JP6956860B2 - リン含有熱可塑性樹脂、難燃性樹脂組成物および成形品 - Google Patents

リン含有熱可塑性樹脂、難燃性樹脂組成物および成形品 Download PDF

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Description

本発明は、耐熱性、高屈折率、低分散および透明性に優れた熱可塑性樹脂に関するものである。特に、本発明は、優れた光透過性、耐熱性、衝撃性、流動性および難燃性を有するポリカーボネート樹脂組成物およびそれを素材とする成形品に関する。
プラスチック製のレンズは、ガラスレンズに比べて軽量であることから需要が高まっている。特に、光学用樹脂からなる光学レンズは、射出成形により大量生産が可能であるという利点からカメラレンズ用としてポリカーボネート樹脂等が使用されている。近年、電子機器の小型化に伴った光学レンズの小型・薄肉化が加速しており、より高い屈折率および低分散を示す樹脂の開発が求められている。一般に光学材料の屈折率が高いと、同一の屈折率を有するレンズエレメントを、より曲率の小さい面で実現できるため、レンズの枚数を減らしたり、レンズ厚みを薄くして軽量化することが可能になる。特に、フルオレン骨格やビナフタレン骨格を有するポリカーボネート樹脂が、高屈折率である等の理由から使用されている。例えば、特許文献1や2には、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンを用いた高屈折率樹脂が記載されている。
ポリカーボネート以外の熱可塑性樹脂として、ホスホン酸残基を主鎖中に有し、特に、ビスフェノール類等との縮合重合体である芳香族ポリホスホネート樹脂が高屈折率特性を有することが報告されている。(特許文献3、4)しかしながら、該ポリホスホネート樹脂は、未だ屈折率が不十分であり、カメラレンズの今後のさらなる小型化、薄肉化に対応するため、より高い屈折率を示す熱可塑性樹脂が求められている。
ポリカーボネート樹脂は、耐熱性、機械的物性、電気的特性に優れた樹脂であり、例えば自動車、電気電子機器、家電製品、住宅材料、その他の工業分野における部品製造用材料等に幅広く利用されている。特に、難燃化されたポリカーボネート樹脂組成物は、コンピューター、ノートブック型あるいはタブレット型パソコン、各種携帯端末、プリンター、複写機等のOA・情報機器等の部品、自動車部材として好適に使用されている。
近年、電気電子機器あるいはその周辺機器等の用途を中心に、使用する樹脂材料の難燃化が強く要望されている。難燃性を発現させる為には、各種方法が存在するが、ポリカーボネート系樹脂又はポリカーボネート系樹脂と他の熱可塑性樹脂との樹脂組成物の場合、通常はハロゲン系化合物の難燃剤及びアンチモン化合物等の難燃助剤が添加されている。しかし、この様な難燃剤は、一般に加工時或いは燃焼時に腐食性ガスの発生があるため、成形加工時の金型の保守による工数増加等の問題がある。また将来、製品廃棄時の環境への影響等の懸念もあり、ハロゲン系難燃剤及びアンチモン化合物を含有しない難燃性樹脂組成物が望まれている。
また、ポリカーボネート系樹脂に対しては、従来から種々の非ハロゲン系難燃剤の使用が試みられており、特に現在、有機リン系化合物が広く使用され、多くの研究がなされている。かかる化合物の代表として、トリフェニルフォスフェートが挙げられる。しかしながら、トリフェニルフォスフェートの添加は組成物の耐熱性を大きく低下させ、かつ、トリフェニルフォスフェートは揮発性が高い為に、押出し時や成形時にガスの発生量が多く、ハンドリング性に問題があり、その揮発性のため、成形加工時の金型汚染の問題があった。これらの問題から、従来使用していたハロゲン系難燃剤を含有するポリカーボネート系難燃性樹脂組成物を代替するには不十分であった。
上記問題に対し、縮合リン酸エステルやホスホン酸エステルを用いて樹脂組成物の性能を向上させる方法が多く提案されてきた(例えば特許文献5〜7)。しかしながら、ポリカーボネート樹脂が本来有する耐衝撃性等の機械的物性、耐熱性を維持した上で難燃性を付与することは非常に困難であった。
かかる状況下で近年は、有機アルカリ金属塩化合物および有機アルカリ土類金属塩化合物に代表される有機金属塩化合物が有用な難燃剤として数多く検討されている。有機金属塩化合物を難燃剤として用いると、比較的少量で効果が得られ、かつ、ポリカーボネート樹脂が本来有する耐衝撃性等の機械的物性、耐熱性、電気的特性などの性質を損なわずに難燃性を付与できるためである(例えば特許文献8、9)。しかしながら、このような有機金属塩化合物による難燃化は、肉厚部を有する成形品の場合には成形品の徐冷時に成形品内部に白濁が生じ、成形品の内部と外側で透明性や透光性に違いが生じる問題がある。
また、一方でポリマー鎖中にリン原子を導入したポリホスホネートは優れた難燃性を有することが知られている(特許文献10)。特にメチルホスホネート基を有するポリホスホネートとポリカーボネートとの難燃組成物が報告されている(特許文献11)。本発明者らの検討によれば、メチルホスホネートを有するポリホスホネートは、難燃性能とポリカーボネートが本来有する特性を両立することが困難であることが見出された。その為、光透過性、耐熱性、耐衝撃性、流動性、難燃性のすべてのバランスに優れたポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形体は未だ提供されていなかった。
国際公開第2007/142149号パンフレット 特開平7−198901号公報 米国特許第6288210明細書 特許第3932937号公報 特開平2−115262号公報 特開平6−228426号公報 特開2004−18767号公報 特公昭47−40445号公報 特公昭54−32456号公報 特表2014−515778号公報 特開2015−199853号公報
本発明の目的は、耐熱性、高屈折率、低分散および透明性に優れたリン含有熱可塑性樹脂を提供することである。さらに、本発明の目的は、優れた光透過性、耐熱性、衝撃性、流動性および難燃性を有するポリカーボネート樹脂組成物およびそれを素材とする成形品を提供することである。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、下記式(1)または下記式(2)で示される繰り返し単位を含むことで、耐熱性、高屈折率、低分散および透明性に優れるリン含有熱可塑性樹脂および成形品が得られることを究明し、本発明を完成するに至った。さらに、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂に、下記式(1)および/または下記式(2)で示される繰り返し単位を含むリン含有熱可塑性樹脂を配合することで、光透過性、耐熱性、衝撃性、流動性および難燃性に優れる樹脂組成物および成形品が得られることを究明し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、発明の課題は、下記により達成される。
A1.下記式(1)で示される繰り返し単位および/または下記式(2)で示される繰り返し単位を含むリン含有熱可塑性樹脂。
Figure 0006956860
(式(1)中、R、R、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のアリールオキシ基、置換もしくは非置換のチオアルコキシ基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアルキルカルボニル基および置換もしくは非置換のアミノカルボニル基を示す。Qはジオール化合物残基を示す。)
Figure 0006956860
(式(2)中、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のアリールオキシ基、置換もしくは非置換のチオアルコキシ基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアルキルカルボニル基および置換もしくは非置換のアミノカルボニル基を示す。Qはジオール化合物残基を示す。)
A2.20℃の塩化メチレン溶液で測定された比粘度が0.20〜1.50である前項A1記載のリン含有熱可塑性樹脂。
A3.式中のR〜Rの構造中のいずれかに芳香環を含むことを特徴とする前項A1〜2のいずれかに記載のリン含有熱可塑性樹脂。
A4.式中のR〜Rの構造中のいずれかにリン原子を含むことを特徴とする前項A1〜3のいずれかに記載のリン含有熱可塑性樹脂。
A5.ガラス転移温度が90℃〜160℃である前項A1〜4のいずれか1項に記載のリン含有熱可塑性樹脂。
A6.熱可塑性樹脂がカーボネート結合を有する前項A1〜5のいずれか1項に記載のリン含有熱可塑性樹脂。
A7.前記式(1)で示される繰り返し単位を誘導するホスホネートモノマーおよび/または前記式(2)で示される繰り返し単位を誘導するホスホネートモノマー、ならびに含水率1000ppm以下のジオールモノマー、さらに必要に応じてカーボネート前駆体を用いて製造する前項A1〜6のいずれか1項に記載のリン含有熱可塑性樹脂の製造方法。
A8.前項A1〜A6のいずれか1項に記載のリン含有熱可塑性樹脂を素材とする成形品。
B1.ポリカーボネート樹脂99〜30重量%および下記式(1)および/または下記式(2)で示される繰り返し単位を含むリン含有熱可塑性樹脂1〜70質量%を含む樹脂組成物。
Figure 0006956860
(式(1)中、R、R、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のアリールオキシ基、置換もしくは非置換のチオアルコキシ基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアルキルカルボニル基および置換もしくは非置換のアミノカルボニル基を示す。Qはジオール化合物残基を示す。)
Figure 0006956860
(式(2)中、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のアリールオキシ基、置換もしくは非置換のチオアルコキシ基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアルキルカルボニル基および置換もしくは非置換のアミノカルボニル基を示す。)
B2.リン含有熱可塑性樹脂は、20℃の塩化メチレン溶液で測定された比粘度が0.20〜1.50である前項B1に記載の樹脂組成物。
B3.リン含有熱可塑性樹脂は、式中のR1〜R6の構造中のいずれかに芳香環を含む前項B1またはB2に記載の樹脂組成物。
B4.リン含有熱可塑性樹脂は、式中のR1〜R6の構造中のいずれかにリン原子を含む前項B1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
B5.リン含有熱可塑性樹脂がカーボネート結合を有する前項B1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
B6.前項B1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物を素材とする成形品。
本発明のリン含有熱可塑性樹脂は、特定のホスホネート構造を構成単位として含むことで、耐熱性に優れ、高屈折率かつ低分散で、高い透明性を有することが可能となった。そのため、その奏する工業的効果は格別である。さらに、本発明の樹脂組成物は、特定のホスホネート構造を構成単位として含むリン含有熱可塑性樹脂を用いることで、ポリカーボネート樹脂の優れた光透過性、耐熱性、衝撃性、流動性を維持した上で高度な難燃性を有することが可能となった。そのため、その奏する工業的効果は格別である。
以下、本発明を詳細に説明する。
<リン含有熱可塑性樹脂>
本発明のリン含有熱可塑性樹脂は、前記式(1)で表される繰り返し単位および/または前記式(2)で表される繰り返し単位を含む樹脂である。本発明者らは、前記式(1)で表される繰り返し単位および/または前記式(2)で表される繰り返し単位を含むリン含有熱可塑性樹脂が、その側鎖構造に起因して、高い屈折率を与えると共に、上記のような有利な効果も提供できることを見出した。
(前記式(1)の成分)
前記式(1)中のR、R、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基、チオール基、ヒドロキシ基、シアノ基、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のアリールオキシ基、置換もしくは非置換のアミノ基、置換もしくは非置換のチオアルコキシ基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアルキルカルボニル基または置換もしくは非置換のアミノカルボニル基を示す。
本明細書において「ハロゲン基」とは、周期表17族に属する、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)などの元素の1価の基をいう。
本明細書において「アルキル基」とは、メタン、エタン、プロパンのような脂肪族炭化水素(アルカン)から水素原子が一つ失われて生ずる1価の基をいい、一般にC2n+1−で表される(ここで、nは正の整数である)。アルキルは、直鎖または分枝鎖であり得る。本明細書において「置換アルキル基」とは、アルキルの水素原子が置換されたものをいう。これらの具体例は、C1〜C20アルキル、C1〜C11アルキル、C1〜C10アルキル、C1〜C9アルキル、C1〜C8アルキル、C1〜C7アルキル、C1〜C6アルキル、C1〜C5アルキル、C1〜C4アルキル、C1〜C3アルキル、C1〜C2アルキル、またはC1〜C20置換アルキル、C1〜C11置換アルキル、C1〜C10置換アルキル、C1〜C9置換アルキル、C1〜C8置換アルキル、C1〜C7置換アルキル、C1〜C6置換アルキル、C1〜C5置換アルキル、C1〜C4置換アルキル、C1〜C3置換アルキル、C1〜C2置換アルキルであり得る。ここで、たとえばC1〜C10アルキルとは、炭素原子を1〜10個有する直鎖または分枝状のアルキルを意味し、メチル(CH−)、エチル(C−)、n−プロピル(CHCHCH−)、イソプロピル((CHCH−)、n−ブチル(CHCHCHCH−)、n−ペンチル(CHCHCHCHCH−)、n−ヘキシル(CHCHCHCHCHCH−)、n−ヘプチル(CHCHCHCHCHCHCH−)、n−オクチル(CHCHCHCHCHCHCHCH−)、n−ノニル(CHCHCHCHCHCHCHCHCH−)、n−デシル(CHCHCHCHCHCHCHCHCHCH−)、−C(CHCHCHCH(CH、−CHCH(CHなどが例示される。また、たとえば、C1〜C10置換アルキルとは、C1〜C10アルキルであって、そのうち1または複数の水素原子が置換基により置換されているものをいう。
本明細書において「シクロアルキル基」とは、環式構造を有するアルキルをいう。具体例としては、C3〜C20シクロアルキル、C3〜C11シクロアルキル、C3〜C10シクロアルキル、C3〜C9シクロアルキル、C3〜C8シクロアルキル、C3〜C7シクロアルキル、C3〜C6シクロアルキル、C3〜C5シクロアルキル、C3〜C4シクロアルキル、またはC3〜C20置換シクロアルキル、C3〜C11置換シクロアルキル、C3〜C10置換シクロアルキル、C3〜C9置換シクロアルキル、C3〜C8置換シクロアルキル、C3〜C7置換シクロアルキル、C3〜C6置換シクロアルキル、C3〜C5置換シクロアルキル、C3〜C4置換シクロアルキルであり得る。たとえば、シクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロヘキシルなどが例示される。「置換シクロアルキル基」とは、シクロアルキルの水素原子が置換されたものをいう。
本明細書において「アルコキシ基」とは、アルコール類のヒドロキシ基の水素原子が失われて生ずる1価の基をいい、一般にC2n+1O−で表される(ここで、nは1以上の整数である)。具体例としては、C1〜C20アルコキシ、C1〜C11アルコキシ、C1〜C10アルコキシ、C1〜C9アルコキシ、C1〜C8アルコキシ、C1〜C7アルコキシ、C1〜C6アルコキシ、C1〜C5アルコキシ、C1〜C4アルコキシ、C1〜C3アルコキシ、C1〜C2アルコキシ、またはC1〜C20置換アルコキシ、C1〜C11置換アルコキシC1〜C10置換アルコキシ、C1〜C9置換アルコキシ、C1〜C8置換アルコキシ、C1〜C7置換アルコキシ、C1〜C6置換アルコキシ、C1〜C5置換アルコキシ、C1〜C4置換アルコキシ、C1〜C3置換アルコキシ、C1〜C2置換アルコキシであり得る。ここで、たとえば、C1〜C10アルコキシとは、炭素原子を1〜10個含む直鎖または分枝状のアルコキシを意味し、メトキシ(CHO−)、エトキシ(CO−)、n−プロポキシ(CHCHCHO−)などが例示される。「置換アルコキシ基」とは、アルコキシ基の水素原子が置換されたものをいう。
本明細書において「ヘテロ環基」とは、炭素およびヘテロ原子をも含む環状構造を有する基をいう。ここで、ヘテロ原子は、P、O、SおよびNからなる群より選択され、同一であっても異なっていてもよく、1つ含まれていても2以上含まれていてもよい。ヘテロ環基は、芳香族系または非芳香族系であり得、そして単環式または多環式であり得る。ヘテロ環基は置換されていてもよい。「置換ヘテロ環基」とは、ヘテロ環基の水素原子が置換されたものをいう。
本明細書において「アリール基」とは、芳香族炭化水素の環に結合する水素原子が1個脱離して生ずる基をいう。ベンゼンからはフェニル基(C−)、トルエンからはトリル基(CH−)、キシレンからはキシリル基((CH−)、ナフタレンからはナフチル基(C10−)、フェナントレンからはフェナントリル基(C14−)、アントラセンからはアントラセニル基(C14−)、テトラセンからはテトラセニル基(C1811−)、クリセンからはクリセニル基(C1811−)、ピレンからはピレニル基(C1811−)、ベンゾピレンからは、ベンゾピレニル基(C2011−)ペンタセンからはペンタセニル基(C2213−)が誘導される。
本明細書において「ヘテロアリール基」とは、芳香族炭化水素の環を構成する炭素原子が1個以上がヘテロ原子で置換された基をいう。たとえば、これに限定されるわけではないがフォスファフェナントレン、ピリジン、ピロール、チオフェン、フラン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、インドール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ピラジン、ベンゾイミダゾールが挙げられる。
本明細書において「アリールオキシ基」とは、ヒドロキシ基により置換されたアリール基のヒドロキシ基の水素原子が失われて生ずる1価の基をいい、たとえば、これに限定されるわけではないがCO−、CHO−、(CHO−、C10O−が挙げられる。
本明細書において「チオアルコキシ基」とは、「アルコキシ基」の酸素原子を硫黄原子で置換した基であり、一般に−SR(ここでRはアルキル基であり、好ましくはC1〜C10アルキルである)で表される。
本明細書において「アルコキシカルボニル基」とは、−C(O)OR(ここでRはアルキル基であり、好ましくはC1〜C10アルキルである)で表される基をいう。「置換されたアルコキシカルボニル基」とは、アルコキシカルボニル基の水素原子が置換されたものをいう。
本明細書において「アルキルカルボニル基」とは、カルボン酸からOHを除いてできる1価の基をいう。アルキルカルボニル基の代表例としては、アセチル(CHCO−)、ベンゾイル(CCO−)などが挙げられる。「置換アルキルカルボニル基」とは、アルキル基の水素原子が置換されたものをいう。
本明細書において「アミノカルボニル基」とは、アンモニアまたはアミンの水素原子を酸基(アシル基)で置換した基である。「置換アミノカルボニル基」とは、窒素上の水素原子が置換されたものをいう。アミノカルボニル基は、アミドともいう。
また、前記式(1)で表されるホスホネート残基は、置換基R、R、R、Rいずれかの構造中に芳香環を含むことが好ましい。さらに置換基R、R、R、Rいずれかの構造中にリン原子を含むことが好ましい。
前記式(1)で表されるホスホネート残基は、置換基R、Rとして水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル基が選択され、Rおよび/またはRとして、シクロアルキル基、アリール基又はヘテロ環基から選択されることが好ましい。また、RおよびRの一方が水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル基で、他方がシクロアルキル基、アリール基又はヘテロ環基から選択されることが好ましい。さらに、R、Rの一方又は両方に、水素原子が選択されることが好ましく、RおよびRの一方に水素原子が選択されることが好ましい。
本明細書において、アリール基とは、単環式又は多環式の芳香族基を含む基を意味し、特にフェニル基であり、ヘテロ環とは、ヘテロ原子を含む、飽和又は不飽和の、単環式又は多環式の環状基を意味する。その環状基としては、ヘテロ原子を含む環状部分が3員〜10員、4員〜8員、又は5員〜6員であってもよく、特にヘテロ原子を含む環状部分5員〜6員の環状基であってもよい。その環状基には、1つ以上の芳香族基が含まれていてもよい。ヘテロ原子としては、ホウ素原子、窒素原子、酸素原子、リン原子、及び硫黄原子を挙げることができ、リン原子および/または酸素原子を含むことが好ましい。
なかでも下記式(1−a)で表されるホスホネート残基が好ましい。かかるホスホネート構造を含むことによって、高い屈折率及び/又は優れた難燃性を有するリン含有熱可塑性樹脂が得られる。
Figure 0006956860
(前記式(2)の成分)
前記式(2)中のR、Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基、チオール基、ヒドロキシ基、シアノ基、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のアリールオキシ基、置換もしくは非置換のアミノ基、置換もしくは非置換のチオアルコキシ基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアルキルカルボニル基または置換もしくは非置換のアミノカルボニル基を示す。それぞれの置換基については上述したものと同様のものが好ましい。
また、前記式(2)で表されるホスホネート残基は、置換基R、Rいずれかの構造中に芳香環を含むことが好ましい。さらに置換基R、Rいずれかの構造中にリン原子を含むことが好ましい。かかるホスホネート構造を含むことによって、高い屈折率及び/又は優れた難燃性を有するリン含有熱可塑性樹脂が得られる。
前記式(2)で表されるホスホネート残基は、置換基Rとして水素原子が選択され、Rとして、シクロアルキル基、アリール基又はヘテロ環基から選択されることが好ましい。
(前記式(1)で表される繰り返し単位および/または前記式(2)で表される繰り返し単位の割合)
前記式(1)で表される繰り返し単位と前記式(2)で表される繰り返し単位の合計の割合は、全繰り返し単位中好ましくは1〜100モル%であり、より好ましくは3〜80モル%であり、さらに好ましくは5〜70モル%である。1モル%以上であると、屈折率が向上する。
(ホスホネートモノマーの合成法)
本発明における前記式(1)で表される繰り返し単位や前記式(2)で表される繰り返し単位を誘導するホスホネートモノマーの合成法について説明する。なお、このホスホネートモノマーは、前記式(1)および前記式(2)のQを除いた部分を誘導する。
ホスホネートモノマーは以下に説明する方法以外の方法によって製造されたものであってもよい。例えば出発原料として、水素化ホスホン酸ジエステル(P−H化合物)に塩基存在下で各種アルケン、アルキンと付加反応させることで本発明で用いるホスホン酸ジエステル誘導体を得ることができる。本反応の反応機構は、例えば特開2017−132731号明細書中に開示されている。また、水素化ホスホン酸ジエステル(P−H化合物)に遷移金属触媒下で各種アルケン、アルキンと付加反応させることによっても得ることができる。例えば後者の反応は特開2005−232060号、特開2015−110617号や非特許文献(Org.Lett.,2002,4,761−763やJ.Am.Chem.Soc.,2000,122,5407)に同様の反応が示されている。
本発明で使用されるホスホネートモノマーの酸価は好ましくは20mgKOH/g以下、より好ましくは15mgKOH/g以下、さらに好ましくは10mgKOH/g以下であるものが使用される。酸価がこの範囲のホスホネートモノマーを使用することにより、反応性に優れ、分子量が十分に大きいリン含有熱可塑性樹脂の製造が可能となる。ここで酸価とは、サンプル1g中の酸成分を中和するのに必要なKOHの量(mg)を意味する。
酸価を低減する方法としては、特に限定されるものではないが、溶剤でリパルプ洗浄(溶剤で洗浄、ろ過を数回繰り返す)を行う方法や蒸留、再結晶等の手法が挙げられる。
また、本発明に使用されるホスホネートモノマーは、ホスホン酸ジクロライドやビスアリールホスホネートが好ましく、特にジフェニルホスホネートが好ましい。
(前記式(1)および前記式(2)中のQの成分)
前記式(1)および前記式(2)に含まれるQの具体構造としては、各種ジオール化合物から誘導されるジオール化合物残基が示される。すなわち、前記式(1)および前記式(2)のQは、ジオール化合物から誘導され、かかるジオール化合物(ジオールモノマー)としては、脂肪族ジオール化合物、脂環式ジオール化合物、芳香族ジヒドロキシ化合物のいずれでも良く、国際公開第2004/111106号パンフレット、国際公開第2011/021720号パンフレットに記載のジオール化合物やジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのオキシアルキレングリコール類が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、または二種以上組み合わせて用いてもよい。以下にジオール成分の代表的具体例を示すが、それらによって限定されるものではない。
前記脂肪族ジオール化合物としては、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1.9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサングリコール、1,2−オクチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,3−ジイソブチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジイソアミル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
前記脂環式ジオール化合物としては、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジオール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2,2,4,4−テトラメチルシクロブタンジオール、1,1’−スピロビインダン−6,6’−ジオール、デカリン−2,6−ジメタノール、ノルボルナンジメタノール、シクロペンタン−1,3−ジメタノール、イソソルビド、イソマンニド、イソイジドなどが挙げられる。
前記芳香族ジヒドロキシ化合物としては、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールM)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド、ビスフェノールA、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(ビスフェノールAF)、ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−ナフチル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−1−ナフチル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−ナフチル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−1−ナフチル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−ナフチル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−1−ナフチル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−ナフチル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−1−ナフチル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)−4,5−ジフェニルフルオレン、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−3,3’−ジフェニル−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−6,6’−ジフェニル−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−7,7’−ジフェニル−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−3,3’−ジメチル−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−6,6’−ジメチル−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−7,7’−ジメチル−1,1’−ビナフチル、1,1’−ビ−2−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。
(ジオールモノマーの含水率)
本発明で使用されるジオールモノマーの含水率は2000ppm以下が好ましく、1500ppm以下がより好ましく、1000ppm以下が最も好ましい。2000ppm以下であると、反応性が良好で重合反応が正常に進行し、機械的強度が高いリン含有熱可塑性樹脂となる。含水率を低減する方法としては、特に限定されるものではないが、真空乾燥等の手法が挙げられる。
(カーボネート残基)
本発明のリン含有熱可塑性樹脂中にはカーボネート残基を含むことができる。カーボネート残基とは、炭酸エステル、炭酸ハライドなどのカーボネート前駆体を原料として得られる構造単位であり、例えばカーボネート前駆体としては、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m − クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネートなどの炭酸エステル、ホスゲン、トリホスゲンなどの炭酸ハライドが挙げられる。中でもジフェニルカーボネートが好ましい。
(リン含有熱可塑性樹脂の製造方法)
ホスホン酸ジクロライドとホスゲンおよびジオール化合物との反応では、非水系で酸結合剤及び溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては例えばピリジン、ジメチルアミノピリジン、第三級アミン等が用いられる。溶媒としては例えば塩化メチレンやクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。分子量調節剤として例えばフェノールやp−tert−ブチルフェノール等の末端停止剤を用いることが望ましい。反応温度は通常0〜40℃、反応時間は数分〜5時間が好ましい。
エステル交換反応では、不活性ガス存在下にビスアリールホスホネートとビスアリールカーボネートおよびジオール化合物とを混合し、アルカリ金属化合物触媒もしくはアルカリ土類金属化合物もしくはその双方からなる混合触媒の存在下にて、減圧下通常120〜350℃、好ましくは150〜300℃で反応させる。減圧度は段階的に変化させ、最終的には133Pa以下にして生成したアルコール類を系外に留去させる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
重合触媒としてはアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を主成分として用い、必要に応じて含窒素塩基性化合物を従成分として用いても良い。
触媒として使用するアルカリ金属化合物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ビスフェノールAのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム等が挙げられる。アルカリ土類金属化合物としては水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロンチウム等が挙げられる。
助触媒として使用する含窒素塩基性化合物としてはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン、ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。
これらの触媒は単独で用いても、二種以上併用してもよい。これらの重合触媒の使用量は、ジオール成分1モルに対し好ましくは1×10−9〜1×10−2当量、好ましくは1×10−8〜1×10−2当量、より好ましくは1×10−7〜1×10−2当量の範囲で選ばれる。
また、反応後期に触媒失活剤を添加することもできる。使用する触媒失活剤としては、公知の触媒失活剤が有効に使用されるが、この中でもスルホン酸のアンモニウム塩、ホスホニウム塩が好ましい。更にドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等のドデシルベンゼンスルホン酸の塩類、パラトルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩等のパラトルエンスルホン酸の塩類が好ましい。
またスルホン酸のエステルとして、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、パラトルエンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸エチル、パラトルエンスルホン酸ブチル、パラトルエンスルホン酸オクチル、パラトルエンスルホン酸フェニル等が好ましく用いられる。なかでも、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩が最も好ましく使用される。
これらの触媒失活剤の使用量はアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物より選ばれた少なくとも1種の重合触媒を用いた場合、その触媒1モル当たり好ましくは0.5〜50モルの割合で、より好ましくは0.5〜10モルの割合で、更に好ましくは0.8〜5モルの割合で使用することができる。
(添加剤)
本発明のリン含有熱可塑性樹脂には、必要に応じて、離型剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、ブルーイング剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、充填剤などの添加剤を適宜添加して用いることができる。これらについては、本分野で周知の添加剤を周知の方法で添加させることができ、例えば、特開2018−177887号公報の[0062]〜[0081]に記載を参照することができる。
ブルーイング剤としては、バイエル社のマクロレックスバイオレットBおよびマクロレックスブルーRR並びにクラリアント社のポリシンスレンブル−RLS等が挙げられる。ブルーイング剤は、熱可塑性樹脂の黄色味を消すために有効である。特に耐候性を付与した熱可塑性樹脂組成物の場合は、一定量の紫外線吸収剤が配合されているため「紫外線吸収剤の作用や色」によって樹脂組成物が黄色味を帯びやすい現実があり、レンズに自然な透明感を付与するためにはブルーイング剤の配合は非常に有効である。
ブルーイング剤の配合量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して好ましくは0.05〜1.5ppmであり、より好ましくは0.1〜1.2ppmである。
(比粘度:ηSP
本発明のリン含有熱可塑性樹脂の比粘度(ηSP)としては、好ましくは0.20以上1.50以下である。比粘度が下限以上では強度等が向上し、上限以下では成形加工特性が優れる。より好ましくは0.21以上1.20以下であり、さらに好ましくは0.23以上1.00以下であり、特に好ましくは0.25以上0.50以下である。本発明の効果を損なわない範囲で他の樹脂と併用してよい。
本発明でいう比粘度は、20℃で塩化メチレン100mlにリン含有熱可塑性樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求める。
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
なお、本発明のリン含有熱可塑性樹脂の比粘度を測定する場合は、次の要領で行うことができる。すなわち、リン含有熱可塑性樹脂をその20〜30倍重量の塩化メチレンに溶解し、可溶分をセライト濾過により採取した後、溶液を除去して十分に乾燥し、塩化メチレン可溶分の固体を得る。かかる固体0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液から20℃における比粘度をオストワルド粘度計を用いて求める。
(ガラス転移温度:Tg)
本発明のリン含有熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは90以上160℃以下であり、より好ましくは100℃以上155℃以下であり、さらに好ましくは110℃以上150℃以下である。Tgが下限以上であると、成形体又は光学成形体として使用した際に、耐熱安定性が良好であり好ましい。またTgが上限以下では、成形性が良好であり好ましい。ガラス転移温度(Tg)はティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製2910型DSCを使用し、昇温速度20℃/minにて測定する。
(5%重量減少温度)
本発明のリン含有熱可塑性樹脂の5%重量減少温度は、好ましくは300℃以上であり、より好ましくは330℃以上であり、さらに好ましくは350℃以上であり、特に好ましくは400℃以上である。5%重量減少温度が上記温度以上であると、光学成形体として使用した際に、耐熱安定性が良好であり好ましい。上限は特に限定されないが500℃以下であれば十分である。
(成形品)
本発明のリン含有熱可塑性樹脂を用いてなる成形品は、例えば射出成形法、圧縮成形法、押出成形法、溶液キャスティング法など任意の方法により成形される。本発明のリン含有熱可塑性樹脂は、透明性、高屈折率および耐熱性に優れているので種々の成形品として利用することができる。殊に光学レンズ、光学ディスク、液晶パネル、光カード、シート、フィルム、光ファイバー、コネクター、蒸着プラスチック反射鏡、ディスプレイなどの光学部品の構造材料、パソコンや携帯電話の外装や前面板などの電気電子部品、自動車のヘッドランプや窓などの自動車用途、または機能材料用途に適した成形品として有利に使用することができ、特に光学レンズに好適である。
(成形方法)
本発明のリン含有熱可塑性樹脂を用い、射出成型で成形品を製造する場合、シリンダー温度230〜350℃、金型温度70〜180℃の条件にて成形することが好ましい。より好ましくは、シリンダー温度250〜300℃、金型温度80〜170℃の条件にて成形することである。シリンダー温度が350℃より高い場合では、リン含有熱可塑性樹脂が分解着色し、230℃より低い場合では、溶融粘度が高く成形が困難になりやすい。また金型温度が180℃より高い場合では、リン含有熱可塑性樹脂から成る成形片が金型から取り出すことが困難になりやすい。他方、金型温度が、70℃未満では、成型時の金型内で樹脂が早く固まり過ぎて成形片の形状が制御しにくくなったり、金型に付された賦型を十分に転写することが困難になりやすい。
(屈折率)
本発明のリン含有熱可塑性樹脂の25℃で測定した波長589nmの屈折率(以下nDと略すことがある)は、1.510〜1.690であることが好ましく、1.515〜1.680であることがより好ましい。屈折率が下限以上の場合、レンズの球面収差を低減でき、さらにレンズの焦点距離を短くすることができる。
(アッベ数)
本発明のリン含有熱可塑性樹脂はさらに高アッベ数であることが好ましく、具体的には20〜60が好ましく、23〜55がより好ましく、25〜50がさらに好ましい。アッベ数は25℃で測定した波長486nm、589nm、656nmの屈折率から下記式を用いて算出する。
ν=(nD−1)/(nF−nC)
なお、本発明においては、
nD:波長589nmでの屈折率、
nC:波長656nmでの屈折率、
nF:波長486nmでの屈折率を意味する。
この数値が大きいほど低分散であることを示している。一般に高屈折率となるとアッベ数は低下する傾向となることが知られている。
(全光線透過率)
本発明のリン含有熱可塑性樹脂は透過率が高いことが好ましい。100μm厚の成形体の全光線透過率は70%以上が好ましく、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは85%以上である。かかる特性を満足することでレンズ用途や光学フィルム用途に好適に用いることができる。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、上記のようなリン含有熱可塑性樹脂とポリカーボネート樹脂とを含む。
(ポリカーボネート樹脂)
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、塩化メチレン等の溶媒を用いて種々のジオール化合物とホスゲンとの界面重合反応によって得られるもの、またはジオール化合物とジフェニルカーボネートとのエステル交換反応により得られるもの等が挙げられる。代表的なものとしては、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとホスゲンの反応で得られるポリカーボネート樹脂である。ポリカーボネート樹脂の原料となるジオール化合物としては、脂肪族ジオール化合物、脂環式ジオール化合物、芳香族ジヒドロキシ化合物のいずれでも良く、国際公開第2004/111106号パンフレット、国際公開第2011/021720号パンフレットに記載のジオール化合物やジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのオキシアルキレングリコール類が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、または二種以上組み合わせて用いてもよい。以下にジオール成分の代表的具体例を示すが、それらによって限定されるものではない。
前記脂肪族ジオール化合物としては、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1.9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサングリコール、1,2−オクチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,3−ジイソブチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジイソアミル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
前記脂環式ジオール化合物としては、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジオール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2,2,4,4−テトラメチルシクロブタンジオール、1,1’−スピロビインダン−6,6’−ジオール、デカリン−2,6−ジメタノール、ノルボルナンジメタノール、シクロペンタン−1,3−ジメタノール、イソソルビド、イソマンニド、イソイジドなどが挙げられる。
前記芳香族ジヒドロキシ化合物としては、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールM)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド、ビスフェノールA、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(ビスフェノールAF)、ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−ナフチル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−1−ナフチル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−ナフチル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−1−ナフチル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−ナフチル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−1−ナフチル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−ナフチル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−1−ナフチル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)−4,5−ジフェニルフルオレン、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−3,3’−ジフェニル−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−6,6’−ジフェニル−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−7,7’−ジフェニル−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−3,3’−ジメチル−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−6,6’−ジメチル−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−7,7’−ジメチル−1,1’−ビナフチル、1,1’−ビ−2−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。耐熱性、衝撃性等の物性や入手容易性の観点からビスフェノールAが特に好ましい。
(比粘度:ηSP
ポリカーボネート樹脂の比粘度(ηSP)としては、好ましくは0.20以上1.50以下である。比粘度が下限以上では強度等が向上し、上限以下では成形加工特性が優れる。より好ましくは0.21以上1.20以下であり、さらに好ましくは0.23以上1.00以下であり、特に好ましくは0.25以上0.50以下である。
比粘度は、20℃で塩化メチレン100mlに熱可塑性樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求める。
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
なお、ポリカーボネート樹脂の比粘度を測定する場合は、次の要領で行うことができる。すなわち、ポリカーボネート樹脂をその20〜30倍重量の塩化メチレンに溶解し、可溶分をセライト濾過により採取した後、溶液を除去して十分に乾燥し、塩化メチレン可溶分の固体を得る。かかる固体0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液から20℃における比粘度をオストワルド粘度計を用いて求める。
(ポリカーボネート樹脂の製造方法)
ホスゲンおよびジオール化合物との反応では、非水系で酸結合剤及び溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては例えばピリジン、ジメチルアミノピリジン、第三級アミン等が用いられる。溶媒としては例えば塩化メチレンやクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。分子量調節剤として例えばフェノールやp−tert−ブチルフェノール等の末端停止剤を用いることが望ましい。反応温度は通常0〜40℃、反応時間は数分〜5時間が好ましい。
エステル交換反応では、不活性ガス存在下にビスアリールカーボネートおよびジオール化合物とを混合し、アルカリ金属化合物触媒もしくはアルカリ土類金属化合物もしくはその双方からなる混合触媒の存在下にて、減圧下通常120〜350℃、好ましくは150〜300℃で反応させる。減圧度は段階的に変化させ、最終的には133Pa以下にして生成したアルコール類を系外に留去させる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
重合触媒としてはアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を主成分として用い、必要に応じて含窒素塩基性化合物を従成分として用いても良い。
触媒として使用するアルカリ金属化合物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ビスフェノールAのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム等が挙げられる。アルカリ土類金属化合物としては水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロンチウム等が挙げられる。
助触媒として使用する含窒素塩基性化合物としてはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン、ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。
これらの触媒は単独で用いても、二種以上併用してもよい。これらの重合触媒の使用量は、ジオール成分1モルに対し好ましくは1×10−9〜1×10−2当量、好ましくは1×10−8〜1×10−2当量、より好ましくは1×10−7〜1×10−2当量の範囲で選ばれる。
また、反応後期に触媒失活剤を添加することもできる。使用する触媒失活剤としては、公知の触媒失活剤が有効に使用されるが、この中でもスルホン酸のアンモニウム塩、ホスホニウム塩が好ましい。更にドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等のドデシルベンゼンスルホン酸の塩類、パラトルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩等のパラトルエンスルホン酸の塩類が好ましい。
またスルホン酸のエステルとして、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、パラトルエンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸エチル、パラトルエンスルホン酸ブチル、パラトルエンスルホン酸オクチル、パラトルエンスルホン酸フェニル等が好ましく用いられる。なかでも、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩が最も好ましく使用される。
これらの触媒失活剤の使用量はアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物より選ばれた少なくとも1種の重合触媒を用いた場合、その触媒1モル当たり好ましくは0.5〜50モルの割合で、より好ましくは0.5〜10モルの割合で、更に好ましくは0.8〜5モルの割合で使用することができる。
本発明の樹脂組成物中のポリカーボネート樹脂とリン含有熱可塑性樹脂との含有割合は、ポリカーボネート樹脂/リン含有熱可塑性樹脂=99〜30/1〜70(重量%)であり、好ましくは98〜40/2〜60(重量%)であり、より好ましくは97〜45/3〜55(重量%)であり、さらに好ましくは95〜50/5〜50(重量%)である。リン含有熱可塑性樹脂(B)の含有量が上記範囲より少ない場合には難燃性の発現が不十分になりやすく、上記範囲より多い場合には、衝撃性が悪化する。
(樹脂組成物の製造)
本発明の樹脂組成物は、例えば各成分および任意成分を予備混合し、その後、溶融混練しペレット化して製造することができる。予備混合の手段としては、ナウターミキサー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などを挙げることができる。予備混合においては、押出造粒器やブリケッティングマシーンなどにより造粒を行うこともできる。予備混合後、ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練し、ペレタイザー等の機器によりペレット化する。溶融混練機としては他にバンバリーミキサー、混練ロール、恒熱撹拌容器などを挙げることができるが、ベント式二軸押出機が好ましい。他に、各成分および任意成分を予備混合することなく、それぞれ独立に二軸押出機に代表される溶融混練機に供給する方法も取ることもできる。溶融混練する際のシリンダー温度は、好ましくは180〜270℃、より好ましくは190〜260℃、さらに好ましくは200〜250℃である。シリンダー温度が270℃を超えると、樹脂の熱分解の進行が大きくなることがある。
本発明の樹脂組成物は、押出機を用いて各成分を溶融混練して製造することが好ましい。押出機としては特に二軸押出機が好適であり、原料中の水分や溶融混練樹脂から発生する揮発ガスを脱気できるベントを有するものが好ましく使用できる。ベントからは発生水分や揮発ガスを効率よく押出機外部へ排出するための真空ポンプが好ましく設置される。
また、押出原料中に混入した異物などを除去するためのスクリーンを押出機ダイス部前のゾーンに設置し、異物をポリカーボネート樹脂組成物から取り除くことも可能である。かかるスクリーンとしては金網、スクリーンチェンジャー、焼結金属プレート(ディスクフィルターなど)などを挙げることができる。
リン含有熱可塑性樹脂およびその他添加剤(以下の例示において単に“添加剤”と称する)の押出機への供給方法は特に限定されないが、以下の方法が代表的に例示される。
(i)リン含有熱可塑性樹脂および添加剤をポリカーボネート樹脂とは独立して押出機中に供給する方法。
(ii)リン含有熱可塑性樹脂および添加剤とポリカーボネート樹脂粉末とをスーパーミキサーなどの混合機を用いて予備混合した後、押出機に供給する方法。
(iii)リン含有熱可塑性樹脂および添加剤とポリカーボネート樹脂とを予め溶融混練してマスターペレット化する方法。
(iv)他の予備混合の方法として、ポリカーボネート樹脂とリン含有熱可塑性樹脂および添加剤を溶媒中に均一分散させた溶液とした後、該溶媒を除去する方法。
押出機より押出された樹脂組成物は、直接切断してペレット化するか、またはストランドを形成した後、ストランドをペレタイザーで切断してペレット化する。外部の埃などの影響を低減する必要がある場合には、押出機周囲の雰囲気を清浄化することが好ましい。ペレットの製造においては、光学ディスク用ポリカーボネート樹脂や光学用環状ポリオレフィン樹脂において既に提案されている方法を用いて、ペレットの形状分布の狭小化、ミスカット物の低減、運送または輸送時に発生する微小粉の低減、並びにストランドやペレット内部に発生する気泡(真空気泡)の低減を適宜行うことが好ましい。これらの処方により成形のハイサイクル化、およびシルバーの如き不良発生割合の低減を行うことができる。
ペレットの形状は、円柱、角柱、および球状など一般的な形状を取り得るが、より好適には円柱である。円柱の直径は、好ましくは1〜5mm、より好ましくは1.5〜4mm、さらに好ましくは2〜3.3mmである。一方、円柱の長さは、好ましくは1〜30mm、より好ましくは2〜5mm、さらに好ましくは2.5〜3.5mmである。
(その他の難燃剤)
本発明の樹脂組成物において、リン含有熱可塑性樹脂(B)以外に、難燃成分としてそれ自体公知のリンまたはリン化合物を使用することができる。難燃剤成分を併用することにより、難燃効果または物理的強度改良することもでき、さらにコストを低減できる効果がある。具体的には、赤リン、トリアリールホスフェート、縮合リン酸エステル、ホスファゼン化合物、ホスホネート化合物、フォスファフェナントレン化合物等が好ましく用いられる。その他の難燃剤の配合量は、樹脂組成物100重量部に対して1〜100重量部が好ましく、2〜50重量部がより好ましく、3〜30重量部がさらに好ましい。
(難燃助剤)
本発明の難燃性樹脂組成物には、さらに公知の難燃助剤を配合することができる。難燃助剤としては、例えばシリコーンオイルを挙げることができる。難燃助剤の配合量は、樹脂組成物100重量部に対して0.01〜10重量部が好ましく、0.05〜5重量部がより好ましく、0.1〜2重量部がさらに好ましい。
(添加剤)
本発明の樹脂組成物中には、必要に応じて、離型剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、ブルーイング剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、充填剤などの添加剤を適宜添加して用いることができる。これらについては、上述のリン含有熱可塑性樹脂に添加できる添加剤と同様の添加剤を同様の方法で使用することができる。
(その他の成分)
本発明の樹脂組成物には耐衝撃性を上げる目的でゴム質重合体を添加しても良い。かかるゴム質重合体とは、ガラス転移温度が10℃以下、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−30℃以下であるゴム成分からなる重合体、並びに該ゴム成分からなる重合体に他のポリマー鎖が結合してなる共重合体をいう。更にそのゴム成分がゴム質重合体100重量%中少なくとも35重量%、より好ましくは45重量%含有する重合体をいう。ゴム成分の含有量の上限は実用上90重量%程度が適切である。
ゴム質重合体としてより具体的には、SB(スチレン−ブタジエン)共重合体、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)共重合体、MBS(メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン)共重合体、MABS(メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)共重合体、MB(メチルメタクリレート−ブタジエン)共重合体、ASA(アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム)共重合体、AES(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン)共重合体、MA(メチルメタクリレート−アクリルゴム)共重合体、MAS(メチルメタクリレート−アクリルゴム−スチレン)共重合体、メチルメタクリレート・アクリル−ブタジエンゴム共重合体、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−(アクリル・シリコーンIPNゴム)共重合体、および天然ゴムなどを挙げることができる。その中でもSB共重合体、ABS共重合体、MBS共重合体、メチルメタクリレート・アクリル−ブタジエンゴム共重合体、メチルメタクリレート−(アクリル・シリコーンIPNゴム)共重合体、および天然ゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種のゴム質重合体が好ましい。
本発明で使用されるゴム質重合体の量は樹脂組成物100重量部に対して好ましくは1〜30重量部であり、より好ましくは1〜15重量部、さらに好ましくは1〜10重量部、特に好ましくは1〜7重量部である。ゴム質重合体の量が1重量部より少ない場合には衝撃強度の発現が不十分になりやすく、30重量部より多い場合には耐熱性、又は剛性が低下し、更には難燃性が発現しなくなってしまう。
本発明の樹脂組成物には用途に応じて各種の有機および無機のフィラー、繊維などを複合化して用いることもできる。フィラーとしては例えばカーボン、タルク、マイカ、ワラストナイト、モンモリロナイト、ハイドロタルサイトなどを上げることができる。また、繊維としては例えばケナフなどの天然繊維のほか、各種の合成繊維、ガラス繊維、石英繊維、炭素繊維などが挙げられる。このうち天然繊維については、麻、黄麻、ケナフ、バガス、ジュート、とうもろこし繊維、竹繊維、羊毛などが挙げられる。また、天然物由来の繊維として、レーヨン、ビスコース、アセテート等が挙げられる。
本発明で使用されるフィラーおよび/または繊維は樹脂組成物100重量部に対して0.1〜50重量部であることが好ましく、より好ましくは1〜50重量部であり、さらに好ましくは1〜30重量部である。
また、本発明の樹脂組成物には、例えばポリ乳酸、脂肪族ポリエステルの他、芳香族ポリエステル、芳香族ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリアクリル、ABS、ポリウレタンなど、各種の生物起源物質からなるポリマーならびに合成樹脂、ゴムなどと混合しアロイ化して用いることもできる。
(全光線透過率)
本発明の樹脂組成物は、射出成形により形成される厚み2.0mmの成形品において、その全光線透過率が60%以上であることが好ましい。かかる全光線透過率はより好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上であり、特に好ましくは85%以上である。全光線透過率が上記範囲であると、光透過性に優れるため、電気・電子部品、自動車用部品、シート、ボトル、容器、建材等の用途として特に有用である。
本発明に関連して用いる用語「全光線透過率」は、光透過性のレベルを表示するもので、ISO13468による、入射光に対する透過光の比を意味する。
(荷重たわみ温度)
本発明の樹脂組成物は、ISO75で規定される高荷重下(1.8MPa)の荷重たわみ温度は100℃以上が好ましい。かかる荷重たわみ温度が、より好ましくは110℃以上、さらに好ましくは120℃以上であり、特に好ましくは125℃以上である。上限は特に限定されないが150℃以下で十分である。上記範囲であれば、実環境下における熱変形が小さくなるため、電気・電子部品、自動車用部品、シート、ボトル、容器、建材等の用途として特に有用である。
(シャルピー衝撃値)
本発明の樹脂組成物は、ISO−179に準拠し、中央にノッチ(切り欠き)がある条件下において、シャルピー衝撃値が7以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましく、9以上であることがさらに好ましい。上限は特に限定されないが20以下で十分である。
(メルトボリュームフローレート(MVR))
本発明の樹脂組成物は、ISO−1133に準拠して測定したMVRが5〜20cm3/10分であることが好ましく、8〜19cm3/10分であることがより好ましく、10〜18cm3/10分であることがさらに好ましい。
(難燃性)
本発明の樹脂組成物は、V−0レベルの難燃性が達成される。本発明の樹脂組成物は、具体的には厚さ1.6mmの成形品においてUL―94規格の好ましくは難燃レベルV−0を達成することができる。
<成形品>
本発明は、上記樹脂組成物から形成された成形品を包含する。本発明の樹脂組成物を素材とする成形品は、該樹脂組成物を各種方法で成形することにより得られる。
(成形方法)
本発明の成形品は、射出成形、押出成形などにより成形することができる。
射出成形は、シリンダー温度180〜270℃の範囲で行うことが好ましい。ポリマーの分解による着色や分子量低下を抑制するために、シリンダー温度は185〜265℃の範囲がより好ましく、190〜260℃の範囲がさらに好ましい。シリンダー温度が270℃を超えると、ポリマーの分解が大きく促進されてしまうことがある。金型温度は40〜140℃の範囲で行うことが可能であり、成形サイクルを短縮し、樹脂の溶融滞留時間を短くするためには、40〜120℃の範囲が好ましく、40〜100℃の範囲がさらに好ましい。
射出成形は、通常のコールドランナー方式の成形法だけでなく、ホットランナー方式の成形法も可能である。かかる射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、適宜目的に応じて、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体の注入によるものを含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形などの射出成形法を用いることができる。これら各種成形法の利点は既に広く知られるところである。
また、本発明の樹脂組成物は、押出成形により各種異形押出成形品、シート、およびフィルムなどにすることもできる。またシート、フィルムの成形にはインフレーション法や、カレンダー法、キャスティング法なども使用可能である。さらに特定の延伸操作により熱収縮チューブとして成形することも可能である。また本発明のポリカーボネート樹脂組成物を回転成形やブロー成形などにより成形品とすることも可能である。
以下実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例中「部」とは「重量部」を意味する。実施例において使用した使用樹脂および評価方法は以下のとおりである。
1.比粘度測定
20℃で塩化メチレン100mlにリン含有熱可塑性樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求めた。
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
2.ガラス転移温度(Tg)測定
リン含有熱可塑性樹脂8mgを用いてティー・エイ・インスツルメント(株)製の熱分析システム DSC−2910を使用して、JIS K7121に準拠して窒素雰囲気下(窒素流量:40ml/min)、昇温速度:20℃/minの条件下で測定した。
3.5%重量減少温度測定
得られたリン含有熱可塑性樹脂を島津製作所製DTG−60Aを用いて、JIS−K−7120に準拠し、昇温速度20℃/minで測定した。
4.全光線透過率
(1)実験Aにおける全光線透過率
フィルムを日本電色工業(株)製濁度計NDH−2000型を用いて測定した。
(2)実験Bにおける全光線透過率
樹脂組成物のペレットを80〜110℃で12時間乾燥した後、射出成形機(日本製鋼所(株)製, JSW J−75EIII)を用いて、成形温度270℃、金型温度80℃、成形サイクル50秒にて幅50mm、長さ90mm、厚みがゲート側から3.0mm(長さ20mm)、2.0mm(長さ45mm)、1.0mm(長さ25mm)であり、算術平均粗さ(Ra)が0.03μmである3段型プレートを成形した。
かかる3段型プレートの厚み2.0mm部における全光線透過率を日本電色工業(株)製 Haze Meter NDH 2000を用い、ISO13468に準じて測定した。
5.屈折率、アッベ数
屈折率(nD):フィルムをATAGO製DR−M2アッベ屈折計を用いて、25℃における屈折率(波長:589nm)およびアッベ数(波長:486nm、589nm、656nmにおける屈折率から下記式を用いて算出)を測定した。
ν=(nD−1)/(nF−nC)
なお、本発明においては、
nD:波長589nmでの屈折率、
nC:波長656nmでの屈折率、
nF:波長486nmでの屈折率を意味する。
6.モノマーの含水率
電量滴定式水分測定装置(三菱化学製CA−200)、自動水分気化装置(三菱化学製VA124S)を用い、JIS K0068に準拠し測定した。
7.酸価
JIS−K−3504に準拠して測定した。
8.荷重たわみ温度(1.8MPa)
上記(1)にて作成した曲げ試験片を用いてISO―75で規定される高荷重下(1.8MPa)の荷重たわみ温度を測定した。
9.ノッチ付シャルピー衝撃強度
ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを80〜110℃で12時間乾燥した後、日本製鋼所(株)製 JSWJ−75EIIIを用いてシリンダー温度240℃、金型温度90℃にて曲げ試験片を成形した。ノッチ付シャルピー衝撃試験をISO―179に従って行った。
10.メルトボリュームフローレート(MVR)
樹脂組成物(ペレット)を80℃で4時間乾燥した後、メルトボリュームフローレートを、ISO−1133に準拠し、測定温度300℃、測定荷重2.16kgにて測定した。
11.難燃性(UL−94評価)
難燃性は厚さ1/16インチ(1.6mm)のテストピースを用い、難燃性の評価尺度として、米国UL規格のUL−94に規定されている垂直燃焼試験に準じて評価を行った。どの試験片も炎を取り去った後の燃焼が10秒以内で消火し、且つ、滴下物(ドリップ)が綿着火をおこさないものがV−0、燃焼が30秒以内で消火し、且つ、滴下物が綿着火をおこすものがV−2であり、この評価基準以下のものをnotVとした。また、滴下物(ドリップ)の有無についても記載した。
以下、使用したホスホネートモノマーの名称及び構造式を示す。
(1)[2−(9−オキサ−10−フォスファフェナントレン−10−イル−)−エチル]−ホスホン酸ジフェニル:DPP−HCA(酸価 8mgKOH/g)
Figure 0006956860
(2)フェネチルホスホン酸ジフェニル:DPP−St(酸価 5mgKOH/g)
Figure 0006956860
(3)スチリルホスホン酸ジフェニル:DPP−Ac(酸価 8mgKOH/g)
Figure 0006956860
(4)メチルホスホン酸ジフェニル:DPP−M(酸価 21mgKOH/g)
Figure 0006956860
(5)フェニルホスホン酸ジフェニル:DPP−P(酸価 12mgKOH/g)
Figure 0006956860
実験A.リン含有熱可塑性樹脂の評価
[実施例1]
<リン含有熱可塑性樹脂の製造>
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(含水率50ppm、以下BPAと略す)799.1部、[2−(9−オキサ−10−フォスファフェナントレン−10−イル−)−エチル]−ホスホン酸ジフェニル(以下DPP−HCAと略す)83.3部、ジフェニルカーボネート(以下DPCと略す)712.3部、および触媒として酢酸リチウム0.5部を窒素雰囲気下200℃に加熱し溶融させた。その後、20分かけて減圧度を13.4kPaに調整した。その後、60℃/hrの速度で260℃まで昇温を行い、10分間その温度で保持した後、1時間かけて減圧度を133Pa以下とした。合計3時間撹拌下で反応を行い、反応終了後、リン含有熱可塑性樹脂を取得した。
<フィルムの作成>
得られたリン含有熱可塑性樹脂3gを塩化メチレン50mlに溶解させ、ガラスシャーレ上にキャストした。室温にて十分に乾燥させた後、100℃以下の温度にて12時間乾燥して、厚さ約100μmのフィルムを作成した。各種評価を行い、評価結果を表1に記載した。
[実施例2]
<リン含有熱可塑性樹脂の製造>
BPA 799.1部、DPP−HCA 249.9部、DPC 637.3部を原料として用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、リン含有熱可塑性樹脂およびフィルムを得、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
[実施例3]
<リン含有熱可塑性樹脂の製造>
BPA 799.1部、DPP−HCA 499.8部、DPC 524.8部を原料として用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、リン含有熱可塑性樹脂およびフィルムを得、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
[実施例4]
<リン含有熱可塑性樹脂の製造>
BPA 799.1部、DPP−HCA 1666部を原料として用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、リン含有熱可塑性樹脂およびフィルムを得、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
[比較例1]
<熱可塑性樹脂の製造>
BPA 799.1部、DPC 749.8部を原料として用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、熱可塑性樹脂およびフィルムを得、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
[比較例2]
<リン含有熱可塑性樹脂の製造>
BPA 799.1部、メチルホスホン酸ジフェニル(以下DPP−Mと略す)819.7部を原料として用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、リン含有熱可塑性樹脂およびフィルムを得、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。実施例4と比較して、屈折率の上昇効果が低かった。これは、実施例4のリン含有熱可塑性樹脂は、その側鎖構造が高い屈折率を与えるのに対して、比較例2では側鎖がメチル基のみであるため、屈折率上昇効果に寄与しなかったためと考えられる。
[比較例3]
<リン含有熱可塑性樹脂の製造>
BPA 799.1部、フェニルホスホン酸ジフェニル(以下DPP−Pと略す)1036部を原料として用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、リン含有熱可塑性樹脂およびフィルムを得、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。実施例4と比較して、屈折率の上昇効果が低かった。これは、実施例4のリン含有熱可塑性樹脂は、その側鎖構造が高い屈折率を与えるのに対して、比較例3では側鎖がフェニル基のみであるため、屈折率上昇効果に寄与しなかったためと考えられる。
Figure 0006956860
[実施例5]
<イソソルビド(ISS)の乾燥>
カールフィッシャー法にて測定された含水率が2050ppmであるISS(ISS−2)を40℃、0.05atmの条件下にて8時間真空乾燥を実施した。乾燥後のISSの含水率は780ppmであった(ISS−1)。
<リン含有熱可塑性樹脂の製造>
ISS−1 511.5部、DPP−HCA 166.6部、DPC 674.8部を原料として用い、最終内温を240℃とした他は、実施例1と全く同様の操作を行い、リン含有熱可塑性樹脂およびフィルムを得、同様の評価を行った。その結果を表2に記載した。
[実施例6]
<リン含有熱可塑性樹脂の製造>
ISS−1 511.5部、DPP−HCA 333.2部、DPC 599.8部を原料として用いた他は、実施例5と全く同様の操作を行い、リン含有熱可塑性樹脂およびフィルムを得、同様の評価を行った。その結果を表2に記載した。
[実施例7]
<リン含有熱可塑性樹脂の製造>
ISS−1 470.6部、1,9−ノナンジオール(含水率100ppm、以下とND略す)44.9部、DDPP−HCA 166.6部、DPC 674.8部を原料として用いた他は、実施例5と全く同様の操作を行い、リン含有熱可塑性樹脂およびフィルムを得、同様の評価を行った。その結果を表2に記載した。
[実施例8]
<リン含有熱可塑性樹脂の製造>
ISS−1 511.5部、フェネチルホスホン酸ジフェニル(以下とDPP−Stと略す)226.8部、DPC 599.8部を原料として用いた他は、実施例5と全く同様の操作を行い、リン含有熱可塑性樹脂およびフィルムを得、同様の評価を行った。その結果を表2に記載した。
[実施例9]
<リン含有熱可塑性樹脂の製造>
ISS−1 511.5部、スチリルホスホン酸ジフェニル(以下とDPP−Acと略す)225.4部、DPC 599.8部を原料として用いた他は、実施例5と全く同様の操作を行い、リン含有熱可塑性樹脂およびフィルムを得、同様の評価を行った。その結果を表2に記載した。
[比較例4]
<熱可塑性樹脂の製造>
ISS−1 511.5部、DPC 749.8部を原料として用いた他は、実施例5と全く同様の操作を行い、熱可塑性樹脂およびフィルムを得、同様の評価を行った。その結果を表2に記載した。
[参考例1]
<リン含有熱可塑性樹脂の製造>
ISS−2 511.5部、DPP−HCA 166.6部、DPC 674.8部を原料として用いた他は、実施例5と全く同様の操作を行った。得られた樹脂を用いたキャストフィルムは非常に脆く、フィルムでの評価は実施できなかった。
Figure 0006956860
[実施例10]
<リン含有熱可塑性樹脂の製造>
9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン(含水率 50ppm、以下OPBPEFと略す)2068.5部、DPP−HCA 1666部を原料として用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、リン含有熱可塑性樹脂およびフィルムを得、同様の評価を行った。その結果を表3に記載した。
[比較例5]
<熱可塑性樹脂の製造>
OPBPEF 2068.5部、DPC 749.8部を原料として用いた他は、実施例10と全く同様の操作を行い、熱可塑性樹脂およびフィルムを得、同様の評価を行った。その結果を表3に記載した。
[実施例11]
<リン含有熱可塑性樹脂の製造>
4,4’−ジヒドロキシビフェノール(含水率 100ppm、以下BPと略す)651部、DPP−HCA 1666部を原料として用い、最終内温を280℃とした他は、実施例1と全く同様の操作を行い、リン含有熱可塑性樹脂およびフィルムを得、同様の評価を行った。その結果を表3に記載した。
[比較例6]
<熱可塑性樹脂の製造>
BP 651部、DPC 749.8部を原料として用いた他は、実施例11と全く同様の操作を行った。得られた樹脂は、不透明で結晶化しており、各種評価は実施不可であった。
Figure 0006956860
実験B.ポリカーボネート樹脂及びリン含有熱可塑性樹脂を含む組成物の評価
<リン含有熱可塑性樹脂の製造>
リン含有熱可塑性樹脂(FR−1)として、実験Aの実施例2のリン含有熱可塑性樹脂を用いた。各種評価を行い、評価結果を表4に記載した。
リン含有熱可塑性樹脂(FR−1)として、実験Aの実施例3のリン含有熱可塑性樹脂を用いた。その結果を表4に記載した。
BPA 799.1部、DPP−HCA 833.0部、DPC 374.9部を原料として用いた他は、実験Aの実施例2と全く同様の操作を行い、リン含有熱可塑性樹脂(FR−3)を得、同様の評価を行った。その結果を表4に記載した。
BPA 799.1部、スチリルホスホン酸ジフェニル(以下とDPP−Acと略す)225.4部、DPC 599.8部を原料として用いた他は、実験Aの実施例2と全く同様の操作を行い、リン含有熱可塑性樹脂(FR−4)を得、同様の評価を行った。その結果を表4に記載した。
Figure 0006956860
[実施例12〜16、比較例7〜12]
ポリカーボネート樹脂組成物を以下の要領で作成した。表5記載の割合の各成分を計量して、均一に混合し、かかる混合物を押出機に投入してポリカーボネート樹脂組成物の作成を行った。押出機としては径15mmφのベント式二軸押出機((株)テクノベル社製KZW15−25MG)を使用した。押出条件は吐出量2.5kg/h、スクリュー回転数250rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は第1供給口からダイス部分まで270℃とし、ペレットを得た。得られたペレットを90℃で12時間乾燥した後、各物性評価を行った。
また、表5に記載の使用した原材料等は以下の通りである。
(ポリカーボネート樹脂成分)
PC−1: 帝人(株)製パンライトL−1250WP(比粘度 0.435)
(難燃剤成分)
FR−1: 参考例1で作成したリン含有熱可塑性樹脂
FR−2: 参考例2で作成したリン含有熱可塑性樹脂
FR−3: 参考例3で作成したリン含有熱可塑性樹脂
FR−4: 参考例4で作成したリン含有熱可塑性樹脂
FR−5: FRXポリマー社製 NOFIA CO3000
ポリ(メチルホスホネートーカーボネート)共重合体
メチルホスホネートモル分率35mol%
FR−6: FRXポリマー社製 NOFIA CO6000
ポリ(メチルホスホネートーカーボネート)共重合体
メチルホスホネートモル分率60mol%
FR−7: 帝人(株)製低分子型リン系難燃剤 FCX−210
FR−8: 大八化学社製低分子型リン系難燃剤 PX−200
Figure 0006956860
表5に示すように、光透過性、耐衝撃性、耐熱性、流動性および難燃性の全ての評価において優れていたのは実施例12〜16のみであった。
本発明により高屈折率を有するリン含有熱可塑性樹脂を提供でき、この樹脂よりなるレンズ、フィルムは各種分野に用いることができる。また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、優れた光透過性、耐熱性、衝撃性、流動性および難燃性を有し、この樹脂組成物よりなる成形品は電気・電子部品、自動車用部品、シート、ボトル、容器、建材等の各種分野に用いることができる。

Claims (9)

  1. 下記式(1)で示される繰り返し単位および/または下記式(2)で示される繰り返し単位を含むリン含有熱可塑性樹脂
    Figure 0006956860
    (式(1)中、R、R、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のアリールオキシ基、置換もしくは非置換のチオアルコキシ基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアルキルカルボニル基および置換もしくは非置換のアミノカルボニル基を示し、Qはジオール化合物残基を示す。)
    Figure 0006956860
    (式(2)中、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のアリールオキシ基、置換もしくは非置換のチオアルコキシ基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアルキルカルボニル基および置換もしくは非置換のアミノカルボニル基を示し、Qはジオール化合物残基を示す。)
    さらに、上式中のR 〜R の構造中のいずれかにリン原子を含む。
  2. 20℃の塩化メチレン溶液で測定された比粘度が0.20〜1.50である請求項1記載のリン含有熱可塑性樹脂。
  3. 式中のR〜Rの構造中のいずれかに芳香環を含むことを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載のリン含有熱可塑性樹脂。
  4. ガラス転移温度が90℃〜160℃である請求項1〜のいずれか1項に記載のリン含有熱可塑性樹脂。
  5. 熱可塑性樹脂がカーボネート結合を有する請求項1〜のいずれか1項に記載のリン含有熱可塑性樹脂。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載のリン含有熱可塑性樹脂、及びポリカーボネート樹脂を含む、樹脂組成物。
  7. 前記リン含有熱可塑性樹脂を、1〜70質量%で含み、前記ポリカーボネート樹脂を、99〜30重量%で含む、請求項に記載の樹脂組成物。
  8. 前記式(1)で示される繰り返し単位を誘導するホスホネートモノマーおよび/または前記式(2)で示される繰り返し単位を誘導するホスホネートモノマー、ならびに含水率1000ppm以下のジオールモノマー、さらに必要に応じてカーボネート前駆体を用いて製造する請求項1〜のいずれか1項に記載のリン含有熱可塑性樹脂の製造方法。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載のリン含有熱可塑性樹脂又は請求項若しくはに記載の樹脂組成物を含む、成形品。
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