JP6960747B2 - 低チキソトロピー性助剤、可溶性袋状物及びセメント組成物 - Google Patents
低チキソトロピー性助剤、可溶性袋状物及びセメント組成物 Download PDFInfo
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Description
しかしながら、オキシカルボン酸(塩)の添加する量を増やした場合、所定のコンシステンシーを満足できない上に、実施例の圧送試験においても、無撹拌時の変形抵抗性を評価するような試験項目がない。また、明細書中にも無撹拌時のセメントの凝集を抑制し、凝集時の変形抵抗性を改善するような記載はない。
即ち、本発明者らは、下記の〔1〕〜〔8〕を提供する。
〔1〕(A)成分:重量平均分子量が10,000〜30,000であるポリアルキレングリコールと、(B)成分:オキシカルボン酸系化合物と、を少なくとも含み、下記条件(1)及び(2)を満たす低チキソトロピー性助剤。
条件(1):(A)成分/(B)成分=98/2〜10/90(但し、(A)成分+(B)成分=100とする)の範囲であること。
条件(2):最大粒径が10mm以下の粉体であること。
〔2〕(C)成分:下記一般式(1)で表される単量体(I)40〜85質量%、不飽和カルボン酸系単量体(II)10〜50質量%、並びに前記単量体(I)及び/又は(II)と共重合可能な単量体(III)0〜10質量%(但し、単量体(I)+単量体(II)+単量体(III)=100質量%とする)の共重合体であるポリカルボン酸系共重合体又はその塩と、をさらに含有する上記〔1〕に記載の低チキソトロピー性助剤。
〔3〕下記条件(3)を満たす上記〔2〕に記載の低チキソトロピー性助剤。
条件(3):前記(A)成分と前記(B)成分の合計の固形分比率XABと、前記(C)成分の固形分比率XCが、XAB/XC=40/60〜95/5(但し、XAB+XC=100とする)の範囲であること。
〔4〕(D)成分:エチルヒドロキシエチルセルロースを含む保水性安定剤と、をさらに含有する上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の低チキソトロピー性助剤。
〔5〕下記条件(4)を満たす上記〔4〕に記載の低チキソトロピー性助剤。
条件(4):前記(A)成分と前記(B)成分と前記(C)成分の合計の固形分比率XABCと、前記(D)成分の固形分比率XDが、XABC/XD=33/67〜97/3(但し、XABC+XD=100とする)の範囲であること。
〔6〕下記条件(5)を満たす上記〔4〕に記載の低チキソトロピー性助剤。
条件(5):前記(A)成分の質量比率YAと、前記(B)成分と前記(C)成分と前記(D)成分の合計の質量比率YBCDが、YA/YBCD≧0.15を満たすこと。
〔7〕上記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の低チキソトロピー性助剤を内封した可溶性袋状物。
〔8〕セメント材料、及び上記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の低チキソトロピー性助剤又は上記〔7〕に記載の可溶性袋状物、を含有し、前記セメント材料と、前記助剤又は前記袋状物の質量比(セメント材料/助剤又は袋状物)が、99.5/0.5〜99.999/0.001であるセメント組成物。
本明細書中、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。また、本明細書中、「セメント組成物」とは、コンクリート、モルタル、セメントペースト等を包含する概念である。
本発明の低チキソトロピー性助剤は、(A)成分:重量平均分子量が10,000〜30,000であるポリアルキレングリコールと、(B)成分:オキシカルボン酸系化合物と、を少なくとも含み、下記条件(1)及び(2)を満たすものである。
条件(1):(A)成分/(B)成分=98/2〜10/90(但し、(A)成分+(B)成分=100とする)の範囲である。
条件(2):最大粒径が10mm以下の粉体である。
(A)成分は、重量平均分子量が10,000〜30,000のポリアルキレングリコールである。ポリアルキレングリコールの重量平均分子量は、状態改良の点で、18,000〜22,000であることが好ましい。ポリアルキレングリコールの重量平均分子量が10,000以上であることにより、アルカリ水中での溶解性が速すぎることがなく、保水性に起因する状態改良効果及び減水性が良好となる。一方、30,000以下であることにより、アルカリ水中での溶解性が遅すぎることがなく、保水性に起因する状態改良効果が十分に得られる。また、条件によって溶解性が高まった場合でも、著しいセメント粒子の分散性を抑制し得る。
なお、ポリアルキレングリコールの好適例としてはポリエチレングリコールが挙げられる。
測定装置:東ソー製
使用カラム:Shodex Column OH−pak SB−806HQ、SB−804HQ、SB−802.5HQ
溶離液:0.05mM硝酸ナトリウム/アセトニトリル 8/2(v/v)
標準物質:ポリエチレングリコール(東ソー製、GLサイエンス製)
検出器:示差屈折計(東ソー製)
検量線:ポリエチレングリコール基準
低チキソトロピー性助剤は、最大粒径が10mm以下の粉体であり、固体で使用することを特徴とする。低チキソトロピー性助剤の固体サイズは、最大粒径が10mm以下であり、8mm以下であることが好ましく、4mm以下であることがより好ましい。また、低チキソトロピー性助剤を略板上の固体と仮定した場合、その厚みは、5mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。
低チキソトロピー性助剤の固体サイズとして、最大粒径が10mm超、厚みが5mm超である場合、セメント組成物を構成する固体成分がセメント組成物中にそのまま残存する可能性がある。また、残存しない場合であっても、溶解するタイミングが遅滞し、所要の性能を得られない場合がある。
除去方法としては特に限定されないが、例えば、固形化したポリアルキレングリコールを所望のサイズの金属メッシュを通す手段が挙げられる。
(B)成分は、オキシカルボン酸系化合物である。オキシカルボン酸系化合物としては、例えば、グルコン酸、グルコヘプトン酸、グリコール酸、ヒドロキシプロパン酸(例えば、乳酸、3−ヒドロキシプロパン酸)、ヒドロキシ酪酸(例えば、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸)、ヒドロキシ吉草酸(例えば、2−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸)、グリセリン酸、酒石酸、クエン酸、タルトロン酸、リンゴ酸、シトラマル酸や、オキシカルボン酸のアンモニウム塩、オキシカルボン酸のアルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩)が挙げられる。オキシカルボン酸系化合物として、好ましくはグルコン酸ナトリウム若しくはグルコヘプトン酸ナトリウム、又はその両者の混合物であり、より好ましくはグルコン酸ナトリウムである。
(A)成分と(B)成分の配合比が、98/2〜10/90の範囲であると、セメントの水和反応を抑制し、チキソトロピー性の変化を十分改善することができる。また、セメント組成物のセメント水比が2.22超の場合、98/2〜15/85の範囲であると、著しくセメント組成物の見かけの粘性が増加することを抑制し、チキソトロピー性の変化を十分改善することができる。
本発明の低チキソトロピー性助剤は、上記の(A)成分及び(B)成分に加えて、下記一般式(1)で表される単量体(I)40〜85質量%、不飽和カルボン酸系単量体(II)10〜50質量%、並びに単量体(I)及び/又は(II)と共重合可能な単量体(III)0〜10質量%(但し、単量体(I)+単量体(II)+単量体(III)=100質量%)の共重合体であるポリカルボン酸系共重合体又はその塩を含有することが好ましい。
なお、共重合体を作製するに当たり、2種以上の単量体を併用することも可能である。
なお、共重合体を作製するに当たり、2種以上の単量体を併用することも可能である。
上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアミンとのハーフアミド、ジアミド類;
上記アルコール又はアミンに、炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを1〜500モル付加させたアルキル(ポリ)アルキレングリコールと、上記不飽和ジカルボン酸類との、ハーフエステル、ジエステル類;
上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数2〜18のグリコール又はこれらのグリコールの付加モル数2〜500のポリアルキレングリコールとのハーフエステル、ジエステル類;
マレアミド酸と炭素原子数2〜18のグリコール又はこれらのグリコールの付加モル数2〜500のポリアルキレングリコールとのハーフアミド類;
ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;
トリエチレングリコールジマレート、ポリエチレングリコールジマレート等の(ポリ)アルキレングリコールジマレート類;
メチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和モノカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアミンとのアミド類;
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン等のビニル芳香族類;
1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールモノ(メタ)アクリレート類;
ブタジエン、イソプレン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン等のジエン類;
(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアルキルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;
(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等の不飽和シアン類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の不飽和エステル類;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸ジブチルアミノエチル、ビニルピリジン等の不飽和アミン類;
ジビニルベンゼン等のジビニル芳香族類;
トリアリルシアヌレート等のシアヌレート類;
メトキシポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル等のビニルエーテル又はアリルエーテル類;
ポリジメチルシロキサンプロピルアミノマレインアミド酸、ポリジメチルシロキサンアミノプロピレンアミノマレインアミド酸、ポリジメチルシロキサン−ビス−(プロピルアミノマレインアミド酸)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(ジプロピレンアミノマレインアミド酸)、ポリジメチルシロキサン−(1−プロピル−3−アクリレート)、ポリジメチルシロキサン−(1−プロピル−3−メタクリレート)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(1−プロピル−3−アクリレート)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(1−プロピル−3−メタクリレート)等のシロキサン誘導体。
なお、添加効果を高める上でZは1以上であることが好ましい。
反応物の濃度を10質量%未満で反応を行う場合、反応効率が悪く、良好な重合ができない場合がある。一方、60質量%超で反応を行う場合、粘度が高くなったり、重合熱の除去が困難になったり、生成した重合体の一部の分子量が異常に高くなったりして、良好な重合ができない場合がある。
反応温度を60℃未満とすると、重合しないモノマーが残存する可能性が高くなり、安定した製品が得られない場合がある。反応温度を100℃超とすると、生成した重合体の物性が変化し、安定した製品が得られない場合がある。
重合反応時間を0.5時間未満とすると、重合しないモノマーが残存する可能性が高くなり、安定した製品が得られない場合がある。また、反応は全モノマーを仕込んだ後に、20時間以内に完結するので、これ以上の時間を費やすことは意味がない。
測定装置:東ソー製
使用カラム:Shodex Column OH−pak SB−806HQ、SB−804HQ、SB−802.5HQ
溶離液:0.05mM硝酸ナトリウム/アセトニトリル 8/2(v/v)
標準物質:ポリエチレングリコール(東ソー製、GLサイエンス製)
検出器:示差屈折計(東ソー製)
検量線:ポリエチレングリコール基準
XAB/XCの比率でXCが60%超であると、保水性安定効果が失われ、セメント組成物が強い見かけの粘性を発揮してしまう場合がある。
(D)成分は、エチルヒドロキシエチルセルロースを含む保水性安定剤である。エチルヒドロキシエチルセルロースは、アルカリセルロースとエチレンオキシド(EO)とを反応させることによって調製することができる。セルロース主鎖に十分な水溶性を持たせるためにセルロースのEOの無水グルコース単位に対するモル比は1.5より高い必要がある。
また、増粘性は、フレッシュ状態に悪影響を及ぼすため、あくまでもセメント組成物中に薄膜形状で保水し、セメント粒子間及びフロックを形成したセメント粒子のクラスター間に存在した上で、これらの粒子及びクラスターのせん断抵抗に影響を及ぼさないためには、粒子径550μm以下で、含水率が4%以下、20℃、1質量%水溶液での粘度が4,000〜6,000mPa・sであるエチルヒドロキシエチルセルロース粉体を用いることが好ましい。
XABC/XDの比率でXDが67%超であると、必要以上の分散性を発揮してしまい、分離等に悪影響を及ぼす恐れがある。
本発明の可溶性袋状物は、上記の低チキソトロピー性助剤を内封したものである。本発明の可溶性袋状物は、セメント組成物中に添加されると、時々刻々と低チキソトロピー性助剤の有効成分が溶出する。(A)成分は、適度な保水性と状態改良効果を発揮する。液相中に溶出した成分は、セメント粒子間の接触抵抗を抑制するばかりではなく、セメント粒子のフロック形成を遅延させる。また、僅かなセメント分散作用を発揮する。(B)成分は、セメントの水和反応を抑制し、見かけのセメント水和半径の増加を抑制する。(C)成分は、溶解した成分がセメントに吸着し、分散させる。(D)成分は、セメント組成物内の水分を強く保持した上で、セメント粒子の近接を抑制する。
なお、包装材料が袋状形態である場合、本発明の低チキソトロピー性助剤は(A)〜(B)成分、さらに(C)及び/又は(D)成分を含む場合には、これらが全て同一の包装材料からなる一つの袋状物として内包され使用されても良い。また、(A)〜(B)成分を同一の包装材料からなる袋状物に内包し、(C)及び/又は(D)成分は別の包装材料からなる袋状物に(同一に又は各個に)内包し、セメント組成物添加時にこれら複数の袋状物を添加して用いる実施態様でも良い。
コンクリートアジテータ車のドラム内にてベースコンクリートと混合することを想定した場合、容重が0.5kg/L未満であると、可溶性袋状物内に内包された空気により、ベースコンクリート表面に可溶性袋状物が浮いてしまい、低チキソトロピー性助剤の均一分散に時間がかかる場合があるため、好ましくない。
また、容重が1.0kg/L越であると、可溶性袋状物内の空隙が過少であり、ベースコンクリート中の水分が袋内に浸透するのに時間がかかる場合がある。そのため、低チキソトロピー性助剤の均一分散に時間がかかるので、好ましくない。
本発明のセメント組成物は、セメント材料、及び上記の低チキソトロピー性助剤又は上記の可溶性袋状物、を含有し、セメント材料と、助剤又は袋状物の質量比(セメント材料/助剤又は袋状物)が、99.5/0.5〜99.999/0.001である。
本発明のセメント組成物は、静的状態で保管されたセメント組成物の粒子間の近接を防ぎ、保管されたセメント組成物が動き出す刹那の変形抵抗力を低減する作用を有する低チキソトロピー性助剤又はそれを内封した可溶性袋状物を含有する。モルタル試料を用いて、上記現象を性能調査する方法がある。本発明のセメント組成物は、モルタルの練上り直後から静的な状態でスピンドル(羽系)を貫入したまま保持された試料を使用した回転粘度計による粘度測定で、注水後15分の回転開始時の最大粘度が低チキソトロピー性助剤又はそれを内封した可溶性袋状物が無添加のセメント組成物に比べて85%以下、注水後30分の粘度が低チキソトロピー性助剤又はそれを内封した可溶性袋状物が無添加のセメント組成物に比べて80%以下となる性能であることが好ましい。
他の混和剤として、例えば空気連行剤(空気連行成分)、消泡剤(消泡成分、制泡成分)、減水剤(標準形、遅延形、促進形)、高性能AE減水剤(標準形、遅延形)、高性能減水剤、硬化促進剤、流動化剤(標準形、遅延形)、(高性能)AE減水剤収縮低減タイプ、高性能減水剤収縮低減タイプ、凝結遅延剤、促進剤、急結剤、起泡剤、防錆剤、耐寒促進剤、付着モルタル安定剤、黒ずみ抑制剤、増粘剤、分離低減剤、凝集剤、セルフレベリング剤、防黴剤等が挙げられる。上記他の混和剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
水溶液状態のポリエチレングリコール(重量平均分子量20,000)を回転する冷却盤にゆっくりと薄く広げ、5mm以下の厚さで固体になったものを箆でこそぎ落とし、10mmの網ふるいを通過させ各辺を10mm以下に調整し、(A)成分を準備した。なお、これ以外のサイズに成形されたものは除外した。
市販のグルコン酸ナトリウム(固形分20質量%、林工業社製)を回転する冷却盤にゆっくりと薄く広げ、5mm以下の厚さで固体になったものを箆でこそぎ落とし、10mmの網ふるいを通過させ各辺を10mm以下に調整し、(B)成分を準備した。なお、これ以外のサイズに成形されたものは除外した。
製造例1で製造した(A)成分を98部、製造例2で製造した(B)成分を2部混合して低チキソトロピー性助剤を製造した。
表1に示す配合処方に変更した以外は、実施例1と同様にして低チキソトロピー性助剤又は組成物を製造した。なお、表1中、(C)成分と(D)成分の詳細を下記に記す。
温度計、攪拌装置、還流装置、窒素導入管及び滴下装置を備えたガラス反応容器に水733部を仕込み、攪拌下で反応容器を窒素置換し、窒素雰囲気下で80℃に昇温した。その後、アクリル酸45部、メトキシポリエチレングリコールメタアクリレート(エチレンオキサイドの平均付加モル数25個)95部、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンの3及び3’位をアリル置換した化合物2部、水65部を混合したモノマー水溶液と、過硫酸アンモニウム3部及び水87部の混合液とを、各々2時間で、80℃に保持した反応容器に連続滴下した。さらに、温度を100℃に保持した状態で1時間反応させることにより共重合体の水溶液を得た。この液を30%NaOH水溶液でpH7に調整し、共重合体(C)(重量平均分子量29,500、Mw/Mn2.1)を得た。得られた共重合体(C)を回転する冷却盤にゆっくりと薄く広げ、5mm以下の厚さで固体になったものを箆でこそぎ落とし、10mmの網ふるいを通過させ各辺を10mm以下に調整し、(C)成分を準備した。なお、これ以外のサイズに成形されたものは除外した。
市販のエチルヒドロキシエチルセルロース(ハイケム社製、濃度1質量%水溶液の粘度4000〜6000mPa・s)を、乾燥器で80℃5時間処理し含水量を4%以下に調整した。その後、ハンマーミル(ホソカワミクロン社製、AP−S型)を用いて機械的に粉砕し、目開き400μmの網ふるいを通過させ、最大粒子径400μm以下の保水性安定剤を得た。
モルタルの配合処方を表2に示す。
C:普通ポルトランドセメント3種等量混合(密度=3.16g/cm3)
S:細骨材(掛川産山砂(表乾密度=2.58g/cm3、吸水率=1.90%,F.M.=2.78))
W:上水道水
なお、実施例1〜11の低チキソトロピー性助剤又は比較例2〜8の組成物はセメント質量に対して、0.07質量%又は0.14質量%添加した。
混和剤としては、AE減水剤標準形I種として「フローリックSV」と、空気量調整に消泡剤として「フローリックDF−325」を用いた。フローリックSVは、ミニスランプコーン(JIS A 1171「ポリマーセメントモルタルの試験方法」に準拠したミニスランプコーン(上端内径 50mm、下端内径100mm、高さ150mm))でのスランプ値が9.0±1.0cmになるように調整するために、セメント質量に対して0.5〜1.0質量%添加した。また、フローリックDF−325は、空気量を2.0%以下にするために、セメント質量に対し0.001質量%添加した。
このようにして製造したモルタルを用いて、回転粘度計による計測を行った。測定結果を下記表3に示す。
比較例6及び7の組成物は、注水15分後で比較例1の無添加の系より粘度比は低下しているものの、低チキソトロピー性としての性能は不足しており、比較例1の無添加の系に対して85%以上の粘度比となる。また、比較例2〜5及び8の組成物に関しては,注水30分後で80%以上の粘度比となる。時間が経過しても粘度が増加しないことが本発明品の効能であることを考えれば、全て低チキソトロピー性助剤としての性能を満足しないこととなる。実施例1〜11の低チキソトロピー性助剤は全て、注水15分後で粘度比85%以下、注水30分後で80%以下の性能が確認されて望ましいものであった。
コンクリートの配合処方を表4に示す。
C:普通ポルトランドセメント3種等量混合(密度=3.16g/cm3)
S:細骨材(掛川産山砂(表乾密度=2.58g/cm3、吸水率=1.90%、F.M.=2.78))
G:粗骨材(青梅産硬質砂岩砕石(表乾密度=2.65g/cm3、吸水率=1.05%、実積率=59.5%))
W:上水道水
s/a:細骨材率(%)
なお、実施例1〜11の低チキソトロピー性助剤又は比較例2〜8の組成物はセメント質量に対して、0.07質量%又は0.14質量%添加した。
化学混和剤としては、高性能AE減水剤標準形I種として「フローリックSF500S」(フローリック社製)と、空気連行剤として「AE−4」(主成分ロジン酸カリウム塩型界面活性剤:フローリック社製)と、消泡剤として「フローリックDF−325」(主成分ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル:フローリック社製)を用いた。化学混和剤の添加量は、セメント組成物の目標スランプ値を18〜23cm、目標空気量を4.0〜5.5%に設定する量とした。
このようにして製造したコンクリートを用いて、表5に示す試験方法に準じてフレッシュコンクリート試験(凝結試験)、加圧ブリーディング試験を行った。なお、加圧ブリーディング試験は、注水30分後、60分後で実施した。凝結時間は貫入抵抗値3.5N/mm2の始発時間で評価した。加圧ブリーディング試験の試験結果を下記表6、表7に示し、凝結試験の試験結果を下記表8に示す。
Claims (8)
- (A)成分:重量平均分子量が10,000〜30,000であるポリアルキレングリコールと、
(B)成分:オキシカルボン酸系化合物と、を少なくとも含み、
下記条件(1−1)及び(2)を満たすセメント組成物の低チキソトロピー性助剤。
条件(1−1):(A)成分/(B)成分=98/2〜50/50の範囲であること(但し、(A)成分+(B)成分=100とする)。
条件(2):最大粒径が10mm以下の粉体であること。 - (A)成分:重量平均分子量が10,000〜30,000であるポリアルキレングリコールと、
(B)成分:オキシカルボン酸系化合物と、
(C)成分:下記一般式(1)で表される単量体(I)40〜85質量%、不飽和カルボン酸系単量体(II)10〜50質量%、並びに前記単量体(I)及び/又は(II)と共重合可能な単量体(III)0〜10質量%(但し、単量体(I)+単量体(II)+単量体(III)=100質量%とする)の共重合体であるポリカルボン酸系共重合体又はその塩と
を少なくとも含み、
下記条件(1−2)及び(2)を満たすセメント組成物の低チキソトロピー性助剤。
条件(1−2):(A)成分/(B)成分=98/2〜10/90(但し、(A)成分+(B)成分=100とする)の範囲であること。
条件(2):最大粒径が10mm以下の粉体であること。
- 下記条件(3)を満たす請求項2に記載の低チキソトロピー性助剤。
条件(3):前記(A)成分と前記(B)成分の合計の固形分比率XABと、前記(C)成分の固形分比率XCが、XAB/XC=40/60〜95/5(但し、XAB+XC=100とする)の範囲であること。 - (D)成分:エチルヒドロキシエチルセルロースを含む保水性安定剤と、をさらに含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の低チキソトロピー性助剤。
- 下記条件(4)を満たす請求項4に記載の低チキソトロピー性助剤。
条件(4):前記(A)成分と前記(B)成分と前記(C)成分の合計の固形分比率XABCと、前記(D)成分の固形分比率XDが、XABC/XD=33/67〜97/3(但し、XABC+XD=100とする)の範囲であること。 - 下記条件(5)を満たす請求項4に記載の低チキソトロピー性助剤。
条件(5):前記(A)成分の質量比率YAと、前記(B)成分と前記(C)成分と前記(D)成分の合計の質量比率YBCDが、YA/YBCD≧0.15を満たすこと。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の低チキソトロピー性助剤を内封した可溶性袋状物。
- セメント材料、及び請求項1〜6のいずれか1項に記載の低チキソトロピー性助剤又は請求項7に記載の可溶性袋状物、を含有し、
前記セメント材料と、前記助剤又は前記袋状物の質量比(セメント材料/助剤又は袋状物)が、99.5/0.5〜99.999/0.001であるセメント組成物。
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