることにより非晶質炭素量が減少して比IG/IDが1.2よりも大きくなることがある。
また、比IG/IDが0.8よりも小さいということは、グラファイト構造に由来する炭素成分が少ないことを意味する。
従って、比IG/IDが0.8以上1.2以下である炭素材料を用いることは、より良好な電子導電性を得ることができるため好ましい。
炭素材料を含む相は、様々な形態で存在することができる。例えば、炭素材料を含む相は、チタン含有酸化物粒子全体を覆っても良いし、又はチタン含有酸化物粒子の表面の一部に担持されても良い。より好ましくは、活物質粒子(チタン含有酸化物粒子、及び炭素材料を含む相を含んだ複合粒子)全体の導電性を均質に補完すること、及び活物質粒子と電解質との表面反応を抑えることという2つの観点から、チタン含有酸化物粒子の表面全体が炭素材料を含む相で被覆されていることが好ましい。炭素材料を含む相の存在状態は、例えば透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;TEM)観察及びエネルギー分散型X線分光(Energy Dispersive X-ray spectroscopy:EDX)分析によるマッピングにより確認することができる。
炭素材料を含む相により電子導電性を良好にできるものの、炭素材料自体が電解質に対する反応性を示す。実施形態に係る電極複合体では、活物質含有層の第2表面付近(第1領域)の結着剤含有量(B)が多いため、反応性が抑制されている。そのため、炭素材料による反応性を気にせずに、良好な電子導電性の恩恵を受けることができる。
活物質含有層が含むことのできる結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)又はこれらの混合物が挙げられる。
活物質含有層は、導電剤を更に含むことができる。導電剤としては、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛又はこれらの混合物を挙げることができる。これらの炭素を含んだ材料も電解質に対する反応性を示すが、上述したとおり、活物質含有層の第2表面付近の結着剤含有量が多いため、炭素による反応性を気にせずに導電剤として使用できる。
活物質含有層において、活物質、導電剤及び結着剤の含有量は、それぞれ70質量%以上98質量%以下、1質量%以上28質量%以下、1質量%以上28質量%以下であることが好ましい。ここでいう含有量は、第1領域(R)及び第2領域(R)を含んだ活物質含有層全体としての含有量である。
(絶縁層)
絶縁層に含まれている絶縁性粒子は、非Li伝導性の無機粒子、又はLi伝導性を示す固体電解質の粒子などを含むことができる。
Li(リチウム)に対する伝導性を示さない無機粒子としては、例えば、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化バリウム(BaO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ベリリウム(BeO)、酸化リチウム(LiO)、酸化ナトリウム(NaO)、酸化カリウム(KO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化アンチモン(Sb)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化ジルコニム(ZrO)、酸化インジウム(In)などの金属酸化物、並びに硫酸バリウムなどの硫酸塩、酸化ヒ素(As)、酸化ホウ素(B)、酸化ケイ素(SiO)から成る群から選ばれる1種以上の化合物の粒子を使用できる。中でも、上記した金属酸化物は、非水電解質電池が含む非水電解質に対して優れた安定性を示すことができる。
Liに対する伝導性を示す固体電解質としては、例えば、Li7La3Zr2O12で表される化合物(LLZ)などを使用することができる。固体電解質として、1種の化合物を用いてもよく、或いは、2種以上の化合物を併せて用いてもよい。また、絶縁性粒子として、非Li伝導性の無機粒子と固体電解質粒子とを併せて使用することもできる。
絶縁性粒子の平均粒径d2は、例えば、0.3μm以上5μm以下であり得る。
絶縁層は、結着剤を含み得る。絶縁層が含むことのできる結着剤として、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)又はこれらの混合物が挙げられる。絶縁層中の結着剤の含有量は0.01質量%以上20質量%以下の範囲にすることが望ましい。
絶縁層の厚さは、例えば、1μm以上30μm以下であり得る。ここで、絶縁層の厚さは、絶縁層の平面に亘る様々な位置における活物質含有層の第2表面と絶縁層との界面から絶縁層表面(第2表面との界面に対する裏面)までの最短距離のうち、最も値が小さいものに対応する。つまり、絶縁層における最も薄い部分の厚さが、上記範囲内にあり得る。
<測定方法>
電極複合体の測定方法について、以下に説明する。
測定対象の電極複合体が作製済みの電池に組み込まれている場合、以下の手順に沿って測定試料を準備する。
測定対象を含んだ電池を放電状態にする。0.2Cで定電流放電をし、電池電圧が1.0Vに到達した時点で放電カットする。電池を放電後、解体して電極を含んだ部材を取り出す。電極を含んだ部材は、例えば、単独の電極、絶縁層が形成されている電極(例えば、電極複合体)、又は電極群などであり得る。
電極を含む部材を取り出した後、測定に応じて加工を行い、測定試料を得る。
(走査型電子顕微鏡による観察)
走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)を用いた観察により、電極複合体における集電体と活物質含有層の第2表面との距離、及び活物質含有層の厚さを確認することができる。また、活物質含有層に含まれている活物質粒子の平均二次粒子径d1及び絶縁層に含まれている絶縁性粒子の平均粒径d2を確認することができる。加えて、SEMによる観察で絶縁層の厚さを確認することができる。
測定対象、例えば、先の説明のとおり電池から取り出した電極を含む部材に対しArイオンミリングを行い、断面を切り出す。得られた断面に対しSEM観察を行う。集電体から活物質含有層の第2表面まで引いた集電体に対する垂線の長さを測定する。観察視野における最も長い垂線の長さをD1MAXとし、最も短い垂線の長さをD1minとする。D1MAXとD1minとの差をその観察視野における差ΔD1とする。断面における20箇所にて、差ΔD1を求め、その平均値を算出する。算出した平均値を、測定試料についての差ΔD1とする。
また、活物質含有層の厚さとして、求めた20箇所のD1MAX並びに20箇所のD1minの全ての平均値を算出する。
活物質含有層の断面をSEMで観察することで、活物質粒子の平均二次粒子径d1を確認できる。20個の活物質粒子の二次粒子径を測定し、その平均値を平均二次粒子径d1とする。5個以上の一次粒子同士が繋がって球状に見えるものを活物質の二次粒子として観察対象とする。なお、活物質粒子が炭素材料を含む相を含む複合粒子である場合、炭素材料を含む相を二次粒子の一部として、複合粒子の二次粒子径を測定する。
同様に、絶縁層の断面をSEMで観察することで、絶縁性粒子の平均粒径d2を確認できる。20個の絶縁性粒子の粒径を測定し、その平均値を平均粒径d2とする。
絶縁層の厚さは、次にとおり求める。活物質含有層の第2表面と絶縁層との界面から、絶縁層の表面(第2表面との界面に対する裏面)までの最短距離を測定する。20箇所について、界面から絶縁層表面までの最短距離を測定する。測定された距離のうち、最も短い値を絶縁層の厚さとする。
(活物質含有層中の結着剤含有量の測定方法)
活物質含有層に含まれている結着剤の含有量は、X線光電子分光(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)測定により求めることができる。
結着剤に含まれている構成元素に応じて、XPS測定によって得られるスペクトルが異なる。例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)などの炭素(C)を含む結着剤が用いられている場合は、C1sスペクトルを測定した際、290evから280evの結合エネルギー範囲にC−C/H結合に帰属されるピーク及びO−C=O結合に帰属されるピークが現れる。一方で、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)などのフッ素(F)を含む結着剤が用いられている場合は、F1sスペクトルを測定した際、690eVから680eVの結合エネルギー範囲にF−C結合に帰属されるピークが現れる。
上記ピークの面積強度は、該当の結着剤の測定箇所における含有量に対応する。つまり、SBRなどの炭素を含む結着剤の含有量には、C−C/Hのピークの面積強度およびO−C=Oのピークの面積強度の合計、即ちC面積強度が対応する。PVdFなどのフッ素を含む結着剤の含有量には、F−Cのピークの面積強度、即ちF面積強度が対応する。
例えば、Cを含む結着剤(SBRなど)が用いられている場合、第1領域Rについて得られるXPSスペクトルにおける第1のC面積強度Cと、第2領域Rについて得られるXPSスペクトルにおける第2のC面積強度Cとの比C/Cを算出することで、それぞれの領域における結着剤の含有量の比B/Bを求めることができる。例えば、実施形態に係る電極複合体を測定した場合は、比C/Cが1.2以上10以下になり得る。
Fを含む結着剤(PVdFなど)が用いられている場合、第1領域Rについて得られるXPSスペクトルにおける第1のF面積強度Fと、第2領域Rについて得られるXPSスペクトルにおける第2のF面積強度Fとの比F/Fを算出することで、それぞれの領域における結着剤の含有量の比B/Bを求めることができる。例えば、実施形態に係る電極複合体を測定した場合は、比F/Fが1.2以上10以下になり得る。
第1領域R及び第2領域Rに対しXPS測定をするには、例えば、表面・界面切削分析装置(Surface And Interfacial Cutting Analysis System;SAICAS(登録商標))を用いて測定対象を含む部材、例えば、電池から取り出した電極を含む部材を加工する。
SAICASにより、測定箇所まで切削を行う。マーカーとなる元素を確認することで、測定箇所を特定できる。例えば、Alのようにアルミニウム(Al)を含む絶縁層材料およびNbTiOのようなNb及びTiを含むチタン含有複合酸化物が用いられている場合、Al並びにNb又はTiをマーカーとすることができる。例えば、Alを検出できずNb及びTiのみ検出される深さまで切削することで、絶縁層を取り除くことができる。この深さ位置を、第1領域Rにおける結着剤含有量Bを求めるための第1測定点Pとし、XPS測定を行うことができる。
一方で、第2領域Rにおける結着剤含有量Bを求めるための第2測定点Pは、例えば、先に説明したSEM観察により確認した活物質含有層の厚さに基づいて決定する。活物質含有層の厚さ方向の中間点まで切削し、測定点Pとする。第2表面から活物質含有層の厚さの半分に対応する深さまで切削した位置を測定点Pとし、XPS測定を行うことができる。
測定点Pで得られるXPSスペクトルにおけるピークの面積強度(例えば、C面積強度C)と、測定点Pで得られるXPSスペクトルにおけるピークの面積強度(例えば、C面積強度C)との面積強度比(例えば、比C/C)を算出する。得られる面積強度比は、結着剤の含有量の比B/Bに対応する。
(活物質含有層中の組成の同定方法)
活物質含有層にチタン含有酸化物が含まれているか否かは、例えば、以下にして確認することができる。
先ず、先に説明した手順により、測定対象を含んだ電池を放電状態にする。次に、このような状態にした電池を、アルゴンを充填したグローブボックス中で分解する。分解した電池から、測定対象としての電極を含んだ部材を取り出す。この部材を適切な溶媒で洗浄する。たとえばエチルメチルカーボネートなどを用いると良い。洗浄が不十分であると、電極中に残留したリチウムイオンの影響で、炭酸リチウムやフッ化リチウムなどの不純物相が混入することがある。その場合は、測定雰囲気を不活性ガス中で行える気密容器を用いるとよい。
以上のようにして取り出した部材の断面を、Arイオンミリングにより切り出す。切り出した断面を、SEMにて観察する。試料のサンプリングについても大気に触れないようにし、アルゴンや窒素など不活性雰囲気で行う。
3000倍のSEM観察像にて、幾つかの粒子を選定する。この際、選定した粒子の粒度分布ができるだけ広くなるように選定する。
次に、選定したそれぞれの粒子について、エネルギー分散型X線分光法(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy;EDX)による元素分析を行う。これにより、選定したそれぞれの粒子に含まれる元素のうちLi以外の元素の種類及び量を特定することができる。
SEMで選定したそれぞれの粒子に含まれている化合物の結晶構造は、X線回折(X-Ray Diffraction;XRD)測定により特定することができる。
測定は、CuKα線を線源として、2θ=10〜90°の測定範囲で行う。この測定により、選定した粒子に含まれる化合物のX線回折パターンを得ることができる。
粉末X線回折測定の装置としては、Rigaku社製SmartLabを用いる。測定条件は以下の通りとする:Cuターゲット;45kV 200mA;ソーラスリット:入射及び受光共に5°;ステップ幅:0.02deg;スキャン速度:20deg/分;半導体検出器:D/teX Ultra 250;試料板ホルダ:平板ガラス試料板ホルダー(厚さ0.5mm);測定範囲:10°≦2θ≦90°の範囲。その他の装置を使用する場合は、上記と同等の測定結果が得られるように、粉末X線回折用標準Si粉末を用いた測定を行い、ピーク強度及びピークトップ位置が上記装置と一致する条件で行う。
測定対象の粒子に直方晶型チタン含有複合酸化物が含まれている場合、X線回折測定により、空間群CmcaやFmmmなど、直方晶型に帰属されるX線回折パターンが確認され得る。
電極を含む部材についてのXRD測定は、測定対象の部材を、広角X線回折装置のホルダーの面積と同程度切り出し、直接ガラスホルダーに貼り付けて測定することによって行うことができる。必要に応じて、活物質含有層から絶縁層を予め取り除いておく。例えば、先に説明したとおり、SAICASにより切削することで絶縁層を取り除くことができる。このとき、電極集電体の金属箔の種類に応じてあらかじめXRDスペクトルを測定しておき、どの位置に集電体由来のピークが現れるかを把握しておく。また、導電剤や結着剤といった合剤のピークの有無もあらかじめ把握しておく。集電体のピークと活物質のピークが重なる場合、集電体から活物質含有層を剥離して測定することが望ましい。これは、ピーク強度を定量的に測定する際、重なったピークを分離するためである。もちろん、これらを事前に把握できているのであれば、この操作を省略することができる。活物質含有層を物理的に剥離しても良いが、溶媒中で超音波をかけると剥離しやすい。このようにして回収した活物質含有層を測定することで、活物質の広角X線回折測定を行うことができる。
活物質含有層全体の組成は、例えば、以下の手順で測定することができる。
まず、先に説明した手順により、電池から、測定対象の電極を含んだ部材を取り出し、洗浄する。
洗浄した一部の部材を用いて、先に説明した方法により、活物質含有層に含まれる粒子の組成を特定する。
一方、洗浄した部材の他の一部を適切な溶媒中に入れて超音波を照射する。例えば、ガラスビーカー中に入れたエチルメチルカーボネートに電極を含む部材を入れ、超音波洗浄機中で振動させることで、集電体基板から活物質含有層を剥離することができる。次に、減圧乾燥を行い、剥離した活物質含有層を乾燥する。得られた活物質含有層を乳鉢などで粉砕することで、測定対象たる活物質、導電剤、結着剤などを含む粉末となる。この粉末を、酸で溶解することで、活物質を含む液体サンプルを作成できる。このとき、酸としては塩酸、硝酸、硫酸、フッ化水素などを使用できる。この液体サンプルを誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)発光分光分析に供することで、活物質含有層に含まれていた活物質における元素の濃度を知ることができる。
このとおり、活物質含有層に含まれている粒子について、SEM及びEDXによる組成の特定と、XRDによる結晶構造の特定と、ICP発光分光分析との結果を組み合わせることにより、粒子に含まれている化合物の組成及び結晶構造を特定することができる。
(炭素材料を含む相の確認方法)
チタン含有酸化物の粒子上に形成され得る相に含まれている炭素成分の結晶性を定量評価する手法としては、顕微ラマン測定装置を用いることができる。顕微ラマン装置としては、例えば、Thermo Fisher Scientific ALMEGAを用いることができる。測定条件は、例えば、測定光源の波長532nm、スリットサイズ25μm、レーザー強度10%、露光時間5s、積算回数10回とすることができる。
ラマン分光測定は、例えば、以下に説明する手順により行うことができる。
電池に組み込まれた材料を評価する場合、この電池をリチウムイオンが完全に脱離した状態にする。例えば、チタン含有酸化物が負極活物質として用いられている場合、電池を完全に放電状態にする。但し、放電状態でも残留したリチウムイオンが僅かに存在することがあり得る。
次に、アルゴンを充填したグローブボックス中で電池を分解し、電極を適切な溶媒で洗浄する。この際、例えばエチルメチルカーボネートなどを用いると良い。次に、洗浄した電極から活物質含有層を剥離し、試料を採取する。
採取した試料を用いて、例えば先に説明した条件により、ラマン分光測定を行う。
測定に際しては、集電体、並びに導電剤及び結着剤といった合剤に含まれる他の成分のラマン活性の有無及びそのピーク位置を把握しておく。重なっている場合は活物質材料以外の成分に関するピークを分離する必要がある。
活物質含有層において活物質材料(例えば、活物質粒子と炭素材料を含む相との複合粒子)が導電剤と混合されている場合、活物質材料に含まれる炭素材料と、導電剤として組み込まれた炭素材料を区別することが困難であることがあり得る。このような場合、両者を区別する方法の1つとして、例えば溶剤によって結着剤を溶解、除去した後、遠心分離を行なって、比重の大きい活物質材料を取り出す方法が考えられる。このような方法によると、活物質材料と導電剤とを分離することができるので、活物質材料に含まれていた炭素材料は、活物質材料に含まれた状態のまま、測定に供することができる。
或いは、顕微ラマン分光によるマッピングによって活物質材料由来のスペクトル成分からマッピングを実施して導電剤成分と活物質材料成分との切り分けを行い、その後活物質材料成分に対応するラマンスペクトルのみを抽出して評価する手法をとることもできる。
<製造方法>
実施形態に係る電極複合体は、例えば、次のようにして製造することができる。
(電極複合体の第1の製造方法)
集電体の表面及び裏面のうちの少なくとも一方に、チタン含有酸化物および結着剤を含むスラリー(以下、スラリーIとする)と、絶縁性粒子を含むスラリー(以下、スラリーIIとする)を同時に塗工する。スラリーIを塗布するのとほぼ同時期に、スラリーIIをスラリーIの塗布領域からはみ出すように重ね塗りする。スラリーIが乾く前にスラリーIにスラリーIIが重ね塗りされるため、スラリーIの表面形状にスラリーIIが追従しやすくなる。そして、スラリーIとスラリーIIとの界面に適度な凹凸を得ることができる。その後、スラリーを乾燥させた後、乾燥後の積層物(プレス前の活物質含有層および絶縁層がその上に形成された集電体)にロールプレスを施し、所定のサイズに裁断して電極複合体を得る。
スラリーIIは、結着剤を更に含むことができる。スラリーIにおける結着剤の含有量よりも結着剤の含有量が多いスラリーIIを用いることが望ましい。スラリーII中の結着剤含有量がスラリーI中の結着剤含有量と比較して多いと、スラリーIIを塗布した際、乾燥前のスラリーIの塗膜にスラリーIIの結着剤が浸透し得る。得られる電極複合体における活物質含有層の第2表面にスラリーIIからの結着剤が浸透していることで、活物質含有層における電解質に対する反応性を弱くすることができる。そのため、副反応を抑制でき、寿命性能を向上させることができる。
(電極複合体の第2の製造方法)
集電体の表面及び裏面のうちの少なくとも一方にスラリーIを塗布した後、スラリーIを乾燥させる。乾燥後の積層物(プレス前の活物質含有層がその上に形成された集電体)にエンボス加工のプレスを施し電極を得る。例えば、表面に溝または突起物が設けられているロールを用いて圧延(プレス)することができる。こうして、適度に凹凸が形成された第2表面を有する活物質含有層を得ることができる。得られた電極にスラリーIIを塗布して絶縁層を形成する。次いで、プレスを施しても良い。プレス方法としては、ロールプレスでもよく、平板プレスでもよい。得られた積層物(活物質含有層および絶縁層がその上に形成された集電体)を所定のサイズに裁断して電極複合体を得る。
結着剤を含むスラリーIIを用い、スラリーIIにおける結着剤の含有量をスラリーIにおける結着剤の含有量より多くすることが好ましい。スラリーII中の結着剤含有量が多いと、スラリーIIを塗布した際、活物質含有層の第2表面にスラリーIIの結着剤が浸透し得る。得られる電極複合体にて活物質含有層における電解質に対する反応性を弱くして、寿命性能を向上させることができる。
(電極複合体の第3の製造方法)
集電体の表面及び裏面のうちの少なくとも一方にスラリーIを塗布した後、スラリーIを乾燥させる。乾燥後の積層物(プレス前の活物質含有層がその上に形成された集電体)にロールプレスを施す。次いで、集電体上に形成された層の上に、追加のスラリーIを所望のパターンで塗布、例えばストライプ塗工した後、追加のスラリーIを乾燥させる。乾燥後の積層物にロールプレスを施し電極を得る。こうして、適度に凹凸が形成された第2表面を有する活物質含有層を得ることができる。得られた電極にスラリーIIを塗布して絶縁層を形成する。次いで、プレスを施しても良い。プレス方法としては、ロールプレスでもよく、平板プレスでもよい。得られた積層物(活物質含有層および絶縁層がその上に形成された集電体)を所定のサイズに裁断して電極複合体を得る。
パターン状に塗布する追加のスラリーIにおける結着剤の含有量を、集電体に先に塗布したスラリーIにおける結着剤の含有量より多くしてもよい。または、結着剤を含むスラリーIIを用い、スラリーIと比較して多い量で結着剤をスラリーIIに含有させて、スラリーIIの結着剤を活物質含有層の第2表面に浸透させてもよい。何れの場合も、得られる電極複合体にて活物質含有層における第2表面付近の領域(第1領域R)での結着剤含有量を多くできる。それにより、電解質に対する反応性を弱くして、寿命性能を向上させることができる。
(電極複合体の第4の製造方法)
集電体の表面及び裏面のうちの少なくとも一方にスラリーIを塗布した後、スラリーIを乾燥させる。続いて、何らプレスを実施しないまま、乾燥後の積層物(未プレス状態の活物質含有層がその上に形成された集電体)にスラリーIIを塗布して絶縁層を形成する。プレスしていない状態の活物質含有層の上に絶縁層を形成することで、適度な凹凸を有する界面を得ることができる。次いで、プレスを施しても良い。プレス方法としては、ロールプレスでもよく、平板プレスでもよい。得られた積層物(活物質含有層および絶縁層がその上に形成された集電体)を所定のサイズに裁断して電極複合体を得る。
結着剤を含むスラリーIIを用い、スラリーIIにおける結着剤の含有量をスラリーIにおける結着剤の含有量より多くすることが望ましい。スラリーII中の結着剤含有量がスラリーI中の結着剤含有量と比較して多いと、スラリーIIを塗布した際、乾燥後のスラリーIの塗膜(未プレス状態の活物質含有層)にスラリーIIの結着剤が浸透し得る。スラリーIの塗膜はプレスされていないため密度が低く、スラリーIIから結着剤が塗膜へ浸透しやすい。得られる電極複合体における活物質含有層の第2表面にスラリーIIからの結着剤が浸透していることで、活物質含有層における電解質に対する反応性を弱くすることができる。そのため、副反応を抑制でき、寿命性能を向上させることができる。
(炭素材料を含む相を含んだ複合粒子の製造方法)
炭素材料を含む相を、例えば、以下に説明する手順によりチタン含有酸化物の粒子の表面に形成することで、チタン含有酸化物の粒子の表面の少なくとも一部に炭素材料を含む相が形成されている複合粒子を製造することができる。
チタン含有酸化物を含む粒子を準備することと、当該粒子の表面に炭素含有化合物を含む相を形成させて、当該粒子と炭素含有化合物を含む相とを備えた複合体を作ることと、複合体を、不活性ガス雰囲気下で焼成することとを含む製造方法により、チタン含有酸化物を含む粒子とその表面の少なくとも一部に形成された炭素材料を含む相とを含んだ複合粒子を製造することができる。複合体の焼成は、650℃以上900℃未満の範囲内にある温度で行う。
チタン含有酸化物を含む粒子と、炭素含有化合物を含む相とを備えた複合体を、不活性雰囲気下で、650℃以上900℃未満の範囲内にある温度で焼成することにより、炭素含有化合物を含む相を、結晶性の高い炭素材料を含む相に変換することができる。結晶性の高い炭素材料を含むことにより、当該製造方法で得られる複合粒子は、高い電気伝導性を示すことができる。
また、複合体を上記温度範囲で焼成することにより、炭素含有化合物を含む相に含まれ得る水素などの他の成分を除去することができる。不純物の少ない又は不純物のない複合粒子は、非水電解質電池で用いられた際、非水電解質の副反応が進行することを防ぐことができる。
更に、複合体を上記温度範囲で焼成することより、炭素含有化合物中の炭素が還元剤として働くことを抑えることができる。その結果、例えば、ニオブチタン複合酸化物のようにNbを含む酸化物の粒子表面の還元分解を抑えて、NbO2の生成を抑制することができる。
これらの結果、レート性能及びサイクル性能が更に優れた電池を実現できる複合粒子(活物質粒子)を得ることができる。
650℃未満の温度で複合体の焼成を行うと、炭素材料の結晶性を十分に高めることができないため、電気伝導性が十分に確保できない。また、650℃未満の温度で複合体の焼成を行うと、炭素含有化合物中の他の成分を除去しきれない。このような成分が残っていると、電解質との副反応が進行し得る。そのため、上記焼成を650℃未満で行って製造した複合粒子を含む電池は、乏しいレート性能及びサイクル寿命を示す。
また、900℃よりも高い温度で複合体の焼成を行うと、炭素が還元剤として働きやすくなる。そうすると、例えば、ニオブチタン複合酸化物を用いた場合、当該チタン含有酸化物の粒子表面が還元分解され、その結果、NbO2が生成し得る。チタン含有酸化物粒子と炭素材料との界面にNbO2が存在する活物質粒子を含む電池は、活物質容量及びレート性能に劣る。また、この場合、炭素源とNb元素との反応が進行し、炭素間結合がグラファイト構造よりも不安定な非晶質炭素成分が優先的に酸化されることにより非晶質炭素量が減少する。
複合体の焼成は、700℃以上800℃以下の範囲内にある温度で行うことが好ましい。
チタン含有酸化物粒子の表面に形成する炭素含有化合物の相の状態は、特に限定されず、粒子全体を覆っても良いし、又は粒子の表面の一部に担持されても良い。より好ましくは、製造される複合粒子全体の電気伝導性を均質に補完すること、及び複合粒子(活物質粒子)の表面での非水電解質との反応を抑えることという2つの観点から、チタン含有酸化物粒子の表面全体を炭素含有化合物の相で被覆することが好ましい。
チタン含有酸化物粒子と炭素含有化合物の相とを含む複合体における炭素含有化合物の相の含有量は、チタン含有酸化物粒子に対して、0.1重量%以上10重量%以下、より好ましくは1重量%以上3重量%以下とすることが好ましい。この範囲内にすることにより、界面抵抗の増加によりLi拡散性が低下することを防ぐことができると共に、十分な導電性を補完することができる。
炭素含有化合物は、炭素骨格からなる環構造を2つ以上含む環式有機化合物であることが好ましい。このような化合物としては、例えば、スクロース、マルトース、グルコースなどの糖類、多糖類、ポリオレフィン類、ニトリル類、アルコール類、ベンゼン環を含む有機化合物、その他ピレン、ナフタレン、クリセンなどの芳香族炭化水素などが挙げられる。これらの環式有機化合物は、グラファイトと類似した構造を取ることから、還元雰囲気下で焼成した場合の炭化が容易であるため、このような化合物を含む相は、良好な導電性を持つ炭素材料に変換し得る。
複合体の焼成の際に用いる不活性ガスは、大量製造時のコストの観点から、窒素及び二酸化炭素からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
第1の実施形態に係る電極複合体は、集電体と、活物質含有層と、絶縁層とを含む。活物質含有層は、集電体の少なくとも1つの主面上に設けられている。また、活物質含有層は、集電体の主面と接する第1表面とこの第1表面に対し裏側にある第2表面とを有しており、更にチタン含有酸化物と結着剤とを含む。絶縁層は、活物質含有層の第2表面の上に設けられている。集電体と活物質含有層の第2表面との間の距離のうち、最大値と最小値との差が0.5μm以上10μm以下である。そして、活物質含有層のうち第2表面側の活物質含有層の厚さに対し20%厚さの第1領域における結着剤の含有量Bが、活物質含有層のうち集電体と第1領域との間の第2領域における結着剤の含有量Bより大きい。当該電極複合体は電池抵抗の上昇が抑制された電池を実現できる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係る電池は、第1の実施形態に係る電極複合体を具備する。
実施形態に係る電池において、電極複合体に含まれている集電体と活物質含有層は、電極を構成し得る。電池は、この電極に対する対極を更に含むことができる。対極は、絶縁層を介して活物質含有層の第2表面に対向する表面を有し得る。
一例では、実施形態に係る電池は、負極と、絶縁層と、正極とを含む。負極は、絶縁層とともに第1の実施形態に係る電極複合体(負極複合体)を構成し得る。正極は、負極に対する対極であり得る。負極と絶縁層と正極とは、電極群を構成することができる。つまり電極群は、負極複合体と正極とから構成され得る。電極群において、絶縁層は、負極と正極との間に位置し得る。負極と正極は、絶縁層により電気的に絶縁される。例えば、電極群は、スタック型の構造を有することができる。或いは、電極群は、捲回型の構造を有することができる。
電池は、電解質を更に含むことができる。電解質は、例えば、電極群に含浸された状態で保持され得る。
電池は、セパレータを更に含むことができる。セパレータは、例えば、電極群において絶縁層と隣接し得る。電極複合体として負極複合体を含む場合、絶縁層と正極との間にセパレータを設けることができる。
電池は、負極端子及び正極端子を更に含むことができる。負極端子は、その一部が負極の一部に電気的に接続されることによって、負極と外部端子との間で電子が移動するための導体として働くことができる。負極端子は、例えば、負極の集電体(負極集電体)、特に集電タブ(負極タブ)として機能する部分に接続することができる。同様に、正極端子は、その一部が正極の一部に電気的に接続されることによって、正極と外部回路との間で電子が移動するための導体として働くことができる。正極端子は、例えば、正極の集電体(正極集電体)、特に集電タブ(正極タブ)として機能する部分に接続することができる。
電池は、外装部材を更に具備することができる。外装部材は、電極群及び電解質を収容することができる。電解質は、外装部材内で、電極群に含浸され得る。正極端子及び負極端子のそれぞれの一部は、外装部材から延出させることができる。
実施形態に係る電池は、例えば、リチウムイオン二次電池であり得る。また、電池は、例えば、電解質として非水電解質を含んだ非水電解質電池を含む。
次に、第2の実施形態に係る電池が含むことができる各部材をより詳細に説明する。
(負極)
負極は、負極集電体と負極活物質含有層を含むことができる。
負極集電体として、例えば、第1の実施形態にて説明した集電体を用いることができる。
負極活物質含有層は、負極活物質を含むことができる。負極活物質は、チタン含有酸化物を含み得る。負極活物質含有層として、例えば、第1の実施形態にて説明した活物質含有層を用いることができる。
説明が重複するため、詳細な説明を省略する。
(正極)
正極は、正極集電体と正極活物質含有層を含むことができる。
正極集電体は、アルミニウム箔、又は、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、及びSiから選択される一以上の元素を含むアルミニウム合金箔であることが好ましい。
正極活物質含有層は、正極活物質、導電剤、及び結着剤を含むことができる。
正極活物質は、層状構造を有するLiuMeO2(Meは、Ni、Co、及びMnからなる群より選択される少なくとも1種)が挙げられる。例えば、リチウムニッケル複合酸化物(例えば、LiuNiO2)、リチウムコバルト複合酸化物(例えば、LiuCoO2)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えば、LiuNi1-sCos2)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えば、LiuMnsCo1-s2)、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(例えば、LiuNi1-s-tCosMnt2)、リチウムニッケルコバルトアルミニウム複合酸化物(例えば、LiuNi1-s-tCosAlt2)、また、スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(例えば、LiuMn24及びLiuMn2-sAls4)、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物(例えば、LiuFePO4、LiuMnPO4、LiuMn1-sFesPO4、LiuCoPO4)が挙げられる。上記において、0<u≦1であり、0≦s≦1であり、0≦t≦1であることが好ましい。活物質として、LiuMn24やLiuMn2-sAls4などのスピネル型リチウムマンガン複合酸化物を単独で用いてもよく、或いは、複数の化合物を組合せて用いてもよい。
高い入出力性能および優れた寿命性能を得やすいため、中でもスピネル型構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(LiuMn24やLiuMn2-sAls4)、リチウムコバルト複合酸化物(LiuCoO2)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(LiuNi1-sCos2)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(LiuMnsCo1-s2)、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(例えばLiuNi1-s-tCosMnt2)、又はオリビン構造を有するリチウムリン酸化物(例えば、LiuFePO4、LiuMnPO4、LiuMn1-sFesPO4、LiuCoPO4)を含むことが好ましい。上記において、0<u≦1であり、0≦s≦1であり、0≦t≦1であることが好ましい。
正極が含むことができる導電剤は、集電性能を高め、また、活物質と集電体との接触抵抗を抑える作用を有することができる。導電剤の例には、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノファイバー、及びカーボンナノチューブのような炭素質物が含まれる。炭素質物としては、これらのうちの1種を単独で用いてもよいし、或いは複数の炭素質物を用いてもよい。
結着剤は、活物質、導電剤及び集電体を結着させる作用を有することができる。結着剤の例には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、及びフッ素系ゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリル樹脂またはその共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリルなどが挙げられる。
正極活物質含有層中の正極活物質の総量、導電剤及び結着剤は、それぞれ80質量%以上95質量%以下、3質量%以上18質量%以下、及び2質量%以上17質量%以下の割合で配合することが好ましい。導電剤は、3質量%以上の量にすることにより上述した効果を発揮することができる。導電剤は、18質量%以下の量にすることにより高温保存下での導電剤表面での非水電解質の分解を低減することができる。結着剤は、2質量%以上の量にすることにより十分な電極強度が得られる。結着剤は、17質量%以下の量にすることにより、正極中の絶縁材料である結着剤の配合量を減少させ、内部抵抗を減少できる。
正極は、例えば次の方法により作製することができる。まず、正極活物質、導電剤及び結着剤を溶媒に懸濁してスラリーを調製する。このスラリーを正極集電体の片方の表面又は両方の表面に塗布し、塗膜を乾燥させる。次いで、乾燥させた塗膜をプレスに供することにより、正極活物質含有層を得ることができる。
(電解質)
電解質としては、例えば、液状非水電解質又はゲル状非水電解質を用いることができる。
液状非水電解質は、例えば、溶質として電解質塩を有機溶媒に溶解することにより調製することができる。電解質の濃度は、0.5mol/L以上2.5mol/L以下の範囲であることが好ましい。ゲル状非水電解質は、液状電解質と高分子材料とを複合化することにより調製される。
電解質塩の例には、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、及び、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム[LiN(CF3SO22]のようなリチウム塩が含まれる。電解質塩としては、これらの電解質塩のうちの1種を単独で用いてもよいし、又は2種類以上の電解質塩を組合せて用いることもできる。電解質塩は、LiPF6を含むことが好ましい。
有機溶媒の例には、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ビニレンカーボネートのような環状カーボネート;ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)のような鎖状カーボネート;テトラヒドロフラン(THF)、2メチルテトラヒドロフラン(2MeTHF)、ジオキソラン(DOX)のような環状エーテル;ジメトキシエタン(DME)、ジエトキシエタン(DEE)のような鎖状エーテル;アセトニトリル(AN)、及び、スルホラン(SL)が含まれる。有機溶媒としては、これらの溶媒のうちの1種を単独で用いてもよいし、又は2種類以上の溶媒を組合せて用いることもできる。
より好ましい有機溶媒の例には、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、及びメチルエチルカーボネート(MEC)よりなる群から選択される2種以上を混合した混合溶媒が含まれる。このような混合溶媒を用いることによって、充放電サイクル性能の優れた電池を得ることができる。また、電解質には、他の化合物を添加することもできる。
(セパレータ)
セパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、セルロース及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)のような材料から形成された多孔質フィルム、合成樹脂製不織布等を用いることができる。さらに多孔質フィルムに無機化合物を塗布したセパレータも使用できる。
(外装部材)
外装部材としては、例えば、ラミネートフィルム製の袋状容器又は金属製容器を用いることができる。
形状としては、特に限定されないが、扁平型、角型、円筒型、コイン型、ボタン型、シート型、積層型等が挙げられる。なお、無論、携帯用電子機器等に積載される小型電池用の外装部材の他、二輪乃至四輪の自動車等に積載される大型電池用の外装部材でも良い。
ラミネートフィルムとしては、例えば、樹脂フィルム間に金属層を挟み込んだ多層フィルムを用いることができる。或いは、金属層と、金属層を被覆する樹脂層とからなる多層フィルムを用いることもできる。
金属層は、軽量化のためにアルミニウム箔もしくはアルミニウム合金箔が好ましい。樹脂フィルムには、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、及びポリエチレンテレフタレート(PET)のような高分子材料を用いることができる。ラミネートフィルムは、熱融着によりシールを行って外装部材の形状に成形することができる。ラミネートフィルムは、肉厚が0.2mm以下であることが好ましい。
金属製容器は、アルミニウム又はアルミニウム合金から形成されることができる。アルミニウム合金は、マグネシウム、亜鉛及びケイ素のような元素を含むことが好ましい。一方、鉄、銅、ニッケル、クロム等の遷移金属の含有量は100ppm以下にすることが好ましい。これにより、高温環境下での長期信頼性、放熱性を飛躍的に向上させることが可能となる。金属製容器は、肉厚が0.5mm以下であることが好ましく、肉厚が0.2mm以下であることがより好ましい。
(正極端子)
正極端子は、例えばリチウムの酸化還元電位に対する電位が3.0V以上4.5V以下の範囲において電気的に安定であり、且つ導電性を有する材料から形成される。アルミニウム、又はMg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu及びSiのような元素を含むアルミニウム合金から形成されることが好ましい。正極端子は、正極集電体との接触抵抗を低減するために、正極集電体と同様の材料から形成されることが好ましい。
(負極端子)
負極端子は、リチウムの酸化還元電位に対する電位が0.8V以上3.0V以下の範囲において電気的に安定であり、かつ導電性を有する材料から形成される。アルミニウム、又は、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、Siのような元素を含むアルミニウム合金から形成されることが好ましい。負極端子は、負極集電体との接触抵抗を低減するために、負極集電体と同様の材料から形成されることが好ましい。
次に、第2の実施形態に係る幾つかの例の電池を、図面を参照しながら具体的に説明する。
図2は、実施形態に係る電池の一例を概略的に示す断面図である。図3は、図2に示す電池のA部を拡大した断面図である。
図2及び図3に示す電池10は、図2に示す袋状外装部材2と、図2及び図3に示す電極群3と、図示しない電解質とを具備する。電極群3及び電解質は、袋状外装部材2内に収納されている。電解質(図示しない)は、電極群3に保持されている。
袋状外装部材2は、2つの樹脂層とこれらの間に介在した金属層とを含むラミネートフィルムからなる。
図2に示すように、電極群3は、扁平状の捲回型電極群である。扁平状で捲回型である電極群3は、図3に示すように、負極複合体1と正極4とを含む。
負極複合体1は、負極5と絶縁層6とを含む。負極5は、負極集電体5aと負極活物質含有層5bとを含む。負極複合体1のうち、捲回型の電極群3の最外殻に位置する部分は、図3に示すように負極集電体5aの内面側のみに負極活物質含有層5bが形成されている。また、この部分では、負極活物質含有層5bの内面側にのみ絶縁層6が形成されている。負極複合体1におけるその他の部分では、負極集電体5aの両面に負極活物質含有層5b及び絶縁層6が形成されている。
正極4は、正極集電体4aと、その両面に形成された正極活物質含有層4bとを含んでいる。
各絶縁層6は、負極活物質含有層5bと正極活物質含有層4bとの間に配置されている。
図2に示すように、負極端子8及び正極端子7は、捲回型の電極群3の外周端近傍に位置している。この負極端子8は、負極集電体5aの最外殻に位置する部分に接続されている。また、正極端子7は、正極集電体4aの最外殻に位置する部分に接続されている。これらの負極端子8及び正極端子7は、袋状外装部材2の開口部から外部に延出されている。袋状外装部材2の内面には、熱可塑性樹脂層が設置されており、これが熱融着されていることにより、開口部が閉じられている。
実施形態に係る電池は、前述した図2及び図3に示す構成のものに限らず、例えば図4および図5に示す構成にすることができる。
図4は、実施形態に係る他の一例の電池の概略部分切欠き斜視図である。図4は、図4のB部の拡大断面図である。
図4及び図5に示す電池10は、図4及び図5に示す電極群3と、図4に示す外装部材2と、図示しない電解質とを具備する。電極群3及び電解質は、外装部材2内に収納されている。電解質は、電極群3に保持されている。
外装部材2は、2つの樹脂層とこれらの間に介在した金属層とを含むラミネートフィルムからなる。
電極群3は、図4に示すように、積層型の電極群である。積層型の電極群3は、正極4と負極複合体1とをその間にセパレータ9を介在させながら交互に積層した構造を有している。
電極群3は、複数の負極複合体1を含んでいる。複数の負極複合体1は、それぞれが負極5と、負極5の両面に設けられた絶縁層6とを備える。それぞれの負極複合体1の各負極5は、負極集電体5aと、負極集電体5aの両面に担持された負極活物質含有層5bとを備える。また、電極群3は、複数の正極4を含んでいる。複数の正極4は、それぞれが、正極集電体4aと、正極集電体4aの両面に担持された正極活物質含有層4bとを備えている。
各負極5の負極集電体5aは、その一辺において、いずれの表面にも負極活物質含有層5b及び絶縁層6が担持されていない部分5cを含む。この部分5cは、負極集電タブとして働く。図5に示すように、負極集電タブとして働く部分5cは、正極4と重なっていない。また、複数の負極集電タブ(部分5c)は、帯状の負極端子8に電気的に接続されている。帯状の負極端子8の先端は、外装部材2の外部に引き出されている。
また、図示しないが、各正極4の正極集電体4aは、その一辺において、いずれの表面にも正極活物質含有層4bが担持されていない部分を含む。この部分は、正極集電タブとして働く。正極集電タブは、負極集電タブ(部分5c)と同様に、負極複合体1と重なっていない。また、正極集電タブは、負極集電タブ(部分5c)に対し電極群3の反対側に位置する。正極集電タブは、帯状の正極端子7に電気的に接続されている。帯状の正極端子7の先端は、負極端子8とは反対側に位置し、外装部材2の外部に引き出されている。
第2の実施形態に係る電池は、第1の実施形態に係る電極複合体を含む。そのため、電池では、電池抵抗の上昇が抑制されている。
[第3の実施形態]
第3の実施形態によると、電池パックが提供される。この電池パックは、第2の実施形態に係る電池を具備する。
実施形態に係る電池パックは、複数の電池を備えることもできる。複数の電池は、電気的に直列に接続することもできるし、又は電気的に並列に接続することもできる。或いは、複数の電池を、直列及び並列の組み合わせで接続することもできる。
例えば、電池パックは、第2の実施形態に係る電池を5つ具備することもできる。これらの電池は、直列に接続されることができる。また、直列に接続された電池は、組電池を構成することができる。すなわち、実施形態に係る電池パックは、組電池を具備することもできる。
実施形態に係る電池パックは、複数の組電池を具備することができる。複数の組電池は、直列、並列、又は直列及び並列の組み合わせで接続することができる。
実施形態に係る電池パックを図6及び図7を参照して詳細に説明する。単電池には、図1及び図2に示す扁平型電池を使用することができる。
図6は、実施形態に係る電池パックの一例を概略的に示す分解斜視図である。図7は、図6に示す電池パック20の電気回路の一例を示すブロック図である。
前述した図1及び図2に示す扁平型電池から構成される複数の単電池21は、外部に延出した負極端子8及び正極端子7が同じ向きに揃えられるように積層され、粘着テープ22で締結することにより組電池23を構成している。これらの単電池21は、図7に示すように互いに電気的に直列に接続されている。
プリント配線基板24は、負極端子8及び正極端子7が延出する単電池21側面と対向して配置されている。プリント配線基板24には、図7に示すようにサーミスタ25、保護回路26及び外部機器への通電用端子27が搭載されている。なお、組電池23と対向する保護回路基板24の面には組電池23の配線と不要な接続を回避するために絶縁板(図示せず)が取り付けられている。
正極側リード28は、組電池23の最下層に位置する正極端子7に接続され、その先端はプリント配線基板24の正極側コネクタ29に挿入されて電気的に接続されている。負極側リード30は、組電池23の最上層に位置する負極端子8に接続され、その先端はプリント配線基板24の負極側コネクタ31に挿入されて電気的に接続されている。これらのコネクタ29及び31は、プリント配線基板24に形成された配線32及び配線33を通して保護回路26に接続されている。
サーミスタ25は、単電池21の温度を検出し、その検出信号は保護回路26に送信される。保護回路26は、所定の条件で保護回路26と外部機器への通電用端子27との間のプラス側配線34a及びマイナス側配線34bを遮断できる。所定の条件とは、例えばサーミスタ25の検出温度が所定温度以上になったときである。また、所定の条件とは単電池21の過充電、過放電、過電流等を検出したときである。この過充電等の検出は、個々の単電池21若しくは組電池23全体について行われる。個々の単電池21を検出する場合、電池電圧を検出してもよいし、正極電位もしくは負極電位を検出してもよい。後者の場合、個々の単電池21中に参照極として用いるリチウム電極が挿入される。図6及び図7の場合、単電池21それぞれに電圧検出のための配線35を接続し、これら配線35を通して検出信号が保護回路26に送信される。
正極端子7及び負極端子8が突出する側面を除く組電池23の三側面には、ゴムもしくは樹脂からなる保護シート36がそれぞれ配置されている。
組電池23は、各保護シート36およびプリント配線基板24と共に収納容器37内に収納される。すなわち、収納容器37の長辺方向の両方の内側面と短辺方向の内側面それぞれに保護シート36が配置され、短辺方向の反対側の内側面にプリント配線基板24が配置される。組電池23は、保護シート36およびプリント配線基板24で囲まれた空間内に位置する。蓋38は、収納容器37の上面に取り付けられている。
なお、組電池23の固定には粘着テープ22に代えて、熱収縮テープを用いてもよい。この場合、組電池の両側面に保護シートを配置し、熱収縮テープを周回させた後、熱収縮テープを熱収縮させて組電池を結束させる。
図6及び図7では単電池21を直列接続した形態を示したが、電池容量を増大させるためには並列に接続してもよい。組み上がった電池パックを直列及び/又は並列に接続することもできる。
また、実施形態に係る電池パックは、様々な形態の第2の実施形態に係る電池を具備することができる。
第3の実施形態に係る電池パックは、第2の実施形態に係る電池を含む。そのため、電池パックでは、電池抵抗の上昇が抑制されている。
[実施例]
以下、実施例を説明する。
(実施例1)
<作製>
[正極の作製]
正極活物質として、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物LiNi0.6Co0.2Mn0.2を用意した。この活物質と、導電剤としてのアセチレンブラックと、結着剤としてのポリフッ化ビニリデンとを、質量比90:5:5の割合で混合した。かくして得られた混合物を溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドンに投入した。これをプラネタリミキサで混練及び攪拌し、正極スラリーを作製した。この正極スラリーを厚み12μmのアルミニウム箔の表裏に塗布し、乾燥した。正極スラリーを塗布する際、アルミニウム箔の表裏に一部未塗工部分ができるようにした。その後ロールプレスで圧延を行い、正極を作製した。
[負極複合体の作製]
負極活物質として、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物NbTiOを準備した。準備した活物質の平均二次粒子径(d1)は、10μmだった。この活物質と、導電剤としてのグラファイトと、結着剤としてのCMCとSBRとを、質量比80:15:1:4の割合で混合した。かくして得られた混合物を溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドンに投入した。これをプラネタリミキサで混練及び攪拌し、負極スラリーを作製した。
これとは別に、絶縁性粒子としてAl2O3を用意した。用意した絶縁性粒子の平均粒径(d2)は1μmだった。この絶縁性粒子と、結着剤としてのCMCとSBRとを、質量比93:1:6の割合で混合した。かくして得られた混合物を溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドンに投入した。これをプラネタリミキサで混練及び攪拌し、絶縁性粒子スラリーを作製した。
先に説明した電極複合体の第1の製造方法に沿って、負極スラリー(スラリーI)と絶縁性粒子スラリー(スラリーII)とを厚み12μmのアルミニウム箔の表裏に塗布し、乾燥した。2種のスラリーを同時塗工する際、アルミニウム箔の表裏に一部未塗工部分ができるようにした。その後ロールプレスで圧延を行い、負極複合体を作製した。
[電極群の作製]
正極と負極複合体を積層させた。得られた積層体を捲回した後、プレスすることにより扁平状の捲回型電極群を作製した。
[電解質の調製]
エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを1:1で混合して、非水溶媒を調整した。この非水溶媒に、電解質としての六フッ化リン酸リチウムLiPF6を1mol/Lの濃度となるように溶解させた。かくして、非水電解液が得られた。
以上のとおり電解質を調製した。
[電池の作製]
上記の電極群と電解質を用いて、図2に示す電池と同様な電池を作製した。
(実施例2)
負極活物質として、平均二次粒子径が1.5μmである単斜晶型ニオブチタン複合酸化物NbTiOを用いたことを除き、実施例1と同様にして電池を作製した。
(実施例3)
負極活物質として、平均二次粒子径が20μmである単斜晶型ニオブチタン複合酸化物NbTiOを用いたことを除き、実施例1と同様にして電池を作製した。
(実施例4)
先に説明した電極複合体の第4の製造方法に沿って、負極複合体を作製した。
実施例1で作製したと同様の負極スラリー及び絶縁性粒子スラリーを作製した。負極スラリーを厚み12μmのアルミニウム箔の表裏に塗布し、乾燥した。負極スラリーを塗布する際、アルミニウム箔の表裏に一部未塗工部分ができるようにした。負極スラリーを乾燥させた塗膜に絶縁性粒子スラリーを塗布し、乾燥した。絶縁性粒子スラリーは、アルミニウム箔の表裏に形成した両側の塗膜に塗布した。その後ロールプレスで圧延を行い、負極複合体を作製した。
(実施例5)
先に説明した電極複合体の第2の製造方法に沿って、負極複合体を作製した。
実施例1で作製したと同様の負極スラリー及び絶縁性粒子スラリーを作製した。負極スラリーを厚み12μmのアルミニウム箔の表裏に塗布し、乾燥した。負極スラリーを塗布する際、アルミニウム箔の表裏に一部未塗工部分ができるようにした。
次いで、乾燥後の塗膜に対し、溝のついたロールを用いてプレスを実施した。アルミニウム箔の表裏に形成した両側の塗膜をプレスした。続いて、両側の塗膜に絶縁性粒子スラリーを塗布し、乾燥した。その後ロールプレスで圧延を行い、負極複合体を作製した。
得られた負極複合体を用いたことを除き、実施例1と同様にして電池を作製した。
(実施例6)
負極スラリーにおける活物質と、導電剤と、結着剤CMCと、結着剤SBRとの混合割合を81.5:15:1:2.5変更した。また、絶縁性粒子スラリーにおける絶縁性粒子と、結着剤CMCと、結着剤SBRとの混合割合を93:1:6に変更した。
これらのスラリーを用いたことを除き、実施例1と同様にして電池を作製した。
(実施例7)
負極スラリーにおける活物質と、導電剤と、結着剤CMCと、結着剤SBRとの混合割合を76:15:2:7に変更した。また、絶縁性粒子スラリーにおける絶縁性粒子と、結着剤CMCと、結着剤SBRとの混合割合を90:2:8に変更した。
これらのスラリーを用いたことを除き、実施例1と同様にして電池を作製した。
(実施例8)
直方晶型チタン含有複合酸化物Li4Na1.6Ti5.6Nb0.4O14を準備した。負極活物質としてこの直方晶型チタン含有複合酸化物を単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の代わりに用いたことを除き、実施例1と同様にして電池を作製した。
(実施例9)
絶縁性粒子としてLi7La3Zr2O12を用意した。用意した絶縁性粒子の平均粒径(d2)は2μmだった。絶縁性粒子としてこのLi7La3Zr2O12をAl2O3の代わりに用いたことを除き、実施例1と同様にして電池を作製した。
(実施例10)
絶縁性粒子としてTiO2を用意した。用意した絶縁性粒子の平均粒径(d2)は2μmだった。絶縁性粒子としてこのLi7La3Zr2O12をTiO2の代わりに用いたことを除き、実施例1と同様にして電池を作製した。
(実施例11)
負極スラリーに用いた2種の結着剤CMC及びSBRの代わりに、PVdFを単独で用いた。活物質、導電剤、及び結着剤PVdFは、質量比80:15:5の割合で混合した。また、絶縁性粒子スラリーに用いた2種の結着剤CMC及びSBRの代わりに、PVdFを単独で用いた。絶縁性粒子および結着剤PVdFは、質量比93:7の割合で混合した。
これらの変更を除き、実施例1と同様にして電池を作製した。
(実施例12)
負極スラリーにおける活物質と、導電剤と、結着剤CMCと、結着剤SBRとの混合割合を81.5:15:1:2.5に変更した。また、絶縁性粒子スラリーにおける絶縁性粒子と、結着剤CMCと、結着剤SBRとの混合割合を93:2:8に変更した。
これらのスラリーを用いたことを除き、実施例1と同様にして電池を作製した。
(実施例13)
スピネル型チタン酸リチウムLi4Ti5O12を準備した。負極活物質としてこの直方晶型チタン含有複合酸化物を単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の代わりに用いたことを除き、実施例1と同様にして電池を作製した。
(比較例1)
負極活物質として、平均二次粒子径が1μmである単斜晶型ニオブチタン複合酸化物NbTiOを用いたことを除き、実施例1と同様にして電池を作製した。
(比較例2)
負極活物質として、二次粒子を形成していない一次粒子状の単斜晶型ニオブチタン複合酸化物NbTiOを準備した。平均一次粒子径は1.5μmだった。
この負極活物質を用いたことを除き、実施例1と同様にして電池を作製した。
(比較例3)
負極活物質として、平均二次粒子径が30μmである単斜晶型ニオブチタン複合酸化物NbTiOを用いたことを除き、実施例1と同様にして電池を作製した。
(比較例4)
負極スラリーにおける活物質と、導電剤と、結着剤CMCと、結着剤SBRとの混合割合を80:15:1:4に変更した。また、絶縁性粒子スラリーにおける絶縁性粒子と、結着剤CMCと、結着剤SBRとの混合割合を95:1:4に変更した。
これらのスラリーを用いたことを除き、実施例1と同様にして電池を作製した。
(比較例5)
負極活物質として、平均二次粒子径が3μmである単斜晶型ニオブチタン複合酸化物NbTiOを用いた。また、絶縁性粒子として、平均粒径が5μmであるAl2O3を用いた。
これらの変更を除き、実施例1と同様にして電池を作製した。
<測定>
各実施例および各比較例について、先に説明した方法により、絶縁層の膜厚を測定した。
また、先に説明した方法により、負極集電体(アルミニウム箔)から負極活物質含有層の第2表面までの最大距離(D1MAX)と最短距離(D1min)との差ΔD1を測定した。
先に説明した方法により、負極活物質含有層の第1領域R及び第2領域RにおけるC面積強度またはF面積強度を測定した。実施例1−10及び実施例12、並びに比較例1−5については、C面積強度を測定した。実施例11については、F面積強度を測定した。測定結果から、第1領域R及び第2領域Rにおける面積強度の比を算出した。先に説明したとおり、XPS測定で得られる面積強度比(C/C、又はF/F)は、第1領域R中の結着剤量Bと第2領域R中の結着剤量Bとの比B/Bに対応する。
<評価試験>
(充放電サイクル試験)
各実施例および各比較例で作製した電池に対し、以下の充放電サイクル試験を行った。
サイクル試験は45℃の温度条件で行い、充放電を500サイクル実施した。各サイクルにおいて、1C電流で電池電圧が3.0Vに到達するまで定電流充電し、さらに定電圧充電を続け電流値が0.05Cに収束したところで充電をカットした後、1C電流で定電流放電し、電池電圧が1.0Vに到達したときに放電をカットした。
また、サイクル試験の前後に、それぞれの電池の交流抵抗(AC抵抗)を測定した。電池をSOC50%に調整した後、25℃環境下で1kHzの交流を流した際の電池抵抗を測定した。
測定した交流抵抗の値から、サイクル試験後の抵抗上昇率[抵抗上昇率=(サイクル試験後の交流抵抗/サイクル試験前の交流抵抗)×100%]を算出した。
表1に、各実施例および各比較例における負極活物質含有層の詳細(負極活物質の組成、活物質粒子の平均二次粒子径d1、及び結着剤の組成)及び絶縁層の詳細(絶縁性粒子の材料、絶縁性粒子の平均粒径d2、結着剤の組成、及び絶縁層の膜厚)をまとめる。また、表2に、各実施例および各比較例における活物質粒子の平均二次粒子径d1と絶縁性粒子の平均粒径d2との比d1/d2、集電体から第2表面までの距離の最大値D1MAXと最小値D1minとの差ΔD1、XPS測定の結果(第1領域R及び第2領域Rのそれぞれにおける面積強度、並びに面積強度比C/C又はF/F)、及び評価試験の結果(サイクル試験前の交流抵抗、及びサイクル試験後の抵抗上昇率)をまとめる。
Figure 0006965434
Figure 0006965434
表2が示すとおり、各実施例にて作製した電池と比較して、各比較例で作製した電池では交流抵抗が高かった。また、各実施例にて作製した電池では、500サイクルの充放電を繰り返した後も、抵抗上昇率が少なかったことが分かる。これに対し、各比較例にて作製した電池では、繰り返し充放電した後の抵抗上昇率が高かった。
比較例1、比較例2、及び比較例5では、負極集電体と負極活物質含有層の第2表面との間の距離の最大値D1MAXと最小値D1minとの差ΔD1が小さかった。このことから、第2表面と絶縁層との界面がほぼ平坦で、第2表面の表面積が少ないことに起因して電池抵抗が高かったと推察される。
比較例3では、差Δ1が大きかった。このことから、第2表面における凹部に対応する部分にて絶縁層が厚くなった結果、電池抵抗が高かったと推察される。
比較例4では、負極活物質含有層における第1領域RにおけるC面積強度(C)と第2領域RにおけるC面積強度(C)との面積強度比(C/C)が1だった。このことは、第1領域Rと第2領域Rとの間の結着剤含有量の比B/Bが1だったことを意味し、活物質含有層における結着剤の分布が均一であることを示す。比較例4では、電解質に対する負極活物質含有層の反応性を抑制することができず、電池抵抗が上昇してしまったと推察される。
(貯蔵試験)
実施例1、実施例8、及び実施例13で作製した電池に対し、以下の貯蔵試験を行った。
先ず、各電池の放電容量を測定した。25℃1Cで定電流充電し、3.0V到達後に電流値が0.05Cとなるまで充電することでSOC100%に調整した。この際、充電容量を測定した。
これらの電池を55℃環境下で1か月間貯蔵した。その後、貯蔵後の電池を25℃に2時間置くことで冷却し、1Cで1.0Vに到達するまで放電することで放電容量を測定した。
貯蔵前の充電容量から貯蔵後の放電容量への変化量を評価した。詳細には、貯蔵前の充電容量に対する貯蔵後の充電容量の割合を残存容量として評価した(残存容量 = [貯蔵後の放電容量]/[貯蔵前の充電容量] × 100%)。
Figure 0006965434
表3が示すとおり、実施例1及び実施例8における残存容量が、実施例13の残存容量と比較して高かった。このことから、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物Nb2TiO7を用いた実施例1及び直方晶型チタン含有複合酸化物Li4Na1.6Ti5.6Nb0.4O14を用いた電池では、スピネル型チタン酸リチウムをLi4Ti5O12用いた電池よりも自己放電が少なかったことが確認できた。
以上に説明した少なくとも一つの実施形態および実施例に係る電極複合体は、集電体と、活物質含有層と、絶縁層とを含む。活物質含有層は、集電体の少なくとも1つの主面上に設けられており、集電体の主面と接する第1表面とこの第1表面に対し裏側にある第2表面とを有している。活物質含有層は、チタン含有酸化物と結着剤とを含む。絶縁層は、第2表面の上に設けられている。集電体と第2表面との間の距離のうち最大値と最小値との差が0.5μm以上10μm以下である。活物質含有層のうち第2表面側の活物質含有層の厚さに対し20%厚さの第1領域における結着剤の含有量Bが、活物質含有層のうち集電体と第1領域との間の第2領域における結着剤の含有量Bよりも多い。そのため、電極複合体は、電池抵抗の上昇が抑制された電池、及びこの電池を含む電池パックを実現できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 集電体と、
前記集電体の少なくとも1つの主面上に設けられており、前記集電体の前記主面と接する第1表面と前記第1表面に対し裏側にある第2表面とを有しており、チタン含有酸化物と結着剤とを含む活物質含有層と、
前記第2表面の上に設けられている絶縁層とを具備し、
前記集電体と前記第2表面との間の距離のうち最大値と最小値との差が0.5μm以上10μm以下であり、
前記活物質含有層のうち前記第2表面側の前記活物質含有層の厚さに対し20%厚さの第1領域における前記結着剤の含有量B が、前記活物質含有層のうち前記集電体と前記第1領域との間にある第2領域における前記結着剤の含有量B より多い電極複合体。
[2] 前記差が0.5μm以上2μm以下である、[1]に記載の電極複合体。
[3] 前記含有量B と前記含有量B との比B /B が1.2≦B /B ≦9の範囲内にある、[1]又は[2]に記載の電極複合体。
[4] 前記活物質含有層は前記チタン含有酸化物を含んだ活物質粒子を含んでおり、
前記絶縁層は絶縁性粒子を含んでおり、
前記活物質粒子の平均二次粒子径d1と前記絶縁性粒子の平均粒径d2との比d1/d2が1<d1/d2≦20の範囲内にある、[1]乃至[3]の何れか1つに記載の電極複合体。
[5] [1]乃至[4]の何れか1つに記載の電極複合体を具備する電池。
[6] 前記絶縁層を介して前記第2表面と対向する表面を有する対極を更に具備する、[5]に記載の電池。
[7] 前記電極複合体は負極を含む負極複合体であり、前記対極は正極である、[6]に記載の電池。
[8] [5]乃至[7]の何れか1つに記載の電池を具備する電池パック。

Claims (8)

  1. 集電体と、
    前記集電体の少なくとも1つの主面上に設けられており、前記集電体の前記主面と接する平滑な第1表面と前記第1表面に対し裏側にある第2表面とを有しており、チタン含有酸化物を含んだ活物質粒子と結着剤とを含む活物質含有層と、
    前記第2表面の上に設けられており絶縁性粒子を含む絶縁層とを具備し、
    前記活物質粒子の平均二次粒子径d1は1.5μm以上20μm以下であり、前記絶縁性粒子の平均粒径d2は0.3μm以上5μm以下であり、
    前記第2表面は凹凸を有し、
    前記集電体と前記第2表面との間の距離のうち最大値と最小値との差が0.5μm以上10μm以下であり、
    前記活物質含有層のうち前記第2表面側の前記活物質含有層の厚さに対し20%厚さの第1領域における前記結着剤の含有量Bが、前記活物質含有層のうち前記集電体と前記第1領域との間にある第2領域における前記結着剤の含有量Bより多い電極複合体。
  2. 前記差が0.5μm以上2μm以下である、請求項1に記載の電極複合体。
  3. 前記含有量Bと前記含有量Bとの比B/Bが1.2≦B/B≦9の範囲内にある、請求項1又は2に記載の電極複合体。
  4. 前記平均二次粒子径d1と前記平均粒径d2との比d1/d2が1<d1/d2≦20の範囲内にある、請求項1乃至3の何れか1項に記載の電極複合体。
  5. 請求項1乃至4の何れか1項に記載の電極複合体を具備する電池。
  6. 前記絶縁層を介して前記第2表面と対向する表面を有する対極を更に具備する、請求項5に記載の電池。
  7. 前記電極複合体は負極を含む負極複合体であり、前記対極は正極である、請求項6に記載の電池。
  8. 請求項5乃至7の何れか1項に記載の電池を具備する電池パック。
JP2020508892A 2018-03-30 2018-03-30 電極複合体、電池、及び電池パック Active JP6965434B2 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2018/013918 WO2019187127A1 (ja) 2018-03-30 2018-03-30 電極複合体、電池、及び電池パック

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2019187127A1 JPWO2019187127A1 (ja) 2021-01-07
JP6965434B2 true JP6965434B2 (ja) 2021-11-10

Family

ID=68059683

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020508892A Active JP6965434B2 (ja) 2018-03-30 2018-03-30 電極複合体、電池、及び電池パック

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6965434B2 (ja)
WO (1) WO2019187127A1 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112234165A (zh) * 2020-11-23 2021-01-15 珠海冠宇电池股份有限公司 负极片和锂离子电池
CN214043710U (zh) * 2020-12-28 2021-08-24 珠海冠宇电池股份有限公司 一种正极片及锂离子电池
CN114530576B (zh) * 2022-01-29 2024-05-24 宁德新能源科技有限公司 一种负极极片、包含该负极极片的电化学装置和电子装置
TW202404902A (zh) 2022-07-27 2024-02-01 格斯科技股份有限公司 鈦鈮複合氧化物、其製備方法、應用其之活性物質及鋰離子二次電池
WO2024087880A1 (zh) * 2022-10-26 2024-05-02 珠海冠宇电池股份有限公司 电极组件和电池

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014211945A (ja) * 2011-08-30 2014-11-13 パナソニック株式会社 非水系二次電池用電極板およびこれを用いた非水系二次電池
JP5935684B2 (ja) * 2012-12-25 2016-06-15 株式会社豊田自動織機 蓄電装置の製造方法
JP2015002008A (ja) * 2013-06-13 2015-01-05 株式会社豊田自動織機 活物質層上に形成された保護層を具備する電極
JPWO2015198519A1 (ja) * 2014-06-26 2017-04-20 株式会社豊田自動織機 蓄電装置用電極、蓄電装置及び蓄電装置用電極の製造方法
WO2016104782A1 (ja) * 2014-12-26 2016-06-30 積水化学工業株式会社 電極製造方法、電極及び二次電池
JP6470081B2 (ja) * 2015-03-19 2019-02-13 株式会社東芝 負極及び非水電解質電池
WO2016163114A1 (ja) * 2015-04-10 2016-10-13 株式会社豊田自動織機 非水電解質二次電池用正極及び非水電解質二次電池

Also Published As

Publication number Publication date
WO2019187127A1 (ja) 2019-10-03
JPWO2019187127A1 (ja) 2021-01-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6965434B2 (ja) 電極複合体、電池、及び電池パック
JP5230713B2 (ja) 電池用活物質、非水電解質電池及び電池パック
EP3145000B1 (en) Electrode, nonaqueous electrolyte battery, battery pack and vehicle
JP6659282B2 (ja) 電池用活物質、負極、非水電解質電池、電池パック及び車
JP2013164934A (ja) 電池用活物質、非水電解質電池及び電池パック
JP6668478B2 (ja) 非水電解質電池及び電池パック
JP6571284B2 (ja) 電極、非水電解質電池及び電池パック
CN111758179B (zh) 正极、电极组及非水电解质电池
JP6965435B2 (ja) 電極、電池及び電池パック
JPWO2020110260A1 (ja) 電極、電池、及び電池パック
US20200403219A1 (en) Electrode group, battery, and battery pack
WO2018020669A1 (ja) 非水電解質電池及び電池パック
JP6325678B2 (ja) 非水電解質二次電池およびそれを備えた電池パック
JP6952876B2 (ja) 電極群、電池、及び電池パック
JP6992162B2 (ja) 電池及び電池パック
WO2018020670A1 (ja) 非水電解質電池及び電池パック
JP7106749B2 (ja) 電極、電池、及び電池パック
JP7068439B2 (ja) 電極複合体、電池及び電池パック
WO2020208718A1 (ja) 電極、電極群、電池、及び電池パック
JPWO2019193692A1 (ja) 活物質、電極、非水電解質電池及び電池パック
JP2015046400A (ja) 電池用活物質、非水電解質電池及び電池パック

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200717

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210706

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210831

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210921

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211020

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6965434

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151