上述した従来の雨滴検出装置における雨滴量算出動作について説明する。基準信号は、測定期間の始まり時点、すなわちワイパーブレードが雨滴センサの検出領域を通過した直後において雨滴センサから出力された信号である。したがって、ウィンドシールドへの雨滴付着量が少なく雨滴センサの出力電圧は高い。計測信号は、測定期間の終わり時点において雨滴センサから出力された信号である。したがって、ウィンドシールドへの雨滴付着量が増加しており雨滴センサの出力電圧は低い。基準信号と計測信号との差、つまり電位差に基づいて雨滴量を算出している。雨滴量が多いほど上述の電位差は大きくなる。
ところで、雨量が大量である場合は、ワイパーブレードの往復払拭動作の終了時点から計測期間が始まるまでの間に、すでに雨滴センサの検出領域に多量の雨滴が付着してしまう。そうすると、基準信号としての雨滴センサの出力電圧は小雨時に比べて低くなり、基準信号と計測信号との差も小さくなる。すなわち、雨滴量検出装置は、雨量が大量であるにもかかわらず雨滴量が少ないものと判定してしまう。このため、ワイパー制御装置は誤判定された雨滴量に基づいてワイパー払拭動作を行うので、実際の降雨状態に適した払拭動作が行えないという問題が生じる。
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたもので、降雨量が大量であるときにも、雨滴量を正確に測定可能な雨滴検出装置を提供することを目的とする。
本発明は上記目的を達成する為、以下の技術的手段を採用する。
本発明の請求項1に記載の雨滴検出装置は、ウィンドシールド上におけるワイパーブレードの払拭範囲内に配置され且つその検出領域に付着した雨滴量に対応した検出信号を出力する雨滴センサと、雨滴センサからの検出信号に基づいて雨滴量を算出する制御装置と、を備え、制御装置は、ワイパーブレードの往復払拭動作間に設定された測定期間において雨滴量を算出し、制御装置は、測定期間の始まり時点において雨滴センサから出力された検出信号である基準信号と、判定期間の終わり時点において雨滴センサから出力された検出信号である計測信号との差に基づいて雨滴量を算出する雨滴検出装置であって、
制御装置は、今回の判定期間中に雨滴センサから出力された基準信号である今回基準信号と、前回の判定期間中に雨滴センサから出力された基準信号である前回基準信号とを比較し、制御装置は、今回基準信号が前回基準信号よりも小さく且つ前回基準信号からの減少率が予め定められた制限減少率未満であるときは今回基準信号を用いて雨滴量の算出を実行し、制御装置は、今回基準信号が前回基準信号よりも小さく且つ前回基準信号からの減少率が制限減少率以上であるときは、前回基準信号に制限減少率分だけ減少させた値である更新今回基準信号を今回基準信号に置き換えて雨滴量の算出を実行することを特徴としている。
上述の構成において、普通の降雨状況下においては、雨滴量測定期間中に検出された基準信号である今回基準信号の大きさは、前回の判定期間中に検出された前回基準信号の大きさと大差無い。すなわち、前回基準信号よりもわずかに大きいか、あるいは小さくても前回基準信号からの減少率が予め定められた制限減少率未満である。このような場合は、従来の雨滴量検出装置の場合と同様に今回基準信号をそのまま用いて雨滴量を算出できる。
一方、降雨状態が通常降雨状態から大雨状態、いわゆる土砂降りの大雨状態へと変化した場合、ワイパーブレードが雨滴センサの検出領域を通過した直後に直ちに雨滴が付着するため、今回基準信号の大きさは前回基準信号の大きさに比べて大幅減少する。このとき、上述の構成によれば、今回基準信号が前回基準信号よりも小さく且つ前回基準信号からの減少率が制限減少率以上であると判定されて、前回基準信号に制限減少率分だけ減少させた値である更新今回基準信号が今回基準信号に置き換えられ、この更新今回基準信号を用いて雨滴量の算出が実行される。つまり、従来の雨滴検出装置の場合における、今回基準信号が大幅に減少して雨滴量を正確に検出することができなくなる、という事態を回避することができる。
以上により、降雨量が大量であるときにも、雨滴量を正確に測定可能な雨滴検出装置を提供することができる。
本発明の請求項2に記載の雨滴検出装置は、制御装置は、今回基準信号が前回基準信号よりも大きいときは、今回基準信号を用いて雨滴量の算出を実行することを特徴としている。
今回基準信号が前回基準信号よりも大きくなる現象は、たとえば降雨中に自動車のイグニッションスイッチがONされて、ワイパーコントロールスイッチが「Autoモード」に切り替えられた場合に起こり得る。この場合の具体的な信号状態を説明する。イグニッションスイッチがONされた直後には雨滴センサの検出領域に雨滴が付着している。この状態で、雨滴検出装置による雨滴検出動作が開始されると、最初に取得される基準信号は、雨滴センサの検出領域に雨滴が付着した状態において雨滴センサから出力された信号となり、その大きさは、雨滴が付着していない場合より小さい。ワイパーが駆動されて払拭動作した後に、二回目の基準信号である今回基準信号が取得される。この今回基準信号は、雨滴センサの検出領域に雨滴した雨滴が払拭された直後に雨滴センサから出力された信号であり、その大きさは、雨滴が付着している場合より大きい。したがって、今回基準信号は、最初に取得される基準信号、つまり前回基準信号よりも大きくなる。
上述したように、今回基準信号が前回基準信号よりも大きくなる現象は、前回基準信号取得時において何らかの原因により基準信号を正確に取得できなかった場合に起きる。したがって、今回基準信号が前回基準信号よりも大きいときは、今回基準信号を用いて雨滴量の算出を実行することにより、雨滴量を正確に測定することができる。
本発明の請求項3に記載の雨滴検出装置は、雨滴量算出動作を開始してから少なくとも最初の雨滴量算出動作および第2回目の雨滴量算出動作においては、今回基準信号および計測信号に基づいて雨滴量を算出することを特徴としている。
雨滴量算出動作を開始してから最初の雨滴量算出動作においては前回基準信号が存在しないため、今回基準信号および計測信号に基づいて雨滴量を算出することにより雨滴量を測定することができる。
ここで、ワイパーブレードが劣化していて、且つ雨が降っていないとき、あるいはごく少量降っているときにワイパーコントロールスイッチが「Autoモード」に切り替えられ、雨滴量算出動作を開始した場合を考える。この場合、最初に取得された基準信号、すなわち前回基準信号は、ウィンドシールド上における雨滴センサの検出領域に雨滴が付着していない状態で取得されるので、信号レベルはほぼ最大である。雨が降り出すとワイパーブレードは最初の払拭動作をするが、ワイパーブレードが劣化しているために雨滴を完全に払拭することができず、水滴が少し残留している。この状態で検出された基準信号である今回基準信号の信号レベルは、雨滴が残留しているため前回基準信号よりも小さくなる。このように、取得された今回基準信号が、ワイパーブレード正常時に取得された信号と比べて低下していても、今回基準信号と計測信号との差に基づいて雨滴量を検出することができる。ところが、取得された今回基準信号の前回基準信号に対する減少率が制限減少率以上となると、前回基準信号を制限減少率分だけ減少させた値である更新今回基準信号が今回基準信号に置き換えられてしまう。そうすると、更新今回基準信号と計測信号との差に基づいて雨滴量を検出することになるが、この場合は、雨滴量を実際よりも多く検出することになる。そのため、雨滴検出装置により検出された雨滴量に基づいてワイパーブレードの払拭モードを判定すると、実際の降雨状態に対してワイパーブレードの払拭動作頻度の高いモードが判定されてしまう。
そこで、本発明の請求項3に記載の雨滴検出装置では、雨滴量算出動作を開始してから第2回目の雨滴量算出動作においては、前回基準信号と今回基準信号との比較を行わずに、今回基準信号および計測信号に基づいて雨滴量を算出している。これにより、ワイパーブレードが劣化している場合においても、雨滴量を正確に検出することができる雨滴検出装置を提供することができる。
本発明の請求項4に記載の雨滴検出装置は、雨滴センサは、基準光を発する発光素子と、ウィンドシールドを経由する光路により導かれた基準光である測定光を受光する第1受光素子と、ウィンドシールドを経由しない光路により導かれた基準光である較正光を受光する第2受光素子とを備え、制御装置は、第1受光素子が測定光を受光したときに発する検出信号である第1出力信号および第2受光素子が較正光を受光したときに発する検出信号である第2出力信号に基づいて雨滴量を算出し、制御装置は制限減少率を第2出力信号に基づいて算出することを特徴としている。
発光素子、第1受光素子、第2受光素子としては、たとえば、発光ダイオード、フォトトランジスタ等の半導体が用いられる。半導体の作動特性は、環境温度により変化するため、雨滴センサの周囲温度が変化すると、降雨状態が変わらなくても雨滴センサからの検出信号が変動して、降雨量を精度良く測定できない恐れがある。つまり、受光素子からの出力信号には、付着した雨滴量に応じた信号分と環境温度変化による半導体の温度特性に応じた変動分の両方が含まれるため、検出信号が変化した場合、雨滴量および温度特性のどちらの変化によるものか見分けられない。本発明の請求項4に記載された雨滴検出装置では、雨滴センサでは、第2受光素子はウィンドシールドを経由しない光路により導かれた光を受光するので、第2出力信号に基づいて環境温度変化により、発光素子、受光素子の温度特性の変化度合いを算出することができる。したがって、算出された半導体の温度特性の変化度合いに基づいて第1受光素子からの第1出力信号を補正することにより、ウィンドシールドを経由して第1受光素子へ導かれた光量、すなわち雨滴量を正確に算出することができる。
ところで、本発明に係る雨滴検出装置において更新今回基準信号を算出する際に用いられる制限減少率は、たとえば、雨滴センサの使用過程におけるセンサとしての特性変化分の最大値、たとえば、発光素子や受光素子と導光プリズムとの相対位置ずれに起因する変化分の最大値、発光素子や受光素子の温度特性変動に起因する変化分の最大値の総和に基づいて設定されている。ウィンドシールドを経由しない光路により導かれた光を受光する第2受光素子を持たない雨滴センサを用いる場合、発光素子や受光素子の温度特性変動に起因する変化分の最大値の大きさは大きな値となり、制限減少率が大きくなる。このため、更新今回基準信号と計測信号との差に基づいて算出される雨滴量の検出精度がやや低下する恐れがある。これに対して、本発明の請求項4に記載の雨滴検出装置によれば、発光素子や受光素子の温度特性変動に起因する変化分は、その都度第2出力信号に基づいて正確に算出することができる。つまり、発光素子や受光素子の温度特性変動に起因する変化分を、その最大値に固定して設定された制限減少率を用いる場合と比較して、雨滴量の検出精度を高めることができる。
以下、本発明にかかる雨滴検出装置の実施の形態について、自動車に搭載された雨滴検出装置1に適用した場合を例に図1〜図5を参照して説明する。
雨滴検出装置1は、自動車100に搭載され、ワイパーコントロールスイッチ30の操作ポジションに応じて、フロントウィンドシールド101に付着した雨滴を払拭するワイパー装置10の作動制御を行うものである。特に、ワイパーコントロールスイッチ30において自動制御(AUTOモード)ポジションが選択されると、雨滴センサ20によりフロントウィンドシールド101に付着した雨滴量を検出し、その判定結果に基づいてワイパー装置10の作動制御を行う。
先ず、雨滴検出装置1の全体構成について説明する。
雨滴検出装置1は、図1に示すように、雨滴センサ20、ワイパー装置10、ワイパーコントロールスイッチ30、ワイパーコントロールスイッチ30からの信号、雨滴センサ20からの信号に基づいてワイパー装置10を駆動するマイクロコンピュータ50等から構成されている。雨滴検出装置1は、自動車のイグニションスイッチ(図示せず)を介して自動車のバッテリ(図示せず)から電力が供給されている。
ワイパー装置10は、ワイパーモータ11と、フロントウィンドシールド101上において往復払拭動作を行うワイパーブレード13と、ワイパーモータ11が発生する駆動トルクを往復運動に変換するとともにワイパーブレード13に伝達してワイパーブレード13に往復運動させるリンク機構12とを備えている。ワイパーブレード13の往復払拭動作は、マイクロコンピュータ50内に備えられた払拭モード判定部51からワイパーモータ11に対し駆動指示信号が出力されることで実行される。図1ではマイクロコンピュータ50とワイパーモータ11が直接接続されている状態を示しているが、中間にワイパーモータ11の駆動装置が存在する場合もある。
ワイパーコントロールスイッチ30は、自動車内の運転席に設置され、ワイパーブレード13の往復払拭動作の停止(OFFモード)、自動制御(AUTOモード)、低速動作(LOモード)、及び高速動作(HIモード)を、運転者の手動操作等により切替えるスイッチ機能を有している。ワイパーコントロールスイッチ30は、たとえば4つの作動位置のいずれか1つに回動操作されることで、これら動作モードの1つが選択される。そしてワイパーコントロールスイッチ30は、上述した4動作モードのうちの1つが選択されると、その選択された動作モードについての情報を後述するマイクロコンピュータ50(払拭モード判定部51)へ出力している。
雨滴センサ20は、図3に示されるように、基本的には、フロントウィンドシールド101の検出領域Adに向かって例えば赤外光を発光する発光ダイオードなどの発光素子21と、この発光素子21から発光されてフロントウィンドシールド101により反射された光の受光量に応じた出力値を出力するフォトダイオードなどの受光素子22とを有して構成されている。また、発光素子21は、図示しない発光素子駆動回路を介してマイクロコンピュータ50に接続されており、マイクロコンピュータ50によってその点消灯が制御される。また、受光素子22は、図示しない検波増幅回路を介してマイクロコンピュータ50に接続されており、検出した雨滴量に応じた検出信号をマイクロコンピュータ50に出力している。検出領域Adに雨滴が付着していないときにあっては、発光素子21から発光された赤外光は、図3中の実線矢印で示すように進行し、そのほとんどがフロントウィンドシールド101によって反射され、受光素子22で受光される。しかし、検出領域Adに雨滴Dが付着しているときにあっては、発光素子21から発光された赤外光の一部は、検出領域Adに付着した雨滴Dを介して図3中の破線矢印で示すように進行しフロントウィンドシールド101外へ出射するので、受光素子22により受光される光の量が減少する。検出領域Adに付着した雨滴D量が多いほど、フロントウィンドシールド101外へ出射する光量が多くなり、受光素子22により受光される光の量が少なくなる。これにより、受光素子22による受光量に基づいて、検出領域Adに付着する雨滴の量を検出することができる。本発明の一実施形態による雨滴検出装置1においては、検出領域Adに付着する雨滴量が多いほど雨滴センサ20の検出信号は小さくなり、検出領域Adに付着する雨滴量が少ないほど雨滴センサ20の検出信号は大きくなる。
制御装置であるマイクロコンピュータ50は、実際には、制御処理や演算処理を行うCPU、各種プログラムやデータを保存するための読み取り専用メモリ(ROM)や書き込み可能なメモリ(RAM)等のメモリを含む記憶装置、AD変換器等の入力回路、出力回路、及び電源回路等の機能を含んで構成される。しかし、ここでは、図2に示すように、雨滴センサ20から出力される検出信号の変化の大きさに基づきフロントウィンドシールド101に付着した雨滴量を判定する雨滴量判定部52、雨滴量判定部52で判定された雨滴量に基づいてワイパーブレード13の払拭動作に係る払拭モードを判定し、すなわちワイパーブレード13の往復払拭動作間隔時間を判定し、且つこの判定結果に基づいてワイパーモータ11に対して駆動信号を出力する払拭モード判定部51を中心に、概念的に説明する。
払拭モード判定部51は、ワイパーコントロールスイッチ30からの信号を受けて、それに対応した駆動指示信号をワイパーモータ11へ出力する。すなわち、ワイパーコントロールスイッチ30において選択されているポジションが、払拭動作の停止(OFFモード)ポジション、低速動作(LOモード)ポジションおよび高速動作(HIモード)ポジションである場合は、払拭モード判定部51は、それぞれの払拭モードを実行させるべくワイパーモータ11を駆動制御する。
ワイパーコントロールスイッチ30が自動制御(AUTOモード)に操作されると、払拭モード判定部51は、雨滴センサ20からの検出信号に基づき雨滴量判定部52により判定された雨滴量に基づいてワイパーブレード13による払拭モード、すなわちワイパーブレード13による往復払拭動作間隔時間を判定し、判定した払拭モードに対応する駆動指示信号をワイパーモータ11へ出力する。このとき、払拭モード判定部51により判定される払拭モード、すなわちワイパーブレード13による往復払拭動作間隔時間は、長い方から順に、例えば、7.0秒、3.3秒、1.5秒、0.6秒となっている。以上の4払拭モードは、ワイパーブレード13の往復払拭動作間の停止時間が運転者により明確に認識される、いわゆる間歇モードである。さらに、上述の4払拭モードに加えて、停止モード、低速モードおよび高速モードも選択される。低速モードと高速モードとはモータ11の回転速度、すなわちワイパーブレード13の移動速度が異なっている。低速モードおよび高速モードは、運転者からは連続作動しているように見えるが、実際にはワイパーブレード13の往復払拭動作間には、先に述べた4つの払拭モードと同様に短い停止時間がある。
次に、雨滴検出装置1の作動、特にワイパーコントロールスイッチ30が自動制御(AUTOモード)に操作されているときにおいて、雨滴センサ20からの検出信号に基づき雨滴量判定部52により実行される雨滴量判定方法について図4を用いて説明する。図4(a)は、ワイパーコントロールスイッチ30のAUTOモードの選択状態の時間推移を、(b)は、雨滴センサ20の出力信号の電圧の時間推移を、(c)は、ワイパーブレード13の払拭動作状態の時間推移をそれぞれ示すタイミングチャートである。
雨滴量判定部52は、ワイパーブレード13の往復払拭動作間、すなわち、ワイパーブレード13が雨滴センサ20の検出領域Adを通過して初期位置で停止してから、再びワイパーブレード13が払拭動作を開始するまでの期間に設定された測定期間、つまり、図4(c)中に示す測定期間Tdにおいて雨滴量を算出している。
以下に、ワイパーコントロールスイッチ30がAUTOモードに切り替えられた時点以降における雨滴量判定動作について時間を追って説明する。時刻t10においてワイパーコントロールスイッチ30がAUTOモードに切り替えられると、マイクロコンピュータ50は、雨滴量判定部52により雨滴量の判定を開始するとともに、払拭モード判定部51によりこの雨滴量に適合した払拭モードの判定を開始する。そして、払拭モード判定部51は、判定された払拭モードに対応する駆動指示信号をワイパーモータ11へ出力して、ワイパーブレード13に払拭動作をさせる。
雨滴量判定部52は、時刻t10に雨滴センサ20からの検出信号を基準信号、つまり今回基準信号Sknewとして取得する。このときの信号電圧は、図4(b)に示すように、電圧E1である。その後、雨滴センサ20の検出領域に雨滴が付着し、雨滴センサからの検出信号である出力電圧は電圧E2となる。マイクロコンピュータ50は、この電圧E2を計測信号Sdとして取得する。これは、雨滴量判定部52が雨滴量算出動作を開始して最初の雨滴量算出動作である。したがって、雨滴量判定部52は、時刻t11に、今回基準信号Sknewと計測信号Sdとの差、すなわち(電圧E1−電圧E2)の電位差に基づいて雨滴量Rを算出する。算出された雨滴量Rに基づいて、払拭モード判定部51は払拭モードを判定するとともに、判定した払拭モードに対応する駆動指示信号をワイパーモータ11へ出力する。これにより、時刻t11にワイパーブレード13が払拭作動を開始し、時刻t12にワイパーブレード13が雨滴センサ20の検出領域Adを通過し、時刻t13に停止する。この時刻t13から、雨滴量判定部52における測定期間Tdがスタートし、次にワイパーブレード13が払拭動作を開始する時刻t14に雨滴量判定部52における測定期間Tdが終了する。時刻t13に、マイクロコンピュータ50は、雨滴センサ20からの検出信号を今回基準信号Sknewとして取得する。このときの信号電圧は、図4(b)に示すように、電圧E1である。その後、雨滴センサ20の検出領域に雨滴が付着し、雨滴センサからの検出信号は電圧E2となる。マイクロコンピュータ50は、この電圧E2を計測信号Sdとして取得する。これは、雨滴量判定部52が雨滴量算出動作を開始して2回目の雨滴量算出動作である。したがって、雨滴量判定部52は、時刻t14に、今回基準信号Sknewと計測信号Sdとの差、すなわち(電圧E1−電圧E2)の電位差に基づいて雨滴量Rを算出する。算出された雨滴量Rに基づいて、払拭モード判定部51は払拭モードを判定するとともに、判定した払拭モードに対応する駆動指示信号をワイパーモータ11へ出力する。これにより、時刻t14にワイパーブレード13が払拭作動を開始し、時刻t15にワイパーブレード13が雨滴センサ20の検出領域Adを通過し、時刻t16に停止する。この時刻t16から、雨滴量判定部52における測定期間Tdがスタートし、次にワイパーブレード13が払拭動作を開始する時刻t17に雨滴量判定部52における測定期間Tdが終了する。時刻t16に、マイクロコンピュータ50は、雨滴センサ20からの検出信号を今回基準信号Sknewとして取得する。このときの信号電圧は、図4(b)に示すように、電圧E1である。その後、雨滴センサ20の検出領域に雨滴が付着し、雨滴センサからの検出信号は電圧E2となる。マイクロコンピュータ50は、この電圧E2を計測信号Sdとして取得する。これは、雨滴量判定部52が雨滴量算出動作を開始して3回目の雨滴量算出動作である。すなわち、今回の雨滴量算出動作は、雨滴量判定部52の雨滴量算出動作開始後最初および2回目ではない。したがって、雨滴量判定部52は、時刻t16に取得された今回基準信号Sknewと、前回の雨滴量算出動作において取得された基準信号Sk、すなわち時刻t13に取得された前回基準信号Skoldとを比較する。この場合、今回基準信号Sknew=E1=前回基準信号Skoldであるので、今回基準信号Sknewの前回基準信号Skoldに対する減少率Cは0%であり、予め定められている制限減少率Cs未満である。したがって、雨滴量判定部52は、時刻t17に、今回基準信号Sknewと計測信号Sdとの差、すなわち(電圧E1−電圧E2)の電位差に基づいて雨滴量Rを算出する。算出された雨滴量Rに基づいて、払拭モード判定部51は払拭モードを判定するとともに、判定した払拭モードに対応する駆動指示信号をワイパーモータ11へ出力する。以降の雨滴量算出動作においては、雨滴量判定部52は、毎回、今回基準信号Sknewと前回基準信号Skoldとを比較して減少率Cを算出し、それが制限減少率Cs未満である場合は、上述したように、今回基準信号Sknewと計測信号Sdとの差、すなわち(電圧E1−電圧E2)の電位差に基づいて雨滴量Rを算出する。
ところで、ワイパーブレード13が雨滴センサ20の検出領域Adを通過した時刻から、基準信号Skを取得する時刻、つまりワイパーブレード13が初期位置で停止する時刻までの時間である空白時間、たとえば、図4(c)中において、時刻t12から時刻t13までの時間、は非常に短いので、この時間内において雨滴センサ20の検出領域Adに付着する雨滴量は極わずかである。
降雨状態が緩やかに増加すると、上述した空白時間内において雨滴センサ20の検出領域Adに付着する雨滴量もわずかに増加し、それにともなって、基準信号Skの電圧は電圧E1からわずかに低下するが、その減少率Cは小さく、制限減少率Cs未満である。したがって、雨滴量判定部52は、今回基準信号Sknewと計測信号Sdとの電位差に基づいて雨滴量Rを正確に算出できる。
しかし、降雨量が急激に増加した場合は、上述した空白時間内に雨滴センサ20の検出領域Adに大量の雨滴が付着する。すなわち、図4(c)において、時刻txにおいて降雨状態が小雨から一気に土砂降りに変わった場合を考える。
この場合、時刻t18においてワイパーブレード13が雨滴センサ20の検出領域Adを通過すると、直ちに検出領域Adに大量の雨滴が付着し、雨滴センサ20の出力電圧は、図4(b)に示すように、電圧E3へと一気に減少する。このため、この雨滴量算出動作において、時刻t19に取得された今回基準信号Sknewの信号電圧は電圧E3となる。これに対して、前回基準信号Skoldの信号電圧は電圧E1である。このとき、今回基準信号Sknewと前回基準信号Skoldとを比較して、今回基準信号Sknewの前回基準信号Skoldに対する減少率Cを算出すると、減少率Cは、〔(E1―E3)/E1〕のように表され、制限減少率Csよりも大きくなっている。そうすると、マイクロコンピュータ50の雨滴量判定部52は、前回基準信号Skoldの信号電圧(電圧E1)に制限減少率Csだけ減少させた値である電圧Es(すなわち、Es=E1―E1×Cs)を更新今回基準信号Skrevとする。そして、この更新今回基準信号Skrevを今回基準信号Sknewに置き換える。一方、時刻t19以降も、雨滴センサ20の検出領域に雨滴が付着するが、土砂降りのため、雨滴は、雨滴センサ20の検出領域に付着するそばから流出し、結局、雨滴センサからの検出信号は電圧E3のままとなる。マイクロコンピュータ50は、この電圧E3を計測信号Sdとして取得する。したがって、雨滴量判定部52は、更新今回基準信号Skrevと計測信号Sdとの差、すなわち(電圧Es−電圧E3)の電位差に基づいて雨滴量Rを算出する。
ここで、マイクロコンピュータ50の雨滴量判定部52が上述したような制御を行わない従来の雨滴検出装置においては、降雨状態が小雨から土砂降りに急変した場合、今回基準信号Sknewの信号電圧と計測信号Sdの信号電圧とがほとんど等しくなり、両者に基づいて雨滴量を算出すると、雨滴量が極わずかである、と判定してしまう。つまり、土砂降りにもかかわらず、降雨量が極少ないときに適した払拭モードでワイパー装置10が駆動されることになる。
これに対して、本発明の一実施形態による雨滴検出装置1においては、雨滴算出動作毎に、今回基準信号Sknewの前回基準信号Skoldに対する減少率Cを算出し、予め定められている制限減少率Csと比較している。そして、減少率Cが制限減少率Cs未満であるときは今回基準信号Sknewを雨滴量算出に用い、減少率Cが制限減少率Cs以上であるときは今回基準信号Sknewに替えて更新今回基準信号Skrevを雨滴量算出に用いている。これにより、降雨量が大量であるときにも、雨滴量Rを正確に測定可能な雨滴検出装置1を実現することができる。
また、本発明の一実施形態による雨滴検出装置1においては、マイクロコンピュータ50の雨滴量判定部52は、雨滴量算出動作を開始してから少なくとも最初の雨滴量算出動作および2回目の雨滴量算出動作においては、それぞれの今回基準信号Sknewおよび計測信号Sdに基づいて雨滴量Rを算出している。このような制御を行うことの効果について、図5を用いて説明する。図5(a)は、ワイパーコントロールスイッチ30のAUTOモードの選択状態の時間推移を、(b)は、雨滴センサ20の出力信号の電圧の時間推移を、(c)は、ワイパーブレード13の払拭動作状態の時間推移をそれぞれ示すタイミングチャートである。
図5(a)〜(c)に示す各タイミングチャートは、すでに降雨中にイグニッションスイッチ(図示せず)をONにして、ワイパーコントロールスイッチ30をAUTOモードへ切り替えた場合を示している。時刻t10においてワイパーコントロールスイッチ30がAUTOモードに切り替えられると、マイクロコンピュータ50は、雨滴量判定部52により雨滴量を判定するとともに、払拭モード判定部51によりこの雨滴量に適合した払拭モードを判定する。そして、払拭モード判定部51は、判定された払拭モードに対応する駆動指示信号をワイパーモータ11へ出力して、ワイパーブレード13に払拭動作をさせる。
雨滴量判定部52は、時刻t10において、雨滴センサ20からの信号電圧である電圧E4を今回基準信号Sknewとして取得し、続いて時刻t11に、雨滴センサ20からの信号電圧である電圧E5を計測信号Sdとして取得する。また、時刻t11に、払拭モード判定部51がワイパーモータ11を駆動してワイパーブレード13に払拭動作をさせる。そして、雨滴量判定部52は、今回基準信号Sknewと計測信号Sdとの差、すなわち(電圧E4−電圧E5)の電位差に基づいて雨滴量Rを算出する。一方、ワイパーブレード13が時刻t12に雨滴センサ20の検出領域Adを通過し、時刻t13に停止する。この時刻t13から、次にワイパーブレード13が払拭動作を開始する時刻t14までが、雨滴量判定部52における2回目の雨滴量検出動作の測定期間Tdとなる。時刻t13に、マイクロコンピュータ50は、雨滴センサ20からの検出信号を今回基準信号Sknewとして取得する。このときの信号電圧は、図5(b)に示すように、電圧E6である。その後、雨滴センサ20の検出領域に雨滴が付着し、雨滴センサからの検出信号は電圧E7となる。マイクロコンピュータ50は、この電圧E7を計測信号Sdとして取得する。
雨滴量判定部52における2回目の雨滴量検出動作における今回基準信号Sknewは、ワイパーブレード13が雨滴センサ20の検出領域Adを通過した直後、つまり検出領域Adに雨滴がほとんど付着していない状態で取得されており、雨滴センサ20の出力電圧は高い。一方、雨滴量判定部52における2回目の雨滴量検出動作における前回基準信号Skold、言い換えると雨滴量判定部52における最初の雨滴量検出動作における今回基準信号Sknewは、検出領域Adに雨滴が付着している状態で取得されており、雨滴センサ20の出力電圧は低い。したがって、図5(b)に示すように、電圧E4と電圧E6との差が大きくなっている。このため、基準値信号の減衰率の制限にかかることはない。
続いて、本発明の一実施形態による雨滴検出装置1の特徴、すなわち、雨滴量判定部52は、雨滴量算出動作を開始してから少なくとも最初の雨滴量算出動作および2回目の雨滴量算出動作においては、それぞれの今回基準信号および計測信号に基づいて雨滴量Rを算出することの、別の効果について、図6を用いて説明する。図6(a)は、ワイパーコントロールスイッチ30のAUTOモードの選択状態の時間推移を、(b)は、雨滴センサ20の出力信号の電圧の時間推移を、(c)は、ワイパーブレード13の払拭動作状態の時間推移をそれぞれ示すタイミングチャートである。この場合は、ワイパーブレード13が劣化している。つまり、ワイパーブレード13のフロントウィンドシールド101表面との接触面にひび割れや部分的磨耗が生じた状態となり、ワイパーブレード13が往復払拭動作をしても、フロントウィンドシールド101に付着した雨滴を完全には拭い去ることができなくなっている。
雨滴量判定部52は、時刻t10において、雨滴センサ20からの信号電圧である電圧E8を今回基準信号Sknewとして取得し、続いて時刻t11に、雨滴センサ20からの信号電圧である電圧E9を計測信号Sdとして取得する。また、時刻t11に、払拭モード判定部51がワイパーモータ11を駆動してワイパーブレード13に払拭動作をさせる。そして、雨滴量判定部52は、今回基準信号Sknewと計測信号Sdとの差、すなわち(電圧E8−電圧E9)の電位差に基づいて雨滴量Rを算出する。 一方、時刻t12にワイパーブレード13が雨滴センサ20の検出領域Adを通過し、時刻t13に停止する。この時刻t13から、次にワイパーブレード13が払拭動作を開始する時刻t14までが、雨滴量判定部52における2回目の雨滴量検出動作の測定期間Tdとなる。時刻t13に、マイクロコンピュータ50は、雨滴センサ20からの検出信号を今回基準信号Sknewとして取得する。このときの信号電圧は、図6(b)に示すように、電圧E10である。その後、雨滴センサ20の検出領域に雨滴が付着し、雨滴センサからの検出信号は電圧E11となる。マイクロコンピュータ50は、この電圧E11を計測信号Sdとして取得する。
この2回目の雨滴量検出動作において、今回基準信号Sknewは、ワイパーブレード13が雨滴センサ20の検出領域Adを通過した直後に取得される。しかし、ワイパーブレード13が劣化しているため雨滴を完全には除去できない。そのため、ワイパーブレード13が雨滴センサ20の検出領域Adを通過した直後において検出領域Adには雨滴が付着しており、雨滴センサ20の出力電圧は低い。一方、雨滴量判定部52における2回目の雨滴量検出動作における前回基準信号Skold、言い換えると雨滴量判定部52における最初の雨滴量検出動作における今回基準信号Sknewは、検出領域Adに雨滴が付着していない状態で取得されており、雨滴センサ20の出力電圧は高い。したがって、雨滴量判定部52における2回目の雨滴量検出動作においては、図6(b)に示すように、今回基準信号Sknew(電圧E10)は前回基準信号Skold(電圧E8)よりも小さくなっている。このため、今回基準信号Sknewの前回基準信号Skoldに対する減少率Cを算出すると、減少率Cが制限減少率Csを上回る可能性が高い。その場合、更新今回基準信号Skrevと計測信号Sdとの差に基づいて雨滴量Rを算出することになり、雨滴量Rを正確に算出することができない恐れがある。そこで、本発明の一実施形態による雨滴検出装置1の構成とすれば、ワイパーブレード13が劣化している場合等の、最初の雨滴量検出動作時の今回基準信号Sknewに対して2回目の雨滴量検出動作時の今回基準信号Sknewが大きく減少するような状況が発生しても、正確に雨滴量Rを算出することができる。
以上説明した、本発明の一実施形態による雨滴検出装置1においては、雨滴量判定部52は、雨滴算出動作毎に、今回基準信号Sknewの前回基準信号Skoldに対する減少率Cを算出し、予め定められている制限減少率Csと比較している。そして、減少率Cが制限減少率Cs未満であるときは今回基準信号Sknewを雨滴量算出に用い、減少率Cが制限減少率Cs以上であるときは今回基準信号Sknewに替えて更新今回基準信号を雨滴量算出に用いている。これにより、降雨量が大量であるときにも、雨滴量Rを正確に測定可能な雨滴検出装置1を実現することができる。
また、本発明の一実施形態による雨滴検出装置1においては、雨滴量判定部52は、雨滴量算出動作を開始してから少なくとも最初の雨滴量算出動作および2回目の雨滴量算出動作においては、それぞれの今回基準信号Sknewおよび計測信号Sdに基づいて雨滴量Rを算出している。これにより、降雨量が大量であるときにも雨滴量Rを正確に測定可能な雨滴検出装置1を実現でき、且つ、今回基準信号Sknewの前回基準信号Skoldに対する減少率Cが制限減少率Cs以上であって今回基準信号Sknewに替えて更新今回基準信号Skrevを雨滴量算出に用いていることにより、かえって雨滴量Rを正確に検出できなくなる場合、すなわち、ワイパーコントロールスイッチ30のAUTOモードの選択された時点で既に雨滴が検出領域Adに付着している場合、あるいはワイパーブレード13が劣化しており払拭動作によって完全には雨滴を拭い去ることができない場合等においても、雨滴量Rを正確に算出することが可能な雨滴検出装置1を実現することができる。
次に、本発明の一実施形態による雨滴検出装置1の変形例について説明する。
この変形例による雨滴検出装置1では、先に説明した本発明の一実施形態による雨滴検出装置1に対して雨滴センサの構成を変更している。すなわち、雨滴センサ20に替えて、雨滴センサ40を用いている。以下に、雨滴センサ40の構成について説明する。
雨滴センサ40は、大きくは、雨滴センサ20に対して、発光素子からの光をフロントウィンドシールド101を経由しない光路を追加するとともに、この光路をたどる光のみを受光する受光素子を追加したものである。
雨滴センサ40は、図7に示されるように、基準光を発射する発光素子である発光ダイオード43、ウィンドシールドであるフロントウィンドシールド101を経由する光路Xにより導かれた基準光である測定光を受光する第1受光素子であるフォトダイオード41、フロントウィンドシールド101を経由しない光路Yにより導かれた基準光である較正光を受光する第2受光素子であるフォトダイオード42、光路Xおよび光路Yを形成するプリズム44を備えている。プリズム44は、ガラスあるいは透明な樹脂材料から形成されている。発光ダイオード43は、たとえば赤外光を発光する発光ダイオードが用いられている。発光ダイオード43、各フォトダイオード41、42は、図7に示すように、回路基板45に実装されている。発光ダイオード43は、図示しない発光素子駆動回路を介してマイクロコンピュータ50に接続されており、マイクロコンピュータ50によってその点消灯が制御される。また、各フォトダイオード41、42は、図示しない検波増幅回路を介してマイクロコンピュータ50に接続されており、検出信号をマイクロコンピュータ50に出力している。プリズム44、回路基板45は、図7に示すように、ケーシング46内に収容固定されている。ケーシング46は遮光性材質、たとえば金属あるいは着色樹脂等から形成されている。
光路Xは、図7に示すように、プリズム44に入射後、側面44aで反射してフロントウィンドシールド101へ入射し、フロントウィンドシールド101の外側表面で反射した後再度プリズム44を通過してフォトダイオード41に到るものである。光路Yは、図7に示すように、プリズム44の表面である反射面44bで反射して直ちにフォトダイオード42に到るものである。
光路Xにおいて、その途中にあるフロントウィンドシールド101の外側表面の検出領域Adに雨滴Dが付着していると、発光ダイオード43から発光された赤外光の一部は、検出領域Adに付着した雨滴Dを介して図7中の破線矢印で示すように進行しフロントウィンドシールド101外へ出射する。このため、フォトダイオード41により受光される光の量が減少する。検出領域Adに付着した雨滴D量が多いほど、フロントウィンドシールド101外へ出射する光量が多くなり、フォトダイオード41により受光される光の量が少なくなる。これにより、フォトダイオード41による受光量、すなわち、フォトダイオード41が光を受光して発する検出信号である第1出力信号の大きさに基づいて、検出領域Adに付着する雨滴Dの量を検出することができる。
一方、光路Yはフロントウィンドシールド101を経由しないため、光路Yを辿ってフォトダイオード42に受光される光量は、検出領域Adへの雨滴D付着量の多少にかかわらず一定である。
以上のような構成において、フォトダイオード41の検出信号である第1出力信号の大きさは、発光ダイオード43およびフォトダイオード41の温度特性変化、および検出領域Adへの雨滴D付着量の変化、の両方に対応して変動する。一方、フォトダイオード42の検出信号である第1出力信号の大きさは、発光ダイオード43およびフォトダイオード42の温度特性変化のみに対応して変動する。したがって、第1出力信号を第2出力信号で補正することにより、第1出力信号の変動分中から発光ダイオード43およびフォトダイオード41の温度特性変動分を消去して、検出領域Adへの雨滴D付着量の変化分だけを抽出することができる。これにより、検出領域Adへの雨滴D付着量をより高い精度で検出することができる。
本発明の変形例による雨滴検出装置1において、雨滴算出動作は、先に説明した本発明の一実施形態による雨滴検出装置1の場合と同様の手順で行っている。すなわち、雨滴算出動作毎に、今回基準信号Sknewの前回基準信号Skoldに対する減少率Cを算出し、予め定められている制限減少率Csと比較している。そして、減少率Cが制限減少率Cs未満であるときは今回基準信号Sknewを雨滴量算出に用い、減少率Cが制限減少率Cs以上であるときは今回基準信号Sknewに替えて更新今回基準信号Skrevを雨滴量算出に用いている。
ここで、本発明の変形例による雨滴検出装置1では、雨滴センサとして上述した雨滴センサ40を用いているので、制限減少率Csをより小さく設定することができる。
制限減少率Csは、雨滴センサの使用過程におけるセンサとしての検出特性変化分の最大値に基づいて設定されている。つまり、予想されるセンサとしての特性変化の最大値に基づいて決められている。センサの検出特性変化を引き起こす要因としては、発光素子おおよび受光素子とプリズムとの相対位置変化、および発光素子と受光素子の温度特性変化が挙げられる。本発明の変形例による雨滴検出装置1では、これらの要因のうち、発光素子と受光素子の温度特性変化分については、雨滴算出動作毎に、その都度フォトダイオード42の検出信号である第2出力信号に基づいて算出することができる。すなわち、温度特性変化分として、起こりうる最大値を予め固定値として設定しておくのではなく、雨滴算出動作毎に算出しそれに基づいて制限減少率Csを算定している。これにより、温度特性変化分を予め固定値として設定された制限減少率Csを用いる場合と比べて、制限減少率Csを小さくすることができる。したがって、更新今回基準信号は大きくなり、更新今回基準信号と計測信号との差も大きくなり、この差に基づいて算出される雨滴量も多くなる。つまり、算出される雨滴量がより実際の雨滴量に近づくことになる。
以上により、本発明の変形例による雨滴検出装置1においては、降雨量が大量であるときにも、雨滴量Rをより正確に測定することができる。