JP6955301B2 - フィルタモジュールケース - Google Patents

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Description

本発明は、フィルタモジュールケースに関する。
特許文献1は、中空糸膜モジュールを開示する。この中空糸膜モジュールでは、筒状のハウジングケースの両端に開口部を有するキャップが取り付けられており、ハウジングケースの内部に端部をポッティングされた中空糸膜束が収容されている。中空糸膜モジュールは、ハウジングケース内部で中空糸膜束を固定する固定部材をさらに有する。固定部材は、金属製又はガラス製の環状の部材であり、ポッティング部において中空糸膜を束ねるようにして、その内周部分を中空糸膜束の外周に当接させるようにしてハウジングケース内に配置される。
特開2009−202112号公報
特許文献1によれば、固定部材によりポッティング部を接着固定するため、ハウジングケースが樹脂製であっても、ポッティング部における接着強度を高めることができる。しかしながら、固定部材の分の部品点数が増えることから、より簡易に構成されるフィルタモジュールが望まれていた。
本発明は、耐久性が高く、簡易な構成のフィルタモジュールケースを提供することを目的とする。
本発明の第1観点に係るフィルタモジュールケースは、ケーシングと、キャップと、第1層と、第2層とを備える。ケーシングは、軸方向に延びる略筒状である。キャップは、前記ケーシングの内外を連通させ、前記軸方向に延びる通路を画定する内壁面と、前記通路内に前記ケーシングの端部を受け入れ、前記ケーシングの端部に接着固定される第1端部とを有し、略筒状である。第1層は、前記軸方向端側に配置されているとともに、前記ケーシングの端部の外側周面及び前記第1端部の前記内壁面に対面する。第2層は、前記第1層の前記軸方向中央側に配置されているとともに、前記ケーシングの端部の外側周面及び前記第1端部の前記内壁面に対面する。前記ケーシング及び前記キャップは、有機溶剤に耐性を有する材料から構成される。前記第1層は、有機溶剤に耐性を有する第1接着剤から形成され、前記第2層は、難接着性材料に親和性を有するとともに、前記第1接着剤と比較して弾性が高い第2接着剤から形成されている。
この構成によれば、有機溶剤に耐性を有する第1接着剤の第1層によって、有機溶剤を含む流体から第2接着剤の第2層が分離される。第2接着剤は、難接着性材料に親和性を有するため、有機溶剤に耐性を有する材料から構成されるケーシング及びキャップを確実に接着することができる。これにより、第1接着剤の接着強度が第2接着剤によって補強される。また、第2接着剤は弾性を有するため、流体の圧力によりフィルタモジュールケースに加わる負荷を弾性によって吸収することができ、ケーシング及びキャップの間のシールを保つことができる。
本発明の第2観点に係るフィルタモジュールケースは、ケーシングと、キャップと、第1層と、第2層とを備える。ケーシングは、軸方向に延びる略筒状である。キャップは、前記ケーシングの内外を連通させ、前記軸方向に延びる通路を画定する内壁面と、前記ケーシングの端部に受け入れられ、前記ケーシングの端部に接着固定される第1端部とを有し、略筒状である。第1層は、前記軸方向中央側に配置されているとともに、前記ケーシングの端部の内側周面及び前記第1端部の外側周面に対面する。第2層は、前記第1層の前記軸方向端側に配置されているとともに、前記ケーシングの端部の内側周面及び前記第1端部の外側周面に対面する。前記ケーシング及び前記キャップは、有機溶剤に耐性を有する材料から構成される。前記第1層は、有機溶剤に耐性を有する第1接着剤から形成される。前記第2層は、難接着性材料に親和性を有するとともに、前記第1接着剤と比較して弾性が高い第2接着剤から形成されている。
この構成によれば、有機溶剤に耐性を有する第1接着剤の第1層によって、有機溶剤を含む流体から第2接着剤の第2層が分離される。第2接着剤は、難接着性材料に親和性を有するため、有機溶剤に耐性を有する材料から構成されるケーシング及びキャップを確実に接着することができる。これにより、第1接着剤の接着強度が第2接着剤によって補強される。また、第2接着剤は弾性を有するため、流体の圧力によりフィルタモジュールケースに加わる負荷を弾性によって吸収することができ、ケーシング及びキャップの間のシールを保つことができる。
本発明の第3観点に係るフィルタモジュールケースは、第1観点又は第2観点に係るフィルタモジュールケースであって、前記ケーシング及び前記キャップを構成する材料は、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンクロロトリフルオロエチレン及び金属からなる群より選択される材料を含む。
この構成によれば、製造コストが比較的安価で、取り扱い易いフィルタモジュールケースが提供される。
本発明の第4観点に係るフィルタモジュールケースは、第1観点から第3観点のいずれかに係るフィルタモジュールケースであって、前記ケーシングは外部から内部を視認できる程度の透明度を有する。
この構成によれば、当該ケースを使用したフィルタモジュールにおいて、内部の様子を容易に確認することができる。これにより、流体の詰まり及びフィルタの破損の発生等を容易に発見することができ、その発生箇所も容易に特定することができる。
本発明の第5観点に係るフィルタモジュールケースは、第1観点から第4観点のいずれかに係るフィルタモジュールケースであって、前記第1接着剤は、ポリアミド系接着剤、ポリエチレン系接着剤、ポリプロピレン系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、ポリイミド系接着剤、ポリウレア樹脂系接着剤エポキシ樹脂系接着剤及びシリコーン樹脂系接着剤からなる群より選択される材料を含む。
本発明の第6観点に係るフィルタモジュールケースは、第1観点から第5観点のいずれかに係るフィルタモジュールケースであって、前記第2接着剤は、シリコーン系接着剤、変成シリコーン系接着剤、アクリル・変成シリコーン系接着剤、ウレタン系接着剤 、酢酸ビニル系接着剤、エポキシ・変成シリコーン接着剤及びスチレンブタンジエンゴム系接着剤からなる群のいずれかより選択される。
本発明の第7観点に係るフィルタモジュールは、第1観点から第6観点のいずれかに係るフィルタモジュールケースと、前記ケーシングの内部空間及び前記キャップの前記内壁面に画定される空間内に収容されているフィルタとを備え、前記フィルタは、有機溶剤に耐性を有する材料から構成されている。
本発明の第8観点に係るフィルタモジュールは、第7観点に係るフィルタモジュールであって、前記フィルタは、その長手方向と前記ケーシングの軸方向とが一致するように前記空間に収容されている中空糸膜束であり、前記キャップは、前記軸方向に延びる通路を挟んで前記第1端部の反対側にある第2端部をさらに有し、前記第2端部は、前記通路の端部開口を規定し、前記中空糸膜束を構成する個々の中空糸膜の長手方向の貫通孔は、前記端部開口を介して外部空間と連通している。
本発明の第9観点に係るフィルタモジュールは、第8観点に係るフィルタモジュールであって、ポッティング剤と、第3層とをさらに備える。ポッティング剤は、前記個々の中空糸膜の端部と、前記第2端部の前記内壁面との隙間を満たすとともに、前記中空糸膜束の端面と前記第2端部の端面とが概ね一致するように前記中空糸膜束を前記キャップに対して固定する。第3層は、前記ポッティング剤及び前記第2端部の前記内壁面の間に配置されている。前記ポッティング剤は、有機溶剤に耐性を有する。前記第3層は、難接着性材料に親和性を有するとともに、前記ポッティング剤と比較して弾性が高い第3接着剤により形成される。
この構成によれば、個々の中空糸膜がフィルタモジュールケースに対して位置決めされ、中空糸膜束の長手方向と径方向において、分離前の流体と分離後の流体とを隔離することができる。また、弾性を有する第3接着剤が流体の圧力により加わる負荷を吸収し、ポッティング剤とキャップの内壁面との接着性を向上させる。
本発明の第10観点に係るフィルタモジュールは、第9観点に係るフィルタモジュールであって、前記第2端部の前記内壁面のうち、前記ポッティング剤と当接する箇所には凹凸が形成されている。
この構成によれば、キャップの内壁面とポッティング剤との接触面積を増加させ、ポッティング剤の定着性を向上させることができる。
本発明の第11観点に係るフィルタモジュールは、第9観点又は第10観点に係るフィルタモジュールであって、前記ポッティング剤は、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、フェノール樹脂、ポリイミド、ポリウレア樹脂、エポキシ樹脂及びシリコーン樹脂からなる群より選択される材料を含む。
本発明の第12観点に係るフィルタモジュールは、第9観点から第11観点のいずれかに係るフィルタモジュールであって、前記第3接着剤は、シリコーン系接着剤、変成シリコーン樹脂系接着剤、アクリル・変成シリコーン系接着剤、ウレタン系接着剤 、酢酸ビニル系接着剤、エポキシ・変成シリコーン接着剤及びスチレンブタンジエンゴム系接着剤からなる群のいずれかより選択される。
本発明の第13観点に係るフィルタモジュールは、第8観点から第12観点のいずれかに係るフィルタモジュールであって、前記中空糸膜は、ポリアミド製である。
この構成によれば、安価でかつ有機溶剤に耐性を有するフィルタモジュールを提供することができる。
本発明の第1観点によれば、有機溶剤に耐性を有するとともに、耐久性が高いフィルタモジュールケースが提供される。なお、本発明の第2観点によっても、同様の効果を得ることができる。
一実施形態に係るフィルタモジュールの平面図。 一実施形態に係るフィルタモジュールケースの部分断面図。 一実施形態に係るフィルタモジュールの端面図。 一実施形態に係るフィルタモジュールの部分断面図。 一実施形態に係るフィルタモジュールの製造方法の流れを示すフローチャート。 一実施形態に係る接着剤の塗布方法を説明する図。 一実施形態に係るポッティング装置の模式図。 変形例に係るフィルタモジュールケースの部分断面図。 比較例1に係るフィルタモジュールケースの接着方法を示す部分断面図。 比較例2に係るフィルタモジュールケースの接着方法を示す部分断面図。 実験用の分離処理用ラインの模式図。
以下、本発明に係るフィルタモジュールの一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
<1.フィルタモジュールケース>
フィルタモジュールは、例えば水中の細菌除去、食品加工、医療用水の製造、排水処理、混合ガスの分離、溶液の脱気、溶液の製造及び処理等、多岐にわたる用途で使用される。本実施形態に係るフィルタモジュール1(以下、単にモジュール1と称することがある)は、特に、有機溶剤を含む溶液の処理に好適に利用することができる。モジュール1は、その内部を流体が通過するように分離処理用ラインに接続されて、使用されることができる。
図1は、本実施形態のモジュール1の平面図である。モジュール1は、全体として略円筒形の外見形状を有するとともに、モジュール1の中心を通る面P1(図1参照)に対して面対称に構成されている。
モジュール1は、ケーシング2と、キャップ3と、フィルタ4とを備える。ケーシング2、キャップ3及びフィルタ4は、それぞれ有機溶剤に耐性を有する材料から構成されている。ケーシング2及びキャップ3は、後述するように互いに接着固定されて、フィルタ4を内部に収容するためのフィルタモジュールケース(以下、単にモジュールケースと称することがある)を構成する。本実施形態のフィルタ4は、中空糸膜が多数束ねられた中空糸膜束である。以下、中空糸膜束にもフィルタ4と同様の符号を付す。
本実施形態のケーシング2は、両端が開口した円筒状の外観形状を有し、中心軸A1を有する。以下、中心軸A1の延びる方向(図1の左右方向)を、軸方向と称する。ケーシング2の軸方向の長さ、径、及び厚みは、モジュールケースに収容されるフィルタの種類及び流体の圧力等に応じて、適宜選択することができる。
ケーシング2を構成する材料には、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリフェニレンサルファイド(PPSP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)及び金属からなる群より選択される材料を含むことができる。これらの材料は、単独で使用されてもよいし、2種類以上が組み合わされて使用されてもよい。また、これらの材料のうち樹脂材料は、架橋されていないものであってもよいし、架橋済みのものであってもよいが、架橋されていない材料の方がコスト面では有利である。さらに、上述した樹脂材料には無機材料からなるフィラーが適宜添加されてもよい。また、ケーシング2を構成する材料は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に対する重量変化率が10質量%以下であるものが好ましく、PGMEAに対する重量変化率及びトルエンに対する重量変化率がともに10質量%以下であることがより好ましい。なお、本発明において、上記PGMEAに対する材料の重量変化率及びトルエンに対する材料の重量変化率は、それぞれ以下のようにして測定される。
PGMEAに対する重量変化率の測定方法
材料を温度20℃のPGMEAに30日間連続して浸漬したときの重量変化率を測定する。
トルエンに対する重量変化率の測定方法
材料を温度20℃のトルエンに30日間連続して浸漬したときの重量変化率を測定する。
本実施形態のケーシング2は、ポリアミド6(モノマーキャストナイロン)製であり、内部が視認できる程度の透明度を有する。図1には、ケーシング2の外部からモジュールケースの内部空間に収容されている中空糸膜束4が視認できる様子が示されている。透明度の指標としては、例えば、全光線透過率が60%以上が挙げられ、70%以上が好ましく挙げられる。なお、本発明において、全光線透過率はJIS K7361−1に準じて測定される。
キャップ3は、モジュール1を溶液処理ラインに組み込むことができるよう、ケーシング2の両端部に取り付けられる部位である。本実施形態のモジュール1の2つのキャップ3は、それぞれ同じ構成を有するため、以下では1つのキャップを例に説明する。
本実施形態のキャップ3は、略円筒状の外見形状を有し、その中心軸がケーシング2の中心軸A1と一致するようにケーシング2に固定される。キャップ3は、第1端部30と第2端部31とを有する。第1端部30は、ケーシング2の端部に固定される部位である。第2端部31は、後述する通路S2を挟んで第1端部30の反対側にある端部である。本実施形態の第2端部31はフランジ状に形成されたフランジ部310を有し、ヘルールとして分離処理用ラインの配管に接続可能なように構成されている。
図2は、モジュールケースの端部付近の断面図である。図2に示すように、キャップ3は、内壁面33を有する。内壁面33は、径方向に延びる通路S1と、軸方向に延びる通路S2とをそれぞれ画定する。図1に示すように、モジュールケースに中空糸膜束4が収容された状態では、通路S1から中空糸膜束4を直接視認することができる。また、図2に示すように、通路S2の端部開口は、第2端部31の端面における周縁部311により規定される。
通路S1及びS2は、共にケーシング2(又はモジュールケース)の内部空間と、外部空間とを連通させる通路であり、モジュール1の一次側ポート及び二次側ポートとして機能する。ここで、分離前の流体が流入するのが一次側ポートであり、分離後の流体が流出するのが二次側ポートである。分離の態様に応じて、モジュール1は二次側ポートを1つ又は複数有してよく、通路S1及びS2のうちのいずれも一次側ポート又は二次側ポートとして利用することができる。本実施形態では、一方側の通路S2を一次側ポートとして利用する。すなわち、本実施形態では、他方側の通路S2及び2つの通路S1が二次側ポートとして利用される。なお、2つの通路S1のうち一方は、通常のモジュール1の使用時には二次側ポートとして利用されず、閉塞されていてもよい。本実施形態では、一次側ポートである通路S2から流入した流体のうち、後述する中空糸膜束4の細孔を透過したものは、二次側ポートである通路S1から流出する。流体のそれ以外の残りは、中空糸膜束4の中空部分(貫通孔)を通過して、二次側ポートである他方の通路S2から流出する。
本実施形態の内壁面33は、内側周面33aと、内側周面33aよりも小径の内側周面33bとを有する。内側周面33aは、第1端部30の内側の周面である。第1端部30におけるキャップ3の内径は、ケーシング2の外径と同じであるか、ケーシング2の外径よりわずかに大きい。これにより、内側周面33aは、ケーシング2の端部を受け入れ、ケーシング2の外側周面20を径方向外側から覆うように構成されている。第1端部30以外におけるキャップ3の内径は、ケーシング2の内径と概ね同じであり、キャップ3がケーシング2の端部を受け入れると、ケーシング2の内壁面と内側周面33bとが概ね面一になるように構成されている。内側周面33aと内側周面33bとが連続する面33cは、軸方向に直交する面であり、受け入れられたケーシング2の端面が当接するようになっている。
本実施形態のキャップ3は、内側周面33bに形成される3本の溝部330をさらに有する。溝部330は、第2端部31の端面より軸方向中央側であって、通路S1よりも軸方向端側の内側周面33bに形成されている。溝部330は、内側周面33bの表面を実質的に凹凸状にすることにより、内側周面33bの表面積を増加させ、後述するポッティング剤5と、内側周面33bとの接着性を補強するために形成される。このような表面積を増加させる処理としては、溝部330を設けることに限定されず、内側周面33bのエッチング処理、サンドブラスト処理、切り込み処理等の粗面化処理であってもよい。
キャップ3を構成する材料には、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリフェニレンサルファイド(PPSP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)及び金属からなる群より選択される材料を含むことができる。これらの材料は、単独で使用されてもよいし、2種類以上が組み合わされて使用されてもよい。また、これらの材料のうち樹脂材料は、架橋されていないものであってもよいし、架橋済みのものであってもよいが、架橋されていない材料の方がコスト面では有利である。さらに、上述した樹脂材料には無機材料からなるフィラーが適宜添加されてもよい。また、キャップ3を構成する材料は、ケーシング2を構成する材料と同様、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に対する重量変化率が10質量%以下であるものが好ましく、PGMEAに対する重量変化率及びトルエンに対する重量変化率がともに10質量%以下であることがより好ましい。
本実施形態のキャップ3は、ポリアミド6製であり、ケーシング2と同じ材料で構成されている。しかし、キャップ3を構成する材料は、有機溶剤に耐性を有する限り、ケーシング2を構成する材料とは異なっていてもよい。また、キャップ3の肉厚は、ケーシング2の肉厚と異なっていてもよいし、同じであってもよい。
本実施形態のモジュールケースにおいて、ケーシング2の外側周面20と第1端部30の内側周面33aとは、対向する。外側周面20と内側周面33aとの間には、第1接着剤で形成される第1層L1と第2接着剤で形成される第2層L2とが配置されている。第1層L1は、軸方向端側に位置する層であり、本実施形態ではケーシング2の縁端から軸方向に所定の幅W1を持って、環状に形成されている。第2層L2は、第1層L1の軸方向中央側に位置するとともに、第1層L1に隣接する層であり、軸方向に所定の幅W2を持って環状に形成されている。なお、第1層L1及び第2層L2は、一部が互いに重なるように配置されていてもよい。ただし、説明の便宜上、図において第1層L1及び第2層L2の径方向の厚みは誇張して示されており、必ずしも実際の縮尺を表していない。
第1接着剤は、ケーシング2とキャップ3とを互いに接着固定すると共に、ケーシング2とキャップ3との間をシールする。第1接着剤は、有機溶剤に耐性を有するため、有機溶剤を含む流体に対するシールとして好適に利用することができる。ただし、有機溶剤に耐性を有する接着剤は硬度が比較的高いことが多い。また、ケーシング2及びキャップ3を構成する有機溶剤に耐性を有する材料は、難接着性であることが多い。このため、第1層L1は、モジュール1を透過する流体の圧力による負荷を受けて剥落することがあると考えられる。そこで、第1接着剤によるシールは、第2接着剤により補強される。
第2接着剤は、難接着性材料に対して親和性を有するとともに、第1接着剤よりも高い弾性を有する。つまり、第2接着剤は、難接着性の材料から構成されるケーシング2及びキャップ3を接着する材料として、好適に使用される。また、第1接着剤よりも高い弾性を有するため、流体の圧力等によってモジュール1に加わる負荷を吸収し、ケーシング2とキャップ3との間のシールを保つ。
第1接着剤は、有機溶剤に耐性を有する材料から構成される。第1接着剤を構成する材料としては、例えばポリアミド系接着剤、ポリエチレン系接着剤、ポリプロピレン系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、ポリイミド系接着剤、ポリウレア樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤及びシリコーン樹脂系接着剤からなる群から選択される材料が挙げられ、好ましくはポリアミド系接着剤、ポリエチレン系接着剤及びエポキシ樹脂系接着剤からなる群から選択される材料が挙げられる。これらの材料は、単独で使用されてもよいし、2種類以上が組み合わされて使用されてもよい。
本実施形態の第1接着剤は、公知のエポキシ樹脂を主剤とする、常温で液状のエポキシ樹脂系接着剤である。第1接着剤の主成分のより具体的な例としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、トリグリシジルエーテルトリフェニルメタンおよびテトラグリシジルエーテルテトラフェニルエタンなどのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、フタル酸ジグリシジルエステルおよびダイマー酸ジグリシジルエステルなどのグリシジルエステル型エポキシ樹脂等が挙げられる。
本実施形態の第1接着剤の硬化剤は、有機溶剤に耐性を有するものであれば、公知のものを使用することができ、好ましくは常温で液状である。硬化剤の例としては、芳香族アミン、脂肪族ポリアミン及び脂環式アミン等のアミン系硬化剤、酸無水物等が挙げられる。芳香族アミンのより具体的な例としては、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。脂肪族ポリアミンのより具体的な例としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、メタキシレンジアミン等が挙げられる。脂環式アミンのより具体的な例としては、1.3-ビスアミノメチルシクロヘキサン等が挙げられる。なお、これらのアミン類は2種類以上が併用されてもよい。酸無水物のより具体的な例としては、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル等が挙げられる。本実施形態では、第1接着剤の硬化剤として芳香族ポリアミンが使用されている。
第1接着剤の硬化後の硬度としては、JIS K6253−3:2012で規定されるデュロメータ硬さがA90以上が挙げられ、好ましくは、D70以上が挙げられる。また、第1接着剤は、ケーシング2を構成する材料と同様、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に対する重量変化率が10質量%以下であるものが好ましく、PGMEAに対する重量変化率及びトルエンに対する重量変化率がともに10質量%以下であることがより好ましい。
第2接着剤は、難接着性材料への親和性を有するとともに第1接着剤よりも高い弾性を有する。第2接着剤としては、公知の難接着性材料用の弾性接着剤を使用することができ、具体的には、シリコーン系接着剤、変成シリコーン系接着剤、アクリル・変成シリコーン系接着剤、ウレタン系接着剤 、酢酸ビニル系接着剤、エポキシ・変成シリコーン接着剤、及びスチレンブタンジエンゴム系接着剤等が挙げられる。本実施形態では、第2接着剤として難接着性材料対応の変成シリコーン系接着剤が使用されており、本発明において第2接着剤として変成シリコーン樹脂(シリコーン変成ポリマー)が含まれていることが好ましい。なお、上記エポキシ・変成シリコーン接着剤には、硬化剤をシリコーン変成ポリマーとしたエポキシ接着剤が含まれる。また、上記難接着性材料対応の変成シリコーン系接着剤には、シリル基を含有するポリマーを主成分とする変成シリコーン系接着剤が含まれる。
キャップ3の第2端部31の内側周面33b上には、第3接着剤による第3層L3がさらに形成される。第3層L3は、端面より軸方向中央側であって、溝部330よりも軸方向端側の位置に形成されることが好ましい。第3層L3は、後述するポッティング剤5と内側周面33bとのシール性を向上させるための部位であり、モジュールケースに中空糸膜束4を収容する前に形成される。ただし、説明の便宜上、図において第3層L3の径方向の厚みは誇張して示されており、必ずしも実際の縮尺を表していない。
第3接着剤は、難接着性材料への親和性を有するとともに後述するポッティング剤5よりも高い弾性を有する。第3接着剤としては、第2接着剤として挙げた例と同様の接着剤を用いることができるため、第3接着剤の具体例については省略する。本実施形態では、第3接着剤として、第2接着剤と同様の変成シリコーン系接着剤が使用されている。第3層L3は、流体の圧力等によってモジュール1に加わる負荷を吸収し、キャップ3の内側周面33bからポッティング剤5が剥離することを防止する。
第2接着剤及び第3接着剤の硬化後の硬度としては、JIS K6253−3:2012で規定されるデュロメータ硬さがA80以下が挙げられ、A10〜80が好ましく挙げられ、A10〜40がより好ましく挙げられる。
<2.フィルタモジュール>
本実施形態のモジュールケースには、多数の中空糸膜が束ねられて構成される中空糸膜束4が収容される。中空糸膜束4を構成する中空糸膜は、長手方向に貫通する貫通孔を有し、中空に形成されるとともに、内側に無数の細孔を有する。細孔の径は、流体から分離したい分子の径に応じて適宜形成されて良く、中空糸膜は、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜のいずれであってもよい。本実施形態では、一次側ポート(片方の通路S2)を介してモジュール1内に流入した流体は、中空糸膜束4を構成する各中空糸膜の長手方向貫通孔(中空部分)に流入する。流入した流体の内、細孔を通り抜けることができる大きさの分子は、中空部分から細孔を介して中空糸膜を透過し、二次側ポートである通路S1からモジュール1の外部へと排出される。中空糸膜の細孔を通り抜けなかった分子は、二次側ポートとなる通路S2からモジュール1の外部へと排出される。
中空糸膜を構成する素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、酢酸セルロース、セルロース、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド等が挙げられる。有機溶剤により優れた耐性を有するという観点から、上記の中でもポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエステル、セルロース、ポリアミド、ポリイミドが好ましい。また、分画分子量を低減させるという観点から、ポリアミドが好ましい。ポリアミドの種類は1種類でも2種類以上の混合でも共重合体でも構わないが、ポリアミド4、ポリアミド46、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド612、ポリアミドMXD6、ポリアミド4T、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミド10T等が挙げられる。
中空糸膜のサイズは本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、外径は300μm〜2000μmが好ましく、400μm〜1500μmがさらに好ましい。内径は100μm〜1500μmが好ましく、200μm〜1000μmがさらに好ましい。また、中空糸膜の分画分子量としては、例えば、200〜200000が挙げられ、200〜20000がより好ましい。本発明において、分画分子量の測定方法としては、特開2016−193430号公報に規定された方法が採用される。また、中空糸膜は、ケーシング2を構成する材料と同様、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に対する重量変化率が10質量%以下であるものが好ましく、PGMEAに対する重量変化率及びトルエンに対する重量変化率がともに10質量%以下であることがより好ましい。モジュールケースに収容される中空糸膜の充填率は、特に限定されないが、モジュールケース内部の体積に対する中空部分の体積を入れた中空糸膜の体積が30体積%〜90体積%が挙げられ、35体積%〜75体積%であることが好ましく、40体積%〜65体積%であることがさらに好ましい。
図3はモジュール1の端面図であり、図4はモジュール1の部分断面図である。本実施形態の中空糸膜束4を構成する各中空糸膜は、両側の端面がモジュールケースの両側の端面に一致するように揃えられている。このため、図3に示すように、キャップ3の第2端部31の端面では、通路S2の開口から各中空糸膜の端面が視認できる(ただし、図3は実際に収容される中空糸膜の正確な本数を示すものではない)。本実施形態において、各中空糸膜の端部は閉塞されておらず、長手方向の貫通孔は、通路S2の開口を介して外部空間と連通している。
各中空糸膜の端部と、第2端部31の内側周面33bとの隙間は、ポッティング剤5で満たされている。ポッティング剤5は、各中空糸膜の端面から通路S1よりも軸方向端側の位置まで配置され、各中空糸膜の端部を束ねるとともに、中空糸膜束4と内側周面33bとの間をシールし、分離前の流体と分離後の流体とを隔離する。一方で、ポッティング剤5は各中空糸膜の端部を閉塞しないようになっている。
ポッティング剤5は、有機溶剤に耐性を有する樹脂材料から構成される。ポッティング剤5を構成する材料としては、例えばポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、フェノール樹脂、ポリイミド、ポリウレア樹脂、エポキシ樹脂及びシリコーン樹脂からなる群から選択される材料が挙げられ、好ましくはポリアミド、ポリエチレン、エポキシ樹脂及びシリコーン樹脂からなる群から選択される材料が挙げられる。これらの材料は、単独で使用されてもよいし、2種類以上が組み合わされて使用されてもよい。本実施形態のポッティング剤5は、主剤として第1接着剤と同様のエポキシ樹脂を使用している。しかし、ポッティング剤5の主剤は、第1接着剤の主剤と異なるものが使用されてもよい。
ポッティング剤5の硬化剤についても、第1接着剤の硬化剤として挙げた材料を同様に使用することができるため、硬化剤の具体例については省略する。本実施形態のポッティング剤5は硬化剤として、第1接着剤の硬化剤と同様に芳香族ポリアミンを使用している。しかし、ポッティング剤5の硬化剤は、第1接着剤の硬化剤と異なるものが使用されてもよい。
また、ポッティング剤5としてポリエチレンを用いる場合、分子量が5000〜200000の低粘度ポリエチレン(LDPE)を用いることができ、好ましくは分子量が10000〜150000のLDPE、より好ましくは分子量が30000〜100000のLDPEを用いることができる。ポッティング剤5としてポリエチレンを用いる場合、ポッティング処理の前処理として低粘度のポリオレフィン系エマルジョンでディッピングを行うことで、中空糸膜及び内側周面33bとの接着性をより高めることができる。
ポッティング剤5の硬化後の硬度としては、JIS K6253−3:2012で規定されるデュロメータ硬さがA70以上が挙げられ、好ましくは、D40以上が挙げられる。また、ポッティング剤5は、ケーシング2を構成する樹脂材料と同様、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に対する重量変化率が10質量%以下であるものが好ましく、PGMEA及びトルエンに対する重量変化率がともに10質量%以下であることがより好ましい。
ポッティング剤5は、有機溶剤に耐性を有するため、有機溶剤を含む流体に対するシールとして好適に利用することができる。ただし、第1接着剤と同様に、ポッティング剤5として使用される樹脂は、硬度が比較的高いことが多い。また、ケーシング2及びキャップ3を構成する樹脂材料は、難接着性であることが多い。このため、ポッティング剤5とキャップ3との間のシール性を向上させるため、第3接着剤による第3層L3がポッティング処理の前に内側周面33bに形成される。ポッティング剤5は、第3層L3が分離前の流体に接触しないよう、少なくとも一次側ポートの側において径方向内側から第3層L3を覆っていることが好ましい。
<3.フィルタモジュールの製造方法>
以下では、本実施形態のモジュール1の製造方法について説明する。図5は、モジュール1の製造方法の流れを示すフローチャートである。第1のステップST1では、分離処理する溶剤に耐性を有する樹脂材料から、ケーシング2及びキャップ3を成形する。ケーシング2及びキャップ3は、押出成形及び射出成形等、公知の方法で成形することができる。
第2のステップST2では、第1層L1を形成すべく、ケーシング2の外側周面20及びキャップ3の内側周面33aのうち少なくとも一方に、第1接着剤を幅W1で塗布する。第1接着剤と第2接着剤との混合をより低減させる観点からは、キャップ3の内側周面33aに第1接着剤を塗布し、ケーシング2の外側周面20には第1接着剤を塗布しないことが好ましい。より具体的には、図6に示すように、第1層L1が面33cから第1端部30側へ幅W1で延びるよう、第1接着剤を内側周面33aに部分的に塗布し、ケーシング2の外側周面20に塗布された第2接着剤と後に対面することになる内側周面33aの部分には、これを塗布しないのが好ましい。しかしながら、ケーシング2及びキャップ3の両方に第1接着剤を塗布してもよい。この場合、第1接着剤を塗布する位置は、後のステップST4においてケーシング2の端部にキャップ3を装着したときに、ケーシング2及びキャップ3に塗布された第1接着剤の軸方向の位置が互いに一致するような位置であってよい。なお、図6では、説明の便宜上、第1接着剤による第1層L1及び第2接着剤による第2層L2の厚みが誇張して示されている。
第3のステップST3では、第2層L2を形成すべく、ケーシング2の外側周面20及びキャップ3の内側周面33aのうち少なくとも一方に、第2接着剤を幅W2で塗布する。第1接着剤と第2接着剤との混合をより低減させる観点からは、ケーシング2の外側周面20に第2接着剤を塗布し、キャップ3の内側周面33aには第2接着剤を塗布しないことが好ましい。より具体的には、図6に示すように、ケーシング2の端から軸方向中央側に幅W1を空けた位置から、第2層L2が軸方向中央側に幅W2で延びるよう、第2接着剤を外側周面20に部分的に塗布することが好ましい。しかしながら、ケーシング2及びキャップ3の両方に第2接着剤を塗布してもよい。この場合、第2接着剤を塗布する位置は、後のステップST4においてケーシング2の端部にキャップ3を装着したときに、ケーシング2及びキャップ3に塗布された第2接着剤の軸方向の位置が互いに一致するような位置であってよい。また、第2接着剤は、ケーシング2の外側周面20及びキャップ3の内側周面33aにおいて、部分的に第1接着剤と重なってもよい。
第4のステップST4では、ケーシング2のそれぞれの端部にキャップ3を装着し、ケーシング2及びキャップ3を充分に接着固定させる。なお、本実施形態では、キャップ3は、ケーシング2の端面がキャップ3の面33cに当接するようにケーシング2に対して位置合わせされ、装着される。
第5のステップST5では、キャップ3の内側周面33bに第3接着剤を塗布する。第3接着剤を塗布する軸方向の位置は、本実施形態では第2端部31の端面より軸方向中央側で、溝部330よりも軸方向端側である。第3接着剤は、流動液に接触しないよう、通路S2からモジュールケースの外部へはみ出ていないことが好ましい。
第6のステップST6では、複数の中空糸膜を、通路S2を介してモジュールケース内に収容し、複数の中空糸膜の両端部を熱圧着シールで互いに固定するとともに、貫通孔を封止する。このときの中空糸膜の長さは、モジュールケース内に収容されたとき、その両端がモジュールケースの両端の通路S2の開口から外側に延出する程度の長さであり、熱圧着シールで処理されるのは、モジュールケースから延出した部分である。
第7のステップST7では、ポッティング剤5を用いて、ポッティング処理を行う。ポッティング処理の方法は特に限定されないが、例えば図7に示すような装置6を使用して、遠心ポッティング法によりポッティング処理を行うことができる。装置6は、ハウジング60で画定される空間内に、回転駆動装置61と、回転駆動装置61が出力する回転を伝えられて回転する回転台62とを有する。中空糸膜が収容されたモジュールケースは、重心の位置が回転台62の回転中心軸と一致するように回転台62に載置され、固定具63により回転台62に固定される。回転台62に固定されたモジュールケースは、両端のキャップ3の第2端部31において、両側の通路S2とチューブ64とがそれぞれ液密に連通するように接続される。チューブ64は、回転台62の回転中心軸上において、液状のポッティング剤5を所定の量だけ収容したシリンジ65の先端と連通している。回転駆動装置61を回転させると、ポッティング剤5がシリンジ65内からチューブ64内を流動し、モジュールケースの両側の通路S2の開口からキャップ3の内部に入り込み、各中空糸膜同士の隙間及び中空糸膜と内側周面33bとの隙間を満たす。回転駆動装置61の回転は、所定の回転速度で所定の時間連続して行われる。
遠心ポッティング処理の際は、ハウジング60内で熱風乾燥機66の熱風を循環させ、予めハウジング内を加温しておくことが好ましい。
第8のステップST8では、装置6からモジュール1を取り出し、中空糸膜の熱圧着シール部分を硬化したポッティング剤5の部分と共に切り落とし、キャップ3の第2端部31の端面において、中空糸膜の貫通孔が外部と連通するようにする。
ポッティング剤5の主剤がエポキシ樹脂である場合は、第9のステップST9でモジュール1をさらに加温乾燥処理してもよい。このようにすると、エポキシ樹脂の架橋が促進され、ポッティング剤5の有機溶剤に対する耐性がより向上する。
<4.特徴>
(1)
上記実施形態のモジュール1によれば、第1接着剤により有機溶剤に耐性を有するシールを形成しつつ、第2接着剤により難接着性の材料で構成されるケーシング2とキャップ3をより確実に固定し、モジュールケースに加わる負荷が吸収される。これにより、ケーシング2、キャップ3及び中空糸膜束4を樹脂材料で構成することができ、有機溶剤に耐性を有するとともに比較的安価なフィルタモジュールを提供することができる。
(2)
上記実施形態のモジュール1によれば、ケーシング2とキャップ3との間のシール材として、別部材を用意する必要がないため、フィルタモジュールを部品点数が少ない簡易な構成とすることができる。
(3)
上記実施形態のモジュール1によれば、ケーシング2及びキャップ3の少なくとも一方を透明な材料で構成することができる。これにより、モジュール1の内部を視認することができ、フィルタの詰まり等が起こったとしても、容易にその発生を確認し、発生箇所を特定することができる。
<5.変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
(1)
上記実施形態のモジュール1は、フィルタとして中空糸膜束4を使用していたが、フィルタはこれに限定されず、公知のフィルタであってもよい。例えば、シート状のメンブレンフィルタ、メッシュ状の金属フィルタ等を使用してもよい。
(2)
上記実施形態のモジュール1は、ケーシング2の外側周面20をキャップ3の内側周面33aが径方向外側から覆っていたが、図8に示すように、この位置関係は逆であってもよい。つまり、キャップ3の外側周面34をケーシング2の内側周面21が径方向外側から覆うように、キャップ3がケーシング2に固定されてもよい。なお、この構成においては、第1層L1と第2層L2との軸方向の位置関係も逆にしてもよい。つまり、第2層L2が軸方向外側に配置され、第1層L1が軸方向中央側に配置されてもよい。
(3)
上記実施形態のモジュール1は、径方向に延びる通路S1がキャップ3に形成されていたが、通路S1はキャップ3ではなく、ケーシング2の側周面に形成されてもよい。また、通路S1の数は2つに限られず、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
(4)
上記実施形態のモジュール1は、クロスフロー型であり、両端に通路S2を有し、かつ中空糸膜の両端が開口していたが、モジュールケースの一端を閉塞し、一方の通路S2の構成を省略したデッドエンド型に構成されてもよい。この場合、中空糸膜束4を構成する中空糸膜は、モジュールケースの閉塞された側でU字型に折り返され、両端部がともに通路S2の開口に位置するようにモジュールケースに収容されてもよい。また、中空糸膜束4を構成する中空糸膜は、貫通孔の一端を熱圧着シールにより封止され、封止側の端部がモジュールケースの閉塞された側の端部に位置するようにモジュールケースに収容されてもよい。
(5)
ポッティング処理の方法は、上記実施形態の方法に限定されない。例えば、ポッティング剤5としてポリエチレン等の熱可塑性樹脂を使用する場合、束ねた中空糸膜の端部とキャップ3の内側周面33bとの間に加熱融解させた熱可塑性樹脂を流し込み、熱可塑性樹脂を加熱硬化及び自然硬化させる方法でポッティング処理を行ってもよい。
(6)
キャップ3の第2端部31と分離処理ラインとの接続は、ヘルールでなくてもよい。第2端部31は、モジュール1が組み込まれる分離処理ラインの態様に応じて、様々な継手形状に変更することができる。また、キャップ3は両端で同じ継手形状でなくてもよく、それぞれが異なった継手形状に構成されてもよい。
(7)
上記実施形態のケーシング2は円筒状であったが、ケーシング2は角筒状であってもよい。
(8)
上記実施形態では、ポッティング剤5の接着性を向上させるための凹凸としてキャップ3の内側周面33bに環状の溝部330が形成された。しかしながら、凹凸は溝部330によってではなく、環状のリブによって形成されてもよく、あるいは溝部とリブとを組み合わせて形成されてもよい。また、凹凸の形状も環状に限られず、適宜変更されてよい。
(9)
上記実施形態のケーシング2及びキャップ3は樹脂材料で構成されたが、ケーシング2及びキャップ3のうち少なくとも一方は金属で構成されていてもよい。当該金属としては、ステンレス鋼(SUS)等が挙げられる。
(10)
第2のステップST2と第3のステップST3とは、順序が逆になってもよい。すなわち、第2接着剤をケーシング2及びキャップ3のうち少なくとも一方に塗布した後に、第1接着剤をケーシング2及びキャップ3のうち少なくとも一方に塗布してもよい。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
後述のように、ケーシングとキャップの接着方法が異なる4種類のモジュールケースを用意し、実施例1,2及び比較例1,2とした。実験1ではそれぞれのモジュールケースに共通の中空糸膜束を収容し、ポッティング処理を行って実施例1,2及び比較例1,2に係るモジュールを作成した後、流動液をそれぞれのモジュールに通過させ、モジュールケースの耐久性を評価した。実験2では、それぞれのモジュールケースの耐圧実験を行った。
ケーシング及びキャップの構成は、実施例1,2及び比較例1,2で共通とした。ケーシングの内径は16.5mm、外径は20mm、長さは250mmであった(図9参照)。キャップの第1端部の内径は20mmであり、第1端部の内側周面の軸方向の長さは15mmであった(図9参照)。ケーシング及びキャップは、共にポリアミド6(ユニチカ(株)製A1030BRT、相対粘度3.53)から成形された。ケーシングは押出成形により成形され、キャップは射出成形により成形された。ケーシング及びキャップを構成する材料は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に対する重量変化率及びトルエンに対する重量変化率が10質量%以下であった。また、ケーシングの全光線透過率は74%であった。
実施例1,2及び比較例1の第1接着剤として、有機溶剤に耐性を有するエポキシ樹脂系接着剤(三菱ケミカル(株)製、主剤:JER604、硬化剤:芳香族ポリアミン系硬化剤 エボニック(株)製、アンカミンLV)を使用した。第1接着剤の硬化後の硬度は、JIS K6253−3:2012で規定されるデュロメータ硬さがA90以上であった。また、当該第1接着剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に対する重量変化率及びトルエンに対する重量変化率が10質量%以下であった。
(1)
実施例1では、第2接着剤として、難接着材質用の接着剤(セメダイン(株)製EP001K、硬化剤をシリコーン変成ポリマーとしたエポキシ接着剤)を使用した。当該第2接着剤の硬化後の硬度は、JIS K6253−3:2012で規定されるデュロメータ硬さが、A72であった。実施例1では、図6に示すようにキャップの第1端部の内側周面に部分的に第1接着剤を塗布し、ケーシングの外側周面に部分的に第2接着剤を塗布した。幅W1及び幅W2はそれぞれ6mmとした。第1接着剤及び第2接着剤をそれぞれ塗布した後、液だれが起こらない程度にこれらの接着剤が硬化した状態で、ケーシングにキャップを装着し、両者を接着した。
(2)
実施例2では、第2接着剤として、難接着材質用の変成シリコーン系接着剤(Three Bond(株)製Three Bond TB1533F)を使用した。当該第2接着剤の硬化後の硬度は、JIS K6253−3:2012で規定されるデュロメータ硬さが、A25であった。実施例2では、図6に示すようにキャップの第1端部の内側周面に部分的に第1接着剤を塗布し、ケーシングの外側周面に部分的に第2接着剤を塗布した。幅W1及び幅W2はそれぞれ6mmとした。第1接着剤及び第2接着剤をそれぞれ塗布した後、液だれが起こらない程度にこれらの接着剤が硬化した状態で、ケーシングにキャップを装着し、両者を接着した。
(3)
比較例1では、第2接着剤を用いず、第1接着剤を実施例1及び2と同様に塗布し、さらに実施例1及び2において第2接着剤を塗布した部分にも第1接着剤を塗布した。つまり、図9Aに示すように、キャップの内側周面のみならずケーシングの外側周面にも第1接着剤を塗布し、第1接着剤の層L4が形成されるようにした。幅W1及び層L4の幅W3はともに6mmとした。ただし、図9Aでは、説明の便宜上、第1接着剤の厚みが誇張して示されている。第1接着剤をキャップ及びケーシングに塗布した後、液だれが起こらない程度に第1接着剤が硬化した状態で、ケーシングにキャップを装着し、両者を接着した。
(4)
比較例2では、第1接着剤を用いず、実施例1と同じ第2接着剤を実施例1と同様に塗布し、実施例1及び2において第1接着剤を塗布した部分にも当該第2接着剤を塗布した。つまり、図9Bに示すように、ケーシングの外側周面のみならずキャップの内側周面にも当該第2接着剤を塗布し、当該第2接着剤の層L5が形成されるようにした。幅W2及び層L5の幅W4はともに6mmとした。ただし、図9Bでは、説明の便宜上、第2接着剤の厚みが誇張して示されている。第2接着剤をキャップ及びケーシングに塗布した後、液だれが起こらない程度に第2接着剤が硬化した状態で、ケーシングにキャップを装着し、両者を接着した。
(実験1)
実施例1,2及び比較例1,2のそれぞれのモジュールケースに、ポリアミド6製の中空糸膜を200本ずつ収容した。中空糸膜の内径は500μm、外径は800μm、長さは300mmであり、分画分子量(Mw)は10000程度、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に対する重量変化率及びトルエンに対する重量変化率が10質量%以下であった。中空糸膜を収容したモジュールケースを、上記実施形態の遠心ポッティング法でポッティングした。ポッティング剤として使用したのは、実施例1,2及び比較例1の第1接着剤と同様、有機溶剤に耐性を有するエポキシ樹脂系接着剤(三菱ケミカル(株)製、主剤:JER604、硬化剤:芳香族ポリアミン系硬化剤 エボニック(株)製、アンカミンLV)であった。実施例1,2及び比較例1,2に係るモジュールをそれぞれ図7に示すような装置6にセットし、予め70℃の熱風を循環させて加温されたハウジング60内で、モジュールを30分回転させた。その後、モジュールをハウジング60内から取り出し、モジュール両端から延出する中空糸膜束のポッティング部分を切り落とし、中空糸膜の貫通孔を外部と連通させた。その後、モジュールを8時間加温乾燥させた。
実施例1,2及び比較例1,2のそれぞれのモジュールを図10に示す内圧式分離処理ラインに接続し、送液循環ポンプ70によって連続してモジュールに流動液を透過させ、所定時間におけるモジュールの透水量の変化を観察した。それぞれのモジュールにおいて、一次側圧力計71に接続された通路S2を一次側ポートとし、通路S1及び二次側圧力計72に接続された通路S2を二次側ポートとし、一次側圧力計71の圧力と二次側圧力計72の圧力を圧力調整弁74により調節した。モジュール内を透過する液のうち、中空糸膜の細孔を透過したものは、流動液から分離された透過液として通路S1を介して流出し、残りは二次側の通路S2を介して再び分離処理ラインに循環した。表1に示す各々の所定時間経過後に、通路S1を介して流出した透過液を受け皿73により回収し、その質量を測定して透過液質量W(kg)とし、以下の式により時間当たりの透過液量(kg/(m2・bar・h))を算出した。
透過液量(kg/(m2・bar・h))=W/(A×p×T)
ただし、式中、A(m2)は中空糸膜束の有効ろ過面積、p(bar)は一次側圧力計71の値(bar)と二次側圧力計72の値(bar)との算術平均値、T(h)は分離処理開始からの経過時間を表す。
流動液は、1%酢酸セルロース(Mw12000)酢酸エチル溶液であり、pは3barとした。
(実験1の結果)
結果は表1のようになった。ただし、表1中の「I」「II」「−」は、それぞれ以下のことを示す。
I:透過液量は前回から変化していないか、概ね変化しなかった
II:透過液量に前回から大きな変化があった
−:測定不能となった
Figure 0006955301
(1)
実施例1及び実施例2に係るモジュールは、一週間経過後も透過液量が安定しており、3barの圧力下、長期的な使用に耐えることが示された。
(2)
比較例1に係るモジュールは、1週間が経過した時点で透過液量が大きく変化した。1か月が経過した時点では、ケーシングとキャップとの接着が外れ、リークにより透過液量が測定不能となった。
(3)
比較例2に係るモジュールでは、3日が経過した時点で透過液量が大きく変化した。1週間が経過した時点では、接着剤が流動液の影響を受け、リークにより透過液量が測定不能となった。
(実験2)
実施例1,2及び比較例1,2のそれぞれのモジュールケースを図10に示す内圧式分離処理ラインに接続し、送液循環ポンプ70によって連続してモジュールケースに純水を透過させた。モジュールケース内に純水が充満したところで2つの通路S1を封止し、表2に示す各々の所定圧力(bar)におけるモジュールケースの耐性を観察した。それぞれのモジュールケースにおいて、一次側圧力計71と二次側圧力計72の圧力を圧力調整弁74によりコントロールし、所定の圧力で1時間保持した際に、ケーシングとキャップとの接着部分からの水漏れの有無を確認した。1時間の間に水漏れが発生しなかった圧力のうち、最大の圧力をモジュールケースが耐えられる圧力として評価した。なお、所定の圧力(bar)は、一次側圧力計71の値と二次側圧力計72の値との算術平均値とした。
結果は表2のようになった。ただし、表2中の「I」「II」「−」は、それぞれ以下のことを示す。
I:接着部分の水漏れは発生していなかった
II:接着部分に水漏れが発生した
−:所定の圧力を保持することが不能となった
Figure 0006955301
(1)
実施例1に係るモジュールケースは、20barの圧力下で使用に耐えることが示された。しかし、22barではケーシングとキャップとの接着部分から水漏れが発生した。
(2)
実施例2に係るモジュールケースは、22barの圧力下で使用に耐えることが示された。
(3)
比較例1に係るモジュールケースは、15barの圧力下でケーシングとキャップとの接着部分から水漏れが発生した。20barでは、ケーシングとキャップとの接着が外れ、所定の圧力を保持することが不能となった。
(4)
比較例2に係るモジュールケースは、22barの圧力下で使用に耐えることが示された。このことは、溶剤の影響を受けない条件下では第2接着剤の難接着性材質に対する接着力が強く、圧力に耐える事を示していた。
以上の実験2の結果から、実施例1及び2に係るモジュールケースでは、第1接着剤の接着強度が第2接着剤により補強されていることが示された。
1 フィルタモジュール
2 ケーシング
3 キャップ
4 フィルタ(中空糸膜束)
5 ポッティング剤
20 外側周面
21 内側周面
30 第1端部
31 第2端部
L1 第1層
L2 第2層
L3 第3層
S1 通路
S2 通路

Claims (13)

  1. 軸方向に延びる略筒状のケーシングと、
    前記ケーシングの内外を連通させ、前記軸方向に延びる通路を画定する内壁面と、前記通路内に前記ケーシングの端部を受け入れ、前記ケーシングの端部に接着固定される第1端部とを有する略筒状のキャップと、
    前記軸方向端側に配置されているとともに、前記ケーシングの端部の外側周面及び前記第1端部の前記内壁面に対面する第1層と、
    前記第1層の前記軸方向中央側に配置されているとともに、前記ケーシングの端部の外側周面及び前記第1端部の前記内壁面に対面する第2層と、
    を備え、
    前記ケーシング及び前記キャップは、有機溶剤に耐性を有する材料から構成され、
    前記第1層は、有機溶剤に耐性を有する第1接着剤から形成され、
    前記第2層は、前記ケーシング及び前記キャップを構成する材料に親和性を有するとともに、前記第1接着剤と比較して弾性が高い第2接着剤から形成されている、
    フィルタモジュールケース。
  2. 軸方向に延びる略筒状のケーシングと、
    前記ケーシングの内外を連通させ、前記軸方向に延びる通路を画定する内壁面と、前記ケーシングの端部に受け入れられ、前記ケーシングの端部に接着固定される第1端部とを有する略筒状のキャップと、
    前記軸方向中央側に配置されているとともに、前記ケーシングの端部の内側周面及び前記第1端部の外側周面に対面する第1層と、
    前記第1層の前記軸方向端側に配置されているとともに、前記ケーシングの端部の内側周面及び前記第1端部の外側周面に対面する第2層と
    を備え、
    前記ケーシング及び前記キャップは、有機溶剤に耐性を有する材料から構成され、
    前記第1層は、有機溶剤に耐性を有する第1接着剤から形成され、
    前記第2層は、前記ケーシング及び前記キャップを構成する材料に親和性を有するとともに、前記第1接着剤と比較して弾性が高い第2接着剤から形成されている、
    フィルタモジュールケース。
  3. 前記ケーシング及び前記キャップを構成する材料は、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンクロロトリフルオロエチレン及び金属からなる群より選択される材料を含む、
    請求項1又は2に記載のフィルタモジュールケース。
  4. 前記ケーシングは、外部から内部を視認できる程度の透明度を有する、
    請求項1から3のいずれかに記載のフィルタモジュールケース。
  5. 前記第1接着剤は、ポリアミド系接着剤、ポリエチレン系接着剤、ポリプロピレン系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、ポリイミド系接着剤、ポリウレア樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤及びシリコーン樹脂系接着剤からなる群より選択される材料を含む、
    請求項1から4のいずれかに記載のフィルタモジュールケース。
  6. 前記第2接着剤は、シリコーン系接着剤、変成シリコーン系接着剤、アクリル・変成シリコーン系接着剤、ウレタン系接着剤 、酢酸ビニル系接着剤、エポキシ・変成シリコーン接着剤及びスチレンブタンジエンゴム系接着剤からなる群のいずれかより選択される、
    請求項1から5のいずれかに記載のフィルタモジュールケース。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載のフィルタモジュールケースと、
    前記ケーシングの内部空間及び前記キャップの前記内壁面に画定される空間内に収容されているフィルタと
    を備え、
    前記フィルタは、有機溶剤に耐性を有する材料から構成されている、
    フィルタモジュール。
  8. 前記フィルタは、その長手方向と前記ケーシングの軸方向とが一致するように前記空間に収容されている中空糸膜束であり、
    前記キャップは、前記軸方向に延びる通路を挟んで前記第1端部の反対側にある第2端部をさらに有し、
    前記第2端部は、前記通路の端部開口を規定し、
    前記中空糸膜束を構成する個々の中空糸膜の長手方向の貫通孔は、前記端部開口を介して外部空間と連通している、
    請求項7に記載のフィルタモジュール。
  9. 前記個々の中空糸膜の端部と、前記第2端部の前記内壁面との隙間を満たすとともに、前記中空糸膜束の端面と前記第2端部の端面とが概ね一致するように前記中空糸膜束を前記キャップに対して固定するポッティング剤と、
    前記ポッティング剤及び前記第2端部の前記内壁面の間に配置されている第3層と
    をさらに備え、
    前記ポッティング剤は、有機溶剤に耐性を有し、
    前記第3層は、前記キャップを構成する材料に親和性を有するとともに、前記ポッティング剤と比較して弾性が高い第3接着剤により形成される、
    請求項8に記載のフィルタモジュール。
  10. 前記第2端部の前記内壁面のうち、前記ポッティング剤と当接する箇所には凹凸が形成されている、
    請求項9に記載のフィルタモジュール。
  11. 前記ポッティング剤は、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、フェノール樹脂、ポリイミド、ポリウレア樹脂、エポキシ樹脂及びシリコーン樹脂からなる群より選択される材料を含む、
    請求項9又は10に記載のフィルタモジュール。
  12. 前記第3接着剤は、シリコーン系接着剤、変成シリコーン系接着剤、アクリル・変成シリコーン系接着剤、ウレタン系接着剤 、酢酸ビニル系接着剤、エポキシ・変成シリコーン接着剤及びスチレンブタンジエンゴム系接着剤からなる群のいずれかより選択される、
    請求項9から11のいずれかに記載のフィルタモジュール。
  13. 前記中空糸膜は、ポリアミド製である、
    請求項8から12のいずれかに記載のフィルタモジュール。


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