JP6964977B2 - ワイパー動作検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ワイパー動作検出装置に関する。
車両には、降雨時にウィンドウのガラス面に付着する雨滴を払拭するためのワイパーが設置されている。ワイパーは、運転者の操作によって動作速度等を段階的に変更できるようになっているが、運転者の操作に拠らずに、降雨状況の変化に応じてワイパーの動作を自動的に制御する技術が提案されている。例えば、雨滴センサをガラス面に設置して、雨天時にガラス面に付着する雨滴の量を検出し、雨滴の量に応じてワイパーの動作速度等を調節する(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、ワイパーの動作中には、ワイパーに払拭された雨滴がガラス面上を移動する。雨が激しくなっているのに、雨滴センサの検出領域から雨滴が払拭されることや、雨量が減少したにも関わらず検出領域に雨滴が集中することがある。そのような場合、雨滴センサの検出結果は、降雨状況の変化を的確に反映したものではなくなる。
そこで、ワイパーモータの出力するパルス信号を取得してワイパーの動作を検出し、検出結果を降雨状況の変化の判定に用いる技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平04−349053号公報 特開2009−090804号公報
しかしながら、ワイパーモータの出力するパルス信号からワイパーの動作を検出するためには、ワイパーモータと接続するためのコネクタやハーネス等の部品や、パルス信号を解析するためのハードウェアおよびソフトウェアを備えた装置が必要となり、コストがかかる。
本発明は、簡易かつコストを低減した構成で、ワイパーの動作を検出することができるワイパー動作検出装置を提供することを目的とする。
本発明のワイパー動作検出装置は、車両のガラス面に面して設置され、当該ガラス面に沿って往復動するワイパーが通過する領域の照度を検出する光センサと、
前記ワイパーの動作を検出する動作検出部と、を備え、
前記動作検出部は、
前記ワイパーが前記領域を通過するたびに前記光センサが検出する照度が一時的に低下するのを検出すると共に、前記照度の一時的な低下の間隔周期を、前記ワイパーの実際の動作周期として取得し、取得した前記間隔周期と基準動作周期との差が閾値以下である場合、前記ワイパーが正常に動作している判定する。

本発明によれば、光センサの検出領域にワイパーが通過して生じる照度の低下時間を検出すると共に、低下時間の間隔に基づいた間隔周期からワイパーの動作を判定することができる。光センサは、ヘッドライトの点灯制御のために、予め車両に設置されていることも多い。そのため、例えば、ワイパーモータの出力するパルス信号からワイパーの動作を検出する場合に比べて、専用の部品やハードウェア、ソフトウェアの導入の必要がない。これによって、簡易かつコストを低減したワイパー動作検出装置を提供することができる。また、ワイパーの動作の検出結果から、降雨状況の変化に応じてワイパーの動作を変更したり、ワイパーの異常を検出したりすることができ、車両の安全性、快適性を向上させることができる。
車両に設置されたワイパーの構成と動作を示す模式図である。 実施の形態にかかるワイパー動作検出装置の構成を示すブロック図である。 センサ部の構成を示す平面図である。 光センサの構成を説明する図である。 (A)は雨滴センサの構成を説明する図であり、(B)は雨滴センサによる雨滴の検出原理を説明する図である。 ワイパー動作検出装置における処理を説明するフローチャートである。 ワイパーの動作による光センサの出力値の変化の一例を示す図である。 遅延時間マップを説明する説明図である。 変形例1にかかるワイパー動作検出装置の構成を示すブロック図である。 雨滴センサの受光素子の出力値の変化の一例を示す図である。 ワイパー払拭水マップを説明する説明図である。 補正係数マップを説明する説明図である。 判断マップを説明する説明図である。
以下、本発明の実施の形態に係るワイパー動作検出装置を説明する。ワイパー動作検出装置は、車両に設置されたワイパーの動作を検出するものである。まず、車両に設置されたワイパーについて説明する。
図1は、車両に設置されたワイパーの構成と動作を示す模式図である。
図1に示すように、車両のワイパーWは、ガラス面を払拭するワイパーアームWAと、ワイパーアームWAを駆動するワイパーモータWMを備えている。ワイパーアームWAは、ガラス面を払拭しながら初期位置P1から反転位置P2まで移動した後に、反転位置P2から初期位置P1に戻る往復動作を行う。
ワイパーには複数の動作モードが設けられている。動作モードによって、ワイパーの動作速度と間欠時間が異なるように設定されている。間欠時間とは、一回の往復動作から次の往復動作までの間に設けられた、ワイパーの動作をオフになる時間である。ワイパーの一回の往復動作とその後の間欠時間を合わせた時間を、ワイパーの動作の一周期とする。
動作モードの種類は特定のものに限定されないが、例えば、ワイパーが低速運転で間欠時間も比較的長い「間欠運転モード」、ワイパーは低速運転だが間欠時間が比較的短い「低速運転モード」、ワイパーが高速運転で間欠時間も比較的短い「高速運転モード」、ワイパーが高速運転で間欠時間がほとんどない「連続運転モード」等がある。
運転者は、不図示のワイパースイッチを操作して、動作モードを指定する。ワイパーの動作の制御は、車載プロセッサCPによって行われる。車載プロセッサCPは、運転者が指定した動作モードにしたがって、ワイパーモータWMに駆動信号を出力して、ワイパーの動作速度と間欠時間を制御する。ワイパーモータWMは駆動信号に従って、ワイパーアームWAを動作させる。車載プロセッサCPは、例えばヘッドライト、ナビゲーション装置等の他の車載設備の制御も行うが、ここでは説明は省略する。
次に、ワイパー動作検出装置の構成について説明する。
図2は、実施の形態にかかるワイパー動作検出装置のブロック図である。
図2に示すように、ワイパー動作検出装置1は、通信部10、センサ部20、動作検出部50、動作変更判断部80および警報部90を備える。
通信部10は、車載プロセッサCPと有線または無線により通信を行う。車載プロセッサCPは、ワイパーの動作を開始させる際と停止させる際に、通信部10にワイパーの動作開始通知と動作停止通知を送信する。ワイパーの動作開始通知は、ワイパーを動作させる動作モードの通知を含む。また、詳しくは後述するが、通信部10は、動作変更判断部80の判断結果を、車載プロセッサCPに送信する。
センサ部20は、照度を測定する光センサ30と、雨滴を検出する雨滴センサ40とを備える。
図3は、センサ部20の構成を示す平面図である。図4は、光センサ30の構成を説明する図である。図5の(A)は、雨滴センサ40の構成を説明する図である。図5の(B)は、雨滴センサ40による雨滴の検出原理を説明する図である。なお、図4および図5の(A)はセンサ部20を取り付けたガラス面Gの断面方向から見た図であるが、わかりやすくするために光センサ30および雨滴センサ40を模式的に示しており、図3に示した光センサ30および雨滴センサ40の寸法とは一致していない。
図3に示すように、センサ部20は、筐体21の内部に光センサ30と雨滴センサ40を一体的に収容したものである。筐体21は板状のブラケット22とドーム状のカバー23を組み合わせたものである。図4に示すように、光センサ30は、筐体21の外部の可視光を集光するレンズ31と、レンズ31が集光した可視光をそれぞれ受光する前方受光素子32および上方受光素子33を備えている。図5の(A)に示すように、雨滴センサ40は、赤外光を照射する発光素子41と、赤外光を受光する受光素子42と、プリズム43(後記板状部43aと導光部43b)を備えている。プリズム43は、発光素子41が照射した赤外光をガラス面Gに導き、ガラス面Gで反射された赤外光を受光素子42に導くものである。
図3に示すように、センサ部20は、可視光を用いる光センサ30と、赤外光を用いる雨滴センサ40が同じ筐体21に収容されている。そのため、光センサ30と雨滴センサ40は、互いが用いる可視光または赤外光が、それぞれの動作を干渉しないように筐体21の内部に配置される。
図3および図5の(A)に示すように、雨滴センサ40のプリズム43は、矩形の板状部43aと、板状部43aの一面に取り付けられた導光部43bとを有している。図示は省略しているが、板状部43aの導光部43bの取り付け面と対向する面には、赤外光のみを透過する黒色フィルタが貼付されている。筐体21のブラケット22の中央には矩形の貫通孔が形成され、板状部43aがこの貫通孔に嵌め込まれる。板状部43aは、導光部43bの取り付け面が筐体21の内部に面し、黒色フィルタが貼付された面が筐体21の外部に露出するように配置される。雨滴センサ40の発光素子41および受光素子42は、導光部43bの直下に配置されている。
プリズム43の板状部43aの角の近傍であって、導光部43bの取り付け部分から離れた領域が角丸長方形に打ち抜かれている。その領域に光センサ30のレンズ31が嵌め込まれる。図4に示すように、レンズ31の直下に前方受光素子32および上方受光素子33が配置されている。レンズ31、前方受光素子32および上方受光素子33の周囲はカバー部材34に覆われている。雨滴センサ40のプリズム43に黒色フィルタが貼付されているので、筐体21の内部には赤外光のみが透過するようになっている。光センサ30のレンズ31が嵌め込まれた部分には可視光が透過するが、光センサ30がカバー部材34で覆われていることによって、雨滴センサ40の発光素子41および受光素子42には可視光が到達しない。
図4および図5の(A)に示すように、センサ部20は車両のフロントウィンドウのガラス面Gに取り付ける。その際、プリズム43の板状部43aに不図示の光透過性の接着シートを貼り付ける。板状部43aを、接着シートを介して車両内側のガラス面Gに密着させ、車両の外方に向くように配置する。センサ部20は、二本組のワイパーのいずれか一方が通過する領域であって、かつ運転者の視界を塞がない位置に配置する。例えば、センサ部20は、フロントウィンドウの上方の、バックミラーの近傍に配置しても良い。
次に、光センサ30と雨滴センサ40のそれぞれの具体的な構成を説明する。図4に示すように、光センサ30のレンズ31は、前方受光素子32に可視光を導く前方光導光部31aと、上方受光素子33に可視光を導く上方光導光部31bを一体に構成している。レンズ31は、ガラス面Gの屈折率と同等な屈折率を持つものを用いる。
前方光導光部31aおよび上方光導光部31bともに、ガラス面Gに密着する上面は平面である。前方光導光部31aの筐体21の内部に位置する下面は凸面となっており、前方光導光部31aは凸レンズを形成している。前方光導光部31aの光軸は、車両前方からガラス面Gに入射し、筐体21の内部で車両後方に向かう。一方、上方光導光部31bの筐体21の内部に位置する下面は凹面となっており、上方光導光部31bは凹レンズを形成する。上方光導光部31bの光軸は、車両上方からガラス面Gに入射し、筐体21の内部に入ると、車両前方の、前方光導光部31aの光軸から離間する方向に進む。
前方受光素子32は前方光導光部31aの光軸上に配置される。これにより、前方受光素子32は、車両前方の、円錐をなす視野範囲α(°)から、光を受光する。上方受光素子33は上方光導光部31bの光軸上に配置される。これにより、上方受光素子33は車両上方の、円錐をなす視野範囲β(°)からの光を受光する。視野範囲αと視野範囲βは重ならないように設定してある。前方受光素子32および上方受光素子33は、受光量に応じたレベルの受光信号(電気信号)を生成する。すなわち、光センサ30は、前方受光素子32および上方受光素子33により、車両の前方の照度と上方の照度を検出するものである。
図5の(A)に示すように、雨滴センサ40の発光素子41は、照射した赤外光がガラス面Gに対して所定角度をもって入射するように配置されている。受光素子42は、ガラス面Gで反射された赤外光を受光するために、反射された赤外光の光路上に配置されている。発光素子41には、図示しない発光制御部からパルス信号が入力される。発光素子41は、パルス信号により規定される所定周期毎に検知面Dに向けて光を照射する。検知面Dに雨滴Sなどが付着していないと、発光素子41が照射した赤外光は、プリズム43の導光部43bによって誘導され、板状部43aを透過してガラス面Gに到達し、ガラス面Gにおいて所定の大きさの検知面Dで反射する。検知面Dで反射した反射光は、板状部43aを透過して、導光部43bによって受光素子42に誘導される。受光素子42は、受光量に応じたレベルの受光信号(電気信号)を生成する。
図5の(B)に示すように、検知面Dに雨滴Sなどが付着していると、発光素子41から照射された光は雨滴Sにより一部拡散されるので、受光素子42の受光量が検知面Dに付着した雨滴Sの量に応じて減少する。したがって、受光素子42は、検知面Dに付着した雨滴Sに応じて異なるレベルの出力を与える。この際、検知面Dに付着する雨滴の量が多いほど出力値は小さくなるので、受光素子42の出力値に基づいて、検知面Dに付着した雨滴の量を検出できる。
なお、ここでは、センサ部20として、光センサ30と雨滴センサ40を一体的に備えたものを用いているため、雨滴センサ40の構成についても説明した。しかしながら、実施の形態では、光センサ30の出力値のみをワイパー動作検出装置1の処理に使用する例を説明する。よって、センサ部20は、光センサ30のみを備えたものを用いても良い。
図4および図5の(A)に示すように、センサ部20の筐体21の内部には基板24が設置されている。図示は省略するが、基板24には、プロセッサ、メモリ、通信回路等が配置されている。プロセッサがメモリに記憶されたプログラムを実行することで、図1に示したワイパー動作検出装置1の機能構成を実現する。メモリは、また、ワイパー動作検出装置1の処理に必要な情報を記憶している。なお、ここでは詳細な説明は省略するが、センサ部20のプロセッサは、ワイパー動作検出装置1以外の機能構成を実現するものであっても良い。例えば、プロセッサは光センサ30の出力値からヘッドライトの点灯の要否を判断しても良い。また、ワイパー動作検出装置1の機能構成を実現するプロセッサは、必ずしもセンサ部20の基板24に設置されたプロセッサで実現する必要は無く、別のプロセッサで実現しても良く、あるいはセンサ部20のプロセッサと別のプロセッサを組み合わせても良い。
図2の動作検出部50は、光センサ30の検出する照度に基づいて、ワイパーの動作を検出する。動作検出部50は、光センサ30の前方受光素子32および上方受光素子33のうち、前方受光素子32の検出する照度を用いる。動作検出部50は、車載プロセッサCPからワイパーの動作開始通知を受信すると、ワイパーの通過によって光センサ30が検出する照度が一時的に低下する時間(以下、「低下時間」という)を検出する。動作検出部50は、検出した低下時間の間隔に基づいた間隔周期から、ワイパーの動作を判定する。
具体的には、動作検出部50は、一つの低下時間と、その低下時間の二つ先の低下時間との間隔周期を測定し、測定した間隔周期とワイパーの基準動作周期との差を算出する。動作検出部50は、間隔周期と基準動作周期の差が閾値以下であった場合に、ワイパーが動作していると判定する。
動作検出部50は、ワイパーが動作していると判定した場合は、算出した差を遅延時間として動作変更判断部80に入力する。動作検出部50は、ワイパーが動作していると判定できない場合は、判定結果を警報部90に入力する。
動作検出部50は、車載プロセッサCPからワイパーの動作停止通知を受信した場合にも、ワイパーの動作の判定を行う。動作検出部50は、ワイパーの動作停止通知を受信した後に、ワイパーの動作を判定した場合には、判定結果を警報部90に入力する。
警報部90は、動作検出部50から入力があると、ワイパーの異常を報知する警報信号を生成する。生成した警報信号は、通信回路を介して車載プロセッサCPに送信する。車載プロセッサCPは、警報信号を受信すると、運転者にワイパーの異常を報知する。報知の態様は、特定のものに限られないが、例えばワイパーの異常を報知するランプを設け、そのランプを点灯させても良い。あるいは、ナビゲーション装置のディスプレイに、ワイパーの異常の通知を表示させても良い。あるいは、警報信号を車載プロセッサCPに送信する代わりに、ワイパー動作検出装置1自体に、警報部90として、例えばランプやブザー音等を備え、ランプを点灯させたり、ブザーを鳴動させて、異常を報知するようにしても良い。ランプやブザーは、例えば、センサ部20の筐体21に設置しても良い。
動作変更判断部80は、動作検出部50が入力したワイパーの遅延時間に基づいて、ワイパー動作の変更の要否を判断する。動作変更判断部80は、判断結果を車載プロセッサCPに送信する。車載プロセッサCPは、動作変更判断部80における判断結果に基づいて、ワイパー動作の変更などを行う。動作の変更には、動作速度の変更、動作モードの変更、ワイパーの動作の停止等が含まれる。
以下、ワイパー動作検出装置1で行われる処理の詳細を説明する。
図6は、ワイパー動作検出装置1における処理を説明するフローチャートである。
図6に示すように、車載プロセッサCPからワイパーの動作開始通知を受信すると(ステップS101)、動作検出部50は、ワイパーの動作を検出する処理を開始する。
動作検出部50は、ワイパーの動作を検出するために、センサ部20の光センサ30の、前方受光素子32が出力する照度を参照する。
図7は、ワイパーの動作による光センサ30の出力値の変化の一例を示した図である。
図7のグラフの実線は、光センサ30の出力値を示す。図7の下側の破線は、ワイパーを駆動させる際にワイパーモータWMが出力するパルス信号を示す。パルス信号がオンになっているときに、ワイパーは図1に示した往復動作を行う。パルス信号がオフになっているときは、往復動作の間の間欠時間である。
一方、光センサ30の出力値を見ると、ワイパーの動作中に、照度が一時的に下がる時間(t1、t2、t3、t4)が、間欠的に繰り返し現れる。図1に示すように、ワイパーが動作する際には、光センサ30の検出領域DAを通過する。ワイパーの通過の際に検出領域DAの光が一時的に遮られ、光センサ30が検出する照度も一時的に低下する。ワイパーが動作を継続することによって、照度が一時的に低下する時間が、間欠的に連続する。
ここで、ワイパーモータWMのパルス信号を見ると、パルス信号のオン時間ONT1とオフ時間OFTを足した時間が、ワイパーの動作周期WTとなる。一方、光センサ30の出力値を見ると、パルス信号のオン時間には、照度の低下時間が、それぞれ2回ずつ現れる。ワイパーは、初期位置P1から反転位置P2の間を往復動する間に、光センサ30の検出領域DAを2回通過する。そのため、1回のオン時間における照度の低下時間は2回となる。そして、1つのオン時間ONT1に現れる最初の低下時間t1と、次のオン時間ONT2に現れる最初の低下時間t3の間隔は、ワイパーの動作周期WTと同じになる。
すなわち、光センサ30の照度の低下時間を検出すると共に、ある低下時間とその低下時間から二つ先の低下時間の間隔の周期(間隔周期)を測定し、その間隔周期がワイパーの動作周期に当てはまるものであるかを判断することで、ワイパーが動作しているかを判定することができる。
具体的な処理としては、動作検出部50は、ワイパーの動作開始通知を受信すると(ステップS101)、光センサ30の出力値から、ワイパーの通過によって照度が一時的に低下する低下時間を検出する(ステップS102)。
光センサ30の照度が低下する要因としては、天候の変化やトンネルへの進入等、ワイパーの通過以外のものも考えられる。そこで、ワイパーが通過する際の照度の低下時間(例えば5ms)や照度の低下率(例えば20%)等を予め測定実験やシミュレーション等を行って求めておき、閾値としてメモリに記憶させておく。動作検出部50は、光センサ30が随時出力する照度をこれらの閾値と比較することにより、低下時間の検出行う。
動作検出部50は、低下時間を検出すると(ステップS102:Yes)、検出した低下時間について間隔周期を測定する(ステップS103)。動作検出部50は、最初に検出した低下時間とその二つ先の低下時間の間隔を測定したら、次に、二番目に検出した低下時間とその二つ先の低下時間の間隔を測定する。このように、動作検出部50は検出した低下時間に対して、順次、二つ先の低下時間との間隔を測定することで、間隔周期の測定を行う。
動作検出部50は、ステップS103で測定した間隔周期を基準動作周期と比較し、その差が閾値以下である場合(ステップS104:Yes)に、ワイパーが動作していると判定する(ステップS105)。基準動作周期は、ワイパーの動作周期の基準値である。基準動作周期は、予め測定実験やシミュレーション等を行って決定し、メモリに記憶させておく。ワイパーの動作周期は動作モードごとに異なるため、基準動作周期も動作モードごとに設ける。動作検出部50は、ワイパーの動作開始通知に示される動作モードに対応する基準動作周期をメモリから取得する。間隔周期と基準動作周期の差との比較に用いる閾値は、基準動作周期と実際のワイパーの動作周期との誤差の最大許容値を示す。前記したように、ワイパーの動作速度と間欠時間は、動作モードに応じた一定の値が、予め設定されている。動作速度と間欠時間が常に一定であれば、間隔周期も一定となる。しかしながら、ガラス面Gワイパーの実際の動作速度は必ずしも一定にならず、結果として間隔周期も一定にならないことがある。
その要因として、降雨状況によるガラス面Gの状態の変化がある。例えば、雨が激しく、ガラス面Gが雨滴で十分濡れていると、ガラス面GとワイパーアームWAの摩擦が小さくなり、ワイパーの動作速度は速くなる傾向がある。その場合は、低下時間の間隔周期は短くなる。一方、小雨となってガラス面Gの雨滴の量が少なくなると、ガラス面GとワイパーアームWAの摩擦が増大してワイパーの動作速度が遅くなる傾向がある。その場合は、低下時間の間隔周期も長くなる。
このように、ガラス面Gの状態の変化によって間隔周期と基準動作周期には誤差が生じる。ただし、ワイパーモータWMの異常によっても、間隔周期と基準動作周期の差が大きくなることが考えられる。ワイパーモータWMに異常があると、ワイパーが動作モードで設定された動作速度とかけ離れた速度で動作する可能性がある。そこで、ガラス面Gの状態の変化による間隔周期の変化の範囲を予め測定して求め、基準動作周期との差の最大値を閾値として設定する。そして、間隔周期と基準動作周期の差がその閾値以下である場合に、動作検出部50はワイパーが動作していると判定する。このような閾値の設定によって、動作検出部50は、単にワイパーが動作しているかだけでなく、ワイパーが動作モードに従って正常に動作しているかを判定する。
また、ワイパーの動作以外の要因によって、単発的に、間隔周期と基準動作周期の差が閾値以下になることも考えられる。あるいは、橋げたの下を通過するような場合に、間隔周期と基準動作周期の差が閾値以下になる状態が短期的に連続することも考えられる。そこで、間隔周期の測定と基準動作周期との比較を、所定回数(例えば30回)以上行って、ワイパーの動作を判定するようにしても良い。所定回数の比較において、間隔周期と基準動作周期の差がすべて閾値以下であった場合に、動作検出部50はワイパーが動作していると判定しても良い。あるいは所定回数の中で、間隔周期と基準動作周期の差が閾値以下である割合が、例えば80%程度であれば、動作検出部50は、ワイパーが動作していると判定しても良い。
ステップS105においてワイパーの動作を判定した場合、ステップS103で測定した間隔周期は、ワイパーの実際の動作周期を示すものである。すなわち、間隔周期と基準動作周期の差は、ワイパーの遅延時間を示す。ただし、間隔周期と基準動作周期の差が、ワイパーの遅延時間を意味するのは、間隔周期が基準動作周期よりも長い場合である。ガラス面Gの状態によって間隔周期が基準動作周期よりも短くなることもあるが、その場合はワイパーの動作に遅延は生じていない。そこで、動作検出部50は、間隔周期が基準動作周期より長い場合(ステップS106:Yes)は、ステップS105で算出した差を、遅延時間として動作変更判断部80に出力する(ステップS107)。間隔周期が基準動作周期より短ければ(ステップS106:No)、動作検出部50は、遅延時間を0として動作変更判断部80に出力する(ステップS108)。
動作検出部50においてワイパーの動作を判定できなかった場合、すなわちステップS102で低下時間が検出されない場合、またはステップS104で間隔周期と基準動作周期の差が閾値を超えた場合、車載プロセッサCPからワイパーの動作開始通知を受信したにも関わらず、ワイパーが動作していないか、動作モードに従って正常に動作していない可能性がある。動作検出部50は、判定結果を警報部90に出力する。
動作変更判断部80は、動作検出部50が入力した遅延時間に基づいて、ワイパーの動作変更を判断する(ステップS109)。
前記したように、小雨となってガラス面Gの雨滴の量が少なくなると、ガラス面GとワイパーアームWAの摩擦が増大してワイパーの動作速度が遅くなる傾向がある。その場合は、遅延時間も長くなる。すなわち、遅延時間の長さは、ワイパーを停止させるまたは速度を低下させる判断の基準となる。
動作変更の具体的な判断基準は、特定のものに限られず、適宜設定することができる。例えば、ワイパーの遅延時間が所定の閾値よりも長くなった場合に、ワイパーを停止させるようにしても良い。あるいは、閾値を段階的に設け、ワイパーの動作の停止だけでなく、動作モードの変更等の判断を行うようにしても良い。
また、例えば、メモリに図8に示すような遅延時間マップを記憶させておき、動作変更判断部80は、この遅延時間マップを参照して動作の変更を判断しても良い。
図8に示すように、遅延時間マップでは、ワイパーの遅延時間とワイパー遅延レベルの関係が規定されている。ワイパー遅延レベルとは、ワイパーの遅延時間の程度(レベル)を段階的に評価する指数である。動作変更判断部80は、動作検出部50が入力した遅延時間が、遅延時間マップにおいてどのワイパー遅延レベルに該当するかを特定する。動作変更判断部80は、例えば、遅延時間が20msである場合はワイパー遅延レベルが「1」と特定し、90msである場合は「5」と特定する。動作変更判断部80は、例えば、ワイパー遅延レベルが「8」以上に該当する場合はワイパーを停止し、「4」以上「8」未満の場合はワイパーの速度を低下させ、「3」未満の場合は動作の変更を行わない判断を行っても良い。
動作変更判断部80は、ワイパーの動作の停止または速度の変更を判断した場合は、判断結果を、通信部10を介して車載プロセッサCPに送信する。車載プロセッサCPは、ワイパーモータWMへの駆動信号の出力を中止して、ワイパーを停止させるように制御を行う。また、ワイパーを停止させる際に、ワイパー動作検出装置1の通信部10にワイパーの動作停止通知を送信する。
動作検出部50は、ワイパーの動作停止通知を受信するまで(ステップS110:No)、ステップS102〜S109の処理を繰り返す。動作検出部50は、ワイパーの動作停止通知を受信すると(ステップS110:Yes)、所定時間ワイパーの動作の判定処理を行う(ステップS111)。ワイパーの動作停止通知に示すとおり、ワイパーが正常に動作を停止していることを確認するためである。判定の処理はステップS102〜S105と同様である。動作検出部50は、ワイパーが動作していない判定した場合(ステップS111:No)、処理を終了する。一方、動作検出部50は、ワイパーが動作していると判定した場合(ステップS111:Yes)、車載プロセッサCPからワイパーの動作停止通知を受信したにも関わらず、ワイパーの動作が停止していないため、ワイパーモータWMに異常が生じている可能性がある。この場合、動作検出部50は判定結果を警報部90に出力する。
ステップS102またはステップS104、ステップS111において、動作検出部50が判定結果を警報部90に出力した場合、警報部90は警報信号を生成し、通信部10を介して車載プロセッサCPに送信する(ステップS112)。
以上の通り、実施の形態に係るワイパー動作検出装置1は、
(1)車両のガラス面Gに面して設置され、ガラス面Gに沿って往復動するワイパーが通過する領域の照度を検出する光センサ30と、ワイパーの通過によって光センサ30が検出する照度が一時的に低下する低下時間を検出すると共に、低下時間の間隔に基づいた間隔周期からワイパーの動作を判定する動作検出部50と、を備える。
光センサ30の検出領域DAにワイパーが通過すると、検出照度が一時的に低下する低下時間が間欠的に現れる。この低下時間を検出すると共に、低下時間の間隔に基づいた間隔周期から、ワイパーの動作を判定することができる。光センサ30は、ヘッドライトの点灯制御のために、予め車両に設置されていることも多い。そのため、例えば、ワイパーモータWMの出力するパルス信号からワイパーの動作を検出する場合に比べて、コネクタやワイヤハーネス等の部品やハードウェア、ソフトウェアの導入の必要がない。これによって、簡易かつコストを低減したワイパー動作検出装置を提供することができる。また、ワイパーの動作の検出から、降雨状況の変化に応じてワイパーの動作を変更したり、ワイパーの異常を検出したりすることができ、車両の安全性、快適性を向上させることができる。
(2)動作検出部50は、ワイパーの動作を制御する車載プロセッサCP(制御装置)から入力されたワイパーの動作開始通知に応じて、ワイパーの動作の判定を行い、動作検出部50によってワイパーの動作が判定されなかった場合に、ワイパーの異常を報知する警報部90を備える。
車載プロセッサCPからワイパーの動作開始通知が入力されているのに、動作検出部50がワイパーの動作を判定できない場合は、ワイパーモータWMの異常が考えられる。そのような場合に、警報を出力することによって、運転者はワイパーの異常を速やかに知ることができる。
(3)車載プロセッサCPからワイパーの動作停止通知を入力された後に、動作検出部50によってワイパーの動作が判定された場合に、ワイパーの異常を報知する警報部90を備える。
車載プロセッサCPからワイパーの動作停止通知が入力されているのに、ワイパーが動作している場合は、ワイパーモータWMの異常が考えられる。そのような場合に、警報を出力することによって、運転者はワイパーの異常を速やかに知ることができる。
(4)動作検出部50は、低下時間と、その低下時間の二つ先の低下時間との間隔周期に基づいて、ワイパーの動作を判定する。
ワイパーは、ガラス面Gを往復動する一回の動作周期において、検出領域DAを2回通過することになる。そのため、ある低下時間から二つ先の低下時間までの間隔周期が、ワイパーの動作周期と同じになる。このように、低下時間の間隔周期に基づいてワイパーの動作を容易に判定することができる。
(5)動作検出部50は、間隔周期と基準動作周期の差が閾値以下である場合に、ワイパーが動作していると判定し、
ワイパー動作検出装置1は、間隔周期と基準動作周期との差が閾値を超える場合に、ワイパーの異常を報知する警報部90を備える。
算出した低下時間の間隔周期と、基準動作周期の差が大きすぎる場合には、降雨状況の変化による遅延ではなく、ワイパーモータWMに異常が発生している可能性が高い。そのような場合に、警報を出力することによって、運転者はワイパーの異常を速やかに知ることができる。
(6)動作検出部50は、間隔周期と基準動作周期の差が閾値以下である場合に、ワイパーが動作していると判定し、ワイパー動作検出装置1は、間隔周期と基準動作周期の差(遅延時間)に基づいて、ワイパーの動作の変更の要否を判断する動作変更判断部80をさらに備える。具体的には、動作変更判断部80は、間隔周期と基準動作周期の差(遅延時間)が所定時間よりも長い場合に、ワイパーの動作の停止を判断する。
ガラス面Gが雨滴で十分濡れているときには、水が潤滑剤として作用してワイパーの動作速度が速くなる傾向がある。一方、雨滴が減少すると、ワイパーとガラス面Gとの摩擦が増大してワイパーの動作速度が遅くなる傾向がある。すなわち、降雨状態の変化などによりガラス面Gに付着する雨滴の量が減少すると、減少量に応じて間隔周期が延びて基準動作周期との差が大きくなり、ワイパーの遅延時間が増大する。
よって、ワイパーの遅延時間を算出することで、ガラス面Gに付着する雨滴の量に影響をあたえる降雨状況の変化を判定することができる。この降雨状況の変化に基づいて、ワイパーの動作を停止する、遅くするなどのワイパー動作の変更の要否を判断することで、ワイパーの的確な制御を行うことができる。
(7)基準動作周期は、ワイパーの動作速度および間欠時間をそれぞれに異ならせた複数の動作モードに応じて予め決定する。車載プロセッサCPから入力されるワイパーの動作開始通知には、ワイパーを動作させる動作モードの通知が含ませる。動作検出部50は、ワイパーの動作開始通知が示す動作モードに応じた基準動作周期と間隔周期の差を算出する。
基準動作周期を動作モードに応じて予め決定しておくことで、動作検出部50は動作モードに対応した基準動作周期を用いて間隔周期との比較を行うことができ、的確にワイパーの異常を的確に検出し、または遅延時間を算出することができる。
(8)光センサ30は、車両前方の照度を検出する前方受光素子32と、車両上方の照度を検出する上方受光素子33とを備え、動作検出部50は、前方受光素子32が検出する照度の低下時間を検出することにより、ワイパーの動作を判定する。
前記したように、光センサ30は、ヘッドライトの点灯制御のために、予め車両に設置されていることも多い。ヘッドライトの点灯制御に用いる光センサ30は、前方受光素子32と上方受光素子33を備えるものがある。二つの受光素子のうち、前方受光素子32のみをワイパーの動作の検出に用いることで、すみやかな検出が可能となる。
[変形例1]
実施の形態では、光センサ30の出力値から算出したワイパーの遅延時間のみに基づいて、ワイパーの動作の変更の要否を判断した。変形例1では、雨滴センサ40の出力値から、ワイパーが払拭した雨滴(水)の量を求め、遅延時間と組み合わせてワイパーの動作の変更の要否を判断する例を説明する。雨滴センサ40は、実施の形態で説明したように、センサ部20の筐体21に光センサ30と一体的に収容されたものを用いる。
図9は、変形例1にかかるワイパー動作検出装置の構成を示すブロック図である。変形例1のワイパー動作検出装置1は、実施の形態の構成に加えて、ワイパー水測定部70を備える。ワイパー水測定部70は、雨滴センサ40の受光素子42の出力値から、ワイパーが払拭した水の量を測定する。
図10は、雨滴センサ40の受光素子42の出力値の変化の一例を示す図である。
ワイパーがガラス面Gの表面に設定した雨滴センサ40の検知面D(図5の(B)参照)を通過すると、検知面Dに付着した雨滴がワイパーにより払拭されて検知面Dでの光の反射条件が大きく変化する。このため、受光素子42の出力値はワイパーの通過時に大きく変化する。
図10の場合、符号A、Bで示す点線枠内の受光素子42の出力値の変化が、ワイパーの通過を示している。前記したように、ワイパーは初期位置P1と反転位置P2の間を往復移動している。符号Aで示す点線枠内の出力値の変化は、ワイパーの初期位置P1から反転位置P2までの移動(往路移動)に起因する変化である。符号Bで示す点線枠内の出力値の変化はワイパーの反転位置P2から初期位置P1までの移動(復路移動)に起因する変化である。
ワイパーは、ガラス面Gに付着した雨滴をかき集めながら移動する。そのため、ワイパーが検知面Dの上を通過する際の受光素子42の出力値は、かき集められた水により一旦低下したのち、ワイパーが通過して雨滴の払拭が完了した時点で急激に上昇する。よって、符号aで示す点の出力値は、かき集められた水が検知面Dの上に位置するときの出力値である。符号bで示す点の出力値は、払拭が完了したときの出力値である。
ここで、点aにおける出力値と点bにおける出力値の差(図中、符号Cで示す)が、ワイパーが払拭した水の量にほぼ相当するので、符号aで示す点の出力値に基づき雨滴の量を求めると、ワイパーが払拭した水の量が判る。
ワイパー水測定部70は、ワイパーの往路移動の際の受光素子42の出力値のうち、最も値の小さい出力値(図中、符号aで示す)を評価値として決定し、決定した評価値と、一回前のワイパーの往路移動の際の評価値とを比較する。
そして、今回の評価値のほうが前回の評価値よりも大きい場合(ワイパーが払拭した水の量が減少した場合)、今回の評価値から前回の評価値を減算して評価値の差を求め、求めた差に基づいて、図示しない記憶部に記憶されたワイパー払拭水マップを参照して、ワイパーが払拭した水の量を特定する。
図11は、ワイパー払拭水マップを説明する説明図である。
ワイパー払拭水マップでは、ワイパー通過時の評価値の変化量と、ワイパーが払拭した水の量の関係が規定されており、ワイパー通過時の評価値の変化量を求めることでワイパーが払拭した水の量の程度(ワイパー水レベル)が特定できるようになっている。例えば、変化量が100である場合はワイパー水レベルが「3」であり、300である場合は「9」であると特定される。
ワイパー水測定部70は、ワイパーが払拭した水の量のワイパー水レベルが特定されると、ワイパー水レベルを示す払拭水情報を生成する。ワイパー水測定部70は、生成した払拭水情報を、動作変更判断部80に出力する。
動作変更判断部80は、実施の形態と同様に、図8に示した遅延時間マップを用いて、動作検出部50が入力した遅延時間から、ワイパー遅延レベルを特定する。変形例1では、動作変更判断部80はさらに、メモリに記憶した補正係数マップを用いて、ワイパー遅延レベルからワイパー停止補正係数を特定する。
図12は、補正係数マップを説明する説明図である。
補正係数マップでは、ワイパー遅延レベルとワイパー停止補正係数との関係が規定されている。ワイパー停止補正係数とは、ワイパー動作の停止の要否を判断するための係数である。動作変更判断部80は、特定したワイパー遅延レベルが、補正係数マップにおいて、どのワイパー停止補正係数に該当するかを特定する。動作変更判断部80は、例えば、ワイパー遅延レベルが「5」である場合は、ワイパー停止補正係数が「1」であると特定する。
ここで、実施の形態では、ワイパー停止補正係数が「3」である場合はガラス面Gが乾燥していることを、「2」である場合はガラス面Gがほぼ乾燥していることを、「1」である場合はガラス面Gが濡れ気味であることを、「0」である場合はガラス面Gが十分に濡れていることを、それぞれ示している。
また、遅延時間が64ms以上(ワイパー遅延レベルが「4」以上)となった場合に、ワイパーの動作速度に実質的な遅延が生じていると判断して、ワイパー停止補正係数を「1」以上に設定している。なお、この補正係数マップでは、遅延時間のレベルが「3」未満である場合は、ワイパー停止補正係数が「0」となるように設定されている。光センサ30の検出結果の誤差が、動作変更判断部80における判断に影響するのを防止するためである。
動作変更判断部80は、遅延時間に基づいて特定したワイパー停止補正係数と、ワイパー水測定部70が入力した払拭水情報に基づいて、ワイパーの動作の変更の要否を判断する。ここで示す例では、動作変更判断部80は、ワイパーの動作の停止の要否を判断する。動作変更判断部80は、メモリに記憶された判断マップを参照して、ワイパー動作の停止の要否を判断する。
図13は、判断マップを説明する説明図である。
判断マップは、ワイパー停止補正係数ごとに、ワイパーの動作の停止を判断するワイパー水レベルの閾値を規定したものである。
判断マップにおいては、ワイパー停止補正係数が大きくなるほど、ワイパーの動作の停止を判断するワイパー水レベルの閾値が大きくなるように規定されている。例えば、ワイパー停止補正係数が0のときは、ワイパー水レベルの閾値は2である。ワイパー停止補正係数が1のときは、ワイパー水レベルの閾値は4である。ワイパー停止補正係数が3のときは、ワイパー水レベルの閾値は16である。
動作変更判断部80は、この判断マップを参照して、ワイパー水測定部70が入力した払拭水情報が示すワイパー水レベルを、特定したワイパー停止補正係数に規定された閾値と比較する。動作変更判断部80は、ワイパー水レベルが閾値未満である場合には、ワイパーの停止を判断する。例えば、ワイパー水レベルが3であり、ワイパー停止補正係数が1である場合には、ワイパー水レベルは判断マップに示される閾値の4未満であるため、動作変更判断部80は、ワイパーの動作の停止を判断する。
このように判断マップを規定することによって、ガラス面Gに付着する水の量が少なくなってワイパーの動作の遅延時間が長くなるほど(停止補正係数が大きくなるほど)、ワイパーが払拭する水の量が多くても(ワイパー水レベルが高くても)ワイパーの停止が判断されやすくなる。
動作変更判断部80は、ワイパーの動作の停止を判断した場合は、判断結果を通信部10を介して車載プロセッサCPに送信する。車載プロセッサCPは、ワイパーモータWMへの駆動信号の出力を中止して、ワイパーを停止させるように制御を行う。
このように、変形例1では、光センサ30の出力値に加えて、雨滴センサ40の出力値を用いて、ワイパーの動作の変更の要否を判断する。雨滴センサ40の検出値も、ガラス面Gに付着する雨滴の量の変化、すなわち降雨状況の変化を反映したものであるため、より的確に降雨状況の変化に応じたワイパーの制御を行うことができる。これによって、運転者の快適性を向上させることができる。
変形例1では、センサ部20の筐体21に光センサ30と雨滴センサ40が一体的に収容されたものを用いる場合を説明したが、これに限られない。光センサ30と雨滴センサ40は別体に設けても良い。
また、ガラス面Gの雨滴の量を検出するセンサに、赤外光を照射する光学素子を用いたが、これに限られない。雨滴の量の測定と降雨状態の推定を行うことができるものであれば、例えば超音波を用いた雨滴センサ40や感圧方式を用いた雨滴センサ40なども採用可能である。
[変形例2]
実施の形態では、動作検出部50は光センサ30の前方受光素子32の検出する照度のみを用いたが、これに限られない。前方受光素子32の代わりに上方受光素子33の検出する照度を用いても良く、あるいは前方受光素子32と上方受光素子33の両方の検出する照度を用いても良い。両方の照度の用い方は、特定のものに限られないが、例えば、両方の照度から低下時間が検出された場合のみ、ワイパーが動作したと判定しても良い。前方受光素子32および上方受光素子33の両方の検出結果を用いることで、より的確にワイパーの動作を検出することができる。
1 ワイパー動作検出装置
10 通信部
20 センサ部
21 筐体
22 ブラケット
23 カバー
24 基板
30 光センサ
40 雨滴センサ
31 レンズ
31a 前方光導光部
31b 上方光導光部
32 前方受光素子
33 上方受光素子
34 カバー部材
41 発光素子
42 受光素子
43 プリズム
43a 板状部
43b 導光部
50 動作検出部
70 ワイパー水測定部
80 動作変更判断部
90 警報部
DA 検出領域
D 検知面
G ガラス面
S 雨滴
W ワイパー
WA ワイパーアーム
WM ワイパーモータ
CP 車載プロセッサ

Claims (9)

  1. 車両のガラス面に面して設置され、当該ガラス面に沿って往復動するワイパーが通過する領域の照度を検出する光センサと、
    前記ワイパーの動作を検出する動作検出部と、を備え、
    前記動作検出部は、
    前記ワイパーが前記領域を通過するたびに前記光センサが検出する照度が一時的に低下するのを検出すると共に、前記照度の一時的な低下の間隔周期を、前記ワイパーの実際の動作周期として取得し、取得した前記間隔周期と基準動作周期との差が閾値以下である場合、前記ワイパーが正常に動作している判定する、ワイパー動作検出装置。
  2. 前記ワイパーの動作を制御する制御装置からワイパーの動作開始通知が入力された後に、前記動作検出部によって前記照度の一時的な低下が検出されなかった場合に、前記ワイパーの異常を報知する警報部を備える、請求項1に記載のワイパー動作検出装置。
  3. 前記ワイパーの動作を制御する制御装置からワイパーの動作停止通知が入力された後に、前記動作検出部によって前記照度の一時的な低下が検出された場合に、前記ワイパーの異常を報知する警報部を備える、請求項1に記載のワイパー動作検出装置。
  4. 前記間隔周期と前記基準動作周期との差が閾値を超える場合に、前記ワイパーの異常を報知する警報部を備える、請求項2に記載のワイパー動作検出装置。
  5. 前記間隔周期と前記基準動作周期の差に基づいて、前記ワイパーの動作の変更の要否を判断する動作変更判断部を備える、請求項1に記載のワイパー動作検出装置。
  6. 前記動作検出部は、ワイパーの動作速度および間欠時間が異なる複数の動作モードのうち、前記ワイパーの動作開始通知が示す動作モードに応じた基準動作周期と、前記間隔周期の差を算出する、請求項4または請求項5に記載のワイパー動作検出装置。
  7. 前記動作変更判断部は、前記間隔周期が前記基準動作周期よりも長く、かつ前記間隔周期と前記基準動作周期の差が閾値よりも長い場合に、前記ワイパーの動作の停止を判断する、請求項5に記載のワイパー動作検出装置。
  8. 前記間隔周期は、前記照度の一時的な低下の検出から、二つ先の前記照度の一時的な低下の検出までの間隔である、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のワイパー動作検出装置。
  9. 前記光センサは、車両前方の照度を検出する前方受光素子と、車両上方の照度を検出する上方受光素子とを備え、
    前記動作検出部は、前記前方受光素子と前記上方受光素子の少なくとも一方が検出する照度を用いて、前記照度の一時的な低下の間隔周期を取得する、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のワイパー動作検出装置。
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