JP6957899B2 - 電極触媒層の評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電極触媒層、膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池に関する。
燃料電池は、水素と酸素との化学反応から電気を生み出す発電システムである。従来の発電システムと比較して高効率、低環境負荷、低騒音といった特徴を持ち、将来のクリーンなエネルギー源として注目されている。特に、室温付近で使用可能な固体高分子形燃料電池は、車載用電源や家庭用定置電源等への使用が有望視されており、近年、固体高分子形燃料電池に関する様々な研究開発が行われている。その実用化に向けての課題には、発電特性や耐久性等の電池性能向上、インフラ整備、製造コストの低減等が挙げられる。
固体高分子形燃料電池は、一般的に、多数の単セルが積層されて構成されている。単セルは、燃料ガスを供給する燃料極(アノード)と、酸化剤を供給する酸素極(カソード)との二つの電極で高分子電解質膜を挟んで接合した膜電極接合体を、ガス流路及び冷却水流路を有するセパレーターで挟んだ構造をしている。これらの燃料極及び酸素極の各々は、白金系の貴金属等の触媒物質と導電性担体と高分子電解質とを少なくとも含む電極触媒層と、ガス通気性と導電性とを兼ね備えたガス拡散層とで主に構成されている。
固体高分子形燃料電池では、以下のような電気化学反応を経て、電気を取り出すことができる。まず、燃料極(アノード)側の電極触媒層において、燃料ガスに含まれる水素が触媒物質により酸化され、プロトン及び電子となる。生成したプロトンは、電極触媒層内の高分子電解質及び電極触媒層に接している高分子電解質膜を通り、酸素極(カソード)側の電極触媒層に達する。また、同時に生成した電子は、電極触媒層内の導電性担体、電極触媒層の高分子電解質膜と異なる側に接しているガス拡散層、セパレーター及び外部回路を通って酸素極側の電極触媒層に達する。そして、酸素極側の電極触媒層において、プロトン及び電子が酸化剤ガスに含まれる酸素と反応することで、水を生成する。
膜電極接合体を構成している電極触媒層には、製造工程で発生するムラやクラック等の欠陥が存在することがある。電極触媒層に発生するこれらの欠陥は、触媒物質、導電性担体及び高分子電解質の偏在や、電極触媒層内部の局所的な熱履歴の差、電極触媒層の厚みのばらつきによるものである。著しいムラやクラックのある電極触媒層を有する膜電極接合体は、周辺部材と積層してセル化し、発電した際に、高分子電解質膜またはガス拡散層と電極触媒層の密着性が部分的に低下して生成水が滞留したり、電極触媒層の内部に局所的に高い電気的負荷のかかる部分が存在したりするおそれがある。このような局所的な負荷は、膜電極接合体の劣化を促進しやすく、長期的には破膜等を生じる可能性が高い。
このような著しいムラやクラックのある電極触媒層を有する膜電極接合体が燃料電池に用いられると、電池性能や耐久性の著しい低下を生じるため、膜電極接合体の製造工程において、問題となる欠陥を高精度で検出し、不良品を除外する技術が提案されている。
膜電極接合体やガス拡散層の欠陥部を検出する技術としては、欠陥部における照射光の透過光や反射光を撮像し、撮像した透過光や反射光の画像データに画像処理を行う方法がある。例えば、特許文献1に記載されている技術では、シート部材の片側から検査光を照射して、欠損部で透過した検査光を反対側に設けた検出器で検出するようになっている。
また、特許文献2に記載されている技術では、膜電極接合体の片側から検査光を照射して、欠陥部で反射した検査光を検出器で検出するようになっている。
さらに、特許文献3に記載されている技術では、多孔質電極基材の表面に検査光を照射して、透過光、正反射光及び散乱光を撮像し、透過光、正反射光及び散乱光の画像データを画像処理で解析して、欠陥の種類、存在位置及び大きさを検出するようになっている。
特開2014−190706号公報 特開2014−225340号公報 特許第5306053号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、検査の光源として透過光を用いるため、光を透過しない電極触媒層に発生したムラの検査には適用できないという問題があった。
また、特許文献2に記載の技術は、検査に反射光を用いるものであるが、膜電極接合体の表面に相紙を設置するため、シワを検出することはできても、電極触媒層の表面に発生したムラを検出することはできないという問題があった。
さらに、特許文献3に記載の技術では、披検査体の表面に直接検査光を照射して欠陥を検出するため、電極触媒層の検査にも応用できる可能性がある。しかし、多孔質電極基材に発生する欠陥と電極触媒層に発生するムラ等の欠陥ではサイズやコントラストが異なるため、そのまま適用することはできない。また、特許文献3では、電極触媒層に関しては言及されておらず、電極触媒層に発生した欠陥の良否の基準が不明という問題があった。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、電池性能や耐久性の著しい低下が生じることを長期的に抑制可能な電極触媒層、膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、(a)触媒物質と導電性担体と高分子電解質とを含む電極触媒層であって、(b)電極触媒層の表面に予め定めた複数の領域それぞれにブリュースター角で入射する検査光を照射した際に得られる複数の正反射光に含まれる、P偏光成分の光量である反射光量Lpの標準偏差σpと、S偏光成分の光量である反射光量Lsの標準偏差σsとの比σp/σsが0.5以上1.5以下である電極触媒層であることを要旨とする。
また、本発明の他の態様は、(a)高分子電解質膜と、(b)その高分子電解質膜の酸素極側の面に接合された上記電極触媒層とを備える膜電極接合体であることを要旨とする。
さらに、本発明の他の態様は、上記膜電極接合体を備える固体高分子形燃料電池であることを要旨とする。
本発明によれば、触媒物質、導電性担体及び高分子電解質の偏在や、電極触媒層内部の局所的な熱履歴の差、電極触媒層の厚さのばらつきを抑制できるため、電池性能や耐久性の低下を生じることを長期的に抑制可能な電極触媒層、膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池を提供することができる。
実施形態に係る膜電極接合体の構成を示し、(a)は膜電極接合体を電極触媒層の酸素極側から見た平面図、(b)は(a)のX−X´線で破断した断面図である。 実施形態に係る電極触媒層を有する触媒層付き転写基材の説明図である。 反射光量Lp及びLsを得る際の構成を示す説明図である。 実施形態に係る固体高分子形燃料電池の構成を示す分解斜視図である。 反射光量Lpのマッピング画像の一例を示す図である。 反射光量Lpのヒストグラムの一例を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、以下に記載する実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識を基に設計の変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も、本発明の範囲に含まれるものである。また、各図面は、理解を容易にするため適宜誇張して表現している。
本発明の発明者は、固体高分子形燃料電池の発電性能と耐久性能について鋭意検討を行った結果、これらの性能には電極触媒層における触媒物質、導電性担体及び高分子電解質の偏在や、電極触媒層内部の局所的な熱履歴の差、電極触媒層の厚みのばらつきが大きく影響していることを見出した。そして、電極触媒層における反射輝度のばらつきを所定の範囲内として膜電極接合体における局所的な負荷が生じないようにすることで、劣化を抑制し、長期的に高い発電性能を発揮する固体高分子形燃料電池を得ることに成功した。
(膜電極接合体及び電極触媒層の構成)
以下、本実施形態に係る膜電極接合体及び電極触媒層の具体的な構成を説明する。
図1(a)は、本実施形態に係る膜電極接合体1を電極触媒層12Cの酸素極(以下、「上面」とも呼ぶ)側から見た平面図であり、図1(b)は、図1(a)のX−X´線に沿う断面図(電極触媒層12Cの表面と直交する厚さ方向で破断した断面図)である。
図1(a),(b)に示すように、膜電極接合体1は、高分子電解質膜11と、高分子電解質膜11のそれぞれの面に接合された電極触媒層12C、12Aとを備えている。本実施形態では、高分子電解質膜11の上面に形成される電極触媒層12Cは、酸素極を構成するカソード側触媒層であり、高分子電解質膜11の下面に形成される電極触媒層12Aは、燃料極を構成するアノード側触媒層である。以下、一対の電極触媒層12C、12Aは、区別する必要が無い場合には、「電極触媒層12」と略記する場合がある。なお、電極触媒層12の外周部は、ガスケット等(図示せず)によりシールされていてもよい。
電極触媒層12は、少なくとも触媒物質と導電性担体と高分子電解質とを含んでいる。
触媒物質としては、例えば、白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウムの白金族元素、鉄、鉛、銅、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム等の金属及びこれらの合金、酸化物、複酸化物、炭化物等を用いることができる。また、導電性担体としては、導電性を有し、触媒物質に侵されずに触媒物質を担持可能なものであれば、どのようなものでも構わないが、一般的にカーボン粒子が使用される。例えば、カーボンブラック、グラファイト、黒鉛、活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、フラーレンを用いることができる。カーボン粒子の粒径は、小さすぎると電子伝導パスが形成され難くなり、また、大きすぎると電極触媒層12のガス拡散性が低下したり、触媒の利用率が低下したりするので、10〜1000nm程度が好ましい。更に好ましくは、10〜100nm程度がよい。
高分子電解質膜11や電極触媒層12に含まれる高分子電解質としては、プロトン伝導性を有するものであれば、どのようなものでもよく、フッ素系高分子電解質、炭化水素系高分子電解質を用いることができる。フッ素系高分子電解質としては、例えば、デュポン社製の「Nafion(登録商標)」、旭硝子社製の「Flemion(登録商標)」、旭化成社製の「Aciplex(登録商標)」、等を用いることができる。また、炭化水素系高分子電解質としては、例えば、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレン等を用いることができる。高分子電解質膜11に含まれる高分子電解質と、電極触媒層12に含まれる高分子電解質とは、互いに同じものを用いてもよいし、互いに異なるものを用いてもよい。ただし、高分子電解質膜11と電極触媒層12との界面抵抗や、湿度変化時の高分子電解質膜11と電極触媒層12とにおける寸法変化率を考慮すると、高分子電解質膜11に含まれる高分子電解質と、電極触媒層12に含まれる高分子電解質とは、互いに同じものであるか類似の成分のものであることが好適である。
また、高分子電解質膜11の上面及び下面に電極触媒層12を形成し、膜電極接合体1を得る方法としては、例えば、高分子電解質膜11の表面に触媒物質と導電性担体と高分子電解質と溶媒とを少なくとも含む触媒インクを直接塗布した後、触媒インクの塗膜から溶媒成分を除去して電極触媒層12を形成する方法を用いることができる。また、例えば、予め用意した触媒層付き転写基材2(図2参照)を用い、触媒層付き転写基材2の電極触媒層12の表面と高分子電解質膜11とを接触させて加熱・加圧することで接合及び転写を行う方法を用いることもできる。図2は、触媒層付き転写基材2の説明図(電極触媒層12の表面と直交する厚さ方向の断面図)である。触媒層付き転写基材2は、基材13の表面に触媒物質と導電性担体と高分子電解質と溶媒とを少なくとも含む触媒インクを塗布し、触媒インクの塗膜から溶媒成分を除去して電極触媒層12を形成したものである。
また、触媒インクは、少なくとも上述した触媒物質と導電性担体と高分子電解質と溶媒とを混合し、分散処理を加えることにより得られる。分散処理には、例えば、遊星ボールミル、ビーズミル、超音波ホモジナイザー等の様々な手法を用いることが可能である。
また、触媒インクの分散媒として使用される溶媒は、触媒物質や導電性担体、高分子電解質を浸食することがなく、流動性の高い状態で高分子電解質を溶解または微細ゲルとして分散できるものあれば、どのようなものでもよい。溶媒には、高分子電解質となじみがよい水が含まれていてもよい。触媒インク中には、揮発性の液体有機溶媒が少なくとも含まれることが望ましいが、溶剤として低級アルコールを用いたものは発火の危険性が高く、このような溶媒を用いる際は水との混合溶媒にするのが好ましい。水の添加量は、高分子電解質が分離して白濁を生じたり、ゲル化したりしない程度であれば特に制限はない。
また、触媒インクを塗布する方法としては、例えば、ダイコート、ロールコート、カーテンコート、スプレーコート、スキージー等、様々な塗工方法を用いることができる。特に、塗布中間部分の膜厚が安定しており間欠塗工にも対応可能であるので、ダイコートが好ましい。さらに、塗布した触媒インクを乾燥させる方法としては、例えば、温風オーブン、IR(遠赤外線)乾燥、ホットプレート、減圧乾燥等を用いることができる。
触媒層付き転写基材2を用い、高分子電解質膜11と電極触媒層12を接触させて加熱・加圧することで接合及び転写を行う場合には、電極触媒層12にかかる圧力が膜電極接合体1の発電性能に影響する。発電性能の高い膜電極接合体1を得るには、積層体にかかる圧力は、0.5MPa以上20MPa以下であることが望ましい。20MPaより大きい場合には電極触媒層12が過圧縮となり、0.5MPより小さい場合には電極触媒層12と高分子電解質膜11との接合性が低下して、発電性能が低下する。また、接合時の温度は、高分子電解質膜11と電極触媒層12の界面の接合性の向上や、界面抵抗の抑制を考慮すると、電極触媒層12の高分子電解質のガラス転移点付近とするのが好ましい。
また、基材13としては、例えば、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等、転写性に優れたフッ素系樹脂を用いることができる。また、ポリイミド、ポリエチレンテレフタラート、ポリアミド(ナイロン)、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテル・エーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート等、高分子フィルムを用いることもできる。また、基材13としては、例えば、ガス拡散層を用いることもできる。
また、実施形態に係る電極触媒層12は、図3に示すように、電極触媒層12の表面において、所定の面積を有する領域Dにブリュースター角θで入射する検査光を照射した際の正反射光のうち、偏光子15がP偏光成分のみを通過させる偏光子である場合に偏光子15を通過した光の反射光量をLpとし、偏光子15がS偏光成分のみを通過させる偏光子である場合に偏光子15を通過した光の反射光量をLsとしたとき、各領域Dを重複させることなく、電極触媒層12の表面の概ね全域を走査して得られる反射光量Lpの標準偏差σpと反射光量Lsの標準偏差σsとの比σp/σsが、0.5以上1.5以下となるように構成されている。すなわち、電極触媒層12の表面に予め定めた複数の領域Dそれぞれにブリュースター角θで入射する検査光を照射した際に得られる複数の正反射光に含まれる、P偏光成分の光量(反射光量Lp)の標準偏差σpと、S偏光成分の光量(反射光量Ls)の標準偏差σsとの比σp/σsが、0.5以上1.5以下となっている。
図3の例では、検査光は、光源14により照射され、電極触媒層12の表面(領域D)で反射される。そして、偏光子15を透過した光が受光部16に入射し、受光部16で反射光量が検出される。このとき、偏光子15がP偏光成分のみを通過させる偏光子である場合に検出される光の反射光量がLp、偏光子15がS偏光成分のみを通過させる偏光子である場合に検出される光の反射光量がLsとなる。それゆえ、領域Dを重複させることなく電極触媒層12の表面の概ね全域を走査して得られる、反射光量Lp及びLsの標準偏差σp及びσsは、小さいほど電極触媒層12の表面が均一であるという指標となる。
反射光量Lpの標準偏差σpの算出方法としては、例えば、光源14から電極触媒層12の表面の複数の領域Dそれぞれに検査光を照射し、各領域Dからの正反射光を、P偏光成分のみを通過させる偏光子15を通してから受光部16で検出して反射光量Lpを取得し、取得した全ての反射光量Lpのデータを用いてヒストグラム分析を行うことで標準偏差σpを得る方法を採用できる。また、反射光量Lsの標準偏差σsの算出方法としては、例えば、光源14から電極触媒層12の表面の複数の領域Dそれぞれに検査光を照射し、各領域Dからの正反射光を、S偏光成分のみを通過させる偏光子15を通してから受光部16で検出して反射光量Lsを取得し、取得した全ての反射光量Lsのデータを用いてヒストグラム分析を行うことで標準偏差σsを得る方法を採用できる。なお、図3の例では、反射光量Lp、Lsの被検査体となる電極触媒層12は、高分子電解質膜11の表面に形成されているが、図2に示すように、基材13の表面に形成されていてもよい。
ここで、光源14としては、例えば、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)やハロゲンランプ、キセノンランプ等を用いることができる。また、検査光は、被検査体の全幅に対して均一な照射を行えるように、平行光もしくは高指向性の光であるのが望ましく、均一照明レンズやテレセントリックレンズを併せて用いるようにしてもよい。
また、受光部16としては、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサーを有するエリアカメラやラインスキャンカメラを用いることができる。特に、被検査体(電極触媒層12)の全幅に対してラインスキャンカメラを設置し、受光部16と垂直の方向に被検査体(電極触媒層12)を移動させながら順次検査を行うことで、検査精度と検査効率に優れるとともに、様々な被検査体(電極触媒層12)のサイズに対応することが可能であり好適である。なお、光源14及び受光部16の有効サイズが十分に大きい場合には、走査することなく複数の領域Dにおける反射光量Lp、Lsを得ることが可能である。
一般的に、平滑な被検査体の表面にブリュースター角θで光が入射した場合、P偏光成分の反射率は0となる。それゆえ、平滑な披検査体の表面で反射した光が、P偏光成分のみを通過させる偏光子15を通過した場合には、受光部16には光が入射されない。しかし、被検査体が電極触媒層12である場合、電極触媒層12の表面にはミクロな凹凸が存在し、凹凸面で光が散乱するため、P偏光成分のみを通過させる偏光子15が選択されたとしても、受光部16に検査光が入射される。さらに、電極触媒層12の表面に平滑性や組成の異なる部分が存在する場合、反射率が異なるため、平滑性や組成の異なる電極触媒層12の部分毎に、受光部16で検出される光の反射光量Lpが異なるものになる。
また、一般的に、平滑な被検査体の表面にブリュースター角θで光が入射した場合、S偏光成分は材料に固有の反射率で反射される。しかし、被検査体が電極触媒層12である場合、電極触媒層12の表面にクラックやピンホールが存在すると、電極触媒層12への入射光の一部が反射せずに透過するため、クラック等が存在する電極触媒層12の部分では、受光部16で検出される光の反射光量Lsが固有の反射率と異なるものになる。
それゆえ、実施形態に係る電極触媒層12は、各領域Dを重複させることなく、電極触媒層12の表面の概ね全域を走査して得られる反射光量Lpの標準偏差σpと反射光量Lsの標準偏差σsとの比σp/σsが、0.5以上1.5以下となるように構成した。比σp/σsが1.5よりも大きい場合には、触媒物質、導電性担体及び高分子電解質の偏在や、電極触媒層12の局所的な熱履歴の差、電極触媒層12の厚みのばらつきが大きくなり、周辺部材と積層してセル化し発電した際に、電池の出力や耐久性の著しい低下を生じる。これは、高分子電解質膜11またはガス拡散層(不図示)と電極触媒層12との密着性が部分的に低下したり、電極触媒層12や膜電極接合体1に局所的に高い電気的負荷のかかる部分が存在したりするためと考えられる。一方、比σp/σsが0.5よりも小さい場合には、導電性担体が密に詰まりすぎている状態であり、発電により生成及び凝縮した水が細孔に詰まってガスの通り道を塞ぎやすいため、電池の出力や耐久性が低下する。
領域Dの面積は、1600μm2以上10000μm2以下が好ましい。領域Dの面積が10000μm2よりも大きい場合には、広いエリアが平均化されてしまうため、電極触媒層12に存在する欠陥を正確に検出することができない。また、領域Dの面積が1600μm2よりも小さい場合には、非常に高解像度の受光部16を要し、電極触媒層12の全域を走査するための時間も長く要することから、製造工程の観点で実用的ではない。
また、電極触媒層12の厚さは、1μm以上30μm以下が好ましい。特に、製造上のばらつき等を考慮すると、2μm以上20μm以下がより好ましい。厚さが30μmよりも厚い場合には、クラックが生じやすいうえに、燃料電池に用いた際にガスや生成する水の拡散性及び導電性が低下して、出力が低下してしまう。また、厚さが1μmよりも薄い場合には、層厚にばらつきが生じ易くなり、内部の触媒物質や高分子電解質が不均一となりやすい。電極触媒層12の表面のひび割れや、厚さの不均一性は、燃料電池として使用し、長期に渡り運転した際の耐久性に悪影響を及ぼす可能性が高いため、好ましくない。
電極触媒層12の厚さは、例えば、以下のようにして確認することができる。まず、電極触媒層12の断面を露出させる。続いて、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて3000倍から10000倍程度の倍率で、露出させた断面の5カ所以上の観察点を観察する。各観察点で3点以上厚さを計測し、その平均値を各観察点での代表値とする。これら代表値の平均値を、電極触媒層12の厚みとする。電極触媒層12の断面を露出させる方法としては、例えば、イオンミリング、ウルトラミクロトーム等の公知の方法を用いることができる。断面を露出させる加工を行う際には、電極触媒層12を構成する高分子電解質へのダメージを軽減するため、電極触媒層12を冷却しながら加工を行うことが好ましい。
また、電極触媒層12中の導電性担体の質量に対する高分子電解質の質量の比率は、0.6以上1.4以下が好ましい。質量比率が1.4よりも高い場合には、高分子電解質が電極触媒層12内の細孔を塞いでしまい、ガスや生成する水の拡散を妨げて、燃料電池の出力が低下する可能性がある。また、質量比率が0.6よりも低い場合には、高分子電解質のプロトン伝導パスの減少や遮断が生じ、燃料電池の出力が低下する可能性がある。
(固体高分子形燃料電池の構成)
次に、図4を参照しつつ、実施形態に係る膜電極接合体1を備えた固体高分子形燃料電池3の具体的な構成を説明する。図4は、膜電極接合体1を装着した固体高分子形燃料電池3の構成例を示す分解斜視図である。なお、図4は、単セルの構成例であり、固体高分子形燃料電池3は、この構成に限られず、複数の単セルを積層した構成としてもよい。
図4に示すように、固体高分子形燃料電池3は、膜電極接合体1と、ガス拡散層17Cと、ガス拡散層17Aとを備えている。ガス拡散層17Cは、膜電極接合体1の酸素極側のカソード側触媒層である電極触媒層12Cと対向して配置されている。また、ガス拡散層17Aは、膜電極接合体1の燃料極側のアノード側触媒層である電極触媒層12Aと対向して配置されている。そして、電極触媒層12C及びガス拡散層17Cから酸素極4Cが構成され、電極触媒層12A及びガス拡散層17Aから燃料極4Aが構成されている。
さらに、固体高分子形燃料電池3は、酸素極4Cに対向して配置されたセパレーター18Cと、燃料極4Aに対向して配置されたセパレーター18Aとを備えている。
セパレーター18Cは、ガス拡散層17Cに対向する面に形成された反応ガス流通用のガス流路19Cと、ガス流路19Cが形成された面と反対側の面に形成された冷却水流通用の冷却水流路20Cとを備えている。また、セパレーター18Aは、セパレーター18Cと同様の構成を有しており、ガス拡散層17Aに対向する面に形成されたガス流路19Aと、ガス流路19Aが形成された面と反対側の面に形成された冷却水流路20Aとを備えている。セパレーター18C、18Aは、導電性でかつガス不透過性の材料からなる。
そして、固体高分子形燃料電池3は、セパレーター18Cのガス流路19Cを通って空気や酸素等の酸化剤が酸素極4Cに供給され、セパレーター18Aのガス流路19Aを通って水素を含む燃料ガスもしくは有機物燃料が燃料極4Aに供給されて、発電を行う。
以上、実施形態に係る電極触媒層12では、電極触媒層12の表面において、所定の面積を有する領域Dにブリュースター角θで入射する検査光を照射した際の正反射光のうち、偏光子15がP偏光成分のみを通過させる偏光子である場合に偏光子15を通過した光の反射光量をLpとし、偏光子15がS偏光成分のみを通過させる偏光子である場合に偏光子15を通過した光の反射光量をLsとしたとき、領域Dを重複させることなく当該電極触媒層12の表面の概ね全域を走査して得られる反射光量Lpの標準偏差σpと反射光量Lsの標準偏差σsとの比σp/σsが、0.5以上1.5以下となるように構成した。すなわち、電極触媒層12の表面に予め定めた複数の領域Dそれぞれにブリュースター角θで入射する検査光を照射した際に得られる複数の正反射光に含まれる、P偏光成分の光量(反射光量Lp)の標準偏差σpと、S偏光成分の光量(反射光量Ls)の標準偏差σsとの比σp/σsが、0.5以上1.5以下となるようにした。これにより、触媒物質、導電性担体及び高分子電解質の偏在や、電極触媒層12の局所的な熱履歴の差、電極触媒層12の厚みのばらつきを適正な状態とし、周辺部材と積層してセル化し発電した際に電池の出力や耐久性に優れた電極触媒層12及び膜電極接合体1を得ることができる。
また、領域Dの面積が、1600μm2以上10000μm2以下となるように構成した。そのため、電極触媒層12に存在する欠陥を実用上適切な速度で正確に検出できる。
さらに、電極触媒層12の厚さを、1μm以上30μm以下、好ましくは2μm以上20μmとなるように構成した。そのため、層厚ムラやクラック等の問題がない電極触媒層12を得ることが可能となり、耐久性に優れた膜電極接合体1を得ることが可能となる。
さらに、電極触媒層12中の導電性担体に対する高分子電解質の質量比率が、0.6以上1.4以下となるように構成した。そのため、ガスや水の拡散性を維持しつつ、高いプロトン伝導性を有する電極触媒層12及び膜電極接合体1を得ることが可能となる。
また、実施形態に係る膜電極接合体1を用いて固体高分子形燃料電池3を構成した。そのため、フラッディング現象及びプロトン伝導性低下による発電性能の低下を抑制し、高い発電性能を発揮し耐久性にも優れた固体高分子形燃料電池3を得ることが可能となる。
以下、実施例に係る膜電極接合体1を備えた固体高分子形燃料電池3と、比較例に係る膜電極接合体1を備えた固体高分子形燃料電池3との性能を比較した結果を説明する。
(実施例1)
実施例1では、白金担持カーボン触媒(TEC10E50E,田中貴金属工業社製)と水、エタノールの混合溶媒と高分子電解質(ナフィオン(登録商標),Dupont社製)分散液とを混合し、遊星型ボールミルで30分間分散処理を行い、触媒インクを調製した。その際、カーボン担体に対する高分子電解質の質量比率が1.0となるようにした。
調整した触媒インクを、PTFEフィルムの表面にスリットダイコーターで矩形に塗布し、続けて、触媒インクが塗布されたPTFEフィルムを90度の温風オーブンに入れて、触媒インクのタックがなくなるまで乾燥させ、カソード側触媒層12CをPTFE表面に形成した。また、同様の方法で、アノード側触媒層12AをPTFE表面に形成した。
そして、PTFEフィルム上に形成したカソード側触媒層12Cとアノード側触媒層12Aとを、高分子電解質膜11(ナフィオン211(登録商標),Dupont社製)の両面それぞれに対向するように配置し、この積層体を120℃、10MPaの条件でホットプレスして接合した後にPTFEフィルムを剥離することで、膜電極接合体1を得た。
(実施例2)
実施例2では、カソード側触媒層12Cの塗布量を2倍とした以外は、上記実施例1と同様にして、膜電極接合体1を得た。
(実施例3)
実施例3では、触媒インクを調製する際に、カーボン担体に対する高分子電解質の質量比率を0.8とした以外は、上記実施例1と同様にして、膜電極接合体1を得た。
(実施例4)
実施例4では、触媒インクを調製する際に、カーボン担体に対する高分子電解質の質量比率を1.4とした以外は、上記実施例1と同様にして、膜電極接合体1を得た。
(比較例1)
比較例1では、触媒インクを調製する際に、分散時間を5分間とした以外は、上記実施例1と同様にして、膜電極接合体1を得た。
(比較例2)
比較例2では、触媒インクを調製する際に、分散時間が300分間とした以外は、上記実施例1と同様にして、膜電極接合体1を得た。
(比較例3)
比較例3では、触媒インクを調製する際に、カーボン担体に対する高分子電解質の質量比率を0.5とした以外は、上記実施例1と同様にして、膜電極接合体1を得た。
(比較例4)
比較例4では、触媒インクを調製する際に、カーボン担体に対する高分子電解質の質量比率を1.5とした以外は、上記実施例1と同様にして、膜電極接合体1を得た。
(比較例5)
比較例5では、カソード側触媒層12Cの塗布量を5倍とした以外は、上記実施例1と同様にして、膜電極接合体1を得た。
(比較例6)
比較例6では、温風オーブンの風量を3倍とした以外は、上記実施例1と同様にして、膜電極接合体を得た。
(評価)
以下、実施例1〜4の膜電極接合体1及び比較例1〜6の膜電極接合体1を備えた固体高分子形燃料電池3のそれぞれの、カーボン担体に対する高分子電解質の質量比率と、カソード側触媒層12Cの厚みと、電極触媒層12表面における反射光量Lpの標準偏差σpと反射光量Lsの標準偏差σsとの比σp/σsと、発電性能と、耐久性とを比較した結果を説明する。
(電極触媒層の厚み計測)
電極触媒層12の厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて電極触媒層12の断面を観察して計測した。具体的には、まず日立ハイテクノロジー社製イオンミリング装置IM4000を使用して電極触媒層12の断面を露出させた。次いで、露出させた断面を、日立ハイテクノロジー社製FE-SEM S-4800を使用して、5000倍で観察し、5カ所の観察点における視野内で3点の厚みを計測して、その平均値を各観察点での代表値とした。5カ所の観察点における代表値の平均値を、電極触媒層12の厚みとした。
(電極触媒層表面における反射光量Lpの標準偏差σpの算出)
電極触媒層12表面における反射光量Lpの標準偏差σpは、検査光を電極触媒層12表面に照射し、反射光をP偏光子を通してラインCCDカメラで検出する方法で取得し、取得した全ての反射光量Lpのデータについてヒストグラム分析を行うことで算出した。
具体的には、まず、膜電極接合体1を、多孔質真空吸着板を用いた検査ステージにシワやたるみがないようして載置し、真空ポンプを用いて固定した。入射角がブリュースター角θである50度となるように設置した高指向性直線照明を検査光源(光源14)として用い、多孔質真空吸着板に固定された膜電極接合体1の電極触媒層12部分で検査光を反射させた。反射した検査光は、P偏光成分のみ透過させるように設置された偏光子15を通して12bitのラインCCDカメラ(受光部16)で検出し、図5に示すように、反射光量Lpのデータを得た。図5は、CCDカメラ(受光部16)で撮像した反射光量Lpのマッピング画像の一例を示す図である。その際、検査光源(光源14)、偏光子15及びラインCCDカメラ(受光部16)の有効幅は、電極触媒層12の幅以上とし、検査光源(光源14)及びラインCCDカメラ(受光部16)の主走査方向と直交する方向に検査ステージを移動させながら順次、反射光量Lpのデータを取得した。なお、領域Dにあたる一画素のサイズは6400μm2とした。また、検査光源(光源14)の光量は、全ての反射光量Lpの平均が4096階調の概ね中間となるように調整した。続いて、図6に示すように、取得した全ての反射光量Lpのデータについてヒストグラム分析を行い、標準偏差σpを得た。図6は、反射光量Lpのヒストグラムの一例を示す図である。
(電極触媒層表面における反射光量Lsの標準偏差σsの算出)
電極触媒層12表面における反射光量Lsの標準偏差σsは、検査光を電極触媒層12表面に照射し、反射光をS偏光子を通してラインCCDカメラで検出する方法で取得し、取得した全ての反射光量Lsのデータについてヒストグラム分析を行うことで算出した。
具体的には、反射光を通過させる偏光子15をS偏光子とした以外は、上記の電極触媒層12表面における反射光量Lpの標準偏差σpの算出と同様の手順で算出した。
(発電性能の測定)
発電性能の測定には、膜電極接合体1の両面にガス拡散層17C、17A及びガスケット、セパレーター18C、18Aを配置し、所定の面圧となるように締め付けたセルを評価用単セルとして用いた。そして、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の刊行している小冊子である「セル評価解析プロトコル」に記載のI−V測定を実施した。
(耐久性の測定)
耐久性の測定には、発電性能の測定に用いた評価用単セルと同一の単セルを評価用単セルとして用いた。そして、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の刊行している小冊子である「セル評価解析プロトコル」に記載の湿度サイクル試験を実施した。
(比較結果)
実施例1〜4の膜電極接合体1及び比較例1〜6の膜電極接合体1を備えた燃料電池のそれぞれのカーボン担体に対する高分子電解質の質量比率と、カソード側触媒層の厚みと、電極触媒層12表面における反射光量Lpの標準偏差σpと反射光量Lsの標準偏差σsとの比σp/σsと、発電性能と、耐久性とを表1に示す。なお、発電性能については、電圧が0.6Vのときの電流が20A以上である場合を「○」、20A未満である場合を「×」とした。また、耐久性については、8000サイクル後の水素クロスリーク電流が初期値の10倍未満である場合を「○」、10倍以上である場合を「×」とした。
表1に示すように、実施例1〜4のいずれも、カーボン担体に対する高分子電解質の質量比率が0.6以上1.4以下となり、カソード側触媒層12Cの厚みは2μm以上20μm以下となった。また、電極触媒層12表面における反射光量Lpの標準偏差σpと反射光量Lsの標準偏差σsとの比σp/σsが0.5以上1.5以下となった。そして、発電性能及び耐久性については、いずれも「○」となった。すなわち、実施例1〜4においては、発電性能及び耐久性に優れた燃料電池を構成可能な膜電極接合体1が得られた。
一方、比較例においては、カーボン担体に対する高分子電解質の質量比率は、比較例1、2、5、6においては0.6以上1.4以下の範囲内となったが、比較例3、4においては、この範囲外となった。また、カソード側触媒層12Cの厚みは、比較例1〜4及び比較例6においては、2μm以上20μm以下の範囲内となったが、比較例5においては、この範囲外となった。また、電極触媒層12表面における反射光量Lpの標準偏差σpと反射光量Lsの標準偏差σsとの比σp/σsは、比較例1〜5のいずれも、0.5以上1.5以下の範囲外となった。そして、発電性能については、比較例1、2、4で「×」となり、耐久性については、比較例1、3〜6で「×」となった。すなわち、電極触媒層12の欠陥を表す指標である電極触媒層12表面における反射光量Lpの標準偏差σpと反射光量Lsの標準偏差σsとの比σp/σsが上記範囲外となった場合に、発電性能及び耐久性の少なくとも一方が低下した。
Figure 0006957899
本発明によれば、固体高分子形燃料電池の運転において問題となる電極触媒層のムラを高精度で検出して不良品を除外し、長期的な使用に供しても電池出力や耐久性に優れた電極触媒層、膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池を得ることができる。したがって、本発明は、固体高分子形燃料電池を利用した、定置型コジェネレーションシステムや燃料電池自動車等に好適に用いることのできる性能を有し、産業上の利用価値が大きい。
1…膜電極接合体、2…触媒層付き転写基材、3…固体高分子形燃料電池、4C…酸素極、4A…燃料極、11…高分子電解質膜、12,12C,12A…電極触媒層、13…基材、14…光源、15…偏光子、16…受光部、17C,17A…ガス拡散層、18C,18A…セパレーター、19C,19A…ガス流路、20C,20A…冷却水流路

Claims (3)

  1. 触媒物質と導電性担体と高分子電解質とを含む電極触媒層の評価方法であって、
    前記電極触媒層の表面に予め定めた複数の領域それぞれにブリュースター角で入射する検査光を照射した際に得られる複数の正反射光に含まれる、P偏光成分の光量である反射光量Lpの標準偏差σpと、S偏光成分の光量である反射光量Lsの標準偏差σsとの比σp/σsを、欠陥を表す指標とすることを特徴とする電極触媒層の評価方法
  2. 前記複数の領域の各領域の面積が、1600μm2以上10000μm2以下であることを特徴とする請求項1に記載の電極触媒層の評価方法
  3. 光源から前記複数の領域それぞれにブリュースター角で入射する前記検査光を照射し、各領域からの前記正反射光を、P偏光成分のみを通過させる偏光子を通してから受光部で検出して前記反射光量Lpを取得し、取得した全ての前記反射光量Lpのデータを用いてヒストグラム分析を行うことで、前記標準偏差σpを得ると共に、
    光源から前記複数の領域それぞれにブリュースター角で入射する前記検査光を照射し、各領域からの前記正反射光を、S偏光成分のみを通過させる偏光子を通してから受光部で検出して前記反射光量Lsを取得し、取得した全ての前記反射光量Lsのデータを用いてヒストグラム分析を行うことで、前記標準偏差σsを得ることを特徴とする請求項1又は2に記載の電極触媒層の評価方法。
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