JP6958325B2 - 車両用駆動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、モータと、前記モータの上方に配置され、オイルを前記モータに供給して前記モータを冷却するオイル供給パイプとを備える車両用駆動装置において、オイルポンプを用いることなく低速走行時においても安定的にケース内部に貯留されたオイルを前記オイル供給パイプのオイル導入口に導入させる技術に関する。
(a)モータと、(b)デファレンシャルリングギヤと、(c)前記モータの回転を減速させて前記デファレンシャルリングギヤに伝達するギヤ機構と、(d)前記モータの上方に配置され、オイルを前記モータに供給して前記モータを冷却するオイル供給パイプと、(e)前記モータ、前記デファレンシャルリングギヤ、前記ギヤ機構、および前記オイル供給パイプを収容するケースと、を備え、(f)前記ケースの内部に貯留されたオイルを前記オイル供給パイプの一端部に開口するオイル導入口から導入する車両用駆動装置が知られている。例えば、特許文献1に記載された車両用駆動装置がそれである。
特開2012−138989号公報
ところで、上記のような車両用駆動装置では、車両の高速走行時のみならず、低速走行時においても前記モータを冷却する必要があるので、特許文献1にも示すように、一般的にオイルポンプを用いてケース内部に貯留されたオイルを前記オイル供給パイプの前記オイル導入口に導くようにしている。しかしながら、特許文献1のような車両用駆動装置のようにオイルポンプを使用すると、オイルポンプを使用しない場合に比べてエネルギー損失の増加につながる問題があった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、オイルポンプを用いることなく低速走行時においても安定的にケース内部に貯留されたオイルを、モータを冷却するオイル供給パイプのオイル導入口に導入させる車両用駆動装置を提供することにある。
第1発明の要旨とするところは、(a)モータと、デファレンシャルリングギヤと、前記モータの回転を減速させて前記デファレンシャルリングギヤに伝達するギヤ機構と、前記モータの上方に配置され、オイルを前記モータに供給して前記モータを冷却するオイル供給パイプと、前記モータ、前記デファレンシャルリングギヤ、前記ギヤ機構、および前記オイル供給パイプを収容するケースと、を備え、前記ケースの内部に貯留されたオイルを前記オイル供給パイプの一端部に開口するオイル導入口から導入する車両用駆動装置であって、(b)前記ギヤ機構に設けられた複数のギヤのうちの1つのギヤは、前記ケースの内部に貯留されたオイルを掻き上げる位置に配置され、(c)前記ギヤ機構に設けられた回転軸には、前記回転軸内を軸方向に延びる軸方向油路と、前記軸方向油路に連通し且つ前記回転軸の径方向に形成された径方向油路とが設けられており、(d)前記ケースの内部には、前記1つのギヤによって掻き上げられたオイルを貯留し且つその貯留したオイルを前記回転軸の軸方向油路へ導く第1キャッチタンクと、前記回転軸が回転することにより前記径方向油路から放出されるオイルを前記第1キャッチタンクよりも上方に配置された前記オイル供給パイプの前記オイル導入口に案内するオイルガイドと、が設けられ、(e)前記オイル供給パイプには、前記オイルガイドによって前記オイル導入口に案内されたオイルを前記モータに吐出する吐出穴が形成されていることにある。
第1発明によれば、(b)前記ギヤ機構に設けられた複数のギヤのうちの1つのギヤは、前記ケースの内部に貯留されたオイルを掻き上げる位置に配置され、(c)前記ギヤ機構に設けられた回転軸には、前記回転軸内を軸方向に延びる軸方向油路と、前記軸方向油路に連通し且つ前記回転軸の径方向に形成された径方向油路とが設けられており、(d)前記ケースの内部には、前記1つのギヤによって掻き上げられたオイルを貯留し且つその貯留したオイルを前記回転軸の軸方向油路へ導く第1キャッチタンクと、前記回転軸が回転することにより前記径方向油路から放出されるオイルを前記第1キャッチタンクよりも上方に配置された前記オイル供給パイプの前記オイル導入口に案内するオイルガイドと、が設けられ、(e)前記オイル供給パイプには、前記オイルガイドによって前記オイル導入口に案内されたオイルを前記モータに吐出する吐出穴が形成されている。このため、低速走行時においても前記デファレンシャルリングギヤの回転よりも高速回転する前記1つのギヤによって好適に掻き上げられたオイルが前記第1キャッチタンクに貯留され、その貯留されたオイルが前記回転軸内に形成された前記軸方向油路へ導かれる。これにより、前記軸方向油路に導かれたオイルが、低速走行時においても前記デファレンシャルリングギヤの回転よりも高速回転する前記回転軸の回転による遠心力に従って前記径方向油路から好適に放出されて、前記オイルガイドによって前記オイル供給パイプの前記オイル導入口に案内されるので、低速走行時においても安定的に前記ケースの内部に貯留されたオイルを、オイルポンプを用いることなく前記オイル供給パイプに導くことができる。
本発明が好適に適用された電気自動車の構成を概略的に説明する断面図である。 図1のII-II視断面図である。 図1の一部を詳細に示す断面図である。 本発明の他の実施例の車両用駆動装置を説明する断面図であり、図2に対応する図である。
本発明の一実施形態において、前記第1キャッチタンクは、前記デファレンシャルリングギヤによって掻き上げられたオイルも貯留する。このため、前記ケースの内部に貯留されたオイルを前記第1キャッチタンクに好適に貯留することができる。
また、本発明の一実施形態において、(a)前記回転軸に形成された前記軸方向油路内には、前記第1キャッチタンクに貯留されたオイルが供給され且つ前記回転軸の軸方向に延びる内挿管が非回転状態で配設されており、(b)前記内挿管には、前記内挿管に供給されたオイルを前記軸方向油路へ排出する第1油穴が形成されている。このため、前記第1キャッチタンクに貯留されたオイルは前記内挿管に供給され、前記内挿管に供給されたオイルは前記第1油穴から前記軸方向油路へ流出される。
また、本発明の一実施形態において、(a)前記モータのロータは、前記ロータの内周部に一体的に固設された円筒状のロータ軸によって回転可能に支持され、(b)前記内挿管は、前記円筒状のロータ軸の内部および前記回転軸の前記軸方向油路内に配設されており、(c)前記内挿管には、前記内挿管に供給されたオイルを前記ロータ軸の内部へ排出する第2油穴が形成され、(d)前記ロータ軸には、前記ロータ軸の内部に供給されたオイルを前記モータに設けられたステータのコイルエンドに向かって放出する放出穴が設けられている。このため、前記第1キャッチタンクに貯留されたオイルの一部は、前記内挿管に形成された第2油穴により前記ロータ軸の内部に流出され、そのロータ軸の内部に流出されたオイルが遠心力により前記ロータ軸に設けられた前記放出穴から前記コイルエンドに向かって放出されるので、前記モータを前記オイル供給パイプから供給されるオイルだけで冷却する場合に比べて好適に前記モータを冷却することができる。
また、本発明の一実施形態において、(a)前記ケースの内部には、前記デファレンシャルリングギヤによって掻き上げられたオイルを貯留する第2キャッチタンクが設けられており、(b)前記第2キャッチタンクには、前記第2キャッチタンクに貯留されたオイルを前記第1キャッチタンクに供給する供給穴が形成されている。このため、前記第2キャッチタンクに貯留されたオイルを前記供給穴によって安定的に前記第1キャッチタンクに供給することができる。
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が好適に適用された電気自動車10の構成を概略的に説明する断面図である。電気自動車10は、走行用の駆動力源である電動モータ(モータ)12によって図示しない左右一対の駆動輪を駆動させる駆動装置(車両用駆動装置)14を備えている。駆動装置14には、図1に示すように、電動モータ12と、電動モータ12に動力伝達可能に連結されたギヤ機構16と、ギヤ機構16に動力伝達可能に連結されたデファレンシャル装置18と、前記駆動輪と共に回転するドライブシャフト20と、電動モータ12、ギヤ機構16、およびデファレンシャル装置18等を収容する収容ケース(ケース)22等と、が備えられている。
電動モータ12は、図1に示すように、例えば収容ケース22に固定された円筒状のステータ12aと、円筒状のステータ12aの内側に所定の間隙を隔ててロータ軸24に固定された円筒状のロータ12bとを備えている。なお、円筒状のロータ12bの内周部に一体的に固設された円筒状のロータ軸24は、一対の第1軸受26a、26bを介して収容ケース22に第1回転軸線C1まわりに回転可能に支持されており、ロータ12bは、ロータ軸24に第1回転軸線C1まわりに回転可能に支持されている。また、ステータ12aには、ステータ12aの第1回転軸線C1方向の両側にそのステータ12aに巻き掛けられたコイルエンド12cが備えられている。
デファレンシャル装置18は、図1に示すように、第2回転軸線C2まわりに回転可能に支持された容器状のデファレンシャルケース18aと、デファレンシャルケース18aの外周部18bに固定されたデファレンシャルリングギヤ18cと、デファレンシャルケース18aに両端部が支持され、そのデファレンシャルケース18aの第2回転軸線C2に直交する姿勢で図示しないノックピンによりそのデファレンシャルケース18aに固定された円柱状のピニオンシャフト18dと、ピニオンシャフト18dを挟んで対向する状態で第2回転軸線C2まわりに回転自在に配置され、デファレンシャルケース18a内に収容された一対のサイドギヤ18eと、ピニオンシャフト18dが挿通させられることによってそのピニオンシャフト18dにより回転可能に支持された状態でデファレンシャルケース18aと共に回転し、一対のサイドギヤ18eと噛み合う一対のピニオン18fと、を備えている。なお、一対のサイドギヤ18eには、一対のドライブシャフト20がそれぞれに連結されている。
ギヤ機構16は、図1に示すように、電動モータ12に設けられたロータ軸24に動力伝達可能に連結された回転軸16aと、回転軸16aに一体的に形成されたピニオン16bと、デファレンシャル装置18に設けられたデファレンシャルリングギヤ18cに噛み合う小径ギヤ16cと、小径ギヤ16cより大径であり、回転軸16aに形成されたピニオン16bに噛み合う大径ギヤ16dと、小径ギヤ16cおよび大径ギヤ16dが一体的に固設され、回転軸16aに形成されたピニオン16bとデファレンシャルリングギヤ18cとの間に配置されたカウンタ軸16eと、を備えている。なお、ギヤ機構16において、カウンタ軸16eは、図示しない一対の軸受を介して収容ケース22に第3回転軸線C3まわりに回転可能に支持されている。また、回転軸16aは、一対の第2軸受28a、28bを介して収容ケース22に第1回転軸線C1まわりに回転可能、すなわち電動モータ12に設けられたロータ軸24と同じ回転軸線C1まわりに回転可能に支持されている。このように構成されたギヤ機構16では、電動モータ12によってロータ軸24が第1回転軸線C1まわりに回転駆動させられると、電動モータ12のロータ軸24の回転に対してデファレンシャルリングギヤ18cの回転を減速させて電動モータ12の回転駆動力をデファレンシャルリングギヤ18cに伝達する。
収容ケース22は、図1に示すように、第1ケース部材30と、第1ケース部材30に第1締結ボルトB1によって一体的に固定された第2ケース部材32と、第1ケース部材30に第2締結ボルトB2によって一体的に固定された第3ケース部材34と、を備えている。また、収容ケース22には、第1ケース部材30と第2ケース部材32とにより形成された第1収容空間S1と、第1ケース部材30と第3ケース部材34とにより形成された第2収容空間S2とが形成されており、第1収容空間S1には、ギヤ機構16、デファレンシャル装置18等が収容され、第2収容空間S2には、電動モータ12等が収容されている。なお、第1ケース部材30には、第1収容空間S1と第2収容空間S2とを隔てる隔壁30aが形成されている。
図2は、駆動装置14が電気自動車10に組み付けられた状態を示す図1のII-II視断面図であり、図3は、図1の一部を詳細に示す断面図である。なお、図2および図3に示す矢印Eは、鉛直方向における上方側を示す矢印である。また、図1は、図2のA-A視断面図である。図2に示すように、収容ケース22の内部すなわち第1収容空間S1には、オイルOilが貯留されている。また、図2において、ギヤ機構16に設けられたピニオン16bと小径ギヤ16cと大径ギヤ16d、およびデファレンシャル装置18に設けられたデファレンシャルリングギヤ18cに示された矢印F1、F2、F3は、車両前進走行時にそれらギヤ16b、16c、16d、18cがそれぞれの回転軸線C1、C2、C3まわりに回転させられる回転方向を示している。
図1に示すように、第1回転軸線C1と、第2回転軸線C2と、第3回転軸線C3とは、それぞれ平行に配置されており、図2に示すように、それらの回転軸線C1、C2、C3は、鉛直方向において上方から、第1回転軸線C1、第2回転軸線C2、第3回転軸線C3の順に配置されている。また、ギヤ機構16においてカウンタ軸16eに形成された小径ギヤ16cおよび大径ギヤ16dは、図2に示すように、鉛直方向に対して直交する方向において、第1回転軸線C1と第2回転軸線C2との間に配置されている。
図2に示すように、ギヤ機構16のカウンタ軸16eに固設された小径ギヤ16cおよび大径ギヤ16dのうちの1つのギヤすなわち大径ギヤ16dは、収容ケース22の第1収容空間S1において、その大径ギヤ16bの一部が車両走行時に収容ケース22の内部に貯留されたオイルOilに浸る位置、すなわちその大径ギヤ16bを第3回転軸線C3まわり矢印F2方向に回転させることにより収容ケース22の内部に貯留されたオイルOilが掻き上げられる位置に配置されている。なお、デファレンシャル装置18に設けられたデファレンシャルリングギヤ18cは、図2に示すように、収容ケース22の第1収容空間S1において、そのデファレンシャルリングギヤ18cの一部が車両走行時に収容ケース22の内部に貯留されたオイルOilに浸る位置、すなわちそのデファレンシャルリングギヤ18cを第2回転軸線C2まわり矢印方向F3に回転させられることにより収容ケース22の内部に貯留されたオイルOilが掻き上げられる位置に配置されている。
図1および図3に示すように、駆動装置14には、電動モータ12の鉛直方向上方に配置(図3参照)され、オイルOilを電動モータ12に供給して電動モータ12を冷却するオイル供給パイプ36が収容ケース22の第2収容空間S2内に設けられている。オイル供給パイプ36は、管状に形成されており、その管状のオイル供給パイプ36の第1収容空間S1側の端部36aが第1ケース部材30の隔壁30aに固定され、その管状のオイル供給パイプ36の第1収容空間S1側とは反対側の端部36bが第3ケース部材34に固定されている。また、オイル供給パイプ36の端部36aには、オイル供給パイプ36の端(一端)に開口するオイル導入口36cが形成されており、オイル供給パイプ36の端部36aが第1ケース部材30の隔壁30aに貫通された貫通穴30bに嵌め入れられている。このように構成されたオイル供給パイプ36では、オイル導入口36cからオイルOilが供給されると、その供給されたオイルOilをオイル供給パイプ36に形成された第1吐出穴36dおよび第2吐出穴36eから電動モータ12に設けられたステータ12aのコイルエンド12cに吐出する。
図2に示すように、収容ケース22の内部すなわち第1ケース部材30の隔壁30aには、ギヤ機構36に設けられた大径ギヤ16dが第3回転軸線C3まわり矢印F2方向に回転することによって掻き上げられたオイルOilを、鉛直方向の上方へ向けて案内すなわち後述する第2オイル案内部材40へ向けて案内する第1オイル案内部材38と、第1オイル案内部材38によって鉛直方向の上方へ向けて案内されたオイルOilを第1キャッチタンク42のオイル貯留部42a内へ向けて案内する第2オイル案内部材40と、が固設されている。なお、第2オイル案内部材40は、第1オイル案内部材38に対して鉛直方向の上方側に配置されている。また、第2オイル案内部材40は、図2に示すように、第1回転軸線C1を中心とする周方向に沿って湾曲した帯板状に形成されており、その帯板状の第2オイル案内部材40の第1キャッチタンク42側の端部40aは、第1キャッチタンク42のオイル貯留部42aよりも鉛直方向上方に配置されている。また、第2オイル案内部材40は、第2オイル案内部材40の第1キャッチタンク42側の端部40aから鉛直方向下方へ向かうにつれて、すなわち第2オイル案内部材40の第1キャッチタンク42側の端部40aから第2オイル案内部材40の第1キャッチタンク42側とは反対側の端部40bに向かうにつれて、第1キャッチタンク42から離間するように湾曲している。なお、図2に示す矢印F4は、第1オイル案内部材38によって鉛直方向の上方へ向けて案内されるオイルOilの流れを示すものであり、図2に示す矢印F5は、第2オイル案内部材40によって第1キャッチタンク42のオイル貯留部42aに向けて案内されるオイルOilの流れを示すものである。
図1および図3に示すように、電動モータ12に設けられた円筒状のロータ軸24とギヤ機構16に設けられた回転軸16aとは、第1回転軸線C1上に配設されており、円筒状のロータ軸24のギヤ機構16側の端部24aの内周面に形成された内周スプライン歯24bに、回転軸16aの電動モータ12側の端部16fの外周面に形成された外周スプライン歯16gがスプライン嵌合されている。また、ギヤ機構16に設けられた回転軸16aには、円筒状のロータ軸24の内部空間(内部)S3に連通し且つ回転軸16a内をその軸方向すなわち第1回転軸線C1方向に延びる軸方向油路16hと、軸方向油路16hに連通し且つ回転軸16aの径方向に形成された第1径方向油路(径方向油路)16iおよび第2径方向油路16jと、が設けられている。また、円筒状のロータ軸24のギヤ機構16側の端部24aには、ロータ軸24に形成された内部空間S3と連通し且つロータ軸24の径方向に形成された第1径方向油路24cが設けられ、円筒状のロータ軸24のギヤ機構16側とは反対側の端部24dには、ロータ軸24に形成された内部空間S3と連通し且つロータ軸24の径方向に形成された第2径方向油路24eが設けられている。
また、図1および図3に示すように、円筒状のロータ軸24に形成された内部空間(内部)S3および回転軸16aの軸方向油路16h内には、回転軸16aの軸方向すなわち第1回転軸線C1方向に延びる管状の内挿管44が非回転状態で配設されている。また、内挿管44には、内挿管44に供給されたオイルOilを回転軸16aに形成された軸方向油路16hへ排出する第1油穴44aおよび第2油穴44bと、内挿管44に供給されたオイルOilをロータ軸24の内部空間S3へ排出する第3油穴(第2油穴)44cおよび第4油穴(第2油穴)44dと、が形成されている。なお、第1油穴44aは、内挿管44において回転軸16aに形成された第1径方向油路16iの鉛直方向上すなわち回転軸16aの径方向上に配置されている。また、第2油穴44bは、内挿管44において回転軸16aに形成された第2径方向油路16jの鉛直方向上すなわち回転軸16aの径方向上に配置されている。また、第3油穴44cは、内挿管44においてロータ軸24に形成された第1径方向油路24cの鉛直方向上すなわちロータ軸24の径方向上に配置されている。また、第4油穴44dは、内挿管44においてロータ軸24に形成された第2径方向油路24eの鉛直方向上すなわちロータ軸24の径方向上に配置されている。なお、電動モータ12のロータ12bには、ロータ12bの第1回転軸線C1方向の両端に隣接された円板状の一対の第1プレート12dおよび第2プレート12eが設けられおり、第1プレート12dには、ロータ軸24に形成された第1径方向油路24cと連通し且つ第1径方向油路24cから供給されたオイルOilを、遠心力に従って、電動モータ12に設けられたステータ12aのコイルエンド12cに向かって放出する第1放出穴12fが形成されており、第2プレート12eには、ロータ軸24に形成された第2径方向油路24eと連通し且つ第2径方向油路24eから供給されたオイルOilを、遠心力に従って、コイルエンド12cに向かって放出する第2放出穴12gが形成されている。すなわち、ロータ軸24に形成された第1径方向油路24cおよび第2径方向油路24eは、第1プレート12dに形成された第1放出穴12fと第2プレート12eに形成された第2放出穴12gとを用いて、ロータ軸24の内部空間S3に供給されたオイルOilを、遠心力に従って、電動モータ12に設けられたステータ12aのコイルエンド12cに向かって放出する放出穴として機能する。
収容ケース22の第1収容空間S1内に設けられた第1キャッチタンク42には、図1から図3に示すように、大径ギヤ16dによって掻き上げられたオイルOilを貯留する前述したオイル貯留部42aと、オイル貯留部42aに貯留されたオイルOilを回転軸16aに形成された軸方向油路16fに供給すなわちその軸方向油路16f内に配設された内挿管44へ供給する供給油路42bと、が備えられている。すなわち、第1キャッチタンク42は、大径ギヤ16dによって掻き上げられたオイルOilを貯留し且つその貯留したオイルOilを回転軸16aの軸方向油路16fへ導く。なお、第1キャッチタンク42には、図2に示すように、デファレンシャルリングギヤ18cによって掻き上げられたオイルOilをオイル貯留部42aへ案内するオイル案内部42cが備えられている。
図1および図3に示すように、収容ケース22の第1収容空間S1には、ギヤ機構16の回転軸16aが回転することによる遠心力により第1径方向油路16iから放出されるオイルOilをオイル供給パイプ36のオイル導入口36cに案内するオイルガイド46が設けられている。オイルガイド46には、オイル供給パイプ36の端部36aに固定された固定部46aと、第1径方向油路16iから放出されたオイルOilをオイルガイド46内へ入れる開口部46bとが備えられている。なお、回転軸16a内に形成された第1径方向油路16iは、図1および図3に示すように、鉛直方向上すなわち回転軸16aの径方向上にオイルガイド46の開口部46bが配置されるように、回転軸16aにおいて第1径方向油路16iの位置が設定されている。また、回転軸16aに形成された第2径方向油路16jは、図1および図3に示すように、第1回転軸線C1方向において第1軸受26bと第2軸受28aとの間に配置されるように、回転軸16aにおいて第2径方向油路16jの位置が設定されている。
以上のように構成された駆動装置14では、車両前進走行での低速走行時においてギヤ機構16に設けられた大径ギヤ16bが第3回転軸線C3まわり矢印F2方向に回転させられると、デファレンシャルリングギヤ18cの回転よりも高速回転する大径ギヤ16bの回転によって掻き上げられたオイルOilが第1オイル案内部材38および第2オイル案内部材40によって第1キャッチタンク42のオイル貯留部42aに貯留され、オイル貯留部42aに貯留されたオイルOilが供給油路42bによって内挿管44に供給される。なお、高速走行時には、デファレンシャルリングギヤ18cの回転によって掻き上げられたオイルOilが第1キャッチタンク42のオイル貯留部42aに貯留される。
また、内挿管44にオイル貯留部42aに貯留されたオイルOilが供給されると、内挿管44に形成された第1油穴44aおよび第2油穴44bから回転軸16aに形成された軸方向油路16h内にオイルOilが流出されるので、回転軸16aが回転することによる遠心力により第1径方向油路16iからオイルOilが放出されて、その放出されたオイルOilがオイルガイド46によってオイル供給パイプ36のオイル導入口36cに案内される。これにより、オイル供給パイプ36のオイル導入口36cに案内されたオイルOilが、オイル供給パイプ36に形成された第1吐出穴36dおよび第2吐出穴36eから電動モータ12に設けられたステータ12aのコイルエンド12cに吐出されるので、電動モータ12が冷却される。なお、回転軸16aが回転することによる遠心力により第2径方向油路16jから放出されるオイルOilは例えば第1軸受26bおよび第2軸受28aに供給される。
さらに、内挿管44にオイル貯留部42aに貯留されたオイルOilが供給されると、内挿管44に形成された第3油穴44cおよび第4油穴44dからロータ軸24の内部空間S3にオイルOilが流出されるので、ロータ軸24の内部空間S3に流出されたオイルOilが、ロータ軸24が回転することによる遠心力により、電動モータ12に設けられたステータ12aのコイルエンド12cに向かって放出される。
上述のように、本実施例の駆動装置14によれば、ギヤ機構16に設けられた大径ギヤ16dは、収容ケース22の内部に貯留されたオイルOilを掻き上げる位置に配置され、ギヤ機構16に設けられた回転軸16aには、回転軸16a内を軸方向に延びる軸方向油路16hと、軸方向油路16hに連通し且つ回転軸16aの径方向に形成された第1径方向油路16iとが設けられており、収容ケース22の内部には、大径ギヤ16dによって掻き上げられたオイルOilを貯留し且つその貯留したオイルOilを回転軸16aの軸方向油路16hへ導く第1キャッチタンク42と、回転軸16aが回転することにより第1径方向油路16iから放出されるオイルOilをオイル供給パイプ36のオイル導入口36cに案内するオイルガイド46と、が設けられている。このため、低速走行時においてもデファレンシャルリングギヤ18cの回転よりも高速回転する大径ギヤ16dによって好適に掻き上げられたオイルOilが第1キャッチタンク42に貯留され、その貯留されたオイルOilが回転軸16a内に形成された軸方向油路16hへ導かれる。これにより、軸方向油路16hに導かれたオイルOilが、低速走行時においてもデファレンシャルリングギヤ18cの回転よりも高速回転する回転軸16aの回転による遠心力に従って第1径方向油路16iから好適に放出されて、オイルガイド46によってオイル供給パイプ36のオイル導入口36cに案内されるので、低速走行時においても安定的に収容ケース22の内部に貯留されたオイルOilを、オイルポンプを用いることなくオイル供給パイプ36に導くことができる。
また、本実施例の駆動装置14によれば、第1キャッチタンク42は、デファレンシャルリングギヤ18cによって掻き上げられたオイルOilも貯留する。このため、収容ケース22の内部に貯留されたオイルOilを第1キャッチタンク42に好適に貯留することができる。
また、本実施例の駆動装置14によれば、回転軸16aに形成された軸方向油路16h内には、第1キャッチタンク42に貯留されたオイルOilが供給され且つ回転軸16aの軸方向に延びる内挿管44が非回転状態で配設されており、内挿管44には、内挿管44に供給されたオイルOilを軸方向油路16hへ排出する第1油穴44aが形成されている。このため、第1キャッチタンク42に貯留されたオイルOilは内挿管44に供給され、内挿管44に供給されたオイルOilは第1油穴44aから軸方向油路16hへ流出される。
また、本実施例の駆動装置14によれば、電動モータ12のロータ12bは、ロータ12bの内周部に一体的に固設された円筒状のロータ軸24によって回転可能に支持され、内挿管44は、円筒状のロータ軸24の内部空間S3および回転軸16aの軸方向油路16h内に配設されており、内挿管44には、内挿管44に供給されたオイルOilをロータ軸24の内部空間S3へ排出する第3油穴44cおよび第4油穴44dが形成され、ロータ軸24には、ロータ軸24の内部空間S3に供給されたオイルOilを電動モータ12に設けられたステータ12aのコイルエンド12cに向かって放出する第1径方向油路24cおよび第2径方向油路24eが設けられている。このため、第1キャッチタンク42に貯留されたオイルOilの一部は、内挿管44に形成された第3油穴44cおよび第4油穴44dによりロータ軸24の内部空間S3に流出され、そのロータ軸24の内部空間S3に流出されたオイルOilが遠心力によりロータ軸24に設けられた第1径方向油路24cおよび第2径方向油路24eからコイルエンド12cに向かって放出されるので、電動モータ12をオイル供給パイプ36から供給されるオイルOilだけで冷却する場合に比べて好適に電動モータ12を冷却することができる。
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、前述の実施例1と共通する部分には同一の付号を付して説明を省略する。
図4は、本発明の他の実施例の駆動装置(車両用駆動装置)100を説明する図である。本実施例の駆動装置100は、実施例1の駆動装置14に比較して、第1キャッチタンク102の形状が異なる点と、デファレンシャルリングギヤ18cによって掻き上げられたオイルOilを貯留する第2キャッチタンク104が設けられている点とで相違しており、その他は実施例1の駆動装置14と略同じである。なお、第1キャッチタンク102は、実施例1の第1キャッチタンク42と同様に大径ギヤ16dによって掻き上げられたオイルOilを貯留し、その貯留したオイルOilを回転軸16aの軸方向油路16hへ導くすなわちその貯留したオイルOilを内挿管44に供給するようになっている。
図4に示すように、第2キャッチタンク104には、第2キャッチタンク104に貯留されたオイルを第1キャッチタンク102に供給する供給穴104aと、大径ギヤ16dが回転することによって第1オイル案内部材38により鉛直方向の上方へ向けて案内されたオイルOilを第1キャッチタンク102内へ向けて案内するオイル案内部104bと、が形成されている。なお、第1キャッチタンク102および第2キャッチタンク104は、例えば、樹脂などで一体成形して製造しても良いし、プレスやアルミ部品を組み合わせて製造しても良い。
上述のように、本実施例の駆動装置100によれば、収容ケース22の内部には、デファレンシャルリングギヤ18cによって掻き上げられたオイルOilを貯留する第2キャッチタンク104が設けられており、第2キャッチタンク104には、第2キャッチタンク104に貯留されたオイルOilを第1キャッチタンク102に供給する供給穴104aが形成されている。このため、供給穴104aによって第2キャッチタンク104に貯留されたオイルOilを安定的に第1キャッチタンク102に供給することができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例において、駆動装置14、100は、電動モータ12を駆動力源とする電気自動車10に適用されていたが、例えば駆動装置14、100を、電動モータおよびエンジンを駆動力源とするハイブリッド車両に適用しても良い。また、前述の実施例において、オイル導入口36cは、オイル供給パイプ36の一端に形成された開口であったが、例えばオイル供給パイプ36の端部(一端部)36aの何処かに形成させられた開口を、オイルガイド46から案内されるオイルOilを導入するオイル導入口にしても良い。
また、前述の実施例1において、第1オイル案内部材38および第2オイル案内部材40によって、ギヤ機構16に設けられた大径ギヤ16bの回転により掻き上げられたオイルOilを第1キャッチタンク42に案内したが、例えば、ギヤ機構16に設けられた小径ギヤ16aの回転により掻き上げられたオイルOilを第1キャッチタンク42に案内するように第1オイル案内部材38および第2オイル案内部材40を配置しても良い。さらに、ギヤ機構16にオイル掻き上げ専用のギヤを設けて、そのギヤによって掻き上げられたオイルOilを第1キャッチタンク42に案内するように第1オイル案内部材38および第2オイル案内部材40を配置しても良い。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
12:電動モータ(モータ)
14、100:駆動装置(車両用駆動装置)
16:ギヤ機構
16a:回転軸
16d:大径ギヤ(1つのギヤ)
16h:軸方向油路
16i:第1径方向油路(径方向油路)
18c:デファレンシャルリングギヤ
22:収容ケース(ケース)
36:オイル供給パイプ
36c:オイル導入口
42、102:第1キャッチタンク
46:オイルガイド
Oil:オイル

Claims (1)

  1. モータと、デファレンシャルリングギヤと、前記モータの回転を減速させて前記デファレンシャルリングギヤに伝達するギヤ機構と、前記モータの上方に配置され、オイルを前記モータに供給して前記モータを冷却するオイル供給パイプと、前記モータ、前記デファレンシャルリングギヤ、前記ギヤ機構、および前記オイル供給パイプを収容するケースと、を備え、前記ケースの内部に貯留されたオイルを前記オイル供給パイプの一端部に開口するオイル導入口から導入する車両用駆動装置であって、
    前記ギヤ機構に設けられた複数のギヤのうちの1つのギヤは、前記ケースの内部に貯留されたオイルを掻き上げる位置に配置され、
    前記ギヤ機構に設けられた回転軸には、前記回転軸内を軸方向に延びる軸方向油路と、前記軸方向油路に連通し且つ前記回転軸の径方向に形成された径方向油路とが設けられており、
    前記ケースの内部には、前記1つのギヤによって掻き上げられたオイルを貯留し且つその貯留したオイルを前記回転軸の軸方向油路へ導く第1キャッチタンクと、前記回転軸が回転することにより前記径方向油路から放出されるオイルを前記第1キャッチタンクよりも上方に配置された前記オイル供給パイプの前記オイル導入口に案内するオイルガイドと、が設けられ
    前記オイル供給パイプには、前記オイルガイドによって前記オイル導入口に案内されたオイルを前記モータに吐出する吐出穴が形成されている
    ことを特徴とする車両用駆動装置。
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